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鶴園哲夫君 私は、やはり
先ほど申しましたように四十七年に、はっきり高度経済成長というのが行き詰まって立ち往生してしまった、そして、世界的に食糧の問題が大きく浮かび上がってくるという段階に、すでにやはり
農林省としては
考えなきゃならなかっただろうと思うんです。そこで鋭意四十七年の十月に、ああいう十年後の長期目標の試案もつくって、一応発表もされたもんだと思うんです。ですが、その後三年の間、何か
農政がもたもたして、進むべき道というのがはっきりしなかったという点が、一番やっぱり今度の予算の場合に大きな障害になっておるんじゃないかと。高度経済成長の中で一番下敷きになったのは、これは社会保障もそうですし、教育
関係の予算もそうですし、それから生活環境の問題もそうですが、やはり
農業と漁業ですよ。ですから、
農業と漁業についてもっと
考えるべきだったと思うんですけれども、遺憾ながらそこに至らなかった。それはいま申し上げましたように、
農政についてはっきりとした
考え方を持っていないという点にあるんじゃないかと思うんです。で、よく言われますように、
農林省の
農政というのは、踊り場
農政だと。まあ自給率で言えば、やや中段のところから八段ぐらいにあったところから、だんだん、だんだんおりてきて、四階のところまでおりたと。その踊り場にあって、下がるのか、上がるのか、うろちょろしているというのが、いまの
農政の実情じゃないかと私は思っていますですね。ですから、俗称踊り場
農政と。上がるのか、下がるのかわからない、言うならばうろちょろしている
状態でないかと、そう思っているんですけれどもね。その問題については、
畜産の問題についてのところで、さらに具体的に
論議をしてまいりたいと思います。いま
大臣がおっしゃるように、いま
農政審議会にかかっている長期目標、長期見通し、あるいは食糧問題の食糧政策の展望というやつですね、その自給率が、あの四十七年の十月に出したときには、自給率は七三%か七五%と、こう見ておったのですね。ところが、今度は七五%にするというのかな
——七五ですな。ですから、七七ぐらいのことを
考えておったのが、それよりも低いものをやっちゃったんですね。こういうところにも、どうも理解がつかないところがあるんです。
さて、それはちょっとここでおきまして、
畜産振興審議会というのですか、これについて伺いたいんです。
畜産振興会審議会というのは、まあ、ぼくらの間では、これは酪農
振興審議会だというふうに
考えているんですけれども、
畜産局も酪農局だとぼくらは
考えているんです。
肉牛については全然手おくれです、これ。さっき
局長も言ったですよ。肉の値段をきめなければならぬときに、統計の
資料がないのですよ。いまあります
資料は、あれは
資料とは言えないですよ。あれは、全国事例調査ですよ、われわれの常識で言いますと。事例調査。統計の
数字じゃないですよ。ましてや、乳雄の
資料なんというのは、ありゃしないのですから、四十九年に始まったわけですから。これなんか百戸ぐらいです。こんなようなものはまるで課がやってる事例調査ですよ、そのことはまあ一例ですけれども。
肉牛に対する政策がどんなにおくれているかということですよ。むちゃくちゃにおくれている、体をなしていない。まあ統計というのが
行政の基礎ですよ。
まあ、横道にそれましても何ですから、そこで酪農
振興審議会、つまり
畜産振興審議会について伺いたいんです。これはたしか四十一年に
法律が
改正されましたときに、前は
畜産物価格審議会という形だったのですが、それが変わりまして、いまのように
畜産振興審議会と、こうなっておるわけです。それで、この取り扱う
内容というのは、非常に重要なんですね。米に
畜産が取ってかわろうというわけですから、
農業の中における地位を。まさに取ってかわりつつあるわけです。ですから、私は、この
畜産振興審議会というのは、米価審議会よりもっと役割りは大きいと思ってるのです。その場合に、審議会の
委員の任命ですね、これはどういう配慮を払われているのか。私は
大臣に、まあ
大臣、これ、おなりになったばかりですから、前の
大臣が任命なさったんでしょうが、どうも私は、十年前と変わらぬような感覚で審議会の
委員というのを任命しておられるのじゃないかというふうに思うわけなんですよ。ですから、
大臣かなられたわけですし、これから
肉牛——めちゃくちゃにおくれている
肉牛の問題につきましても、これから入れて、さらに
行政を一生懸命充実していこうというところなんですから、私は、この審議会について、
委員の任命について根本的に
考えられる必要があるというふうに思っております。ですから、どういうような
考えでお
考えになって配慮を払われておるのか。私は、一番不足しているのは、こういうことだと思っているのです。
日本の
畜産の一番大きな特色と、その裏返してまた最大の欠陥というのは、
畜産と農耕というのが分離して動いていったということですね。これは農民が選択したのじゃなくて、
農林省がやったわけですよね。
畜産というものとそれから農耕というものが分離している、並行して発展していったわけです。これはまあ世界じゅうに例がないといってもいいんじゃないでしょうか。そして、むしろ
畜産の発展することによって耕種
農業というのは矛盾をますます深めているわけです、相対峙しているわけですよ。地力が減退してくるという問題も、
畜産だけにかぶせるわけにいかぬのですけれども、やっぱり
畜産のこういう
事態になったということが地力をおくらかせるという
一つの
原因でしょう。根なしカズラの
畜産と言われるのもそこにあるんですよ。これは非常に矛盾をはらんでいますね、耕種
農業とそれから
畜産というものが。これからそういう耕種
農業というものと
畜産というものがこれは並行ではなくて、結び合って発展をさせていくという転機にきていると思うのです。そういう意味で、私は、ぜひともこの審議会の
委員というものをもう少し広い視野から、
農業も含めて一体になってやっていくのだという、そういう配慮を払われる必要があるというふうに思っているのですけれども、
大臣の見解を伺いたいと思います。