○木島則夫君 わが国でもこのクリーム・スキマー、つまり民間配送業であるとか、たとえば電気、ガス、
電話などの領収証を会社みずからが配る、企業がみずから
配達をする、こういうおそれは、いま局長がおっしゃるまでもなく、これは十分に出てきつつある、また出てくると私は思いますね。
それが証拠には、
郵便物の地域交流の
状況を、この四十九年度版の「通信に関する
現状報告」というもので見ましても、これは十分に
考えられるわけですよ。説明するまでもないと思いますが、念のためにちょっと触れます。
郵便物は比較的近距離にあてられたものが多く、全部の
郵便物の六〇%が引き受けられた都道府県内に
配達され、しかもその三分の一は引き受けられた
郵便局区内あてのものであるというこの事実ですね。さらに自府県割合を全体と比較をいたしますと、徐々にではありますけれど、増大をする傾向がありまして、
郵便物は比較的近距離にあてられたものが多いと、ちゃんとデータで出ていますね、これも。
また「
郵便の利用動向」を見ると、「業務用として差し出される
郵便物が全体の八〇%を占めている。」四十四年度には業務用が七〇%、私用が三〇%であったこと、四十四年から四十八年の間に増加した
郵便物はほとんど業務用の通信であることを
考えますと、この比率はさらに大きくなっていくんじゃないだろうかというふうに見られまして、一層私がさっきから
指摘をしているこのクリーム・スキマー、いいところだけを、利益率の高いところだけを持っていってしまう民間の介在する余地が私は出てきつつある、そういうバックグラウンドが出てきているんだということを
指摘をしたいわけでございます。
さらに、その利用目的を見ますと、消息とか各種のあいさつ、いわゆる安否通信というものは一三%にすぎないんですね、これも。ダイレクトメールであるとか金銭関係がそれぞれ一九%、だから四〇%近いというようになっている
現実を見ますと、私は
料金の大幅の
値上げというものは、ダイレクトメール、金銭関係の部分においてだけでもクリーム・スキマーの生まれる素地が十分にあると思うんです。
こういった民間配送業の発生を未然に防ぎ、企業みずからが宅配を行わないようにするためには、やっぱり私は
郵政事業が信頼されるということが大事だと思いますね。労使がきちっと節度を持って、いわゆる
郵政事業の運営に当たっていくというその姿勢も大事、そういう
状況がなければだめですね。やたらに遅配が起こったり約束をした日数内に到達をしなかったりというようなことであったらば、何だい国営の事業頼むに足らないということで、いっそほかに出てきたらいいなという、そういう気持ちを民間に起こさしたら、一般に起こさしたら大変だと思いますね。ですからさっき私が言ってるように、もう
郵便の利用動向、そういう
状況からもクリーム・スキマーの出てくる素地が十分にある。それを上塗りするような
郵政事業、
郵政省の姿勢というものがあるならば、これは大変なことになりますぞというふうに私は
指摘を申し上げたい。
世の中は本当に変わってますよ、本当に。その辺の認識がないと、私はとんだことになる。むしろそういうものが出てきて痛い目に遭った方がこの際いいんじゃないかというようなことを言う人さえいます。そのくらい
郵政事業というものは私は社会の動きに即応できない。さっきから申し上げているように、非常に動脈硬化になってるんじゃないだろうか、その辺を本当に抜本的に体質を改め、姿勢を正していかない限り、私はここで百の議論をしたって始まらないと思う。
いかがですか、いま私が申し上げたようなそういったことどもを踏まえましてね、
大臣、
郵政事業が置かれている
状況、環境というものは大変な厳しい環境にあるんだということ、その中で行われる今回の
値上げというものがこれはただならない
値上げであるということ、そうしてそういう
値上げにチャンスとばかり食いつく民間企業というものが虎視たんたんとねらっていること、そうしてもう
一つは、いわゆる
郵政省の将来展望もない、
値上げをしても赤字がまだ続く、遅配はある、労使の関係が思うようにいかないというような、いろんな条件がそろっていたならば、どうなりますか、
大臣、ここでおちおち
値上げの
論議なんかできないんじゃないですか。私はそういうことをひとつ御認識をいただいた上でね、もう一回検討し直していただきたいんですよね。これは大変大事な問題です。私も
逓信委員会に籍を置き、
日本の
郵政事業というものが健全にそして円滑に運営をされることをこいねがう一人の
立場としましてね、あるいは口が過ぎるかもしれませんけれど、さっきから言ってる
郵政事業が置かれている環境は非常に厳しいんだと、その中で本当にみずからえりを正し、正すものは思い切って抜本的な改革をする、そうして将来展望、ビジョンをきちっとそこに示す、
国民の皆さんに納得のいくような御説明がなければ、これはとうていわれわれは理解し得るところではない、このことを申し上げたい。いかがでしょうか。
まあ多少駄弁に過ぎたかと思いますけれど、私の真意はおくみ取りいただけると思います。通り一遍の、それじゃ検討しましょうじゃなくて、私もここまで直球を投げてるんですからね、
大臣、ひとつ率直に答えてくださいよ。それがやっぱり
国民につながる
郵政事業、
郵便料金の問題を本当に
審議をすることにつながるという意味でね、
大臣のひとつ熱のある具体的なお答えをちょうだいをして私の
質問を終わります。