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山中郁子君 私は二つの問題があるというふうに思います。
それはこの労働安全衛生法というもの
——もともと
国民の権利というものが憲法で規定されていて、その憲法で「生命、自由及び幸福追求に対する
国民の権利については、公共の
福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と、これは大きくさかのぼって憲法までいくわけですけれども、何も頸肩腕症候群になった人が自分のかかりつけの病院、自分が信頼する病院で診断書をもらってくるということが公共の
福祉に反するということはあり得ないわけで、そういう観点からいきまして、もともとが医師選択の自由ということで明確になっている問題をさまざまな理由、さまざまな理屈をもって制限をしているというところに一番大きな問題が
一つあると思います。
しかし、これが現実の問題として、公社が言うように、そして労働組合がそのような
立場からこの交渉を積み重ねてきていることが貫徹されていれば、これは問題ないんです。私は何もこのことをここで問題にするつもりは、そういうことがちゃんとされているならば、ありません。だけど、問題は、いままでも先回の
委員会でも申し上げましたように、そしてまた何回か具体的な事例でも厚生
局長にもお話を申し上げてきましたように、こういうことを盾にとって、明らかに病気になっている人をさまざまな理由をつけて
業務上疾病として認めないという、こういういろいろな圧力を加えてトラブルが絶えないという事実があるわけですね、この現実があるわけです。
ですから、公社の言われるように、本当に病気を治すために設備のある病院を指定病院として、そうしてそこの検診でもって認定するというふうな、そういう表向きのことではなくて、いかにして労働者が頸肩腕症候群なりそうした病気になっているのを
業務上災害として認めないようにしようかという、こういうふうなこと以外にない。これが私はだから基本的な労務政策としての労働者に対する敵視の考え方だというふうに言わざるを得ないと思うのですけれども、こういうことが重要な問題なんです、現実の問題として。
そうして、この前、例として申し上げましたけれども、これも時間がなくて私は指摘をするだけにとどめたんですけれども、横浜電報局の井野明さんという人の問題で医師が
業務上だというふうに認定して診断を出しているにもかかわらず
業務外だという、そういう決定をよこしたと、一体これはどういうことなのかということで追及いたしましたところ、厚生
局長はその判断がボーダーラインにあったからだと、こう言われたわけです。
私は、その診断書が明らかに
業務上だと書いてあるにもかかわらず、なぜボーダーラインなのかということが
一つ問題がありますけれども、これはいま横に置きまして、ボーダーラインにあるからこそ
業務上災害一
業務上疾病にしなければいけない、そうでなければいけないはずなのに、ボーダーラインだからということでそれを
業務外にするという考え方ですね、このことにまさに職業病として公社が
責任を負わない姿勢、何とか労働者の個人
責任にして、そうしてその救済
措置をとにかく狭めようとしている、そういうふうな態度が流れているから、この医師選択の自由の問題と絡んでいま大きな問題になってきている。このことについての基本的な考え方をぜひ伺いたいと思います。