○長田裕二君 ここに提出されました
昭和五十年度の
NHK予算につきましては、先ほどからもお話が出ておりますように、ここ数年間の収入増加傾向の頭打ちと、年々のいろいろな面における単価の増加とが相まちまして、事業
収支において年度間二百十五億の逆ざやを生じておりますし、また、そういう状況を背景として、支出の各項目におきましておのれを律する
態度の厳しさというものが相当広くにじみ出ていると思います。それにつきましての御苦心のほどはお察しいたすわけでございます。
そういうようなただいまの状況からして、今年度と来年度あたりは、
NHKの
運営全般につきまして、相当広い角度とかなり深い突っ込みと両々相まちまして、この財政的な困難の打開と新しい展開を求めていく大事な時期だと思います。いままでの各
委員の御
質問もそういう点にいろいろと触れておられるわけですが、私は、
予算執行上の
一つの
問題点として、弾力条項につきまして少し御再考を願いたいと思う点がありますので、これにつきまして御
質問いたします。
予算総則第七条が弾力条項、予定以上の収入があった場合の処理で、また第八条は、それに
関連して前期繰越金が
予算で予定した金額に比べて増減したときの
規定であります。
大体、弾力条項は、方々の公共企業体とか、このごろは国の
予算あるいは企業体
予算、各方面にあらわれるところで当然のことだと思っているわけですが、
予算に比べて収入が増加した場合の使い方は、一般には、その事業のため直接必要とする経費、たとえば
NHKの場合におきましては、集金に大いに努力をした、収入も予定より増加した、ただし経費はかかったとかいうようなことは一番具体的な
一つの例だと思いますし、あるいはまた借入金の返還などに充てるということもこれも妥当な措置だと思います。あるいはまた七条の二項にありますように、職員の能率向上による企業
経営の改善によって収入が
予算額に比べて増加したりしたときは「
経営委員会の議決を経て、その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる。」これも妥当なところだと思うわけですが、従来
NHKの
予算総則にあらわれた、私はほかの例を余り知りませんが、
一つの特色は「設備の新設、改善に充てることができる。」と、そういう部分であります。
この面は、八条の方の前期繰越金の増加の場合にも同じような
規定が書かれているわけですが、そこまでやることが、普通、
予算執行上妥当かどうかということに私はかねて疑問を持っておりまして、数年前、決算のときにも御
質問もし、
要望もした記憶がありますけれ
ども、たとえばここで設備の購入をいたしますと、減価償却を必要とする資産を買ったりした場合には、たちまちすぐその次の年の
——四十九年度のこれは一月から三月ごろまでに予定以上の収入があったと
——十二月ごろまでの収入の増加は恐らく見込んで五十年度の
予算に出ると思いますけれ
ども、五十年一月から三月ごろまでの増収というものは余り見込まずに
予算が組まれている。そこで出た増収というもので償却を必要とする資産を買った場合には、たちまちにして
昭和五十年度
収支予算書、ここに出ております減価償却費百二十九億九千万円、これに変動が出てくるというようなことになるわけで、
予算の体裁としては余り妥当ではないという感じがいたすわけです。
ただし、事業は生きものでもありますし、また
国民から
NHKに期待している面もいろいろあるわけです。難視聴地域の解消だとか、そういうような事柄は一刻も早くという念願を広く
国民は持っているわけですから、そういうことも
考えますと、
予算の形式としてはやめた方がいいような気がしますが、あるいはそういうふうに目的を限って長い長期計画をお持ちになっているわけですが、何年度はここをやり、その次の年度はここをやりということでしょうから、そういうものを繰り上げておやりになるというような面はあるいは妥当な範囲に入るかもしれないという感じがいたすわけですが、これらにつきまして、協会並びに郵政省側の御見解を伺いたいと思います。