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新谷寅三郎君 大体、基本精神については、
郵政大臣も
小野会長も私の言ったことが
理解されて、そのとおりの解釈をしておるということだと思います。
それから、
小野君の言われたのは、これは立法当時にはもちろんこういう都市の高層ビルなんというのは予想しなかったですから、それについては解釈は、つまり
NHKの義務としては、あるいは責任としてはあまねく全国の
聴視者が受信できるように措置をすることは
NHKの義務である。しかし、その間、あなたは言われなかったけれども、同じ電波障害でありましても、何のための電波障害か、大部市になってくると必ずしもそれが具体的な問題として明らかでない。また電波の反射というようなこともありまして、非常にこれは技術的にも困難な問題が出てきておるということのために、原因者に負担させようと思ってもなかなか実際上そういかぬ場合がある。
したがって、そういう問題については、他の水質の汚濁とか大気の汚染とかという問題にもあるように、原因者がやはり原則として負担をするのが当然であるけれども、そういう不明な問題についてだれかに押しつけるということもできないだろうから、そういう場合は国または地方公共団体が公費を
支出して、とにかくそういう公害を防除しようという制度をとっておりますね。それと同じように、この問題についても、できるだけ
NHKが原因を調べると同時に、どうしても
NHKの手に負えない部分は国または公共団体がそれにかわってと言いますか、ある程度の助成をする、あるいは補助をするという形で、やはり
国民から言いますと、見えなくなるのはこれは自分のせいじゃないんですね、どこかに原因があるんでしょうが、それを防除する第一義的な責任を負っているのは
NHKである。これはもう七条と三十二条を見れば、受信機を持っておれば契約をしなければならぬことになっているわけです。それの裏表です、これはね。その点はもう法律の解釈としてはきわめて明瞭なんです。
その点を忘れないように、
NHKが
最大限の
努力をされ、これでは足りない、解釈上も解釈はできない、
小野君の言われるように解釈を曲げようたってそれはできませんよ。だから、それにかわるべき具体的な電波公害を防止するための特別立法が必要であるというので
郵政省を
努力をしているのですから、早く特別立法を出して、そうしてそういう電波の公害を早く防いでいくという措置をおやりなさい、こういうことを言いたいのでお尋ねしたわけです。あと結構です。
それからもう一つの問題は、
NHKの財政
状況、これは
人件費とか物件費が高くなって、これは
NHKも当然影響を受けていると思うんですね。それで今日非常に財政的には困難な局面にあるということもよく
理解ができる。場合によりましては近い将来に、これはいやな話ですけれども
受信料の値上げというようなことも考えなければならぬかというような状態に至っておるんじゃないかと思いますけれども、しかしこれはそう安易な問題じゃない。やはりその前提として
NHKが
最大限
努力をされて収入の
増加を図ると同時に、
支出の節約を図るあらゆる手段を講じてもらわなきゃならぬことは言うまでもない。これには言いだすと限りなくいろいろ問題がありまして、
NHKも御研究になっておるし、
郵政省もそういう指導をしておられると思いますから申しませんが、
一、二具体的な例を挙げますと、たとえば収入方面で、これは
郵政大臣に
関係するんですが、
国際放送です。
放送法の
規定を見ますと、これは
郵政大臣の命令によって
国際放送をやるわけです。それに見合う費用というものは交付金として出す義務があるわけです。それがいつの間にかだんだんだんだん、命令は非常に幅広くお出しになるけれども、交付金の方はそれに伴わない。
NHKの
財源というのは
受信料以外にないんですから、一般のテレビの
受信料を払っている
聴視者が
国際放送、つまり国の命令によってやっている
国際放送の一部分を負担をしなきゃならぬというようなこういう結果になっているわけですね。これは法律の精神から言うと非常に私はこれは考えなきゃならぬ問題だと思うんです。
だから、
予算で出せる範囲の命令をお出しになっていればいいんですよ、そうじゃないんです。これは大蔵省が出さぬと言っても、当然、国が命令を出す以上は、それに見合う交付金を出してやるのが至当である、当然のことであると私は思います。このごろ福祉
予算なり超過負担と言っていますが、これは超過負担の著しいものです。
それから、こういうことはお考えにならないでしょうか。かつて数年前にある
大臣が
NHKと相談されて、カラーテレビなんかの
受信料を上げます、そのかわりに
ラジオの
受信料は無料にしますという決定をされた。
委員会でも、
NHKもそういうので同意しているのだからというので、比較的
審議が十分でなく、その案に賛成をしたことがあるんですが、今日、こういうようになって非常に
NHKの
財源が窮迫してまいりますと、
ラジオの
受信料も
——これは
受信料というのはおそらく原価主義だと思いますね、やはり原価があるからそういう手数料を払うのでしょう。
ラジオはいまやっぱりどんなに安く見積もっても数億の
経費を使っておられる、あるいは十数億使っておるわけです。それを全部テレビの聴視料にみんなかけているわけです。テレビの
聴視者が
ラジオの
受信料まで払っているわけですよ。このごろは両方ともとっているという例が多いですけれども、しかしまだ
ラジオは
ラジオだけで、テレビは見ないんだという人も相当あるわけです。
そういう点から見ると、これは
経営的に見ても非常に権道であるし、理論からいっても実におかしな理論で、やっぱり原価があるんですから、安い原価でもいいからこれは取るのが当然であろうと思います。だから今度の
受信料を見直される場合には、そういうことも思い切っておやりにならないと、これは
受信料政策というのは混乱するだろうと私は思います。この点はぜひ考えられる必要がある。
それから、これはついでですから、もう少し並べてお尋ねしてみましょう。この
支出方面をごらんになりましても、今日まで
NHKのテレビの普及が非常に急速に高まったものですから、
NHKが
予算以上の収入と得ていわば安易な考え方で
経営しておられたのじゃないかと思いますが、そのあらわれで
NHKの本来の
放送という仕事、国内の受信者になるべくいい
番組の
放送を提供しよう、それが第一義的なものですね。さっき言った七条の全国に普及する、これも第一義です。そういった第一義的な目的から少し外れまして、二義的な仕事にどうも力が入り過ぎている傾向がある。
いやな話ですが、たとえて申しましょう。私がいつも指摘しているような学園の問題、これは普通の高等学校でしょう、ただ
放送という手段を使っているだけ。普通の高等学校を
NHKが
経営しなきゃならぬという理由は私は発見できない。今日でもそうです。こういったことを平気でやっていらっしゃる。
それから、これも何かの考えがあったのでしょうか、世界じゅうの
放送機関を集めまして、日本が相当の
経費を出して「日本賞」とかいうようなものを出して、それはいい
番組に対して推奨せられるのは結構ですよ。しかし日本の
聴視者の負担において、
国内放送がどうかという際に、そこまでおやりになるのは私はこれは考えものだと思う。
と言って、私は
建設的に言いますと、
国際的な文化交流というのは必要でしょう、いい
番組はお互いに交換しようとか、これは
放送機関相互間でお話し合いになればできること。また私はもっと進みまして、将来に対しては、やっぱり
ラジオでもテレビでもよほどいい
番組というものは後々まで伝えたい。そういう
意味では、
国際機関を何かおこさえになって、
番組のライブラリーでも設けて、そこに永久に、これは民族の文化的な歴史を保存する
意味でもそういったことをお考えになる、その一株をお持ちになるということは非常に結構だと思うんですけれども、日本がいかにも世界の
放送機関のリーダーだというようなかっこうで、世界の
放送機関を集めて
NHKの
経費で奨励をしたり賞金を出したりというようなかっこうのことは、これは第二義的にお考えになった方がいいだろう、こういうふうに私は考えているんです。
それからもう一つ、これは
郵政省にも
関係がある例ですけれども、UHFの
放送をいままで普及されておる。だんだんこれも大きな電力で広域
放送にしようという
努力をしておられることは結構だと思いますけれども、その反面、これは選挙なんかの
関係があるということが一つの理由になっているようですけれども、UHFで県域
放送をやっておられますね、
NHKが。実際にそれを見てみますと、並べて見てみると、広域
放送の局の
番組と県域
放送の
番組と比べてみますと、県域
放送でやるローカル
番組というのは毎日何時間あるかと聞いてみますと、二時間ぐらいですね、せいぜい。あとは親局といいますか、中央になっている局の
番組をそのまま受け入れまして再
放送している例が多いのです。
ラジオもそうです。
このために、私は局をやめてしまうとスタジオがなくなったり、いまの何といいますか、公共的に必要な選挙
放送がおろそかになるという点もありましょうから、全部これを廃止しろとは言いませんけれども、各県別に相当の
人件費を使い物件費を使い
施設を維持し電力を使って同じ
放送を繰り返している、二重に
放送しているというような姿は感心できない、これは改める必要があるんじゃないかと思うんです。これはもう何遍も私は言ったけれども、
NHKはどうしても承知しない。ですから
受信料の問題でも考えようというときになりますと、私から言うと、こういう二義的な仕事、あるいはいままで豊かなときにはまあまあで済んでおったような仕事でも
最大限これを切り詰める手段をお講じにならないと、
国民は納得しないだろうと私は思うんです。この問題についてごく簡単で結構です、時間がないですから簡単で結構ですが、
郵政省と
NHKからそれぞれ御担当の部分について
お答えをいただきたい。