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森勝治君
大臣は、今回の
郵政大臣就任の際、
大臣の
所見として、かつて
郵政大臣のとき労使はうまくやれた、やったということをあなたは率直に言われておるわけです、したがって過去のあなたのとうとい経験をわれわれが推察いたしますと、いま労使間にわだかまっております不信感というものを
村上大臣の手でこれを一掃していただけるんではないかという非常に強い
期待と願望を持って私はこの
質問をいましておるところであります。
特に、あなたは和をもってとうとしとするという
言葉を好んでお用いになっておられる模様でありますし、労使の
信頼回復に向かっては最善の御
努力を過去の経験から徴してもおやりになってくださると
期待を持っておるわけですが、さて現在の労使というものが和をもってとうとしとするという
言葉で表現できるようなその程度のものであろうかどうかと
考えをそこに集中いたしますと、残念ながら、その中はさらにまた不信感が広がるわけです。
たとえば、私は、しはしはこのことについては、従業員の協力を得ることなくして
事業の伸展はないということを公開の席上でもよく主張をしてまいりましたが、いまの
郵政事業は部下であります従業員を
信頼していない。まさに監視労働という表現に当てはまる。もちろんすべての職場とは言わないけれ
ども、監視労働というこのいまの労務政策をとる限り、相互不信の芽生えどころじゃありません、芽生えがやがて大木になってしまう。そして残念ながら不信の根というものは牢固として抜くべからざるものになってしまう。この辺で、ひとつあなたが一大勇断を持って下さなければならんと思うその決意を促す
余り、私はいまこうして労使問題について
大臣の
考え方を引き出そうとして
努力をして
発言をしているわけであります。
一例で申し上げましょう。この前も申し上げたような気がいたしますが、
郵便局の中で事務用
電話、いわゆる役所の黒
電話に従業員に使わせまいとして施錠をしている、かぎをかけている。いいですか、東京だけで三十幾つ、関東だけで十カ所もある。
全国ではもっと大変だ。
大臣、よく聞いくてださいよ。
全国の官公庁の中で
電話に施錠をしておる官庁があるだろうか。
電話にかぎをかけるということは職員に
電話を勝手に使わせないという、この最も端的な表現が施錠となるのです。これはなぜか。部下を
信頼しない典型的な姿であります。俗に典型的という
言葉はよい方に用いる
言葉でありますが、この問題については残念ながら悪い方に用いざるを得ない。
私は幾たびかそれをやめなさいと、こう主張いたしました。きょうは基本的な問題で
質問しているわけですから、
余りそういう問題についてはこれ以上触れませんけれ
ども、そういう一例をもってしても、これで職員よ
事業に精励をしなさい、生産の第一線に立ちなさいと
局長が申しても、おれたちを信用してくれないで何が生産意欲だと、従業員はせせら笑うでありましょう。
大臣、このことをよく聞いてください。重ねて申し上げますよ、
全国の官公庁の中で、いいですか、
郵便局の中の事務用
電話にかぎをかけているのは
郵政省だけですぞ。恥ずかしいと思いませんか、恥ずかしいと思いませんか、郵政の諸君、郵務
局長以下の皆さん、これは残念ながら部下を
信頼しない姿のあらわれであります。どうかひとつ部下が
信頼されないところに生産がわき起こるはずはありません。企業意欲をかき立てるためならば、部下をかわいがり、部下を
信頼することです。
太政官布告がまだ生きている
郵政省であります。私はだから言うのです。
大臣、これもひとつ聞いてください。
若干枝葉の問題になりますが、
全国の郵政局の中に、たとえば最近できた関東郵政局のことを例に引きましょう。ごく最近できた関東郵政局の中に
局長官房という職場があるのです。官房という
言葉は各省庁では本省しか用いておりません。この官房という
言葉はまさに太政官布告であります。その太政官布告の姿がいまも地方の職場に残るのは
郵政省だけであります。
もちろん近代文明がいかにわれわれの前に展開されようとも、信書というものは郵政労働者の手を煩わさなければ各戸別に配達ができません。したがって文明というもの、近代的なもの、たとえば
電話ならば次々と新しい機種が生まれてまいりますが、
郵便の職場はそうもまいりません。したがって、そういう点では
時代の進展というものと必ずしも
郵便の
事業というものは表裏
一体というか並行はいたしませんけれ
ども、しかし新しい
時代に対応するにはやはり新
時代に対応する策が必要だと思うんであります。だから私が先ほどあなたに設問いたしました、新
機軸はいかなるものぞということを申し上げたのもそういうところにあるんです。
私は何も名は体をあらわすなどという古めかしい表現を用いようとはいたしません。しかし、もう太政官布告などというものはそろそろ、本省はいざ知らず、出先の郵政局なんかがこれを掲げて、いかにも部下に君主の
立場をもって臨むようなことは郵政局以下
郵便局ではおやめなさい。こういうことから直さなければ、新しい
時代に対応できる
郵政事業としての生まれ変わりなんというものはとうてい図ることができませんので、これはひとつ
大臣、この際、お約束をいただきたい。