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衆議院議員(井岡大治君) ただいま議題となりました
地方公営企業法及び
地方公営交通事業の経営の
健全化の促進に関する
法律の一部を
改正する
法律案に関し、日本社会党を代表いたしまして提案理由の概要を御
説明申し上げます。
自民党
政府のインフレ政策と総
需要抑制策による不況によって地方財政は深刻な危機に直面しております。中でも地方公営企業は、
昭和四十八
年度決算において四千三百六十八億円もの累積赤字を計上しており、とりわけ、病院、交通、水道の三
事業でこれら赤字の八八・七%を占めるなど、地方公営企業の状況は、今日の地方財政危機を如実に示すものであります。
特に公営交通の赤字は、かねてわが党が
指摘してきたように、第二次財政再建の破綻を
意味するものであり、自民党三木内閣のインフレ政策と総
需要抑制による不況こそ今日の地方公営企業の財政悪化の真の原因であります。
日本社会党は、地方公営企業の抜本的改革を図るためには、現行独立採算制を撤廃し、基本的
行政施設として位置づけ、国及び
自治体の財政
責任を明らかにするとともに、
自治体に対し、十分な自主財源を賦与すべきであると主張してまいりました。
このような立場から地方公営企業に対する国の
責任を明らかにし、住民福祉の向上とそれに従事する労働者の労働条件の向上を図るため、
地方公営企業法及び
地方公営交通事業の経営の
健全化の促進に関する
法律改正案を提案した次第であります。
次に、
法案の概要を御
説明申し上げます。
その一は、
地方公営企業法についてであります。
第一に、法適用
事業の範囲等につきましては、第一の種類といたしまして、住民生活に直結する性格の水道、軌道、自動車運送、地方鉄道及びガス
事業を法定いたしております。第二の種類といたしまして、住民生活に直接つながらないで他の営利企業を通じて間接的に住民生活につながる性格の工業用水道及び電気
事業を法定いたしまして、現行法における法定
事業をその性格により二つに区分いたしたのであります。
なお、病院
事業については、条例による法適用の場合でも第一種といたしております。
第二に、企業会計の原則については、第一の種類の
事業はその性格から独立採算制によらないこととし、第二の種類は、独立採算制を採用することといたした次第であります。
第三に、第一の種類の
事業の建設改良費については、国及び地方はそれぞれ二分の一ずつ負担することとし、
地下鉄事業の建設改良費にあっては、国は四分の三を負担することといたしております。
第四に、地方公営企業の建設及び経常
経費に関し、
地方公共団体の
一般会計から公営企業特別会計に繰り入れる繰入金については、起債を認めるとともに、その六割を
地方交付税で措置することといたしております。
第五に、料金の決定につきましては、第一種の
事業は原価を基礎といたしますが、「住民の負担
能力その他経済事情を勘案し、公共の福祉の増進についても適切な考慮を払った妥当なもの」と規定いたしまして、第二の種類の企業の料金原則と区分いたしたのであります。
第六に、給与決定の原則は、現行法では生計費等よりもその企業の経営状態を中心として決定しておりますが、「職員の発揮した能率」及び「経営の状況」を考慮して、及び「類似の職種」という条文を削除し、地方公務員等と同様の給与決定原則によるものといたしております。
第七に、企業債の発行は、現行法では許可制とされておりますが、これを
改正して、財政再建
団体以外の
団体においては、企業債の発行を自由化することといたしております。
その二は、
地方公営交通事業の経営の
健全化の促進に関する
法律についてであります。
第一に、国は、
地方公共団体の経営する交通
事業の健全な経営の確保に賃するため、必要な財政上の措置を講ずるとともに、交通施設の整備、道路使用の適正化等、交通環境の整備を図ることといたしております。
第二に、交通
事業健全化計画の策定手続及び
内容は、
昭和五十年三月三十一現在、不良債務を有する
団体が、議会の議決によって十年間の
健全化計画を定め、
自治大臣に届けることとし、
健全化計画の
内容におきましては、赤字交通
事業に従事する職員の給与その他の労働条件の向上について十分配慮した上、1経営
健全化の基本方針、2経営
健全化に関する措置の大綱、3地方債の各
年度ごとの元金償還額、利子支払い額及び収支見込みに関する事項について定めるものといたしております。また、この
健全化計画を作成するに当たっては、当該職員代表と協議するものといたしております。
第三に、交通
事業健全化債の発行及びその元利補給については、交通
事業健全化団体は、不良債務の枠内において
健全化債を発行することとし、国は元金償還額の三分の二及び利子については、全額補給することといたしております。
第四に、
地方公共団体は、
健全化債の元金償還額の三分の一を
一般会計から補助するものといたしております。
第五に、
地方公共団体が自主的に定めた
健全化計画に著しく支障のあるときは、助言または指導することができることといたしております。
第六に、
健全化債は、全額、公営企業金融公庫が引き受けることといたしております。
第七に、
地方公共団体の長は、交通施設の整備、交通規制等、円滑な運行を確保するため、
関係行政機関の長に措置の申し出を行い、
関係行政機関の長は、適切な施策を講ずることといたしております。
以上が本
法案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
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