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国務大臣(
福田一君) 実は私も一昨日の
経済閣僚会議ですか、あれに
出席をいたしました。まあ員外
出席であったんですけれ
ども、どうも非常に心配だったものですから
出席をいたしまして話を聞いておったわけであります。まあ私は、いまさしあたり
政府がとった
措置はやむを得ない、まあまあ物価の問題を考えたときには、やむを得ないと考えておりますが、これは少し余談になるのですが、私がいま非常に心配しておりますことは、いままでは、日本の
経済が高度成長いたしましたのは、ちょうどアメリカという国が世界景気を左右する
一つの力を非常に持っておった時代でございます。田中
内閣の時代まで私はそうであったと思っておるのでありますが、今日になりますというと、アメリカの
経済というものがどれだけの世界
経済に与える影響力があるか、かなりその点では力が弱まってきておるという点が一点心配、考えなければならない面である。いま
一つは、一番健全な発展をしておるという西ドイツ、シュミット
内閣の
財政計画というものがいま非常に困難な状況下に陥っておるのでございまして、自由主義国家群の中においてその支柱をなしておったアメリカと西ドイツが今日のような状況になったということを見ますというと、私はこれは非常に悲観的な物の見方かもしれませんが、世界じゅうが不景気になるというか、総不景気になるというような事態が来ないとは言えない。この問題が、今後、この
財政経済の問題を考えるときにわれわれが根本的に考えてみる一番大きな問題じゃないかというふうに私は考えまして、実はまあ一昨日もその
意見をちょっと私は述べたのであります。
いまあなたの御
質問の問題でございますが、これはまあ将来のことでありますから、そういうような事態はなるべく起きないように、世界
経済がそのような総不況になるというふうなことではこれはもう大変なことでありますから、どうこれを処理していくかということは
一つの大きな課題ではあるが、まあまあそれが何とか解決ができるという
段階において、それでは日本の
経済をどう考えていったらいいか。その場合に、この不景気が深刻になりあるいは失業者が非常にふえてきたという場合に、失業者にショックを与えるという
意味から言っては、やはり相当強力な景気刺激策をとらざるを得ないんじゃないか。そうなれば、いまのような消費によるところの景気刺激策というものが、石油危機以来非常に
国民が――日本人のこれは私ある
意味で一番いいところだと思うんですが、将来どうなるだろうかということをすぐ考える。昔これは貧乏だったせいです。非常に昔貧乏で苦労したものですから、これは大変なことになりゃせぬかというような、そういう苦労性がありますから、非常に消費動向についても敏感でございます。そういうことが今日の景気を伸ばすについて非常にマイナス面に作用しておるということも事実でございます。
そういうような時代でありますからして、まあ国の
財政を四%伸ばすか、三%伸ばせるのか、二%になるのかどうか知りませんが、これはまあ二カ月、三カ月ということが非常に大きな変化を及ぼすと見なければなりません。たとえばいまOPECでやっておりますところの石油の
値上げというのはどのように落ちつくんであろうか、またフォードが言っておるところの、これに対するアメリカの反対がどの
程度の効力を上げるのであろうかというようなことも、これはもうすぐに八%とか一〇%の石油の
値上げがあったときに日本の
経済に与える影響、これはもういまから十分考えておかなければなりませんが、そういうこと等も考えますと、いま軽々に日本の
経済をどう処理するかという結論を出し得る人は私は恐らくないんじゃないかと思っておるのでございまして、そんなことで
政治ができるかとおっしゃれば、どうもまことに申しわけないことになるのでありますが、しかし、事実は事実でございます。
したがって、その事情に対処してその処理をしていくということでございますので、せっかくのいまの御
質問でございますが、そのときに赤字公債を出すべきか出さざるべきかということは、以上のようないろいろの諸点を勘案した上で決めなければなりません。幸いにして世界の景気もある
程度立ち直り、また日本の景気も
伸びてくるということであれば、私は赤字公債などは極力出さないようにいたさなければいけないと思っております。何といっても物価、インフレというものが日本の
経済に与える悪影響というものは、これは絶対に避けたいというのが
三木内閣の
方針でございまして、私もまあそうえらそうなことは言えませんが、閣僚の一人でございますので、何とかそういうことのないようにひとつ賢明な道を歩ましていただきたい、かように考えています。あるいは御
質問に十分
お答えできなかったかもしれませんが、私といたしましては、赤字公債を出すか出さぬかということについてはそのような
考え方を持ちながら真剣に今後も研究をしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。