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神谷信之助君 では、この岡山大学はこの殺人
事件が起こるまでに、昨年の暮れから考えてみましても、
たくさんの暴力
事件が起こっておるわけですよ。十二月の十八日、これは岡山大学の北津寮内におるところの赤旗の読者に赤旗を配りに行った女子の配達員、これが二時間半にわたって監禁をされる。赤旗は反革命通信だから配らせない、もしおまえが共産党員なら糾弾するから女子寮に帰さないというようなことを二時間半にわたって脅迫をするというような
事件が起こった。その翌日十九日、二十日には、ヘルメットをかぶった竹やり姿で学内をのし歩き出して、そして十九、二十日、二回にわたり、法経の学生部ボックスに襲撃をする。そして七人が一人を追いかけ回して竹やりでめった打ちにする。それから二十日には、学生会館の西で、完全武装の七人が一人の学生をつかまえて暴行をふるった。それを見ていたほかの学生が抗議したら、それに対しても暴行を行う。これはいわゆる北津寮
委員会、反戦共闘、解同、解放研、こういうものを名のる連中がこのごろはやっているわけですね。そして今年の二月二十五日、それから二十七日、これは「橋のない川」の映画の上映に反対をして、反戦共闘の連中が同じように暴行、暴力をやる。こういう
状況が昨年の暮れからことしにかけて起こっている。すなわち、そのころの北津寮を暴力的に支配していたのは反戦共闘、解放研の連中であったわけです。
ところが四月の中旬ごろに、先ほど言いましたマイクロバスでマル青同の連中がやってきた。そしてこれが教育学部の喫茶室の横の、彼らが勝手に使った解放研の部屋、これも勝手に不法に占拠しちゃったのですが、その部屋を占拠して、そこを拠点に授業時間中に授業を妨害して演説をするとか、あるいは寮の中に入って彼らのオルグというやつをやる、あるいはスピーカーで演説をする、こういう
行為が行われた。四月二十三日の朝九時ごろですか、これは岡大の西門でビラまきをしておった四人が襲撃をされた。二十四日の昼には、医学部の学生会の副
委員長の広瀬君というのが学生会館で取り巻かれて暴力を受ける、そういう
状況が起こりました。
これら暴力
行為が起こっているのに対して、昨日谷口学長に、一体そういう暴力
行為が学内で起こっているのをあなた、学校当局は知っているのかと聞いたら、学生部長は、学生の方から連絡がないから知りませんと、こう言うのですね。学生の方から言ってくれないからわかりませんというのです。そういう暴力
行為が行われたことについて何らの手を打っていません。
それから、学校の建物である、いわゆる国有財産である部屋を勝手に彼らが占拠して使っている。これは知っているかと言ったら、それは知っておりますと。それに対してどういう
措置をしたかと言ったら、別に何も
措置はしていない。だから自由に暴力的に占拠して、力の強い者はそのまま、ほしいままにできるという、そういう
状況が野放しにされているわけです。ですから、これでは学園がまさに暴力によって支配をされるということで、法経の学生大会が開かれて、そうして大学あてに暴力一掃のための公開質問状を出した。これについて学長はどうだと言って聞いたら、それはそういうものが出たということは聞いている。聞いていると言うのです。聞いているというのはどういうことだと言うと、それは当該の学部長に任せてある、だから当該の学部長がしかるべく
処理をしているはずだと、こういうことです。
文部省のいまのお話ですと、学長を呼んで、暴力をなくすために、そうして学園の平和と真理追求の学園をつくるために
努力をするように盛んにおっしゃっているのだけれ
ども、そういうふうに毎日のように起こる暴力に対して適切な手を打とうとしない。しかも学生の中から暴力をなくそうという運動が起こっても、それに対して見向きもしない、こういう
状態が四月の
段階に起こった。ですから、ますますこのマル青同の連中は大きな顔をして学園の中を暴れ回る。そうして一たん、四月二十八日ごろになりますとマル青同は姿を消しますが、その後五月の八日、十六日、あらわれてきております。そうして、今度はさらに一たんまた消えて、二十一日から以後姿をあらわして、次から次へと、これも次から次へと暴力
行為をやっております。教官が、教授が授業をやっている最中に覆面をしてマル青同の連中が入ってきたものですから、その覆面を取ろうとしたら逆に殴られるという
事件が起こった、授業時間中にですね。大学の方は学長じゃなしに、学長がおらないので学長代行の大饗先生というのが、そういうことが授業時間中に行われたら、つかまえて覆面を取って、氏名を確認せよという指示を出した。ですから、憲法の上野先生というのがそれを自分でやったら、逆に殴られちゃった。そういう
状況が二十二日、二十三日に起こっております。そして二十五日にとうとう殺人
事件にまでエスカレートしているわけです。
こうやって見てみますと、大学の方は一体暴力に対してどんな手を打ったか。したいほうだいやらしているじゃないか。しかも、学生の中から、暴力をなくそう、こう言って学長に要請を出しても、それについて見向きもしない。学長以下全教官、それから大学の
関係者、それから学生諸君、これらが暴力をなくすために団結をして、そういう暴力分子を孤立さして初めて暴力なくすことができるわけですね。実際暴力を働いているのは、岡山大学の中のマル青同に入っているのは数人だと言っております、学長の話では。せいぜい数人ぐらいです。だから、全学の学生なり学長以下教官、
事務職員まで含めて、そういうしたいほうだいの暴力を許さないということで団結するならば、彼らを追い出すこともできるわけです。学生の中からそういう声が上がっても取り上げようとしないし、そして構内で国有財産をしたいほうだい私有し占有しても、それに対して一片の通告もしない、警告もしない。
そして最後どうなったかといいますと、学長はきのうこう言っているんですよ。五時半ごろに
警察に、先ほど言いました要請をした。そうしたら、一たん出たわけです。一たん出たのも、彼らは北津寮の中に四時過ぎに行って、そしてそこにおったプロ青同の、セクトが違う、ブンドですか、寮の
委員長です、それをつかまえて三週間のけがをさせた。ちょうどたまたま体育
関係の者が、けがをしたものですから一一〇番で救急者を呼んだものですから、あわてて一たん寮から出たんですけれ
ども、そうしてもう一遍六時ごろから侵入した。学長は退去命令を出そうとそのとき考えた。ところが、中に重傷になった学生もおるらしい、あるいは一部の学生がとりこになっているらしい、そこで
警察に出動を求めたら岡大の学生も一緒くたになって
逮捕されてしまう、それはぐあい悪いじゃないかと思ってちゅうちょしている間にこの殺人
事件が起こってしまった。殺人
事件が起こった現場には学校側の
責任者はだれもいません。その直前に、寮生が約七十名陸上競技場付近に集結をしておるのに対して、学部長以下六名が説得に行ったわけですけれ
ども、これも逆にヤジられて説得し切れずに帰ってしまって、そしてだれも学校の
責任者がおらないところで、学生ら勝手にけんかをするならしなさいと言わぬばかりの
態度ですね。そういうことでさっさと学長室に引き揚げて、そして頭を抱えて考える。その間にマイクロバスで頭をひかれて大沢君というのは殺されたわけです。やっと大学に入って五十日くらいでしょう。ですから、学校にやっとなれてきて生き生きとした学生生活をやろうとした途端に殺されてしまう。しかも、先ほど言いましたように、むごいような、常人にはできないようなひどい死体の放置をやっています。
私はこの点で、大学当局が本当に暴力をなくすために
努力をする意思を持っているのかどうかということを疑うんですよ。同時に、
警察の方も私は大変問題だと思います。すでに法政大学初め全国の各地の大学でこの種の暴力
事件、殺人
事件は後を絶たぬように出ているんです。ところが、なかなかこれらについて解決をしない。犯人はつかまらない。しかもこれは大学にはそう簡単には入れないといっても、暴力
事件が起こっているのに行かない。どうにもならない。学長に、
警察にそういう暴力
事件が起こりそうだったらもっと連絡をしたらどうだと言ったら、学長は、どうも暴力
事件が起こりそうだから頼みますと言って、来てみたら暴力が起こらなかったらもう
警察の方が怒らはるから、だからうっかりは言えません。それじゃ殺されてしまうまで、けんかが起こるまで
警察を呼ぶことができないということになっちゃうでしょう。そういう
関係が大学当局とそれから
警察との間にもある、こういうように思うんです。それから岡大の場合は、構内に教官なり
事務職員の人が住んでいます。その
人たちの意見を聞くと、もしどろぼうが入って一一〇番をしても、われわれは
警察に守ってもらえないだろう、大学にはわれわれうっかり入れませんと言われてしまいだ、
国民だけれ
ども、生命、財産を守ってもらえない
状態です、こういうことも言っています。
私はこれは
警察の方も、本当に
国民の生命、財産を守るというそういう立場にあるならば、必要な体制をとるし、とらなきゃなりませんし、しかも、彼ら出ていったマイクロバスですね。
事件が、けんかが起こったのを知らなかったとおっしゃるのですが、知ってるところは知ってるんです。ただ、尾行に回っている、それをつけている人が知らなかったということで、明くる日行ってみたらもぬけのからになっていたということですね。そういう
状況を見ましても、なかなかこれは重大な問題ではないか。あと、そのほかのまだ犯人が
逮捕されていないという
状況で、きわめてこれは大変なことだと。このように考えてみますと、今日の学生の暴力
行為が後を絶たないというのは、
警察の方もそういう点での手抜かりを次から次にしている。われわれには、泳がせの政策、大学当局はまさにそれに乗って、本当に毅然として学園の自由を守るという立場に立っていない、こういうところが今日いまなお学生の暴力というのが後を絶たないという根本の原因ではないかと思うのですが、この辺、ひとつ文部省の方も
警察庁の方もはっきりしてもらいたいと思うのですが、どうですか。