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神谷信之助君 新産都の
指定を受けて、
補助金なり起債
事業者の大枠がずっとふえてきますから、そういった
意味でのいろいろな
事業というものは一定前進をする。それからそれに伴っていもゆる赤字もその中でずっと解消の条件というのけ生まれます。だから、そういう
意味ではわかります。
問題は、
合併をして実際の
地域住民の暮らしがよくなってきたりあるいは利益が前進をしたのか、暮らしの環境はどのように進んでおるのか、こういう点になると大分違ってくるのですよ。これはもう時間がありませんから、その点で論争けしたくないと思うけれども、たとえば新産都の
計画の進行
状況を見ますと、一九七三年で基本
計画の千九百五十六億円、このうち八〇%の千五百六十九億円が達成をしています。しかし、その
中身は、これはまあ新産都の
——工特にしても共通をしているわけですが、生産関連投資というのは一〇三%の進行だけれども、いわき市では生活関連投資というのは四九%の進行にとどまっています。両者の進行比率は七十三対二十七という
状況ですね。ですから、そういう生産関連の投資というのは大きく増大をしている。それに伴って、いまおっしゃるように水資源の確保なり、そういう問題は進んでいる。しかし、実際には生活関連の投資というのはずっとおくれてきている。しかも、先ほど話があったように、
広域の
合併ですから、その中で
住民への大きな問題が起こっている。特に、予定をしていたように進出企業が大小業が来なくて、結局三十人以上の企業で九十三社ですね。そのうち、千人以上の企業は
一つも来なかった。千人以下五百人以上がやっと三社で、大半が百人前後の工場で、いわゆる機械が主として動く。したがって、労働力の吸収も十分にされなくて、人口が、わずかではあるけれども
合併当時よりは減ってきている。過疎は相変わらず進行しています。
さらに、南北五十一・五キロ、東西三十九キロですから、その中で支所がいま十二、出張所というのは三です。そして議員の選出の
方法はほとんどが大体支所ごとの小選挙区制になっている。こういう
状況になって、言うならば議会制民主主義と言いますか、
住民の
意思の反映というのもずっと変化をしてきて、後退をしてきている。
地域格差がやはりひどい
状況で出てきてますね。これは商工会議所の資料によると、商業活動で平地区は三四%を占め、年間の売り上げは七百二十七億円になってきているけれども、二番目の磐城、肝心の磐城地区ですが、これはこの磐城地区の約二・五倍が平地区の商業活動になるのですね。あるいは文化面でも、過疎と過密のいわゆる偏在というやつがひどくなっています。旧五市の市民会館、公民館、これの大ホールの使用
状況を一見ましても、四十八年度で平市は百五十八回、勿来は四十二、内郷は六十九、磐城は三十五、常磐は三十。総収入を見ますと、総収入の二千四百二十万円のうち、平の市民会館が七一%の千七百十五万円を得ている。だから、文化活動にしても、いままでの旧五市の市民会館、公民館の使用
状況を見ましても、急
速度に平に集中をして、いわゆる過疎が、新たな過疎と過密の現象があらわれているという
状況も起こっています。
あるいは下水道
事業が、今度いわゆる幹線下水道の距離が長くなってきますね、市街地と市街地とを結ばなければならぬ。こういったことで、終末
処理場は三カ所必要だし、という問題もあるそういった条件の中でなかなかはかどらないという
状況が生まれています。
先ほども話がありましたが、学校の統廃合で通学に八キロを要する。あるいは廃校をして寄宿舎をつくらなければならぬけれども、
財政難でそれが十分にできない、そういうような
状況が起こっています。
そのほか挙げれば数限りなくありますが、こういう
意味からずっと見ますと、本当にこれが
住民の暮らしをよくするためにやられたのだろうか、この
合併が。政府のエネルギー政策の転換によって炭鉱が閉山になって、失業者とそれから生活保護世帯が急増する。そこで打ち出されたバラ色の夢の新産都にすがりつく。そのために
合併をしなければならぬ。だから相当無理な
合併をやって、そしてこれで繁栄をするかどうかというように思ったけれども、実際には、そう大きい企業が来て、そうして地元の労働力が吸収をされ、そして産業が大きく
発展をするという
状況にはならない。しかも、広大な
地域になったものですから、そういう
意味でも新しい過疎と過密の現象が起こる、こういう
状況になってきているのですね。ですから、本来
合併が
住民の
意思に基づいて行われれば、それは当然
住民の自治権がより一層拡大されなければならぬし、それから
住民の暮らしが一層よく
向上されなきゃならぬ、こういう
合併の目的から言うと、いわきの
合併については、今日の状態では、
合併のねらいといいますか、目的から言うと大変うまくいかなかった
状況じゃないか、こういうように思うんですが、どういうようにお
考えでしょうか。