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神谷信之助君 これは非常に重要な問題で、たとえば防油堤の問題でもそうです。先ほど
長官は、二重の防油堤をひとつ考える
方法をおっしゃっています。それで、すでに横浜市も、これから防油堤は一重ではだめだ、二重にしなきゃならぬという決定をきのうあたりやったようですね。そうしなければ、火災もそれから油の流出をも、両方を防ぐということはできないだろう、そういうことになってきている。そうしますと、それに応じて、たとえば石油の
タンクを置く
土地というようなのは非常に広大なものを必要とするわけでしょう。だから、それらの
基準をはっきりさせなければならぬでしょうし、あるいは
タンクが何ぼでも大きくなってもいいということにはいかぬと。すでに最大のものは鹿島に十六万トンの
タンクがありますわね、先ほどおっしゃったように。これはいまは規制がないんですよ、何ぼでも大きくすることができる。これではたまったもんじゃない。したがって、こういう点についてもちゃんとしなければならぬでしょう。あるいは、たとえば
三菱石油は油の回収船一隻も持っておらぬ。ですから、
事故が起こったら、それを、流れ出たやつを、まあ中和剤その他の
方法もあるけれ
ども、やっぱり一番いいのは流れさせないようにすることと同時に、流れ出たらもうそれを全部回収せんならぬわけですけれ
ども、回収ができなかったという問題でしょう。
政府は二隻ですかね、回収船を持っているのは。企業には三十何隻ぐらいあるんですか。ですから企業におんぶをした形でしょう。こういう
状況があるし、しかも企業が持っている船だから、そう簡単に
政府が自由に使うわけにいかぬという問題も出てくる。これらを全部総合的にちゃんと使えるような
体制にしなければならぬと思うんですね。こういったことで、ちゃんと国民の前にもその安全を自信をもって保障することができるという
状態にならない限り、私はもうこれ以上少なくとも新設や増設をすべきではない、こういうように思うわけです。したがって、この点はひとつ
政府としても、今度あの備蓄分をふやすのにたくさんの予算を使ってお考えになっているわけですから——まあこれについてはあとでまた意見を言いますが、非常に重要なそういう事態が起こっていますので、ちゃんとしなければならぬだろう。しかも、先ほ
どもありましたが、
地盤の
沈下をしているという
名古屋の例、これは
名古屋だけじゃありません。特に
埋め立てをしたところでこれば当然起こってくる
事故である。これについても重要な
一つ問題があると思うんです。防油堤でも、外国の例を調べてみるならば、たとえばフランスあたりは、防油堤で大体一〇〇%完全じゃないけれ
ども一〇〇%近くのものを押える防油堤になっているそうだし、それからアメリカのほうでもそうでしょう。最大の
タンクの容量全
部分はちゃんとまとめられるようにつくっていますね。それから防油壁も、日本みたいにあんなちゃちなものじゃなしに、
相当の圧力にこたえられる、そういう耐圧性も
一つの
基準にされております。ですから、こういった点を見ますと、そういう石油企業に対しては、どんどんつくることは認めるけれ
ども、一たん
事故があったら大きい
事故になるわけですから、それを防ぐためのいろんなことを義務づけるという点がさっぱりない。持ってなかっても別にどうということはない。確かに、一定のオイルフェンスを油何ぼに対して何ぼ持たないかぬという規定はあります。しかし、それは実際には置かれていないし、そんなことはまた
点検もされていない。こういう
状況ですから、この点ひとつ今後新しくそういうものをつくる場合、新増設はそういうことがはっきりしない限りは認めない、この点をひとつ強く要求をしておきます。今回の
事故は、そういう
意味では、企業自身の責任であると同時に、いままで
事故がたくさん起こっているのにそれに対する
対策をやってこなかった
政府自身の責任も、私は非常に大きいというように思います。
その点でさらに今後の問題ですが、
消防庁のほうにお伺いしますが、こういう問題に対処をするということになると、技術的な能力を高めないかぬという問題がある。そこで、先ほどそういう能力を持たない市町村の消防署に対しては、チームをつくって、そして援助するんだというようにおっしゃっているわけですけれ
ども、消防研究所とか消防大学ですね、これらはそういう要請にこたえるような力をあるいは持っているのか、持っていなければさらにそれを強化する意思があるのかどうなのか、この辺についてはいかがでしょうか。