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政府委員(
中橋敬次郎君)
清酒全体から申せば、先ほ
ども栗林委員がおっしゃいましたように、そんなに落ちてはいないのでございます。たまたま四十九年というような年をおとりになりますから、先ほど御説明したような事由で対前年比落ちておりますけれ
ども、たとえば四十年から
清酒全体の課税数量を見てみますと、対前年比で落ちておりますのは、四十二年の九九・一%、四十六年の九九・二%、そういうことで四十八年まではずっと推移をいたしておりまして、それ以外の年は一一三%、一〇五%とかいうふうに、かなり伸びております。落ちたのも、先ほど言いましたように九九%でございますから、漸増しておることは確かなんでございます。ただほかの、たとえばビールとか、あるいはウイスキーの伸びに比べれば落ちておるということでございまして、やはり恒常的には
清酒に対する嗜好というものもそんなに落ちてはいない、こう思っております。ただ
消費者の、これは嗜好の問題でございまするから、そういう方は、いろいろ最近の嗜好に合わせたようなことを
清酒業界でもいろいろ努力をしておるようでございます。一番国税庁としましても
考えなければなりませんのは、やはり何といいましても、長年の間、統制になれてきました
業界でございまするから、味の方もどうも均一化してきたような弊が
考えられるわけでございます。
清酒業界においてもそういう点を最近かなりの企業で反省をせられまして、味の、たとえば転換と申しますか、製法の転換と申しますか、たとえば糖分をできるだけ加えないようにしよう、先ほど申しましたような、米からできておる
アルコールを主なものにしよう、あるいは従来のような、戦前のような全く本格的醸造と称せられるような
清酒をつくろうというような努力がなされておりますし、また
消費者に届ける態様といたしましても、長い間のああいったびんの形態というものを、最近の食生活に合わせたようなものにしようというような努力もなされております。そういった努力を国税庁としましてもできるだけ応援をすることによりまして、新しい食生活、嗜好生活に合ったような
清酒をだんだん世の中に出していく、その
一つにしましては、先ほど来御
指摘のございましたように、価格ももっと展開をしてまいりましょう、そういうようなことでもって、新しい分野がますます開けるというようなことに、できるだけわれわれも協力してまいりたいと思うわけでございます。
そこで、税率をそれでは意図的に
清酒に、今日、あるいはビールとか、ウイスキーというものとの格差におきまして、従来以上に
清酒に有利にする必要があるのかということになりますれば、先ほど申しましたように、まだまだ私は
清酒の将来というものについても、従来のある中期的な消費の状況から見まして、その必要はないというふうに
考えております。ただ問題は、三千何百軒という、非常に規模の違った形態でございまするから、その中での生産性の向上ということを、一体どういうふうにやっていったらいいのか、しかもその中では、やはりブランドというものに対する
消費者の嗜好というものがございますから、そういうものをどういうふうに結びつけていったらいいのか、今朝来もいろいろ御議論がございましたおけ売りの業態というものが、果たして
清酒業界からなくなった方がいいのか、むしろそういうものを活用することによって、
清酒の分野をもう少し広げていった方がいいのかというのも、実は私は基本的に大問題だと思っております。決して、三千の業者が自分のブランドでもって、自分の地場で売るのだけが、
清酒がなお発展する道であるとも思っておりません。こういった面についても、今後とも国税庁と一緒に研究してまいりたいと思っております。