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政府委員(
増田実君) この灯油の価格につきましては、従来、この参議院の
商工委員会で対馬先生から何回もこれについての御要望、御要請その他ありまして、私どもは灯油の問題につきましては、従来のやり方その他も十分御説明したつもりでございますが、ちょっと若干くどくなりますが、私どもの考え方を申し上げたいと思います。
と申しますのは、灯油につきましては、これは先ほど言いましたように、直接民生に影響を与える品種でございます。また、先生から御指摘ありましたように、北海道では非常に大量消費するわけであります。これは私も北海道に一年おりましたから、暖房というものがいかに貴重であるかということにつきましては、またこれが生活費の中で非常に大きなウエートを占めるということは、私も身にしみて十分知っておるわけでございます。ただ、私はこの際、この前もこの
委員会でいろいろ申し上げましたが、灯油については通産省としてはできるだけ低い価格でやる、しかしながら、それにもまして非常に重要なのは、
供給を
確保するということが大事だということをここで申し上げたわけでございます。
この灯油の価格につきましては、これは対馬先生十分御存じなことでございますが、従来普通でありますと、灯油というものはいわゆる軽油あるいはA重油に比べて高い。これは品質もいいわけですから高いものでございまして、私どもが行政指導いたします——
石油危機の
昭和四十八年の冬からいろいろ行政指導を行ったわけでございますが、それ以前の従来の価格というものはA重油、軽油よりも当然高くなっておるわけでございます。それが
石油のはね上がりというものを物価対策という関係で、いわゆる行政指導というものをほかの価格を外しても続けてきたわけでございます。ですから、去年の八月十六日にほかの製品の価格は全部外したわけでございますが、灯油についてはこれは行政指導価格を従来のまま、六月の価格をそのまま冬を維持したわけでございます。その結果、現在灯油の価格が二万五千三百円、卸売、元売価格になっておるわけでございますが、たとえば軽油につきましては、これは二月で二万九千四百円平均になっております。A重油につきましても、二万八千六百円から八百円になっておるわけでございます。そういうことで、価格からいいますと非常に不自然な形に現在なっておるわけでございます。この不自然な形で価格を抑えるという政策を続けますと、これがはね返って
供給の不足を生むということに、これは業界に対して全部出荷命令するわけにいきませんから、やはりどうしても灯油の得率が減ったり、あるいは灯油を軽油、A重油にまぜて使えばその方の量がふえるわけでございまして、いろいろな方法が事実上できるわけでございます。それで私どもが非常に心配いたしますのは、ことしの冬に、もしその灯油の
供給が不足する、そして、ことに北海道あるいは東北の皆さん方に灯油の品不足を来すとすれば、これは私どもの責任は非常に重大である、こういうふうに思ったわけです。
ところが、これにつきましては、やはり価格の問題を直さなければならないという問題に突き当たっているわけでございます。私どもは何も
石油業界の
利益とかなんとかを考えてこういう問題を考えているわけじゃございませんで、
石油、ことに灯油の
供給を
確保するということについて通産省が責任を負っておる。それにはいかなる方策をやるべきかということでやっておるわけでございます。先ほどの日石が七千円とかなんとか上げるというのは、私は言語道断だと思います。しかしながら、これについて現在の二万五千三百円をそのまま維持して、そして、ことしの冬に一般
消費者の方々に全然品不足なしでやり得るかどうかということにつきましては、私どもは非常にその点を心配しておるわけでございます。
現実に三月末の灯油のいわゆる在庫数量というものが去年よりも少ないわけでございまして、ことしの冬に向かいます九月に、私どもは
供給計画で五百九十一万キロリッターの在庫を
確保いたしたいと思っております。去年は幸いにしまして五百八十九万キロリッターまでの在庫ができまして、それで冬の
供給におきまして
消費者の皆さん方に心配ないように、それからまた理論計算ですと、先ほど先生からも御指摘がありましたんですが、二万五千三百円にしますと、従来の中間マージンをそのままにいたしますと、標準価格が六百三円という計算になるわけでございます。標準価格を通産省が計算して、そして、その後の中間マージンのいわゆる人件費値上がりその他を入れませんでも、六百三円という標準価格の計算になっておったわけです。
この
委員会で対馬先生からも、またほかの
委員の方々も灯油価格をできるだけ下げる、そして、六百三円というのは高過ぎるんじゃないかという御指摘があったわけでございます。そのときに私どもは、標準価格につきましてできるだけ早く定めたいと。しかし、これにつきましては理論計算をいたしますと六百三円になる。ところが、
現実には相当増産させましたもんですから、むしろそれより下がるんじゃないかということで、私どもは標準価格を決める、決めると言いながらこれを決めなかったのは、むしろ決めるよりも
供給が相当だぶついている現状からいえば、いわゆる店頭価格というものが六百三円を切り得るということで標準価格を決めなかったわけです。これは、先ほど先生から、標準価格を決める決めると当
委員会で私どもが言っておきながら、決めなかったのはどういうわけかという御指摘がありましたので、これについてお答えしたわけでございます。
その結果でございますが、御存じのように、全国平均は六百円を切るということで、灯油が相当だぶつくと。これは一部天候の暖かい、いろいろな影響もあったわけですが、そういうことで標準価格を決めなかったことによりまして、私はむしろ、
供給を増加さしてそして
現実には理論数値よりも低い価格で一般
消費者の方々に灯油を
供給できた、こういうふうに思っておるわけでございます。
それから、北海道の問題につきましては、特に北海道は大量消費をし、生活に対しては先生がおっしゃられますように米と並ぶ生活必需品でございまして、この点につきましては、私どもはいろいろな面で北海道価格については、これは当
委員会で対馬先生あるいはその他の方々からの御質問に対していろいろお約束もいたしておりましたんですが、これにつきましてはあらゆる努力を重ねたつもりでございます。それで、北海道に対する元売の出荷価格が内地に比べまして高いということについての御指摘がありましたのを、仕切り価格につきましてこれは本州並み以下に下げるように四十九年、昨年の十一月精製各社に対して要請いたしまして、これを実行させてもらったわけでございます。そして、それに基づきまして末端の価格につきましても引き下げの努力をするように各販売業者の方々に通産局が特に行政指導いたしまして行ったわけでございます。これにつきましては、北海道道庁もいろいろの協力をしていただいたわけでございますが、私は、その結果従来の北海道と全国平均との間の格差は縮まったものと、こういうふうに思っております。もちろん、私どもの努力につきまして、まだ十分でないという御指摘を受けるかもしれませんが、私どもといたしましては、北海道の灯油の
重要性、それから、一般に
石油製品の中でも灯油の
重要性について十分認識しながら行政をいたしたつもりでございます。
それで最後に、これに関しましてちょっと申し上げたいのは、やはりいまの二万五千三百円というものを行政指導でこのまま維持するということによって、結果的には
供給の不安定を来すという結果が出るというのを私ども一番恐れまして、これを解決すべくこの対策を考えておるわけでございます。
それから、指導価格を外すということが行われましても、外して後はただそのままほっておくというっもりは全くございません。その後の価格の値上がり状況、不当な値上がりをしたかどうか、これを逐一調べまして、十分な監視をしますとともに、また、必要であれば強力な行政指導に戻すということを行いたいと思いますが、やはり
供給の
確保を行いますためには、現在の二万五千三百円をいじらざるを得ないということにつきまして御理解をお願いいたしたい、こういうふうに思うわけでございます。