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森下昭司君 非常に
法改正は、それは問題があると思います。たとえば、いま言ったように多項制で出された複数のクレームも特許だ、特許の数の範囲内に入るんだという
お答えがありまして、そして、一面において併合
出願は二以上の発明になっているんです。多項制の中でいけば、私はやはりこれは二つ以上の発明、複数発明だと、特許権の中に入るという
お答えを前提とするならば、複数以上の発明で出されたものだという理解も実は成り立つわけでありまして、非常に問題か多いと思います。そしてアメリカ等におきましては、多項制の中におきまして、出されました多くの複数のクレームのうち、公知の事実あるいはその他問題になりました点についてはこれを削除して、残りの
部分について、主たる事項について特許権を認めているというような方法か採用されておりますが、現状等からまいりますと、
長官が言われたような、国際的な概念に基づきましていま申し上げたものは通用しているんだというふうな理解はなかなかできないところであります。
時間がございませんので、私、大急ぎで物質特許
制度の採用の問題について
お尋ねをいたしておきたいと思います。
そこで、まず
長官に
お尋ねをいたしたいのでありますが、物質特許
制度の問題について答申が出されましたときに、その答申は、いわゆる十九人の人々の意見、つまりヒヤリングが行われまして、そのヒヤリングの中からいろんな問題点を
指摘をいたしまして出されてきたわけでありますが、そのヒヤリングの各部門別の中で「物質特許
制度の国民生活に与える影響」という問題について論議がなされておりますが、この審議会の中におきまして、この「物質特許
制度の国民生活に与える影響」等の点について非常に私は討論が不足をいたしておりまするし、事実上、言うならば確実な見通しがなされていないのではないかというふうに考えているわけであります。
たとえば、「物質特許
制度の採用により、研究意欲の向上と研究の効率化が期待され、従来見られた防衛的製法の研究などは少なくなるであろう。中小
企業も安心して、特定の研究テーマに専心できるであろうといった意見も述べられ」ております。これは全く私は中小
企業の立場を無視したものでありまして、現在の
日本の中小
企業におきまして、物質特許
制度のもとにおきまして事実上研究意欲が向上し、そして、そのための大きな期待が持たれるということはほとんど不可能ではないかと思うのでありまして、こういう点も非常に審議会の見方が偏見に満ちておるのではないだろうかと思うのであります。
また、「国民生活に与える影響」の中におきまして、「特許独占が価格の高騰を招くかどうかという点などを含めて、一般的に悪影響はないと陳述されていた。即ち研究費の効率的
使用が可能になり、研究コストの低下が期待される」からである。全く、この点についてもほんとうの意味の国民生活の直視がなされていない。そして「製品は
多様化されており代替品があるために、その間の
競争で価格は制限をうける。」、また、「医薬品は保険薬価の
制度のもとで独占価格を形成し得ない、などの
理由により原則的には考えられる特許独占の強力化による価格の高騰という要素に対して、これを打ち消す反対の要素もあることが説明された。」と書いてある。これは全く私は現在の実情を無視しておると思うんです。
もちろん、十九人のヒヤリングはだれか。井深さんというソニー株式
会社の社長、味の素の社長、石油化学工業協会会長、あるいは
日本化学繊維協会技術
委員長、食品特許協会会長、電子機械工業会専務理事、東京医薬品工業協会会長、
日本化学工業協会技術
委員長、あるいはキッコーマン、森永、こういうようにこの物質特許
制度でメリットのある
関係会社のおえら方が出てきて論議をしておるのでありまするから国民生活に影響ありませんよということに尽きる結論が出てくるのは当然であります。そのいわゆる十九人のヒヤリングを通したものを基礎にして物質特許
制度採用を答申しておるに至っては、全く私はナンセンスな答申だと言わざるを得ないのであります。
しかも、発明団体連合会は、この
制度によって巨大
企業の寡占化が一層助長されないようにその歯どめ措置に特段の留意を賜りたいと言い、かつ新規物質の
使用・販売については特許法第九十三条の公共の利益を広く
解釈できるような
運用規定を設けて、利害
関係人が何人といえ
ども裁定
制度を活用できるようにしろ、しかも六ヵ月以内に裁定しろというような意見書をわざわざこれは
特許庁長官あてに
提出をいたしておるのであります。全く答申と逆のことを言っている。しかも、後ほど阿
具根先生からも質問があるかとも存じますが、巨大
企業がいわゆる物質特許
制度によりまして寡占化を助長し、その独占価格によって国民生活に大きな影響を与えることは詳細に説明を申し上げるまでもないことであります。
現に、薬品の問題につきましては、かつて、もと公正
取引委員会の
委員であった有賀美智子さんが、いわゆるイギリスのロッシュ社が行いました、精神安定剤の専売特許を利用いたしまして大もうけをした、これをイギリスの特許法第四十一条で、公共の利益のためにということで、言うならばその実施権を政府が取って、そして約四〇%の薬価を下げさせたという事実を報道いたしております。
日本にはそういうようなものはございません。こんなことを考えてまいりますと、非常に物質特許
制度によりまする国民生活への影響については甚大な影響があると私は断定せざるを得ないのでありまして、この点について通産
大臣は、この物質特許
制度の採用によって巨大
企業の寡占化が促進されないで国民生活に大きな影響を与えないという自信があるのかどうか、そのことをまず
お尋ねいたします。