○沓脱タケ子君 それでは
国民年金法の一部改正について質問を行いたいと思います。
けさほどからの
質疑でも明らかになっておりますように、五十一年度年金
制度の見直しをやるというふうに言われておるわけですが、
国民の期待や要望、情勢の変化、こういった点に対応して必要な
改善を加えるということが非常に重大な段階に立ち至っちおると思うわけでございます。
そこで、
わが国の老人が置かれている
現状、これは
一体どうなっているかという点なんですが、若干資料を見てみますと、たとえば、総理府の統計局「
わが国の人口」というこの資料によりますと、六十五歳以上で働いている人の数というのは外国に比べて大変率が高いわけですね。これは大分古い統計でございますけれ
ども、「
ILO労働統計年鑑一九七一年版」——大分古い統計ですけれ
ども、これを見ますと、六十五歳以上で働いている人の数が男女平均をいたしまして
日本では三四・八%です。そのうち男子だけをとりますと五四・二%、アメリカがそれに次いで高いわけですけれ
ども、男女含めて一九%、スウェーデンでは一三・六%、フランスでは一二・四%というふうにきわめて高率を示しておるわけでございます。で、お年寄りがどのように働いているかということ、働かざるを得ないかということなんですが、このどういう
状態になっているかというのを国内の事情で見てきたわけですけれ
ども、
厚生省がおやりになっておられます高齢者無料職業紹介所というのがございますね。これの大阪の例を見てみますと、これは大変なことなのでございまして、たまたま、こういう調査が
昭和四十四年から四十九年までの六十五歳以上の職業紹介所の例を見てみますと、ちょっと簡単ですから御紹介を申し上げたいと思うんですけれ
ども、働いておられる方々の中で——六十五歳以上の方ですよ、生計の補助として働いておられる数が二八・九%、生計の維持のためにという中心的な立場ですね、これが二八・二%、両方合わして五七・一%。それがさらにどういうふうに変わってきているかと言いますと、四十九年一月、二月、三月を見ますとどんどん変わってきているんですね。四十九年一月には、生計の維持のためにというアンケートは五一・三%、過半数です。補助というのが二七・三%。それから、二月になりますと、大体似たような数字ですが、その生計の維持と補助、これを総計いたしまして七五%から七八%を占めておるというふうな
実態を示しているわけでございます。私は働くことが悪いというふうに申し上げているんではないです。働くことの意義は大きいわけでございますけれ
ども、しかし、問題なのは、健康や将来に不安を持ちながら働かざるを得ないお年寄りがいまの
日本では余りにも多い。こういう中で、
厚生省といたしましては、こういった高齢者をめぐる
現状を十分認識をしてもらって、老人
対策、同時に年金問題、これをいよいよ五十一年度見直しという段階になりまして、そういった実情を踏まえて取り組むべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。で、別の
機会にちょっとやりたいと思っているわけですけれ
ども、こういった高齢者無料職業紹介所というところは大変苦労してやっておられるんですね。これを見ますと、これは大阪ですが、百二十万
政府からは補助金が出ているんだそうです。大変苦労してやりながら、いまですと二カ月に一回ぐらいの巡回しかできない。せめてもう三人ぐらい人をふやしてもらえれば、もう少しお年寄りの就労状況あるいは追跡、御相談等に乗ることができるんだというふうなことを言っておりますけれ
ども、こういった点についても、これはぜひ配慮をするべきだというふうに思うわけです。これはついでに御見解をあとで聞きたいと思うんですけれ
ども、本題ではありませんから。
こういう切実な高齢者の実情を踏まえまして、今後の年金
制度の
改善に真剣に取り組む必要があるというのをいよいよつぶさに感ずるわけです。そこで年金
制度についての原則をやっぱりはっきり確立をする時期が来ているというふうに思うわけです。これは各委員からもあらゆる角度からそういった点についての
質疑がなされておりますが、そういった点で、皆年金ではあるし、
国民の期待は大きいし、いま置かれているお年寄りの実情からいたしましても大変基本的な原則というものを確立しなければならないということが緊急の要務だというふうに思うわけです。この原則というのはもちろん私が申し上げるまでもなく、すでにおわかりのように、年金受給者とその家族が正常な
生活水準を維持できるものというのが原則だと思いますが、この点を明確にするということが必要だと思うわけです。そこで年金問題、いろいろ問題がありますが、こういった
制度がばらばらになっておるという問題、それから
給付もばらばらになっておる問題、それからいろいろありますけれ
ども、そういった中で、来年度見直しの時期ということに対して、この
生活保障の原則ということを明確にする必要があると思うわけです。その点について、これはぜひ
大臣から基本的なお考えを伺いたいというふうに思うわけです。