○沓脱タケ子君 四十九年、五十年の経験に徴してと、こういうことなんですけれ
ども、すでに障害児保育というのは実施をされているわけですよね。そしてりっぱな実践記録あるいは報告書というふうなのも出ておりますね。こういう実践記録によりますと、私もこれは感激をして実践記録を拝見したんですけれ
ども「保育の友」というのに出ております実践記録が、こういうふうに述べられているのですね。これは一年間苦労して障害児保育をやってこられた保母さんの体験記録ですけれ
ども、こういうふうに言われております。「叱られるとその反動を障害児に向け、必要以上に可愛いがり担任の関心を引こうとする
傾向も現われ、当初は困難な問題があり、その都度、子
ども達と一緒に解決していく。しかし、このような問題は、月日と共に解消され、Y君、M子さんを上手に囲み、子
ども達同志で作り上げ、担任の介入する余地はない。その姿は、防火訓練の際に、担当が手をかけるより先に、他児が両手をもって避難する後姿にもうかがわれる。障害児保育に対する専門的な知識の修得もない私には、〃夢中でした〃の一言です。Y君、M子さんが
成長というより、私自身が
成長したことです。自然な態度で接することが、どれほど大切であるかを実践の中で知りました。」で、「障害児保育は、熱意、根気は
条件であるが、人的、医療的にも
保障されなければ困難です。」というふうな実践記録がごく一部でございますけれ
ども述べられているわけです。
審議会の
答申でも意義のある報告がされておりますが、経過を見ながら進めていくというんですけれ
ども、すでに結果の報告はいろいろ出ているわけですね。いま、私一例を申し上げましたけれ
ども、さらに私
ども考えましても、一層研究を深めていかなければならない問題ということはよくわかるのですが、こういういままでの報告、これを参考にしていく必要があると思うわけです。
そこで、具体問題についてお伺いしたいんですけれ
ども、「障害児保育事業実施要綱」というのが出ていますね、それの
目的、これは
厚生省児童家庭局長名で出ておるわけでございますけれ
ども、第一
目的、なんです。「障害児保育事業は、保育に欠ける、
程度の軽い心
身障害を有する幼児(以下「障害児」という。)を保育所に入所させ、一般の幼児とともに集団保育をすることにより、健全な社会性の
成長発達を促進するなど、障害児に対する適切な指導を実施することによって、当該障害児の
福祉の増進を図ることを
目的とする。」と、こういうふうに述べられておるわけでございます。これは、それで結構だと思うのですけれ
ども、ここで実施上配慮しなければならない問題が出てくるのではないかというふうに思うわけです。この
目的にも書かれておりますように、「保育に欠ける」というふうに述べられておる点なんです。従来保育に欠けるという基準、これはありますね。保育所入所に関する保育に欠けるという基準がありますね。今日では非常に保育についての要求というものは多様化してきておりますから、この基準全体を見直す必要があるんではないかというふうに思うのです。これはさておきまして、障害児保育という問題については問題があるんじゃないかと思うのは、保育に欠けるというふうなことで、従来の保育所入所基準の保育に欠ける
内容というのは幾つか規定されているわけですね。ところが、障害児を養育していくという場合には、これは必ずしもこれに該当しないという場合がしばしば出てくるわけです。障害児があるために母親が働きに行きたくても行けない。その場合に保育に欠けるという、母親がめんどう見ているんだから保育に欠けるということにならない。だから、適用されないということになってまいりますと、これは大変なことなんで、この運用について弾力的な適用、これが必要ではないか。そういう点について、市町村にはどういうふうに指導しているのか。これは、私は弾力的に指導しないと大変なことになるなと思うんですよ。というのは、保育所入所の措置基準で、保育に欠けるという項目が七項目挙げられていますね。その(一)は居宅外労働、(二)が居宅内労働、(三)が母親のいない家庭、(四)が母親の出産、(五)が疾病の看護、(六)が家庭の災害、(七)が特例による場合、というふうなことが示されている。そうしますと、障害児を持っているために母親が居宅外へ仕事に行きたくてもいけない。子供のめんどうを見ているという実例というのはしばしばあるわけです。しばしばって、大部分がそうですね。そうしたら、保育所へ入所させてほしいという場合、させるという場合、保育に欠けるということで機械的にやりますと該当しなくなる。その点はどういうことなんでしょうか。弾力的な運用というふうな点について、市町村には御指導になっておられるんでしょうか。