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国務大臣(
長谷川峻君) ただいま議題となりました
勤労者財産形成促進法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
今や国民の大部分を占めるに至っている勤労者とその家族の生活の動向は、わが国経済社会の将来に深く関連する問題でありますが、勤労者生活の現状を見ますと、賃金水準は近年
改善されてきているものの、貯蓄や住宅等の資産保有の面では、なおいまだ相当の立ちおくれが見られるところであります。
このような勤労者生活の実情にかんがみ、勤労者の財産形成を促進して、その生活の一層の安定を図るため、昭和四十六年に
勤労者財産形成促進法が制定され、勤労者財産形成貯蓄について税制上の優遇措置が講じられるとともに、財産形成貯蓄の一部を原資として、勤労者のための持ち家分譲融資
制度が設けられたところであります。この
法律によって発足した勤労者財産形成促進
制度は、その後三年間で財産形成貯蓄を行っている勤労者の数は早くも四百万人に達し、その貯蓄額は三千七百億円を超えるに至っており、勤労者の本
制度に対する期待がいかに大きいものであるかがうかがわれるのであります。
しかしながら、このような勤労者の期待とその努力にこたえ、その生活を真に豊かで安定したものとするためには、現行
制度の内容は、まだ必ずしも十分とは申せません。
政府は、このような観点から本
制度を大幅に拡充したいと考え、先般そのための改正案要綱を勤労者財産形成
審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに
勤労者財産形成促進法の一部を改正する
法律案を提出した次第であります。なお、本
法律案のほか、財産形成促進
制度の
改善措置のうち、住宅取得を目的とする財産形成貯蓄についての税額控除率の引き上げにつきましては、すでに租税特別措置法の一部を改正する
法律案に盛り込んで御
審議を願っているところであります。
次に、この
法律案の内容につきまして概要を御説明申し上げます。
第一は、勤労者財産形成貯蓄
制度の
改善であります。
すなわち、財産形成貯蓄の範囲を拡大し、新たに、
一定の要件を満たす郵便貯金、生命保険、簡易生命保険及び農業協同組合等の生命共済、日本住宅公団等が発行する宅地債券等の購入等を加えることとしております。
また、財産形成貯蓄を行っている勤労者が転職した場合に、転職後も従前と同一の勤労者財産形成貯蓄契約に基づいて、引き続き貯蓄をすることができるようにすることとしております。
第二は、
事業主の拠出により勤労者の財産形成を援助する措置の促進を図るための勤労者財産形成給付金
制度及びこれに関する中小
企業勤労者財産形成助成金
制度の新設であります。
現在、
企業の一部においては、
事業主の拠出により勤労者の財産形成貯蓄に対する援助が行われているところであります。このような
事業主の援助措置を一層普及、促進させるため、
事業主が労使の合意に基づき勤労者財産形成給付金契約により、財産形成貯蓄を行っている勤労者のために拠出をし、これを
一定期間運用した後にその元利合計である財産形成給付金を勤労者に支払った場合には、その財産形成給付金について当該勤労者に対し課税上特別の措置を講ずるという勤労者財産形成給付金
制度を新たに設けることとしております。
さらに勤労者財産形成給付金
制度の中小
企業への導入を容易にするため、この
制度を設けた
一定の中小
企業の
事業主に対し、雇用促進事業団が、当該
事業主の拠出額の
一定割合に相当する額の助成金を支給するという中小
企業勤労者財産形成助成金
制度をあわせて新設することとしております。
第三は、勤労者財産形成持ち家融資
制度の拡充強化であります。
雇用促進事業団は、現在行っている持ち家分譲融資のほかに、
事業主または
事業主団体に対し、財産形成貯蓄を行った
一定の勤労者に持ち家取得資金を貸し付けるために必要な資金の融資を、各勤労者についてその者の有する財産形成貯蓄残高の二倍の範囲内で行うこととしております。
一方、住宅金融公庫等は、
事業主又は
事業主団体を通じて持ち家取得資金の貸し付けを受けることができない勤労者に対し、その勤労者の有する財産形成貯蓄残高の二倍の範囲内で、直接融資を行うこととしております。
なお、公務員及び公共
企業体の職員につきましては、各共済組合等が同様の持ち家取得資金の融資を行うこととしております。
また、これに関連して、雇用促進事業団、住宅金融公庫、共済組合等がこれらの財産形成持ち家融資に必要な資金を円滑に調達することができるようにするため、財産形成貯蓄を取り扱っている金融
機関等の資金協力義務を定める等所要の
規定を設けることとしております。
その他、この
法律案におきましては、その附則において、郵便貯金法、簡易生命保険法、所得税法、法人税法、租税特別措置法、住宅金融公庫法等
関係法律の所要の整備を行うこととしております。
以上、この
法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
公共企業体等労働関係法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
公共
企業体等労働
委員会の
委員の定数は、昭和三十一年の同
委員会発足以来、公益
委員五人、
労働者委員及び使用者
委員各三人とされておりますが、近年、同
委員会が関与する労使紛争は増加する傾向にあるとともに、紛争の内容も複雑化、多様化する傾向にあり、しかも、同
委員会としては、これらの紛争を短時日のうちに集中的に
調整せざるを得ない場合が少なくないのであります。このような事情にかんがみ、
政府としては、同
委員会の事務の一層円滑な遂行を期するために、同
委員会の
委員の定数を増加することが適当であると考え、
公共企業体等労働関係法の一部を改正する
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の内容につきまして概要を御説明申し上げます。
第一に、公共
企業体等労働
委員会の
委員の定数につきまして、現行法においては、公益
委員にあっては五人、
労働者委員及び使用者
委員にあってはおのおの三人とされておりますが、これを、公・労・使各側それぞれ二人増加し、公益
委員にあっては七人、
労働者委員及び使用者
委員にあってはおのおの五人とすることとしております。
第二に、公益
委員の政党所属につきまして、現行法においては、公益
委員のうち二人以上が同一の政党に属することとなってはならないこととされておりますが、公益
委員の定数の増加に伴い、これを、公益
委員のうち三人以上が同一の政党に属することとなってはならないこととすることとし、これに伴う
関係規定の改正をしております。
そのほか、この
法律案におきましては、その附則において、増加した定数を充当するための
委員の任命手続が進められている間の公共
企業体等労働
委員会の
委員の定数その他について、所要の経過措置を
規定しております。
以上、この
法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。