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斎藤十朗君 これは一例でありますし、これをどうしようということでもないわけですが、なおまだその個
人個人による
政治資金の拠出というものに対して推進をするいろんな方策があれば、今後とも進めていただきたいというようなふうに思うわけでございます。
次に
政治資金の公開の問題でございますが、今回は特に
政党の
政治資金の公開が全面的になったと、こういうことになるわけでございますが、私は公開ということが必ずしもいいことなのだろうかというふうに
考えるわけです。先進民主主義国と言われる英国なんかにいたしましても、公開をいたしてないわけです。その理由は、英国の保守党の場合が
企業献金が多いと。それに比べて労働党は、
政治資金そのものは少ないけれども、
労働組合が日常の
活動として
政党活動のようなことをしている、社会主義のキャンペーンを行っているというようなことで、そういった部分も
政党の
政治活動であり、
政治資金に入ってくるのじゃないか。そういうことから公平に公開をするという
意味においてはなかなかむずかしいというような観点。また有権者が
政治資金を出すということは、いわゆる有権者が
政治に参加をするということであり、有権者のまず第一の
政治に参加をするということは、
選挙に投票をする。それは秘密投票で行われておるわけであって、その投票になおまたそれ以上の支持を表明するということが
献金である。そういうことから、この
献金についても秘密であるべきだと、なおまた民主主義社会における
個人の秘密の尊重も必要だというような、プライバシーの観点からというようなことから公開がされてないわけでございますが、そういった
一つの
考え方もあるということを申しておきたいと思うわけでございますが、日本のいまの置かれている現状から
考えますと、これはある程度やむを得ないことであり、
国民の
世論にこたえていくということについては、今回の
改正はまず妥当なところだろうというふうに私も
考えておるわけでございます。
で、
先ほどからも
お話がございますように、
政治には金がかかるものである。どの
政党においても金がかかるわけでございますが、ちなみにいまの五大
政党の
政治資金、これを調べてみまするときに、たとえば
昭和四十八年は
自民党が百八十六億円、共産党が六十一億円、公明党が三十八億円、社会党が七億円、民社党が五億三千万円と、こういうふうに大まかに言いますとこういった報告がなされておるわけであります。で、マスコミなどを通じて
自民党の
政治資金というものは大変なものだと、第二位の共産党の六十一億円を三倍にも上回って百八十六億円にもなっておるじゃないかということで批判を浴びておるわけでありますが、私は、やはり
政党の
政治資金というものは当然その
政党の規模、
活動範囲、そういったようなものに批例をして
考えなければいけないのじゃないかというふうに
考えるわけであります。そういうことからいろんな見方、いろいろな分析がされると思うわけですが、たとえば議員数でこの
政党の
政治資金というものを割り算をしてみますと
——自民党は四百十四名、共産党が五十一名、公明党が五十三名、社会党が百七十八名、民社党が三十一名と、こういうことになってくるわけです。その割り算をいたして一人当たりの額をとってみますと、
自民党が四千五百万円、共産党が一億一千九百万円、公明党が七千百七十万円、社会党が三百九十万円、民社党が千七百万円というふうなことになるわけであります。そうなりますと、これが実際の一人当たりの使われる
政治資金というもの、これを
考えますと、共産党が一億一千万円で群を抜いておる、こういうことが言えるわけです。次に公明党の七千万円であり、
自民党は多い多いと言われながら四千五百万円しかないと、こういうことになってくるわけでありまして、こういったようなことを率直に
国民の皆さん方にお知らせをするということでなければならないと思うわけであります。この中で顕著にあらわれておりますのは、社会党や民社党が、たとえば社会党が三百九十万円で、民社党が千七百万円というふうに圧倒的に低いということであります。これは
先ほど英国の例でも申し上げましたように、
政党そのものの
活動に加えて、通常の
労働組合の
活動、そういったものが
政党の
政治活動にイコールのような形で行われている、そういうものが入ってこないのでこういったことになるんではないかという批判があるわけであります。なおまた、その他の
政党でも党費また
寄付というようなものが支部、下部機関でいろいろと差し引きをされて、本部に上がっていく金額というものは非常に少ない。なおまた、ある
政党のごときは、その
政党の中心的な方が
個人で巨額な
献金をした形になっている、そういうようなことで実態というものはなかなかつかめないわけであります。今回の
改正でも、その
政党の本当の、真の
政治資金というものはあらわれにくいんではないかということを私は指摘をいたしておきたいと思います。
与えられました時間が非常に追ってまいりましたので、もうこれは
お答えをいただかないことで先に進めたいと思いますが、こういうふうに
考えてみまして、各
政党とも
政治活動に相当な資金がかかるということはやむを得ないわけであります。そして、それが
先ほど言われるようにきれいな形で、また秩序ある形で集められる。
政党は
企業体でないわけでありますから、商売をしてもうけて
利益を上げていくというようなことはできないわけでありまして、その調達がいま申し上げるように秩序ある形で調達されていく、そして、それは、いま
先ほど議論がありましたように、
法人の
献金と
個人の
献金とをバランスをとっていくということであります。