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内藤功君 私は日本共産党を代表して、わが党
国会議員団
提出による
公職選挙法の一部を
改正する
法律案並びに
政治資金規正法の一部を
改正する
法律案の
提案理由とその
改正点の
要旨について御
説明申し上げます。
初めに、
公職選挙法の一部を
改正する
法律案について申し述べます。
そもそも、
選挙制度は議会制民主主義の根幹をなすものであり、主権者たる
国民の意思をいかに正確に議席に反映させるかを保障するものでなくてはなりません。
日本共産党は、
公職選挙法第一条に明記されるごとく、「その
選挙が
選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正に行われること」を実現するため、本
改正案を
提出した次第であります。
昨年行われた
参議院議員選挙や、本年の一斉地方
選挙で
国民の厳しい批判を受けた企業ぐるみ
選挙は、
選挙の公正を害し、腐敗させる
選挙犯罪の最たるものであります。
すでにわが党の調査や、内部告発で明らかにされたように、業務命令などで従業員を
特定候補の後援会に加入させ、ノルマの割り当てまでして集票させる、あるいは中小零細の下請企業などにも、こうした理不尽な
選挙活動を押しつけるなどの企業ぐるみ
選挙の
実態は、
国民一人一人の自由な意思による投票を不可欠の基礎とする議会制民主主義を根底から脅かす悪質な社会的、集団的犯罪と言わざるを得ません。
公職選挙法第一条の精神にも照らして、明白に違法性を持つ企業ぐるみ
選挙は法的
措置をもって
禁止すべきであります。
さらに、言うまでもなく買収、供応などの悪質
選挙犯罪が
選挙の公正を犯し、ひいては議会制民主主義の根幹を揺るがすものであること、したがってこうした悪質な
選挙犯罪は断固として取り締まらなければならないことは自明の理であります。
現行公職選挙法の
連座制の適用は、裁判を意図的に長期化させることなどの
事情も伴って現在までその実効はほとんど上がっておりません。
選挙の公正を確保するためには、
選挙を腐敗させている金権・企業ぐるみ
選挙の根絶と、買収など悪質
選挙犯罪者を厳しく処断する
法改正が急務であります。
これが
公職選挙法の一部を
改正する
法律案の
提案理由であります。
次に、
改正点の
要旨を
説明いたします。
改正点の第一は、第二百二十四条の二として「(雇用、取引関係を利用して
選挙運動をさせる等の罪)」を新設し、また
現行二百二十一条第一項第二号の利害誘導罪の条文に「雇用、取引」の二語を加え、あらゆる形態の企業ぐるみ
選挙の
禁止とその
罰則を設けた点であります。
第二は、
連座制の
強化の問題であります。第二百五十一条の二第一項第二号の連座を受ける出納責任者の
範囲について、法定
選挙費用の四分の一以上支出した者を含むこととし、同項第三号、
地域主宰者について二個以上に分けられた
選挙区の
地域のうち一または二以上の
地域を主宰した者としてその適用
対象範囲を広げ、同項第四号、連座の適用を受ける者として
公職の
候補者の父母、配偶者、子、兄弟姉妹のほかに
候補者と同居している四親等内の親族を加え、父母、配偶者、子、兄弟姉妹については同居の要件を削除することとしております。
また百日裁判の
趣旨を生かすために、
現行第二百十一条一項、二項を削除し、総括主宰者、出納責任者などの
選挙犯罪による有罪判決が確定すれば、
当選無効訴訟を行わなくとも
当選人は失格することとし、その他
連座制の適用により
当選人が失格した場合、その
当選人が任期内であるならば、いつでも次点者が繰り上げ
当選することなどが
改正点であります。
第三は、買収など悪質
選挙犯罪者について、初犯であっても公民権の停止を十
年間とするよう第二百五十二条三項を
改正し、悪質
選挙犯罪の防止を目指した点であります。
その他必要な法文上の整理を行うこととしております。
以上が本
改正案の
要旨であります。
次に、
政治資金規正法の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案理由と
改正点の
概略を
説明申し上げます。
今日、財界、大企業と一部政界の、
政治献金を通じた癒着関係が、
政治の腐敗をもたらす最大の根源であることは、すでに
国民周知の事実であります。これは、
政治が、大企業などの大口献金者の意思に左右されるためでありますが、その実例は、私鉄運賃値上げ、電力料金値上げの際の、これらの大企業からの、
政治献金の急増ぶりなど枚挙にいとまがないほどであります。
このような自民党を
中心とする一部政界と財界、大企業の腐敗した癒着関係を断ち切ることなしに、
国民本位の
政治を実現する道はあり得ないのであります。
また、
労働組合の
政治献金を認めることは、事実上、
法律によって組合費からの
特定政党への
政治献金を合法化することに通ずるものであり、これは、憲法で保障された
個人の思想、信条、
政党支持の自由という基本的人権を侵害することにならざるを得ないのであります。
日本共産党は、創立以来一貫して、財界や大企業から献金を受けたことのない
政党であります。今日、
政治腐敗の根源を断ち切るためには、
会費、賛助費、資料
頒布代など、さまざまな名目や口実によって企業、労組など
団体献金の道を残そうとする一切の試みに反対し、
政治献金は文字どおり
個人に限る立場にきっぱりと立つ必要があると考えるものであります。
さらに、国や公共企業体などと特別な利益関係を持つ
会社などの役員については、
個人としても
政治献金を
禁止するなど
政治腐敗に結びつく原因を除去する必要があると考えるものであります。
これが、本
改正案を
提案する
理由であります。
次に、
改正点の
要旨について御
説明いたします。
改正点の第一は、
政治腐敗の根源とも言うべき
会社、
労働組合などすべての
団体の
政治献金を
禁止し、
政治活動に関する
寄付は
個人に限るとした点であります。また、賛助費、維持費、資料
頒布代など、いかなる
名称をもってするも、実質上の
政治献金は
寄付とみなし、脱法的献金を
規制することとしております。
第二は、従来、
政党以外の協会その他の
団体は
寄付と支出だけ
届け出ればよいとしていた
規定を
改正し、協会その他の
団体にも
政党と同じく一件一万円を超えるすべての収入と支出の
会計帳簿記載と
収支報告書の
提出を義務づけたことであります。
第三は、事実上の
政治献金を
会費という名目によって隠蔽してきた脱法行為を防止するため、年額三十万円を超える
党費、
会費については、その者の
氏名、住所、職業、金額、
寄付年月日の
会計帳簿記載義務及び
報告書による
届け出義務を課することとしている点であります。
第四は、国や公共企業体、
地方公共団体などと特別な利益を伴う関係を持っている
個人及び
会社などの
法人の役員は、
個人としても
政治献金の
拠出を
禁止し、
政治腐敗の根源を完全に断ち切ることとしている点であります。
第五は、企業、労組など
団体の脱法的献金を
規制するため、匿名の
寄付禁止を、
選挙に関する
寄付から
政治活動に関する
寄付にまで広げた点でありますが、わが党案は、
政府改正案のごとく
政治活動に関する匿名
寄付の全面
禁止という非現実的立場をとらず、
国民の自発的意思に基づき、
個人的には何の見返りも期待しないまさに浄財とも言うべき少額の匿名
寄付については、これを積極的に認める立場から、一件一万円以下の匿名
寄付については、これを
禁止規定から除外している点であります。
その他
罰則の整備など必要な
改正を行うこととしております。
以上が、日本共産党
提出の
公職選挙法の一部を
改正する
法律案並びに
政治資金規正法の一部を
改正する
法律案の
提案趣旨及び
改正の
要旨であります。
何とぞ、慎重
審議の上、
委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)