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政府委員(橋本道夫君) 第一の
問題点についてお答えいたします。
四月二十一日に
環境庁に
先生が同道されてお見えになった方々の患者さん
たちについての将来の持っていき方を、一体どういう見込みであるか具体的に言えという御
質問でございますが、この問題につきましては十七名の方が鑑別診断研究班にかかりまして、十七名の方は腎の細尿管の機能障害があるということは全部
先生方一致をしておられます。それからカドミウム中毒の
疑いを払拭し切れないということも、これもどなたも御異存がないわけであります。そういうことで、この問題につきましては、それではカドミウム中毒の腎の障害の疾患として
公害健康被害補償法の第二条にいう指定地域、指定疾病というところにはめ得るか否かという具体的なところの固めがどこまでいくか、そういう段階に現在入っているわけでございます。第二条の二項のところの「相当範囲にわたる著しい
大気の
汚染又は水質の汚濁」ということと「原因である物質との
関係が
一般的に明らかであり、かつ、当該物質によらなければかかることがない疾病が多発している」ということでございます。そういうことで、この問題で今後の問題のポイントは、これがその疾病として
評価し得るかどうかというところが大きな
一つの
問題点でございまして、確かに
検査が終われば所見は出る、障害はある、そうすると、じゃ
検査をやれば出る人がみんな病人だと、これは医学的に決してそういう形の扱いはいたしておりません。そこの問題ありまして、そうなりますと、従来このイタイイタイ病のところにおきましても腎とそれから骨と両方からグレーディングをきめておりまして、その中の腎の障害のグレーディングを書いてあるわけですが、そのグレーディングに一体はまるということ、これは疾病に入ってくるわけでございますが、そのグレーディングにはまる人があるかどうかというところが
一つの大きな
問題点になっております。そうなれば、もう明らかにこれは病気であるということになってくるわけでございまして、そういうことで、このグレーディングにはまるかどうかということがこれらの病気の
評価でございます。病気としての
評価という問題でございます。
もう
一つは、カドミウムとの
関係というところで先ほどのようなお互い払拭し切れないということがあるわけでございますが、いままでいろいろなところの
調査をいたしましたところから出てきております幾つかのある程度整理をして答えなければならない
問題点というのがございます。
一つは、
汚染の高いところの方が患者さんが多い、低いところの方が患者さんが少ない、これは疫学診断のときにも非常に重要な要素とされておるわけです。そのようなルールにはまってきているかどうかという問題が、これは対馬だけの問題ではございません、この問題は対馬も生野も秋田もみんな共通の問題でございますが、そのような量効果反応ということに、ぴったりその原則に合ってくるかどうかという問題と、もう
一つは、
汚染のないところと比べてみてはっきりその差が、
汚染のないところでは非常に低いかあるいはないという問題のところをきれいに
説明し切れるかどうか。これは八十歳以上の老人を調べてみますと同じように細尿管障害が出てくるという所見がございます。これはカドミの
汚染のないところでも出てくるというのがあります。けれ
ども、カドミの
汚染のあるところを調べますと五十歳くらいからその所見がずっと出てきます。そこのところの
説明をどうし切れるかという
問題点、これだけのところを整理し切ればこれはこの問題についての決着がつけられるというようなところでございます。そういうことで端的に申しますと、この腎障害についての医学的な
評価の問題、もう
一つは、いま申し上げましたような第二条の指定地域というような条件でのこの法律の条文にはまるように
説明ができるかどうかというところの最終の問題を整理しなければならない、こういう段階でございます。