運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1975-03-26 第75回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十年三月二十六日(水曜日) 午前十一時十分開会 ――
―――――――――――
委員
の
異動
三月八日 辞任
補欠選任
久保
亘君
浜本
万三
君 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。
委員長
鶴園
哲夫
君 理 事 森下 泰君 山内 一郎君 栗原 俊夫君 内田
善利
君 委 員 青木 一男君 金井 元彦君 菅野
儀作
君 藤井 丙午君 神沢 浄君
浜本
万三
君 矢田部 理君 小平 芳平君 沓脱タケ子君 国務大臣 国 務 大 臣 (
環境庁長官
) 小沢 辰男君
政府委員
環境庁長官官房
長
信澤
清君
環境庁水質保全
局長
大場 敏彦君
厚生省環境衛生
局長
石丸
隆治
君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
文部省体育局学
校給食課長
加戸
守行
君
厚生省環境衛生
局食品化学課長
宮沢 香君
厚生省環境衛生
局水道環境部水
道整備課長
国川 建二君
農林省農蚕園芸
局植物防疫課長
福田 秀夫君
通商産業省基礎
産業局化学製品
課長
太田 耕二君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件 ○
公害
及び
環境保全対策樹立
に関する
調査
(
合成洗剤
と
環境
問題に関する件) ――
―――――――――――
鶴園哲夫
1
○
委員長
(
鶴園哲夫
君) ただいまから
公害
対策
及び
環境保全特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。
久保亘
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
浜本万三
君が選任されました。 ――
―――――――――――
鶴園哲夫
2
○
委員長
(
鶴園哲夫
君)
公害
及び
環境保全対策樹立
に関する
調査
を議題とし、
合成洗剤
と
環境
問題に関する件について
調査
を行います。 本日は、まず
厚生省
から
合成洗剤
の
安全性
につきましてその
経緯
について
説明
を聴取し、その後これに対し質疑を行います。 それではまず
説明
を求めます。
石丸環境衛生局長
。
石丸隆治
3
○
政府委員
(
石丸隆治
君) それでは
合成洗剤
の
安全性
に関します従来の
経過
につきまして御
説明
申し上げたいと思います。
合成洗剤
にはいろんな
種類
があるわけでございますが、現在われわれがいろんな
実験
を行っております
合成洗剤
は
ABS
、
LAS
、AOS及びAES、この四
種類
の
洗剤
でございますが、この四
種類
でほとんど現段階において使用されております
合成洗剤
の大部分を占めるわけでございますので、
便宜
この四
種類
の
洗剤
を
合成洗剤
と総称いたして御
説明
申し上げたいと思います。それと
合成洗剤
の
安全性
に関するいろんな問題でございますが、この問題を大きく分けますと
二つ
の問題になるんではなかろうかと思うわけでございます。
一つ
は
合成洗剤
が
人体
に面接作用いたしましてそこに起きるいろんな
毒性
の問題でございます。もう
一つ
は、これが
環境汚染物質
として
環境
を
汚染
するというそういった
有害性
と申し上げましょうか、そういった害の問題、この
二つ
の問題が大きく現在論議の的になっていると思うわけでございますが、現在
厚生省
の方で所管いたしております問題は、この
人体
に対する
影響
の問題がわれわれの方の
研究課題
になっておるわけでございます。それで
人体
に対します
合成洗剤
のいろんな
毒性
という問題もこれは大きく分けて
二つ
の問題に分かれようかと思うわけでございます。
一つ
はいわゆる台所と申し上げましょうか、
食品関係
でこれを使用いたしまして経口的にわれわれ
人体
内に
合成洗剤
が取り込まれてそこに起きる
毒性
の問題、すなわち
経口毒性
の問題と、もう
一つ
は
洗たく用
の
洗剤
、あるいはいろんな
家庭用
の
洗剤
としてこういったものが使われます際に、この
洗剤
にわれわれが接触いたしまして
皮膚
から入って起こるいろんな
毒性
の問題、すなわち
経皮毒性
の問題、この
二つ
の大きな問題に分かれようかと思うわけでございます。それで、こういったいろんな問題が時代とともにいろんな問題を起こし、また、それに対していろんな
研究
が行われてまいったわけでございまして、そういった点につきまして年次を追いまして御
説明
申し上げたいと思うわけでございます。
合成洗剤
は非常に古くから使われている
物質
でございますが、この
毒性
がわが国で問題にされ始めましたのが
昭和
三十七年ごろからでございます。すなわち当時
合成洗剤
のうちの
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
を投与いたしました
動物
の
血清
中総
カルシウム
が減少するというような
報告
が学者からなされたわけでございまして、こういった
血清
中の
カルシウム量
の減少というようなことから考えて
合成洗剤
が
生体
に対して有害であるんではなかろうかというような
研究報告
が
昭和
三十七年以降
学会誌
あるいは
関係学会等
で発表されたわけでございます。こういうふうにその
毒性
を疑うような
研究
結果が発表された
経緯
にかんがみまして
厚生省
といたしましては、
昭和
三十七年から
科学技術庁
の
特別研究調整費
をいただいたわけでございましたが、この
特別研究調整費
によりまして
厚生省
、
通産省
、
労働省等関係各省
が
共同研究班
を編成いたしまして、
合成洗剤
の
安全性
に関する諸問題を
検討
いたしたわけでございます。 なお、これは話は別のことでございますが、この
安全性
に関する
研究班
を発足させました当時、その直後でございますけれども、
昭和
三十七年九月二十日、粉ミルクと間違えましてこの
合成洗剤
を誤飲いたしまして死亡した
事故
が発生いたしたわけでございます。そうしたことで
合成洗剤
に対する国民の不安というものが非常に大きくなってまいったわけでございます。ただ、この
昭和
三十七年九月二十日に発生いたしました
事故
は、その後
昭和
三十八年八月二十一日、国、
関係会社等
を相手取りまして
損害賠償訴訟
が提起されたわけでございますが、その後
裁判
の結果――
裁判
の
経過
中はサル、
ネコ等
を用いた
動物実験
の結果等も提出されたわけでございますが、
昭和
四十二年六月十五日、この
死亡事故
は死因は
合成洗剤
によるものではないという判断がなされまして、原告らの請求は却下されておる、かような
経過
がございます。これはまたその間の
経過
をずっとこれから御
説明
申し上げますが、そういった事件がその際発生いたしておるわけでございます。 それで、
昭和
三十七年から
科学技術庁
の
特別研究調整費
により
厚生省
、
通産省
、
労働省等
が行いました
研究
でございますが、これは大きく分けまして六つの
分野
につきましてこの
研究班
が編成されたわけでございます。第一の問題は
食品衛生
上の
問題点
でございます。これはまた後ほど詳しく御
説明
申し上げたいと思いますが、
食品衛生
上の問題、それから二番目が
皮膚障害
に関する
研究
の問題、三番目が
製造工場
の
従業員
に発生するであろうと考えられる
障害
、それから四番目の問題といたしまして、これがいわゆる
環境汚染物質
といたしまして
上水道等
へいかなる
影響
が起こるであろうかという、そういった
研究
、それから五番目の
研究
といたしまして
下水
へどういうような
影響
、この
下水処理
の面でこれがいかなる
影響
を与えるであろうかという、かような
研究
、六番目といたしましてこの当時
研究
いたしましたのが
合成洗済
の中の
ABS
でございますが、いわゆるハード型の
合成洗剤
でございまして、非常に
分解
が遅いというような問題があったわけでございまして、この
ABS
を
分解
するいわゆるそういった能力を持った
細菌
を分離できないかどうかというようなそういった
研究班
、この六班によりましてこの
研究班
が編成されたわけでございます。 それで、
厚生省
の特に受け持ちました問題が一番目の
食品衛生
上の問題を
研究
する
研究班
でございまして、この
食品衛生
上の問題といたしまして
検討
いたしましたのがいわゆる
急性毒性
に関する
試験
、二番目といたしまして
慢性毒性試験
、三番目といたしまして
生化学的試験
、四番目といたしまして
皮膚
からの
吸収試験
、それから五番目といたしまして
野菜浸透試験
、これを
厚生省
の
研究班
によって行ったわけでございます。さらに、当時
下水等
も
厚生省
の方で所管いたしておった
関係
上、いわゆる
水質汚濁
の問題も
厚生省
で当時所管いたしておりましたので、上水、
下水
への
影響等
も
厚生省
でこの
研究班
をお世話しておったわけでございます。さらに、
製造工場
の
従業員
の
障害
ということは、これは
労働衛生
の問題として
労働省
の方でこの
研究班
を所管いたしたわけでございます。 この
研究班
がいろんな
研究
を行っておりますその同じ
時点
におきまして、やはり
厚生省
といたしまして、当時
合成洗剤
の
安全性
をめぐりましていろんな社会不安が醸成されたわけでございますので、こういったことをさらに
専門的立場
から
検討
していただこうということで、
昭和
三十七年四月十九日に
食品衛生調査会
に対しまして、
中性洗剤
を
野菜
、
果物類
、
食品等
の
洗浄
に使用することについて、
食品衛生法
第二十五条の規定に基づき会の
意見
を求めると、かような
諮問書
を提出いたしたわけでございます。したがいまして、この
特別研究調整費
によります
研究
と並行いたしまして
食品衛生調査会
でいろんな
審議
が行われたわけでございます。この
食品衛生調査会
におきましては、大体その当時発表されておりました内外のいろんな文献をもとにいたしまして
審議
を行ったわけでございますが、それと同時に、それと並行して行っておりました
研究班
の
研究
のいろんな途中
報告
もあったわけでございまして、そういった
報告
も
参考
にいたしまして、数次にわたりまして
審議
を行ったわけでございます。 で、この
調査会
の
結論
につきましては、すでに御承知かと思うわけでございますが、
昭和
三十七年十一月十四日、
厚生大臣
に対しまして
答申
が行われたわけでございます。これがいわゆる世上よく
厚生省
が
中性洗剤
の
安全性
を声明したと言われるものでございますが、その
答申
は、
中性洗剤
を
野菜
、
果実類
、
食器等
に使用することは、
洗浄
の
目的
から著しく逸脱しない限り、人の健康を損なうおそれはない、かような
結論
を
答申
いたしたわけでございます。これが
食品衛生調査会
の
昭和
三十七年当時の
結論
でございます。 先ほど御
説明
申し上げました三十七年から行いました
特別研究調整費
によります
特別研究
の結果でございますが、これが
昭和
四十年七月、
科学技術庁
の
研究調整局
の方でこの結果がまとめられておるわけでございます。これは
科学技術庁
の方から御
報告
願った方がいいかとも思いますが、
便宜
、私の方でこの当時の
報告書
を持っておりますので、その概要につきまして御
説明
申し上げたいと思います。
食品衛生
上の
問題点
につきましては、先ほど
食品衛生調査会
において
審議
、
答申
をされました線と大体同じ
結論
が出ておるわけでございます。すなわち、当時の
実験
によりますと、経口的な五〇%
致死量
、いわゆるLD五〇というものが、
ABS
について申し上げますと二・二グラム・
パー
・キログラム、これは
体重
一キログラムに対して二・二グラム、急性五〇%
致死量
でございますが、そういう
数値
が出ております。それと同時に、
慢性毒性
につきましての一日の
最大安全量
、これは
経口投与
でございますが、三百ミリグラム
パー
・キログラム、かような結果が出ておるわけでございます。 さらにいろんな
代謝試験等
の結果をごく簡単にまとめて申し上げますと、
ABS
を六十ないし九十ミリグラム・
パー
・キログラムの
経口投与
によって、血液あるいは
体内酵素等
に特に
影響
が認められないと、かような、これはいろいろ細かい
数字
があるわけでございますが、そういうようないわゆる
動物実験
によりまして
一つ
の
安全性
の目安として考えられる
数値
が、ただいま申し上げましたような
数値
が
報告
をされたわけでございます。それと同時に、その
片一方
におきまして
野菜
あるいは食器、そういったいわゆる
洗浄
に使用いたしました場合に、
野菜
の中にどのぐらい入っていくであろうかという
片一方
の
実験
、それとあわせまして、
通常
の状態で
野菜等
を
洗浄
いたしました場合、体内に摂取される
ABS
の量は、最悪の場合を考慮しても〇・六ミリグラム・
パー
・キログラム
程度
である、すなわち
一つ
の
慢性磁性
についての一日
最大安全量
が、先ほど御
説明
申し上げましたように
体重
一キログラム
当たり
三百ミリグラムという
数字
が出ておるのに対しまして、現在の
使用状況
から考えると〇・六ミリグラム
程度
、すなわち約五百倍の
安全率
が考えられるわけでございます。これは
昭和
三十七年の当時におきます実態からの
数値
でございますが、そういう
結論
が出まして、そういったいろんなことを考え合わして、この
調査班
といたしまして、
中性洗剤
を
通常
の
使用濃度
、
方法
で
洗浄
のため使用するならば、
食品衛生
上問題はない、かような
結論
が提出されております。 それから二番目の
皮膚障害
の点でございますが、これは
皮膚障害
はまたいろんな問題がその後に起きておりますが、当時の一応の
報告
を読ましていただきますと、
動物実験
によりますと〇・一%の
ABS溶液
は
皮膚
に対してほとんど
影響
がないという、こういう結果を出しております。したがいまして、
中性洗剤
を
通常
の
使用濃度
、
方法
で
洗浄
のために使用するならば、
皮膚障害
は特に問題とする必要はない、かような
結論
が提出されております。 それから次は
労働衛生
の問題といたしまして、
製造工場
の
従業員
の問題といたしまして
報告
がされておるわけでございますが、当時この
合成洗剤
の
製造工場
八カ所でございますが、八カ所につきまして
ABS
の
濃度
を測定いたしておりますが、その
工場
の
空気
中の
平均濃度
が一・五ミリグラム・
パー
・立米、一
立方メーター当たり
一・五ミリグラム、かような
濃度
であったようでございますが、そういう
濃度
で計算いたしますと、その
合成洗剤工場
に従事いたしております
労働者
が呼吸により一日約三十ミリグラム
程度
吸収
する、これは防具を装着しない場合に一日三十ミリグラム、かような計算を行っておるわけでございます。したがいまして
中性洗剤
、これは
言葉
がいろいろ
合成洗剤
、
中性洗剤
という
言葉
が出てまいりますが、とりあえず
合成洗剤
一本でまとめさせていただきますが、
合成洗剤製造工場
において、
労働衛生
上の立場から
環境
の
空気
中の
ABS
の
濃度
をできるだけ下げる等の努力をすることが望ましい、かような
結論
が
報告
をされております。 それから次は
上水道
に対します
影響
のいろんな
調査
でございますが、当時十都道府県にございます
主要浄水場
二十カ所及び
井戸
五百ヵ所を
調査
いたしております。これは
調査期間
が
昭和
三十七年六月から
昭和
三十八年一月の間でございますが、この間五百二十カ所のところを
調査
をやっておりますが、
水道水
については特に
対策
を要するほどの
汚染
は認められなかったが、例外的に東京都
玉川浄水場
の原水が、
ABS濃度平均
〇・六
PPm
になっていた、それから
井戸
水については
少数例
では〇・五
PPm
以上の
ABS
が存在した、ただそういった高
濃度
の
ABS
の存在した
井戸
は、いずれも
構造環境
の不備のものであった、かような
報告
がなされております。したがいまして、以上により
ABS
は
浄水施設
の
ろ過効果
に
悪影響
を及ぼしたり、
地下水
の
汚染
を促進するものでないと考えられるが、
水道水中
の
ABS濃度
が高くなると発泡しやすくなり、好ましくないので、今後
ABS使用量
の
増大
を考慮して、
水道原水
の
ABS濃度
を下げるよう措置することが望ましい、そのような
報告
が行われております。 五番目の問題といたしまして、
下水
への
影響
でございます。当時やはり同じ期間に八都市の
下水終末処理施設
の
下水
中の
ABS濃度
を測定いたしておるわけでございますが、その
下水
の
処理場
に入ってくるところの
ABS濃度
が、
平均
五
PPm
、
最高
一〇
PPm
前後という
数字
が出ております。それから、これを
下水処理場
で
処理
をいたしまして放流する
放流水
の
濃度
につきましての結果は、二
PPm
ないし四
PPm
。すなわち五ないし一〇
PPm
のものが二ないし四
PPm
に
処理
後下がっている、そういう当時の結果が出ておるわけでございます。さらに、
下水処理能力
に及ぼす
影響
から考えて、
下水
中の
ABS
の
恕限度
は
日間平均
一〇
PPm
、
最高
二O
PPm
以下が適当と考えられる、かような
報告
がなされております。したがって、この三十七年当時の
調査時点
におきましては、この
下水
に対する
悪影響
は、その
時点
においては認められなかったわけでございますが、今後の
ABS使用量
の
増大
に伴い、将来
下水処理施設
においていろんな
障害
が問題化すると考えられるので、
下水処理施設機能
の改善、
分解性
のよい
ABS
の
採用等
の
対策
をとることが望ましい、かような見解が述べられております。これが
昭和
三十七年当時行いました
研究班
の
結論
でございます。こういった
結論
に基づきましてその後いろんな措置がとられたわけでございます。ただいま申し上げましたように、
分解性
のよい
ABS
を採用しろ、すなわち
ABS
から
LAS
への転換というようなことも行われたわけでございます。それから、これも建設省の方の所管でございますけれども、
下水処理施設
につきまして三次
処理
というような問題も出てまいっておるわけでございます。 それから
厚生省
といたしまして、
合成洗剤
の
成分規格
及び
使用基準
を設定いたしたわけでございます。これは、むしろこういった
洗剤
というようなものあるいは
食品加工
上使用されますいろんな
化学物質
というものはできるだけ
必要最小限
にとどめるべきであるという
基本原則
に立ちまして、
野菜等
に使用した場合の
洗浄効果
を考慮いたしまして、
使用濃度等
を
必要最小限
にすることを
内容
といたしました基準を
昭和
四十八年四月二十八日に
告示
をしたわけでございます。この
告示
の
内容
がちょっと非常に専門的でございますが、お
手元
にこの
告示
をお配りしてございます。このように三十七年の
研究班
の結果に基づきましていろんな
対策
を講じてまいったわけでございますが、その間またさらに
昭和
四十四年――これはまた話が途中に返りますが、
昭和
四十四年に開かれました
先天異常学会
におきまして、
合成洗剤
に
催奇形成作用
があることが発表され、
合成洗剤
の
安全性論議
が全く別の
角度
から行われるようになったわけでございます。すなわち、従来
昭和
三十七年当時は、
食品
の取り扱い上こういった
合成洗剤
を使用いたしまして、これが
経口毒性
としてわれわれにいかなる
影響
が及ぶかというようなことが問題になっておったわけでございます。これを三十七年から、いろいろ先ほど来御
説明
申し上げましたように、
研究班
によりましていろんな
検討
を加えて
一つ
の
結論
を御
答申
いただいた。特に
食品衛生調査会
から御
答申
をいただいたわけでございますが、その後
昭和
四十四年に全然別の
角度
からこの
合成洗剤
の
催奇形性
ということが新しい問題として取り上げられた、こういう
経過
になっておるわけでございます。 かように
昭和
三十七年に
答申
を受けていろんなことをやったわけでございますが、この
合成洗剤
の
使用量
というものが年々増加の傾向にあるわけでございます。それにまた並行いたしまして四十四年に新しい問題としての
催奇形性
の問題が提起されたわけでございまして、そういった情勢を考えまして、
昭和
四十八年に
合成洗剤
の
安全性
をさらに慎重に追試することを
目的
といたしまして、また
科学技術庁
の
特別研究調整費
をいただきまして
研究
を行うことになったわけでございまして、その四十八年からこの
研究班
を編成いたしたわけでございますが、昨年十二月五日、各
実験者
から
口頭
による
中間報告
をいただいたわけでございます。この新たに
昭和
四十八年から
特別研究促進調整費
によりまして行っている
実験
は大きく分けまして
三つ
の班から編成をされておるわけでございます。
一つ
は
皮膚
からの
吸収
すなわち
経皮吸収
による
生体影響
に関する
研究
ということでございまして、これを
厚生省
と
労働省
が一応お世話をしている、かような形になっております。それから
皮膚障害
に関する
研究
、これを
厚生省
がやっております。それから三番目といたしまして、今度は全然別の
角度
から
洗剤
の
洗浄効果
及び
残留性
に関する
研究
、これを
科学技術庁
の方、すなわち
残留農薬
に対する
洗浄効果
の
研究
を
科学技術庁
、
細菌
に対する
洗浄効果
の
研究
同じく
科学技術庁
、それから
洗剤
の
残留性
に関する
研究
、これを
厚生省
がやっておるわけでございます。さらに
経皮吸収
によります
生体
への
影響
に関する
研究
というものが
三つ
の小
委員会
に分かれていろいろな
検討
を加えておるわけでございますが、
一つ
が
慢性毒性
に関する
研究班
、それから二番目が
催奇形性
に関する
研究班
、それから三番目が
代謝
に関する
研究班
、この
代謝
に関する
研究班
を
労働省
の方にお願いいたしておる、かようなことになっておるわけでございます。 それからこの
研究班
のメンバーにつきましてはお
手元
にお配りしてございますこの資料の最後のページにこの
研究班
の
研究員
の名簿を添えてございますので御
参考
にしていただきたいと思います。 それで、昨年十二月に一応の
中間報告
を
口頭
でいただいたわけでございますが、その
内容
について概略御
説明
申し上げたいと思います。
慢性毒性
の
分野
につきましてこれを行っておりますのが北里大学、
東京医大
、大阪市の
市立衛生研究所
でございますが、この三ヵ所で
慢性毒性
の
実験
をやっております。昨年の十二月五日の
時点
におきましてはまだ
研究
が完成をいたしていなかったわけでございまして、
研究
の途中でございましたが、十二月五日
発表時点
までには
体重減少
などのそういった現象は見られず、異常の
報告
はなかったわけでございます。さらに、この
慢性毒性実験
につきましては、現在この
実験
を継続中でございます。 それから二番目の
催奇形性
の
試験
、これが
一つ
の大きな問題でございますが、この
催奇形性
につきましては
京都大学
、
三重大学
、
広島大学
の三カ所でこの
実験
を行ったわけでございます。これはまたちょっと後ほど御
説明
申し上げたいと思います。 それで
皮膚障害試験
につきましては信州大学、東邦大、
慈恵医大
、それと
国立衛生試験所
、ここでやっておるわけでございますが、この
皮膚障害試験
につきましては、粘膜に対する
刺激性
は弱く、また
アレルギー作用
は認められない、高
濃度
で塗布した
皮膚
に
刺激性
を見たが、低
濃度
では
刺激性
はなかった、この限界が〇・四%という
数字
、すなわち〇・四%以下の
濃度
では
皮膚
に対する
塗布実験
で
刺激性
が認められなかった、かような一致したデータが
報告
をされております。 それから
代謝試験
につきましては、これは
国立衛生試験所
が担当いたしたわけでございます。これ一ヵ所でございますが、この経皮的に
吸収
される量はきわめて少なく、
吸収
後二十四時間以内にそのほとんどが屎尿中より排せつされ、
排せつ成分
は
分解
した破片であることから
生体
内ですみやかに
分解
されるものと考えられる、かような
中間報告
がなされたわけでございます。 それで、残りました
催奇形性
の
研究班
でございますが、これが
意見
が現在のところ割れておるわけでございます。すなわち、
京都大学
、
広島大学
で、これはまだ
実験
が完全に完了したことにはなっていないわけでございますが、まあその
実験
の途中の結果でございますが、
京都大学
、
広島大学
ではその
催奇形性
を認めていない、
三重大学
で
催奇形性
が認められたと、かような
中間報告
が出されておるわけでございます。で、なぜこのような食い違いが起きたかということを先日のこの
会議
でいろいろ
検討
をされたわけでございますが、なかなか
結論
を得ることには至らなかったわけでございます。それで今後さらに
実験
条件等を厳格に定めて
研究
を続行しようと、かような
結論
になったわけでございます。 それでこの十二月の段階におきまして今後さらにこの
催奇形性
の
研究班
においては、
実験
結果等をいろいろ
検討
して、お互いにこの
実験
等に立ち会うというようなことも必要ではなかろうかというようなことで、その打ち合わせ会を本年一月開いたわけでございまして、このやはり
催奇形性
につきまして
意見
が分かれた。
一つ
のところは出る、奇形の発生が認められるということ、他のところでは認められないと、なぜこういう違いが出てくるか、それではやはり出たというところの
実験
を再度確認の意味においてほかのところでも同じようにやってみようではないかということになったわけでございます。すなわち、この
動物
の
種類
、系統等がこれは
一つ
の大きな問題になるわけで、
動物
の
種類
、系統が違いますと同じものをやりましても、たとえばがんの問題にいたしましても発生する場合と発生しない場合とがあるわけでございまして、
動物
の
種類
、系統等を統一しようじゃないか、それから飼育
方法
も同じようにしよう。御承知のように、こういった
実験
を行います場合に
一つ
の大きな問題になりますのは、他の条件、
合成洗剤
を各種の
濃度
で塗布するという行為以外のいろんな条件というものはやはりみんな同じにしていないと、えさが違ったりあるいはいろんな飼い方の違いによるそういった
影響
によって
片一方
では奇形が発生し
片一方
では奇形が発生しないというような問題もあるわけでございまして、そういった点も十分考慮して、飼育
方法
も統一をとろうではないかと、さらにこれは非常に専門的な問題になるわけでございますが、
実験
を終わった
動物
をあとで顕微鏡等で見るためにいろんな
処理
を行うわけでございますが、その
処理
方法
などについても一統一をとろうということでございまして、まあそういった細かい打ち合わせをこの一月の
会議
で行ったわけでございまして、さらにその際そういったいろんな
方法
をお互いに立ち会って確認しようじゃないかというようなことまで取り決められたわけでございまして、現在この計画に基づきまして
動物
の手配を行っている段階でございまして、これは非常に特殊な
動物
、特に無菌的な
動物
等の使用も考慮いたさなければならないわけでございますので、現在そういった
動物
の手配を行っておるわけでございまして、その入手ができ次第、次の
実験
に着手する予定で現在進めておるわけでございます。なお、
実験
の終了期日等につきましては、これいろんな
実験者
の
研究
室の
処理
能力等もございまして、一定にはなかなかできないんではなかろうかと思っておりますが、極力早期に
結論
を出すように現在お願いをしている段階でございます。 それで、
催奇形性
につきましていろんな
意見
があるわけでございます。まあいままでいろんな人からいろんな
報告
が出されておるわけでございますが、
経口投与
によります
催奇形性
及び繁殖性
試験
結果、これがいろんな学者から
報告
をされておるわけでございまして、その
報告
を一表にまとめましたのがお
手元
にお配りしてございますこの資料の十ページ、十一ページでございますが、かように現在まで世界――やはり
合成洗剤
、世界各国で非常に多く使われているものでございまして、この問題はわが国だけの問題ではないわけでございまして、世界各国いろんな
研究
所でいろんな
実験
が行われておるわけでございますが、ここにその一覧表を掲げてございます。それで
昭和
四十四年の学会にこの
催奇形性
ありということで発表されまして、その後いろんなところで、特に官公立の
研究
所でもこのことは重大だということでいろんな
実験
をやったわけでございますが、たとえば東京都立の衛生
研究
所、これが
昭和
四十八年五月に発表しておりますマウスについての
実験
、それからイギリスのハンチングトン
研究
所、これはラット、マウスを使っての
実験
でございますが、
昭和
四十八年十一月発表、それから大阪府衛生
研究
所、これはマウスを使っての
実験
で、これは非常に新しい
実験
でございますが、四十九年十三月発表いたしておるわけです。この
三つ
のその後の
研究
等において、結果はいずれも奇形の発生を認めないという
報告
がなされておるわけでございます。それもここに一応この表の中に加えてございます。まあ、これいずれにいたしましても、そういうここにこれだけの
報告
がございまして、こういう結果、これは事実をここに出したわけでございます。こういういままでの内外の文献によります
調査
によりますと、かような結果になる。 以上をもちまして
報告
を終わりたいと思います。
鶴園哲夫
4
○
委員長
(
鶴園哲夫
君) 以上で
説明
の聴取を終わりました。 午前中の
調査
はこの
程度
とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午前十一時四十八分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十三分開会
鶴園哲夫
5
○
委員長
(
鶴園哲夫
君)
委員会
を再開いたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
森下泰
6
○森下泰君 先ほど
厚生省
の
環境
衛生
局長
から詳細の御
説明
がありまして、本件につきましての大筋はほぼ理解をいたしました。なお、
昭和
三十七年以来、国会における本件の
審議
を私調べてみましたところ、衆議院におきましては、予算、決算、社労、商工、内閣、法務、
公害
環境
並びに科学技術の各
委員会
におきまして十六回、参議院におきましては三十七年二月に坂本、阿具根両
委員
の柳沢
参考
人に対する御質問以来、社労、予算、決算、物対の各
委員会
におきまして十一回、両院合わせまして二十七回の御
審議
が行われております。かつ、先ほど御
説明
のとおり、
厚生省
においてその後適切な処置がとられておりますので、私の
意見
では、すでに本件は一応の解決を見たものではないかと、かように考えるものでありますが、国民生活に及ぼす
影響
の非常に大きい重大な問題になりますので、この際、さらに明確にしておきたい、かように考えました。特に監督官庁であります
厚生省
の御見解をただしたい、かように考える次第でございます。
合成洗剤
は、
昭和
三十年代の電気洗たく機の普及に伴って、
使用量
が爆発的に増加したのは周知のとおりであります。その結果、主婦にとってつらい仕事であった炊事、洗たくが大幅に改善されました。しかし、三十七年の庵島事件以来一部の学者、消費者の間から
合成洗剤
には手荒れ、発がん性、
催奇形性
等の原因となる有害説を唱える声が上がってまいりました。この声を聞くたびに、私は率直に申しまして、中世の魔女
裁判
、またガリレオの地動説に対する非難の声を思い起こさざるを得ない次第でございます。特に
催奇形性
に関しましては、国立衛生
研究
所、
京都大学
、
東京
都衛生局、イギリスのハンチングトン・リサーチセンター、そして昨年末の大阪府衛生部の
実験
結果と、いずれも
催奇形性
はないという否定の公式発表がございました。先ほど御
説明
のとおりであります。さらにまた、わが国より十数年も前からアメリカ、ヨーロッパにおいて
合成洗剤
が使用されている事実、言いかえますれば、延べ十数億人の人々の
生体
実験
が行われたことになるわけでありますが、そのアメリカ、ヨーロッパにおいては
合成洗剤
有害論や、あるいは追放運動は全く起きておりません。ましてや、いかなる規制もなされていないと聞き及んでおります。いまわれわれの身の周りを見渡して見ますと、一〇〇%安全というものはあり得ません。
洗剤
と同様に台所にあります砂糖でも、人間の
体重
一キロ
当たり
八グラムから十二グラム食べれば
急性毒性
で
致死量
になりますし、同様に飲用アルコールは一キロ
当たり
七・四ないし八グラム、食塩はキロ
当たり
三・七五グラム、ふくらし粉が三グラムないし四グラム、そして
合成洗剤
は、衣料用で四グラムから七グラム、台所用で六グラムから十グラムが
致死量
という結果が出ております。で、反
合成洗剤
をお唱えになる方々が、こうした結果から食塩の追放、飲用アルコールの禁止あるいは砂糖の追放を唱えられるでありましょうか。恐らく一度にそれだけの量は
体内
に入るはずがないとお答えになるはずでございます。さらにまた、
合成洗剤
有害説を唱えられる方々のおっしゃるとおり、
合成洗剤
を粉石けんに切りかえました場合、必要とされる原料である牛脂は四十六万七千トン、ヤシ油は十一万七千トン、これは牛脂の世界輸出量の四割、ヤシ油の二割を日本が買い占めなければならない、かような計算に相なります。これら牛脂、ヤシ油は本来食糧用であり、食糧危機が叫ばれております折から、または世界的に資源問題が大きくクローズアップされておりますときに、このような主張が適切かどうか、私には大変疑問に思われてなりません。また、粉石けんに転換しました場合、天然油脂の輸入増により年間六百億円の外貨がいまよりよけいに必要となるわけであります。さらに、いま述べましたことから、現在より
洗剤
というものが当然にコストアップになることは申すまでもございません。私は、何も値段が高くなるから、あるいは外貨が多く要るから、というのではなくて、年間約一千万トンという
合成洗剤
が世界じゅうで生産されておりますが、その中でわずか八十三万トンを生産しております日本だけに限って、どうして
合成洗剤
の追放という声が起きるのか、ましてや、多くの学者、専門家の
実験
からも有
毒性
が否定されております中にあって、なぜ特別に取り上げられなければならないのか、まさしく
合成洗剤
追放運動は、他の最近やかましい排気ガスの問題あるいは騒音
公害
などについてのヒステリックな論調と同様に、魔女狩り以外の何ものでもない、率直に私はかように考えるものでございます。 さような
立場
から、そこで監督官庁である
厚生省
の御
意見
をただしておきたいと考えます。お伺いいたしたいことは七つございます。 第一に基本的な問題として、
合成洗剤
の
安全性
について、
厚生省
は基本的にいかにお考えでございますか、お伺いをいたしたいと思います。
石丸隆治
7
○
政府委員
(
石丸隆治
君)
合成洗剤
の
安全性
の考え方につきましては、本日午前中に御
説明
申し上げたところでございまして、
二つ
の点からこれを論じなければならないのではなかろうかと考えておるわけでございます。 まず、
野菜
、果実あるいは
食器
具等の
洗浄
の用に用いまして、これが経口的に入ってきたときの
毒性
の問題でございますが、この点につきましては、
昭和
三十七年度
科学技術庁
の
特別研究促進調整費
によりまして
研究
いたしました結果、
通常
の
洗浄
の
目的
で使用する場合におきましては、
人体
に対する
影響
はないとの
結論
を得ているところでございます。なお、この点につきましては、同じく
昭和
三十七年の
食品衛生調査会
におきましても、大臣の諮問に対しまして
調査会
の方から同じ趣旨の御
答申
をいただいているところでございます。しかしながら、最近に至りまして、この
経口毒性
に加えまして、
経皮毒性
の問題が新たに提起されたわけでございまして、そういった状況にかんがみまして、
厚生省
といたしましてはさらに慎重を期するため、昨年度
科学技術庁
の
特別研究促進調整費
をいただいて、
労働省
、
科学技術庁
等の
研究
機関の御協力を得まして、現在
経皮毒性
あるいは
催奇形性
試験
等、総合的にその
毒性
の
検討
を行っておるところでございまして、
昭和
五十年度におきましても引き続いてこれらの
試験
を続行してまいる所存でございます。なお、現在果実、
野菜
あるいは
食器
具の
洗浄
剤につきましては、品質を確保し適正な使用を行わせるために規格、
基準
を設定しているところでございます。さらに、一般に使用されております
中性洗剤
あるいは
合成洗剤
は、人によって手の荒れ等の問題が起きておるわけでございます。これはまた使用者のいろんな個人的な体質の
関係
等があろうかと思うわけでございますが、手の荒れ等の訴えのある人も出てまいっておるわけでございまして、こういった点にかんがみまして、現在
家庭用
品品質表示法に基づきまして、適正
濃度
の使用と使用後の手入れ等の
方法
につきまして、
洗剤
の容器にそういった意味での表示を行わせているところでございます。 さらに、この
合成洗剤
に比しまして
洗浄
力は劣りますけれども、より作用の緩和と申し上げましょうか、
人体
の
皮膚
刺激等のさらに弱い石けん等、脂肪酸系の
洗剤
の規格もこの
食品衛生法
で定めておるわけでございまして、これを定めましたということは、
関係
省の御協力を得まして消費者が選択の自由を確保できるよう、すなわち、どちらでも自由に使えるように、そういった生産等もお願いしている、こういう状況でございます。
森下泰
8
○森下泰君 ただいまの御
意見
では適切な使用が行われ得る限り安全であると、基本的にはさような御
意見
と了解してよろしゅうございますか。
石丸隆治
9
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 御指摘のとおりでございます。
森下泰
10
○森下泰君 じゃ次に、具体的な問題でございますが、先ほどの御
説明
の中で
合成洗剤
の
催奇形性
についてクロスチェックの
実験
を行うと、かような御
説明
がございました。私、先ほどの資料を拝見いたしておりましたが、私の信じております範囲で、多くの資料の中でほとんどの学者の御
意見
が
催奇形性
につきましては否定をされておりまして、ごく少数、極端に申せば御一名の御
意見
がさようでないと、かような状態のように理解をいたしておりますが、さような状態のときに、なおかつクロス
実験
をしてさらに
検討
を加えるという必要があるのかどうか、あるいは具体的におやりになるとすればどういう
方法
でお進めになるのか、その点について御
意見
を伺いたいと思います。
石丸隆治
11
○
政府委員
(
石丸隆治
君) この
合成洗剤
の特に
催奇形性
の問題につきまして
意見
の分かれているところは、先生ただいま御指摘のとおりでございます。それで、まあこれいろんな
意見
が
実験
結果から出てくるのはやむを得ざるところだと思うわけでございますが、先日この
研究班
を開きまして、こういったデータの食い違いがいかなる理由によってそういった食い違いが出てきたものか、御
検討
を願ったわけでございますけれども、先日の
委員会
におきましては、そのデータの食い違いというものを学問的に
説明
し得るような
結論
を得られなかったわけでございます。まあそういった場合に、やはりそういったデータの食い違いというものを学問的に正確に証明し得れば、それで
一つ
の問題が片がつくのではなかろうかと思うわけでございますが、不幸にいたしまして、この問題につきましては、先日の
委員会
におきましていろいろ御
検討
願ったわけでございますけれども、それを
説明
し得るだけの
結論
には達しなかったわけで、したがいまして、これはやはり
実験
の
方法
の食い違いというようなものが一応考えられるわけでございますので、今後の問題といたしまして、両者の間で
実験
の
方法
等を統一いたしまして、同じ
方法
でやってなおかつそういった食い違いが出るものか、あるいは
実験
の
方法
を同一にすれば同じ結果を得るものであるか、そこをもう一度御
検討
願うということで、現在この
研究班
の計画を立案中でございます。
森下泰
12
○森下泰君 わかりました。 第三問、第三点をお伺いいたします。
合成洗剤
には発がん補助性があるという御
意見
を耳にいたしたことがございますが、この点につきましては
厚生省
の御見解いかがでございますか。
石丸隆治
13
○
政府委員
(
石丸隆治
君)
合成洗剤
の発がん性の問題、すなわち
合成洗剤
ががん原性を持っているかどうかという問題につきましては、多くの
研究報告
が出されておりまして、
合成洗剤
そのものの発がん作用ということは認められていないという
結論
になっているというふうにわれわれは理解いたしておるわけでございます。 それで、先生御指摘のような
合成洗剤
の発がん補助作用というものがあるかどうかという点でございますが、これは理論的には考えられるところでございますけれども、まだこれを
実験
的に立証している事例はないわけでございまして、そういった意味におきまして、高
濃度
の
ABS
、すなわち
合成洗剤
と――四-NQOという、これは自然界には存在しない
物質
でございます。四-NQOという強力な発がん
物質
、これは人工的につくった
物質
でございますが、この
物質
と両方をこうかけ合わせまして発がん率が高まるかどうかという
実験
が必要なわけでございますが、まあ非常に
ABS
の高
濃度
のところで
実験
をやりますと、この発がん率が高まるという、かような
報告
はあるわけでございますが、現在の
通常
の使用の
濃度
、そういったところでこういった作用があるのかないのか、まだ
実験
的に証明されておらない段階でございまして、そういった点につきましては、さらに今後
検討
してまいりたいと思っております。
森下泰
14
○森下泰君 ただいまの御
意見
は、発がん補助性は現在の
時点
においては認められないと、かような御見解と解釈いたしますが、よろしゅうございますか。
石丸隆治
15
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 現
時点
におきまして、現在
通常
使用される
濃度
域においては証明されていない、かようにわれわれは理解しております。
森下泰
16
○森下泰君 ありがとうございました。 第四点、水田で作業をしておられた婦人が
合成洗剤
がその水田に流れ込んだということによって肝臓
障害
を起こしたという事例を耳にいたしましたが、この事実並びに御見解を伺います。
石丸隆治
17
○
政府委員
(
石丸隆治
君) ただいま先生御指摘の事例に、私がこれから申し上げるのがぴったり当たるかどうか、ちょっとわからないわけでございますが、恐らく島根県浜田市で農業に従事しておられる婦人の事例ではなかろうかと思うわけでございますので、その事例について御
報告
申し上げますと、本件につきまして、われわれの方は県からの
報告
を受けておるわけでございまして、その
経過
を承知しておるわけでございます。なお、この事例についてはっきりこの
合成洗剤
のための肝
障害
という
結論
はまだ出ていないというふうにわれわれ承知いたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、従来いろいろこの
合成洗剤
の
毒性
の
検討
は行っておるわけでございますが、特に普通の
濃度
におきまして肝臓
障害
というような――これは
動物実験
の結果でございますけれども、
動物実験
による肝臓
障害
というような結果を得ていないわけでございまして、現在のところこの事例が果たしてこの
合成洗剤
の
影響
による肝
障害
か否かということはまだ不明の段階になっております。
森下泰
18
○森下泰君 現状について、ただいまの御
意見
は現状については取り上げるに値しない事例である、客観性という点においてなおそういう意味で
検討
を要する、かように了解してよろしいですか。
石丸隆治
19
○
政府委員
(
石丸隆治
君) やはりこういった問題につきましては、われわれといたしましてはどちらかの
結論
が出るまで徹底的にやりたいわけでございますけれども、現状におきまして県の方からの
報告
によりますと、まだどちらとも
結論
を得るに至っていない段階というふうに承知いたしております。
森下泰
20
○森下泰君 ちょっとしつこく伺いますが、非常に重大な問題であれば何らかの措置を要するはずでございますが、本件につきましては早急に何らかの措置をしなければならないという問題ではない、かようにお考えであると了解してよろしいですか。
石丸隆治
21
○
政府委員
(
石丸隆治
君) この
動物実験
との関連から考えまして、
合成洗剤
による
影響
ということは非常に考えにくいというふうにわれわれ理解しておるわけでございますけれども、そういった点につきましてさらに確証を得るために県の方に対しまして
調査
を依頼している、かような状況でございます。
森下泰
22
○森下泰君 ありがとうございました。 第五点をお伺いいたします。実は昨年末
東京
都において
野菜
及び果実については水洗いだけでよいという見解の発表があったようでありますが、国民の健康を預かる
厚生省
とされて、
東京
都の言われたように日本全国で生産される
野菜
のすべてが水洗いだけで国民の食卓へ運ばれることが望ましい、かようにお考えでありますか、御
意見
を伺います。
石丸隆治
23
○
政府委員
(
石丸隆治
君) これは非常にお答えしにくい御質問だと思うわけでございますが、われわれ
食品衛生
を担当しておる者といたしましては、こういった化学的な合成品をいろんな
食品
の取り扱いの過程において使用いたします場合に、やはりこの
毒性
の問題を離れましてできるだけそういった
化学物質
というものがわれわれの食生活の中に入り込まないような
方法
をとっていくという、そういう原則的な
方法
を考えておるわけでございます。したがいまして、
東京
都が最近学校給食用の
野菜
、果実の
洗浄
につきまして
合成洗剤
を中止する方針を決めた、水洗いだけで十分だという方針を決められたやに聞いておるわけでございますが、これが果たして
合成洗剤
の
毒性
のためにそういう措置をとられたのか、あるいはその他のいま私が申し上げましたような
食品衛生
の基本的な姿勢としてそういう
方法
をとられたのかという点が問題ではなかろうかと思うわけでございます。これにつきましては、
一つ
は
野菜
や果実に付着いたしておりまする寄生虫卵、あるいは農薬による
汚染
、そういったものが、だんだん現在
関係
各省庁の努力によりましてそういった点が非常に改善されてきておるわけでございまして、そういう状態の中で寄生虫なんかが
減少
しておる状態の中では水洗いだけで十分ではなかろうかということでそういう御決定がされたというふうにわれわれは判断いたしておるわけでございます。その
一つ
の証拠といたしまして、もし
有害性
ということでそういった中止が行われたものとすれば、やはり学校給食の
食器
の
洗浄
にこの
合成洗剤
を使うこともおやめになると思うわけでございますけれども、
食器
の
洗浄
については
中性洗剤
の使用を継続されているという、かような状況でございますので、やはりいまの
野菜
、果実等の寄生虫卵あるいは農薬による
汚染
、その現状から考えて
合成洗剤
の使用の必要性がないという点からその使用をとめられたというふうにわれわれは理解しておるわけでございまして、そういった点につきましては
東京
都に入荷する
野菜
、果実等についてそういう状況にあるということは理解できるわけでございまして、その他の都市、全国的にこれが当てはまるか否かということにつきましては、それぞれの地方の実態によって異なってこようかと思っております。
森下泰
24
○森下泰君 ただいまの御
意見
では、
東京
都へ入ってきます
野菜
と大阪や名古屋あるいは長崎県で使われます
野菜
とは入ってくるときの条件が違うんだというふうに伺いましたが、そう解釈してよろしいですか。
石丸隆治
25
○
政府委員
(
石丸隆治
君) この寄生虫卵による
野菜
、果実の
汚染
の実態というものをただいまわれわれデータとして持ち合わせておりませんけれども、やはり人間の寄生虫卵保有率というものを地域別に見ますと相当地方によってその格差があるわけでございまして、そういう実態から考えますと、やはりそれぞれの生産地で生産される
野菜
の寄生虫卵による
汚染
率というものも相当地域性があるんではなかろうかと推定いたしております。
森下泰
26
○森下泰君 私ども素人の考えですと、むしろ
東京
の
野菜
の方が大気
汚染
やいろいろ要素を含めまして
汚染
されておりまして、地方の方がむしろその要素が少ないというのが常識的な見解ではないかと思いますが、なお伺いたいのは、さように各地におきまして条件が違いますから、ですからそれぞれの府県の判断でよろしいと、
厚生省
としてはそういうことについては特に指導を要さない、こういう御見解ですか。
石丸隆治
27
○
政府委員
(
石丸隆治
君) ただいま私申し上げましたのは、そういった先生御指摘のような大気
汚染
に伴う
化学物質
による
汚染
ということではなく、
一つ
のインデックスといたしまして寄生虫卵の問題を取り上げたわけでございまして、たとえば寄生虫卵保有率を見ますと、滋賀県に比べますと
東京
は約九分の一というような状況になっておるわけでございまして、そういう点から考えますと、やはり
東京
に入荷している
野菜等
は寄生虫卵に関する限りは相当きれいなものではなかろうかと思っております。そういったふうに非常に地域的な偏差と申し上げましょうか偏りがあるわけでございまして、やはりそういった点につきましては国が統一して全国を同じ
方法
でやるというよりは、やはり各地域の実情に応じてそれぞれの都道府県で御処置願った方がいいんではなかろうかと思っております。
森下泰
28
○森下泰君 ただいまの問題につきましては、私は、
合成洗剤
が仮に悪いということで、そして使わない、水洗いでよろしい、ところが当然考えられますことはいまお話しの寄生虫あるいは
細菌
、いろんな問題がございまして、その方のマイナスがたくさん出るという場合が当然に考えられると思います。したがいまして
合成洗剤
が悪い場合でもなおかつさように比較して相対的に考えるべきことではないか、ましていわんや
合成洗剤
に問題がないといたしますれば全くばかげた考え方でございまして、そういう考え方で仮に
東京
はおやりになる、勝手にやればよろしいということで、
厚生省
の監督官庁、責任官庁として、将来そのために寄生虫がふえた、あるいはいろんな問題が発生すると思いますが、さような場合に非常に、どういうふうに御措置になるのか大変問題があると思いますので、なお御
検討
いただきたい。希望だけを申し上げておきます。 第六番目の質問を申し上げます。
中性洗剤
による先ほど話もございましたが、
皮膚障害
の問題でございますが、現在、日本の主婦のほとんどというよりも完全に一〇〇%の主婦の方々が
合成洗剤
を使っておられると私は確信をいたすものでございますが、その全日本の主婦の方々の間で
皮膚障害
が実際にどのように起こっておりますのか、もし起こっておりますとすれば
厚生省
としてはどのような措置、
対策
を講じておられますか、お伺いいたします。
石丸隆治
29
○
政府委員
(
石丸隆治
君) この
調査
そのものが非常に全国民を対象に
調査
することはむずかしいわけでございますが、この消費科学連合会が国民生活センターに委託いたしまして
調査
した事例で申し上げますと、二千九百人のこれは
調査
でございますが、そのうち
皮膚障害
の経験があるという回答を寄せられましたのが三五%の千十七名でございます。それから
皮膚障害
の経験がないという回答を寄せられましたのが六二%の千八百十四名、それから回答がなかったのが三%の七十名、かような結果を得ておるわけでございます。で、この
皮膚障害
も、これはいろいろ
程度
があるわけでございますが、御承知のように、この
合成洗剤
は非常に脂肪を取り去る力が強いわけでございまして、われわれの
皮膚
から
皮膚
の脂肪を取り去る作用を持っておるわけでございまして、まあそういった意味では人によって手の荒れを防止することは不可能になってくるんではなかろうかと思うわけでございます。この手の荒れというものが一体どういう性格のもので、どうしてそういったことが起きるかというさらに細かい
検討
につきましては、現在、
厚生省
の方でつくっております
研究班
で、
皮膚障害
の
研究班
の方におきまして、いろいろどういう人にこういったことが起きるのかというような点につきましてさらに現在
研究
を進めているところでございますが、いずれにいたしましても、そういった手の脂肪を取り去るという作用を持っておるわけでございますので、何らかのそういった作用があろうかと思うわけでございます。このため、そういったことを防止するために、
家庭用
品品質表示法に基づきまして、適正
濃度
でこれを使用する、それぞれの商品の適正
濃度
あるいはその使用後の手の手入れ
方法
等につきまして、
洗剤
の容器にこれを表示させるという
方法
をとっておるわけでございます。そういったようないろんな
方法
でこの手の荒れ等の問題につきましても対処しておるわけでございます。さらに、どうしても
合成洗剤
で手の荒れを防ぎ得ないというような人もおられるわけでございまして、そういった意味におきまして、先ほど申し上げましたように、
食品衛生法
の一部改正によりましてこの
洗浄
剤の規格
基準
の中で脂肪酸糸の
洗浄
剤の規格
基準
を定めておるわけでございまして、やはりその消費者の選択の自由を確保し得るよう、われわれといたしましては
通産省
の方とも御相談申し上げていると、かような状況でございます。
森下泰
30
○森下泰君 先ほどの冒頭の
局長
の御
説明
の中で、私は聞き違いかもわかりませんが、十二月五日の
中間報告
の
内容
として、
皮膚
の問題についてはアレルギーはない、それから濃い
濃度
の〇・四%以上でなければ、ほとんどというよりも全く問題がないと、こういう
中間報告
であったというお話ですが、間違いございませんか。
石丸隆治
31
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 先ほど申し上げました十二月五日の
委員会
の
結論
はただいま先生御指摘のとおりでございます。
森下泰
32
○森下泰君 じゃ、最後の御質問を申し上げます。 諸外国特に文明諸国と言われておりますヨーロッパ、アメリカにおきましては
中性洗剤
の
安全性
を問題にしている国があるのか、また独自の使用法などが各国で明示されておるのか、そういった点について御
説明
をいただきたいと思います。
石丸隆治
33
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 御承知のように、
合成洗剤
は世界各国、非常に幅広く使用されている
洗剤
でございまして、世界各国それぞれの国におきましていろいろ
検討
を行っておるわけでございまするけれども、いままでのところ、その
安全性
について問題にしている国というものについてはいま聞いていないところでございます。ただ使用
方法
等につきまして、これいろいろ規制を行っているところがあるわけでございますが、これはまあほとんどがアメリカでございますけれども、アメリカにおきましていろんな
洗浄
剤についての規制を行っておるわけでございます。先ほどわが国の現状につきまして適正な
濃度
でこれを使用するということを表示する義務を課しているということを申し上げたわけでございますけれども、特にアメリカ等は容器の規制を行っておるわけでございまして、特殊な容器の使用を義務づけておりまして、その容器を使いますと一定量以上は出ないというようなそういう容器の使用を義務づけたり、いろんな使用上の規制は行っておるところでございますが、アメリカ以外の国におきましてそういった規制をやっているということは聞いておりません。さらに、アメリカにおきましては、粘膜に対する
刺激性
というようなことで、容器に特に乳幼児の粘膜に対する
刺激性
の注意ということの表示を義務づけておる、こういう状況でございます。
森下泰
34
○森下泰君 特に先ほど来問題としてお伺いいたしました
催奇形性
あるいは発がん補助性等につきましては諸外国では全く問題になった事例はないと、かように理解してよろしいですか。
石丸隆治
35
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 発がん性の問題あるいは
催奇形性
の問題、これにつきまして諸外国におきましてもいろいろ
実験
は行っておるところでございますが、いままでわれわれが入手いたしております
報告
によりますと、そういったがん原性あるいは
催奇形性
を証明したという学術論文にはまだ目を通していないところでございます。
森下泰
36
○森下泰君 その場合に問題にしておるという
内容
でございますが、個々の学者が問題にして
研究
されるのはもちろん当然あると思いますが、政府あるいは政府機関において政府の予算を使いましてそうした
検討
が行われておると、さような事例はございますか。
石丸隆治
37
○
政府委員
(
石丸隆治
君) ちょっとそういう事例、われわれ特に世界各国それぞれの国について調べたことがございませんので、お答えいたしかねる状況でございます。
森下泰
38
○森下泰君 質問終わります。ありがとうございました。
浜本万三
39
○
浜本万三
君 まず私、自分自体が勉強すると、こういう意味もございますので、そういう意味を含めまして
通産省
の方からまず質問をしていきたいと思います。 需要と供給の
関係
なんでございますが、実際の実情を踏まえるために質問をしたいと思うのですが、まず供給側の方ですが、特に
洗剤
がたくさん利用されるような時期になりまして問題が出ますのが三十七年でございますから、三十七年と十年たった今日の状況を比較されまして、石けんと
洗剤
が一体どの
程度
生産をされておるかということからまずお尋ねをしたいと思います。
太田耕二
40
○
説明員
(太田耕二君) お答えいたします。 三十七年におきます
合成洗剤
の生産でございますが、これは十八万九千トンでございます。石けんでございますが、これは十七万一千トンでございますが、このうち粉末の石けんが六万トンばかり、その他固形が十一万トンということになっております。そのほか化粧石けんがあるわけでございます。十年後と申しますか、昨年の実績を申し上げます。
昭和
四十九年でございますが、
合成洗剤
の生産実績は八十三万一千トンになっておりまして、一方
洗たく用
石けんにつきましては三万二千トンということでございます。粉石けんにつきましては、そのうち約一万六千トン、固形石けんが一万七千トンばかしということになっておるわけでございます。そのほか、いわゆる化粧石けんが十万トン強出ております。ここでちょっと注意、目につきますことは、実は
昭和
四十八年でございますが、
昭和
四十八年ごろからいわゆるこの粉石けんへの転換の声が非常に高くなりました。四十九年、昨年はその声が非常にさらにアクセルレートされたというふうに私どもは感じておるわけでございますが、粉石けんにつきましては、
昭和
四十八年度二万一千トン弱の実は生産がございましたが、四十九年は一万六千トン弱ということになっておりまして、約二五%ぐらいの減ということに実はなっております。これは実は供給を十分しなかったということではなくて、実際の問題といたしまして、実は売れなかったという実態に基づくものだと私どもは解釈いたしております。
浜本万三
41
○
浜本万三
君 いまのこの生産の状況を伺いますと、結局
合成洗剤
が十年前に比べると十六、七倍大体生産をされるようになって、逆に天然の石けんが非常に少なくなったということなんですが、そういう
合成洗剤
を製造するメーカーですね、主として大きいところはどういうところがあるんでしょうか。
太田耕二
42
○
説明員
(太田耕二君) ちょっとただいまの御質問にお答えする前でございますが、十年間で非常に大きな倍率というお話でございますが、これは念のために申し上げますと、
昭和
三十七年が十八万九千トンで、四十九年が八十三万トンでございますので、四・数倍ということでございます。この辺、念のために再
報告
さしていただきます。
合成洗剤
の主なるメーカーでございますが、これは花王石鹸、ライオン油脂それから外資系のP&Gサンホームという会社がございますが、そのほかにニッサン石鹸、ミヨシ油脂、こういったところが主なるところでございまして、そのほかに中小メーカーが十数社ございます。合計二十社ばかしというふうに御理解いただきたいと思います。
浜本万三
43
○
浜本万三
君 そのうち、たとえばライオン油脂とかそれから花王などですね、大手五社とか聞いておるんですけれども、それの占有率は大体どのぐらいでしょうか。
太田耕二
44
○
説明員
(太田耕二君) これは台所といわゆる衣料用の洗たくとは若干違いますけれども、大筋で申し上げますというと、中小メーカーのシェアは大体一〇ないし一五%、それ以外がしたがいまして、この大メーカーということになるわけでございます。
浜本万三
45
○
浜本万三
君 これまで
洗剤
が、その性質が多少変化をしてきておるわけです。たとえば従来の
ABS
が
LAS
に変わるとか、そのほかいろんな変化があったと思うんですが、そういうこの
合成洗剤
の変化した主な
内容
と、それから、そういうふうに性質を変えなきゃならなかった理由、これを伺いたいと思います。
太田耕二
46
○
説明員
(太田耕二君) 成分の変化でございますが、これは先ほど
厚生省
の方からお話がございました
分解性
の問題で、実は
ABS
から
LAS
、正確に申しますとこれはL
ABS
ということなんでございますが、いわゆるこのベンゼン核に枝がついているわけでございますが、その枝が分岐したものでありますというと、
分解
能力
が悪いということで、直鎖、いわゆるリニアナ
ABS
ということで
LAS
と呼んでおりますが、そちらの方に実は変わったわけでございます。これにつきましては、
昭和
四十二年に
通産省
でも変えるようにという通達を出しまして、変更させましたいきさつがございまして、現在では、国内向けと申しますか、全量
LAS
に変わっておると。したがって、界面活性剤分、いわゆる衣料用、
洗たく用
の
洗剤
で申し上げますというと約二〇%弱、そういった界面活性剤が入っております。この
ABS
からいわゆる
LAS
に変わったというふうな基本的な違い以外は、その後は変化はございません。
浜本万三
47
○
浜本万三
君 外国もそういう経路をたどって成分を変えてきておるんですが、私の調べたところによりますと、一番早いのが西ドイツが三十九年ソフト化しておりますが、アメリカが四十年、イギリスは
ABS
の製造を禁止したという資料があるんでございますが、日本の場合にはようやく
通産省
が四十二年にその指導をなさるということは、非常に鋭敏な
通産省
としては、この問題に限って手ぬるいんじゃないかというふうに思うんですが、先ほど聞きますと、大手五社が相当の占有率を占めておる、あるいはここでも大企業の製品を擁護するという指導が残っておるんじゃないかという疑いがあるんですが、それはございませんか。
太田耕二
48
○
説明員
(太田耕二君) いまのお尋ねの件でございますけれども、実は日本といわゆる大陸と国情が違います。と申しますのは、
一つ
の例でございますライン川をとりましても、いろんな国を非常に長
期間
流れるわけでございますから、この内陸における滞留
期間
が非常に日本と比べて比較にならないくらい長いわけでございます。そういたしますというと、やはりいち早く
分解性
につきまして大きく問題になった。ところが、日本の場合はいわゆる水、山岳から海までの距離が非常に短うございますし、なおかつ雨量が多いものでございますから、そういった内水と申しますか、その滞留
期間
が非常に短い。したがいまして、いわゆる
分解性
、いわゆるあわ立ちの問題につきましても、問題のなり方がよりシリアスじゃなかったということ、それからしたがって、この時期も若干おくれる事情にあったと、こういうふうに私どもは考えておるわけでございまして、決して大企業擁護とかなんとかということではございません。
浜本万三
49
○
浜本万三
君
分解性
の問題から言いますと、大体三〇%まで
分解
するのが五時間とか、さっきちょっと時間のことをおっしゃいましたけれども、そうなってまいりますと、日本は川が急流であって、したがって、早く
分解
せずに海に放流をされる、こういう危険性があるから、なお外国よりは危険度が高いんじゃないかと思うんですね。にもかかわらず、日本のこれは
厚生省
か
通産省
か両方だろうと思うんですが、外国の打つ手よりもおくれたということは、相当問題があるんじゃないかというように思うんですが、いかがですか。
太田耕二
50
○
説明員
(太田耕二君) その場合、海に流れました場合の残留
ABS
の
濃度
が問題になってしかるべきだと思うわけでございますが、その件につきましては、実は
環境
庁の方で
調査
しているやに伺っております。で、そういった海域における
ABS
のいわゆる残留
濃度
というものは、それがある一定水準以上であるがゆえに、これは非常に問題であるということには現在までなっておりません。したがいまして、御質問の件につきましては、いわゆる野放しというふうなことにはならないんではなかろうかというふうに私どもは実は了解している次第でございます。
浜本万三
51
○
浜本万三
君 いずれしましても、こういう
化学物質
を使うことはできるだけ避けたいという
厚生省
からのいまお話がありました。まさにそのとおりだというふうに私も思うわけですね。ところが、そういう中で一方ではいわゆる有
毒性
の問題もあるし、そしてこれは無害なんだという議論もありますけれども、いずれにしても大きく議論があって、今日、国民が非常に不安を持っておる時期なんですが、その時期になお
洗剤
の広告というものが朝から晩まで相当な頻度で行われておる。そうすれば、安全という問題よりもやはり買わされるという状態が今日の流通
関係
の中あるいはマスコミの中では行われているんじゃないかと思うんですが、いま問題であるとするならば、
洗剤
の広告自粛について
通産省
はもっと指導すべきではないかと思うんですが、いかがですか。
太田耕二
52
○
説明員
(太田耕二君) 広告の自粛ということになりますと、結局
安全性
からくるのか、またほかの面からくるのかということによって観点が違ってまいると思います。
安全性
からくる問題であるとすれば、先ほど来いろいろ御議論、御質問なり、御警告なりあったわけでございまして、私どももいまのところ危険であるというふうには了解しておりません。したがってその面からいきますというと、いわゆる現在実施しております広告について、その行為自身がいわゆる常識を越えて逸脱しているかどうかということは必ずしも何とも言えないような段階かと思います。一方、広告料そのものがいわゆる過大ではないかというふうな問題はまた別な論点から論ぜられるといたしますというと、ここではちょっと
公害
、
毒性
の
立場
から言うと違った見方で議論しなければいかぬ問題ではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。
浜本万三
53
○
浜本万三
君 いずれにいたしましても、天然の石けんがよろしいということは間違いない。ただコストの問題もあるでしょうが、そこで
一つ
お尋ねをするんですが、今後天然石けんと
合成洗剤
をスー
パー
その他小売り店では両方とも消費者が選択できるように販売をする体制を指導されておるということを聞いておるんですが、今後ともそういう天然石けんの生産を強化いたしまして、いまの体制を一層強化するような指導をする考え方はございますんですか。
太田耕二
54
○
説明員
(太田耕二君) ただいま先生のお話の線に沿いまして私ども過去にも何回か工業会並びにいわゆる流通段階等につきまして、いわゆる行政指導の形で要望しておったわけでございますが、当事者の話によりますというと結局売れないということを言うわけでございます。
合成洗剤
と違いまして、いわゆる石けんは時間がたちますと変質いたします。そういった問題がございまして、先ほど
昭和
四十八年度の粉石けんの
数字
と四十九年度の
数字
を申し上げまして減っておるということを申し上げた次第でございます。しかし私どもはやはり消費者のいわゆる選択の自由というのは確保すべきであるという
立場
から、折に触れて今後ともいわゆるそういった選択の余地を侵さない、すなわち求めたい人が手に入れることができるようにというふうに指導するつもりでございます。実は
洗剤
排斥運動、粉石けんへ切りかえろという運動が私どもの省にも再三実は来ておりまして、そのとき、もし手に入らなかった場合には言うてくれ、そういたしますと私どもは手に入るように手配をいたしますというふうな実はお約束をしている次第でございます。現実の例を申し上げますというと、実はスー
パー
でも一時置いたものが売れないもので引っ込めてしまう。これは商品の回転の問題もございます。それから大体においてクリーニング店に参りますというと粉石けんを分けてくれます。そういった事情を申し上げまして、なおかつそれでも手に入らないという場合には私どももしくは工業会の方に申し入れてください、手に入らないということがないようにいたしましょうというふうに実は指導と申しますか、御
報告
と申しますか、そういったことをやっている次第でございます。
浜本万三
55
○
浜本万三
君 いずれにしましてもやはり店頭販売、並列販売の義務づけということは当面非常に必要なんじゃないかというふうに思いますので、なお積極的にそういう体制が確立できるようにひとつ指導してほしいというふうに思います。 それからもう
一つ
通産省
にお尋ねするんですが、さっき、適量を使いなさい、あるいはまた使った後はこういうふうに
処理
しなさい、手入れをしなさいというような使用上の細かい注意をしておるんだというふうにおっしゃいましたが、私もちょっと
洗剤
の容器を見たんですが、とてもじゃないがなかなか小さい字でたくさん書いておりますのでむずかしいというふうに思うわけですね。そのわりにどっさり出るような仕組みになっておりますので、非常にやっぱり幾ら注意されても問題が残るんじゃないかと思うんです。そこで、先ほど森下
委員
のお話のように、たとえば一定量しか出ないという容器をつくらせるとかというふうにいたしまして、実際使用する上において問題の起こらないような容器の作製であるとかあるいは表示のやり方について、もう少しきめ細かく適切な指導をするお気持ちはございませんか。
太田耕二
56
○
説明員
(太田耕二君) ただいま先生のお話に関連いたしまして、
家庭用
品品質表示法という法律に基づきまして使用上の注意事項というものを義務づけておるわけでございますが、何分いわゆる台所
洗剤
容器でございますとそうがさも大きくございませんので、どうしてもいろんなものをPRしようといたしますというと字が小さくなりがちでございます。それにいたしましても、合理的な使用法を書かせておるつもりでございますが、先ほどの容器の件、直ちに義務づけるということはいろんな問題があろうかと思いますが、いろいろ私どもも考えてみたい、かように考えておる次第でございます。
浜本万三
57
○
浜本万三
君
通産省
の方これでよろしゅうございます。 次は、
厚生省
の方の
関係
についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、まず午前中のお話で相当系統的に理解をすることができました。しかし、やっぱり
洗剤
が
人体
に、
環境
に相当
影響
するかもわからない、その疑問はどうしても取り除くことができません。そこで、まず
人体
に与える
影響
の問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。先ほど
人体
に与える
影響
で幾つかお話が出ましたが、また午前中でもお話があったわけなんですが、その中で一番端的なのが
皮膚障害
だというふうに思うんですが、
皮膚障害
の実情について
厚生省
として直接把握されていないというお話でございました。確かに資料としていま
説明
されましたように、国民生活センターで発表されました資料、私も
手元
にいただいておるわけなのでありますが、そういう状況でございます。これは要約すれば三五%の人がやはり
皮膚障害
を起こしたという事実は間違いないというふうに思うんですが、まず、この資料の信憑性について
厚生省
はどういうふうな判断をなさっておるか、そこから伺いたいと思います。
石丸隆治
58
○
政府委員
(
石丸隆治
君) これは国民の総数から比べますと非常に少ない数の
調査
でございますので、統計的ないろんな誤差の問題はあろうかと思いますが、やはり
一つ
の実態としての
調査
でございますので、大体このあたりの
数字
が精密な
調査
をやっても出てまいるのではなかろうかと考えております。
浜本万三
59
○
浜本万三
君 そういたしますと、一応非常に狭い範囲の資料ではあるけれども、この
報告
については相当信憑性をもって判断なさっていらっしゃるということになりますが、間違いございませんか。
石丸隆治
60
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 御指摘のとおりでございます。
浜本万三
61
○
浜本万三
君 そうしますと、いずれにしましても、これは国民全体から言えば相当大きな被害が起きておるというふうに類推しなければ、推定しなければならぬと考えるわけなんです。そういう推定を普通われわれはするんですけれども、役所の方とされまして四十八年八月三十日の発表なんですよ、四十八年八月三十日の国民生活センターの発表なんですから、もう少しこの
調査
結果の意味、統計の意味を理解をされまして、全国的にさらに実態を把握されるという努力をなぜされなかったんですか。
石丸隆治
62
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 先ほど、あるいは
説明
の中で落としたかとも思いますけれども、昨年から行っております
共同研究班
の中で、この
皮膚障害
の
研究班
を
一つ
つくっておるわけでございまして、その
研究班
の中におきまして、こういった
調査
の問題を担当しておるわけでございます。この全国民を対象としてのこういった実態
調査
とかということは非常に困難が多いわけでございまして、この
研究班
に所属しておられる先生の病院に受診に来た患者さんについてのこういった実態の
調査
ということを現在実施いたしておるところでございます。
浜本万三
63
○
浜本万三
君 この新聞によりますと、日本石鹸
洗剤
工業会の佐藤さんという専務理事も、
合成洗剤
の
皮膚障害
は国会でも問題になり、この十一月までには各メーカーともはだ荒れの少ない脂肪酸系の
洗剤
に切りかえ発売することにしておるというふうに言われておるわけなんですが、つまり、メーカーの方も手荒れ、湿疹については問題があると、こういう理解に立ってこのような発表をなさったんじゃないんですか。
石丸隆治
64
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 先ほど来御答弁申し上げておるところでございますけれども、やはり先生御指摘のように、この
皮膚障害
の問題が、現在のところはっきりした
合成洗剤
の
障害
として表面にあらわれているところだと思います。それに対しまして、ただいま先生御指摘のように、脂肪酸系の
洗剤
を新たに出すということでございますが、こういった点につきましても、やはり人によって相当この反応が違うわけでございますので、
合成洗剤
使用によって手の
障害
を、この
皮膚障害
を訴えるような人について、やはり他のこれにかわるべき
洗剤
を自由に選択できるようにというようなことで、実は
通産省
の方にもお願いいたしまして、脂肪酸系あるいはお台所用の
洗剤
といたしましては高級アルコールエステル系のそういった新たな
洗剤
を、現在、できるだけ自由に購入できるよう、その生産をお願いいたしておるところでございます。
浜本万三
65
○
浜本万三
君 いずれにしましても、この脂肪酸系の
洗剤
というのは、いわゆる
合成洗剤
よりははだ荒れは少ないという前提に立った指導であることは間違いございませんですね。
石丸隆治
66
○
政府委員
(
石丸隆治
君) やはり先ほど来御
説明
申し上げておりますように、
皮膚
から脂肪を取り去るという作用があるわけでございまして、そういった脱脂力の点につきまして
合成洗剤
の方が脂肪酸系より強いわけでございますので、やはりそういった意味での手荒れ等の
皮膚障害
というものは、脂肪酸系の
洗剤
に比べれば
合成洗剤
の方が強かろうとかように推察いたしております。
浜本万三
67
○
浜本万三
君 いずれにいたしましても、この
皮膚障害
はあると、こういう判断に立たざるを得ないというふうに思います。 次は、さっき問題になりました
催奇形性
の問題なんでございますが、この心配があるというふうに唱えていらっしゃるのは三上教授一人だというお話でございますが、ほかにはございませんか。
石丸隆治
68
○
政府委員
(
石丸隆治
君) われわれのところへ正式に御連絡があった、あるいは学会で発表されているのが三上先生というふうに理解いたしております。
浜本万三
69
○
浜本万三
君
催奇形性
ではないが、そのほかの有害説を唱える学者の方もたくさんあるというふうに私聞いておりますが、たとえばどういう先生が、どういう有害説を唱えていらっしゃるのか、これは簡単でいいですから
説明
してもらいたいと思います。
石丸隆治
70
○
政府委員
(
石丸隆治
君) けさほど御
説明
申し上げたところでございますが、
昭和
三十七年の
時点
におきまして、柳沢――これは当時
東京
都の都立衛研におられたと思いますが、柳沢文正先生が、けさほど申し上げたような、いわゆる
血清
中の
カルシウム
の
減少
というようなことについて御
報告
になっております。
浜本万三
71
○
浜本万三
君 そのほかに、
京都大学
の糸川先生が複合
汚染
の問題、それから水産庁の藤谷さんという方が魚の舌の感覚が麻痺する問題、それから名古屋大学の高橋さん、佐藤先生が発がん性を助ける危険性があるというようなそういう発表をなさっていらっしゃることは聞いておりませんですか。
石丸隆治
72
○
政府委員
(
石丸隆治
君) そういうことは聞いております。
浜本万三
73
○
浜本万三
君 そういうふうに相当の学者先生ないしは役所の方、こういう方がいわゆる有毒説、この有毒説の意味はそれぞれ違うでしょうけれども、いずれにしましても有毒説というものを唱えていらっしゃるわけなんです。こういう説に対しまして、後ほど
研究班
をおつくりになって、さらに
研究
を重ねられるということなんでございますが、ともかくほとんどの国民が使用して、そうして問題を提起しておるということになりますと、これらの危険だという説に対して
厚生省
はやっぱり目を向けて、国民を守る
立場
の行政をやっていかなきゃいかぬと思うんですけれども、こういう先生方に対してどのような態度を持っていらっしゃるのか、
厚生省
の御見解を聞きたいと思います。
石丸隆治
74
○
政府委員
(
石丸隆治
君) けさほど御
説明
申し上げましたように、その
合成洗剤
の有
毒性
という表現がいいか、あるいは
有害性
といいましょうか、あるいは
安全性
に関する問題と申し上げましょうか、まあいろいろあるわけでございまして、それについては、いわゆる
人体
に対する
化学物質
としての
有害性
ということと、
環境
汚染
という問題の
二つ
に大きく分けることができるということを御
説明
申し上げたのでございまして、
厚生省
の所管いたしております点は、その経口的あるいは経皮的に
人体
に及ぼす化学的ないわゆる有
毒性
という、ここが
厚生省
の所管いたしておるところでございまして、ただいま先生御指摘の点につきましては、むしろ、それの範疇を超えておる問題ではなかろうかと考えております。
浜本万三
75
○
浜本万三
君 それからもう
一つ
伺うんですが、最近のある資料によりますと、四十六年ごろの資料と
昭和
三十二年ごろの資料比べてみますと、乳児の死亡原因の中に、先天性異常死亡というものが相当ふえておるということを聞いておるわけです。たとえば、四十六年の場合には、三十二年よりも千三百人ふえたということが言われております。また、診断の割合を調べましても、十年前に比べると、九倍になったというふうに言われておるんですが、この実態について、この
報告
について、
厚生省
はどういう見解を持っていらっしゃいますか。
石丸隆治
76
○
政府委員
(
石丸隆治
君) そういった統計をどういうふうに解釈するかという問題は、ちょっと私の所管ではないわけでございますが、私自体の考えを申し述べさしていただきたいと思うわけでございます。 ただいま先生御指摘のような説、これはたしか国立がんセンターの平山さんと国立公衆衛生院の木村さんとの合作の論文だと理解するわけでございますが、これに対しましていろんな
意見
が現在出ておるわけでございます。
昭和
三十二年と
昭和
四十六年では統計のとり方も違っておるとか、いろんな問題があるわけでございまして、そういった統計以外の面での
影響
をどういうふうに解釈するか、これは統計技術的な問題があるわけでございますが、そういった点の問題を、いかにこの
数字
を修正していくかというようなことを、現在これは統計情報部の方で
検討
を行っておるところでございまして、いろんな医学の雑誌等につきましても、この論文について、いろんな
意見
が出ておるところでございまして、これについて行政当局でございますわれわれが学問的な
一つ
の
結論
を申し上げるのは差し控えたいと思うところでございますが、いずれにいたしましても、そういった問題につきまして、いろんな現在学説があるということはよく存じておるわけでございまして、そういったいろいろな問題につきましてわれわれといたしましてもやはり学問的な
立場
でどういう
結論
が出るか注目をいたしておるところでございます。
浜本万三
77
○
浜本万三
君 いま学問的な
立場
に立った
結論
を早急に求めたいということなのですが、先ほど反対の
立場
の先生と、それから賛成の
立場
の先生も加わった例の
委員会
をおつくりになって、同一資料、同一条件で
研究
を始めるということなんですが、この結果はいつごろ出るのでしょうか。
石丸隆治
78
○
政府委員
(
石丸隆治
君) けさほど御
説明
申し上げたところでございますが、現在そういった
動物
の手配等を行っておる段階でございまして、きょういつまでに
結論
が出るということを申し上げる段階ではないわけでございますけれども、先日の会合におきましても、できるだけ早く
結論
をお出し願いたいというふうにお願いいたしておるところでございます。
浜本万三
79
○
浜本万三
君 うわさによると、三年かかるというふうな
報告
をしておる資料もあるのですが、そんなにかかるのでしょうか。そんなことをしておったんではこれは困るのですが、もうちょっと早く期限が切れぬものでしょうか。
石丸隆治
80
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 恐らく、三年かかるというのは、これは
慢性毒性
の問題ではなかろうかと思います。やはり
慢性毒性
は三年間継続投与をいたしまして、その結果によって判断するもので、恐らく三年ということが言われたと思うのでございますが、ただいま問題になっております
毒性
というのは
催奇形性
の問題でございますので、やはりそんなに長く――一年以内でこれは
結論
が出るというものでございます。
浜本万三
81
○
浜本万三
君 最後に
厚生省
に、時間がございませんので希望したいことがあるのですが、なお必要によってはひとつ答弁を求めたいと思うのですが、
一つ
は
食品
、
食器
に残留する
洗剤
の
調査
、規制を早急に行いまして、それから
ABS
、
LAS
の
慢性毒性
及び相乗作用ですか、などについての追跡
調査
、それから
研究
を早急に行うと同時に、その
研究
の結果というものを公表してもらいたいと思います。公表することによって、これだけ国民的な大きな課題になっておるものを、国民全体の
立場
で解明をし、早急にやはり決着をつけなければならぬというふうに思うのですが、これについてはいかがでしょうか。
石丸隆治
82
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 先日、衆議院の予算
委員会
におきましても大臣から御答弁申し上げたところでございますが、われわれといたしましては、
食品衛生調査会
で使用いたしました、そういったいろいろな資料につきましては、今後公開するという態度でまいっておるわけでございまして、できるだけそういった問題についてはオープンにしてまいりたいと思っております。
浜本万三
83
○
浜本万三
君 それからもう
一つ
は、いずれにしても問題になっておることでございますから、疑いのあるものは使わない、これはまあ人の命と健康を守る
厚生省
としては役所の省是だろうと私は思うのですが、そこで学校とか保育所とか病院とか食堂などは、これらの
洗剤
の使用を制限するというような指導ができないかということについてお尋ねしたいと思います。
石丸隆治
84
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 全国的に統一をとってそういったものの使用を制限するということはひとつ問題があろうかと思うわけでございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、それぞれ
野菜等
の
汚染
というものは地方の実情が違うわけでございますので、それぞれの地方の実情に合わせながら各都道府県知事に御指導願いたいと思っておりますが、しかしながら
一つ
の基本的な態度といたしましては、やはり不必要なものは使わない、
毒性
の問題を抜きにいたしましても、やはり不必要なものは使わないという基本的態度をわれわれはとっておるわけでございまして、そういう意味におきましては、寄生虫病等の
減少
の現状というものを考えまして、
食品衛生
上
洗剤
を使用することの意味というものが、やはり時代とともに相当変わってきている、そういう態度で今後指導してまいりたいと思っております。
浜本万三
85
○
浜本万三
君 いずれにしましても、国民の健康を守る
立場
で、早く適切な
結論
並びに指導をしてもらうように特に要望しておきたいと思います。 次に文部省の方にひとつお尋ねしたいのですが、先ほど
東京
都の衛生局で発表されました資料につきましては承知をしておりますが、その結果かどうかわかりませんけれども、
東京
都の教育長が学校給食の場合の
野菜
、果物ですか、この
洗浄
は
洗剤
を使わない、こういう指導をなさっていらっしゃるというのですが、全国的に給食
関係
で
合成洗剤
の使用をしていないところを、わかっておれば教えてもらいたい。
加戸守行
86
○
説明員
(加戸
守行
君) ただいま先生から御指摘がございました
東京
都の問題につきましては、すでに四十八年の五月二十九日に教育長から通達を出しまして、
野菜
、果物等の
洗浄
については
中性洗剤
を避けるように指導が行われておりまして、ほぼ時期を同じくいたしまして六月から七月にかけまして埼玉県、愛知県、大阪府、兵庫県、宮崎県といった府県におきまして、ほぼ
東京
と同様な観点から、現在の寄生虫卵の
汚染
状況あるいは農薬等の状況にかんがみて
中性洗剤
を使う必要はないという観点から、学校給食の
野菜
、果物等の生
野菜
類の
洗浄
については
中性洗剤
を避けるような指導が行われております。なお、そのほかの府県では特に一般的な意味におきます
食品
の
洗浄
等についての適正な措置をいろんな通達等を出されておりますが、具体的にいま申し上げました六都府県において
野菜
、果物等の
洗浄
は避けるというような指導が行われているような実態でございます。
浜本万三
87
○
浜本万三
君 いまのお話によりますと、
毒性
問題というのは議論になったのですか、ならないのですか。
加戸守行
88
○
説明員
(加戸
守行
君) いま申し上げました六都府県におきましては直接表面上その
毒性
とかそういった観点からの表現はいたしませんで、現在の寄生虫卵あるいは農薬等の
汚染
状況にかんがみて
中性洗剤
を使う必要はないというそういう表現の仕方をとっております。
浜本万三
89
○
浜本万三
君 表面的にはという
言葉
があったのですが、表面でも裏面でもいいのですが、要するに
毒性
の危険性があるかないかということがいまわれわれにとっては非常に重要なのですから、そこは表面、裏面を問わずどうだったのですか。
加戸守行
90
○
説明員
(加戸
守行
君)
洗剤
の
毒性
等の問題につきましては文部省あるいは教育
委員会
等で独自にこれを判断する
能力
に欠けているわけでございまして、そういう意味では私どもの
立場
としては、
厚生省
でいろいろ御
検討
をいただいた結果を受けていろんなアクションを起こすという形になるわけでございますが、実態的に、いま先生から御指摘のございましたように、たとえば消費者サイドでございますと選択の自由があるけれども、給食の場合には、使用をいたしますれば児童、生徒の口にいやおうなしに入る、そういった観点からの心理的な反応もございます
関係
上、実質的な意味としてはそういった要素も加味されたのではなかろうかと判断をしております。
浜本万三
91
○
浜本万三
君 文部省の指導でこういうことを六都府県がやったのじゃないので、むしろ私が聞きたいのは、実施された六都府県はその害の問題についてはちっともないという判断でおやりになったと聞いておられるのか、もしくは、それも加えて、さっきあなたがおっしゃった問題を含めて
洗浄
のときに
洗剤
を使わないでもよろしいということになったのか、そこはどういうふうに
報告
を受けておられますか。
加戸守行
92
○
説明員
(加戸
守行
君) これらの府県が通達等で指導いたしまする前に、文部省側といたしましても
洗剤
の使用に
当たり
ましては適正な
処理
を行うようにという一般的な指導を行ったわけでございます。その結果といたしまして、いま申し上げた具体的な事実が生じたわけでございますが、こういう
洗剤
を使うことをできるだけ避けたいという、そういう気持ちのあらわれが出たのだろうというぐあいに理解しております。
浜本万三
93
○
浜本万三
君 そこで文部省に希望しておくのですが、やはり避けたいという六都府県のこの精神的な行動です、ぼくが思うと。そういう実態に基づいてさらに
検討
されますね。全体にこういう姿勢を拡大するようにしてほしいということです。それから
洗剤
は、もう本当に相当国民生活の中に定着というんですか、いま実際九十何%使っておられるんですから相当拡大をされておるわけなんですが、学校教育の面でも
洗剤
の正しい知識を掲載をいたしまして、そして子供のときから指導するというふうな指導も必要ではないかというふうに思いますが、この
二つ
の点について最後にひとつ答弁をしてください。
加戸守行
94
○
説明員
(加戸
守行
君) 第一点でございますが、こういうような全国的な状況、あるいは住民側の強い希望等もございまして、実は本年の二月一日に開催いたしました学校給食
関係
の主管
課長
会議
におきまして、文部省側といたしましては、
野菜
、果物等の
洗浄
につきましては
中性洗剤
をできる限り避けるように指導は全国的にいたしております。 それから第二点の問題でございますが、これは所管が初等中等教育局の方でございまして所管外のお答えになりますが、ただいま先生の御指摘になりました趣旨を帰りまして申し伝えたいと思います。
浜本万三
95
○
浜本万三
君
環境
庁の方に質問があったんですけれども、もう私の時間がなくなりましたので次の機会にいたしたいと思います。
栗原俊夫
96
○栗原俊夫君 時間が二十分ということできわめて制約されております。
合成洗剤
が大変洗料としてすぐれておるということで非常な広い範囲で使われておる。ところがその反面、具体的な現象として
皮膚障害
、あるいは
環境
汚染
、さらには催奇性の問題等が具体的にいま
論議
される日程になりました。これは本質的にはあるいは違うかもしれません、私は本職でありませんからわかりませんけれども、これとよく似た形のものに農薬で非常に珍重されたDDTとかBHCとか、こういう農薬があります。しかもこれは非常に病虫害に効力がある。そして、その結果非常に増産にも結びついた。こういうことで、農民にとっては神様のように珍重されたものですけれども、しかし、これがやがて農薬取締法に基づく省令として販売禁止の措置がとられた。しかし、これはある日突然、販売禁止になったんじゃないと思うんです。――どなたがお答えに当たってもらえるか、あらかじめお話ししてあるから準備しておいていただいたと思いますが、農薬としてのDDT、BHCが入ってきて、そして非常に効力があるんだけれども、これには反面大変な
毒性
がある。これがどう
論議
され、そして販売禁止にまでなったかという
経過
をきわめて取りまとめてお話をしていただければ結構だと思うんですが。
福田秀夫
97
○
説明員
(福田秀夫君) お答えいたします。ただいま先生御指摘のように、BHC、DDTは大変有名な薬でございまして、わが国にも
昭和
の二十三年ごろから導入されまして広く農業生産に寄与してまいったわけでございますが、こういった塩素系の殺虫剤は作物とか
環境
に残留しやすいという性質が近年わかってまいりました。そこで、まずこのBHC、DDTに対する規制としましては、最初は四十三年であったかと思いますが、
厚生省
のほうで
食品衛生法
に基づきまして
食品
の中の残留
基準
をつくられました。農林省としましては、その残留
基準
を超えないような使い方というようなことで安全
使用基準
をつくりまして、これを指導してまいったわけでございます。しかしながら、非常に広く使われておった薬で、BHCはことに、DDTはそれほど広くはございませんけれども、農薬の方では。DDTはむしろ衛生、害虫のほうで広く使われておりましたけれども、BHCは農薬として非常に広く使われておりましたものですから、広く
環境
の中に残留している、
環境
を
汚染
しているということが感ぜられまして、こういった塩素系のものはやめていったほうがいいんではないかというような考えから、ほかの薬で、もっと安全なもので代用できるならば、これをかえたいという考え方で、四十四年には農林省はDDT、BHCの国内向けの原体の製造を中止するように業界を指導したわけでございます。たまたま翌四十五年になりまして、御承知のとおり有名な事件でございましたが、牛乳からBHCが検出されるという騒ぎが起こりました。それで、非常に幼児の
食品
であったり栄養食である牛乳からBHCが出てくるのではこれは大変だということで一大
調査
を行いまして、その原因が稲にまいたBHCが稲わらに残り、それを牛がえさとして食べ、それが牛乳に出るという経路が明らかになりましたので、四十五年に稲にBHCを使うことを一切禁止したわけでございます。で、たまたま四十五年末にいわゆる
公害
国会が開かれまして農薬取締法の大改正が行われました。その改正された農薬取締法に基づきまして、四十六年の五月からDDTは一切販売と使用を禁止したわけでございます。DDTは牛乳から検出されたわけではございませんけれども、DDTの方がBHCよりもなお
残留性
が強いということが明らかになりましたのでDDTを禁止いたしました。そのときBHCは林業だけ使用を認める、それ以外は一切禁止するという処置をとったわけでございます。これは実は林業のほうでタマバエの防除にBHCがないと非常に困るというお話がございまして、そのタマバエ防除のためにもつとほかの薬を開発してそれを切りかえたいという努力を続けながら、林業だけ残さざるを得ないということで残しましたのですが、このことをお諮りいたしました農業資材
審議
会農薬部会の御
答申
の中にも、一日も早くほかの薬に切りかえる努力をせよという御
答申
がありましたので、林業だけ残しましたが、その年の暮れ、四十六年暮れには林業もほかの薬が使えるということがわかりましたので、BHCをやめるということにいたしまして、そこでBHCの販売、使用を禁止するということになりまして今日に至ったわけでございます。
栗原俊夫
98
○栗原俊夫君 まあ残留することが大変問題であるということで、使用の
方法
等が
論議
され、
経過
的には使用の
方法
を制限する、あるいは特殊なものに使わないと、いろいろな
経過
を経て、最終的には結局販売禁止、それは即製造の禁止に通なるわけですが、そういうことになった。これがいま言う農薬のたどった
経過
ですが、顧みて、途中そういう使用の制限をやるとかあるいは使用の相手、対象品種――稲に使わないとか、こういう過程があったけれども、やはり顧みれば初めからどんずばりとやった方が本当だったなと、こういうやはり反省というか、そういう評価があるんではないか、なぜなれば最終的には禁止するという決断にまで行ったんですから。その辺はどうですか。
福田秀夫
99
○
説明員
(福田秀夫君) 最終的には禁止したわけでございますので、おっしゃられますとおりに、なるべく早くぴたり禁止できればよろしいわけでございますけれども、稲の大害虫である二化メイ虫の防除、ウンカの防除に代替の農薬が、これを使えばいいということがわかっていましても量的に生産体制がなかったということもあって、四十四年にはできなかったわけでございますが、四十五年には牛乳の話が出ましたので、そんなことを言っていられないということで稲には全部やめたわけでございます。しかし、稲以外のものに残しましたのは、そのように切りかえる薬の生産体制がなかったということがございまして、また、何もないと、それ以外の
野菜
とか果樹におきましての害虫を防げないということがございましたものですから、四十六年の五月になりましてDDTは全部禁止する、それからBHCは林業だけ残すということにせざるを得ない状態になったわけでございます。一方、牛乳に出ましたときも、
食品衛生調査会
のほうの御
答申
は、たしかいま直ちに危険であるとは思われないけれども、このままの状態が続くことは好ましくないので、この牛乳の中のBHCの
濃度
が
減少
するような努力を農林省、
厚生省
とも全力をふるってやるようにといった趣旨の御
答申
があったかと思いますので、ただいま申したような手を打ちながら切りかえていきたいということでございます。
栗原俊夫
100
○栗原俊夫君 そこで
厚生省
にお尋ねするわけですが、
三つ
の被害の中でやはり一番私は重要な問題は
催奇形性
の問題だと思うのですね。いま
研究
中であると、しかし、一方では奇形性があると、こういう論者がおる。しかも
実験
的にもそういうものを持っておる。一方ではそういう異常をまだ認めなかった、こうおっしゃっておる。しかし、絶対に安全だとは言い切っていない。そこがいろいろ
経過
があった患い事けれども、前回われわれが決定した
参考
人の会がうまく成立しなかった
一つ
の理由でもあると私は思うのですよ。 そこで私はお尋ねするのですけれども、だからある
程度
いろいろな注意をし、指導しながらやっていくのだと言うけれども、これでは有害になるという
結論
が出た場合に、すでに人間の体が冒されるというような事態が起こったら一体責任はどこが持つのだ。私は
厚生省
が持たなければならぬと思うのですよ、実際。まあまあ罪は疑わしきは罰せずというけれども、こういう問題は疑わしきは罰すの方向で行くのが原則だと思うのですね。ただ問題は、企業というものがあるからそれへすぐ手がけることができないと、先ほどこちらからも話があったけれども、どうもやっぱりいまの行政府は企業サイドのような歩み方をしておるような気がしてなりません。 そこで私は端的に言うのだけれども、異常が出なかった、こうおっしゃる人が本当に
安全性
を信じておるのかどうか。そしてそれを受けて
結論
が出るまではどうにもならぬというあなたが
安全性
を信じておるかどうか。信じておるならあなたの子供に注射がしてみられるか。
皮膚
に塗りつけてみられるか。かつて種痘はわが子にみずからやって
実験
をしたと、こういうように一私たちは聞いておりますけれども、人間の命に関連する問題ですし、特に民族の今後のあり方に関連する問題ですからね。ほかの問題とはこれは違うと思うのですよ。したがって、この際いま少し厳しい方向をとらなければならぬ、このように思うのです。私は
結論
を見通すと、やはりこれはBHC、DDTの
経過
をたどると思うのですよ。この点御所見はいかがですか。
石丸隆治
101
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 疑わしきは罰するといいましょうか、あるいは
食品衛生
上は疑わしきは使用せず、この原則は先生御指摘のとおりだと思うわけでございます。それで、疑わしきは使用せずというよりは、先ほど私御答弁申し上げたところでございますが、疑わしくなくても不必要なものは使わないというもっと積極的な姿勢でわれわれ
食品衛生
行政を進めているところでございまして、そういった意味では、この疑わしきは使用せず、あるいは罰するという先生の御
意見
、私非常にごもっとものことだと思うわけでございます。ただ、「疑わしきは」というその表現でございますが、非常に学問的な問題になろうかと思うわけでございますけれども、
合成洗剤
というものは先ほど来お話申し上げておりますように、世界各国いろんな
研究
機関でいろんなやはり
研究
を行っておるところでございますが、 〔
委員長
退席、理事山内一郎君着席〕 そういったところにおきましてもそういった事実が証明されていない、あるいはわが国におきましてもいろんな大学でこれを
実験
しているのに必ずしもそういった証明がされていない、こういった
時点
におきまして
一つ
の「疑わしき」というものをどう評価するかという問題に尽きるのではなかろうかと思うわけでございまして、そういった点につきましては、大臣の諮問機関でございます――これは法律に基づく諮問機関でございます
食品衛生調査会
にそういったあらゆるデータをわれわれ提供いたしまして、そこで専門の先生方に学問的に御
審議
願って、その決定に従って行政の措置をとっておる、かような段階でございます。 もう
一つ
、ただいま先生御指摘のように、DDT、BHCの
経過
との関連でございますが、やはりDDT、BHCというものが有機燐性剤に変わっていった、そのやはり変わっていく段階におきまして代替性ということがあったわけでございます。
合成洗剤
を
食品衛生
上使用いたしますのは、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな
化学物質
によるわれわれの
食品
の自然
汚染
あるいは
環境
汚染
あるいは寄生虫卵の問題、あるいは消化器系伝染病の問題、そういったいわゆる他の疾病予防という点からの
一つ
の
目的
も持っておるわけでございまして、そういう
目的
を達成するための
一つ
の代替性のあるいろいろな
物質
がやはり生産されて、それがわれわれの生活に十分取り入れられるだけの自信がなければ、なかなかそれを全面的に切りかえることも不可能に近いのではなかろうかと思っております。
栗原俊夫
102
○栗原俊夫君 非常にやはり命よりも
洗剤
の方が大事なような議論をしているのだけれども、そんなばかなことはないですよ、これは。生命に危険があれば、代替物があろうとあるまいと、あかで人は死にやせぬのですから、そういう点はいま少しぴしりとやはりやってもらいたいと思うのですね。そして現に先ほどのお話によれば、
調査会
で二千数百名調べたところが三割何分は
皮膚
にも
障害
を起こしておる。まあ三割何分というのは数では少ないと考えるかもしれないが、これは大変ですよ、被害がそれだけ出るということになれば。これは、そういうものは使用にたえないというものじゃないですか、率直に言って。三割の人たちが
障害
を受けるような品物を天下に横行さしておいて、
厚生省
でございますなどと
局長
が言っておるようじゃ
局長
として価値はないですよ。おやめになった方がいいですね、これは。どういう責務でもってその職責に座っているのか存じませんけれども。それは企業の方で傷みが出るかもしれないけれども、それは
通産省
の方に任しゃいいんで、あなたはやはり国民の生命健康を守るというサイドに立って、これはだめだとはっきり言ったらいいんですよ、どうですか。
石丸隆治
103
○
政府委員
(
石丸隆治
君) われわれは
合成洗剤
の
有害性
ということを科学的に証明をしておるところでございまして、それが一体わが国の企業にどういう
影響
を与えるかということにつきましては、これは先生御指摘のように、
通産省
の問題でございまして、われわれといたしましてはそういうことは一切考慮せずに、純学術的にその
毒性
の証明ということに取り組り組んでいるところでございます。
栗原俊夫
104
○栗原俊夫君 学問的に証明されると言えば、それは一番正しい裏づけかもしれませんけれども、現実に、現象的に、
合成洗剤
をつくることによって、たまに一人あったとかそういうことじゃなくて、二千数百人――これは一億一千万に比べればわずかですけれども、その中で三割を超える
皮膚障害
が出たということは、それを科学的に立証するとか何とかする以前に、すでに具体的に実態が出ているんですから。こういうものは、やはりいま少しく厳しくやってもらわなきゃならぬと思うのですね。 そしてまた
環境
庁の長官にもお尋ねしますが、いろいろと
上水道
の問題、それから
井戸
を五百
試験
をした。こういう問題、やはり汚れておる、こういうのですね。それからいま
一つ
、これはもうむずかしくてわからぬけれど、何というのですか、
分解
の非常にむずかしい
ABS
から
LAS
という
分解
の非常にしやすい方向へ向かっておる。しかし、日本ではどうも川の流れも短かくて急流であって、
分解
しないうちにそのまま海へ行く、まあ海も汚れておる、こういうような問題も起こって、このことがすぐそれではわれわれ人の生活、健康にどうはね返ってくるかということは、いまのような論法でいけば、まだ科学的に立証、裏づけがないと、こういうことかもしれませんけれども、これは必ず将来出てくるに間違いありませんわ。おかげでよくなるなんていうことは絶対にこれはあり得えないんですから。これらについても、出てから動くのではなくて、少なくとも
環境
庁においては、やはりそうした予防的な先取りをして
環境
行政をやるべきだと、こう思うんですが御所見はいかがでしょう。
小沢辰男
105
○国務大臣(小沢辰男君)
合成洗剤
による水質の
汚染
、それが私の方の任務でございます。先ほど来お話を聞いておりますと、まあ
人体
に対するいろいろな
障害
関係
は、一応
昭和
三十七年いろいろ合同
研究
をやりまして、その
時点
では科学的、医学的に支障がない、こういう
結論
になった。しかし、その後やっぱりたとえ少数説であってもいろいろな
意見
が出てきたものですから、その疑念を解消するために、さらにいま政府として
厚生省
が中心になってその疑念を解明をしていると、こういうずっと
経過
、段階だと思うんです。しかし、
環境
庁から見ますと、水質
汚染
の点についてちょうど、何と言いますか、あと
二つ
の問題がございます。
一つ
は例の発泡の問題、あわ立ちの問題、これは大分品質を改良していただいてソフト化をやっていただきましたから、これは一応原則的には解決したようなことでございますけれども、場合によって流し方によってはまだそれが残っておるという状況がございます。 一番私の方が問題なのは、先生も御承知のように、この助剤で使っております燐の問題でございます。これが、いわゆる富栄養化の問題が水質の中に起こってくるということでございますし、当然、例の赤潮問題もこういうところがやはり原因の
一つ
である、それだけではもちろんありませんけれども。そういうことでございますから、
毒性
の問題、一応
昭和
三十七年にもそういう点の解明ができたが、さらに疑念ができたんで、それをいま
厚生省
で解明をしていただいているわけでございますが、したがって私ども
環境
庁から言えば、
洗剤
をお使いにならんで、まあ丁寧に一生懸命に水だけでやっていただくことになれば、これにこしたことはないわけでございます。これは当然でございます。うるさいから自動車走らぬほうがいいにきまっているんで、また汽車もうるさいから走らぬほうがいいにきまっているわけでございます。しかし、まあ世の中の生活の実態というものがそういうことでこうやってきておられますから、やむを得ず防御と言いますか、守る側としてはいろいろなまた手段を考えていかなきゃいかぬわけでございまして、これはもっぱら
下水
の普及と終末
処理
の、もっと高度な――燐使っておっても第三
処理
をやってもらえばこれは解決するわけでございます。
下水
関係
の普及を徹底的に図って、それから終末
処理
をしっかりやってもらうということが、私どもとしてはどうしてもこの
二つ
の問題を解決するのに必要じゃないか。いますぐそれじゃやめたらいいじゃないか。おまえの方の
立場
から言ってもそういう問題があるんだから、それじゃ一体先ほどの御議論聞いておって石けんに変わった場合によりいいか。私どもある面においてはより
環境
問題から言うと問題があるわけでございまして、御承知のBODなんかについては、石けんに変わりました場合には二十五倍ないし五十倍のいわゆる、何といいますか、汚れというものが起こってくる心配があります。非常にこう何かいろいろな面で二律背反の点がございますので、その辺のところを考えますと、やはりまあ
人体
に
影響
がないという
毒性
の問題で、この秋にはおそらく
厚生省
も
結論
をきちんとつけてくれるだろうと思いますが、その結果を待ってそういう点についてもはっきりした態度をとると。行政というのはやっぱり今日の
時点
における科学的な知見というものをもとにして、それをもとにしたやっぱり行政上の措置をやっていくということがまあ行政としてはこれは――先生方は政治論でございますけれども、行政としてはこれはやっぱりやむを得ないんじゃなかろうかと、私はまあかように考えております。ただどっちがいいかといえば、自然にもう水でやっていただいて、もう化学的なものは一切ない方がいいにきまっておるのでございますので、私どもとしてはさように考えております。
栗原俊夫
106
○栗原俊夫君 時間がなくなったから最後に。 どうも長官大分気に入らない発言をしているので、少し時間かけたいと思うんだけれどもね。まあまあ便利なものは少しは人の命に危険があってもいいではないかというようなどうも発言をするんだけれども、それば確かに二律背反なんですよ。だけれども、音とか何とかいう問題とは違って、
人体
に直接心配があるという問題は、音がうるさいとかなんかというよりもまた違ったやはりカテゴリーになってくると思うんですね。そういう点で、やはり何といっても命や健康を守ってくれるのは
厚生省
、
環境
庁、これがわれわれの生命、健康の第一線なんですからね。これが多く妥協されちゃったんじゃ話になりませんよ。ここがぴっちりがんばっててくれなきゃ。それをがんばろうとしたって――もちろんほかに行政機関もあって、そしてそれは闘わなければならぬ、行政機関内の闘いになっていくと思うんですよ。しかし、そういう中で命をどう守るか、健康をどう守るか、こういうところにやっぱり工面もあるわけですから、まあそういう点については余り妥協することなしに、命を守る、健康を守るというサイドにぴしりと立って、しっかり闘ってもらうことを特に希望して、一応終わります。
内田善利
107
○内田
善利
君 午前中からいろいろお聞きしておりまして、 〔理事山内一郎君退席、理事栗原俊夫君着席〕 果たして行政当局は国民の健康を守る
立場
にあるのかどうかということを非常に心配するわけですが。というのは、いろいろ質問の中から申し上げていきたいと思いますけれども、他の
委員
の質問の中で、現在
合成洗剤
は適切な使用をすれば安全であると、こういう御答弁がありました。ところが、発がん性の問題、催奇性の問題いろいろ問題があるので、目下
研究班
は
研究
中であると、そういう非常に矛盾する御答弁なんですが、さらに他の
委員
が幾つかの例をいろいろ挙げられたわけですが、それは承知しておると。それは申し上げませんが、ところが、そういった多数の、幾らかの学者の
合成洗剤
に対する有害説、これは
厚生省
にとっては範疇外であると、こういう答弁が返ってまいりました、範疇外であると。同じ
合成洗剤
の
毒性
について担当している行政当局の
局長
さんが、そういった問題は
厚生省
の範疇外であるという答弁に対して私は非常に疑問を感じたわけです。そういう問題があれば積極的に先生方の御
意見
を伺って対処していきたいという答弁ならば私は納得しますけれども、そういう先生方の発表は
厚生省
にとっては範構外であると、こういう答弁なんですが、これは非常に無責任な答弁だと思うんですが。
石丸隆治
108
○
政府委員
(
石丸隆治
君) どうも先ほど私の答弁、
言葉
が足りなくって先生に誤解を与えたようで、その点おわび申し上げるところでございます。先ほど御指摘になりました反対の
意見
というのが
環境
汚染
の問題の論文が多かったように私とったものでございますので、その
環境
汚染
の
汚染
物質
としての
合成洗剤
の問題はわれわれのところの所管でないと、そういう意味で申し上げたわけでございまして、事
人体
に対する
毒性
の問題につきましてはすべて
厚生省
が所管いたしております。
内田善利
109
○内田
善利
君
三重大学
の三上教授は奇形児が生まれる危険性があると――先ほどの
委員
の質問にですね。それから複合
汚染
でネズミの睾丸が小さくなったり精子をつくる細胞が死ぬという糸川先生の、先ほどの
委員
の質問。水産庁の藤谷さんは、魚の舌の感覚が麻痺する。それから名古屋市立大学の高橋、佐藤両教授は発がんを助けると、こういうことを御存じかと。――これ
環境
汚染
ですか。
石丸隆治
110
○
政府委員
(
石丸隆治
君) たとえば魚の問題、ちょっと私別の意味にとっておったものでございますのでそういう御答弁になったと思うんでございますが、少なくとも
毒性
あるいは
有害性
という問題につきましてはすべて
厚生省
が所管しておるところでございまして、たとえば三上先生も
厚生省
の
研究班
の
研究員
の一員に入っていただいているところでございまして、三上先生の御
意見
等はこの
研究班
で余すところなくお聞きしていると、かような状況でございます。
内田善利
111
○内田
善利
君 私は何もあなたの揚げ足を取るわけじゃないですけれども、やはりこういった
審議
は慎重に――国民がいま心配しているのは
安全性
を心配しているわけですから、非常に便利だと、使いやすいと、たとえ店頭に行って石けんがあっても
合成洗剤
を買っていきたい、だけども何だかこう心配だという国民にこたえていただきたいと思うんです。安全だ、
毒性
があるということには、われわれは、何といいますか、心配であってもどうすることもできないわけですから、先生方にお任せする以外にないわけですから。そういった意味でいま御質問しておるわけですが。 これは御存じですか、
昭和
三十五年国際医学会でパリ大学のトルー教授が、
合成洗剤
は発がん補助
物質
であるという講義をされて、これについて
国立衛生試験所
長の川城巌氏が日本
食品衛生
協会でこれを紹介しておられる、これについては御存じですか。
石丸隆治
112
○
政府委員
(
石丸隆治
君) ただいま先生の御指摘の川城先生の発言は、これは
食品衛生
学会での発言だったというふうにわれわれ理解しておるわけでございますが、あの川城先生の紹介に対しまして、その後われわれその原文を手に入れたいということでいろいろ努力をいたしたわけでございますが、その後トルー教授から御書簡が参っておるわけでございますが、あの紹介が必ずしも私の真意を伝えたものではないというようなことで取り消しの手紙をいただいていると、こういう状況がございます。
内田善利
113
○内田
善利
君 それからもう
一つ
は、
合成洗剤
が奇形児を生ずるという
研究
、これが田中領主博士によって行われておりますが、これは御存じですか。
石丸隆治
114
○
政府委員
(
石丸隆治
君) ただいま先生御指摘の点につきましては、われわれまだ聞いておりません。
内田善利
115
○内田
善利
君
三重大学
の三上教授がメダカとネズミの発育に及ぼす
影響
について
研究
されておりますが、水道法の規制量の
ABS
をかなり下回る量でもメダカがふ化しない、あるいは卵膜内にとどまって脊柱湾曲をした奇形児になることが実証されておるということですが、この点は御存じですか。
石丸隆治
116
○
政府委員
(
石丸隆治
君) ただいま先生御指摘の
実験
につきましては、そのデータをいただいております。
内田善利
117
○内田
善利
君 まだたくさんありますけど、これ一々言っておったんでは時間がありませんので言いませんが、まあこういうことから、先ほどは領域外だからということでしたけれども、範疇外ということですけれども、これは発がん性の問題であり、催奇性の問題でございますから、この問題については
厚生省
としても発がん性についてやはり積極的に
研究
すべきですが、この点についてはどのようにされておりますか。
石丸隆治
118
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 発がん性その他、
慢性毒性
あるいは
催奇形性
、そういったいわゆる
化学物質
の生物体に与える
影響
につきましては、われわれといたしましてもいろんなデータ等をまとめるのに努力いたしておるところでございまして、さらにこの
研究班
等の
研究
成果等の取りまとめに今後も努力してまいりたいと思っております。
内田善利
119
○内田
善利
君 そうすると、
厚生省
自体で積極的にこの発がん性、催奇性についての
研究
調査
、
実験
、こういうことはどこか委託されてなさってたのかどうか。
昭和
三十七年に問題になっておるわけですが、この点についてはどのような
調査
をなさっているのか、ただデータを集めるだけですか。
石丸隆治
120
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 三十七年の
調査班
の結果と、それから現在行っている、四十八年から実施いたしております
調査班
の問題と、この
二つ
の問題があろうかと思うわけでございます。 で、
昭和
三十七年のこの
調査班
の
結論
でございますが、これにつきましてはけさほど御
説明
申し上げましたように、
急性毒性
、
慢性毒性
、生化学
試験
、それから
経皮吸収
試験
、
野菜浸透試験
、この五つの項目につきまして
食品衛生
上の問題といたしまして
検討
を加えたわけでございますが、これらの
試験
は当時はほとんど
国立衛生試験所
でこれを実施いたしております、一部、慶応大学及び労働科学
研究
所、国立公衆衛生院、ここに委託をいたしておるところでございますが。まあこの
昭和
三十七年の
研究班
の結果に基づきまして、やはり今後の使用最の増加による
環境
への蓄積というような問題が
一つ
の問題になりまして、先ほど来
説明
がございましたような
ABS
から
LAS
への転換というようなこともこの
研究班
の成果ではなかろうかと思っておるわけでございまして、それと同時に、
食品衛生
上使用いたします
合成洗剤
の規格
基準
等につきましても、
昭和
四十八年にこの
基準
が
告示
されている、かような状況でございます。 で、さらに四十八年度から実施いたしておりますこの
研究班
につきましては、現在まだ
実験
を継続中でございまして、早急にこれらの
結論
をまとめて今後の
対策
を
検討
いたしたいと思っております。
内田善利
121
○内田
善利
君 非常に重要なこういった
研究
が非常に遅々として進まないように思うんです。こういった問題は、まあ
慢性毒性
は別として、
急性毒性
については十分私はできたんじゃないかと、こう思うんですけれども、その点、なかなか思うような答弁が返ってこないので心配なわけですが、それと同時に、ことしからいよいよ合同
研究
が始まるわけですが、秋には
結論
が大体出るということですけれども、この
結論
が催奇性ありと、あるいは
毒性
ありと、こう出た場合にはどうするのか、無毒であると出た場合にはどうするのか、これはいままでどおりだと思いますけれども、この点はどういうふうにお考えですか。
石丸隆治
122
○
政府委員
(
石丸隆治
君) その
研究
結果の取り扱いでございますが、従来からこういったいろいろな学問的な問題あるいは
食品衛生
上の重要な
一つ
の行政の決定をなす場合には、やはり法律の規定に基づきまして、大臣の諮問機関でございます
食品衛生調査会
に諮問いたしましてその判断を願う、かようなことになろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても
食品衛生
調査
に提出いたしますいろんな科学的なデータにつきまして、現在この
研究班
にいろいろそのデータの収集等をお願いしている段階でございます。
内田善利
123
○内田
善利
君 もし有毒と出た場合に、
局長
自身はどのようにお考えですか。衛生
調査会
に諮問するということは当然ですけれども、
局長
さん自身としてもし有毒だとこういう判定が出た場合、どうされますか。
石丸隆治
124
○
政府委員
(
石丸隆治
君) もし学問的に有毒であると、あるいは
催奇形性
ありという
結論
が出れば、これはもちろん形式的には
食品衛生調査会
の御
意見
を聞くことになろうかと思いますけれども、やはり行政当局といたしましてはその学問的な
結論
に従いまして、たとえば製造中止ですと恐らく
通産省
の方の所管になろうかと思いますけれども、
関係
各省庁に至急に連絡をとりまして
対策
を講じたいと思います。
内田善利
125
○内田
善利
君 まあ予想的な質問で申しわけないと思いますけれども、いままでどの先生方も安全だということならばいいんですけれども、やはり何人かの、まあ私に言わせれば多数の先生方が有
毒性
を
実験
しておられるわけですし、こういったことについては十分行政当局としては注意を払っていただきたいと、このように思うわけですね。先ほどからの答弁聞いておりますと、非常に適切な使用をすれば安全だとか、そういうことはいままで皆さんの方からは言い尽くされてきておるわけです。ところが、あちこちの先生方の
実験
によると催奇性が出たとか、あるいは異常児が出たとか、あるいは
皮膚
に十五日間そのまま原液を塗布したら死亡したとかなんとか、そういう
報告
ありますもので御心配するわけですけども、現在非常に小児がんが多くなっている。この小児がんと
水道水
の
ABS
あるいはPCBその他の問題が
関係
はないのかあるのか非常に心配なわけです。そういったことで質問をしているわけですが、端的に言って小児がんと
ABS
と
関係
はないかどうかお聞きしたいと思います。
石丸隆治
126
○
政府委員
(
石丸隆治
君) まあ小児がんの発生そのものがどういう状況になっていくかという点でございますが、これは先生御指摘のような
一つ
の傾向にあろうかとは思うわけでございますが、しかし、一体そういった現象というものが現在のわれわれの周囲を取り巻く生活
環境
といかなる
関係
を持っているかと、その
結論
づけということは非常にこれはむずかしい問題ではなかろうかと思うわけでございまして、やはりそういった
一つ
の
結論
というものは学問的に十分御
検討
願って、われわれ行政当局といたしましてはその学問的な
結論
に従いましていろんな
対策
を今後立ててまいりたいと思っております。
内田善利
127
○内田
善利
君 非常に答弁しにくい質問で申しわけないんですが、もう
一つ
は、非常に端的な質問で申しわけないんですが、毎日主婦が朝、昼、晩、
合成洗剤
を使って、適度の、言われるとおりの使用をしていって、本当に
皮膚障害
は起こらないのかどうか。安全
基準
内で使用すれば安全であるということですけれども、本当に起こらないのかどうかですね。私たち党でもあちこちで
合成洗剤
の使用による被害状況のアンケート
調査
をいたしました。先ほど
厚生省
の方でおっしゃったそのようなデータが出ております。先ほど三五%の
皮膚障害
ですが、私どもがやったのでは北九州では四三・四%というふうに出ておるわけですが、本当にこの安全
基準
内で毎日普通の洗い方で洗っていて
障害
はないのかどうか、この辺いかがでしょう。
石丸隆治
128
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 非常にお答えしにくい御質問でございまして、あるいは的確な御答弁かどうか疑問に思うものでございますが、やはりいろいろ現在
研究班
におきましてこの
皮膚障害
の問題を
検討
願っておるところでございますが、普通の人でございますと現在
通常
使用する
濃度
においてこれ手荒れ
試験
を行っておるわけでございますが、その結果によりますと、まあ普通に使用いたします
濃度
で
皮膚
に接触いたしました場合にはまあ正常な人では
皮膚障害
は起こさないと、かような一応の
実験
結果は出ておるわけでございます。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、この
合成洗剤
の作用というものが
皮膚
の脂肪を除去する作用を持っておるわけでございまして、まあ
通常
の人ですとこれが一たん除去された脂肪がある一定時間内にまた出てくるというようなことのようでございますが、これは
実験
結果でございますが、人によってはその一たん取り去られた脂肪が再び出てくるのに相当の長時間を要するというような人もおられるようでございまして、そういう人ではやはり手の荒れ等の問題があろうかと思うわけでございます。したがいまして、あくまで先ほど申し上げました
通常
の
使用濃度
で接触した場合には手の荒れ等の
皮膚障害
は生じないということを申し上げたのは、
一つ
の統計的な観察に基づく
結論
でございますが、個々の人につきましてはただいま申し上げたような問題があろうかと存じます。
内田善利
129
○内田
善利
君 まあ界面活性剤はおっしゃるとおりに脂肪を取ってしまいますから、非常に
皮膚
が何といいますか、きれいになるかもしれませんけれども、それだけ非常に危険に陥りやすいと、そういうことじゃないかと、こう素人ながらわかるわけですが、まあそういったことですから、あとの処置ですね、界面活性剤を使った場合の後の処置法等については十分PRする必要があるのじゃないかとこう思います。 また、この四三%あるいは先ほど発表になりました三五%の
皮膚障害
を受けた方々が本当にその
基準
内で使っておられたのか、あるいは
基準
オーバーの使用をなさっていたのか、この辺わからないわけですが、まあ原理から考えれば
皮膚
の脂分を全部取ってしまうわけですから危険性は強いなとこう思うわけですね。 それともう
一つ
は、今度は
経皮毒性
という
言葉
を使っておりましたが、
皮膚
から
体内
に
吸収
されていく、そういうことはあり得るわけですか。
石丸隆治
130
○
政府委員
(
石丸隆治
君) まず第一の御指摘でございますが、
合成洗剤
あるいは界面活性剤を使用いたしました後の手入れ等の
方法
でございますが、これにつきましては、使用後の手入れ
方法
等につきまして
洗剤
の容器にそういった注意を表示してもらうよう、現在業界を指導いたしておるところでございます。 それからさらに
経皮毒性
でございますが、これも四十八年度からの
実験
で現在
実験
を継続中でございますが、先日、十二月五日の
中間報告
の段階におきまして、やはりこの
皮膚
を通しまして
人体
内に
吸収
されるというこの
実験
結果は出ておるわけでございますが、まあその
吸収
の、ただいま細かい
数字
は持っておりませんけれども、一応の
結論
といたしましては
皮膚
からの
吸収
はまあわりに少なくて、
吸収
後二十四時間以内にその大部分がふん便あるいは尿中に排出される。で、その排出をされたものはこのもとの
ABS
あるいは
LAS
、そういったものの化学構造の一部分の破片であるということが証明されておるわけでございまして、やはり
生体
内でわりに早い時間内にこれが
分解
されるというふうに解釈いたしております。
内田善利
131
○内田
善利
君 その
ABS
も
LAS
も肝臓で
分解
されるわけですか。私は肝臓でほとんど
分解
されないと、このように聞いておりますがどうなんですか。
石丸隆治
132
○
政府委員
(
石丸隆治
君) どこで
分解
されるか、これはまだ
報告
を受けていないところでございますが、ふん便あるいは尿の中に出てくる
物質
が
分解
された
物質
であるというところが現在証明されておるところでございます。
内田善利
133
○内田
善利
君 それから、ソフト化による
安全性
ですけれども、工ASになればほんとうに安全なのかどうかですね、この点はどうなんですか。
石丸隆治
134
○
政府委員
(
石丸隆治
君)
食品衛生
上の問題といたしまして、経口的な、いわゆる口から入ってきた
毒性
につきましては
ABS
も
LAS
もこれ変わらない、同じだというふうにわれわれ承知いたしております。
内田善利
135
○内田
善利
君 そうすると、ソフト化の効用というのはこれはどういうことなんですか。
石丸隆治
136
○
政府委員
(
石丸隆治
君) これは
環境
庁あるいは
通産省
の方からお答え願う方がいいかとも思うわけでございますが、やはり
環境
中にこれが放出されました場合に
分解
が早いという、これが
一つ
の特徴でしかもメリットだというふうに理解いたしております。
内田善利
137
○内田
善利
君 では
環境
庁にお伺いしますけれども、この間も飛行機で羽田におりてくる途中に、川にいっぱいあわが浮いているわけですが、ソフト化されてあわが出なくなったということですけれども、そう変わってないように思うんですが、八五%ぐらいは
分解
されるということですけれども、あとの一五%が残っているのかどうか。河川のこういったあわ、発泡状態、これを見ますと、やっぱり
合成洗剤
は
環境
を
汚染
しているなという感じが非常に強いわけですが、この
分解性
はどうなっているんでしょうか。
大場敏彦
138
○
政府委員
(大場敏彦君) 発泡の問題は、これは
毒性
とはただいまお話ありましたように別の問題として、飲料水の
基準
からむしろ出てきている問題で、あるいは
下水
道の
処理
機能があわ立ちによって低下する、そういうことを防止する意味から出てきている問題で、いわゆる
毒性
の問題とは別の問題でございます。まあ難
分解性
の
ABS
からいわゆるソフト化した形での
LAS
に
通産省
の指導で切りかえられました結果、その生
分解
率は約九五%だというふうに聞いておりますが、かなり
分解
度は高まってきているというふうに理解しております。 ただ、いま先生が御指摘になっておりましたように、
LAS
に切りかえました結果、
下水
道の
処理
がしやすくなったということはございます。ございますが、
下水
道がまだ敷かれていないところにつきましては依然として発泡の問題はまだ根本的には解決されていないと。
下水
道網が敷かれているところは、
LAS
に切りかえソフト化することによって
処理
技術が容易になったために、発泡の問題はほぼ解決したと見ていいと思います。しかしながら、まだそれが敷かれてないところにつきましては、依然としてあわ立ちの問題は残っていると、こういうふうに理解をしております。
内田善利
139
○内田
善利
君
東京
都の
調査
によりましても、まだ
井戸
水の中に
ABS
を検出しているということが発表になっているわけですが、
井戸
水にこのように
ABS
、
合成洗剤
がまだ認められるということは今後まだ問題があるんじゃないかとこう思うんですが、
井戸
水について
ABS
の規制、これは〇・五
PPm
ということですが、
井戸
水の中に、すなわち飲料水の中に
ABS
が入ってくるということは問題じゃないかと思いますが、この点はどうでしょう。
大場敏彦
140
○
政府委員
(大場敏彦君) これは、〇.五
PPm
という
基準
は飲料水の
基準
という形で
厚生省
でお決めになった事柄でございますが、
便宜
私の方から御
説明
申し上げますと、これはいわゆる
毒性
がどうかというこういう判断ではなくて、いわゆる飲み水として水道のじゃ口をひねったときにあわが立ってはこれはいかにも人間に不快感を与えると、こういった形での発泡限界からきている事柄でございまして、そういう意味で〇・五というものを決めているわけであります。アメリカ等におきましても同様な
数値
で飲料水
基準
を決めていると、こういうことでございます。そういう意味で、
東京
都周辺の
井戸
水のお話がございましたけれども、河川の状況等を見ますと、これは上水として使っている河川でございますが、御
参考
までに簡単に申し上げておきますと、荒川等におきましては、大体〇・五ないしは〇・四というところが一部下流のところにございますが、大体のところはO・O三とか〇・〇四と、そういったところでございます。江戸川も大体そういったオーダー、〇・一とかそういったオーダーでございます。また、いわゆる多摩川等におきましてもこれも問題になっておりますが、ここでは下流の方では〇・一あるいは〇・三というオーダーもございますが、上流の方に行きますと〇・〇七とか〇・〇一とかいうぐあいで、おおむね〇・五という
基準
に、上水として使用している川につきましてはそれ以下におさまっていると。ごく例外に、ある地点においては、下流の地点においてはなきにしもあらずという
程度
でございますが、大体そういう状況でございます。
内田善利
141
○内田
善利
君
厚生省
にお聞きしますが、飲料水中のPCBの
基準
はどうなっていますか。
国川建二
142
○
説明員
(国川建二君) お答えいたします。 PCBの点でございますが、現在水道法の中に飲料水の水質
基準
を定めておりますけれども、現在のところは省令として定めておりませんけれども、実態的にPCBは検出されないことという
基準
を運用するよう指導いたしておるところでございます。
内田善利
143
○内田
善利
君 河川中に、あるいは湖沼の中にPCBが相当まだふえつつあるわけですが、
環境
が
汚染
されつつあるわけですが、その河川の中のPCBは一体飲料水、
上水道
にする場合にどこで除去しているのか非常に疑問に思うんですが、PCBあるいはBHC等は飲料水、
上水道
ではどこで除去しているのかという問題ですね。 それとあわせて、この
ABS
との複合
汚染
、この問題については京都の衛研の藤原先生が問題を提起しておられるわけですが、この点いかがですか。
国川建二
144
○
説明員
(国川建二君) PCBが問題になりましたときに、私どもの方でも、全国的に主要水系並びに地
下水等
につきまして、水道が水源としております地点での
調査
を全国的に行いましたが、その結果は、
原水
の段階ではまあほとんど検出されないようなレベルの
程度
でございました。したがいまして、当然ではございますが、あわせて主要都市の水道等につきましても、いわゆる給水栓につきまして実態
調査
を行いましたところは今日まで検出限界以下というように
報告
を受けておりまして、私どももそのように考えておるわけでございます。 なお、後段のお尋ねの
ABS
との相乗作用と申しますか、そこらの点につきましては現在なおまだ十
分解
明されていないというように考えておるわけでございます。
内田善利
145
○内田
善利
君 藤原邦達氏は
ABS
のような界面活性剤がなければPCBのように水に溶けない
物質
の蓄積、生物
汚染
はなかったかもしれないと、このように言っておるわけですね。このことについて、PCBと
ABS
の相互関連性、それといろいろな重金属との関連性、こういったことについては
研究
はなされておるわけですか。
大場敏彦
146
○
政府委員
(大場敏彦君)
便宜
私の方から
手元
にあるデータで御
説明
申し上げますと、
環境
庁が一昨年委託
研究
でいただいた
調査
でございますが、
ABS
とPCBとが
環境
水の中で共存した場合に、プランクトン等に及ぼす
影響
というものをいろいろ
実験
したデータがございますが、
ABS
だけの場合と、それから
ABS
とPCBが同居、併存した場合に比べますと、かなり
影響
の度合いというものは、併存した場合の方が強いということがいわれております。
ABS
とPCBとの
毒性
物質
が水域中に共存する場合にはプランクトンに対する
ABS
の致死
濃度
は非常に高くなる、確実だと、こういった
結論
が出ております。
内田善利
147
○内田
善利
君
厚生省
、その点はどうなんですか。
国川建二
148
○
説明員
(国川建二君) 現在まだ十分私どもの方としまして解明されて
研究
が進んでいないわけでございますが、今後とも種々の
物質
との相互作用と申しますか、そういった問題は今後の課題としまして十分
検討
を進めていきたいと思っております。
内田善利
149
○内田
善利
君
空気
と同じように飲み水というのは人間にとって一番大事なものなんですね。
空気
が
汚染
、水が
汚染
ということは重大問題だと私は思うんです。毎日水なくしてはわれわれは生きられないんですから、その水の中に問題になっている
ABS
がどうか、PCBがどうか、重金属との相関性、複合
汚染
はないかどうか、大事な問題だと思うんですがね。まだ何も
研究
していないと、今後
検討
していくということですけれども、私は
空気
と同じように水は大事な問題だと思いますので、今後ひとつよろしくお願いします。というのは
基準
を決められたわけでしょう。
昭和
四十八年、
食品衛生法
を改正して、五月二十四日にこの
食品
、添加物等の規格
基準
を決められた。この中で
洗浄
剤については
成分規格
を、砒素の場合はその含有限度は〇・〇五
PPm
以下とする。それから重金属の検出、その含有の限度として、鉛一
PPm
以下とする。PHは六・〇から一〇・五とする。脂肪酸系の
洗浄
剤以外の
洗浄
剤については六・〇から八・〇とすると、こういうふうに
合成洗剤
の
成分規格
を決めておられるわけですね。そういうことを決めておられるわけですから、これは恐らくいま言ったようなことを含んでこういう規格ができたんだと思うんですが、この規格ができた
基準
は一体何なんでしょうか。
宮沢香
150
○
説明員
(宮沢香君) お答え申し上げます。 一般にこういった
化学物質
をつくる場合にいろいろな原料を使いまして、先生御指摘のようないろいろな重金属とか、あるいは危険な砒素等も入ってくることがあるので、極力その品質を安全の純度の高いものにすると、こういうことで一般の
化学物質
のいろんな規格をつくっておりますが、その一環として、特に
食品等
について
洗浄
するようなことに用いるものですから純度を非常に高めたと、こういうような精神でつくっております。
内田善利
151
○内田
善利
君 私は鉛とか砒素とか、こういったものが
成分規格
の中で、これだけ含まれてよろしいということがいいのだろうかと、特に砒素〇・〇五
PPm
以下とすると、あるいは鉛は一
PPm
以下とすると、こういうことですが、こういうものが含まれておっていいのか、
ABS
との
関係
性はどうなのか、PCBとの
関係
性はどうなのかと、そういうことを考えてこれがつくられたものなのかどうか。飲料水中に入ってくる、あるいは
食品
を
洗浄
した場合に
食品
の中から残留
ABS
として入ってくる、そういうことを考えますと、こういった
基準
ももう少し
毒性
テストをやった学者の
意見
等も聞いてつくるべきであると、このように思うのですが、この点はいかがですか。
宮沢香
152
○
説明員
(宮沢香君) 一般にいろいろな
化学物質
を合成します際に用います原材料は、天燃界から自然にそういう地核の中からいま先生御指摘になったような金属等を吸い上げたりして持っておるわけでございますが、そういうものの中でも特に除去し得る限り除去して、そしてあとう限りそういうレベルを低くする、こういうようなことで、特に私どもの生活に密接な
関係
のあるような
化学物質
については、砒素であるとか、鉛であるとかという、
生体
に対して悪い
影響
を与えるような金属についてはでき得る限り純度の高い、そういう値の低いものをつくるような精神でやっておりまして、
洗剤
も非常に身近なものである、
食品
を通して入る恐れもあるということですので、その純度を非常に高めるというふうに努力した値でございます。
内田善利
153
○内田
善利
君 この螢光染料が飲料水の中に残っているという記事を見たんですが、
東京
慈恵医大
の小机教授他の
研究
で、
井戸
水や
水道水
に紫外線を照射したときの光りぐあいが
ABS
混入量とほぼ一致し、その螢光を発する
物質
は
洗剤
に添加されている螢光増白剤であることがわかったということなんですが、この螢光増白剤はいまでも使っておるわけですか。
宮沢香
154
○
説明員
(宮沢香君) 台所用の
洗剤
つまり
食器
とか、
食品
を洗うこの
洗剤
でございますが、これは
洗浄
力が私どもの主眼でございまして、色をつけるとかそういうようなことは必要ないということで、螢光増白剤の混入は許しておりません。ただ、いま先生の御指摘のその検出されたというのは、恐らくは衣料用の洗たく剤の中で、これはワイシャツ等白いようなものに増白した美しい色を与えるというようなことで、何
種類
かの螢光増白剤が使用されておるということは聞いておりますが、恐らくそちらからのものではなかろうかと考えております。
内田善利
155
○内田
善利
君 最後に、トリポリ燐酸ナトリウムですか、これは何のために
合成洗剤
に使っているのか、またこれがあるために、先ほどもお話がありましたように、赤潮の原因になったり、いろいろ問題を提起しているわけですが、これは使わなければならないものなのかどうか、この点はどうですか。
太田耕二
156
○
説明員
(太田耕二君) トリポリ燐酸ソーダのいわゆる役目と申しますか、効能でございますが、これは台所には使っておりません。
洗たく用
いわゆる衣料用にだけ使っております。
洗浄
力助剤と申しますか、それを入れることによって
洗浄
力が上がるというようなこと、それからいわゆる水にはメタルが入っておりまして、これを、いわゆる金属石けんと申しますが、そういった石けんに使います場合ですと石けんあかが出ますが、たとえばそういったものを防ぐような作用をさせるというふうなことで、現状のところ、いろいろな代替品を考えたのでございますが、適当なものがございませんので、まあ
洗浄
力との見合いも考え合わせながら、できるだけ減らす方向に目下努力しようとしている段階でございます。
沓脱タケ子
157
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間だと思うので端的に聞いていきたいと思うのですけれども、
合成洗剤
が国民の中で大変に大きく不安が広がってきている。これは従来の政府のこういった
化学物質
に対する姿勢というのが、たとえばAF2の場合でも、PCBの場合でも国民が信頼できるというふうな行政に近づくためには、実現するためにはかなり大きな国民的な運動が背景にないとなかなか実現できないという政府の行政の姿勢というんですか、そういった点もありまして、非常に国民の不安というのは一層広がっているというのがいま実情だと思うのです。国民の健康と生命に責任を持つ政府、特に直接の
厚生省
としては早く国民の不安を解消するということが早急に望まれていると思うんですよ。そういう点で、私はきょう午前中の御
報告
を伺っていて思ったんですが、三十七年から
厚生省
としては対処してきていると、そうして四十年に
厚生省
が科技庁を中心にした一・定の
報告
を出した。そうして四十四年に三重大の三上教授が
催奇形性
の問題提起を学界でやられた。ところが、
厚生省
としてそういった問題の新たな
研究
チームをつくったというのが四十八年だ。少なくとも少数
意見
であれ、多数
意見
であれ、しかも
人体
に甚大な
影響
を及ぼすというふうな点が学問的に提起をされた場合には、国民の中に不安が広がるのは当然なんです。ところが四年間も放置してきたという、やはり
厚生省
、政府の責任、そういった姿勢が国民の中に一層大きく不安を拡大してきた責任があると思うのですよ。その点で、まず最初に四年間一体どういうふうに考えて放置してきたのか、その点まずお聞きしたいと思う。
石丸隆治
158
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 時間的
経過
は、ただいま先生御指摘のとおりでございます。この
研究班
としては、たしかこの
三重大学
の三上先生が御発表になって、
研究班
を編成するまでの間に四年の歳月を費やしている。これは事実でございますが、その間何もやっていなかったということではないわけでございまして、やはりこれは、
研究班
は編成いたしておりませんですけれども、国立の
研究
所等ではその
報告
につきましていろいろ御
検討
を願っておった、こういう
経過
がございます。
沓脱タケ子
159
○沓脱タケ子君 いま前提としてそういうところがありますから、特に国民の日常生活の中では
化学物質
が非常にたくさんいろんな形で使われるという中で、
化学物質
に対する知識というのは、これは国民の中で十分知らされていないというふうな中で、危険だといわれたらこれは不安が広がるのは当然なんですよ。そういう前提に立って対処するということがきわめて大事だと思うのです。私も医者の一人として、問題提起をされております
催奇形性
の問題、
皮膚障害
の問題、あるいは発がん性を助成するというふうな問題、あるいは味蕾を麻痺させるというふうな問題等々、それぞれの学者が一定の
実験
に基づいた発表をされております。これはそういうふうに問題提起された点について何点かはすでに
研究班
として進められておるわけですけれども、たとえば発がん性の補助剤あるいは助成をするというふうな見解も出ているわけですね。ですから、疑問の出ている点は全部やはり解明をするというふうな
立場
をおとりになるということが国民の
立場
から言いますと、これは疑問を解明していく上で必要不可欠なんです。その点どうですか。
石丸隆治
160
○
政府委員
(
石丸隆治
君) 先生御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても早急にそういった
一つ
の御
意見
が提案された場合に、それに対応してそれを追試するだけの
能力
を持ちまして、できるだけ短時間の間にそれに対応できるよう、現在その機構等の整備に努力いたしておるところでございます。
沓脱タケ子
161
○沓脱タケ子君 それで、さっきの御質疑で問題になる点は、全部出尽くしておりますから私は繰り返す気はないのですけれども、そういった点でできるだけ早く国民に
結論
を明確にすると、しかも何となく疑わしいままで結果だけが
報告
をされるというふうなことになりますと、先ほど
環境庁長官
、うるさいから自動車に乗らなければいいというふうに言われましたけれども、やはり五十一年規制のときのような疑惑を残さないように、少なくともやるべきだというふうに私は痛切に感じるわけです。そういう点で、これはもう
研究
を進めておられるのだから、純然たる化学的な
結論
というものを本当に国民が信頼できる形で公表すると、そういうことをして
結論
を明らかにするということ、これは保証できますか。
石丸隆治
162
○
政府委員
(
石丸隆治
君)
研究班
といたしまして
報告書
をまとめまして、これを
食品衛生調査会
に提出した段階でこういったデータはすべて公表いたしたいと思っております。
沓脱タケ子
163
○沓脱タケ子君 で、そういう点で時期が早ければ早いほどいいというふうに思うのです。で、その上に立って私は特に申し上げたいのですが、たとえば
皮膚障害
がいまの
中間報告
ではありませんと、こう言われても、実際に使っている国民は自覚症状があるのですよ、その都度、都度。それが界面活性作用が非常に強力で、
洗浄
能力
が高いのでと、そういうふうに言われても、自分で自覚症状があると、一方では
人体
影響
があるという
報告
があると、これでは国民安心できないわけですよ。その点を取り除く努力というのは、どうしたらいいかという点だって必要だと思うのです。そこで、私は先ほどからも
論議
になりましたから、その問題に関連して言っておきたいと思うのですけれども、
東京
都を初め、あるいは大阪、名古屋、埼玉で、教育
委員会
では、
野菜
、果物の
洗浄
はやめさしたと、それで文部省の方もそういう通達を出したと、こう言っているのですが、これは
結論
が出るまでの間は、たとえ三カ月であろうが、六カ月であろうが疑いがあるという限りにおいては、やはりそういった措置をとるということが賢明だと思うのですよ。そこで
東京
都では、どういうふうに書って教育
委員会
に指導しているかというと、こういうふうに言っているのです。 寄生虫の卵の
関係
では、寄生虫卵の保有者というのは、ここ両三年来検査の結果ゼロだ。消化器系の
急性
伝染病も著しく
減少
している。しかも
野菜
への浸透力というのは、浸透力が強くて、相当量が浸透しておる。したがって化学的な合成物の
人体
への侵入が可能な限り避けるべきであるという
立場
でやめているというわけですね。そうしますと、
人体
の、
体内
に入る量というのが、何が一番多いかというと、これはまあ
研究
結果によりますと、一日一人
当たり
七ミリグラムという中で、これは
研究
をされておりますけれども、
野菜
と果物、
野菜
のその水洗というのが、
野菜
の
洗剤
洗浄
というのが一番量が多いと、六ミリ以上だ、果物がその次に多いということが
研究
結果では出ているわけですね。で、その他
食器等
あるいは
皮膚
を通しての
吸収
というのは、その点から見ればごく微量だと、したがって、
体内
に
吸収
をさせないということになれば、これは
野菜
、果物の
洗浄
をやめるということがいま一番大事だということで、これは教育
委員会
が御指導になっているというのは、
報告書
を見たらわかります。 そこで私は
厚生省
にお伺いをしたいのですけれども、
厚生省
がお出しになっております
洗浄
剤の
使用基準
、これは改める必要がないのかどうか。――進めておられるわけでしょう。これを改められるつもりはないですか。依然として
野菜
や果物は
合成洗剤
で洗うがよろしいということを進めていかれますか。教育
委員会
が賢明な措置をとっているのだからその措置というのは国民の中に疑惑がある。で、幾らまだわからぬ、いや大丈夫だと言われてみても、自覚症状もあると、こういう中で出てきている問題なので、この点はやはり先ほど
局長
がおっしゃったように、不必要に
体内
に取り入れる必要はないので、客観的に必要性がなければその点は改善をする必要があるのではないかと思いますが、その点についての御見解を聞きたいと思う。
石丸隆治
164
○
政府委員
(
石丸隆治
君) この
食品衛生法
に基づきます
洗浄
剤の
使用基準
でございますが、こういう
使用基準
を定めておるところでございます。ただこの意味が、ただいま先生御指摘のように、こういう
方法
で使いなさいという奨励的な意味でこれをつくっておるわけではないわけでございまして、御承知のように、
食品衛生法
というのは、取り締まり法規でございまして、一応
洗浄
剤を使用する場合にはこういう
方法
で使用しなさいと、こういう意味での、これはしかも営業上使用する場合にのみこういった規制を受けるという、こういう法律のたてまえでございます。で、たしかこの
洗浄
剤の使用につきまして、かつて
昭和
三十年初頭におきまして、まだわが国に寄生虫の非常に多かった時代におきましては、むしろ
野菜等
に
合成洗剤
を使うようにという奨励を行っておったところでございますが、現状におきまして、こういうふうにもう寄生虫の患者も減っていると、こういう状況下におきましては、
洗浄
剤を使うことを奨励するということではなくて、こういう法律のたてまえ上、
洗浄
剤を営業上使用する場合にはこういう
方法
で使いなさい、かような意味でこの
使用基準
を定めておるところでございます。
沓脱タケ子
165
○沓脱タケ子君 それじゃ、
使用基準
を定めていると言うけれども、
野菜
、果物を洗いなさいということを奨励する必要はもうないんじゃないかというのです。その辺、明確にしたらどうですかというのです。だって
結論
が出るまで国民が不安のままでやらなきゃならぬというような、そんな状態をほうっておく手はないですよ。現に教育
委員会
は、
野菜
、果物は浸透力があって、
体内
に取り入れる量としては一番多いのだから、これはもう不必要に、
体内
に取り入れる必要はないということでやめているというのです。しかも文部省もそういう指示をしているというのですから、これはもう教育
委員会
に学んで、当然
厚生省
としてもやるべきだと思うのですが、どうですか。
石丸隆治
166
○
政府委員
(
石丸隆治
君) ただいま先生の御
意見
でございますが、
食品衛生法
によりまして、この
洗浄
剤の
使用基準
におきまして、まあむしろ
野菜
、果物等に、決めるとすれば
洗浄
剤として使用してはならないという、こういう決め方になるかと思うわけでございまして、まあそういうふうに法律をもちまして使用を禁止する段階にまだ立ち至っていないと、かように考えておるわけでございまして、先生御指摘のように、われわれといたしまして、現在
野菜
を
合成洗剤
で洗いなさいという、そういう指導は
昭和
三十年初頭とは違いまして、現在ではそういう奨励はやっておりません。
沓脱タケ子
167
○沓脱タケ子君 それで、まあ状況が変わったのだからそれは当然指導も変わってあたりまえだということを私は申し上げたかったのですよ。いま言うてないというけれども、三十年ごろ力説をされたのがそのまま生きているというところが問題なんです。 ちょっと長官が予算
委員会
の
関係
で早く退席されるというから、先に
環境
汚染
のところに触れておきたいと思うのですが、
合成洗剤
の本体の
ABS
、
LAS
がかなり深く
論議
をされていっておるんですけれども、
合成洗剤
の中にはいわゆるビルダーというものが配合されておって、その量というものもかなり大きいわけですね。で、長官、先ほど言われたように、このビルダーが大分問題だということを言っておられるのですけれども、最初に聞いておきたいのは、上水の
基準
では、
ABS
の方の
基準
も〇・五
PPm
ですか、
基準
があるんだけれども、
環境
基準
ないんですね。
環境
基準
決めてないでしょう。それなら上水の方は〇・五
PPm
というけれども、
環境
基準
が決めてなかったら、これはどんどん
汚染
も増強されていくというふうなおそれは十分あるんですが、
環境
基準
決めるつもりはないですか。
大場敏彦
168
○
政府委員
(大場敏彦君) 先ほど上水につきまして、上水といいますか、飲料水の
基準
といたしまして〇・五
PPm
という
ABS
の
基準
があるということを申し上げました。
環境
基準
は御指摘のとおり決まっておりません。おりませんが、この〇・五
PPm
というのは
毒性
という観点からの問題ではなくて、発泡限界という形から決まっているわけであります。そういう意味で、
環境
水域の
環境
基準
を決める場合には、
毒性
の観点からどのくらいあったらいいか、一切禁止しなければいけないかどうか、こういった形で決めるわけでございますから、早く
厚生省
の方で科学的知見を出していただいて、それに従って
環境
基準
を決めていきたい、かように思っております。
沓脱タケ子
169
○沓脱タケ子君 それからいわゆる補助剤といいますか、ビルダー、これの燐と窒素が赤潮あるいは臭い水というふうなものをつくる最大の原因であると、まあ
環境
庁としてはそこが最大の頭痛む点だということを先ほどもおっしゃったとおりなんですけれども、そこで、
洗剤
のJIS規格を見ますと、いわゆる問題になっておる燐のもとになるトリポリ燐酸ナトリウムというのは、この規格では八%ないし二〇%というふうに書かれているのですね。これを入れることによって
洗剤
の本体である
ABS
あるいは
LAS
の作用をうんと強化するという
関係
になっておると思うのですけれども、このおかげで赤潮ができ、
環境
汚染
が増強されるということであるならば、これは変更を求めたらどうですか。で、従来からもうすでに
環境
庁では再三申し入れをして、五十年一月からこのトリポリ燐酸ナトリウムは上限一五%までにするというふうなことを
通産省
に行政指導させているのですね。もっとやはりそういった
環境
汚染
につながる部分については、その
結論
が出るまででも、少なくとも
環境
を守るという
立場
からは明確な態度を出すべきだと思うのです。いままでやってきておるんだから、それはいいわけですから、少なくともこれはJIS規格を変えさせるというふうなことまでやって
環境
汚染
を防止するというふうなつもりはないですか。
小沢辰男
170
○国務大臣(小沢辰男君) これはもう先生のおっしゃるまでもなく、私どもはその点に着目しまして一五%以下にしてくれと、今年一月から。さらに新しいやはり助剤の開発をやってもらうということでいま強くお願いをいたしておるわけでございます。先ほども言いましたように、私どもとしては、水質の汚濁の点から考えますと、とにかく望ましくないことは事実でございます。ただ、さりとて別のものをこう使われた場合にかえって悪くなっては困りますので、先ほど言いました石けん
関係
のものでございますとそういう点もありますので、もうできるだけ早くひとつ技術開発を進めてもらってこの問題の解決をするようにぜひ強力にひとつ指導してもらいたいと思って、常時通産には申し入れをして、一緒になってメーカーを指導したいと、かように考えております。
沓脱タケ子
171
○沓脱タケ子君 それで、
通産省
に聞きたいのですが、いわゆる
洗剤
のJIS規格の二〇%をことしの一月から製造の分については一五%の上限で行政指導しているというのですが、これはJIS規格を変えさせて、もっと私は、この
環境
汚染
に一番大きな
影響
を持っておるトリポリ燐酸ナトリウムについては対処するというつもりはないですか。
太田耕二
172
○
説明員
(太田耕二君) ただいま
環境庁長官
の方のお話もございましたように、実は
環境
庁からかねて来強く要請を受けております。まあJISの規格を変えるにはいろいろな手続が要るわけでございますので、それまでの暫定的な措置といたしまして、とりあえず
合成洗剤
の品質にそう
影響
がない範囲においてできるものからすぐやっていこうということで、今年の一月から一五%にマキシマムの値を決めてそれを実行させているということでございます。で、JIS規格の改定につきましては、工業技術院の方とも十分連絡をとりまして、なるべく早くやるようにというふうに実は作業を進めておりますが、一番肝心な
洗浄
力の
試験
方法
というのが実は規格で決まっておらないわけでございます。したがって、このトリポリ燐酸ソーダを一挙に減らしたわ、その品質が非常に悪くなってまあ実質的に洗たくに支障を及ぼすということでも、これは消費者に対するメリットと申しますか、利益を損うおそれがあるものでございますから、
合成洗剤
の
試験
方法
をなるべく早く確立して、しかもまた、いろんな配合を変えるなり、代替品の開発をやって、この一五%というマキシマムの
数値
にわれわれはこだわっているわけではございません。できるだけもっともっと下げたいわけでございますが、そういった観点で作業をしておりまして、少なくとも一五%という
数字
は、JIS規格の改正は五十年度中に実施いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
沓脱タケ子
173
○沓脱タケ子君 ちょっとその問題も続きあるんですけれどもね。長官時間がないからもう
一つ
聞いておきたいんですがね。これは
下水
道の整備が大事だということ、長官も先ほど言われたんですが、非常に大事だと思う。現状ではその
処理
、いわゆる
下水
の普及率というのは、全国的には二〇%余りですね。三〇%ないですよ、全国的にはね。
東京
でも六〇%そこそこでしょう。大阪が大変進んでおって、大阪市内でも八〇%を超している
程度
なんですね。しかも、それは二次
処理
なんですよ。私は二次
処理
でももっと急速に普及をすることが、
環境
汚染
から
汚染
をなくしていく、緩和していくという上で大事だと思いますのは、先ほどから
論議
の中の
ABS
をソフト化しても、これはそのままでは
分解
しないわけですよね。比較的しやすいというのであって、
処理場
を通れば二次
処理
でもこれは
分解
しやすいわけですからね。その辺では、
環境
汚染
から守るという
立場
から言えば、この
下水
の普及という点について、もっと
環境
庁は
洗剤
の――
洗剤
だけではないですけれども、
洗剤
の側面から見ても、もっと急速に普及をさせていく必要があるんではないかと思いますが、その点はどうです。
小沢辰男
174
○国務大臣(小沢辰男君) 私はもう着任以来それが一番大事だと思いまして、私の予算折衝のときの大臣折衝でも、私の省のやつはその前に片づけてしまって、大臣折衝ではもつ。ばら
下水
のことをやったわけでございます。どうしてもひとつ、私どもとしては普及率を向上すると同時に、やっぱり三次
処理
の点をできるだけ早く普及をさしていきたい、まあ私せっかく努力します。それでなければなかなか水がきれいになりませんので。
沓脱タケ子
175
○沓脱タケ子君 それじゃ大臣いいですよ。 あと続けて聞かしてもらいたいのは、
局長
に続けてお聞きしたいんだけれども、三次
処理
ができれば、これは三次
処理
を普及できれば私、特別に文句ないですよ。いま大都会でも三次
処理
がまだ不可能なというふうな段階で、三次
処理
の
論議
をしていてもしょうがないんですよ。なぜ
下水
の普及の問題を言っているかというと、活性汚泥
処理
をしたら、これは
分解
は非常にされやすいわけですね。ソフト化されたという効果というのは出るわけですよ。そういう点で、これは当然そういった点についての
意見
というのを、これは
通産省
だって製品つくらせて使わせているわけだから、そういった
関係
でももっと明確にして、普及をさせるというふうな
立場
というのは大切ではないかというふうに思うのと、もう
一つ
環境
庁に聞きたいのは、その燐はチェックしておられるのですけれども、窒素ですね。
合成洗剤
からの窒素はチェックしてないんですね。――してますか。してないんですよね。
太田耕二
176
○
説明員
(太田耕二君) ちょっと私の方から
便宜
お答えさしていただきますが、
合成洗剤
には大体において窒素は入っておらないわけなんです。結局富栄養化の問題では、燐だけが問題になっております。
大場敏彦
177
○
政府委員
(大場敏彦君) いま御指摘になりましたように
下水
道の問題は、これは窒素、燐を除去するという意味で、いまの二次
処理
から高度化した三次
処理
ということを進めることは大事なことは大臣が申し上げたとおりでございますが、しかし、またこれは非常にコストがかかるという難点もございますし、それから二次
処理
、現在の活性汚泥方式の二次
処理
の
下水
すら、まだ十分に普及していないという現状でございますから、二次
処理
をできるだけ早く普及させるというところに、やっぱり重点を置いて進めていくと。同時に、窒素、燐というものの富栄養化ということの防止のために三次
処理
ということも開発していくと、こういう
立場
ではないかと思って、建設省にもそのように申し入れはしてございます。 それから、いまお尋ねになりました窒素の問題は、
通産省
の方から答弁申し上げましたように、
合成洗剤
の問題は主として燐の問題でございまして、燐につきましては、これはたとえば琵琶湖だとか諏訪湖だとか、そういった閉鎖性水域に、あるいは瀬戸内海、そういったところに排出される燐の中で家庭排水が占める割合が非常に多く、しかも、その中で
合成洗剤
から排出される燐の割合は非常に多いということで、これはかなり大きな寄与をしているというふうに思っておりますので、その点は非常にわれわれは重視しております。
沓脱タケ子
178
○沓脱タケ子君 全然入ってないんじゃなくて、ビルダーの中には尿素なども使っておりますから、厳密に言うと入ってないことはないんで、量が少ないというだけのことです、全体の中で。だから正確に言うてもらわぬと困りますよ。それでね、そのことを
論議
するつもりはないんで、富栄養化をする
物質
についてが問題だから言っているんであって、燐が最大の問題だということは、もう明らかなんですよ。 もう
一つ
聞きたいのは、少なくとも
結論
が出るまで国民の中で不安が広がっているという中では、もう
一つ
やらなきゃならぬ問題があると思う。それは先ほどからも
皮膚障害
の問題を御
説明
になるのに、ずっと
洗浄
の
目的
に適合した
濃度
で云々ということを盛んに言うんですよね。ところが全国使っている人、ほとんど自覚症状を持っているんですよ。それは何かと言うんです。きょう私、あそこで買うてきたんですがね、参議院の会館の売店で売っている分だけ買うてみた。これこんなもの書いていますけれどもわからへんですよ。ちょっと読んでみましょうか。何て書いてあるか言うたらね、
合成洗剤
、これは「ママレモン」と言いましてね、ライオン油脂株式会社、それでね、「品名
合成洗剤
成分陰イオン系
種類
中性 用途
食器
・
野菜
・果物洗い用」「標準
使用量
水一リットルに対し一・五ミリリットル」こう書いてある。それでね、使用上の注意には、これはめがねをかけぬと見えないほど小ちゃい字ですよ。「使い方――・キャップの先端を引きあげて使います閉じる場合は強く押し下げてください」と。それから「水二リットルに三%の割合でうすめて使うのが正しい使い方です(キャップ一杯は約八ミリリットルです)」と、こう書いてある。で、使用上の注意で後「五分以上つけたままにしないでください 水をとりかえて二回以上すすいでください」いろいろ書いてありますがね。「(キャップ一杯は約八ミリリットルです)」と書いてあるんですけれども、これはキャップで使うようになってないんですよ。これこう引っ張ってこうやったら出るんですよ。キャップも何もついてないです、いま買うてきたばかりです。こういうことで適切な指導法、あるいは
洗浄
の
目的
にかなう指導法で云々と言われても、こんなことではどれだけたらしたらいいのかわからぬですよ、実際。それで、国民不特定多数の人たちが全部使うものを、一リットルに対して一・五ミリリットルというそんなこと言うたって間に合わないです、実際。その点はこれは品質表示法でもっとまともに使えるように改めるということが早急に必要だと思うのです。だから、どの
程度
にしたらいいのかわからぬわけでしょう。
洗浄効果
がどの
程度
まであるのかわからぬ。で、落ちるであろうと思って
洗浄
した、そうしたら手には自覚症状がある、片方では
有害性
があると言われたら、これは国民の中に不安が広がるのは当然なんですがね、その点
通産省
どうですか。
太田耕二
179
○
説明員
(太田耕二君) ただいま先生実物をお示しになられまして御指摘がございました。いまのお話の件、私ども実は来る前に昼に調べてまいりまして、おっしゃるとおりでございます。一般的に台所
洗剤
につきましては、確かに使い過ぎの傾向があろうかと思います。したがいまして、ただいまのお話につきまして、もっとより適切な
方法
があるかどうか、より業界等とも一緒に私どもが考えをまとめた上で業界に指示するなり何なり
検討
さしていただきたいと思います。 それから公正取引
委員会
の指示指導でもって公正競争規約案というものをいま業界と公取の間で練っておりますから、これは
家庭用
品品質表示法に準拠した形でもつ七、ただいまのお話しの件が盛られることになっております。この辺の機会をとらえまして、いまのお話、御指摘のありました件、どう改正すべきか、またよりいい
方法
があればそちらの方向に
検討
するように考えてみたいと、かように考えております。
沓脱タケ子
180
○沓脱タケ子君 それはやればということだけど、絶対やらんといかぬと思うんですよ。こんなもの、ふたぴょっとあけたら何ぼでも出るものをね、キャップ一杯というキャップ何もついていないんですよ。実際どのキャップかわからへんです、そんなもの。それで手が荒れたら、それはその人は異常体質だとか何とか言っておったってこれは始まらぬのですよ。ここで話していると、
洗浄
の
目的
に適合する量云々というようなことを言っておりますけれども、日常生活でこれキャップついていてもほんまに使うだろうか、お台所でお茶わん洗うときに一々キャップで。そんなことをしませんよ、実際。当面
安全性
が確認される三カ月、半年の間でも、そういう不安を解消するというために必要な措置は、あらゆる措置をとるべきだというふうに思うんですよ。その点ではこれは濃過ぎるというんだったら、もっと薄めて大きな器へ入れて売ってもいいんですよ。実際そうなんです。本当にそうですよ。だってたわし直接こうかけてお使いになるというような場合だって、これはないとは言えないわけです。かなりの方々ありますからね。これはアンケートをとっても、二十数%はそうしているというのが出ていますよね。そういう点から考えたら、よい
方法
があったらなんというのんびりしたことを言うてもらったら困る、不安が広がっているんだから。少なくとも不安が広がっている中で、少しでも心配のないような配慮というのは、行政的にやるべきだというふうに思いますが、もう一遍言うてください。
太田耕二
181
○
説明員
(太田耕二君) 御指摘の点は十分理解いたしまして
検討
をしてみたいと思います。
栗原俊夫
182
○理事(栗原俊夫君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十二分散会 ―――――・―――――