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1975-03-26 第75回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月二十六日(水曜日)    午前十一時十二分開会     —————————————    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     原田  立君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田忠三郎君     理事                 黒住 忠行君                 中村 登美君                目黒朝次郎君                 阿部 憲一君                 栗林 卓司君     委 員                 岡本  悟君                 加藤 武徳君                 山東 昭子君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 原田  立君                 河田 賢治君                 安武 洋子君    国務大臣        運 輸 大 臣  木村 睦男君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       竹岡 勝美君        沖繩開発庁振興        局長       井上 幸夫君        運輸大臣官房審        議官       中村 四郎君        運輸省海運局長  薗村 泰彦君        運輸省船員局長  山上 孝史君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省自動車局        整備部長     田付 健次君        運輸省航空局長  中村 大造君        運輸省航空局技        術部長      中曽  敬君        海上保安庁次長  隅  健三君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    高田 朗雄君        運輸省船舶局首        席船舶検査官   謝敷 宗登君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  高橋 英雄君    参考人        日本航空株式会        社社長      朝田 静夫君        全日本空輸株式        会社社長     若狭 得治君        東亜国内航空株        式会社社長    田中  勇君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○交通安全対策樹立に関する調査  (交通安全対策基本方針等に関する件)     —————————————
  2. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) ただいまから交通安全対策特別委員会開会をいたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十五日、太田淳夫君が委員を辞任され、その補欠として原田立君が選出をされました。     —————————————
  3. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 参考人出席要求についてお諮りをいたします。  航空交通安全対策に関する件について、本日、日本航空株式会社社長朝田静夫君、全日本空輸株式会社社長若狭得治君及び東亜国内航空株式会社社長田中勇君を参考人として出席を求めることについて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 交通安全対策樹立に関する調査を議題といたし、交通安全対策基本方針等について質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、時間の関係もありますから、まず最初に、沖繩交通の問題について政府考え方をぜひ聞かしてもらいたい、こう思うわけであります。  この委員会は、昨年海洋博ども含めて沖繩現地調査に行ったと、こういうことを聞いておりますし、私も二度ほど沖繩に行っては沖繩交通関係をいろいろ見てきておるわけでありますが、現地方々が一言に言うことには、まあ本州と言っちゃ悪うございますが、こちらの方には国鉄があり、公営交通機関がある。しかし、沖繩にはそういう国の投資で行われている交通機関はほとんどない、ほとんど民営である。したがって、沖繩交通の緩和なり、あるいは交通事情を改善するなり、あるいは安全を確保するためには、国の投資沖繩交通に特別の配慮をしたらいいじゃないかと、こういう点が現地交通関係者意見もあるし、あるいは経営者の方にもこういう気持ちが多分にあるわけでありますが、今日まで、特別に、まあ国鉄に見合うもの、あるいは都市交通に見合うものなどに対する財政的な援助あるいは展望というものがありましたら、まずお聞かせ願いたい、こう思うのであります。
  7. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 沖繩交通事情は、ただいまお話がございましたようないろいろな問題を抱えております。ただ、御承知のように、本年七月から海洋博が行われますので、この関連工事といたしまして、道路空港、あるいは港湾の諸事業推進してまいりまして、昭和四十七年度には四十六億円、四十八年度は百九十億円、四十九年度は二百五億円、さらに五十年度予算案におきましては百二億円を計上いたしまして、ただいま申し上げましたような諸施設整備を図っているところでございます。さらにまた、交通事情のうち、特に安全面につきましては特別の配慮を行っておりまして、四十六年度を初年度とする交通安全施設等整備事業五カ年計画というのが本土におきましては推進をされているところでございますが、沖繩県につきましては四十七年度を初年度といたしまして四カ年計画をつくりまして、本土では補助事業対象とされておりません道路標識でありますとか、道路表示整備補助対象といたしております。総額四十八億三千万円で信号機の新設二百十八基、道路標識八千七百本、歩道二百六十キロメートル、横断歩道橋等二十カ所、道路照明四百四十六基というような施設整備を行っているのでございます。また、交通安全対策特別交付金等を財源とする地方単独事業五億八千万円というものも予定しているのでございまして、いろいろ政府としてやるべきことは推進をいたしております。  なお、お話しのようないわゆる鉄道、軌道と申しますか、こういうものはいまございません。そういう面では、県民の方から、国として県とともにこの問題の解決を早く図ってほしいという要請を受けておりまして、調査費はつけております。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま言った話はそれなりに努力をしていると思いますが、いま大臣が後に言った沖繩鉄道を敷設するのかモノレールを敷くのか、そういう問題についてもいろいろ現地の間には議論なりうわさのあるところでありますが、これらの問題について具体的な議論がされておるのかどうか、されておるとすればいつごろまで目安をつけるのかどうか、この辺の考え方があったらお聞かせ願いたい、こう思います。
  9. 井上幸夫

    政府委員井上幸夫君) ただいま御指摘のございました主として沖繩本島における大量輸送手段をどう整備するかということにつきましては、モノレールという考え方もございますし、鉄道という考え方もあるようでございます。地元にいろいろお考えがあるようでございますけれども、国といたしましては、五十年度予算に新たに沖繩開発庁を所管といたしまして沖繩におきます特別の開発事業推進調査費といたしまして一億円を計上いたしております。このうちの相当部分沖繩における将来の陸上交通体系研究調査に充てることといたしております。できるだけ速やかにいかなる手段によるべきかということについて結論を出す所存でございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 できるだけ早く出してもらいたいし、その際に私はお伺いするのですが、沖繩交通を見てみますと、バスタクシー、何だか変なややっこしいタクシー類似行為どもありますが、沖繩の今後の交通体系をどうするか、安全設備をどうするか、そういう際には、現地住民意向なり、あるいは直接携わっている交通労働者意向なり、そういうものの意見を十分に参酌をした計画を立てていただきたいと、こう私は考えるわけであります。日本と長い間離れておった関係もあればあるほど、交通問題を考えるときには現地住民方々交通労働者意見、そういうものを聞く必要があると思うのでありますが、仮に交通委員会というものでもつくってそういう多くの方々意見を吸い上げて、いまおたくさんが言った大量輸送をどうするか、交通緩和をどうするか、そういうことについて構想があるかどうか、お聞かせ願いたい、こう思うのであります。
  11. 植木光教

    国務大臣植木光教君) お話しのように、全日本交通運輸労働組合協議会の議長さんから、「沖繩における公共交通確保交通安全対策」という要求書がまいっておりまして、しさいに私どもといたしましては検討いたしております。沖繩県におきましては、御承知だと思いますが、交通安全に関しましては他府県と同じように民間人を含めました交通安全推進協議会というのがございまして、五十九団体入っておられます。総合交通体系について審議する場を県において設置しようというような動きもあるようでございまして、これまでに設置されております協議機関と同様に、広く関係者意見を徴する必要があると思うのでございまして、私どもといたしましては、県と十分連絡をとりながらこの問題の対処をいたしてまいりたいと存じます。  なお、県が学識経験者諮問をいたしまして、大量輸送交通機関はいかがすべきやということにつきまして最近答申が出た模様でございまして、鉄道によることが望ましいというような答申の内容を伺っております。今後県と十分連絡をしてまいりたいと存じます。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その五十九団体推進委員会ですね、それも私は聞いてはおります。聞いてはおりますが、ざっくばらんに言って、業界代表が多くて、地域代表であるとか実際に安全確保にかかわりのある労働者であるとか、直接のその方々がわりあい少ない。ですから、事務的といいますか、形式的にはありますけれども、やはり地域代表なり労働者代表を十分に入れるような再検討をお願いしたいと思っております。同時に、私は向こうに行って交通問題を話しますと、県知事さんも市長さんも、初めての問題であるから、鉄道を敷くと言っても一体どうなるのかと、それについて非常に心配をしていらっしゃる。ですから、鉄道の問題を議論する場合には、やはり中央における国鉄の労使の関係者ども入る。たとえば、国鉄代表が入るとか、あるいは全交の代表が入るとか、そういう鉄道の問題に明るい中央代表も入れて調査なりあるいは具体案を練るべきであると、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  13. 植木光教

    国務大臣植木光教君) ただいま申し上げました推進協議会の中にもいろいろな民間団体が入っておられまして、教育界の方、あるいは報道界の方、あるいは業界の方も入っておられます。また、県の労働組合連合会も入っておられます。まあ構成団体としては安全推進協議会としてはこの構成は妥当なものではないかと私は思うのでございますけれども、いまお話がございましたような今後の総合交通体系をどうしていくかということにつきましては、やはり県だけでは十分でございません。県は県として先ほど申し上げたように諮問機関どもつくっておられますけれども、これを現実に処理していくということになりますと、本土と県とが十分に連絡をし合わなければなりませんし、本土学識経験者の過去の見識でありますとか体験を十分に生かさなければならないと思います。その点については配慮してまいりたいと存じます。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ひとつ御努力をお願いいたします。  それから沖繩の中には一つバス輸送の問題があって、あそこは五つか六つの会社ですか、非常に会社があって、しかも、まあ余り適当な言葉じゃありませんが、一部好ましくない団体ども介入されておるわけでありますが、私は率直に言って、沖繩バス状態を見ますと、あの会社をですね、公的一元化という言葉ではありませんが、ひとつ一元化をしてそして効率ある運用をする、そのために必要な国の資金を投入する。聞くところによりますと、累積赤字が約二十億程度赤字を持っているということもこの前言われました。したがって、この赤字の始末も含めて、先ほど冒頭申し上げたこちらには国鉄という手があるのですから、その国鉄に見合う投資ということも含めて、このバス一元化なり、あるいは負債の整理なり、そういうものについて考え意思があるかどうか、あるいは考えておられればどういうことを持っておるか、お聞かせ願いたい、こう思うのです。
  15. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) バス関係のことでございますので私から御答弁申し上げますが、沖繩は人口が百万内外のところでございますので、まあバス事業はいままでたしか六、七社あったのでございますけれども、やはり自主的に合理化を進めまして現在たしか四社ぐらいになっておると思います。しかし、何せ需要が少ないところに四社でも多いぐらいなのが現状でございますので、勢い経営は非常に苦しい。そこで、お話しのような赤字にもなっておるということでございます。われわれといたしましても、これを適当に指導いたしまして、さらに現状の四社では多過ぎるのではないか、もうちょっと集約化することが好ましいのではないかというふうな考えは持っておりますが、まあそういう考え方で、現地の方でどういうふうな意向でありますか、それも十分考えながら指導していきたいと思っております。  それから補助の面でございますけれども、特に海洋博が始まりますというと、陸上輸送のほとんではバスに頼らざるを得ないということでございます。そこで、沖繩バス関係でも海洋博を目当てに百五十両ぐらいの増車が必要であるということで、運輸省といたしましても、それにバス購入費として約二億——一億九千五百万ぐらいになったと思いますが、補助金を出すことに決定をいたしております。そのほか、一般的に路線の赤字等につきましては、本土と同じようなルールによって補助すべきものは補助するという方針をとっておりますが、何しろそういう意味では後進——まあ発展途上の県でございますので、今後はよほど力を入れてやっていかなければいけないと、かように思っております。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、やっぱり向こうに行って聞いてみますと、現地方々は、本州には博多まで新幹線が来る、あるいは東北新幹線が行くと、あれほど膨大な金を投入しておる。ところが、沖繩には遺憾ながらそういう国の補助、あるいは国が直接事業を行うという点はない。鉄道もなければモノレールもない。ほとんど住民の足はバスタクシーとあの変な——後で申し上げますが、変な怪物だと。でありますから、バスぐらいは少なくとも国の直営ぐらいでやってやるというくらいの抜本的な政策を本土関係で見てもいいじゃないかという意向が非常に強いですね。これは、一般の市民の方も、住民の方も、農家の方——サトウキビをやっている農民の方にお会いしても、結局バスしかないわけですね。国際大通りあたりは少し込んでいるけれども、一歩出るともうバスしかないわけなんですよ。ですから、これらについては、国内における私鉄の助成とは別に、特別の配慮をやはりやるべきだ。そうしないと、安全の面とか歩行者の足の確保とかという点がどうも不能になってしまうと、私はこういうことを思っているのですが、この点はもう一度念のために両大臣からお聞かせ願いたい、こう思うのです。特別の措置国有鉄道に準ずるような措置をできないものか、あるいは議論されておるけれどもなかなか閣内でまとまらないのかどうか、この点も聞かせてもらいたい、こう思うのです。
  17. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 経営主体の問題でございますが、これはまあいまああやって民営バス事業をやっておる。ですから、これを国営なりあるいは県営なりといった公共団体や国を主体にして経営がえをするというふうな問題につきましては、いろいろ問題があると思います。こういう点は、やはり沖繩県当局がどういうふうに考えておるか、一番民意を反映しておるのが県当局でございますから、県当局がどういう考えであるかということをまずわれわれは第一に考えるべきであると思っておりますが、これらの問題につきましては、別にそういった意思表示を受けてぜひそういうふうにしてほしいとかいうふうなことは、運輸省としてはまだ耳にしておらないのが実情でございます。
  18. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 沖繩県本土との社会資本と申しますか、社会経済基盤格差が大変大きゅうございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、道路港湾空港、その他いろいろな諸設備事業をいま精力的に推進しているというところでございまして、また、離島におきましては特にその点につきましては格差が大きいものでございますから、五十年度には特に離島に力を入れていま申し上げましたような事業も進めておるわけでございます。運輸大臣からも御答弁がございましたように、県の意向というものを尊重しなければならないことは申すまでもないところでございます。沖繩開発庁といたしましても、あるいは総理府といたしましても、この交通問題につきましては常時県当局連絡をとりながらやっているところでございまして、県の意思を十分に尊重しつつ国ができるだけこれを援助してまいると、こういう姿勢で取り組んでまいります。
  19. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうしますと、私も来月もう一回行って海洋博に対する準備がどの程度かということを実際に見てきたり、意見を聞いたりと思っておりますが、じゃ仮に県段階でいま運輸大臣が言った国営なり公営なり、そういう問題について沖繩交通について配慮してほしい、そういう意向が固まれば、それを十分に尊重しながら配慮していきたいと、そういう意向と受け取っていいですか、両大臣とも。
  20. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 県並びに沖繩を所管しております総理府の方で一応の意向をまとめられると思いますから、まとまりましたら、われわれとしても十分検討はいたしたいと思っております。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つ、この沖繩の問題で、何というんですかね、軽自動車小型荷物車というやつが非常に巧妙に走っているのですが、あれがやっぱりタクシー方々とのトラブルがしょっちゅう問題になっている。それで国会でも一回や二回は取り上げられたと思うのですが、海洋博があればあるほどまた問題になって、いろいろなトラブルのも一とになる。したがって、あの軽自動車という名前を使ってハンドバッグの付添人の人間を乗せて歩く、あの形態はやはりどこかの時点で思い切って行政措置をしない限り、本件問題はおさまらぬと、私はこう思うのですが、これに対する両大臣の見解なりあるいは決断などについてお聞かせ願いたい。業界からの圧力が非常に強いということも聞いておりますが、しかし、業界圧力に負けたのでは、私は、交通安全という立場から、事故が起きてからではまずいと、こう思うのでありますから、その辺を含めてお考えを聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  22. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 取り締まり等につきましては警察の方からお答えがあると思いますが、実はその実情は私たちも非常に心配をしております。ただ、長い間占領下で苦労されて、経済的にも非常におくれておるという地域でございますので、私も実は昨年ちょっと行く機会がありましたから行って体験をいたしたのでございますが、タクシーにしましても、五両とか十両とか十五両とかいう一つの規模を持って、いわゆる正規の道路運送法によるところの労務管理から何からきちんとして経営をするということになりますと、なかなか経営上むずかしいということで、どうもいわゆる本式のタクシー事業者というものがまだまだ育ちがたいという土地柄であるものですから、その間隙を縫って需要にこたえるために、日本によくありますような白タク沖繩の場合には日本本土と違いますのは、それを貨物自動車でやるというところまで様子が変わっておるのでございますが、そうやって労務管理、料金その他はもう自由にしてやってお客の需要にこたえる余地がまだあるというところに非常に問題があるわけでございます。この点は、われわれ自動車運送行政をやっております者も、今後、現地担当官も行っておりますので指導を続けさしておりますけれども、やはりこれが全面的に改善していくためには、沖繩全体の、何といいますか、経済的にだんだんと発展するといいますか、経済力がついてくるということと相まちませんとなかなかむずかしい点があることは事実でございますが、しかし、よくないことでございますので、できる限りの指導をいたしておるわけでございます。それには反面取り締まりということも安全上からもぜひ必要でございますが、その点は警察の方がやっていただいておるようなのが実情でございますが、将来に向かっては、少しでも早くこういった異常な、普通でない状態が改善されるように努力をするつもりでございます。
  23. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いろいろ聞きますと、軽自動車方々グループと、タクシーの方のグループと、一部トラックを使っているグループと、こうあるわけですね。われわれも「くるまへん」という経験があるのでいろいろ話し合いをしようと言っても、なかなか利害相対立していて一堂に会して云々ということはできないわけなんですよ。いま大臣がいみじくも言った、悪いことは悪いんですからね。しかし、また一面生活がかかっているという裏面もあるわけでありますから、そういう方々生活面も含めてどうするかというところを、それは国の行政があっせんをして集めて、みんなで話し合いをする、あるいはみんなでいい点を見つける、あるいは必要によればタクシー営業のほうに転換していくと、そういうことも含めて何か行政指導というところでこの三つグループ方々一堂に集めて話し合いをさせる、あるいは皆さんの意見を聞く、問題点を探る、そういう積極性がない限りは、この問題はいつまでたっても問題として残る、復帰前も復帰後も依然として残る。こういう現状から考えますと、そういう強力な指導体制行政府段階考えるべきじゃなかろうか。特にこれはけが人が出てしまうと、私はますます変な問題に発展してしまうと、こう思うんですよ。そういう点でそういう積極性についてどうでしょうか、お考えがあったら総理府の方からお聞かせ願いたいと、こう思うのです。
  24. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 実情は先ほど運輸大臣お話しになったとおりでございますし、また、御心配になっておられる目黒委員の御指摘は、私も現地へ参りました際に痛感してまいったのでございます。いまお話になりましたように、関係者が集まりましてこの問題の処理を早急に行うということは大変大事なことだと存じますので、早速そのような協議をしますように指示をいたしたいと存じます。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  それから沖繩関係あと二つ三つ海洋博に絡んでこれはいろいろな工事が行われるわけでございますが、この工事についても、やっぱり海洋博重点住民サイドのことはなかなか取り上げてくれないと、そういう苦情があるのですが、この海洋博に絡む地域住民との話し合いということについてはどういう形で行われてきたのか、経過があれば聞かしてもらいたい、こう思うのです。
  26. 井上幸夫

    政府委員井上幸夫君) ただいま御指摘のとおり、海洋博関連公共事業と、それから必ずしもこれに密接には連関いたしませんいわゆる民生安定のための公共事業が、主として幹線道路沿いに錯綜しておりますことは事実でございます。具体的に申し上げますと、道路と、それに敷設すべき上水道の給水管、この問題につきましては、事前に十分にすり合わせをいたしまして、海洋博交通ラッシュ時に水道管を敷設するためにまた道路を掘り返すというようなことがないように十分に措置をいたしましたし、それからそのために水道工事を繰り上げる必要の生ずるものにつきましては、すでに昨年に予備費支出などまでお願いいたしましてそういう行き違いのないような考え方をとっておるところでございます。したがいまして、七月以降にそのような行き違いがないように手配済みでございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がありませんから、海洋博重点住民が後置きされているという苦情がありますから、そういうことのないように御配慮願いたいと思うのであります。  次に、海洋博がありますと、短期間に交通が集中するわけですね。この際に私はやっぱりあくまでも海洋博といえども人間尊重の原則を忘れてはならないと、こう思いますから、どんなに車が集中しようと、やはり歩行者優先、人間優先、そういう大原則で交通整理を行うと、こういう考え方でいろいろな施策をやってもらいたいと、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  28. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 仰せのとおりでございまして、沖繩県内におきましてもいろいろ交通安全のために大変努力をしていただいております。また、本土から参ります観客が非常にたくさんあるということが予想せられますので、特にカーフェリー等で参ります車両に対しましては、ドライバーにその安全運転確保のための教育といいますか、PRといいますか、船内でパンフレットその他によりまして十分周知をさせるという具体的な指導を行っていく、いま行ってもおりますし、特に海洋博におきましては強くそれを行っていきたいと考えております。ドライバーだけではございませんで、歩行者を含めまして沖繩県及び本土の人々に対しまして、さらにそのための啓発を十分に実行してまいります。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 特にバスの運転手さんとかタクシーの運転手さんとか会ってみますと、いまでさえも交通が大変だと。それで、通行区分の違う——右、左が違うのですから、通行区分の違う元気のいい方々が入ってきたら、いまでも国際通りあたりが麻痺しているのに大変なことだと。したがって、思い切ってやっぱりこの際観光にはバスを使ってもらう。本土の通行区分の違うマイカーの流入については一切禁止をすると、そのぐらいの強硬手段をやらないと交通安全が守れないと、そういう営業車を預かっている方々から強い要望があるんですよ。その点は十分検討されたのでしょうか。ぜひマイカーの流入については禁止せいという強い意向なんですが、いかがでしょうか。
  30. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 全面禁止をするということは大変むずかしいことでございます。しかし、海洋博に行っていただくということは国の願いであり、また県民の願いでもございます。したがいまして、県内の交通が錯綜いたしませんように、また、安全が確保せられますように、いろいろな角度からひとつ指導をさせていただきたいと存じます。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、規則上は、外国に行く際の手続さえ受ければ、左、右にかかわりなく運転できるのですから、それはそれなりにわかりますが、そういう強い要望があるということを安全の面からできるだけ行政指導で可能な限り努力してもらいたいということをお願いいたしまして、沖繩関係は終わります。  時間がありませんから一つだけ運輸大臣に聞きたいのですが、一九五一年の十二月にILOの第四回内陸運輸労働委員会で「輸送の調整から生じる労働時間に関する決議」がいろいろ行われておるわけでありますが、この問題についてはまだ日本の場合は批准されていない。いろいろな労働条件の問題でここに抵触してくるわけでありますが、これらについてどういうお考えを持っているか、お答え願いたいと思います。
  32. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 労働省の所管の事項のようでございますので正確なお答えはできぬかと思いますが、政府委員の方からお答えさせていただきます。
  33. 中村四郎

    政府委員中村四郎君) ただいま御質問のILO内陸運輸労働委員会におきます条約等の関係につきまして現在私どもの方でその内容等検討を行っておる段階でございまして、今後その検討によりまして対応したいというふうに考えております。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 すると、運輸省の段階では、運輸行政をやるに当たって国際的な公平な基準をつくるという努力はされるんでしょう。そのために、バスの運転手、タクシーとか、陸上関係とか、それから私はあえて言いたくありませんが、上組であるとかいろいろなタクシー会社で第三勢力の介入があって労働条件が悪化されていると、こういうことなども、これもやっぱり第四回内陸運輸労働委員会の各決議を読んでみますと抵触してくることが出るわけなんですよ。たとえば「運輸企業間の競争が労働条件の低下を犠牲として行なわれ、運輸調整の公正な基礎を確立しようとする努力を破壊することを許すべきでない」と。これは過当競争で第二組合、第三組合をつくって暴力団を使って労働条件を低下させる、これはもう運輸行政としては国際的にマイナスだ、失格だということをこの条約は指摘しているんでしょう。これからいくと、現在の免許制度というものについてもう一回洗い直す必要があるのじゃなかろうか。いわゆる免許取り上げですね、そういうことについて私はもっと国際条約締結について検討されるべきだと、こう思うのですが、その点は議論になったことがあるかないか、あれば経過を聞かしてもらいたいし、なければ今後どういうふうな取り組みをするか、その考え方を聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
  35. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) その条約の内容については私は詳しくは存じ上げませんが、いま目黒委員お話しになったようなことで大体推測はつくわけでございますが、現在日本にありますいろいろな交通関係事業規制の法律でもってそういった意味の趣旨のことは大体できる仕組みになっておると私は考えております。上組の問題につきましても国会でもいろいろ意見が出ておりますけれども、私は現在の法規でもって大体ILOのこの趣旨に合うような処置はできると思いますが、なおILOの関係の法規との関係十分検討いたしまして、現在の日本の法規でもってカバーできない面があり、また、カバーする必要があるという点につきましては、国内法規の面におきましても十分検討いたしたいと思っております。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、この点については要求いたしますが、この内陸運輸労働委員会の決議の各条項と現在の運輸行政指導関係で十分消化した面、あるいは消化できない面、抵触している面、それを整理してぜひ委員会に御提出願いたいと思うのです。そして、まだ消化不十分な点は今後どういう考えでこの問題について取り組んでいくか、その取り扱いなり展望なりについて御提示願えれば、われわれも議論する際に非常にいいのではなかろうかと、こう思いますので、ぜひこの点に対して、委員長、ひとつ資料の提出をお願いしたいと、こう思うのです。
  37. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 労働省と十分連絡をとりまして、いま御要求がありましたような問題についての資料を、ちょっと時間かかると思いますが、つくりまして提出さしていただきます。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、その点はぜひお願いいたします。  それからもう一つは、安全の確保労働者の労働条件あるいは勤務時間というのは非常に影響があることは否定できないですが、もう四月、五月で春闘にまた入ってくるわけでありますが、この春闘の段階で、まあよもやないと思うのですが、運輸省や大蔵省が私鉄とか国鉄のいろいろな当面の問題について政治的な圧力を加える、そういう形から安全問題に支障を来すということはないだろうと思うのですが、それらに対する政府の見解を運輸大臣から聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
  39. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 労使間の問題についで政府は介入する意図は毛頭持っておりません。ただ、今日、政府が労使の双方にお願いしておりますことは、いま一番国民的な課題でございますインフレと物価対策に取り組んで、おかげさまでかなりの効果を発揮しつつありますので、この状態をさらに一層強力に維持できるようにしていかなければならない責務を持っておるわけでございますので、そういう観点から、今回のベースアップを中心とした春闘の結果がどういうふうになるかということはかなりの影響を持っておると、こう考えておりますので、そういう面で労使の双方に対しましてひとつそういうことを十分勘案をしていただきまして節度のある態度で終始していただきたいということをお願いをしておるわけでございます。そういう意味で労使双方に御協力を願っておるということでございまして、圧力を加えますとか、あるいは財政の力を使っていろいろ強制、圧力を加えるとか、そういうことは毛頭考えておりませんし、また、やってもいないわけでございます。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最後に、この前の質問で、国鉄などを中心に交通全般の見直しをやるという話がありました。国鉄の場合にも国鉄問題検討会などをつくって八月あたりをめどにつくろうと、そういうまあ情勢があるわけですが、私は、この際見直しをする際に、いろいろな委員会とか審議会があるわけですが、その段階で、たとえば交通全体であれば、先ほど言った全国交通労働組合協議会、約九十万の労働者が結集している、あるいは国鉄であれば国鉄の労働組合がある、あるいは私鉄であれば私鉄総連がある、そういう直接安全の問題で第一線に立っている方々代表を正式の委員に入れるとか、具体的に意見を聴取するとか、そういうことが行われないままに、私の経験から言うと、あるものがコンクリート化されてからどうだということになって労使紛争の的になってしまう。ですから、まだ生コンの段階で交通全般については全交運の意見はどうか、あるいは沖繩問題については沖繩の皆さんの意見はどうかと皆さんから意見を聞く。そういう仕組みにやはりせっかく見直すのですから見直す過程で十分に配慮してもらいたい。そうすれば、無用な労使紛争もなければ、問題も具体的に詰まっていくと、こういう気が私は経験上からするのですが、そういう見直し論の際に基本的な発想の転換をお願いしたいものだと、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  41. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この問題につきましては私もいろいろと考えておるところでございまして、交通の全体の体系の見直し、あるいは現在一番重要な大きな問題として検討に取り組んでおります国鉄の再建の問題にいたしましても、結局は国民各界各層の皆さんの御理解と御協力がなければできないわけでございますので、そういう意味で、最終的には労働組合を含めまして国民各層の方々意見が反映でき、また、その御意見も十分に参酌をいたしまして最終的な結論を出したい、かように思っております。どういう形でそれをやるかということは、目下検討中でございます。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ大体大臣考えはわかりますから、新幹線の安全問題を論じても、カーフェリーの安全問題を論じても、空の安全問題を論じても、港湾の安全問題を論じても、その第一線で働いている技術屋さん、新幹線問題であれば運転士であるとかその保守に当たっている方々、そういう方々の生の声をどういう形で吸い上げるか、それが安全問題のどうもキーポイントを握っている。どんなにテーブルでやっても、結局、働いているのは第一線のそういう方々ですから、そういう方々の生の声を、労働組合代表という形でも結構であるし、そういうものを実際に安全対策に生かしてその点を重ねて見直し論の際に生かすように、そうして安全は絶対だということはないのですから、もういやというくらい新幹線でも味わっていますから、そういうことがないようにひとつ要望して、私の時間が来たようですから質問を終わります。
  43. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、十三時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会
  44. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) ただいまから交通安全対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。  なお、議事の運営といたしましては、委員の質問にお答えを願う形で進めてまいりたいと存じます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。   〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕
  45. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒朝次郎君) それでは、質疑のある方は御発言願います。
  46. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ただいまも申し上げましたとおり、私は当委員会委員長を仰せつかっておりまする吉田でございます。簡単な御礼のごあいさつを申し上げましたが、質問者といたしまして重ねて御礼申し上げたいと思いますが、ただいまは決算期でございまして大変御多忙中のところでございます。そのときに当たりまして、こうして国会に参考人として御足労賜りましたことは、質問者の私といたしましてもまことに心から感謝をいたしておるところであります。厚く御礼申し上げたいと思います。  そこで、参考人の日航の社長さん、全日空の社長さん、あるいはまた東亜国内航空の社長さん、順次お伺いをいたしたいと思いますが、私はなぜ一体、日本航空、全日空、東亜国内航空三社の社長さんにおいでを願ったかということは、私どもこうした大事な国政の場で委員会を預かっているのでございますけれども、しょせんは素人でございます。でありまするから、この委員会を運営いたすために参考にしたい、こういう気持ちで、専門家の、特に業を行っておりまする三社の社長さんに御足労願った、こういうことでございますから、率直な御高見を拝聴賜りたい、こう思っております。  わが国の航空企業というものを経過を振り返ってみますると、たしか昭和二十五年だったと存じますが、連合軍の航空業運営許可という形でなされた、私はそう記憶いたしております。そして、正式に航空企業が運輸省の外局としてそれぞれの行政機関ができたのでありますが、そこから認可を受けたのはたしか昭和二十七年だったと私は記憶しております。このときを境に、昭和二十七年、二十八年の段階で多数の航空企業が認可された。こう経過を振り返ってみまするとあるわけでございます。その後、たしか昭和二十八年だと思いますが、日本航空が認可をされ、その後も若干それぞれの航空会社がかなり認可をされて今日に来ております。  しかし、その後、航空事故は、たしか昭和二十七年だと思いますが、日本航空が一件、「もく星号」でございましたが、航空事故を起こしております。昭和三十九年から昭和四十一年の段階は、大変な航空事故が発生した年であります。これはわが国だけではございません。諸外国を見ましても、この年次は航空事故が非常に多かったのであります。この当時をちょっと見ますると、四十一年の二月には全日空が事故を起こしております。百三十三名の多数の死亡者を出している。そして、翌月のたった一カ月後にカナダ航空がやはり事故を起こした。そして同月、相次いで英国海外航空が事故を起こした。十一月にまた全日空が起こす。翌年一月には今度はこれまたYSでございますけれども全日空が事故を起こした。四十六年には東亜国内航空が事故を起こした。残念ながら事故件数の非常に多い年次でございました。運輸省並びに国会でもこの問題が大変議論をされたところです。  そこで、政府もこれにかんがみまして憂慮されまして、たしか昭和四十五年だと思いますが、「航空企業の運営体制について」ということで閣議がいろいろ議論されまして決め合っていることは、航空三社の社長さん方も十分御承知おきだと思う。私はこの中でなぜ参考人の皆さんにこうした多忙な時期に御足労を願ったかということは、ここに根拠を実は置いているわけです。ちょっと読み上げてみますが、   航空の大量高速輸送の進展に即応しつつ、利用者の利便の増進と安全性の確保を期する観点から、航空企業の運営体制については、下記の方針により、施策を推進するものとする。 この下のところに、   特に、安全性の確保については、航空環境の好転に眩惑されることなく、国及び航空企業において安全対策を一層強化するとともに、航空事業の着実な運営を確保することにより、国民の負託に応えるものとする。 ということを「特に、」という活字で書かれているわけであります。  最初に日本航空の社長さんにお伺いいたしますが、日本航空としてこの閣議の了解事項があるなしにかかわらず当然やらなければならぬことでございますが、航空の安全というものをどういうふうにお考えになり、具体的に日本航空として航空安全対策というものをどのようにお進めになっておられるか、率直な御意見を賜りたいと思います。同時に、このことについは、全日空の若狭社長さんからもお伺いをしたい。同時にまた、東亜国内航空の田中社長さんからもお伺いしたい。
  47. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) お答え申し上げます。  ただいま吉田先生の御指摘のありました昭和四十五年の閣議了解というものが、今日でも、航空安全の確保という点についても、あるいは事業分’野の調整の上につきましても、一つの大きなルールになっておると思っておるわけでありまして、それに続きまして昭和四十七年に運輸大臣示達事項というものがございます。それはただいま御指摘になりました閣議了解を再確認しておられる。その示達事項の中におきましても航空の安全性の確保ということが眼目になっておるわけでございますから、こういうルールもさることながら、私どもは大切なお客様の命をお預かりして目的地までお運びしておるわけでございますから、何といたしましても私ども事業は安全性の確保ということが事業運営の絶対命題であるというふうに考えておるわけでございまして、私どもも、一昨昨年、まことに申しわけのないニューデリー、モスコーの連続事故を起こしまして、私はモスコーの現地から帰国いたしまして直ちに社内に総合安全推進本部というものを設けて、私みずから本部長の職をとりまして、八十数項目にわたる安全対策というものを再び確立し、原点に立ち返って見直してそういういま申し上げました八十数項目にわたる安全対策というものを決めましてそれを実施に移しております。これはことごとく今日各項目ごとに実施に移しておりまして、現在、その一昨昨年の事故以来今日まで四十七万時間、幸いにして人身事故につながる航空事故というものはございません。全社的な問題としてわれわれが航空運送事業の絶対命題であります安全性確保に日夜役職員一致してこの問題を真剣に取り上げて努力いたしておるような次第でございます。  ただ、もう一つつけ加えさしていただきたいと思いますことは、今日日本航空の経営環境がきわめて困難な時期でございます。企業体質強化委員会というものを同時に設けまして、私みずからこれも委員長の職をとっておるわけであります。こういう経営環境と非常に悪い条件のもとで今日の困難な局面を打開する上におきましても、私はいろいろなことに手をつけなければなりませんけれども、生産の品質をどんなに苦しくても切り下げてはいけないということを言っておるわけでございまして、生産の品質というのは、安全性の確保と、そしてお客様に対するサービスの充実強化でございます。どんなに環境が苦しくてもそれは切り下げてはいけないという基本理念でただいま困難な問題と取り組んでおる、こういうことを御報告申し上げておきたいと思います。
  48. 若狭得治

    参考人若狭得治君) 全日空の若狭でございます。  安全が航空事業の根幹であり前提であるということにつきましては、当然のことでございます。企業としても最優先の考え方をもって進んでおることは当然のことでございます。昭和四十一年に全日空が連続事故を起こして、それ以来全社を挙げてこの安全の問題に取り組んでまいりました。大変不幸な出来事ではございましたけれども昭和四十六年に雫石の事故が起きましてつい先日判決が出たというような状態でございますけれども、いずれにいたしましても、この安全問題は航空事業の根幹であり、また民間企業として存立の基本をなすものであるというふうに考えて現在取り組んでおるわけでございます。  端的な例を申しますと、たとえば、昭和四十五年当時におきましては、全日空は一日四百五十便程度の便数を処理いたしておりまして、国内の各路線を運航いたしておったわけでございますが、現状はそれより約一割減程度の便数に減少いたしております。もちろん大型化によりまして輸送力は増加いたしておりまして、やはり利用者の利便という公共的な目的のために努めてはおるわけでございますけれども、便数といたしましては約一割の減少を見ておるわけでございます。また、飛行機の機数におきましても、四十五年当時から見ますと、現在はやはり一割程度の減少になっているかと思います。その間に整備あるいは運航パイロットの人数は約二倍の人員になっておるわけでございますけれども、もっぱら安全運航ということを主体にいたしまして便数の削減あるいは機数の削減ということに力を注いで、鋭意十分な安全対策の上の運航ということを心がけておるわけでございます。  また、社内に総合安全推進委員会というものが常設されておりまして、それにおきまして各国のいろいろな安全対策——各企業の安全対策はもちろんのこと、企業の内部におきましていろいろと新しい組織、仕組みというものを取り入れてこれを経営に生かすということをやっておるわけでございます。もし後ほど委員長のお許しを得て時間がありますれば、担当の役員も参っておりますので、この委員会で実施いたしました安全対策についての詳細について御説明させていただきたいというふうに考えております。  簡単でございますけれども、私の説明を終わります。
  49. 田中勇

    参考人田中勇君) 東亜国内航空の社長の田中でございます。  先ほど吉田さんから三社の社長はそれぞれ専門家だというお話をいただきましたが、私は就任以来一年五ヵ月でございまして、専門家とは残念ながら言えないと思います・ただ、交通事業に携わる年月は四十九年もやっておりますので、交通事業がいかに安全に問題をしぼっていかなければならぬかということは重々身にしみておる次第でございます。  東亜国内航空といたしましては、安全推進委員会というものをつくりまして、その委員長を私がやって、常にいかにすれば安全が保てるかということを研究いたしております。さらに、安全の問題は機材の品質が悪い場合にも起こり得るということから、機材の品質の向上を図るために品質管理委員会というものをつくっております。  次に、訓練所を最近におきまして拡充いたしまして、ささいなものではございますが教室をふやしております。それからDC9ジェット機、これも私の会社といたしましてはジェット機の導入後の日にちは浅いのでございますが、この二月三日からDC9のシミュレーターを設備いたしまして、四億五千万ばかり金がかかったのですが、まあ全体の金額に比べると大した金額ではないと思われますけれども、これは従来シミュレーターがないためにパイロットをアメリカまで派遣して勉強させておったのを日本でできるように準備したわけでございます。それから客室訓練課に最近DC9訓練用のモックアップを設備いたしまして、緊急脱出の訓練を続けてまいっております。  整備工場の方も、エンジン、プロペラ、ハイドロ、そういうものを最近拡充いたして、考えてみますと、安全という問題はこれでいいと、これで絶対大丈夫だと言うことはできないのが安全だと思います。それで、安全につきましては、徐々にではありますが常に向上していくと、こういう考え方努力中でございます。  以上をもって私の質問に対する御回答とします。
  50. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それぞれ各社の安全対策及び考え方は、まことに各社長さん方が航空安全のもとに力点を置いておられる、このことをしみじみ感じ取りました。国民の側から見ましてもそういう点では安心ができるであろうし、また、努力をされた皆さんにとても感謝をしていると、こう思います。  そこで、もう一つつけ加えてお伺いするのでありますが、この閣議の了解された、日本航空の社長さんが一つのルールだと、こうおっしゃったのですが、まあルールでもあり、私ども国政の場に立っている者から見ますると、これは大変権限のある指導指針だと、こう実は見ているわけです。したがいまして、この第四項に、これは皆さん御承知だと思います、そんなに長ったらしいものではありませんから。この第四項に、   過当競争の弊害が生ずることのないよう、路線の選抜、二社の協調等についても配意するよう努める。 と、こう書かれているのであります。当時の昭和四十一年から四十六年にかけて事故が大変多かったのでございますから、そのことをおもんぱかってこういう閣議が決定をする。もとより国会では議論になっている。私も当時運輸委員でおりまして議論した一人でありますが、過当競争、ここにも書かれておりますが、こういうことがやはり当時あの航空事故を惹起した一つの原因ではないか、こういうことも叫ばれました。それが歴然とその後のわが国の航空の今日まで進めてきました企業の歴史とでも申しますか、変わってきたものはございますけれども、当時大小取りまぜまして十数社会社が認可されておった。これは需給の関係もございますけれども、この際はやはり幾つかの会社に整理統合合併をしなければならぬじゃないかという議論がしきりに国会でなされたことは、皆さん御承知おきだと思います。したがって、ここに小さい図表がございますが、日本航空が二十八年十月一日に設立されまして、日本航空だけは今日そのまま一社となってきています。ところが、全日空の場合を見ますると、極東航空、日ペリ航空、これが昭和三十二年に合併されまして、いまの全日空、こうなっている。ところが、その後、昭和三十八年でございますが、(青木航空)−(日本遊覧航空)−藤田航空、これも昭和三十八年に全日空に合併をしている。はたまた、東亜国内航空は、日東航空、富士航空、北日本航空、これが合併をいたしまして昭和三十九年に国内航空、その後東亜航空と国内航空が合併いたしましてただいまの亜東国内航空になりましたのが昭和四十六年、こういう変遷を経ているわけです。つまり、このころ盛んに国会あるいは政府で論じられておったものは、つまり航空の再編成論というものが出たのであります。そうして、当時の方針が、この短文ではございますけれども閣議の決定事項になったと思うが、私はあまり時間がございませんから、具体的にどの航空会社はどういう分野でやったらいいのか、どの企業はどういう分野、それぞれ概括的にはここに書かれておりますが、ここでは申し上げませんが、そういう変遷を経てきた。で、当時を思い起こすわけですが、木村運輸大臣も当時たしか運輸委員をやっておられましたから御案内でございますが、国際線を一社にしたらどうか、国内線を一社にしたらどうか、こういう議論がなされてややそういう方向づけをいたしたのが再編成論時代だったと思う。したがいまして、当時、国内航空は日本航空に合併するんだ、こういうことがこの中にも書かれているわけです。ただいまも合併しないで、東亜航空と国内航空が合併して東亜国内航空に一つの新会社ができたですね。ですから、その当時からも変わっているわけです。変わったことがいいとか悪いとかと私は言っているのじゃなくて、その変わっていく時期には、つまり国際線が一社、国内二社、このころは再々編成と言われた時期だと思う。そういう結果が、ただいま申し上げましたように、大きく分けまして日本航空、全日空、東亜国内航空、こうなっているのだと私は思うのですが、当時は事故が大変起きたときです。やはり十数社も大小乱立さしておいたのでは、過当競争が激しいために、安全確保をする諸施策というものは、これは生産を伴いませんから、これは航空会社ばかりではございませんが、ややともするとその投資を避ける傾向がある。これではいけない、安全対策には大変な投資のかかるものでございますから、この際合併をさせよう、こういうことだと思う。ですから、皆さん実際に企業を行ってみて、先ほど申された対策をしていく場合に、ここにちゃんと書かれておりますが、過当競争というものとの関係はどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思う。
  51. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) お答え申し上げます。  過当競争を排除するということにつきましては、従来から、ただいま御指摘のありましたような路線の問題もございますし、便数の問題もございますし、いろいろな方法で過当競争を排除していくということにつきましては、各社ともいままでも相当苦心もし努力もしたわけでございます。一例を挙げますと、幹線におきまして私どもの方と全日空さんとの間で運賃プール協定というようなこともやってまいりましたのでございますが、まあそれはいろいろ当時の事情からいま実施しておりませんけれども、便数の問題につきましても、航空局の行政指導のもとにダイヤの調整もやり、あるいは公衆の利便の増進のためにも便数あるいはダイヤの調整、そういうようなことをやりまして今日に至っておるわけでございますが、過去と違った状態が最近出てまいりましたのは、空港の混雑、あるいは飽和状態に達しておりますので、しかもまた、深刻化してまいります環境問題もございますので、発着制限ということが各空港で行われてまいりました。そういうことで、当時の事情とずいぶん違ってまいっておると思いますが、どんどん輸送力を増強してそして過当競争に陥るような状態にはいまなってはおらないというふうに私は考えております。空港のいま申し上げましたような発着制限というようなことでおのずから便数がきまってくる。そして大型機が国内にも導入されまして、便数も相対的に増加しないで輸送力を提供し得るというような状態でございますので、従来いろいろと両社努力をしてまいりましたが、現在はそういう客観情勢が異なっておりますので、自然そういう調整ができておるというふうに考えておるようなわけであります。その他、営業活動の面におきましても、両社相提携して過当競争に陥らないように今後も努力をしてまいるつもりでございます。
  52. 若狭得治

    参考人若狭得治君) 過当競争の問題でございますけれども、その前に、先ほど吉田先生がお読みになりました昭和四十五年の「航空企業の運営体制について」という文書の中に利用者の利便のために新しい政策をつくるのだという言葉があったと思います。その当時までは、ローカル線につきましては、一社が独占的に運営することによりまして安全の問題も解決してまいりましたし、また、企業力の強化の問題も解決してまいったわけでございます。ただ、札幌から福岡に至る幹線につきましては、日本航空と全日空が競争して二社で運営するという体制でございました。しかし、航空需要昭和四十三年、四年というふうに非常に順調に伸びてまいりまして、ようやくローカル線につきましても二社で運営することができるような体制になってきたというふうに運輸省が判断され、また、政府としてもそういうふうにお決めになったと思いますけれども、ローカル線についても二社の体制で進む方がよろしいということになってきたわけでございます。これはあくまでも利用者の利便のために便数も増加し、また、エアラインに対する選択の余地を与えるというような、いろいろな意味で利用者に対するサービスを強化するために二社運航というものをローカル線においても認めていこうというのが運輸省の政策ではなかったかというふうに思っております。その過程においては多少の競争関係というものがあり得ることは当然でございますけれども、先ほど申しましたように、航空事業というものは安全が基本でございますので、すべてその面から協力しなければならぬことは当然でございますし、また、さきの閣議了解の中にも出ておったと思いますけれども日本航空、全日空は後発の東亜国内航空の安全面に対して協力するというような言葉もあったかと思います。安全面に対しては協力するということでございます。そういうことをわれわれも心得ておりまして、当然協調しながらやっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、その後航空事情が全く変わってまいりまして、最近、前年度の実績よりも下回るような旅客の情勢でございます。そういう関係で、まあいろいろと過当競争の問題が新聞をにぎわしておりますし、また、ローカル線のダブルトラックにつきましても情勢が全く変わってまいりまして、二社で運営することが昭和四十五年当時はそこまで自由に競争してもらっても十分二社で運営できるというふうに考えられておったわけでございますけれども、最近は航空需要がこれくらい極端に減少いたしておる現状におきまして、なかなかそういう点についても問題があるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、こういうような航空需要の減退という状況、あるいは日本経済全体の成長経済からの転換という大きな局面にわれわれ立っておるわけでございますので、こういう新しい局面に立った協調体制というものをぜひとも今後つくっていく必要があるだろうというふうに考えております。幹線の運営につきましても、このたびは東亜国内航空も幹線に参入されるわけでございますので、三社の協力体制というのは当然必要でございますし、また、ローカル線のダブルトラックを行う場合におきましても、この協力体制というものが基本にならなければ安全も保証し得ないというような、大変思わない結果になるのじゃないだろうかというふうに考えております。そういう意味で、ダブルトラックという政策からもう一度この過当競争、安全運航というものを見直さなければならないというふうに考えるわけでございます。
  53. 田中勇

    参考人田中勇君) 私どもの路線は単独路線が多うございまして、過当競争というふうな場がございませんです。最近三月一日から幹線乗り入れを一日一便ずつお認め願って、東京−札幌、東京−福岡の二路線に入りました。過当競争のようなことが起こっては困る、一番体力の弱い会社でございますから過当競争をすれば一番先にまいってしまう会社だと私は思っておりますので、過当競争は絶対避けるべきだと、かように考えております。過当競争をどうして技術的に避けるかという方法はいろいろあろうかと思いますが、先立つものは、過当競争はやめるのだと、そういうことはしたくないのだという考え方を持つことが一番肝心なことだと私は考えておりますが、私どもは過当競争したくてもできないような状態でございますので、そういうことは絶対やらないという考え方でおります。
  54. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 過当競争については、特に航空企業というものの本質から絶対に避けるべきだと、こう申されました。まあそう言っても自由主義経済競争ですから、ちょっとニュアンスが違うと——なぜ運輸省がこういう物事を考えながら閣議の決定までしたか。その中に過当競争の弊害が生ずることのないよう非常に強い、まあそれぞれの答えられた意味はここをとらえて言ったと思うのですよ。しかし、実際にはこれが皆様きれいごとだと、私は言葉がちょっと悪ければおわびを申し上げますが、きれいごとのようにしか聞こえませんね。なぜかと申し上げますと、これだけでは守られないから、昭和四十七年の七月一日に、今度は「航空企業の運営体制について」ということで昭和四十五年の十一月二十日のときと表題は同じです。   昭和四十五年十一月二十日付、閣議了解に基づき、航空企業の運営体制を次のとおり具体化する。 と、こういうことが決められて、しかも所管大臣の、四十七年ですから丹羽大臣だったと思いますよ、運輸大臣が。大臣通達が出ておりますることは御承知おきだと思う。ただいま皆さんがそれぞれ申されたようなきれいなかっこうではなかった証拠がここに私はあると思うのです、具体化されたものがね。  これを読んでみますると、一番目の日本航空株式会社は、   国内幹線(札幌、東京、大阪、福岡および那覇)および国際線の運営を行なうものとするが、今後一層国際線運営の充実につとめることはもちろん、 等々ということに事業分野が明確にされているわけです。二番目の全日本空輸株式会社は、   国内幹線およびカロール線の運営にその主力を注ぐとともに、逐次近距離国際チャーターの充実を図る。等々が明確にされている。  三番目の東亜国内航空株会社は、   国内ローカル線の運営を行なうものとするが、昭和四十七年度において、先発企業の協力のもとに、安全の確保を前提として、一部路線のジェット機による運航を認めるものとする。   ローカル線のジェット機による運航実績を基盤とし、安全の確保を前提として、将来、国内幹線のジェット機による自主運航を認めるものとする。その運航開始の時期は、昭和四十九年度を目途とし、当初の投入輸送力は実働三機程度とする。   ジェット機の運航に関しては、当面、先発企業の技術支援を必要とするが、極力従来の依存主義を排し、可及的速やかに真の意味の自主運航体制を確立するものとする。と明確に示されているわけです。  そこで、私は東亜国内航空の社長さんに伺いますが、最近、ジェット機が東京−札幌、東京−福岡を飛んでいますね。これは確かにここに書かれている分野で決められたものでございますが、自主運航体制というものが確立されているのかどうか、この点をひとつお聞かせをしていただいて、これは私はこれからのこの委員会を運営するに当たって参考にしていきたいと、こう思っているのであります。  それから特にこれは各社の社長さんにお伺いしますが、その中で、   国内幹線における輸送力増強の各社の割振りは、共存共栄の基本原則に則り、後発企業の育成を勘案しつつ、各社協議してこれを決定する。ということで、共存共栄という言葉がここに使われて、後発企業育成を勘案しなさいと、こうも書いておる。そこで、前々からそうでございましたが、先発企業ということになりますれば、一番早い企業というのは全日空なんです、この認可がされたものから見まするとね。三十三年に合併して全日空となったのですが、その主体昭和二十七年に極東航空と日ペリ航空、これが主体で認可された。日本航空は先ほど申し上げたように昭和二十八年です。一年後発ということになる。しかし、実質的には日本航空は、言ってみれば国際競争力の基盤をつける、そういうこと等もありまして国策会社のようなかっこうになっておると思うのです。ですから、国の出資がかなり入っていると私は思っているのですが、したがって、政府がこれだけのものを閣議で決め、大臣の通達として出す限りにおいては、日本航空は全日空を応援しなさいと、こういう至上命令があったことは、当時朝田さんは専務であったと私は記憶しておりますが、そうして今日に至って全日空が着々育ってきた。この四十七年の段階で大臣通達を出したということの、つまり先発企業は後発企業を育成強化をしなさいという意味は、今度は全日空は後発企業である東亜国内航空を育成強化しなさいと、こう諭しておるのがこの通達ではないかと、こう私は思うのですが、三社の社長さん方はこの四十七年の七月一日に出されました通達をどう受けとめていらっしゃるのか、この点を参考までにお聞かせを賜わりたいと思います。
  55. 田中勇

    参考人田中勇君) 第一番の点につきましては、自主運航をやっておるかどうかという御質問のように考えます。私の方の飛行機はYS11とDC9でございます。YSにつきましては、もう長いことやっておりますので、すべての点について、飛行機の点検も自分のところでやる、すべてやっております。DC9につきましては、当初これは入りまして釧路線に最初に使ったのでございますが、一年半になります。この入りました当初におきましては、ダグラス航空会社から経験のあるエンジニアを派遣してもらいまして、飛行機の点検、運航等について援助を仰ぎましたが、それは一年足らずで全部お帰り願って、いまは全部自分のところでやっております。  それから後段の後発企業育成その他の問題点でございますが、昭和四十九年度中に幹線乗り入れを実働三機をもって云々のことがございますので、私の方といたしましても昨年幹線乗り入れの申請をいたしたわけでございます。しかし、なるほど私どもの出願はそうなっておりますが、航空界の現状というものはそうはまいらぬ。たとえば羽田の発着枠ももう限度一ぱいになってきておる。その発着枠の私どもに与えられている数については大きに疑問もあります。われわれとしても言いたいこともございますが、これは過去の歴史がそうなっているのであって、いまさらこれをどうせいこうせいと言ってもなかなかできる問題ではない。したがいまして、私は運輸御当局が幹線一便ずつお認めくださったということは、羽田の発着枠、まあ羽田の発着枠というのは成田空港がべらぼうにおくれたと、そういうことからきていると思いますが、発着枠の乏しい中で一便ちょうだいできたということについては、私は非常に感謝しておるわけでございます。先ほど若狭先輩からもお話がございましたように、航空界の現状というものが非常に厳しくなってきております。私どもの実例を申し上げましても、十二月は乗った人間の数で五%減っておりまして、一月は八%、二月は一二%というふうに減っておる現状におきまして、後発企業を援助する、育成するということもなかなか困難なことではあると私は考えております。私の方は援助してもらう方ですから、援助してくれ援助してくれと言うことも言いにくいことでございます。それと、私たちといたしましても、平素私たちの見解といたしましては、援助してもらおうと思ったら援助されるに値する努力をわれわれはまずすべきだと、人間というものは人に助けを受けようと思ったら助けられるに値する努力をわれわれはすべきだということを私の信念といたしましてそういう努力を積み重ねていこう、そうすれば、助けてやろうという気持ちも、これは先発会社だけでなしに、世間一般を挙げて助けてやろうという気持ちが出てくださるのだろうというふうな考え方で、私は、援助してくれと言う前に、援助されるに値する努力を積み重ねるということを基本といたしておりますので、この問題につきましては私の信念だけを申し上げて具体的のことがなしでまことに失礼でございますが、援助される立場でございますので、余り援助してくれ援助してくれと言うのもみっともない話でございますので、そういうふうな考え方でいま仕事をいたしております。  以上でございます。
  56. 若狭得治

    参考人若狭得治君) 先ほど昭和四十七年の大臣通達というお話がございましたけれども、後発企業育成についてどういうふうに考えているかという吉田先生の御質問かと存じますけれども昭和四十五年の閣議了解の中に出ておりましたけれども安全面については日航、全日空は東亜国内航空に協力するようにということがございます。やはりそれが私は基本ではないかというふうに考えております。ことにダブルトラックという問題になりまして一つの路線について二つの会社が競争するというような状態になりますと、これはやはり恩恵的に後発企業を育成するというような問題じゃございませんで、あくまで利用者の利便ということを中心に考えるべきであるというふうに考えております。ただ、具体的な問題の実施に当たりましては、両者協力ということは当然考えるべきであろうかと思います。先ほど幹線に東亜国内航空がこの三月から参入されたという問題につきましても、日本航空、全日空それぞれ減便いたしまして入ってもらっているわけでございます。そういう協力はいたしております。しかしながら、ただ経営的に、何と申しますか、一方的な乗り入れというようなことができるかどうかという問題については、田中参考人からもお話がありましたように、やはり自主的に問題を解決していこうというような御決意のようでございますし、われわれも大変感銘深く聞いたわけでございますけれども、そういう両者の提携関係、協力関係というものを今後とも進めていく必要があろうかと思います。ことに、昭和四十七年の大臣通達の中には、幹線については六五%のロードファクター、ローカル線については七〇%のロードファクターというものを一応めどにしてダブルトラックを強化していく、あるいは幹線への東亜国内の参入を認めていこうという趣旨が明確に盛り込まれておるわけでございますけれども現状は、たとえば幹線について六五%というようなロードファクターはとても得られない、全日空の場合はもちろんのこと、日本航空におきましても、五〇%を切るかどうかというような惨たんたる状態になっておるわけでございます。ローカル線につきましても、七〇%のロードファクターを得るということは全く不可能な状態でございます。こういう状態についてどういうふうに対応していくかということが今後の問題ではなかろうかというふうに考えております。
  57. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) 共存共栄の問題と後発企業の育成の問題でございますが、四十七年の大臣示達事項だけに限って申し上げますと、私どもの方でやらなければならないことは、東亜国内航空という後発企業に対しまして資本参加と技術支援をやるということが明確にうたわれておるのでございます。私どもは、技術支援の問題につきましては、DC9を導入される当時から、あるいはそれ以前からも、私どもは、技術者を送り、また、経営陣の中にも運航の専門家、整備の専門家をそれぞれボードメンバーに入れていただいて支援を申し上げておるようなわけでございます。資本参加も、ここに明示されておりますとおり実行いたしております。ただ、幹線乗り入れの問題につきましては、両社長からお話がございましたようにいま非常に窮屈な空港の発着枠の中から私どもは減便をいたしまして大臣示達事項にありますように幹線の参入を認めるということを三社の社長は当時お受けをして了承しておるわけでございますから、いまさらこれを反対するいわれもございませんし、私どもは、後発企業の育成のために幹線乗り入ればすでに明確にうたわれておるわけでございますから、応援するという意味で減便をいたしたようなわけでございます。  それからもう一つ、四十七年の大臣示達事項にございますのは全日空さんの近接国際線のチャーターの問題でございますが、これにつきましても、当初の原則は余裕機材をもって日航と相提携してこれを行うということが大原則であったと私は記憶いたしておるのでありますが、今日はまあこういう原則が少しずれておるように私は思いますが、この問題について国際航空界において一つ問題点であろうと思います。  四十七年大臣示達事項以外の問題につきましての共存共栄の問題は、日本航空創立以来幹線というものを初めから開発をいたしてまいりまして運航しておる中で、幹線の歴史は、当時後発企業でありました全日空さんの参入も認める、そのかわりに代償をくれというようなことも申し上げませんし、ことごとく後で入ってこられる企業の幹線乗り入れについて私どもは共存共栄の場がそこにあるということで徹底して今日まで参っておるつもりでございます。
  58. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 重ねてお尋ねいたしますが、なぜ私がこういうことをお伺いしておるかということですね。いま若狭参考人お話を聞いていますと、安全確保のためのつまり協力関係、後発企業の育成強化、こういうようなお話がございました。若干ニュアンスが違うように感じ取ったのであります。  そこで、私は、運輸大臣にお答え願いたいと思いますが、大臣通達というものは、私は、航空事業において航空安全を確保するということは、絶対という言葉があるかどうか別として、もう絶対至上命令だと思うのですね。ですから、それを最小限守るためにはこの大臣通達が必要だということで閣議で決めてこれを通達したものだと思うのです。ここに明確に書いてある。ぼくは単純ですから単純に解釈しているのでありますが、この書いてあるとおりじゃないかとぼくは思うのですが、第三「協力関係」というところに、   国内幹線においては、共存共栄の実を挙げるため、必要に応じ、各社は運賃プール制を主体とする営業上の協力を行うものとする。運賃プール制の態様は各社協議をしてこれを決定するが、先発企業は後発企業の育成強化を十分考慮するものとする。   国内ローカル線においても、先発企業は後発企業に協力し、共存共栄をはかるものとする。と、こうなっているのですが、この書いたものはこれ以外に解釈があるのですか。運輸大臣、あるいは航空局長でも結構でございますが、しかし、これは大臣の通達ですから、まず運輸大臣、どうでしなう。
  59. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 四十五年の閣議了解、それから四十七年の大臣通達、いずれもわが国の航空政策上基本となるべきことをここで政府の立場として決めておるわけでございますが、その中でいま吉田委員からお話がございました点については、まさしく書いてあるとおりとしてお考えいただいてよろしいのでございますが、何といたしましても、航空事業につきましては、他の交通機関においても安全ということは至上命令ではございますが、起きた事故の被害の大きさ、あるいは事故の内容等から考えますときに、さらに航空事業については安全ということは至上命令中の至上命令でなくてはならない、これが航空行政を一貫いたしております運輸省考え方でございます。そういうことがございますからこそ、こうやって閣議了解なり運輸大臣通達といったような形で航空事業者の指導をやっておるわけでございますが、そういう指導がこういう形ででき得るというのも、他の交通事業と違いまして、航空事業につきましては、現状では三社が日本の定期航空事業を担当しておられる、しかもそれぞれ航空事業者あるいは交通事業者としては十分信頼するに足る事業者であるという前提に立ってこそ初めてこういう指導ができておるわけでございます。そして、それらの三航空事業者の間には、先輩後輩の歴史があり、また事実があるわけでございます。この三社が先輩後輩という立場を十分意識しながら、しかも事業でございますから公正な競争も必要でございます。しかし、公正な競争の裏にはやはり安全の確保ということが絶対至上命令であることは申すまでもございません。その交通安全を確保するという絶対至上命令を常に第一に考えながら、三社が公正な競争をすることによってわが国の国際航空事業の発展が図られるということでございます。したがいまして、そういう前提に立って、運輸大臣といたしましては、本来なれば法律であるとかあるいは政令であるとかいういわゆる権力をもって指導をするという立場が中心になるのでございますが、こういうふうな行政指導という相互の深い理解の上に立って指導をし、指導を受けるというこの信頼感の中での航空行政指導ということをやっておるわけでございまして、その指導の内容を受けて、三社の航空事業者は、それぞれの置かれた立場を十分に理解しながら、いま吉田委員から示されたような項目については文字どおりこの実施をやってもらうということを期待しておるわけでございます。
  60. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸大臣からきわめて明快なお答えをいただきまして、私はそのとおりだと思って感銘しております。したがいまして、三社の社長さん方に私は心からこの際お願いをしたいと思うのです。そのお願いというのは、ここにも示されておりまするように、航空安全を確保するためにお願いをすると、しかも国民の負託にこたえなさいと書いてある、国民の負託にですね。なぜ私はこれを申し上げるかというと、皆様もお読みになったと思うが、新聞紙上に書かれたものは、これは「サンデー毎日」でございますが、これは調査室の資料の方からお借りして私は旅行先で見て切り抜いてきましたが、新聞もございます。そこでごらんになったと思います。こういう雑誌はかなり興味本位に書いてございます。真ん中に全日空の社長さんの写真が載っております。日航の朝田さんの写真も載っております。東亜国内航空の田中社長さん、あなたもここに載っておりますが、「航空三社の「紳士」と「野武士」と「泣き」」と、いう題で、どこが「紳士」でどこが「野武士」でどこが「泣き」か、中身は書いてありますが、私はこれを読みません。読みませんが、ここに書いているところではめちゃくちゃだと、こう書いてありますが、これでは、大臣通達の、各それぞれの企業が共存共栄のために協力しなさい、先発会社は後発会社を育成強化しなさい、こう書いてあるということと、これは事実かどうかわかりませんが「サンデー毎日」と、しかしかなり読まれていますよ、この「サンデー毎日」というのは。この内容とは、全く逆な方向に業界三社は進んでいるのじゃないかという私は危惧の念を持っている。航空の安全性等を考えてみて非常に心配している面があるのです。どうか、ひとつ、航空三社のそれぞれの企業の代表者でございますから、運輸大臣が明確に答えているわけでございますから、そういう点でぜひひとつこの大臣通達を国民の負託にこたえるという立場で守っていただきたい、私はこのことをお願いをいたしておきたいと思う。大臣が答えられましたから、実際行政に直接扱うのは航空局長だと思います。ぜひひとつ、航空局長大臣が答えられても、あなたの仕事でありますから、行政上も指導監督をしていただきたい、このことを申し上げまして、参考人に対する質問を私は終わりたいと思います。
  61. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいまは吉田委員から非常にありがたいお言葉をちょうだいしたわけでございますけれども、私といたしましては、ただいま大臣が申し上げましたとおり、この閣議了解の方針並びに大臣通達の精神にのっとりまして、その後の厳しい客観情勢を冷静に判断いたしまして、何をなすべきかということをよく考え、勇気をもって事に当たってまいりたいというふうに思っております。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから日本航空の社長さん、恐縮でございますが、あなたは一番先発会社と言われております航空業界のたしか協会の会長さんであるということも私は伺っているんです。三社を代表して、三社ということよりも航空業を代表して、お考え方を述べていただきたいと思います。
  63. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) 私、ただいま吉田先生の御指摘のとおり、全航連の会長を仰せつかっております。航空界を代表してということははなはだ潜越でございますが、基本的な指針であります四十五年の閣議了解並びに四十七年の大臣通達の精神にのっとりまして、ただいままた吉田先生の御指摘のとおり、その根本理念をもう一度原点に立ち返って、三社相協力をいたしまして国民の負託にこたえたい、こう考えておる次第でございます。
  64. 目黒今朝次郎

    ○理事(目黒朝次郎君) これで参考人に対する質疑は終わります。  参考人方々には、長時間にわたり御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表して厚く御礼申し上げます。どうも御苦労さんでした。   〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕
  65. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言を願います。
  66. 原田立

    原田立君 ただいまは空の安全問題について質疑が交わされたわけでありますが、私は陸の安全問題について若干御質問したいと思います。踏切問題について御質問したいと思います。  実は、去る三月一日十九時六分、福岡県福岡市の西鉄の西鉄大牟田線の井尻という駅のそばにおきまして、下り線の電車が八十四、五キロメートルぐらいの速度で走行していたのが、ちょうどその付近の三号踏切という番号がつけられている踏切にライトバンが輪が落っこって落輪していたのをひっかけて、それで三十メートル引っ張って大破した。また、脱線事故車自身も脱線して約九十メートルもずっとはねていった。そうして甲野さんという家の中に突っ込んだりしたのでありますが、実は私もこの事件につき現場に行きましたが、惨たんたるものでございました。ほんのわずかの注意のなさがこんな大事故になるのかと慄然たる思いをしたわけでありますが、ちょうどこの事故があって高圧線のショートする青白い光を見つけた上りの普通電車の島添さんという二十五歳の若い運転手の人が、それをいち早く見つけて緊急非常停車をかけて、事故電車の約五十メーターぐらい手前で停車させたということで、二重衝突を免れたのでありますが、これが実に事故発生後わずか三十秒後ぐらいであったわけであります。もし発見がおくれたならば、もう二、三秒発見がおくれたならば、二重衝突が起きて大惨事になったであろうと、まあ慄然たる思いをしているものでございます。住民四十一人が重軽傷を負い、大牟田線が昭和十四年に全線開通してより実に初めての大事故であるということであります。土曜日だったので、事故車の下り電車には約八百四十人乗車しておりました。定員は八百二十人だそうでございますから、ほぼ満席であったと思うのであります。  この踏切問題について、運輸省は、基本的にどういうふうに考え方針を立てているのか、まずその総論的な面でお伺いしたいと思います。
  67. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 踏切事故の防止につきましては、踏切道改良促進法という法律が昭和三十六年からございまして、この法律に基づきまして事故対策についての計画を各鉄道事業者から出させまして、それに基づいて国の助成等も含めまして事故対策に努めてまいったところでございますが、特に昭和四十六年からは、総理府交通安全対策本部の決定といたしまして踏切事故防止総合対策というものを決定いたしまして、それに基づきまして踏切の保安設備の改良、それから狭い踏切におきます交通規制、あるいは踏切の整理統合というふうな施策を着々と進めてまいった次第でございまして、今後もこういうふうな対策を促進することによって踏切事故の防止を図りたいと、かように考えておる次第でございます。
  68. 原田立

    原田立君 踏切の種類は、第一種、二種、三種、四種と、こうあると聞いておりますが、その内容はどうですか。
  69. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 踏切には、先生おっしゃいますように、一種、二種、三種、四種とございます。このうち、一種と二種は、踏切遮断機をつけるわけでございますが、そのうち二種につきましては一日じゆうではなしに特定時間だけ遮断機が動くというふうなものでございます。三種は、警報機いわゆるチンチンでございます。それから四種は、踏切としての構造はございますが、特にそのほかの保安設備はつけておらない、こういうふうな踏切でございます。
  70. 原田立

    原田立君 その四種の無警報無開閉踏切ですね、これは今回の井尻駅付近で起きた三号踏切というのは四種の踏切である。これはもうすでに御承知だろうと思うのですが、私、極論するのですけれども、四種の踏切なんて、そんなものはもう罪悪だ、認めること自身かおかしいのじゃないか。もう事故現場へ行きまして強いふんまんの気持ちを持ってきました。四種の踏切についてはどういうふうに今後考えていくのか、それをお述べ願いたい。
  71. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 先ほど申し上げました踏切事故防止総合対策におきましては、おっしゃいますような四種の踏切をなくしてしまうということが大きな目標でございまして、四種の踏切につきましては、幅員の広いものにつきましては必ず遮断機をつける、比較的狭いものにつきましては交通の規制を行う。まあ自動車の通行を禁止するとか、あるいは場合によっては踏切を廃止してしまうというふうなことで、四種の踏切につきましてはおよそ自動車が通れるということはなくしていこう、やむを得ず踏切を廃止しない場合においても、そこにはくい等を打ちまして徒歩の人だけが通れるというふうな形にしていこうというのが総合対策の中の一つの四種踏切に対します方針でございます。
  72. 原田立

    原田立君 この付近には六つの踏切があるはずでありますが、警察の方にお伺いしたいのでありますけれども、A、B、Cの三つの規制があるやに聞いておりますけれども、三号踏切についてはそのA、B、Cのうちどういうのに入っておったのか、その点をお伺いしたい。
  73. 高田朗雄

    説明員(高田朗雄君) 井尻三号踏切につきましては、大型車両の通行禁止をかけてございました。ABCというのはちょっと……。
  74. 原田立

    原田立君 私がちょっと調べた範囲内のことでありますけれども、A規制というのが車両通行禁止という一番きついやつである、B規制が普通車以上である、C規制が大型車通行禁止の規制であると、こんなふうに聞いておるのですけれども、そうじゃないですか。
  75. 高田朗雄

    説明員(高田朗雄君) 便宜的に何かA、B、Cという形で呼びならわしている例があるのかもしれませんが、ただいま申しましたように、井尻第三号踏切につきましては、大型車両通行禁止をしておったわけであります。
  76. 原田立

    原田立君 たいへん失礼な言い方をして申しわけないのですが、あすこは二・三メートルしかたいんですから、大型車両なんか入れやしませんよ。普通車だっておかしな話なんです。小型車がやっと入るくらいなところです。まあそれは結構でしょう。それなら私が言いたいのは、三号踏切については、二・三メーター未満のところです、しかも四種踏切のところなんです。警察はこのところについては車両通行を本来ならば禁止すべきじゃなかったのか。いかがですか。
  77. 高田朗雄

    説明員(高田朗雄君) 全く御指摘のとおりでございまして、幅員が二・三メートルということで、今回の事故車両の幅が一・五九メートルですから、非常に狭いところであったわけでございますが、福岡県の方におきましても、県警の方におきましても、従来から通行禁止をかけたいということでいろいろ折衝してまいっておったようでございますけれども、地元の特に付近住民生活にかなり影響を及ぼすということでなかなか調整がつかないというような状況があって全面通行禁止という形をとれなかったというふうに聞いております。
  78. 原田立

    原田立君 そういう交渉の点ではなかなか御苦労がおありだろうと思います。ただし、今度のような事故が起きてみると、ああ、やっぱりやっておけばよかったなと後の祭でそう思うわけなんで、それは御苦労ではあろうと思いますけれども、やっぱり何と言ったって四種踏切をなくすためのそういうことでの十分な話し合いは、警察当局も、道路の維持規制ですね、そういうふうな面の上に立ってもう小し強くおやり願いたいと思うのです。  それで、運輸大臣、最後にあなたの所見はいかがですかと聞くだけにしておこうと思ったのですけれども、途中ですからちゃんぽんで言いますけれども、四種踏切も、先ほど部長の話のように、最終的にはなくすんだという話なんだけれども、十年先になるのか十五年先になるのか、そこら辺がまだ答弁がないのですけれども、大体四種踏切なんというのは罪悪だと、こうまでぼくは言い切るわけです。大臣のお考えはいかがですか。
  79. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 陸上の事故で一番多いのが踏切事故でございます。ことに、踏切におきましては、四種の踏切事故が非常に多い。そういうずいぶん以前からの実情でございますので、いま民鉄部長からも御説明申し上げたように、ずいぶん以前から四種踏切を征伐しようということで計画を立てながら実施してまいっております。方法は、いま民鉄部長が申し上げた方法で、いままでじゃあどうやっていかということは民鉄部長は資料を持っておると思いますからお聞きいただければわかるのですが、だいぶ実はいままで征伐をしてなくしてきたわけでございますが、まだまだ残っております。これは四十六年から踏切事故防止総合対策を立てまして、そうして逐次四種踏切をなくしていっておりますが、われわれとしてはできるだけ早く全廃いたしたいと、こう思っておりますけれども、実際に踏切をなくするといいますと、結局、車はいいのですけれども、人はそこを通ることによって、ことに畑仕事、たんぼに出る人の通路にもなっておるので、なかなか統合するのもむずかしいし、いわんや廃止することがむずかしいということもございまして難渋いたしております。しかし、事故防止ということから一生懸命になってやらせております。したがって、今後も従来以上に精力的にこの廃止統合等については地元の協力を得ながらできるだけ早く四種踏切の廃止統合は進めていきたいと思っております。
  80. 原田立

    原田立君 そのとおりやってもらいたいのです。民鉄部長、大牟田線の踏切の実態はおわかりだろうと思いますけれども御報告願いたい。
  81. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 大牟田線の踏切の状況でございますが、五十年の三月一日現在で、四種の踏切が二百三十七カ所、三種が七十五カ所、二種はございませんで、一種が九十三カ所、合計四百五ヵ所の踏切がございます。
  82. 原田立

    原田立君 大臣、いまのようなことなんですよ。要するに、全体の六割が無警報機、無開閉機なんです。四種なんです。これはひど過ぎやしませんか。ぼくはひどいと思うんですよ。ですから実に百九十一メートルに一カ所の踏切がある。そうしてまた、運転手から見れば、実に八十キロでさあっと走行する面から言えば、八秒ごとに一つずつ踏切がある。それはちょっとひど過ぎやしませんか。これが西鉄の装備率なんですね。装備率四一・五%と、こういうふうに私は調査しました。これじゃあまりひど過ぎやしませんか。だから、大臣のいまのお答えは、まことにそのとおりなんですよ、おきれいでそのとおりなんです。だけれども、これではひど過ぎやしませんかというのです。どういうふうに御指導なさいますか、西鉄に対して。
  83. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 確かに、数から見ますと、まだまだ十分でないという感じを非常に強くいたします。全体的に五〇%ぐらいですかになっておりますから、まあまあというところではございますが、五〇%であってはいけないと思います。ですから、今後西鉄に対しましても十分指導いたしまして、できるだけ早い機会に統合するなり廃止するなり、そういう措置をとらすように運輸省としても強力に指導いたします。
  84. 原田立

    原田立君 強力に指導していただきたいと思います。  それからなお、三号踏切の付近に二号踏切というのがあるんですよ。この二号踏切は、道路を拡幅して、そうして一種に格上げして、そうして警報機も開閉機もついているわけです。三号踏切はそこから五メーターか六メーターぐらいしかないんですよ、すぐそばなんですから。何とかすればよかったんだろうにと思っているんですよね。最終的には閉鎖するという考えがあったのかどうか知らぬけれども、くいを打ち込むとか、あるいはまた、廃止するまでに警報機をつけるとか何とかしなければいけなかったのじゃなかったのか、その点どうなのか、民鉄部長、細かい問題で大変恐縮だけれども、お答え願いたいし、警察の方も、そこのところ、二号踏切と三号踏切のつくりぐあいですね、二号踏切ができたときに三号踏切についてもうちょっと考えてもらわなければならなかったのじゃないのかと、そう思うのですが、両方ともお答え願いたい。
  85. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 二号踏切につきましては、四十四年当時にこれを拡幅いたしまして、一種の踏切に改善いたしております。そのときにその二号の近くの三号踏切についてなぜ何らかの措置をとらなかったのかと、こういう御質問かと思いますが、四十四年当時、実は、その三号踏切の道路が、現在は市道——市の道になっておりますが、当時は里の道と書きます里道ということになっておりまして、これの改善についてはなかなか道路管理者の方の協力が得られなかったということ、それから現在よりもまだ五、六年前でございますので昼間の通行量も非常に少なかったというふうなことで、当時といたしましては、三号踏切につきまして改善措置をとるということが方針としてとられるところまではいかなかったと、かように思う次第でございます。
  86. 高田朗雄

    説明員(高田朗雄君) ただいま運輸省の方からお答えになりましたような事情のように聞いておりますが、四十八年の十二月に大型通行どめを先ほど申し上げたようにかけたわけでございますが、事故後、大変おくれたわけでございますが、三月三日に全面的に車両通行禁止の措置をとりまして、現在はくいを打って車両が通れないようにしております。
  87. 原田立

    原田立君 それがもう少し早ければよかったと、こう残念に思う次第なんです。四種踏切ですね、これは基本的には廃止していくんだというのだけれども、二・三メーター未満の踏切道はどういうふうに扱っていくつもりなんですか。
  88. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 二・三メートル未満の踏切につきましては、総合対策におきましても原則として車両の通行を禁止する。しかしながら、付近住民生活の上でどうしてもやむを得ないというときには交通規則を行う。まあ小型車だけは通ってよろしいとか、そういうふうな規制を行う。一方、そういう車両の通行禁止を行っております踏切については、付近住民生活に支障のない限りは廃止をしていく。とりあえずは車両の通行禁止あるいは交通規制を行いますが、付近住民生活に支障のない限りはそういう踏切は廃止していくというふうな方針考えておる次第でございます。
  89. 原田立

    原田立君 これは実は西鉄のところへ行ってもらってきた資料なんですけれども、この中には、「なお歩行者の通行量が特に多い踏切道については必要に応じて保安装置を設ける。」と、こういう一項が最後にあるのだけれども、いま部長はお話がなかったけれども、この点は落としたのじゃないですか。
  90. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 大変申しわけございません。歩行者の多いところについては警報機、チンチンをつけるというふうなこともございます。ただいま言い忘れまして、まことに申しわけございません。  なお、今度事故の起こりました三号踏切の付近の比較的幅員の狭い踏切が三、四、五、六と四つ比較的近い間隔で連続しております。これにつきましては、まあ事故後では非常に対策がおそいのでございますが、事故の起こった後、早速、地元の関係者、それからもちろん鉄道事業者も入りまして、いろいろと協議をいたし、また、地元の住民等とも話し合いをいたしまして、三、四、五、六のうち三号と六号は廃止をする、それから四号と五号については拡幅して遮断機をつけた一種の踏切にするということを決定いたしまして、すでにその準備に取りかかっておる状況でございます
  91. 原田立

    原田立君 わかりました。  そういうふうに、結果的には、事故が誘発した結果、そういうふうになったということなんですが、私思うには、やっぱりこういう事故が起きない前にこういう手が打てなかったのかということでちょっとしつこくお伺いしますけれども、この六つある踏切のうち統廃合について住民との話し合いは事故の起きる以前において本当にやっておられたのかどうか、そこら辺の状況はどうなんですか。   〔委員長退席、理事阿部憲一君着席〕
  92. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 三号踏切付近の幅員の狭い踏切の廃止問題につきましては、四十六年以降鉄道事業者が付近の住民等と市当局あるいは県当局も交えまして二十数回にわたりいろろと話し合いをしておったようでございますが、なかなか同意が得られないというふうなことだったというふうに聞いております。
  93. 原田立

    原田立君 警察庁の方に再度お伺いするのですけれども、やっぱり三号踏切は結論的には廃止になったようでありますけれども、その以前の指導においては、先ほど大型車というような話だったけれども、大型車じゃなくて、車両の通行全面禁止というようなところまでいけなかったのかどうか、その点はどうですか。
  94. 高田朗雄

    説明員(高田朗雄君) 四十八年に大型通行どめをかけたわけでございますが、その時点ですでに、先ほどお話もございましたように、いわゆる幅員二・三メートル以下の踏切道につきましてはこれはもう全面通行禁止という方針が定められておりまして、それに従って臨んでおりましたので、それに従って地元との話し合いをしたのだけれども、どうしてもとうとうそこまでの規制がかけられなかったというふうに聞いております。
  95. 原田立

    原田立君 統合整理できないうちは、警報機は必ずつけるように、そういうふうに強力に指導しませんか。
  96. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 先生おっしゃるような方法が一番理想的だと思うのですが、統合廃止の計画になっております踏切については、チンチンをつけるよりはむしろ早くそちらの方の手当てをするというふうなことが先決かと思いますので、従来も必ずしも話がつくまでの間警報機をつけるというふうなことはやっておらなかったわけでございますが、ただ、そういう踏切でありましても非常に車の交通量の多いところについてはおっしゃるような措置をすることが望ましいかと思いますので、今後その点については検討させていただきたいと思います。
  97. 原田立

    原田立君 四十九年末現在で四種が二百三十七カ所、全体が四百五カ所でありますから、全体の五九%が四種の踏切である。それから五十五年度までに達成しようとするその目標について、四種がまだ百四十五残る。要するに、九十二改良あるいは廃止をして、それで百四十五残る。それでも全体のまだ四割四分、四四%であると、こういうことなんですけれども、それは確かに警報機をつけるとお金もかかるだろうと思いますけれども、遅きに失するのじゃないでしょうか。
  98. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) まあ事故が起こった後ではそうおっしゃられてもまことにそのとおりかと思いますが、踏切の整理統合というふうな問題につきましては地元との話し合いが必要でございますが、その辺がなかなか手間がかかりましておいそれとは進まないというふうなことでおくれておるわけでございますが、今後は、こういったことを契機にしまして、より一層促進するように指導監督をしたいと思っております。
  99. 原田立

    原田立君 ぜひ指導監督をしてもらいたいと思います。われわれも地元にいまして西鉄をよく利用していて大変感謝しているんですよ。だから、大いに安全な陸上交通輸送機関であってほしいと思うのです。そういう意味で言っているのでありますから、その点誤解のないように。  それから大牟田線の踏切整備の基本方針というのができているようなんですが、何年にはどういうふうにするという年次計画、あるいは実施計画、こういうものができているのかどうか。そうして、その地域の啓発というものをもうすでに始めているのかどうか。その状況を運輸省は目を通しているのかどうか。まあ私鉄の数も多いから、そこまで細かいところまで目は通りませんというようなことで終わりになるような気もするのだけれども、それじゃまずいと思うのです。それぞれの監督機関があるはずなんですから、どこいら辺まで目を通しておられるか、年次計画、実施計画、この点どうですか。
  100. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 西鉄の踏切道の改善計画につきまして今後の計画でございますが、西鉄といたしましては四十九年の下期から五十五年度までの間の独自の改善計画というものを立てております。その内容は地元の陸運局を通じまして本省にも参っておりますが、立体交差を十五カ所とか、保安設備整備を百十四カ所、あるいは整理統合八十カ所、また交通規制百七カ所、さらに構造改良四十八カ所というふうな計画を立てておるということを私どもは把握いたしておりまして、運輸省といたしましても妥当計画であるというふうに了解をしております。ただ、年次計画につきましては、これは先ほど来御説明申し上げましたように、関係機関の協力及び地元との話し合いということが必要でございますので、細かく年次別に実施計画を立てるということは非常に困難でございます。しかしながら、西鉄の内部としましては、内部におきます一つ努力目標というふうな意味の計画はつくっておるやに聞いております。
  101. 原田立

    原田立君 民鉄部長、ちょっとそれでは腰が弱いのじゃないですか、実際問題として。三号踏切についても、廃止するかどうかというのに、いろいろな話し合いをしてそして今度事故があってやっと決心して廃止したということなんですよね。たった一つの踏切を外すについても物すごい時間と話し合いの時間がかかるわけです。現在先ほども言ったように二百三十七カ所もある四種の踏切を何とかしてなくそうと、これは当然年次計画があってしかるべきですよ。社内の努力目標だなんてそんな安易なこと言っているのじゃなくて、きちっと計画を立てて、そうしてその地域住民の人たちとは精力的に話し合うと、啓発すると、こういう姿勢をしなかったらば、もうずるずるずるずる、まあ言ってみればぐずぐずぐずぐずおくれるだけじゃないかと心配するのですけれども、そんな心配はございませんか。
  102. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 先生おっしゃる点につきましてはまことに同感でございまして、地元の陸運局等を通じまして従来西鉄の計画で実施の行われていなかったところについてはしらみつぶしにどういうわけでこうなっておるかというふうな実情調査させております。また、将来のそういう計画につきましても、今後もう少し詰めまして、できましたらそういう年次別な計画を明らかにするような方向で検討さしていただきたいと思います。
  103. 原田立

    原田立君 実は、なぜこんなことを言うかというと、この事故があった直後に、ある人に聞いたところ、基本方針はできているけれども、年次計画や実施計画はまだできていないと。要するに、看板だけばあっときれいなのをつくって、それだけで実際は何にもないという話を聞いて、ある人が憤然としてぼくに語っていた事実があるんですよ。それでお聞きしているわけです。それで、いまのお話ですと、何か社内に努力目標としてあると、年次計画がね。それから実施計画もあるというようなお話だけれども、じゃそれを資料として出していただけますか。
  104. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 四十九年度の下期から五十五年度までの計画につきましては速やかにお出しできるかと思いますが、年次別の計画につきましては、もう少し時間をかけませんと、何といいますか、現在のところは社内の努力目標という程度でございますので、その辺は詰めまして、自信のあるものができましたら提出するというふうなことで御容赦を願いたいと思います。
  105. 原田立

    原田立君 まあ出ないというならやむを得ないけれども、それじゃちょっと本当は納得しがたいですね。さっきあなたはあるというようにお話しになった。まあそう言ってもしようがないでしょう。できたらば提出願いたいと思います。  この三号踏切については、県からも廃止しろと四十六年秋に言われていたはずなんでありますけれども、これを五十年の今日まで延ばしていたその理由は何か、いかがですか。
  106. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 四十六年の秋に県から要請が出されておったということは実は私ども聞いておりませんのですが、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げております踏切事故防止総合対策におきまして一応廃止ということが四十七年の六月にきまっておったわけでございますが、その後実際の実施の段階におきまして地元の住民との話し合いが難航しておりまして今日までそのままになってきた。しかしながら、一応幅員が狭いので大型車の通行禁止というふうな措置をとってまいったというのが実情でございます。
  107. 原田立

    原田立君 私、ちょっと寡聞にして余り確かでないのでありますけども、たしかこの踏切道の問題については、四十六年に法律ができて、五十年まで計画を立ててそして実施しろと、そうなっていたはずだとぼくは思うのです。実際西鉄がそれで努力したんでしょう。だけれどもおくれたというようなことで、第二次案、西鉄独自案というものをつくって、それで昭和五十年から五十五年までの六カ年計画というものをつくったというふうに私は理解しているのだけども、その点はどうですか。
  108. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 西鉄としましては従来の総合対策において決定しました計画の実施の度合いが悪いからさらにその先をつくったというふうには必ずしも私は理解をしていないのですが、この総合対策は、四十六年から五十年度まででございますので、その五十年度までにやると決定したものについてはできる限り五十年度までにやるような方向で努力をしてもらいたいと私ども考えております。しかしながら、五十年度までですべての四種の踏切が整理されるわけではないので、さらにそれから先の計画を立てられることは西鉄としてもそれは結構であると私ども考えております。
  109. 原田立

    原田立君 大手十四社と比べていわゆる装備率は西鉄は成績がいいんですか悪いんですか。新聞報道によると、日本最低の悪い状況だということがマスコミに書かれているわけですね。郷土の大事な電車なんですから、そんなことじゃたまったものじゃない。それで、もっとしっかりしてもらいたいという気持ちでお聞きするわけなんですけれども、大手四社か五社ぐらいずらっと並べてみて、それで西鉄の装備率はどうですか、いいんですか悪いんですか。
  110. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 残念ながら、おっしゃるとおり、悪いと申し上げざるを得ないのですが、ちなみに数字を申し上げますと、踏切保安設備のない四種の踏切道の数は、西鉄全体としましては、四十九年三月末現在で四百二ヵ所ございまして、この数字は全部の踏切道に占める割合が六〇%でございます。これは私鉄全体の平均では五〇%弱でございます。また、この総合対策に基づきます計画の実施の状況につきましても、特に四種の踏切等の整理統合という点についてはほかの大手の社に比べまして必ずしもよろしいということではないというふうな状況で、今後私どもとしては特に西鉄の踏切道の整備については力を入れて指導してまいりたいと、かように考えているのでございます。   〔理事阿部憲一君退席、委員長着席〕
  111. 原田立

    原田立君 京浜、東武、西武、阪神、阪急、そんなところと比べてみてどうですか。
  112. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 先生いまおっしゃいました京浜、東武等でございますが、京浜は四種の踏切が十四ヵ所でございまして、全部の踏切道に占める割合はわずかに九%ということでございます。また、同じような数字が、東武につきましては六百五十二カ所で四三%、西武鉄道は四五カ所で一一%、阪急は二四カ所で七%、阪神が七カ所で八%というふうな数字でございます。
  113. 原田立

    原田立君 それは西鉄はもう全然話にならぬじゃないですか、四百何カ所も。だから、大臣、先ほどがっちり指導監督するという話が、本当は最終的に聞かなきゃいけない話だったのですが、先に聞いたから、また最後にもう一遍お聞きしたいと思っておりますけれども、まあもうちょっと先にして、結局、四十六年から五十年までやるその踏切の改良の計画を西鉄は余り真剣でなかったという結論にならざるを得ないような気がするわけなんです。そういう点、どういうふうにお感じになるのか。もししっかりやっていたとするならば、あと五十年から五十五年までの六カ年計画なんて、そんなのつくるわけないと思うんですよ。そうすると、いまのお話ですと、東武も大変悪いですね。だけれども、そのほかの京浜が十四カ所、西武が四十五カ所、阪神が七カ所だなんて、もうこれなんかがっちりしているじゃないですか。やればできないことはないわけなんです。西鉄がきちんとこの計画に乗っていなかったのじゃないかと、こういうふうに思うのですけれども、そういうことでよろしいですか。
  114. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 西鉄の場合は、東武鉄道等とも若干似たところがございますが、ほかの私鉄と比べまして、田舎の方へたんぼの中を走る鉄道が多いということになりますと、鉄道をつくる際に、狭い農道、あるいは里の道と書く里道、そういうものについて踏切を残さないと鉄道がつくれないというふうな状況があったかに聞いております。そういうふうなことで、ほかの私鉄に比べましてもともと踏切の数が多いというふうな実情がございます。しかしながら、だからといってそのままでよろしいというものではないので、今後そういう社につきましては踏切の整備について特に力を入れたいと思うのですが、ただ、西鉄としましても、そういう総合対策の実施について全般的にサボっておるということではないので、たとえば一種化にする、踏切遮断機を設けるというふうな点についてはほどほどにやっております。ただ、交通規制、整理統合ということになりますと、踏切の性格なり付近の住民との兼ね合い等がありましてなかなか進んでおらなかったというふうに思いますが、今後はなお一層関係官庁の協力も得まして住民との話し合いを精力的に進めて整備統合を促進するように監督したいと、かように思います。
  115. 原田立

    原田立君 四十六年秋の国の指示、その内容はどんなことですか。
  116. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 四十六年の総合対策に基づきまして踏切の改良についての決定でございますが、これは全国的な全私鉄につきましては保安設備の改良と交通規制と統廃合とございますが、少し細かくなりますが、全私鉄につきましては保安設備のたとえば一種化にする、何もないところに遮断機をつける、あるいは警報機をつけるという個所が二千八十七カ所、三種化は二百八十四カ所、それから交通規制につきましてはA、B、Cというふうな区分がございますが、Aの交通規制をやるというところが千四百五十八、Bが千七百、Cが千三百二十四、それから統廃合につきましては、整理統合するところが千二百四十九カ所、立体交差をするところが三百七十九というふうなことで、私鉄について全国的な総合対策の決定をした次第でございます。
  117. 原田立

    原田立君 これは当時の三月二日の「朝日新聞」に出ているのですけれども、西鉄の事故対策本部長のお話の中に、無人踏切についてはドライバーがもっと注意すべきだというような発言が新聞に出ている。まことにそうだとは思いますけれども、四種踏切——無警報機、無遮断機、そういう踏切をなくすことの方に私鉄そのものがもっともっと努力すべきではなかったか。何だか居直ったような、居座ったような言い方をしているような感じをぼくは持つわけなんです。だから、ドライバーの責任になすりつけるようなそういう姿勢は改めるべきであると、こう私は思うのですけれども、どうでしょう。——ちょっと待ってください。言わないと思ったけれども、こういうことを言っているのですよ。「今年度から六カ年計画で踏切整備を強力に進めようとしていた矢先に、こんな大事故を起こし、誠に申し訳ない。しかし、警報機など保安設備もない踏切では、ドライバーも必ずいったん停車するなど事故を起こさないための自覚を持ってもらいたい。ちょっとした不注意が多くの人命にかかわる大事故につながりやすいので今後とも踏切の整備を一段と強化するが、そのための費用負担は惜しまない。とりあえず、復旧に全力をあげたい。」それはそのとおりなんですけれども、前と後ろはよし、真ん中がちょっと居座ったような言い分のような感じを持つわけです。これではならない。もっとやっぱり謙虚な姿勢で四種踏切をなくす努力を私鉄当局は持つべきではないか、こう思いますが、どうですか。
  118. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 御存じのように、鉄道に踏切道というものがあることは、これはどうしてもやむを得ないことかと思います。したがいまして、踏切の事故を防ぐためには、やはり自動車のドライバーが道路交通法の規則を守りまして、一たん停止をし左右を確認するということが基本的には必要であろうかと思います。ドライバーによっては警報機が鳴っておるのに踏切を渡ってくるというふうなことではなかなか事故は防げないわけでございますので、基本的にはやはりドライバーが道路交通法規を守るということが必要かと思いますが、だからといって鉄道事業者側が踏切道の整備を怠っていいということにはこれまた相ならないと、かように思います。したがいまして、特に四種踏切の多い西鉄、そしてまたその整備についてよそよりもおくれておるというふうなことを考えますと、先生おっしゃるように西鉄の居直りというふうな感じがしないでもございませんが、一応私どもとしてもドライバーに注意してもらうということが基本的には必要であるが、事業者側においても踏切道の整備については鋭意努力すべきであると、かように考える次第でございます。
  119. 原田立

    原田立君 私もそのとおりだと思います。  ところで、踏切整備計画については都市計画でいろいろなされるのだろうと思うのですよね。だから、市町村に対してももっときちっと徹底しよく相談していかないと、その改良廃止なんというようなこともできないのだろうと思う。ところが、現実に見て踏切整備計画の国の指示指導というのが余り市町村に徹底されていないのじゃないかという、そういう懸念を持つのですけれども、これはどっちの方でやるんですか。交通安全対策本部でやるんですか、それとも、運輸省でやるんですか。
  120. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 各府県には関係機関が集まりまして踏切道改良促進協議会というものを皆つくっておるわけです。一そこで、それぞれの先ほど申し上げました四十六年の交対本部決定に基づきましてのある程度の長期計画を立て、そしてそれによって府県市町村にも指導をしておるはずでございます。この府県におきます計画的な改良促進協議会というものをもう少ししっかりさせなければいかぬなということを先ほどからお話を聞きまして私も反省しております。特に西鉄の場合、運輸省からお話がございましたとおり、他の大手数社に比べましたら、もちろん土地環境等もあると思いますけれども、少しおくれておる。また、警察側にいたしましても、せめてこの三号踏切を、恐らく地元の反対もあったと思いますけれども、車両の通行禁止規制を強力にやっておくべきじゃなかったかというような反省もお聞きしながら考えております。今後一層の指導に当たりたいと思います。
  121. 原田立

    原田立君 家をつぶされた甲野さんのところ、あるいは付近の損傷を受けたところ、それから重軽傷を受けた人々、それぞれの補償問題はその後どうなっておりますか。
  122. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 今度の井尻三号踏切の事故によりまして負傷された方、あるいは家屋を壊された方に対する補償がどうなっているかという御質問かと思いますが、今回の事故は自動車の直前横断というふうなことが原因でございますが、西鉄側におきましても被害者に対する補償については十分の配慮をいたしておるようでございまして、自動車保険によります補償というものが保険会社から当然に出るわけでございますが、それ以外に西鉄としまして負傷者に対する医療費、休業補償費、慰謝料、物損補償等について、あるいはまた、家屋の損壊に対しましては新改築費あるいは家具の破損の補償費、見舞い金等という点について被害者と現在話を煮詰めておるというふうな状況でございまして、私ども運輸省といたしましても西鉄が良識をもってこれに対処するように期待をしておる次第でございます。
  123. 原田立

    原田立君 福岡市内に域南線という非常に大きな大幹線があるわけでありますけれども、この薬院駅付近の混雑というのは大変なものであります。ところで、そこへ薬院駅を含んで福岡−平尾間というものは高架線に第一に工事をすべきではなかったか。それがどうも一番後回しになって、現在平尾−大橋間が工事をしてあるのでありますけれども、四十九年完成めどが五十一年末までにおくれるというふうに聞いております。これは一体どうしてこんなにおくれるのかというのが一つと、それから福岡−平尾間の高架事業については民鉄部としてはどういうふうな指導をしているのか、この二つをお伺いしたい。
  124. 高橋英雄

    説明員(高橋英雄君) 大牟田線の高架化につきましては、現在平尾−大橋間が工事を進めておるように聞いておりますが、この間の事業が予定よりもおくれているという点につきましては実はつまびらかにしておりませんのですが、まあこういう立体交差につきましては西鉄が独自でやるわけではございませんで、地方公共団体道路管理者側と協議をいたしまして都市計画決定をし、その後に工事をするというふうなことになっておりまして、そういった都市計画決定なり協議なりということに相当手間取ったのではなかろうかというふうに思いますが、その点は、申しわけございませんが、はっきりと実情をまだ把握はいたしておりません。それから福岡−平尾間でございますが、先生おっしゃるように、あそこの薬院のところの踏切は非常に道路の広い、交通量の多いところが平面交差ということになっておりまして、これは私どもも大変問題だと思っております。しかしながら、現在それをどうこうするというふうな計画はないようでございますが、私どもとしては、早期にそこについても高架化にするように関係地方公共団体と早速にも話し合うように西鉄の方を指導したいと、かように思っている次第でございます。
  125. 原田立

    原田立君 これはぜひやってくださいよ。福岡−薬院のところが高架になっていて、薬院と平尾のところはずうっと下になっていて、それから平尾から大橋のところまでは高架になっている。一番と太い大幹線の城南線のところが平面なんです。そんなばかなことがありますか。それがまだいつやるかわからないんだなんて、何を言っているんですかと、こう言いたくなるですよ。おわかりにならないのをいま言えと言ったって無理でしょうから、これはもう早速に計画に乗せるように御努力願いたいと思うのです。  西鉄を対象にして踏切道の問題についていろいろと、四種踏切が多過ぎる、これでは非常に危険ではないかということを申し上げたわけでありますが、最後に、大臣、四種踏切の廃止について、また、廃止前までに少なくとも三種にするような努力、これをもっと運輸当局は、あるいは交通安全対策本部は真剣に考えるべきではないかと思うが、所見なり決意なりをお伺いして、私の質問は終わる次第でございます。
  126. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 私もいまここにあります資料をずっと見てみましたところが、民鉄部長が申し上げたように、西鉄については確かに四種の踏切の整理が他の大手私鉄に比べて非常に劣っております。それはいろいろあるでしょう、たんぼ道を走っておるというふうなことで。しかし、見ますというと、やはり一応の計画決定は全部しておるわけですから。その計画決定に従って完成率を高めるために努力しなければいけません。これは私の方といたしましても出先の陸運局を督励いたしまして、もう計画は決定しておるわけですから、それがたとえば統廃合のパーセントが一〇%というふうなことではいけませんので、責任をもって西鉄自身が計画を決定しておるのですから、その決定に従ってやるということに強く指導をいたしたいと思います。  それから一般に踏切道の事故につきまして、私も長年にわたってこの問題と取り組んできておるのですが、私は何としても踏切事故防止はやはり一たん停止ということですね、きわめて簡単なこと、これがなぜできないのだろうかという気持ちが非常に強くするわけです。皆さんとお互いにわれわれはいま命と暮らしを守る政治をやろうとして努力をしておるのですが、本人が自分の命を守らないというのが一番いけないと思うのですね。そういうことから考えて、私は、一たん停止ということを本当に真剣になって自分の命を守るためだということで停止してもらったら踏切事故ははるかに減ると思うほど、一たん停止を怠ったための事故が多いということでございますので、こういう点では私は国民運動として大いに今後とも力を入れたいと思いますし、また、事故防止の運動期間が春秋にございますから、そういうときには特にその点は強調いたしたいと思います。しかし、四種踏切というものが存在するということも事故の原因になっておる。これにつきましては、計画を立てまして現在やっておりますが、さらにこういうふうにおくれているところはこれから十分点検をいたしまして努力をしたいと思っております。
  127. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 先ほど大臣からもお述べになったと思いますけれども、三十六年に踏切道改良促進法ができまして、当時約七万の踏切があったわけでございますけれども、昨年三月現在では約二万減りまして五万までいった、当時四種踏切が大体八五%あったものが四五%ぐらいまで落ちてきたという長い間の努力はあったと思いますけれども、今後、ちょうどいま踏切改良促進の第三次五カ年計画が五十年で終わりますが、五十一年から新たな第四次の踏切改良促進の五カ年計画をいま各省庁と詰めておる最中でございます。四種踏切を少なくとも車両通行どめぐらいの規制はもっとやらなければいかぬし、もっと統廃合も必要だろうと思います。私の経験でもこの統廃合はなかなかむずかしかったと思いますけれども、少なくとも車両通行どめの規制なり、そしてどうしてもそれができない場合には三種に格上げするとかいうことで、統合もあわせまして四種がさらに少なくなるべく努力してまいりたいと思います。
  128. 河田賢治

    ○河田賢治君 大臣が、所信表明で、人命尊重が何物にも優先するという認識で行政推進すると、こういう立場を述べられたわけです。それで、海上交通安全確保というものを冒頭に挙げられたわけです。御承知のように、資料をいただきましたが、昨年の海難事故というものが相当やっぱり発生しております。確かに船の件数は減ってはおりますけれども、人員が相当ふえておる。もちろん海のことですから陸とはそう比較になりませんけれども、しかし、陸上では自動車事故などの交通はかなり激減してきているわけですね、最近は。海上の方は余りこれが目に見えたあれがないと、こういう点があるわけです。そしてまた、最近いろいろな海上の法律もできたりして、ふくそうするものを処理するということがありましたけれども、やはり大きな事故が起こっておる。あるいはまた、近海等々でもカーフェリーなどがいろいろとまた事故を起こしております。こういう点で、まず実情を知っておられる、まあ数字はそう要らぬと思いますが、海上保安庁の方でこういう問題をどのように見ておられるか。しかも、これは、人為的な事故が多いと言われているんですね。だから、こういう点でどういうところに欠陥があるか、いろいろな問題があるであろうと思うのです、それを忌憚なくお伺いし、また、行政上の責任者として、ごく大まかではあるが大臣の所信をまず冒頭に伺いたいと思います。
  129. 隅健三

    政府委員(隅健三君) ただいま先生のおっしゃるとおり、海上の海難発生につきましては、四十九年の統計が最近でき上がりましたけれども、やは死亡人員が非常に多くなっておる、それから一隻当たりの海難がトン数が大きくなっておる、それからもう一つ考えられますのは、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、この三海域での海難が全国の中の三〇%以上を超えておるということを数字が示しております。  われわれといたしまして、この海難の特徴と申しますがいろいろ調べてみますと、見張りの不十分であるとか、自分の船がどこにいるかという船位を不確認をしておった、それから操船の不適切というような運航の過誤によるものが五〇・九%ございます。そういうことで、われわれといたしましても、海難の特徴といたしましてこの運航の過誤がある限りは、海難の隻数といいますか件数が減りませんので、やはり海難防止のためには運航の適切ということが非常に重要なことではないかというふうに考えております。
  130. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 先ほど踏切事故についていろいろ御質問があったのでございますが、私は運輸行政をあずかっておる者といたしまして、所信表明の中でも申し上げておるように、何が何でも交通事故の防止を図る、交通の安全を確保するということが最高でしかも最も崇高な運輸行政担当の者の使命であると、かように思って、日夜そのことに心をくだいておるわけでございますが、依然として交通事故というものは起こっており、まことに残念でなりません。そこで、ごく基本的に言いますと、先ほども申し上げましたように、私は、交通に従事する、ことに操縦に当たる者が、きわめて初歩的なことを守ってさえくれれば、いまの事故はもう半減以上すると思います。それは何かといいますと、まず操縦に従事する者はとにかく自分の目で進行する前方に対して常に注意を怠らない、それからさっきの踏切のように一たん停止という単純なことを必ず励行する、これを本当に徹底するためにいろいろな交通安全運動等をやっておりますが、いまだに徹底していないというようなことでございます。非常に残念に思いますが、こういう初歩のことを毎年毎年繰り返してやることが私は交通安全の確保にはまず第一として必要なことと思います。  そこで、今度は海上の問題でございますが、いま保安庁からも申し上げましたように、やはり海上におきましても交通が非常にふくそうするところで、しかも交通機関が大きいものがたくさん通るというところに事故が非常にたくさん起きておる。ことに最近のようにタンカー等船舶が非常に巨大化をしてまいりました。それと、大体産業の発展の原則からいいますと、臨海地帯に工場が密集するということになるわけですが、その港湾地帯に工場が密集するということが狭い港湾内に船舶がふくそうする大きな原因でもございます。そこにもっていって運航に従事する者の不注意と、この三つの要素がお互いに絡み合って最近の海上交通事故は起こっておる、こういうふうに思うわけでございます。そこで、それの防止対策といたしましては、それぞれについて現在の法規制で規制できるものは規制する、また、規制できるもので励行が徹底されていないものについては今後励行を大いに徹底する、さらに、今後法律等の中に仕組まなければならない問題が残されております場合にはそれを仕組んでいく、それから現地指導において欠けるところがあるところはこれらも大いに反省をして指導を強化していくと、こういうことで海上の交通事故の防止に当たりたいと思っておるわけでございまして、私は、今後、いままあ高度成長経済から低成長へと向かってすべてにわたっていろいろなスピードが落ちておりますけれども日本の将来を考えますときに、さらに今後の飛躍というものは必ずありますから、その経済発展、国民生活の向上ということを踏まえて海上交通はさらにふくそう化するということを前提に今後の海上交通安全対策考えていきたいと思っております。  これが大体私の基本的な考えでございます。
  131. 河田賢治

    ○河田賢治君 これから主として海運局を中心に、いろいろな例がございましたけれども、これを一々個別的にでなくて普遍的なものにして少しお聞きしたいと思うのです。  御承知のとおり、「しれとこ丸」の問題で通信設備というものが一番問題になりました。あれは、従来近海を走るというので長距離のものが無線がなかったとかということがありますが、これは今度改善されて、関東海運局も当該会社に対して命令して三月一日から一応設備すると、こういうあれになっておりますが、この長距離の事業者に対してはすべていつごろまでにやるとかいうような通達なり、あの通達には書いてないですが実際の指導としてそういうことをおやりになっておるのか、その辺をちょっと聞いておきたいと思います。
  132. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生御指摘のとおり、「しれとこ丸」の事故にかんがみまして、連絡通信の方法に不備があったことは事実でございますので、原則といたしまして三百キロメートル以上の長距離フェリーにつきましては無線電信を備えさせるということで現在指導しております。個別に施設、要員の充足等事情がそれぞれ異なりますけれども、一応六月の末までに整備をするということを目途にやっておる次第でございます。
  133. 河田賢治

    ○河田賢治君 それはわかりましたが、一応あれば通信士というものを置きますですね。当直で夜勤もしなくちゃならぬ、時間がいろいろ制約がありますから、そういう技術者を直ちに入れるだけの条件はあるのかどうか。それが一つ。  それから御承知のように、あのあと瀬戸内海で内海の「ひろしま丸」ですか、これが無線電話を持っていながら故障で全然役に立たなかった。自分の危険信号、救難の信号すらよそのほかの会社の船が見つけてこれを海上保安庁の方へ出したということになっておるのですね。こういうふうに、せっかく備えておりましてもこれがちっとも間に合わぬというような、まあ本来は検査しなくちゃならぬでしょうけれども、せっかく備えつけておってもこれが役に立たぬというようなことでは、これはどうにもならぬですね。こういう場合にかわるようなものは何かあるのですか。
  134. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) お答えいたします。  「しれとこ丸」のような大型の長距離の外洋フェリーにつきまして、これは先生御承知のように、沿海を走るわけでございます。沿海区域につきましては、職員といたしまして通信長一人ということで、そのためには資格といたしまして海技従事者としましては乙種の船舶通信士以上、それからもちろんこれは電波法の無線でございますので、第二級の無線通信士以上という、こういう資格のある人が一人乗らなければいけない、こういうことになっております。この通信士の雇い入れ問題につきましては、先ほど海運局長がお答えいたしましたとおり、ことしの六月末をめどにして現在雇い入れ等につきまして個々の会社検討しておりますが、これはほぼ充足できるかと思っております。  それから後段の「ひろしま丸」の瀬戸内におきます無線電話、これは七百トンぐらいの小さな船ですから無線電話を持っております。無線電話でございますが、これは超短波でございまして、一応光と同じように直線的に届く電波でございます。したがいまして、平均的に言いますと、約五十海里、九十キロぐらい到達するわけでございますから、到達距離としては十分かと思います。ただ、瀬戸内のように島嶼が非常に多くて島陰になりますと、どうしても島陰を通過する間は無線電話が通信できない区間が非常に短くはございますがあります。その点につきましては中国海運局で現在検討しておりますが、運航管理の面におきまして、通信の不能な短い距離の区域に入るときとそれからその区域を出るところで本社と通信をして、こういったケースに当たるというふうに検討してそういうことを実施させたいと、こう考えております。
  135. 河田賢治

    ○河田賢治君 「しれとこ丸」の問題から、例の通信の中継地ですね、これまで四カ所を六カ所会社がつくった。大体四時間距離で北海道まで行ける。これは従来こういう指導はなされておらなかったのですか。航海の安全とそれからあれをするために、何らかこういう措置はしなくちゃならなかったのじゃないですか。
  136. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生御指摘のとおり、従来は四ヵ所で連絡地点を設けておりました。そういたしますと、青森側を出てから北海道に着きますまでにちょっと時間が長かったりいたします欠陥をこの際発見いたしましたので、六カ所にふやして連絡をさせるということに改正をさせました。
  137. 河田賢治

    ○河田賢治君 しかし、それは、本来なら、電話のいろいろな距離や、それから電波のふくそう、それから感知の悪いところとか、いろいろあるわけですね。特に金華山から向こうの方は悪いと聞いておりますが、こういうのは、ああいう問題が起きなければそこへ気づかぬというちょっと運輸省側の後手があるのじゃないかと、まあ失礼な言い分ですけれどもこういうことを感ずるわけなんです。それでは、長距離のすべての事業所に、まだほかにもあるわけですから、これらに対して、やはりこういうものを持たせるように具体的に指示されたのかどうか、それでそれがいつごろまでに各会社はこのことをするのか、このことをお聞きしたいと思います。
  138. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) 「しれとこ丸」の事故の後、一般的に長距離カーフェリーにつきまして無線電信の設置をするようにという通達を二月の二十七日に出しておりますが、その後三月二十二日、これは私どもとそれから郵政省の電波監理局の方から通達を出しておりまして、外洋を航行する長距離フェリーを所有する該当の会社に対して、それぞれ、先ほどお答えいたしましたように、六月末を原則として個々のスケジュールあるいは工事期間、それから先ほどの無線通信士の雇い入れ等を考慮していま当たっておるところでございます。三月の二十二日に通達を出しております。
  139. 河田賢治

    ○河田賢治君 次に、やはり「しれとこ丸」の問題で、避泊地というんですか、波が来たりして避けるときですな、そういうところを早く設定するようにということで、会社もそれに対する報告を三月一日ですかやるようなことを言っておりますが、こういうものも、本来ならば、どこの会社でも運用について一応あなたの方に、あるいは船舶局ですかに出しておるわけだと思うのですが、そういうものは書類的にもどこの会社はどこどこを持つとか、そういうものの規定なんかを十分仕分けておられるのですか。また、これも最近あれには出されておりますから、そこいらをいつごろまでに実施するか、この問題も聞いておきたいと思います。
  140. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 各社が定めました運航管理規程の中に、避泊地として適当な海域を設けまして、船長と協議して資料をつくって各船舶に備えつけておくように措置をするということが運航管理規程で決められております。そこで、この「しれとこ丸」の事故にかんがみまして、特に港の名前を五カ所、東京湾、石巻湾、陸奥湾、内浦湾、尻屋崎の西側水域という五カ所に避泊地を選定させまして、運航管理規程に明らかに書かせるとともに、この避泊地に関する海図だとか水路誌だとかというような資料を船舶に備えつけるように指導いたしました。これはそのときの状況によりまして陸岸に近づいて避泊港に入ることが果たして安全上いいことであるか、あるいは「しれとこ丸」の例のように沖に向かって退避することが適当であるかということは、そのときの船長の判断ですが、念のために避泊地に入るということがいいと判断されたときにはその避泊地の資料を各船に備えさせるということで、これは「しれとこ丸」に限らず、各船社にもう一度この点を再検討するように命じて指導しております。
  141. 河田賢治

    ○河田賢治君 命じられたのですが、そういうものをいつごろまでに一応——港というものは決まっているんですから、どのくらいできたかとか、いつごろまでに出すというような指導をしませんと、ただつくれつくれで、法律はきわめて抽象的に指示事項になっていますから、この辺をはっきりと聞いておきたいわけですよ。
  142. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 各社に二月二十六日に出しました通達の中に、避泊地の調査検討を行わせて、これを具体的に記載させて資料を船舶に備えさせるという通達を出しておりますので、これはできるだけ早く各社にまんべんなくこういうことが行き届くように指導いたしたいと思います。
  143. 河田賢治

    ○河田賢治君 各社がもちろん選定するのですけれども、こういう海難事故が始終起こって大きな災害を起こす場合に、これは航路上の重要な問題ですから、こういうものは運輸省の方へちゃんとどことどことをこの会社は避難地にしているとかというようなことはやっぱりそろえておくべきじゃないでしょうかね。そして、こういうことは、きちんと、早いところは半分ぐらいはいつまでとか、あと半分は半年とかいうぐらいの期日を切った仕事をしませんと、ただ出すだけでは、会社というものはかなり営利主義のところが多いですからな。この点やっぱりもう一度はっきりさしてもらいたいと思うのですよ。
  144. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生お説のとおりでございますので、できるだけ早く各社にこういう資料は整えさせるように指導いたします。
  145. 河田賢治

    ○河田賢治君 それでは、一応これでやや技術的な問題は聞きましたが、外国船なんかがよく入りますが、船長あるいは船員、船の人々があまり港内の事情に詳しくないとかいうようなことがしばしば言われておりますね。これは水先案内なり何か強制的に航路の内容のよくわかった者を案内させるというような、それに従わなければ罰するとかいうようなお考えはないのですか、この辺をちょっと聞きたいと思います。
  146. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 外国船が狭水道あるいはふくそうする海域を航行する場合、特に東京湾の浦賀水道、それから瀬戸内海の明石海峡、それから伊勢湾の伊良湖水道を通りますときには、海上保安庁といたしましては、代理店あるいはその荷主関係のところ、あるいはオペレーターの方を通しまして、水先人を乗せるように行政指導をいたしております。それで、最近は、「第十雄洋丸」「パシフィック・アリス号」以来は、外国船につきましては相当数の船舶が水先人を乗船させておりますけれども、まだ乗船をさせていない船舶があることは事実でございます。ただ、これは強制水先ではございませんので、水先を乗せないからといってこれを云々するということば現在のところはやっておりませんけれども行政指導によりまして外国船のみならず日本の船長でも不なれな航路を通るときには水先人をとるように強く指導をいたしております。
  147. 河田賢治

    ○河田賢治君 その点では、私は相当な強制力を持たした方がいいのじゃないかと考えるわけですがね。最近の瀬戸内海で起こりましたあの問題でも、カーフェリーが火災を起こした。ところが、そこの海上保安部の方の現地意見では、もう単なる指導的な規則とかそういうものじゃだめだと。罰則が伴っていないから、カーフェリーなんかへ人が乗ってもエンジンをとめなかったりおりなかったりするのがたくさんあるわけですね。だから、なかなか規則が守られない。これは運輸省の方自身も書いておられますね、海上保安部のことしの白書に。こういう点で、何らかのいろいろな点で強制力を持つ規則、違反したら何らか本人の、まあ自動車だって点数が減らされたり罰金を食ったりするわけですね。そういうふうな、かなり細かいところまでいまの船のあり方というものに対してはやらなければならぬ。そうしませんと、大抵のところが守っていないわけですね。こういう点は、特に大臣、いろいろな法律をある程度こさえましても、単なる訓示的なものであっては実際守られない。そのために多くの人が火災を起こすとか、あるいは船が損失するとか、あるいは人命にもかかわるというような問題があるわけですから、一定のところはやはり相当強制力を持つような処置をとるべきではないかと、こう私は思うのですが、いかがですか。
  148. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この間起こりました瀬戸内海の火災事故でございますが、私も痛切に感じたのですが、フェリーですから自動車を乗せるわけですね。乗せた自動車のエンジンはとめておくということになっておりますが、これは乗り込んだドライバーが率先してとめるべきでございますけれども、一方、フェリー側としても、やはり一々自動車を回ってエンジンをとめておるかどうかということを点検すべきであると私は思うのです。フェリーにはかなり乗員がおりますから、人手がないということは私は言えないと思うのです。ですから、そういう点はやはりなれがある、あるいはやっぱりなまけておるという点が私は確かにあると思うのです。したがって、この点はやはり一生懸命になってそういう点は自己防衛上フェリーとしても必要なことですからやるべきであるのができていないという、こういう事実が本当に今後とも起こるようでしたら、やっぱり法規によって制裁規定もつけて強制するというところまでいかなければいけませんが、しかし、そこまでいかなければそういうことができないかという気もいたしますけれども、そういう感じを持っておりますので、今後十分注意をしたいと思っております。
  149. 河田賢治

    ○河田賢治君 最近、いろいろ海運の問題が起こりますので、運航管理官というものを置かれるようになったらしいのですが、これはどんなような仕事をするのですか。そしてまた、いまわずか七局に各一名というようなことも聞いておりますが、これはどうでしょうか。
  150. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生御指摘のように、四十九年度までは七局に運航管理官を置いておりました。五十年度からはさらに三名増員をいたしまして十局全国漏れなく運航管理官を一名ずつその仕事に専任させるつもりでございます。この仕事は、運航管理規程を各会社につくらせてその実施について指導をいたしましたり、また、立ち入り検査をしてその船に乗船して指導いたしましたり、いろいろな大事な仕事をしておるわけでございます。したがいまして、一名だけではどうも足りないという御批判もございますので、輸送担当者のうちから各局それぞれ併任発令をいたしまして、その仕事を補佐して大事な仕事に手落ちのないようにやらしておるのでございます。
  151. 河田賢治

    ○河田賢治君 各局いま一名でありますが、これは運航部に属すわけですね。この人一名ですから、上の人がまあ運航部長がいるのか知らぬが、余り相談するところがないわけですね。仲間もほとんどない。輸送課があって、ここの貨物船係とかあるいは旅客船係が二名とか三名、これは中国海運局の人員ですけれども、こういう人が一番責任を持って船の安全ということをまず見るわけでしょう。ただ一名で、カーフェリーなんか特にどんどんと大型になり、ふえてもおりますし、単にカーフェリーだけでなく、いわば運航の方ですから旅客船なんか、まあ旅客船は全体として減っておりますけれども、こういうただ一名でできますかな。
  152. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 旅客船だとかカーフェリーの安全管理につきましては、運航管理の面で総合的に仕事をしているのが運航管理官ということで、ただいま先生一名で非常に手薄じゃないかという御指摘もいただいたのですが、もちろんその面での充実はわれわれも今後とも心がけていきたいと思いますが、ただ、船舶の安全については、船舶安全法によって船舶の設備、検査等の規制をやっておりまして、ただいまも無線の設備について首席検査官からお答えをいたしましたが、船舶安全法に基づく船舶検査という面では、的に見まして四十九年度の定員で船舶検査官が二百十五名という定員でございますし、また、乗っている船員の働きにつきましては船舶職員法によっていろいろチェックをしているわけですが、船員労務官という資格でその仕事をチェックするという面がございまして、これは全国で四十九年度の定員で百五名の船員労務官が置かれているということでございます。また、海上交通取り締まり面からは、これは海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法等の取締、指導監督を海上保安庁の手でやっているということで、そういった面を総合して旅客船、カーフェリーの航行安全に十分にやるように心がけていきたいと思っております。
  153. 河田賢治

    ○河田賢治君 最近の事故の中でエンジンが相当あるですね。それからスクリューが傷んだとか、かじが傷んだとか、船の要するに運航の主要なこれが機関なんですね。こういうものが統計じゃ出ておりませんけれども、これがかなり数が多くなっている。もちろん速度がどんどん速くなり、摩滅がそれだけあって、したがって故障も起こす。運輸省の誇りの新幹線でもかなり故障が起こるわけですが、こういうところを、海上保安庁の方では、まあこれは検査課があってエンジンなんかの製造工程も検査している、時折修繕すればそれも検査されるのだと思いますけれども、重大なエンジンなんかがどんどん主要な事故のあれになるというようなことは、これはあなたの方では、いつこれが製造されて、そして何回ぐらい大修理をやってというような統計、それから船が古いのか新しいのか、こういうような統計がございますか。私、これ大事な問題だと思うのですよ、日本の技術から申しましても。
  154. 謝敷宗登

    説明員(謝敷宗登君) ただいまの点につきましては、先生御承知のように、船舶安全法という法律がありまして、そこで船を施設としてとらえておりまして、長さ三十メートルを超える船舶につきましては、各船体、機関、電気設備、消防救命設備等々、製造の段階から逐一検査をしてまいります。それから制度的には、製造が終わりまして船が引き渡せる段階で定期検査というのをやります。定期検査は、定期的に四年に一通ずつやる検査でございまして、全部ドックに入れまして修繕、点検をすると同時に、検査官が各所の不備がないかどうか全部検査をいたしまして、やり直しが必要なところは取りかえ、あるいはやり直し、修理をさせると、こういうたてまえになっております。それから旅客船の場合には、一年ごとに中間検査という検査をやっておりまして、したがいまして、これらの検査によりまして基本的には船の施設面での、安全は一応十分かと考えておりますが、何分毎日使っておるものでございますので、これに加えまして船長が発航前、船を航海に出します前に点検をする義務がありますが、これで船長なりあるいは船長の委任を受けた乗組員が発航前の点検をいたします。そこで施設面での不ぐあいについては発見されるという仕組みに一応なっておる状態でございます。
  155. 河田賢治

    ○河田賢治君 製造工程からまた大修繕、そういうときに検査をされましても、これが海難の主要な要素になっているということは、かなり問題だと思うのですよ。それで検査官自身も、運輸省の方方の職員組合ですかの出されておる書類を見ましても、なかなか検査をきちんとやれぬというのですね。大体見過ごさなきゃならぬ場合もあるし、いろいろな手抜かりがどうしてもできると、時間的にも労力的にもですね、わずかな人間ですし、そういうことを述べられておるわけなんですからね。これはやはり主要なエンジンなんかがしょっちゅう故障を起こすようでは、これはもう船としての植打ちはありませんから、こういう問題をもう少し保安庁の方でも究明されてしかるべきじゃないかと私は思うのですよ。そうしませんと、せっかく表だけはりっぱな外観を呈しておりましても、一番重要なエンジンがストップしたり故障するようでは、これは日本一の海運を誇っておりましても植打ちがなくなるわけですね。こういう点で何らかもう少し精密にしていただくというようなことはできますか。
  156. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 海上保安庁で掌握しております海難の隻数、たとえば四十九年度で申しますと総数が二千四百九十九隻のうち、機関取扱不良として原因別に把握いたしましたのは四百十一隻、一六由五%に及んでおります。その中をさらに点検いたしますと、機関の整備不良あるいは機関取扱不注意、不完全修理その他の項目について海難の原因別の分析はいたしております。それで、一件一件についての詳細な事故報告は海上保安庁においてはこれを持っております。
  157. 河田賢治

    ○河田賢治君 いま話されましたように、これは検査がある程度やられておってもこういうふうに相当大規模な故障を起こすということになりますと、検査がどの程度厳密に行われたかということにも関係するわけですね。やはりこういう問題で主として職員の方で検査なんかどういうことをしているか、どんな状態になっているかということを皆書かれておるわけですね。また、相手の船へ行きましても、先ほど大臣はかなり人手はおると言われましたけれども、やはり会社は営利会社ですから、できるだけ人を減らすとか、いろいろな熟練、不熟練もあるでしょうし、こういう場合でも、船員の労務官ですか、あるいは労政課、あるいは労働基準課、こういうものがあって一応これらの船員についてのものは調べておりますけれども、やはりこれも、こういうものが実際に入って、船の仕事の量、どれだけ船員が労働強化になっているとか、あるいはこれはこれだけの人間でどうとかいうようなことをもう少しきちんとやりませんと、船の安全とは言えないですね、一応その条件を満たさないと。こういう点を私は考えるわけなんです。したがいまして、検査のときも、たとえば消防の設備でも三割ぐらいが消防設備を持っていなかったというような報告があるわけですね、抜き打ち検査をやると。これから検査をやりますと言えば多少消火器なんかをそろえてやりますから、多少は良好な状態ということになるでしょうけれども、抜き打ち検査をやればそういう結果が出ておるわけですね。したがって、この検査にしましても、単に運航管理官だけでなく、労働者の方のいわゆる船員の方の状況なんかもこれはやはり調べる必要があります。かなり総合的な検査が私は必要だと思うのですよ。そうしますと、これも運航管理官という制度もありますが、しかし、その他の方は大抵文書で届けがあればそれを見ていくというような人が多いわけですね。実際の運航の経験のある人がやはり実際の場を見なければならぬと思うのです。こういう点で、できるだけ総合的に、あんまりセクションになりましてやっているのでは、本当に一つの船が安全を守っていく、あるいは安全が図られるという結論はなかなか出てこないと思うのですよ。そういう点で、これからの検査の運用などについては、各セクションなんか一緒になって、時にしょっちゅう抜き打ち検査をやって、とにかく運輸省が規定しております不備なものがありますが、これなんかも改めてそして励行する必要があるのじゃないかと、こう考えるわけですよ。御承知のとおり、船による損害は、人命もあります。船の損傷もあります。ことしあたりは、去年ですか、約四百億と保安庁の方では言われているんです。だから、それを、仮に検査をきちんとやり運航の基準を守らせるように努力すれば、こういう損害が幾らでも防げるわけだし、それからまた、運輸省の方も、いわば国民のサービス部門ですから、この方は定員削減だ何だというのでなくて、もっと大胆に人もふやして、そうして労働の過重にならぬように、そうして検査その他がきちんと調べられるような、そういう運輸省としても体制をとるべきじゃないかというふうに私は考えるわけなんですが、この点、大臣、いかがですか。
  158. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 船舶が安全に運航するということのために、いろいろな規則も設け、いろいろなことを命令いたしておるわけでございます。しかも、常に検査体制を持ちまして検査も実行いたしておるわけでございますが、その点で検査が非常に粗漏であるとかあるいは手を抜いておるために航行の安全上問題があるというふうなことがあっては絶対に私はいけないと思います。また、おっしゃるように、定期的な検査、これを逃れようとする道は幾らでもあるわけですから、その気になればどんなことでも、これは自動車でも同じことでありますが、できるわけであります。したがって、いわゆる抜き打ち的な検査、これをやるということも必要だと思いますが、しかし、やっぱり運輸省といたしましても人員その他の制約もありますので、しょっちゅうそういうこともできませんので、まあ一罰百戒という言葉は当たりませんが、一遍抜き打ちをやるということになると、いつやられるかわからぬぞということで注意心を喚起するという効果はあろうかと思いますから、そういう点も考えながら今後の検査の仕方につきましては十分配慮をいたしていきたいと思っております。
  159. 河田賢治

    ○河田賢治君 そこで、私も「全運輸時報」というものをちょっと拝見さしてもらった。これは労働組合が出しているものですね。こういうものは、人事課だけでなく、それぞれの検査の問題やら、それからいろいろな労務の問題とか、これらは皆それぞれ職場の人がどういう欠陥があるかとかというようなことを書いているわけですね。皆さんの方ではこういうものを多少お読みになっているわけですか。
  160. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生いまお示しになりました文書は、私どももよく読ませていただいております。
  161. 河田賢治

    ○河田賢治君 読んでおられるのでしたら、やはりそれぞれのもっと改善すべき余地は私はあるのじゃないかと思うのですよ。いろいろ部内から、また保安庁の方の人の意見も、さっき言いましたように、とにかく罰則がなければだめだと言われるほど船が守っていない場合が多いわけですね。ですから、そういう点から申しましても、やはりここに書かれておる問題を参考にしながら、多少それはオーバーなところもあるかもしれません。けれども、こういうものの実態をつかまぬと、私は本当に船の安全航海というものを守れないのではないかと思うのですよ。  私、一言、ちょっと古い時期ですけれども、これは陸上のことでしたか、貨物自動車の乗員が三人あるわけですね。ところが、この乗員の人間のキロ数が五十五キロになっているのですよ。出時、課長さんかだれか来ましたね。このことを聞いたら、いつできたか知らないわけですね。これはもうずいぶん古いものなんですよ、おそらく。いま日本人は五十五キロと言ったら、文部省や厚生省が出しておりますあれによりますと、高校二年生と一年生の間くらいですね、五十五キロというのは。貨物自動車なんかになれば、大体、体の大きな人が乗るわけでしょう、大型になれば。それが五十五キロで計算してあるわけですよ。こういうことが全然直されていかぬわけですね。政府自身が、文部省も統計をとり、それから厚生省も栄養から何から統計をとっていくのですが、実際大きな影響がないにしてもそういうものはやはり改めていきませんと、百年一日のごときやり方では、私は、政治のあるいは政府の仕事をまじめにやっているとは言えぬと思うのですね。まあ運輸省の方の問題を非常に出しましたけれども大臣、こういうことがあるわけですから、もうちょっと真剣に、絶えず時代に応じてどこを直しどこを改善するかというようなことをどんどん考えてもらいたい、こう思うわけです。そういう点で、労働組合から出しておるいろいろなものは、各それぞれの部局でも、実際的にどうなのか、本当に合っているのか合っていないか、また、検査あるいはその他のいろいろな管理の面で、会社のやり方、こういうものを本当に実際を把握していく、そして改めるものは改めるというふうにしてもらいたいと、このことを申しまして、私の質問を終わります。
  162. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間が経過しておりますから簡潔にお尋ねしますので、御答弁の方もその趣旨でよろしくお願いしたいと思います。  お尋ねしたいのは、いささか昔に戻るようですけれども、「第十雄洋丸」と「パシフィック・アリス号」が昨年の十一月九日に衝突いたしました。このときにいろいろ議論がありましたけれども、思い出してみますと、一つは、「パシフィック・アリス号」は木更津港を出てから水先案内人をおろしちゃった。これが原因の一つではなかったか。あるいはまた、浦賀水道の中ノ瀬航路を出たところでこの事故が起きた。出口のところでやっぱり規制水域ということを考える必要があるのではないか。まあこんなことが当時議論になりました。水先人を乗せる問題については、先ほどの同僚議員に対する御答弁の中で、現在行政指導努力をしておりますというお答えがございましたし、また、中ノ瀬航路の出口については、水域を規制する方向で現在検討が進んでいるというお話なんです。これで一段落したのかと思っておりましたら、一月置いた十二月十日に「アンコナ号」と「大和丸」が衝突した。どういうケースかといいますと、「大和丸」は四百九十一総トンの貨物船ですけれども、これが北に向かう一方通航であるはずの中ノ瀬航路を何と北から南に逆に走ってきちゃった。ぶつかった「アンコナ号」の方は水先人を乗せているんです。しかも、ぶつかった地点は航路の中ですから規制されている中です。こうなると、「第十雄洋丸」と「パシフィック・アリス号」の対策だけではとても間に合わない。しかもこの事故が起こったということを考えますと、二度と再びこの事故を起こさないためにどういう対策を打ったらいいのだろうか。この「アンコナ号」というのは七千九百八十一総トン、積み荷が雑貨ですから、幸いにも炎上爆発という問題は起きない、不幸中の幸いだったと言うべきだと思うのです。この種の事故をどうやって再発するのを防ぐか、これが本日お伺いしたい点です。  まずお伺いしたいのは、「大和丸」が中ノ瀬航路をどうして北から南に逆に走ってきちゃったのか、まず保安庁に伺いたいと思います。
  163. 隅健三

    政府委員(隅健三君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、十二月十日の午前二時に千葉から石巻向け出航中の貨物船「大和丸」が中ノ瀬航路を南下いたしまして、われわれとしては絶対に考えられない航法を「大和丸」はとっておったわけでございます。「アンコナ号」の方は、海上交通安全法に決められたとおり、この中ノ瀬航路を北上しておった。ここで衝突したわけでございます。なぜ「大和丸」が中ノ瀬航路を一方通航にもかかわらず逆方向に航行していたかということは、海上交通安全法の不知と申しますか、この規定を知らなかったとしか考えられない事件でございます。
  164. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 知らなかったとしか考えられないではなくて、すでに事件経過後たっているわけですから、知らなかったことを御確認されておいでですか。
  165. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 船長と乗組員六名でございますが、全員「アンコナ号」に救助されておりまして、そのようなことを調書において認めております。
  166. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは四百九十一総トンですからそう小さな船じゃないんです。事故が起こったのは四十九年十二月十日、海上保安法は制定が四十七年七月三日、施行が四十八年七月一日、にもかかわらず、相当大きな船会社に用船されている「大和丸」がなぜ知らなかったか、その辺はお調べになりましたか。
  167. 隅健三

    政府委員(隅健三君) これの用船者は栗林運輸でございまして、北海道において非常に大きな会社だと思います。取り調べの結果、船長は、資料は持っておりました、しかし細かい点について理解に欠けるところがあったということを自供いたしております。
  168. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いや、それで状況はわかるのですが、法施行以来一年以上たっている。しかも、海上の交通安全というといろいろと周知徹底に時間がかかるというので、制定から施行まで一年間の期間をさらに置いてあったわけです。にもかかわらずそういうことが起こったという点について、海上保安庁とすると、どういう点に問題があったとお考えになりますか。
  169. 隅健三

    政府委員(隅健三君) この点につきましては、私どもといたしましても、交通ルールの周知状況が果たして内航船にまで徹底しているかどうかという点はさらに反省を必要といたしましたので、この事件が起きまして直ちに十二月二十三日に、日本内航海運組合総連合会会長、あるいは各管区の本部長にあてて、海上交通安全法の周知指導について通牒を出しております。やはり、何と申しましても、内航線に、海上交通安全法あるいは海上衝突予防法、港則法の周知についてまだわれわれの努力が足りないということは認めざるを得ないと思います。
  170. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまのお話でそれぞれ通達を出しただけで、きょう現在日本近海を運航している内航船について全部周知徹底されたとお考えですか
  171. 隅健三

    政府委員(隅健三君) それぞれ所属の内航海運組合あるいは代理店、あるいは船主の組合等を通じまして法令の周知徹底をしたつもりでございますが、まだやはり一杯船主等がございまして、完全に周知徹底したかどうかを断言できるほどの自信はございませんけれども、やはり、われわれといたしましては、海上保安官が、立入検査のみならず、臨船指導ということで小型鋼船に重点を置きまして臨船指導をする。一方では、パトロールに巡視船艇をそれぞれの航路筋に配置いたしまして、現場において航法の違反あるいはスピードのあれについては厳重に注意をする、あるいはスピーカーを通じて航法の指導をするということに努めております。
  172. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまの御説明の後段の部分ですけれども、十分万全の措置としてそれができるほど船がたくさん配置ができるかといったら、たとえば東京湾の例でも、一度見せていただきましたけれども、とてもそれは十分というわけにいかない。要は、船を運航する人が熟知しているかいないか、そこにかけられた面がずいぶんあると思うのです。海上安全法について、新しい法律ですから、そのPRに海上保安庁としてずいぶんと御努力をされたのだろうと思うのです。思いますが、法施行の寸前になって調べてみたら、これは個々の面接調査でおやりになった海上保安庁の資料ですけれども、そのときになって、いや、おれはいま知ったというのが一三%近くです。この調査は、全船舶についてやったわけではない、三一%ぐらいです。しかも、おれはいま知ったと言っている人たちがどういう人かというと、回答されたのは、ここにも書いてありますように、ほぼ責任のある人たち、船長さんが八三%、一等航海士が一一%、締めて九四%の人にどうですかと聞いたら、一割以上がおれはいま知ったと。これはずいぶん努力をされた結果だと思う。この十二月十日の不幸な事故以降通達をされたと言われますけれども、今日現在もなおかつ知らない船があると思わざるを得ないのじゃないでしょうか。何をやっていたということを聞いているのじゃないですよ。あることを想定して安全対策をわれわれとしては考えなければいけないのではないでしょうかということです。
  173. 隅健三

    政府委員(隅健三君) おっしゃるとおり、四十七年の六十八国会におきまして海上交通安全法が成立いたしまして以来、日本語、英語、韓国語のパンフレットであるとかリーフレット等五十万部を印刷いたしまして、港長窓口を通じまして、あるいは海上保安官が直接訪船して、それを渡す、あるいはそれぞれの地区にございます海難防止講習会を通じまして船長さんに渡す、あるいは内航海員組合総連合会傘下の各組合を通じましてこの新しい航法についての周知徹底に努めております。やはり、内航海運の特殊性から、全部が全部、一隻に至るまでこの航法を熟知したかということでございますと、われわれはそれの目標に対して努力を続けざるを得ないというふうに考えております。
  174. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは四十八年にお出しになったPRアンケートですけれども、いま知ったという船が主としてどこに航行していたかといいますと、当然のことでしょうが、東京湾、大阪湾、瀬戸内、もう事故が非常に起こりやすいところに密集するわけです。どのぐらいの速度で走っているかというと、大体八ノットから十二ノット、結構一生懸命走っているわけです。そうなると、いまお答えのように、私はいまのお答えしかないと思うのです。一隻といえども知らないものがないかと言われたら、とうてい自信はありません。しかし、その一隻が常に大事故を起こす可能性を持っている。これを一体どうしていったらいいんだろうか。決してこれは軽々に見過ごしていい問題ではないと思うのです。私は、この「アンコナ号」と「大和丸」の問題というのは、事故が起こってからすぐ保安庁に行ってこれをいただきました。私が聞きたいことはここなんですよとこれまで何遍も聞きましたが、お答えがないものですから、ここでいまお尋ねをしているのです。なぜ困った状態になるかというと、たとえばこれでも、じゃおまえさん方政府がどういう努力をしたらいいと思うかと言うと、パンフレットを配ってくれ、講習会をしてくれ、当然のことながらそういう返事が相当の比率で返ってくる。そのときに、これは海運局に伺うわけですけれども、一杯船主の存在というのはこの周知徹底に非常な障害になっているのじゃないか。その点について運輸省の海運局としてはどういう判断をされておりますか、伺いたいと思います。
  175. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) いま先生お話にございましたように、一杯船主という数がかなり多うございます。内航海運業界というのは、やはり零細中小業界でございまして、現在許可業者が約八千、届け出業者が約六千に達しておる実情でございます。私ども、できるだけその事業規模を適正化して安定した経営ができるように、たとえば、内航海運業についての許認可に当たって四十八年五月に局長通達で出しました基準でも、運送業、貸し渡し業、取扱業等についてレベルアップをそれぞれ図るということを指導しておりますし、また、木船が鋼船にかわるようなときにはできるだけ協業化を図るというものを優遇するようにということでございますけれども業界の中小零細業者が多いという実情から、必ずしも一朝一夕にその効果は上がらないということが現状でございますが、今後、できるだけ事業規模を大きくしていくという努力は続けていくつもりでございます。
  176. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 この一杯船主というのは、とにかくおいでいただいてあなたしっかりしなきゃいかぬと言う責任者も乗っけて出ていっちゃう船だと理解して間違いございませんか。
  177. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 大体そういうことであろろうと思います。そこで、私どもは、それを用船しているような船社を通じてそういった一杯船主に対する指導をしていくよりほかに方法はないということを考えております。
  178. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、その一杯船主という事業形態がなぜ起こったかということをいま問うているわけではない。政府だってつかまらないんですよ、一緒に出ていっちゃうのですから。それを用船しているところに要請したからといって期待できるのか、周知徹底義務においては非常な不安が残るとやっぱり一杯船主の業態を知れば知るほどお感じになるのではないかと思いますが、この点の御判断はどうですか。
  179. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) やはり、総連合会を通じて周知徹底方を図っていくということ、さらにまた、それを用船している運送業者を通じて運航上の注意を与えていくということよりほかに方法はないと思います。
  180. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 海上保安庁にお尋ねしますけれども、「大和丸」の事件でお調べになったと思いますが、用船をしている会社がこの「大和丸」を含めていわゆる一杯船主に対して海上交通安全法についてどういう指導をしたか、御確認されましたか。私が聞いているところでは、実際できない、そう聞いておりますが、間違いありませんか。
  181. 隅健三

    政府委員(隅健三君) 私の得ております報告でも、そこまでの詳細なる指導をしていたという報告を受けておりません。
  182. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大臣にお尋ねをするわけですけれども、状況は以上なんです。一杯船主が出てきた経過、これはいろいろ事情があると思います。内航海運においてそういう事業形態がいいかどうか、これは企業の安全性、企業基盤という面でまた検討していかなきゃいけない。しかし、これはいまは触れません。問題は、法律をつくった、どの船でも知らなきゃいけない。これが五十トン、三十トンというなら別としましても、八ノットから十二ノットで走っている五百トン前後——案外四百トンから五百トンというのが多いのです。これは一杯船主でつかまらない。全部の船が知っていてくれないと、たとえばこの件というのは、「アンコナ号」はかわいそうに日本の法規を守って水先人を乗っけて規制水路の中でぶつかっちゃった。たまたま積み荷が雑貨だからよかった。じゃどうしますかということを局長にお伺いすると、何ともはや、通達で督励するよりしようがないんだと。どう言ったってできやせぬのです。これを一体どうやって構えていったらいいのか。私の意見一つ付して申し上げますと、安全というのは当事者の注意義務だけに依存していいのかという問題になる。当事者の注意義務は当然のこととしながら、それを補完するある安全なシステムというものを組み立てていかないと、この種のケースはいつ起こるかわからない。この点についていかがお考えですか。
  183. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) まさに栗林先生から運輸行政の非常なむずかしいところ、盲点を突かれた感じを痛切に感じます。私も長い間にわたって運輸行政をやっておりますが、これは、海上におきましても、あるいは陸上におきましても、われわれが法規をつくる、通達をつくる、それはすべて個々の運輸事業者がそれを守っていただくことが法や通達の目的を達成する、これがすなわち安全に結びつくし、事業の繁栄に結びつくわけでございます。その個々の運送業者に本当に徹底するかどうかということは本当にむずかしい問題でございまして、まさにその点が行政を生かすのも殺すのもそこにあると思います。いまの一杯船主の問題等も、どうやってそういう一杯船主の人々に大切な海上安全交通法等のルールを頭に入れてもらうかということは、実際問題として、そういった一杯船主の方々の組合もあるわけですから、そういうところを通じてお知らせする以外にありません。しかも、その人たちは何日か留守にして出回っておりますから、そうやって組合の方に努力をしてもらってもその人に到達するのはそのときから何日かあるいは何週間か後です。通達を受けても、まあろくすっぽ中身までよく知ろうとはしない、まあ自分が一生懸命事故のないように走っていりゃいいんだというのが本当に多いと思うのです。これはわれわれとして一番末端まで行政の趣旨を徹底さすということは常に考えなければいけませんが、そういう非常にむずかしい問題がございます。したがって、常にわれわれとしてもどんなに周到に用意をしてこういうものの徹底を図ってもこれが一〇〇%行き渡るとは考えてはいけないという前提でやっていかなければなりません。いまの一杯船主などが交通法規をそういうことで知らないでアウトローのような運航をしておるというふうな事実も相当あると思いますので、これはやはり数は少ないですが海上保安庁等の巡視艇その他で現場に当たって細心の注意を行ってそういう指導をしていくということを徹底しなければなりません。これも水を漏らさずやるということは非常に困難で、その点に非常に問題があるのでございまして、今後とも周知徹底についてはその身になって考えていきたいと、かように思っております。
  184. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いま私がお伺いしている立場というのは、水が漏れてもいいんですかと聞いているんです。水も漏らさずやっていきたい、わかるんですよ。ところが、船舶の事故というのは、起こってみると予想外の問題が起きかねない。したがって、水が漏れてもいいんでしょうか。そこで、どれだけの対策を事前に講じておくのか、海上保安庁がんばれといっても、いま浮いている船だけじゃどうしようもならぬですよ。だったら、必要な隻数をおそろえになりますか。それならわかる。それはまたむずかしいというと、しかし起こっちゃったらどうするんですか。これは一杯船主の問題というのは陸上に直しますと一人親方のトラック輸送とよく似ているわけです。これも実は運輸行政の中では何とか手をつけていかなきゃいけないし、どう手をつけていいのか、なかなかうまいものが浮かんでこない。同じことなんです。ただ、一人親方のトラック輸送の場合に、それほどの交通安全という面からの極度の不安感はわれわれは持っていない。交通安全の面で大きな問題なんだけれども、極度の不安感を持っていない。というのは、道路の上しか走らないというのが前提になるわけです。船は航路を引いたって見えないですから、どこをどう走るのかわからないという状況があるし、しかも抱えている品物が大きいですから。東京湾にしても瀬戸内にしても、大阪湾にしても、周りは過密地帯であり、しかもコンビナートだ。そうすると、水が絶対に漏れてもいけない。万が一ということはもちろんありますよ。ありますが、水が絶対に漏れてはいかぬという立場で予算を惜しむべきではないのじゃないかということでお尋ねしたのです。
  185. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 水は絶対漏れてはいけないのですが、現在のそういった海上運送の実態からすれば必ず水は漏れると思います。しかし、お話しのように、それを予算を限りなくつけたところで私は水は漏れると思うのです。やはり、こういう問題は、漏れる水をなくしようとすれば、一杯船主を全部なくする以外に手はないというところまで極論せざるを得ぬようになると思います。しかし、そういうことは言うはやすいですが大問題で、そういうことは実際上できません。そうすると、われわれにできることは、水の漏れ方をごく微量になるまで努力をするということしかないと思います。そのためには、いまお話しのように、たとえば海上保安庁につきましても全部の一杯船主を見守れるほどの船はつくれませんが、いま以上にさらに何年か後はそれ以上にということで予算をつけて強化していく、あるいは周知宣伝についても、金のかかることですが、そういうことを一人でも多く周知徹底の対象になれるように予算をつけて周知徹底の方法を講ずる。現状ではそういう努力の積み重ねによって少しでも水漏れを少なくするということしかないのではないかという感じがいたしております。率直に申し上げます。
  186. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 よくお話はわかる気がします。そこで、その問題に取り組んでいく将来の予想として、内航海運というのは、陸上交通があちこちでもう過密になってきましたから、今後はふえていくだろうという想定はお持ちだと思いますが、この点の御判断はいかがですか。
  187. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) これは総合交通体系の問題にも関連してまいりますが、いまの現状から言いますと、鉄道にいたしましても、陸上交通道路にいたしましても、だんだん行き詰まっているような状況でございますから、そのために行き詰まってはいけないのでその打開策を講じて総合交通体系をつくっていくわけでございますが、いまの物資の輸送あるいは人員の移動等を見ますと、ことに物資の輸送については、海上運送によるシェアとしてはかなりあるわけでございますが、それがどういうふうに変化していきますか、今後の手法としては私は海上運送はもっとシェアはふえてくるのじゃないかと思いますので、そういう問題についてはやはり私もそういうように思います。
  188. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうなりますと、なかなか時間を  そうかけてというわけにもいかないと思いますし、対策というのは、先ほど来御指摘のように、周知徹底、努力を続けながら、しかもそれぞれ一杯船主の親方さんの自覚も含めて真剣に努力をする、これはやらなきゃいけません。  それからもう一つは、一杯船主のあり方、広い意味では陸上の一人親方のトラック輸送も含みますけれども、そういったものをどういうぐあいに直していったら一番安定感がある、不幸にして国民に迷惑を及ぼさない運輸行政が展開できるか、  これはまたそれでぜひ御検討いただきたいと思う。どちらにしても、なかなかもって水が漏れるのはそうは防げない。そうなると、これから先は実はいろいろな議論があるようです。たとえば東京湾について見れば、どんな回り方をしたらいいかとか、これも諸説紛々ございますし、航路の出口のところと入口のところに全部船を配置しろという御意見もあれば、ここまできたら相当の地域についてもうレーダー管制をするしかないじゃないか云々ということもあります。これは私は専門家でありませんからこれ以上申し上げる資格はありません。しかし、そういったことも含めながら、やがてふえていくであろう内航海運の状態に適応しながら、より確度の高い安全システムをどうしていくのか、これは運輸省として、従来もそうであったと思いますけれども、現にこういう事故が起こってみると、再び起こらないとは言えないんです。大体中ノ瀬航路を逆に来たというのは、聞きますと、この「大和丸」の前は日本のことをようわからぬソ連船があったぐらいで、めったにないといいますけれども、とは言うものの、一杯船主の状況を考えると、対策を打っていかなきゃいかぬかもしれないということで、ぜひ真剣な御検討をお願いしておきたいと思います。  以上注意を喚起して、私の質問を終わります。
  189. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 本件に対する質疑はこれをもちまして終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十九分散会