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国務大臣(
木村睦男君) 御
承知のように、
国鉄の
財政の
状況はまことに憂慮すべき点があるのでございまして、十年以前からの連続の赤字ですでに累積の負債から申しましても四兆円を超すということでございます。これが
民間の
会社ですと、もうとっくに倒産しておるわけなんでございますが、
国有鉄道であるがゆえに今日なおその
運営を一生懸命やっておるような
状況でございます。
そこで、すでにこの十年の間に何とか
再建をしようということで二回にわたって
再建の
計画を立てたのでございます。ことに、最近は、三十八年から十カ年
計画を立てまして、そして
一つは
政府側も大いに融資あるいは
財政援助等をやると。また、
国鉄自体といたしましては、
合理化によりまして経費の節約、
人員の縮減を図る。また、利用される旅客の側にも御
協力をいただきたいということで、五十七年までの十年間に合計四回の
運賃改定をやることによって何とか
再建をやろうということでスタートいたしたのでございますけれ
ども、
一つには、
予定をしておりました
運賃改定が、四十八年に実施すべきところが昨年の十月になってようやく実施せざるを得なかったというふうなことで、その間に非常に蹉跌があったわけでございます。また、
人員の削減につきましても、おおむね毎年一万人の整理をやるという
方針でございましたけれ
ども、これが意のままにいかなかった。それに加えまして、
ベースアップ等で
人件費の総額が予想以上に上がってきた。まあそういうふうないろいろな
事情がありまして、このままではとうていあの十ヵ年
計画は実施できない、こう結論をせざるを得なくなったわけでございます。
そこで、五十年度におきまして、この
再建計画を見直さざるを得ない
段階になるわけでございますが、御
承知のように、
高度成長経済から低
成長へと
経済情勢が変わってまいりました。
政府の
長期計画は、あらゆる面におきまして五十年一年間の推移を見まして、そしてその上に立って将来の
経済あるいは
国家財政の
展望を一応明らかにいたしました上で、それに即応した
長期計画をつくるということになりましたので、
国鉄の
再建計画も実は五十一年度からやろうということに
方針を決めたわけでございます。
そこで、その
再建計画の
展望なりあるいは
構想でございますけれ
ども、これが実はなかなかむずかしいわけでございます。過去の二回にわたります
再建計画それぞれについても
考えてみますというと、従来のままの
再建計画の多少の
焼き直し程度ではとうてい
再建ができないであろう、私はかように
考えておるわけでございます。そこで、
再建の骨格的な
基本構想をつくり上げますためにも、まず、一体その
再建の目安をどうするかということで、どこに
一体国鉄の
再建の
メスを入れるべき個所があるか、また、その中で何が一番重要であり、次いで何が重要であるかというふうなことまで一応よく洗ってみなければいけないということを
考えまして、現在は、
国鉄の中におきましても、その
検討のための
委員会を設けて
検討をいたしております。
運輸省におきましても、所管の
鉄道監督局長を中心に
再建の
部内の
委員会をつくりまして、いま
メスで患部を探っておるという
状況でございます。い
ずれその点がほぼ明瞭になりました時点におきまして
再建の
計画の骨子をつくっていきたいと思うのでございますが、これにはやはり
運輸省や
国鉄という
部内の者だけの
考え方ではとうてい
再建の
計画を立てることはむずかしいと、こう
判断いたしております。ことに、
国有鉄道は
国民のものであり、
国民に提供された重要な
輸送施設であるわけでございますので、
国会関係の皆さんの御
意見はもとより、広く
世間一般の
利用者の
立場からの御
協力あるいは御批判、そういうものを聞きながら最終的に
再建計画をつくっていきたい。しかしながら、五十一年度スタートを
目途といたしておりますので、五十一年度の予算の概算は大体八月末までにつくって大蔵省に出すということになっておることから
考えまして、一応の
目途を八月いっぱいに置きましてこの
再建計画を立てていきたい、かように
考えておりますので、現在のところ
再建の骨格とか方向というものをいまそうやって一生懸命になって探っておる
状況でございますので、もうしばらくそれらについては時間をかしていただきたいと思います。