○三治
重信君 私も農家の出身で恵まれなかったんですけれ
ども、戦後の急激な
都市の膨張によって、その周辺の農家は本当に恵まれて、名古屋周辺なんかでもちょっとした前農家だった人はみんな億単位の預金があるとこう言われているわけなんですけれ
ども、しかし、なかなかそれだけ恵まれた金持ちになり、財産家になったと自分で思っていながら、それの運用について、またそれを維持して将来の生活の安定を図ろうということについての方策が農協の指導なんかでも十分ではないんじゃないかと思うのですけれ
ども、また実質的にそういう問題について、やはり住宅の
——いままでは農民と言えば
農地を耕すことによって生活する、こういう気持ちでおったわけなんです。今度は
宅地化していく、それを手放せと言うとなかなか手放さない、手放さなければそれをどういうふうにして利用さしていくかという問題になろうかと思うのです。私はむしろ、ことに
大都市地域の中で住
宅地の
供給をさす場合に、
土地を売らすよりかやはり
土地を貸す、農民は手放さないで所有権を持って、そしてその上にいろいろの必要な住宅なり公共施設を
——公共施設はあるいはうまくいかないかもしれませんけれ
ども、住宅なりその他利用できる施設をやって、そこに農民が利益を得る道をやはり考えて、そういうことは企業なんだからいいんだと言えばそうなんですけれ
ども、やはり大量の住
宅地の
供給を得るということについて、農民に先祖代々の
土地についての利用の仕方を転換さすということについての発想法が非常に、何と申しますか、余りにも恵まれているがために発想ができにくいという問題を特に考えていただいて、その収益、またはそこに収益とそれから自分たちがどういう仕事をしていけばいいのかと、ただ金を持っておっても働く場所がない、働く興味がないと、仕事についての興味がないということは非常に人間的にもやはり意欲を失うという問題があって、住宅の管理について、あるいはその
地域のいわゆる新しく入ってくるサラリーマンその他いろいろの住居民に対するコミュニケーション、環境の住みよい
土地のリーダーとして
——リーダーとまではいかなくとも、
一つの何と申しますか、先住者として誇りを持つことに啓蒙的なことが必要ではないかと特に思うわけでございます。ひとつそういう
意味において、農民に都合のいいようにして、この
農地を大量に住
宅地として
供給させればいいんだということではなくして、そういう人たちの将来の生活、あるいはどういう仕事にありつけるのだと、こういうことについての指導と申しますかサゼスチョンを特にいろいろアイデアを出してもらって、そういうところで勉強してもらうということをひとつお願いをしたいと思います。
それで、あと再
開発の方の問題に移りますが、再
開発法の問題につきまして一番私が関心を持つのは、いわゆるもう既成市街地で再
開発をしなくちゃならぬということは、すなわちそこでは住宅にしても、また
都市生活においてもまずいから、たくさんの金をかけて直そうと、こういうわけなんですが、一たんまた現代の大
都市の中、あるいは
都市の中、ことに大
都市の中においてそうなんですけれ
ども、非常に再
開発をしなくちゃならぬような
住宅街区あるいは商業
地区にしても、すべて
土地の物すごい値上がりと人口の密集によって、いわゆる不良住宅化、不良
市街化区域というものにどんどんなっていくところがずいぶんあるのじゃないか。その
一つとして、前から申し上げておるのですけれ
ども、いわゆる
一つの二百坪なり三百坪、百五十坪の
土地があると、それをそのままではすぐ売れないために、十五坪とか二十坪とか三十坪に非常に細分化して、そして建て売り住宅なりあるいは住
宅地として提供をする。そういうところになると、非常に住宅の密集地で、しかも市部の中で非常にそういうふうに十五坪とか二十坪の
土地でどんどん
土地が細分化される。
これは御承知のように、東京都の
土地に対する白書と申しますか、報告書の昨年出たのでもわかるのですが、個人の所有分は法人の所有地分のたしか四割ですか。その四割の中で、ことに個人の住宅の、主として個人の
土地所有が非常に細分化されていく。全体の面積は、個人の所有がだんだん減り、所有者の数は非常にふえているけれ
ども、しかし、その持っている部分、ことに一人当たりの所有地が非常に細分化していっている。これすなわち私は、将来そういうふうにした
土地は、細分化された
土地は、またこの
都市の再
開発法で国が
指定して、たくさんの金を費やして再
開発をしなければ適当な住
宅地や商店街にならぬと、こういうおそれが非常にあるのではないか。したがって、東京なら東京、大阪なら大阪とかいう全部の
地域にそういうことは非常にむずかしいかもしれぬが、一定の
土地の、非常に
土地の高いところでそういうふうに細分化といっても、本当に五十坪以下で二十坪、三十坪というような
——これもいろいろ検討が必要なんでしょうけれ
ども、そういうふうに非常に一定の
土地が高いために細分化され、細分化されるからますますそういうところは
土地が高くなる。こういうところは何か歯どめをつける方策をやらぬと、片方悪いところを
一つずつつまみ上げて直していく、しかしながら、その隣ではどんどこどんどこ
土地の値上がりによって細分化されて、また何といいますか、不良
住宅街や商店街
地区になってしまう、こういうおそれが非常にあると思うのですが、こういうことについて、非常な
土地の値上がりによって、
都市のそういう地価の高い
地域がいわゆる市街地としても住
宅地としても非常に不良化していくということについて認められるか。また、そういうものに対して対策なり何なりを研究されていることがありますか。