○国務大臣(仮谷忠男君) ただいま議題となりました
都市再
開発法の一部を改正する
法律案につきまして、提案理由及び要旨を御
説明申し上げます。
最近における
都市化の進展に伴い、大
都市はもちろんのこと、
地方都市におきましても、環境の悪化、災害の危険の増大、市街地内の
住宅の不足等の
都市問題がますます深刻化しております。これらの事態に対処するためには、各
都市における既成市街地の再
開発を積極的に推進し、公園、緑地、街路等のオープンスペースを十分に
確保しつつ、中高層の耐火建築物を
建設し、あわせて職住近接を図ることがきわめて重要であることと
考えます。
このため、既成市街地の再
開発の一層の推進を図るべく、公益性が高く、かつ、大
規模な
事業を早急に施行するための手法を確立するとともに、主として
関係権利者による
計画的な再
開発の
実施を促進するために市街地再
開発促進区域及び個人施行者の制度を新設する等の必要があります。
以上が、この
法律案を提案する理由でありますが、次にこの
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一に、従来の権利変換手続による第一種市街地再
開発事業のほか、
用地買収方式による第二種市街地再
開発事業の制度を新設することとしております。これは、公益性が高く、かつ、現行の権利変換手続では
事業の
実施が非常に長期化するような大
規模な市街地再
開発事業を早急に
実施することを目的とするものでありますが、
地区内に
建設される再
開発建築物に入居することを希望する
関係権利者に対しては、その入居を保証することにより、
関係権利者の保護につきましても十分配慮いたしております。すなわち、
地区内の
宅地の所有者、借地権者及び建築物の所有者は、再
開発建築物の一部等の譲り受け希望の申し出を、また、
地区内の建築物の借家権者は、再
開発建築物の一部の賃借り希望の申し出をすることができるものとし、施行者は、その希望に応ずるように管理処分
計画を定めなければならないことといたしております。なお、この第二種市街地再
開発事業につきましては、
地方公共団体または
日本住宅公団等に限り、施行できるものとしております。
第二に、民間の旺盛なる建築活動を
計画的な再
開発に誘導するための措置として、市街地再
開発促進区域及び個人施行者の制度の新設、高度利
用地区の制度の改正等を行うこととしております。
まず、市街地再
開発促進区域の制度の新設でありますが、これは、
関係権利者による
計画的な再
開発の
実施を図ることが適切と認められる市街地について、
都市計画に市街地再
開発促進区域を定めて、
関係権利者による再
開発の
実施を期待し、その後五年を経過しても再
開発が
実施されないときには、市町村等がみずから市街地再
開発事業を施行するというものであります。なお、この促進区域につきましては、一定の建築物の建築許可、その不許可の場合の
土地の買取り、
開発許可の基準の特例等を定めております。
次に、個人施行者の制度は、
宅地の所有者または借地権者が、
関係権利者の同意を得て、一人で、または数人共同して施行する市街地再
開発事業の制度を新設するものであります。
さらに、高度利
用地区の制度の改正につきましては、建築規制の項目に、建蔽率の最高限度及び壁面の位置の制限を追加して、街区内におけるオープンスペースの
確保を図ることとしております。
第三に、その他の項目として、再
開発建築物のうち
関係権利者に対して与えられる
部分以外の
部分、いわゆる保留床を
関係権利者に優先的に賃貸し、または譲渡する道を開くとともに、
住宅金融公庫法の一部を改正して保留床の取得等について
住宅金融公庫の融資対象の範囲を拡大すること、
地方税法を改正して再
開発建築物のうち
関係権利者に対して与えられる
部分、いわゆる権利床に対する固定資産税の軽減を図ること等、所要の改正を行うことといたしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願いを申し上げます。
なお、この
法律案につきましては、
衆議院において、政府原案の提出後の期間の経過等に伴い、「国土総合
開発公団」の名称を「
地域振興整備
公団」に改めること及び施設建築物の固定資産税の軽減に関する
地方税法の改正
規定の適用年度を改めることに修正議決されたのであります。
ただいま議題となりました
大都市地域における
住宅地等の
供給の促進に関する
特別措置法案につきまして、提案理由及び要旨を御
説明申し上げます。
近年、
大都市地域におきましては、
住宅需要が著しいにもかかわらず、
住宅の
供給が円滑に行われていないため、
住宅問題は一段と深刻化しております。このような事態を根本的に解決するためには、
大都市地域への人口集中を抑制し、極力
地方への分散を図るべきことは当然でありますが、同時に緊急な課題として、
大都市地域において大量の住
宅地の
供給を図り
住宅の
建設を促進する必要があります。
このためには、国及び
関係地方公共団体の緊密な連絡協調を図ることともに、まず、これらの
地域の市街化区域内の
土地の所有者等がみずから
土地区画整理
事業等を行って住
宅地の整備またはこれとあわせて
住宅の
建設を行なうものとし、
土地所有者等が一定期間内にみずからこれらの
事業を行わないときには、市町村等がかわって行うこととする必要があります。このための必要な手続、
事業手法等を定めることが、この
法律案を提出する理由であります。
次にこの
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一に、国及び
関係地方公共団体の責務として、
大都市地域において新たに必要となる住
宅地の
供給を
確保するため、相当
規模の
住宅市街地を
開発する
事業の
実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないことといたしております。
第二に、
宅地開発協議会の制度を新設することとしております。これは、首都圏、近畿圏及び中部圏の各圏域ごとに、国の
関係行政機関、
関係都府県及び
関係指定
都市により組織し、
住宅市街地を
計画的に
開発する
事業の促進に関し必要な
協議を行うものであります。
第三に、
土地区画整理促進区域の制度を新設することとしております。これは、
大都市地域の市街化区域のうち一定の要件に該当する五ヘクタール以上の農地等の
土地の区域について、
都市計画に
土地区画整理促進区域を定め、その区域内の
土地所有者等による
土地区画整理
事業等の
実施を図り、区域指定後二年を経過してもその
事業が
実施されないときは、市町村等が
土地区画整理
事業を施行するものであります。
第四に、特定
土地区画整理
事業すなわち
土地区画整理促進区域内における
土地区画整理
事業につきましては、施行
地区の
面積並びに共同
住宅区、集合農
地区、義務教育施設
用地及び公営
住宅等の
用地の設定等に関し、
土地区画整理法の特例を設けることといたしました。特に配慮いたしましたのは、集合農
地区の制度でありまして、農地等の所有者の意向に即して、施行
地区の
面積のおおむね三〇%を超えない範囲内で農地等の換地を一団の農地等として集合することができることとするとともに、生産緑地法に基づく第二種生産緑地
地区の指定の
要請に関する
規定を設けております。
第五に、
住宅街区整備促進区域の制度を新設することとしております。この制度は、
大都市地域の市街化区域のうち一定の要件に該当する一ヘクタール以上の農地等の
土地の区域について
都市計画に
住宅街区整備促進区域を定め、まず、その区域内の
土地所有者等による住
宅地の整備と共同
住宅の
建設等を行う
住宅街区整備
事業等の
実施を図り、区域指定後二年を経過してもその
事業が
実施されないときは、市町村等が
住宅街区整備
事業を施行するものであります。
第六に、
住宅街区整備
事業につきましては、
事業の施行者を個人施行者、
住宅街区整備組合、市町村、都府県、
地方住宅供給公社及び
日本住宅公団とし、その
事業計画、換地
計画の決定、施設
住宅区、既存
住宅区、集合農
地区の設定等に関する
規定を設けております。この場合施設
住宅区すなわち共同
住宅を
建設する
地区につきましては、いわゆる立体換地を行い、
従前の
宅地にかえて本
事業によって整備される新しい共同
住宅の一部とその敷地の共有持ち分を与えることができることといたしております。
以上がこの
法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。
なお、この
法律案につきましては、
衆議院において、政府原案の提出後の期間の経過等に伴い、この
法律の
法律番号「
昭和四十九年」を「
昭和五十年」に改めること、「国土総合
開発公団法」の名称を「
地域振興整備
公団法」に改めること等に修正議決されたものであります。
以上であります。