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1975-06-03 第75回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月三日(火曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————    委員長異動  五月三十日小野明委員長辞任につき、その補  欠として中村波男君を議院において委員長に選  任した。     —————————————    委員異動  五月三十日     辞任         補欠選任      亘  四郎君     中村 禎二君      増原 恵吉君     望月 邦夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 波男君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 増田  盛君                 沢田 政治君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 望月 邦夫君                 小野  明君                 小谷  守君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 春日 正一君                 三治 重信君    国務大臣        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        国土庁長官官房        長        粟屋 敏信君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        国土庁土地局長  河野 正三君        国土庁水資源局        長        宮崎  明君        国土庁大都市圏        整備局長     小幡 琢也君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省計画局参        事官       大富  宏君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        農林省構造改善        局計画部計画課        長        青木 敏也君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部施        設課長      柳田 真司君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  高橋 英雄君    参考人        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君        日本住宅公団理        事        上野 誠朗君        日本住宅公団理        事        川口 京村君        日本住宅公団理        事        播磨 雅雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○宅地開発公団法案(第七十二回国会内閣提出、  第七十五回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 中村波男

    委員長中村波男君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  この際、一言あいさつを申し上げます。  去る五月の三十日の本会議におきまして建設委員長に選任されました中村波男でございます。  皆様方の全面的な御支援、御協力のほどをお願い申し上げます。私といたしましては誠意を持って当委員会の公正な運営を行ってまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いをいたします。(拍手)     —————————————
  3. 中村波男

    委員長中村波男君) 小野委員長から発言を求められております。小野君。
  4. 小野明

    小野明君 お話がございましたように、去る三十日、建設委員長の任を解かしていただきました。この一年間委員皆さん並びに建設国土大臣政府関係皆さん、大変御協力をいただきまして心からお礼を申し上げる次第でございます。  心置きなく委員長の職を辞するわけでございますが、幸い当委員会には大変有能な中村委員長が就任をされまして、私も心強く思っておるところでございます。私同様、中村委員長に対しましても委員各位皆さんの絶大な御協力をお願い申し上げる次第であります。  一言退任のお礼なり、ごあいさつにかえさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手
  5. 中村波男

    委員長中村波男君) 委員異動について御報告いたします。  去る五月三十日、亘四郎君及び増原恵吉君が委員辞任され、その補欠として中村禎二君及び望月邦夫君が選任されました。     —————————————
  6. 中村波男

    委員長中村波男君) 宅地開発公団法案を議題とし、前回に引き続いて質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 小谷守

    小谷守君 宅地開発公団法案について質問をするわけでありますが、この機会に住宅政策基本について少しお伺いをしておきたいと思います。  わが国は、現在国民住宅供給政府なり公共機関がどこまで責任を持ち、保障していくかということが明確でないと思うのであります。これまでは工場建設や、あるいは道路港湾等産業基盤整備国家資金を大幅に導入して、住宅に対する投資は軽視されてまいったことは覆うべくもないと思うのであります。このような考え方から、都市に集中した人たち住宅難、これはもう自力建設による解決に任される状況を生んできた。こうした政策個人住宅格差を広げ、社会的不公正はいま極限に達しておる状況と言えると思うのであります。わが国ももうそろそろ住宅についてのシビルミニマムと申しますか、ナショナルミニマムと申しますか、これを設定して、どんな低所得者でも国の責任において一定水準住宅に住めるよう保障するという住宅政策の理念の確立が必要であろうと思うのであります。明年度からスタートする第三期住宅建設計画策定に当たってこの考えを取り入れる御用意があるかどうか、建設大臣からお伺いをしたいと思います。
  8. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 住宅政策基本につきましては、すべての国民がその能力に応じた適正な費用負担をすることによりまして、良好な環境のもとに一定水準以上の住宅確保できるようにすること、これを今後の第三期立案の際の基本にせよというふうに中間報告といいますか住宅宅地審議会からの示唆を受けております。現在の住宅建設計画法では、第二条で「(国及び地方公共団体責務)」といたしまして、「国及び地方公共団体は、住宅需要及び供給に関する長期見通しに即し、かつ、住宅事情実態に応じて、住宅に関する施策を講ずるように努めなければならない。」と決めております。国と地方公共団体は、力を合わせまして、自力では一定水準以上の住宅確保できない方々に対しまして必要な公的援助による住宅供給する責任を有しておると考えております。低所得者用のための住宅対策として、一番基本的でございます公営住宅法もこの目的で、国及び地方公共団体協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅建設するんだという趣旨をうたっております。  この場合、国の責務といたしましては、地方公共団体はその立場に応じてそれぞれの役目を分担するものでございますけれども、国といたしましては、住宅政策基本的な目標設定居住水準確保財政援助など、全国的な施策総合調整をやること、それから大都市地域におきます広域的な住宅需要に対する公共住宅供給を大いに進めること、それから、もとになります水資源その他もろもろの住宅の前提となります関連施策推進調整について、その役割りを果たすこと等が国の責任であると考えております。  先生いまおっしゃいましたシビルミニマムということかどうかはっきりいたしませんけれども、現在までに住宅建設の五カ年計画をつくります際には必ず居住水準目標をつくってまいっております。現在行っております第二期の住宅建設五カ年計画におきましても、すべての国民確保すべき居住水準ということでは、小世帯については九畳、一般世帯については世帯人員に応じ十二畳以上という、きわめてまだ低い水準でございますが、居住水準を定めております。第一期と違います点は、一般世帯について、世帯人員に応じというのが入りまして、たとえば六人なら十五畳、七人以上なら十六・五畳というふうな一つの基準を決めておるという点でございます。  現在、さらに第三期の五カ年計画の基礎とするための居住水準はいかにあるべきかということで、小委員会をつくりまして、住宅宅地審議会で鋭意検討中でございます。先生がおっしゃるような方向で、ぜひともりっぱな五カ年計画をつくりたいと思っております。前回中間報告におきましては、居住水準設定のことにつきまして、「居住水準設定あり方」ということで示唆をいただいております。「居住水準設定にあたっては、安全性健康性快適性能率性に照らし、家族数構成員地域環境などに応じた適切な水準設定すべきである。特に、現在国民の関心は住居の広さに集中しているとみられるので、まず規模水準の向上に重点をおく必要がある。この場合、所要の費用負担については、後代に良質のストックを残すという面に着目し、世代間の合理的な負担配分について検討する必要があろう。」、さらに「これらの居住水準は、目標年次において国民に保障すべき最低水準努力目標としての望ましい水準の両者について検討する必要がある。」という示唆をいただいております。現在その両面の居住水準について鋭意検討中でございます。第三期五カ年計画はそういうものに即してりっぱな計画にいたしたいというふうに考えております。
  9. 小谷守

    小谷守君 政府は何回か住宅建設の何カ年計画というものを発表してまいりましたが、これを振り返ってみますと、ほとんどつつき刺しで満足に行われたことはない。国民に幻想だけを与えてきたと思うんです。特に最近総需要抑制政策という名のもとに、いまこそ重点を置かなきゃならぬ、第一の公共事業でなくてはならぬ住宅政策まで千編一律に機械的に抑制をしておる。こういうことは間違いであると思いますが、住宅政策あり方基本についてひとつ大臣のお考え伺いたい。
  10. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 住宅政策基本は、ただいま局長からもお話し申し上げましたように、国民能力に応じて適正な負担をするなれば一定水準住宅確保できると、こういうことにすることが住宅政策基本方針であります。ただ、自力でできない者がありますから、自力でできない者に対して国や地方公共団体援助をしてその目的を達成すると、その国や公共団体責任はいかにあるべきかということが基本的な問題であると思います。いまの、お聞きになりましたように、国は第一期、第二期と住宅政策の五カ年計画立てたわけでありますが、第二期は五十年度で終わりますが、これは率直に申し上げまして、公的住宅は既定の方針のとおり一〇〇%達成することはできない見通しにあります。これにはこれなりにいろいろ事情がありますけれども、しかし、私どもは第二期でなぜできなかったかということを十分に反省し、洗い直して、第三期をひとつ堅実なものとして再出発せなきゃならぬ、こういう考え方を持っておるのでありますが、しかし、率直に言って、全くいままでやったことがだめであったかというと、そうではないというふうにいささか考えるのでありますが、それは少なくとも量においては、一世帯住宅という量だけは確保できたと思っております。問題は、質の問題、居住水準の問題、いまのシビルミニマムの問題もありましたが、そういった問題がやはり今後の計画の重要な課題でなくてはならぬと、かように存じております。  それから公共事業、総需要抑制のために圧縮しておることは確かであります。しかしながら、その中でも住宅下水道のような国民生活につながっておる、環境改善につながっておる問題だけは私どもは今年度においても重点的に取り上げておる。これは予算の内容を見ていただいてもおわかり願えるのでありますが、ただ、これが完全なものでない、十分でないということは、看板ほどでないということは私ども率直に認めますけれども、少なくとも総需要抑制公共事業圧縮の中においては、住宅下水道については相当に大幅な推進がなされておることだけは、ぜひひとつ御理解をいただきたいと思いますし、今後はそれに裏づけされるように、看板に偽りのないように思い切ってさらに推進をしていかなきゃならぬ、これが私ども使命だと思っております。
  11. 小谷守

    小谷守君 そこで、宅地開発公団造成宅地の問題について伺いますが、宅地開発公団は、大都市周辺地域において大規模宅地造成を行い、日本住宅公団地方住宅供給公社地方公共団体等住宅地卸売をするわけでありますけれども住宅地個人分譲と、公的機関への分譲割合をどの程度にされるつもりであるのか、個人分譲を最優先するつもりなのか、土地有効利用の面からできるだけ集合住宅用地を多く取るべきではないか。また、持ち家に対する国民要望は大きいわけでありますけれども、一方では今日なお非常に劣悪な木造アパート居住を余儀なくされておる数多くの国民がある、しかもこれらの大部分は低所得階層である。建設省昭和四十八年度住宅需要実態調査によれば、住宅難世帯は約二百七十五万世帯住宅困窮世帯約一千万世帯という実情にあると承知をいたしておりますが、大都市における住宅困窮者の願いは、安くて住みよい公的賃貸住宅に早く入居できることであります。ことしの二月、五月、住宅公団空き家募集に空前の応募があったことからも明白であります。政府はこうした現状を直視して、持ち家優先主義ではなく、公的賃貸住宅用地確保を最優先すべきものと考えますが、この意味で、公営住宅または公団賃貸住宅用用地割合をできるだけ多くすべきものと考えます。その意思がおありであるかどうかお伺いをしたいと思います。
  12. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団戸建て分譲宅地をつくる。それからもう一つ公的機関にこれを卸売と申しますか、これを分譲いたしましてその建設を促進する。こういう使命を持った公団でございますが、その戸建て公的機関に譲渡する割合を申し上げますと、これは過去の実例から推した一つモデルとしてお考えいただきたいのでありますが、大体面積的に申し上げますれば、戸建て住宅用地を大体六といたしますと集合住宅用地が大体四、戸数にいたしましてそれが逆転いたしまして、戸数では集合住宅用地が七、それから戸建て住宅住宅戸数といたしましては三というような割合になっているのが、これは千里、泉北の例でございますけれども大型宅地開発事業につきましてはそういうモデルがございます。こういう傾向を踏まえまして、大体こういう構成というものは当初事業計画の段階においてその地形等によって違うのでありますけれども、われわれはこういった形になることが一つの健全な住宅市街地をつくるわけでございますから、大体そういう比率になるのではないかというふうな一つの想定をいたしておるわけでございます。  そこで、その中で住宅公団あるいは公営住宅あるいは公社住宅等への公的機関卸売する、できるだけそういう住宅へ優先的に行うべきではないかということにつきましては、当然こういった宅地公団までつくってこういった公共的な宅地造成をするわけでございますから、その公共性から考えましても、公的機関計画的に建てようとする、これらの住宅の用に供することをまず優先的に考えるべきことは当然であると考えております。しかし、いま先生もおっしゃいましたように、戸建て分譲需要もいろいろな調査によりましても非常に多いわけでございますし、大都市周辺住宅難解決一つ重点の柱でもあります。で、また各層からなる健全な町づくりをするという面から見ましても、都市形態ということから考えましても、また集合住宅だけの町づくりということはかなり問題があります等考えますと、いま言いましたように比率は、いまのような構成は大体頭の中に置かれるわけでありますけれども、しかし、それは関係地方公共団体ともよく調整をとりながら、その地域における需要実態にあくまでも合わせて住宅困窮者にそういう賃貸分譲、あるいは集合戸建てということの配分よろしきを得てこれを供給いたしたいというふうに考えているわけでありまして、お説のように公的賃貸住宅へできるだけ優先するという姿勢をわれわれは堅持いたしたいと思っております。
  13. 小谷守

    小谷守君 また、宅地開発公団住宅用地として、たとえば千葉県にあるいは埼玉県に宅地造成をしても、東京都の公営住宅用地として分譲を受けることはいまの制度では不可能ではないか。こういった点からも住宅困窮者の著しい東京都民の、しかも低所得者向け公営住宅建設には役立たないのではないか、こういう疑問がありますが、いかがですか。
  14. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生お話しのとおり、宅地開発公団が行う宅地開発事業はその開発規模が非常に大きうございます。その点から考えますと、現在の東京都の区域内に需要適地を求めることはむずかしいことだと思っております。ただ、先生おっしゃいますように東京都の公営住宅、最近非常に建設がおくれております。昭和四十六年までは一万八千戸ぐらい毎年建っております。四十七年が二千七百戸、四十八年が六千九百戸、四十九年が千三百戸、五十年はまだ予算がゼロ計上だというのが実情でございます。したがいまして、どうしても公営住宅東京都で伸ばさなければならないということで、東京都ともずいぶん打ち合わせをいたしております。いろいろな原因がございますけれども、やはり用地の取得をせいせいとやること、それから地元の市町村との調整、特別区との調整等が非常に重要でございます。  そのための対策といたしまして、建設用地確保するためには、一つには老朽木造都営住宅の建てかえ事業推進したいと考えております。現在東京都には木造四万戸、それから簡易耐火三万戸、約七万戸の低層公営住宅がございます。それが一戸につき五十坪の土地を持っております。それらを活用いたしますと、建てかえますと十数万戸の家が建つということでございまして、一つは建てかえを促進したいと考えております。  それからもう一つは、やはり国公有地、それから移転工場跡地、それから研究学園移転跡地等等を活用いたしまして、初めから公園にしないで、適地については一階でも二階でも住宅のために転がさせてもらう、いわゆる転がし事業と言っておりますが、そういうものを大いに進めてまいるということにしたいと思っております。さらに国土利用計画法公有地の拡大の推進に関する法律等によります土地の買い取りを推進するということにいたしております。  さらに、いままで地元との調整のために公営住宅につきましては関連公共公益施設立てかえ制度というものがございませんでした。昭和五十年から都営住宅等をつくります際には地方債全体で四十億の枠で、まだ少なうございますけれども、一応枠を設定しております。その地方債を足しまして、さらに国費も五億ほど追加をいたしまして、関連公共公益施設立てかえ施行をできるという制度を発足させることにいたしております。  さらに、今年から地方自治法の改正によりまして、特別区による住宅建設ということも図れるようになりましたので、それぞれの区の中の零細な土地も活用するように特に区営住宅建設について東京都にも慫慂してまいりたい。そのようにして公的賃貸住宅、特に公営住宅供給を促進してまいりたいと考えております。
  15. 小谷守

    小谷守君 この宅地開発公団が造成した用地建設する公団賃貸住宅について、国の補助を多くして公営住宅に準じた住宅にすることが一案ではなかろうかと思いますが、御検討用意はありますかどうか。
  16. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 宅地開発公団は、その造成した用地公団住宅のみならず公営住宅公社住宅等にも卸売をするということでございます。で、公団住宅公営住宅につきましては、やはりねらっておる所得階層が若干差がございます。したがいまして、やはりそういう階層方々にはむしろ公営住宅建設を大いに進めるということが基本的であろうかと思っております。日本住宅公団賃貸住宅家賃につきましては、おっしゃるとおり原価主義によりますと相当高くなっております。したがいまして、毎年度供給に当たりましては傾斜家賃制度の拡充などを行ってまいっておりますが、今後もさらにそういう方法でできる限り低廉の家賃にいたしたいと考えております。  なお、公的住宅家賃全体の見直し等につきましては、住宅宅地審議会からも応能家賃制度について検討してみたらどうかという示唆をいただいております。これは十分時間をかけて検討してみたいと考えておる次第でございます。
  17. 小谷守

    小谷守君 この住宅政策考える場合、この住宅難をもたらしておる要因を排除することが先決の問題でありますが、そのためには住宅政策都市政策あるいは産業立地政策国土利用政策等と一体のものである、こう考えるわけでありますが、こうしたことから新新全総や国土利用計画策定を待ってからでも公団の設立はよいのではないか。いまの時期にこの宅地開発公団を設立することは時期尚早ではないか。この点について国土庁長官建設大臣はどのようなお考えでございますか。
  18. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) そういう御意見のあることも私ども十分承知をいたしております。ただ、この宅開公団法の御承知のとおり立法の経緯は二年ほど前でございまして、この法律案自体が昨年からの継続審査になっておることも御承知のとおりでありまして、これを撤回をして三全総ができるまで待って、そうして新しい方に衣がえするのも適当ではないかという御意見も確かにあるんですけれども現実大都市を中心にした住宅宅地問題は、そういう悠長な考え方で待っておれないほどの大変緊急かつ重要な問題であることは先生承知のとおりであります。したがいまして、新しい国土計画、新しい三全総の方針と全く違ったものをやるということは、これはとても考えるべきじゃありませんし、そういう方向でいかなければなりませんが、ただ、新しい三全総にしても国土利用計画法にしても、その目的はやはり国土の理想的な利用計画にあるわけであって、それはあくまで国民福祉優先、あるいは高度経済成長を見直して安定成長の中で今後の総合開発はいかにあるべきか、国土計画はいかにあるべきかという、そういうところに目的があるわけでありますから、結論的に言えば、やはり住宅宅地早期開発、そして国民要望にこたえるという手法では一致しておると思います。だから、私どものやっていることはその思想と必ずしも反したものではないのでありまして、そういう意味から、もちろんそういった新しい計画になお一層沿ってはいかなければなりませんけれども、それを待ってというところまでいくには、これ現実があまりにも迫っておるということから進めておるわけでありまして、将来そういう計画立てば、もちろんその計画にも十分マッチしていくような方向努力をしていかなければならぬことは当然だと思っております。
  19. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 人口や産業が集中いたしまして、著しく住宅不足を来しておる大都市圏地域におきまして、良好なそうして公共施設の整備された住宅用地確保するということは緊急な課題であると私は考えておるわけでありまして、ことに新全総土地利用計画、この問題につきましては、ただいま五十年度中にこれを策定する目途でやっておるわけでございますが、そういう点から考えてみますと、先生のおっしゃられるように、いろいろ混乱が生ずるのじゃないかというようなお話もあろうと思うんですが、ただいま建設大臣からお話もありましたように、まさに緊急な課題であるという点から、われわれはこの問題については計画立てる上においても、建設省と十分な調整のもとに混乱の起きないような方法でこの緊急の課題にこたえていかなければならないと、こんなように考えておるわけであります。
  20. 小谷守

    小谷守君 明年度に予定されておる第三次の全国総合開発計画を初めとする諸計画の作成を待たずに、こういった大都市に大規模なニュータウンを建設していくことは、こういう大規模宅地開発に着手するということは、土地利用に無用の混乱を招いて、国土利用基本計画あるいは土地利用計画作成の支障となるのではないか、こういう点を心配をいたしますが、いかがですか。
  21. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ただいま両大臣から御答弁がありましたように、これらの上位計画に基づいて行われるべきことは、この宅地開発公団の仕事は当然でありますけれども、現下の社会問題である緊急の課題にこたえながら、むしろ計画的に大都市周辺において人口の圧力によって拡大、スプロールしつつあるこの大都市の緊急事態に対処して、宅地開発公団においてむしろ計画的先行的にこれの整備を図る、そして宅地の大量供給に資すると、こういった認識は現在も変わっていないし、それから新しいこれらの上位計画が制定される場合におきましても、こういった認識は一つの柱として行われるであろうというふうに考えておるわけであります。従来までの政府土地対策方針もこの線に沿って行われてきたものでありまして、その中で特に大都市圏における大量供給の必要性というのは、一つの大きな土地対策の柱とされて今日まで来ておるわけでございます。最近ようやく地価の鎮静化の兆しを見ております、国土利用計画法が成立いたしております、こういうときにおいて、公的な大規模開発をすべきむしろいい時期ではないかというふうに考えておりまして、上位計画の関係はございますけれども、これらの上位計画調整をとりながら、新しく策定されました場合にもこれと十分調整をとり得る計画であるというふうにわれわれは考えている次第でございます。
  22. 小谷守

    小谷守君 建設大臣も、また住宅公団総裁もしばしば、公団住宅建設における最大のネックは水問題である、また足の確保の問題である、こういう点を強調されておるわけでありますが、第一にこの水の問題、なかんずく水資源の開発は、大規模宅地の開発云々の問題以前の現在三大都市圏で抱えておる最も至難な問題であろうと思います。この水問題についての御見解をひとつ伺いたいと思います。
  23. 宮崎明

    政府委員(宮崎明君) 仰せのとおり、大都市圏地域におきましては水の需要が非常に年々増大しておりまして、非常に水需給のバランスを失しつつあるという状況であることは御承知のとおりでございます。しかし、こういう地域につきましては、水資源開発促進法に基づきまして、主要水系を指定水系と指定しまして、それぞれの水系について水資源開発基本計画を定めて水資源の開発に鋭意努力しておるところでございます。たとえば首都圏といいますか、首都圏について申しますと、三十七年以降今日まで約七十数トンの新規に水を開発をしまして水需要の増大に対処いたしておりますし、多少計画がずれ込んでおりますけれども昭和五十五年ごろまでにはさらに毎秒五十トン程度の新規の開発が見込まれるわけでございます。そういうことで何とか水の需要には対応していけるという状況でございます。
  24. 小谷守

    小谷守君 まあ、三大都市圏における水資源開発の長期計画があるのかないのか、現在のような雨ごい行政から一歩先んずる行政の転換をどうして実現するのか、具体的にその見通し施策についてお伺いしたいのであります。  この宅地開発公団法案では、鉄道事業や関連公共施設については公団がみずから施行する体制が整備されておることは評価ができるわけでありますけれども、水の供給体制の整備については何ら具体的なものがないわけでありまして、これが欠落しておる。建設大臣公団総裁も再三再四ネックは水問題であると言われておるにもかかわらず、本案では公団の業務の中には水源確保について不明確である。大量の水を必要とする大規模用地の形成について水確保が約束されていない以上、宅地供給は至難ではないかとさえも思われるわけであります。この点について、宅地開発公団というものができるとして、その発言権を、水に対する発言権という道を開く必要はないのか。一方、住宅公団におきましては水問題がネックであるということを強調され、現在では、独自に施行できるのは、一度使った水を、処理水を再び使用するという循環システムを実施する道しかないと言われておる。このことは、現在の住宅公団では、本法案とは関係なく法律を改正しない限り打開できないのではないかと思いますが、いかがでございますか。  さらに、水循環システムによる方法を採用することによって事業費が増大し、したがって家賃にはね返るとともに、分譲の場合であればその価格に影響することになると思うが、その辺の観測はいかがでありますか。お見通しはいかがでありますか、お伺いしたい。
  25. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず最初に、私からこの宅地開発公団水資源に対する発言権を確保するという事項につきまして御説明いたします。  この宅地開発公団にとりまして水問題は一つの大きな隘路である。そこで、このために、開発に当たりましては、県営水道事業等の給水計画に組み入れられるように十分事前に調整をとりますし、また公団みずから水道施設を整備し地方公共団体に引き渡す、もし引き受け体制が整わないときにはみずから管理するという権限を与えているわけでありますが、欠落しているというのは、これは一つの公益施設として扱っておりまして、いわゆる道路、河川、公園、下水道のような公共物ではない、そういう体系に属するものでございますから、こういった公共施設につきましてはそれぞれ公共物管理法がございまして、道路法なり河川法なり、そしてその管理者が法律で限定されております、そこで、これらの水道は同意を得て——市町村が原則でありますが、同意を得てこれを経営することができるわけでございますので、これらの特別な法律を必要としないという理由から、欠落ということではなくて、あえてこれを規定する必要がなかったということでありまして、十分この点はこの公団におきましては水道事業を自分で経営する権限を持ち、かつまた先ほど御説明がありましたように、水資源につきましては、開発区域を含みます広域的な水利用計画調整をとりながら、新規の特に水資源開発に際しまして必要な水を確保できるように十分関係省庁とも協議をしながら、この宅地開発公団の水が確保できるように、別法でいま御提案申し上げております宅地開発協議会というものを、国も入ってこれは協議するわけでありますから、この場においても十分これを活用いたしましてその発言をいたし、その立場を主張できるような道を講じようとしておるわけでございます。
  26. 宮崎明

    政府委員(宮崎明君) 前段の三大都市圏における水需給計画でございますが、現在関東地域——利根川、荒川につきましては現在六十年目標の水需給計画策定すべく作業しておりまして、九月ごろまでには閣議決定に持ってまいりたいと思っております。その中で特に下水処理水等の循環利用を含めた再利用というものも具体的にでき得れば位置づけていきたいというふうに考えております。何と申しましても関東地域につきましては供給余力が——かなり開発が進んでおりまして、新規開発量もそうぐんぐん多量に見込むということは不可能でございますので、どうしても需要抑制といいますか、水の節水と合理的利用ということを今後努めていくように心がけなけりゃいけないと思います。  それから近畿圏につきましては、淀川を初めとした基本計画をつくっておりまして、これが現在五十五年目標基本計画でございますが、また中部圏につきましても木曽川三川の水資源開発基本計画、五十五年目標でつくっております。閣議決定されておるわけですが、これらも六十年目標に早急に見直しした計画に全面改定していきたいというふうに考えております。ただ、中部圏につきましては非常に水の賦存量が多うございますので、将来見通しも非常に明るいのでございますけれども、首都圏、近畿圏につきましては、今後広域的な水の運用ということを考えていかないと、六十年以降の見通しというものはなかなかむずかしいという状況にあろうかと思います。
  27. 小谷守

    小谷守君 関連公共施設と地方財政の窮迫の問題に関連して伺いたいと思うのでありますが、地方自治体が大規模宅地造成に拒絶反応を示しておるという大きな理由は、宅地造成に伴う財政負担の増大が挙げられるわけであります。これが軽減対策についてはどのようなお考えがあるのか、財政負担力の弱い市町村では宅地開発要項等を制定して、公共公益施設の整備に要する費用の開発者負担等を決めておるのが多いのでございますけれども、このような団地建設に関連する公共公益施設の整備費用を開発者に負担させる方法は、そのまま家賃または分譲代金の上昇に結びつくわけでありますから、住宅公団負担を団地の受益の度合いを限度として、必要最小限度にとどめるよう地方公共団体と協議を行っておるわけでありますけれども、多くの場合折衝が難航しておる、これが住宅団地建設の行き詰まりの大きな原因の一つであろうと思います。本法案では、関連施設整備事業助成基金を運用して、学校の建設等について十年間の据え置き期間中の利子を補給することとし、地元地方自治体の財政負担の軽減を図ろうとしておりますが、これで財政負担の圧迫を解消できると思われるかどうか。地方財政の超過負担の抜本的な解消のためには、公団の実施する公共事業に対し国の補助率のかさ上げ措置を講ずる必要があるのではないか。この点に関して建設省の御見解を明確にしてもらいたい。また、こうした地方自治体が、宅地開発に伴う財政負担の圧迫という状況が恒常化しておる今日、しかも大規模宅地の開発を宅地開発公団を設立して行うというのであるならば、その隘路打開のために、国の責任において実効性のある負担基準を明らかにし、宅地開発による財政負担の緩和を図る特別立法を措置する必要があるのではなかろうか、こう考えますが、いかがでございますか。
  28. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のとおり、地方財政負担を非常に圧迫いたしておりますのは関連公共公益施設でありまして、一時的に集中的に発生いたしますために、これがために一種の拒否反応を大都市周辺においては宅地開発につきまして起こしておるのが現況であります。そこで、従来からこの地方財政の関連公共公益施設に対する負担軽減の対策といたしまして、特に人口急増地域、あるいは児童、学童急増地域等につきましては補助率のかさ上げ、あるいは起債率等の引き上げを行ってきたところでございます。で、そういう傍ら、他方では地方財政の助成を行うために立てかえ制度昭和四十二年度以来つくりまして、それを漸次強化してきたところでございます。しかしながら、事柄は地方財政の一般の問題に根本的には起因する問題でございますし、なかんずくその中でも財源の問題は特に重要でございます。したがいまして、これは重要な今後の問題としてわれわれ真剣に考えなければならないと思っておる課題でございますが、これにはいま直ちにそういった対策を特別立法としてやるためには幾つかの財政力の比較の問題等を含めまして問題がございます。そこでわれわれは、要するに開発者がこのままでは開発できないという現状に直視いたしまして、そのための開発者みずからする対策措置というものに重点を置いて、たとえばこのたびの宅地開発公団におきましても、直接施行方式であるとか、あるいは立てかえ方式の強化というようなことに重点を置きながらやってきたのでございますが、お説のとおり基本的には地方財政の問題でありますので、この問題は慎重に今後検討すべき課題であると考えております。    〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕
  29. 小谷守

    小谷守君 公団が造成する大規模住宅地の住民の足を確保するために鉄道業を行うことができるが、鉄道新線の建設に関しての技術陣の確保が一体できるのかどうか、また建設資金の調達を具体的にどうするのか、との点が明らかでないと思います。建設費の補助をどの程度行う用意があるのか、建設費に対する利子補給をどのように行うのか。たとえば現在多摩ニュータウン等への乗り入れ線については鉄建公団建設を行っておりますが、この現行方式に比較してどのような点が改善されるのであるか。運輸省お見えになっていますか、運輸省の方からお伺いをしたいと思います。また、新線が完成して業務が開始されても、当初の数年間は当然赤字が続くことと思います。この赤字補てんはどうするのか。利用者に過大の負担を強いることになっては困ると思うのであります。経常経営に対する補助を行う用意があるのかどうか。さらに鉄道業務の健全な経営の維持について、運輸省はどういう見通し立てておられるのか。具体的には泉北ニュータウンで実施しておるように、乗り入れた私鉄に業務を委託するのであるのかどうか、あるいは直営で行うのか、業務の運営方法等について御説明を願いたい。    〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
  30. 高橋英雄

    説明員高橋英雄君) 宅地開発公団がみずから開発をいたします宅地に足を設ける、住民の足を設けるということは不可欠なことでございます。そういう場合に、新しくできます公団が果たして鉄道の建設という全く別な事業がりっぱにできるかどうかということについて御疑問があるというのはごもっともかと思いますが、この点につきましては、今後の問題でございますが、公団自体としてそういう鉄道建設に専門のスタッフを抱えて養成するということは、場合によっては非常にむずかしいかと思います。したがいまして、まだそういうふうに確定したわけではございませんが、鉄道建設につきましての専門的な有能な技術スタッフを持っております日本鉄道建設公団、こういう公団等に建設自体、建設の工事自体は委託をしてやっていただくということも考えられる次第でございます。それから資金等の問題につきましては、宅開公団全体の予算の中で助成をしていくというふうに考えております。  それから公団建設いたします鉄道の建設費あるいは運営等につきましての問題でございますが、現在一般的に申し上げまして、鉄道新線の建設につきましては非常に多額の資金がかかります。地下鉄等になりますと、キロ当たり百億円を超すというふうな状況でございますし、多摩ニュータウン線をつくりました際にも大体キロ当たり二十億前後というふうな膨大な資金がかかるわけでございます。したがいまして、鉄道新線の建設後の開業に至りますと、そういう建設費の資本コストというものが大きな負担になりまして、なかなか開業当初は採算がとれないというのが通常でございます。それで、開業後数年あるいは十数年いたしまして利用者もだんだんふえてくるという時点において、初めて収支が成り立つというふうなのが通常の状態でございますが、まあ宅地開発公団のつくります鉄道の場合には、宅地の造成計画と一体として鉄道がつくられるということに相なりますので、開業当初は入居者も少ない、こういった一般的な鉄道建設の経営についての傾向というものが、鉄道新線建設に伴う経営の困難さというものが特に強くあらわれるのではないかというふうに心配しておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、宅地開発公団がつくります鉄道につきましては、一応長期的に見て経営が成り立つようなそういうふうな補助制度というものを考えたいと、かように思っております。その場合に、現在鉄道建設公団がつくっておりますニュータウン鉄道、あるいは公営、準公営のニュータウン鉄道、それらに対します補助制度を参考にいたしまして、長期的に見て経営が十分に成り立つようなそういう補助制度考えたい、かように思っている次第でございます。  それから開業後の業務の運営の点でございますが、この点につきましても、場合によっては、先ほど先生御指摘のように泉北ニュータウン鉄道が業務の運営を南海に委託しておりますが、それと同じようなパターンで、つながります鉄道が国鉄であれば国鉄、私鉄であればその私鉄の方に業務の運営については委託をするというふうなことも考えている次第でございます。
  31. 小谷守

    小谷守君 大臣、いままで伺いましたのはいわば抽象論でありますが、私はいま具体問題をひとつまないたに乗せてお伺いをしてみたいと思うのであります。  いま兵庫県と日本住宅公団は共同して、兵庫県の三田という町、人口約四万であります。ここに開発面積千二百四十ヘクタール、人口約十三万人に及ぶ北摂ニュータウン建設事業をいま実施しております。これは宅地開発公団が開発を予定しておるような、全く同様な大規模宅地開発事業であります。そこにいままで私が申し上げてきたようないろいろな悩みが集中し、殺到しております。そこで、この北摂ニュータウンの問題をまないたに乗せてひとつ御質問をしてみたいと思うのであります。  まず、計画局長なり住宅公団伺いますが、現在までの北摂ニュータウンの事業の進捗状況、これを兵庫の施行分、住宅公団施行分に分けて説明をされたい。また、完成はいつごろか、事業完成の見通しを御説明願いたい。
  32. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 北摂ニュータウンの建設の経過、現況につきまして申し上げますと、これはいま先生のおっしゃいましたような規模及び人口を予定いたしまして、昭和四十五年十二月に新住宅市街地開発事業としてその分が千百一ヘクタール、これが都市計画決定されました。南地区と西地区につきましては四十六年の十二月に兵庫県が、中央地区につきましては四十八年十月に日本住宅公団がそれぞれ事業認可を得て現在着手しているという状況でございます。そのほかに北地区に工業団地がございまして、四十五年の十二月に近畿圏の工業団地整備法に基づきまして計画決定されて、四十七年の三月六日に事業認可になっている。これが経緯でございます。  それから次に、進捗状況はと申しますと、用地買収、まず用地買収でございますが、いまの区域につきまして、全体で新住宅市街地開発事業の区域千百一ヘクタールのうちの九五%が用地買収済みでございます。これは県と公団と両方合算いたしまして九五%になります。県施行分は九七%、公団施行分は九二%、合算して九五%。  それから次に、造成工事につきましては南地区だけ着手しておりまして三百三十九ヘクタール、約三百四十ヘクタールのうちの約五二%の区域につきまして粗造成が完了しておりますが、その周辺の関連工事にも着手しております。これは県の事業でございます。なお北の工業団地の事業の区域につきましては百四十三ヘクタール、その中で八四%がこれは公団でございますが、買収済みになっている。  こういうのがいままでの経緯でございまして、その完成の見通しといたしましては、兵庫県の分につきましては、先ほど申しましたように四十六年からかかりまして五十四年度を予定いたしております。それから公団の部分につきましては五十六年を公団では予想しておる。これが計画の概要でございます。
  33. 小谷守

    小谷守君 この事業によって新たに必要となる教育施設だけでも小学校が十五、中学校七、高等学校四校に及びます。財政力の弱い地元三田市ではその整備のための財政負担を背負い切れない。さしあたり県が施設を整備することになりますが、北摂ニュータウン建設に伴う地元三田市及び県が負担する関連公共施設整備のための経費は一体どのぐらいになるのか。また、これが地元負担軽減のためにどのような措置を講じようとされておるのかお伺いをしたい。
  34. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 北摂ニュータウンの関連公共公益施設費用につきましては、これはまだ細部は決定いたしておりませんのでやや推計に近いのでございますが、われわれの推計によりますと大体一千億円全体でかかります。そのうち県の施行分が百四十億、市の負担分が二百億、国庫補助が二百九十億、施行者負担として三百七十億円ぐらいというふうに大体見積もっておる次第でございまして、この膨大な宅地開発の関連公共公益施設負担に対しましては、従来から近畿圏の財政特別措置の適用区域になっておりますので、国庫補助率とか起債の充当率のかさ上げ、あるいは地方交付税の特別算入を図るというふうな措置を行っておりますほか、いわゆる立てかえ施行制度といたしまして、日本住宅公団とか公庫の立てかえ施行が行われるようになっております。これを大幅に今後改善していきたいというふうに考えておりますし、また立てかえ施行にかかりますこれらの施設につきましては、優先的に国庫補助の採択を行うというようにいたしたい。また、五十年度からは特別枠の関連公共公益施設の整備債を設けまして、利子補給一・五%を限度といたしました政府資金並みの金利に相当する金利まで下げるとというような諸種の方法を講じて、極力財政負担の軽減に努めているところでございます。
  35. 小谷守

    小谷守君 北摂ニュータウンと大阪、神戸の都市を結ぶ通勤の足としては、国鉄福知山線の複線電化、神戸電鉄三田線の複線化及びニュータウン乗り入れ線の建設が予定されておりますが、現在までの進捗状況はどのようであるのか。また、乗り入れ新線の建設計画はあるのかどうか、そういう点を運輸省に伺います。
  36. 高橋英雄

    説明員高橋英雄君) 御指摘の地域の将来の輸送対策につきましては、数年前に運輸大臣の諮問機関であります都市交通審議会に神戸市を中心にした大都市交通対策はいかんというふうなことで諮問をいたしまして、その結果、答申が昭和四十六年の十二月に出ております。その答申の中で、これらニュータウン区域の輸送対策ということについてもお答えが出ておりまして、その後この答申の線に沿いまして、主として兵庫県が中心になりまして関係の省庁なり、あるいは国鉄とか、あるいは私鉄の経営者とか、そういった方々が県を中心にして輸送対策を現在進めておる状況でございます。  このうち、福知山線の複線電化につきましては、現在すでに尼崎から宝塚までは複線電化の工事が行われつつございます。これは一応五十二年には完成予定ということに相なっております。同じく福知山線の宝塚から北につきましては現在検討中でございますが、現在のところ考えられておりますのは、宝塚から三田までは現在の既設線に腹づけをして線増をする。それから三田からさらに北につきましては、現在の既設線の経路を若干西の方に変えまして、北摂ニュータウンを通過するような経路にした上で複線電化するというふうな方向検討が進められておるという状況でございます。  それから一方、神戸電鉄の関係でございますが、これにつきましては、県に設けられました調査会等におきまして神戸電鉄三田線の複線化、それからニュータウン線の建設というふうなことが具体的に検討されておるわけでございますが、神戸電鉄としましてはこういった検討のまとまるのを待ちまして速やかに計画の具体化に着手するというふうなことで、先ほど来お話のありました入居の予定年度までには何とか輸送力の確保をしたい、かように考えておるということでございますが、なおニュータウン線の計画につきましては、三田線の二郎というところから北の方に延びまして、北神ニュータウンを経過しまして北摂ニュータウンにおいて、先ほど申し上げました福知山線の新しい複線電化する場合の線と北摂ニュータウンの中で合流する、交差するというふうなことが一応方向として進められておる。  それからさらにもう一線、有馬口あるいは有馬口から若干神戸の方へ行きました箕谷といいますか、その付近から三宮の方に直通する新線ということも一応計画としてはありますけれども、現在の時点では、これは非常に難工事であるということでなかなかむずかしいんではないかというふうなことが検討されておるという状況でございます。
  37. 小谷守

    小谷守君 一番大事なのは、福知山線の電化、複線化ですが、これはいまあなたのお言葉では、検討が進められておるという段階ですか。五十四年、五年にはこれニュータウンできるわけですよ。足の問題が伴わぬということでは大変なことになる。いつ決定されますか。
  38. 柳田真司

    説明員(柳田真司君) ただいま民営鉄道部長からお答え申し上げましたことは、宝塚以北につきましては、現在国鉄におきまして工事の認可申請の検討が行われておるという段階でございまして、大体今年度中には運輸大臣認可まで持っていけるものと考えております。
  39. 小谷守

    小谷守君 しつこいようですが、いつ着工して、これに間に合いますか。このニュータウンの建設計画と歩調が合うのか合わぬのか。
  40. 柳田真司

    説明員(柳田真司君) 先ほど建設省の方からお答えいただきました入居に合わせて輸送力を確保するべく考えております。
  41. 小谷守

    小谷守君 さて、次は水の問題です。  まだ、輸送の問題では中国縦貫道、また近畿自動車道、福知山線との関連でありますが、これら自動車道の建設状況及び三田幹線等、ニュータウン内の都市計画街路の建設計画はどのようになっておりますか。特にニュータウンを縦貫する近畿自動車道については、環境対策計画段階で十分な配慮が必要であろうと思いますが、どのように相なっておりましょうか。
  42. 井上孝

    政府委員(井上孝君) 中国縦貫自動車道の吹田−落合間につきましては、すでに工事が始められまして、そのうち吹田−宝塚間は去る四十五年の七月に開通をいたしております。それから西側の西宮北インターから福崎の間は昨年の六月に完成をいたしまして、すでに供用いたしておりますが、この間の残る宝塚−西宮間は青葉台等の環境問題の事情がございましておくれておりましたが、ようやく話がつきまして現在工事中でありまして、ことしの十一月には供用開始できるというふうに考えております。また、御指摘の北摂ニュータウンの西側で、中国縦貫自動車道から分岐いたしております近畿自動車道の舞鶴線につきまして、神戸−福知山間が四十五年の六月に基本計画、四十八年の十月に施行命令が出ております。ただいま日本道路公団において路線の具体的な調査を行なっているところでございます。この路線と北摂ニュータウンとの——この路線は北摂ニュータウンの西端の方をかすめて通りますので、従来からも路線の選定、設計等につきまして、ニュータウンの実施者であります兵庫県あるいは住宅公団調整を行ってきておりますが、今後具体的な道路設計を行うに当たりまして、御指摘のような環境対策等につきまして十分打ち合わせをして調整を図っていきたいというふうに考えております。
  43. 小谷守

    小谷守君 次は水の問題でありますが、このニュータウン建設について大きな水源となります青野ダムの建設計画及びその完成の見通しはどうなっておりますか。また、本ニュータウン建設によって必要となる武庫川の改修計画の概要と、その事業の進捗状況、これについて御説明を願います。
  44. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) お答えいたします。  水資源確保のための青野ダムについて申し上げますと、青野ダムは昭和四十三年に調査に着手したわけでございまして、四十八年から建設工事に着手いたしました。ところが、最初は地元水没者の了解を得るに至りませんで今日まで経過いたしたわけでございますが、しかしながら、昨年の七月二十日に水源地域の特別措置法によりましてダム指定が行われました。その結果、つい最近でございますが、ことしの五月の二十七日に地権者連絡協議会とダム建設に関しまして基本協定が締結されたわけでございます。したがいまして、今後は早急に用地調査を実施いたしまして、早く補償基準を提示いたしまして年内妥結を図ろうということに努力するつもりでございます。目標は、昭和五十四年度に一部取水をしようという計画をいま立てておるわけで、それに向かって努力しておるわけでございます。  次に、これに関連いたします改修計画でございますが、武庫川がございます。先生承知のように、三田市を中心としまして二十四キロの間を昭和四十五年度から中小河川事業として取り上げたわけでございまして、現在、三田市市街地の直下流まで事業が伸びてまいっておりますが、それに入ってまいります支川がございます。この支川につきましては、中小河川事業と並行いたしまして、住宅公団と兵庫県で改修を受け持つという了解ができておりまして、その改修が相当現在進んでおるわけでございます。また、ニュータウンの造成に当たりましては、必要に応じまして地区内に調整池を設置することによって、これら本川、支川に対する影響を及ぼさないという処置もとられておるわけでございます。なお、本川改修につきましては、三田市周辺で若干の用地問題がございますけれども、これは鋭意努力を現在しておる途中でございます。  結論的に申し上げますと、河川改修につきましても、この大きな団地造成に合わせまして、極力予算を集中いたしまして関連事業のためにおくれないような努力を今後ともしてまいる所存でございます。
  45. 小谷守

    小谷守君 このニュータウンの下水を処理するための公共下水道計画の概要と、その事業の進捗状況はどうなっておりますか。また、さらにこれに関連する武庫川流域下水道整備事業の進捗状況はいかがでありますか。
  46. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 北摂ニュータウンの下水道計画につきましては、汚水と雨水を区分する分流式を考えておりまして、汚水の処理につきましては三田市の公共下水道の一環として整備することといたしております。それから流末につきましては、御指摘の武庫川上流流域下水道に接続させる予定になっておりますが、この武庫川上流流域下水道は現在計画中でございまして、極力早期決定に努めますとともに、今後の造成工事の進捗に合わせるようにその促進を指導してまいりたい、このように考えております。
  47. 中村波男

    委員長中村波男君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時十分から再開いたしますので、それまで休憩いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時十八分開会
  48. 中村波男

    委員長中村波男君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次発言を願います。
  49. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、宅地開発公団法案について、それに関連する問題等々若干お伺いしたいわけでありますが、宅地開発公団、これはまあ御承知のように大都市周辺における住宅用地確保、これが至上命令になってきていると思うんです。先般大臣の所信表明に際しましても、私は住宅対策について大臣のお考えを聞いたわけでありますけれども、やはりこの問題を扱う上には、住宅対策というものから入っていかなければなりません。  そこで、若干前文になりますけれども大臣にお伺いしたいんですが、公共事業が非常に圧縮をされました五十年度予算のうち、住宅関係費は一般会計で前年比二〇%増、財政投融資で三二・四%増と、かなりふえているようには見えますけれども、しかし、その内容を見ますと、前回も指摘しましたように、戸数では、公営住宅は八万五千戸で前年より一万戸の減、公団賃貸しは二万四千戸で同じく一万一千戸の減、大幅な戸数の減少です。要するに賃貸住宅は大幅な後退になっている、こう見なきゃなりません。また反対に、これが持ち家志向になるのかどうか、私はそう思うのですが、公団分譲住宅は長期特定を含めて三万六千戸で前年より一千戸の増、公庫住宅は一般購入を含めて十九万一千戸で前年より二万五千戸増、こういうふうになっております。この傾向から見ますと、要するに低所得者向けあるいは中堅サラリーマン向けの住宅政策が後退をして、マイホーム建設やマンション購入のための施策が前進していると、まあ言ってみますならば五十年度住宅政策は福祉型を忘れていると、こういうような非難も一方ではあるわけであります。これはたびたび問題になっておりますように、今日全国で三百万近い世帯木造賃貸しアパートに住み、また全世帯の約三分の一にも当たる一千万世帯が何らかの形で住宅の困窮を訴えている。こういうときに、賃貸住宅がまだ十分に行きわたっていない現実の中で、こうした五十年度住宅施策というものを見ましたときに、どうも私は賃貸しが軽視されているということ、また大衆の要望に沿ってない予算編成ではないか、こういう気がしてなりません。したがって、前回大臣の所信を承りましたが、こういう現実の数字の中から、第三期住宅五カ年計画もやがて策定されようと思いますから、それに向けて、いま私が指摘した低所得者向けあるいは中堅サラリーマン向け、こういうもののいわゆる賃貸住宅というものを、どういうウエートを置いてこれから施策を進めていこうとされるのか、大臣の所見を承っておきたい、こう思います。
  50. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 最初に数字的な御説明をさせていただきたいと思います。  第二期の五カ年計画は、全体といたしましては五五%、これは官民を含めてでございますが、五五%を持ち家、それから四五%を借家ということで計画をしてまいりました。ただし、そのうちでも四割のシェアであります公的資金の関係いたします住宅につきましては、賃貸住宅の方に重点を置きまして、賃貸六割、分譲四割ということを目標にいたしております。で、昭和五十年度の数字について先生が御提示ございましたけれども、確かに昭和五十年度におきます公的資金による住宅の内訳を見ますと、持ち家が約四十万戸でございます、六〇%。借家が約二十六万戸これが四〇%と逆転いたしたかっこうになっております。  ただ、そこで御説明させていただきたいのは、いまの持ち家の四十万戸の中には三十万九千戸の公庫融資が含まれております。その他のものにいたしますと、約九万二千戸が政府施策の中の公庫以外の持ち家対策でございます。で、二十六万戸の方の直接供給といいますか、公営、公団、公社が行いますものは、二十六万戸がいわゆる賃貸住宅でございまして、現実にアパートを建てて供給をする、もしくは戸建てを建てて供給をするといいます、直接供給主体が供給いたしますいろいろな住宅の中では、七四%が賃貸、それから残りが持ち家というかっこうになっております。したがいまして、公庫にずいぶんウエートを置きまして、五カ年計画でも目標を達成したのは、公庫の一一六%が最高ということになっておりまして、それらの現実が反映いたしまして、五十年度はそのような数字になっておるというものでございます。  なお、公営、公団等につきましても、実は予算の範囲内で規模の増、単価の増に相当力を入れまして、さらに昭和四十九年度におきましては、確かに公営住宅は九万五千戸、当初計上いたしておりましたけれども年度内の単価増に食われておりまして、実質は八万二千戸にダウンをいたしております。それらを見比べまして、公営住宅は五十年度は八万五千戸としたものでございます。公団住宅も四十八年度は七万戸の予算でございましたけれども、これも単価増に食われまして実質は五万戸ということになっております。それらの事情を勘案いたしまして、五十年度には一万戸増の六万戸ということにしたわけでございまして、確かに公的直接供給住宅大都市地域におくれていながら公庫の個人融資が非常にふえたという現実を反映いたしまして、このような数字になっておる次第でございます。  第三期につきましては、やはり公的供給につきましては相当数のもの、必要で十分な賃貸を念頭に置きまして作業をしておるのは当然のことだろうと思っております。さらに賃貸重点を移したいという考えでございます。
  51. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 具体的な問題、いま局長から御答弁申し上げましたが、大体本年度予算編成のときに私ども考えたのは、公的住宅がどうして伸びなかったのか、そういう問題を振り返ってみますと、やはり単価問題、あるいはその他用地問題等が大きく影響したことは事実でありますから、やはり予算としては一般会計二〇%伸びを見たし、それから財投でもかなりな伸びを見て、ほかの公共事業と比較をいたしますと、かなり重点的な伸びになってはおりますが、現実の内容は確かにおっしゃるとおりでありますけれども、その内容の重点が単価アップ等に置かれたものですから、そういう意味戸数、枠の面では決して伸びていない、むしろ後退した面もあるというふうにこれは率直に認めます。公庫の問題にいたしましても、むしろ金利に重点を置いたがために全体の枠確保はいささか後退したと、前年度に比較して。そういうことになったのも事実であります。ただ、五十年度で第二期計画が一切終わるものですから、従来からの繰り越しによって処置をしてきたような処置は一切第二期でけじめをつけて、そしてすっきりした形で第三期を出発したいと、そういうことから実施能力というものも考えながら、戸数の枠そのものには余りこだわらなかったということが事実であります。だから、予算はかなり伸びましたけれども、それらはほとんど単価アップ等によって食われたということが率直な問題であります。  そこで、第三期の問題でありますが、これはいま局長からもお話し申し上げましたように、ざっくばらんに言って、住宅の本当に欲しい人、あるいは賃貸にしても持ち家にしましても、欲しい人には一定水準住宅確保するということがこれは最大使命であり、責任だと思うのでありますが、ただ、自分の力でそれができない場合には、公的にどうして援助をしてそういう人々の期待にこたえるようにするかということが私は住宅政策基本だと、このように思っております。  それからもう一つの問題は、いろいろ批判はありましたけれども、大体量の面においては一応見通しがついて、一世帯住宅というものは一応解決がついたと見ております。問題は、いま非常に希望のあるのは居住水準の向上と申しますか、質の向上と申しますか、これに対しても非常に強い意見がありますので、やはり第三期は、居住水準の向上ですか、質の向上に最重点を置いた住宅政策でなくちゃならぬということは当然でありまして、そういう方向で進めてまいります。  それからもう一つは、公的住宅建設を促進をしていかなきゃなりませんが、この公共的住宅の中の入居者の選定と申しますか、これは非常にむずかしい。本当に困っておる人をぴしっと実態に合うように入居させることができるかどうかということが、これは私どもの一番の一つの悩みでありまして、そういった面においては優先的にそういう人を入居させる制度をひとつ確立していく必要がある、その問題についても大いに検討をせなきゃならぬ。これも一つの第三期の大きな重点でなくてはならぬと思っております。細かいいろいろな問題につきましては、いまちょうど審議会の方でもいろいろ研究してくだすっておるようであります。決してそれにおんぶしようとは思っておりませんけれども、各方面のそういう広い意見も出てきますから、そういう方面の意見も十分まとめながら第三期計画を進めていきたい、かように存じております。
  52. 二宮文造

    ○二宮文造君 住宅局長一言申しておきますが、施策を立案する面にはパーセントというのは非常に目安になって必要だろうと思います。しかし、国民の方から見ますと、やはり戸数という絶対数、これが問題になってくるんでありまして、パーセントで持ち家が幾らだ、それから賃貸しが幾らだと、こうパーセントで押さえてみても、問題は戸数の問題ですから、これはひとつ今後施策を進めていく上に、政策立案と大衆の期待と、これをひとつ両方分けてお考えを願いたいと思うんです。そうでなければ、大衆の期待には沿えない住宅政策になってしまう。そういう面で、けさほどもちょっと指摘がありましたけれども、要するに第二期住宅建設五カ年計画が本年で終わると、しかし、公営住宅にしても、公団住宅にしても、最終達成率は低いと、こういう実態の中から第三期計画が始まるわけですが、これは重複しますから答弁を求めません。  問題は、いまお話がありました、私決して量的な問題が解決したとは思いません、現在のところ。住宅難世帯はまだ統計に出ているのですから量の問題が解決したとは思いませんけれども、あえて大臣の方から質の問題、質の向上という問題がありましたから、この点に触れて質問をするわけですが、四十九年度建設白書の中で「住宅宅地対策方向」と題しまして、「居住水準の向上をはかるため、住宅規模・設備については長期にわたりその効用を維持するに足る質の高い基準を設定し、その実現をはかるとともに、」と、こうなっております。この「質の高い基準」というものをどう考えているのか、これ具体的に御説明いただきたいことが一点。  同じく「住宅宅地対策基本目標は、すべての国民がその能力に応じた適正な住居費を負担することにより、」云々と、こうなっております。ここで言う「適正な住居費」とは一体どういうものをお考えになっているのか。この二点お伺いしたい。
  53. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) いずれも第三期住宅建設五カ年計画をつくります際の一番基本となる点でございます。ただいま小委員会をつくっていただきまして鋭意検討中でございまして、数字等につきましては大体六月いっぱいぐらいで答申をいただくというめどで進めております。で、七月の初めにならないと、なかなかわれわれもすぐここで数字を申し上ぐるということにならないかと思います。ただ、現在論じられております質の基準につきましては、今後の住宅政策基本方向の中の中間報告にも触れておりましたけれども、すべての国民確保すべき最低基準と、それから確保することが望ましい水準という二つのレベルについて検討する必要があるという示唆をいただいております。で、そのうちの最低水準と申しますのは、いままで住宅難世帯が二百五十万あるとか言ってまいりましたときの、本当に客観的にこれ以下は住宅でないと見るようないわばストックに対する基準でございます。それから望ましき水準と申しますのは、今後施策を講じていきます場合に、大きくしていこうとする目標水準でございます。そういうものを検討します際には、現在のところいろんな原則が出ております。  一つは分離就寝ということでございます。やはり年ごろになりますと、みんなが分かれて寝るというくせをつけようじゃないかと。それから食寝分離ということを言われております。食べるところと寝るところは分けようじゃないかということでございます。それらのものと家族数とをかみ合わせながら、現在望ましき居住水準というものを数値の検討をいたしております。それから適正な住居費の負担ということにつきましては、これはやはりいままでの各世帯が、可処分所得の中からいままでに住宅のためにお払いになっておる過去の実績がございます。その過去の実績を基礎としながら、将来は望ましき、たとえば標準世帯人たち水準の所得があった場合に何%程度をやはり住居費に充てるべきかという議論を現在していただいております。七月の初めには恐らく数字として御説明できると思いますが、そういうものにつきまして現在まだ御説明できない段階でございますが、そういう方向で一生懸命勉強しておるという次第でございます。
  54. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃ現実の問題の中からそれらの問題についてちょっとお伺いしたいと思うのですが、公団にお伺いしたい。  先ごろ完成して募集を開始しました千葉の牧の原、それから大阪の泉北ニュータウンですか、原山台の両団地の家賃、これを概略説明いただきたい。
  55. 川口京村

    参考人(川口京村君) 牧の原団地は、現在千葉県松戸市に建っております八階建て高層住宅で、この四月に募集いたしまして七月から八月に入居予定でございます。その家賃が、一DKが二百六十戸、これは傾斜家賃でございまして、初年度が二万三千三百円から二万五千八百円でございます。それから二DKが千三百戸これは初年度で三万四千五百円から三万九千二百円。それから三DK住宅が二百二十四戸、これが家賃が初年度で四万三千四百円から四万五千二百円、合計千七百八十四戸でございます。  それから御質問の泉北・原山台の団地、これは大阪府の堺市に建設されました十一階建ての高層住宅でございますが、同じように四月に募集いたしまして六月から七月ごろ入居予定でございますが、その内訳は、二DK住宅五百二十戸、家賃が初年度で三万三千円から三万五千九百円、それから三K住宅が百六十四戸、家賃が初年度で三万七千九百円から四万一千二百円、合計六百八十四戸。以上でございます。
  56. 二宮文造

    ○二宮文造君 牧の原については三DK、それから原山台については三Kですね、これに限ってひとつ数字を御説明をこれからいただきたい。よろしいですか、一DKだとか二DKは要りませんから。  それで、いわゆるこれが公団家賃が四万円家賃になったということで非常に大きな反響を呼んでいるわけです。しかもいまは初年度家賃の御説明がございましたが、いわゆる傾斜家賃制度というのが取り入れられておりまして、したがって、最終年度の十一年目には幾らになるのか、どういうように計算されているか、これをお伺いしたい。
  57. 川口京村

    参考人(川口京村君) 牧の原の三DKの家賃が、最終年度の十一年目が七万二千二百円から七万八千二百円、そういうふうになっております。それから泉北・原山台の団地の三Kの分につきましては十一年目が七万三千三百円から七万四千二百円。以上でございます。
  58. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、公団は理想——理想といいますか、絶えず説明されておることは、所得の二〇%以内におさまるように家賃を計算していきたい、こういうような考えを随所で明らかにしておりますけれども、この牧の原の三DKで、初年度家賃が四万五千二百円、十一年目から七万八千二百円、こういう家賃はそれに見かわる所得というのは一体どれぐらいに押さえているのでしょう。試算を明らかにしてください。
  59. 川口京村

    参考人(川口京村君) 大体私どもそういうことを考えます場合には、総理府統計の世帯収入の統計数字を参考にしております。五十年度はまだ数字が出てございませんが、四十九年度の延長線上にそれを見ているわけです。それで、これはラウンドナンバーになりますけれども、五十年度の平均的な第三分位の中ぐらい、これを大体税込み、月に割りまして二十五万円と、そういう計算をしております。
  60. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、それで公団の計算では、大体二〇%以内におさまるという試算のもとにこういう家賃を算定されているわけですか。
  61. 川口京村

    参考人(川口京村君) そのとおりでございます。
  62. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、十一年目からの七万八千二百円のときはどれぐらいに試算をされるのですか。
  63. 川口京村

    参考人(川口京村君) 十一年目の見通しというのは非常にむずかしいわけなんですけれども家賃の伸びを見ますと大体六・幾つかの伸びでございます。ですから、今後経済状態なり何なりで所得がどの程度伸びるかというのが非常にむずかしいわけですが、われわれの考えでは少なくとも六・何%以上の所得は伸びるのではないかと。これはいろいろな新聞なり経済雑誌等によりますと、まあ低成長とは言っても六、七%の経済成長というようなことが言われておりまして、そういうところをねらっておるわけです。これは大分先のことでございますけれども、そういう基礎的な考えでやっております。
  64. 二宮文造

    ○二宮文造君 説明がございませんでしたけれども、牧の原の場合を例にとってみますと、公団が作成した資料によりますと、牧の原について用地費が三百十万円、それから工事費が七百八十万円、計千九十万円、大体こういう費用が出てくる。そこで、傾斜前の家賃をはじいてみると六万九千二百円になる。しかし、その六万九千二百円は今日の段階ではとても負担し切れないので、ここに傾斜家賃制度を取り入れて、先ほどお話のあった四万五千二百円から初めていくと、こういう計算はわかるわけです、数字の上では。しかし問題は、なぜこの六万九千二百円という傾斜前の家賃が出てきたかというのが私問題だと思うのです。  そこで、さらに具体的にお伺いしたいわけですが、この両団地の——牧の原だけで結構です、時間がありませんから。家賃の算定方法を構成要素別にちょっとお知らせ願いたいと思います。
  65. 川口京村

    参考人(川口京村君) まず、牧の原の千九十万でございますが、原価はいま先生おっしゃったとおりですが、その中の家賃構成要素は償却費、これは建物の建設に要する費用——土地は入っておりません。これを年利五%で七十年元利均等償還ということで計算いたしますと、月当たり三万三千五百五十八円となります。それから二番目が地代相当額、これは用地建設に要する費用、これは用地買収費、造成費等が、それともちろん建設利息が入っておりますが、これが一万二千九百十七円でございます。それから修繕費、これは工事費の百分の一・二ですが七千八百円。管理事務費、これが工事費のやはり百分の〇・五、三千百二十五円。損害保険料、これは火災等による損害の保険料でございますが三百八十四円。それから公租公課、これは土地分が四千百三十三円、建物分が六千五百五十二円。それから引当金、これは貸し倒れその他の引当金ですけれども六百八十五円。以上を合計いたしまして、大体六万九千二百円というふうになっております。
  66. 二宮文造

    ○二宮文造君 これがはなはだその中身が私疑問に思えてしようがないのですがね。まず建物の償却費、これは建物ですから、建てたら償却をしなければなりませんが、これは年利五%を加算して三万三千五百五十八円と、これは出てくると思います。今度は地代相当額、用地の買収費、造成費、それに年利五%をかけて一万二千九百十七円、それからもう一つは、最後の方に公租公課として土地分の税率一・六%で四千百三十三円。こういう用地というのは、どうでしょうか、用地というのはこれはもう減りませんし、公共用の財産になるわけですね、公共用の財産。そうすると、買うんじゃないんですよ、自分のものになるんではない、たまたま建物が建っているその根の部分に土地がある。その用地用地費及び地代相当額及び公租公課として計算をしただけでも約一万七千円。六万九千円の中で一万七千円というのが土地がかんでいるわけです。こういうふうな土地を、用地代、これを家賃の中に加算していくやり方をしますと、とても庶民はだんだん公団賃貸住宅は借りられなくなるんじゃないかと思うんですが、この点総裁どうでしょう。何か公団賃貸し部分の家賃を安くさせる。土地はなくなるものじゃありませんね、その部分がいわゆる借家人の負担になっている。こういうことは制度として改めなければならない問題じゃないかと私は思うのですが、総裁の御意見、どうですか。
  67. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) お説のとおり、土地そのものは公団の資産として残っておりますんですが、土地を取得いたします資金でございます。ただいま政府資金を活用させていただいておりますが、これは年利八分でございます。したがいまして、それに伴う利息はどうしても公団としては払っていかなければならない。そこで、現在のところでは償却費も含めて五%という利率でこれを算定する、七十年償還、こういうことで家賃の計算に土地代が入っておるわけであります。先生お説のように、非常に土地代並びに建築費の高騰がありました現在におきまして、傾斜でいくというのは、本年度から十年間の傾斜というのをとりまして、できるだけ初年度家賃を下げるように努力しておりますけれども、大体ここら辺が限度であって、これ以上傾斜を延ばすというわけにもいかない。そうすると、この家賃を下げるということにつきましては、やはり計算の利率をどうするかということが最終的には一番大きな問題になると思っております。
  68. 二宮文造

    ○二宮文造君 この構成要素を見ますと、私、これはもう抜本的に考え方を改めていかなければ、後段家賃を適正な、いわゆる所得に、能力に応じた適正な住居費という先ほどの説明と大きく離れてくるんじゃないかと思うのです。たとえばいまの地代相当額もそうです。それから管理事務費。管理事務費というのは一体具体的にどういう事務費なんですか。
  69. 川口京村

    参考人(川口京村君) これは賃貸住宅を管理していく上におきましていろいろあるわけです。これは修繕のためのたとえば職員だとか、あるいは修繕のもちろん監督する職員とか、あるいは入退居、それから管理主任とかいろいろそういう、あるいは家賃の収納事務とかそういうものでございます。いわゆる管理に携わる職員の主として人件費、雑費、そういうものでございます。
  70. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういうふうなものも含めて、要するに公的な資金に基づいて、いわゆる国の施策として今日の住宅事情の中から公団の仕事が進められているわけですね。そうしますと、何もかも入居者の負担によって公団が賄われていくということになれば、これからもどんどん公団家賃は上昇してしまう。たとえば、私は検討いただきたいのは、先ほどの地代相当額もそうですし、この管理事務費という問題も出てきましょうし、それから土地の四千百三十三円という公租公課の問題、これも私は出てくる。そういうものを含めますと、六万九千百五十四円とは言われてみても、大体一万七千円の三千円ですから約二万円ぐらいですね、検討に値する構成要素が出てくる。これらのものを抜本的に手をつけていくようにすれば、公団家賃が高過ぎるという非難、これにはこたえていける問題が出てくるんではないかと思うのですが、こういう大臣、高家賃ですね、しかも構成要素を見ますと、なかなかこれは施策住宅なんだろうかと、何もかも住居者にかぶせてしまっているじゃないかということですね。こういう問題を具体的な数字の中から大臣どう考えますか、今後の方向として。
  71. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 具体的な数字等はまた事務当局から答弁をさせますが、公団住宅の、いままでずっとやってきまして、現在いまおっしゃったような問題が一つの壁と言えば壁で、新しい展開を考えなければ、いまのような状態で果たして公団住宅としての使命が完全に果たされるかどうかという問題は私ども真剣に考えなければならぬときだと思っております。ただ、率直に言って、これは公的住宅といえども原価主義でいっておるわけですから、原価をまずできるだけ安くすることに最大限の国家投資を考えなきゃならぬのでありますが、一体どこまでそれを限界をつけるかということに一つの大きな財政当局との問題点があると思うのであります。でも、現在だけでも民間住宅と比べれば相当私どもは安いと思ってはおりますけれども、それにしても、おっしゃるように全部入居者に費用を分担させてしまって、それで経営が成り立っていくなら、民間住宅公団と何ら変わるところはないじゃないかという理屈も出てくるわけで、民間と公的と違うところはどこにあるかと言えば、公的住宅としての名にふさわしい国家的な一つ援助がなきゃならぬということは当然でありますが、そういう意味において私は、公団住宅の問題は、これは賃貸分譲に限らず一つの大きな現在は壁にぶつかっておるんじゃないかという感じもいたしておりまして、一体それはどこに問題点があるのかということを十分反省をし、掘り下げて、そして第三次の新しい計画に盛り込んでいかなきゃならぬというふうに思っております。  大体私は、少なくとも公団住宅というのは、公的住宅というのは賃貸を主にしてやるべきだという考え方を持っておりまして、じゃその場合に一体どこに所得水準を置くかという問題もいろいろ議論の余地はあるわけですが、しかし、これはあんまり一律に一つの型で問題を処理していくというところにも現実の問題として非常に無理があるのじゃないかという感じも実はいたします。私は、住宅を欲しい人は、それはいろいろ家族構成によって違ってくると思う。独身者もありましょうし、あるいは新夫婦もありましょうし、子供連れもありましょうし、年寄り連れもありましょう。そうすると、そういうふうな人々によってそれぞれに住宅に対する期待が変わってくるわけであります。また、所得階層もそれによって違ってくるわけでありますから、そういう人々にふさわしい住宅問題をもう一遍公的住宅として考えていく必要があるんじゃないかということもこれは一つ検討課題ではないかと思っております。いずれにいたしましても、新しくこれから公団住宅をさらに進めていくためには、もう一遍いろいろな過去の問題を洗い直してひとつ再検討をして出発せなきゃならぬと、こういう考え方を持っております。
  72. 二宮文造

    ○二宮文造君 最初の答弁聞いているうちに、わかっているような気がしてきたんですが、最小限私いま大臣の口からお伺いしたがったことは、この用地費が住宅者の負担にはね返っているこのあり方を再検討するお考えはありませんかと、こう私質問をやりかえてみたいと思いますが、大臣、答弁いかがですか。
  73. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) ちょっとずれるかと思いますけれども公団が現在やっております賃貸住宅の計算は、八分の金を借りまして五分で七十年ということで減価を償却するという主義で家賃の計算を行うことになっております。それで、いまの八分と五分との差額は、七十年間にわたりまして利子補給をするわけでございます。簡単に試算をしてみますと、賃貸住宅一軒につき九百五十万円ぐらいの上物ということで計算しますと、一千万近くの補助金が要るのじゃあるまいかと思います。七十年間のことでございまして単なる架空の数字かとも思いますけれども、そういうふうにやはりノンプロフィットで原価主義というようなことでやります以上、現在のような計算方法にならざるを得ないだろうと思っております。  ただ、今後の方向といたしましては、やはりいままでの毎年度公団の管理改修をいたします住宅家賃につきましては、先ほど公団が述べましたとおり、大体二〇%以下、大体の標準で言いますと一四%ないし一六%ぐらいをめどに傾斜の歯どめをしたり、単年度単価を決めるというような方針でやってまいっております。したがいまして、払いやすい方法でまず始めていただくというようなことを現在原価主義の中でも政策的にやってまいっておるということでございます。ただ、平年度の建築資材の値上がり等は普通は六%か七%ぐらいでございます。この二、三年非常に急騰いたしました。昨年とことしでは四七%の単価増が出ております。これを原価主義でやりますと、どうしてもやはりいろんな意味で収入との乖離がだんだん詰まってまいるということだと思います。で、現在大変時間がかかるかと思いますけれども、そういう面につきまして、公団家賃にもすべてを含めた政策家賃を導入したらどうかという検討を始めております。いわゆる応能家賃というものでございますけれども、これはいろんな問題がございまして少し時間がかかると思いますが、真剣に従来の原価主義を脱却する方向で応能主義について検討したいというのが現在の姿勢でございます。
  74. 二宮文造

    ○二宮文造君 確かにあなたのおっしゃるとおり、ずれた答弁になっちゃったわけです。私はもっと政治的判断を求める質問をしたわけです。ですから、応能主義なんということは私は質問はしておりません。これはまた応能主義というものを導入しますと、これから以前の住居者にも及んでまいりますから、これはひとつまた大きな議論を巻き起こす問題でして……。ただ私は、こんなに高くっちゃしょうがないじゃないか。したがって、国の施策の一環としての公団住宅ですから、少なくとも用地費はこれは検討すべきではないか、構成要素の中から外すべきではないかと私は提案しておるわけです。これに対してどういうお考えを持っておるかと大臣に伺っておるわけです。
  75. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) なかなかこれは明確には私もいまここで御答弁申し上げることはそれだけの自信を持っておりません。これは公営住宅そのものでさえもいろいろ現在は議論をされておるときでありますから、公団住宅用地費まで全部公的で考えるということについては、よほどの思い切った施策でないとなかなかそこまで踏み切れないと思いますが、ただ、少なくとも公団住宅建設するための用地費の金利の問題ですか、そういった問題については相当これから軽減をして、公的住宅という名にふさわしいものにしていかなきゃならぬ。これは私ども今後大いに努力をしていかなきゃならぬと思いますが、一切用地費は入居費に含めないというところまで踏ん切るにはまだ相当検討の余地があるのではないかというふうに感じますし、お気持ちはよくわかりますから、そういう方向でわれわれは努力をしていきたいとは思っておりますけれども、御理解いただきたいと思います。
  76. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣ならばもっとすぱっと方向出していただけると思って……。いまの問題じゃありませんけれども、当然これは検討していただかなければならない問題だと思います。  それからもう一点、長期特別分譲住宅、こういう分譲方式があるわけですが、この長期特別分譲住宅の譲渡金の構成要素、これをひとつ御説明いただきたい。
  77. 川口京村

    参考人(川口京村君) 長期特別分譲の譲渡対価、これは具体的に金額で例をとって申し上げたいと思います。大体五十年度に新たに分譲を予定しております住宅の総平均でございますが、譲渡価格が約九百五十万円というふうにわれわれ見ております。そのうちの用地費が、これも総平均でございますが約二百八十万円、工事費が約六百七十万円。これは普通の三DKの広さでございます。これを割賦払いとした場合には、契約時に一時金として少なくとも百万円以上。ですから二百万、三百万納める方はいいんですけれども、最低百万円以上含めて、総額が三十年後になりますけれども、割賦総額は二千三百万になるわけです。そのうちの利息相当分が約千二百三十万円というふうになります。これは割賦総額の約五三%となっております。なお割賦の支払い方法は、いわゆる都市勤労者が持ち家を取得できるようにというところから三十年間ということに決めております。当初十年間は償還コストを五・五%。それからその後二十年間の償還コスト八%というふうに、われわれとしては低利というふうに考えております。さらに当初五年間は元金据え置きというふうにしてこの割賦金を計算しております。こういうことで計算いたしますと、当初五年間の毎月の割賦金は即金価格九百五十万円の場合には四万二千百円というふうになるわけです。これにさらに毎月払いとボーナス月払いを併用した方法も——これは当人の御自由ですけれども、ボーナス払いを併用した方法を取り入れますと、最初の五年間は平常月が三万一千六百円、ボーナス月が九万四千八百円と一層支払いが容易にできるようにというふうにめどを立てております。そういうことでございます。
  78. 二宮文造

    ○二宮文造君 この場合に、居住面積は何ぼになります。五十八平米ですか。
  79. 川口京村

    参考人(川口京村君) この九百五十万は五十八平米でございます。
  80. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、これは本当に初歩的な質問でまことに恐縮なんですが、牧の原の三DKの居住面積は幾らですか。
  81. 川口京村

    参考人(川口京村君) 牧の原、これは三DKの場合五十四・七八平米でございます。
  82. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうですね。それでちょっと私、毎月払いにしましょう、毎月払いだけで計算しますと、これは長期分譲でしょう。自分のものになるわけです、買うわけですね。これが五十八平米で、毎月払いで最初の年から五年間、これは四万二千百円、よろしいですか。それから牧の原は賃貸しです。賃貸しで最初の傾斜家賃、これも傾斜家賃になっていますから、傾斜家賃が四万五千二百円、これは一体どういうことになりましょうね。自分のものになる長期分譲の方が四万二千百円払っていけば、傾斜にはなりますけれども、三十年たてば自分のものになる。今度は牧の原の賃貸しの方は四万五千二百円、よけい払っているわけですね。居住面積はこちらの方が少ないわけです、五十四・八、賃貸しの方は。借りる方の家賃が高くて、自分のものになる分譲の方の支払いが安くなるというのはどういう計算でしょう、これは。
  83. 川口京村

    参考人(川口京村君) 牧の原の場合は、これは具体的な数字で四万五千二百円になっておりまして、いま申し上げました九百五十万、これは平均でございますので、その間に多少食い違いがございます。ただ、自分のものになる場合にはここに頭金の百万円というのが一つございます。それで少し安くなります。それからもう一つは、四万五千二百円の中には修繕費とか、それから損害保険料、いわゆる火災保険でございますが、そういうものとか、それから税金、こういうものは全部含まれているわけです。御自分のものになるこの四万二千百円は、これは公団にお返し願えるお金でございまして、百万円の頭金のほかに修繕費の積み立て、これは積み立てなくてもいいとしましても、修繕の時期が来れば支出するお金があるわけです。それから公租公課は御本人の負担と、そういうものがあるわけです。ですから、必ずしもこれ逆転しているというふうにはわれわれは考えていないのですが……。
  84. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、そこで私またさっきの議論に戻るわけですよ。借りる方が公租公課まで負担をする必要があるのか。土地は自分のものじゃないですよ、公団のものなんです。その税金まで、土地の税金あるいは建物の税金、そういうものまで居住者が負担しなければならぬかという議論がまたここで蒸し返されるわけですが。  それで、いずれにしましても、長期特別分譲賃貸しとを比べてみましたときに、どうも賃貸しの方が割り高に計算をされている。なるほど修繕費も住居者負担だと、買った人の負担だと、修繕費、それから公租公課も負担だと、こういうような話ありますが、恐らく個人で固定資産税を負担するときには、こんな金額にはならないと思いますよ、恐らく。公団のこの賃貸しの場合に試算をされている一・六%という公租公課、これは非常に高く私は試算をしているのではないか、こう思いますが、この点はどうでしょう。公租公課のはじき方をもっと具体的に説明していただけますか。
  85. 川口京村

    参考人(川口京村君) 公租公課の場合は、これは最初の十年間が軽減になるわけでございますけれども土地の価格に対して百分の一・六、そういうふうに計算しておるわけです。ただこれが、現実公団賃貸住宅の場合ですが、建ったときに払う公租公課よりも確かにこれは高くなっていると。ただ、二十年間の経験によりまして、固定資産税というのは三年に一遍ずつ上がってまいりまして、古い団地の例をとりますと、公租公課の    〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕 部分が全部これは赤字になっているわけです。そういう赤字になっている団地でも、当初は黒字と言ってはおかしいですが、引き当て金等で置いてあったわけです。そういうものを見通しまして、平均してこういう公租公課をいただいている、そういうことでございます。ただ、その年々の公租公課と同じ額、相当額をたな子からいただいていいんじゃないかというあれでございますが、実際には公租公課部分だけではございませんで、修繕費等の古い団地の赤字もございまして、家賃がそう簡単に、わずかでありましてもいわゆる一斉値上げということが困難な状態である以上、ある年限を見通しましてこういうふうに積み立てておく、もちろんその中からも出費があるわけでございます。その典型的例が修繕費でございまして、実際に建設されまして、当初は修繕費は全然要りません。公租公課もこれだけの額は確かに要らないと思いますけれども、大体十年ぐらいたちますとこれが逆転してまいりまして、全部それまで積み立てたのを食いつぶして、十年もかからぬ、七、八年でございますね、後はまあ赤字になる、そういう感じでございます。
  86. 二宮文造

    ○二宮文造君 お話を聞けば聞くほど公団住宅のありがたみがだんだんだんだんこう薄れてくるわけです。要するに修繕費の先取り、固定資産税が値上がりするであろうということを予測しての先取り、こういうことが重なり重なって四万円家賃が出現をしたと、こういう御説明のように伺われてなりません。したがって、これは適正な居住費ということをうたっているわけですから、これはもう抜本的にこういう面の洗い直しを、総裁なり、大臣なり、洗い直しを先ほどなさると、こういうお話ですから、こういう面も含めてやっていただきたい。でないと、宅開公団によって大量の宅地を造成しても、結論として、この家賃問題は私は解決しない。だから、用地確保はできた、あるいは建物はできるかもわかりませんけれども、そこに居住する者の負担においてそういう施策が進められるということになりますと、仏つくって魂入れずというようなことわざになりかねないような気がしてならぬわけです。  そこで、宅開公団によって大量に住宅用地供給ができるようになれば、この適正負担による大量の住宅国民に提供することができる、こういう見通しがありますか、大臣。    〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
  87. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団大都市の周辺部におきまして大規模宅地造成を行いまして、これをいま御指摘のような住宅公団なり、あるいは公営住宅なり、あるいは公社なり、その他一般の宅地需要者へ低廉な価格で供給しよう、こういうものでございます。住宅公団の問題として、ただいま家賃論がございましたが、その前提として、やはりまず大量の住宅公団の建てるべき低廉な土地計画的に取得できないというこの問題が現在の大きな問題でございます。そこで、この課題にこたえるためにも、宅地開発公団をつくりまして、宅地造成を専門にする、大規模宅地開発を行うことは公団計画を円滑ならしめ、公団住宅建設、大量住宅建設ということが大いに促進できる、もちろんその中には幾つかの隘路がございます。家賃論もその一つでございますけれども、そういう前堤となる宅地造成という問題に着目いたしまして宅地開発公団役割り考えているわけでございます。
  88. 二宮文造

    ○二宮文造君 推進する方ですから、そういう答弁になることは予想しておりましたけれども、そこでもう一つ公団に具体的な問題で方針をお伺いしておきたいんですが、南多摩団地ですね。これの四十四年十一月募集時にはいわゆる三LDKで住宅債券の積立額三百十万円のほぼ二・三倍の七百十万円と、こういうふうに進んでおりまして、それが昨年の十二月の暮れに公団から七百十万円では相ならぬ、五百四十万円値上げ通知を受けたということで、入居者の方からおかしいじゃないか、われわれは契約をしたんだと、こういう判断で公団が一方的に五百四十万円も値上げをした、分譲価格を当初の七百十万円から千二百五十万円と、こういうふうに通知をしたことで五年間の頭金を積み立ててきた人にとっては非常にショックな話になったわけです。それでいま交渉が行われておりますが、これは公団としてどういうふうに妥結をしていく方針なのか、この方針。この南多摩団地の問題をどう解決される方針なのか、お伺いしたいと思います。
  89. 上野誠朗

    参考人(上野誠朗君) 南多摩団地の特別住宅債券の積み立ての問題につきましては、まず値段が予想せざるインフレによりまして上がりましたので、その償還方法を当初は二十年の予定でございましたのを三十年に延長する。それから当初は八・九%の金利でございましたが、それを五・五%、最初の十年間五・五%に、後の二十年間は八%というふうに償還金利を引き下げる。こういうふうに払いやすくするということ、これが一つでございます。  それからもう一つは、こういうことで当初の計画が変わってきて、債券を積み立てたけれども住宅を買う意思がなくなったという方につきましては、特別の措置といたしまして、もう積み立てました債券の買い戻しをいたしました。それからなお断念したことに伴いまして賃貸住宅等に入りたいという方には、特別に賃貸住宅をあっせんいたしました。  それからさらに、建設区域を当初二つの住区に限定しておりましたけれども、いろいろ積立者の方々と話し合いをいたしまして、あと二地区住区をふやしまして場所を選ぶ選定の範囲を広げました。  それからさらに、住宅の型も三つの型がございましたのをふやしまして、五つの型をつくりまして、それぞれ希望に応じて建設をすると、こういうことにいたしまして、そういうことで最終的な案がもう事務的にはほとんど固まっておりますので、近く積立者の方々にお示しいたしまして、それで話をつけたいと、こういうふうに考えております。
  90. 二宮文造

    ○二宮文造君 しかしこれは、この入居者にとっては本当にはからざるといいますか、青天のへきれきですよね、七百十万円が千二百五十万になるわけですから。しかもその絶対額は動かせない。金利の操作、償還期限の操作、そういうことでやっていくということですが、これはやっぱり一部にはすでに契約であるというふうな考え方で、それはもう公団が請け負ったんだからこういう五百四十万円の値上げはとてもじゃないが承服できないと、こういう面も出てくると思うのですがね。したがって、そういう突発、予想せざる条件が加わってこういうことになったというその配慮ですね、それと公団の持つ原価主義というものと、やっぱり平行線のまま処理なさろうとしているところにまだ妥結までに曲折があると思いますがね。だから、私はやっぱり絶対額の金額の問題にもある程度の配慮をしなければこの問題は容易に解決をしないのではないか。もう少しそういう面で幅を持つ公団の姿勢が必要ではないかなと私はこう思いますが、これは念のために申し上げておきます。  それから先ほどの計画局長の答弁についてはもう先日来いろいろ議論がございました。宅開公団になって果たして住宅公団がいまぶつかっている隘路、これを宅開公団法ができたからといって容易に解決するものではない、私もそう思います。そこで、この問題はもう繰り返しませんが、今度は用地の問題をちょっとお伺いしたいのですが、資料によりますと、昭和六十年までの新規宅地必要面積は全国で十八万六千ヘクタール、三大都市圏で七万六千ヘクタール、このように推定をされておりますが、この大都市週辺地域における宅地開発公団日本住宅公団ないしは地域振興整備公団、こういうものとの業務分担、これが私はやっぱり何回説明をいただいても錯綜してくるんじゃないかと思うのですが、もう少し明快に業務分担の問題を説明いただけませんか。
  91. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 明快にということでございますから、際立って違うところだけ申し上げますと、宅地開発公団というのは、大都市の周辺地域において行います場合に大規模宅地開発事業のみを行うのでありまして、上物は一切建てない。そうしてつくりました宅地は、全部いわば卸と申しますか、自分は建てないのですから、これを需要者——これは個人たるとあるい住宅建設を行う公的機関たるとを問わず、こういった住宅を建てる人へ売るという点に主眼を置いておるわけでございます。日本住宅公団住宅不足の著しい地域ということで全国で行い得るのでございますが、この場合は三大都市圏等の大都市地域の周辺にもしやるというふうに限って考えますと、住宅公団の行いますのは、自分の建てる住宅のために必要な宅地造成に限って、そこに住宅を建てる、そのための住宅団地をつくることといたしておりまして、したがいまして、その意味で一方は他への譲渡を行うべく大規模な市街地開発を行うのであり、住宅公団の場合は自己用の建設を行うための団地造成を行う、こういう性格で仕分けをしておりまして、その辺ははっきりと公団法の附則において区別をした次第でございます。  それから地域振興整備公団は、大都市地域以外の地域におきまして、大都市からの人口、産業の地方分散を図る受けざらといたしましての地方都市の開発整備を行いますために必要な宅地の開発を行うということでありまして、いわば一つの地方分散の都市づくり公団というふうな役割りを持つものでございます。
  92. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、日本住宅公団法の三十一条の二に「住宅の用に供する宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡を行なうこと。」というのは削除になるのですか。いま計画局長の説明によりますと、公団住宅を建てる宅地、これの造成、これはやりますと、こういうお話ですが、公団法の三十一条には「住宅の用に供する宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡を行なうこと。」、しかもこれは今度は削除にならないようですが、そこで、宅地開発公団と競合の問題が出てきませんか。
  93. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 三十一条の二項につきましては、ただいま申し上げましたのは、大都市圏の周辺部において宅地開発公団と比べますためにそういう例示で申し上げました。住宅公団は、他の地域におきましては、住宅不足の著しい地域におきましては、やはり住宅もつくり宅地の造成も行い譲渡も行うわけでございます。したがいまして、三十一条の二項の文言は、それはそのまま生きるわけでございます。ただ、大都市の周辺で宅地開発公団が行います地域とダブる部分につきましては、これは附則の二十一条におきまして、一項加えまして二項といたしまして、公団は必要な限度において自分の住宅を建てるための業務を行うために宅地開発をやるんだと、こういうふうに変えた次第でございます。
  94. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、いまの御説明は第三十一条の二項でしょう。で、私さっき言ったのは三十一条の第二号ですね。「公団は、人口及び産業の集中が著しく、住宅不足のはなはだしい大都市の周辺の地域においては、前項第二号の業務は同項第一号の業務を達成するために必要な限度において」「行う」、ここで網をかぶせたという意味ですか。
  95. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) そうです。
  96. 二宮文造

    ○二宮文造君 わかりました。  それでは次に、先へ進みましょう。そうしますと、それに関連して問題をお伺いしたいと思いますが、住宅公団が法人から相当に土地を買収しまして、そしていわばそれが市街化調整区域にほとんどあるわけですけれども、相当買収して、いま保有していると思うんですよ。この保有状況はどうなっておりますか。
  97. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 住宅公団が市街化調整区域内におきまして法人から取得いたしまして現在持っておりまする土地は、住宅建設部門におきまして五地区、面積で申しまして三百五十ヘクタール、それから宅地開発部門におきまして九地区、面積にいたしまして六百九十八ヘクタールでございます。
  98. 二宮文造

    ○二宮文造君 私いま法人に言いましたから、そういうふうにおっしゃったんだろうと思いますが、その他を含めますと、大都市周辺地域で相当数、二十九地区二千二百ヘクタールですね、この宅地開発部門で、宅地開発造成工事で未着手の地区をお持ちになっていると。それから建設部門において、これはあれが出ておりませんが、これもより以上に、いま法人と言いましたから、そういう数字になったんですが、その枠を越えて、これちょっと合計が出ておりませんが、これまた相当数、未着手の団地を持っていらっしゃる。そうなりますと、それは結局、県の開発規制のために事業化できないというのが今日の状況だろうと思いますね、公団の場合。で、いまここで宅地開発部門で二千二百ヘクタール未着手のところがある、あるいは住宅建設部門でも相当数の未着手部門がある。これは一体どういうふうにこれから開発をしていくのか、その基本方針をお伺いしたい。
  99. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) ただいまおっしゃいましたように、宅地開発部門におきまして、現在未着手の土地が地区の数にいたしまして二十九、面積にいたしまして二千二百ヘクタールございます。これは未着手ということでまとめました表でございまして、市街化区域の土地も半分以上ございます。で、市街化区域、調整区域だけでむずかしいわけでございますが、市街化区域でもなかなか開発の相談が地元の特に公共団体との間におきましてなかなかまとまらない、時間がかかるというのが現実でございますが、それにつきましては先般来御議論していただいておりますように、やはり人口抑制の問題から始まりまして、いわゆる自然環境の維持とか、あるいは地方の公共団体の財政問題でございますとか、そういったやはりいろいろ開発に対しまする抵抗要因がございます。そういったものを一つ一つお話し合いでまとめていかなければならないというふうな状況でございますので、まことに残念でございますが、着手がおくれておると、こういう実態でございます。私どもといたしましては、やはりこの中にも開発適地が大分ございますので、ほとんどいますぐに開発してもいいと思われるところもかなりたくさんございますので、鋭意地方公共団体とお話し合いを進めておるわけでございまして、この中には具体的に話し合いがやがてまとまるという状況のものも若干あるわけでございます。
  100. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、公団が、いま二十九地区の中には三大地域以外の場所もありますが、しかし、まあ三大圏に集中していることは事実です。現状として、公団がいわゆる人口抑制だとか、地方公共団体との話し合いがつかないとかで未着手で解決しなきゃならぬ問題をたくさん抱えておるわけです。そういう中で、宅開公団がいわば先ほど申し上げたように、昭和六十年までに三大都市圏で七万六千ヘクタール、これだけの宅地造成を必要とする、こういうことになりますと、宅地開発公団は五百ヘクタール以上、衆議院の建設委員会での附帯決議では三百ヘクタール以上と、こうなっておりますが、大規模宅地を首都圏五十キロ、中部圏三十キロ、近畿圏四十キロにおいて造成する、こういうお話でありますけれども、その開発適地の選定というのは非常にむずかしいと思うんですが、これは見込みがありますか、計画局長
  101. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 適地の選定につきましては、具体的に現在調査しておりませんので、どれだけ適地が何カ所、どこにございますというお答えはできませんが、可能地としましては、われわれは三大都市圏のたとえば東京圏、大阪圏、中部圏のそれぞれ五十キロ圏、あるいは四十キロ圏、三十キロ圏の中に、可能地としては十分適地があるというふうに考えております。それはたとえば例を申し上げますと、東京圏で四十キロ、五十キロという区域をとってみますと、大体そのベルトの地帯は二十六万ヘクタールぐらいの面積に当たるわけであります。その大半は農地、山林であります。また、別の資料によりましても、首都圏ではこれは空閑地という調査でございますけれども、空閑地が少なくとも最低に見積もって二十五ヘクタール以上まとまったものが九万ヘクタールあるというような資料もございます。このような資料からいたしましても、これは東京圏の例で申しましたけれども、三圏で申しますと、この中に宅地開発公団が約三万ヘクタールぐらいの適地を見つけて、これを首都圏、中部圏、近畿圏に配分して適地を選定、総合判断して採択するということでありますから、十分その可能性はあると考えておる次第でございます。
  102. 二宮文造

    ○二宮文造君 航空写真で見ればそういうものは幾らでも出てくると思います。しかし、現実にそこへポイントを当てて見ますと、やはり開発可能地域というのは市街化調整区域に焦点が当たってくるのじゃないかと思うんですが、これはどうでしょう。
  103. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のとおり、現在市街化区域、調整区域の線引きを行っておりますその市街化区域の中で、大規模宅地造成適地を選択いたします場合に、どうしても市街化区域の中でこれだけの適地を見つけ出すということは困難な場合が非常に多いと思います。で、その場合には、当然調整区域とかあるいは線引き外の白地地域とかいうところも含めてこれを計画する必要があるというふうに考えております。
  104. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣ですね、せっかくの線引きがこういう計画とともに形骸化してくるのではないか、また宅開公団に関する問題だけでなくて、地方においてもいわゆる線引きというのがいまやいろいろなネックをつくり上げるようなことになっております。前の大臣も線引きの問題については再検討をすると、する時期が来たと、こういうようなお話でございましたが、これは都市計画法の基本に関するような問題ですから、このいわゆる線引きの問題について、宅開公団もいま現にこういう問題出てきたわけですから、大臣としてはこれをどう取り扱っていく方針なのか、考えをこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  105. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 私から先に申し上げます。  宅開公団使命は、三大都市圏における膨大な人口圧力に基づく住宅難を、一日も早くこれを解決のめどをつけるというためにつくろうとするものでありまして、そこでは大規模であって、かつ良好な市街地をつくりまして、大量で低廉な宅地供給するということが至上命令であります。したがって、こういう市街地開発をいたします場合には、あらかじめ公共団体あるいは関係農林当局等と十分の事前の調整をいたしました上で、計画的な大規模開発として所定の都市計画法の手続に基づきまして線引きを行うわけであります。その場合は知事がこの線引きを、線引きの作業をやるわけでありまして、都市計画決定をするわけであります。したがいまして、この都市計画法の七条に言う、調整地域とは市街化を抑制すべき地域であるという原則、これをわれわれは崩そうという気持ちは全然ないのであります。その場合には、このような計画的な開発でありますから、当然いままで予期しなかった、予見の変更がそこに起こったものとしてこれを、線引きを変更いたしまして、その地域を市街化区域の中に編入いたしまして、この中で当該開発を行うというふうに考えておりまして、都市計画法第六条の五年ごとに見直せという規定の趣旨も、このような予見の変更に対応して適確に行うことを期待した規定というふうに解しております。ましてこのような公共機関が中心となって計画的に行う大規模開発が明らかになった時点におきましては、この都市計画法の趣旨に基づいて線引き変更を行うということは、この線引きの趣旨、これを形骸化するということはないのであって、この線引きの趣旨を生かして、これを活用して、その中で行うものというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  106. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 大体具体的な問題はいま局長から御答弁申し上げたとおりでありますが、私は少なくともこの線引きというのは、あの当時ずいぶんいろいろと地域では議論され問題になったことでありまして、それなりにかなりの問題を残しておると思うのですよ。だから、五年たったら一遍見直しをしようという場合には、さらに適正なものに見直しをして、そうして調整をしようという考え方もありましょうし、ただ、それにある程度便乗して、この際線引きを大いに変えていこうというものがあるとすれば、これは十分に警戒を要する問題でありまして、いずれにしても、そうあの線引きがそんなに大きく根本的に変わってくるというふうに私どもは見ておらない。そのことを私は周囲も承知しないし、特に調整区域の農地の保護、振興地域といったものが設定されておりますから、これはそう簡単にいくものじゃないと思っておりますが、実態に応じて調整しなければいかぬですから、それぞれの県からはそれぞれの計画が出てくると思うのです。出てきたものをもちろんまるのみにするわけにいきません。十分われわれも検討するし、これは農林省とも十分検討して、適正なものであれば認めるけれども、それがどうも認めるべきものでないということになれば、これはわれわれとしてもそれだけのまた調整考えなければならぬと思っておりますが、ただそういうふうな問題であるにいたしましても、この宅開公団法の趣旨に沿って大量宅地供給をするということは、率直に申し上げまして大都市の現在の住宅問題、宅地問題を解決するためには、いまの場合にこれ以外の方法はちょっと見当たらないということを考えると、そういう高い立場からその地域の人々にも十分理解をし、あるいは合意を得た上で問題の処理に当たっていかなければならぬ、慎重を期さなければならぬということは当然でありまして、そういう趣旨に基づいて今後努力していかなければならぬと思っております。
  107. 二宮文造

    ○二宮文造君 私はいま計画局長の答弁を聞いておりまして、五年たって見直すということを入れたけれども、やはり建設省当局のこの大都市圏における将来の予測というものの判断を誤っておったということは私は率直に認めるべきだと思うのです。で、いまも線引きは知事がやるのだから、知事が、宅開公団の協議の中で、公共のものだからやむを得ないというような判断で知事の方でやることを期待されているようですが、しかし、現状は首都圏の、東京都にしましても、あるいは周辺の県にしましても、宅開公団調整区域での大規模な開発というものは反対だと、総論賛成、各論反対じゃないです。総論から反対、こういう意向、のろしを上げているわけです。中部も近畿も恐らく同様の情勢にあると思います。ですから、そういう中でこの知事と協議をするのだから目先は明るいというような計画局長の答弁でしたけれども、これはそんなものでは私はないんではないか。周辺都県の反対というものは非常に強い。そういう中であえて宅開公団法を通して、そして大規模宅地の開発をしていく、こういう見通し計画局長は持っておりますか。できますか。
  108. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘の点は、事実としてまことにそのとおりでございます。一般論となりますが、大都市圏の都府県が特に線引きによる市街化の拡大に対しまして消極的な態度をとっているということは、これは事実であります。だから、そういう拒否反応と申しますか、そういう姿勢をとっておるのにはそれだけの理由があるわけでありまして、特にその中でも水とか足とか、なかんずく財政問題の圧迫というものが非常に強いというところから来ている——それだけではございませんが、そういう点が非常に大きくこの拒否反応の基本的な姿勢の背後にあるというふうに考えておるのでありまして、それらがないのに反対しているのではないのであります。住居移転の自由と申しますか、県から出たり入ったりするという自然の動きというものに対しましてそれだけの拒否反応を示すということには、それだけの裏の基本的な理由があるわけであります。  そこで、この宅地開発公団は、いままでのようなやり方ではこの新しい事態に対応して巨大化する都市計画的な発展を秩序づけるということはできないというふうに判断いたしまして、このたび相当われわれとしては思い切った措置といたしまして、新しい権限を持った新しい専門の機関をつくることによってこの隘路を打開し、地方にメリットとは言わないまでも、少なくともこの拒否反応を緩和し、協調できるような方策を講ずることが必要であるというふうに考えた次第でございまして、その間におきましては、もちろん手続面においてこの協調体制の仕組みを確立するということが大事であります。そういう面で幾つかの新機軸を講じたつもりでございますが、これによって十分でないとすれば、なおかつこの問題に対処いたしますために、これからもっと強化することによって、この隘路をいかにしても打開していかなければならないというふうに考えておりまして、現在考えておりますこの新機構による新しい手法というものは、相当われわれとしては思い切った手法として考えておりまして、これによっていま申しましたような水、足あるいは財政問題というような基本となる隘路というものに対して相当大幅な改善措置がとれるものと考えておる次第でございます。
  109. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの計画局長の答弁を聞いておりますと、これは住宅公団がぶち当たった壁と、全くその範囲を出ないわけです。ですから、住宅公団がぶち当たってきたその壁を打ち破るために新しい手法をと、こうおっしゃるわけですが、新しい手法を取り入れればいいのであって、宅開公団を新設する必要はないんじゃないか。住宅公団のいままでの業務の中に、いままで壁にぶち当たっているわけですから、それを加えればいいんではないかという疑問が率直に私は出てきます。これは従来議論されてきていますから、答弁求めませんが……。  次に、農林省にお伺いしたいんですが、農林省は食糧自給率の確保のために土地改良長期計画こういうものを策定して——農林省の方はいらっしゃいますか。——策定して、農用地の造成というものを特に考えていらっしゃる。その農業サイドから見て、この宅地開発公団という構想について全く新しい手法、そしてその調整区域の中で大規模宅地の造成を三大都市圏でやろうとする、そうするとこの考えは一体どうなのか。特に三大都市圏の周辺での都市農業の育成というものとの関連からひとつ農林省の見解を私はお伺いをしたい、こう思うんです。
  110. 青木敏也

    説明員(青木敏也君) 宅地開発公団は、大都市の過密及び住宅問題に対処するために大都市の周辺の地域において大規模宅地の造成を行うことを目的としているわけでございます。私どもといたしましても、こういった政策的な課題というものにつきましては十分理解を持っている所存でございます。しかしながら、先生承知のように、食糧自給力の維持向上を図るという観点から優良農用地確保という要請が国民的な課題となっているわけでございまして、こういう事態を踏まえますと、宅地開発公団の今後のそういう事業の位置なり、そういったものにつきましては、十分農林業サイドとの適切な土地利用調整、そういったものを踏まえて実施さるべきものであるというふうに基本的に考えます。  また、ただいま御指摘の三大都市圏におきます都市農業につきましては、特に大都市への野菜等、そういったものの生鮮食料品の供給の場として重要な役割りを果たしております。こういう観点も踏まえますと、私どもといたしましては、宅地開発公団事業につきましては、先ほど来議論いただいております都市計画区域におきます市街化区域内で事業を行うべきものというふうに基本的に考えます。しかしながら、こう申しますことは、先般来議論がございます線引きの見直しという問題をすべて私ども否定するつもりはございません。いろいろその後の情勢の変異ということでそういう見直しの課題があることにつきましては私どもも十分理解いたします。しかし、そういう見直しに際しましても、従来から市街化区域あるいは市街化調整区域、そういった場合の線引きの調整ルールを私ども建設省当局と持っているわけでございますので、そういう調整ルールを厳正に適用してそういう事態に対処する、こういうふうに考えておるわけでございます。
  111. 二宮文造

    ○二宮文造君 調整ルールというのを、あらましでいいですから、御説明願いたい。
  112. 青木敏也

    説明員(青木敏也君) いわゆる市街化調整区域、市街化区域の線引きに関します一つのルールを私ども持っておるわけでございますが、一口で申し上げますれば、集団的な農用地、集団的な優良農用地、それから土地改良事業等長期の投資をいたしました農用地、これにつきましては原則的に市街化区域に編入しない、こういうことでございます。
  113. 二宮文造

    ○二宮文造君 計画局長、周辺の都県のほかに農林省という大きな壁が出てきました。これも御承知の上でこの法案を提出されておると思うんですが、船頭が多くて船がなかなか進まないような気がして私はならぬわけです。これひとつそういうことも頭に置いて十分御検討願わなきゃならぬと思うんですが、さて、先ほどちょっと公団にお伺いをしましたけれども大都市の周辺、特に先ほど宅地の開発部門で相当数の宅地造成を予定して土地を買ったけれども、しかし、開発規制等に遭ってまだ未着手の状況にあるという実態をお伺いをしました。これは私、いろいろな言い方はありましょうけれども、せっかく用地を買収したにもかかわらず開発に着手できない、こういう結果から振り返ってみますと、これは非常に公団には気の毒なんですが、公団が法人買い占めの土地を肩がわりをしたというふうな非難があるわけです、批判が。この批判に対しては公団はどう答えますか。
  114. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 先ほども申し上げましたとおり、法人から買いました土地だけで申しましても、調整区域内に九地区、約七百ヘクタールというものがあるわけでございます。今日の時点になって考えてみますというと、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、法人の肩がわりをしたのではないかという点も否定できない面があろうかと思いますが、私ども買いました当時は、かなり民間も含めまして土地の買収が非常に盛んであり、したがって、住宅公団から申せばわりあい買いにくかったときであったわけでございまして、どちらかといいますと、用地だけは一生懸命買いあさっておったような感じのときでございます。こういったことでこういう状態になっておるわけでございますが、私どもやはりそうむやみやたらに買ったつもりはございませんで、やはり見方によれば開発適地である。まあそう百点満点はつけられませんけれども、現在の大都市近郊の実態からいたしますれば、まあそれならば何とかなるんじゃないかという判断をいたしまして買った土地でございますので、よく地元公共団体とも根気よく話を続けまして開発計画策定まで持っていきたい、こういうように努力いたしておる状況でございます。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 もっと否定なさるかと思ったら、わりあい率直に世間の批判に答えられた。法人買い占めの土地の肩がわりに公団がなったんではないかという、そういう批判を余り否定なさらないような答弁であったと思うので、私それがまた非常に次の心配を招くわけです。といいますのは、宅地開発公団はさらに大規模宅地の造成を当てにするわけですね。そうしますと、やはり公団が犯したような過ちを、いわゆる法人買い占めの土地の肩がわりを宅開公団がするんではないかというふうな心配が、続いてこの宅開公団にも出てくるわけです。  そこで、あらかじめお伺いしておきたいんですが、建設省では法人の土地保有状況について調査をされたように聞いております。そこで、その実態を、市街化区域、調整区域、都市計画区域外、こう分けて、保有面積とその割合をもしわかっていれば御報告願いたい。特にその中で、もし整理ができれば、三大都市圏ではこうですということが整理ができればお伺いしたい。
  116. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 昭和四十九年の三月末現在で調べました不動産業実態調査結果報告というのがございますが、これによりますと、宅地建物取引業者の土地保有の面積は、その集計によりますと千四百業者でございますが、その千四百業者の中で事業用資産として持っておりますものが十七万六千ヘクタール、たな卸し用資産として持っておりますものが十一万五百ヘクタール、合計二十八万六千五百ヘクタールでございます。これは大臣免許業者と信託銀行、それから一億円以上の知事免許業者千七百四十五業者に対しましてアンケート調査をいたしました。その八一・四%、回収率はきわめてよかったんでございますが、その数字でございます。このうちで、市街化調整区域内に持っております面積が、事業用としまして一万三百ヘクタール、たな卸し用としまして二万六千五百ヘクタール、合計三万六千八百ヘクタールでございます。  これは全国の数字でございますので、これをさらに三大都市圏で見ますと、首都圏、近幾圏、中部圏を合計いたしまして、事業用といたしましては合計二万八千五百八十六ヘクタール、三大都市圏でございます。それから、たな卸し用としまして三万八千六百八十五ヘクタールとなっておりまして、合計六万七千二百七十一ヘクタールであります。そのうち市街化区域の中に持っておりますものが、特にたな卸し用資産について申し上げますと、これが問題でございますから、その六万七千二百七十一ヘクタールのうちで、首都圏、近畿圏、中部圏のたな卸し用資産として持っておりますものの市街化区域内の面積が一万二千三百二十一ヘクタール、それから調整区域の中が一万五千三百四ヘクタール。それから、それ以外の線引きしていないところ、あるいは都市計画区域外というものがそれぞれ二千五百十四ヘクタール、八千五百四十六ヘクタールでございます。大体構成比を見ますと、このたな卸し用資産の市街化区域内に持っている面積の比率は、三万八千六百八十五ヘクタールという全体に対しまして、市街化区域内のものが一二%、調整区域内のものが四〇%、その他のものが二八%、こういった数字になっておるわけでございますが、さらに大手不動産、あるいは都市開発協会、不動産協会等が持っております大手不動産について調べた五十年の四月二十二日の表が別にございますので、これを簡単に申し上げますと、市街化区域内で持っておりますものが百九十社で、合計全国で一万一千百ヘクタール、市街化調整区域の中が一万六千二百ヘクタール。三大都市圏では、市街化区域内に持っておりますものが八千二百ヘクタール、調整区域内のものが一万二百ヘクタールという数字に相なっております。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 ぜひそういう非難を受けないように、買収あるいはその他の面について留意をしていただきたいと思うのですが、さて、宅開公団が開発する場合に、市街化区域に編入してからその開発をするんだと、こういう話を聞いているんですが、その編入手順というのはどうなるんでしょうか、説明をしていただきたい。
  118. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団が線引きによって編入いたします場合の手続としましては、まず地元の関係市町村等と協議をするとともに、県の段階におきまして都市計画部局と農林部局と、主としてその部局で相談をいたしまして、最終的にはこれは都市計画法によりまして農林大臣と法定協議をすることとなっております。したがって、線引きを知事が行います場合には、その場合に農林大臣と協議をして、そして知事がよろしいということになって都市計画の変更をするということに相なります。これが法律上決められているルールでございます。私どもはこれだけの大きな宅地開発公団事業用地について計画的な市街化を図ります場合には、原則としましては、まず編入しておいてから買収に入るということを考えておりまして、一部所定の手続の進行中に買収することがあり得ると思いますが、それはいま言いましたような手続が終えていて進行中であるというような場合に限ってやりたいというふうに考えておる次第でございます。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、従来だと線引きをしてから編入するわけですが、編入をしてから買収するということになりますと、買収価格の問題が出てくると思うのです。調整区域ならこうだと、市街化区域ならこうだと、調整区域と市街化区域との間におのずから価格の差というものが出てきます。そうしますと、用地の買収に当たってどの時点で価格を設定するのですか。
  120. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のとおり、従来は地区が決まりますというと投機が起こりまして、これを防ぐための有効な手段がないために、まず土地をひそかに——ひそかにと申すと語弊がありますけれども、まず先に余り計画を明確にしないで買っておいて、それから計画を決め、そしてその段階で水だとかあるいは鉄道だとか、こういう問題を処理するというきわめて順逆を誤ったような計画のやり方になりがちであったということを反省いたしますときに、いまたとえば国土利用計画法に基づく規制区域というような制度ができまして、こういった開発を総合的に行いますためには、計画を明らかにしても投機的な値段が上がらないようにする手法が確立されたという、そういう手法がそろいましたので、私どもは原則として、先ほど申しましたように編入を行って、しかる後に買収に入るという姿勢が可能になったというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その前提といたしましては、その計画を発表いたしましても事前に国土利用計画法による規制区域等の手法、あるいは都市計画法による調整地域のままでありましても、先行的に市街地開発事業予定区域の指定というような制度をフルに活用することによって、こういった姿勢をとらなければいけない。また、それをとるような手法ができたというふうに考えているのでございます。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 要するに、編入後買収に入るけれども、もろもろの規制の網をかぶせるので価格の不当な騰貴というものは防止できると、こういうお考えですね。  次に、これはまだ私どもはこの法案に反対なんですが、宅開公団の第一号の供給開始年次というのは一体どういうふうに頭に置いて、いまこの法案の説明に当たっておられるわけですか。
  122. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 五十年度におきましては二千五百ヘクタールに着手するという計画になっておりますが、これは逐年着手をふやしていきまして、まあわれわれは最終的には宅地そのもの、ネットといたしましては一万一千ヘクタールをこの公団の開発すべき一つのめどとして考えておりますが、それを生み出すためには、ミディアムグロスと申しますか、一万六千ヘクタールぐらいの宅地をつくらなければなりません。そのためには三万ヘクタール近くのものに着手しないといけません。と申しますのは、公共施設その他の施設の用地が必要だからでございます。こういう着手を行ってこれからまいる過程で、一般的には最盛期は五十七、八年度に来ると思うのでございます。そして六十年までに七割が供給でき、六十年以降に大体三割ぐらいが宅地として供給されるというようなベースを考えておるわけでございますが、いまおっしゃいました第一号はいつごろ来るかという御質問はきわめてむずかしい問題でございますが、もしそのままでまいりますと、やはりこれだけの大きな宅地開発でございますから、いままでの経験でいきますと、通常五百ヘクタールぐらいのものでありますと七、八年、一千ヘクタールぐらいものでありますれば大体十年ぐらいを要する計画でございますが、もし仮に他の施行者が現在施行中のものを引き継ぐというようなものがありますれば、それよりも早く第一号が出ると思いますけれども、それを考えません場合には、したがって五十五、六年ごろから工区ごとに第一号として出てくることが考えられます。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、予定したのは、足の問題とか水資源の問題とか、それから関連公共の公益施設の整備と、こういう問題がとうとう申し合わせの時間で残ってしまったわけですが、時間が来ましたのでこれで一応終わらしていただきますが、要するに先ほど御説明があった住居移転の自由というもので大都市の人口の膨張というものを抑えることができない。だから、こういうふうないわば後追い行政のような宅開公団という考え方が出てきたと。私一面には、やはり大都市の人口の膨張というもの、また周辺地域に与える影響というものは、こういうスプロール、まあスプロールじゃないのですが、それに当てはめてかっこうをつくるのですが、これを野放しにしていくことが政策上よろしいのかどうかという問題はどうしても出てきます。で、人口がふえるから、こういう宅開公団法の手法を考えて、周辺地域にその宅地供給を延ばしていく、そうすると、いまの大都市の抱えているさまざまの欠陥というものは、やはりこれは解決されないで一層複雑化されてしまう。こういうことが都市行政としてよろしいのかどうかということの批判というものは、どうしても私はぬぐい去ることができませんし、また住宅公団が今日までせっかく苦労をし、そうして壁にぶち当たっている。新しい手法と言ってみたところで、その部分に私触れておりませんが、水の問題にしても、あるいはその関連公共施設の問題にしても、足の問題にしても、具体論の中から容易にこれが進展するとも思われない。こういう面から私どもは、討論じゃありませんけれども、この新しい法案には非常に消極的な立場をとっているわけです。それらの問題は、その部分に触れることはできませんでしたので、きょうは割愛をしますけれども、そういう考え方がある。現実に宅開公団で所期の方針が貫徹できるものかどうか、大臣の一応の所信といいますか、それを伺って、また留意すべき点、また将来見直さなければならぬ点、そういうものも含めて大臣の所信を伺って、一応きょうは終わりにしておきたい、このように思います。
  124. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) これは衆議院からずっとこの問題は議論をしておりまして、各委員さんのいろいろな御意見を聞いておりまして、私どももまことにそのとおりだと考えられる節もたくさんあるわけでありますが、じゃ、さればといってこのまま手放しでいいかということを考えてみると、やはり行政の責任を持っておる者は何らかの形で前進を考えなければならぬということになるわけでありまして、これはまあぜひひとつ御理解をいただきたいと思うのです。大都市周辺調整区域が主になると思いますが、そういうものを果たして大量に供給できるような形になるのかどうか、農地との問題等もありまして、私はまず適地を見つけること自体から非常に大きな問題だと思うわけです。これは率直に認めます。認めますが、しかし、現状を放任ができないということと、このまま放任するということになれば、やはり中心地区から三十キロ圏、四十キロ圏、あるいは五十キロ圏へだんだんとスプロール化していくおそれがある。さらにそこに大きな問題点を生ずることは、これまた想像にかたくないのでありまして、そういうことをそのまま放任せずに、やはりやるとすれば、困難であるけれども、秩序ある開発を図っていくということが行政上の責任ではないかと、こういうふうに考えまして、住宅公団でそのままいけるのじゃないかという考え方、二つに割って宅地部門と住宅部門とに分けたらいいじゃないかという考え方、いろいろあるわけでありますけれども、現状ではいろいろ検討をした結果、この三大都市圏に関する限り、この公団によってひとつ思い切った権限と能力を持って強力に進めていくこと以外にいまのところ行くべき道はないのじゃないかと、非常にむずかしい問題だけれども、われわれは全力を挙げて目的達成のために努力をせなければならぬ、これは私ども一つの政治の課題であると、かように存じております。野党には野党のいろいろ考え方もあるようでありますが、そういった点をひとつ御理解をいただきまして、むしろ御協力を賜りたいと思っております。
  125. 二宮文造

    ○二宮文造君 お断りしましたように、具体的な問題で触れられない問題が出てまいりました。関係の皆さんにせっかくお忙しい中来ていただいたわけですが、大変失礼しました。運輸省の方、あるいは自治省の方、大変失礼しましたけれども、時間が来ましたのでこれで終わりたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
  126. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 宅開公団法の問題について、幾つかの問題点をお聞きしたいと思います。  私たち共産党は、住宅問題の解決のためにニュータウンをつくっていくということ自体には反対ではありません。しかし、大塩計画局長の衆議院段階での答弁を見ますと、大体モデルは千ヘクタールにしたい、千ヘクタールから二千ヘクタールぐらいのニュータウンを三大都市圏につくるという答弁ですね。私、説明を建設省の方に聞きましたら、大体陸の孤島ですね。この三大都市圏のヒトデのように都市化が広がっているけれども、この指と指の間、鉄道のないところ、つまり陸の孤島に大体つくりたいという話です。千ヘクタールから二千ヘクタールと言いますと、大塩さんの答弁で五百ヘクタールで五万人の人口だと。千ヘクタールで十万人、二千ヘクタールになると二十万人。三大都市圏のところに、陸の孤島のようなところに十万、二十万の新しい土地住宅問題の解決を目指してこれからつくるというと、これは非常に大変な法案で、審議を研究すればするほど、また答弁をお伺いすればするほどなかなかこれは大変な問題で、大きな問題があるということを感ぜざるを得ません。ですから、住宅政策また都市政策国土政策、こういう三つの面からいろんな問題が生まれているわけで、私は衆議院段階の審議、それからこの参議院の建設委員会での審議を踏まえながら、一つはやっぱり住宅政策基本の問題、それから大資本の土地投機に対する規制の問題、それから地方自治体との協調の問題、それから都市政策の問題、五番目に住宅公団との関係の問題、五つの問題点にしぼって、いただいた時間の範囲内でお伺いしたいと思います。全部お伺いできるかどうかわかりませんけれども、少しスピードを上げて問題点をお聞きしたいんです。  第一の問題は、やはりこの住宅政策基本で、これはこの委員会でも各委員が必ず取り上げた問題です。それから一般の新聞でも、ことしの五十年度予算賃貸分譲の比較が史上初めて逆転したということに関連して、朝日、毎日、読売、その他すべて、やっぱりいま住宅政策の最大の課題は公共賃貸住宅の大量供給なんだと。その点での逆行を非常に心配しているわけですね。宅開公団、問題になったときから、橋本幹事長が言い出したときから、一戸建てのマイホームを皆さんに持たせると、選挙対策というので四十八年二月に打ち出したとき新聞が大きく書いたので、大体これは賃貸住宅じゃなくて、一戸建て土地を選挙政策とも結合して公約したいという性格のものとして受け取られる点があるわけですね。ですから、やっぱり国民あるいは一般の言論機関がこの法案の問題で一番問題にしているのは、そういう公共賃貸住宅という建設省政府方針が、この宅開公団の法案によって一体逆転しているんじゃないかという疑問があるわけです。この点やはり私はもっときっちりここで詰めておく責任が国会としてどうしてもあると思うのです。  ことしの二月二十七日に春日委員がこの建設委員会住宅政策問題質問しまして、大臣はそのとき、今後公的住宅賃貸を特に大都市を中心にして必要な量だけ確保する、これに全力を挙げることが今後の住宅政策基本であるというふうに答弁をされました。新聞を拝見しますと、五月三十一日の、閣議後の記者会見でも「持ち家分譲住宅住宅金融公庫の拡充で満たしていく一方、公的住宅賃貸中心でやっていきたいと述べた」と報道されておりますけれども、この住宅政策基本は不変であるのかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  127. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 大体持ち家賃貸かという問題をどう選択するかということは、これは国民需要によって決めなければいかぬ問題で、われわれが持ち家は幾ら、賃貸は幾らというふうにそんなに簡単にシェアを決めるべきものじゃないと思うのです。ただしかし、本当に住宅に困っておる人、本当に賃貸を望んでおる人は、大体国民の中でも低所得層の人であるということは一応考えられると思います。そういう場合に、一体それを救うのは結局公的機関でなければならぬ、公的な立場からでなければならぬということになると、住宅公団のようなむしろ公的な機関として施策を進めていくためには賃貸というものが重点に置かれるべきであると、そういうふうに私は思っております。そうして持ち家住宅が本当に必要な人は、これはやはり融資によってそういう人たちの期待にこたえていくという形が私は大筋ではないかと思っております。だから、これは専門的にはまたいろいろ検討の余地はありましょうけれども、第三次の方向は私はそういう方向検討を進めるべきであると、かように思っております。
  128. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私ども持ち家政策不必要と言っているわけじゃないので、住宅金融公庫の改善などについては私ども努力しておりますけれども、ただ、いまの大臣の答弁、それから先日の委員会でもありましたけれども国民持ち家を希望しているということ、これが大きな論点になってくる。もちろん庭つき一戸建てがいいというのは、私ども社会主義国へ行って聞いてみましても、社会主義国はほとんど公的賃貸ですけれども、やっぱり庭つきの住宅がいいということはみんな言いますよ。しかし、都市政策として考えたときには、当然公的な賃貸住宅基本だということは世論として社会主義国なんかはあるわけなんです。ところが、政府の答弁あるいは施策を見てみますと、一応口では公的賃貸住宅中心と言いながら、世論が多いと、いろいろ世論調査の結果などを出しましてね、その点をひとつ理由にされている。しかし、これはぼくは本当に都市政策住宅政策国土政策という観点からいって、世論調査すると持ち家志望が多いということを理由にして、実際には公的賃貸住宅中心の政策をやっぱり歪曲したり、逆行させたりする口実になりかけているんじゃないか。その点では国の住宅政策都市政策のやはり指導性が必要になっているんじゃないかと思うのです。  私、先日東京都に行きまして、いろいろ東京都の考えを聞いたんですが、東京都の住宅対策審議会で都営住宅条例の一部改正の諮問に対する答申というのが去年の七月に出ている。これは私は非常に住宅政策の理念として、いまの時点でかなり高いものが盛られていると思うのです。全部これは紹介する時間がありませんけれども、やっぱり住宅というものは人間性の回復を促進する場で、子供を育てる場で、同時に地域社会を構成する基礎単位だと。だから、大都市においては、個人的な消費手段あるいは持つ財産というのじゃなくて、社会的生活手段としてみんなが利用していくものだという方向に進まなければならない。ですから、こういう点で言いますと、非常に人口の流動性の高い、過密の激しい東京においては、持ち家希望が都民の意識としては多いけれども、意識の転換をやはり図っていく必要があるという点を思い切って出しているのですね。この意識を定着させるためには大量の公共住宅のストックと、それをつくり出すことが必要なんだと。だから、公共賃貸住宅のシェアを思い切って拡大するという、都市政策基本を据えることが大事だということを言い切っているわけです。  御存じのように、西欧諸国では公共賃貸住宅のシェアが大体三〇%から五〇%、日本全体で七%ぐらいですね、東京では九%。ところが、東京では三百七十万戸ぐらいの住宅のうち九%しかなくて、木賃アパートが百万戸あるという状況であるわけです。だから、持ち家志望は大きいけれども、いまわれわれが当面している状態から言えば思い切って、たとえば東京で九%のシェアを三〇%までに拡大していく。そして家に困っている人人、百万の木賃アパートに住んでいる人たちの希望にまずこたえて、そうして東京都の都市計画を進めていくという基本に立つことが最も重要だと思うんですけれども、その点、住宅局長にお答え願います。
  129. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 先生のいまお話の中にございましたけれども、公的借家の現在の国内における住宅のシェアは約二百五万戸、六・九%ということでございます。ただ、これにつきましては昭和三十三年には六十一万四千戸、三・五%でございました。昭和三十三年、三十八年、四十三年と、ずっといろんな統計調査をやっておりますけれども昭和三十三年に比べますと約三・何倍にふえておるということでございまして、相当努力をしてまいっておるつもりでございます。  それから全体の住宅の中の持ち家と借家のシェアにつきましては、現在では持ち家が五九・二%、借家が四〇・八%でございます。全体といたしましても、昭和三十三年では持ち家が七一・二%、それから借家が二八・八%ということでございましたので、全体の国民皆さんの選択の結果では、やはりいまのところ持ち家六、それから借家四という結果になってきたということだろうと思います。  それから現在の持ち家、借家という区分につきましては、先ほど大臣の答弁にございましたとおり、国民皆さんの選択がまず第一だという基本の姿勢でおりますけれども、やはり社会的流動層、それから母子家庭、低所得者方々等に対しましては、まさに低家賃公的賃貸住宅をふやすということが基本の第一であることは間違いないと思います。ただ、アンケート調査というんではなくて、住宅需要実態調査というのをやはり住宅のいろんな数を決める際の基礎にいたしております。そのときに、やはりここ五、六年の間に、本当に実需としてあなたはどのような住宅に対する御希望をお持ちですか、そのための貯金をしていらっしゃいますかというようなことを聞きます。そういうもので聞きますと、具体の計画を持っていらっしゃる方というのが国民皆さんの全部で約四三%ぐらいあったと、その中でやはりいろいろな借家に住んでいる方、持ち家に住んでいる方、それぞれの方の希望がございますが、現在の借家に住んでいらっしゃる方等の中で、やはり今後持ち家を持ちたいとおっしゃる方が七割ございました。四三%の七割ですから、二八%ぐらいになりましょうか、それぐらいの方々については、実需として持ち家を持ちたい希望があるというふうに一応の判断も持っておるわけでございます。  ただその場合に、持ち家と言いましても、日本全国ではやはり庭つき一戸建てというものが相当希望が多いと思います。しかし、現実の問題といたしまして、東京の環六の内側で、今後もたとえば庭つき一戸建て供給していくのかと言われますと、それはできないと思います。むしろそういうところには環境のいい、大きい公的賃貸住宅のアパート形式のものを供給していくというようなことになろうかと思います。しかし、大都市の周辺の郊外部におきましては、やはりいろんな供給の仕方といたしましては、一戸建て持ち家供給できるんじゃあるまいかと、それらのことをうまくバランスのとれた供給をしていきたいということで五カ年計画策定等に努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  130. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもやっぱり持ち家問題では、結局要望が強いということを言われるんですけれども、データ挙げませんけれども、約二千万円近い価格のものを一般庶民が持つことができなくなっておることは明白なんで、いま住宅局長が、第一はやっぱり公共賃貸住宅だと言われておりましたので、その点を一応政府基本だと認めて、宅開公団法に基づく問題に入りたいと思います。  この前からの質問で、きょうも大塩さん答えられましたけれども、大体モデルとしては面積で六対四だと、戸数としては三対七だと、これは一戸建てと それから集合住宅比率ですね。ところが、集合住宅の中にもまた持ち家があるわけで、分譲住宅があるわけですね。  公団にお伺いしたいんですけれども、たとえば宅開公団がつくる、それを公団に売る、それで公団集合住宅を建てると、その際分譲とそれから賃貸比率ですね、これは大体どのぐらいになると見通されますか。
  131. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 公団の大体の、これは事業計画予算によって決まって、各年度におきまして建設大臣の認可を受けて決めるんですが、ただいまのところ賃貸四割、分譲六割と、こういう比率になっております。ただ、分譲の中に実質は賃貸——社宅であるとか民営賃貸というものが入っておりますので、実質的の賃貸分譲比率は五二対四八と、五二が賃貸であって、四八が分譲と、こういうことになります。
  132. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの答弁で明らかなように、集合住宅戸数で七割できるけれども、そのうち賃貸は四割だという計算をしますと、〇・七掛ける〇・四で、〇・二八です。そうしますと、大体宅開公団で千ヘクタールのものを建てましても戸数で大体〇・三以下だと。いまのように分譲の中に実際上賃貸も社宅その他あるというのを計算しても〇・五二でしょう。〇・七に掛けて〇・三五です。そうすると、宅開公団ができて、そこにできる住宅というのは、面積の、一戸建てが六割、あと集合住宅できるけれども、そのうちの賃貸が〇・二八から〇・三五ぐらいだと、大体三割前後しか、戸数でいっても賃貸住宅というのはないわけですね。そうすると、これは明らかに持ち家中心だと、建設大臣仮谷さん、どうしてもその住宅戸数の中で三割前後しか賃貸がないんですよ、いまの答弁でいきますと。これで公的賃貸住宅中心だと、基本政策貫かれていると大臣答弁できますか、はっきり答えてください。
  133. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 住宅公団分譲されます住宅につきましては、もちろん住宅公団もたくさん卸売をいただきたいと思っておりますけれども、同時に公営住宅公社住宅等の敷地も卸売するわけでございまして、国全体の基本方向大都市地域における賃貸重点と言っております以上、そういうような方向で運営されるというふうにわれわれ考えております。
  134. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと逃げた程度だけれども、余り逃げ方はうまくないと思う。大体だから七対三で、戸数は七割賃貸であるかのようにちょっと思わされてきたけれども、よく突っ込んでみると、賃貸戸数はきわめて少ない、半分以下だろうと思うのです、私は。やっぱり三割前後。公営住宅の方は分譲は余りないと言われるかもしれませんけれども、それは細かい計算を私はするのが目的じゃない。だから、明らかに戸数の中でも半分はないと、そうすると、建設大臣、絶対これは公的賃貸住宅中心と言えないですよ。持ち家中心主義になってくる。  その次に、やっぱり価格の問題、これを考えてみても、これは住宅政策に大きなゆがみが生まれることは明らかです。大塩さんは先日の答弁で詳しい試算を発表されまして、土地は大体六百二十万だと、坪十万円で七十坪と、それから上物が二十八坪の家で坪当たり二十七万二千円で建てて幾らでしたっけ、七百何十万でしたかな、合わせて千三百幾らだと、これは第三分位の中以上の方が買えるんだという説明をされた。しかし、私はこの計算は全く成り立たぬだろうと思う。先ほどの答弁でも、第一号が売り出されるのが昭和五十六、七年だと言うんでしょう。そのときに坪十万の土地が一体売れるかと、それから建坪、坪当たり二十七万円で建つかと言うんです。現にいまでも坪当たり、大体大工さんに聞いてごらんなさい、四十万円ですよ。二十八坪の家を建てると一千万円以上かかる。私は千葉ニュータウンの実態調査しましたが、千葉ニュータウンは最初二千円から二千五百円で買ったんですよ。それがいま分譲しますと、坪当たり十五万円にどうしてもなると言うんです。二千円から二千五百円で数年前買った土地をずっと造成して、あの千葉ニュータウンが、三千ヘクタールでちゃんと県営鉄道も敷きまして、大体似たような構想ですよ。それが坪十五万円かかるんですよ。そうしますと、昭和五十六、七年に第一号を分譲をするという大塩さんの計画が、千三百万円ぐらいで分譲できるはずがないです、上物を建てて。絶対に二千万円超します。そうしますと、これはまた非常に大きな問題起きるんですけれども、大塩さんは、第三分位の中ほどぐらいまでは持ち家ができるんだと、売れるんだ、買えるんだということを言った。  ところが、宅地審議会の中間答申によりますと、第三分位までは公的賃貸住宅にするということをはっきり中間答申でも述べられている。だから、第三分位までは、いままでの政策では公的賃貸住宅主義なんです。ところが、大塩さんは、第三分位の半ばまで持ち家できるようにと、実際そういう口実にしながら何か安いものをつくって第三分位まで今度は公的賃貸住宅じゃなくて持ち家だという幻想を抱かせながら、実際には二千万円、三千万円で、絶対そういう人たちには買えないような、つまり中位の、中の上から高位の所得者層だけの、それが戸数でいってどうですか、やっぱりさっき明らかになったように六割から七割を占める。そういうものを公的資金を、膨大な金を投入して国の政策として実行しようということだと思うんですね。これは私は明らかにこれまでの公的賃貸住宅中心という、何回も繰り返されてきた政府政策を曲げるものだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  135. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 私が先般一戸建て住宅の場合と集合分譲住宅の場合に分けまして一つの試算を、四十九年度における階層分位でもって一つの試算として申し上げましたのでございますが、ただいま御指摘のありました点について二、三その数字の釈明をさしていただきますと、まず第一は、その十万円という水準でございますけれども、これは過去の住宅公団の処分例によりまして首都圏の、算出すればという前提で、約八万九千円ということを申し上げたのでありました。これは取得の時期は現在より前になりますから、したがってこれよりも高いであろう。したがって、現在の水準で言えば十万円程度をめどとしてということを申し上げましたのでございますから、昭和五十五年ぐらいになりますと、その現在の十万円というめどの水準はどれぐらいになるかということは明らかにできませんけれども、その水準をめどとしてということを前提としてお話ししたつもりでございます。  それから第二点は、第三分位の中ほどぐらいから購入できるということを申し上げました。それは購入し得るという可能性を申し上げましたのでありまして、これは賃貸住宅重点を置き、第三分位の人たちはできるだけ賃貸住宅のゆったりとしたものを供給する方向が正しいというような説と矛盾するものではないと私は考えております。  それから戸数につきましてでございますけれども、いろいろ試算の方法があるわけでございますが、たとえば千里あるいは泉北の例で申し上げますと、分譲賃貸比率は、大体戸建て集合比率に見合っておりまして、大体四、六だというふうに、分譲四、賃貸六だというふうに思いますのは、戸建て方式が千里の場合は四一%、集合住宅が五九%、大体四対六になっておりますが、その戸数を見ましても分譲が四割、それから賃貸が六割であります。泉北も全く同じであります。大体戸建てが三九%、集合が六一%、それに対して戸数で言いますと分譲が四〇%、賃貸が六〇%。こういった傾向をとらえまして、千里、泉北の例で言えば、こういう四、六という比率が、賃貸分譲で言いますと、戸数としては四、六という、集合戸建てと並べて考えますと、こういうぐあいになりますということを申し上げたのでございます。高蔵寺については若干違いますけれども、大体その数値、傾向はうかがわれるのでございます。
  136. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 可能性があるということですが、かすかな可能性、祈るような可能性の上にこういう法律をつくって国費を投入するということは許されないと思うんですね。  それから分譲賃貸比率の問題は、それは千里と泉北の例であって、ことしの予算からは公団の場合にも六対四に変わったのですよ。だから公団の総裁は、ちゃんとことしの政府の戦後初めて逆転したという方針に忠実にこたえて、分譲六、賃貸四と言われた。あなたのはその以前のもう少しよかった時代の例を言われているので、いまの政府方針は違うと思います。  私は、こういう問題を出したのは、明らかに宅開公団には公的賃貸住宅を軽視して持ち家主義を導入するという明白な目的がある。それは法律の第一条自身が明らかにしていると思うんです。日本住宅公団法の第一条には、周知のように、「日本住宅公団は、住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模供給を行うとともに、」というふうに目的がはっきり規定されているんです。「住宅に困窮する勤労者のために」ということを目的にうたっている。ところが、住宅公団と大体同じ仕事をするのだけれども、いろいろな理由があって今度特別に新しい機構をつくらなければならぬ、これは能力が限界だとかなんとか、いろいろなデパートと専門店の例など言われておりましたけれども、この住宅公団の精神はそのまま引き継いで、ただ機構上を新しくすると、機能を与えたものだと言われる宅開公団法の第一条には、こういう条項が明らかに抜き去られているわけです。ないのです。「住宅に困窮する勤労者のために」という項目がないのです。何でそれを抜いたのか。宅開公団は、「人口及び産業の集中が著しく、」云々と、「住宅の用に供する宅地の大規模な造成を行い、」云々となっていて、「住宅に困窮する勤労者のために」という非常に重要な項目を第一条の「(目的)」から抜いてある。これを忘れたということは成り立たぬ。建設大臣、何で抜いたのですか。建設大臣にお聞きしたい。
  137. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 住宅対策のために大量の宅地供給するということは、ことさらにそこに勤労という言葉を入れなくても、これは現実の問題としていかがでしょうかね。本当に住宅の欲しい人の階層というのはわかっているでしょうが、住宅の本当に欲しい人というのは。その住宅問題を解決するために住宅地供給すると、こういうことでしょう。
  138. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、なぜ住宅公団法にあったものを宅開公団法には抜いたのか。理由をはっきり答えてください。
  139. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 事務当局から答弁させます。
  140. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 住宅公団におきましても「住宅の不足の著しい地域において、」ということがございます。これは宅地開発公団法においても表現こそ違え、「住宅不足のはなはだしい大都市の周辺の地域において、」、その次に「住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅」という言葉がございます、その次に住宅公団の方におきましては、「及び宅地の大規模供給を行うとともに、」とあります。で、住宅公団は二つの目的、大きく分けて持っておりまして、一つは、耐火性能を有する住宅困窮者のためのできるだけ低廉な住宅供給するという使命を持っておる。もう一つは、大規模住宅供給を行って健全な市街地を造成するという目的を持っておる、再開発もございますが。そこで、宅地開発公団は、上物は、これは先ほど来申し上げておりますように、上物は卸と申しますか、上物は建てないわけでございますから、「住宅の用に供する宅地の大規模な造成を行い、」というふうにいたしたのでございまして、住宅公団の方の「大規模供給を行うとともに、」というふうな表現と軌を一にしているというふうに考えまして、住宅に困窮する世帯に、あるいは公営住宅でございますと、もっと低額所得者のためにということの表現は、その上に建つべき住宅の建て方の問題に属するというふうに考えまして、この宅地開発公団におきましては、あえてその困窮者のためにというその上に建つ住宅を含めての表現は必要でないというふうに考えた次第でございます。
  141. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 公団総裁にお伺いします。いまの局長の答弁は、この「住宅に困窮する勤労者のために」という言葉を、これは住宅にだけかかるのだ、宅地にはかからぬのだという解釈でございますね。公団の総裁は、この点あなた方の——あなたが責任をお持ちになっている公団目的という大事なところですけれども、どう解釈されますか。この「住宅に困窮する勤労者のために」というのは耐火構造を持つ住宅にだけかかるので、宅地の方にはかからないと、そういうふうに思っておりますか。
  142. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 私どもは、設立以来「住宅に困窮する勤労者のために」ということで……。
  143. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 住宅宅地もそのためにやっているのでしょう。
  144. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) そのためにやってきておるのでございます。
  145. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やはり大塩計画局長のは詭弁だと思う。そういう法律解釈、成り立たぬ。住宅公団法というのは、「住宅に困窮する勤労者のために」というのは住宅だけにかかっているんじゃないですよ。住宅宅地もそうなんです。それをあなたは非常に妙な解釈をして、前にだけかかるということにして、宅地開発公団住宅は建てないのだから、宅地をつくるという点ではこれは要らないのだというふうな解釈をなさいましたけれども、私はこれは成り立たないと思う。いかがでしょうか。
  146. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 強いて低廉な住宅用地供給するためにというふうに書かなかったのは、宅地開発公団宅地の大規模供給を行って、大都市周辺卸売をやるんだというところに重点を置いて規定したものでありまして、もちろんその内容といたしましては、できるだけこれを低額所得者にも譲渡できるようにするということは一つ目的でありますから、これは言わずもがなであって、問題は良好な健全な市街地としてそれを大量に供給するというところに力点を置きましたので、そういう表現をあえてとらなかった次第でございます。
  147. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はこの問題はやはり大事だと思うんです。先ほど言いましたように、今度の宅地開発公団というのは、みんなが心配しているのは、本当に住宅に困っている低所得者層のために仕事が進まないで、高所得者層の一戸建て住宅のために国が大きな公的資金を投入していくのではないかと、そういう方向にいくのは困るという世論が大きいわけですね。それは、歯どめをするためには、私は日本住宅公団法にあるような「住宅に困窮する勤労者のために」という言葉があるかないかというのは大事だと思うんですね。住宅公団法にあるのにこれを抜いてしまったと、抜いてしまった以上、困窮していなくても、やっぱり高所得者で金があって、まあひとつ買おうという人でもこれはいいと、その戸数の方がはるかに多くなって、半数以上になっても、それは法律の目的からいったって違法じゃないんだという解釈が成り立って、そういう方向に運用される危険があると思う。あなたは、なくもがなだと言ったけれども、あってもいいんでしょう。もし本当にあなたが勤労者のためにやるおつもりなら、そのための法案をつくるんなら、これはあってもいいし、あった方が歯どめになると思う。建設大臣、この項目を入れるという修正を政府として再考する余地はありませんか。
  148. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) あのね、局長からもいろいろお話しなさったように、大量供給、卸ですね、だからその卸を受けるのは、公団でもあるし、公社でもあるし、地方自治体でもありますよ。それを買い受けした人が勤労者のための住宅をつくる、公営住宅もつくるということなら、私はむしろ住宅を建てる人自体の考え方の問題であって、無理にそれをこの宅地へ勤労者を入れなくても——そうすると勤労者以外には絶対売れないということになるでしょう。中には一戸住宅のものも考えなければならぬですよ。これは一つの何というか、住宅団地といいますか、住宅市街地をつくるんですからね。その中には公団住宅もあるし、公社住宅もあるし、公営住宅もあるし、戸建てもあるし、そうして一つの町をつくっていこうというんですから、あなたのようにおっしゃったら、それ以外には絶対供給できないということになるでしょう。余りこだわることないんじゃないかという私は感じしますがね。
  149. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いやね、それは形式論理でね、住宅公団法でこういうふうになってても、ちゃんと住宅公団だって一戸建て宅地分譲をやっているんですから、違法じゃないんでしょう。だから、こういう目的を入れても一戸建てもできるんですよ。しかし、全体の基本目的は、本当に住宅に困っている勤労者のためにというものが明らかになる。で、私はこの問題は重大な問題だということを指摘しますけれども、日本のわれわれのいまの住宅政策としては、公共住宅のシェアをいまの六%から本当に三〇%ぐらい、イギリスも三〇%です。その方向に本気で進めていくと、そのためには一般会計から公営住宅に対しても公団住宅に対しても、国庫補助を用地並びに建設に対してやっぱりもっとどんどんしていく、それからイギリスなどでも非常に長期の低利の住宅融資していますから、そういうものも考えるという方向に進まなきゃならぬ。共産党はそれを主張している。  ところが、その方向にいかないで、日本住宅公団法にあるこういう項目まで第一条から抜き去って、先ほど明らかにしたように、どうも一戸建て分譲ばかり戸数が多くて、賃貸住宅はわずか三割という数字がとにかく出てきているんです。そういうようなものをつくるというのは、これは私は明らかに住宅政策の逆行だと思います。住宅公団と別個にこういう宅開公団をつくる理由というのを私全部調べてみましたよ、あなた方の答弁とか。納得のいくものは一つもない。納得のいく、なるほどと思うのは、私はこの項目だと思う。やはりいままでの公的賃貸住宅を中心にした政策からその比重を弱める政策、それから一戸建ての高位の所得者層の住宅供給、そういう方向へ持っていくために、いままでの住宅公団法の目的の明らかに重大な要項も除いたそういう第一項をつくりまして、こういうものをつくろうとしているのがあなた方政府一つ目的ではないかという私は重大な疑惑がここにあるということを、まず第一に指摘しておきたいと思います。  二番目の問題は大資本の規制の問題です。この大資本の規制の問題、土地投機の問題、これもやはり非常に大きなテーマとして、衆議院でも、また参議院でもいろいろ議論になりました。それでいま二宮委員に対する答弁でも、三大都市圏で大きな——三大都市圏で約二万六千三百六十四ヘクタール、調整区域、白地区域その他にあるということになりますね。その中で大手の不動産が持っているのが、大塩さんは調整区域で千二百ヘクタールということを言われましたが、白地区域、都市計画外の区域、合わせますとどのぐらいありますか。三大都市圏で大手の不動産が持っている土地です。
  150. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 先ほどの答弁の中では二種類申し上げました。大手の不動産と申しましたのは、昭和五十年の建設省の方で調べました百九十幾つかの、二百社近い大手の不動産業者の所有しているものでございまして、前段で申し上げましたものと調査の中身が違っております。そこで、百九十社の回答を集計いたしましたところによりますと、不動産協会、都市開発協会傘下のたな卸し資産である土地の保有状況ということで、市街化区域では全国で一万一千ヘクタール、三大都市圏では八千二百ヘクタール、市街化調整区域におきましては、全国で一万六千二百ヘクタール、三圏では一万飛んで二百ヘクタールというふうに申し上げました。
  151. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 白地区域は。
  152. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 都市計画区域外の白地区域、あるいは線引きがされていないところ、あるいは都市計画区域の外、この二つに分かれますが、それぞれ全国で白地区域というのは三千八百ヘクタールでございます。で、三大都市圏では九百ヘクタール。それから都市計画区域外でございますと、全国で二万三千八百ヘクタール、それから三大都市圏では三千三百ヘクタールです。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、三大都市圏で百九十社の大手の不動産などが持っておるのは、調整区域、白地区域、それから都市計画外区域なども含めますと、約一万四千四百ヘクタールですか——ということになります。つまり三大都市圏で市街化区域以外に約一万四千四百ヘクタール大手の不動産が土地を持っているということが明らかになっているわけです。で、この問題はやっぱり一般の社説その他でも、世論も、国会でも問題になって、今度の宅開公団がこういう市街化区域にない開発の不可能な土地を持っている大手の不動産に対して救済になるのじゃないか、またその買い占めを促進することになるのじゃないか、土地投機を促進するのじゃないかという疑問なんですね。これは私ははっきり答えなきゃならぬと思うんですよ。で、先日の委員会でも大塩さんは、局長はこう言われたんです。土地投機は、いろんな規制ですね、土地利用についての規制だとか都市計画法に基づく規制だとか、こういうものでがっちり抑える、一切土地投機はさせないということを言われました。それからこの計画区域の中にもし買い占めてあった土地があったとしても、それは適正な価格で収用するから特別の救済策にはならないと、そう言われました。で、私はその二つの点はやっぱり積極的な答弁だと思うんですけれども、それだけではまだ問題は残されていると思うんです、これは手法の問題とかかわってくるから。  で、今度のニュータウンづくりのための手法としては、新住法に基づく全面買収、それから区画整理法に基づくやり方、もう一つ、これまで行われていなかったけれども、六百ヘクタール以上の大規模都市基盤整備に使われる新都市基盤整備法、この三つの手法で行われる。特に新都市基盤整備法というのは非常にふさわしいもので、初めて主体を得たのではないかという答弁まであったわけですね。そうしますと、私はこの新住法に基づく全面買収というのは、なかなか千ヘクタール、二千ヘクタールの土地についてはきわめて困難だろうと思う。地主の数も多いし、地主の方も全面買収よりは少しはうまみのある区画整理その他がいいという声が必ず出てきてますので、区画整理並びに都市基盤整備、この二つの手法に基づくものが多いと思われますけれども、手法別に言うとどのぐらいの比率になる予想でしょうか。
  154. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 手法別の比率というのはいま直ちに申し上げることは困難でございます。と申しますのは、地形により、あるいはその中に人家がどれぐらいあるか、あるいはその土地状況等によって条件が変わるからでございます。しかしながら、一般的に言いますと、全面買収が望ましいことは言うまでもありません。そこでわれわれは、一つのめどとして申し上げますと、大体従来の実績から言いましても、全面買収をやっている場合は、その中に約一%ぐらいの土地が、人家といいますか、建物の用に供されている土地ぐらいでないと全面買収は不可能である。しかもその中でまとまっておると、それは穴抜きと申しますか、それは区域の中に入れない場合が多いし、またそうしなければやりにくい。区画整理をやる場合には大体平均一・五%ぐらいのものが多いというふうにめどをつけております。いずれにいたしましても、やや人家が多いようなところで、しかし非常に適地であると、これはどうしても四割買収方式というのを使いまして区画整理やらなければならないというようなところであるかどうかということは、その他の条件、たとえば水だとかあるいは都心へ近いか遠いかとかいうような条件も加味されますが、総合的に見まして、一つのめどとして申し上げますと、やはり人家が多いか少ないかということは非常に大きなポイントになろうかと思います。ですから、その三つの手法でどれが一番適当かということは総合判断すべきものでありまして、いま直ちに比率を申し上げるわけにはまいりません。
  155. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 区画整理とそれから新都市基盤整備、この二つの場合に、地主の手元に残る面積、いろいろ公共減歩、保留地減歩もありますし、新都市基盤整備の場合には誘導地域どもありますので、大体どのぐらい手元に残りますか。
  156. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 土地区画整理の場合は、普通われわれがやっております宅地開発事業として使われております手法は、手法と申し上げるよりは、これは実際にそうしなければ宅地開発になじまないわけでありますので、三割ないし四割買収は三割が限度、それ以下しか買えないような場合には、これを集合換地いたしましても余り効果がなくて事業費がかかり過ぎるというような面からいたしまして、土地区画整理事業では大体四割買収ということを考えております。  それから新都市基盤整備事業につきましては、大体一定割合を買収収用するわけでございますが、それは大体五割を限度として行うわけであります。その場合、したがって残ります土地は区画整理の場合は六割ぐらい、それから新都市基盤の方は五割ぐらい残るということに相なります。しかし、さらにそれを集合換地して減歩するわけでございますから、それが両方にかかるわけでございます。大体そのとおりでございます。
  157. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、地主の手元に何割ぐらい残ることになりますか。
  158. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 土地区画整理事業の場合におきましては、大体公共減歩というものがかかりますから、公共減歩を仮に二割ないし二割五分というふうに考えますと、その六割のうち二割程度がなくなりまして大体四五%ないし四七、八%というものが地主の手に残る。新都市基盤の方の場合も公共施設の減歩がかかりますが、これは区画整理よりはやや集合するだけでございますので、公共減歩の比率は少ないかと思います。場合によってどれぐらい減歩がかかるかということは一概に言えませんが、大体一〇%前後ぐらいではないかと思います。
  159. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大体地主の手元に、双方の場合四割前後、もっと四割から五割の間残ることになると思います。そうしますと、個人地主の場合も残るし、それから不動産業者が買い占めて土地持っていても、法人地主の場合にもこの二つの手法の場合には四、五割の土地が残るわけですね。そうすると、非常に安い、恐らく山間僻地の陸の孤島みたいなところを買うというお話ですけれども、そこをもし法人が持っていた場合、この二つの手法でやると、とにかく四、五割残るのだ、自分の手元に。そうしますと、鉄道が敷かれて地価は暴騰していくわけですね。そうすると、開発利益というのは相当かなり大規模に法人のふところに転がり込むというふうに思う。  一つ伺いしたいのは、そういう際、地主あるいは法人の手元に残る四、五割の土地分譲していくとき、その価格だとか、あるいは面積だとか、どういうふうに規制するおつもりですか。
  160. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 一般的な議論として申し上げますと、区画整理をいたしましたその区画整理区域内の土地で、地主の手元に残ります土地につきましての価格は、それだけの土地の効用が上がりますから、それだけ地価も高くなる。それにつれていままで農地であったものが税金も高くなるということでございます。ただ、この宅地開発公団の場合に例をとって申しますと、私どもは先ほど全面買収が望ましいということを申し上げたわけでございますが、仮に土地区画整理なりあるいは新都市基盤の整備の方法をとりました場合でも、その周辺の価格が暴騰しないように、国土利用計画法等の規制の措置を十分活用できるのではないかというふうに、また活用しなければならないというふうに考えております。
  161. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと話が違うんですね。周辺の土地じゃなくて、都市計画をかぶせた地域です。ニュータウンの中で地主が四割ぐらい持っているわけですね、交換分合して。地主も宅地分譲なりいろいろ使えるわけでしょう。その際、あるいは法人が持っていた土地分譲するでしょう。そういうときに、その価格や、あるいは面積を不当に細分化したりなんかされないように、どういうふうに規制できるのかということです。
  162. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) その周辺と申しましたのは、事業用地集合換地しました周辺という意味でございまして、そのまた事業地でない周辺を言ったつもりはございません。
  163. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いずれにせよ、国土利用計画法その他でいろいろ規制できるとは言っても、たとえば最初に非常に安く買った土地が造成されて、局長に言わせると、いまの価格で十万円と言うんですけれども、恐らくそれよりはるかに高くなるでしょうけれども、そういう価格以上で法人地主たちももうけられるということは明らかなわけです。そうすると、絶対に規制できるというふうにはいかないわけです。全面買収の場合には恐らく収用できるでしょうけれども、やはり法人が先ほどの数字でも三大都市圏で調整区域初め一万四千ヘクタール以上持っているわけですから、ちょうどそこにかぶせていきますと、そこに持っている場合には、減歩はされるけれども、かなり利益が転がり込むという点。そうすると、その限りではやっぱり救済だという一般の批評というのは的を射ているというふうにまず第一に思います。  それから二番目の問題は、計画をかぶせた土地の中でも救済されるけれども、今度は鉄道を敷くわけでしょう。これはまたなかなか大変な問題が起きるわけです。たとえば千葉ニュータウンの例で言いますと、あそこに県営鉄道をずっと敷くわけです。いまのところ、あそこは市街化区域には千葉ニュータウンの三千ヘクタールしかかぶせていないけれども、実際に鉄道が敷かれますと、これは周辺は当然開発されるのですよ。これはもう経済的な論理の不可避性です。そうしますと、私が千葉県に行って、こういう場合、敷いた鉄道の周りを結局市街化区域に編入することになるのじゃないかと千葉の県の方に聞きましたら、やっぱりそうなるであろうと言うのですね。そうしますと、宅開公団がニュータウンをつくると、鉄道を敷くと、国土庁の土地白書にも都市化というのはヒトデのように鉄道を中心に広がっていくと、はっきり書かれておりますけれども、今度も鉄道を敷くとその周りにヒトデのように広がっていくのですよ。これはもう明らかなことで、そうしますと、われわれよりもはるかに法人、不動産業というのは専門家ですから、あそこにいよいよ宅開公団が始めるということになりますと、そこに敷かれる線路決定が行われると、ずっとその周りはやっぱり買うということも行われるだろうと思うのです。二番目に私は、だからそういう大手不動産、大法人の、宅開公団のニュータウンに向けて敷かれる鉄道近辺、これに対する投機、これはなかなか防ぐことができないであろうと、そう考えます。これは実例もいろいろあります。たとえば第五号線、千葉でやっておりますけれども、勝田台から西船橋、これ大体路線決定いたしましたけれども、たちまち京成、新京成、野村不動産が大規模宅地を路線決定のところにざっともう買い始めているのですね。こういう例は幾らでもあるのですね。だから、今度もそういうことをやると、二番目に、大体この鉄道の線路の周りをどんどん買い始めるであろうということが明らかだろうと思うのです。  それから三番目には、この宅開公団法がもし国会で成立すると、果たして宅開公団はどこに適地を求めて、どこを買うであろうかというその適地を目指す大競争が始まるであろうと思います。東京周辺の五十キロ圏を見てみますと、そういうところで安い土地はないであろうと思われておりますが、やはり五十キロ圏というのは大変広くて、千葉の方でもどこでもかなりあるわけで、ここに首都圏計画図というのがありまして、五十キロ圏というのがあって、そうするとヒトデの——鉄道と鉄道の間、恐らく丘陵地帯だと思うのですけれども、そこで適地、これは恐らく専門家だと大体わかるだろうと思うのですね。恐らく地主との話し合いも始まるでしょう。そうすると、やっぱり早耳の情報の集中する首都でありますから、大体あそこら辺、千ヘクタールのところを買うというのですからね。そうすると、そこをやっぱりやるのだということになれば、幾ら建設省の方が口がかたくて、宅開公団の幹部の方が口がかたくても、やはり地獄耳というのがこの業界のあれでありまして、恐らくそこへ向けて土地買いがやっぱり始まるであろう。これはなかなか防げないだろうと思うのですけれども……。そうすると、三つ目にやはり救済手段になる。すでに買ったところにかぶせてもらえれば、これでもうかるのです。それから鉄道を敷いてもらえれば、その周りを買うことによってまたもうかる。それから大体適地が決まりそうだといったら、そこをばっとやっぱり買うと。やっぱり三重に非常に困っている大資本に対する救済措置になる危険が私はきわめて大きいと思うのですけれども、その点どのようにそれを防ぐ用意がおありなのか、お伺いします。
  164. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、土地の投機的な仮需要というものを防ぐということは、この事業のみならず一般的に現在一番大きな課題でありますが、特にこの事業につきましては、いま御指摘のような事態が起こらないように十分配慮していかなければならないと考えております。そのためには、投機的なそういう風潮を冷やすためにも金融政策及び税制並びに諸種の規制の措置をもって、総合的に対処しなければならないというふうに考えておりまして、まず金融問題につきましても、昨今こういった投機的な土地の融資につきましての抑制措置というものが次第に浸透してきておりますが、さらにこれを十分注意しながらこの運用に誤りなきようにすることが第一であり、また税制につきましても、この法人につきましては、特に分離課税という制度を設けておりまして、税制上からいたしましても、適正利益の範囲内でなければ分離重課する、こういった制度ができております。また、国土利用計画法等における届け出制におきまして、そういう売買につきましては、従来と違いまして、いわばガラス張りの中での買取ということになりまして、そういう従来と違った環境の変化が生まれてきております。さらにまた規制区域というような制度を使いますことによって、これらの投機的な思惑買いを事前に防止するという措置を並行してとることができます。  以上申し上げましたような事柄を総合的に活用いたしまして、この投機的な土地買いが起こらないように、またもし仮にこれが行われましても、結局それが従来のような暴利というようなことにつながらないようにする必要があると考えております。
  165. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 非常に答弁抽象的だと思うのです。いろいろなことをやると、しかし、いままでもこういう土地買い占めについての十分な措置はなかなかなかったし、今後、いま私が指摘したような三つの問題点を一体どう防げるのかと言えば、私はいまの答弁では恐らく不可能だろうと、そう思わざるを得ない。  ひとつ具体的な問題についてお伺いしたいのですが、この問題も、これまでの審議で衆・参両院で常に問題になった千葉の市原ニュータウンの問題ですね。ところが、建設省側は先日もこの問題についてはまだ検討していないというお答えがあるだけで、あの千葉の市原ニュータウンをもし宅開公団が引き継いで、そうしてあの周辺に東急その他が買い占めている大きな土地ですね、これの非常に大きな救済措置になるのではないかという疑問に対しては、明確にそういう引き継ぎはいたしませんとかいう答弁をなさらないわけです。  住宅公団にお伺いいたしますけれども、この千葉・市原ニュータウン周辺の大企業による買い占め状況公団としては調査をしていると思いますけれども、どういう状況になっているでしょうか。
  166. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 千葉の市原周辺におきまして、御承知のとおり住宅公団が三つの団地の土地を持っておりますけれども、それ以外の土地につきまして、現在どうなっておりますか、調査をしたことはございません。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 調査をしたことはございませんと言われますけれども、私ども公団のこの調査を聞いておりますけれども、それによりますと、東急不動産が三千ヘクタール買い占めております。どの地域かということも完全に図がございます。それから角栄建設四百八十四ヘクタール、京急興業三百五十ヘクタール、日本電建二百四十ヘクタール、京成電鉄二百十九ヘクタール等々で四千六百七十八ヘクタール、この千葉の市原ニュータウンの周辺で不動産業による買い占めがすでに行われているわけであります。ですから、もしこの千葉・市原ニュータウンを宅開公団が引き継いでここに鉄道建設その他を進めるということになりますと、この五千ヘクタールに近い大企業の買い占め、これはもうねらってやっているわけですから、莫大なやはり利益が転げ込むというのは不可避的ではないかと思う。この問題も非常に大きな疑惑が出されて、住宅公団はすでに本当に現実にお調べになっているのに、調べていないと言われる。建設省側もこの問題についてはまだ検討しておりませんという答弁をされる。そうすると、やっぱり疑惑は残る。検討しておりません——じゃ検討してやる可能性がやっぱりあるんじゃないか。この場で、そういう疑惑の残るようなこの千葉・市原ニュータウンを宅開公団で引き継いで、この周辺の四千六百ヘクタールを超える大企業の買い占め地に特別の利益を与えるというようなことはしないということをはっきりお答え願いたいと思う。
  168. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) われわれは、まず第一に、東急不動産が買収いたしております千葉東南部の土地につきましては確実な調査をしておりませんので、現在どれぐらい持っているかということはわかりませんし、角栄建設その他につきましても正確な情報を持っておりません。しかし、三千ヘクタール予定していたというようなことは聞いたことはございますけれども、全部買っていないというふうに承知いたしております。飛び飛びに買われているというふうにわれわれは聞いております。その程度でございますが、いずれにしましても、もし仮に数社がこのような膨大な土地を持っておって、そしてそれがもし開発適地であるということに、まだ検討はいたしておりませんが、そういうことになりましても、その中でそれが本当にそのまま適地になるかどうか、水の問題はどうか、いろいろな問題を検討しなければなりませんが、結論としましては、決してそれらが究極において法人がそれによって利益したというような、あるいは救済になったというような形において疑惑の残るようなことは絶対にしないつもりでございます。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 疑惑の残ることは絶対にしないという答弁は積極的なものだと思いますが、ぜひそのとおりやっていただきたい。  公団は先ほどそういう調査をしたことはないと言われる。これは非常に不思議なことで、ここに「千葉・市原ニュータウン交通計画 千葉東南部・千原台地区内交通処理に関する調査及び検討」「日本住宅公団首都圏宅地開発本部千葉・市原開発事務所」という文書のコピーを私どもはちょうだいしております。これによれば、やっぱり交通計画で買い占めが進んでいるわけですから、そこへ団地がどんどんできた場合にどのぐらいの人数がふえていくかということが詳細な表になって書かれておりまして、私は、先ほど調査がないと言われましたけれども、その文書を住宅公団に——この市原ニュータウン付近の交通計画に関する調査及び検討ですね、これはやっぱり提出していただきたい、このことを要望いたします。
  170. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 私まだその実物を見ておりませんので、もしございましたら提出いたします。
  171. 中村波男

    委員長中村波男君) 上田委員の要求の資料を出していただきたいと思いますが、いいですね。
  172. 播磨雅雄

    参考人(播磨雅雄君) 私まだ現物を確認いたしておりませんのであれですが、公団の中にあるんでしたら提出いたします。
  173. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう一つこの問題に関連してやっぱり確かめておきたいのは、東京湾埋め立て問題ですね。これは新聞報道でかなり大きく報道されましたし、十年間で五十五戸、東京都で埋め立ててやるというのが日経、読売などに出ました。また、三井銀行も同じ構想を発表して、二十一万戸の建設をやったらどうかというのも出ましたし、今度の宅開公団法の中にも水面埋め立てという権限をはっきり持たされているので、この東京湾埋め立てということは公害問題その他非常に大きな問題であり、われわれはやるべきでないと思いますけれども東京湾の自然を破壊する東京湾の埋め立てはやらないということを言えるかどうか御答弁願います。
  174. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 東京湾の埋め立てに関しましては、現在東京湾の汚染度の許容量等がきわめて問題になっておる折から、環境問題に特に各省庁とも神経を使っております。こういう場合に東京湾の埋め立ては慎重にすべきであり、現在のところ東京湾の埋め立て考えておりません。  なお、公団の中に埋め立ての権限を書きましたのは、手法としてそういうものが必要だということでありまして、これを除くわけにいきませんので書いたのであります。東京湾の埋め立てを予定したものではございません。
  175. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いま私は二番目の問題として、この大資本の買い占め地、その土地投機、これに対する規制でまだまだ大きな疑惑があるという問題を出しました。疑惑がむしろ大きいことが私は確認されたと思いますけれども、時間の関係で次の問題に進みたいと思います。  三番目は、これも非常に大きな問題として議論されてきた地方自治体との協調の問題。これは一番大きなのはやはり行財政に対する圧迫でありまして、今度の法案に例の十年無利子据え置き、二十年償還という方向が打ち出されたことは私は前進だと思います。しかし、このことを評価するのにやぶさかでありませんけれども、果たしてそれだけで一体解消できるだろうか、地方自治体の行財政に対する圧迫が解消できるかどうかということがやっぱり大きな疑問として残ります。と申しますのは、大体つくるニュータウンの市町村というのは、それこそ山間僻地に近いというようなところで、非常に財政力の弱いところ、そこへぼんと十万ぐらいの都市をつくるわけですから、やっぱりなかなかの問題が起きると思う。私ども、春日委員と一緒に多摩あるいは町田に行きまして、多摩ニュータウンについての問題点を調べてまいりました。多摩の富沢市長からも詳しく話をお伺いしまして、やっぱり財政の弱い多摩市にあれだけのものを持ち込まれてきてなかなか大変なことがあったということを、大体知っておりましたけれども、実際に話を聞いて、なかなか本当に大変だったんだなということをつくづく思いました。あの場合には南多摩の開発計画会議で多摩市側の拒否があって、それからいろいろ審議してとうとう要項ができて、かなり解決方向が出たことは御存じのとおりです。しかし、この解決方向と結果を見ますと、どうも宅開公団法によるこの十年据え置き、二十年償還だけではとうてい解決できない、そう思わざるを得ない。  この多摩の場合にはいろいろな措置がとられまして——とられる前は多摩市は毎年九億円の赤字が三十年続いて二百十四億円の赤字が出るんだという大変な実態だったわけですね。それに対して、要項が出まして、住宅公団の場合にはこの関連公共施設について今度と同じような十年据え置き、二十年償還というようなのが決まった。それから小学校用地については、いままでの五割評価ということをやるし、東京都の場合には小中学校の用地はただでやるんだ、それで三年据え置き、二十五年償還というようないろいろな手だてがとられるわけですね。しかし、その手だてがとられても、多摩の試算によりますと、なお百六十億円ぐらいの赤字がまだ出る。そういう手だてをいろいろとってもまだそれだけの赤字が出る。多摩市長の話によりますと、二百十四億の赤字のうち七十数億円は大体施行者が持ってくれることになった、百四十億円は府県財政の一環として東京都がいろいろな財政的な手助けをしてくれることになったというのですね。そういう経過を見ますと、細かく言えません、細かく紹介できませんけれども、今度のこの宅開公団法による十年無利子据え置き、二十年償還というやり方では、赤字のピークは確かにずれるし、借金の返し方は楽になるでしょう。しかし、赤字の絶対額そのものは解決できないだろうと思うのですね。だから、多摩の百四十億、百五十億前後の赤字は東京都がとにかく見てくれたが、今度はだれも見てくれないわけですね。  それで、これが多摩の一つの実例なんですけれども、こういう状況で、大体似たような状況が起きるのじゃないかと思いますけれども、果たしてこれで十分だと自信を持って言えるのかどうかお伺いしたいと思います。
  176. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団に関連して必要となります公共公益施設の整備費に係る立てかえ額の償還方法というものを、いま御指摘にありましたように、十年間据え置き期間を含む三十年の長期償還といたしました。それから据え置き期間の利子を無利子といたしました。このことは宅地開発公団が行う——規模が大きいし、市町村の財政が貧弱であろう、それに対する影響がきわめて大きいということにかんがみて、われわれとしましては相当思い切った措置を講じたつもりでありまして、したがって、現在のところ三十年償還、十年無利子据え置きの措置ということは十分これで対処できると考えておりますが、いま多摩の例をお挙げになりましたけれども、一律にはいかないわけでありまして、関連公共公益施設の種類が問題でありますし、またその量が問題であります。場所によって異なりますから一律には問題がある。したがって、足らざるは今後補うつもりでございますけれども、現在のところはこれで十分対処し得るのではないか。十年たてばその中に人口が定着し、産業が定着し、それに付随した財政収入が得られるのではないか、こういう見通しのもとにわれわれはいまそういう措置を講じた次第でございますが、なおこれとは別個に、基本的な地方財政の問題として国庫補助率の引き上げであるとか、対象範囲の拡大とか従来も講じてきたところでありますけれども、さらに本来の管理者であります市町村がこれらができるように今後とも市町村財政負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。
  177. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いろいろケースが違うと言われますけれども、多摩市を調べてみますと、事業費、開発の事業費二百八十四億円のうち八八%が小中学校ですね。そうしますと、これは八王子でもそうです、だからほとんどがやっぱり小中学校が市町村にはかぶってくる。都道府県にはまた別のものがいろいろかかりますでしょうがね。約九割が小中学校だと、これが最大の問題で、これは大体どこでも人数がいますと小中学校を建てにゃいかぬと、これは共通の問題だと思うんですね。  それじゃ、小中学校を建てるこの赤字、これが出てくるのが一番問題なんですけれども、その点で少し具体的にお伺いしたいのは、まず用地費がかかりますね。多摩の場合には東京都が用地費はただで出してくださるということで助かっているんだけれども、そういうことを宅開公団できないでしょうが、いままでの住宅公団のルールの、小中学校の用地費については大体半額評価ということは今度も適用されますか。もう一つ、実際に超過負担がかかるわけですね。その超過負担はこれは一体どこが負担をするのか。その二点、まずお伺いしたいと思います。
  178. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まあ、結論から申しますと、小中学校という義務教育施設は、その団地の入居者にとって直ちに必要な施設でありますし、またそれがあることによってその地区住民の直接的な利益にもなるという意味から、従来からも住宅公団におきましては、その土地費におきまして原価を割ってこれを提供している。これは必要な負担の限界というものを大きく超えたものとはわれわれは考えておりません。したがいまして、これは受益の範囲内で開発者負担として半額なりを、その評価した額の半額なりを提供するということは、今後こういった例を宅開公団においても一つモデルとして考える必要があろうかと考えております。  しかしながら、超過負担の問題につきましては、これは本来やはり管理者が、義務教育施設を設置する管理者ができるだけ本来の計画どおりの学校ができるようにそういう財源措置を講ずべき問題でありまして、これを負担することによって宅地費用に割り掛けるというような形になりますことは、われわれとしましては非常に思わしくない方法であろうと思います。したがいまして、義務教育施設につきましては、特に用地費の補助率あるいはその校舎等につきまして、従来も関係当局におかれては鋭意その上幅のアップにつきまして努力されてきたところでありますけれども、今後ともわれわれとしましても関係方面とともにできるだけ超過負担の解消という面につきましては、国としてそういう努力を重ねていかなければならない問題だというふうに分けて考えております。
  179. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 千葉ニュータウンの場合にもやっぱり小中学校の問題が非常に大きいと、しかし、小中学校を建てるけれども、大体そこに入るのは、たとえば東京からそこに住んだ人が入るんで、その小中学校の超過負担まで含めて財政力の弱い町村にかぶせることはとうてい無理だというので、たとえば千葉ニュータウンの場合には、その近辺の町村の人たちの子供が通う分については負担させる、しかし、そのほかの部分についてはこれは県が持つというやり方でやっぱりやっているというんですね。こういうふうにしないと、まあ東京・多摩ニュータウンと千葉といろいろ違いますけれども、それぞれ地方自治体が非常に考えて、地元の市町村がやっぱり受け入れられるように、財政赤字で崩壊することのないようにいろいろやっているんです。どうも今度の宅開公団の場合には、いまの答弁がありましたように、結局超過負担分というのは大体まあ地元の市町村にかぶせるような答弁としか受け取れないんだけれども、そういう考え方で実際に十万の都市ができて、小中学校ができて、本当に成り立つのかどうか、私は非常にこれは疑問に思う。答弁としては何かつじつまの合うようなお答えが出たとしても、現実に赤字何十億というのはどんどんやっぱり生まれてくるわけですね。そこを一体どこが負担するかという問題はどうしても残らざるを得ないと思う。これは小中学校だけじゃありません。保育園、幼稚園についても同じであります。保育園、幼稚園の場合でもどこでも問題になるし、住民運動がどんどん出てくる。  それからさらに考えなきゃならぬのは、先ほど地主が持っている土地が四割ぐらい残るということを言いましたけれども、ここに地主が持っている土地はやっぱり細分化されざるを得ない、七十坪ぐらいで売ると言いましてもね、これはなかなか規制できなくて。すると、細分化して七十坪が二十坪、三十坪で売られて家が建っていきますと、大体予定以上に人数ができてくるんですね。大体まあ予定どおりいったとしても、いままで住宅公団のいろんな計算に基づく小中学校の数というのは現実と非常に違うんです。町田に行って調べましたら、あそこにいま山崎団地、それから木曽団地ありますが、山崎団地の公団ですが、これ一万戸あって、最初は標準で中学校一校、小学校三校の計画だった。実際にいまあるのはその倍以上だというんですね。つまり最初何とかこう計算するでしょう、人口発生率一戸当たり〇・四五とか。そういう計算で建てたものが、実際に人が入って、子供が大きくなって入ってみると半分にも足りないで、実際には小中学校、二倍以上建てなければならなかったという実例があります。保育園でも同じなんですね。大体最初の計算が非常に過小だと、その上に細分化で人口がふえていきますと、小中学校にしても保育園にしてもさまざまなやっぱり問題が生まれてくる。  しかもまた市町村の負担というのは、一般行政費もふえてくる。人口がふえれば、それについて、一万人ふえれば百人ぐらい職員をふやさなければならぬ。さまざまな問題が生まれてくるわけで、それに対して、先ほど評価しましたけれども、十年無利子据え置き、全体で三十年償還というのは確かに前進ですけれども、これだけでは絶対解決できない。市町村が本当に成り立っていき、またこれがニュータウンとして健全な発展を遂げる上では、これだけでは絶対解決できないのは私はもう断言できると思うんですね。それを、この部分がいいからということで、立てかえ施行その他その他、これだけの法案でうまくいくと思ったら私は絵にかいたもちになるのではないかと、そう思う。これはやはり本当に宅開公団でニュータウンづくりを真剣に進められると思うんでしたら、やっぱりいろんないままでの実例がうんとあるわけですから、その実例の中で、その目的に沿うようにあと何をしなきゃならぬかというのを真剣に検討していただきたい。こういう強い要望をしたいと思います。それなしにこれを強行すると、大問題が起きるということを私は申し上げておかざるを得ません。  それで、その点で次に出てくる問題は、実際に十万の新しい都市をつくろうとすると、人間のやる仕事で、最初考えなかったことが無数に起きてくるわけですね。そうすると、マスタープランを最初につくっても、そのマスタープランが現実とのかみ合わせの中で次々に起きてくる問題でこれは修正していかなきゃならぬ。これは多摩の場合にも大きな修正が行われたし、たとえば緑地それからオープンスペースも、最初の計画では一一・二%、それが三〇%に修正されているんです。それは無数にそういう例がある。人口の率も二〇%減らしている。さまざまな問題がある。入ってきた住民から住民要求もどんどん起きてくる。そういうものに私はこたえるのに一番いい主体は本当は地方自治体だと思うんです。県であり市町村である。県、市町村が生きた問題を、下の住民の要求にこたえ、上からの計画じゃなくて横断的な計画都市づくりを進めていくということでなしには民主的な総合的な都市づくりというのはできないと思う。  ところが、今度はやっぱり上からの計画になってますね、宅開公団のは。この中に、二十三条に「地方公共団体の長の意見を聴かなければならない。」ということがありますし、いま衆議院で審議している中にあるのは、宅地開発についての協議会があるということを言われますけれども、それからまた非常勤理事に大体なるという答弁もありますけれども、本当に生きた問題を生きてとらえて、それでマスタープランを修正していって、住民の要求も入れて、本当に生きた都市をつくれるかどうかという点について私は大きな疑問があると思う。この協議会というのは、参議院では衆議院が通って後になりますけれども、三大都市圏に一つずつつくるわけでしょう。そんなことではもう間に合わぬ。一つのプロジェクトごとに自治体または宅開公団等々が入らなきゃならぬし、それから今度は住宅公団供給公社、自治体に土地を売って住宅を建ててもらうんだから、今度公団と宅開公団との協議だってもっとやらなきゃいかぬ。ところが、そういう上物を建てる団体と宅開公団との協議の事項というのは必ずしもこの中には書かれていない。そういう自治体主導型の開発、ニュータウンづくりをやっていかなきゃならぬと思いますけれども、そういうことがどうもこの法案を見ると見られない。上から、宅開公団ができて、上からマスタープランをつくって、上からやっていくと、これも非常に危険なやり方だと思うんですね。そういう点、本当に総合的に住民の意思を生かした都市づくりがこういう宅開公団の方式で一体できるのかどうか、この点どう考えておられるのかお聞きしたいと思います。
  180. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 都市づくりというものは、その土地の住民にとりましてきわめて影響力の大きい問題であり、また自分たちの問題として、生活の場としてきわめて関心の深い問題です。そこで、住民の参加であるとか、あるいは住民の意思の反映であるとかという形を極力取り入れるということが、あらゆる法制におきましても都市の関係につきましては必要な問題でございます。このたびの宅地開発公団都市計画を決めます場合にも、都市計画の場として当然その段階で住民の参加の方式がその中で織り込まれておりまして、たとえば公聴会であるとか、あるいは意見書の処理であるとか、あるいは市町村の意見とか、こういった手続の規定は法定されております。しかし、先生のおっしゃいます下から計画をつくれという、計画の主体にだれがなるかということにつきましては、これは地域の住民の問題であると同時に、これはこういった広域的な目から見る県なりあるいは国の関心事でもあるからこそ、こういった宅地開発公団というものをつくって、国と県と市が一体となってできるような仕組みをつくったわけでありまして、やはりその計画自体というものは、下から上げるというのは手続の面において保障することは必要でありますが、計画というものは広域的な面から、特にこの種の大規模開発につきましては、上からという言い方は適当でないかもしれませんけれども、広域的な見地からあらゆる総合的な、その当該市町村以外の分野まで広い視野から見てその計画をつくり上げるということが必要だと、こういう意味都市計画の中に知事が決定すると、ある場合には市町村の当然意見を聞きながら審議会にかけて、そして最終的には建設大臣の認可を得ると、こういった形の手続をつくったものというふうに理解しております。したがいまして、地元市町村の意思を無視しては事業は実体としてはできないのでありますから、その点われわれ十分承知しているつもりであります。計画自体を市町村でつくらせるべきではないかということにつきましては、いま申し上げましたように考えております。
  181. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど二宮委員も触れましたけれども、まず第一に、首都圏の場合、東京、埼玉、千葉、神奈川、ここら付近になるでしょうけれども、多くの知事が調整区域についての宅開公団構想というのに拒否的態度をとっております。埼玉の県当局の最近の態度が、ここに私文書一つ持っておりますけれども、やっぱり本県ではこういう宅地開発公団による宅地開発方式というのはなかなか賛同、協力できるとは言い切れない、むしろ反対だ。三百ヘクタール以上の大団地が百個もばらまかれるということになると、結局大都市圏の総合的都市整備が困難になる。これは首都近郊にはこういう土地はなくて、結局調整区域あるいは農業振興地域になるだろう。この方向は線引き凍結宣言をしている本県としては全く容認できないという態度を五月の二十四日に表明されております。これはほかも、東京都もこういう大体同じ方向を表明している。そうすると、いま本当に地方自治体と協議して進めるということを言われましたけれども、まず第一に、宅開公団そのものの設立とその方向について非常に拒否的な方向がまず出ているわけですね。実際につくっていく場合についての、本当にやっぱり下からだけではもちろんできないで、上からと下からと十分やっていかなきゃならぬのだけれども、それを保証する方式というものはまだまだきわめて抽象的であります。実際にマスタープランを生きたものとしてやっていく上のプロジェクトごとの協議機関というものはこの中には余り考えられていない。  千葉ニュータウンにしても、多摩ニュータウンにしても、あるいは関西の千里ニュータウンその他にしても、やはり自治体が指導していっている場合には、いろいろ問題がありながら、何とかかんとか進めていっているのですね。その自治体との常設的な協議機関、一つ一つのタウンについてですよ。そういうものもないと、非常勤理事が入っていると、都市圏に一つ協議会があるというようなことでは本当にこれはぼくはできないのじゃないか。そういう点、総合的に詰めて考えられた法案とは私はとうてい思えないんですね。どうも真剣に、科学的に、総合的に、多面的に詰めてひとつこれを審議してほしいと。これが通過すれば本当にこういうのができるという具体的な裏づけ、構想が、どうも大臣の答弁からも、局長の答弁からも私はないと思うんです。これ、このままやっていくと私は必ず大問題が起きるのではないか。再び断言いたしますけれども、もう時間も迫ってまいりましたので、あと二つの問題について質問させていただきたいと思います。  次の問題は、国土政策に関係する問題です。国土庁長官にお伺いいたしますが、今回国土利用白書を発表されました。この中で非常に興味あるあの土地買い占めの実態、それから土地利用の状況土地売りの状況など貴重なデータが示されました。そして昭和四十七年から四十八年に物すごい大きなやっぱり買い占めが行われたという驚くべき事実がいままで以上に明らかになった。全国で一億円以上の法人が国土の三%、九十四万ヘクタールも買い占めたという問題点がこれ報告されて、今後の国土政策を進めていく上で非常に参考になると思うんですけれども、この国土白書は地価高騰の原因分析に力を入れながら、政策面の失敗に口をぬぐっているのではないかということが新聞紙上でも指摘されております。この政策面の失敗というのは、田中前首相の日本列島改造論、あの問題のことなんですけれども、その政策面の失敗に口をぬぐっているのではないかという指摘について、この国土白書を作成された責任者としてひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。日本列島改造論の果たした役割りですね。
  182. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 全国総合開発計画と、田中さんの言う日本列島改造論でありますが、これは日本列島改造論は一つの田中さんの私案であるわけでありますが、その前から国は総合計画立てまして、また今回新たな第三次新全総計画をいたしておるわけであります。  政治の一つ目標というものは、都会に人口やあるいは産業が集中し、環境の破壊、公害、あるいは災害のときの人命に及ぼす影響等を考えてみますと、また過疎過密という都会と地方との状況考えてみますと、土地の利用という問題について、国土の均衡のある利用という問題については、あくまでも私は過疎過密をなくして、そうして所得の格差のない豊かな実りある地域社会をつくるということが一つの政治の大きな目標でなければならぬ。こういう意味でニュータウンの問題等、あるいは新幹線等、あるいは高速自動車道路の問題等、こういうような問題等につきまして政策的には失敗ではなかったという私は感じがし、またそういう一つの大きな過疎をなくし、過密を解消するという上から言えば、当然そのような施策を講じなければならぬ。いま東京のこのような状態をこのまま看過できるか。こういうことになると、いまのこの東京をこのままではおけないというのが現実の私は問題であろう。そういう意味で、政策的に一つのその目標というものが間違っておったとは私は考えておりません。
  183. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっとこれは重大な答弁だと思うんですね。田中前首相の日本列島改造論というのはもう物すごい超高度成長の議論でありまして、とにかく昭和六十年までに三百兆円経済になる、年率一〇%の成長で日本の工業は四倍になるんだ、十年後に世界のエネルギーの三〇%を日本だけで輸入するというんですね。超高度成長のプランの中で、その超高度成長経済をそれこそ受ける器ですね、それをどうつくるかというので、それが基本の構想でした、国土政策としては。その中で具体的に地名まで挙げて、どこに何をつくる、どこに石油基地をつくる、どこに二十五万都市をつくると全部書かれたわけです。それで一斉に土地の買い占めが始まった。あの構想がそういう土地買い占めをあおり、そして地価暴騰が起きたということは厳然たる事実ですけれども、その点についても誤りはなかったと、そう国土庁長官は言い切れるんですか。
  184. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 白書作成の責任者といたしまして、作業に当たりました者といたしまして多少の御説明をさせていただきます。  上田先生御説のようなことが巷間よく言われているわけでございますが、私ども昭和四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、四十八年と、地価と流動性指標の推移であるとか、あるいは地価変動と景気変動の関係であるとか、あるいは都市土地利用への転換面積の推移であるとか、いろいろずっと逐年追って調べてまいりますというと、四十六年という年が地価上昇にあるいは取引に非常に拍車がかかるというような転換を示し出した年でございました。必ずしも四十七年当時における総裁選における田中首相の個人的な御主張、あるいは総理になられてからの言動というようなものと軌を一にしているという証拠がなかなか発見しにくいのでございます。そういうことで、まあ一種のいろんな経済社会情勢の変化が四十六年ぐらいから非常に起きてきているということを強調するのにとどめているわけでございます。
  185. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも国土庁長官がそう言われたので、そう言われたのかもしれませんけれども、この国土白書の五十ページから五十一ページを見ても、各年度中の増加面積の割合は、四十四年度は一・八倍、四十七年度は二・七倍になった。四十八年三月末の対前年増加率六%がピークだったんですね。こうはっきり書かれている。それから下がっていくわけですね。ですから、四十七年、四十八年にこの土地投機が最も行われた。特に四十八年は五割が法人であったというのは、この本自身に書かれているわけですよ。ですから、一言も日本列島改造論について触れていなくて、巷間よく言われていると、日本列島改造論が土地投機をあおると巷間よく言われているというようなことをよくもまあおっしゃったもんだと私は思いますね。これはひとつ記録にちゃんととどめられるので……
  186. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 委員長
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、結構です、結構です、私は。そのことをひとつ確認しておきましょう。  ひとつ建設大臣、いかがですか、この日本列島改造論が土地投機、土地暴騰、土地買い占めに影響があったかどうか、それをどう反省しているかという点について。
  188. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) それはいろいろ見方はあるでしょう、その時期には。ただ私は、日本の国土を均衡ある開発をして、そして国民全体が均衡のある生活を営んでいくというのは、これは政治の理想じゃないでしょうか。そのことを言ったことについては私は問題はないと思う。ただ、たまたまその言った時期と経済とがいろいろな結びつきがあると言えば、それはいろいろ解釈の問題もあろうかと思いますけれども、私は政治の理想は、国が均衡にみんな発展するというのが究極の理想であって、これはあなたの党といえども私は否定しないのじゃないかと思いますがね。
  189. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも三木内閣の閣僚としては奇妙なお答えが出てくるもんで、聞く相手が悪かったのかもしれませんけれども、これはあくまで田中前首相の日本列島改造論のメリットを建設大臣国土庁長官も確認されたという事実に私は非常な驚きをも表明しながら、事実を確認しておきたいと思います。  しかし、一言言っておきますと、これは三木内閣になってからは、あの高度成長というものを低成長に変える、あらゆる政策の見直しをやるという点を何度も表明しておりまして、そういう点、日本列島改造論がこのインフレーションと土地の暴騰のやっぱり元凶だったわけです。その点について何らの反省もされてないという点は私は重大な問題で、今後の国土政策にも影響がある問題だということを言っておきたいと思うのです。  もう一つ国土庁長官にお伺いしますけれども国土政策の観点で、この宅地開発公団が先ほど言うような十万、二十万の都市を三大都市圏に、特に調整地域、白地地域につくっていくという点については、国土庁としてはどうお考えですか。
  190. 金丸信

    国務大臣金丸信君) 先ほど小谷先生にもお答えをいたしたわけでございますが、実際問題、大都市周辺——東京、大阪あるいはその周辺地域の過密な弊害というものは除去しなければならぬということとあわせて、いま一番大きい政治問題は住宅問題だと私は考えております。そういうことを考えてみますとともに、東京都の住宅建設というものがなかなか困難だということも現実の事実である以上、この問題を速急に解決するためにはこの宅開公団というものをつくって宅地を造成し、そうして住宅供給するということは、今日の一番の政治姿勢でなくちゃならぬと私は考えておるわけでありまして、先ほど第三次新全総も出ない、土地利用計画も出ないのに、それではいろいろ困難が起きてくるのじゃないかというようなお話もありましたが、それはそれとして、われわれは十分建設省とも調整をとりながらこれを推進していくことが国民住宅問題を解決するゆえんだと、こうも考えております。  また先ほど、まことに恐縮でありますが、日本列島改造の問題について何ら反省がないという——私は、日本列島改造論は田中前総理の私案だと考え政府は第二次総合開発計画というものによって、あるいは経済社会基本計画、この計画の両々相待って、成長率八%というところを見ながらこの計画立ててきておるわけでありまして、たまたま石油パニック等によって世界のいわゆる経済変動というものはまことに激しいものがあるというような中で、日本の経済成長もダウンせざるを得ない。そのダウンせざるを得ない中で、低成長という中で今後の方向を決めていかなくちゃならぬということは当然であります。また、日本列島改造という問題について、金融政策のあるいは政策が放漫であったかというような点についても反省しなくちゃならぬ、こういう点について全然何ら反省していないということではありません。
  191. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やっぱり新全総にも問題があったからこれを見直してやろうとしておるので、その点について日本列島改造論、並びにそれを基盤にした——幾ら私案であっても、あの新全総の方向そのものが日本の現実の中で大きな見直しをせざるを得なくなっている、そういうことを私は指摘している。ところが、それについて、考え方そのものはよかったと言われると、ここにはやっぱり国土政策都市政策についての見通しのなさと無定見が私はあるのではないかと思う。それが今度の宅開法にも、都市政策国土政策の面から見て、一体この新しくつくるニュータウンにどういう基本性格、基本理念、日本としての政策を盛り込むかという点についても私はやっぱり明確な検討、完全な検討というのは行われていないのじゃないか。非常にあやふやな行き当たりばったりが示されているのじゃないかと思う。  ニュータウンの問題というのは世各国、それぞれ国情に合った努力をしております。アメリカはニュータウンについてはほとんど業者任せで、それでつくっている。これは非常な危機に陥っているということは、通産省の住宅産業室の欧米諸国の住宅政策の中にも各国のニュータウンの政策的特徴が報告されています。イギリスなどはやっぱり公的機関が中心になってやっていると、西ドイツなどはこの中間のやり方をしているなどといろいろな報告がありますけれども、じゃあ日本で宅開公団でつくるニュータウン、これは住宅政策を、住宅問題の解決をニュータウンとして解決しようというところに一番大きな特徴があるんですけれども、じゃあそのニュータウンの性格を、本当に日本的なこれまでのいろいろな経験を総括した科学的な検討の上に立って築かれているかというと、非常にあいまいなんです。あいまいどころか私は矛盾が生まれていると思う。大体建設大臣計画局長の答弁自身が、衆議院の議事録を読んでみますと、まるで食い違っているんですね。  たとえば、わが党の浦井議員が三月十九日に委員会で質問しておりますけれども、これに対して局長はこう言っているんです。これは単なるベッドタウンじゃないんだということを言って、これは工業団地及び流通団地を同時に造成するんだと、イギリスの職住完結型の母都市のような独立的な機能を持った完全な意味のニュータウンというようなものではないけれども、工業団地及び流通業務団地を持った、ベッドタウンじゃないニュータウンなんだという性格を局長は述べておられる。ところが、その直後に同じ問題で仮谷大臣は、「これは完全なベッドタウンではないにいたしましても、私は非常にそれに近いものになると想像するわけですが、」ということを言われている。どうもベッドタウンなんだかニュータウンなんだか、そこら辺の性格が大臣局長で食い違っているわけですね。  さらに、もう一つ大きな食い違いを指摘しますと、これはいまの考え方とも関連するのですけれども、たとえば東京、大阪、名古屋、この大都市の人口集中、これについての対策、機能を一体どう持たせるかという点についても、大臣考え局長の答弁が食い違っております。たとえば大臣は大体ベッドタウンで、そういう問題、これを第一義にして考えているのだ。だから、工場誘致とかいったような問題はおのずから別途の問題になってくるという趣旨のことを言われて、「大都市の現在の人口集中をこれによって解除していこうとか、これによってある程度解決していこうといったような、そんな大きな目的の達成できるものじゃないと思う」、こう言っている。大都市の人口集中、そんな大きな目的はこの宅開公団では解決できないということをはっきり大臣は答弁している。ところが、大塩計画局長はその直前の答弁で、「もちろん次第に住宅が集中し、人口が集中し、宅地は細分化しつつあるこの大都市圏域の過密状態をこの新しい市街地に受けとめる、こういう機能を持つことがこの公団法の目的でございます。」、片方はこれが目的だと言い、片方は目的でないということです。しかも両者は——責任者は大臣なんですね。  一体この食い違い、これは私は言葉の違いじゃなくて、大体建設省の内部で、こういう大事な法案を持ち出して、どういう性格の都市をつくるのか、人口過密集中に対してどういう機能を持つのか、ろくに検討もされていないし、意思も統一されていない、ばらばらな答弁をやって平気だと、一体どういう方針のもとにやるのだということが、こんなあいまいのままで、われわれは審議続けられるのかどうかという問題が出てくるわけですね。だから、都市の性格ですね。一体ベッドタウン的性格なのかどうか、この工業団地を一体どうつくるのか、流通業務団地を一体どうするのか。工業団地、流通業務団地ということになりますと、これは田中さんの二十五万都市とだいぶ似てくるのですね。これはやっぱり日本列島改造論とつながりがあるかもしれませんけれども、この十万、二十万のニュータウンの性格、それからこの大都市圏の人口過密集中に対しての機能ですね、どう考えているのか、ひとつ統一見解を大臣からお伺いしたいと思います。
  192. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) いろいろ長い間議論をしているのですから、言葉の上においてはいろいろと誤解を招くようなことがあったと思うのですけれども、率直に言って、この大都市の人口集中という問題を、単なる宅地の大量供給という程度で完全に解決するとは私は思っておりません。また、とてもそういうことはできようはずはない。これは率直に言って、少なくとも大都市の人口集中を排除していくためにはいろいろな施策を総合的に講じていって、単に建設省だけの問題じゃございません。これは大きな政治課題として当然やらなければならぬ問題でありますが、その中の一手段として、建設省の行政としては、いまの問題を考えると、これは少なくとも周辺に、今日の宅地の問題、今日の住宅の問題等を考えた場合に、少なくとも現症療法として、これは宅地の大量供給をやって住宅問題を一歩でも解決づけていこうということは私は現実の姿じゃないかと思うのです。大きなことを言っても意味がないので、私はそう思っておるわけであって、そうしてまず宅地供給して住宅をつくって、そうして住宅対策をまず主にしてやるべきだと、こういうのが私の考え方なんですよ。そうしてそこに、住宅に住み込んできたら、その人たちが将来生活をするための生活設計をしなければならぬ。その場合には工場誘致も必要かもしれないし、あるいはその他の施設も必要かもしれないけれども、それは第二義的なものなんだと、まず第一は宅地を大量に供給する準備をして、そこへ住宅を建てて、住宅対策に最重点を置いていくべきだというのが私の考え方であって、私はそういう言葉の表現はあるいは違っているかもしれませんけれども、精神においては変わっていない。ただ、これをやることによって、大都市の人口集中を一切排除して、根本的に都市政策解決するというようなことはとてもできませんよ。これは率直に申し上げます。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はやっぱり大臣の言い方の方が率直で、事実に合っているのだろうと思うのですね。まずとにかく住宅を四十キロ圏から五十キロ圏のところに大団地として、ニュータウンとして、ベッドタウンとしてつくるというのが第一義的だと、そう大臣は言われた。私はこの法案というのは、そういうものだろうと思う。計画局長はそこを少しいろいろな議論をつけていらっしゃるけれども、実際には大住宅団地をつくると、これにはいままで私が言ったような問題があるのですけれども、そこで問題が起きるのです。結局、都市政策としての問題点では、これは検討が十分されていない。むしろ私は巨大都市東京都市問題の激化にこれは役立つことになる、そう思うのです。確かに四十キロ圏、五十キロ圏のところに住宅をおつくりになる、鉄道を敷かれる。しかし、これはちょっと考えてごらんなさい。きょう私は鉄道問題については余り言いませんけれども、最寄り駅まで敷くというのでしょう。最寄り駅というのは大体本線ですよ、私鉄にしろ、国鉄にしろ。しかし、常磐線考えてみても、総武線考えてみても、中央線考えてみても、あるいは小田急、東武、どこでも、そういう本線、都心に集中してくるところに十万、二十万の都市をつくって、そこから線路引っ張ってつなげてごらんなさい、ラッシュはもっと物すごくなります。これは本線をもっと複々線化するとかいろいろの手を打たない限り、そういう十万、二十万の都市ができて、どんどん引っ張ってごらんなさい、これは本線は完全にパンクです。  そうすると、東京都市問題というのは、いま確かに三十キロ圏、四十キロ圏がスプロール化していると、だから今度は四十キロ圏、五十キロ圏に大団地をつくろうということでは東京都市問題は解決できないのです。むしろこの巨大都市東京が四十キロから五十キロに広がろうとしているとき、その四十キロ、五十キロまでのところに広がるのをどう食いとめるかという、人口、産業の過密問題をどう解決するかという根本問題なしに東京都市問題解決できないです。ところが大臣は、そこまでわしは考えていないと、とにかく住宅つくるのが第一義だと言って、四十キロ、五十キロのところにつくるわけですね。そこで鉄道を最寄り駅まで引っ張って、これは大変なことになる。鉄道を引っ張ったところは市街化区域になってもっと開発も進む。そうすれば、巨大都市東京のまあ水の問題もあります。鉄道の問題もあります。人口問題、ラッシュの問題、こういう問題が絶対解決しない。むしろ巨大都市東京の過密状況が広がることをねらったわけじゃないけれども、そういう結果をもたらす法案にならざるを得ないだろうと私は思うんですね。もちろんこれで東京都市問題完全に解決するなどとはあなた方おっしゃらないでしょうけれども、しかし、解決するというそういうことよりも、第一義的には住宅問題だということによって都市問題激化させているという法案だと思うんですね。  そうすると、今度の法案は私は、最初に住宅政策としても、都市政策としても国土政策としても、三つの柱で科学的、全面的に検討することが大事だと、それがこの法案に向けられている新聞その他あるいは国民の世論、住宅に困っている人たちに対して、国会がこの法案を責任を持って審議する際に、われわれはこういうところに問題があると提起した。ところが、政府側はそれに対してこうこたえたと。そうすれば、われわれだってただ反対するのが目的じゃない、わかればわれわれも賛成すると、あるいは修正するということになる。しかし、いままでの審議の過程で出てきた問題は、そういう根本問題が検討されてないということですよ。法案上になくても、いろいろ聞くと、構想も出てこない、大臣局長の言い分も違うということですよ。それで、住宅問題第一義で、都市政策国土政策の面での検討はまだまだ、第二義、第三義、今後だ。そうすると鉄道ラッシュなんか大問題になるということについて、じゃあどう考えるかというと、それは今後のことになるというわけですね。非常に過渡的な、その過渡的なやり方が実は問題をもっと激化させるようなそういう法案だと。そう私は、いままでの審議であなた方が言われることをただ曲げてとるんじゃなくて、率直にとってそういう大きな重大な疑問を感ぜざるを得ません。  最後に私は、五番目に住宅公団との問題、これをお伺いしたいと思います。これはこれまでもやっぱりこの住宅公団となぜ別個に公団を新設するかということについては多くの論議が行われました。それから住宅公団の労働組合の方々もこの問題については非常に強い反対をなされて、私も公団の労働組合の方々とも話し合いましたし、住宅公団の側の方々とも話し合いもいたしました。それで、いままでの審議の過程で政府側から出された見解を読んで、私は残念ながらやっぱり納得するに足る答弁を発見することができませんでした。で、この委員会でも前回委員会で、たとえば住宅公団は七十万戸の管理を行っている、年間六万戸を建てるノルマがあると、もう能力はいっぱいだということが出されたし、それから道路公団のときに高速道路公団をつくった例もあるということで、新しい公団をつくる理由として述べられましたけれども、ある人員とある機能を持っていていまもういっぱいだというのはどこでもあたりまえなんですね。いまの人員といまの機能でまだまだ余力がいっぱいありますというのは、よほどサボっているか仕事してない機構なんですよ。それで、ある機構とある人員を持っていて目いっぱい仕事していると。ところが、ある仕事を新しくやらなきゃならなくなったら新しい部門をつくり新しい権能を与える、それでやっていくのが生きた組織だと思うんですね。われわれ政党だってそういう活動やっていますよ。共産党員が能力目いっぱいだからもう一つ別の共産党をつくろうなんというんじゃ政党できないし、大体会社でもそうだと思うんですね。それから政府機構だってそうですよ。三木内閣じゃもう何もできない、目いっぱいだと、ひとつ別のなんというふうにいかないわけで、だから新しい仕事が必要になったから別個の組織をつくらなきゃならぬというのは、これは論拠にならない。小さ過ぎるからもっと大きなものをつくらなきゃならぬ、これは論拠にならない。  そうしますと、私は、私の質問の第一に指摘しましたように、住宅公団法にあった、住宅に困窮している勤労者のためにという目的を取り去って、持ち家主義を持ち込んできた新しい公団、これをやっぱりつくろうとするのがひとつ非常に重大な逆行的目的ですね。これが一つ、私としてはこういうところに理由があるのではないか。私はその実態とそれから法文上から、これはなるほどそういう意図があるということが一つ私はわかったわけです。これは私は行うべきことではない。これは新しい公団を設立する合理的な理由にはならない。むしろ新しい公団を設立すべきでない。住宅に困窮する勤労者のためにという目的をちゃんとうたった住宅公団宅地の開発、新しい市街地の開発、これをやっぱり勤労者のための仕事をさせるべきだと、そういうふうに思います。  それから二番目に、私は非常にこれは重大な問題だと思いますけれども建設省方々には耳の痛いことになると思いますが、天下り問題ということが一つあるのではないかと、そう思います。これは政労協から天下り白書というのが、六回目のものがことしの三月に発表され、新聞にも非常に大きく出ました。それから国会でも問題になった持参金つきの建設省の天下り問題というのも議論になった。天下り官僚のリストを見ますと、建設省は大体この数年、一位から二位、三位を上下しているということでもあります。  一つ質問がありますが、建設省は各局が主務官庁となったいろいろな特殊法人を持っております。住宅局は金融公庫、それから住宅公団、これの主務官庁であります。都市局は首都高速道路公団、阪神高速道路公団、これを主務官庁として持っております。道路局は日本道路公団と本四架橋公団を主務官庁として持っている。河川局は水資源開発公団、これをお持ちになっている。ところが、計画局だけは残念ながらないという事実があるわけで、なるほどこれはひとつ積極的な論拠になるであろうということが指摘されているのも無理からぬことがあるということがあるんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  194. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 宅地開発公団ができましたときの主務局としましては計画局が予定されておりますが、ただいま先生が御指摘になりましたように、計画局にそういった機構がないからというようなことでつくった意思は毛頭ないのでありまして、結果的にそうなるわけでありまして、機構というものはまた次の段階で、計画局の所管でありました土地の問題というのが国土庁にもまいりましたし、そういうことから考えますと、またこの所管が計画局を外れることも考えられます。だから、結果論でございまして、そういう意思は毛頭ございません。
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 結果論でしょうけれども、それじゃ今後開発公団法案が通過したとき、計画局からこの公団に天下りしていくことについてどういう態度を——天下りという言葉は別としまして、どういう態度をおとりになりますか、建設大臣
  196. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 今国会は、いろいろ天下りとか、持参金とか、国会でもいろいろ議論をされまして、私も実は農民群からはい上がってきた男でありますから、そういう意味においては、人のための機構をつくるということはこれは国民感情からいっても最大限慎むべきであろう、むしろ、あるものも整理すべきであるというのが私の一つの政治信条であります。しかし、御承知のように、役人といえども一定の定年が来れば再就職をせなきゃならぬ。その再就職を考えてやるということはこれはまた当然で、その点については上田先生といえども私は御異議がないと思うんであります。それが民間へ天下り式になっていろいろな世間から批判を受け、しかもそれが悪用されるようなことがあってはならぬことは当然でありまして、その意味において、できるだけ自戒もするし、あるいはそういうふうな規定に沿って物事を進めておるわけであります。いわんや公社、公団等は、いまいろいろ所管のお話がありましたけれども、やはりこれも一つ政府の補助的な機関として行政をし、厳しい執行をいたしておるわけでありますから、そういう意味においては役所と密接な関係を持たなきゃならぬということは、そして一体になってやらなきゃならぬことは当然でありまして、そういう意味において役人の中から適任者があればその方面に配置をしていくということは、これは私は決して特別な意味でやっておるわけじゃなしに、私は当然のことだというふうに考えておるわけであります。  ただしかし、それのみに全部こだわってしまいますと、いわゆる天下り機関ということになりますから、広く民間の中にも有用な人材があれば当然登用していかなきゃならぬし、部内でも適当な人があればこれも昇格していかなきゃならぬ、そういうふうな人事の配置転換等については十分に世間の誤解を招かないように配慮していかなきゃなりませんけれども、やはり役所から適当な人を配置をするということは、その事業を円滑に強力に遂行していくための一つの方法としてこれは全く否定する性質のものではないと、一般論としてでありますが、私はそういうように考えておりますし、宅開公団はまだこうして審議をしてもらっておりまして、通るか通らぬかわからないし、野党の皆さん方は全く反対だと言って、いろいろおしかりも受けておりますし、私どもいろいろここでは一生懸命に誠意を持って答弁をいたしておりますけれども、全く納得がしてもらえないといったような御発言もあったようでありまして、大変残念でありますけれども、われわれはいまの場合これを進めていく以外に宅地を開発し、住宅を、当面の問題を解決する方法はないと思って一生懸命で取り組んでおるわけでありますから、そういう面でひとつ御理解をいただくようにお願いをいたしたいと存じます。
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと時間をもう少しいただきたいんですが、私も全部こういう公団に退職された方が行くことをやめるべきだという単純なことを言ってるんじゃない。民間の方も登用したいと言われますけれども、たとえばこの天下り白書によると、役員の一〇〇%を天下り官僚で占める法人というのが数多く挙がっておりますが、建設省の関係している水資源開発公団十三名、首都高速道路公団十一名、全部官僚で、民間の有能な人はどうもいなかったというケースに当たるようで、こういうやっぱり問題点は幾らでもある。それで、この公団、公社、特殊法人ですね、これ非常に数多いんですけれども、われわれがこの天下り問題、また世論が厳しく見るのは、さまざまなやっぱり黒い問題が、黒い疑惑さえ生まれているという問題。  私はひとつ給与及び退職手当の問題最後に取り上げたい。今度の宅開公団法には「第三十九条 公団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、建設大臣の承認を受けなければならない。」と定めておりまして、建設大臣責任は非常に大きいと思いますが、私はひとつ住宅公団の例でこの問題をお伺いしたい。  南部総裁にお伺いいたします。南部総裁も建設省の元建設省関東地方局長出身で、住宅公団に行かれた。ひとつ南部総裁に、個人のことになりますけれども、やっぱりこれ公的な問題ですので、あなたのいまの報酬、総裁としての報酬の額、それから建設省おやめになったときの退職金、それから公団にお入りになってから理事を勤められて、理事をやめたときの退職金、それから理事をやめて副総裁になったとき、副総裁やめてから総裁になったときの退職金、それから現在、いま総裁でいらしゃいますけれども、たとえばこの次の期におやめになるときどのぐらいの退職金になるか、規程に基づいてお答えいただきたいと思います。
  198. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 私は建設省の関東地建の局長をやめたのは昭和三十九年でございます。役人として二十四年間勤めてまいりました。そのときの退職金はたしか三百万円だと思います。公団の理事を五年か六年やっておりますが、そのときの退職金は正確には額はわかりませんけれども、手取りで申し上げますと約九百万円、それから副総裁になりましたときの退職金が三百万円、最後の総裁云々の問題はまだ今日決まっておりませんですが、現在の月額の給与は八十万円でございます。
  199. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣の給料が九十万円ですから、八十万円というのは大臣よりは十万円低いだけですが、退職金の額というのは、これは非常に国家公務員より高いのであります。いまのお話でも、建設省に長くお勤めになって三百万円の退職金だったと、その後公団にお入りになられて、まあ天下り白書によりますと五年七カ月理事として勤められて千百五十四万円、手取り九百万円とおっしゃいました。それから副総裁一年三カ月、これは二百七十万円とこれにありますが、お答えの三百万円よりこれちょっと少ないようですけれども、総裁になりますと、これの基準は、総裁を一期四年お勤めになって千七百二十八万円であります。二期八年お勤めになると三千四百五十六万円であります。十年お勤めになると四千三百二十万円、二十年お勤めになると八千六百四十万円で一億円近いことになります。しかし、国家公務員の場合には、これは最高限が私ども調査によりましても、たとえば局長の場合、三十五年勤めて二千九百八十万円です。これが最高限です。ところが、住宅公団に行きますと——三十五年で二千九百八十万円だが、公団へ行くと二十年で八千六百四十万円の退職金になる。一般職員は公団は決して高くないんですよ、同じなんです。役員だけ高いんです。これは役員だけ公団を高くする特別の規程があるからであります。いま御存じのように地方自治体の退職金問題、いろいろ問題になってます。東京都の四千万円と、きょうの新聞見ましても、東京都は役職加算制度やめるという方針を決めております。ところが、なぜ国家公務員だった方が、役員だけこういう公団とか公社とか行かれるとこんなに物すごい退職金の額になるのか。  もう私時間ありませんから自分で言いますけれども、大体公務員の場合には給与に対して勤続年数を掛けるんです。勤続年数をかけて、それに何年までは一・〇とか、それから一・二とか少し加算があるのですね。だから、三十五年勤めると六九・三カ月分、これが上限です。三十五掛けるんじゃなくて六十九まで上がることができる。ところが、公団の場合には、驚くべきことで、勤続年数を掛けるんじゃなくて、勤続の月数を掛けているのであります。月数を、月を掛けるんですよ。これは私もメモを疑ったんですけれども、実際そういうことになっているのであります。もとは、ただ月数掛けるとちょっとあんまり問題になるので十分の七にしていた。月を掛けて十分の七。これが問題になったので十分の六・五に下げたことがある。また問題になって四十五年の三月二日に十分の六・五を百分の四十五に下げた。下げたけれども、この四十五年三月二日以前は百分の六十五そのまま計算だということになっている。だから公団方々は、総裁、副総裁、理事全部、いまの月収に、つまり総裁の場合八十万円で、八十万円に四十五年以前は百分の六十五を掛ける、四十五年三月以後は百分の四十五を掛けるということで計算が出るのです。だから、国家公務員の場合のざっとした計算でも大体四、五倍にはなるでしょうね。こういう驚くべき特権的な退職制度を役員にだけしている。  それで、総裁にお伺いしますが、この退職金、給与、原資はどこですか、どっから出てくるものですか。
  200. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 原資は各事業年度予算から出ております。予算のもとは政府資金、民間借入金あるいは自己資金というような構成になっております。
  201. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 政府出資はいいんですけれども、民間借入金というような場合は、こういう場合は結局事業費から出るんだと思うんですね。そうすると、われわれ非常に重視するのは、一つは、なぜこういう特殊法人がこういう特別な退職金制度になっているかという問題、それからもう一つ事業費だというと、やっぱり皆さん払っている家賃——皆さんって国民が払っている家賃とか分譲宅地の値段だとか、こういうところに事務費というのが入っている。こういうものの中からも給与だとか退職金、こういう物すごい国家公務員の数倍もの退職金、こういうものが国民が払っている家賃だとか、それから分譲宅地費用だとか、そういうところが含まれているんじゃないかと、そう思いますけれども、その二つの問題。  一つは、なぜこういう特別に高い退職金制度が特殊法人、公団の場合にとられているか。それから家賃、きょう家賃の問題大分構成別になりましたが、家賃だとか宅地分譲費、こういうものの中に含まれているのかどうか、この二点お答え願います。
  202. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 役員の退職給与の規程というのは、政府機関百幾つありますが、全部同一の基準になっております。その基準に従いまして監督大臣の許可を得てそのように決めます。それはいまお話しになりましたように、四十五年の二月に改定になっております。  それから結局それはどこからということになりますが、もちろん家賃の中の事務費相当分、あるいは建設における事務費相当分、それから分譲代金の中におけるやはり事務費相当分というものが公団の収入源でございますから、最終的に。そこから出てくるというふうになると思います。
  203. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はこれ非常に重大な問題だと思うんです。特殊法人というのは公共的な目的で設立されたもので政府出資であって、今度の宅開公団でも、あと地方自治体が出資できるというもので、そういう貴重な出資であり、事業もまた国民のための住宅の仕事をするものであります。そういう公共の事業体ですね。政府並びに地方自治体の出資しているところで、こういう国家公務員、地方公務員よりはるかに超える特別の退職金制度をつくっている。これどうも総裁自身がつくったものじゃないようで、特殊法人全部そうだと言うんですけれども、こうなるともっと大きな私は政治問題になると思いますが、そういうシステムがまかり通っているということが一つ。  それからそういう高額の退職金が、きょうもあれだけ問題になった、一般国民が、住宅に困窮している勤労者が払う家賃とそれから分譲宅地、この中に入っているという問題、これは大問題。そうだとすると、もう一つ次に生まれる問題は、何で、住宅公団、これも退職金制度なんか直さなきゃいかぬけれども住宅公団と別個になぜもう一つ宅開公団なんかつくるのかということ。大きなビルをもう一つつくらなきゃならない。またこういう高額の退職金をもらう、また高額の給料をもらう役員をうんとつくらなきゃならない。どうも有能な方を建設省から天下りすることになるでしょう。これは行政の簡素化という点からいっても大問題なんですね。  で、この間の委員会で大塩計画局長は、絶対宅開公団つくらなきゃならぬというようなもんじゃないんだと、政策的選択の問題だと。相対的な問題です。そして判断の分かれ目はということをおっしゃった。私は判断の分かれ目は大塩局長が言ったようなことじゃなくて、国民のためにこういう機構をつくるべきかつくるべきではないかという問題だと思う。新しい機構をつくれば、新しい仕事で、新しい役員で、新しいビルがふえ費用がかかってくる。その大きな費用は全部今度宅開公団がつくる宅地のそういう分譲価格や、そこに住宅公団が建てる、あるいは地方自治体が建てる建物の家賃に入ってくる。そうすれば、こんな公団つくらないで、住宅公団に権能と強化を与え、また公団自身も、住宅公団にも大きな問題あります。私はきょういろいろもっと具体的な問題聞こうと思って準備してまいりましたけれども、もう時間がないのでできませんけれども住宅公団の体質も変えて民主化することが必要ですけれども、個々の部門を強化するということで十分できるんです。宅地部門というのがちゃんとあるんです。それを別個にこういう公団をつくると、こういう特別の退職金を持つ特別な機構をつくる。これは国民のやっぱり税金の負担も重くするし、開発される宅地の値段も高くなる。もっとわれわれはやっぱり安上がりの機構というものを国民のためにやるべきだ。そうすれば、絶対的な問題じゃなくて政策的判断の問題ならば、いまの住宅公団でもできるのなら、これを民主化してやれると思うんですね。そういう点で、私はこういう大きな疑惑のある宅開公団をつくることには反対であります。  きょう私は時間の許す範囲で五つの問題を述べました。一つは、住宅政策基本の問題で、公的な賃貸住宅、これを主にすべきだ。たびたび建設大臣も確認しているこの方向から後退しているじゃないかと、逆行しているじゃないかという問題を提起して、第一条に重要な住宅に困っている勤労者のためにということが抜かれていると、もしこれを本当にそれでやるんなら、もう一度修正して目的にそれを入れるつもりはないかということを伺った。つもりはないというのが答えであります。  二番目に、私は大資本の救済になるんじゃないかということで三つの問題を挙げました。これについても抽象的な答弁だけで、明らかに土地を買い占めている大資本が、さまざまなやり方で、これが開発地域でも開発できないで困っているものが、この調整区域あるいは白地区域における十万、二十万の宅地開発、ここに鉄道の敷かれることで大きな救済を受ける機会があり得るという現実的な問題が浮かび上がったと思います。  三番目に、地方自治体の問題でも、地方自治体が抱えている問題を、財政的にもまだまだ解決できないという具体的な問題を出しました。これについても十分な答弁はなかった。これを本当に住民のために生きた都市づくりをやるという機関があるかということについても、そういう協議機関というのははっきりつくられるという保証もありません。  四番目に、私は都市政策の問題として、一体どういう性格のニュータウンをつくるのかということについてもお伺いした。第一には住宅をつくるんだと、都市政策検討はないんです。むしろ東京土地問題三大都市圏の土地問題が激化すると、鉄道ラッシュはもっと激しくなるという危険があることがやっぱり私は出たと思います。  第五番目に、どうも天下りの危険と、それから特別の退職金、いまこれだけ大問題になっている——国家公務員の数倍ですよ。東京都の四千万の局長の退職金のもっと二倍ものそういう特別の退職金を持っている、そういう機構をまた一つつくろうという、しかもその原資は皆さん国民が払っている家賃から出る、宅地代から出るという事態が明らかになった。  私は、その以上の五つの問題で十分納得いく答弁も得られませんし、このまま宅開公団法を成立さして、つくって仕事を進めていくと、必ず大きな問題が生まれて国民から厳しい批判が出るであろうと、そう考えざるを得ません。ですから、私はこの法案、建設省として本当にもう一度練り直すと、あるいは撤回するということが適当であろうと思います。  以上述べて私の質問を終わります。
  204. 中村波男

    委員長中村波男君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後五時二十八分散会