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中村波男君 私が言いたいのは、聞きたいのは、なるほど現在一〇%程度引き下がった。しかし、四十七年三〇%、四十八年三〇%、それが一〇%引き下がりましても、庶民がいわゆるマイホームをつくるための宅地を買うというような経済的余裕が出るわけじゃないわけですね。高過ぎるということですよ。したがって、この高過ぎるのをもっともっと引き下げるという積極的な対策というのは、この
土地利用計画では期待することが無理ではないか、こういうふうに思うわけですね。これでさらにさらに引き下げることができるのだという、そういうことでありますならば、ひとつ具体的にこの
利用計画法をどのように
運用をして引き下げる手だてがあるのか。たとえて言うなら、いままでの実例から言いますと、公示
価格というのは取引事例比較法と申しますか、言いかえますならば、鑑定士の経験的な勘に頼った鑑定方式がとられて、それがいわゆる
地価公示法による公示
価格として示されておる。これを基準にして今後規制をすると言いましても、これは実効が上がらないのじゃないか。
したがって、私は後から聞きたいと思っておりましたが、今回幸いに不動産鑑定評価基準の中に収益還元法を取り入れると、こういう建議がなされまして、何かそれを活用しようという
方針のようでありますが、そういうことも一つの方法ではありましょうけれ
ども、それによって大きく期待をすることはできないのじゃないか。そういうふうにも私は考えて、そういう基本的な考えの上に立って、いま少し私の意見も申し上げてみたいというふうに思うわけであります。
私は、いま申し上げましたように、とにかくいま国民が望んでおるのは、
地価を大幅に引き下げて完全な
鎮静をさせてもらいたい。したがって、そのためにどのような手があるか、これはいろいろあると思うのであります。そう簡単に、これをやれば下がるというような、そういう私は安易な道ではないということは十分承知をいたしております。
そこで、時間もありませんから、時間も限られておりますから、この問題だけに
質問を集中するわけにもまいりませんので、参考までに、朝日ジャーナルに
評論家の飯田久一郎さんが提言をしておられる。私はこれも一つの考え方だと大いに賛成する部分があるわけであります。それをひとつ御紹介いたしまして、すでに
局長なり
大臣はお読みになっておるかもわかりませんけれ
ども、具体的な問題を提起する中から所信をお伺いした方がより掘り下げた意見が聞かれるのではないかというふうに思いますので、重要な部分だけ申し上げてみたいというふうに思うわけであります。
飯田さんは、
土地の供給不足の
原因が、いわゆる
土地が最も有利な資産だという
状態が続く限りは
土地は下がらない、これを消滅させる方法を強力に実行に移す以外にないのじゃないか、したがって、その方策としては、固定資産税などの
土地保有税の強化をしたらどうか。「
土地の所有に対して経常的に賦課される保有税は、それを重くすれば、それだけ
土地の資産としての有利さと魅力が減少し、その結果、
土地を売ろうとする人は増え、
土地を新しく持とうとする人は減るから」効果が出るんだと、まあこういうふうに言っておるわけであります。「しかし保有税のこの働きは、税を重くすることによってどれほどでも大きくすることができるため、もし政府が、基礎控除
制度や累進税率
制度などの採用によって小
土地所有者や借地借家人を十分保護したうえ、その働きを十分に活用すれば、
土地の需給を著しく緩和させ
地価を大幅に引き下げることも可能だろう。」、こう述べておるわけですね。私は、昨年政府が行おうとしました宅地並み課税、農地の。こういう手法は、これは全く農業を市街化区域から締め出す以外の何ものでもないのであって、また零細な所有者をいわゆる宅地並み課税によって手離させようとするこういう手法というのは、これは私賛成できない。しかし、飯田さんは、いまの
地価から言いまして、三千万とか五千万というものについては従来の固定資産税より重くするような方法は避けるべきだ、こういうことを具体的に述べておられるわけであります。
そこで、次の問題として述べておられるのは、「
地価の直接規制という第二の方法であり、
国土利用計画法の意図しているのも、この方法による
地価の抑制である。ではなぜこの方法に大きな効果が期待できるのだろうか。よくいわれるように、この方法が、上昇しようとする
地価を無理におさえ込むためではない。最も有利な資産という現在の
土地の性質を消滅させることによって、人々の
土地に対する執着を弱め、
土地の供給を増加し、需要を減少させることによって自然に
地価を抑える働きを持っているからである。いうまでもなく、
土地の所有によって得られる利益には、二種類ある。第一は
土地を
利用することによって得られる利益であり、第二は
土地の
値上がりによって得られる利益である。
地価が正常な
状態においては、両者のうち前者の利益の方がはるかに大きい。この場合は、
地価を規制し、
値上がり益の大きさを制限しても、
土地所有の有利さにはほとんど影響せず、したがって、
土地の需給にも変化はないだろう。ところが最近のわが国のように、
土地の
利用によって得られる利益に比べて
地価が異常に高くなり、しかも
値上がりの速度がきわめて大きい場合、事情は全く違ったものとなる。すなわち、きわめて利回りの低くなった
土地所有の有利さは、もっぱら
土地の
値上がり益の大きさに依存するようになり、
値上がりの幅を厳しく規制すれば、
土地の持つ最良の資産としての特性は完全に消滅するからである。したがって、もし
地価の規制によって
値上がり幅が著しく小さくなり、しかもそういう規制が相当長期間にわたって堅持される可能性が大きいと考えられるようになれば、人々は
土地について次のような行動をするようになるだろう。まず、
土地を有効に
利用していない所有者の中には、経常利益も
値上がり益も小さい
土地を持ち続けるよりは、それを売却して代金を預金するか、それで有価証券を買う、あるいは所有地を貸すか、また」
——まあ長いですから要約して申し上げてみたいと思うんでありますが、そこで私は
地価の直接規制という方法を考えなければならぬのじゃないかというふうに思うわけであります。
それはいまおっしゃったように、最も有利な資産という現在の
土地の性質を消滅させるということで、人々の
土地に対する執着を弱める。これを徹底すれば
土地の供給は増加して、現在行われている仮需要は減少すると思うのです。自然に
地価は抑える働きを持つことになると思うのです。いまの
地価は言うまでもなく
土地利用価値を全く無視した高い水準にある。この
土地の
地価規制をねらった
国土利用計画法を適正に活用すれば相当な効果が発揮できると期待してきたのでありますが、実際の
運用を見てみますと、いろいろな私は欠陥が出てきているというふうに思うわけであります。したがって、これから
国土利用計画法の
問題点について二、三指摘をいたしてみたいというふうに思うわけであります。
そこで、第一にお聞きしたいのは、
地価が少なくとも年率一〇%程度今後も上昇するんじゃないかという前提で
法律の
運用が実際行われるのでないかと私は疑いを持っておるのでありますが、この点どうなんですか。