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政府委員(吉田泰夫君) まず、都市緑化のための緑の目標水準といったものをつくる必要があるのではないかということでございます。おっしゃるとおりでございまして、近年の急激な都市化に伴って非常に緑が減少しております。そのための
生活環境の悪化に対処するためにも、各都市ごとにその実態に即しました全体の緑のマスタープランと言うべきものをつくる。その中に緑の確保すべき総量というようなものも設定いたしまして、その目標に向かって各種の公園緑地施策を集中していくということがぜひとも必要だと
考えております。私
ども現在各地方団体の手によりましてそのような緑のマスタープランというべきものを策定するように指導いたしておりまして、その根幹は何よりも都市公園そのものの
整備でありますが、これの一層の飛躍を望みますとともに、これとあわせまして、各種の規制を伴った地域地区として、たとえば緑地保全地区あるいは緑化
協定地区といったものの拡大を図るとか、あるいは都市のいろいろな公的、場合によっては私的な空間も含めまして植樹そのものを進めていくといったことをあわせて行いたいと思います。もちろん従来からあります風致地区とか市街化調整区域といった制度も極力これを活用するということでございます。まあそのような総合的な施策で、これは大都市、中小都市、緑の非常に不足している都市、比較的ある都市、いろいろ実情があると思いますから、必ずしも全国一律というわけにもいかない。むしろ各地域ごとの目標というものが、実現の可能性も織り込みつつ策定されるということがいいと思っておりますので、そういった対策を講じて総合的な緑の確保ということを図ってまいりたいと思います。
次に、生産緑地法の施行状況でございますが、これは先般の
国会で御
審議いただきまして通過、成立させていただいた法案でございます。昨年の八月三十一日から施行いたしました。施行の準備等るる進めました上、通達等によりましてこの実施を指導しております。特に三大都市圏の都府県、
市町村に対しましては詳細に
説明会を進めてまいりました。各
市町村におきましても、いろいろな実務上の解釈、取り扱い等も問い合わせが来ております。今後は積極的にその
説明を直接の農民にも進めていこうと、まあ現にそういう
説明会を始めているところもあるわけでございます。ただ、残念ながら生産緑地地区の
都市計画決定そのものはまだ一件も行われておりません。これは法案のときにも議論が出ましたところですけれ
ども、現在各
市町村ごとに条例等によりまして農地保全奨励策というものがとられておりまして、これが
市町村長との間に三年とか五年ぐらいの期間
協定を結んで農地として保全する。その見返りとして宅地並み課税の一部相当額還付というようなことが行われていることもありまして、そういった経過期間が過ぎておらないというようなこと、あるいは市街化区域の農地の宅地並み課税そのものが年を追って
段階的に引き上げるというシステムでありますために、まださほど高くなっていないというようなこと等の
理由によると思います。私
どももせっかくのこの新制度を十分PRいたしまして、もちろん土地所有者の同意が要る制度でありますから、その点もよく御
説明して、農地として相当期間存続される御意思の方の土地は極力これで拾っていくということにより緑の確保の一助にしたいと、こう
考えております。
次に、都市緑地保全法、これもその前の
国会で通していただきました新しい緑地保全の手法であります。これは現在の首都圏、近畿圏の近郊緑地特別保全地区をそのまま緑地保全地区に切りかえますほか、新しく札幌、北九州、福岡等で緑地保全法による新規指定がなされたところもありまして、現在では三十三地区、一千三百二十四ヘクタール余りが指定されております。これも非常に厳しい開発規制を行うわけでございますので十分な周知徹底が必要でありますが、反面、買い取り請求の制度も用意されているわけでありますので、予算の充実とあわせまして極力これを進めてまいりたい。先ほど申しました各都市ごとの緑のマスタープランというものがまとまっていきますならば、そのマスタープランの中でこういった保全地区制度に乗るべきものというおよその目安もついてまいるかと思いますので、今後は大いに活用されるように、またそういう方向でぜひとも進めたいと思っております。
なお、この緑地保全地区の
一つの促進策として、固定資産税を軽減できないかということで、かねての懸案でありました。自治省と現在鋭意折衝中であります。何らかの形で固定資産税が緑地保全地区については軽減されるような方向で現在まとまりございます。まあそういうことにもなれば
一つの緑地保全地区指定のきっかけにもなるということで、私
どもぜひその実現を図りたいと
考えております。
最後に、何か新しい施策があればということでございますが、まあ細かいことで恐縮でございますが、明年度予算から、ひとつ
道路、街路等で、既設のものにつきましても植樹帯というものを歩道に設けて、あるいは中央分離帯等に設けまして、そして
整備する。従来も国道等では行われておりましたし、地方道、街路につきましても新規に
道路を改築する場合にはあわせてそういったことが行われておりましたが、あまたあります既存の街路等につきまして、そういう植樹帯の設置そのものを改築
工事の一種としてとらえて補助採択するという制度が新年度から認められることになりました。また、都市公園とまでいかない都市緑地という制度も、制度といいますか、予算上の措置として新しく補助対象に認められるということになりました。これは公園のように中に入って利用するというよりも、そこに緑があるという存在効用に着目したものでありまして、いろんな
団地内、あるいは、のり敷、あるいは
道路沿線の余分に買い取ったような土地等を活用してやろうということでございます。また、公営苗圃の
建設ということも、苗木を公的に供給し、採算性の悪い苗木を特に公共団体の手で育てていく必要がありまして、これは新規施策ではありませんが、四十九年度から始めたものでございます。また、新年度から、これも非常に細かいものでありますが、都市緑地保全法による緑化
協定を民間で結びました地区につきまして、緑化
協定の地区内で一般の
住民の方々が生けがきを植え、あるいは植樹するといった、緑化
協定に基づく木を植える
費用につきまして公共団体に補助する制度を開いております。非常に細かい話ばかりでございますが、そのようなものを積み上げて何とか緑の拡大というものに
努力したいと、今後とも
努力に努めたいと思います。