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1975-03-13 第75回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月十三日(木曜日)     午後二時五十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 上田  稔君                 増田  盛君                 沢田 政治君     委 員                 遠藤  要君                 坂野 重信君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 望月 邦夫君                 中村 波男君                 田代富士男君                 二宮 文造君                 春日 正一君                 三治 重信君    国務大臣        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        国土庁長官官房        長        粟屋 敏信君        国土庁長官官房        審議官      横手  正君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        国土庁土地局長  河野 正三君        国土庁地方振興        局長       近藤 隆之君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設大臣官房会        計課長      丸山 良仁君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    参考人        日本住宅公団理        事        上野 誠朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○下水道事業センター法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (建設行政及び国土行政基本施策並び建設  省及び国土庁関係予算に関する件)     —————————————   〔理事沢田政治委員長席に着く〕
  2. 沢田政治

    理事沢田政治君) ただいまから建設委員会開会いたします。  本日、小野委員長が所用のため委員会出席できませんので、委託を受けました私が委員長の職務を行います。  下水道事業センター法の一部を改正する法律案議題とし、本案趣旨説明を聴取いたします。建設大臣
  3. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) ただいま議題になりました下水道事業センター法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  現行下水道事業センターは、地方公共団体に対する技術的援助を主たる業務とし、あわせて地方公共団体からの委託を受けて下水道根幹的施設建設を行うものとして、昭和四十七年十一月に設立されました。  その後、生活環境改善に対する国民の要望は一層高まるとともに、水質環境基準達成するため下水道を緊急に整備することが全国的に必要となってきており、下水道事業を実施する地方公共団体が急増いたしております。一方、事業を執行するための体制が十分でないため、技術的援助だけでは下水道を緊急に整備することが困難な地方公共団体が少なくないのが現状であります。このような事情から、下水道事業センターに対し下水道根幹的施設建設の受託を要請する地方公共団体は年々増加しており、この傾向は今後ともさらに強まるものと考えられます。  このような情勢に対処し、水質環境基準達成に必要な下水道建設をより一層推進していくため、現行下水道事業センターを拡充改組して、委託による下水道根幹的施設建設を主たる業務とする日本下水道事業団とすることとした次第であります。  以上がこの法律案提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  第一に、下水道根幹的施設建設を主たる業務とすることに伴い、その名称を日本下水道事業団と改称することとし、法律の題名を日本下水道事業団法に改めることといたしております。  第二に、目的を改正し、本事業団は、下水道整備を促進することにより、生活環境改善公共用水域水質の保全に寄与する趣旨を明らかにいたしております。  第三に、本事業団は、下水道根幹的施設建設を主たる業務とすることを明確にするとともに、新たに、地方公共団体委託に基づく終末処理場等維持管理地方公共団体下水道技術者技術検定等業務を行うことといたしております。  また、本事業団は、終末処理場等建設を受託する場合においては、原則として、水質環境基準達成するために必要な終末処理場等を優先させることといたしております。  第四に、これらの業務の拡大に応じて、役員として新たに副理事長を置く等業務実施体制の強化を図ることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願いをいたします。
  4. 沢田政治

    理事沢田政治君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 沢田政治

    理事沢田政治君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、今期国会開会中、必要に応じて日本住宅公団役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 沢田政治

    理事沢田政治君) 御異疑ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 沢田政治

    理事沢田政治君) 建設事業並びに建設計画に関する調査議題とし、建設行政及び国土行政基本施策並び建設省及び国土庁関係予算について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 田代富士男

    田代富士男君 私は、きょう、住宅問題、二番目には地価の問題、三番目に国土利用計画法、そして四番目に建築の残土の問題等につきまして質疑をしたいと思います。  持ち時間が決められておりましたが、きょうは御承知のとおりにこういう変則な時間からの委員会のために持ち時間を制限を受けました。つきまして、質問のできるところまでやってまいりますが、残りました質問は次回に保留さしてもらいたいことを最初お願いをしておきたいと思います。次回に続けてやりたい。与えられた時間の範囲内で協力をいたしますけれども、そういう趣旨でできるところで終わりたいと思います。そういうことを最初に申し上げ、委員長にも確認をさしていただきます。よろしいでしょうか——。  最初に、さきの衆議院の本会議におきまして、三木総理施政方針演説に対しましてわが党の竹入委員長質問をいたしました。その質問の中に、住宅基本法をつくる考えはあるかないかという確認をいたしましたところ、三木総理は、現在のところ住宅基本法をつくる考えはないという答弁をされております。ところが、御承知のとおりに昨年の秋に住宅宅地審議会中間報告をしております。この住宅宅地審議会答申は、多分ことしの六月ごろだと思いますが、正式に出されることになっていると思いますが、それまでの中間報告としての報告は出されておりますが、その内容を見ますと、住宅基本法の制定の必要性を訴えられております。さすれば、三木総理答弁と、これは正式にはことしの六月でありましょうけれども中間報告精神につきまして、私はちょっとこの点を疑義を感ずる次第でございます。  これはもちろん大事なことでございまして、公明党もすでに四十三年以来三回、国会住宅基本法提出いたしまして、現在も衆議院におきましては継続審議中でございます。まあこういうことから、住宅に関する憲法と言われますこの住宅基本法につきまして、三木総理考え、それからいま申しました中間報告との違いにつきまして、まず大臣はどういうお考えであるかお聞かせ願いたいと思います。
  9. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 衆議院の本会議三木総理答弁がいろいろ食い違いがありまして議論されました。これは衆議院委員会でもいろいろ議論されたのですが、基本的には変わっておりません。三木総理は、今国会には基本法提出する考えはないと、こういう言い方をしたようでありまして、これは私ども後で確認をいたしました。したがいまして、その点は私ども率直に申し上げますが、中間報告をいただいておりますから、この報告を待って、できるだけ基本法というものを検討し、やる方法で努力しなければならぬと思っております。  御承知のように、いわゆる住宅の第二期計画が五十年度が最後の年でありまして、これはいろいろ振り返ってみると、皆さんからも御指摘をいただいておりますが、いろいろ問題があります。予定どおり計画どおり進まなかった問題もあるし、そういった面を反省しながら、一遍過去の計画を洗い直して、そして五十一年度を初年度とする第三期計画を進めなければならぬということを考えているのです。そういう面から考えますと、大きな住宅政策として住宅基本法というものは当然われわれは検討し、考えていかなければならぬ問題だと思っております。そういう意味で私ども三木総理にも話をいたしておるわけでありまして、この間の本会議答弁はそういうことでありまして、決して基本的に食い違っておりませんから御了承願いたいと思いますし、私ども基本法は十分に答申を待って検討をし、実現に努力をいたしてまいりたいと、かように存じております。
  10. 田代富士男

    田代富士男君 基本的には食い違ってないということでございますが、まあ今国会には提出はしないということは明確に言われたわけなんですが、そういう点の食い違いということを私はお尋ねをしていたわけなんですが、大臣がその精神に沿って、これは前向きに取り組んでいくということであるならば一応それを了といたしまして、私はここではとどめておきたいと思いますが、いま大臣お話しになっていらっしゃいましたとおりに、第二期住宅建設五カ年計画が五十年で終了をするといま申されましたが、政府試算ではその達成率というものはどのくらい見込まれておるのか、見通しといいますか、その点をまず御説明を願いたいと思います。
  11. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 第二期住宅建設五カ年計画最終年度の五十年度分が完全にできたということを前提といたしまして試算をいたしてみますと、公的資金によります住宅が三百十九万八千戸でございまして達成率は八三・三%、民間自力建設住宅が五百五十一万七千戸で達成率は九六・一%、合計では達成率が九一%になる見込みでございます。なお、そのうちで公営住宅につきましては達成率は七九・七%、それから公団住宅は六三・五%にとどまる見通しでございます。
  12. 田代富士男

    田代富士男君 いま数字をお聞きいたしましたけれども、この公団住宅建設におきまして地方自治体との間にいろいろトラブルが起きているところがあります。住宅建設工事がストップしたり、あるいは入居が大幅におくれたり、いろいろな事態各所に見受けられておりますけれども、いまそういう建設がストップしている個所、あるいは輸送の問題、あるいは通勤問題等におきまして入居募集ができないような状態になっているそういう個所はどのくらいあるのか、お示しを願いたいと思います。
  13. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) 現在、住宅建設工事がストップをいたしております団地は二つございまして、一つ千葉県の船橋市にございます飯山満団地でございます。約二千三百戸程度団地でございます。それからもう一つ府中市にございます車返団地でございます。約千八百戸の団地でございます。飯山満団地につきましては、地域外排水路整備に関しまして地元水利組合との協議大変時日を要しておりましたが、現在やっと協議が成立いたしまして水路の整備中でございます。したがいまして、この三月の下旬に建築工事を再開できる見通しでございます。  それから府中市にございますところの車返団地につきましては、これは都市計画街路並びに一般の市道これを団地建設にあわせまして整備する、こういうことになっておりまして、これの用地買収が遅延いたしておりますので着工のできない状態でございますが、これも市の方と協議をいたしまして、ともかく着工できない分についてはこの二月の下旬にくい打ち工事だけは着手してよろしいと、こういう了承を得まして、近くくい打ちにかかる予定でございます。  以上でございます。
  14. 田代富士男

    田代富士男君 いま代表的な場所を、千葉県と府中市の団地を挙げられました。で、車返団地につきましては、これは地元でも大変な問題になっております。だから、この建物はすでに昨年建設が完了しております。いま申されるとおりに、道路建設工事がおくれていまだに入居ができない。ただ単なるそういう理由のようでありますけれども、なぜそういう道路建設工事が当初の予定よりおくれたのか。おくれたという事実はわかっているけれども、当初建てられた——建物は建っている、そこらあたり明確にちょっと御説明願えないでしょうか。
  15. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) ちょっと遠くで見えにくいかと思いますけれども、車返団地のこれは概略の図面でございます。(資料を示す)それで、車返団地府中市の白糸台というところにございまして、これが京王線でございます。京王線武蔵野台の駅、これから歩いて五、六分のところでございます。こちらは多摩霊園、こちらは飛田、新宿の方になるわけでございます。  それで、この団地につきましては、用地買収が三十八年の十二月でございます。そのときから地元の市と協議を始めまして、当初はこれをこの辺まで一緒にやれという話もございましたが、いろいろ紆余曲折がありまして、結局四十一年の八月に一団地住宅施設という都市計画事業としてこれだけをやると、こういう話が府中市とできました。で、そのときに、基本的な考えといたしまして、この団地をつくるについては、この都市計画街路、新甲州街道からずっとここまで来る都市計画街路国庫補助事業補助裏公団が負担する、そういうかっこうで団地建設とあわせて施工する。それからもう一つは、武蔵野台へ行く、徒歩で参ります通勤道路と言っておりますが、この道路を、現在幅員が四メートル程度でございます。これを当初は六メートルに拡幅整備すると、その費用公団で負担すると、こういう協定ができました。それでこの基本協定は、これもいろいろ折衝いたしまして、四十四年の八月にいたしました。で、同時に四十四年の十月にこういう郊外の、区域外道路公団費用でもって整備するという覚書を交換いたしております。で、それ以来ずっと話を続けてまいりまして、現在ここにいま先生が御指摘になりましたように六百五十戸、昨年の五月に分譲住宅建物は完成いたしております。ほかの郊外のまだ屋外付帯は若干おくれておりますが、建物は五月に完成いたしております。  これを発注いたしましたのが四十八年の二月でございます。それでその二月に発注をいたしますときに、市の方に工事用道路、こちらはずっと市街地がございますので、それから道路が狭うございますのでこちらから進入できません。で、こちらの方から進入することにいたしましたが、それについて道路の、工事用道路の使用を市に申し込みをしたときに、市の方からこの六百五十戸についてはとりあえず着工してよろしいと。で、都市計画街路ができなくても通勤道路ができるならば着工してよろしいという了承を得ました。同時に、こちらについては、この都市計画街路ができなければ入居しては困る、こちらは通勤道路ができれば入居してよろしい、こういう了承を得まして、それで四十八年の二月にこちらを着工すると同時に、その後これが、六メートルが市の要望で八メートルにふえましたけれども、八メートルに拡幅するについて、これは市の道路でございますので、公団が市からその業務を受託いたしまして、市と公団一緒になって地主を説得して買収をするという作業を始めたわけでございます。始めた時点におきましては、こちらの住宅ができる時点までにこの道路ができると、拡幅ができると、こういう見込みで着手いたしましたが、残念ながら地主のなかなか了解が得られませんで、現在のところこちらの取りつけ道路工事がおくれておる、一方住宅の方は順調に進捗してでき上がった、こういう状況になっておるわけでございます。
  16. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明していただいたとおりに、団地甲州街道を結ぶ都市計画道路と、それから武蔵野台駅までの通勤道路拡幅が終わるまでは入居をさせない、募集をしないというそういう覚書が、いまお話しのとおりに了解事項ということでなくして覚書府中市との間に結ばれている。その覚書がありながら、現時点においてはそういう状態になっているというのは、一体これは府中の市が悪いのか、公団責任になるのか、その点の責任はどうなんですか、どちらが悪いのか。
  17. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) 工事が、道路がおくれました原因は、いま申しましたように市と公団一緒になって地主にいろいろ折衝いたしましたけれども、なかなかその道路線形——つまり西側拡幅するか、東側に拡幅するか、その線形がなかなか決まりませんで事業がおくれました、そういうことでございますので、その責任はその事業を受託いたしました公団にもあると、こういうふうに考えます。
  18. 田代富士男

    田代富士男君 公団にもあるという、そういうどちらでもとれるようなお答えですけれども、私はこれは大事なことじゃないかと思うのです。なぜかと言いますと、道路用地買収後回しにして、そして建物を、工事を始めた。そこらあたり公団姿勢という、建物は建ちました、道路は市との覚書でこうやっておりますが、こういうことになりましたと、いま説明があったとおりですけれども、まずそういうことは当然道路ということが、通勤者もおるということはわかってながらそれを後回しにした、ここらあたり問題点、この点は公団側にも私は責任があると思いますが、大臣どうでしょう。
  19. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 責任があると思います。私はいままでの公団のやり方、いまいろいろな問題がたくさん各所で起こっております。その問題を見ますと、家を建てることのみしか考えていない。そういう言い方、少し行き過ぎかもしれませんけれども地元市町村関係者と十分に話し合いをして、そしてそういう少なくとも建築以外の付帯関係の問題も一切解決のめどをつけて、それから着工すべきものだと思っています。そういう点に不十分な点があって、家を建てることだけを急いで、そして問題を後回しにしたという感じが確かにあるのです。これはすべてが公団責任とは申しません。恐らく関係市町村とも相談の上でしたことでありましょうし、私どもはむしろ、これからやるなら、その地元関係市町村にそういった問題を責任をもって解決してもらうというぐらいの腹構えを持ってもらいたいと思うし、それに対しては十分に公団の方もこたえていくだけの努力をしなければならぬ、かように存じております。私はそういう意味で率直に申し上げますが、現在でも四十九年度の新しい工事発注計画があるようでありますけれども公団にはっきり言っております。地元のそういうもろもろの問題が完全に解決がついて、そうして建築したならば後は文句なしに入居ができるという形でない限りは出発してはいけないと、こういう私は強い指示をいたしてあります。そういう意味から考えてみますと、公団にも責任がないとは私は申し上げません。しかし、一たんできたことは仕方がありませんから、全力を挙げて各市町村とも相談をしながらこの問題の解決に当たるべきだと思っております。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣が明確に公団責任があるということを申されました。私はこれ以上公団を責めるものでも何でもありません。こういうことが二度と起きないように、そのように後々の施工される面に生かしていただけば幸いじゃないかと思うのです。だから今回の、いま責任があると言われた、どこに責任があるかと、これは明確にしておかなくちゃいけない。その責任地元住民の意向を無視した、ここに一番の責任があると思うのです。地元住民協力を得られなかった、こういうところをどうするか。ここが大きな問題じゃないかと思うのです。  そういう意味から、日本住宅公団法の第三十四条では、住宅公団は、建設計画段階におきましては、地方公共団体の長の意見を聴取しなければならない義務づけをされております、三十四条によりまして。いま府中市の車返団地のような事態を再発させずに住宅建設して、庶民の皆さんに希望を与えるようなそういう促進をやっていく段階におきましては、そういうような関係住民との協議を義務づけるような、そういうような必要性というものもいまの具体的な車返団地の面からもはっきり出ておりますから、そういう点につきまして、この公団法を改正をいたしまして、こういうことが二度と起きないようにするような考えはないのか、前車の轍を踏まないためにも。その点はいかがでございましょう。
  21. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 住宅公団法三十四条におきまして、地元都道府県知事または市町村長意見を必ず聞くようにということを定められております。先ほどの車返の覚書等も三十四条協議に基づきまして向こうの意見を聴取したものでございます。そういうようなことを義務づけております理由は、地元地方公共団体による住宅建設計画等との調整をはかるということも一つございますが、住宅公団の行う住宅建設等につきまして地元地方公共団体協力を得るとともに住民意見も反映させるということを目的としております。市町村長さんの御意見の中に当然地元住民皆さんの御意見も反映しておるというふうにわれわれ了解いたしておりますし、さらに団地建設に当たりましては、やはり地元皆さんにお集まりいただきました説明会を再々開くことを公団も努めるようにいたしております。それらの点を考慮いたしまして、先ほど大臣が申し上げましたような姿勢で今後公団が前向きにやっていけば十分だろうと思いますので、法律を改正してまでというところは考えておりません。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 それはやはりここではそのようにお答えにならざるを得ないでしょう。しかし、三十四条にそういう公共事業をやっていく場合には地方公共団体の長の意見を聴取すると義務づけされている、その中に住民の声も含まれております、その精神はちゃんと三十四条に盛られておりますということでありますが、それならば府中市の車返団地の場合、公団とそれから府中市との間で覚書がちゃんとできているでしょう。団地甲州街道に通ずる都市計画道路と、それから武蔵野台駅までの通勤道路が完備するまで、拡幅が終わるまで入居をできない、そういうことは盛り込んである。にもかかわらず、これができなかったという新しい問題提起をされておりますから、三十四条のこれだけでは再び同じようなことが起きるんじゃないかということで私は申し上げたわけなんです。そうじゃありません、この中に盛り込まれておりますと言うならば、車返の団地のこれはどういうふうに説明されるのか、そこらあたり説明してください。
  23. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) 三十四条の照会は四十一年の八月にいたしました。で、それに基づきまして市の方でいろいろ検討をいたしまして、東京都の意見も入りまして四十四年の五月に一団地住宅経営計画決定をいたしました。これは市が発議をいたしまして、都市計画事業として決定するわけでございますから、その時点地元住民、市議会、十分諮ってこういう団地をつくるということを決定したわけでございます。その決定に従いまして公団が特許を受けてこの事業を実施すると、こういう形で建設が始まったわけでございます。  なお、そういう一団地住宅経営をやるにつきまして、先ほど来申し上げましたように四十四年の八月に基本協定、四十四年の十月に地区外の道路、関連街路の整備に関する覚書を交換いたしました。それから四十七年の十月に基本協定を一部変更いたしました。それで同時にもう一度車返建設に関する覚書を交換いたしました。これらはすべて市の方はこれを市議会にかけまして、それで内容を決定しました。その内容は、要するにそういう関連街路、国庫補助以外は公団費用でもってやると、こういう内容でございます。  それからその街路ができなければ入居できないという話につきましては、先ほども申しましたように四十八年の二月に六百五十戸を着工する段階公団の方から市長に、着工いたします、工事用道路はこれを使用いたしますという文書を出しましたときに、市長の回答として、その道路を使用することはよろしい、ただし六百五十戸については通勤道路が完成した上で入居を認める、それから残りの千二百戸については都市計画街路の完成を見た上で入居を認める、こういうことになりましたので、当時私ども通勤道路は大体間に合うと見て六百五十戸の方は工事に着手しましたし、それから都市計画街路の方につきましては、現在すでに五十年度で用地買収を終わる目標でやっておりますけれども、その見通しが立ちませんので千二百戸については工事着手を控えております。それから通勤道路につきましても、現在十名程度地主がおりまして、あと二人だけ話が残りまして、この三月いっぱいでもって話をつけて通勤道路用地買収を終える予定でございます。で、このように私どもは三十四条の協議をもとといたしまして、それから出てくる市の意見に基づくところの協定書を、それをもとにしまして、それに合うように住宅建設発注はいたしておりますけれども、着工は調節をしながら現在工事を進めてまいった次第でございます。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 もう現実には六百五十世帯の人が入れるようになっているわけなんです。そういうわけで、いまいろいろそれに対しまして努力していらっしゃることは私も認めております。一日も早く入居できるようにしてあげなくちゃならない。そういう意味から、いま見込みといたしまして入居のめどはいつごろに持っていらっしゃるのか、ちょっとお聞かせ願います。
  25. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) ことしの九月入居を目標にいたしております。で、三月いっぱいで用地買収を終えまして、それから通勤道路拡幅工事をいたします。そういうことで八月末に完成して九月入居、こういう目標でやっております。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 いま、ことしの九月ごろ入居見込みであると、これも決まったわけではありません。すでに現時点におきまして当初の入居時から大幅におくれております。そうした場合に、おくれた時点から今日まで、またきょうから予定されますことしの九月までの間、この間は維持をしていかなくちゃならない。この維持管理費はどれくらいになる見込みであるのか御説明願います。
  27. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) でき上がりました住宅維持管理費は、大体一戸当たり一ヵ月で千二百三十円程度でございます。したがいまして、現在まで約六百万円でございます。
  28. 田代富士男

    田代富士男君 ちょっと待ってくださいよ。いまの御説明では、でき上がった時点でその維持管理費が千二百三十円であると。そしていま畳も入っております。まだできたてのそういう団地でありましたならば、窓を閉めっ放しというわけにはいかないでしょう。そうしたら窓もあけなくてはならない。当初予定されました入居者が入ってからの維持管理費と違いまして、だれも入ってないところでの管理費、畳も一年間それ以上だれも入らずに入っているところへ、どうぞ新しい人を入ってくださいというわけにはいきません。これは畳も入れかえなくてはならない。そういうことをいたしますと、私は、いま単純計算をされましたけれども、このくらいでは済まないと思いますけれども、どうですか。そういうところも含んでこんなものですか。こんなものじゃ済まされないでしょう。
  29. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) 現在、でき上がりました住宅には畳、ふすまが入っております。したがいまして、先ほど私が申し上げました維持管理費というのは、窓に日光をさえぎる遮蔽幕をつけます、それから三日に一度は窓の開閉をいたします、それからときどきずっと見て回ります、そういった空き家保守管理の費用が一戸当たり月千二百三十円程度と、こう申し上げたわけでございます。
  30. 田代富士男

    田代富士男君 畳なんかどうしますか。
  31. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) 現在のところ、その日覆いをいたしておりますので、畳、ふすまは一応そのまま使えるかとも思っておりますけれども、これはなお入居時点におきまして点検いたしまして、非常に日にやけておると、取りかえる必要があるといったものは取りかえるつもりでおります。
  32. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、いま申されました維持管理費よりもこれは上回る、ましていま畳がやけたところだけをかえると、もう約一年以上二年にかかろうとしている間畳をそのままにしていて、人間が住んでこそ畳というものも御承知だと思いますけれども生きております。これは全部取りかえるといったら大変じゃないんですか。畳を取りかえる、やけたところだけ。白い畳と古いところと色違いの畳が出てしまう。そこへお入りなさいと言えますか。ましてここは分譲住宅と違いますか。そこらあたりはどうなんですか。分譲住宅に畳の色の白いのと古いのと入っている、そこへ分譲住宅できますか。それでもよろしいという公団姿勢ですか。そこらあたりはどうなんですか。
  33. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) 先生がただいまおっしゃいましたような不都合があってはまいりませんので、入居時点でさらにもう一度点検をいたしまして支障のないようにいたしたいと、こういうふうに考えております。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、この団地はいま申すとおりに分譲団地です。じゃ、予定どおりにできましたこの分譲団地でありますならば、すでに試算されました原価によって一応単価も出されているでしょう。これはまだ入居者を募集しておりません。ところが、いま言うように予定外のいろいろな費用がかかっております。さすれば、その維持管理費というものは従来建てられた分譲価格に上積みされるんじゃないか、するのかしないのか、ここらあたりですね。これはかかったんだから上積みをすると、で、責任入居者に押しつけるようなことになるじゃないですか。ここらあたりは明確にすべきだと思うんです。どうですか。
  35. 上野誠朗

    参考人上野誠朗君) こういった保守管理者は建設事務費から支弁をいたしますので、長く保守管理をしたからといって分譲代価に上積みはいたしません。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、それ明確にそのようにしていただいたらありがたいと思います。  そこで、私は、このように入れるところに入ることができない、希望者はいっぱいおります。そういう意味で、三木総理住宅基本法をつくる考えはないと、いま大臣から、これは今国会提出する考えはないということであって基本的な考え方には食い違いはないというまあ大臣の御意見を了といたしますが、そういう意味住宅基本法につきまして、私はこれは意見でありますけれども、ヨーロッパにおきましては住宅に関するシビルミニマムが設立されておるわけなんですが、どんな低所得者でも一定水準の住宅に住めるように配慮されている、ヨーロッパ各地におきまして。そのようにすべての国民に住宅権というものが確立され保障されております。まあお隣の中国でも、先日行ったときに、日本の二DKでどのぐらいの家賃で住んでいるかということを聞いてみました。向こうの貨幣の問題もありましょうけれども、ちょうど日本の金に換算しましたら、二DKで六百五十円ぐらいで入っているんです。まあ私は、一応は国柄も違うけれども、一応参考にすることはできるのじゃないかと思いまして、ヨーロッパにおきましても、いま申すとおりに低所得者全部が一定水準の住宅に入ることができると。ところが、わが国の場合は住宅に関するシビルミニマムは確立されておりません、現在。  しかも、住宅建設の主体が、いまも車返団地のことで私が質問したときにもいろいろお話がございましたとおりに、国がやるのか個人がやるのか、そういう点が不明確です。明確でない、この点。そのために公営住宅公団住宅など公共住宅建設というものも大幅におくれている。いまさき達成率を私は聞きました。達成率の面におきましてもおくれている。まあそういう面におくれたからといって、その責任の所在はどこであるかと、その責任の所在は不明確であるから、別におくれたからといって責任をどうこうされるという問題ではないと、だからこういう点を明確に位置づけるべきではないかと思うわけなんです。そういう意味から、住宅に関しましては、国全体として考える基準となるべくナショナルミニマム、あるいはその地域地域で検討していくべくシビルミニマムを設立いたしまして、そうして住宅供給に関する国と地方自治体との責任体制を明確にすべきではないか、こういう点を考えまして、住宅の憲法とも言われます住宅基本法を早急に制定する必要があるんじゃないかと思うわけなんです。こういうことに対しまして、大臣、いかがでございましょうか。
  37. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) お説、私は賛成であります。ただ、住宅を持ち家にするか、あるいは賃貸にするかというそれぞれ国民の要望があるわけですが、やっぱり大都市を中心にした所得の低い人あるいは老人、母子家庭と、そういう人々には公営の低賃貸住宅を提供するという線でいかなきゃならぬと思いますし、まあ住宅公団やらあるいは公庫融資等は、比較的要望の多い中堅層の持ち家住宅を対象にするという形になっておると思います。  そこで、所得の比較的高い人はともかくといたしまして、やはり所得の低い人にはその所得に応じた家賃で入居ができるという形にすることは、これはもう先生おっしゃるとおりで理想であります。私どもはその問題を考えなきゃいかぬと思っておりますが、そういう意味審議会の中間報告の中にも、俗に言う応能家賃制度ですか、そういったことが示唆されておりますし、所得や能力に応じて適当に公的な家賃の住宅に入れるということにすること当然であります。それから大体住宅の基本的な考え方からいっても、日本国民でまじめに一生懸命働いて適正な代価を払えば一定水準の住宅に入れるということがこれは基本的な方針であることは、もちろん申し上げるまでもありません。  そういうような理想に近づけるために私ども努力をせなきゃならぬと思っておりますが、そういうふうに応能家賃制度というものもこれからの私は大きな一つの課題になると思っておりますが、その前にもう一つの問題は、現在の公営住宅の中の新旧の何といいますか、負担の不公平というものが非常に大きいわけでありまして、そういうふうなものを基本的にひとつ解決する問題もこれは考えなきゃならぬと思います。そういうことを考えますと、これは地方自治体の方でもひとつそういった問題でも積極的に努力をしてもらわなきゃなりませんから、今後はおっしゃるような趣旨住宅問題を進めていくためには、国も地方公共団体も一体になりまして積極的に取り組んでいかなきゃならぬ大きな課題が示されておる、その意味における住宅基本法というものが大いに検討されなければならぬことは当然だと思っております。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、大蔵省が不況対策の一環といたしまして住宅ローンの拡充を金融機関に指示をしたということも影響してか、ことしの一月ごろから徐徐に民間の住宅建設工事件数というものがふえつつあります。ところが、この住宅ローンの緩和傾向を契機にいたしまして、不況でありますけれども上向きになった途端に住宅建設費が上昇するような気配が見えてきております。これは私は何とかしなくちゃならない問題じゃないかと思うんです。庶民のマイホームの夢をつぶして、やっと上向きになろうとしているそこへ、こういうように建築費が上昇し出す気配にどう対処されるのか、具体的な策をお示し願いたいと思うんです。
  39. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) 住宅ローンは確かに大蔵省努力いたしまして少しずつふやしておりますけれども、まだやっと昨年の水準に第四・四半期に追いついたというのが現状でございます。それを反映いたしまして、四十九年度の住宅着工戸数は、四十八年度月平均が大体十五、六万というのに比べまして、十万戸を切っております。大体四十八年度では年間で百九十万戸を超える住宅ができたわけでございますが、四十九年度では、現在の見通しでは一月から十二月までの全体で百三十一万戸ということになっております。約三〇%の減でございます。ただ、先生おっしゃいますように、ちょうど四十七年の終わりから四十八年にかけまして建築ブームといいますか、非常に戸数がふえた時代がございます。そのときに確かに建築費の単価が非常に上がりまして、そういう意味で、今後だんだん住宅発注がふえるにつれて、建築費の単価につきまして注意を要するということはおっしゃるとおりだろうと思います。基本的にはやはりそういうようなことも考えまして、安定的に拡大していくような住宅建設を今後計画すべきだというのが一つは基本であろうかと思います。それと同時に、住宅生産の合理化につきましては、従来から住宅部材、部品の工業化、それから新しい技術の開発等に努めてまいっておりますが、さらに生産体制整備、それから流通機構の改善等につきまして総合的な対策を講じてまいりたい、現在検討しておる次第でございます。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、国土庁長官も御出席でございますが、長官が一月の二十日ごろでございますか、各省のばらばらな住宅政策を新しくできた国土庁で調整をして一元化を図る方針を固めたいと、そして効率のある住宅政策というものを実行していきたいというそういうお考えのもとに、住宅建設十カ年計画、五十一年から六十年、このように策定の準備を事務当局に指示されたと承っておりますけれども、その点は大臣いかがでございましょうか。
  41. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) この問題につきましては、新聞の報道が一部誤っているんじゃないかと私は思うんですが、第三次新全総の中で十カ年計画というものをつくり上げるというその中で、建設省住宅五カ年計画を来年からまた立てなければならぬと、そういう意味で、その十カ年計画をつくるについては、十分建設省と連絡をとりながら調整して、第三次新全総というものをつくり上げてまいりたいと、こういう考えを申し上げたわけでございます。
  42. 田代富士男

    田代富士男君 そうすれば、いま大臣おっしゃったとおりに、各省ばらばらのそれを一本化する、そういう考えではないというわけですね。
  43. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) そういう問題につきましても、一つの宿題として各省とも今後十分な連絡をとって、第三次新全総をつくるにおいても、できることであれば一本にいくことが私は理想だと考えております。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 建設大臣にお尋ねいたしますが、第三期住宅建設五カ年計画を策定していらっしゃる。国土庁で十カ年計画ということがいまお話に出ておりますけれども、この関連はどういうふうにされていくお考えでしょうか。
  45. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 私どもは第一期、第二期と進めてまいりまして、五十一年度は第三期初年度にして五カ年計画という考え方で進めております。ただ、国土庁の場合はさらに十カ年の長期の見通しに立ってのいろいろな構想を持たれておるようでありますから、それと矛盾しないように十分調整をしながらやっていかなければならぬというふうに思っております。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 じゃあ、次に地価の問題に移りたいと思いますが、国土庁が発表いたしました五十年の公示地価の動向速報で明らかにされておりますとおりに、最近の地価というものは鎮静傾向にあります。これは昨年の末国土利用計画法が施行されたことや、あるいは金融の引き締め、また総需要抑制、それから景気の後退とか、そういういろいろな諸条件もあるかと思いますが、ここでまた金融が緩和されたり、あるいは総需要抑制策が緩和されて景気が刺激された場合に再び土地の騰貴が再燃してくるのじゃなかろうかということは、いまも私が質問しましたとおりに、やっと住宅ローンの拡充が金融機関に指示されただけで、そして民間の住宅建築件数が上がった途端に建築費が上がろうとしている。それと同じように再燃する危険性があると思いますけれども、これに対しまして国土庁としてはいかに対処されるお考えであるのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  47. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) ただいま鎮静化した点につきましては、先生がおっしゃられるとおりだと私も思っておるわけでございますが、これが金融緩和というような政策がとられる場合につきましては、実は先般の閣議におきまして、そのような場合に対しまして土地が仮にも上がるようなことが出たんでは国土庁存在の意義もないというようなことを考えまして、私は閣議で発言をいたしまして、この土地収得資金につきましては、もちろん庶民の住宅ローンというような問題についてはこれは当然除外すべきだと思うけれども、それ以外の土地の問題については十分な慎重な考慮をしていただきたいということを私はお願いを申し上げまして了承を得ておるわけでございますが、なお今度計画法の的確な運用とあわせて、もし上がるという場面についてどうするのだ、もちろん金融の引き締めあるいは選択融資というような問題について十分な配慮をしていただくけれども、国土庁としてはこの国土法の的確な運用をするために地方公共団体とも十分ないま連絡をとり、通達も出し、そしてもしその場合については国土庁計画法というものを運用して網をかける、凍結するというような場面も考えなくちゃならぬ。しかし、そういう場合には、大都市あるいはその周辺の地域だろうと、十分な各地方公共団体と連絡をとりつつ監視をいたしておるところでございます。
  48. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いま長官が庶民の住宅ローンはさておいて、ほかのそういうような土地取得につきましては、慎重に取引等については考慮してもらいたいことを閣議でも了解を得たという、そのように前向きに取り組んでいただいているわけなんです。それは非常に結構なことだと思いますが、そこまで取り組んでいただいているならば、かつてのような土地投機、あるいは地価高騰を誘発させるようなことのないためにも、私は国民生活の安定という観点から厳しくチェックして選別規制をする必要があるのではないかと思います。この点に対する考え方はどうであるかということが一つ。  それからいま大臣も申していらっしゃいましたとおりに、将来ともに土地の需要というものはこれは押し迫ってくると思いますが、その土地需要を緩和して長期的地価の安定を保っていくためには、ちょうどいま金融の引き締め、また総需要抑制等によりまして地価がいま鎮静しております。じゃこういうときに公共用地の拡大を促進していた方がいいんじゃなかろうかと、そういう意味からいま大臣もちょっとお触れになりましたから、そこで、自治省の調べでは、地方自治体の土地需要は非常に多い。一つ試算によりますれば、地方自治体で約八千億、土地開発公社、これは自治体の外郭団体ですけれども、これで約一兆二千億、合計約二兆円ぐらいに達しているということなんですが、こういうことから考えまして、将来を見込んでそういうような庶民の夢をつないであげるためにも、この際こういう措置も講じておく必要があるのじゃないかと思うのですけれども、この二点について大臣のお考えを聞かしていただきたい。
  49. 河野正三

    政府委員(河野正三君) まず、第一点の選別融資基準的なものをつくったらどうかという御提案でございます。先ほどもわが長官からお答えをいたしましたが、私ども現在長官の御命令によりまして、仮に近いうちに金融緩和というような事態を迎えましたときに、土地取得資金の融資につきまして、どういうような緊急度合いの順序を設け得るか等につきまして検討を始めております。まとまり次第大蔵省銀行局とも話し合いに入る予定をいたしているわけでございます。なお、その際住宅ローンについてはどういう態度をとるかということにつきまして、先ほど長官が、これは別である、庶民のマイホームの一つの夢にこたえなきゃいかぬという点お答えになりましたが、数字的にこれを補足いたしますというと、私どもの推計では、昭和四十八年度に土地取得に回りました金融機関の資金というものはおおむね六兆数千億円だと思うわけでございます。一方、住宅ローンの中で土地取得向きに回りました資金量というものはせいぜい七千億円であるというような推計をいたしております。そこで、今回の金融緩和というような事態を迎えましたときに、土地取得に流れる金につきましては相当注意を払わなきゃなりませんが、その影響の度合い、庶民に対する生活の安定というようなことを考えました場合には、住宅ローンは別ではないかというような判断に立っているわけでございます。  第二点の公共用地の拡大でございます。実は国土利用計画法にも遊休土地に関する措置というのが規定されておりまして、私ども地方公共団体を指導いたしましていろいろな調査を現在やっております。先ほど二兆円という数字がお出になりましたが、自治省としてそういう数字があるということを言われましたが、私どもの推計もほぼそれに似ているわけでございます。しかしながら、この際二兆円というような金が土地取得に出回るということもまた大変大きな影響を与えるわけでございまして、おっしゃるとおり買い手市場に転化している現在、公有地の拡大を図るチャンスではございますけれども、そういった逆の面の影響も勘案しなければならないのではなかろうかということで、まあ自治体、公社の土地取得に対しましては、使用計画等が明確に確立しているような公共公益施設用地の先行取得的なものというようなものについては配慮するとして、そういう計画が不明確なものにつきましては、やはりこの際も多少控えぎみに指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  50. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、先行取得制度の問題ですけれども、約二兆円ほど概算の試算ですけれども、そこで地方自治体が先行した用地を国が買い取る場合には、国は地方自治体の仕上がった団地の取得価格と、それから利子が九%、その合計額で支払うことになっている。そして国の買い取る価格につきましては、大蔵省と自治省との間におきまして、時価を限度とするというこういう両省の協定になっているそうでございますが、そうしますと、ここで心配なことは、地価が徐々に上がっている場合には問題ではございませんけれども、いま申すとおりに地価が安定するということは、これは国民にとってうれしいことではありますけれども、地方自治体が取得をした経費、それと利息を合計したとして、それが時価を下回っていた場合のその差額は地方自治体が負担をしなければならないのか、ここらあたり、安定するということはありがたいけれども、そうした場合の関連というものはどうなるか。一言で言うならば逆ざや現象、これに対するやはり特別措置というものを講じなくてはならないと思うのですが、ここらあたりはどうでございますか。
  51. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 御指摘のように地価が安定いたしまして、これが下降傾向をたどってくるということになると、御指摘のような事態が生ずるわけでございます。各地方公共団体、現在そういう憂慮をしております。その事情はよく知っておりますが、現在の現段におきましては、現実にはまだそういう事態になっておりません。そもそも先行取得制度をとりましたいきさつにつきましては、ただいま先生おっしゃいましたような、先行することによって国民の税金を使う公共事業の有効な活用を図っていくということにあるわけでございますから、現在、大蔵、自治の間で取り交わしております覚書に基づいて、建設省は次官通牒でもって建設省関係の公共事業につきましてはそういう措置をとっておりますが、もし将来そのような事態が発生いたしましたならば、関係の大蔵あるいは自治等ともよく相談をいたしまして検討する必要があるというふうに考えておりますが、現在のところはその事態をいま見ているところでございます。
  52. 田代富士男

    田代富士男君 私がちょっと調べた範囲内では、先行取得が積極的に進められました国道のバイパス、そういう用地ですが、これが道路関係だけでも約二千億円取得されている。そうした場合に、いまはまだ下がってないからそういうことが言えるわけなんですが、安定した場合に、二千億円取得されているわけですけれども、これに対する見込みといっても恐らく立たないと思いますけれども、そのときには、いま申されている特別措置というものを講ずるべきではないか、これは私の希望意見でございます。  これは国と地方自治体との関係はそれでよろしいのですが、やはり何といっても庶民を中心とした問題を取り上げていく場合に、いまも土地は鎮静してきたというものの売買価格にまでそれが安定するためにはなかなかいかない。だから、そのような土地の鎮静傾向が、マイホームの建設、庶民の夢をつなぐマイホーム建設に、そこまで、購入する際の売買価格が安定できるところまでのそういう細かい具体的な施策を、建設省と国土庁と協力し合って、これは政府は全部、われわれもそうでありますけれども、これをやってもらわなければならない。  その場合に、これはきょうは時間がありませんから、国土利用計画法の方で質問しようと思っておりましたけれども最初のお約束で、一時間ということで時間来てしまいましたけれども、まあ一つは公示価格を基準にした標準価格が適用されるのは、御承知のとおりに規制区域と市街化区域の二千平方メーター以上です。ところが、一定規模以上の——そうした場合には一定規模以上の売買だけになるわけですが、御承知のとおりに市街化区域で二千平方メーター未満の土地の売買というものは、規制区域の指定をされなければ、それ以下ならば許可も届け出制も必要はないわけなんです。そうすれば、そういう都市部でそのくらい以下の土地というものはずいぶんあるわけなんです。その土地が普通の住宅用地というものの一番の有効に使われる範囲内じゃないかと思うわけなんです。大きい土地はいま言うようにそういう網によって制限されますけれども、それ以下の土地、これが庶民のマイホームの夢をつなぐ土地なんですけれども、これが中小不動産業者の対象になっているわけなんです。そういう意味で小規模の土地の売買によって的確なチェックを行うことができない、これがいま言うように土地は鎮静するけれども、実際購入するときの売買価格というところまで波及さすことはできない、ここらあたりをどうするか。  たとえば東京都でちょっと調べましたところが、昨年の暮れからこの国土利用計画法が施行されております。昨年の暮れからことしの一月末までに首都圏におきまして対象になったものが、全部売買された中で大体一割程度が挙がってきておる、非常に少ない、それ以外は従来と同じようなことがなされている、そこに私はまだまだ検討する余地があるんじゃないかと思いますけれども、こういう点に対して適切な行政指導というものをやっていかなくてはならないじゃないかと思いますけれども、この点に対しましてはどうでしょうか。だから、直接購入する際も売買価格が低下するように波及さしていかなくちゃならない。そういう点で、公共団体の場合は、いまさっき言いましたように特別措置を講じるというようなこともあるでしょうけれども、庶民の場合にはどうするか、そこらあたりについてひとつお願いをいたします。
  53. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 現在、国土利用計画法が規制区域の指定をやれば格別、やらない場合は二千、五千、一万という一定規模以上の土地取引だけが届け出対象になっている、仰せのごとくでございます。これは四党提案でこの法律でこう決められたわけですが、恐らくは地価形成の中で一番大きな役割りを果たしている大規模な取引というものに着眼をして、全国的な事務を展開する必要からもそういう限定を置いたものだと私ども考えております。  そこで、この十二月二十四日以降、今日に至るまで事前の確認を含めましていろいろ公的にチェックをやっておりますが、届け出件数はなるほど比較的少ないわけでございますが、届け出にかわる政令、省令で設けました事前確認制度の申請は非常に数が多うございます。全国の数字しかただいま覚えておりませんが、三千件を超しております。しかもこの一件の中には非常に区画数が多い、平均八十区画になっております。また、二千平米を超えます敷地、つまり七百坪、六百坪強でございますが、六百坪以上の土地にできますマンションの分譲価格等も全部これはチェックを受けております。私どもの耳には、全国で坪当たり最高は二十万円、平米当たり六万円の引き下げを知事がさせたものもあるわけでございます。東京周辺で平米当たり三万円ぐらいのものもあるわけでございます。  そこで、そういった国土利用計画法の届け出ないしは届け出にかわる一定規模以上の事前確認制度、これでも相当庶民の方々にある程度の影響を、いい影響でございますが、与えているかと私は思うわけでございます。しかし、おっしゃるとおり、この規模以下の、一定規模以下の土地取引が野放しになっているじゃないか、中小不動産業者の方にはこれは野放しの面積の売買をする方が多一という御指摘でございます。この点、私どもといたしましては立法過程のいろんな論議、それから当時のお考え、それから現在その小規模な取引が地価押し上げに本当になっているのかなっていないのかの確証等をにらみ合わせながら、いましばらくはあの法律のとおりに厳格な運営、つまり二千平米以下のものはともかくとして、以上でありながら届け出を、あるいは事前確認を逃がれるというようなことのないように厳格な運営にまずもって努めたいというふうに考えているわけでございます。  一方、しからば行政指導面で何とかこれ以下の中小の不動産業者に対しての指導等はできないものだろうか、この点法施行段階から私ども頭にございまして、たとえば全国宅地建物取引業協会の総会等には私参りまして、七万の宅建業者の方々はある意味国土利用計画法の適正地価というものに対する先兵である、こういった適正価格というものについて十分の認識のない消費者の方々と都道府県との間に立って十分の連絡指導に当たってもらいたいというような話もいたしておりますし、一方、各都道府県に対しましては、モニターというような形でこの中小の不動産業者の方々を善導するようにというような指導もしているわけでございまして、私ども中小業者のこの一定規模以下の取引をやっておられる方々が不当な価格の値づけをいろいろやるというような動きは現在のところ把握していないわけでございます。行政指導には今後も努めてまいりたいと思います。
  54. 増田盛

    ○増田盛君 建設省並びに国土庁に対しまして、きわめて重要な問題にしぼりまして、与えられた時間におきまして御質問いたしたい、かように思います。  まず、出発点でございますが、中心点は都市化の現象であります。つまり、御承知のように一九五〇年代の後半から進んでまいりました高度成長が資本と労働の地域的な移動をもたらしまして、国土全体に覆いまして都市化の現象があふれておりますことは御承知のとおりであります。したがいまして、私どもすでに古い昔でありますが、戦前に仕事を始めました時代は、都市と農村の対立ということがきわめて大きな問題として取り上げられたわけでございますけれども、現在の段階におきましては全く一変いたしております。つまり現代の国土の特徴と申し上げますか、産業の特徴と申し上げますか、現代都市の特徴といたしましては、工業化と都市化とは盾の両面でありますが、それに必然的に情報化と深い関係がありますことは、これも御承知のとおりであります。しかも工業化による社会変動が都市の境界を越えて進んでまいりまして、その前の年代、つまり私が先ほど申し上げましたとおり、農業人口が支配的なウエートを占めていた時代の特徴でありました都市と農村との区別があいまいとなりまして、やがてはその区別が消滅するようになるかもしれない、こういう段階がただいまの姿であろうと思うのであります。特に御承知のように、日本のような高密度社会におきましてはこの傾向が加速度的に進行するであろうことは目安どおりであります。そういう基本的な認識に立ちまして、ただいまから数点に関しましてお聞きいたしたいと思うわけであります。  まず第一点は、国土庁の長官にお尋ねをいたしたいと思いますのは、先般成立いたしました国土利用計画法に基づきまして、着々とこの運営の準備を進めておられるだろうと思うのでありますが、一番基本となります国土利用全国計画並びに土地利用基本計画の策定というものは、まだ最終的な結論を得ていないわけでありますが、これが一体いつまでにおやりになりますのか。聞くところによりますと、五十一年の三月までに、最終決定ではないかもしれませんが、あるいは暫定かもしれませんけれども、一応それを目途にいたしまして作業を進めておるというように聞いておるわけでありますが、現段階の状況に関しましてお聞きいたしたいと思います。
  55. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 国土利用計画法につきましては、五十年度をモデル版にいたしまして、五十一年から六十年度に十カ年計画を立てたいということであります。また、土地利用基本計画につきましては、可及的速やかにやりたいということでございますが、この四月をめどに計画をつくりたい、このように考えております。
  56. 増田盛

    ○増田盛君 そこで、土地利用基本計画の地域指定の問題であります。この地域指定が法の第何条でございましたか、第九条でございますか、都市地域あるいは農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域、この五つに分かれて行われるわけでございます。この準備を進めておられるように聞いておるわけでありますが、問題は既存のいろいろな指定の制度がございます。とりわけ中心となっておりますのは現在の都市計画地域であります。これとの関連がどうなるのか。これは調整の問題でございますけれども、基本的な考え方をお聞きいたしたいと思うわけであります。なお、これに関連いたしまして、都市計画区域というものは将来は拡大されるわけでございまして、そういうふうに当然変動が予想されるわけであります。こういう問題を固めまして、両者の関係をどのように調整するか、お聞きいたしたいと思います。
  57. 河野正三

    政府委員(河野正三君) 先生おっしゃるとおり、国土利用計画法第九条で各地域、五つの地域の定義がございます。この土地利用基本計画では、この五地域区分をきめることが中心になっております。で、お尋ねの都市地域につきましては、御承知のようにこの法律によりますと、一体の都市として総合的に開発し、及び保全する必要がある地域とすると、こうなっているわけでございます。一方、都市計画法によりましても、都市計画制度の区域がございますが、これも全く似たような規定が都市計画法に盛られております。そこで、基本的には都市計画区域イコールこの国土利用計画法で言う都市地域になるべきであるという感じを持つわけでございますが、土地利用基本計画は一種の上位計画でございますので、都市計画法による現行都市計画区域になっている区域はもとより、今後都市計画区域としたい、しかしまだ手続きは了していないというような地域もこの上位計画では都市地域に入れ得るという法律的な背景になっております。ただ、現在進めております土地利用基本計画の策定作業におきましては、昭和六十年を目標といたします国土利用計画、これがまだできておりませんので、暫定的な形で策定をせざるを得ないということで、国土庁といたしましては、五地域区分に関しましては、現在の各個別法による、すでに指定されている、個別法で指定されている地域をそのまま尊重して、都市地域なら都市地域にすると、これが原則でございます。ただし、一年以内に都市計画区域に都市計画法の手続で規定されることが予定されている、関係行政機関各方面に異論がないというようなものにつきましては、微調整といたしまして、例外的に今回の土地利用基本計画で都市地域として定めてよろしい、これが指導方針でございます。
  58. 増田盛

    ○増田盛君 次に、環境問題都市環境の問題に関しまして若干御質問申し上げたいと思います。  まず最初には、都市における緑の確保の問題であります。これに関しましては、累次にわたってすでに立法が行われましたことは御承知のとおりでございますが、最近におきましては、特にこの必要が非常に増大しておりますことも明らかでございます。そこで、この基本の方策、都市における緑とオープンスペースを整備保全すると、基本問題に関しましてぜひ大臣お答え願いたいと思います。
  59. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 都市化の進展でだんだん緑がつぶされておりますことは本当に残念なことでありまして、そういう意味において、緑の確保、オープンスペースの確保については、これは鋭意努力をしていかなければならぬと思っております。そういう意味で、五十年度予算の中でも、住宅下水道と、特に公園緑地には重点を置きまして、予算の伸びも二〇%近くなったことは御承知のとおりであります。もちろんこれで決して十分とは思っておりませんが、そういう建設省公共事業の中の一つの重点として今後推進をいたしてまいりたいと思っております。具体的なことについては、先生もすでに御承知のように、四十七年度の整備五カ年計画によって公園緑地を積極的に整備をしていっている問題、あるいはまた都市計画の中で従来風致地区、緑地保存地区というのがありましたが、それにさらに生産緑地区を加えて、この拡大を図って、いわゆる開発規制を行っていこうという問題、さらに街路樹とか植樹帯の設置等によりまして、道路の緑化あるいは家庭の緑化等についても従来どおり努力をいたしておることは当然でありまして、現在はこういうふうな従来やっておるところにさらに積極的な推進をいたしてまいらなければならぬというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  60. 増田盛

    ○増田盛君 ただいまのお答えの中に触れられましたけれども、都市公園の整備五カ年計画、これに基づいて着々事業が進捗されておるようでございますが、さらに全体的に土地緑化の問題に関しまして、具体的に二、三お聞きいたしたいと思います。非常にこれはじみな問題でございますし、そうして金もずいぶんとかかる問題でございますが、法律をつくっただけではなかなかうまく進行しない、本質的にこういう問題でございます。  そこで、四点お聞きいたしたいと思うのでありますけれども、第一点は目標であります。都市緑化のための総合的な目標、これをどうしても確立いたしまして具体的な施策を実施していく必要があると思うのでありますが、この点に関しましてお聞きいたしたいと思います。  それから時間の関係がありますので、一括してお聞きいたしたいと思うのでありますけれども、生産緑地法、すでに施行になっておりますところの生産緑地法の施行状況、その後どうなっておりますか。だんだん予算が窮屈になってまいりますので心配でございますけれども、どういうようになっておりますか。  それから第三点は、都市緑地保全法の施行状況であります。法律だけはたくさんそろっておりますけれども、一体どうなっておるのか。  それからこのほかにもいろいろあると思います。都市計画法にもありますし、先ほどの都市公園法にもありますことは御承知のとおりでございますが、これじゃ足らぬのでもう少し新しい施策を何か考えておるということがありましたならば具体的にお答え願いたいと思います。
  61. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) まず、都市緑化のための緑の目標水準といったものをつくる必要があるのではないかということでございます。おっしゃるとおりでございまして、近年の急激な都市化に伴って非常に緑が減少しております。そのための生活環境の悪化に対処するためにも、各都市ごとにその実態に即しました全体の緑のマスタープランと言うべきものをつくる。その中に緑の確保すべき総量というようなものも設定いたしまして、その目標に向かって各種の公園緑地施策を集中していくということがぜひとも必要だと考えております。私ども現在各地方団体の手によりましてそのような緑のマスタープランというべきものを策定するように指導いたしておりまして、その根幹は何よりも都市公園そのものの整備でありますが、これの一層の飛躍を望みますとともに、これとあわせまして、各種の規制を伴った地域地区として、たとえば緑地保全地区あるいは緑化協定地区といったものの拡大を図るとか、あるいは都市のいろいろな公的、場合によっては私的な空間も含めまして植樹そのものを進めていくといったことをあわせて行いたいと思います。もちろん従来からあります風致地区とか市街化調整区域といった制度も極力これを活用するということでございます。まあそのような総合的な施策で、これは大都市、中小都市、緑の非常に不足している都市、比較的ある都市、いろいろ実情があると思いますから、必ずしも全国一律というわけにもいかない。むしろ各地域ごとの目標というものが、実現の可能性も織り込みつつ策定されるということがいいと思っておりますので、そういった対策を講じて総合的な緑の確保ということを図ってまいりたいと思います。  次に、生産緑地法の施行状況でございますが、これは先般の国会で御審議いただきまして通過、成立させていただいた法案でございます。昨年の八月三十一日から施行いたしました。施行の準備等るる進めました上、通達等によりましてこの実施を指導しております。特に三大都市圏の都府県、市町村に対しましては詳細に説明会を進めてまいりました。各市町村におきましても、いろいろな実務上の解釈、取り扱い等も問い合わせが来ております。今後は積極的にその説明を直接の農民にも進めていこうと、まあ現にそういう説明会を始めているところもあるわけでございます。ただ、残念ながら生産緑地地区の都市計画決定そのものはまだ一件も行われておりません。これは法案のときにも議論が出ましたところですけれども、現在各市町村ごとに条例等によりまして農地保全奨励策というものがとられておりまして、これが市町村長との間に三年とか五年ぐらいの期間協定を結んで農地として保全する。その見返りとして宅地並み課税の一部相当額還付というようなことが行われていることもありまして、そういった経過期間が過ぎておらないというようなこと、あるいは市街化区域の農地の宅地並み課税そのものが年を追って段階的に引き上げるというシステムでありますために、まださほど高くなっていないというようなこと等の理由によると思います。私どももせっかくのこの新制度を十分PRいたしまして、もちろん土地所有者の同意が要る制度でありますから、その点もよく御説明して、農地として相当期間存続される御意思の方の土地は極力これで拾っていくということにより緑の確保の一助にしたいと、こう考えております。  次に、都市緑地保全法、これもその前の国会で通していただきました新しい緑地保全の手法であります。これは現在の首都圏、近畿圏の近郊緑地特別保全地区をそのまま緑地保全地区に切りかえますほか、新しく札幌、北九州、福岡等で緑地保全法による新規指定がなされたところもありまして、現在では三十三地区、一千三百二十四ヘクタール余りが指定されております。これも非常に厳しい開発規制を行うわけでございますので十分な周知徹底が必要でありますが、反面、買い取り請求の制度も用意されているわけでありますので、予算の充実とあわせまして極力これを進めてまいりたい。先ほど申しました各都市ごとの緑のマスタープランというものがまとまっていきますならば、そのマスタープランの中でこういった保全地区制度に乗るべきものというおよその目安もついてまいるかと思いますので、今後は大いに活用されるように、またそういう方向でぜひとも進めたいと思っております。  なお、この緑地保全地区の一つの促進策として、固定資産税を軽減できないかということで、かねての懸案でありました。自治省と現在鋭意折衝中であります。何らかの形で固定資産税が緑地保全地区については軽減されるような方向で現在まとまりございます。まあそういうことにもなれば一つの緑地保全地区指定のきっかけにもなるということで、私どもぜひその実現を図りたいと考えております。  最後に、何か新しい施策があればということでございますが、まあ細かいことで恐縮でございますが、明年度予算から、ひとつ道路、街路等で、既設のものにつきましても植樹帯というものを歩道に設けて、あるいは中央分離帯等に設けまして、そして整備する。従来も国道等では行われておりましたし、地方道、街路につきましても新規に道路を改築する場合にはあわせてそういったことが行われておりましたが、あまたあります既存の街路等につきまして、そういう植樹帯の設置そのものを改築工事の一種としてとらえて補助採択するという制度が新年度から認められることになりました。また、都市公園とまでいかない都市緑地という制度も、制度といいますか、予算上の措置として新しく補助対象に認められるということになりました。これは公園のように中に入って利用するというよりも、そこに緑があるという存在効用に着目したものでありまして、いろんな団地内、あるいは、のり敷、あるいは道路沿線の余分に買い取ったような土地等を活用してやろうということでございます。また、公営苗圃の建設ということも、苗木を公的に供給し、採算性の悪い苗木を特に公共団体の手で育てていく必要がありまして、これは新規施策ではありませんが、四十九年度から始めたものでございます。また、新年度から、これも非常に細かいものでありますが、都市緑地保全法による緑化協定を民間で結びました地区につきまして、緑化協定の地区内で一般の住民の方々が生けがきを植え、あるいは植樹するといった、緑化協定に基づく木を植える費用につきまして公共団体に補助する制度を開いております。非常に細かい話ばかりでございますが、そのようなものを積み上げて何とか緑の拡大というものに努力したいと、今後とも努力に努めたいと思います。
  62. 増田盛

    ○増田盛君 それでは少し視点を変えまして、環境問題の中で最近非常に重要性を帯びてまいりました下水道の問題でありますが、このうちで、時間の関係もありますので、本年度、昭和五十年度から採用になりますところの特別な制度、つまり特別の調査費及び国庫補助金の分割交付制度、全く新しい制度だと思うのでございますけれども趣旨といたしましては国庫債務負担行為の考え方に類似いたしておりますけれども、内容は全く違うようであります。それの趣旨と内容に関しまして、簡単でいいんでありますので、お答え願いたいと思います。
  63. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 下水道整備を急速に拡大していかなければならないわけでございますが、一方、国の補助金の財源も限られておりまして、その中では相当ウエートを持って見ていただいておるものの、なかなか熾烈なる要望水質環境基準達成といった義務を果たすにはおぼつかないということから、私ども何か新しい新規財源を下水道の国費相当分としてつぎ込みたいという要求をしておりました。今回の予算折衝の結果、新しく認められたのがいま言われました特別の地方債と、それを裏づげとした国庫補助金の分割交付制度というものでございます。これは公共下水道に限り、かつ水質環境基準達成のために必要な場所の、主として終末処理場に限るということでありますので対象は限られておりますが、こういった特に急ぐ事業で何としても事業費を増額していかなければならないというものにつきまして、まず国庫補助金を五年に分割して交付する。したがって、最初の年は五分の一の国費で五倍の事業ができるということになります。しかし、その五分の四は、事業はその年にやってしまうのですけれども、国の補助金としては交付されませんで、以後四年間に等分に分割されて交付されます。しかし、事業は初年度にやらなければなりませんから財源は要る。その財源は国費以外に求めなければならないということで、全額財投で持つ特別の地方債というものが編み出されたというふうに理解しております。  したがいまして、初年度には五分の一の国費と五分の四の特別の地方債抱き合わせまして財源は五分の五となり、それで事業を執行し終わる。補助金の不足分は以後四年間で逐次交付する、この間利子も生じますが、これは全部国で見る、そうして特別の地方債を償還する、こういうことであります。従来から各種事業に国庫債務負担行為というのがありまして、これは一つの契約で二年、三年にわたるような大規模な工事発注する場合に、支出する金はなくても契約する権限だけはないと一括発注ができないために設けられている制度でありまして、したがいまして、従来の国庫債務負担行為というのは、実際に工事の進み方も一年で終わるのではなくて、二年、三年とかかるわけで、ただ、それを当初の年に一括して全体を契約するというためにつくられた制度であります。これに対しまして、この新しい特別の地方債と国庫補助金の分割交付制度というものは、形はやはり国庫債務負担行為の形をとりますけれども、初年度に全額事業を完了する。あとの四年間というものは完了した事業の後始末ということであるという点で、事業の進みぐあいは違うというところが特色でございます。
  64. 増田盛

    ○増田盛君 次に、都市環境の問題に関連いたしまして、もう一つ都市の街路の問題であります。地方都市の整備のための基本的な支出がいろいろございますけれども、特に街路が非常に大事であるということはわかるわけでありますが、私の選挙区の場合におきましても、盛岡市のような場合におきましても鋭意努力しているところでございますけれども、一体全国的に見まして、整備の状況、それから今後の整備の方針、これは非常に予算が窮屈なように聞いておるわけでありますけれども、こういうことで膨大な金が要る仕事が計画的に進行できるのかどうか、いささか心もとない感じを持つものでございますけれども、そういう点の見通し、そういう点に関しましてお答え願いたいと思います。
  65. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 仰せのとおり街路、特に地方都市の街路の整備は大変におくれております。その上予算の伸びも悪いものですから、まことに恐縮でございますが、まず街路の整備状況、これはいろいろな見方がありますけれども都市計画決定した街路の延長に対し改良済みの延長の比率を整備率と考えお答え申し上げますと、全国の平均では三〇・六%の整備率になっております。それに対しまして十大都市を除く一般市町村だけを拾いますと二八・五%ということで、若干地方都市の方が低い。例に挙げられました盛岡市の場合を申し上げますと、これが一九・二%でありますから、はなはだ立ちおくれているという感じはいたします。街路は、特に地方都市の場合には都市そのものの骨格を形成するという意味で、都市づくりの全く第一歩とも言うべきものであります。都市を形成する以上、人及び物の移動というものを確保するのにどうしても必要であるばかりでなくて、いろいろ下水道整備したりする場合にも道路の下が利用されるということが非常に多い、そういった多目的的な空間という意味もあります。また、公園等と並んで都市のオープンスペースを形成しているという意味もあります。その他空港とか港湾とかターミナル等と結びついた交通結節点といったものを経まして総合的な交通体系を形づくるということでもありますので、非常に重要なことだと思います。まあここ一、二年、諸般の経済事情で立ちおくれておりますが、今後におきましては、またできるだけ早い時期にこの鈍化の傾向を一新して、特に地方都市に力を入れつつ街路の整備が早急に進みますよう努力いたしたいと考えております。
  66. 増田盛

    ○増田盛君 次に、視点を変えまして、地方都市の開発問題に関しまして若干御質問申し上げます。  先般の当委員会におきます国政調査におきまして、岡山県の勝央町におきますところの工業再配地に関するいろんな御計画、現地の様子等も見聞いたしたわけでございますが、この地方都市の開発、特に地域振興公団を中心といたしました開発は多方面にわたっております。その中で私は、現在の方針と、それから実績、それから五十年度の事業内容、こういう当面した問題に関してお聞きいたしたいと思いますが、関係省も多面でございます。まず工業再配置の問題、これが一体どうなっているのか、これも出るところ、引き受けるところ、両方あると思いますが、特に中核工業団地の造成事業の問題、勝央町でやっておりますような中核工業団地造成事業、これが現在まで実績としてどのようなことになっておるのか、それから五十年度の見通しはどうか、それが一つ。それからもう一つは地方都市の開発整備事業、これもいろいろおやりになっているわけでございますけれども、なかなかスケールが大きいので難航しているようにも聞いておるわけであります。おやりになっている地域がたくさんなければ具体的な都市名を挙げまして、大体これが現在どうなっているのか、それから見通しは一体どうなるのか、こういう点に関してお聞かせ願いたいと思うわけであります。  どうもいろいろな問題が起こってまいりまして、地方都市の開発の問題もとかく中途半端になりがちでございます。しかし、こういう際にこそこういう点をもう一回見直しまして、重点をはっきり定めまして予算等の裏打ち等も十分にすることが必要だろうと思うのであります。まんべんだらりと事業をやっておりましてはなかなか見通しがつかない、こういうことでございまして、この工業再配置の問題特に中核工業団地の育成の問題に関しましても、地方都市の開発整備の問題に関しましてもいろいろ地元から御相談があるわけでありますけれども、なかなか先発している地区の結果がはかばかしくないということになりますと、希望だけ持たせても失望落胆に終わるということになりかねないわけでありますから、できるだけ具体的に明快にその見通しに関しましてお答え願いたいと思います。関係省いろいろあるようでございますけれども、国土庁からひとつ代表してお答え願えれば結構でございます。
  67. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま先生お話しになりました地域振興整備公団の地方都市開発整備業務、工業再配置業務、いずれも地方の振興整備と密接なかかわり合いがある仕事でございますので、事業の実施といたしましては、地方公共団体の要請を待ちまして公団事業を実施するという体制になっておるわけでございます。  で、御指摘の点でございますが、まず工業再配置について申しますと、これは昭和四十七年十月より公団業務として加えられたものでございまして、以後地方公共団体の要請を待ちまして事業に着手しておるところでございます。現在七ヵ所ございまして、具体的に申し上げますと、山形県の米沢八幡原、岡山県の勝央、佐賀県の佐賀東部、島根県の出雲長浜、石川県の能登、岩手県の江刺、長崎県の諌早、この七つにつきましては、当該地方公共団体より公団事業を実施してもらいたいという要望があったものでございます。なお、そのうち五つにつきましては、すでに開発所を設けまして具体的に用地買収あるいは事業着手の準備を進めておるところでございます。なお、岩手県の江刺、長崎県の諌早については、現在計画の策定段階でございますが、いずれ近いうちに開発所の設置に至るのではないかと思います。開発所が設置されましたならば、地元地方公共団体との緊密な連絡のもとに事業の完成を目指してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、地方都市の開発整備業務でございますが、これは昨第七十二国会におきまして御制定をいただきましたものでございます。現在、各都道府県、各地方公共団体から相当数の事業打診を受けておりますが、公団におきましては、その熟度等を勘案いたしまして順次事業に着手いたしたいと考えておるわけであります。現在まで熟度が進んでおるものといたしましては新潟県の長岡ニュータウン、これは近く県及び長岡市と地元意見の一致を見まして要請が参るのではないかと思いますが、そのほか宮城県の仙台北部の新都市でございますとか、広島県の賀茂学園都市につきましても関係地方公共団体の間で現在調整が進められておりますので、これらも逐次具体化していくものと考えております。  以上が工業再配置と地方都市開発整備の概要でございまして、国土庁といたしましては、公団地方公共団体との連絡体制の強化について公団を指導してまいりたいと思いますし、また着手いたしました以上はなるべく早期にその仕事が完成するように配慮をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  68. 増田盛

    ○増田盛君 いまの問題に関連しまして、特に前半の中核工業団地の造成事業に関してでありますが、一般的な問題でございますけれども、最近の経済情勢、はっきり申し上げまして企業の意欲というものがきわめて冷えております。こういう段階に、ちょうど悪い時期にぶつかった。構想は非常にいいんだろうと思うのでございますけれども、いまやってるその自分自身が大変な時期でございますから、こういう点に関しまして、どうもこのままにしておったならば、事業見通しというものが少し時期的におくれるのじゃないか。いろいろな御調査、地方の県なり市町村当局から御要請があって初めてやることだろうとは思うのでありますけれども、来てもらいたいのは事実でございます。ところが、行く方の側にいろいろ問題があるのじゃないかと思うのでありますが、これが最近どうなっておりますか。具体的な例でもありましたならばお聞かせ願いたいと思います。
  69. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま先生御指摘ございましたように、現在の経済情勢におきましては、なかなか新しくそこに立地をする企業が見つからないというような問題も現在においてはあろうかと思うわけでございますが、この地方都市の開発整備業務にいたしましても、中核工業団地整備にいたしましても、当面する過密過疎問題の解決を図るためには地方の振興整備は重要である。その地方の振興整備を図るためには、やはり企業なり人口なりがそこに吸収され、定着しやすいような環境をつくることが必要であるということで、このような業務を実施しておるところでございます。まあ先生すでに御案内のように、この団地はいわゆる大規模重工業基地とは違いまして、一ヘクタール、五十人ぐらいの雇用機会を持ついわゆる内陸型産業と申しますか、クリーンインダストリーを誘導をするということをねらいといたしたものでございます。まあ将来長い目で見ますと、わが国の産業構造も次第にそういうものを中心に経済を発展させていかなければならないような事態に至ると思いますので、まずこういうものを先行整備いたしまして、あわせて公団あるいは地元におきまして、そこに企業を誘致するような努力を今後とも続けていきたいというふうに考えている次第でございます。
  70. 増田盛

    ○増田盛君 最後にもう一つ、震災対策でございます。どうも最近世上の様子を見ますと、いろいろ騒がしいものがありますし、テレビなんかにおきましてもいろいろPRをしておるようであります。来るのか来ないのか、いろいろな議論があるだろうと思うんでありますけれども、この震災対策ということになりますと、地震、火災の対策ということになりますと関係省庁が非常に多いようであります。十八省庁に上るという話も聞いておるわけでありますけれども、しかし、それに対しまして国土庁なりあるいは建設省なりきわめて大事な関係にあると、かように思うわけであります。  そこで、きょうは一般対策でいいんでありますけれども、いまのような状況、まあ心理的にあまり刺激いたしますとこれは問題だろうと思うんでありますけれども、しかし、確率が高いということになりますと具体的な施策を実施していかなければならぬ、そういう状況にありそうであります。どういう御判断をされましてやられるか、それぞれお覚悟はできているだろうと思うわけでありますが、なかなか国土庁、建設省、その所管の問題に関しましても事前にいろいろな手を打たなければなりませんし、お金もかかることであります。現在の時点におきまして、どういうふうにこの問題に取り組んでおられるか、これは両方に関連するんでありますが、それぞれひとつ所管大臣からお答え願いたいと思います。
  71. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) 国土庁、誕生いたしまして、中央防災会議の主務官庁になっておるわけでございます。ただいま先生が御指摘のように、いろいろな官庁が関係があるわけでございますが、それを一本にしようということで、ただいま大都市震災対策連絡会議というものを各省庁を入れてつくってあるわけでございます。  先般、多摩川あるいは川崎の土地隆起というような問題が地震予知連絡会で発表がありまして、早速その会議を開きまして、会議の点におきましては、今後見直しというようなことも考えなくちゃならぬというようなことも考えながら、公共団体と緊密な連絡をとりつつ、現在避難体制確立、あるいは給水、給食、あるいは医療、あるいは救護、あるいはコンビナート対策、こういうような問題について、各省庁と緊密な連係のもとにこれを推進をいたしておるわけでございます。  ただ、いま先生がおっしゃったように、いろいろ住民も神経がとがってきておる、過敏になってきておるというような状況もあることを考えてみますと、現在のようなこのままの姿でいいのかというようなことも政治的にも考えなくちゃならぬという私は場面もあると思うわけであります。そういう意味で、避難体制の確立というような場合、地震が起きた、二次火災が起きた、そのときどうなるんだと、そこには防火壁というものをつくらなければならないというような場面もある。その場合、これをつくるのには地方公共団体には予算がない、こういうような問題等も踏まえながら、今後の対策を目で見て安心感ができるようなことも考えなければ、みだりに人心を不安に陥れさせるというような場面も出てくるんじゃないかというようなことも考え、またこれが机上プランであってはならぬということで、私も衆議院建設委員会におきまして現地をひとつ行って見ようということをお約束をいたしておるわけでございますが、まあ予算委員会でも済みましたら現地をつぶさに視察して、なお対策を推し進めてまいる所存でございます。
  72. 増田盛

    ○増田盛君 一般的にはただいまの国土庁長官お答えでわかったんですが、建設大臣建設省の所管の範囲内でもう少し述べていただきたい。
  73. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 具体的な問題は局長からお答えをさせることにいたしますが、最近地震の問題がいろいろと議論をされるようになってきまして、国民に必要以上の不安を与えるようなことになっては大変でありますが、さて一体その地震対策はどこへ行ったらいいのかということで、そういった責任官庁所在と申しますか、そういった面できわめてあいまいでありました。幸い国土庁が私は中心になってこの問題に取り組んでもらいたいと思います。建設省建設省なりに、これは国土地理院を通して予知問題等の研究も進めていかなきゃなりませんが、いざ一朝事あるときにどうすべきか、その責任官庁はどこであって、そこへ駆け込んでいったらどういう回答が生まれてくるかといったようなことを、びしっとこの際政府としての体制をきめておく必要があります。そういう意味において、国土庁を中心にして地震対策を強力に進めていく体制をさらに強めていく必要があると、そういうように私考えております。
  74. 沢田政治

    理事沢田政治君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会      —————・—————