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1975-02-27 第75回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十七日(木曜日)   午前十時二十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長     理 事         小野  明君                 上田  稔君                 増田  盛君                 沢田 政治君     委 員                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 中村 禎二君                 望月 邦夫君                 中村 波男君                 二宮 文造君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        国土庁長官官房        長        粟屋 敏信君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        国土庁水資源局        長        宮崎  明君        国土庁大都市圏        整備局長     小幡 琢也君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設大臣官房会        計課長      丸山 良仁君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省計画局参        事官       大富  宏君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        環境庁水質保全        局企画課長    松田豊三郎君        厚生省環境衛生        局水道環境部計        画課長      山崎  卓君        通商産業省立地        公害局工業用水        課長       岩崎 八男君        建設大臣官房技        術参事官     宮内  章君        自治省財政局地        方債課長     小林 悦夫君        会計検査院事務        総局第三局長   本村 善文君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査建設  行政及び国土行政基本施策並び建設省及び  国土庁関係予算に関する件)     —————————————
  2. 小野明

    委員長小野明君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、建設行政及び国土行政基本施策並び建設省及び国土庁関係予算について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 沢田政治

    沢田政治君 過般、建設大臣から所信の表明があったわけでありますが、土地政策の問題、さらには住宅河川道路、たくさんあるわけでありますが、これに対して質問をいたしたいというように考えておったわけですが、その前に、朝日新聞の一月三十一日の記事ですか、非常に建設省行政基本に触れるような記事が出ておりますので、具体的な政策よりも、基本的に建設行政の姿勢というものを国民から疑われるようなこういう記事が出ておる、やはりこれを素通りして具体的な政策質問するというのもいかがかと私は考えざるを得ないわけです。私なりの資料も持っていますが、きょう一回でこの質問は終わらぬと思いますから、とりあえず新聞記事に載っておるこういう事実というものが果たしてあるのかどうか、事実があったにせよないにせよ、こういう疑いを持たれること自体は私はやはり非常に遺憾なことだと、これは遺憾千万なことだと、こういうように考えざるを得ないわけです。  そこで、仮谷建設大臣、この事実を聞く前に、こういう疑惑を持たれておるというこの事実に対して、疑惑を持たれておるという事実に対して、どういうお考えであるか、まずその点をお伺いしたいと思うんです。
  4. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) いま御指摘のようなことが新聞にもしばしば出ますし、国会でもいろいろ御議論をされておりまして、私どもはまことに遺憾なことだと思っております。私どもはそういう事実はないと、そういうふうに思っておるのでありますけれども、いろいろと国民から疑惑も受けておりますし、議会でも指摘を受けている問題でありますから、省内調査班を設けまして、いまそういう事実の有無について徹底的に調査を進めておりまして、いずれ調査の結果が出ましたら、それに応じて適切な処置を考えていかなければならぬし、また今後の改善も図っていかなければならぬ、そういう考え方を持っております。
  5. 沢田政治

    沢田政治君 建設省内に調査班を設けて二、三月ごろまでにその結論を出したいと、こういう御努力というものも決して私はむだなことだとは思っていません。しかし、建設省がらみのこういう疑惑があるときに、建設省内部が、何というか、調査するということで、果たして国民が釈然とするかどうか、その結果に対しても信頼を持つかどうかは私は非常にまあ疑問だと思うんです。やはり本当にこの疑惑を晴らしたいと、こういうあらぬ冤罪はこれは困ると、こういうことであるならば、ただ単に調査班を設けて事実があったかないか調べてみたいということだけでは非常に消極的だ、こういうように私は感ぜざるを得ないんであります。これは事実がなかったならば、大いに調べてもらおうじゃないかと。ある場合は、これは事実とするならば、これは公務員法違反になるし、また刑法の問題にもなる可能性があるわけでありますから、警察庁に頼んで調べてみようじゃないかと、やってもらおうじゃないかと、疑念を晴らそうじゃないかと、こういうことぐらいの気魄がありますか。やはり内部で処理したいと、こういうように考えていますか。
  6. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 天下りとは一体どういうふうな見方をするのか、あるいは持参金の問題。これは考え方によれば二つに分けなければいかぬと思います。私どもは、公務員といえども定年退職した場合に再就職をするのは、当然のこれは自由であり権利であると思っております。ただし、建設省の場合のいわゆる再就職というものが、その仕事柄あるいは技術の関係からいって、やはり業界の方に職を求める人が多いということはこれは否むことのできない事実であります。それなりに国家公務員法あるいは人事院規則に基づいてわれわれは所定の手続をやって、それに基づいて再就職をあっせんをいたしておるわけでありますから、そういう意味で、そのことを天下りと言うとするなれば、いささか私どもはその天下りという意味について議論があるわけであります。ただ、その再就職をしたことによって、それがいろいろなつながりを持って、いわゆる持参金になるとか、いろいろな請負に便宜を図るとかいうことになるとすれば、これは十分にわれわれは考えなきゃならぬ問題でありまして、そういうことが事実あるかないかという問題について省内調査をいたしておるわけであります。だから、再就職そのものについては、私どもは正規の手続を経ておることでありますから別に不都合はないと、かように確信を持って実はおるわけであります。
  7. 沢田政治

    沢田政治君 天下り是非は、これはまた別の角度から議論しなくちゃならぬ問題と思います。が、いずれにしても、天下り是非よりも前職が相当権力を持っておったわけですからね、許認可とかそういうものの権限をある程度持っておったし、職務の内容に熟知しておったわけでありますから、それが退職後といえどもこういう立場を利用したかどうか、そこに醜い関係が出てきやしないかどうかというこの現実に対して私は大きな疑念を抱くわけです。  そこで、質問したこと以外のことをいま答弁されたわけですが、こういう事実はないということでしょう、まずそれを聞きたいと思うのです。朝日新聞の一月三十一日、ここに天下り先も書いておりますね。そうして予定価格、そうして落札価格、きわめて近接しているものがありますね。一億何千万分の一ですね、確率からいったら宝くじより高い、ぴしゃっと合っている。果たしてこういうものはいかがかという国民疑惑を持っているわけですね。それで予定価格というものは、もちろんこれは落札されるまで部外秘です。地建局長しかわからぬ、封筒に入れてしまい込んでいるわけですからわからぬ。しかも落札後といえども省内の扱いとしては、取り扱い注意ですか、これは内部には取り扱い注意部外に対してはこれは部外秘と、こういうことで出ないことになっているようですね。しかしここには載っておる。これはどこから出てきたのかということはきょうは言いません。いずれにしても、出たものでありますから、この事実を素直に認めますか、この限りにおいては。
  8. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 新聞で出た記事は、私どもはそういうことはないと信じております。ただしかし、われわれはないと信じておりましても、そこまで新聞ではっきりと個所、金額まで出されておりますからね、これは国民疑惑を招くことでありますから、これは徹底的に調査をする必要があるわけでありまして、調査をして解明しなければならぬ、かように存じております。入札価格予定価格が一致したとかしないとかいう問題につきましても、われわれ徹底的に調査をしております。たとえば一事業について何回一体入札をして、最後にどこで落ちついたのかという、一件ごとにそれを調査してみなさいと、そういうことを私ども調査をさしておりまして、いずれにしても国民からいろいろ疑惑を招くようなことを今後さしてはいけない、そういうふうに考えまして、全力を挙げていま調査をいたしておる、こういうわけでございます。
  9. 沢田政治

    沢田政治君 そこで、一つだけ確認しておきたいのは、落札価格はもうすでに公表されていることだから、これは事実関係においては相違ないと思います。が、しかしながら、予定価格というものがここに出たわけだから、新しいものを出せと言っても、これは出さぬと、こう言うだろうと思いますから、ここへ出ているわけだ、本当本当でないか私もわかりませんが。この予定価格というものは、この事実、相違ないんですか、これは。    〔委員長退席理事上田稔君着席〕
  10. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 予定価格につきましては、先生先ほどおっしゃっておりましたように、落札または決定後におきましても、取り扱い注意ということで取り扱いを慎重にいたしております。部外にはこれは出さないことにしておりますので、その御質問にはこれは勘弁していただきたいと思う次第でございます。
  11. 沢田政治

    沢田政治君 否定肯定とどっちですか。この予定価格が、ここに載っておるものが、否定ですか肯定ですか、どっちでもいいから言ってください。
  12. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) ただいま申し上げましたように、予定価格は私ども部外秘でございまして、これは外に言わないという取り扱いをいたしておりますので、それについても御勘弁願いたいということでございます。
  13. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、否定がないところには、もう否定肯定しかないから、私の質問は。勘弁願いたいと言うんですけれども否定しないところを見ればこれは肯定だと、常識的には二つしかないんだから。いまの答弁否定しておりませんから、まあ肯定とこれは受け取るのが当然だと思いますね。  そこで、先ほど言いましたように、ここまでやっぱり国民から疑問を持たれておるんだから、その疑問を晴らすためには部内で調査しますということで、何というか、総がらみ疑惑を受けているわけですから、でありますから、ぼくはさっき言ったように、むしろ建設省の方からこれは事実行為があったのかどうかと、こういうものをこれは司直の手にゆだねてもやっぱり調査をさした方が疑念を晴らすこれはいい道だと、本当にないという自信があるならば、そこまでやっぱり皆さんの潔白を明かす態度があってしかるべきものだと思うんですが、どうですか。
  14. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 司直というのは警察などのことをおっしゃっていると思いますけれども警察がやっぱり活動を起こすというのは、犯罪ありとしてというときだろうと思います。犯罪あるかどうかというのは、それは警察はあの記事だけでいろいろ独自でもできるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、その新聞記事だけで犯罪だということは直ちに言えないわけでございます。したがいまして、私どもは、建設省の中で総括監察官制度という監察官制度がありますから、その制度を活用いたしまして十分調査をするということにいたしておるわけでございます。御承知のように新聞記事に出ましたものは大体出先のことでございます。したがって、本省のそういう監察機能というものをフルに生かしまして、関係のところと一緒に共同してこれの調査を十分に行う。その結果によりまして、私ども先ほど来からお答え申し上げましたように、是正すべきところは是正、改善すべきところは改善すると、その他必要な措置をとろうということでございます。先ほど大臣からも申し上げましたけれども新聞記事だけで見ますと、先生がいろいろ具体的なことでどうだとおっしゃいましたけれども、たとえば予定価格落札価格と一致したものもあります、また近似したものもあります、具体的な個所では申し上げませんが、あります。  これはしかし、まあ御説明をさしていただくことをお許しいただきますならば、なぜそういうふうに近似し、また接近し、また同種のものもあるかということを申し上げますと、落札するときに一回でこれは入札して落札することはないわけでございます。これは数回やりまして、これを数回繰り返して、そうして初めて決まるというのが普通でございます。現在の入札制度では、三回入札して予定価格以下のものがないときにおきましては随意契約によることができるという予決令になっております。その予決令によりまして随意契約見積もりを出さしているのが、多いものは五回もあります。したがって、合計しますと八回、そういう最初から何度も見積もりを出させ、そうしてやっと予定価格に至っておるというのが実情でございます。特に、ちょうどこういう新聞に出ておるものは四十八年を中心にした工事でございますけれども、御承知のように、このころは狂乱物価の時代でございまして、建設資材価格も非常に上昇いたしまして、役所予定価格より入札価格が非常に低いということで落札不調が非常に多かった時期でございます。したがいまして、関係者は非常にこれは苦労しながら入札制度を公正に行ってきたわけでございます。したがって、非常に随契という見積もりを何回も出させるのが多いわけでございまして、出しても、何回出しても予定価格に達しない、もう一度、もう少し、そこでもうそれ以上に予定価格に達しないときには、これはもう落札不調でございますから、やり直しでございます。やり直しもたくさんあるわけです。しかし、もう一度もう一度ということで、次第に予定価格に近づいていくのはこれは常識でございまして、それが予定価格に近似するとか、また予定価格になるというものでございます。  少し詳しく申し上げましてまことに失礼でございましたけれども、そういうふうなことでございますから、そういう入札の実態を十分新聞に出ているものを私ども調査をいたしている次第でございます。制度そのものはもう少し考えるべきじゃないかということになりますと、これももちろんそういうものも含めて私ども十分調査をし、改善するところはしたいというふうに考えている次第でございます。
  15. 沢田政治

    沢田政治君 OB会社目標価格落札価格と非常に一致している例が多いというのが、まず疑惑の根拠の一つですね。それをいまくどくどそうなる場合が多いと、こう言われておりますが、そこにはまだ一つ疑念が残ります。しかしながら、OB会社が、天下って、しかも過去には実績がないと、建設省と何というか契約関係の。ところにが、それが天下ったために、もう早いのはわずか十四日目、遅くて二、三カ月日に初めてこの落札をしたと、こういうケースが非常に多いと、こう言われておりますね。この関係はどういうように——これは疑念があるんですね、やっぱりそういうケースが多ければね。これはどうしてそうなるんですか。
  16. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) そういうことにつきましてもいまの調査班調査しております。したがって、調査をした結果じゃないと、個々についてこうだということは申し上げられませんが、総括的にいろいろ考えますと、入札そのものは、御承知のように競争入札制度というのがありまして、それによって公正を期してやっているわけでございます。そうしてそれが公開競争入札制度で、どこにこれが落札するかということは役所は全く関知しないことでございますから、そういうことで、これは持参金づきで就職を、建設省の役人が行ったところでその仕事がとれるというようなことは全く予期できないものなんでございます。したがって、私どもそういうことは全くないと信じておるのでございますが、その実情調査いたしておる次第でございます。
  17. 沢田政治

    沢田政治君 どうもいままでの答弁では、非常に自分だけは正しいんだと、そういうことはないんだということで、具体的にないというようなひとつ潔白を明らかにする説得力に欠けておると思うんですね。特に私は建設省というのは、御承知のようにこれはもう事務官庁じゃないんだよ。膨大な公共事業を抱えて、受注、発注の関係にある実施官庁でしょう。とかくこういう問題が起こりがちですね。河川局の次長かなんかも、これはしかも中央官庁の責任ある者がああいう忌まわしい事件も起こったんで、ぼくらもああいうことは起こらないでほしいと、こう念願しておる者の一人です。  そこで、目標価格というか予定価格は、これはもう部外秘で出せないと、ぼくはやっぱり本当疑念を晴らすためには、それも明らかにして、そういうケースが多かったのかどうかというものも対照してみなければ本当疑念というものは晴れないと思うんですよ。ぼくらも調査のしようはないと思いますよ。しかし、そこで出す出さないということになりますと、国政調査権守秘義務とかなんとかって怪しげな議論を出すんで、そこはきょうはその点ではぶつかりません、ぼくはね。問題の進展によっては私はやっぱり国政調査権資料を明示する場合もあるかもわかりませんが、これぐらいのものは出せませんか。  一年に一万数千件ですからね、余り膨大な資料じゃちょっと作業にむずかしいと思います。たとえば昭和四十五年から去年の四十九年までの建設省OBと称される天下った者の名前ね、天下った時点における役所肩書きですね、それと、どこに天下ったのか、天下り先、それと、天下り前に建設省との契約実績があったのかどうかと、こういうものの一覧表を出してみてほしいと思うんですね。そうして契約関係があったならば、天下り後いつごろ実績がないものが初めて実績ができたと。まあできれば予定価格落札価格関係を出してもらいたいんですよね。これはしかし、その必要性が私は出てくるかと思いますが、きょうのところはこれは保留しておきたいと思いますが、それだけのものは出せませんか。
  18. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) いま五カ年の建設省退職者就職先でございますね、御質問は。これも実は五カ年でも、退職者のうちそういう人事院の承認を得て就職したのが約七百人ぐらいいるんです。これについて全部名前を出して差し上げるということは、個人退職後もどこにどうしたかということもやっぱり個人の多少の秘密もあろうかと思いますが、何か個人名前を出さずに符号か何かでするようなことがございましたらよろしいんですが、その点は先生とひとつ後で御相談して、私ども極力資料をつくることにということで御答弁になりませんでしょうか。
  19. 沢田政治

    沢田政治君 ぼくは名前を知りたいというのが、知りたい目的じゃないんですよね。どういう数の者が、どういう肩書きの者が民間に天下って、そしてその後どういう傾向が起きておるのかですね。実績がないところがこう急にとったって数はどういうものかということで大体の動静がつかめるんですね。確証までいかぬけれども傾向としてはぼくらとしてはやっぱり探れると思うんですね。そういうことだから、まあ多少の時間かかるかもわかりませんが、これはもう名前を出すということは一個人名前出てくるからこれはちょっと都合が悪いということだったら、これはいいんですよ、AでもBでもDでもですね。ただし、これは前職のどういう権限を持った者がどういう会社へ行って、そうしていままで実績のないものが急に実績が出てきたと、こういう傾向をつかみたいわけですから、こういうことはできるでしょう。
  20. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 申されました先生の御趣旨、わかりましたので、また具体的にはひとつ担当の者と一緒先生のところに参りまして御相談して、資料を作成いたして、先生のところに提出いたしたいというふうに考えます。
  21. 上田稔

    理事上田稔君) 沢田委員、どうでしょうか。理事会で、いまの大分膨大な資料のようですから、少し内容を検討して、そして出せる程度の資料にして出していただくと、こういうことでいかがですか。
  22. 沢田政治

    沢田政治君 結構です。
  23. 上田稔

    理事上田稔君) それじゃ建設省の方は、委員会理事会の方で内容を少し検討をして、そうしてお願いをしたら資料を出してくれますか。
  24. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) そういうようにいたします。
  25. 上田稔

    理事上田稔君) じゃ、そういうふうにいたします。
  26. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、世上伝えられているところによりますと、非常に業者間で談合が行われておると、こういうことはしばしば聞くわけですね。今度はどこの番だと、もう大体有無相通じて、これはマージャンやりながらか、ゴルフやりながらか、確証があるわけじゃありませんが、非常に建設業者同士談合が行われておると、こういうことは一般的に信じられておるわけです。したがって、建設省としては、そういう談合というのは事実あるように思うのかですね。そういうことは伝えられているだけで、これは談合というものはないと、こういうようにお信じになっているのか、この点はどうですか。
  27. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 先ほどから申し上げておりますように、私ども会計法令に基づいて入札制度を行っております。公正に行っているものでございます。したがいまして、一般に言うところのそういう談合ということは実は関与いたしておりません。全くわれわれは知らないわけでございます。ただ、まあ滋賀県の大津判決という有名な判決があります。昭和四十三年にございました。それによりますと、そういう談合といいますか、事前の協定でも、いわゆる刑法談合罪じゃないもの、まあ詳しく申し上げませんが、そういうようなものがあるというふうな判決で、そういうものはいわゆる談合罪にはならないというようなことを言っております。したがって、そういう慣習があるんじゃないかともそういう判決を見ますと考えられますが、しかし、具体的には私どもそういう確証を得ることも非常にむつかしゅうございますし、よくわからない次第でございます。
  28. 沢田政治

    沢田政治君 いまの入札制度は、これは正しい一まあ正しいとか正しくないとかっていう議論しても、正しいとか正しくないとかっていう物差しがございませんから、これはなかなか即断はできないにしても、やはり検討すべき時期じゃないかと私は思いますね。まあ聞くところによると、アメリカ等入札の方式はもう予定価格を発表すると、これに対して競争せいと、こういうまあオープンにした方法ですね。果たしてそうかどうかわかりませんが、私がまあ常識的に聞くところによるとそういう方式もあると、こう言われておるわけですが、こういう方法とか、いずれにしても談合されたならばこれは大変なんですよね。まあこれは下限がありますね、いまね。たとえば百万円の工事を、この際もう実績を上げるために、名前を、少し実績をつけるために、一万円ぐらいで目をつぶって、何というか落札させようと、こういうものを取り締まるために下限があるようですが、これは上限はありません。上限というのはこれはもう落札しないわけですね。それでいまのようなばかな事態もあったわけですが、これをもう少し、たとえばさっき言ったように、もう予定価格を明確に出して競争させるという方法もあるだろうし、今度は予定価格と下限価格ですね、これを一〇%なら一〇%と、五%なら五%と、きわめて幅の狭いものにして、その中から選んでいくと、そうすれば、ある特定の業者談合において落札させるために、該当者以外は見当違いの何というか価格を示すということも、これは防げるんじゃないかと思うんですよ。また、その見当違いの価格で何というか応札するということは、これは設計能力もないし管理能力もないやつなんですよ、これはね、大体。そういうことだから、まあ私は素人でわかりませんが、いずれにしても談合の余地がないと、こういうような制度を抜本的に私はやっぱり検討すべき時期に来たと思うんですよ。これは民間の識者等も入れて、そうして少なくともこういう事件が発生しないというような、禍根を断ち切るためのいろいろな行政施策というものを考える必要があろうと思うんですが、これは大臣どうですか。このままではこれは非常に疑惑を持ちますよ。
  29. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 現在の会計制度入札制度も、いろいろないままでの経験から来て積み上げられてやっていることと思います。しかし、いろいろな制度の仕組みというのは、それがすべて一番正しいとはもちろん考えられません。社会情勢の変化その他で十分改善すべきところは改善すべきだと思います。最初に先生もおっしゃいましたように、公共事業の執行を行いますわれわれとしては、国民疑惑がないようにやっぱり仕組みを考えることが一番大事なことだと思います。先生のそれはまことにおっしゃるとおりだと思います。同時に、会計事務、そういうものが非常に繁雑になるとか複雑になるということでなしに、合理的にうまくやれると、そういう調子をうまく図って、そういう両者を勘案して、何かやっぱり先生のおっしゃるようないろんなそういうアイデアも十分に参考にしながら、諸外国のものももちろん取り入れながら今後検討すべき点があろうかと思います。そういう点も含めまして、私どもいま事実調査をいたしております。これは建設省だけでできないことも多かろうと思います。そういうときには関係の省庁とも十分協議しながら前向きでいろいろ検討してまいりたいというふうに考えます。
  30. 沢田政治

    沢田政治君 この前向きの検討ということだけじゃ、これはまあ皆さんの答弁はいつも前向きの検討って言うんですが、やっぱりいまの入札制度は非常にそういう疑惑を持たれる余地があるんですよね。だから、いまの制度でこういうものが出てきているわけですから。だから、これをもちろん役所役所なりの検討をするだろうと思うんだが、やっぱりこういう疑惑を批判される方々、またこういう問題に対して非常に精通しておられる方々、こういう者を含めてやっぱり入札制度のあり方に対する検討を始めるべきじゃないかと思うんだが、もう一歩こう踏み込んだ答弁してもらわなくちゃ、前向きに検討しますじゃぼくはどうも自信も持てないし、信頼も持てないわけですね。どうですか、局長
  31. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 談合の問題がいろいろと疑惑を持たれ、批判されておることは承知をいたしております。私ども談合というものは一体どういうものでやっておるのか、確証をもちろん握っておりませんから、そういうことをはっきり申し上げることはできませんが、やっぱり公正な競争を害したり、不正な利益を得るための目的で談合するというようなことがあるとすれば断固として排除しなければならぬし、ただ反面に、工事を適正に施工すること、あるいはさなきだに多い中小業者過当競争の場合に、過当競争のために中小建設業者が非常に困ってくるようなことになってもいけません。むしろ健全な発展を図るためにと、そういった意味の秩序あることはあるいは必要じゃないかと思っております。それにしても、やはりいろいろと入札制度そのもの議論をされておりますから、先生のおっしゃるとおりです。その問題検討してみます。十分にひとつ検討してみます。
  32. 沢田政治

    沢田政治君 それと、これはもう非常にまじめな業者には相済まぬですが、地方に行くと、地方の業者はどうも県会とか町会とか市会とか国会とか、非常に政治と——まあ後援会かどうか、これは別としても、だれが見ても結びつきがひどいんですね。で、心のないそういう業者の中には、政治献金を幾らしても、道路のアスファルトの厚さを二センチぐらい薄くすりゃあそれでもう返しが取れるんだなんていう、こういう——これは全部がそうだということを言っているんじゃないんですよ、そういう方も中にはおるんですよね。そういうことですから、これはささいなことかもわかりませんが、たとえば道路なら道路をやる場合に掲示をしていますね。たとえば発注者、受注者、それから工事期間とか、こういうものを掲示していますね。やっぱり国民が、また土建屋の人方が政治家と結んで、これは道路の衣を薄くしてもうかるんだなぐらいのことを考えている人も多いんですよね実際問題として。地方に行きゃあひどいものですよ、これは。そういうことだから、少なくとも建設省はやっぱり事業官庁として、こういう政治なり金の醜い関係というものを疑惑を持たれることは困ると、こういうことを言っているんだから、そうであるならば、これはささいなことかもわからぬが、たとえば道路工事の標示をする場合に、やっぱり工事の方法の、何といいますか構造ですね、バランスが何センチでアスファルトは何センチとか、断面図ぐらい書いて、こういうものを国民の前に堂々と示したらどうですか、これは。これはまあ非常にむずかしいものもあるでしょう、膨大な工事なんかはね。そうでない、やっぱりできる簡易な工事であるならば、こういうことでやらせているんだと、こういうものをやっぱり世の疑惑を晴らすために、国民の税金でやっているんだから、そういう努力ぐらいはすべきだと思うんだが、どうでしょう。
  33. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 仰せのように、現在でも工事現場にいろいろ掲示を、工事の期間だとか工事の主体だとかいろいろしております。それからまあ現実に、大規模なものにつきましては、いま先生のおっしゃったような構造その他の説明図も掲示しておるものもあるようでございます。これをもっと一般化していくという御提案でございます。これも一つのおもしろい御提案でございますし、具体的な方法をどうするか、先生のおっしゃったようにむずかしい問題もいろいろありますので、十分これにつきましても検討して、実行できるものはしたらどうかというふうに考えます。
  34. 沢田政治

    沢田政治君 次に、重層請負のことですが、これもまたひどいんですね。子供、孫、またその下、またその下、その下なんていう、これも非常に疑惑を持たれるんですよね。いかに建設省の積算というものはずさんかと、こういうことも常識的に疑われるわけですね。元請があって、その下があって、その下があって、その下があって、またその下があるということじゃ、積算そのものが全くこれはもうでたらめだと。しかも何といいますか、孫になろうが、ひ孫になろうが、そこに幾らかの利潤を上げているわけですから、そういうものであるならば、これはもう積算そのものがこれは甘っちょろいと、国民の税金のむだ遣い、こう一面疑惑を持つんです。  と同時に、これはまた、これは従業員の賃金の問題もありますし、さらにはまた保健衛生の問題もありますね。もう中間マージンを何回も取って転んでいくんだから、積算に対する疑惑と、一番犠牲になるのは一番下で働くこれはもう労働者だと思うんですね。これはもうその中においては安全衛生の手抜きがなされると、こういう結果になっていくんですよね。いずれにしても重層請負というものは、これはもう非常に弊害が多いと、こういうことだけはこれは言えると思います。去年、わが党が東北縦貫自動車道とかあるいはまた新幹線ですね、東北の、この工事の内容を調べたわけですが、もう一番下の零細な組なんかは安全衛生規則なんかも全然わからないんですよ、そういう指示も受けてないと言うんですよ。これは非常にもう寒心にたえないことですね。こういうものを放置していいのかどうかということですね。私はやっぱり弊害が多いと思いますね。まあしかし、ある工事によってはこれは必要なものもありますよ。たとえば膨大なダムをつくるという場合は、一つの組とか建設会社が全部の機能を持ってませんよ、これはね。いろいろな特殊な職能にこれは分類されるんだから、そういう場合はぼくはやむを得ないと思いますよ。しかし、橋梁工事とか道路の工事とかにそう大きな技術とか細密な特殊技能をそろえなくちゃならぬということはないんですよ。そういうものが四つも五つも六つも転がしていくっていうことは、これまた疑惑を持たれる一つの根源に私はなっておると思うんですね。こういうものをどういうようにして改めていこうとしますか、また現状をこれをこのまま肯定しますか、この点についてお答え願いたい。
  35. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 重層下請の問題については、これもおっしゃるとおりのいろいろ疑点があること、私どももこの問題については十分に再検討せなきゃならぬと思っておるわけであります。工事の一部では下請もやむを得ない工事があることは、これは先生も一応御了解いただいておると思うんでありますが、ただ、一般的な工事が、元請があり、下請があり、孫請があり、その下がありといったようなことで、結局それがいろいろと工事の手抜きにつながり、労働災害を起こし、あるいは賃金不払いを生ずるといったような現象が生じていることも十分承知をいたしております。したがってこの問題は、元請業者に対して厳重にひとつ指示をしてこの問題を明確にせなきゃいかぬと思っておるのでありまして、従来は工程管理の問題を中心にしておりましたが、今後は契約管理の責任を強化して、請負が現場の末端まで雇用契約関係を明確にしておく、そしてできればわれわれの方からそれを報告しなさいと言えば、いつでもその下請関係の問題がすぐに明確に報告ができるようなそこまでの責任ある体制をとらしていくということが必要だと思いまして、これは厳重に私どもの方は指示をし、努力をいまいたしておるわけであります。
  36. 沢田政治

    沢田政治君 元請会社にそういう安全衛生とか手抜き工事しないように非常に明確に意思表示をさせると、監督をさせると、こう言ってるんですが、まあその限りにおいてはそのことは何も悪いことだと思いませんが、やはり疑念がこれも晴れないわけですね。積算の単価ってものはそんなに四つも五つも六つも利潤を上げるような甘いものかと、これは税金のむだ遣いじゃないかと。特別な職能を持った者を無数に抱えておらなくちゃならぬような工事じゃないにもかかわらず、単純工事で四つも五つも六つもある程度の利潤を上げてるっていうものは、やっぱりそういう積算そのものに問題があると、こういう疑念は晴れないと思うんですね。しかもAからBに下請に転がしていくのならいいけれども、地方に行ったら、BからBにいくこともあるんですよ、またそのBにいくこともあるんですね。こういうのはどうしてもおかしいんですよね。これはまあちょっと専門的なことだと思うから、局長、これはどうですか、この形は。
  37. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 先生のおっしゃっているような、いわゆる切り投げと申しますか、そのまま下請に出してしまうというようなことは建設業法上もこれを禁止しているところでございます。ただ、そういうことが行われることを監視いたしますために、先ほど大臣が申しましたように、やはりその契約管理の中身をはっきりつかむような元請の責任の体制を強化するということを手がかりにして、そしてその重層下請の関係を明らかにしておくということがまず基本的な足がかりであるというふうに考えまして、先ほどのお答えいたしましたようなことで改善措置をまずそこから図っていくと、そして不必要な重層下請というものはこれは厳に排除するように従来からしばしば指導してきているところでございますので、そういう方向でまず足がかりをつくっていくということを先決に考えて、さしあたりの対策として考えなければいけない。もちろん基本的にはその背景にあります、過当競争裏にありますわが国の建設業界の体質の問題にもありますけれども、さしあたってはこのようなことを足がかりにしていくべきではないかと考えておる次第でございます。
  38. 沢田政治

    沢田政治君 いま建設業者のランクづけがされておるわけですが、中央業者というのはどれだけのランクで、地方業者ですね、どういうランクになっていますか。
  39. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) この資料がいま具体的にあるわけじゃございませんが、大体全国業者でも相当規模のものはAで、地方の地元の大手というのがAの下か、県によってはBの上もあるということじゃないかと思います。したがって、大体大部分はB以下、地元の業者は、というふうに考えております。
  40. 沢田政治

    沢田政治君 そこで、地方には地方のランクがありますですね。これ、以前はこのランク、A、B、C、Dですね、まあEもあるかもわかりませんが。こういう場合、大体どれだけの単価のものはどういう、Aにやらせる、Bにやらせるというランクは定かでなかったときもありますね、数年前までですね。数年前から、これ建設省行政指導によると思いますが、当委員会でも取り上げられた記憶を私は持っていますが、まあ地方にもそれぞれのランクがこれは出ています。以前はもうAが全部とって、全部こう転がしていったと。こういう弊害を是正するためと、それからやっぱり中小業者を育成強化すると、こういう観点からこういう行政指導がなされたと思うんで、その限りにおいては決して悪いことじゃないと思いますが、地方においては非常にばらつきがあるんですね。  たとえば、ある県が、Aの場合は三千万円以上のこの何というか工事、あるいはまあ二千五百万もありますね。これは東京とか大阪とか政令都市の場合は、Aの場合は何といいますか二億円以上とかというふうに非常にばらつきがある。これをやっぱり統一できないものですか。ぼくは中央は中央のランクでいいと思うんだが、地方業者のランクづけも、やはり政令都市とか、同じ工事でも膨大な工事量を持っているわけですから、まあ地方のようにもうせいぜいダムとか道路とかいう限られた工事という場合とこれは違うと思いますよ、これはね。これは地方だからといって全国一律というわけにはまいりますまい。これは政令都市とかというふうに分類してもいいんですが、少なくとも大体似通っておる何というか地域ですね。そういうものについてはやっぱりABCDのランクを、二億円以上とか、これは五千万以上でもいいし、こういうのを統一したほうがやはり中小業者育成という角度からいってもいいんじゃないかと思いますがね。そうでなければ、ある政治家につながっているA業者につながっておったならばいいとか悪いとかって、非常に政治上も好ましくな傾向が起きているわけですね。こういうものを整理する気持ちがありますか、どうですか。
  41. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 現在各都道府県ではその県内の業者数も違いますし、それから各県の事業量もそれぞれ異なりますので、まあ事業量、それから業者数をそれぞれバランスをとって分類いたしまして、受注量が各建設業者に均てんに、均衡とれて配分されるように配慮するというような指導方針で、先生指摘のように、少なくとも現在では数年前から厳格にこのABCDというようなランクづけをそういう基準で行っているのでございます。ですから、ある一定の、たとえば政令都市なら政令都市とか何万以上の県はというような、人口で必ずしもうまく統一がとれるとは言い切れない面があると思いますけれども、各県によりましてそれぞれの実態に応じて業者数と事業量にバランスさせてやっているというのが実情でございまして、まあこの発注標準をそれぞれの県ごとに守らせることによりましてそのランクごとの業者の保護育成を図っていくと、こういう趣旨に出たものでございますから、画一的にできればそういう標準をつくりたいと思います。検討してみますけれども、現実におきましては、各県ごとにそれぞれ適時に改正をしばしば図りながらバランスをとって、事業量とそれから業者数とをバランスさせていく、こういう実態でございます。
  42. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、投げ捨て請負と言うのですか、単純なものを何もやらぬで、自分が何というか請け負いしたと、また次にもう何もやらぬでぽっと投げ捨てていくと、こういうものの実際監督とか監視というものはどういう体制でなされているのですか。これは非常に多いんですよ、投げ捨てがですね。同じクラスがね、クラス同士で。これはあんまり監視というものの目がですね、まあ直営工事であるならばある程度目が光っていると思いますが、補助事業等になると意外に地方に行った場合そういうのが多いんですよね。どういう体制でこれ監視しているのか、ぼくちょっと疑問持つんですよね。あんまり積極的な監視をしておらないように感じられてならぬわけですがね。同じクラス同士で、彼は仕事を持っていると、だから同じクラスからもらうと、こういう例が多いんですよ。どういう監視をしていますか。
  43. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まあ、契約約款において下請の報告を発注者が求めることができるという規定がございます。これに基づきまして、おかしいというような事実を発見いたしましたならば直ちに報告を求め、そうしてその是正方を求めることができるわけでございます。先生がおっしゃいますのは、具体的にそういうことをしばしばやっているかどうか。余りやってないじゃないかということではないかと思いますが、確かに先ほど来申し上げておりますように、この重層下請の末端にいきますと、はなはだしい例におきましては三重四重というような重層下請の例が間々ございます。その実態につきましてはなかなか把握しにくいという実態でございまして、ただし、契約約款上はそういう報告を求め、その是正を求めることができるわけでございますから、そういう重層下請の排除につきまして、発注者におきましてはこれを極力監視して是正するように従来も指導しておるわけでございますけれども、そういう体制を今後とも強化していかなければならないというふうに考えております。
  44. 沢田政治

    沢田政治君 この重層下請をですね、いまでもこの投げ捨てはこれはまあ建設業法で禁止されておるわけですね。しかしながら、非常に転がっていっていることは事実なわけですね。それが果たして重層下請で事実そうなっている、投げ捨てであるかどうかは内容を吟味しなくちゃならぬけれども。ぼくはさっきからくどいように言っているように、やっぱり四つ五つ転がってきているわけだ。そうなると、やっぱり建設省の元単価、つまり積算ね、そういうものはこれはちょっとおかしいじゃないかと、四つも五つも利潤を上げていっていると、一番下が問題あると、こういうことだから、これは法律に不備があるならあるようにですね、少なくとも特殊な工事以外は四つも五つも六つも転がっていくというのはこれは好ましいことじゃないわけだから、これを何か歯どめをかうような、いまの法律がこれは不備であるならば不備として素直に認めて改正するなりして、何かこれを歯どめをかける方法がないものかな。どうですか。
  45. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) おっしゃるとおり、不必要な重層下請ということは好ましくございませんし、種々の弊害を生ずることでございますので、従来から通牒措置等によりましてしばしばそういう指導はしているのでございますけれども、実態におきましてはなかなかわかりにくいというような状態がございます。元請すらそれをつかんでいないというような状態が多いわけでございます。  そこで、先ほどくどいようでございますが申し上げましたように、一つの具体的な方策としましては、元請責任として管理内容の把握を、管理工程を末端に至るまで把握させるような方法を具体的に確立するということが一つの手がかりになるんではないか。これをもちましていつでも注意し、これを指導することができるような足がかりをつくった上で厳重にそれを指導していくということが最も具体的な方法ではないかというふうにいま考えて検討しておるところでございます。
  46. 沢田政治

    沢田政治君 道路局長にちょっとお伺いしたいわけですが、最近諸方に高速道路ですね、縦貫道路ですね、こういうのが延びていっておるわけですが、この場合、これは非常に大規模な工事ですから、これは中央のいい業者が元請業になるのはやむを得ないでしょう、いい悪い議論はあったとしてもですね。非常に工事量そのものが膨大ですから地方ではとても元請業になれるような業者がなかなかないこともこれは事実です。しかし、その下ですね、下の仕事は、やはりその元請のまた下も中央業者が非常に多く入っていますね。しかもそれがほとんど建設省と人的にもつながりある会社が多いと、こういう疑惑が持たれておるわけですね。そういうことで、結局道路ができたけれども、空気を汚され、土地をつぶされ、地域社会がこれは何にもならぬと、こういうような一つのやっかみも出ているわけですね。そういうことですから、やっぱり地元業者を活用すると、そういう方法をやっぱり考えていくべきじゃないかと思いますね。ただ単に規模の小さい一つの組だけではこれできないかもわかりません。たとえば地方業者が相寄って共同責任を持って、そうしてまた大手の下をとるとかですね、こういうものを十二分に検討すべきだという声が地域から非常に多いんですよね。こういうことを考えていますか。考えているなら、どういう方法でこれをやりますか、これは。
  47. 井上孝

    政府委員(井上孝君) 先生おっしゃることは、従来からやはり問題ございまして、たしか道路公団におきましてもジョイントベンチャー制度を随所に使っております。たとえば大手と地方業者とのジョイント、あるいは地方業者数社が寄った共同企業、こういうものを活用する方途が開けております。ただ、十分にそれが活用されておるかどうか、私まだ十分調べておりませんが、よく調べまして、ジョイントベンチャーの活用によっておっしゃるような方向をとりたいというふうに思います。
  48. 沢田政治

    沢田政治君 このいろいろな、民間であろうが、官庁であろうが、OBという会をつくるとか、これは別に悪いことじゃないんですね。戦場に行って来た人は戦友会とかなんかあるように、     〔理事上田稔君退席、委員長着席〕 これは権力とか法律によってとめられるものじゃないわけですが、新聞にもOB会というものはちょこちょこ出てくるわけですが、OB会社グループとかそういう組織がですね、そういうところが、建設省の役人が行ったならば、指定のキャバレーとかバーね、これはツケ、ただだとかって細かいこと書かれておりますが、これは事実そうかどうかわかりませんが、これは官庁との関係OB会とどういう関係、自由に出入りできるようになってますか。少なくともやっぱり実施官庁である以上はそれぞれの機密を持っていると思うんですね。知られちゃいかぬこともあると思いますね、かつては同僚であったかもわかりませんが。それはどういう関係になっていますか。OBバッジ、建設省職員バッジにOBと書いたバッジをつけるともう随時出入りできるような機構になっていますか。一方においては、予定価格なんかは落札終了後もこれは機密事項だと言いながら、そういうOBの方々が自由に出入りできるということになると、仲間うちには開かれた官庁であるが、国民に向かっては開かれた官庁じゃないということを疑惑を向けられてもこれはしようがないと思いますね。そういう点はどうなっていますか、その点。
  49. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) OBの会につきましては、私どもこれは任意のものでございまして実はよく把握していないわけでございます。しかし、いろいろ昔の仲間が集まってそういう会があるようでございます。そういう場合に自由に役所に入っているかどうかという問題は、これは一般国民建設省の場合は特に玄関でそれをチェックするというようなことはありません。特殊な場合以外はですね、ありませんから、入れるのは入れると思います。ただし問題は、先生おっしゃったように公私の別を現職の職員がはっきりして、そしてそういう昔の同僚なり上司的な者でありましても漏らしていかぬことはもちろん漏らしていけませんし、その他癒着というような疑いを受けることはないように十分に身を慎んでいくべきであるというふうに考え、そういうふうに指導してまいっておる次第でございます。  バッジの件はよく私はわかりません。いまいろいろたくさん会がありまして、つくっているかどうかそこまで把握いたしておりません。
  50. 沢田政治

    沢田政治君 非常に話が細かいようですが、業者との受注、発注の関係ですね。これは実施官庁ですから非常にそういう利害があるわけでして、国民も非常に疑惑を持つわけですね。それだけ、だからこそ建設省も非常に身を引き締めなくちゃならぬ一つのものがあると思いますね。そういう場合、大臣、これはどうなっているんですか。たとえば、ある議員が建設省のごみ捨て場を見たら、ナポレオンがあったとか、ジョニ黒の箱が意外に多かったとかというような興味を持っておられる方もあるが——興味じゃない、これも一つ調査方法でしょうが、そういう世上言われておるところのせんべつとか、そういうつけ届けと言いますかな、どういう表現するのかわかりませんが、こういうのこそ、やっぱり小さいことから良心というのは麻痺していくんですよ、特に気をつけなくちゃいかぬと思うんですよ、実施官庁でありますから。そういうものは一切受け付けるべきじゃないと思いますよね。新聞によりますと、そういうものを拒むと、何といいますか、あいつは融通のきかないやつだというわけで村八分になるとかなんとかということが出ておりますが、こういうことを、どういう示達を大臣していますか、これは。これは厳し過ぎるほど接待マージャンを含めて厳しくなくちゃいかぬと思いますね。もう日常全部注目しているんだからね、国民が。どういう何というか綱紀粛正について方針をとっていますか。
  51. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 建設省の職員が、OBであろうがどなたであろうが、公私を明確にしなきゃならない、少なくとも国民から疑惑を受けるようなことがあってはならないということは当然でありまして、われわれはそのつもりで努力をいたしておりますが、これはやはり職員のモラルの問題でもありますし、そういう努力をしながらも先般来新聞に出るような問題か生じておりまして、まことに遺憾に思っておりますが、いまおっしゃったいろいろな問題等については、たとえば本年度の予算編成時期においては厳重に、そういうことはまかりならぬということを厳しく通告いたしまして、そういうふうに実行されたと私は思っております。今後もこの問題はもう建設省の  一番最重点として考えなきゃならぬ問題だと思いますから、厳重に今後も努力をいたして、必要があれば処置もしてまいらなけりゃならぬ、そういうふうに存じております。
  52. 沢田政治

    沢田政治君 一般的な注意じゃなく、常時大臣たる者は下僚に対してやっぱり綱紀を引き締めなくちゃならぬということは常々心がけていると思いますが、やはりこういう問題が事実あるないにせよ、これが大きくショッキングに取り上げられているわけですから、これだけ、事実の有無は別としても、疑惑を持たれておるということだけ、これは事実ですから、だからこういうことを契機に、もう一回文書で各職員に通達をして、絶対いかぬと、こういうことは。そういうことを通達した方がいいと思いますね。それを見せてくださいよ、ぼくらの方にも。こういうことをやりましたと、やっぱりもうどういうささいなことでも打つべき手段を全部打って、みずからの疑念を晴らすというような積極的な姿勢というものは、ぜひともぼくはこの際必要じゃないかと思うんですが、どうですか。
  53. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 官庁の中でも建設省が一番いろんな目で見られておる官庁であることは私ども承知をいたしておりまして、そういう意味においては、より以上厳重にわれわれはみずからを戒めてまいらなきゃならぬと思っておりますし、先生お出しの問題につきましては、事務当局と相談をいたしまして、早速通達を発するようにいたします。
  54. 沢田政治

    沢田政治君 きょうは私の質問がこれで、時間が若干余りましたが、終わるわけですが、きょうは朝日新聞を中心にしてとりあえずの質問をしたわけです。まだこれ以外の問題もぼくは材料をいただいております、これは。と同時に、先ほど要求しました資料ですね、具体的には理事会でお話しするはずですが、それがそろってからさらに質問する気持ちを持っておりますので、きょうは一応保留して、私の質問をこれで終わります。
  55. 上田稔

    上田稔君 それでは今後の建設工事の発注についてお伺いをいたしたいと存じます。建設省にお伺いをいたします。  総需要抑制政策昭和四十九年度の公共事業の発注が大幅に繰り延べられましたのでありますが、昨今は経済界が非常に不況になってきておりますが、これに対して政府は、この繰り延べ工事を三月中に発注すると発表をしておられます。新聞に発表しておられるようでありますが、建設省のこれに対する御方針はいかがでございますか。
  56. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 四十九年度予算は、先生承知のように繰り延べということで最初から計画され、契約目標率というのは第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期まで、第三・四半期は昭和四十八年になかったわけですけれども、四十九年にはございました。したがって、予算の執行はそういう契約目標率を押さえた契約目標率がありましたのでおくれているわけです。したがいまして、第四・四半期は、補正予算も十二月に計上されたということもございまして、残額が約一兆二百億ばかりございます。これを御承知の繰り延べはそのままという政府の方針でございますので、繰り延べ及びどういうふうに努力してもできないものがあります。そういうようなものを、たとえば本四架橋みたいなもの、そういうものを加えますと、未契約で繰り越しをしなければいけないものが約二千二百億あります。したがいまして、残りが八千億ばかりあるわけです。この八千億を第四・四半期にこれを新規に発注して、仕事として早急に出すということで、完全消化に努力いたしております。この八千億というのは、一口で八千億と言いますけれども、昨年の四十八年度の第四・四半期に比べますと、第四・四半期の一・八六倍という、八六%増ということで相当分量が昨年の第四・四半期よりもございます。これが完全に消化されますならば仕事の量は相当これは出ることになるわけでございまして、それを中心に私どもその促進を図っていく次第でございます。
  57. 上田稔

    上田稔君 そうすると、繰り延べはやらないと、しかしながら、繰り延べは今年度中はやらないけれども、補正予算でやれるものが八千億あるからこれをやりますと、こういうことでございますか。
  58. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 先ほども申し上げましたように、補正予算ということじゃございません。四十九年度予算は契約の目標率が決まって、ずっと繰り延べ繰り延べになっておりますので、そういう予算の残額及びまた補正予算が十二月に計上された分もありまして、それを加えますと、八千億であると、八千億というのは昨年の第四・四半期よりも八六%も多いと、この完全消化というふうにいま努めておるということでございます。
  59. 上田稔

    上田稔君 中小企業の方は非常に最近の不況によって困ってきておりまして、建設関係というのは倒産が非常に多いのであります。こういうことでありますので、この狂乱物価のときにおきましては、スライド制をとっていただいて大分救っていただいたということでございますけれども、この中小企業対策というものをやはり考えていただかないといけないんじゃなかろうかと思いますが、この三月時期以降の中小企業対策はどういうふうにお考えをいただけるんでしょうか、建設事業の。
  60. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、目下中小建設業対策ということを重点に仕事を進めていくべきであろうかと思います。したがいまして、一般の地元業者というものをこれは活用すると、そのためにはできる限り分轄発注をするというようなことも非常に指導いたしております。同時にまた、工事成績が特に優秀な中小建設業者につきましては、御承知のあのランク制の中でも二階級特進で二つ上のランクで格づけする、CのランクであってもAの仕事にこれを参加させる、指名するという措置もいたしておるわけでございます。そういう措置を講じまして中小に対する発注をふやすとともに、先ほどから話がやはり出ておりますように、ジョイントベンチャー——共同請負制度というものを活用いたしまして、そうしてその施工能力に応じました規模の工事についても、やはり中小にも一緒になって受注機会を与えるということも指導し、これもふえてきておる次第でございます。その他いろいろ私どもも、中小建設業に対しましては発注の面ではそういうことでございますが、金融その他の面につきましても十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  61. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) ちょっと補足しますが、中小業者の問題については、先ほどの御質問もありましたように、私どもいま至上命題というくらいに考えておるわけでありまして、出先機関に対しても、都道府県知事に対しても、特に中小企業を優遇するようにと、そのために具体的ないろんな分轄方式等もやらせてもらっておるわけであります。一−三月で八千億の、昨年に比べますと二千五百億ほど多く発注をいたしますが、それもできるだけ中小企業を対象にして受注の機会を与えるようにということを指示いたしておりますし、四月に入りますと早期発注を考えております。もう三月までに準備を十分整えて、四月に入ればすぐ早期発注ができるように準備をいたしております。その場合にもやはり地方の中小企業を対象にしてできるだけ発注をいたしたい、このように考えております。
  62. 上田稔

    上田稔君 ただいまの建設大臣の御方針によって、ひとつ倒産をどんどんしていく中小企業を救っていただきますように、弱者を救っていただきますように、これはお願いを申し上げます。  それからこの八千億をお出しになるということになると、三月いっぱいではとてもこれはできない工事が相当できるのではなかろうかと思うのであります。あるいはまた三月では全然工事をやらずに翌年度において——翌年度といいますか、五十年度において工事をおやりになるということになるのではなかろうかと思うのでありますが、そういう翌債といいますか、翌年度に債務負担というか、おやりになるもの、こういうようなものに対しては、もうすでに新年度の労務単価は恐らく決まっておるんじゃなかろうかと、例年ですとそう決まっておるんじゃなかろうかと、私どもやっていたときは大体決まっていたから、決まっておるんじゃなかろうかと思うのですが、そういったようなものも考慮しておやりをいただけるのでありましょうか、ひとつおう伺いいたします。
  63. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 先ほど申し上げました八千億につきましては、私どもこの年度内に完全消化するということで努力をいたしております。それもさっき大臣が申し上げましたように中小企業などを中心にやりたいと思っております。先生のおっしゃいました、その際に、年度末になりますものにつきましての債務負担行為につきましては新単価をつくっていただきたい、それも一つの合理的なことでございますので、私どもそういう新単価を使用いたしまして契約の円滑な執行を図るというふうに考えております。
  64. 上田稔

    上田稔君 五十年度の工事でございますが、いま早期発注をやるということを大臣からお伺いをいたしました。これはひとつ四十九年度のときには、総需要抑制の関係から、第一・四半期は何%、第二・四半期は何%と非常に制限をつけられたのでございますけれども、全国的に日本の国は北から南までいろんな気象の状況の地域があるわけでありますので、第一・四半期に幾らやって、第二・四半期に幾らやって、第三・四半期幾ら、第四・四半期幾らと、こういう全国をどれも皆画一的にお考えになるということになると、雪国なんかは仕事ができないというのが実態であります。また、仕事をやりましても、非常に無理な仕事をやるということが非常に多いのでありますので、こういう点をひとつ十分お考えをいただいて、五十年度におきましては、四十九年度のときと大分事情も違うのでありますから、そういう制限をつけないでおやりをいただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  65. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 五十年度予算につきましては、これは国会で通過いたしまして、経済情勢に従って早く出す必要があるときは早く出せるように大臣が御答弁を申し上げたように準備いたしております。その際におきまして、私ども四十八年、四十九年のように抑制的な契約目標率は決めるべきじゃないというふうに、経済情勢のそういう早期発注の時期が来ましたら主張いたしたいというふうに考えております。積寒地域につきましては、四十八年、四十九年とも、過去におきましても、特に発注目標率は一般より高くなっております。もちろんそういうことを十分に配慮しながら予算執行を進めていく必要があると思います。そういうふうに指導いたします。
  66. 上田稔

    上田稔君 そういうふうにひとつお願いをいたします。  それから最近は非常に物価が値上がりをしておるのでありまして、結局同じ工事額、事業額でありましても、仕事の量そのものは減ってきておるというのが実態であるということでございますが、したがって、事業量を同じにいたしますと、工事費が上がっておるというのが実態だと思うのであります。それで先ほど沢田委員からの御質問のときに、ランク制ということを考えて各層の業界の方々に平等に仕事を出すのだと、こういうふうにお話をいただいておりましたが、いま申し上げましたように物価が上がっておりますから、単価が上がっておりますから、そのランクの基準というものもこれは上げていただいておるのでありましょうか。各業者には、たとえば建設省でございますと、登録をお願いをいたしますと、ABCDEというランクをいただいて、そしてそれの中の工事のようなものの一つに指名をしてもらえると、こういうことになっておるのでありますが、そういう点がどういうふうにこの基準をお上げをいただいておるのでありましょうか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  67. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 御承知のように、ランク制につきましては昨年の八月に引き上げております。その前、四十七、四十八年ごろがいわゆる狂乱物価の時代で資材の高騰が非常に激しかったわけでございまして、その際に四十六年に決めました金額を大体五割増し程度上げております。今後のことはまた情勢を見ながらいろいろ検討してまいりますが、昨年の八月でございますから、当分ちょっと様子を見たいというふうに考えております。
  68. 上田稔

    上田稔君 そうしますと、E業者、D業者というのも相当大きな工事を請け負ってやれる、こういうことになってくるのじゃなかろうかと思いますが、そういうことによって零細業者といいますか、中小業者といいますか、そういうものがだんだんと力がついてくるのじゃなかろうかと思いますが、どうかそういうふうにお考えをいただいて、常に思いをいたしておやりをいただきたいと思うのです。  次に、建設工事の材料の積算についてちょっとお伺いをいたしたいと思うのであります。先ほど沢田委員から、たとえば道路の舗装の厚さは一センチごまかせばそれによって非常に浮いてくるのだと、こういうようなお話が出ておりましたけれども建設省では、いま道路の厚さのお話が出たので道路をとってみますと、アスファルトの舗装厚について考えてみますと、これは土木工事というのは机の、木材を切るように平らにすぱっとやるということはこれはなかなかできないのではなかろうかと思う。非常に大きな面積でありますし、そうして一センチ、二センチの狂いなく、さあっとやるということはなかなか困難だと思うのでありますが、たとえば道路の舗装厚をやる場合においては、何かこれだけの厚さはどうしても上の荷重から見て必要だというものがあると思うのでありますが、それに対してどの程度の余裕といいますか、安全といいますか、そういうものをお考えになっておられるのでありますか、そういうものは考えておられないのですか。
  69. 宮内章

    説明員(宮内章君) いま御指摘の舗装工事を初め、その他の工事もそうでございますが、工事上必要な余分な材料につきましては、その実態に応じてそれぞれ積算上配慮することになっているわけでございます。それで、具体的に舗装工事の話がございましたが、舗装工事材料につきましては、いま先生が御指摘の工事面においても多少のロスがございますし、さらに運搬途中のロス等も事実あるわけでございます。こういうものにつきましては従来とも一定の割り増しを行うということで積算をしています。ただ、現行の割り増し率が多少実態と合わないという点がございますので、従来調査をいたしまして、来年度からこれを是正していくという措置をとる予定になっています。なお、これらの調査につきましては今後ともさらに続けまして、より適正を期していきたいというふうに考えております。
  70. 上田稔

    上田稔君 いまの私が質問をしたのは、たとえば道路の厚さは、九センチは上の荷重からどうしても必要だと、こういうような場合においては九センチといっても下のフリクがあったり、いろいろ上面でもそんなにずっと真っ平らにするということは、水準器で計ったようにするということはこれはちょっと不可能でありますので、設計としてはある程度アローアンスというか、安全率というか、そういうものを考えて、九センチなら九センチ五ミリとか、あるいは十センチとか、何かそういう安全性をおとりになるものなのでしょうか、その点はいかがですか。
  71. 宮内章

    説明員(宮内章君) 舗装その他の寸法のアローアンスでございますが、これはそれぞれ一定の誤差範囲を定めまして、そういうことによって検査し、検修しているわけでございます。それから実際の積算面のことは、先ほど申し上げましたように、実態に応じた計数をもって、そこに余裕を持った積算をしているということでございます。
  72. 上田稔

    上田稔君 いまの私がお聞きしているのは、つまり安全率として設計上十センチでやれと、こういう場合においては、たとえば九センチ五ミリぐらいまでは、それ以下に下がってはもう絶対に上の荷重の面から考えてこれはいけないということで考えなくちゃいけないけれども、十センチと出した場合に少し余裕があるのだという——余裕って強度上の問題ですが、余裕があるということじゃなかろうかと思うのですが、そういうことはないんですか、十センチないといけないんですか。
  73. 宮内章

    説明員(宮内章君) いまのお話、各構造物——舗装も構造物の一つと考えていいかと思いますが一については、当然プラスマイナスのいわゆる構造上の強さ、その他の機能からいって余裕はあるわけでございます。その意味におきまして、その検査の基準等も構造の実態に応じたアローアンスを持った範囲で実施しているということでございまして、十センチのものは十センチを一ミリも欠けてはいけないということではございません。
  74. 上田稔

    上田稔君 私は、考えるのに、十センチという厚さで出したと、その場合に設計上というか荷重の面から考えて、九センチ五ミリは絶対に欲しいのだと、こういう線があると思うのです。しかし、また一面、十センチとこう出した場合に、十センチの施工する面において、実際上できないからアローアンスが——アローアンスというか許容範囲というものがまたあると思うのですね。これは必ずしも一致しないと思うのですけれども先ほどの強度上の安全率というものと、それから今度は施工面における何というのですか許容の範囲というもの、誤差の範囲といいますか、そういうものは別個だと思うのですけれども、そういうものが必ずあるものだと思うのですが、そういうことはありませんか。
  75. 宮内章

    説明員(宮内章君) 施工のでき上がりの精度につきましては、先生指摘のとおり、施工上の実行できる精度を配慮した範囲でアローアンスが定めてございます。
  76. 上田稔

    上田稔君 したがいまして、この建設省の検査に当たっては、そのいまの施工上の面における許容のある幅というものがやっぱりあるわけでありましょうね。
  77. 宮内章

    説明員(宮内章君) 先ほど申し上げたとおり、施工上、通常考えられる範囲の精度の中でアローアンスは定めてございます。
  78. 上田稔

    上田稔君 そこで、会計検査院の方、おいでになっておられますか。——ちょっとお伺いをしたいのでありますが、この会計検査は、どうも材料というものは精算をするというようなことをお考えになっておるのじゃなかろうかと思う節があるのですが、例を申し上げますと、いま十センチという設計が出ていると、十センチ以上あればこれはまあよけいにやっているのだから、これはよろしい、しかし、十センチをちょっとでも下がっている分が、少し誤差がありますと、その分は皆精算をするのだというようなことがどうもあるように思うのであります。もっとも、下がっておる量がいまのアローアンスの外に出てしまっておるというもの、あるいはまた強度を九センチ五ミリはどうしても必要だと、こう言っている、それよりも下がっている、これは不良工事になりますが、そういったものでない、アローアンスの範囲内であってもそれを精算をしなくちゃいけないというようにどうもやっておられるように思うのでありますけれども、この点はどういうふうにお考えをいただいておるか。
  79. 本村善文

    説明員(本村善文君) ただいまの先生のお話でございますが、私どもは設計仕様に従いまして、工事がそのとおりできたかどうかということも、その工事の出来形の検査の面で見ているわけでございます。それで、いまおっしゃいました舗装工事の件でございますが、舗装工事はいまもお話がありましたように、当然厚さ何センチと決められておりましても、そのプラスマイナスのアローアンスがございます。したがいまして、そのアローアンスの範囲内でございますれば、私どもはこれを指摘するというようなことは現在やっておりません。ただ、アローアンスがマイナスの面ばかり出ると、つまり五ミリでも全線にわたって非常に多くの面積にそれが出ているというふうな場合には、あるいは現場で御注意申し上げることはあろうかと思いますが、その範囲内であればそれを精算という、そういうような検査面でそういう考え方は現在いたしておりません。
  80. 上田稔

    上田稔君 転圧の問題とかいろいろな面において、十分に転圧、また密になっちゃって、何といいますか、結局強度はあるけれども、ちょっとこう下がると、こういうことになるわけでありますが、そういういろいろなことがあってアローアンスが認められておるのだと思うのですが、そういう場合に精算というのは、これはちょっと私は請負の性格上おかしいのじゃなかろうかと思うのでありますが、この点をひとつ会計検査院では十分御検討をいただきたいと思うのです。まあ会計検査院は一面から言いますと非常に強者で強いわけであります。会計検査でこれはだめだと言われたら、もう全部やり直しをしなくちゃいけないというのがいまの実態であります。したがいまして、非常に強いために、その強者であるがゆえに、そういう点を十分お考えをいただいてやっていただかないと不満というものができてくる。どっかで何とかせぬことにはこれはもうからない、損をする、もうからないというか非常に損をする、こういったようなことが起こってくるわけでありますので、そういうようなことから逆に悪い面に走っていくというようなことがあっては、不良工事がわからないところでやられるというようなことがあってはいけませんので、そういったような点を十分お考えをいただきたいと思うのであります。  それで、次に契約約款によりますと、何条だったかちょっと忘れましたが、瑕疵担保的の考えが入っておると思うのであります。これはどうでございますか。
  81. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 建設省の直轄の工事請負書によりますと、三十六条に疵瑕担保の規定がございます。
  82. 上田稔

    上田稔君 その場合に、たとえば堤防なんかの、土手の堤防、上を張り芝でやってあったり、あるいは筋芝でやってあったり、そういったような堤防につきまして、これを完成後二年間を何か瑕疵担保として見なくちゃいけないというようにたしかなっておったと思うのでありますが、これはいかがでございますか。
  83. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 瑕疵担保、三十六条というのは、御承知のように工事の目的物に瑕疵があるとき、そういう場合に相当の期間を定めてその瑕疵の補修を請求できるというような趣旨の、簡単に言いますとそういうものでございます。それが普通の場合におきましては、これ建設省の場合、二年以内といたしております。請負業者が故意または重大な過失によってそういうものができたときは十年間というふうにいたしておるわけでございます。
  84. 上田稔

    上田稔君 その土手の場合でございますと、土の性格というものが、あれはたしか一年以内といいますか、半年以内ぐらいなところでございますと、土というものは固まらないのでありますので、凝集をしませんので非常に雨に対して弱いのが実態だと思うのです。そうすると、たとえば一時間に十ミリ以上の雨というようなものが降ると、すぐにまあ壊れてくるというようなことが起こるわけであります。それからまた張り芝がしてあっても、張り芝というのは、芝をこう切って、そうしてそれを張っていくわけでありますから、その芝の根が伸びていきますと、まあこれは密着してなかなか壊れなくなって強くなるわけでありますが、壊れなくなった後の現況における堤防というものを、これを想定して工事をお出しになっておるわけでありますが、瑕疵担保で二年間はこれは考えていくのだということになりますと、豪雨のとき五十ミリ以上降ったとか、四十ミリ、三十ミリの豪雨が降ったということは別として、十ミリ以上ぐらいの雨というのはしょっちゅう降るわけでありますが、そのときに相当壊れていくのがこれはもう通常だと思うのであります。こういうようなときに、これは瑕疵担保だから大体業者に直せと言っておられるのが通常だと思うんですが、この点いかがでございますか。
  85. 宮内章

    説明員(宮内章君) 瑕疵担保責任につきましては、先ほど官房長が申し上げましたとおり、いわゆる一定期間の無過失責任の範囲内の処置をとっていただくということでございます。それで、いま御指摘の盛り土の土羽打ち工事等の場合におきまして、まあ具体的に十ミリ程度の雨が流れたというようなケースについては、設計が適当であり、かつ施工が善良であった場合には、通常そういう状態は生じないという考え方でございまして、その意味におきまして、設計あるいはその後の使用状態、あるいは管理状態に特別に問題がなかった場合には、瑕疵担保の条項を適用して修復をしていただくというケースがちょいちょいあるわけでございます。
  86. 上田稔

    上田稔君 これはいまの現在の施工の状況と、昔直営でやっておられた時分の状況とは違うのかもわかりませんが、以前私どもがやっておったときにおきましては、工事をこうやりました後におきまして、そういう壊れて、表面が雨によってたたかれてとれていくということは、もうこれは当然起こるものということでそういう修繕をやっておったわけであります。したがって、これよくお調べをいただきたいと思うのでありますけれども、土質によっても違うということでしょうけれども、そういうような個所が相当あるのでは私はなかろうかと思うのであります。それを今度は、建設省はお仕事を出す方の側でありますので、これもまた強者でありますので、これを請負に全部やれというのではなくて、まあ壊れるのがわかっておれば、雨の頻度というのは例年もうわかっておるわけでありますから、それに応じてそういう修繕を見込んでおくと、設計の中に見込むということが必要なんじゃなかろうかと思うのでありますが、そういう同じようなことが、道路の舗装におきましてもアスファルトの舗装におきまして供用開始をしたとで、会計検査が二年ぐらい後であると、一年後であると、こういう場合に、その道路の舗装の上を重車両が通るわけであります。  そうしますと、ちょうど車の真ん中に当たる部分はそんなに変化は起こらないのでありますけれども、わだちに当たるところは摩耗いたしまして、少し掘れてくるわけであります。したがって、そこで厚さが変わってきたり、また非常にそこのところがへっこんでいるのは施工が悪いんじゃないかと、こういうようなことを会計検査院の方では御指摘になるわけであります。その場合に、建設省の方は今度は弱者になりまして、どうもここんところがへっこんできたのは、これは自分たちの設計がまずかったんじゃなかろうかというようなことから、さらに弱者の今度は孫弱者といいますか、そういう弱者の施工した方に、こんなにへこんだ、これ、だめじゃないかと、それは言われたとおりのことをやって検査を通っておりますと言いましても、いや、こんなものは、これからおまえのところはもうやらないと言われると、また上をこう何かやらなくちゃいけない。交通量によって摩耗したものに対して非常に強く出られるということが起こっておるのが実態のようであります。  こういうようなところはひとつ交通量というものを考え、道路のアスファルトの舗装というのは、たとえば二年か三年もすれば本当は上にそういう摩耗したところを補修をするというのが、これはあたりまえの、アスファルトというものを使った技術上の何といいますか、常識というのか、ものであるんじゃなかろうか、それを全部瑕疵担保によってやり直しをしろと言われるようなことがあっては私はいけないんじゃなかろうかと思うのであります。こういう点もひとつ会計検査院、どうでございましょうか。
  87. 本村善文

    説明員(本村善文君) 舗装の話がただいまございましたのですが、おっしゃるように、工事が完成いたしまして供用を開始いたします。それから年月がたちますと、当然車両交通その他の原因で路面が多少へこむとかあるいは摩耗するとかいう事態があろうかと存じます。それで、私ども検査に参ります際には、引き渡しを受けてから大体一年ぐらいたってからのころだと思いますので、当然何がしかのそういう現象が出ていることは予想されるわけでございまして、私どもが検査に当たります場合におきましても、当然その点は十分考えた上で検査を現在実施しているということでございます。したがいまして、いまおっしゃったような御心配はまずないと思いますが、お話もございますので、まあ私どもの方といたしましては、なおまたよく関係職員と協議いたしまして十分御趣旨に沿うようにいたしたいと、かように考えております。
  88. 上田稔

    上田稔君 その点をひとつ十分お考えをいただきたいと思うのです。  それからその検査を、会計検査をしていただくとき、まあ竣工検査を建設省がやるときには、これは工事が終わった直後でございますから、これは検査のしやすいようにすぐにこうやって、工事中に非常にどろが落ちておったらそれはきれいにすると、これはまあ当然だと思うのでありますけれども、今度は会計検査に来られたときに、やはりこの検査をおやりになるのにはきれいにしてあるほうがよくわかるわけであります。たとえば堤防に芝が植えてある。その芝、あるいはこの何といいますか、その芝がぐっと伸びておって野芝であると、いろんなものがこう伸びてきます。その芝を全部刈りなさい。で、いまきれいに掃除をして検査をしていただく。そからまた上から横のほうの土が落ちてきておりますと、その土は全部掃除をして取り除いて、そして検査を受けると。まあこういうふうなのが——これは私そう悪いことではないと思うのです。非常にいいことで、検査もしやすいし、本当にそれによって検査ができると思うのでありますけれども、それに要する費用というものをこれはやっぱり見てもらうようにするというのが私は本当じゃなかろうかと思うのでありますが、こういうような点はどうでございましょうか。
  89. 宮内章

    説明員(宮内章君) 検査のために要する費用でございますが、工事ができ上がって発注者側の竣工検査、引き取り検査をやるまでの間の費用は、通常受注者が負担するというのが原則だと思います。なお、一たん渡した後、さらに発注者側が別の機関の検査を受ける費用については、これは発注者側が負担するのが原則だと思います。そういう意味におきまして、いま先生指摘のように、もう一年もたった後、会計検査を受けるために当時の受注者に負担させた例があるとすれば、まあ適当ではないと思いますので、よく調べまして、極力そういうことはないようにいたしたいと思います。
  90. 遠藤要

    ○遠藤要君 関連。  関連で会計検査院の方にお伺いしておきたいのですが、いま上田さんからるる質疑がございましたが、これは現実に私は把握しておりませんけれども、災害や何かで会計検査院が出ると、その場合に何かおみやげで——品物のおみやげじゃございません。やはりせっかく東北なら東北に来た、宮城に来たというときに、何か一つ指摘していかないときげんが悪いと、そういうふうな話を往々に耳にするものですから……。これはまあうわさで、私ははっきりその事実はつかんでおりませんが、私は指摘を受けるようなことが全部ないということが最も理想的だと、こう思うのですが、そういうような点について、局長さん、何か感じられている点があったらお話をいただきたいと思います。
  91. 本村善文

    説明員(本村善文君) ただいまお話がございましたのですが、私どもはあくまでもその検査は公正かつ厳密にやると、これを趣旨としてやっておりまして、現場検査その他におきましても十分、先ほど申し上げましたように、その工事が設計仕様どおりにできておるかどうかということに重点を置いて検査をしているわけでございます。したがいまして、検査の結果おみやげというようなお話がございましたのですが、いやしくもそういうことがあっては相ならないというつもりで検査を実施しております。
  92. 上田稔

    上田稔君 いま遠藤委員からお話が出ましたけれども、これは人間の心理として、検査に行きゃ何かつかんでいかにゃいけないという気持ちがやっぱり出るのはこれは当然だと思うんです。それで、ベテランの会計検査院の方はそういうお気持ちは卒業をされて、そうしてよくできているところはこれはよろしいと、これで非常に結構ですと言って、それは何も指摘をせずに、これは非常に結構だという御指摘でお帰りになるのですけれども、やはりおなれにならない方でございますと、向かないか、何か悪いことをしているのだろうということでお探しになる、つまりそれが強者なんですね。強者であるがゆえに、何といいますか、悪くないものまで非常に恐れてやらせるというところをひとつ十分にお考えをいただきたいと思うんです。特に会計検査院の新しい方、若い方というのは土木のそういう工事をおやりになられたことがない、御知識が一そう言うと大変失礼でございますけれども、ない方がおやりになっておられるのが多いのではなかろうかと思うのであります。したがいまして、そういう土の特性とかなんとかそういったようなことも十分に御理解をいただかずにおやりをいただくということも間々あるんじゃなかろうかと思うのでありますが、こういう点をひとつ十分に御注意をいただきたいと思うのでございます。どうかひとつよろしくお願いをいたします。  それから次に、機械費の積算についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。これは建設省でございますが、機械の損料の積算というものを、過去の運転時間だとか供用日数だとか機械の購入費というようなものの実績をもとにして積算をしておられると思うんでございますが、これはいかがでございますか。
  93. 宮内章

    説明員(宮内章君) お言葉のとおり、実績を調べ、極力実績に付随するような形で決めているというのをたてまえとしております。
  94. 上田稔

    上田稔君 これは本当は、機械の損料というのは、リースといいますか民間側の借り賃といいますか、そういうものをもとにされればこれはいいんでしょうけれども、日本の現況におきましてはリースでは非常に高くつくということになるので、そういう実績をもとにされるのだと思うのでございます。そのもとにされるのはいいとして、その場合に、現在ですと四十九年度の工事そのものをもとにしてこの積算をされる、これはやむを得ないと思うんですが、その四十九年度と五十年度と、仕事がふえていく場合はこれはいいんですけれども仕事量ががっくり減ったような場合が現在起こってきておるんじゃないかと思うんです。道路局長さんおいでになりますが、非常に道路局はそういう点で苦労をしておられるのだと思うんですけれども、その事業量がたとえば一〇%、二〇%減るというような場合におきましては、いまの機械の損料の積算というものの実態から変わってくるんじゃなかろうか、たとえば運転時間も変わってきますし、供用日数も変わってくるというようなことが起こってくるんじゃないか、こういうことに対してはやはり配慮をいただけるのでありますか。
  95. 宮内章

    説明員(宮内章君) 稼動率といいますか、供用日数その他につきましては、私ども資料としてはかなり長期的な資料に基づいて一つの計数を決めていくというやり方をやっていますので、いまの状態がかなり続きましたならば私どものそういう基準に反映してくるということになると思います。比較的短期的なものをその都度反映さすというには事務的にもいろいろ問題がございまして困難かと思いますが、やや長期的にそういう状態になれば、そういうものに基づいた資料によって決めていくというふうになるかと思います。
  96. 上田稔

    上田稔君 これはいろいろ工事によって、予算によって違うわけでありますから、こういうような点もひとつ十分お考えをいただきたいと存じます。  次に、住宅建設についてちょっとお伺いをいたしたいと思いますが、第二期の五カ年計画の立案時におきましては、必要建設戸数というものをどういうふうに積算をしたか、ちょっとお伺いをしたいと思うんですが。
  97. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 第二期の五カ年計画の際には、昭和四十四年度から大体五十年度までの今後の世帯数の増加数、それから老朽住宅、狭小住宅等で新しく需要を要するようなもの、そういうものを全部積算をいたしまして、それから四十五年までの二カ年間分を差っ引くというようなかっこうで大体の全体戸数を出しております。
  98. 上田稔

    上田稔君 この中で、公営住宅の必要戸数というものはどういうふうな積算によっておるのでございますか。
  99. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 四十四年度の収入基準で見まして、大体百二十六万円だったと思いますが、を基準といたしまして、そういうふうな賃貸住宅を供給すべき戸数の対象となるような皆さんの所得水準から割り掛けをいたしまして戸数を出したものでございます。
  100. 上田稔

    上田稔君 公営住宅考え方でありますけれども、これはいろいろ意識調査も御調査になられておやりをいただいたのであろうと思うのでありますが、東京、大阪というようなところにおきます五カ年間のものはどういう戸数をお考えをいただいて、その中で実績はどういうふうになっておりますのでしょうか。
  101. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 第二期五カ年におきまして、東京都ではトータルで十万戸の予定をいたしております。それに対しまして四十九年度末までの実績見込み戸数は約三万四千二百二十七戸ということでございまして、達成率は三四・二%でございます。大阪は、やはり五カ年計画中に七万七千六百戸を計画をいたしておりましたけれどもも、四十九年末までの実績見込み戸数が四万一千五百五十九戸ということでございまして、達成率は五三・六%ということでございます。
  102. 上田稔

    上田稔君 この大阪の方も落ちておりますけれども、東京が特に落ちておるというのは、これは何か伸びない理由があるんですか。
  103. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 特に東京というわけではございませんが、東京、大阪等の大都市におきましては、住宅建設に関連します公共公益施設の整備に伴う地方財政負担が非常に多くなるというようなこと、それから住環境保全に対します住民要求が非常に高まっておるということ等によりまして住宅建設を遅延さしておるというような実情でございます。それからさらに地価とか建築費の高騰等のために予定の戸数が達成できなかったという点もございます。
  104. 上田稔

    上田稔君 これに対して何とか伸ばすというか、そういう困窮者というか、に対して何かお考えになっておられる対策がありますか。
  105. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 昭和五十年度の予算案におきまして特に力を入れたのは、そういうふうな大都市における公的住宅建設抑制要因を排除したいということが一つの柱でございまして、そのために関連公共公益施設整備に関する助成措置を格段に強化をしたという点が一点でございます。さらに東京、大阪のような大都市におきましては、ちょっと現状を申し上げますと、東京では現在三百六十七万の世帯がございますけれども、そのうちで約六十万世帯の方は小さい木賃アパートに住んでいらっしゃいます。したがいまして、そういう木賃アパートに住んでいらっしゃる方をいい家に入っていただく。ところが、従来はそういう方が入られますと、空き家になりましたそういうふうな木賃アパートの中にまた新しい人が入られまして、その人たちが住宅の困窮を訴えられるということが際限なく続いております。したがいまして、住環境の整備と一体となりました公的住宅建設を促進したい、いわゆる転がし事業でございますけれども、工場移転跡地等に公的住宅をまずつくりまして、そういうふうな方々を先に入っていただく。そうしてその跡地を公的団体等が買い上げまして、さらに公園にしましたり、もう一回住宅にしたりしていく、こういうことで面的な再開発を進めていこうという転がし事業を相当ウエートを置きまして予算を編成いたしております。  それからもう一点は、新しい借地方式を考えまして、市街化区域内の農地等の所有者の方々に対しまして土地を借り上げまして、地代を払いながら公的住宅を供給していくという施策を考えております。  それからやはり先ほど申し上げましたように、地価、建築費の高騰等も家が建たない原因の一つでございますので、公的住宅の規模の拡大、建設単価の適正化という点にともに配慮をいたした次第でございます。
  106. 上田稔

    上田稔君 いろいろお考えをいただいて、公営住宅の不足あるいは木賃アパートに入っておられる方々を、これをもっとりっぱなところに入れるという対策をお立てをいただいておるのは非常に結構だと思うのでございますけれども、公営住宅というのは、これは非常に家賃が安く、補助を受けて家賃が安い。ところが、転がしになりますとやはり非常に高くなるというようなことでございますので、こういう点をもうちょっとお考えをいただいて、安くできるようなものをお考えをいただきたいと思うのであります。  それから美濃部東京都知事さんは、最近は公営住宅というようなものを余りやらないで分譲を非常にふやしておるのはけしからぬと、こういうようなことを言っておられるんですが、実際上この東京にはそれじゃ余り割り当てをしておられないのでありますか。
  107. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 東京都も昭和四十六年まではきわめて整々と家が建っておったわけでございます。四十七年、四十八年、四十九年、いろいろと物価の高騰、資材の品不足等のことが重なりましたが、昭和四十七年度につきましては、当初計画として建設省の方からは約一万九千戸の御提示をいたしました。しかし、実際に消化をしていただいた建設実績は二千七百九十八戸ということでございました。昭和四十八年にもやはり一万九千戸おやりいただくようにお願いいたしましたけれども、実際に消化いただけるのは六千九百五十三戸ということになっております。四十九年度はそういうふうな事態をよく見まして、一万九千戸はなかなか大変だということで一万戸を提示しております。それに対しまして現在まで消化可能という御返事をいただいておるのは六千四百六十八戸でございます。
  108. 上田稔

    上田稔君 そうすると、美濃部さんはあんまり自分のところの実態を知らないでこういうことをお言いになっているのかもしれないけれども建設省としても、そういう建てられる公営住宅というものがもっとふやせるような方策を十分に考えて、用地その他に対してもひとつお考えをしていただきたいと思うのであります。やはり大都市の住民というものは非常に数も日本の国民としても多うございますし、こういう方々に不満が残っておるということは非常に残念であります。戦後日本の国が非常に高度成長をしたということで、衣の方におきましてはこれは着る物が非常によくなってまいりました。世界の各国と比べてこれは遜色のないようになり、食べる方はこれはもう世界で日本が一番ぜいたくじゃないかと言われるぐらいに美食をとるようになったわけであります。しかし、住の方はどうも、共産圏の国々は別といたしまして、西欧並びにアメリカの方は非常に日本と比べてよくなっておりますので、こういう点、住宅関係につきましては、ひとつ住宅局長さん大いにがんばってよくしていただきたいと思うのであります。特に意識調査をおやりをいただいておるようでありますが、この意識調査に基づいてひとつ十分に満足のできるようなものにお願いをいたしたいと思うのであります。
  109. 坂野重信

    ○坂野重信君 関連。  ただいまの住宅問題に関連いたしまして、賃貸方式と持ち家方式、これは長い間いろいろ議論の分かれるところでございますけれども、何といいましても、日本人の性格として、マイホームをいつの日にか持ちたいという、特に最近は若い人たちが何とか快適なマイホームを持ちたいというのが日本人の本来の願望じゃないかと思うわけでございます。特にこのたびは建設大臣が非常にがんばっていただきまして、住宅金融公庫の木造の枠の拡大、あるいはマンションの枠の拡大、非常に結構でございます。その辺の考え方をひとつ住宅局の方で明確にお答え願いたいと思います。先ほど上田委員から、美濃部さんの分譲住宅などちょっと出てまいりましたが、その辺のところの方針をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  110. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 基本的には公的住宅の供給につきまして、持ち家を重視するのか貸し家を重視するのかということは日ごろから問題になっております。その場合の施策の方向といたしましては、われわれは基本的には国民の皆さんの御要望を中心に施策の方向を定めるべきであるというふうに考えております。  第二期の住宅建設五カ年計画におきましては、全体といたしましては、官民合わせますと持ち家の方に五五%、それから借家、給与住宅に四五%を充てるというようなことで計画を作成いたしております。それからその中でも公的資金によります住宅、これにつきましては低所得の方に手厚くという趣旨でございまして、持ち家の方が四〇%、それから借家、給与住宅の方が六〇%というふうにウエートを置いた計画を立てたわけであります。  たまたま昭和五十年度の予算におきましては、いま先生もおっしゃいましたけれども、やはり民間におきます皆さん方の公庫融資の増額に対する要望が非常に強かったという点を勘案いたしまして、公庫融資を非常にふやしております。それと同時に、先ほど上田先生に申し上げましたように、東京、大阪を中心としまして公的住宅が非常に立ちおくれております。それやこれやのことを、事業主体の実情等も勘案いたしまして予算を計上いたしましたので、見せかけでは確かにもう分譲住宅の方が多くなっているというような実績でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、国民の皆様の要望にこたえるということを主にした点が一点でございますが、ただ、公庫融資をふやしたという点を除きますと、公団それから公共団体、公社等がみずから家をつくって供給するもの、その中では賃貸住宅が六五%、それから持ち家が三五%というふうな数字になっておる次第でございます。  それから金融公庫のことにちょっとお話がございましたけれども、金融公庫につきましても、本年度は大都市、木造を例にとりますと三百五十万を四百五十万、それからマンション等々につきましても五百万を六百五十万というふうに引き上げた次第でございます。
  111. 上田稔

    上田稔君 時間がありませんので、私は国土庁長官にはお願いだけ申し上げたいと思うのですが、首都圏、近畿圏、中部圏、大都市圏がございますが、この中で計画ができておらないのは既成都市区域だけだと思うのであります。既成都市区域の計画を私は方針を早く立てていただいて、こういうようなことをやるんだということをお決めをいただいて、それに基づいて住宅計画というものも本当はあるべきであると思うのであります。こういう点で今後ひとつどうぞよろしくお願いをいたします。  以上で質問を終わります。
  112. 小野明

    委員長小野明君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後一時二十七分開会
  113. 小野明

    委員長小野明君) これより委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  114. 遠藤要

    ○遠藤要君 私は、まず大臣に対して、建設省として五十年度の予算、かつまたいま総需要抑制、物価の安定のために総需要抑制を推進しておられるようでございます。そういうふうな点で、予算の面で総需要抑制ということが今後も持続される御方針かどうかということをお尋ねしておきたいと思います。  なぜかと申しますと、自分が先般中小企業者の不況対策の懇談会にお招きをちょうだいいたしていろいろお話を聞いたわけですけれども——これは中小企業といっても建設業の中小企業ではございません。その席に行っていろいろ話を、通産省なりなんかでも不況対策のために、中小企業に対して金融の道を開くいろいろの手を打っておりますけれども、いまの一般中小企業者はただ金融の道を開いてもらって不況の危機を突破されるということではない、やはり購買力をそそってもらわなければこの危機というのが突破できない、そういうふうなことを叫んでおられたようでございます。そういうふうな点で、金融機関ももちろんでございますけれども、ただ漠然と不況だから金を貸すというようなわけにはいかないことは御承知のとおりだと思う。そういうような点で、一番中小企業を救う手は何かということで尋ねたところ、何としてもやはり建設業をもっと大幅にやってもらうということが中小企業対策の一番必要条件だと、こういうふうな中小企業者から強い要請を受けてまいっただけに、私は建設大臣に対して、この総需要抑制という形が今後も持続される方針かどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  115. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 五十年度予算が総需要抑制という至上命題のためにきわめて厳しく圧縮されておりますことは御承知のとおりでありまして、私どもも、建設業本来の使命から考えてみますと、やはり国民の生活環境整備という重要な課題を持っておりますから、そういう面から、単に景気対策で公共事業が左右されることについてはいささか一言申し上げたい点もあるのですけれども、やはりいま総需要抑制、物価安定というのが最優先されておる時期でありますから、この時期には若干がまんをせなきゃならぬと思って、五十年度の予算もある程度圧縮されたままで認めざるを得なかったことは御承知のとおりであります。  ただ、最近若干景気対策といった面、緩和という面も出てまいりまして、私は担当大臣として、一日も早くそういう機会が来ることを望んでおるのでありますが、やはりこれはそれだけのタイミングを考えていかなきゃならぬ大きな至上命題のもとでのことでありますから、私がいま直ちにというわけにはそれはいかないかもしれません。しかし、まあ若干そういった面で緩和せいということで、午前中いろいろ議論されましたように、一−三月の契約高も精いっぱいのところわれわれは発注することにしまして、しかもそれはできる限り中小業者を対象に考えようということで努力をいたしております。新年度に入りますと早期発注をやろうということで準備いたしておりますし、そして上期を大体それで過ごしてみれば、恐らく下期になってくれば景気の動向というものはわかってくると思います。私どもそういう場合に、真っ先に必要があれば公共事業の補正をやってもらいたい、やらなきゃならぬ、こういう考え方をもって臨んでおるわけであります。  当面の中小企業対策としましては、これも午前中から申し上げておりますように、業者の中の九九・何%までが中小業者でありまして、これを育成強化することを考えずして建設行政というものはあり得ないと思っております。そういう意味で、今後の行政の重視も一中小企業者対策を最重点として考えてまいりたい、かように存じております。
  116. 遠藤要

    ○遠藤要君 さらに私は、いま大臣からお話を聞いたのでございますけれども、きょうは建設大臣でもございますけれども、三木内閣の閣僚の重要な立場にあられる大臣でございます。大臣は正義感の強い方であり、自分のやはり自信と責任の持てる閣僚ならばということで、さきに別なポストの御推薦があったときにはお断りをしていると、そういうふうな大臣だけに、建設省の職員の人たちも、あなたの下ならばということで、非常に地味な中にも本当に誠実に努力されている姿勢があります。その中において、建設省内部に一、二の問題があったということで、建設省全部の職員に何か悪いことがあるような印象を持たれるということは非常に私としては残念でなりません。そういうふうな点で、ひとつ大臣は、やはり厳しい点は厳しく、そしてまじめにじみにやっている職員に対しては鼓舞するという姿勢を今後も持続していただきたい。そして建設省の立場というのは、通産省なり何かと並行して、やはりいろいろ国民生活に直接関係があるんだということを、大臣としてさらにひとつ閣議においても御努力を願うことができるかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  117. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 建設行政は恐らくいままでの中で一番いま厳しい状態の中に置かれておると思いますし、その中でたまたま大臣を拝命いたしましたが、今年は厳しければ厳しいだけ、そういう条件の中で最善の努力をし、それから新しい工夫を考え、創意をしながら、国民の期待にこたえなければならぬというふうに思っております。建設省全職員は、全部の人が私はまじめに一生懸命に仕事に取り組んでおるのであります。一部いろいろと取りざたされておる問題等もありまして、これはまことに残念なことでありますが、それをもってすべての職員がそうだとは断じて思っておりませんし、ほとんど大部分の人がまじめに公務員としての仕事を尽くしてもらっていると思いますから、そういう意味で今後も全力を挙げて努力をしてもらうように期待をいたしますし、そのかわり公務員としての綱紀はあくまでも守ってもらって、国民の期待にこたえるようにしなければならぬ、かように存じておる次第であります。
  118. 遠藤要

    ○遠藤要君 さらに私は、先ほど上田委員からお尋ねがあり、お答えがあったようでございますが、中小建設業者に対する建設省の姿勢の問題ですが、いろいろ上田委員に対してお答えがございましたが、かつまた建設省として建設業を育成強化するという意味で、専門参事官を置いていろいろ指導をしていくという姿勢をとってくれたことに対しては深く敬意を表したいと思います。しかし、それのみで中小建設業者が助かるかというと、むしろ私は大臣に、建設省自体で考えなければならない内容がたくさんあると思うのであります。  一つは、この建設省の設計の積算といいましょうか単価の問題であります。この点においても一つの例を申し上げますると、人夫の輸送費というのがございます。この輸送費が実際的には建設省の単価は四分の一程度にとどまっている。この面については、四十八年に東北の建設業者大会において、建設省に対して強く要請したようでございます。それに対して、当時の浅間技術調査官が答えられております。そのとおりだということで、しかし、今年の数字を把握した後に直ちに是正したり、こういうふうなことをお答えになっております。しかし、その後是正されたということは承知をいたしておりません。そういうふうな点で、中小企業者が非常にその単価の面において、いろいろの面において苦労しているということは、恐らく大臣も御承知になっておられると思います。  さらに私は、労賃の問題でございますけれども、労賃も、三木さんは不公平是正を叫ばれておりますけれども、労賃の問題においても非常に格差がある。そういうふうな点を建設省として是正をされる御意思があるかどうかということであります。それに、さらにまた歩掛かりと申しましょうか、諸経費と申しましょうか、いま東北は出かせぎ対策で頭を痛めている。しかし、中央に出かせぎをすれば地元で働くよりずっと労賃が高いということで出かせぎをして、そうして戻ってくるときには失業保険をもらう、失業保険をもらった方が地元の労賃よりも高い、こういうふうな結果になっておるわけであります。そういうふうな点で、地元の建設業者は、たとえば百の力のある労務者を雇い入れようとしてもとうてい雇い入れることができないので、やはり弱い八十と申しましょうか、七十五程度の人夫を使うよりほかないと、そういうふうなことになるから、結局七十五きり仕事のできないものだから、労務費の報告や何かも安くなってくるというふうな点はあり得る。  しかし、それだけに歩掛かりがそれならば百人の人で間に合うのが、百二十五人要るのだということになった場合に、それが設計単価に変わっておるかどうかと申しますと、さにあらず、こういうふうな点がございますが、そういうふうな点をひとつせっかく建設業の育成のために参事官まで置いて御指導願うということでございますけれども、それより先に内部的に建設省として是正される点が、そうして建設業者を救う道がたくさんあると思うのですが、その点に対してお答えを願いたいと思います。
  119. 宮内章

    説明員(宮内章君) いま労働賃金と歩掛かりの御指摘があったわけでございますが、労働賃金につきましては、設計単価としまして、御承知の三省協定という協定に基づいて年々調査して適正な設計単価を決めるというたてまえをとっておるわけでございます。工事の費用としましては、御指摘のように、それにさらに歩掛かりの問題が絡んでくるわけでございます。それで歩掛かりにつきましては、労働賃金の調査と同様な体制をもちまして全国的な調査をやり、それによって各工種別の歩掛かりを出していくというたてまえで進めているわけでございますが、ただ、先生指摘のような非常に細部の地域にわたっての個々の歩掛かりを設定していくということになりますと、従来のやり方ではそこまで細かい区分をした歩掛かりの設定ということがなかなかむずかしいわけでございます。ただ、これから労働力は地域によって極端に高齢化してくる、極端に能率が低下してくるというような傾向が著しくなるとしますならば、その辺のきめ細かい地域別の歩掛かりというような問題についても私ども研究しなければならないというふうに考えているわけでございます。
  120. 遠藤要

    ○遠藤要君 ぜひひとつ御検討を願いたいと思うんですが、さらにただいま申し上げた輸送費の問題です。これは建設省は二十五万を最高限度にされておるようでございます。それに対して、先ほど申し上げたように、いま道路局長さんである井上さんもその大会に東北地建局長として御出席になって、来賓として祝辞を言われておるようでございます。そういうふうな点で建設省自体が改善していかなければならぬということを調査官は説明をされております。それがまだいろいろ総需要抑制その他でお忙しくて手が回らなかったかもしれませんけれども、やはりこういうふうな面は急速にひとつ御解決を願いたいと、こういうようなことをお願い申し上げておきたいと思うが、実際的にいま二十五万という最高限度でございますが、五千万の場合に。実際的には百万は突破しているというような数字を私は持っておるわけでございます。そういうような点に対して御見解をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  121. 宮内章

    説明員(宮内章君) 労務者輸送費の問題でございますが、これにつきましては、建設省の直轄工事におきましては、労務者を宿舎をつくって近くに宿泊させる場合の経費と、それから一定地域からマイクロバス等によって運ぶ経費と、その両方の検討をいたしまして、いずれか適当な方の必要な経費を計上するということで、個々の工事について検討した上で労務者輸送費を計上しているということでございますが、府県で行っています補助工事の場合は多少やり方が違いまして、いま先生指摘の限度額というのは府県の工事の場合でございます。それで、これにつきましてはやはり直轄にならったような方法で改善を図るべきであるということで前前から調査をし、検討をしているわけでございまして、近く結論を得なければ関係方面と折衝したいという段階にはなっているわけでございますが、残念ながらまだ決定を見てないということでございます。
  122. 遠藤要

    ○遠藤要君 くどいようですが、重ねてお尋ねしておきたいと思います。関係方面というのはどの方面でございましょうか、お尋ねしておきたいと思う。
  123. 宮内章

    説明員(宮内章君) 財政当局等でございます。
  124. 遠藤要

    ○遠藤要君 財政当局と相談をするということになると、やはり少ないということはお認めになっているわけなんですね。財源さえあればやるというお考えなんですか。その点お尋ねしておきたい。
  125. 宮内章

    説明員(宮内章君) 補助工事につきましては、特に災害復旧工事について大蔵省との協議事項の一つになっているものでございますので、そういう意味で協議する必要があるということでございます。もちろんそういうものがはっきり決まりましたならば、財政当局はそれに必要な予算は考慮してもらえるというたてまえだと考えています。
  126. 坂野重信

    ○坂野重信君 関連。  ただいまの遠藤委員の質問に関連しまして、先般山陰地方に私旅行したわけでございますが、例の豪雪にぶつかりまして、現地を回っていますというと、業者の出ている人夫の皆さん、労務者の皆さんが道路の工事をやっておりました。雪かきをしたり非常に苦労しておりましたが、いろいろ聞いてみますというと、いま遠藤委員のおっしゃいました人夫の運搬に非常に手間がかかる、作業時間が非常に少ないということで、この歩掛かりの標準の設計の基準というものはあるでしょうけれども、それを聞いてみるとというと、必ずしも的確に県なり地建の出先の方で、そういう不意打ちの豪雪等があった場合に、あらかじめ予想できないような問題があった場合に、そういう状態になれていないものだから、果たして精算変更でもしてもらえるかどうかというような問題を非常に心配しておりましたし、それからあらかじめ予想されるものでも、標準の設計基準だけによって、そういう特殊性を認めたような設計の決め方がなされてないというような面が相当あるようでございますから、この辺のところの指導をひとつ的確にお願いしたいということが一点と、いまの人夫の運搬の問題につきましては、かねがねあちこちからそういう話を聞いておりまして、過疎地帯に行けば行くほど労務者を集めるのに、運搬車は一台がかりで一人か二人しか集まらぬというようなことで非常に能率が落ちている、その辺の基準そのものを地域によって何かやっぱり考えるようなことも必要じゃないか。二つ問題があるわけですけれども、その辺につきましてひとつ御答弁願いたいと思います。
  127. 宮内章

    説明員(宮内章君) まず、積雪寒冷地域の特に豪雪があった等の場合の処置でございますが、積算に当たりましては、積雪寒冷地におきましては、一般にあらかじめ建設機械の稼働日数が低下するであろうということであるとか、着ぶくれ等によっていわゆる歩掛かりが低下するであろうというようなことについては配慮をすることといたしまして、その補正の方法等も決めているわけでございます。ただ、実際にそれによって発注した場合、予想していた以上に大きな豪雪があったというようなケースにおきましては、あらかじめ工事を契約する場合に条件を設定しておく。何センチまでの積雪ならば一般状況と認めるが、それ以上になると異常状況と認めるというような特約がなされている場合には、要するに先生のおっしゃるような精算的な変更が行われているわけでございまして、積雪地帯の地方建設局等ではこういうルールについてかなりきっちり行っているという例が多いわけでございます。ただ、府県工事等の細かいものについては、必ずしもそういうようにきっちりいっていないというような実情もあるようでございますので、このあたりにつきましては今後十分指導してまいりたいというふうに考えています。  それから労務者輸送費のことにつきましては、先ほど遠藤先生に申し上げたとおりでございまして、特に山間地等の場合には非常に輸送の効率といいますか、そういうものが悪いというような実態もあろうかと思いますので、そういうものも極力反映できるように今後検討をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  128. 遠藤要

    ○遠藤要君 その点はひとつ前向きで御努力を願いたいと思います。  続いて、河川関係についてお尋ねをしておきたいと思うんですが、御承知のとおり、昨年多摩川の災害、あの災害にかんがみて、同種の災害の今後発生を防止するにはどのような措置を講じられているかという点について、まずお尋ねをしておきたいと思います。
  129. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 昨年の多摩川の災害につきましては、この原因その他につきましては御承知かもしれませんが、私どもは専門家九名の編成で多摩川災害調査技術委員会を設置しております。現在までに十数回の会合を重ねておりますが、これはこれとしていま検討を進めておるわけでございますが、行政的に、私どもはこの結果を待ちまして、全国の一級水系及び二級水系の計画流量が五百トン以上の河川に設置されております工作物、特に床どめ、せき、水門、樋門、樋管、橋梁、こういうものを対象にして総点検を実は行ったわけでございます。  点検の内容を申し上げますと、床どめ及びせきにつきましては、その取りつけ護岸だとか、護床工だとか、高水敷の保護工だとか、あるいはそで部の嵌入度だとか、まあこういうもの、あるいはとびらの開閉についてもそういうこと。それから水門、樋門、樋管につきましては、取りつけ護岸がどうなっているか、あるいは堤外水路の護岸がどうなっているか、あるいは管理橋がどうなっているか、とびらがどうなっているか、まあこういうもの、あるいはまた橋梁につきましては、やはり橋梁についての取りつけ護岸がどうなっているかということに対しまして、私どもが望ましい基準を提示いたしましてこれを調査したわけでございます。この結果を申し上げますと、精度は十分ではないとは思いますけれども、現在中間報告をちょうどまとめた段階でございますので申し上げますと、点検いたしました工作物の総数は、河川管理施設が九千百件でございます。許可工作物が二万三千八百件、計三万二千九百件ございまして、そのうち基準に満たないものが約六千二百件あったわけでございます。  これを直轄施行区間の河川管理施設について見ますと、工作物の総数が約五千四百件のうち、基準に満たないものが約二千件あるということがわかってあるわけでございまして、いま申し上げましたこの二千件につきましては、緊急度に応じまして分類いたしまして、緊急度の高いものから施行といいますか、直していこうということでございまして、この中ですぐやらなければいけないなという数でも約三百七十件あるわけでございます。  なお、直轄施行区間以外の知事管理区間につきましても同様な検討をいま現在行っておる途中でございます。  なお、多摩川災害が起こりまして直ちに緊急的にやらなければいけないというものは六十四カ所ございまして、これは全部終わっておりますが、先ほど申し上げました総点検の結果に基づきまして、緊急度の高いものから順次護岸、護床工の補強等を実施していきますし、改築を必要とするものは、河川改修の進捗状況に合わせまして可能な限り順次改築していこうという姿勢をいま持っておるわけでございます。それから直轄施行区間に設けられております工作物の中で、河川管理施設で特に緊急度の高いものにつきましては昭和五十年度から対策工事を実施するということで、できるだけ早くこれは完了したいということを考えておるわけでございます。許可工作物につきましても同様な処置をいま検討しておるわけでございまして、たとえば昭和五十年度の案によりますと、約五億円近い金で百六十一カ所については緊急にやろうということをいま決めておるわけでございます。いま先生がおっしゃいましたように、多摩川の教訓を早く実施に移そうということで、限られた予算の中を十分配慮いたしまして努力しておるということを御報告申し上げます。
  130. 遠藤要

    ○遠藤要君 さらに中小河川、特に生活に密着しているといいましょうか、小河川に対する改修というのが非常におくれているという声をいろいろの面で聞いておりますが、それに対する河川局としての対策をお聞かせいただきたい。
  131. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) いま先生がおっしゃいますように、中小河川が最近とみにこの改修の要望が強いということは、考えてみますと、非常に全国的に各地方の都市あるいは山村におきましてもりっぱに地域開発がなされておるわけでございますが、それが非常に中小河川の整備がおくれてマッチしないという問題になって、四十七災、四十九災のいろんな災害が出たわけでございますし、また普通の年でも中小河川は災害を受けるということでございます。そのような観点でございますので、数年前から中小河川の保護が直轄河川を上回る予算がつき始めたわけでございます。昭和五十年度予算案におきましても、緊縮予算でございますけれども、いわゆる治水事業河川補助事業といたしましては、前年度予算の約四%を伸ばすことにいたしておりまして、総額が事業費で申し上げますと千六百五十億円を計上しておりまして、関係機関との調整を図りながら事業を円滑に進めようと考えておるわけでございます。なお、直轄河川事業が千四百二十九億円でございまして、直轄事業よりは約二百二十億円多く計上しておるわけでございます。  なお、非常に生活に密着した川の中で、一級、二級以外に準用河川というものがございます。最近はこの準用河川につきましては、御承知のとおり昭和四十七年に河川法を改正しまして、いわゆる一級、二級のひげ河川も採用できるようにしまして、市町村管理を強めてきたわけでございますけれども、五十年度予算におきましては、準用河川が非常に大切になったということでございますので、新たに準用河川改修補助制度を創設することにいたしまして、これ約百八十本選んでおりますけれども、こういう生活に密着したものに国費の補助を与えるということが五十年度予算案の中では決められてきたということでございまして、今後ともこの中小河川につきましては特に重点を置いてまいりたいと思っておるわけでございます。
  132. 遠藤要

    ○遠藤要君 いま一つは、地下水、地盤沈下の問題でございますが、この点について建設省は地下水法案を提出することに検討中だと、こう聞いておりますけれども、その状況はどういうふうになっておるかお聞かせいただきたいと思います。
  133. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 地下水法につきましては、河川局におきましては長い間研究してきたわけでございますが、特に最近におきまして私どもは、建設省内におきまして、学識経験者をもちまして構成されます地下水管理制度研究会を設置いたしたわけでございまして、その結果が昨年の十一月に同研究会から、その検討給果を基本といたしました総合的な地下水管理制度が創設されることが望ましいという旨の報告を受けたわけでございます。それで建設省といたしましては、その研究会の報告を基本といたしまして、地下水法案を本国会に提出いたしたいという一つの目標を掲げまして、現在鋭意各関係省庁と、建設省で考えております地下水法の考え方等につきまして、基本的なものにつきまして現在各省といまいろいろとお話を進めておる途中でございます。
  134. 遠藤要

    ○遠藤要君 それでは道路局に対してお尋ねをしたいと思うのですが、これは大臣並びに局長に申し上げたいんですが、私は、いま三木内閣において提唱されている、国民に呼びかけていると申しましょうか、資源は有限だと、節約していけ、こういうふうなことを言われております。そしてかつまた環境の保全、そういうふうな面においても強く推進されておりますけれども、それを一番先に推進すべき立場にある道路局が、一番国民にむだをさせているのは道路局だと、こう私は申し上げたいんです。大変極論で恐縮でございますけれども、いま自動車は高度に進歩をし、生活また高度に成長している。その中においておくれているのは道路ではないかと、こう思うのです。たとえば、普通ならば二十分で行くところが一時間半かかる二時間かかるというのが常識です。自動車で二十分で行けるのが二時間かかるといって交通が麻痺しておった場合、その自動車はエンジンをとめて信号待ちをしているかというと、そうじゃない。全部がエンジンをかけて排気ガスをまき散らして待っているということであります。そういうふうな点を考えると、資源は有限だから大切に使えということになった場合に、やはり交通麻痺の解消にもっと全力を挙げるべきだと、それが私は環境を守り資源をやはり大切にする前提だと思う。ところが、今度の建設省の予算を見ると、道路局は一番総需要抑制の元凶かのような顔をして一番減らしております。私はこういうふうな点で、国民生活に、かつまた政府として指導している方針と逆行しているのではないかと、こう思われますけれども大臣の御見解をただしておきたいと思います。
  135. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 五十年度の予算で建設省関係でやはり一番圧縮されたのは道路予算であります。その他住宅とか下水関係はかなり伸ばしておるし、それから治水関係にいたしましてもどうやら昨年度の線は食いとめておりますけれども、昨年度よりダウンしているのは道路予算だけでありまして、私もまことに残念に実は思っているわけでありますが、これは特に大型のプロジェクトのものがかなり規制されておるわけであって、一般の生活道関係はそうでもありません。標準以上になっていることは事実であります。ただお説のように、道路が非常に混雑をして、そして交通渋滞のためにむしろ公害をまき散らしておると、おっしゃるとおりであります。これは率直に申し上げまして、必ずしも道路行政の責任——これはまあ道路が完全にできておれば問題はないわけですが、人口はどんどん都市へ集中をするし、車はふえるし、それに道路が追いつかなかったということが、結局それが責任と言えば責任かと思うんですけれども、それを解決していくために実はいろいろいま苦労をし、努力をいたしているわけでありまして、そういった面でひとつ特に議会の方の御協力も賜りたいし、今後私どもがそういう抑制が緩和されて公共事業をひとつさらに進めていくためには、真っ先に道路予算を復活を要求いたしますから、議会の方でもぜひひとつ御協力をお願いいたしたいと存じます。
  136. 遠藤要

    ○遠藤要君 まあ、大臣が、次には、復活のときには道路予算については一番先にやるということですが、私は三木さんの言っていることを、それ自体をやはり忠実にやっていくのがお役所でなければならぬと思う。われわれじゃないんです。ですから、物を節約せい、環境をよくしろと言うときには、やはりそれに相応するところの予算を私は確保すべきだと。ところが、一番道路局の予算が減っているということでございますので、まあ総理の言っていることと役所のやっていることは全く逆行とは申し上げませんけれども……。  そこで、私は道路局長さんにお尋ねをしたいのですが、交通の非常に麻痺状態にあるところの十字路ですね、これを何とか立体交差の方向で麻痺解消の一できる限り信号機を使わないというような道路に改善するお考えはないかどうか。
  137. 井上孝

    政府委員(井上孝君) 先生も御承知のように、道路整備五カ年計画に基づいて私ども仕事をやっておりますが、五カ年計画の中では特にいま御指摘道路道路の立体交差というものも促進を図っておりますし、またやはり根本的には、交通渋滞の激しい大都市につきましてはバイパス工事あるいは環状線をつくりまして、むだな交通を都心の渋滞のところへ入れない、外側を回してしまうという施策が最も根本的な解決を図る施策であろうと思いまして、特にこの五カ年計画におきましては、環状線の建設あるいはバイパスの建設というのに重点を置いて実施しておるわけでございます。先ほど先生指摘のように、総需要抑制下で道路予算は圧縮を受けたわけでございますが、圧縮を受けただけにやはり重点的にこういったものを実施していくというつもりで臨んでおる次第でございます。
  138. 遠藤要

    ○遠藤要君 豪雪によって生鮮食料品が高騰するということは、あれは道路局長どういうふうなためだかお教え願いたいと思います。
  139. 井上孝

    政府委員(井上孝君) むずかしい御質問でございますが、私、道路局長でございますから、道路関係いたしましては、先般の豪雪のときにも国道八号線でございましたように、除雪が手が回らなくて道路が閉鎖されまして、地方から大都市へ持っていく生鮮食料品のトラックが運行できなくなったというふうなことで、恐らくは生鮮食料品が都市におきまして高騰するというようなことが最も道路関係でははっきりした現象ではないかと思っております。
  140. 遠藤要

    ○遠藤要君 そうしますと、局長、やはり道路というのは国民生活に直結しているということは御認識になっておられるわけですね。
  141. 井上孝

    政府委員(井上孝君) 強く認識いたしております。
  142. 遠藤要

    ○遠藤要君 まあ、強く御認識のようでございますので、次の機会まで私は、予算の建設大臣の正義感に燃える御意見もございましたので、しばらく余り文句を言わないで待っていたいと思いますが、さらに私は道路事業にかかわる環境保全の対策について局長にお伺いしておきたいと思います。
  143. 井上孝

    政府委員(井上孝君) 自動車交通に伴いますいわゆる交通公害には、騒音、振動あるいは排気ガス等がございます。こういった各種の交通公害を防止して道路環境の保全を図るというためには、自動車の改良、あるいは道路そのものの構造の改善、あるいは広く道路周辺の土地利用の適正化、あるいはさらに広く都市再開発というような各種の手段、また場合によっては交通規制という警察関係の施策の強化というような各種施策が総合的に進められなければならぬというふうに存じております。  私ども道路関係する者といたしまして、沿道の環境保全を図るために、現在のところ次のような施策を構じております。まず第一が、先ほど申し上げましたが、都市の生活環境を良好な状態に確保するため通過交通をまず排除するということで、環状線あるいはバイパスを建設する、これが第一でございます。それから二番目には、幹線道路の整備に当たりましては周辺の、たとえば住居地域でございますれば居住環境を良好な状態に保つために道路構造の改善を図る。そのためには、具体的にはたとえば必要に応じまして道路の両側に十メーターないし二十メーターの土地を余分に買収いたしまして、そこに遮音壁とかあるいは植樹帯というようなものを設置して、環境に対する、自動車交通の及ぼす周辺に対する悪影響を最小限にとどめるような構造にするということを考えております。それからさらに三番目には、より根本的に、たとえば掘り割り構造にする、あるいは場合によっては日照等の問題もございますが、道路そのものを高架構造にするというようなことで対処する。それからさらに来年度から特に強力に進めたいと思っておりますのは、既存の道路の緑化対策でございまして、既存の道路道路敷の中に余裕がございますれば、そこに植樹をするというようなことで対処していきたいと思っています。また、今後の問題でございますが、やはり幹線道路の両わきにまあ静穏を要するような住居地域があるということ、そういった土地利用そのものが実は公害の原因でございますので、沿道の土地利用を規制する、あるいは誘導するというような有効な措置がないかというふうな点も今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  144. 遠藤要

    ○遠藤要君 さらに、交通安全対策について建設省はどのような対策を講じておられるかということと、地域住民の生活の基盤でもある地方道ですね、それに対して、特に市町村道に対してどのような配慮をされているかということをひとつお答えいただきたい。
  145. 井上孝

    政府委員(井上孝君) 交通安全につきましては、道路局のみならず建設省としては各局がそれぞれいろんな施策を進めております。まあその中心になりますのは道路局で所管いたしております交通安全施設の整備でございまして、御承知のように、交通の安全を図るために、交通事故の防止を図るために昭和四十一年度から二回にわたる三カ年計画の後、昭和四十六年から現在五カ年計画で交通安全施設の整備を進めておるわけでございます。来年、昭和五十年度はその最終年度に当たる。この安全施設整備に当たりましては、道路交通上最も弱い立場にあります歩行者及び自転車の利用者をまず安全にするということに重点を置きまして、歩道及び自転車道の整備を最も重点として実施いたしております。先ほど指摘もございましたが、来年度の道路整備事業、非常な圧縮を受けておりますけれども、その中でも交通安全施設の整備はやはり重点的に促進する必要があるということで、事業費五百五十七億円、これは前年対比で五%の増でございます、計上いたしまして歩道及び自転車道の整備を一層進めたいというふうに考えております。それから市町村道の整備は、もう御指摘のとおり地方道の中でも市町村道は非常に整備がおくれております。改良率でわずかにまだ二〇%、舗装率で二二%という程度にとどまっております。これこそ国民の足元道路といいますか生活の基盤となる道路でございますので、従来の幹線重点の道路整備の進め方を転換いたしまして、この生活に直結する市町村道の整備に重点を置くように考えております。昭和五十年度におきましても、先ほど来申し上げております圧縮予算ではございますが、市町村道につきましては前年より一二%増という精いっぱいの事業費をつぎ込んで整備を進める予定でございます。
  146. 遠藤要

    ○遠藤要君 さらに、町村道の問題から局長なりの御意見をお尋ねしておきたいと思うんですが、いま府県道なり町村道なり、国道にもあると思いますが、よく穴があいたと、そこにオートバイや何かで入って転倒してけがをした、また生命が云々というようなことでよく裁判ざたになって地方自治体が敗訴している、そういうふうな問題がたくさん出ておりますが、こういうような点に対して、大きい県なり何かの場合は問題はないと思うのですが、小さな自治体でそういうふうな事件を、事故を起こしたということになると大変財政負担が厳しい、そういうふうな点があるが、県なり市町村なりに対して、それに対する対策というような点を道路局自体で何とか配慮願えないかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  147. 井上孝

    政府委員(井上孝君) 御指摘のとおり、最近道路の管理瑕疵に基づきます賠償事件が非常にふえてまいっております。また、道路管理者が裁判の結果敗訴するという事案が大変ふえております。最近では一番大きいのは国でございますが、飛騨川のバス転落事故が控訴審で敗訴いたしまして、これなどは一件で数億という賠償金を支払うということになったわけでございます。こういう事例がたくさん出てまいりますと、御指摘のように財政力の弱い市町村はきわめて不安だろうと思います。その結果、市町村、主として市町村でございますが、最近自衛上損害保険に加入するという事例がふえてきております。私どももこういった現象に対しまして、道路管理責任に関する共済制度を何かつくる必要はないか、また地方自治体等からも非常にそういった要望が強くなりまして、私ども内部でその必要を痛感いたしておりますので、ただし、道路管理以外のこういった災害等にもいろいろと及ぼす影響がございますので大変むずかしい問題があろうと思います。したがいまして、とりあえず来年度予算で調査費を計上させていただきまして、至急民間の学識経験者等の御意見も伺って、この道路管理に関する責任賠償の共済制度について検討、研究を加えたいというふうに考えております。
  148. 遠藤要

    ○遠藤要君 時間がなくなりましたので、一つだけお願いしておきたいのは、一つは、先ほど申し上げたとおり世界は有限資源だ、こういうようなことをひとつ御認識をちょうだいいたしたい。三木総理の提唱している物の節約ということにひとつ建設省も御協力を願いたい。それにはまず何としても油の節約、環境保全という点で道路の整備をもっと一層力を入れてもらいたいということを要請しておきたいと思います。  それからいま一つは、建設省なり道路公団でいろいろ計画されて土地の折衝をされ、いやいやながらも農地やなんかを手放している、それがなかなか建設省の予算が流れてこないので工事が着工されないということになると、県なり町村なりで建設省に協力して農家に御理解をもらってやった、しかし、二年も三年もその道路の姿が見えないということになると、一体住民感情としてどうか、そういうふうな点も十分御配慮をちょうだいいたし、国民生活の足であり、生活の糧でもある道路行政ということに対して格段のひとつ御努力をお願いいたしておきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  149. 坂野重信

    ○坂野重信君 私は、建設大臣国土庁長官の所信表明に関連いたしまして、公共事業と地域配分というような問題を中心といたしまして御質問申し上げたいと思います。  その前に、約一年半にわたりまして、まだ何カ月か知りませんが、大変厳しい総需要の抑制の中で公共事業というものの圧縮、抑制というものが続いてまいりました。私どもが地方を回ってまいりますというと、地方の町村長さん、あるいは地元の皆さんから、先ほど話がありましたような道路の整備であるとか、あるいは河川改修というような問題につきまして本当に切々たる訴えというものを耳にしてまいったわけでございます。そういう観点から言いまして、昭和五十年度の予算におきましても、まことに私どもの立場から言いますというと、そういう皆さんの要望を満たすだけにはまだまだ非常に不十分な予算ではなかったかということを考えているわけでございまして、建設大臣を初め皆さんがあの予算の編成期において昼夜を分かたず懸命に努力された姿をここに想起するわけでございます。  公共事業の性格をいろいろ考えてまいりますというと、私は二つ考え方に分類できるんじゃないかと思います。一つは、生活環堤保全型のような公共事業、これは主として都市地域を重点としたいわゆる既成の地域に対する生活環境、公害の除去というものを含めたそういう環境保全型の公共投資、それが一つのカテゴリーじゃないか。もう一つの問題は、開発のおくれた地域に対していわば開発主導型の公共事業というようなことに考えられるんじゃないかと思うわけでございます。そういう立場から言いまして、三木内閣のいわゆる福祉政策、その政策に沿いましたような予算の編成が少ないながらも行われましたことは非常に私は喜んでおります。つまり生活環境の整備といいますか、その関連事業としての住宅予算、あるいは下水道、あるいは公園というようなものが、建設大臣の所信表明にございましたように、そういうものが重点とされているのは大変結構でございます。また、そうあらねばならないと思うわけでございますが、これは考えてみますというと、都市地域がどうしても中心になるわけでございまして、恐らくいま建設省で予算の配分作業が行われている、予備的な作業が恐らく進んでいると思いますが、そういう中におきまして、恐らくそういう生活環境整備的な事業というものが、都市地域というものが重点になってくるんじゃないかというぐあいに考えるわけでございます。先ほど話がありましたように、道路予算は残念ながらマイナスの経過をたどりました。これは歴史的に見て、ここ数年間なかったことでございまして、建設大臣初め道路局長、恐らく内心では非常に残念な私は気持ちでいっぱいだろうと思うわけでございますけれども河川にいたしましても余り伸び率は出ておりません。そういうことを考えてまいりますというと、本当に開発を待望している地方に対する公共投資というものが、特にこの厳しい予算の中において手薄になってくるんじゃないかということが考えられるわけでございます。  そこで、その辺の考え方を、建設大臣としてはどういうような考え方で一体今度の昭和五十年度の予算の執行というものをお考えになっていかれるのか、その辺をまずお何いいたしたいと思います。
  150. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 坂野さんはこの道の専門家でありまして、もう多くを申し上げることないと思いますが、本年度の予算がおっしゃるとおりの形ででき上がったことは全く同感であります。そのとおりであります。総需要抑制、特価安定という至上命題があるものですから、私どもはこれはやむを得ないとして一応この案をのんだわけでありますけれども、本来公共事業というのは、ヨーロッパに比較いたしましても大変おくれている社会資本を充実していく、そして国民生活環境をよくする、あるいは国土保全をする、そういったような何といっても国民の生活基盤を守る重要な基本的な使命を持っておるものでありますから、これらの総需要抑制といったようなことで左右されること自体、私どもには大変はかり知れないものがあるわけでありますけれども、これは時代の流れでありますからやむを得ないといたしましても、そういう厳しい予算の中で今後の運営はなおさらわれわれは厳しい態度を持ち、さらに緩急、重点の度合いを考えながら処置をしていかなきゃならぬと思っております。生活環境関係住宅、下水等の重点を伸ばしていくのはこれは当然でございますけれども道路その他治水等の公共関係、これ何といっても、これもまた地方の非常に厳しい要請、切実な要請に基づいて今後予算を執行していかなきゃなりません。そういう意味から考えますと、乏しい、少ない予算の中からも地方開発の推進に十分留意をして、これに重点を置いて今後の問題を考えていかなければならぬ、かように存じておるわけであります。  いずれにいたしましても、非常に私ども予算編成から今後は予算審議をして、最後は予算配分等の時期にかかってくるわけでありますが、いろいろな方面からの陳情、要請をいただいておりますけれども、ほとんどその大部分がやはり一番厳しい圧縮をされておる道路とか治水とかそういった面に非常に圧倒的な要望があるということは、それだけ国民自体がこの予算に対してきわめて大きな期待を持っておるということを物語るものでありまして、そういう国民の期待にこたえていくためにも、今後のたとえば総需要抑制緩和といったことで補正等が考えられる場合においては、そういった面を十分配慮しながら努力をしていかなきゃならない、そういう考え方を持っております。
  151. 坂野重信

    ○坂野重信君 そこで、私は先般文勢春秋の三月号に一つのおもしろい記事を発見したわけでございます。これは東京都を初め主として大都市の革新の知事さん方の地方自治の状況というもの、いろんな報道記事が載っております。この記事は果たして私は正しいかどうかは知りません。それによりますと、比較的東京等において非常に公共事業というものが執行しにくくなっている、そこに知事さんの姿勢があるかと思います。それの批判は避けますけれども、そういうことで、私は田舎の方と地方と比べてみますというと、さっき申し上げたように、地方に参りますというと、ともかく非常な陳情なり要望というものが熾烈なものがある。大都市においては道路をつくれば、反対だと、御免こうむるというような傾向が非常に最近顕著になっておりまして、しかも一たん事業を持っていこうとしても、一人の反対でもあれば、これは公共事業はやらないというようなことで、東京都の住宅建設等も、午前中上田委員から質問がありましたが、なかなか進捗しておりません。ということから言いまして、私は予算のそういった今後の配分等につきましては、その辺のところもひとつ実行可能なやはり配分というようなこともあわせて考慮をする必要があるんじゃないかと思うわけでございます。その辺、御見解をお聞きした  いと思います。
  152. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 予算配分の考え方につきましては大臣が申し上げたとおりでございます。先生もおっしゃいましたように、大都市の予算は確かに生活環境保全的なものが多いわけでございまして、これもやはり地域住民の意見を十分聞きながら生活環境の整備改善をしていく必要がありますから、もちろんこれも留意していく必要がありますけれども、何と言いましても、やはり確かに地方におきましての社会資本、公共施設の整備の仕方が非常に不足でございます。日本国土を有効に使っていくというためにもそういう基礎的な施設を十分に整備していくということが必要になってきます。しかし、地方におきましても、やはり地方の住民は、最近の国民の意識の変化によりまして、生活環境、身近な公共施設整備ということも望んでおりますので、市町村道その他について重点を置いて道路の予算を乏しい予算の中で組んでおる次第でございます。そういうことで、先生のおっしゃったように、地方について、まだ期待されている公共施設の整備に対しての期待が大きいわけですから、十分それに対しての配分が必要でございます。  その地域配分のことをちょっと資料で申し上げますと、大都市圏とその他地域を比べますと、昭和四十五年に大都市圏が四一・三%、その他地域が五八・七%の建設省の予算の事業費の配分でございました。それが四十九年には大都市圏が三七・七%、その他地域では六二・三%ということで徐々にふえてきております。来年度の予算につきましても十分ひとつそういう点に配意しながら予算の配分を考えていきたいということで、私ども内部でも予算配分のいろんな考え方をまとめるために幹部会議を開きまして、従来のやり方にも再検討を加えて、そして十分そういう趣旨に沿えるようなことを考えておる次第でざいます。
  153. 坂野重信

    ○坂野重信君 次は、国土庁長官に御質問申し上げたいと思います。  金丸長官は、御承知のとおりに先般首都移転問題についての超党派の議員懇談会をみずから主催されて、それに基づいてやった。そういうことを考えましても、非常に全国の国土のバランスのとれた均衡ある発展を図るということについては、非常な私は熱意を持ってお考えになっているということをかねがね敬服している次第でございますが、国土庁としては、第三次の全総計画の策定作業が着々進んでおると思いますけれでも、その中において、いま議題にしております地域の発展、地域開発といいますか、そういうものと公共事業との配分といいますか、その辺との基本的な考え方をどのように長官はお考えになっているのか、その辺の御意見を承りたいと思います。
  154. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) お答えを申し上げます。  国土庁といたしましては、均衡のある地域社会をつくり、また過疎過密を解消するというような考え方、また先ほど来からお話がありますように、東京に道路をつくると言えばこれは反対だと、私も道路つくるということが果たしていいのかどうかということについては非常に考えさせる問題点もあると思うわけであります。たとえて言えば、東京に道路をつくった、道路をつくったが、そこにまた人が集まり、そこに自動車が集まる、公害はますますふえてくるというようなことを考えてみると、どちらにしてもこの均衡のある地域社会をつくるという考え方は、政治的にも考えなくちゃならぬということを考えてみますと、その受けざらである地方という問題について最大の関心を持つべきではないかと、こういうことを私は思うわけであります。そういう意味で地方の河川にいたしましても、道路にいたしましても、もちろん東京のこの現状に対して、このままでいいというわけにはいかぬ、これは都市の再開発をやらなくちゃならぬ。あるいは環境の問題あるいは公園の問題、下水道の問題等については十分な考慮を払うべきであるけれども、いわゆる過疎過密、均衡のある地域社会、こういうことを考えますと、まず受けざらというものを考えて、それに対処するというようなことを私たちは考えていかなければならぬ。昭和五十年にいわゆる第三次新全総を計画をいたして五十一年から発足させるという、それに当たりましては十分各省庁と連絡をとり、ただいまの問題につきましては十分建設省とも連絡をとりながら計画を立ててまいりたい、このように考えておる次第であります。
  155. 坂野重信

    ○坂野重信君 両大臣のお話わかりましたので、十分国土のバランスのとれた均衡ある発展を図れるようにひとつ今後の執行をよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、国土庁長官の所信表明の四ページの一番最後のところに、先般お話がございましたそれを引用いたしますと、「国土庁は、地域住民の福祉の向上に重点を置いて、魅力ある地方都市と農山漁村の整備を総合的かつ計画的に推進してまいります。」、まことにこれはそのとおりだと思います。そこで建設省は、かねて私も在官中でございましたが、地方生活圏整備構想というものを計画局が中心になって推進しておるわけでございますが、どうも近ごろ若干地方生活圏の整備という問題が建設省内において低調になったのじゃないかと、私が地方を回って参りますというと、むしろ地方の皆さんから建設省の地方生活圏はどうなっておりますかと、かけ声をお立てになったけれども、さっぱりその後アフターケアやってないんじゃないですかというような声を再々耳にするわけでございまして、いや、そういうことはありませんと、これは自治省の広域圏とまた別の形でタイアップして十分やっているのだというようなことを申しておるわけでございます。いろいろ批判はありますが、列島改造論の盛んに議論されましたときも、この地方生活圏という問題もその一環としてずいぶん議論されたわけでございますが、その後、建設省がこの地方生活圏にどのように取り組んでいるのか、また昭和五十年度の予算においてどのようにこれをひとつ表現、具体化していこうと思っていらっしゃるのか、その辺をひとつ明らかにお願いいたしたいと思います。
  156. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 地方生活圏の構想につきましては、坂野先生御在任当時からよく御存じのとおり、昭和四十四年度から都市を中心としします大体四十万ぐらいの生活圏域を全国で百六十三設定しておりまして、整備計画をつくっておるのでございます。これは都道府県から上げさせまして、これを整備計画としてつくってあるわけでございまして、昭和四十八年度からこれらの圏域の中で特に緊急を要する、緊急度の高い、効率の高い地域を逐年選定いたしまして所管の補助事業の傾斜的な配分を行ってきておりまして、四十八年度におきましては八圏域、四十九年度におきましては十一圏域と、現在十九圏域につきまして、これを対象として大体普通の事業規模に一〇ないし一五%程度の事業費として上積みをして重点的配分を行っておる、こういうやり方で来ておるのでございます。ところで、最近国土利用計画法によります国土利用計画の策定であるとか、あるいは全国総合開発計画の改定作業というような一連の関連する計画が進行しおります。そこで、このわれわれの発想としてましては非常にユニークな発想だと思っております、この地方生活圏の構想というものは。しかし、これらの計画との整合性をとる必要があると考えまして、現在これが一層生かされるように、地元からも真に喜ばれるような形に持っていくことを考えてその改定をしたいということで、その中身の改定をいま考慮して検討している最中でございます。これが十分生かされるような形で何とか重点的に改善いたしたい、かような気持ちでおります。
  157. 坂野重信

    ○坂野重信君 ひとつこの問題は大変重要な問題だと思いますし、いわゆる三木内閣の福祉政策とも相通ずる問題でございますので、地方の農山漁村、地方都市とともに一体として整備を図っていこうということでございますから、大いにひとつ推進をお願いいたしたいと思います。  時間の関係もありますので次に移らせていただきます。  地下水の問題先ほど遠藤委員から若干話が出てまいりましたが、建設省を中心にして地下水保全に関する総合的な立法をいまお考えになっておるようでございまして、これは大変時宜に適したことでございます。また、環境庁の方ではまた別途に地下水の規制を中心とした法案をお考えになっておるようでございますし、またこういった基礎的な法律とともに、緊急措置法的な古賀私案というようなものも出ておりますが、まず建設省にお尋ねいたしたいのは、地盤沈下の問題とこの保全法との関連でございますが、まず地盤沈下の実態というものをどういうぐあいに認識されておるか。それに基づいて地下水の保全法案の基本的な、簡単で結構でございますが、考え方はどうか。各省に対していまどの程度の働きかけをなされておるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  158. 増岡康治

    政府委員(増岡康治君) 地下水につきましては、直接いわゆる障害というものが出ておりますので、最も著しいのが地盤沈下でございまして、この地盤沈下が全国二十六都道府県に及んでおるという事態を正視いたしまして、あるいはまた私どもの方で河川、海岸その他で地盤沈下対策事業を行っておるわけでございますが、やはり根本的な地下水の問題を解決しなければいけない立場で私どもはこの地下水問題を取っ組んできたわけでございます。地下水は非常に河川水と似通った問題がございますので、建設省におきましては、地下水というものの考え方をやはり根本的な考え方から発想したわけでございまして、まず、いまお話がございました地下水を採取することによって起こります地盤沈下だとか、あるいは地下水の水位が低下して起こる障害だとか、また塩水化の問題がございます。地下水の問題についていろいろな障害が全国的に出るわけでございますが、そういう障害の防止と、やはりこれを適正に保全していくと、また地下水源を利活用しようということの問題をあわせました総合的なもので実は考えたわけでございます。そのために、非常な大きな、膨大なことになる基本的なものにつながるわけでございます。しかしながら、実際に今日起こっている問題の焦点は地盤沈下だと思います。これもやはり環境庁のおっしゃるような立場もよくわかりますし、私どもは非常な弾力的な姿勢で、地下水というものの基本的な考え方を、やはり実際面とのどう手をつなぐかということでいま各省といろいろ議論の最中でございます。私ども考え方は非常に弾力的なことで、どう言いますか、いわゆる国として何か要るんではなかろうかという高い立場で実は建設省も出しておるわけでございます。非常な弾力的な姿勢であるということを申し上げておきたいと思います。
  159. 坂野重信

    ○坂野重信君 次は、環境庁でございますが、環境庁のほうでもさっき申し上げたように法案を立案中のようでございますし、建設省の案との調整もあろうかと思いますが、その辺の考え方をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  160. 松田豊三郎

    説明員松田豊三郎君) ただいま建設省の方から御答弁がございましたが、環境庁といたしましても、地盤沈下対策の徹底を期するために、実は中央公害対策審議会の方にかねてから御審議願っておったわけでございますが、昨年の十一月に答申をいただきまして、その線に沿いまして現在法案の策定作業をいたしておる段階でございます。関係各省といろいろ意見の調整を進めておりますが、環境庁の考え方といたしましては、この答申の線でございますが、まず地下水の、地盤沈下の激しい地域、そういうふうな地域の地盤沈下を急速にとめるということを骨子といたしまして、そのほか地盤沈下の進行しております地域につきましても地下水の採取の規制を適正に行うということを考えております。またさらに、現在は沈下しておりませんけれども将来沈下のおそれがあるというふうな地域につきましては、これを事前に予防するために必要な地下水の採取の規制を行うということも考えておりまして、そういうものを骨子といたします要綱につきまして各省とただいま折衝中でございます。建設省で考えております地下水法案の中にも地盤沈下の防止が強くうたわれておりますので、その辺につきましては、私どもの立場としましては、決してそれは相入れないといいますか、抵触するようなものではないと考えておりますが、関係各省とも総合的な調整といいますか、そういうものを急いでまいりたいというふうに考えております。
  161. 坂野重信

    ○坂野重信君 環境庁の立場は、環境保全の立場から主として規制というものが最も重点になろうかと思います。それはやむを得ないと思いますけれども、規制のしっ放しでいきますというといろんな方面に問題が起きてまいりまして、どうしても基本的には表面水、いわゆる地上水、地下水というものを一体とした総合的な保全管理というような考え方に立たなければならぬと考えるのは当然でございます。非常に重要な法律でもございますし、国土保全上の立場からいっても一刻もゆるがせにできない立場でございますので、各省の調整は一刻も早く、それぞれのセクショナリズムというものがもしあるとすれば、そういうものを打破して、ぜひとも推進していただきたい。  その次に、通産省と厚生省のお話を承りたいと思います。簡単で結構です。
  162. 岩崎八男

    説明員(岩崎八男君) ただいま私どものところには、建設省からは地下水法基本要網案、それから環境庁からは地盤沈下防止法要網案というものをいただいておりまして、それを検討させていただいております。ただ、じゃあ具体的にどういう考え方で、どういう手続で、どういうふうに運用するかというふうな点につきましては、法案という形でいずれまた御相談いただくことになるだろうと思いまして、現時点でどの法案にどうであるというふうな私ども考え方は控えさしていただきたいと思います。ただ、具体的に申しますと、第一に、やはり私どもとしては、現時点ではそういう地下水のくみ上げに伴うマイナス要因、地盤沈下を中心としますマイナス要因について何らかの対策をとることが適当ではないか、あるいは必要ではないか、そういうふうに考えます。  それから第二に、しかしそうは言っても、これはどうしても必要最小限は要るものは要るものでございますので、やはりこれは対策とともに進むべきものである、それは同じ一つの法体系の中に入るか、あるいは別にするかというのは別といたしまして、やはりそういうものとして考えていくべきだろうというふうに考えております。  先生承知のとおり、私ども三十一年から工業用水法ということで工業用水のくみ上げ規制をやっておりますので、それの改正という形で私どもは今国会に提案をなお考えてはおります。ただ、これは私どもの事情でございますけれども、私どもの省の国会への提案の法案その他からいってなかなか今国会ではむずかしいのじゃないかというような感じもございますけれども、なお私どもとしても、その面も一緒に考えながら努力していきたいと、こう思います。  それから総合的な法制というものに私ども必ずしも反対ではございませんが、いま申し上げましたように、工業用水については工業用水法、それからビル用水については御承知のとおりの規制値ができておりますので、もし総合的な規制が実際上必要であるという判断は、やはりそれ以外の農業用水なり上水道なり、そういうものの地下水くみ上げも一緒に規制する必要があるという現状判断と、何といいますかその見通し、それがあって初めて新しく法制をつくる実際のメリットがあるのじゃないか、そんな大ざっぱな感じで現在はおります。
  163. 山崎卓

    説明員(山崎卓君) 私は厚生省の水道環境部でございますので、その立場からお答えさしていただきますが一水道といたしましても、やはり地盤沈下でございますとか、あるいは地下水の持つ重要性ということにつきましての、重要であるという認識は持っておるわけでございます。  ただいま建設省並びに環境庁の方から法案要綱のような形でのお示しがあり、それにつきまして厚生省が立っております立場は、ただいま通産省の立場と同じような形になっておるわけでございますけれども基本的な考え方といたしましては、そうした必要性は認めるにやぶさかではございませんが、やはり飲み水というものは生活になくてはならないというようなことでございますので、その部分の規制は必要最小限度にしていただきたいというようなことが基本でございます。
  164. 坂野重信

    ○坂野重信君 法律そのものは、現在出ておりますのは建設省の地下水法というような名前がついておるようでございますが、環境庁もいまお話を聞いてみますと、そう根本的に大きな見解の相違ということはないようでございますし、話はこれはだんだん煮詰めていけば煮詰まると思います。やはり水資源の問題であり、また国土保全の問題でございますし、その辺は国土庁というものが建設省の原案というものを中心にしながら、国土庁長官としても、非常にこの問題は大事な問題でございますし、ぜひひとつ推進をお願いしたいと思いますが、御見解をお願いいたします。
  165. 金丸信

    国務大臣(金丸信君) ただいま各省庁から御意見が出たように、各省庁でこの問題についてはただいま立法化しようというようなことで鋭意研究をいたしておるようでございますが、しかし、いろいろこの問題について各省ばらばらの地盤沈下対策に対してはこれは総合的に一本にすべきじゃないかと、国土庁は総合的な対策としてひとつ各省庁と十分な連絡をとり、調整に努力したいと、こういうふうに考えておる次第であります。
  166. 坂野重信

    ○坂野重信君 地下水の問題はその程度にして終わりまして、まだ若干時間がございますので、次に五十年度予算の執行の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。  先ほど建設大臣から上田委員に対する答弁がございまして、早期発注をひとつ明年度はやりたいというようなことは御答弁がございましたが、いま私が申し上げるまでもなく、地方財政というものの硬直化、逼迫というものは申し上げるまでもないことでございまして、人件費の膨張等によりまして地方財政がたいへん硬直化しております。公共事業の早期発注と言いましてもなかなか各県の受け入れというものがなまやさしいものじゃないと思います。財政の問題、特に人件費の問題のみならず、税収というものがたいへん近ごろ総需要の抑制とともに逼迫してきたということもございましてなかなか容易じゃないと思います。私は、建設省その他の公共事業担当省の努力もさることながら、自治省がやはりこの地方財政の問題というものを十分考えてまいりませんというと、せっかくの公共事業というものが予算ができましても実行がなかなか円滑にいかない、人件費ばかり食って肝心の住民サービスの一つの大きな柱、これは公共事業だと思います。この公共事業の発注執行というものが支障を来すようでは、これはもう本末転倒もはなはだしいことでございますし、何とかひとつ打開の道を講じなければならないと思いますが、きょうは自治大臣も見えておりませんが、担当の方が見えておりますので、課長からひとつその辺の自治省としての考え方をお願いいたしたいと思います。
  167. 小林悦夫

    説明員(小林悦夫君) ただいま先生指摘ありましたように、地方公共団体の財政というのが非、常に硬直化してきていることは事実でございます。当省といたしまして、明年度につきまして、地方財政計画を今国会にお出しいたしまして、これから御審議をいただくわけでございますが、この地方財政計画では十分地方の財源については措置ができる形になっております。ただ、ただいま御指摘がありましたように、人件費等、国より高い給与等の問題がございまして地方の財政が相当苦しくなっていることは事実でございますが、この点につきましては、地方団体におきましてもそういう点を是正していただくように期待をいたしておるわけでございます。  なお、一般的な公共事業事業費につきましては、先生承知のように、地方債及び地方交付税等の一般財源で行うことにいたしておるわけでございますが、明年度につきましても、地方債とそれから地方交付税、こういうもので十分に財原措置をしておるわけでございまして、この面において公共事業を消化する上での財源は十分措置されておるわけでございます。なお、実際の執行の面におきまして、今後早期発注等のことが起きてまいりました場合には、私の方で地方債をできるだけ早く許可する等の措置を通じまして、資金繰り等に無理がないようにいたしてまいりたいと考えております。
  168. 坂野重信

    ○坂野重信君 大変自信のある答弁をいただきまして安心いたしましたが、そういう地方の負担の方の手続事業官庁の方とマッチするようにひとつ、ぜひともがんばっていただきたいと思います。私の仄聞するところによりますというと、必ずしも県の財政が思うとおりにいかないために、余りたくさん予算いただいても消化ができないというようなところがぼつぼつ出始めているということを聞いておりまして非常に心配しておりますが、その辺は自治省は十分大臣とも御連絡になって万遺憾なきをひとつ期していただきたいと思います。  最後に、建設業振興の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。建設業振興基金の新設の構想が出ておりますが、それは建設業の振興あるいは近代化のために大変漸進的な、しかも画期的な制度だと思っておりますが、これを具体的にいかに活用されていくのか、その辺の方針を、いま固まった範囲内で結構でございますから、ひとつお示し願いたいと思います。
  169. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 建設業振興基金の具体的な業務の内容、それからその業務の執行の方針につきましては、予算の段階におきましておおむねの構想は固まっておりますが、その具体的な中身につきましては、今後これを真に有効に行いますために現在中央建設業審議会におきましてその中身を検討していただいているところでございます。その結果を待ちまして具体的に発足さしたいと思っておりますが、現在のところ、おおむね基金の業務の内容としましては、中小企業者等が共同施設を設置いたします場合に、その銀行から借ります債務の保証をする、それから共同施設の整備費に対しましてこの基金から助成金を出す、それから建設業の近代化のためにいろいろな調査研究を行う、建設業の経営の改善につきまして諸種の改善指導を行うというような四つの点を中心にして行いたいと思っておりますが、さらにまた検討課題といたしましては、いろいろな資材等の共同購入の方式等につきましてもこの審議会において検討していきたいと思っております。なお、債務の保証につきましては、大体債務保証額を五百億円を限度とし、助成金の交付につきましては、共同施設の整備費四十億円の借り入れを行いまして年率二%程度の利子補給を行いたい、その額約八千万を予定いたしたいと思っておる次第でございます。
  170. 坂野重信

    ○坂野重信君 まあ、業界の方からはいろいろ注文が出てくるかと思います。たとえばさっき話のありました資材の共同購入というようなことは大変に歓迎されると思いますし、またつなぎ融資といいますか、いわゆる緊急融資というような問題もかなり業界の方は待望しておるようでございますから、今後中建審等を通じて十分検討されまして、各方面の意見を十分反映できるように、予算成立の——予算といいますか、この制度の認められた経過もあると思いますけれども、十分その辺を配慮願いたいと思います。  最後に、建設本省にこのたび参事官を設置するというような構想が出ているようでございますが、これは建設本省にこういう建設業担当の参事官が設置されるということは本当に長い間の業界の待望でもあり、また建設省の今後のこの業界に対する姿勢といいますか、いろいろな意味で私は新しいまた契機を迎えた一つの証左であるというぐあいに考えるわけでございます。まあこれは建設本省だけでは私は不十分でございまして、やはり地方建設局であるとか県の土木建築担当部というようなものにも同様な何らかのそういうような組織というようなものを置きまして、それをひとつ中心にして建設業の振興といいますが、近代化というような問題に積極的に取り組む必要があるのじゃないかと思っておりますが、その辺のひとつ考え方をお聞きしたいと思います。
  171. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) お説のとおり、建設業の振興ということにつきましては、本省だけではなくて、地方建設局におきましてもそういう業務を担当していただくことがまあ各県等におきましてもむしろ要望があるというふうに考えておりますが、現にそのような動きがございますけれども、これを本格的に行おうとしますと、現在の設置法で直轄工事の施行に関することということが地方建設局の所掌事務にされております。そこで、建設業の免許だとかあるいは不服の申し立てとか、そういった行政処分の問題になりますと設置法の改正を必要としますけれども、そういう点を含めて、今後こういう要望もあることでございますから十分検討していきたいというふうに考えておりますし、また県におきましては現在土木部の管理課等で大体係を置きましてそれを所掌しております。しかし、これをもっとより拡充するということが必要でございます。そこで、その組織の拡充につきましても、関係方面とも相談いたしまして、建設省としましても強く推進していきたい、かように考えております。
  172. 坂野重信

    ○坂野重信君 終わります。
  173. 春日正一

    ○春日正一君 初めに、昨年の十一月二十六日の建設委員会で、私、前の小沢建設大臣のときですけれども、例の田中金脈問題に関連して、室町産業、新星企業、東京ニューハウス、この三つの会社の行った行為、これは宅建業法に違反するのではないかという質問をいたしまして、当時局長の方からは、時間がかかるけれども二週間をめどに資料をつけて結論を出すという話で、これは委員長からも確認していただいたんですけれども、その後なかなか出てこないんで、十二月の臨時国会で大臣がおかわりになってから、この点をさらに催促しまして、大臣も、正月休み中に自分も勉強して、しっかりした答弁するというお話だったんですけれども、まあ機会がなくて今日まで延びたと思うんですけれども、この機会に、どういう検討をされて、どういう結論をお出しになったか、それをお聞かせ願いたいんですが。
  174. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 本件につきましては、昨年来当委員会でいろいろと質疑を受けまして、しかも年末には、私就任早々にこの問題についての御質問をいただきましたが、しばらく時間の御猶予を願うことにいたしまして、自来私としましてはできるだけ早い機会にと思って調査を進めてまいったわけであります。大変手間取っておくれましたことをおわびをいたしますが、結果といたしましては、責任者から事情を聴取したり、また契約書の照合等を行いました。そしてその結果一応の結果をまとめたわけでありますが、第一番に、室町産業につきましては、免許失効後四年半の間に三件の宅地売却が行われておるのでありますが、これは件数、売却先、保有期間等を総合的に勘案をいたしましても業法の違反とは認められないと、こういうふうに結論を出したわけであります。もう一点の新星企業でありますが、これは免許失効後五年間に八件の宅地売却を行っておりまして、先に結論を申し上げますなれば、一応本件については業法違反の疑いがあるという私どもは認定をいたしました。ただしかし、それにしましても、この件は現実の被害者のない一種の形式違反であるということ、すなわち、主として縁故者間の売買でありまして、不特定多人数を対象に反復継続の意思を持って行ったいわゆる業に該当するかどうかの判定がきわめて困難な異例の事例であるということであります。ただしかし、それにしても、売却の実例が八件にも及んでおりますので、私どもは本件については形式違反として処理をいたしたいと、こういう結論を出したわけであります。
  175. 春日正一

    ○春日正一君 その点について、私どもとすれば、たとえば室町産業の場合でも、信濃川の河川敷の問題、柏崎の原発の敷地、目白台の田中さんの私邸の問題という形で問題を出して質問したわけですし、これは新星企業の場合にも、特に八千代台の土地ですね、それから四街道というような宅造の非常に盛んに行われておる、そして方々のそういう類似の会社が大量の土地を買っておる地域で買い入れをやり、しかも日本電建に引き渡しておるというようなはっきりした商行為もあるし、だからこれは明らかに違反ではないかということで、私そのときこうなっているんですわ、そのときのあれを見ますと、こういうことの結論になりました。いろいろそういう議論もいたしまして、「それ以上ここで詰めてもしようがない。いつごろまでに調べ上がりますか。」ということで、「ちょっとここで申し上げられませんけれども、まあ一、二週間のうちには結論が出るに違いないと私は思いますけれども、相手の協力のしかた及びその書類のつくり方等だと思います。」という局長答弁があって、「それでは、二週間といえば最大限ですね、待ちますからね、それを調べた資料を出してほしいと思います。委員長、これ確認しておいてくれませんか。」と、こういうことで委員長は確認してくれたわけですね。だから、私の方も、ここでその白黒論をやっていますとなかなか時間もかかりますし、だからあなた方の方でお調べになった資料、どういう問題を調べて、どういう判断をされたのかというものをひとつ約束どおりに出していただきたいと思うのです。
  176. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) いまこれは私どもが前段申し上げましたような一つの結論を出したわけでありまして、これは私どもで最終的な決定をするわけにまいりません。それぞれ関係機関とも相談をして最終結論を出さなきゃなりません。そのためには、関係機関に私ども調査結果とわれわれの意見を付していろいろ相談せなきゃいけませんから、その期間の間は、これはまたいろいろと最終結論を出すために支障を生ずると思いますので、その期間はひとつお待ちをいただいて最終決定をされてこれは資料を出しても差し支えないというときが来れば、これは建設省の所管に関する範囲内では申し上げることは差し支えないと思いますけれども、その間ひとつしばらく結論出すまで御理解を願いたいと、こう思いますがいかがでしょうか。
  177. 春日正一

    ○春日正一君 私の方で一番困るのは、大臣がいま報告された結論について、私の方で結構ですと言うか、異議がありますと言うかですね、私の判断する材料がないわけです。だから、それで困るから、前にも念を押してありますから、その判断の資料をいただきたいと、こう言っておるわけです。これは国会審議の上から見て非常に大事な点ですから、その点はぜひ考えてほしいと思います。  その点、だから、よそへいろいろ手続もありますと、こういう話ですけれども、たとえば、これをきょうここでそういう御回答になって、新星企業については疑いがあるということになると、あれですか、これは告発されますか、建設省として。
  178. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 先ほど申し上げましたような、経過のきわめて異例の事案でありますので、私どもはそのありのままの姿を意見を付してそれぞれの機関へひとつ出したいと思っています。そしてその機関がこれを判断をして違反と認定するかどうかの問題でしょうから、その間ひとつその資料の提出はしばらく御配慮をいただきたいと、こういうわけでございます。
  179. 春日正一

    ○春日正一君 もう一言言わせていただきますと、そうすると、その各機関に連絡したりして処理するというのは、どのくらい待てばいいということになりますか。
  180. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) これを通知いたしまして、まあ捜査当局の方でこれをお調べになるわけでございますから、その期間はいまどれぐらいということは申し上げられませんけれども、まあ推定でございますけれども、さして長くはないというふうに考えます。
  181. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、終局それまでの間、わが国会議員はこの問題についてはしばらく無為に過ごさなければならぬと、そういうことになるのですね。これは国会の審議という点から見ても大変ぐあいの悪いことだと思うのですけれども。国会の権威というものをもっと高めにやならぬということを盛んに言われておるこの時期に、国会で取り上げて問題にしてきた問題が途中でぶっつり切れてしまって、で、事が片がついてから国会議員が知らされるということでははなはだぐあいが悪いんじゃないかというような気がするのですけれども、その辺、議会制民主主義との関連  で大臣どうお考えですか。
  182. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 室町産業についても、われわれが調査した結果、三件にしばって調査をしたわけでありますし、新星企業も宅建業として八件にしぼってこれはずいぶん詳細に調査をいたしまして、さきに言ったような一応結果を出したわけでありまして、そういう意味ですからひとつ、決して拒否するとか逃げるとかという意味ではございません。やっぱりその資料を受けた方は、それによって一応また独自の調査もあろうかと思いますから、そういうことにもし支障でも来すようなことがありますと、これはいかぬかと思っておりまして、そういう意味で御相談を申し上げておるわけでありまして、決して逃げるとか拒否するとかという意味ではございませんが、その点をひとつ御理解いただきたいと思っております。
  183. 春日正一

    ○春日正一君 私としては、それで了承いたしましたと言うわけにはいかないわけですけれども、しかし、これ以上押し問答しても同じことの繰り返しということになりますから、私は、了承しがたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  そこで、次の質問、非常に簡単なことで一この資料ちょっと委員部の入、大臣局長の方に渡してください。  それでは質問いたしますけれでも、問題は積立式宅地建物販売業法、これにかかわる問題なんですけれども、こういうことなんです。いまそちらへお渡しした資料、これは大野さんという方が殖産住宅と七四年三月ごろ加入契約をして三千万円の金額で契約をした。それから九月ごろ六カ月経過して三分の一に達したので新築契約権が発生して、工事見積書をもとにいろいろ見積もり交渉が行われた。ことしの一月に新築工事見積書というというのが提出されまして、それによると、建築費二千四百二十万、その他総工事費三千万という金額が出てきたので、それでこれは少し高いんじゃないかと、おかしいなとこう思って、こういうものの見積もり積算を専門にやっている会社に依頼してその積算をしてもらった。そうしたところが、積算会社の積算では総工費が二千四百九十四万五千八百五十円ということで、殖産住宅の方の見積もりとの差が五百六十六万出てきたというので、これは余りひどいじゃないか、約二割サバを読んでいるということで、会社に再交渉しまして、それで殖産住宅側が二回目の見積書を出してきた。総工費二千八百二十四万ということで、差し引き二百三十六万円安い見積もりを出してきたと、こういうことなんですね。  ところが、その中身を見ますと、大体この表の中に二十七項目ありますけれども、その見積もり変更の中で単価が変更されたというのは二項目しかないわけですね。あとは材料の数量が削られているということになって、これを見ますと、造作材九・五立米と第一回ではなっておるのが、第二回では三・五立米という形で約三分の一に減らされているとか、そのほかOS四十平米、これが二十五・八一平米というような形で、私、一々この項目読みませんけれども、使用材料が非常に過大に見積もられておって、それが減らされて値引きがされてきておるということなんですね。ある意味で言えば、これは詐欺みたいなもんですわ。つまり使わない材料を使う、入り用のないものを要るとして計算して、それで代金を請求する。その人がたまさか事業家であり、そういう点では細かい人だから、だから専門家に頼んで、これ四十三万円かかったそうですけれども、再見積もりさしたということでこれは明らかになったのですけれども、普通、素人だったらそういうことをやりません。もしそのまま払ってしまえば、これは詐欺が成立するような性質のこれは不正な行為じゃないだろうかと、そう思うんです。  そこで問題は、こういうふうなことが殖産住宅その他積立式宅地販売業をやっておる会社がまだたくさんやっておるんじゃないか。それをどうしてチェックし監督するか、その責任は建設省にあると思うのですけれども、どう処理されるのか、その点を第一にお聞きしたい。
  184. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず結論の、どういうチェックの方法があるかということから申し上げます。  現在、紛争のこういった案件につきましては、当事者間で普通協議が行われる。その場合、解決しないという場合には、建設省または都道府県の窓口におきまして、当事者の申し出に応じまして、そういった担当の専門の職員がおりまして、随時あっせん指導を行っておるという仕組みでございます。まあわれわれとしましても、このような窓口を極力利用されるように、PRが徹底しておりませんから、できるだけパンフレット等で、過去にもやりましたが、広報活動を徹底しておる次第でございまして、大体本省の関係では年間五十件ぐらいこういった紛争案件が持ち込まれております、この関係で。そういうことで、そういう指導面で十分こういった面は、非常にいろんな案件でケースがみんな違いますもんですから、そういう窓口を強化するという方向を指導していきたいと思っております。  なお、殖産住宅の件につきましても、中でお客さん用の相談部というものを設けておるようでございますが、われわれとしましては、そういうパブリックな面では県と建設省の窓口を置いておる次第でございます。
  185. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、殖産住宅でお客さん用の相談所があるといっても、これはまあ何といいますか、加害者が被害者の相談を受けるみたいなものですから、これは公のものにならぬ。そうすると、訴える場所は建設省のどこですか。
  186. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 建設省計画局でございまして、具体的には不動産業課でございます。
  187. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、地方、都道府県というと、どこへ持っていったらいいんですか。
  188. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 県によって多少所管が違っておりますが、大体一般には土木部の建築課の系統でございます。
  189. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、まあ相談というか、私の方の意見ですが、こういう事件というのは非常に多いわけですよ。この人はたまさかこういうことがあったけれども、恐らくはかの人の場合でも、こういう不当に高い見積もりというようなことはやられておるでしょうし、しかも一般の場合にはそういう積算会社があるということも知らない、あるいは知っておっても頼めないというような状況の人が非常に多いと思いますよ。そうすると、みすみすこの何というか、そういう不正な手段によって高いものを買わされてしまうというようなことになるということになると、当然それは相談に行く窓口が手近なところになきゃならぬわけでしょう。一つの県で県庁の何課へ行ったらいいかあなた自身おわかりにならないような、それから建設省でも私が一体どの係かと言ってだんだん委員部に聞いていって、そしておたくの中の後ろにおる人がそうだったということがわかったというようなことでしょう。だから、これでは一般の国民、相当たくさんが積立式をやっているわけでしょう。そうすると、どこへ持っていったか実際にはわからない、訴えるところなしということですね。  しかも、どれだけあるかと言いますと、これ、最近ある新聞社がこの問題を問題にして新聞に書いたら、何百通という訴えが来ているというような話も聞きましたけれども、私の方でも去年の石油危機のときに生活防衛対策本部というものをつくりまして、生活問題について困ったらひとつ何番に電話してくれというものを発表したわけですわ。そうしたら、この殖産住宅で積み立ててやったところが予定の値段よりも高いことを言われたと、とてもそれは払い切れぬから解約すると言ったら解約金をうんと取られると、何とかならぬかという相談があって、私の方で調べてみたら、いわゆる契約の約款の説明も何もしてないんですね。そういうようなことで道理を説いて、結局まあ払い戻しができた。それをまた赤旗に出したらどっとそういう問題が集まって二百五十件、そのぐらい来ております。  ここに出ておるだけでも、殖産だけでなくて、たとえば殖産住宅、日本電建、太平住宅、日本相互住宅なんて、まあ名だたるそういう方面の会社がみんなやっぱりこの契約解除の場合の金の問題で訴えが出ておって、行って聞いてみると約款の説明もしない。ちょっと積んでおけばすぐうまくできますよというようなことで勧誘しておいて、それでさあ建ててくれということになると、値が上がったからと言う。それじゃとても無理だからやめますと言うと、それじゃ金を取るとこういうようなケースがあって、共産党だけで二百五十件もそういうあれが入っているということになりますと、これはこういうものの苦情は共産党へ行きなさいと、あるいは何々新聞社に行きなさいというようなことは、これはあっていいことではないと思うんです。あっていいことではないと思うんです。  当然この法律というものは、そういう不特定多数の消費者を保護するというたてまえからできたものでありますし、そのためにたとえば四十四条で認可の取り消し、その他の処分ができることになっております。四十八条では監督、指導、助言、これはできるようになっておるということになれば、その人たちが訴える場所がなければ、あなた方本省に座っておいでになって、こんな事件がどう起こっているかわからぬわけですから、訴える場所をはっきりつくっておく必要がある。それをただ県庁へ行きなさいとか、建設省の本省へ来なさいじゃなくて、やはり全国の市町村なりあるいは一定のところへ行って、こういうことで困っているんですが何とかなりませんかと第三者の判定を仰ぐなり何なり、そういう仕組みをつくっておきませんと、実際この法律があっても何ら訴えるところがない。監督指導するといってどうして監督するか、あなた方自体浮いてしまっている。そこですね、そこをどうされるか。  私は、この問題を取り上げたのは、一つは、こういう不正が行われておるからけしからぬという義憤を感じて取り上げたんですけれども、同時に、この人だけじゃないと、もっと全国たくさんの被害者がおるはずです。それをどう救済してこういうことの起こらぬようにするかと、その点を明らかにしたいということで取り上げたわけですけれども、その点具体的にどうするか。すぐいまあなた方が思いつかれるなら、どうするかということをお答えになっていただきたいし、あるいは検討して後日答えていただくというならそれでも結構だけれども、やはりその場所を設けて、しかもそれを契約者に周知させると。たとえば約款を見せなければならぬということは法律に書いてある。と同じように、もし契約に異議があったらどこそこへ行きなさいというようなことがちゃんと説明されるようなシステムをつくる必要があるんじゃないか。私そういうことでお聞きしたんですが、その点についてお答え願いたいと思います。
  190. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 先ほど答弁申し上げましたように、建設省におきましては不動産業課、各県におきましてもそういう窓口があるわけでございますが、県庁等に行きましても窓口の係のところに行けばわかるというふうになってはおりますけれども、一般にどこへ行ったらいいかわからぬという方も多いかと思います。そのためにはやっぱりPR、広報活動をするということがまず頭に浮かぶわけでございますけれども、そのほかにはやはり当事者が当該積み立て会社契約いたします場合に、もし将来不服等がある場合にはこういうところへ行くんだ、こういうところがあるんだということをその場において徹底することが一番私はいいんじゃないかというふうにいま考えているわけでございますが、さらにそれを何が法律的なことでするといたしましてもやはり同じことでございますので、一番手っ取り早いのは、契約を当事者間に結ぶ場合に、もし将来紛争があるときにはこういうことによる、ということの注意書き等がその場で明らかにされているのが一番いいのではないかというふうに考えます。
  191. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことは、実際は効果のないことを言って逃げているんですよ。当事者間でそのくらいなことをすることのできる人ならだまされはしませんよ。一般の人というのは、本当につめに灯をともすようにして積み立てて、それでマイホーム欲しいといってやっている人でしょう。だから、そういう法律的なこととか、業界の不動産取引のいろいろな慣行とか、そういうことを何にも知らぬ人が大多数ですね。だからこそ宅建業法の改正でも約款をちゃんと説明しなけりゃいけないと。だから、この解約の問題でも私どもが行って追及してみると、約款の説明がしてないと。説明書を読んで、違法なことをしておいてこれだけ取ったらひどいじゃないかということで、返しますということになったのだから、その中にそれがあったから助かったということになると、やはりそういうものを法の中に入れて、むしろ業者の側からそのことを説明し、もしトラブルがあり不審があったら、こういうところへ訴えることができますよというようにしておけばいいんで、それをやったらどうかということなんですわ。
  192. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 約款の中に書かせるということも一つの方法だと思います。解約の場合につきましては、法律の定めるところによりまして、約款に明記して契約前に消費者に渡せということに五条、三十四条では書かれておりますし、そういった約款の中にそういうことが付記されているということが一番いいのではないかと思います。
  193. 春日正一

    ○春日正一君 それじゃそういう点をいますでに書かれておる、契約破棄じゃなくて、いま言ったこういった見積もりその他に対するトラブルについても、どこへどう処理するというようなことをはっきりさせると、法律的に——というふうにあなた方がお考えになっていただけるということでいいですか。
  194. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) その方向で検討し、そういうぐあいにいたしたいと思います。
  195. 春日正一

    ○春日正一君 それでは本論の方に入りたいと思います。  御承知のように、現在の第二次住宅建設五ケ年計画がことしで終わるわけですけれども、だから当然この国会では、この五ケ年計画というものの実績を批判的に検討して次の五カ年計画をより完璧なものにしていくということがひとつ大切な仕事になっておると思うんです。そういう意味で幾つかお聞きしたいんですけれども、この五カ年計画実績ですね、これが大体進捗状況どういうふうになっていますか。特に公営、公団住宅建設のおくれがひどいと思うんですけれども、その打開についての考えも含めて聞かしていただきたいと思います。
  196. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 第二期の住宅建設五カ年計画が終了いたしますのは昭和五十年度でございます。昭和五十年までのところにつきまして、来年度計画戸数が完全に消化できるということを前提といたしまして推定をいたしますと、公的資金によります住宅が進捗率八三・三%、それから民間自力の建設住宅が九六・一%、両方合わせまして、まことに残念でございますけれども九一%の進捗にとどまる見通しでございます。これは先生おっしゃいますように、特に公営住宅、公団住宅、これはいずれも大都市において計画される住宅でございますけれども、それが予定よりも相当ダウンをいたしております。全体の計画を引き下げる方に働いております。したがいまして、われわれといたしましては、東京、大阪等大都市におきまして、そういうふうな建設抑制要因を排除するということを一つの予算の大きな柱にいたしております。  その一つは、やはりそういうものが一遍にできますと、関連公共公益施設、学校だとか保育所だとかというようなものについての地方公共団体の財政負担が過重になるという点がございます。したがいまして、従来も建てかえ制度等についてそういう点を進めてまいっておりましたけれども、中身といたしまして特に一段と強化をいたしたいという点が一つでございます。  それからもう一点は、やはり東京、大阪等におきましては、先ほども申し上げましたけれども住宅建設が非常に行き詰まっております。したがいまして、国公有地、工場移転跡地等をまず活用いたしまして、そこに公的住宅を建てる。それから付近の老朽住宅もしくは狭小住宅等の中の人たちを優先的に入れまして、その跡地をやはりもう一度地方公共団体等が買い上げまして、そこで新しく半分は公営にするとか、半分はさらに住宅用地として活用するとか、いわゆるわれわれ転がしと称しておるんですが、そういうものをやりたい。特に五十年度におきましては、四十九年度からそういう事業の萌芽を出しておるわけでございますけれども、さらにもう少しその対象範囲を広げまして、大都市圏で生じます空き家の一部、それから今後新築して提供いたしますものの一部、それから公営住宅等の建てかえによりまして増加する戸数の一部、そういうものも、そういうふうなものの転がしの種に使っていきたい。  それからさらにもう一点は、やはり土地を所有していらっしゃる方々の住宅建設に対する寄与でございますけれども、従来みずから賃貸分譲住宅等をおつくりになる方には諸種の応援対策がございました。それに新しくつけ加えまして、土地を借り上げまして、そこを大いに公的住宅等の敷地に活用させていただくというような点も一つの施策として掲げております。さらに、やはり大都市圏におきましてそういうふうなものがおくれました原因の一つには、単価が適正でなかったとか規模がもう少し大きい方がよかったとかいろんな点がございます。そういう意味内容の質の向上にも十分配慮したというのが現状でございます。
  197. 春日正一

    ○春日正一君 いろいろ努力もしておいでのようですけれども、この建設省からいただいた資料を見ますと、公庫の住宅、これは一一六・六%で、いわゆるこれは個人住宅ですね、これは予定以上伸びておる。ところが、公営の方が七六・五%、それから公団が六三・五%というような形で非常におくれてしまっているという結果が出ておるわけです。だから、先ほど都営住宅の話が出て、美濃部都政云々と言いましたけれども、そういう小さな問題じゃない。政府でやっておいでになる公団だって都営よりもっとできていないんだ。これははっきりしておく必要があると思うんです。そんな次元で議論しちゃいけないということですね。  それで、これ調べてみますと、政府の住宅統計の数字を見てみますと、全国の住宅戸数は全世帯を上回っているわけですね。つまり四十八年度住宅統計調査によると三千百六万戸住宅はある。そのうち住んでおるのが二千八百七十三五尺だから二百三十三万戸余っている。しかもこれは田舎の過疎地帯だけかと思って私聞いてみましたら、東京を含めて四十七都道府県全部に余っていると、こういうことなんです。そうしますと、家の数はもう足りて余っているのに、しかも同じこの統計によると、住宅困窮世帯というのが二百七十五万、これは建設省住宅需要の統計、四十八年度に出ているんですね。そうしますと、四十四年に出発したときが三百六十万ですから、八十五万しか減っていなくて、二百七十五万戸の住宅難世帯があり、しかも住宅についていろいろ不満があって、これじゃ困るという人が一千三万戸もあるという数字が出ているわけですね、建設省の調べで。  そうしますと、結局問題は、どうしてそれだけ住宅ができて数では余るのに住宅難世帯というのが二百七十五万戸も残るのか。それから、これじゃ困るという人が一千万戸もあるのか。そこらの辺をどのように考えておいでになるのか。どう打開するのか。二百七十五万戸の住宅難世帯というのをどうして解決されるのか、そこをお聞きしたいんですが。
  198. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生おっしゃいますように、住宅統計調査の結果によりますと、住宅のストックが世帯数を全国的に上回っております。ただ、この住宅統計調査の数えております戸数の中には、われわれの方で住宅の基準として考えております九畳未満に三人以上住むのは困る、四人以上の世帯が十二畳未満に住むのは困るというふうな基準のものも含めまして、一定水準以下のものも全部戸数に入っております。たとえば東京で例を申し上げますと、三百二十七万世帯に対して三百三十九万戸、家があるという統計になっておりますけれども、これも先ほど申し上げましたけれども、その中には六十万戸ばかりの木賃アパートもみんな一戸に数えております。六畳一間で台所、便所共用というような戸数も入れました数字でございます。したがいまして、私どもで行いました住宅需要実態調査、これは主観的調査の方でございますが、それによりますと、やはり家が狭いということ、それから住宅が老朽化している、設備が不完全である、日照、通風、ばい煙、公害等がある、家賃が高いというようなことを中心にいたしまして住宅の困窮を訴えられている方が全世帯の約三五%あるというふうな状況でございます。したがいまして、これにつきましては将来は適正な規模、構造等を備えた住宅の供給を大いに促進をする。  それから特に大都会に問題多いわけでございますが、そういう場合には先ほど申し上げました転がし方式等を活用いたしまして、既存の低位水準の住宅の解消を図りながら新しい住宅の供給に努めたい。また、公共住宅につきましては、従来までやはりどちらかといいますと、抽せん方式といいますか、そういうものが主になっておりましたけれども、適正な入居管理を行うことによりまして、本当に家に困る人が入るというような管理の方便につきましても大いに力をいたしていきたいということでございます。さらに第三期の住宅建設五カ年計画を策定いたします際には、従来のように建設計画をまず決めましてだんだん地域配分を決めていくというスタイルではなくて、地域地域の実情等を積み上げましてりっぱな第三期五カ年計画をつくりたいと考えておる次第でございます。
  199. 春日正一

    ○春日正一君 結論から言いますと、昭和四十六年三月三十日閣議決定「第二期住宅建設五箇年計画」、これの冒頭第一ページにも「昭和五十年度までに、すべての世帯が、すくなくとも、小世帯については九畳、一般世帯については、世帯人員に応じ十二畳以上の居住室の規模を有し、かつ、適正な構造及び設備を備える居住環境の良好な住宅に住むことができるようにすることを目標とする。この居住水準の目標を達成するため、昭和四十六年度以降の五箇年間において、おおむね一人一室の規模を有する九百五十万戸の住宅建設を図るものとし」、こういうことになっているんですね。これは出たときにも大分その点で論議しましたけれども、しかし、この基準から見れば、五カ年計画は失敗したということを認めざるを得ないと思うんですけれども大臣いかがですか。
  200. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 理由はどうあろうとも、公庫融資は一一六%ほど伸びておりますけれども、公団が六三、それから公営が七一ですか、これは目的達成できなかったんですから、私どもは決して成功したとは思っておりません。なぜそういうことになったかということをこれからもう少し徹底的に掘り下げて検討して新しい計画をしていかなければならぬ、そう思っております。
  201. 春日正一

    ○春日正一君 私もただ政府を責めて快しとするものじゃないんで、やはり住宅問題解決のために私ども一緒に考えていかなければならぬと、そういう立場で質問しているわけですけれども、結局問題は、政府の持ち家政策というのが余り強調され過ぎて、そのために公営なり公団なりそういう公的な賃貸し住宅、良好なものがおくれてしまったという点にあると思うんです。おくれた原因にはいろいろありまして、後で触れますけれども実情を言いますと、こういうことなんですね、調べてみて。三百二十六万戸の木賃アパートの入居者の実態、これ建設省調査によっても、木賃アパートの実態調査、入居条件に子供は認めない、これが平均二三%、大阪では四三・四%、東京で一一・八%、それから世帯主の年齢は二十歳から三十四歳が中心、それから年収が百五十万円未満、これが八三%、家賃が平均月額一万二千百円、部屋数が平均して一・五室、畳にして七畳ですね、それから専用便所のあるものが四二%、台所と居室が一緒のものが五七%、浴室のついたものが一二%。木賃住宅実情というのはこういうものなんですね。しかもこれが総理府の住宅統計で見ますと、四十三年から四十八年の間に五十四万戸ふえているわけです。だから、一方では持ち家住宅、良好なあれを掲げながら、持ち家住宅を奨励して、いろいろ苦労して個人が建てているけれども、一方ではそれのできない人たちが入るための非常に設備の悪い木賃住宅というようなものがこの五年間ふえてきておる。少しでも減ってきておるというならいいんですけれども、ふえてきておるという点に私は問題があると思うんです。  それから東京の都営住宅の入居希望者はどういう人たちがという調査がありますけれども、これを見ますと、平均して年齢は三十五歳、家族数が三上二人、家賃一万五千円程度で、借家ないしアパートに住んでおる。一人当たり二・八畳、便所の共用が三七・一%、年収が百七十二万四千円以下。そうして平均申し込み回数は七回、人によっては十五回以上も申し込んだ、これが一二・三%もあるんですね。そういうふうな非常に困難しながらその状態を続けなきゃならぬような人たちがいるということですね。  ところで、住宅協会の小委員会調査したものの報告で見ますと、こういうことになっているんですね。一千万円の住宅を買う場合——これは四十九年三月号に出ているんですけれでも、年収二百二十七万五千円、居住費負担率二五%というから、これは限度だと思うんですわ。それで公庫融資を五百万受けて、民間住宅ローン二百二十八万円、年利九%、二十年償還。自分の貯金が二百七十二万円、これで一千万ですね。ところが、総理府でつくっている所得階層別のあの所得階層分位、あれで見ますと、第三分位が二百六万円、第四分位が二百七十八万円ですから、この二百二十七万五千円というのはまあ第四分位のところあたりですね。それから上へ行かなきゃ実際には一千万円の家もできないということになるわけです。  そうしますと、政府に考慮していただかにゃならぬことは、住宅問題の大前提として、自分の家は持つのが望ましいと言われたし、昔はみんな自分の家を持っておったものだけれども、現在では持ちたくても持てない人が国民の六〇%以上いるんだと。この現実を見ていただきませんと、ただ、持てれば結構だということでは、この持てない人たちをいつまでも放置することになるんじゃないか。そこに目をつけていくのがこれからの住宅政策基本になるんじゃないか。こういうものが積み残されてしまったというのが、住宅の数は余るほどできちゃったけれども、そういう困窮者が二百七十五万もおると、住宅に不満を持っている人が一千万もおるという、積み残されたというところに問題がある。ということになれば、持ちたくても、持てない人のための公的な住宅を早急にそれだけ建てて入れるようにしてあげる、そこに政策の着眼点を切りかえませんと物事はちっとも片がつかないことになる。そう思うんですけれども、その点どうですか、政策基本的な考え方として。
  202. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 細かいことは局長から答弁をさせますが、おっしゃるとおりであります。ただ五十年度、若干公庫住宅、持ち家住宅のほうにウエートがかかっておりますが、これは先生承知のように、金融公庫に対する要望が非常に強くて二回も追加したことは御承知のとおりであります。そういう意味でかなり増額された。その反面に、あの公営、いわゆる公的住宅というものが伸びなかったということです。特に三大都市圏を中心にして非常に伸び悩んだということが実態であります。東京のことを言うなというお話がありましたけれども、公営住宅ども東京都はほとんどできておりません。そういうふうなものが大きな原因になっておることは事実であります。  なぜ一体そうなったかと申しますと、やはり大都市を中心にしてまず宅地の問題が一番大きな問題、それから建設費のいろいろな上昇の問題、あるいは環境の問題いろいろありまして、私ども全力を挙げてきましたけれども、残念ながらそういう方にいたすことができなかった。おっしゃるとおりに公的住宅を、今後賃貸をどんどん特に大都市を中心にして少なくとも必要な量だけは確保するということに全力を挙げることが今後の住宅政策の重点であります。いろいろな隘路がありますから、その隘路を一つ一つ除去しながら取り組んでいくということが、これから、たとえば五十一年度を初年度とする住宅政策基本でなきゃならぬ、それを基本にして私どもは努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  203. 春日正一

    ○春日正一君 その点聞いて非常に私も話がしやすくなったんですがね、根本点は一致するということになりますから。こういうことじゃないですか、公共賃貸住宅建設のおくれの原因として、地価、資材の高騰、土地の入手難、それから関連公共施設の整備等地方負担の問題ですね。それから人口、自治体が人口抑制とか環境問題というようなものを含む地元が受け入れを拒否するというような問題があって、なかなかそこに土地があいておっても建たない。公団の場合なんかそれが非常に大きい要因になっていると思うのですけれども、そういうことなんですね。私どもこういう要因のあることは否定しないんですけれども、困難だからといって、それではこの賃貸を建てることをあきらめてしまって、持ち家のほうに重点をかけるということになったんではまずいだろうと思うのです。    〔委員長退席理事沢田政治君着席〕  ついでですから申しておきますけれども、公庫から借りて建てるとか、あるいは自分であっちからこっちから借金して建てるとかいう者の中には、やはり場所といい、面積といい、そういう意味ではいわゆる都市の正常な発展を非常に阻害するスプロール要因といいますか、そういうものもあるし、非常に土地が細分化されて、私どもは新幹線乗っていくと、伏見のあたりへ行きますと、沿線にずうっと密集住宅建ってますわ、ああいうふうな形の非常に小さな家がぐっと密集してしまって、防災上から見ても、いろいろな見地から見てやはり町づくりとしてはぐあいが悪い。だから、そういう意味では、後でもこれ触れますけれども、やはり住宅というものは都市を構成する重要な要素ですから、単に個人の好み云々というのではなくて、やはり都市計画全体の中で住宅を位置づけていくということでなけりゃまずいだろう。そういう点で公的住宅というものの役割りは非常に大きくなるわけですけれども、ところが、この五十年度の公団住宅について見ると、分譲が六割で賃貸が四割、そういうふうに賃貸のほうを少なくしているんですね。  いままでのこの資料で見ますと、あれですか、四十六年が五万八千戸賃貸、それから四十九年が四万戸、それが五十年が二万四千戸になっている、四〇%。それから分譲の方は、四十六年が二万六千戸、四十九年が四万戸で五分五分になっているのですね。今度は三万六千戸と四分六になってしまったというような形でだんだんだんだん分譲へ重点を移していくということは、先ほど言ったように、それじゃあ買えない人をどうしてくれるんだということが残ってしまうわけですね。まあ大臣もその点はお認めになっているわけですけれども、そうすると、この比率というものが、これはいまの住宅問題解決に逆行する、そういうことになる。この点は、私まあもう一度これ確認せいとは言いませんけれども、しかし、やはりさっき大臣もお答えになったとおり、公的な賃貸住宅つくって自分の家を持てない人を入れるということが一番大事なことだという点から見て、これは間違ったやり方だと、私はもうこの点を強調しておきます。分譲分譲と言って、それじゃあまずいだろうと思うのです。それからこの地価の高騰にしても、やっぱり持ち家、持ち家と言ってそれを奨励する、そういうところから、たとえば大企業なんかが調整区域を買い占めて、そうしてそこを開発するというふうなことをやるために、中間の地帯が値上がりがして、そうして今度は先ほどもちょっと言いましたけれども非常に細分化される。この間も話ありましたけれども、四十坪の土地が世田谷にあると。これ買いたいんだけれども  一人じゃ買えないから二人で買わぬかと、二十坪ずつにしちゃうんですね。そういうふうな話が具体的に出てきておる。そういう形で結局土地が値上がりしてしまって公共住宅も建ちにくくなるというような状況も出てくるわけですね。だから、そういう意味で言えば、やはり公共賃貸住宅を大量に建設して供給する。これを中心にして、そうしてそういう方向で国の住宅政策を進めていくということが非常に大事だし、だからそういう意味国民生活審議会の予測と現実というようなものを見ましても、こういうふうに言っているのですね。  昭和四十一年のこれできた十一月十五日の国民生活審議会の答申では、一人当たりの所得が現在は二十五万と、それが五十四万になり、それから九十万になると。そういう九十万になるという段階になれば、一戸当たりの面積、これが百平米ですか、それから公園面積が十四平米、下水道普及率九五%というような可能性をずっと挙げているんですけれども、しかし、実際にはそうなっていないということはこれ新聞で書いてありますけれども国民総生産は昭和五十年の予測が七十五、それが実際には百三十六と、予測を起えて伸びていると。そして個人消費の総額も四十というのが七十二・九というように伸びておる。そうして一人当たりの国民所得も五十四という予測が百五と倍以上伸びている。にもかかわらず、十人当たりの住宅戸数、これは予測として三・一伸びるのが二・九と。一戸当たりの面積が、八十六が予測されておるのが七十七しかなっていないというような形で実際には住宅というものが、政府が専門のそういう方に委嘱して研究した見通しに比べて、国民総生産、GNPではぐうっと伸びているけれども非常におくれているということが数字に出ておるし、いろいろな新聞の主張でも、住宅対策に対して、五十年度の対策に対して「後退した住宅対策」ということで、先ほどの公団住宅の戸数が減って賃貸と分譲の割合が四対六になったというような点を指摘しながら、この「住宅対策の最大の課題は、公共賃貸住宅の大量供給であることを、われわれは繰り返し主張したい。わが国の住宅対策が西欧諸国に比べてもっとも立ち遅れているのもこの点である。」と、こう言っているのですね。  それからまた別な新聞は、同じように「遠のいた住宅難の解消」ということで、「持ち家から公共借家へ——少なくとも公的資金を注ぎ込んでの施策住宅については重点を変えねばならない。高い家賃を払いながら、狭小過密、日当たりも悪い民営借家に住んでいる人たちに、その所得に応じた公共借家をまず提供することである。持ち家政策はそれからでも決しておそくはない。それにもかかわらず、賃貸、分譲の比率を逆転させ、公団住宅にまで持ち家重視の政策をとろうとする新年度の住宅対策である。困窮者を置き去りにして、政府に福祉をいう資格はない。」まあこれは別な新聞ですけれども、これは共産党の新聞じゃないのです、一般に売られている新聞です。だから、そういうふうにまで言われておるその点は、やはり真剣に考えていただいて、私は、いまからでも持ち家の比率を変えるというような、分譲とあれのというようなことはできないものですか。
  204. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) いろいろ御意見拝聴いたしました。私どもは一般世論がそういう声のあることも十分承知をいたしております。五十年度住宅政策は後退だと言われているのも、実質的に予算の単価戸数を見ますと、公営も公団も去年より減っていますからね、そういう面から考えると、確かに後退だと言われるかもしれません。現実は、第二期の計画が御承知のようにおくれましたのも、年々ずっと繰り越し繰り越しがきまして、毎年満足にできた年がないわけなんです。五十年度は最終年度ですから、これは率直に申しまして、私の考え方で、もう戸数にこだわらず最終年度は一遍全部けじめをつける、そうしてなぜ第二期が達成できなかったかということをもう一遍洗い直して、五十一年度は本当にできるものから真剣にやろうではないか、そういう意味で、最終の年ですからけじめをつけようと考えたのです。そのためには、もう五十一年、繰り越すわけにはいきませんから、完全に責任を持って、できるものをつくろう、こういうことを私は考えて、ああいうふうに実はなったわけです。  もう一つ、賃貸と分譲との問題ですが、言いわけをするわけじゃございませんけれども、一番公的住宅が隘路になっているのは、公団住宅が思うようにできないということです。これはもう都市周辺、三大都市周辺へ団地をつくっておりますがね、その関係市町村、公共団体ですかね、関連公共施設の超過負担があるということが一点、非常にきらわれているということが一点と、単なる東京のベッドタウンじゃ困る、家賃を払って東京に働きに行って、そういう意味の居住者じゃ困る。本当はそこへ住まって、名実ともに市民になってもらって義務を、責任も果たしてもらいたい。そういう意味から考えると、単なる賃貸だけの建物はだめですという非常に強い地方団体の反対があるわけですよ。そこで、少なくとも半分は分譲にするか、あるいは六割に分譲をするかということで妥協しながら、施設もしているというような実情も実はあるわけなんでして、そういうことから考えて、若干現実に合わせて処置をするために五十年度はああいうかっこうになったわけでございます。まだほかにもあります、これは局長からまたいろいろ御説明させますけれども。そういうふうなものも含めて私どもはもう一遍再検討して出直したい。こういう気持ちでございますので、ぜひひとつ御理解をいただきたいと思います。
  205. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 数字の点だけの補足をさしていただきたいと思います。  公団住宅につきまして、賃貸、分譲は逆転しているのじゃないか、方々で実は言われるわけでございます。確かに分譲が三万六千戸、賃貸が二万四千戸、そういう資料を方々に配っております。ただ、公団の立場で言いますと、公団の方から相手方へ、私の方は分譲というふうに整理をしておるものの中に特定分譲というものがございます。七千戸入っております。実はこれはアパートをつくって家主さんに差し上げる、家主さんはそれを賃貸で運用なさるというようなものでございまして、分譲住宅三万六千戸の中の七千戸は、これはまあ賃貸でございます。これは決してけちなことを言うわけじゃございませんが、それを足しますと、賃・分の比率はやはり公団は賃貸の方が多い。  それからもう一点は、同じ長期特別分譲で二万九千戸計上いたしております。これはいままでは公団では一般分譲というのをやっておりました。たとえば頭金を百万とか二百万取りまして、九分六厘で二十年というふうな分譲をやっておりましたが、それを五十年から一切やめる、全部長期特別分譲ということに切りかえております。これは当初の十年間を五分五厘ということでやりまして、そのうちのまた五年間は元金を据え置く。それから十一年目からは財投コストの八分で、あと二十年償還をしてもらうということでございまして、非常にそういうふうな賃貸階層の方も持ち家を持てるような、何といいますか成長階層の方にとりましては買いやすい特別分譲というのを、だけにしぼったわけでございます。そういう意味で、公団といたしましてもそういうふうな先生と同じような考え方を持っておりますけれども、そういうことで対処してまいったというのが実情でございます。  それからもう一点は、これも先ほど大臣からお話がございましたが、全体といたしましては公庫が伸びたということで、確かに賃・分の比率は分譲の方が多いということになっておりますけれども本当にみずから家をつくって供給する住宅公団、地方住宅供給公社、地方公共団体、そういうものが本当に家を建てて皆さんに供給する住宅につきましては、やはり賃貸が六五・六%、それから持ち家の方が三四・五%というふうに、公的資金による、本当に家をつくって提供するものにつきましては賃・分の比率はそういうふうなことになっている次第でございます  それから家の大きさでございますけれども、第二期住宅建設五カ年計画におきましては、実は四十五年度から五十年度までの間に公的住宅につきまして約七平方メートル上げる、それで一人一室を実現したいと実は当時見積もったわけでございます。しかし、これは先ほど大臣からもお話がございましたけれども、だんだん量よりも質の時代になったということでございまして、最近に至りましてどんどん上げております。五カ年間に七平方メートルと予定しておりましたが、この五カ年間に公的住宅の平均の規模増は十五平方メートル、約倍くらい予定よりもふやしているわけでございます。ただ、民間住宅につきましては、先ほど先生からも御指摘ございましたが、もう少し大きくしたかったのに七十七平方メートル平均で推移いたしまして、四十五年度と比べまして八・八平方メートルの増にとどまっているということでございます。この点につきましては、今後さらにいろんな面で応援をいたしまして、少しでも規模を大きなものにいたしたいと考えている次第でございます。    〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
  206. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、その点でいろいろ政府の苦しい事情もわかるのですけれども、しかし、この点は歴代の建設大臣、どなたでも公共賃貸し住宅は重視するということを言っておいでになった。それで、そのために具体的にはどういう処置がとられるか、いまの困難をどう打開するかということが問題だろうと思うのです。そういう意味から考えてみますと、さっきも言いましたけれども住宅というものは都市を構成する重要な要素になっている、だから住宅個人が好きなように建てるということになれば、都市の整備とか均衡のある発展というようなことはできぬわけです。だから、やはりそういう意味から見れば、都市づくりの一環として考えて、そうして住宅の規模や配置も考えなければならぬだろうし、同時に、そういうものとして国の予算を考えていく必要があるのじゃないか。そういう点から見ますと、一般会計が今度は二十一兆二千八百八十八億、住宅対策費が二千九百四十六億、それでまあ公営住宅が二千三百八十九億ですから、公営住宅だけとって見ると一.一%ですね。だから、そういう意味から言えば、住宅対策にもっと金を使ってもいいのじゃないかというふうに考えます。  それからもう一つは、やはりさっき言われた規模ですね。たとえば小家族の場合九畳と言っている、二、三人の場合。四人の場合は十二畳といらと一人三畳ですね。この間私ほかの人と話してみたのですけれども、まあアパートに入っているとして、夫婦二人、男の子と女の子が入っている。これがかなり年が成長してきますと、やはり少なくとも三部屋は要るだろう。夫婦の部屋と男の子の部屋と女の子の部屋と要るだろう。それにみんなで一緒にテレビを見たり何かできるような部屋もいるということになると、最低やはり三DK、できればまあ四DKくらいは欲しい。そういう住宅の、やはり人間が実際住んだ場合どうなるかということから考えて基準をきめて、それに接近していくためにどうするかということを考えるような行き方でないと、いつまでたってもさっき言ったような基準で一人三畳当たりあればいい、それにお勝手も入るのだそうですね、あの計算では。ダイニングキッチンというのは私は入らないのかと思ったら、あれも入るのですね。そうすると一人三畳じゃこれはどうにもならぬですわ。だから、そんなみみっちい住宅設計の目標を掲げてやるというのじゃなくて、やはり十分な面積をとってやるし、同時に、いま言いましたような公営住宅との関連、町づくりという関連から言えば、公営住宅あるいは公団住宅との関連の公共施設ですね、これが一番問題になるのですけれども、これに対する補助というようなものを政府としてしっかり確立して、大きな補助を打っていく。そのことで地元が喜んで受け入れられるような条件をつくるというようなことをしませんと、これはやはりいかないのじゃないか。  例を申しますと、東京都の場合、こういう要望をしているんですね。国に対して「人口急増に悩まされている区市町村は、財政需要増大に対する自衛策として「宅地開発指導要綱」等を制定し、住宅建設そのものに拒絶反応を示している。とくに都営住宅の入居者は、低所得層であるためその反発は著しく、道路、公園、学校等の関連公共公益施設の事前の整備に対する要望が強い。これに対する国の財政措置は、なんら講じられていないのでとくに住宅建設に先行して整備できるよう措置する必要がある。」ということを東京都は要望事項として挙げておるわけですけれども先ほどあなたの方からも話があったけれども、つまり地方へ出て行って、そこで家賃払って住んで東京へ出て行く人じゃ困ると、自分の物を持って固定資産税払ってくれなきゃ困るという、地方の事情はそうですけれども、じゃその払えない人はどうするかと、貧乏人はもういつでも後回しにされるということになるわけですから、こういうふうな意味で、関連施設に対する国の補助、そういうようなものを制度として私は確立する必要があると思うんです。例を言いますと、東京都の場合、さっき東京都の住宅建設はずっとおくれたというふうに言われておったんですけれども、ずっとそういう意味の補助を、東京都がそういう施設をやるようになってきている。四十九年度では百二十五億出してますわ。その結果、若干公営住宅が盛り返してきている、そうでしょう。若干盛り返してきている。そういう傾向が出ておるはずです。これは明らかにその問題解決すれば公営住宅は盛り返すことができるということを一つ萌芽的に示しておると思うんですね。だから、そういう点で、やはり大臣としてもぜひこの公営住宅というものを町づくりの一環として考えていくという、関連公共施設に対する国の補助という制度を確立するということをやってほしいと思うんですけれども、その点どうですか。
  207. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 五十年度予算で確かに住宅、一般会計はおっしゃるとおりです。しかし、これは公団、公庫ほとんど財投でやっておりますから、それを合せますとやはり二兆五千億くらいの予算になるわけでして、これは恐らく予算のあれでは一番財投を含めますと大きな額になるんじゃないかと思っております。もちろんそれで一般会計十分だとは思っておりません。おっしゃるような公営関係の補助を考えていくなれば、これは一般会計はもっともっと伸ばしていかなきゃならぬ、そういう考え方持っております。私どもは一番いま心配しておるのは、公営にしても公団にしましても原価主義でございますから、そうすると新しく入ってくる人はやはり高い家賃を払わなきゃならぬということになるわけで、そのために傾斜家賃制度とか応能制度とかいったものがいろいろと研究されていることは事実であります。特に公営住宅の問題については、同じ公営住宅で以前に入った人は率直に言って五十円の人もある、東京都には百円の人もある、二千円以下の家賃が二万五千戸もある、そういうふうな状態であります。その東京都で新しく公営住宅をつくりますと、やはり二万円近くかかるでしょう。とてもそういう人は、そう所得からいってそれではいけないでしょう。これは私は率直に言って、かなり減額家賃にして、それをどういう形で援助するかはこれは検討しなきゃいけませんけれども、私は大いに援助する必要があると思うのですよ。  それを地方公共団体や国が全部やるということが必要なのか、あるいは場合によっては——きょう私はけさ朝日新聞に、「不正使用目立つ都営住宅」というのを、これを実は見たわけです。これを見ますと、都営住宅の中には中身が入れかわってしまって、あるいはほとんど空き家になっているものもある。入れかわっている人は、その中には非常に所得があって、もう自分では別にマンションを買うて入っている、それで自分の親戚の者をはめておるというような事例がある。何百件、何十件もあると出ております。そういうふうなものを——東京都に限りません、私は地方自治体にもあると思うのですから、こういうことをもう少しみずからの責任で整理をしてもらいたいと。そして説得すれば私はわかってもらえると思うから、所得のある人はもう少し家賃を……。これは五十円、百円なんて、いまごろナンセンスですから、もう少し説得すれば私は協力してもらえると思います。そういう人に協力してもらって、そこから捻出するものを新しく入ってくる人のための補助金にも使用する、それに国や自治体も考えるといったような、何かみんなが一つになってこの問題解決つけるように私は努力しなければならぬじゃないかと思いますし、これは決して他人に転嫁しようと思っておりません。責任は責任で十分考えていきますけれども、そういう面でひとつ春日先生の党の方でも、そういった面でもひとつ御検討をいただくようにお願いをいたしたいと思います。
  208. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 私から数字の補足をさせていただきます。  先生おっしゃいますように、住環境整備に重点を置くべきだということはまことに至極当然だろうと思います。額はわずかでございますけれども、既存の公営住宅団地の環境整備、住宅地区の改良整備等につきまして新しい補助金を新年度からつけるようにいたしております。  それから予算の規模は全体では確かに一一・五%ぐらいでございますが、大臣から申し上げましたように、財投のための利子補給金がその中に相当入っております。今後も大いに努力してまいりたいと思います。  それから規模のお話が出たわけでございますが、公営住宅におきましても、先ほど申し上げましたように、ここ二、三年大分規模を上げてまいりましたので、昭和四十六年ごろまでは2DKがほとんどだったわけでございますが、最近に至りまして、たとえば昭和五十年におきましては提供いたします公営住宅の六〇%が3DKということになります。特に中層のものにつきましては七〇%を3DKで供給したいと思っております。それから公団住宅はほとんどが3DKで、一部4DKも入ります。それから公庫につきましては、現在までに実績を調べてみますと、公庫の融資を受けてお建てになっている家はいずれも九十平方メートル以上、地方によりましては百平方メートル以上というのが大分出ておるのが現状でございます。  それから関連公共公益施設につきましては宅地開発公団、それから住宅公団、金融公庫、それぞれ建てかえ施工について格段の措置を講じたわけでございますが、いま先生からお話のございました、特に都道府県営住宅が管下の市町村もしくは区等におきましてそういうふうな関連公共施設の整備のためにボイコットをされるという点について格段の努力をすべきだという御指摘がございましたけれども、それにつきましても、五十年度から地方債四十億円、国費五億円、地方費五億円、全体五十億の規模でまだまだ不十分ではございますけれども、当面そういうようなものを府県営の住宅を建てます際に、地元市町村もしくは区にかわりまして都道府県営住宅の施工者が建てかえ施工できるという制度を発足させることにいたしておる次第でございます。
  209. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、そういう五十年度から利子補給制度ができて、地方債の枠が四十億と利子補給の枠が五億ということですけれども先ほど言ったように、東京都は四十七年三十五億、四十八年が五十七億、四十九年、百二十五億というふうにずっとふやしていっているんですね。そういうのに比べますと非常に足取りが遅い。本当に全国ですからね、これは、五億っていうのは。非常に足取りが遅いということになるわけですわ。で、先ほど上田委員も言われたと思いますけれども、日本は衣食は十分足っている、住宅がまさに最もおくれているんだ、自民党の中からそう出ているんですから、これは全体のコンセンサスはできると思いますね。だからその点は、私は五億の制度でもできれば一つの足がかりになりますからいいとして、とにかくこれでは余り少な過ぎるということですね。  それで、この住宅の質を向上するという問題について言いますと、先ほど言いましたけれども、政府の住宅難世帯の定義というものをやはり変えてもらう必要があるんじゃないかと思うのです。あの定義に入っているのを見ますと、非住宅、全部——これはもちろん非住宅ですからだめ、同居が全部、それから老朽、危険または修理不能のもの、このほか大修理を要するものが三割入っておるわけですけれども老朽、それから狭小過密、これが先ほど言った二、三人世帯で九畳未満、四人世帯で十二畳未満というこの水準ですね。それから設備共用というふうなものはこれは入っていない、この中に。そういうふうな基準で住宅難世帯というのを出して、それが二百七十五万も入っておる。四十八年度の住宅需要実態調査結果というのを見ますと、住宅困窮世帯ということで千三万世帯が出ておりますけれども、その理由として挙げておるのは、住宅が狭いためというのが、四二%が四十八年の調査では五〇%というふうにふえてきていますし、老朽が一九%、これが一三%に減っている。それから設備の不良九%。それから日照、通風、これが五%から六%にふえている。それから高家賃、これが五%から四%に減っていますけれども、公害、五%から四%に減っている。こういうような割りで住宅が狭いというのが半分、その他老朽、設備不良、日照、通風が悪い、高家賃だ、あるいは公害があるというようなことで、それで住宅がこれじゃ困るという人が千三万世帯あるということですね。そうすると、こういうものは政府の挙げた二百七十五万の中には全部入ってないわけですわ。だから、この定義を改めて住宅難を見直してはどうか。この点が一つ。  それから良質の住宅の新規供給、現存の不良住宅の改善、良好な居住環境の形成に役立つ住居の水準、住環境の水準というものを明確にして、そういう立場から進める必要があるんじゃないか。この点では四十二年の住宅審議会の住宅の質についての中間報告というようなものも出ております。こういう水準以下の新規住宅建設は規制するというようなふうなものにして、公共住宅はもちろん大企業にも守らせる、既存の住宅についても水準を著しく下回るものはその改善を住宅計画の中で位置づけて、それができるように公共的な援助をしていくというような形で住宅の質を高めていく、このことと住宅難世帯の解消の問題を一緒にしていかぬとまずいんじゃないか、そういう気がするのですけど、その辺の考え、どうですか。
  210. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生おっしゃいますとおり、第二期五カ年計画ではまだ先生おっしゃいましたような水準でやっておるわけでございます。ただ、現在第三期の五カ年計画につきまして、住宅統計調査、需要実態調査等の成果を縦、横、斜めにいま分析中でございまして、それらのものを対象に、先ほど申し上げましたように、地方公共団体等からの積み上げ等も参考にいたしまして新しい五ケ年計画をつくりたいと思っているわけでございます。それと同時に、水準につきましては現在別途小委員会をつくりまして鋭意検討中でございます。必ず第三期におきましては水準の引き上げを行いたいと考えている次第でございます。  それから住環境の整備につきましても、やはり水準を決めたらどうだという御提案でございますが、確かに住宅対策の主要課題が、単に住宅建設すれば足りるということではなくて、環境のよい大きい家をという時代になっております。したがいまして、そういうふうな環境、条件等につきましても、十分そういうようなものを中に織り込むべきであるとわれわれ考えております。考えておりますが、大変むずかしい問題もまだ控えております。十分前向きに検討して、できる限り努力したいと思っている次第でございます。
  211. 春日正一

    ○春日正一君 それで、もう一つの問題は、やはり住宅難解決の問題として、一つは新しく建てるという面だけでなくて、いまあるもの、いわゆるストック対策と言われている問題、これがあると思います。いままでの住宅政策では新規供給が中心でストック対策は実際上こう横にやられてきておったということですけれども、今後はフロー対策だけでなくて、周囲の環境づくりと一体となった既存の住宅の改善、これを重視することが必要になってくると思います。特に東京その他大都市では非常に過密な古い住宅地帯というようなものがあるわけですね。だから、そういう意味でストック対策が重要になってくると思う。それで、建設省でも転がし方式というようなことを最近はしよっちゅう言われているんですね。大都市ではそれをやっていくということで、住環境整備モデル事業というようなことも建設省お考えになって概算要求したようですけれども、これは削られて調査費だけということだけれども、これはいいことだと思いますよ。だから、これはぜひ実現するようにしてほしいと思うんですけれども。  そこで、新しい五カ年計画づくりの場合、居住地域環境整備計画がやられる必要があるんですけれども、やはりこういうこの既存の住宅地帯の非常に狭小過密地帯といいますか、そういうようなところを改善していくということをやるためには、やはり町づくりとその中での住宅改良の計画は、その地域の住民がやはり立案過程から参加して民主的につくり上げられていくということがどうしても必要だし、これはその方式をやればできるというふうに思います。で、最近の例で言えば、立川の南口の区画整理、これは十年以上前から問題になっておって、地元の人たちがもう絶対反対だということでやってきておった。それで、その後立川市が中に入って市と専門家と、そうして住民の代表とを入れて立案過程から、ただ住民のエゴが出るというだけじゃなくて、専門家がこの町はこうつくった方がこういいんだというような助言もしながら、住民がそれを受けて検討して、この問題どうしてくれるというようなことで、何回も練り直して大体同意が得られて計画ができて、いま実行計画の認可を求めているというようなところまで来ている。だから、そういうふうなことをすれば非常に何年も時間かかるようだけれども、実際にはまとまるし、まとまればさっさといくしということで、急がば回れじゃないけれども、早くいくわけですね。そういう例は大阪の豊中市の庄内というようなところの例も、非常にスプロールで過密になっている、これに対して府、市、それから専門家、住民、これが対策委員会みたいなものをつくって、そうして練り上げていって改善をしていくというような方向を出しているというふうな例があるわけですね。  だから、そういう意味から言えば、やはりこれからは特に転がし方式というようなことを言われたし、私もこれは大事なことだと思うけれども、転がしていくためにも、たとえば工場の空き地へ団地を建ててこっちへ入りなさい。ここをそれじゃ転がしますという、そのときにみんなが喜んで団地へ入って転がるかどうかという問題は、結局そこにかかってくるんじゃないか。そこに住んでいる住民が初めから話に参加して、しかも自分たちだけじゃなくて専門家も入って、地震が来たらこうなるぞ、火事が起こったらこうなるぞ、だからこうせにゃならぬというようなことも出しながら、それじゃ自分たちの方の利害関係どうなるかということを織りまぜながら練り上げていくような住民参加という形がどうしても必要になってくるんじゃないか。そうしなけりゃ本当の都市改造を含めての住宅問題の解決というようなことはできないんじゃないか。そういう意味で公聴会の民主化というようなこともありますけれども先ほど言いましたような住民の代表と学者、専門家、それに地方自治体というようなものを加えたそういう協議会方式というようなものをつくってやっていくというようなことを政府として積極的に進めるということが必要なんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点どうですか。
  212. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 一番先におっしゃいました住環境整備事業でございますが、先生おっしやいますとおり、事業化については一年待つと、この一年間に調査費を四千万ほどでございますが、われわれはいただきまして、その金によりまして、そういうようなものにつきまして、新しい手法といいますか、そういうものについての事業化のための調査を行うということで四地区について実施をしたいと考えております。  それから先生おっしゃいますように、転がし事業等につきまして既成市街地内の住環境整備を進めるためには住民の協力が不可欠であることは言うまでもございません。したがいまして、地方公共団体に対しましては、住民の意向を十分反映しながら仕事をやってもらいたいと協議をしてまいっておりますが、先ほど申し上げました住環境整備計画策定のための調査等の中でも、例のアメリカで最近やっておりますモデル・シティー・プログラム等のような手法も加味しながら、住民の皆さんの意向を計画に生かす手法を検討したいと思っておるわけでございます。ただ、いろんな意味で、一人でも反対すればできないということでは困りますので、そういうようなものの民意を正しくつかむ手法をこういうことによりまして模索しておるということでございます。
  213. 春日正一

    ○春日正一君 一人でも反対すればと言うけれども、周りの住民がみんなで相談してやりましょうということになってくれば、反対する率というのはうんと少なくなるんですよ。だから、そこらの辺は、一人でも反対すればできないんじゃ困るから官として高圧的にやるというようなふうに受け取られないように、やはり住民側の大多数が、それはいいことだ、やりましょうとみんなが言うんなら、おれもまあ賛成せざるを得ぬだろうということになって納得するような、そういう立場でやはりこの問題は考えていかなければ打開できない。いままではその弊害があったんですよ、一人でも反対すればできないというようなことじゃしょうがないじゃないかという形で多数決で押し切っちまうみたいなですね。だからそこらは、そういう点で考えてもらわないと、何かその話聞くとちょっとひっかかるんですね、私。どうもよくわかってもらえてないのかなあという感じがするわけですわ。   それからもう一つは、やはり都市のストック対策として改造していく場合の手法を制度化していく上で、住宅そのものは別に取り壊さなくてもいいと、周りの環境その他を整備すればいいという場合もあるでしょうし、これから住宅も一定の修復を必要とする場合もあるでしょうし、全部クリアランスしてしまって再開発しなければならぬという場合もあるでしょう。こういうことはその地域の実情に沿って多様に適用できる手法がやっぱり準備されていませんとできないわけですから、そういう点で言えば都市再開発法、これはまあ私どもできるときにもずいぶんいろいろ問題を出して反対はしたんですけれども、しかし、やっぱりこの都市再開発法にしても、それから住宅地区改良法、これは相当いいところありますけれども、これなんかでも結局全部きれいにしちゃって建て直すという形のものですね。  だから、それだけの法律では、いま言ったように、保全して環境整備すべきものとか、修復しながら環境整備すべきものとか、いろいろ多様なものに対応できないということになりますから、やはりそういうものに適用できるような手法というものを明確にしていくことが必要なんじゃないか。たとえば転がし方式にしてもいろいろ工夫はされているけれども住宅改善の助成というような誘導策が不十分だとなかなか転がらぬという問題も出てくるわけですし、住環境を総合して整備するというようなことも制度的には確立されていないわけですし、計画を民主的に策定するというようなさっきのような問題も制度的にはまだ確立されていない。こういうような点を考えていくことが非常に大事になってくるし、そしてそういうためには、住環境整備を伴う事業としては、子供の遊び場だとか、買い物広場だとか、集会場だとか、保育所、老人ホーム、緑地、いろいろその地域によって整備の対象も多様になってくるし、だから地方自治体がその実情に合わせて事業を行って、国は一つの地区について総合して補助金を出すという、そしてそれを地方自治体が選択的に使えるようにするというような工夫が必要なんじゃないか。たとえば公園つくるなら幾ら出す、何するなら幾ら出すというように、いま縦割りでずっと補助が出ているわけですけれども、そうじゃなくて、一括して、この地区の整備をやる、そのために一括して幾ら出す、それを地方自治体が老人ホームにするか、あるいは保育所にするか何にするかということは、自治体の裁量に任せるというような形で補助を出すようなことをこれは考えていけば、自治体の意欲というものも出てくるわけですし、そういう形での都市の整備と住宅建設というものが進行していくようなことになるんじゃないかと、そう思うんですけれども、それらの辺についてひとつ政府の考えを聞かせてほしいんですが。
  214. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生がおっしゃいました、いわゆる総合補助制度みたいなものでございますが、これはまさに現在アメリカでモデル・シティー・プログラムということにつきまして、法律に基づきましてそういうようなものを実験的にやっておる最中でございます。われわれの方も、そういうようなことにつきましては、いろんな意味で大変参考になるということで現在勉強を始めております。そういうような手法も取り込んで先ほど申し上げました住環境整備事業調査をやってみたいというのがわれわれの最近の考えでございます。ただ、そのうちで、転がしでございますけれれども、これは予算の補助ということにしておりまして、相当何でも使えるというようなふうにしております。地方公共団体とも協議をいたしておりますが、移転跡地の整備のための費用だとか、外へ出られる人の移転補償費だとか、利子補給金だとか、それから高くなる家賃の差額の補給金だとか、いろんなものに使えるいわばメニュー的な補助を転がしではやりたいということで予算補助を考えておるわけでございます。
  215. 春日正一

    ○春日正一君 これで私の質問終わったわけですけれども、私がこの質問を今度の国会の冒頭でやったというのは、最初に申しましたように、五カ年計画が一区切りになって、その計画に照らして結果が明らかになったという時点でやはり問題点を指摘して、次の五カ年計画をつくる中にそういうものを取り入れて、そして住民の要望にこたえられるようなものにしていくことが大事だし、今度の国会ではそこを議論して、はっきり政府にそういう気持ちをわかってもらうことが大事だろうということで、まず、少し先走ったようですけれども、これは現実の問題として、都市の改造の問題にしても、あるいは賃貸し住宅建設の問題にしても、いまどうしても必要だし、そこを避けて通れないようなことになっておるということがこの結果からわかっておるという前提に立って私申し上げたわけですわ。だから、そういう点を十分くみ取ってことしの住宅政策も進めていってほしいし、同時に、この次五ヵ年計画つくるときには、こういうできませんでしたという結果にならぬようなものにしてほしいと、このことを要望して私の質問を終わらせていただきます。  それについて大臣の所感があれば一言聞かせておいていただきたいと思います。
  216. 仮谷忠男

    国務大臣仮谷忠男君) 春日先生の御意見、非常に貴重な御意見、私どもの参考になりました。いろいろと局長からも御答弁申し上げておるんですが、最後の方のやはり住宅は単に住宅対策でなしに都市計画の一環として考えなきゃならない、そのためには一人でも反対があればやらないじゃなしに反対のないように住民も一諸になって相談しながらやるべきだという考え方、全く同感であります。実は一連のお願いをしている法案にしましても、都市再開発法あるいは大都市地域における宅地の特別措置法、そういったものの中にも土地区画整備促進区域を設けるとか、住宅街区促進区域を設けるとか、やっぱり地元住民と十分話をしながら都市計画の一環としてさらに住宅対策を考えていこうと、こういう一つ制度としては私どもも持っておるわけでありまして、十分検討して努力をいたしてまいりたいと思いますし、そういったひとつ法案についても御協力を賜るようにお願いをいたしたいと存じます。
  217. 小野明

    委員長小野明君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十一分散会      —————・—————