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近藤忠孝君 いま長官が行政はてきぱきと進むものではないと、そして、恐らくその部分に批判があったのじゃないかという趣旨から御答弁されたのですが、私が指摘したいのはもっと以前の問題なんです。というのは、行政がてきぱきと進むもの以前として、むしろ企業の側に立って住民の前に立ちはだかって、そしていわば盾の役割りを果たしておった、弾よけの役割りをしておったというようなことが現に指摘されたわけです。これは判決の翌々日ですが、三井も負けたが行政も負けたと、こういう大きな見出しで新聞記事が出たわけです。これは環境庁じゃなくて県の段階なんです。県知事が地元県
——被害者の県知事でありながら、被害者の
立場に立って本当に救済をしていくという
立場よりはむしろその運動や裁判の進行等々、抑える
立場に立っておったのではないか。さらに被害者がイタイイタイ病の裁判の救済だけではなくて、さらにカドミウム汚染田の復元を求めるという、こういう大きな運動の前にむしろ立ちはだかっておった。また、あるいは先ほど申し上げた企業への立入
調査につきましては、これは住民が県と三井金属の間で協定した協定書の中で住民の立ち入りも認めてもらいたい、こういう要請をしたけれども県がけった。それが住民の直接交渉によって実際には協定書を締結した。そうなりますと、いままで住民の前に、むしろ間に入って立ちはだかっておったものが
——住民が判決で勝ち、その後の翌日の交渉によっていわばみんな自分の力で実現したということは、これはむしろ行政、これは県知事でありますけれども、県知事が盾の役割りを果たしておったのがこのことによって負けたんだ、こういう指摘さえされているわけです。ですから私が申し上げたいのは、この段階で
昭和四十七年の環境白書が出た段階では、単に行政がてきぱきとやっておったという後から後追い行政程度ではなくて、もっともっと住民にとってはまずい
状況があったんじゃないか、こういった指摘がされておったということ、これを申し上げたいわけです。
そこで、これはこれで結構ですが、さらに申し上げたいのは、いま申し上げたカドミウムの土壌復元問題、これは前にも
質問したことがございますけれども、公害によって振りまかれた被害、これは企業の力によって完全にもとどおりにきれいなたんぼにしていく、公害のない
状況をつくり上げていくことこそ本当に公害の根をなくしていくことになりますし、企業がそこまで
責任を持つことによって企業としても今後公害を出さないという、こういった確固としたものをつくり出していく、そういう社会的
状況をつくる上で必要であると
考えるわけであります。そして現に同じ日のこの新聞の中でもこの問題に触れまして、被害者みずからが要求して実現した企業の負担によるカドミウム汚染田の全面的復元、その対策事業をどう行っていくかということが問題である。そしてこれに対して県はどうこたえていくかむずかしい問題であるが、住民サイドに立った積極さが望まれよう、ということが行政も負けたというこの記事の中に書いてあるわけです。
ところが、それから間もなく三年になろうとしております。先日、長官のもとに現地被害住民の人が大勢参りまして、そして実際に県の段階でどうもこの復元事業は進まない、そこで何とか進めるようにしてもらいたいということで陳情に参りました。その場で長官からは幾つかのいい御答弁をいただいたのでありますけれども、この場でもう一度確認したいと思うわけであります。
まず第一に、いまだに地元の県では、この地域も含めたその全体の地域の土地利用計画、それが優先するのであって、それが決まらなければこの復元事業には入れない、こういったことを申しまして、実際にこれを進めていくことの
一つの大きなネックになっている、こういう指摘があったわけであります。これについて長官としてはどのようにお
考えであるか、まず御答弁をいただきたいと思うのであります。