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1975-01-23 第75回国会 参議院 決算委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十年一月二十三日(木曜日) 午前十時六分開会
—————————————
委員
の
異動
一月二十二日
辞任
補欠選任
市川
房枝
君
野末
陳平
君 一月二十三日
辞任
補欠選任
寺下
岩蔵
君
上條
勝久
君
神谷信之助
君
内藤
功君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
前川
旦君 理 事 今泉 正二君 鈴木 省吾君 園田
清充
君 小谷 守君 委 員 石本 茂君 岩男 頴一君 遠藤 要君
上條
勝久
君
河本嘉久蔵
君 木内 四郎君 小林 国司君 望月 邦夫君
茜ケ久保重光
君
案納
勝君
久保
亘君 小山 一平君 二宮
文造
君 峯山
昭範
君 加藤 進君
内藤
功君 田渕 哲也君
野末
陳平
君
国務大臣
大 蔵 大 臣
大平
正芳
君
政府委員
大蔵政務次官
梶木 又三君
国税庁次長
磯辺
律男
君
国税庁
直
税部長
横井 正美君
国税庁調査査察
部長
渡邊 喜一君
事務局側
常任委員会専門
員 佐藤 忠雄君
説明員
会計検査院事務
総局第一局長 高橋 保司君
—————————————
本日の会議に付した
案件
○
昭和
四十七年度
一般会計歳入歳出決算
、
昭和
四 十七年度
特別会計歳入歳出決算
、
昭和
四十七年
度国税収納金整理資金受払計算書
、
昭和
四十七
年度政府関係機関決算書
(第七十二回
国会内閣
提出
) ○
昭和
四十七年度
国有財産増減
及び現在額総
計算
書(第七十二回
国会内閣提出
) ○
昭和
四十七年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
(第七十二回
国会内閣提出
)
—————————————
前川旦
1
○
委員長
(
前川旦
君) ただいまから
決算委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 昨二十二日、
市川房枝
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
野末陳平
君が選任されました。
—————————————
前川旦
2
○
委員長
(
前川旦
君) 次に、
昭和
四十七年度
決算外
二件を議題といたします。 本日は、
大蔵省関係
の
審査
を行ないますが、本件につきましては昨年十月二十五日に第一回
審査
を行なって以来十一月十四日、十五日、二十六日及び二十七日と集中してこれを行なってまいりましたが、本日もこれらにあわせて
審査
を
続行
いたします。 なお、本日の議事の進め方につきましては、前回までに各
質疑者
から出された
田中
前
内閣総理大臣
の
資産
問題及びそれらに関する
企業
についての
資料
の
提出
並びに
委員会
中
委員
から
国税庁当局
に対し再
調査
を要求した諸問題をあわせて取り扱うことといたしましたが、これらに対する
国税庁当局
の
調査結了
が三月一ぱいかかる見通しとなったため、
理事会協議
の結果、現時点における
中間報告
を聴取することで
大平大蔵大臣
及び
磯辺国税庁次長
からその
説明
を求めることとした次第であります。したがいまして、本日の
質疑
もその
中間報告
を基盤として
各党質疑
を行なうことで意見が一致いたしました。 以上、簡単に御
報告
いたしましたが、
委員各位
の御
協力
をお願いいたし、これより直ちに
大平大蔵大臣
の
説明
及び
磯辺国税庁次長
の
補足説明
を聴取いたすことにいたします。それでは、
大平大蔵大臣
。
大平正芳
3
○
国務大臣
(
大平正芳
君)
田中角榮
氏並びにその
親族
など及びその
関連企業
として
指摘
されております
法人
に関する
課税関係
の
見直し
のための
調査状況
を御
報告
するに先立ちまして、
委員各位
に一言お
断わり
を申し上げたいと存じます。 昨年十二月二十三日の
参議院予算委員会
におきまして
内閣総理大臣
から申し述べましたとおり、
政府
としては、
国会
の
国政調査活動
が十分その目的を達成できるよう、
政府
の
立場
から許される
最大限
の
協力
をなすべきものと考えており、今回の
報告
もそのような考え方に基づくものであります。ただ、国の
財政収入
の大半を支え、かつ
納税者
の
協力
を
前提
とする
税務行政
の
性格
上、個々の
納税者
についての
申告
、
調査
の
内容等
、詳細にわたることは御
報告
をいたしかねる場合が多いことをあらかじめ御了承いただきたいと存じます。 そこで、
見直し調査
の
状況
について申し上げますと、
調査
はなお現在
続行
中でありまして終了しておりませんが、
東京国税局
及び
関東信越国税局
を
中心
に多数の
職員
を動員し、
田中
氏本人の
所得
のほか、
親族
、
秘書等
の
関係者
数名の
所得
並びに
室町産業等
の
関連企業
といわれるものの
所得
につき、
申告
・
課税
の
状況
が適正かどうかを詳細に
調査
いたしております。 現
段階
までに把握したところでは、全体として特に問題とすべき大きな
誤り
は発見されておりませんが、
所得計算
にあたっての
誤り
、あるいは先方の
処理
と
税務当局
の
解釈
との
食い違い等
が見受けられましたので、それらについては、なお
念査
いましておるところであります。
国税当局
といたしましては、さらに引き続き
調査
を
続行
し、三月中を目途に
結論
を出し、これに基づき適正な
処理
を行なうことといたしております。 以上、
見直し調査
の
概況
を申し上げましたが、なお
事務当局
より
補足説明
をいたさせます。
前川旦
4
○
委員長
(
前川旦
君)
磯辺国税庁次長
。
磯辺律男
5
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
田中角榮
氏並びにその
親族
及びいわゆる
関連法人
についての
調査
の
概況
につきまして、ただいま
大蔵大臣
のほうからその概要を御
報告
いたしましたが、命によりまして、その
補足説明
をさしていただきます。
田中角榮
氏並びにその
親族
及び
関連企業
として
指摘
されております
法人
に関する
課税関係
の
見直し
の
調査
につきましては、ただいま
大蔵大臣
から申し上げましたとおり、現在のところ
調査
はまだ
続行
中でございまして終了してはおりませんけれ
ども
、現在までの
調査状況
は以下申し上げるとおりでございます。 まず第一に、
調査
の
概況
でありますが、
調査
を担当していますところは
東京国税局
、
関東信越国税局
の直
税部
及び
調査部
が
中心
となっております。もちろんこれは両局にまたがり、また
国税局
、
税務
署に
関連
することでございますし、また事案が当
委員会
はじめ、
国会
でもいろいろと論議され、また国民の方々の非常な関心を呼んでおる事項でございますので、
国税庁
が全体の
調査
についての指揮をとっております。したがいまして、これの担当の部局は
国税庁
も一枚というよりは
総合調整
並びに指導に当たっていると申してもいいかと思います。 このような
調査体制
のもとに現在までのところこの
調査
に従事しております
人員
は、
国税庁
、
東京国税局
、
関東信越国税局
、その
職員
を合わせまして、一日に平均約二十人を動員しておるというのが、ただいままでの実績でございます。 なお、
調査
に際しましては、これは
一般
の
法人
あるいは
納税者
の方に対する
調査
と同様に、
関係者
の出頭を求めまして事情を聴取する、あるいは
関係帳簿書類
を
提出
していただく、それからまた、
各種
の
資料証拠
、それを
提出
していただくというふうなかっこうで
調査
を進めておりますが、必要に応じ、またいろいろの現地に参りまして
現場確認
を行なう、そういった
調査
を続けております。
調査
の
対象
といたしましては、だいま
大臣
のほうから御
報告
いたしましたとおり、
個人関係
につきましては、
田中角榮
氏ほか、当
委員会
あるいは新聞、
雑誌等
で取り上げられました
関係者
数名についての
所得税
、
贈与税
についてであります。また
法人関係
といたしましては、当
委員会
で昨年、私のほうから御
報告
いたしましたとおり、
新星企業
、
室町産業
、
パール産業
、
東京ニューハウス
、
浦浜開発等
、いわゆる
田中角榮
氏との
関連
が濃いと思われる
会社
につきまして、これは直接に
調査
をいたしております。それからまた、この
調査
に
関連
いたしまして、
取引先
あるいは
反面調査
、それからまた
資産
の移動、売買、そういったことが行なわれておる
会社
十数社についても、その
法人税
につきまして
見直し
の
調査
を
続行
いたしております。
調査
の
対象
となります期間としましては、
租税債権
の遡求し得る五年以前にさかのぼって詳細に
調査
いたしておりますけれ
ども
、必要に応じまして、その以前の時期につきましても
補完調査
をいたしております。 次に、
調査
の
重点項目
であります。これにつきましては、まず
個人
の
所得税
それから
贈与税等
につきましては、これは御
承知
のように
個人
の
所得
といいますのは、
国会議員
としての
歳費収入
、あるいは
関係会社
からの給料、あるいは
顧問料
、それからまた
関係会社
を退職したときに受領する
退職金
、そういったものからなっておるというのが、これは
通例
よく見られる例ではございますけれ
ども
、
田中角榮
氏の給料与
所得
についても同様なものからなっております。したがいまして、そういったいわゆる
給与所得
につきまして、その
各種資料
を総合する、あるいは支払った先の
関係会社
の
帳簿
を調べる、そういったことによりまして受領しております
給与
の
申告漏れ
がないかどうか、それからまた、
給与所得
あるいは
退職所得
、そういったものの
混淆
がないかどうか、もちろん
給与所得
、
退職所得
の
計算
は
税務
上違いますので、その
混淆
があり、あるいはその区分が適正に行なわれていませんと
所得
並びに
税額
に影響がございます。そういった
意味
におきまして、
給与所得
の
内容一つ一つ
を洗い、出されましたその
資金
の
性格
、それを検討し、その結果
給与所得
として、それを区分するものが正しいかどうか、そういったことについての検討をいたしております。 それから、当
委員会等
でも問題として
指摘
されました
競争馬
にかかる
収入
がございます。これは御
承知
のとおりでございますが、この
競争馬
にかかる
収支
というものは、実は
計算
として非常に複雑でございます。これについて
雑所得
として
計算
するのが
通例
でございますけれ
ども
、そのほか馬の
減価償却
であるとかいうようなこと、それから馬を
譲渡
したとすれば、その
譲渡所得
がどうなっておるかというふうなこと、それから厩舎に委託しておりますから、そういった
競争馬
を管理、維持するための
各種
の
経費
それが適正に
計算
されているかどうかというふうなこと、そういったことにつきまして、これもまた詳細な
調査
を
続行
いたしております。もちろんその
前提
といたしましては、その
競争馬
にかかる賞金、あるいは副賞としての
各種
の品物でございますね、そういったものが適正に計上され、
申告
されておるかということを
念査
するというのは、これはもちろん大
前提
でございます。 それから、また
雑所得
といたしまして、やはり、これは
田中
さんのみならず、
一般
の人、特に
国会議員
の
先生方
には多い事例でございますけれ
ども
、やはり
原稿
をお
書き
になる、それからテレビ、ラジオに御
出演
になる、そういった場合の
原稿料
、それから
出演料
、これはもちろん
雑所得
でございます。で、そういった
雑所得
の支払い、それの
裏づけ調査
をいたしまして、それが適正に全部
申告
され、計上されているかどうかということもこれまた私
ども
の
調査
の
対象
となっております。 それからさらにまた、いろいろと問題になりました、たとえば目白の
田中邸
の中に
東京ニューハウス
の敷地がある、それを
田中角榮
氏が
無償
で使用しているんではないかと、つまり
関連企業
から
利益
を享受しておるではないか、こういったものに対する
課税関係
はどうかというふうな御
指摘
もございました。したがいまして、私
たち
は、この
東京ニューハウス関係
のみならず、いわゆる
関連企業
、それからまたその他の
関係会社等
から経済的な
利益
を享受しておるのではないか、あるとすればどのようにその
経済的利益
を算定すべきか、その結果、これをどういうふうに
処理
すべきかということもまた
調査
の
重点項目
の
一つ
となっております。 それからさらに、これはまた
政治資金
の問題であります。私
ども
の
政治資金納付
にかかります
課税
というのは、御
承知
のようにこれは
雑所得
として
計算
いたすことになっております。
政治資金
として受け入れられました
資金
、それが
政治活動
として支出される、そういった場合にはそこの
収支
はゼロであります。したがいまして、
政治資金
の流入がいかに大きいからといって、それが直ちに
課税
の
対象
になるものではございませんで、これが
政治活動等
のための
資金
としてそれが外部に出る限りにおいてはそれは全部差っ引かれる。したがって、それは
収支
ゼロであるか、あるいは場合によってはそれが赤字になるというふうなこともあろうかと思います。したがいまして、
政治資金
の
課税
ということが
雑所得
として
課税
が行なわれますのは、その
政治資金
というものが
私的財産
の
形成
につながってきたといったような場合に
課税
の
対象
になるということはこれは御
承知
のとおりでありますけれ
ども
、そういった
意味
で
政治資金
というものが
個人
の
資産形成
につながっていないかどうか、それも詳細に
調査
いたしております。 それからこれは全般的なものでございますけれ
ども
、
所得計算
いたしますときには
収入
から
経費
を引く、そしてその残りが
所得
として
課税対象
になるということでございますが、その
経費
の引くについての引き方が正当であるかどうか。また、逆な
意味
において引き足らないものもあるのではないか。たとえば
原稿
をお
書き
になる、本をお出しになる、そういった場合のいわゆる
原稿料収入
というものは直ちに
収入金
がそのまま
課税対象
になるのではございませんで、それに対する
各種
のいろいろな
調査
のための
費用
とかそういったものは当然差っ引かないかぬわけでございますけれ
ども
、そういったいわゆる
マイナス要因
、そういったものも適正に
計算
されているかどうかということも同時に、これは
漏れ
だけではなくて、適正な
経費
が引かれているかどうかということもあわせて検討いたしております。 それからまた、
税額控除
、つまり
配当等
ございました場合には、その
源泉
で引かれました
税額
というものは、当然
総合申告
でいたしますときには納付すべき
税額
からすでに
源泉
で徴収されました
税額
を引くというたてまえでございますけれ
ども
、そういった
税額控除
が適正に行なわれて、最終的な
税額
は正しく
計算
されているかどうか、それも
調査
の
対象
でございます。 そのようなことを通じまして、当
委員会等
でもいろいろと御
議論
になっております問題について私
ども
は深く
調査
を続けておるということを申し上げたいと思うのであります。 以上は
個人
の
所得税
それから
贈与税
の問題でございますが、
法人関係
について申し上げますと、いわゆる
関連法人
と申しますのは、不動産の
取得
とか、売却、保有、そういったのが
中心
でございますけれ
ども
、その
法人
につきまして
土地建物
の
取得価格
あるいは
譲渡
の
価格
というものが適正かどうかということ、これは
当該法人
の
所得内容
を
調査
する場合についてのまず第一の眼目であります。そこに
低額譲渡
というものがないか、あるいは
高価買い入れ
というものがないかというふうなこと、これは私
ども
の
調査
の
対象
の大きな柱でございます。 それから
株主
、当
委員会
でも非常に
議論
をされましたいわゆる
株主
の問題でありますけれ
ども
、その
株主
というものがすべて
真正
の
株主
であるかどうか、それは
真正
の
株主
のほかにいわゆる
名義株
というものがあるのではないか、それからまた、
名義株
があるとすれば
真正
の
株主
はどれどれであるか、どれどれの
株主
というものが一体どういうふうな
資金
繰りによってその
増資払い込み資金
に応ずることができたかといったような観点から
株主
の
実態把握
、それを私
ども
は続けております。 それからこれは
田中角榮
氏の、
会社
から受けたと思われます
経済的利益
、それの問題のうらはらになるわけでありますけれ
ども
、
会社側
のほうから
個人
に対して
経済的利益
を与えたということになりますと、それが今度は
法人税
のほうにまたはね返ってまいります。それをどういうふうに見るか、
経費
として見るか、あるいは
寄付
として見るか、いろいろな
見方
があろうかと思います。たとえばある
会社
が一定の
土地
を持っていましてそれを
個人
に
無償
で貸したといったような場合、それは
個人
については当然経済的な
利益
を受けるわけでありますから、それは
所得
に加算して
課税
の
対象
となります。しからば
無償
で貸し与えた
法人
のほうの
所得計算
はどうなるかと申しますと、やはりこれは
寄付
行為と
——寄付
ということに見られるかと思います。したがって、そういった
意味
におきましては
当該法人
の
寄付金
として
限度計算
をし、その
限度
を越えたものであれば
課税
の
対象
になるというふうなことでございまして、これは
法人
、
個人
間のそういった
経済的利益
の
供与
についての
課税関係
を
法人
の面からも洗っておるわけであります。 それからこれは全般的にいえることでありますけれ
ども
、収益及び
費用
の計上というものが正当であるかどうかということ、これは
法人税
の
調査
をするにあたって私
ども
が
調査
の
対象
にするということは当然でございます。そういったことを通じましてただいま
法人
の
調査
をいたしております。 以上のようなその
調査
は、
最初
に申し上げましたとおり、原則として過去五年間にさかのぼっております。それからまた、必要に応じまして五年以前にもさかのぼって、当時の
資料
あるいは
関係者
の
供述等
についてできるだけの
調査
をいたしておるわけであります。このような
調査
をいたしておるわけでありますけれ
ども
、現在まだ引き続き
調査
を進めております。最終的なまだ
結論
は出ておりませんけれ
ども
、
大臣
の御発言のとおり、現在までのところ特に大きな非違が発見されたというふうなことは私
ども
は
承知
いたしておりません。ただ先ほどるる申し上げましたとおり、
各種
の
計算誤謬
であるとか、あるいは
ミス
であるとか、あるいは
税務当局
との
解釈
の
食い違い
、そういったもの、具体的に申しましたならば、そういった
関係会社
から受けました
利益
の
供与
、そういった点につきましてはやはりこれは
一つ
の
ミス
とも言えましょう。それから同時に、これについての
税務当局
と当人との間の
解釈
の違いということも含まれるかと思います。そういったことを
中心
といたしまして、その
申告所得
につきましての若干
——
若干といいますか、それはいろいろな
見方
があろうかと思いますれ
ども
、
ミス
があるということは事実でございます。したがいまして、私
たち
はそういった事実につきましてさらに
念査
をし、その
解釈
、取り扱い、
処理
、そういったものについての
結論
を急いでおる
段階
でございます。ただいまのところこの
調査等
は三月一ぱいをめどということにいたしておりますけれ
ども
、私
ども国税当局
の、
事務当局
といたしましては、漫然と日を延ばしておるという考えは全然ございません。特に
第一線
の諸君は、
通常
の
事務処理
のほかに、この新しく出ました
田中角榮
氏の
課税関係
、その問題についての、思いがけないといいますか、
仕事
がふえたわけでございます。そういった
意味
で、
通常
の
事務処理
のほかにさらにこの
仕事
に鋭意取り組んでおるわけでございまして、その
意味
におきましてもできるだけ早くこの問題を
処理
いたしまして、
国税
というものの
仕事
についての
納税者各位
の御信頼を得たいというふうに私
たち
は心から願っております。 で、この席上におきまして具体的な数字にわたることの御回答ができないということは非常に残念でございますけれ
ども
、しかし、私
ども第一線
の
職員
がこの問題については真剣に取り組んでおるということを御了承をいただきまして、どうかよろしくお願いいたしたいと、かように考えております。 以上をもちまして、簡単でございますけれ
ども
、
中間報告
の
補足説明
をさしていただきます。
前川旦
6
○
委員長
(
前川旦
君) 以上をもって
説明聴取
を終わります。
—————————————
前川旦
7
○
委員長
(
前川旦
君)
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 ただいま、
寺下岩蔵
君及び
神谷信之助
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
上條勝久
君及び
内藤功
君がそれぞれ選任されました。
—————————————
前川旦
8
○
委員長
(
前川旦
君) それでは、これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御発言願います。
久保亘
9
○
久保亘
君 私は
最初
に
大蔵大臣
に、
守秘義務
と
国政調査権
の
関係
について、先般
参議院予算委員会
において
統一見解
を示されておりますその
内容
について、本日の審議と
関係
がありますので、
最初
にお尋ねをいたします。
統一見解
の第二項で述べられております
守秘義務
と
国政調査権
の公益の
比較考量
について、今日問題となっておりますいわゆる
田中金脈
の疑惑については、これは
一般論
としてではなくて、具体的な
ケース
に対して
判断
を求められている問題であると考えております。
三木総理大臣
はこの問題について、第一次的
判断
は
大蔵大臣
にゆだねてあると申されておりますので、
大平大蔵大臣
は、このすでに
ケース
がきまっております
田中金脈
の問題についてこの
統一見解
をどのように
判断
をされておるのか、その点についてお尋ねいたします。
大平正芳
10
○
国務大臣
(
大平正芳
君)
久保委員
の御
質疑
の御真意がどこにあるのか、ちょっと私に十分くみ取れないところがあるかもしれませんけれ
ども
、私といたしましては、
総理大臣
が言われましたように、
政府
の
立場
で
国会
の
国政
の御
調査
に、許された
最大限
の
協力
をしなければならぬと心得ております。 で、その場合、いま
田中角榮
氏の場合が
具体的ケース
として出ておるじゃないかという御
指摘
でございます。これは仰せのとおりと心得ております。この場合、
田中
さんは一
納税者
という資格において本
委員会
でたとえば取り扱っていただけるか、それとも、
総理大臣
あるいは著名の
政治家
という
立場
において特に問題にすべき人なのか、そういう
国会
が取り上げられる場合の基準というふうなものがおありになるだろうと思うのであります。で、いままで私が伺っておるところにおきましては、申すまでもなく
田中
さんは
内閣総理大臣
であられた方でございますので、単なる一
納税者
というのでなくて、この方の財産問題はできるだけ詳細に解明すべきであるというお
立場
が
国会
においてとられておるお
立場
であろうと思うのであります。 そこで、ところが私
ども大蔵省
あるいは
国税庁当局
といたしましては、
田中
さんもそういうお
立場
にある方ではございますけれ
ども
、税制の上から申しますと一
納税者
にすぎないわけでございまして、四十八年度
申告納税人員
は八百万おるわけでございますから、そのうちの一人にすぎない。で、それを取り扱うために
申告所得税関係
の定員は約一万名おるわけでございますから、私
ども
、この問題について
誠心誠意見直し
の
調査
をいたすわけでございますけれ
ども
、この問題にバランスを失したエネルギーを使うということもいかがかと思うのでございまして、具体的な
ケース
の
判断
といたしまして、いま私と
国税当局
が
補足説明
いたしましたようなところで、
精一ぱい見直し調査
をやっておりますと、
具体的ケース
につきまして。で、それは今日の置かれた
状況
のもとにおいてこの
具体的ケース
を
処理
いたすところといたしましてはたして妥当かどうかという御
判断
をいま私はこの
委員会
に求めておると思うのでありまして、こいねがわくは、私といたしましてはこの
具体的ケース
につきまして、
国税当局
といたしましては精一ぱいやっておるつもりでございまするし、また、この問題について、これを粗漏にするというようなことをやったのではとても全国民の信頼を
国税当局
につなぎとめることはできないこと、先ほど
磯辺
君が申したとおりでございますので、
国会
におかれましても私
ども
の誠意のあるところを御了得いただいて、御理解を賜わりたいというのが私の心境でございます。
久保亘
11
○
久保亘
君 私が質問をしていることに的確にお答えいただきたいと思うんです。私は、
国税庁
がいま
見直し調査
をやっていることについて聞いているのではなくて、
見直し調査
をやっていること、あるいは過去に確定
申告
をされたものやその
調査
資料
などについて、
国会
が
委員会
として
調査
をしたいので
資料
の
提出
を求めてるわけでしょう、そのことについて
統一見解
が示されたんです。だから、その
統一見解
において、国益の
比較考量
によって
判断
されるとなっておるんです。国益の
比較考量
によって
判断
されるという場合に、この
田中金脈
と総称されている
田中角榮
氏の財産
形成
やあるいは
申告
課税
にまつわる疑惑については、国益、公益という
立場
に立ってどう
判断
をされるのですか、ということを聞いてるんです。
国政調査権
がどこまで認められるべきであるとお考えになっているかということを私はお聞きしているんです。どうもあなたの答弁は要領を得ませんので、次のことを聞きますが、その第三項に「
政府
の
立場
から許される
最大限
の
協力
を」したいということを申されております。で、きょうもまたあなたの
最初
の御
説明
の中でそのような
立場
からきょうはここに
報告
をするということを述べられておるんでありますが、一体「
最大限
の
協力
」というのはどこまでを「
最大限
の
協力
」とお考えになっておるんですか。具体的にはこの
委員会
が
調査
の必要上求めた
資料
が数多くありまして、その
資料
はいまだに未
提出
のままになっております。で、その
資料
がなければ
委員会
の審議に、
国政
調査
に非常に支障があるとわれわれの側は主張しているわけであります。で、それらの点について、この具体的な
ケース
について具体的にお答えにならなければ、「
最大限
の
協力
」の
立場
に立って考えておるということは単なることばにすぎない。むしろ、
守秘義務
をたてにとって
最大限
の非
協力
を行なっている、こういうことになりはしないかと思うんであります。だから「
最大限
の
協力
」というのをどの範囲でお考えになっておるのか、具体的にお答えいただきたいと思うんです。そのお答えをいただくにあたって、先ほどあなたが
田中角榮
氏を一
納税者
として見るか、
政治家
として見るか、
総理大臣
として見るかということについてお話がありましたけれ
ども
、私は
国税局
が
田中角榮
氏の納税について事務的に
処理
していく場合には、きびしく一
納税者
としての
立場
で当たらなければならぬと思っております。しかし、その政治的責任というものが追及される場合にはおのずから問題は別であります。そこに
国政
調査
の問題があるわけであります。で、
三木総理大臣
は口ぐせのように、「信なくして立たず」ということを言われる。また、副総理の福田さんも「保守革命に賭ける」という今度の総裁を目ざされた著作の巻頭に、「信なくして政立たず」と書かれておるんです。あなたからいただきました「新しい社会の創造」という冊子がありまして、去年私が
国会
へ参りましたときに一番
最初
にいただいたパンフレットでありますが、これを見ますと、この中にもあなたもやっぱり同じようなことを言われておるんであります。で、どういうことを言われているかといいますと、いま国民に対して課題の解決に対しての同意や
協力
を求めるならば、その
前提
となるべき
政治家
自身の姿勢がまず問われにゃならぬということをあなたは演説されたでしょう。そういうような
立場
に立って考えるならば、政治の信頼というものの基本となるべき
政治家
の姿勢というものについては、私はおのずから一
納税者
としての問題ではなくて、国家の大きな
利益
、国民の
利益
という
立場
に立って、問題はその真実が明らかにされなければならないと考えているわけです。で、
田中
さん自身も十一月十一日の記者会見で、私も専門のスタッフをそろえていま事実
調査
を逐条的にやっている、何にも違法なこともやっておらぬし、地位利用もやっておらぬ、必ずこの疑惑を国民の前に晴らしてみせると、こう言われておるんでしょう。それならば、あなたはもっとこの問題について
国政
調査
に対して積極的に
協力
する、その具体的な中身を通して、「
最大限
の
協力
」というものを実証しなければいかぬと、こう思うのですが、その点について
大蔵大臣
のお考えをお聞きしたいと思います。
大平正芳
12
○
国務大臣
(
大平正芳
君)
久保委員
もいみじくも言われましたように、
田中
さんも
納税者
の一人でございまして、あなたと私との見解違いません。したがいまして、この問題、
国税当局
を御信頼いただきまして、
田中
さんの
課税
、財産
形成
という問題につきまして
国税庁
が
見直し
をいたしておるわけでございますので、それを全幅的に御信頼をいただきたいと私は思うのでありますが、
守秘義務
は
国会
に対して
政府
側が事実を隠蔽するたてに使うものではないわけでございまして、税法上
税務
官吏に守るべき義務として
国会
の立法を通じて課せられておる責任なんでございまして、
田中
さんの場合であろうとどなたであろうと明らかにできないことはできないという
立場
を貫いておりまするし、それなるがゆえに
国税当局
というのはそれだけの国民の信任を私は得ておると思うものであります。したがって、衆参両院におきましてこの問題につきましてはひとつ
国税当局
を信頼してやろうということもひとつの態度であろうと思うのでありますし、ぼくはそれをこいねがっておるわけでございます。 で、ところが、いま
久保
さんも言われましたように、
田中
さんはしかし
内閣総理大臣
であられた方でございまするし、この
ケース
は政治問題として非常に大きな問題となったわけでございますから、できるだけ
国会
かこの問題の実相を掌握されて解明し、政治の信頼というものを確立しなけりやならないということを思われることは私は当然の道行きであろうと思うのであります。したがいまして、一方において
国税当局
としては
守秘義務
を持っておると、しかし一方においてそういう
国会
の御要請を受けておるこういう
田中角榮
の財産問題という
具体的ケース
がここに出てきたわけでございまするので、これについて「
最大限
の
協力
」をするということでございます。それで、いま私
ども
がいたしておりまする御
協力
、そしてこれから御
質疑
を通じてこちらが解明を申し上げることを
政府
が
最大限
の御
協力
を申し上げておる具体的な実行であるというように御理解をいただきたいと思います。
久保亘
13
○
久保亘
君 そうすると、具体的にお聞きいたしますが、結局ですね、
守秘義務
があるからいま当
委員会
か求めている
資料
の
提出
には応じられないと、こういうことですか。
大平正芳
14
○
国務大臣
(
大平正芳
君)
資料
の御
提出
に応じられるものもございますれば、御
質疑
に対しまして答えられるものもありますし、答えられないものもあるわけでございます。で、ただわれわれは、いま精一ぱい、
補足説明
を通じて明らかにいたしましたように、この問題につきましては、前からもうしろからも、縦からも横からも、歴史的な経過からも、事案については非常に克明な
調査
をやっておるということでございまして、それの数字的な詳細な
説明
は
守秘義務
の
関係
上できないけれ
ども
、言わんとするところ、訴えんとするところは
久保
さんのお気持ちにも訴えるところがあったのではないかと私は思います。(笑声)
久保亘
15
○
久保亘
君 それでは、私はまだいまの問題についてもう少し
大蔵大臣
の所見を伺っておきたいと思うのですけれ
ども
、時間の
関係
もありますから、先ほど
国税庁
から
見直し調査
の
中間報告
がなされております問題について具体的に数点のお尋ねをいたしたいと思います。
最初
に、この
調査
を直接指揮しているのは、先ほど御
説明
がありましたけれ
ども
、責任者になっている者、この
調査
の全体的な取りまとめと指揮をやっている責任者はだれか、それをお知らせいただきたいと思います。
磯辺律男
16
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
税務
の執行に関することでございますので、
国税庁
長官であると申してもよいかと思います。ただ、具体的な
調査
にあたりましては、先ほど申し上げましたように、
東京国税局
では直
税部長
と、それから
調査
第三
部長
、それから
関東信越国税局
におきましては、直
税部長
と、それから
関東信越国税局
は
調査部
と査察部が一緒になっておりますから
調査
査察
部長
ということになっております。それから、
国税庁
でこの問題を担当しておりますのは
国税庁
の直
税部長
と
調査
査察
部長
でございまして、それを全部統括しておりますのが
国税庁
の次長の
磯辺
でございます。
久保亘
17
○
久保亘
君 次に、
調査
対象
となっている
——
先ほど
個人
については
田中角榮
氏とその
関係者
数名、こういうふうに申されました。
企業
については、当面五社とそれに
関係
してくると思われる十三社、こういうふうに先ほど
報告
されておりますが、その五社については
企業
名をあげられております、それから、
個人
については
田中角榮
氏だけをあげられております。いま
調査
されております
個人
の名前と十三社の
企業
名をお知らせください。
磯辺律男
18
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 先にお答えいたしますけれ
ども
、
法人
につきましては、十三社ではない、十数社と申し上げたのでございます。その点は、御訂正いただきます。
個人
につきましては、
田中角榮
氏、それからこれは私
ども
が
調査
をしておりますというのは、必ずしもその人
個人
の
所得
について疑念があるという
意味
ではございませんで、その中には
田中角榮
さんの
所得
の
内容
調査
についてはいろいろと
関連
が出てくる、あるいは
裏づけ調査
をしなきゃいかぬというふうな
意味
におきまして
調査
をしておる方もおられるわけでございまして、ですから、そういった特定の人の名前を全部申し上げるというのはいかがかと思いますけれ
ども
、よく
国会
でも御
指摘
になられ、それからまた、いろいろと報道機関でも取り上げられておられる方々、つまり秘書の山田さんであるとか、それから入内島氏であるとか、それから佐藤昭氏であるとか、それからまた、越山会の
関係
の
職員
の方であるとか、そういった方々が
中心
になっております。それから、必要に応じまして、その先、その裏というふうなかっこうで
調査
をいたしております。 それから、
関係
法人
につきましても、これも
個人
についてと同じように必ずしも
当該法人
の
所得
に問題があるというわけではございませんが、そのほかここで、かつて当
委員会
で私のほうから御答弁申し上げましたが、
田中
土建、それから日本電建、それから国際興業、それから新潟交通、越後交通、国際不動産、そういったところがいま
中心
となっております。
久保亘
19
○
久保亘
君 先ほど
調査
にあたっては、直接
関係者
に出頭を求めて事情聴取を行なったり、あるいは
資料
の
提出
を求めたり、
帳簿
の査察をしたりということを申されておりますが、この
個人
や
法人
について直接出頭を求められた方の名前をお知らせください。
磯辺律男
20
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
法人
につきましては、主として山田氏でございます。
久保亘
21
○
久保亘
君
個人
ですか。
磯辺律男
22
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
法人
の
帳簿
書類等について
内容
をお聞きする場合に、直接お聞きしているのは山田泰司さんでございます。この方が
関連企業
の会計責任者ということになっておりますので、主として山田泰司氏というのが
法人関係
については
中心
でございます。もちろんそのほかにも若干サブ的な補助的な方はおられますけれ
ども
、そういった方でございます。 それから
個人
につきましてはただいま申し上げましたような方の出頭を求めて聞いております。
久保亘
23
○
久保亘
君 いま申されたような方ということになりますと
田中角榮
氏に対しても出頭を求められておりますか。
磯辺律男
24
○
政府委員
(
磯辺律男
君) ただいままでのところ
田中角榮
氏には出頭を求めておりません。しかしこれは必要と認めた場合、あるいは
田中角榮
氏に直接お聞きしなければわからないといったような問題がございましたらそのときには
田中角榮
氏に直接事情をお聞きするということになろうかと思います。
久保亘
25
○
久保亘
君 それはたいへんおかしいんじゃないですか。先ほど
大蔵大臣
は、
田中角榮
氏といえ
ども
一
納税者
として取り扱うのであって、何ら区別をして扱わない、こう言われておりました。
一般
にはこれらの問題で
調査
をされる、特き特別
調査
が
見直し
という形で行なわれるような場合にその
申告
者本人についてその出頭を求められないというのは非常におかしなやり方じゃありませんか。
磯辺律男
26
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
通常
私
たち
が社会的に非常に御多忙な人の
個人
の
所得
について
調査
いたしますときは、
通常
そういった方には秘書の方がおられます。したがってまず秘書の方にほとんど接触いたしましてずっと
内容
をお聞きするというのが
通常
でございまして、最終的にはその秘書でわからない、会計責任、会計の担当者でわからないといったような問題になって初めて本人にお会いするというのが、これは
田中角榮
氏だけではなくて、はなはだ恐縮でございますけれ
ども
、
一般
に
国会議員
の
先生方
等について
調査
いたしますときにはたいがいもう秘書の方で済ましているというのが実情でございます。
久保亘
27
○
久保亘
君 そういうことだとさっき
大蔵大臣
が言っておられる、
国会議員
といえ
ども
総理大臣
といえ
ども
一
納税者
であることには何ら変わりはない、
税務当局
としてはそのような
立場
で厳正に当たっていると言われることが違ってくるじゃありませんか。
国会議員
は特別扱いにするということをあなた方きめているんですか。
磯辺律男
28
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
国会議員
の
先生方
を特別扱いしておるという
意味
じゃございませんで、社会的あるいはいろんな公職につかれたり社会的に御多忙であるとか、あるいは公職につかれてなかなかお時間をいただけないといったような場合には御本人そのものの時間のつくのをお待ちするよりはその事情をよく知っておる秘書の方であるとかあるいは会計の責任者であるといったような方にお会いしていってずっと
調査
を先に進めていくというのが一番能率的でございます。それで、最終的にもそれでわかればよろしいのですけれ
ども
、なおかつ御本人に聞かなければわからないような問題が出てきた場合には無理にその御本人のお時間をいただいてそこでお聞きするというふうなことをやっておりまして、それは何も
田中角榮
氏を特別扱いにするというわけではございませんで、私
たち
の
調査
というものを能率的に運ぶための方法でございます。これは
一般
にそういった方法をとっております。
久保亘
29
○
久保亘
君 あなたがいま言われたことは全国の
税務
署のいろいろな
調査
について、多忙な方については秘書や代理人をもっていろいろ
調査
をすると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
磯辺律男
30
○
政府委員
(
磯辺律男
君) それは最終的な
調査
でございませんで、その秘書について事情をお聞きしたり、
説明
を求めたりするということでございます。したがいまして、正式に言いましたならば、当該御本人の
税務
につきまして
国税局
の
調査
に応じ、それからまたいろいろと
説明
を求めるというのは資格のある税理士であるとか、あるいは弁護士であるとか、そういった方でなければならないことでございますけれ
ども
、ただ、その前
段階
としていろいろな事情をお聞きしたり、あるいは数字の疑問点をお聞きしたりするような場合には、やはり御当人の
内容
を一番よく知っている方についてお聞きして固めていくというやり方をとっておるわけでございます。
久保亘
31
○
久保亘
君 この場合は普通の確定
申告
について
調査
をされるという場合とは違うんですよ。
最初
は、あなた方は十月の
段階
では確定
申告
の
調査
などは適正に
処理
されている、こういうふうに答えられているわけです。十一月になってから再
調査
を始めていると言われている。そして、
見直し調査
について
中間報告
をしなければならないような状態になってきている。そういうような問題について、
申告
者本人に一ぺんも会わないという
調査
がありますか。しかも、
申告
者のほうは記者会見を通じて天下に、おれは専門のスタッフを通じて逐条ごとに
調査
さしていると大みえを切っておられるんですよ。だから、そういう方に来てもらって、ちゃんと事情を聞かれたらいいじゃないですか。何かこわくてやれぬのですか。非常に多忙だと言っておられるけれ
ども
、私
たち
が新聞でお見受けするところでは、ちょいちょいゴルフにも行っていらっしゃるし、一日お休みになればいいじゃないですか。そういう時間がとれないということは、疑惑はおれが晴らすと言われたことと全く違ってくるんですよ。だから、
田中角榮
氏に出頭を求めて、そしていま
国税当局
が疑問に思っていることについて事情聴取を行なわれるべきだと思いますが、どうですか。
磯辺律男
32
○
政府委員
(
磯辺律男
君) そういった必要が生じた場合には、私
ども
は
田中角榮
氏直接御本人につきまして事情聴取する考えでございます。
久保亘
33
○
久保亘
君 ぜひいま言われたとおり、特に五年もさかのぼって
見直し調査
をやられる問題です。本人に出頭を求めて事情聴取を行なわれるように希望いたしておきます。 それから、先ほど実地
調査
の中には現地
調査
を行なっているということを言われておりますが、現地に立ち入り
調査
を行なわれているとするならば、特にこの目白台の
田中
私邸については、その中に
企業
所有の
土地
な
ども
含まれておりますので、当然これらの地域については現地立ち入り
調査
を行なわなければ事情を正確に把握することができないと思います。そのような立ち入り
調査
が行なわれたものだと思いますが、いかがですか。
磯辺律男
34
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 目白邸にはまだ立ち入り
調査
いたしておりません。私
ども
のいままでの
調査
では、目白台の家の地図といいますか、そういった書面上で全部それを
調査
いたしております。もし現地に行きまして、どうしても現地で見なければ微妙な点の解決並びにその
結論
が出にくいといったような場合には、当然目白邸にも参りまして、現場で見ていくつもりでございます。しかし、現在のところは地図あるいは図面、そういったところで
調査
ができておりますので、まだ目白邸に、現場には行っておりません。
久保亘
35
○
久保亘
君 先ほど
法人
と
個人
の貸借
関係
については、得べかりし
経済的利益
について、また
経済的利益
の享受について、
課税対象
として把握されることになると、こう言われている。それならば地図の上でどこからどこまでが
東京ニューハウス
の
土地
であるかなどというようなことを調べてみたってわからないでしょう。現実に
田中邸
の中における
東京ニューハウス
の所有する
土地
はどのように利用されているのか、境界はどうなっているのか、その中にいかなる構築物があるのか、そういうことについてあなた方が実際に確かめることなしには
結論
が出せないんじゃありませんか。だから本人も呼ばない、
田中
さんの私邸には立ち入ることもできない、そういうことであなた方が一
納税者
として厳正な
見直し調査
をやっているということは言えないんじゃありませんか。立ち入り
調査
やられますか。
磯辺律男
36
○
政府委員
(
磯辺律男
君) これはいずれそういった必要がありましたらその現場に行きまして邸宅の
状況
であるとか、あるいはお庭の
状況
であるとか、そういったことを現場で確認並びに、まあ何といいますか、図面だけでなくて五感をもって認識するということが必要な場合があるかもしれません。そのときにはもちろん私
ども
は現地に行くつもりであります。ただ、いままでのところは、たとえばその
田中邸
の中に
東京ニューハウス
の
土地
がずっと細長く入っておりまして、もと私道になっておったところですね。それがずっと入っております。それから同時に写真で見ますと池のあります庭の南側のほうの斜面になっておるところでございます。そこにも若干の囲いがございまして、そこにはまた芝生など植えまして、まあ斜面でございますけれ
ども
、ある程度の散歩道路ができるというふうなかっこうで利用されておるということはこれはもう私
ども
は
承知
しております。そういった場合にその
経済的利益
、その算定につきましてはそういった周囲の
状況
ということももちろん必要でございましょうけれ
ども
、そのところのいわゆる評価額、評価額というものはこれは
税務
署のほうで全部この周囲は把握しておりますから、その評価額に対しましての何%というのを普通賃貸借契約のときには毎年の賃借料として払うのが
通例
であるということが、これはいろんな
各種
の事例も集めておりますから、その平均の賃借料というものを基準にして面積にかけて、それだけの経済
利益
の額を算定するといったような方法がとれるわけで、現在そういった作業はいまやっております。
久保亘
37
○
久保亘
君 もしこれが
田中
さんでなかったならばあなた方は当然先ほど言われた現地
調査
の
対象
として取り扱われたんじゃありませんか。
税務
署というのは普通全国ではそのようにして納税の適正を期せられているはずです。今回の場合だけはこれだけ多くの疑惑が
指摘
されているにもかかわらず、なぜ遠慮しているのか知りませんが、
田中
さんの家だけは地図でいろいろわかりますからもう現地に行く必要はないと、そういうような言い方では、私は通らぬと思うんです。これは
国税庁
として必要な管轄の署とともに
田中邸
の立ち入り
調査
をやるかもしれないじゃなくて、やりますということをあなた言えませんか。
磯辺律男
38
○
政府委員
(
磯辺律男
君) おそらく最終的にはそういうことになろうかと思います。
久保亘
39
○
久保亘
君 それでは次に、現
段階
において大きな
誤り
は発見されていないが、
計算
の
ミス
やいろいろこまかい
誤り
がありますと、こういうことを言われておりますが、現
段階
で不正
計算
や
申告漏れ
があって、税金の更正処分を行なわなければならないような事態がすでに発見されておりますか。
磯辺律男
40
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 最終的な
結論
は出ておりませんけれ
ども
、私
たち
のいままでの
調査
では、更正処分といいますか、あるいは修正
申告
を求めるかといいますか、そのやり方はいろいろございますけれ
ども
、当初の
申告
納
税額
に変更を加えるという措置を講ずる必要のある問題というのは現
段階
において発見されております。
久保亘
41
○
久保亘
君 大体まあ推計されるところでその更正額はどれぐらいになるか、見当つきませんか。
磯辺律男
42
○
政府委員
(
磯辺律男
君) その数字について具体的にここで私のほうから御答弁いたしますことにつきましてはお許し願いたいと思います。またその数字につきましても現在検討の
段階
でございますので、はなはだ恐縮でございますけれ
ども
、ここでお答えするということは非常にむずかしいかと思います。
久保亘
43
○
久保亘
君 それでは、この
調査
が完了した
段階
で税金の追徴が行なわれるということだけは間違いありませんね。
磯辺律男
44
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 現在におきましては、そのように私
ども
は考えております。おそらくそうなると思います。
久保亘
45
○
久保亘
君 五年前にさかのぼって
調査
を始められたのは、五年前までしか追徴の権限が及ばないからでしょう。それなら、もし三月までにその手続を完了しなければ四十四年度分は時効になるわけです。であるとするならば、今回これだけの問題になって、時別な
見直し調査
が行なわれているのですから、四十四年度分についても時効の発生を許さない必要な法的措置をおとりになりますか。
磯辺律男
46
○
政府委員
(
磯辺律男
君) ただいま
久保
先生御
指摘
のように、三月の十五日を過ぎますと五年前というものが一期時効で飛ぶわけでございます。ですから、君
たち
調査
いたしますときには、
調査
にかかりまして、
調査
の途中において時初年分をつくるということに対してはきわめて神経質になっておりまして、そういった
意味
におきましては、そういったことのないようにいま鋭意努力しておるところでございます。
久保亘
47
○
久保亘
君 鋭意努力しているということは、三月十五日までにすべての
処理
を終わると、こういうことと、もし十五日までに終われなければ時効停止の法的措置をとると、そのどちらかでなければこの問題は解決しないわけです。だから、三月十五日までに終わるか、終わらなかった場合には時効停止の法的措置をとる、そういうことに理解してよろしゅうございますか。
磯辺律男
48
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 法的措置といいますけれ
ども
、そのときには、一応五年過ぎましても国のほうからの一方的な
租税債権
というものはそこで消滅するわけでございますけれ
ども
、
納税者
のほうから自発的に納められることに対しては何らその問題ないわけでございまして、ですから、かりに修正
申告
をされるということになりますと、これは五年前についてかりに時効になっておっても
申告
されて決しておかしくないわけでございます。したがいまして、三月の十五日というものを基準といたしまして、更正を要するものであればその部分だけ先に更正を打ってしまうということも考えられます。それから、修正
申告
が出るということでありますと、それは十六日に出ても、十七日に出てもそれはいいわけでございまして、その点については、先ほど先生から御
指摘
ございますように、私
たち
は
調査
の途中において時効が
一つ
出てくるということについては、非常にある
意味
において私
たち
の
仕事
の恥と申しますか、そういうことになりますので、そういったことの御懸念の点がないようにこれは十分に気をつけてやるつもりでございます。
久保亘
49
○
久保亘
君 時間がありませんから、今度は
一つ
だけ君のほうからいまの
報告
についての大きな疑問点についてお尋ねいたしますが、
昭和
四十六年から四十八年までに公示されました
田中
氏の
個人
所得
は、その財産の
取得
に比べてたいへん少ないと言われております。そのような疑惑がいろいろな
雑誌等
にも掲載され、また、
国会
の審議の中でも明らかにされております。私があなたにお聞きしたいのは、これはもう非常に
一般
的な、概括的な数字でよろしゅうございますが、確定
申告
が
個人
の場合に八千万あった場合、いろいろな
経費
や税金を差し引いて、本人が
所得
として残し得るものは大体どれぐらいになりますか。これはいろいろ人によって違うと思いますが、おおよその見当、できれば
田中
氏自身のものについてやっていただけばなおいいんです。
磯辺律男
50
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 八千万程度になりますと、
国税
の税率がかなり高い税率になります。それからそれに関します地方税等がございますので、大体その
収入金
額の八割ぐらいはそういった税金等でなくなってしまうといいますか、ですから残りが二割ぐらいということになるわけでございます。ただその場合に、一時、
譲渡所得
等がございましたら
申告
の
段階
ですでにもうその一時、
譲渡所得
の額の半分というものが税金のかからない
所得
として除かれておりますから、ちょっとそういった
計算
の入り操りはございます。
久保亘
51
○
久保亘
君 ということは、
田中角榮
氏が実際に自分の財産として保有することのできたものは、四十六年度は
申告所得
が七千万、四十七年が八千五百万、四十八年が七千七百万、そうすると、せいぜい二割といいますと多いときで一千五百万くらい、それ以下ということになってくるわけです。ところが、
田中
氏は四十七年度に七千五百万の株を
取得
し、一億八千万の別荘地を購入している、
個人
名儀でですね。四十八年には一億二千五百万の株を
取得
している。こういうことになってまいりますと、これは大きな
誤り
が発見されないことについて私
たち
は疑問が残るわけです。普通では考えられないことでしょう。その点をどう見ておられますか。
磯辺律男
52
○
政府委員
(
磯辺律男
君) ただいまの
久保
先生の御
指摘
の
申告所得
に対しての余剰金といいますか、その
計算
というのはただいま申しましたように大体二割ぐらいが手元に残る
計算
というので、先生の御
指摘
の数字というのはほぼ大体そんなものだと思います。それで、しからば四十六年、四十七年、四十八年分にかけて
申告
の
所得
が七千万とかあるいは八千万程度あるにもかかわらず、あのときにああいった不動産の所有がふえたというのはおかしいという問題がございますけれ
ども
、これは私
ども
もそういった
資産
が増加している、そうした場合にはその
資産
を
取得
するための
資金
は一体どういうふうに調達したか、その金はどこからきたかということは、これは
調査
のまず基本的な問題でございます。したがって、
資産
の増加そういったことからまかなわれておるという事実は私
ども
は把握しております。したがいまして、その当該年度分の
課税
所得
の
計算
上、それは特に新たに問題とする点は見当たらないということにいまわれわれは考えております。
久保亘
53
○
久保亘
君 いまあなたの
説明
だと君
ども
は理解をするためににやっぱり
資料
を
提出
してもらわないと、
一般
的にはそういうような数字を並べられては私
ども
わからないですね。これは何かがあるとしか思えないでしょう。だからそうなればやっぱりむしろ
田中
氏の疑惑を晴らすためにも、
田中
氏はいま疑われているのだから、この
田中角榮
氏の疑いを晴らすためにもあなた方はその
資料
をここへ
提出
して、
国政
調査
に
協力
をすることが有効な道筋だと思うんです。 時間がありませんからこれ以上申し上げられませんが、最後に
一つ
ちょっとお尋ねしておきたいのですがね。四十七年度の
田中
氏の
個人
所得
の中には有名な日本列島改造論の
原稿料
があるんです。この四十七年度
田中
氏の
所得
の中に含まれる日本列島改造論の
原稿料
は幾らになっておりますか。
磯辺律男
54
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 四十七年の
田中
さんの
申告
、この中の
雑所得
でございます。その中にかなりの額の印税が含まれております。それは私
ども
日刊工業新聞社等からの
資料
その他で全部突き合わしております。
久保亘
55
○
久保亘
君 発行部数は幾らですか。
磯辺律男
56
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 発行部数はちょっといま手持ちを持っておりませんけれ
ども
、金額でずっと突き合わしておりますので、ちょっとその点の史料はいま手持ちございません。
久保亘
57
○
久保亘
君 私のほうに来ております
資料
では、日本列島改造論の日刊工業新聞社の発行部数は九十万部ということになっております。あなたのほうでその部数に基づいてやっておられないんなら、十分ひとつ御
調査
いただきたい。 時間がなくなりましたので、
大蔵大臣
に最後に一言お尋ねいたしておきますが、今度の問題は、地位利用の疑いとかあるいは脱税の疑いとかいろいろあります。事が最高権力者の
総理大臣
にまつわることであるだけに、たいへん私
ども
としては疑惑が大きいわけです。それで、このことは
守秘義務
によって守られるべきものではない、むしろこの問題はその
守秘義務
に属するような情報を公的な
個人
が同一人物である経済人としての私的な
個人
にその
守秘義務
を破って情報を渡したことによって
利益
が得られたのではないかという疑惑が起こっておるんです。だから、これこそ第三者−
一般
国民には知らされない
守秘義務
の盲点を利用して金もうけをやった行為ではないかと国民の中には疑いがあるわけです。だから、こういう問題については厳格なる措置をとることこそが私は疑惑を明らかにする道だと、それは
田中
さん自身も求められていることだと思うんです。 最後にあなたにお聞きしたいのは、
田中
さんが自分の手で明らかにすると言われた、でも疑惑が晴れなければ責任をとると言われた、十一月の二十六日に責任をとられた、これは疑惑が晴れないという
立場
に立って責任をとられたんですか。その当時
大蔵大臣
として閣内にあられたあなたはおわかりじゃないですか。それと、その後七十日たってもいまなお
田中
さん自身は何の解明も行なわれておりません。このことについて、これは
田中
氏自身が明らかにすべきだと三木さんもそう言っておられます。そのことについて、あなたは最近
田中
さんと会って、この疑惑の解明について
田中
氏自身がどのような心境であるか、お聞きになったことはありませんか。お答えいただきたいと思います。
大平正芳
58
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 年末にお目にかかったことがございますけれ
ども
、この問題につきまして心境をただしたことはございません。ただ、
田中角榮
氏が公人として言明されたことでございますので、それについては
田中
氏御自身が一番深刻にお考えになっておられることと拝察します。
峯山昭範
59
○峯山
昭範
君 きょうは
田中
内閣の、
田中
さんの金脈の問題の
中間報告
がございました。先ほどから私もこの
中間報告
を聞いておりまして、全部で四点ぐらいにわたって質問をしたいと思っておりました。
一つ
は、何といいましても、先ほど
説明
ございましたが、
調査体制
の問題ですね。それからもう
一つ
は
調査
対象
の問題、そして現在その
調査
の結果の問題あとの処置の問題大体こういう四点にわたって質問したいと考えておりました。ただいま同僚
委員
から、全般の問題については二、三追加してお尋ねしたいこともございますが、ほぼ明らかになってまいりました。そこで、私は、非常に短い時間の中でございますので、特に第三点の問題についてこれからちょっと特に
大平大蔵大臣
の所信をお伺いしておきたいと思います。 と申しますのは、最近の大蔵省のいろんな考え方、いわゆる
処理
のしかた、それが非常に閉鎖的であります。そして非常にいままで
提出
されておった
資料
でもだんだん出さなくなってきた。これは大蔵省や
国税庁
だけではございませんでして、大蔵省からいろんな圧力が及んで、そして会計検査院とかあるいは自治省とか、そういうようなところの
資料
まで大蔵省からの圧力で
資料
は出なくなってきた、こういう現実が幾つかあります。したがいまして、私は、きょう
大臣
がただいまこの
中間報告
として御
報告
になりました第三番目に書いてございます、三月をめどとしてこの
結論
を出す、そしてその
結論
に基づいて適正な
処理
を行なう、こう
大蔵大臣
お述べでございますが、
大臣
のおっしゃる適正な
処理
というのは、これは一体どういうことでございますか。何を具体的にされるのか、これをちょっとお伺いしたい。
大平正芳
60
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 私
ども
多数の
申告
納税者
を控えておるわけでございまして、その
申告
納税者
の
所得
につきましては、御
申告
をちょうだいしまして、それに従いまして徴税をいたしておるわけでございます。ところが、その
所得
に変動をもたらすかもしれないという新たな材料が出てまいりました場合には、できるだけそれを追跡いたしまして、既往の
調査
決定いたしました
税額
を更正いたしまして、税金をあらためてちょうだいしなけりゃならぬというのは当然の私
ども
の任務なんでございまして、
田中
さんの場合もいま鋭意
見直し調査
をやっておるわけでございます。先ほど
磯辺
次長からも御
報告
いたしましたように、若干の更正が予想されるかもしれないということでございました。そういう事態が出てまいりましたならば、ちゃんと徴税上の
処理
をいたさなければならぬわけでございまして、適正な
処理
と申しますのは、そういう
意味
を込めたものと思っております。
峯山昭範
61
○峯山
昭範
君
大臣
ですね、
大臣
がおっしゃっている適正な
処理
というのは、要するに
申告漏れ
なり、そういうようなものを結局は最終的にいわゆる更正決定をして追徴を行なうと、 〔
委員長
退席、理事小谷守君着席〕 まあこれだけでございますね、いまおっしゃっておることを聞いておりますと。しかし私は、先ほど
大臣
がおっしゃいましたように、今回のこの問題に対してバランスを失したエネルギーを注ぎ込むということは、
大臣
はいかがかと思うと、
国税庁次長
は、しかし粗漏に失したのでは国民の信を失うと、こうおっしゃいました。それぞれこれ言うならば相反することばであります。そして先ほどの
国税庁次長
の
説明
をずうっと聞いておりまして、私
たち
は非常にたくさんの
調査
をはじめ、一応まあ
国税庁
としては本気で取り組んでいるなという感じはするわけです。しかし、こういうふうな取り組んでいるこのものが全部国民の前に明らかになって、そして国民が納得したときに初めてなるほどと、こう思うのでありまして、最終の
結論
で、これだけ更正決定いたしましてぽんというのじゃ、これはとてもじゃないけれ
ども
われわれとしても納得はできませんし、当
委員会
で
資料
を要求した
意味
もない。そういうふうな
意味
からは、
大臣
、これはやはりただ単に
大臣
がおっしゃった適正な
処理
というのは、最後のこれだけというのではわれわれは納得できない。やはりもう少し具体的な、要するに、経過なりそういうようなものをはっきりお示しいただきたいと思うし、また、それぞれの
関連企業
の
税務
資料
というものも私は
提出
をしていただきたいと思うが、これはどうですか。 〔理事小谷守君退席、
委員長
着席〕
大平正芳
62
○
国務大臣
(
大平正芳
君) あなたのおっしゃること、一応私も理解できないわけじゃないのです。けれ
ども
、
税務
の執行をやってまいる上におきまして、わが立法府は、
税務
官庁に対しまして、徴税上知り得た秘密を外に漏らしちゃならぬと、
総理大臣
の場合は別だとか、
国会
の場合は別だとか書いてないわけなんでございます。でございますから、私
ども
といたしましては、
磯辺
君以下五万二千人の
国税庁
の
職員
は、そういう立法のもとで
仕事
をさしていただいておるわけなんでございます。またそうすることが適正な
税務
の執行を保証する上で必要だという立法政策上の配慮が働いたからだと私は思うのでございます。ただ、あなたが言われたように、
田中
さんの問題は、単なる一
納税者
の問題がこんなに世上問題になるとか、あるいは
国会
で論議の種になるとかいうのは、これは珍しいことでございまして、確かにこの方が
総理大臣
であられたということは、これは隠れもない事実でございます。したがって、
見直し調査
につきましても、本来ならばルーチンといたしまして
国税庁
、
国税局
、
税務
署がやりまして、
税務
の更正決定をして税金を納めておけばそれで済むわけなんでございます。この場合もそういう
処理
をして間違いはないと私は思うわけでございますけれ
ども
、ただ、この問題につきまして国民は大いに関心を持っておるし、できるだけの解明をしたいというお気持ち、
国会
のほうの御要請もよく理解できるところでございますので、
国会
の御
質疑
を通じて私
ども
誠心誠意これに答えて、この論議を通じまして国民に御理解いただくということにつとめたいと、今後もつとめたいと存じております。
峯山昭範
63
○峯山
昭範
君 そうすると、
大臣
、今回のこういう一連のいろんな
税務
資料
なり、それぞれの
関連
会社
のいわゆる
資料
でございますね、これは一がいに全部出さないということじゃなくて、要するに出すこともあると、こういうふうにとってよろしいんですか、これ。
大平正芳
64
○
国務大臣
(
大平正芳
君) これは、要するに人間がつくった制度でございまして、
守秘義務
と申しましても、これはこういう税の
調査
決定をする
仕事
を適正にやってまいり、国民からの信頼にこたえていくという上からこういう制度が設けられたわけでございまして、これはたびたびこの
委員会
におきましても論議いただきましたように、またお聞き取りいただきましたように、要するに、その人御本人はもとよりでございますけれ
ども
、それと
関連
した
会社
とかあるいは
個人
とかの秘密にかかわることもございまするし、また
税務
官庁の中の徴税上のいろんな秘密もあるわけでございまするし、したがって、そういうことで立法政策上
守秘義務
というようなものがつくられたと思うのでございますが、その趣旨をよくわれわれはわきまえまして、それに支障がない範囲におきましては
最大限
の御
協力
を申し上げるというのが
総理大臣
の言明でもございまするし、そういう趣旨に沿って努力をしてまいりたいと思います。
峯山昭範
65
○峯山
昭範
君
大臣
の話を聞いておりますとだんだんわからなくなってくるんですよ。それで端的に、ぼくは
大臣
のおっしゃることが、何といいますか
政府
の
守秘義務
のいわゆる
統一見解
もこれは全部聞いているわけです。それで、
大臣
の
説明
もいままで何回かお伺いしているわけです。同じことを何回も
説明
しておるわけです。しかし、
総理大臣
がおっしゃった、先ほ
ども
お話ございましたが、
守秘義務
によって守られるべき公益と、それから
国政調査権
の行使によって得られるべき公益と、個々の事案ごとに
比較考量
することによって決定される。これは要するに
大臣
がしょっちゅうおっしゃる
ケース
・バイ・
ケース
というやつです。
大臣
、いまその
ケース
・バイ・
ケース
というのをおっしゃっているわけです、先ほどから。ところが、実際問題としてこういうふうな
ケース
・バイ・
ケース
というのは、
一つ
の
ケース
は出すという
ケース
でしょう、もう
一つ
の
ケース
は出さないという
ケース
でしょう。私は絶対出さないというんじゃなくて、出すこともあるんでしょうと聞いているわけですから、
大臣
のもともとの考え方から言えば、
ケース
・バイ・
ケース
ですから出すこともあり得るわけです。あり得ますというふうな答弁でないと、
大臣
がかねがねからおっしゃっている
ケース
・バイ・
ケース
というのはこれはおかしいわけです。これは
大臣
どうですか。
大平正芳
66
○
国務大臣
(
大平正芳
君) だから、ここでも御
質疑
に答えて、いまも
調査
中でございますから何にも申し上げられませんという答えじゃないじゃないですか。非常に苦労して御
質疑
に答えて、ある種の印象が皆様の脳裏に描かれるようには答えているわけでございますので、私
ども
の苦心のあるところも御理解いただきたいと思います。
峯山昭範
67
○峯山
昭範
君 いや、
大臣
。
大臣
の一生懸命おっしゃっているのはよくわかります。しかし、ある種のの印象というだけではこれはどうしようもないのです。実際われわれとしてはこれからこの
委員会
を進める上におきましても、それぞれの
関連企業
の問題を審議するにおきましても、これは要するに
大臣
の感触はこんな感触だったといって質問しても何にもならないわけです。やっぱり、具体的に
税務
資料
に基づいて
一つ
ずつ詰める、それで
一つ
ずつ検討していかなければどうしようもないわけです。そういうような
意味
からは、私は何でこんなことを言うかといいますと、お隣にすわっていらっしゃる
国税庁
の次長さんが、先般のこの
決算委員会
におきましてこういうことをおっしゃっているわけです。いわゆる
田中金脈
の問題について、
調査
を完了しても
守秘義務
との
関係
で
国会
では公表できない、こう断言をされていますねと、こういうぐあいにここで確認をされている。実はその前の衆議院において、いわゆる
国税庁
で幾ら
調査
をいたしましても、
守秘義務
の
関係
で
国会
では公表できませんと、衆議院で
国税庁次長
さんおっしゃったわけです。それじゃ幾ら
調査
しても全然公表できないんではこれはどうしようもないじゃないか。これだけやっていましてなんぼいいかっこうしても、それではわれわれとしてはこれから
国政
調査
を進めていく上において何にもならない。ですから、全然公表しないというんじゃなくて、やっぱりこういうふうなぱちっとしたものじゃなくて、やはり
国政
調査
の上に必要な問題は、それは公開する場所とか、そういうふうなやり方はいろいろあるでしょう。けれ
ども
、そういうふうなことに基づいて、私はわれわれのもとに
資料
を見せていただくなり、あるいはそれらのいろいろな方法はありましょう。そういうような方法で何らかの公開のしかたがあるのか、要するに
提出
のしかたがあるのか、
税務
資料
を出していただけるのか、いただけないかと、そう重ねてお伺いしているわけです。
大臣
、いかがですか。
大平正芳
68
○
国務大臣
(
大平正芳
君) つまり、
守秘義務
というのがなければ事柄はきわめて簡単なんでございますけれ
ども
、あなた方がつくられた法律でちゃんとそういうワクを徴税当局に課しているわけなんでございまして、それをかってに踏み越えるなんということは、
国税
に携わる者にはできない相談でございます。しかしながら、峯山さんも御
承知
のとおり、私はそれからは自由な
立場
でございます。あの法律からいって、私は徴税上の
守秘義務
の
対象
にはなっていませんから、私がここでしゃべることはしゃべっても違法には私にはならぬと思うのです。ところが、私はこの安川君が率いる
国税
五万二千人の徴税上の、徴税が円滑にまいることについて安川君以上に重い責任を持っていると思うのです、私は。したがって、私がべらべらしゃべるというわけにはいかぬのでございます。そこで、御
質疑
を通じまして、精一ぱいのことはやっぱりお答えせにゃならぬと存じて、汗をかきながらこれやっておるわけでございまするし、今後もそうするつもりでございます。 それからまた、この前に小谷
委員
からもいろいろサジェスチョンがございまして、どこまで一体、どういう場面、どういう形、どういう程度でございますならばこれ開示できるか、そういうような点検討してみないかというような御相談もございまして、実はそれもいろいろやってみたのです。ところが、これ
一つ
一つ
ケース
がそれぞれ別なんでございまして、具体的な
ケース
・バイ・
ケース
でこれを考えざるを得ないのじゃないかという、
一般
的に基準があって、この基準によってこれは開示してよろしいと、これは秘密だとかというような手ぎわよい基準がなかなかできないのです、いろいろ苦労してみたのでございますけれ
ども
。なお私は断念せずにやってみようよと要請はいたしておりますけれ
ども
、またなかなかここまでのものはよろしゅうございますというところは、まだ出ていないわけでございます。
国会
ばかりでなく、これ国はいろいろな訴訟もやっておりまして、裁判所に
資料
を出すというような
ケース
もあるわけでございまして、いろいろな外へ出す場合に
守秘義務
というワクを
国会
からかけられておるけれ
ども
、その中でどういうことをいままでやっておるかというようなこともいろいろ検討いたしておるわけでございますが、結局これは具体的に
ケース
・バイ・
ケース
で御相談しなければならぬのじゃないかというのがいまの
立場
でございまして、そのときにいまはまだあなたと私とのやりとりの話でございまして、
国政調査権
とか何とかいういかめしい相談ではないわけです。
国会
はどうしても
承知
せぬと、こうなった場合に
国政調査権
と行政権とがこう舷々相摩すことに相なるわけでございますけれ
ども
、そうなったらそれじゃあひとつこの前の
統一見解
にもありましたように、
比較考量
することによって決定されるべきものであるということで、
国会
と
政府
の間で最後の詰めをやらなければいかぬわけでございますけれ
ども
、いまは
具体的ケース
・バイ・
ケース
でやりとりを通じまして、また理事会のお話なんかもありまして、こういうような
資料
はどこまで出せるか、それはかんべんしてくださいと、ここまでだったら私
ども
も御相談に、ひとつ検討してみましょうとかいうようなことをいまやっておるというのが実情でございまして、決してこの問題について、甲らの中へ入ってしまって、こんりんざい顔を出さぬぞというような、そんなつもりは毛頭ないのでございます。このワク組みの中で私
ども
どうしたら一番いい行政ができるか、それから
国会
に対しての
国政
調査
に御
協力
ができるかという点をやっぱり考えておるのだということで、ざっくばらんに御相談をいただくし、私
ども
もざっくばらんに申し上げるということでございますので、そういうところは御理解を賜わりたいと、御指導をいただきたいと思います。
峯山昭範
69
○峯山
昭範
君 それじゃ
国税庁次長
にちょっと方向をかえて質問してみます。 次長は、
守秘義務
というのがございますな、この
守秘義務
ですね、
大蔵大臣
からこの
資料
を出してよろしいと、こういう許可がありましたら、
守秘義務
というのはこれは解除されるわけでございますな、どうですか。
磯辺律男
70
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 私
たち
は
政府
の役人でございますから、やはりその所管の長の
大蔵大臣
のほうからの御命令でありますと、私
たち
はその上司の命令には服従するということでございます。
峯山昭範
71
○峯山
昭範
君
大臣
そういうことでございますから。そうしますとですね、
大臣
ですね、これはいままで
大臣
、具体的に申し上げますが、まあ
国会
に
関係
のある
国会議員
としましょう、
国会議員
以上の人
たち
で、
税務
資料
を出したことはないのですか、
国会
に。
磯辺律男
72
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 私
たち
のいま記憶しております範囲では、先例としては刑事事件に
関連
したような場合に、
政府委員
のほうから答弁をした例はございます。それから二十数年前になろうかと思いますけれ
ども
、ある刑事事件に
関連
いたしまして、
税務
関係
の
資料
、
申告
書の写し、そういったものを
提出
した例はございます。
一般
的に純然たる行政上の問題だけで
税務
関係
の
資料
を出した事跡というものはちょっといま思い当たりません。
峯山昭範
73
○峯山
昭範
君
大臣
ね、次長は
一つ
知っているのですよ。それで非常に苦しい答弁をいましておるわけです。刑事事件に
関係
してなんておっしゃっていますけれ
ども
、これは有名なあの二重煙突事件というのがございまして、この二重煙突事件で、当時の、現在でいいますと法務
大臣
でございますね。大橋法務
大臣
だったと思いますが
——
の事件に
関連
をいたしまして、
税務
資料
が相当出された。これはもう先例としてあるわけです。
大臣
、これは決していままで
国会
に、これはいま刑事事件に
関連
してと言いましたけれ
ども
、これは
調査
の
段階
で具体的にそういうふうになったのでありまして、これはやっぱり
国会
のいろいろな審議の途上で一ぱい出てきた。今回と同じであります。そうしてそういうふうな事件の中から、この
税務
資料
を出すということになったわけです。これは私が、ちょっとこれはあまりここで言っていいのかどうかわかりませんが、この
資料
を出したかどうかということについては、
国税庁
もわざわざあるところへ
調査
にきた。そうして
調査
にきてその言ったことばというのは、私直接聞いたわけじゃない、テープコーダーとったわけじゃないが、えらいものを出しておると、これはもうねえというような感じですね。そういうふうな感じでその担当の人は帰っておる。そうじゃなくて、そういうようなことじゃなくて、こういうふうな
国政調査権
と、
国会
でこういうふうにたくさん問題になって、どうしても疑惑を解明しなくちゃならないときには、こういう
資料
を
提出
するというのが現在の姿勢でなければならないと私は思うのです。しかもこれは
大臣
は
ケース
・バイ・
ケース
で
守秘義務
とかいろいろおっしゃっていますけれ
ども
、実際問題としては
大臣
、
大臣
の権限
一つ
でいけるのですわ、これね。これはもういろいろ問題ありましょう。これは
国税庁
、安川さんが一番もう悩んでいらっしゃる、こう
大臣
おっしゃいましたけれ
ども
、安川長官を安心させるには
大臣
が出せと言ったらもうさっとこういけるわけですわ、これね。それも決して何でもかんでもというわけじゃないわけです。私
たち
も先般からこの
決算委員会
におきまして具体的に
一つ
一つ
詰めてきております。そういうふうな
意味
でこれは
資料
はぜひとも出していただくべきであろうと思いますし、そういうふうなことも御検討の上で今後こういうふうな問題を
処理
していただきたいと思うのですが、
大臣
いかがですか。
大平正芳
74
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 三木総理も言われておりますように、行
政府
といたしましてなされた
最大限
の御
協力
は申し上げる心がまえで今後も努力してまいりたいと思います。
峯山昭範
75
○峯山
昭範
君 いま
最大限
の御
協力
ということがございましたから、
最大限
の御
協力
ということは、いまの
質疑
の中から、私はこういうふうな
資料
を出す
——
出すこともあり得る、出すというまてはちょっとあれでしょうからね、出すこともあり得ると、私はこういうぐあいにとりたいと思います。また
大臣
のほうは出さないこともあり得ると、こうおっしゃるかもしりませんが、どうしてもこれはぜひ出していただきたい問題であろうと思います。 そこでもう一点、それじゃ
大臣
にお伺いしておきます。 先ほど実はこれも当
委員会
で、これはちょっとやっぱり私は、竹下官房長官が当時この
委員会
にお見えになったときにいろいろ会議録を調べましたり、いろいろ
処理
を私
たち
がしておりましたら、やっぱりどうしてもここでもう一回これはこの見解については
大臣
の見解と同じかどうか、一ぺん確認をしてみたいと思うのです。実はこの
守秘義務
と
国政調査権
の問題について竹下官房長官こういうことをおっしゃっています。「秘密会であると公開たるとにかかわらず、公式の場で、秘密会等を
——
秘密会ならば」二回おっしゃっていますか、「秘密会ならば
資料
が出せるかと言われる御質問に対しては、これは
税務
の執行上、秘密会たると公開たるとを問わず
提出
するわけにはまいりませんというお答えにならざるを得ないわけであります。」と、こういうぐあいにおっしゃっておりまして、従来の見解とはもう全く違うわけです。あるいはこの
ケース
・バイ・
ケース
という質問からも一歩下がった答弁であります。しかも、この秘密会という問題については、これはもう法規上もきちっと定められて秘密会というのはあり得るわけですね。ですから、竹下長官のこの答弁というのは秘密会たるとを問わずその秘密会の存在そのものすら否定するような答弁になっております。これがほんとうに
政府
の見解であるとすれば、私は非常に問題だと思いますので、この問題について
大臣
の見解を一ぺんお伺いしておきたいと思います。
大平正芳
76
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 竹下官房長官の御答弁、
守秘義務
に関しての御答弁としてはそれは仰せのとおりでございまして、秘密会であれば免責されるとか何とかいうことは全然税法に書いてないわけでございますので、そういうように
解釈
されるのが厳格な
意味
において正しいと思うのでございます。ただ、事柄といたしまして差しつかえないものと差しつかえあるものという
判断
の問題は、秘密会であろうとなかろうとやっぱりあると私は思いまするし、
最大限
の御
協力
という以上はできるだけそういうふうに開示する方向で努力すべきものと私は思います。
二宮文造
77
○二宮
文造
君
国税庁次長
、ちょっとお伺いしたいのですが、私
ども
が
所得税
法とかあるいは
法人税
法の罰則を読みますと、この事案についてはそれぞれの罰則の条項に触れるんじゃないか、こういう場合も間々あるわけです。そういう場合はおそらく罰金刑ないし懲役刑というあれがありますから、告発ということを伴ってその罰則が適用になると思うんですが、いままでの
調査
の
内容
でこの罰則に触れるような問題があったかどうか、またそういうことも頭に置きながら
調査
をなさっているかどうか、これをひとつ御答弁願いたい。
磯辺律男
78
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 御
指摘
のように、
所得税
法、
法人税
法では偽りその他不正の行為によって納むべき
所得税
または
法人税
を免れた者については云々という罰則の規定がございます。ですから私
ども
は
税務
の
調査
をいたしますときには必ず最終的にはそういった罰則の適用を受けるような事実であるかどうかということも頭に入れながら
調査
するわけでございます。しかし、ただいままでのところ特に罰則に該当するといったような事実はわれわれとしては見当たっておりません。
二宮文造
79
○二宮
文造
君 たとえば、いま偽りとか、不正とかいうことを例にあげられましたけれ
ども
、
提出
の期日までに
提出
しなければならないような
資料
、それを
提出
しなかったということでも罰則の適用を受けるようになっております。
資料
提出
をしなかった。私はいままでの当
決算委員会
あるいは衆議院の
決算委員会
あるいは
国会
等々で審議された
段階
で、おそらくいま
調査
をされている該当者、
個人
、
法人
を問わず法律が、
所得税
法だとか、
法人税
法が求める
資料
の
提出
を満足に具備していなかった
ケース
が非常に多いんじゃないか、こういう心証がきわめて強いわけです。したがって、偽り、不正というものを越えて、そういう法が要求する要件を伴っていない、それを
税務
署が故意だか、過失だかあるいはいろいろな作用か、それはわかりませんけれ
ども
、それがそのまま受理されてきた。ところが、
見直し
の
段階
でどうしてもそれがその要件を具備しなければならぬ
ケース
であった、こうなってきますと、あるいはもとへ戻って罰則云々という考え方にも入らなければならぬじゃないかと思うんですが、この点はどうでしょう。
磯辺律男
80
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 私
たち
はいまそういった罰則を適用せなければならないということが事実というのはっかんでおりませんので、ちょっといまどういった事実かということはよくわかりません。
前川旦
81
○
委員長
(
前川旦
君) 二宮君、終わりましたね。次の質問者準備してください。
加藤進
82
○加藤進君
大臣
の先ほどの発言と
国税当局
の
中間報告
を聞いておそらく国民のだれしもが失望を禁じ得なかったと私は思います。あれではあなた方は、一体
田中金脈
問題をうやむやにしてしまう気があるのではないか、こう疑わざるを得ないと思います。 第一に、
税務行政
の
性格
上、個々の
納税者
の
申告
、
調査
の
内容
など詳細な
報告
はできない、こう言っておりますけれ
ども
、そもそも
田中角榮
氏の脱税の疑惑というのは、
一般
の
納税者
の単純な脱税の疑いとはわけが違うと思います。問題の
性格
が全く違うのです。
政府
・与党の要職にあります、
総理大臣
にまでなったという人が、憲法でも規定されている納税義務を誠実に履行したかどうか、つまり、
田中
氏が憲法や法律をまじめに遵守してきたのかどうか、こういう最も基本的な政治の姿勢にかかわる問題であります。また、ときの
政府
も真に公正な
税務行政
をしていたのかどうかという、これもまた最も基本的な政治のあり方を問われている問題だと思います。だから、国民は
田中金脈
問題に対して重大な関心を持って今日もその成り行きを注目しておるのは、これは当然だと思います。
政府
に
田中金脈
問題のほんとうの本質に関する正しい理解がないということは、まずその
調査体制
を見ればはっきりします。
税務当局
は、多数の
職員
を動員して
調査
していると、こう言われておりますけれ
ども
、脱税摘発を専門とする査察部を
中心
としたような特別の専任体制を引き続いてとっておられるのかどうか、この点からまずお伺いしたいと思います。
磯辺律男
83
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 先ほど申しましたように、直
税部
と
調査部
が
中心
でございます。
加藤進
84
○加藤進君 それではだめだと言うんです。だから、もう先ほどの
大臣
の答弁の中にも、バランスを失した
調査体制
はいかがかと思いますなどというような歯どめがちゃんとかかっておる。このような
調査体制
で本式の
内容
の充実した
調査
ができるかどうか、これをわれわれは疑っておるわけであります。 で、
大臣
の発言と
国税当局
の
報告
を聞いて第二に抱く疑惑は、
政府
は一体どのような観点に立って
調査
に臨んでいるかという、姿勢そのものに関する問題であります。
政府
のやっておることは、従来の
調査
のやり方を全部一応白紙に戻して、
田中
氏にまつわる疑惑を解明するために真相を明らかにするという基本的な
立場
をとっておらないと思います。で、
国税当局
は、これまで
田中
氏が
提出
してきた各年度分の確定
申告
を是認してきました。そうですね。それを今度の
調査
によっていま一度見直すというに過ぎないじゃありませんか。で、
見直し調査
というのは、
申告
是認の再点検をするということに過ぎません。こういうやり方だけで、
国税当局
の確定
申告
の是認が正しかったかどうか、いま一度みずから再点検するというにすぎないということです。これでは国民の抱く疑惑の解明のための真実を把握するという
立場
での、従来のいきがかりを捨てた徹底したやり方をとっておらないという点でありますけれ
ども
、この点についての
税務当局
及び大蔵省当局の反省はあるかどうか、この点をあらためてお聞きしたいと思います。
磯辺律男
85
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 今度の
見直し調査
にあたりましては、従来、
田中角榮
氏及びその
関連企業
が
提出
いたしました
申告
書、それを是認する
立場
で
調査
をしておるわけでは決してございません。言うなれば、一応その
資料
というものは
資料
としておいて、私
たち
のまた基本的な
見直し
と、そういった突っ込んだ
調査
をやっておるということでございます。
加藤進
86
○加藤進君 だから、あいまいだと言うんです。だから、真相はこの状態ではつかみがたいであろうと国民が見ておるのは当然だと思います。 それから先ほどの質問に対する答えで、修正
申告
または更正の予定があると、更正のことも考えておると、こう言われましたけれ
ども
、これは修正
申告
ではなしに、更正を行なうべきだと私は思いますけれ
ども
、その点はいかがでしょうか。
磯辺律男
87
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 更正処分それから修正
申告
書を
提出
してもらうというのは、それは形式だけの問題でありまして、かりにそれが加算税を取るものであれば、その手続によって加算税の額が変わるというものではございません。御
承知
のように、
個人
についての当初
申告
の是正を求めます場合には、その大部分というものは修正
申告
を
提出
していただくということによって
処理
しておるのが実態でございます。したがいまして、最終的に、その
税額
についての是正を求める必要があるということになりましたときに、それを更正処分にするか、あるいは修正
申告
の
提出
を求めるかということは、やはり
一般
の
納税者
の例によって
処理
いたしたいと、かように考えております。
加藤進
88
○加藤進君 だから、あいまいで、しかも相手にとっては何らの心配も要らない、こういうことだと思いますよ。
税務当局
がみずから進んで、このような事態については更正を行なうべし、これくらいの覚悟を持ってかかっていただかなければ、この事態の真相も明らかにならないし、
税務
の公正も期しがたいと、私はこう思います。 そこで三番目に、
大臣
の発言によりますと、現
段階
までに把握したところでは、全体として特に問題とすべき大きな
誤り
は発見されなかった、こういうようなきわめて安易な発言が出ておるわけであります。ところが、
田中
氏は、
昭和
四十六年には通産
大臣
、四十七年には
総理大臣
であります。この四十六年には、
田中
氏が目白台の私邸の
土地
と建物を買ったことは周知の事実であります。わが党は、この売り主の長谷川静子さんにお尋ねしたところによると、その
土地
代金は約四千五百万円であるといわれています。この四十六年の
田中
氏の
申告所得
はどうかといえば、すでに発表されたように、七千三十七万円であります。これに
源泉
所得税
、
申告所得
税を合わせてみても、わが党の
調査
によれば四千万円前後と見られております。だとすると、可処分
所得
はたかだか大目に見ても三千万円に達するはずはないと考えられます。これで四千五百万円の
資産
が買えるなどというようなことは、これは常識として全く通用しないことであります。これは最も基本的で、しかもだれにでも黒白が明らかになる疑惑でありますから、この疑惑に対して
政府
は
真正
面に答えていただかなくてはならない責任があると思います。
大蔵大臣
、いかがでしょう。
磯辺律男
89
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 先ほど御答弁いたしましたように、
田中角榮
氏の各年分の
資産
の増加というものは、わがほうでは、
国税当局
としては、全部それを把握しております。それからその
資産
の
取得
に要した
資金
の出所、そういったものも全部
調査
をいたしております。その結果、いまおっしゃったような各年分の
土地
、建物、そのようなものが増加していきましたことについて
課税関係
はどうなるかということの検討をしたわけでございますけれ
ども
、現在までのところ、その
課税
上、特にあらためて措置をしなければならないといったような問題は生じておりません。
加藤進
90
○加藤進君 そういう答弁をされるから、われわれは再三にわたって、それならそれで証拠書類を出していただきたい、明細を明らかにしていただきたい、こう言っておる。ところが、皆さん、出さないじゃないですか、出さなくて、私
たち
のほうは
調査
しております、こういう言い分は通りませんよ。 そこで、
政府
は
田中
氏の配当
所得
を全体にわたって、しかも細部にわたって徹底的に
調査
しておるとは私
たち
はとうてい思われません。で、まず、はっきりさしていただきたいのは、
田中
氏の
昭和
四十四年以降の
所得税
確定
申告
の中での配当
所得
申告
額は幾らであったか、この点をお聞きしたいと思います。答えてください。
磯辺律男
91
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 具体的に配当
所得
が幾らということにつきましては、いままでと同じように、詳細な数字を申し上げるというのはお許し願いたいと思いますが、先ほど申しましたように、この点につきましてもわれわれとしてはかなり突っ込んだ
調査
をいたしております。したがいまして、かなりの配当
所得
があるということは事実でございます。
加藤進
92
○加藤進君
国会
の舞台で、
委員会
でなぜ答えられないのか。こういう態度では
田中
氏に疑惑があるばかりじゃなしに、
国税庁
や大蔵省にもわれわれは疑惑を持たざるを得ぬ、これが
結論
です。私
たち
はこの点についても独自の
調査
をしております。
昭和
四十六年の
田中
氏のおもな配当
所得
を検討してみると、次のようなものです。理研ビニール工業の一月、七月の決算の配当は、配当率を一六%として合計千九百五十二万円。越後交通の配当は配当率で七%ですから三十九万六千円。新潟放送の配当が六月、十二月の決算で約三百万円、
昭和
高分子で百五万円、合わせて四百五万円になります。これだけで配当
所得
と見られるものは約二千四百万円にものぼります。そうですね。ところが、わが党が
昭和
四十七年に
田中
氏の
所得
申告
額を
調査
したところによると、配当
所得
の
申告
額は千七百万円前後であるということが判明しております。だとすると、差し引き六百万円から七百万円に近い配当
所得
の
申告
が免れております、抜けています。
税額
にすれば二百万円から三百万円に近い脱税の疑いが生ずるのは、これは当然でしょう、どうですか。
政府
はこの点についてどのような御
判断
をしておられるのか、その点はっきりしてください。
磯辺律男
93
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 私
たち
は配当
所得
につきましては、いままでの
資料
全部それを総合いたしまして
調査
しております。ただその
調査
の結果わかりましたことは、
名義株
等がございます。それからまた若干
源泉
分離の適用を受けた配当につきましてもまた総合
課税
の
申告
をしたといったような
計算
誤り
もございます。したがいまして、
名義株
であった場合には実際の
株主
、そちらのほうにその配当がいっておるわけでございまして、私
たち
はその
名義株
と実質株というものを詳細に分けまして、申請の配当
所得
がそれぞれ真実の所有者に帰属しているかどうかということを確認いたしております。
加藤進
94
○加藤進君 その程度のことは私
たち
も知っております。しかし、その額たるや微々たるものにすぎません。そういう点では、私のほうの
調査
については、基本的にはこれは正しい、これが正しくないということなら、あらためて皆さんのほうから、
政府
のほうからその正しくないことを
指摘
していただきたい。さらに、
田中
氏が
昭和
四十七年度分の
申告
された
所得税
、これは公表されておるように八千五百七十九万円です。
税額
はわが党の
調査
によりますと四千五百万円前後と見られます。これは正しいと思います。だとすると、可処分
所得
というものはたかだか多目に見ても四千万円、こういうことでしょう。ところが、四十七年の四月、
東京ニューハウス
に七千五百万円の増資がされています。さらに七月には軽井沢の旧大川邸の別荘、また旧徳川邸もこれに加えて買われています。その総額合わせると相当大きな額になることは
計算
すれば明らかです。こういう
一般
市民、国民から見れば全く不可解きわまるような
田中
式商法が、それでもなお
大蔵大臣
のことばによると特に問題とすべき大きな
誤り
はない、一体どういう根拠でこういうことの
結論
が出るのか、その点は納得のいくように
説明
してください。
磯辺律男
95
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 先ほどお答えいたしましたように、各年分の
資産
の増加というものはわれわれも把握しております。そして、その
資産
を
取得
するに要した
資金
というものも、これまた各年分にわたってその発生、そういったものに対しては調べております。その結果、
課税
上あらためて
処理
する問題はないというふうなのが、ただいまのわれわれの
結論
でございます。御
承知
のように
田中角榮
氏は過去からの
資産
の蓄積がございまして、その
資産
の運用であるとかいったことでいろいろと運用しておられますので、ですから必ずしも当年分の
申告所得
として
申告
されました
所得
だけが
田中
さんの
資産
増加に見合う
資金
源であるということは言い切れないわけでございます。そういった点で、先生御
指摘
の点は私
たち
も
調査
事項の最大の重点事項でございます。それについては詳しく
調査
をいたしました。
加藤進
96
○加藤進君 それなら、いま
調査
中の
段階
だからこの点については的確に十分に
調査
してこの
委員会
に
報告
していただける、こういうふうに理解していいですか。
磯辺律男
97
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 私
たち
は十分に
調査
いたします。ただその
調査
の結果を当
委員会
で御
報告
するかどうかということの御質問に対しましては、私としてはそれはお許し願いたいということでございます。
加藤進
98
○加藤進君 私の言いたいのは、国民
一般
でさえこういう数字を出された以上は、一体どういうことかという深刻な疑惑を持っておるのはこれは当然です。その疑惑に対して、
政府
、
税務当局
が真に納得のいく答えを出していただかなくてはならない責任があります。この責任についてどう思っておられるのかという、こういうことを聞いておるわけでございますから、
大蔵大臣
いかがですか、その問題について。
大蔵大臣
の発言の
内容
にかかって質問をしておりますから、その点は
大臣
からもお答えいただきたいと思います。
大平正芳
99
○
国務大臣
(
大平正芳
君)
国税当局
に対してゆるぎない御信頼を国民からちょうだいいたしておるものと私は確信いたしておりまするし、今後もこの信任をそこなうというようなことのないように十分気をつけていかなければならぬと考えております。
加藤進
100
○加藤進君 私はもう一言申し上げますと、こうして出された具体的ないわば疑惑に対しては、具体的にお答えをしていただく必要があります。
一般論
じゃだめです。各論で明確にしていただきたい、このことを注文しておきます。 これまでのきわめて若干の私の質問に対する
政府
の答弁を見ましても、真相というものは何
一つ
解明されておらないと言っていいと思う。問題は、従来のやり方ではだめだということです。従来の
調査
のやり方を踏襲しておるだけではだめだということです。私の
指摘
した点に限っても、
昭和
四十六年には目白台の私邸の購入費四千五百万円、配当
所得
六百万円から七百万円、四十七年には
東京ニューハウス
の増資の七千五百万円、旧大川邸の別荘購入費五千九百万円、これに旧徳川邸の一億三千万円、これを合わせますと、わずかに二年間で三億一千万以上の脱漏
所得
があると見なくてはならぬ、こういう重大な事実なんであります。だからこの種の事件では、
帳簿
その他の
資料
を改ざんする危険ということも当然予想されます。これはそう見るのが
税務当局
の
通例
の態度でしょう。私は、この点では
政府
、
税務当局
は、直ちに
国税
犯則取締法を発動すべきだと考えています。この第一条には嫌疑者に対して直接質問、検査あるいは領置ができると明記してあります。第二条には「臨検・捜索・差押」ができると明記してあります。こういう
国税
犯則取締法が現にあるのにこれをなぜ発動しないのか、またこれに対して査察部を動員して徹底した究明を行なうということが当然要求されるわけですけれ
ども
、この点について、
大蔵大臣
、もう少し厳正な態度をもって国民の前にその点を明らかにしていただく必要があると思いますけれ
ども
、いかがでしょうか。
磯辺律男
101
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
最初
にちょっと訂正さしていただきますが、四十七年に
田中
さんが
取得
したといわれます、ただいま加藤先生御
指摘
の一億三千万円の旧徳川邸、これは
田中
さん
個人
でございませんで、
東京ニューハウス
の所有でございます。その点は訂正さしていただきます。 それから次に、国犯法の規定によって強制捜査に移るべきだと、むしろそういった手法をとるべきだというふうな御質問でございますけれ
ども
、御
承知
のように国犯法の規定によりまして、第二条でいいますと、この「臨検・捜索・差押」のいわゆる強制手段を講ずるためには裁判官の許可状というものが要るわけでございます。裁判官の許可状を得るためには、そこに重大な犯則の事実の疑いというものの存在が必要であります。私
ども
ではそういった国犯法の規定に乗っかって「臨検・捜索・差押」等の強制手段を講ずるような重大な犯則の事実というものはただいま見当たっておりませんので、現在のところ国犯法の規定によって強制捜査をするということは考えておりません。
加藤進
102
○加藤進君 先ほどの旧徳川邸の問題ですけれ
ども
、
東京ニューハウス
、これはもう別
会社
だと言えば別
会社
、しかし、筆頭
株主
は
田中角榮
、同族がほとんどの株を持っている。となれば、これは
田中角榮
個人
のいわば出資と考えても、これは言い過ぎじゃない、こういう
意味
でこれを付け加えたのでございます。しかもこれを除いてみても事柄は重大だと、巨額の金が出されている、こういう事実はまぎれもない、その点は私からもあえて申し上げます。 それから国犯法を適用するということについては、なお容疑があまり明確でないというお話でございます。
税務当局
が今日まで
調査
されたことについて、それはそれなりに私は尊重します。しかし、
税務当局
が今日までの
調査
によって
国会
において明らかにされた個々の事実というものはほとんどありません。私
たち
を信じてほしいということ以外にない。われわれはわれわれなりの独自の
調査
を行なわなくてはならぬ、こういう
立場
で私
たち
は独自の
調査
に踏み切っておるわけです。こんなことはやらなくてもいいんです、本来。それが
税務当局
そのもののやるべき
仕事
なんです。私としてはそういう
立場
に立ってなお重大な嫌疑、容疑がある、この点については従来のやり方や
見直し調査
程度のやり方では真相を解明することは不可能だと、こういう
立場
に立っていわば
国税庁
を督促しておるわけでございまして、私
たち
はその点についても
国税
犯則法の適用等々も考慮し、あるいはこの
内容
としても査察部を動員する、こういうくらいの特別なやっぱり
調査体制
というものをとるべきであるということを私
たち
は考えておりますけれ
ども
、その点について特別の厳重な
調査体制
、こういう体制をとるという点について私は
最初
に申しましたけれ
ども
、重ねてこの機会に
国税当局
の考え方をお聞きしたいと思います。
磯辺律男
103
○
政府委員
(
磯辺律男
君) ただいまの
調査体制
で決して不十分であるとかいうふうなことは私
たち
考えておりません。先ほどお答えいたしましたように、ただいままでのところ
東京国税局
、
関東信越国税局
、直
税部
、
調査部
、非常にその
職員
の、有能な
職員
を一日平均いままでの実績では二十人動員いたしましてやっておるわけであります。ですから、私
たち
は厳密な
調査
をするためには国犯法の規定によって強制捜査をしなければならないというふうな必要は感じておりませんし、また現在の
調査
というものがなまぬるい
調査
であるとかそういったものでは決してないということはここで断言できると思います。
前川旦
104
○
委員長
(
前川旦
君) 加藤君、時間です。
加藤進
105
○加藤進君 もう
一つ
だけ。
政府
がそれほどやる気がないというなら、これはもうまたやむを得ないことでございまして、
田中角榮
その人にこの
委員会
に出ていただく以外には私は真相の解明の道はないと思います。私はこの
委員会
が
田中角榮
氏を証人喚問して真相を究明すべきである、こういう点で
委員長
に
田中角榮
氏の証人喚問をあらためて要求いたします。この点についてすみやかな手続をとられるようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
前川旦
106
○
委員長
(
前川旦
君) ただいまの加藤
委員
の要望につきましては、後ほど理事会で取り扱いを協議いたします。 加藤君、終わりましたね。次の質問者、御準備願います。
田渕哲也
107
○田渕哲也君 私はこの
中間報告
を見まして失望を禁じ得ないわけです。もちろんこれは最終
報告
ではありませんから、これだけをもって決定的な評価をすることは
誤り
だと思いますけれ
ども
、この
報告
から類推をしますと、最終
報告
においても
田中金脈
問題をほんとうに解明できるだけのものからはほど遠いのではなかろうか、こういう気がするわけであります。 そこで、まず第一にお伺いしたいのは、最終
報告
というものは一体どのようなものになるのか、
内容
でなくて形式とかあるいは概略ですね、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。
磯辺律男
108
○
政府委員
(
磯辺律男
君) 最終
報告
がどういうようになるかは、実は私
ども
としてはまだそこまで考えが至っておりません。現在その
調査
を一日も早く完了して
国税当局
としてのつとめを果たしたいということだけでいまやっておりまして、その後の取り扱いにつきましては何ともまだ申し上げられません。ただ、
事務当局
として希望を申し上げさせていただきますならば、やはりたびたび申し上げますように、
国税当局
というものを御信頼いただきまして、私
ども
の
処理
というものにおまかせ願えれば一番幸いであると考えております。
田渕哲也
109
○田渕哲也君 この
決算委員会
でいままで
田中金脈
問題について数々の問題が提起されておりますけれ
ども
、それらの問題はこの
中間報告
にありますように、単なる
計算
の
誤り
やあるいは
税務当局
の
解釈
の
食い違い
、こういう問題ではないわけです。極言するならば犯罪的行為であります。これはもちろん法律に違反しておる場合もあるでしょう。あるいは法律に違反しておるけれ
ども
、すでに時効になっておる問題もあるでしょう。あるいは法律には何とかひっかからないけれ
ども
、道義的な犯罪的な行為もあるでしょう。こういう問題が
指摘
されておるわけです。それに対して
調査
をされ、この
委員会
で解明されるからには、私はそういう疑惑を解いてもらうだけのものを出してもらわないと困ると思うのです。単なるこういう書類で、
計算
上の
食い違い
とか
解釈
の
誤り
があった、そうして税金は更正、修正された、その額は言えません、こういうことでは何にもならないと思うのですね。 そこで、私は、ちょっとお尋ねしますけれ
ども
、この
計算
の
誤り
とか
解釈
の
食い違い
によるこれから税金を追加徴収する額についてはお答えできないという答弁があったわけでありますけれ
ども
、この程度が
一般
の
税務
処理
上生ずる程度のものなのか、
田中
さんだけではなくて
一般
の人
たち
の場合でも生ずる程度のものなのか、あるいはその金額においては、それと比べてかなり大きなものであるのか、その点はいかがですか。
磯辺律男
110
○
政府委員
(
磯辺律男
君) ただいまそういった数字をいま詰めておる
段階
でありまして、それが
一般
に比べて大きい金額か、あるいは小さい金額か、
通常
かということになりますと、ちょっと判定がむずかしいのでございますけれ
ども
、やはりもとが大きいだけに、ちょっとした
計算
の
誤り
というものはやっぱり大きく響いてくるということは言えるかと思います。
田渕哲也
111
○田渕哲也君 それでは、この最終
報告
において、少なくともこの
委員会
で各
委員
から提起された問題に対しては何らかの解明なり釈明がされると、そういうことはお約束できるわけですか。
磯辺律男
112
○
政府委員
(
磯辺律男
君) そのときになりまして
——
私まだそこまで先ほど申しましたように考え方がまとまっておりませんけれ
ども
、この
委員会
のみならず大蔵
委員会
あるいは法務
委員会等
で御
指摘
になりました事項というものはすべて私
たち
の
調査
の
対象
として取り上げております。したがいまして、それぞれ
先生方
から御
指摘
を受けました事項について、これは具体的にこういうふうに
処理
いたしました、こういうふうに
結論
をつけましたということを
一つ
一つ
お答えするというのは非常にむずかしいと私は考えますけれ
ども
、少なくとも御
指摘
を受けました事項については、必ずそれに関する具体的な
処理
というものはやる考えでおります。
田渕哲也
113
○田渕哲也君 私は、その
内容
についてやはり
守秘義務
の問題もあるでしょうけれ
ども
、それの許される範囲内においてここでそれを明らかにしてもらわなければ何にもならないと思うんです。私
たち
にまかしてほしいだけではいけないと思うんです。なぜかと言うと、
田中
さんは前の
総理大臣
です。それから
総理大臣
の前は各要職を歴任された方です。行政に対して非常に大きな影響力と権限を持った方なんです。だから、われわれの疑惑は
田中
個人
にとどまらず、
田中
さんのもとにあった行政当局にも向けられておる、そのわれわれを信頼してくれと言うだけではそれは信頼できないと思うんですね。それから
守秘義務
の問題も、
国税庁
長官以下は
守秘義務
にしばられて何も言うことができない、その権限を持っておるのは
大蔵大臣
だということになるわけですけれ
ども
、
大臣
も、こう言えば失礼ですけれ
ども
、
田中
さんとは盟友であられた、また現在においても
田中
さんは自民党内の有力者です。これからの政治的な思惑とかそういうものは全然入らずに公正な
判断
ができるかどうか私は非常に疑問に思うわけですけれ
ども
、この点についての
大臣
の意見、決意というものをお聞きしたいと思います。
大平正芳
114
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 先ほど
久保委員
、峯山
委員
等にお答え申し上げましたように、もう田渕さんも万々御
承知
のとおり、私
ども
自分でかってに
守秘義務
をつくったわけじゃないんでございまして、
国会
のほうでおつくりになった法律を忠実に守っておるにすぎないわけなんでございます。
国税当局
にそれを求められても、それを無視して数字を示す、数字を詳しく御
報告
申し上げるということができないことは御
承知
願いたいと思うのであります。 私の
立場
でございますが、これも先ほど峯山
委員
にもお答え申し上げましたように、
国税庁
長官以下に
税務
の円滑な執行について重大な責任を持っておるわけでございまするので、
税務
の執行はどうでもいいというようなことで私が行動するわけにはいかぬと思うんです。したがって、精一ぱい
国会
の
国政
の御
調査
には御
協力
を申し上げますけれ
ども
、
税務
の円滑なる執行という行政権の一番大事な目的を見失ってはいけないし、その点については
国会
におかれましても十分の御理解をいただいておると思うのでございまして、したがって、可能な限り許された範囲内で
最大限
の
協力
をするようにという
総理大臣
のお気持ちでもございまするし、またそれがわれわれのとるべき当然の態度であろうと心得ておりますので、本件ばかりでなく、
田中金脈
問題ばかりでなく、この種の問題につきましては、こういう態度で一貫してお答えしていきたいと思います。
田渕哲也
115
○田渕哲也君 私がお聞きしたのはそういうことではなくて、
大臣
は現在でもその
田中
さんとは利害
関係
がある人である、その
大臣
の
判断
だけで
守秘義務
についてどうこうということについてわれわれに信頼せよと言っても、それは無理だ。だから、この程度のものは出すべきだ、出さないかというのは、やはり
国会
と協議をしてきめてもらうべきものではないか、そういう
意味
です。
大平正芳
116
○
国務大臣
(
大平正芳
君) たいへん失礼な御質問だと思います。私は、私情で公務を汚す男である、そういう危険性があるというような御質問はあなたにお返しをいたしたいと思うんでございます。私はいやしくも大蔵省の
仕事
を担当いたしております以上、厳正に公務は執行しなければならぬと思いまするし、
田中
さんが
総理大臣
であられたときも、友情と
仕事
は別だということはかねがね申し上げたとおりでございます。
田渕哲也
117
○田渕哲也君
大臣
のおことばを信頼いたします。ということは、この最終
報告
においてわれわれが納得できるものを出していただくということによってそれが
判断
できると思います。この点をお願いしたいと思います。 それからこの具体的な問題についての
調査
の経過について若干お伺いしたいと思いますが、昨年の十一月の
決算委員会
で私はサンウエーブ問題を取り上げましたが、この事実
関係
についての
調査
がどの程度進展しておるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
渡邊喜一
118
○
政府委員
(渡邊喜一君) 先生の御質問のサンウエーブの問題につきましては、十年以前の問題でございまして、私
ども
もまあできるだけの
関係
方面からの聞き取りあるいは
資料
の収集というふうな
調査
を行なってはきたのでございますけれ
ども
、遺憾ながらまだ完全に解明できるという
段階
ではございません。それからまた税の
立場
から申し上げますと、すでに時効にかかっておる問題でございまして、かりに完全に解明できましても、あらためて税の面で何らかの措置を講ずるということができない問題でございます。また、厳密に法律的にもうしまして、われわれの
課税
権のないところにわれわれの
調査
権があるかという点もかなり問題でございますので、そういう
意味
で
調査
面においても相当の制約があるということを御了解いただきたいと思います。ただ、本件につきましては商法違反等で刑事手続等にもなっておりますので、そういうふうな記録等も参照いたしましてある程度の事実はつかんでおるつもりでございます。
田渕哲也
119
○田渕哲也君 確かにこれは十年以上前の問題でありますから、
資料
が残っておらないでしょうし、
調査
権の問題もあろうかと思います。しかしながら、前回の
委員会
で当時の柳田政務次官は、法的には時効であるけれ
ども
、国民の疑惑を晴らすという面から
調査
する必要がある、そういう面について検討したいという答弁をされております。そうして、この件に立ち会った
田中角榮
氏やその他の
関係者
の意見も聞いた上で
処理
したい、こういう答弁をいただいておるわけです。したがって、現在もこれは
調査
困難だからほうっておいてもいいんだということにはならない。そこで、大蔵当局においても
調査
されておると思いますけれ
ども
、どの程度事実が明らかになったのか、つかんでおられる範囲でお答えをいただきたいと思うんです。
渡邊喜一
120
○
政府委員
(渡邊喜一君) 私
ども
が把握しております事実を簡単に申し上げますと、三十九年の十月ごろにサンウエーブの当時の柴崎社長と、それから
新星企業
との間にサンウエーブ工業の株式約三百五十万株の取引が行なわれた。それからそれに引き続きまして柴崎氏
個人
所有の
土地
、建物がやはり
新星企業
に買い取られておるというふうな事実を
承知
しております。それらの取引
関係
に応じて
税務
のほうの
申告
もそれぞれ行なわれておるということでございます。
田渕哲也
121
○田渕哲也君 この問題は昔の問題ではありますけれ
ども
、当時検察庁が一応調べた問題であります。だから、刑事訴訟記録の中にはこの経緯というものはかなり明らかになっておるわけです。子して当時検察庁は
新星企業
の山田泰司氏あるいは銀行等から
調査
資料
を取っておるわけですね。こういうものに基づいて
指摘
しておることは、いわゆる領収書並びに小切手の裏
書き
を偽造しておる、これは明らかに脱税をはかったものだ、こういうことが類推されるわけです。したがって、こういう点について
調査
されたのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
渡邊喜一
122
○
政府委員
(渡邊喜一君) 当初の株式の取引の代金及びその後に追加されました
土地
、建物の代金以外に、全般につきまして水増しの
価格
が支払われた形に契約全体が
処理
されておるという御
指摘
でございますが、私
ども
の
調査
した範囲内においてもそういう事実があったように感じられるわけでございます。で、その水増し部分が行なわれたという事実は、
税務
の面から考えてみますと、それは
土地
、建物等を
譲渡
した側につきましては、これはみなし
譲渡
課税
を免れておる。たとえば、かりに五千万円で売ったものを契約上は一億円で売ったというふうな形にいたしたとしますと、差額の五千万円につきましてはみなし
譲渡所得
、本来みなし
譲渡所得
税がかかるべきところをそれを免れておるというふうなことになろうかと思います。それからまた、それを買った側の
法人
について申しますと、それは購入
価格
の水増しでございますから、したがってその点は不当な支出になるということになろうかと思います。
田渕哲也
123
○田渕哲也君 そういう問題の
調査
に当たって、検察側とも
状況
を連絡されておるわけですか。
渡邊喜一
124
○
政府委員
(渡邊喜一君) 特に検察側と連絡をとってやったということではございませんで、
税務当局
は
税務当局
として独自に
調査
をして
課税
処理
を行なっておるということでございます。
田渕哲也
125
○田渕哲也君 それでは現在その
調査
も一応進行しているんですね。
渡邊喜一
126
○
政府委員
(渡邊喜一君) 一応
最初
に申し上げましたように、私
ども
の
調査
にはかなり限界がございまして、現在把握しておること以上にこれから把握できる自信があるかと言われますと、必ずしも明確に自信ありと答えるわけにはいかないのでございますが、いずれにいたしましても、なお公判記録等も詳細に調べまして、当時の事情を明確に究明したいと思っております。
田渕哲也
127
○田渕哲也君 終わります。
前川旦
128
○
委員長
(
前川旦
君) 田渕君終わりましたね。 次の質問者、御準備願います。
野末陳平
129
○
野末陳平
君
国税庁
は、
見直し
の過程で各年分の
資産
の増加をつかんでいるということでしたけれ
ども
、この五年間で
田中角榮
氏
個人
が
資産
としてどんなものを、大体大きな買いものですね、どんなものがあったか、ちょっとそれを教えていただきたいと思います。
磯辺律男
130
○
政府委員
(
磯辺律男
君)
土地
、建物が主でございます。
野末陳平
131
○
野末陳平
君 いままでの各
委員
の質問の中でもう少し具体的に出ていると思うんですね、
土地
で言えば私邸の問題がありました。それから建物で言えば別荘を含んだ軽井沢の件がありました。それから増資の払い込みのようなものもありましたが、もう少し具体的に、どことどことか、そういうことはお聞きしませんけれ
ども
、しかし、大ざっぱに五年間にこれだけの
土地
、建物についてはこれとこれと、このぐらいがふえている、金額にしたらこんなようなものだと、もう少しはっきり答えていただかないと、全くいつもわれわれが
資料
を出すだけで、そちらのほうで何も教えていただけないので非常に困るんですが。
横井正美
132
○
政府委員
(横井正美君) 目白の私邸
関係
について申し上げますと、目白の私邸は、二十八年ごろから長期間にわたって逐次お買い求めになられたというものでございまして、
土地
につきましては、四十一年ごろまでにほとんどが
田中角榮
氏の所有になっております。その後におきまして購入されましたものは、先ほど御質問ございました長谷川静子さんからの
関係
の約九十四坪だけでございます。 なお、目白の全体の面積は千六百二十坪でございまして、巷間伝えられますように、
東京ニューハウス
所有の一千坪までが
田中角榮
氏のものであるということは
誤り
でございます。 それから軽井沢の
関係
でございますが、東映並びに大川氏から四十七年にお買い求めの別荘だけでございます。郷里の新潟県におきましても、四十一年当時までで財産の
形成
が終わっておりまして、その後には増加はございません。
野末陳平
133
○
野末陳平
君 払い込み。
横井正美
134
○
政府委員
(横井正美君) 株式については
一つ
一つ
申せませんが、全体といたしましては、先ほど
国税庁次長
から申しましたように、長い間にわたりまして蓄積されました有価証券等が変形をしておる、運用されておる、あるいは処分されて形が変わっておるというふうなことでございます。
野末陳平
135
○
野末陳平
君 そうしますと、加藤
委員
の旧徳川邸の訂正は出ましたけれ
ども
、大体過去五年間、いわゆる
総理大臣
になられる前後から、おなりになっておやめになる間まで、やはり
土地
とそれから別荘と、それからいま株は過去の蓄積が変形したということになりましたが、いずれにしても、かなりな額はここで出ていると思うんですね。そうすると、公示
所得
とのアンバランスを私もずいぶん感じましたが、そちらの調べでは、公示
所得
外の
所得
でこれを手当てしたという
解釈
になるんですか。
横井正美
136
○
政府委員
(横井正美君) 株式につきまして、変形しておると、こう申し上げたのでございますが、率直に打ち割って申しますと、処分されたものがかなりあるというふうに御理解いただきたいと思います。そのほか各年の
所得
の中から税金等お支払いになり、生活用に使われた残額が
資産
の
形成
に加わっておる、こういうことでございます。
野末陳平
137
○
野末陳平
君 そこで、株の点をもう少しお聞きしたいんですが、原則として非
課税
になっておるようですが、まあ二十回の五十万株でしたか、それになりますと
課税
される。そこで、
田中角榮
氏は各年度ごとに株の
譲渡
益というものは一切出ていないと、株の
譲渡
益に対する
課税関係
というのは一切発生していなかったんですか。
横井正美
138
○
政府委員
(横井正美君) 御質問の点につきましては、五十回、二十万株、あるいは事業
譲渡
類似というような場合においては
課税関係
が起こるわけでございますが、
田中角榮
氏につきましては、過去五年間におきまして、その面におきまする
課税関係
は起こっておりません。
野末陳平
139
○
野末陳平
君 それが実はちょっと不審なんで、少なくもある年度は五十回、二十万株をこえる取引があるとぼくは調べているんですが、絶対にないですか。
横井正美
140
○
政府委員
(横井正美君) 御
承知
のように、五十回かつ二十万株ということでございますので、二十万株をはるかに上回るような株数でございましても、回数が少ない場合におきましては
課税関係
は起こらないというのが現行の税制でございます。
野末陳平
141
○
野末陳平
君 そうしますと、この株の
譲渡
益に関する問題はもう今後の
見直し
の
調査
の中では出てこないということになりますね。
横井正美
142
○
政府委員
(横井正美君) 私
ども
の
調査
は全部完結したわけではございません。先ほど次長からも申し上げましたように、たとえば配当
所得
につきましても一応の
調査
が進んでおるわけでございますけれ
ども
、なお今後とも株式の保有
状況
等をにらみまして検討を続けたいと、かように考えておるわけでございまして、御
指摘
の点につきましても、これらとあわせて検討はいたすつもりでございます。
野末陳平
143
○
野末陳平
君 そうしますと、まだ検討するという何か含みがあるようなんで、この問題をやりますと
大蔵大臣
に意見を聞くチャンスを失うかもしれませんので、ちょっとこれは保留して、時間のある限り
大蔵大臣
のほうに意見を聞きたいんですよ。何か
税務
上の
処理
の結果だけで、この
田中金脈
追及というのを終わらせるような印象が非常に強いんですよね。この問題は政治不信というものを非常に国民に残したわけで、
田中
さんがおやめになったからといって解決するものじゃない。この
委員会
としても、われわれ野党としても、ただ追及しただけでこれが終わってしまってはまずいんで、やはり相当政治的前進という点で何かなくちゃいけないと思っているわけなんです。そうすると、何となく
田中
さんの
税務
関係
を
国税庁
が調べたと、大きな問題はなくて小さな
ミス
で、それはそれなりに適正な処置をしたんだということで終わっちゃうと、非常にこれは
個人
的なことにすりかえられた感じがする。 そこで、
大蔵大臣
にお伺いするんですが、いま行なわれておる
国税庁
の
田中
さんあるいはその他
関連
会社
に対する
課税関係
の
見直し
というこれ以外に、
田中金脈
というものが国民の間に残した政治不信をいろんな点でもとに戻すような、あるいは少しでも信頼をつなぎとめるようなことをこれ以外に何をお考えになっておられますか。
大平正芳
144
○
国務大臣
(
大平正芳
君) たとえば
所得税
というものは、
所得
のあるところ
所得税
を納める義務が一定の条件のもとで発生するわけでございまして、
国税庁
の
仕事
というのは、そういう
所得
の発生に伴いまして歳入を確保すること、そういう
仕事
でございます。本来、政治的な道義を解明する、政治不信を解消するとかいうことが
国税庁
の任務ではないわけなんでございまして、
国税庁
に与えられた
仕事
は
国税庁
としてしっかりやってもらわなきゃいかぬと私は考えておりますが、政治不信の解消というようなことを
国税庁
に全部責任を持たすわけには私はいかぬと思います。 そこでいま、しかし、
野末
さんが言われたことは、それでは
大蔵大臣
という
立場
で、この問題を
政治家
の
立場
でどう考えておるかということでございますが、これは
国税庁
としては厳正にこの
見直し
の
調査
を私は進めさせたい、そしてちゃんとした適正な
処理
をしていただかなけりゃならぬと考えておりますが、一方、
田中角榮
氏御自身は、いずれみずからの、自分の財産は一体どうなっておるのか、異同はどうなっておるのかということを、御自身も明らかでないこともあると思いますので、お調べになった上で、どういう形かは存じませんけれ
ども
、疑惑を解明するためにある措置をとりたいとおっしゃっておるわけでございまして、それは私は、そういうことがなされることは、あなたが言われる国民の疑惑を除去していく上からいきましてたいへんいいことであろうと思っております。 しかし、同時に、この
田中金脈
問題という問題は、
田中
さんという特定の
政治家
をめぐって出てきた問題でございますけれ
ども
、御
指摘
のように政治
一般
不信につながる
一つ
のできごとであると受けとめなければならぬのじゃないか、そういう
意味
におきまして、ほかの方々はよく存じませんけれ
ども
、私のようなものも
政治家
といたしましてやはりよほど気をつけて、これ、
政治家
の財産問題というのは気をつけて
処理
していかなければならない問題が提起されておるというふうに私は思うわけでございます。しかし、これはそれぞれ
政治家
がそれぞれの
個人
の責任において、自覚においてやられることでございまして、人からしいるとかなんとかいう性質のものでは私はないと思っております。
野末陳平
145
○
野末陳平
君 非常に興味のあるお答えだったと思うんですけれ
ども
、
最初
にお
断わり
しますが、
国税庁
は当然政治不信を、ここで
国税庁
に、全部おまえのところが政治不信を解決しろと言っているわけではないんです。
国税庁
の
見直し
の役割りは十分いいと思うんですが、それにしても最終的に、その途中のいろいろな、何ですか、
見直し
の過程におけるこまかい具体的な中身については言えないところがたぶん多いだろうと思う。そうなると、結果だけ発表して、
国税当局
を信頼してまかしてくれと言われても、やはり今度疑われたのは
政治家
の政治姿勢ですよね。政治そのものが国民からかなり疑惑を持たれたわけですから、ですから
国税庁
だけでこの
田中金脈
追及というしりぬぐいを終わりだというのはおかしいと思う。そこで、それ以外に何をお考えになっているかというふうに私はお聞きしたら、
大蔵大臣
は、財産問題は特に気をつけないと、いろいろ気を使って
処理
しなければというようなことをおっしゃいましたけれ
ども
、そうなると、何か気をつけなきゃならないほどみんな裏があるのじゃないかと、むしろですよ、いや
大蔵大臣
に言うのではなくて、むしろそういう印象すらある。ここで私は
政治家
全部が、
田中
さんが退陣したあとを受けて、やはり国民の政治不信を解くために姿勢を正すのがあたりまえだと。そこで
大蔵大臣
、
個人
の自覚とか良識とか、そういうもので財産
処理
に気を使っていかなければいかぬというようなことではなくて、ここらでもうちょっとわれわれが、これだけ姿勢を正すぞという自覚のあらわれを国民の前に示さなければいけないと、こう思うんですよ。そこで、たまたま三木さんはおやりになりましたけれ
ども
、財産を公開なさったけれ
ども
、あれがはたして国民の政治不信、あるいは
田中金脈
、疑惑でもって何か政治をもう黒い目で見ようとしている国民に対して、どれだけ三木さんの
資産
公開は役立ったか、ぼくは疑問だと思うんですよ。 そこで、
大蔵大臣
に、これはいわゆる次に
総理大臣
になられるかもしれない非常に日本の大
政治家
の一人としてあえてお伺いするんですが、私はこの際、ほんとうは議員全部が望ましいとは思うんですけれ
ども
、とりあえず、
大臣
になるような方あるいは
大臣
になったら当然
資産
を公開すべきだと。本人、それから配偶者、それから子供まで含めて、
土地
とか建物のほかに株とか、それから利権がある人もあるかもしれませんね、そういうものを全部オープンにしてみずから姿勢を正すと。ただその場合に、紙っぺら一枚ではなくて、やはり公認会計士のようなしかるべき人の監査証明がついていると第三者的信憑があるという形で公開すべきである。それから過去五年間ぐらいの確定
申告
の中身は、うしろ暗いところがなかったら自分でばあっと出すのがこれはあたりまえだと思うんですね。そのぐらいのことをしなければ、この
田中金脈
で国民の間に残った疑惑とか不信の念なんて簡単に解消しないと思うんですよ。ですから、これも自分が出すといっても、
国税庁
が証明するような形をとってやらなければいけない。少なくともこの二点は、やっぱり
大臣
になったら数カ月の間にはぱっとやるというぐらい、これはよその国がどうあろうと、ほかの人がどう思おうと、やはりやるべきだ。これを
個人
の自覚ではなくて義務づけるのがいまわれわれが考えなければならない問題だと思っているんですよ。ですから、
大蔵大臣
、大蔵という
立場
でなくて、
国務大臣
あるいは次期
総理大臣
というような
立場
で、もう少しこの問題に対して具体的にお答えいただきたいんですよ。自覚とか良識にまかせるということで済むのか。それだったら、
田中金脈
でこれだけ世間を騒がした反省というものがぼくは不十分だと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
大平正芳
146
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 財産を公表するということでございまするし、
総理大臣
もやられたようでございますが、ことさらそんなことをしなくても、
所得税
法の二百三十二条には、あれはたしか二千万円以上の
所得
を持つ者は財産と債務の明細を
税務
署のほうに確定
申告
のときにつけるようになっておりまして、私も毎年それをやっておるわけなんでございます。これは所轄の
税務
署へ参りましたならばわかるはずなんでございまして、私は、気をつけなければならぬと言うのは、これもおざなりに、一応うちはこれだけの
土地
、建物を持っておるとかいうことでなくて、まあそればかりでなくて、あなたが言うように、有価証券にしても、いろいろなお義理合いで若干持ったものを見落としたり何かすることのないように、できるだけ正確にそういうところに
申告
するだけの注意義務が私は要るんじゃないかということを、あなたの御質問を受けながら感じておったわけでございますが、公の
税務
署にはちゃんとそういうように
——
公表はされておりませんけれ
ども
、異同かちゃんとわかるように
申告
をいたしておるわけでございまして、それ以上やらにゃいかぬものかどうかというような点は、日本の民主主義というもののルールは、
野末
さんおっしゃるように、それぞれ
政治家
というのは、財産をこういう時期に、こういう方法で、こういう
内容
のものをと公表するのが
一つ
のルールだということが定立してくれば、これはまあ
一つ
の行き方かもしれませんけれ
ども
、そこまでいまいくべきかどうかというような点につきましては、私はよほどこれは検討せにゃいかぬ、日本のデモクラシーのあり方として検討せにゃいかぬと思うのでございます。 それから財産問題というのは、なかなかこれお互いに、
野末
さんも私も一個の人間として考えた場合に、まあ女房がどれだけへそくりを持っておるか、(笑声)それから私が女房に預金帳の残高を一々知らせないほうがいいんじゃないかとか、(笑声)つまりその財産などというものは背中に張って歩くというようなものでなくて、ある程度の秘密というのがこれはあるんです。それまでみな奪うというようなことは、それは釐毫の間違いがあっちゃいかぬぞと、隠しものがあっちゃいかぬぞということまでやると、これ、人生生きる値打ちがなくなるんじゃないかと思うんです。(笑声)その点、私は、大筋で間違わないようにせにやならぬといいますか、釐毫ももう間違わないように、これでもかこれでもかとやられることが日本のデモクラシーのあり方としてはたして賢明なのかどうかという点は、与野党通じて私はやっぱり考えてみなきゃいかぬ問題じゃないかと思うんです。だから、財産問題というのはどういうように扱ったらいいかというのは、確かにわれわれにとって、政治にとって大事な課題だと思うんでございまして、単なる情緒的に、気分でこうせにゃならぬということも確かにそれはわかりますけれ
ども
、もっと冷静に、デモクラシーのあり方として、やっぱり情もあり血もあり愛情もあり理解もあるというような姿でこれは考えていくべき、お互いに検討すべき課題じゃないかというように私は思います。
野末陳平
147
○
野末陳平
君 わかりました。しかし、非常に公人としての
立場
を忘れて、かなり甘ったれたような考え方だと思います。女房のへそくりとか、あるいは
会社
の社長の財産と公人としての
立場
は違うと思います。しかも公人が今度疑われた。地位の利用とか、あるいは利権でもうけたとか、あるいは
政治資金
を私物化したんじゃないかとか、脱税したんじゃないかとか、いろいろな点で疑われる。公人としての責任と自覚というものを考えた場合に、
一般
の人と同じようにデモクラシーだから財産はそう簡単にといういまの
大蔵大臣
の答えはぼくは非常に不満です。ちょっとこの
田中金脈
追及に関して最終的に
大臣
はまだ反省が足りないんじゃないかと、そういうふうにぼくは思います。 きょうは終わります。
前川旦
148
○
委員長
(
前川旦
君) 他に御発言もないようでありますが、
大蔵省関係
の
審査
につきましては、本日は
中間報告
聴取のため、今後の取り扱いにつきましては理事会で協議の結果確定することとし、再び保留といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時九分散会 —
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