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説明員(
鈴木金太郎君) ただいまの小山先生のお尋ねにつきまして、まず
事故の概要を簡単に御
報告申し上げまして、そのあと御質問の
趣旨にお答え申し上げたいと思います。
本年の一月一日でございますが、先ほど御
指摘受けましたように、長野県の大町市の青木湖畔でスキー送迎用のバスが転落
事故を起こしたわけでございます。発生の場所は、長野県大町市の先ほど御
指摘いただきましたように青木湖のスキー場から〇・六キロメートルぐらい手前の地点でございます。
事故の車両でございますが、これは現場の近くで御案内のとおりホテルを経営しております平和島観光株式会社が、国鉄の大糸線簗場駅からその経営にかかりますところの青木湖スキー場まで無賃で旅客を輸送するために使用しているものでございます。当日午前十一時五分ごろ、同駅からこれは定員三十八名の三菱ふそう四十二年式の大型バスでございますが、これに四十一名を乗せまして出発いたしました。途中で「中志も旅館」というのがございますが、これは簗場駅から約一キロメートルのところでございますが、そこでさらに十九名乗せました。で、合計六十名のお客を乗せまして、そして車両が満員の
状態でございます。で、乗客が助手席まで一ぱいになった。で、左側にもございまするところのバックミラーなんかもよく見えないというふうな
状況で運転してまいりました。
そこで、運転してまいりまして、
事故の地点でございますが、これは幅員約四メートルの地点でございました。約十度の上がり勾配でございまして、直角に左へカーブする。これは半径二十メートルぐらいの直角に左にカーブする地点。これは道路の両側に約一メートルぐらいの積雪があった
状態でございますが、そこで運転者が運転を誤まりました。御案内のとおりパスが三十三メートル下の青木湖に転落したと、こういうことでございます。で、水深二十七メートルの湖底に水没したというふうなことになるわけでございまして、
被害の
状況などでございますが、これもすでに御案内のとおりでございますが、乗務員、これは運転手と助手でございますが、そのほかに乗客のうち三十六名が転落の際にドアや窓から飛び出しまして自力で脱出いたしまして、これが救助されたわけでございますが、残りの二十四名はたいへん遺憾でございますが脱出できずにそのまま死亡したというふうな事案でございます。で、死亡の直接
原因でございますが、現在のところいずれも溺死というふうに推定されておる
状況でございます。
これにつきましての警察のとりあえずの措置でございますが、
事故が発生しましたと同時に青木湖
事故対策本部、これは県警に設けました。
現地にはもちろん
現地の公民館に
事故対策本部、
現地事故対策本部、これは約百九十九名ぐらいの要員をもちまして設けました。
被害者の救助活動と事案の解明、それから捜査活動というふうなものを極力行なったような
状況でございます。また、
警察庁の本部といたしましても、午後零時直後、四分ごろでございますが、青木湖
事故連絡室というものを設けまして、
関係機関との
調整、それから
現地との
連絡、こういうふうなものを極力行なったような事情でございます。なお、同日付をもちまして、とりあえずこの種の
事故の再発の防止をはかりますために、全国の警察に対しまして類似
事故の防止につきまして交通
局長名をもって厳重に指示いたしたような次第でございます。
次に、事案の解明の経過、捜査の
状況などでございます。これにつきましては、まずもう御案内のとおり運転者につきましてでございますが、これは業務上過失致死傷、これは刑法二百十一条でございますが、これは最初一月三日に致死罪で送致いたしました。それから一月の十七日に、軽傷者十五名がございますので、これにつきまして致傷の罪名で追送してございます。それから次に安全運転義務違反、これはもう最初の一月三日に、これは道路の
状況に応じましたハンドルブレーキのいわゆる操作が誤っておるというふうな事情からかんがみまして、道路交通法七十条違反ということで同時に送ってございます。それから定員外の乗車でございますが、これは御案内のとおり六十二名乗車いたしておりまして、これは道交法五十七条で一応反則告知というふうな形をとっておるわけでございます。それから運転者の遵守事項違反でございますが、これは当時路面が凍結しておりまして、いわゆるチェーンを巻くわけでございますが、これをやっておらないというふうなことで、運転者の遵守義務ということで七十一条違反という形で送致いたしておるわけでございます。
それから次に雇用者の
関係でございますが、平和島観光株式会社、これにつきましては定員外乗車でこれは両罰
規定がございまして、一月の十七日に定員外乗車、道交法五十七条、同百二十三条違反で送致しておるわけでございます。それから平和島観光の専務取締役、管理課長、これにつきましては実は安全運転管理者が
選任しておりません。これは六台の車を持っておりますものですから該当するわけでございますが、未
選任であるということで道交法七十四条の二ということで送ってあるわけでございます。それから次は道路運送車両法の
関係でございますが、これは整備管理者の未
選任、これは同
法律の五十条でございますが、これにつきまして、管理者を
選任しておらないということで一月の十八日に同じく送致しておるわけでございます。次に、道路運送法の
関係でございますが、これは無償自動車運送事業の届け出不履行ということでございまして、これは同法の四十五条の二でいま届け出しておらない、この条項に該当します届け出をしておらないということでございまして、大型バスを使用いたしまして、かつ路線を定めて定期に不特定な多数の人々を無償で送迎をしておるというふうなことでございますが、そういう意味合いにおいて届け出の不履行ということで送致しているわけでございます。
以上でございます。