運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-02-25 第75回国会 参議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十五日(火曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員の異動  二月二十五日     辞任        補欠選任      亘  四郎君     亀井 久興君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         二木 謙吾君     理 事                 秦野  章君                 戸叶  武君     委 員                 伊藤 五郎君                 糸山英太郎君                 大鷹 淑子君                 亀井 久興君                 中山 太郎君                 増原 恵吉君                 田  英夫君                 羽生 三七君                 松永 忠二君                 黒柳  明君                 塩出 啓典君                 立木  洋君    国務大臣        外 務 大 臣  宮澤 喜一君    政府委員        外務省アジア局        長        高島 益郎君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省欧亜局長  橘  正忠君        外務省経済協力        局長       鹿取 泰衛君        外務省条約局長  松永 信雄君        外務省条約局外        務参事官     伊達 宗起君        外務省国際連合        局長       鈴木 文彦君        運輸省航空局次        長        薄木 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        警察庁警備局警        備課長      佐々 淳行君        警察庁警備局外        事課長      大高 時男君        防衛庁防衛局調        査第二課長    三好富美雄君        外務省情報文化        局文化事業部長  堀  新助君        文部省学術国際        局ユネスコ国際        部留学生課長   五十嵐耕一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国政府オーストラリア政府との間の文化  協定締結について承認を求めるの件(内閣提  出) ○国際情勢等に関する調査  (核兵器不拡散条約批准問題に関する件)  (マラッカ海峡通航問題に関する件)  (日中平和友好条約交渉及び日ソ平和条約交渉  に関する件)  (日韓間の諸問題に関する件)  (在日米軍のOTHレーダー基地撤去問題に関  する件)  (沖繩駐留米空軍SR71機のベトナム偵察  問題に関する件)
  2. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国政府オーストラリア政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方は御発言を願います。
  3. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、日本国政府オーストラリア政府との間の文化協定について二、三質問をいたします。  時間が非常に短いので、ひとつ答弁も簡単にお願いしたいと思います。  この文化協定は、四十八年の七月にオーストラリア政府の方から締結申し入れがあって、そしてその申し入れ日本が応じ、今回こういう文化協定ができようとしているわけでありますが、いままで十四カ国と文化協定締結しているというふうに聞いておりますが、それはいつも、日本側から申し入れたのもあるのか、あるいは全部向こうからの申し入れによってやったのか、その点はどうなっているんでしょうか。
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの点、政府委員からお答えを申し上げます。
  5. 堀新助

    説明員(堀新助君) ただいままでのわが国が結んでおります十四の文化協定につきまして、最初申し入れがどちらからあったかという点につきましては、その十四のうち大部分は非常に古いものでございますので、必ずしもどちらから発案があったかということは、はっきりいたしておりません。  最近のものは、ベルギーと、それから現在御審議願っておる豪州でございますが、ベルギーの場合には、ベルギー側から最初の申し出がございまして、オーストラリアの場合にも、日本側でも考えておったんでございますが、四十八年七月の日豪事務レベル定期協議で、両方で協定の話をしようと、ただ豪州側が申し出るという形をとろうということを事前に話し合っておったわけでございます。
  6. 塩出啓典

    塩出啓典君 やはり日本の今後のあり方としては、特にこういう文化交流というものは強力に推進をしていかなければいけないんじゃないかと思います。そういう点で、今後積極的に、そういう文化協定の結ばれてない国ともやはり結んでいくべきじゃないかと。いままでこういう国々文化協定が結ばれておりますが、たとえば中国などは日本の国とも非常に歴史のつながりも深いし、まあ一番文化協定の必要な国ではないかと思うわけです。しかし、この中国との文化協定はまだないわけで、またそういう話もあまりまだ両国議題にも上っていないようですけれども、これは日本中国関係を進める上においても、日本の方から積極的に中国に話し合いをして、やっぱり文化協定を結んで推進していくべきではないかと、このように思うわけですが、その点、外務大臣として、そういう提案をする、推進をする御決意があるのかどうかですね。
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 中国との間にできるだけ人的交流を深めていきたいと政府としては考えておりまして、人的交流の中で、やはり最も純粋な長期的な意味のありますものは学術文化に関する人的交流であろうと考えます。したがいまして、塩出委員の言われます基本的な御趣旨賛成でございますが、その際、文化協定を必要とするかどうかという点については、御質問のように、両国間でまだ話し合ったことがございません。いろいろ価値観の違っております点などもございますので、中国側がどのような意向を持っておりますか、したがいまして、ただいま全く私どもにわからないわけでございますけれども、もしそのような点で、中国においても非常にそれを希望されるというようなことでありましたら、ただいまのような御示唆は非常に有意義なものではないだろうかと考えますが、ただいままでのところ、そのようなことを中国側がどのように考えておられるかについて、これという私どもに心証がございません。もしそういうことで、中国側もそれを希望しておられるということでございましたら、ひとつこれは考えてみる価値のある有意義なお話ではないかと思っております。
  8. 塩出啓典

    塩出啓典君 恐らく、中国としても、そういうことには非常に積極的になるんじゃないかと思うんです。そういうわけで、今後いろいろな機会があると思うんですけれどね、やはりわが国としても積極的に向こうに当たるべきであると、そのように思うんですけれど、そういう点どうでしょうか。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういうことにつきまして、心構えとしては、先方の意向をいろんな方法で知るように努力いたしたいと思います。
  10. 塩出啓典

    塩出啓典君 こういう文化協定ができたからあらゆる国との交流が進むというものでもないわけでありまして、やはり協定に基づいていろんな施策をやっていかなければならないと思います。  そういう意味で、外務省の今年度の予算の中で特に「文化外交推進」、私のいただきました資料には「国際交流基金拡充強化」、あるいは「留学生受入体制充実強化」、こういう項目があるわけでありますが、特に「留学生受入体制充実強化」につきましては、一億八千二百万から三億三千七百万、このようにふえておりまして、「東南アジアにおける対日批判を念頭において留学生対策充実強化をはじめとする諸施策を早急に実施する」と、このようにあるわけでありますか、この予算のふえた内容はどういう内容であるのか、簡単に御説明願いたいと思います。
  11. 堀新助

    説明員(堀新助君) 留学生問題は、外務省文部省と協力してやっておるわけでございまして、又部省関係にも留学生お世話をする予算はいろいろございますが、外務省の分だけを申し上げますと、国際学友会補助金、これが二億九千八百万円、それから東南アジア留学生の集いというのを昨年やったわけでございますが、この方面関係予算と、それからアジア局主管になっておりますが、日本へ留学して本国へ帰られた方のお世話をするという関係予算、この三つを合計いたしまして先生のおっしゃいました数字になるわけでございます。
  12. 塩出啓典

    塩出啓典君 非常に留学生が困っている問題はいろいろあるわけでありますが、特に住居ですね、宿舎がない。特に関西あたりは、留学生会館が一カ所あるわけでありますけれども、大半がそういう民間のところを借りなければならぬ。そういうときに敷金が四十万円とか五十万円とか、非常に困っている。また、日本人の中には東南アジア学生はあまり受け入れないという、そういう風潮もあるようでございまして、これについて私の聞いている範囲では、政府国費留学生のうち、いわゆる留学生宿舎がありますね、東京大阪にあるわけです。それに入れない人のためにいわゆる宿舎費補助を出しておると、このように聞いておるわけですけれども、その点はどうなっていますか。
  13. 堀新助

    説明員(堀新助君) 宿舎費補助文部省のほうで所管しておりますので、文部省留学生課長からひとつお聞き願います。
  14. 五十嵐耕一

    説明員五十嵐耕一君) 留学生会館につきましては、先生の御指摘のように、現在東京あるいは関西、名古屋、九州その他の地域に設けております。そういう会館に入れない学生に対しましては宿舎費補助を支出しております。その宿舎費補助につきましては、昭和四十九年度におきましては平均一万円でございますが、それを五十年度におきましては一万一千円に上げたいというふうに考えております。以上でございます。
  15. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは私費留学生については何もないわけですか。
  16. 五十嵐耕一

    説明員五十嵐耕一君) 私費留学生につきましては、現在特別な補助というのはやっておりませんが、これにつきましては、外務省の御所管の国際学友会会館というものがございますので、そちらの方でかなり収容されております。
  17. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあひとつ留学生人たちに対するそういう宿舎問題等にいたしましても、中には日本学生とやっぱり一緒に行動したいと、そういうわけで、できれば寮へ入れてもらいたいという、そういう希望者もかなりいるようなんですけれども、なかなか学校当局一般の寮には留学生は入れないという、そういうような意向が非常に強いようで、寮に入っている人はいないようですけれども、やっぱり日本留学生が来るというのは、ただ学問を勉強するだけじゃなしに、一つ日本人の心に触れて、そうして友達をつくると、こういう点から言えば、やはりできるだけ日本学生と接触できるようにするために、寮にも外国人留学生も入れるように、外務省としてもやっぱり働きかけるべきじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか。
  18. 堀新助

    説明員(堀新助君) 大学の寮につきましては、北海道大学、千葉大学東京外語大学大阪外語大学、九州大学など五大学には留学生のための寮がございます。  ただ、塩出先生のおっしゃいましたのは、日本人学生が入っておる寮に一緒留学生を入れてやるようにすべきであるという御趣旨と存じますが、その点については、残念ながら日本人学生と同じ寮に入っているということにはいまのところなっておりません。それで文部省とも相談いたしまして、そういうふうにできるだけしていただきたいと、大学側に働きかけたいということを考えております。
  19. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから中国からの国費留学生がいま枠がありながらその枠も来ていないと、こういうように新聞で拝見したんですけれども、これはいろいろ聞いてみますと、日本から中国へ留学をする場合は、これは北京語学院ですか、ここには無試験で、日本試験を通っていけば向こうは無条件で入れるのに、中国から日本へ来た場合は、中国のほうで試験をしても再び大学へ入るときに試験をすると、そういうことで、平等ではないじゃないかと、こういうようなことで、枠がありながら来ていない、そのように拝見したわけですけれども、まあそういう点はやはりある程度便宜を図って、それぞれの国の事情があるんですから、そう大学のほうも入学試験を厳しくするとか、こういう必要は私はないんじゃないかと思うんですけれども、こういう点はどうでございますか。
  20. 五十嵐耕一

    説明員五十嵐耕一君) いまの大学入学試験、あるいは学業成績の評価をどうするかという問題につきましては、これは具体的には大学が検討するということで、どういう学生を入れるかということは、まさに大学自治の問題だと思います。これにつきましては、日本制度は、御承知のように成績を評価して、それに基づいて入れるという制度になっておりますので、その点につきましては、十分大学とも連絡しながら検討を進めたい、かように思います。
  21. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあ大学自治ですけれども、やはり国際交流ということ、そういうより大きな目的もあるわけですから、そういう点は外務省としてもよく関係者と話し合って、そういう点スムーズにいくようにやっていただきたい、このように思います。  それで、いろいろ彼らの言い分の中には、学科の変更を希望したけれどもそれを断られた人が多いとか、いろんなそういう要望があるようですけれども、こういうやはり留学生皆さん要望なり意見なり、こういうものを政府としても十分聞いていかなければいけないと思うんですけれども、いろんな団体がこういうアンケート調査をして新聞等で発表しておりますけれども文部省あるいは外務省として、やはりときどきはそういう実態を調査すると、こういうことを今後すべきじゃないかと思うんです。その点はどうなんですか。
  22. 堀新助

    説明員(堀新助君) 外務省におきましても、いま先生指摘の点は十分に認識をいたしまして、昨年四月以来学界、それから財界、一般学識経験者にお集まりいただきまして、非公式な諮問委員会というようなものをつくって、すでに九回の会合を重ねてまいりました。そこで先ほどから塩出先生指摘の点を中心といたしまして、幾多の問題を論じたわけでございます。これには文部省からも主管局長留学生課長が常時御出席いただいておりますし、また、文部省でもわれわれとは別の観点から留学生問題を討議する会合を定期的に開いておられまして、私も出席させていただいておりまして、両省協力して改善策を検討しておるわけでございます。
  23. 塩出啓典

    塩出啓典君 最後に、いずれにしても、留学生皆さんはいま五千人近く来ていらっしゃるようですけれども、そういう人たちは、やがて本国へ帰ればその国の中堅になっていくと思うのですね。そういう人たちがやはり日本におるときに、日本にたくさんの友人をつくり、国境を越えたそういう信頼と友情を持って帰るということは、これはもう非常に日本の将来にとっても大事なことじゃないかと思います。日本の国も、特に東南アジア国々と仲よくしていかなければいけないわけですから、そういう意味で、これは留学生受け入れ体制だけではなしに、さらには青年の交流とか、いろいろなそういう国民交流というものを推進していくべきではないか。そういう意味で、符に外務省としてもこういう点の予算をさらにふやしていくように努力をしてもらいたい。ところが、国際交流基金拡充強化にいたしましても、五十年度は四十九年度より大分減っているわけでありまして、恐らく国際交流基金にいたしましても、この基金の金利で運営をするにしても、最近のような物価の高騰では運営もなかなかできないんじゃないかと思うのですね。こういう意味で、こういう方面にお金を使うということは、これは伏してむだなことではないわけで、ある面から言えばこれが最大防衛費にもなっていくんじゃないかと思うのですね。そういう意味で、今後ともこういう方面充実外務省としても全力を上げていただきたい。このことを要望したいと思います。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの御指摘の点は逐一ごもっともであると考えますし、私も実はそう思っております。御指摘の方向で最大努力をいたしたいと思います。
  25. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 本件についての質疑はこれにて終わりました。
  26. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 次に、国際情勢等に関する調査議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  27. 戸叶武

    ○戸叶武君 核拡散防止条約批准問題について、国民が非常な注意を払っておりますが、この問題に対して、三木首相及び宮澤外務大臣見解というものは、幾たびか国会並びにその他の会合においても明らかにされておりますが、条約の仲間入りをして核軍縮で世界をリードしようという批准推進見解を明快に示していることは、私たちは歓迎すべきだと思いますが、新聞その他の伝えるところによると、自民党の椎名副総裁なり灘尾総務会長なりの見解は、外務省説明では、批准をなぜ急がねばならないかわからないというような見解をとっているということでありますが、外務省見解国会並びに新聞でも明らかに発表されておりますが、具体的にその問題となっている問題点はどういう点なのか、それを外務大臣から示していただきたいと思います。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府といたしましては、先般保障措置協定の実体的な詰めがウィーンにおいてほぼ終わりまして、その結果は満足すべきものと考えておりますので、この協定内容国会の御審議に供しますために、ただいま成文化をいたしておるところでございます。実は、本体、付属部分を合わせますと百数十条になりますので、その作業にかなり実は時間がかかっておるわけでございます。その間、この問題につきましての各方面からの御議論あるいは疑問に政府としてはこたえてまいりたいと考えまして、ただいま全力を上げておるわけでございますが、どのような疑問が出されておるかというお尋ねでございます。  先般も当委員会で一部申し上げたかと存じますが、一つは、わが国政府が現在とっております非核原則そのものに反対だというわけではないが、しかし、それを今後二十年、少なくとも二十年にわたって条約上の義務とすること、それはいかがなものであろうかという種類の疑問が一つ出されております。  それから、いろいろございますが、もう一つ出されております疑問は、今後二十年間の世界情勢、その中においてわが国がどのように対処をし、どのような日本になっていくかということは、あまりに二十年という日子が長いこともあって、いまから十分に見通すことがむずかしいではないか。そういう観点から言うと、ここでひとつ日本立場をこの条約によって確定をするということは、あまりに流動的な要素が多い今後二十年を考えると、やはり不安ではないだろうか、このような疑問も提出されております。幾つかその他にも疑問が提出されておる点はございますけれども、大づかみに申しますと、ただいまのような種類の疑問が提出されておることであろうと思います。
  29. 戸叶武

    ○戸叶武君 そういう二つの疑問が提示されるということは、あながちそれは悪いというのではありませんが、常識的にその二つの疑問に対しては、これを説得するに足るだけの見解三木さんなりあなたなりが持っていると思うのでありますが、それを説得できないところにいまの自民党の古い体質と、政府の、三木さんなりあなたなりの新しい理想主義的な意欲とのギャップがあると思うのであります。政党政治であるからやむを得ませんけれども、いま三木内閣の持っているムードというものが、地方選挙なんかには相当勝利をおさめている。けれども自民党体質というものは、いまのような、この核拡散防止条約批准にブレーキをかけているような体質だというと、そこに三木首相なり宮澤外相なりの理想主義的なものと、非常に古い体質自民党の物の考え方との間のギャップが出てきていると思うのであります。国民はこれに対して非常な不安を私は感ぜざるを得ないと思うのであります。  そこで一つ問題点は、民間の大企業等から出されている、批准すればウランが入手しやすくなるという要望もあるようですが、しかしその反面において、核を日本でも持とうという、いわゆる非核原則がいままで国会でも同意を得、国民的合意背景もあるからやむを得ないが、今後二十年間のうちに核を持たざるを得ないときが来るんではないかという構えのようですけれども、そういう物の考え方に対して、外務大臣はどういう御見解をお持ちですか。
  30. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 原子力産業関係をしておられる方々は、ほぼ一致して今回の保障措置協定は満足なものである、現在受けております査察はそれに比べますと相当きついものでございますから、したがって、新しい保障措置協定に移ることが望ましい、及び、それによってただいま御指摘の原料あるいは関係の施設、資材等も入手することが安定をする、そのような見地から賛成を述べておられるわけでございます。  後段の、いわゆる非核原則のうち、持たず、つくらずという部分をこの条約によって条約上の義務とするかどうかという点でございますが、政府の考えといたしましては、今後二十年間の間にわが国核兵器をつくる、あるいは持つということは、わが国の国益にかなうものでないばかりでなく、現実問題として、日本のような国土でございますと、そのようなための実験あるいは開発等々、またいざというときにそれを持ち得るというようなことは、あらゆる観点から見まして現実的にありそうな事態ではないし、またあっていい事態でもないであろうというのが政府の基本的な判断でございます。したがいまして、条約で約束をしないことによって、いつでも持ち得るという体制をとることが一つ外交上あるいは国防上の力になるという考え方は、政府立場から申せば、実際には可能でないことを可能であるかのごとくの状態に置いておくことがどれほどの力になるかという点では、政府はそういう意味でのいわゆるフリーハンドというものの実体的な意味は認めがたいというふうに考えておるわけでございます。
  31. 戸叶武

    ○戸叶武君 宮澤外務大臣最後の、いわゆる可能でないことをフリーハンドに置くということは無意義なことであるという決め手に対して、国民は賛意を表していると思うんです。私は、国民も、国会においても、この意見を聞くならば、やはりあなたのいまの見解に大部分の人が賛成じゃないかと思うんです。そういう状態のときに、非常に古い体質の方の物の考え方によって、フリーハンドどころか、政府は今度は縛られてしまって手足も出ないというのなら、三木内閣外交に対する存在価値というものは零になると思うんです。これは重大な問題だと思います。いま中曽根幹事長が、保有国が核を使用しないというばかりでなく、核実験を誇示したり、核非保有国を脅迫しないということも何らかの形で明文化さるべきだということで見解を述べているようですが、やはり批准に応じてこそ日本発言というものが、国際的世論背景にして、特に第三世界の支持をも得て、日本の苦い体験を基礎としての発言というものが非常な価値国際社会に持つのですが、いまのような国際感覚を持たない、目先の打算によって左右されておっては、武力を持たない日本が、日本自体が筋を通して、人道的な立場から世界にアピールするという理想主義的な意欲というものを外交路線の中で消滅させておいては、日本外交価値というものが一つもなくなるんじゃないかと思うんですが、宮澤さん、そのことは杞憂でしょうか。私は、いま日本外交進路にとって大変な、しっかりした政治姿勢を示さなければならないときにきていると思いますが、あなたの御見解を承りたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府立場はただいままでに申し述べたとおりでございますけれども、しかし、それに対するいろいろな疑問、あるいはそれに対比した立場というものを、古い体質に基づくものだというふうにきめつけますことはどうも適当でないように私は思うのでございます。つまり、わが国が過去二十何年歩いてきた道を考えますと、今後の二十年というものはまことに予測しがたいものでございますから、それについていろいろな議論、いろいろな疑問が出されることは、私はむしろ当然のことではないであろうか。体質の問題だというふうには私は考えておりません。しかし、そうではございますものの、見通し得る限りでわれわれ今後二十年というものを考え、議論をし、そしてその上で、政府といたしましてはそのような疑問、あるいは問題提起に可能な限り答えるということ、及び、わが国がこの際この条約批准をしないということから生ずるさまざまな問題——それは国際関係もございますし、原子力の平和利用に関係する部分もございますが、批准しないことから来るデメリットというようなものがまたいかなるものであろうか。で、両方を比べまして、政府としては提出されました疑問に最大限の努力をして答えることによってコンセンサスを得ることができるであろう。また、そういう努力をただいま保障協定の事務的な準備をいたしておりますこの期間に最大限にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 戸叶武

    ○戸叶武君 けさのテレビだと、自民党内においても、若手の人が、あれは二十人とか四十人とかいうことで、核拡散防止条約批准をめぐり、この問題の促進のために、政府の窮地に入っている態度を見ちゃいられないというので、積極的な促進姿勢を示している模様でありますが、それは政党政派を乗り越えて、やはり日本外交姿勢というものを明確に海外に示すためにもテストケースになるんだと思いますので、あなたは自民党に所属しているので、体質の古い人たちに対しても非常に愛情を持ってやわらかな表現で物を言っておりますが、そういうところに、私は、もしもこれが今国会において批准がなされないようなことになると、世界じゅうが、何だ日本は、と言うだけではなく、三木さん、宮澤さんのかなえの軽重も問うようなことになると思いますので、その柔軟な姿勢は結構ですが、やはり政治家は見識であり、貫くものを持っていないと、何だやっぱりだめなのかという嘆きを、失望を国民に与えると思いますから、心してひとつこの問題の処理には当たってもらいたいと思います。  当面の、この間から問題になっているマラッカ海峡の祥和丸の座礁問題についての、シンガポール沖での座礁による石油流出事件についてのマラッカ通航の問題が出ておりますので、私はシンガポール南洋大学の蕭慶成博士が、国際法の権威でありますが、彼とは二十数年来の親友なので、きのうきたのを中心に、私は私なりのディスカッションをやってまいりましたが、あのマラッカ通航の問題といいましても、マラッカ通航の問題も安全の保障というものはまだなかなか困難なことであり、十分な調査もできてないので、問題は提示されていても、いまの国際航路をマラッカへ変えるというようなことはなかなか困難と思いますが、そういう形であの問題をめぐって日本政府への何らかの打診というものはきておるんでしょうか。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先般、関係三国の外務大臣が会議をされまして、聞くところによりますと、そこで航行を分離すること、それから航行安全、あるいは汚染防止のために関係国の間で協力をしようというような合意があったように聞いておるわけでございますけれども、その点は私ども結構なことだと考えております。が、それから先になりますと、必ずしも三国間の態度が同じでないというようなことも聞いておるわけでございます。  ただいま後段で言われましたことは、マラッカ海峡と言われましたが、ロンボク海峡ということですね。
  35. 戸叶武

    ○戸叶武君 マラッカ海峡じゃなくロンボク海峡です。それは訂正します。
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこで、ロンボク海峡のことにつきましては、実は全く未知数と申しますか、十分にロンボク海峡の実情についての、あるいは海図でございますとかいうこと自身すらまだはっきりしていないという状況ではないかと考えておりまして、したがいまして、これが現実の問題になるのはまだまだ何といたしましてもかなり時間がかかるのではないか、すなわち、海図等をはっきりさしておきました上で、おそらくいろいろな安全措置というものがその上に必要になるであろうと思われるわけでございますから、かなり将来のことになるのではなかろうかと考えております。
  37. 戸叶武

    ○戸叶武君 インドネシアのほうからロンボク海峡を回るべきだという意見が出てきているようですが、外務大臣が言われたように、マラッカ海峡の性格とロンボク海峡の性格は違って、ロンボク海峡のほうは国内的な航路であって国際航路とは言えないし、十分の調査というものもなされておらないのですが、やはりそこにはいろいろな意味における東南アジア諸国の思惑もあるのでしょうし、聞くべきものは聞くけれども、今日のやはりマラッカ海峡の航行の安全ということに対して、日本自体がやはり前向きの姿勢で対処、協力していかないと、東南アジアの複雑な情勢のもとにおいて、今後この航路の安全を確保するという意味においていろいろな問題が起きると思うのでありますが、いまのところ、あの東南アジア諸国からの日本側に対する要請はどういう形で具体的には出てきておるのでしょうか。
  38. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府委員から申し上げます。
  39. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) ただいま先生の言われたとおり、インドネシア政府といたしましては、二十万トン級以上のタンカーにつきましては、ロンボク海峡を通航してもらいたいという希望があることは承知いたしております。ただ、先ほど大臣からお話のありましたとおり、ロンボク海峡につきましては、まだまだ詳細な海図の作成が必要でございまして、わが国といたしましては、インドネシア政府からの要請に基づきまして、昨年二月から三月にかけまして、陸上目標の選定等の本測量に必要な予備的調査を実施いたしました。また、本年五月からは本測量を実施する予定でございまして、このような測量を実施の上で詳細な海図を作成し、その後にこの実際の航行についていろいろ話し合いが行われるというふうに考えております。
  40. 戸叶武

    ○戸叶武君 この水島の重油流出事件を見ても、安全性というものを避けて通れないということは明らかなので、国際的には、この問題は水島事件よりもやはり影響するところが大きいと思うのでありますが、来る三月十七日からの第三次国連海洋法会議でマラッカ海峡の取り扱いも問題になると思いますが、そこで、国際海峡の非国際化、自由航行か無害通航かの問題が改めて問題化されるだろうと思いますが、どういう問題がそこでは提示され、どういう見通しのもとにこれに対処しつつあるか、そのことを承りたいと思います。
  41. 松永信雄

    政府委員松永信雄君) 昨年ベネズエラのカラカスで開かれました第三次海洋法会議におきまして、すでに国際海峡の問題については、通航の自由の問題、それから航行の安全を規制する問題、それから海洋汚染の防止に関する問題等が論議されておりまして、ことしの三月から開かれますジュネーブの会議においても、同じような問題についていろいろな論議が展開されるであろうと予想しております。  で、先般マラッカ海峡で発生いたしました事故から発生しておりますような問題についても、当然いろいろな角度から論議されるものと考えております。ただ、このマラッカ海峡の事件から直接に派生してきますいろいろな提案が、あるいはいま現在三国間で話し合われております提案が、直ちにそのジュネーブ会議に出てくるかどうか、その辺はまだ見通しが出ておりません。そういう状況でございます。
  42. 戸叶武

    ○戸叶武君 最後に、日中平和友好条約の問題と日ソ平和条約並びに日ソ友好善隣条約の絡み合いの問題で、一般国民が、日本中国日本とソ連の間に何か問題の受けとめ方にギャップがあるのじゃないかというような印象を受けておりますので、次のことを外務大臣に明快にしておいてもらいたいと思います。  ソ連側の領土問題を含む平和条約の問題は、前向きの姿勢で問題を継続的に審議しているが、いますぐにそれが早急に解決つくという見通しがないから、継続審議を続けていきながら、一方において、これと並行して友好善隣条約というものを提示してきたというふうにソ連側では見解を持ってるようですが、日本政府の受けとめ方は、それはどういう受けとめ方をしているのですか。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 現実の事態の解釈につきましては、いま戸叶委員の言われましたような解釈を私もいたしておるわけでございますけれども、それに対しましての政府の態度は、やはり領土問題が解決をすると、それは平和条約の形で解決をするということがまず最初であり、前提でありまして、その後に友好条約というようなものを、もし必要であればそれは考え得ることでございますけれども、前提として、領土問題が解決されなければ次のステップを考えるわけにはいかないというのが政府立場でございます。
  44. 戸叶武

    ○戸叶武君 政府と私たちは必ずしも立場は同じだとは言えませんが、宮澤外務大臣のいまの御意見は一つの見識だと思います。しかし問題は、御承知のように、日中、日ソの関係というのは微妙に絡みついております。そこで日中平和友好条約の中における領土問題に対しては、それにこの前宮澤外務大臣が明快に回答しておりまして、領土問題は片づいている、尖閣列島の問題は戦後の問題であって、現に日本が領有し支配しているんだ、これで尽きておりますから、ソ連との間の領土問題とは性格を異にしているのはわかります。しかし、いま問題になっているのは、やはり太平洋のヘゲモニーの問題だと思います。太平洋のヘゲモニーと言うと、覇権という標語だと非常に誤解を招くけれども、事実上私はきのうも横浜のあの軍港化されているところへ行きまして、アメリカの船が入って来たり、日本の自衛隊の共同防衛体制と思われるような険しい情勢に接したのでありますが、日本の安保条約、アメリカの核のかさのもとにおけるこの安全の保障というような形が、ソ連側を私はあるところまで刺激しているのは事実だと思うのであります。また、ソ連側が漁業の問題に名をかりて太平洋に船を出してきているということが、この間、日ソ親善友好協会の会合でも、ソ連と友好関係を持っていきたいという人々でも、岩手県の漁民や千葉県の漁民その他を刺激しているのも事実であります。国際情勢はこのように複雑にして多岐な状態に置かれているのでありますが、日本外交路線において、中国と平和友好条約を結ぶ場合においても、ソ連と平和条約を結ぶ場合においても、第三国に対抗する軍事同盟的な性格、あるいは第三国を刺激するような条約上の文字を使うことは、安保条約におけるそれにおいても非常に反省をしなければならないことだと同じく、非常に慎重を要するものだと思いますが、外務大臣はそのことに対してはいかような見解を持っておりますか。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わが国の憲法からいたしましても、また、政府が現にとりつつあります政策から考えましても、戸叶委員の御指摘のように私どもも考えております。
  46. 戸叶武

    ○戸叶武君 それでは、日中平和友好条約というものは非常に急がれておるし、もう私は核拡散防止条約批准とともに非常に早くなっていると思うのでありますが、やはりソ連側でも疑心暗鬼を持っておる面もあるでしょうが、日本日本としてかくのごとき見解の上に立って今後における平和条約締結していくのだという姿勢を、領土問題だけでなく、すべてに明解に明示しながらやはり前進していってもらいたいということを期待します。そういう意味において、日中平和友好条約の中に、ソ連あるいは第三国を刺激するような覇権というような用語は用いないということを明快に外務大臣は明言することができるでしょうか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまこの条約につきましては、外交折衝を続けておるところでございますので、詳細に具体的に申し上げることは避けるべきだと考えますが、日中間の平和友好はもとよりわれわれが心から望んでおるところであり、また、中国側もさようであろうと考えますが、第三国に思わざる疑惑あるいは疑いを与えるような結果にこの条約がなりますことは避けるべきであるというふうに政府としては考えております。
  48. 戸叶武

    ○戸叶武君 最後に、私は今後の核拡散防止条約批准と、日中平和友好条約締結というものは、戦後における日本外交のあり方に対して明快な一つの主体性を示すものでなければならないと思うのであります。それは国民的合意背景にするものでありますが、やはり見識をもって国民的合意を求むべきであって、自民党たりと社会党たりと、共産党、公明党、民社党とを問わず、この問題に対して党内において明快な外交姿勢というものをとらなければ、国民からの信頼を失い、外国からの軽侮を招くと思うのでありまして、そういう意味において、三木さん並びに外務大臣はなかなか聡明な知性人でありますが、問題は腰の問題です、腹の問題です、へっびり腰ではこの問題は片づかないと思いますから、心してやはり日本外交の方向づけのために身を挺していってもらいたいことと、活発に国会を通じて自民党、社会党、公明党、共産党を問わず、この問題に対して十分な自由討議が行われて、国民を納得させ、海外も日本はこういう構えで外交進路を求めていくのだ。あと二十五年たてば二十一世紀に手が届くこのあらしの時代をこういうふうに行くのだということを明快に示す絶好の機会であり、いまがそのターニングポイントに立っていると思いますので、どうぞいままでの外務大臣よりも私は宮澤さんはしんがあると思いますから、しっかりやっていかれんことを激励し、並びにこの参議院においては——衆議院もあることですが、この外交問題に対して、国民から、なるほど参議院は良識の府だというような見識を示す機会を持っていただかれんことを、われわれも努力しますが、政府努力してもらいたいために、あえて鞭撻の一語をもって私の質問を結びます。
  49. 田英夫

    ○田英夫君 最初に、大変外務大臣に対する質問としてはとっぴなことを伺うのですが、大臣は、いわゆるハイジャック防止のための空港における手荷物検査あるいは身体検査ということを体験されたことがおありになるかどうか伺います。
  50. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) しばしばございます。
  51. 田英夫

    ○田英夫君 おそらく国内線では、大臣のような大物は別の入り口から入られて、通常の国民と同じ入り口から入って体験をされていることが小ないんじゃないかと思います。いま羽田初め各空港のハイジャック防止のための体制というのはどういうふうに行われているか、運輸省と警察庁から簡単に御説明いただきたいと思います。
  52. 薄木正明

    政府委員(薄木正明君) お答えします。  ハイジャック対策は、御承知のとおり、四十五年の「よど号」、それから四十八年の事件のドバイ、あれを経験しまして、特に四十八年には総理府に関係官庁集まっていただきまして、ハイジャック等防止対策要項というものをきめていただきまして、閣議の了解をいただいたわけです。それに基づきまして、現在東京大阪ほか十六空港に、先生御承知かと思いますが、エックス線を透視いたしまして荷物の検査をする装置と、それから金属探知器と申しまして、人がその下をくぐりますと、金属製品を持ってますと音がしたり明かりがついたりという装置を取りつけまして、これを一組、そのエックス線透視装置と金属探知器を一組といたしまして、東京ほか十六空港に三十一組つけてございます。
  53. 田英夫

    ○田英夫君 警察の方の体制をお聞きしたいと思います。
  54. 佐々淳行

    説明員(佐々淳行君) 警察の体制でございますが、ただいま運輸省から御説明がございましたとおり、四十八年の八月の総理府におきますハイジャック等防止対策連絡会議に基づきまして、現在全国約六十港の空港に警察官五百名を配備をいたしまして、警戒に当たっております。  第一次的な凶器持ち込み等の検査につきましては、主としてガードマン、航空会社の方におきまして雇っておられまするガードマンが、旅客運送約款等に基づきまして検査を実施をし、警察官は第二次的にゲートを中心に不審者の警戒に当たり、職務質問等を行なうことがございますが、この根拠法規は、警察法二条の一般的な警察の責務並びに警職法二条の職務質問によって実施をいたしております。
  55. 田英夫

    ○田英夫君 外務省に伺いますが、国会批准をしたのがたしか前々国会と思いますが、 ハイジャック防止条約、それから前国会で地上のハイジャック防止条約批准しておりますが、この条約義務と現在の体制との関係はどういうことになってますか。
  56. 松永信雄

    政府委員松永信雄君) 御承知のごとく、ハイジャック犯罪の防止に関する国際条約締結されておりますが、これらの条約の主たる内容は、犯罪防止の見地から、犯罪についての取り締まり及び引き渡しの問題と、それから航空機内におきます機長の権限として、秩序維持のために必要な権限を与えるということが主たる内容でございます。したがいまして、地上におきますいわゆる出入国管理に関連して発生してきます規制の問題、これはそれぞれ各国の国内法にゆだねられておると申しますか、各国それぞれの問題として処理するというたてまえになっていると存じております。
  57. 田英夫

    ○田英夫君 実は、そこまでのところをまず下地として伺った上で、私がこの問題を取り上げた真意を大臣に、外務大臣と同時に国務大臣としての宮澤さんにお伺いをしたいのでありますが、申し上げたいのですが、そうした体制をとられている中で、人権の問題をどういうふうに配慮しておられるかということなんです。このことは、実は昨年の通常国会で地上ハイジャック防止条約批准が審議されたときに、私が運輸省の方に申し上げたんですけれども、その後一向に体制が変わっておりません。たとえば、きのう私北海道へ行ってきましたが、往復ともに、いま先ほど警察並びに運輸省の方が言われたように、持ち物の検査、それから身体検査が行われております。それは金属探知機やエックス線のところを通っても、従来は、一年ほど前までは、それが取りつけられた当初は、それを通れば身体検査はしませんでした。現在ではまず全員やられます。子供までやられます。私もやられた。私は必ず拒否いたします。なぜならば、私はそういうハイジャックをやるつもりはないし、そういうものを持っていないし、またガードマンに体をさわられるつもりはありませんから。その辺のところをどういうふうにお考えになっておられるのか。私は改めて申し上げるけれども、ハイジャック防止のための対策をとる必要はもちろんあると思います。この問題と人権の問題とをどういうふうにお考えになっているか。私は拒否いたしますが、必ずきのうも往復ともに若いガードマンが私を追ってきて、検査をさせろと強要いたします。きのうの行きがけは、羽田でさらに警察官、私服の刑事が私を追ってきて、なぜ身体検査に協力をしてくれないのかと言って詰問をいたしました。私ですから、国会議員という立場を明らかにして、身分を明らかにして拒否し続けましたけれども、通常の人ならばこれは拒否できない。普通の国民の人が問題なのであります。こういうことがエスカレートしていくと、街角で、警察官ならばいざ知らず、ガードマンが国民の身体検査をするという事態に発展しかねないのです。このことを大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  58. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 冒頭に、私の個人的な体験についてお尋ねがありましたので、そのような体験に基づきまして考えていることを申し上げますが、私もしばしば荷物の検査及び身体検査を国内の飛行場において受けております。私の最近までの経験によりますと、必ずそのときに荷物をあのトンネルをくぐるベルトのようなととろへ置いてくれますかというような質問があり、そして身体検査の前には身体検査をしてよろしいかというようなことばがありまして、私は両方ともけっこうだと答えておるわけですが、これは私ばかりでなく、私の前の人にも後の人にも同じような前置きをして、同じようなことをしているようでございますので、本人の承認を得てやっておる。少くともそういう心構えで検査が行われておるということは、最近まで私は自分の体験として存じておるわけでございます。  で、この点は、私が結構だと答えております理由は、やはり公共の福祉のためにある程度私権がそのようにして制限をされるということは、これはやむを得ないことである。私はそのように考えまして、いつもイエスという答えをしておりますし、また、多くの旅行者がそのようにしておられるように思います。私は、そのような慣行というものは、その限りで成り立つことが望ましいのではないだろうかと思っておりますが、これは法律論で申し上げるのではなくって、私の体験をお尋ねでございましたから、私の体験に基づきましてそのように考えておることを申し上げます。
  59. 田英夫

    ○田英夫君 私はそこが非常に重大だと思います。いまの宮澤さんのお考えが、民主主義の原理というものの一つである人権というものを宮澤さんがどういうふうにお考えになっておられるのか、私はもっと重大に考えているから、そこに相違が出てくるのだと思います。で、これ以上私はこの問題を長く取り上げる時間がありませんけれども、あえて国会の場で私はこのことを取り上げましたのは、運輸省並びに警察当局で人権の問題について配慮があるのかどうかということをこの際伺いたかったからでありますし、同時に、私の体験は宮澤さんと違いまして、おそらく向こう側が大臣という立場を配慮しているのかもしれませんが、私は今週はすでにきのう行っておりますが、先週は二回、つまり往復四回飛行場を通っている。そのくらいの頻度で飛行機に乗っておりますが、その都度、必ずそういう不愉快な目に遭います。そして、前後の人を含めまして、ガードマンは、宮澤さんの体験のように、身体検査をしてよろしいですかというようなことを絶対に聞いておりません。いきなりやります。こういうことがあっていいかどうか。そして、外国にも行きますけれども、外国では、たとえばチューリヒなどでは小さな個室を設けて、そこを通って行くようになっていて、そこで、人の見えないところで身体検査をやるという配慮をしております。まあ日本は人間が多いし、特に国内線の場合そういう施設をつくることはなかなかむずかしいかもしれない。しかし、人権の問題に対する配慮というものは、あり過ぎて私は過ぎることはないと思いますよ。あまりにもいまそれがひど過ぎるんじゃないですか。私はこれからも、私の体験をしばしば運輸省の皆さんに、あるいは警察の皆さんに御連絡をするつもりです。早急に私の申し上げるような意味の対策を関係各省の間でおとりいただきたい。このことを要望してこの問題を終わります。次に、韓国の問題でありますが、この前の外務委員会で御質問いたしましたが、早川君、太刀川君、両君が帰国をしたという新しい事態の中で、日韓閣僚会議を開催する条件は整ったのかという質問をいたしましたところが、それだけではまだ整っていないという大臣の御答弁をいただいているわけでありますが、そのときにも申し上げましたが、特に太刀川君はすでにある週刊誌に、あの事件そのものがでっち上げであったという手記を寄せております。その真偽は疑問といってしまえば疑問かもしれません。しかし、少なくとも日本国民が外国を旅行している間に、あるいは外国滞在中に、その当該外国政府によってあらぬ事件をでっち上げられて、一年近くも投獄をされるという、そうしたことがあって、本人がでっち上げであると言っている以上は、日本政府としては、これこそまさに人権の立場から、日本人保護の立場から、その実情をお調べになるべきだと思いますが、そのおつもりがあるかどうか、もう一回伺いたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘学生の言っておられること、でっち上げだと言っておられるということでございますが、考えますと、これらの学生の諸君は、つい最近までいわば被告の立場であったわけでございます。したがって、被告の立場として自分の立場を守る、主張するということは、これは当然のことでございますから、そのように心底考えておったということは、私はあり得ることであると思います。けれども同時に、韓国の検察側には検察側としての主張があったに相違なく、したがって、真実と考えられておるものが二つあって、違ういわば事実が二つありまして、そのいずれが真なりやということで裁判が行われたということであろうと思うんでございます。したがいまして、韓国の裁判が適正に行われていると。そうでないと考える理由がない限り、適正に行われていると考えるべきでございましょうから、いわば片方の真実というものだけを取り上げて私ども判断をするわけにいかない、こういう立場でございます。
  61. 田英夫

    ○田英夫君 そうなりますと、いまのお話を率直に伺っていると、早川、太刀川両君は日本人である。そして日本政府立場ということは抜きにして、韓国政府の裁判が公正に行われていると判断せざるを得ない状況の中では、この問題には触れないということになると思いますが、そう理解してよろしゅうございますか。
  62. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かに両君は日本人でございますけれども、そのわが国においてすら、戦前あるいは戦後にも、いわゆる検察側が提起した刑事事件が、結果としてでっち上げであったかなかったかということは、しばしば議論されてまいりました。具体的なケースも幾つかあったわけでございます。したがいまして、日本人であるないということは、わが国ですらそういうことがあったわけでございますから、外国においてもあり得ることであろう。で、私はこの問題につきまして、関係学生がそう言っておる、あるいはそう書いておるという理由をもって、この裁判をでっち上げだと考えるわけにはいかないと思いますし、したがって、それがそうであるかないかというようなことを、いわば照会をするというような気持ちも持っておりません。
  63. 田英夫

    ○田英夫君 つまり結論は、調べる必要はないと、調べるつもりはないということのようですが、警察もそう理解してよろしゅうございますか、警察の方おられる……。
  64. 大高時男

    説明員(大高時男君) 早川、太刀川両君の問題につきましては、警察といたしましては、現在のところ両君の国内法に違反するような何らかの事実というものを掌握しておりませんし、これについて特に捜査その他をやることは、いま考えておりません。
  65. 田英夫

    ○田英夫君 警察に伺ったのは無理かもしれません。警察は国内法に違反するかどうかという立場しかお考えにならないわけですから。韓国の国内法に違反したと称して裁かれたという問題について、逮捕されたという問題について、日本政府として、この問題について外務省が取り上げないということになると、これをあと担当する役所というのは、実はないだろうと思いますね。そういう意味で、私は大変冷たい御答弁をいただいたと思います。韓国との関係ということを配慮されるお気持ちは、私はわからないではない。しかし、朴政権というものの性格を私どもはすでに知っているのであります。そういう中で、日本人がでっち上げの事件かもしれないもので、一年間も投獄をされていたということを政府として放置するという御答弁をいただいたんですから、このことははっきりさしておきたい。もう一回確認いたしますが、放置をされるおつもりですね。
  66. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府としては、この事件がでっち上げだと考える十分な根拠を持っておりませんので、したがいまして、それについて何かステップをとるという考えは、ただいま持っておりません。
  67. 田英夫

    ○田英夫君 私はでっち上げだと言っているのではなくて、でっち上げだと本人が言っており、でっち上げかもしれない可能性を持っている。疑問がある以上は、国民を守るというお気持ちがあるならば、実情を調べるということがあってしかるべきなので、私はお聞きしたんですが、これに対して時間がありませんからこれ以上お聞きいたしませんが、少なくとも政府は、早川、太刀川両君が、でっち上げかもしれない事件でつかまったにもかかわらず、この問題については対韓配慮のために調べない、調査はしないと、こういうお答えをいただいたと理解をして、次の質問に移ります。
  68. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 最後に、対韓配慮という言葉がございましたので、一言だけ申し上げさせていただきますが、相手が韓国である、あるいは韓国でないということに関係はございません。主権国のもとで、邦人が非常に不当な扱いを受けたということでありますと、相手がどの国でありましょうと、私どもとしてはステップを考えなければなりませんけれども、そうでない限り、どの国であろうと、そういうことを考える用意はない、こういう意味でございます。
  69. 田英夫

    ○田英夫君 そこまで言われるなら、もう一言申し上げますが、たとえばフランス政府に国外退去の処分を受けました人たち、あるいは西ドイツからも一人いましたけれども、そういう人たちにも私は会いました。日高六郎氏の夫人にも会いました。こういう問題に対しても、現在の政府の態度は、日本人を守るという立場ではなくて、外交上の配慮が優先をしていると思います。これも私は、人権という問題についてのお考えの違いかもしれませんので、これは改めて時間をとって、また伺うことにいたしますが、もう一つ、二十日のソウル放送によると、この三月に東京で開かれる予定の日韓実務者会談で、忠北線という鉄道の複線化、あるいは商業用、農業用の商品借款という形で二億一千五百万ドルの借款を韓国が日本から供与を受けるということが最終的にきまる、こういう放送が行われておりますが、これは事実でしょうか。
  70. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 韓国から幾つかの案件につきまして協力方の要請があるわけでございますが、ただいま、実はわが国関係各省におきましてそれについて検討をいたしております。その検討がある程度進みました段階で、いずれ両国の実務者会談を開きたいということは考えております。が、その際、どのプロジェクトがいわゆる援助の目的であります韓国の人たちの民生の安定向上に一番適当であろうかというようなことにつきましては、両国の実務者がよく協議をいたしました上できめたい。したがいまして、ただいま田議員の御指摘になりましたような放送そのものは、厳格に申しますと正確ではございませんで、これからそのような討議を政府部内でも進め、やがては韓国ともいたしてみたい、こう考えておるわけでございます。
  71. 田英夫

    ○田英夫君 いま幾つかの問題について借款の申し入れがあるので検討しているというお答えがありましたが、その一つに、岸さんが会長ですかの、日韓協力委員会を通じて、韓国から五億ドルの借款の申し入れがあるということも聞いていますが、これも事実でしょうか。
  72. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは政府に関します限り、そのような申し入れを受けておりません。
  73. 田英夫

    ○田英夫君 これはいずれ政府にくるんだと思います。  そして、もう一つ伺いたいのは、七三年の十二月の、前回になるわけですが、第七回の日韓定期閣僚会議の際の決定として、それ以後は日韓の間の具体的な経済協力については、実務者の間で話し合って決める、閣僚会議では決めない、閣僚会議の議を経ない、こういうことになっているようでありますが、これは事実でしょうか。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのとおりでございます。
  75. 田英夫

    ○田英夫君 そうなりますと、実は私どもが立法府の立場から、国民の代表という立場から議員立法として出しておりますが、対外経済協力は国民承認を求めるべきである、つまり国会承認を求めるべきであるということからむしろ大変に逆行をしているということになると思いますが、その背景には、実は先ほど日韓協力委員会を通じての五億ドルの借款ということを申し上げたのは、そうしたいわゆる自民党の中の韓国ロビーといわれる大物政治家の人たちと韓国の政治家との間の政治家レベルの間で、そうした借款ということを含めての経済的な取引の話があって、そしてそれが両国政府に持ち込まれて、閣僚会議というところで、実は事務レベルがすでにきちんとおぜん立てをしていたものが崩されてしまって、その大物の政治力によって日韓の間ではいろいろな経済協力が決められてきたという過去の歴史に対して、外務省並びに通産省など関係各省の事務当局の皆さんがこれに反発をして、定期閣僚会議では決めない、実務者の間で決めたことで事を運ぶというふうにされたのが一つと、もう一つは、定期閣僚会議というところで表ざたになっていろいろ出てくると、いま申し上げたような韓国ロビーの人たちとの間の政治的取引が表に出てくるということを恐れて、日韓の金大中事件などが起こったあとで、前回の閣僚会議の取り決めとしてこういうことになった、こういうふうな話もあるわけであります。こういうふうに理解をしては正しくないのかどうか、これは伺う方が無理かもしれませんが、こういう話が、巷間、国民の間で言われているのであります。こういうことに対して、日韓の間の本当の正しい関係推進すべきだという立場から、おそらく外務大臣もそういう立場でしょうが、この問題について、この巷間のうわさといいますか、話に対して、どういうふうにお考えになりますか。
  76. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 前回の閣僚会議でそのような決定がなされましたことは、田議員の御指摘のとおりでありますし、その点は、韓国側もそのように了解をしておられます。で、先回、どのような経緯でそういう決定になりましたか、私、自分自身はつまびらかにいたしておりませんけれども、何回か日韓閣僚会議に出ました私の経験から申しますと、具体的な経済協力の案件につきまして議論をいたしますのには、いかにも、両国の閣僚とも具体的ないわば積み上げとなるような事実を十分に正直のところ存じておりませんし、これはやはり事務当局の方がよく知っております。しかも、そういう生煮えのままで、閣僚会議が、大抵二日ぐらいでございますけれども、いわば徹夜までしていろいろやりとりをいたしましても、どうも実態が把握できないものでございますから、私自身の経験でございますが、いわば議論が足して二で割るというような相当大まかなものに——過去においてそういう場合かよくございました。で、韓国の経済ももうここまで進んでまいりましたから、十分に事務的な精査にたえ得るだけの知識なりデータも先方も持っておられることでございますので、これはやはり事務当局に任せた方がきちんとしたものができるであろう、そうして閣僚会議というのは、もう少し大所高所から両国の将来の関係というものを議論するのに時間を使った方がいいと、私自身も自分の体験から実はさように感じておりましたので、一昨年の決定は、あるいはそのような両国の経験並びに現状にかんがみてああいうことになったのではなかろうか、私、当時の当事者ではございませんけれども、自分の経験からそういう推察をいたしております。
  77. 田英夫

    ○田英夫君 時間がなくなったので、もう少し伺いたいことがありましたけれども質問を終わります。
  78. 黒柳明

    ○黒柳明君 昨夕から報道されておりますOTHの撤去の問題、外務省は正式にアメリカ政府から通告は受けたんでしょうか。
  79. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 事務当局からお答えさせます。
  80. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 政府といたしましては、わが国におきますOTHの廃止という問題に関しまして、アメリカ政府からまだ何ら正式に通報は受けておりません。  ただ、二月の十二日に発表されましたシュレジンジャー国防長官の年次国防報告によりますと、OTH関係の送信及び受信施設は一九七五年アメリカの会計年度中に、つまり本年の六月の末までに廃止されるとの趣旨の記述がございます。したがいまして、われわれといたしましては、早速、わが国におけるこのOTHの送信関係施設の三個所がどういうふうに処理されるかということの点を含めまして、この事実関係を現在アメリカに照会中でございますが、まだ回答は受け取っておりません。
  81. 黒柳明

    ○黒柳明君 昨春の四月か五月でしたか、この問題が国会で論議されました。そのときに、防衛施設庁来ておりますね、これは日米安保条約日本の安全に寄与するものである、こういう御答弁なすったんですけれども、すでにこれが設置されてから、もう相当長い間たつわけです。いまこの報道によると旧式に属する、古くなったと、むしろ衛星の方のキャッチの方がベターだと、これはいまさら始まったことじゃないんです。昨春の国会で問題になったときでも、その事態は変わりなかったわけですけれども、その点はどういまの時点で認識してますか。防衛庁来てないかな。
  82. 三好富美雄

    説明員三好富美雄君) OTHは旧式になったというような表現は必ずしもございません。OTHが大気の撹乱その他に非常に敏感であると、こういうことが指摘されております。したがいまして、必ずしも当時とそれほどOTHの性能について変わった認識を持っておるわけではございません。
  83. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから私は旧式になっているかなっていないか、ともかく衛星でキャッチした方がICBMのキャッチはよりベターであるということは、いまから十ヵ月以前ですか、国会で論議されたのは。その以前においても変わりなかったんじゃなかろうか。ならば、その時点において、もっとこっちが主体的にこのOTHの機能というものについて、せめて——いい悪いは別ですよ、善悪は別ですよ、どういうふうに機能を発揮しているのかぐらいは、問題提起された時点において、アメリカに聞くなり、情報を得るなりの積極的な姿勢があってしかるべきではなかろうかという私の主観も含めて、それがオブソリートになっているかなっていないか、これはいろいろな科学的な、あるいは軍事的な知識がなければだめでしょうけれども、すでにいまそういう報道がされているということは、十ヵ月前だって型式は変わりなかったんだと思うんですよ。それを全くそれには触れずして、ただ安保条約わが国の安全に寄与しているんだと、こういう紋切り型の答弁で糊塗したわけでしょう。それについてどうかという質問しているわけですよ。まあオブソリートになったとかならないとかいうことではありません。正確にキャッチをしかねているんじゃない、しかねていたんじゃないですか、その当時において。それがいまシュレジンジャーの国防年次報告で出てきたというだけのものじゃないんですか。その点どうですか。
  84. 三好富美雄

    説明員三好富美雄君) 当時、この問題が起こりましたとき、人工衛星による最初の探知があるということは、当時から明らかになっていたわけでありますが、そのころ、しかし人工衛星には追跡する能力がない。したがって、その部分を補う点にOTHの存在意義があるというふうに聞かされておりました。したがって、お答えになりますかどうかわかりませんが、人工衛星の技術にどれだけの進歩があったか、人工衛星によるICBMの探知にどれだけの技術があったかということは、これはいかなる公刊資料にもその後見当たりませんので、人工衛星の探知技術において、その後の発展があったものであろうというふうに思います。
  85. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなのその当時だってわかんなかった、いまそうであろうと思うなんて、思う思うの積み重ねじゃだめだ。外務大臣答弁してください、ちょっとやっぱり事務当局は事務的ですから。  私の趣旨はおわかりだと思うんです。結論としては、要するに日本の安全に寄与をしていると、まあ過去においてもこれからにしてもあるでしょうから、もうちょっと外務省が主体的に、やっぱりそういう提起をされたときでも結構ですよ。提起されないことも幾らもあると思いますね、日米関係。だけど、提起されたときぐらいには主体的に、やっぱりこちらのことですから、わが国にあるわけですから、それについてやっぱりどのような機能を発揮しているのかぐらいのことは、問い合わせるなりするぐらいの主体的な姿勢があってしかるべきだったんじゃなかろうか。いまのお答え全く矛盾しているんじゃないんですか。この十カ月で人工衛星のキャッチが進んだんではなかろうかと、これは私もわかりません。課長もわからないわけです。だけどそれを前提にして、だからいまこれは廃棄するんだと、これはちょっとわからない同士で議論してもしようがないですけれども、ちょっと考えられないわけですよ、常識的に。それと、いま私の質問と若干違うわけです。いいですね。どうでしょう、安全に寄与しているという断定だけで、今日になってみて、まだ一年たっていないわけです。その間に人工衛星のキャッチがどれだけ進んだかこれはわかりませんですけれども、ちょっとそれを前提にして、進んだんであろうから、いまこれは撤去することになったんであろうなんということだと、前提は全くあやふやで、それをひっかぶせた想定というのは、全くこういうところでの論議じゃないんじゃないですか。だから私はせめてその前提に対して、より根拠をしっかりすべきじゃなかったんだろうかと、こういうことをいま質問しているわけです。どうでしょうか。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私もどうもよくわからない方の一人でございますけれども、国防長官の国防報告の中に、いずれはこのシステムはやめてもいいものになるであろうと考えておりましたが、下院の歳入委員会のお話もあり、一九七五会計年度にフェーズアウトと書いてございますから、だんだんにやめていくということにしたということが書いてございます。したがいまして、相対的にその重要性が減ってきておった、それをいつの時点で消去するかという問題がおそらく御指摘のようにあったのであろう、私どもがそのことを十分知り得ずに、もし知り得て早くそれを主張すれば、もっと早くこの事態が解決されたのではないかということは、私どもにそれだけ専門的な知識がありましたら、あるいは御指摘のとおりであったかもしれないと思います。
  87. 黒柳明

    ○黒柳明君 アメリカのある意味では軍事機密の一部に属する施設でもあろうでしょうから、それに対して全部資料よこせということは無理にしても、その時点において、やっぱりより積極的な姿勢があれば、あるいはフェーズアウトですから、いつの時点とこれは出ていません。ですけれども、課長が言うように、去年の四月まではこれは全く一〇〇%機能していたけど、それから十ヵ月後のいま機能しなくなったんだじゃないと思うんですね、私は。大臣の答弁も常識的なそういう判断だと思うんですよ。ですから、もっと提起された時点において、ただ単に安全に寄与している何とかだとぽんとけらないで、積極的な姿勢で、今後もこういう日米間の問題というのは、むずかしい問題が提起されるでしょう。確かにこちらの積極姿勢が前提になったとしても、返事が返らない場合があるでしょう。しかし、いまの場合においては、より積極姿勢があれば、あのときじゃなくたっていいんですよ。あれから二ヵ月、三ヵ月ずれた後だっていいじゃないですか、そういう姿勢で臨んでいれば。大臣の前ですから、その前の大臣が悪かったんだと、こういうことにもなるでしょう。せめてそれじゃ宮澤大臣がなったんだから、いまの時点からこの問題に対して積極的に取り組むと同時に、対米姿勢というものは国会答弁でただ一時的に、失礼ですけど、ごまかすんじゃなくして、やっぱり私の主張あるいは私の主観、意見というものは、いまになって当たったわけです、十カ月間たってみれば、私の正しさは。やっぱりそういうものです。私の話というのは、その当時ちょっとわかんないけど、一年、半年たつとわかってくるという、非常に含んだ質問していますので、そういう意味からもひとつこのことをいい例にしまして、私は日米関係というものをより真実の意味の友好関係を深めるために、積極姿勢とってもらいたい。まあ同じ答弁きますと思いますけど、ひとつ心構えをどうですか。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ごもっともな御指摘であると思います。そのように努力いたします。
  89. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構です。  それからこれは再三論議されていて申しわけないんですけれども、これは国内国外ともに三木内閣の公約なものですから、核防の問題ですけれども、われわれは新聞情報でもう逐次、よく言えば政府、総理、外務大臣を主体にして向こう自民党、与党側の幹事長、副総裁あるいは総務会長との検討でしょうか、悪く言えばこれは取っ組み合いの寄り合いというようなことで、新聞情報でこれはきのうもそういうことが報道されていたんですけれども、たびたびこれは国会では論議になっていますけれども、きょう現在、きのう終わった現在においてどういう政府と与党・自民党と調整が行われているのか。何か聞くところによると、自民党首脳のフリーハンド論について政府外務省も反論を出すとか出さないとかという記事もありますし、われわれは新聞報道の範囲でどうなっているのかなと、非常にやっぱり心配もし、実情を聞きたいとも思っている最中なものですから、ひとつきのう現在、きょう現在で与党との調整はどうなっているのか、お聞かせいただける範囲で教えていただけますか。
  90. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一部先刻戸叶委員にも申し上げたことでございますが、これだけの条約でございますので、各方面にいろいろな議論があり、与党内にも御指摘のようにいろんな議論がございます。私はまた、それはあってしかるべきであろうというふうに考えておりますが、その議論の主たる点は何であるかということにつきましては、先ほど戸叶委員に申し上げましたので省略をさせていただきますが、要するに、これから二十年という長い年月にわたってこの条約批准した場合、批准しなかった場合に、わが国が、変化する国際関係の中にあっていずれの道をとることが国益にかなうであろうかということを、やや長期にわたって検討しなければならないではないかという主張がございまして、私はそれはもっともなことであると考えております。  そこで、反論という意味ではございませんで、実は外務省内でこの担当の原局を離れまして、調査部というのがございますが、そういう観点から可能な限り、考え得る可能な限り今後長期にわたってこの条約をどのようにすることがより国益にかなうかという実は独立の検討をするように私指示してございまして、その結論がおそらく今週中ぐらいには出てまいると思います。それをいろいろ疑問を持たれる向きにごらんを願って御判断をいただこうというふうにただいま考えております。それがきょう現在のところでございます。
  91. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、今週中に調査部のができて、来週あたりそれを提示して、総務会長や幹事長や副総裁あたりの意見を調節すると、政府与党との間を調節すると。そうすると、まだ批准という態度は政府は変えていないわけですけれども、その可能性も全くあるかどうか疑問であることも事実だと思います。  どうですか、個条書きに簡単に、もしこれが批准されなかった場合、国内外のデメリットあるいは批准された場合の国内外のメリット、簡単に個条書きに言うとどんなことが想定されますか。
  92. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 実は、そのような意見を調査部に求めますに際しまして、私は予断なり結論なりをもちろん私からあえて示さずに、問題の性質上、十分に両面の、いわば客観的に考え得る限り学究的に意見をつくってほしいと申してございますので、どのような所見が出てまいりますか、私あえて自分は何も指示をしないでそれを待っておるわけでございます。そういう性格のものをひとつ御議論をされる向きに御参考に供したいという意図でそういうものをつくらしております。  ただいまの段階でメリット、デメリットを言ってみろということでございますけれども、やはりメリットから申しますと、これによって核兵器をつくる少なくとも能力を持っておると考えられるわが国が、みずからそのような選択を放棄するわけでございますから、このことが世界の核拡散防止に貢献をするであろう、大いに貢献をするであろうというのが一つの大きなメリットであろうと思います。私どもとしては、やがて世界の核軍縮が、最終的には核兵器の廃棄まで進むことを強く望んでおるわけでございますから、潜在的な能力のあるわが国がそのような選択を放棄するということは、やはり、世界各国に大きな影響を与えるであろうというふうに考えております。これが最大のメリットかと存じますが、次にまた、今後、平和利用の問題につきまして、現在、わが国がかなりきつい査察を受けております結果、わが国自身が開発した技術等々がよそに漏洩をするという問題もあり、また、査察そのものが、いわば自主的に行われていないことからくるいろいろな煩瑣なこともございます。したがって、それを保障措置協定によってできるだけわが国の自主性を生かした形でやっていく。ユーラトム並みにしていくというようなことも平和利用に貢献をいたしますし、また、これを批准することによって将来の原料あるいは資材等の供給の道が安定するということも大きなメリットであろうかと思います。それから、やはり、もう一つメリットに勘定いたさなければなりませんのは、一番最初に申したことの裏側でございますが、万一わが国批准をしないということになりますと、もともと開発の能力がありますだけに、批准をしないという事実が世界の核軍縮の今後に与える影響、悪い影響というものは非常に大きいであろう。これは、そういう意味でのデメリットということになるわけでございますが、逆に申しますと、批准することによってそういうデメリットを消していくことができるということになろうかと思います。デメリットは何かということになりますと、これをデメリットと申し上げていいかどうか問題がございますが、少なくとも、疑問を提出される向きは、わが国非核原則を政策として持っておること、そのことは同意し得ることであるが、しかし、それを条約上の国際的な義務とすることはやはり選択の余地を狭めるのではないかという議論。あるいはまた、今後二十年の間に国際情勢がどうなるのか、あるいは核ないし核兵器というものもどのように変化するかわからない情勢において、ここで国際的な義務を負うということはいかがなものであろう、そのような議論。これは議論としては考えられる議論でございますから、そのような問題が片側にある。私どもとしては、そういうことは承知しつつ、批准をすることの国益が大きいと政府は考えておるわけでございますけれども、概略申しますとそのような議論でございます。
  93. 黒柳明

    ○黒柳明君 ことしじゅうに再処理工場もできてプルトニウムをわが国独自でできると、こういう方向で進んでいるわけですけれども、いま、外務大臣は、潜在的核保有国が国際的にやっぱり核を持つ可能性があるんではなかろうかと、こういういわゆる関心以上のものがあると。そうすると、本年じゅうにわが国独自でプルトニウムができる、こうなると、それ以上にわが国に対する、第七番目の核保有国になる可能性についての世界の脅威、関心以上のものがあるというような感触をお持ちでしょうか。まあ外国、いろいろなことについて、いま国会批准をめぐって、当然、最大外務大臣の、日中平和友好条約とともに、あるいは日韓大陸だなとともに最関心事だと思いますので、世界各国の情報なり、あるいは対話なりを進めていると思うんですけれども、いまの状態、さらに、これが深く潜在的という意味では日本の能力が進むわけです、本年じゅうに。それについての、核保有国ないし非核保有国を含めまして、日本に対する脅威といいますか、そういうものについての関心度はどの程度でありますか。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘になりました点も確かに重要な点であると思います。ことに、よそから見ますと、いよいよそういう潜在力が高まったというふうに考える一つのポイントであろうと思います。で、世界各国がどのように考えておるかということにつきまして、まとめて簡単に申し上げることは困難でございますけれども、やはりわが国及び西ドイツでございますが、一番そういう潜在力を高く持っておるという国があえて批准に踏み切るということが、将来の核不拡散に非常に大きな貢献をする。逆に申しますと、批准をしないという場合になると、今後とめどもない核拡散が行なわれるのではないかということは、この条約に賛意を表しておる多くの国が考えておるように思います。
  95. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がありません。最後ですけれども、かつて佐藤元総理のとき、いわゆる国民の核アレルギーについて、その時点におきましても、何かこれからの核のフリーハンドを持つための核アレルギー解消論というような論議を呼んだわけですけれども、根底には国民の理解、当然国会における論議を通じて、やっぱり唯一の核被爆国である日本のコンセンサスというものを形成しなければならない。ところが、やっぱり口では言っていますけれども国会審議の中でもなかなか明らかにされない点がある。まして、これがより多くの国民に対して、核に対しての平和利用を、今後のエネルギー問題を含めて、平和利用問題も含めて、さらにその大前提になるわが国の核政策の根底をなすこの条約についてのコンセンサスを形成するというような客観情勢がつくられてないと思います。これはいい意味でも悪い意味でも。フリーハンド論については、フリーハンド論を根底にして言うでしょうけれども、われわれはそうではなくして、やっぱりこれに対して、批准に対してどうこうという態度は別にしましても、もっともっとやっぱり佐藤元総理がどういう考えで提唱したかわかりませんけれども、核に対しての国民のコンセンサス、それを形成するためのやっぱり主体的な政府が動きというものをもっとやらなければ、これはただ単に自民党政府の、あるいはさらにそれが進んで政府と野党との論議ということで、実際のコンセンサスの根底である国民は、いい意味、悪い意味含めて、ただ被爆国だから核は反対だという単純な論拠で、またいまの大切な核防についての問題も終わっちゃうのじゃなかろうか。もうここのときに根底から核論議というものを突っ込んでやらなければならないときにきているのだと思うのですけれども外務大臣なら、それに対して積極的な姿勢だけはあると思うのですよ。まあしゅうとや小じゅうとがいっぱいいて、うるさくてしようがないことはわかりますけれども、ひとつその点についてはどうでしょうか。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国会に御提案を申し上げる以前から、すでにこのようにいろいろに御議論がございますことも、これも国民がこの問題について考えるために非常に大事な場であると思いますし、いわんや、国会に御提案いたしました後には、さらにいろいろな御議論がございまして、その間に国民がこの問題についての関心を深めるという、そういうプロセスになってまいると考えます。これにつきまして、政府立場は従前から申し上げておりますとおりでございますが、それに対しまする反論というものも、それにまた答えることによって、この問題についての国民の理解を深めることになるわけでございますので、私はそのような反論、疑問の提出があるということは、むしろやはり歓迎すべきことであって、要は政府がそれに対してどのように適切に答えることができるか、そういう努力政府がしていく。それによってコンセンサスが深まっていく、このように考えております。
  97. 立木洋

    ○立木洋君 他に、いままでの当委員会で二回にわたってSR71の問題をお尋ねしたんですが、満足のいく答弁がなかったものですから、きょう重ねてこの問題でお尋ねしたいと思います。  SR71については、三好さんの前回のお話では、三機ないし四機沖繩に駐留しておるというお話がありましたが、このSR71は沖繩に常駐しているんですか。いつごろからあったんですか。その点についてお答え願いたいと思います。
  98. 三好富美雄

    説明員三好富美雄君) 現在あることは承知しておりますが、いつごろからかということは、私どものところでは明らかにしておりません。
  99. 立木洋

    ○立木洋君 四十七年の八月十七日に松田さんが、国会の答弁の中で、その当時、三年前からすでに配属されておるということを述べられておるんですが、それから後、いなくなったということが確認される時点がありましたか。
  100. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) SR71が、沖繩が返還される前から沖繩におりましたことは承知しておりますが、いつごろからおり、そしてその出入りがどうであったかという詳しいことは、私たちとしては承知しておりません。
  101. 立木洋

    ○立木洋君 このSR71は米軍のどの部隊に所属しておる偵察機ですか。
  102. 三好富美雄

    説明員三好富美雄君) これはアメリカの戦略空軍というのがございます。SACと称されております。その配下にございます。
  103. 立木洋

    ○立木洋君 ちょっと聞こえない……。
  104. 三好富美雄

    説明員三好富美雄君) SACでございます。
  105. 立木洋

    ○立木洋君 この問題に関して、前回アメリカ側に尋ねてみるということでその答弁があったわけですが、米側に照会したところ、米軍の個々の活動の詳細までは回答できないという回答がありました。山崎さんの前回の答弁で、ありましたですね。この米側の回答に対して、外務省はどのようにお考えですか。
  106. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 前回そのようにお答え申し上げたわけでございますけれども政府といたしましては、アメリカ軍による施設・区域の使用が安保条約に従って適法に行われている限りにおきまして、軍隊の特性上、その任務の遂行に当たって、具体的な行動の公表について、一定の制約があるというアメリカ側のこういう立場は理解しなければならないと考えている次第でございます。
  107. 立木洋

    ○立木洋君 アメリカ軍がすでに発表しているわけですね。沖繩から飛び立って、どういうコースでベトナム民主共和国の上空でどういう偵察飛行をしておるか、米軍自身が明確に発表しておるんです。これに対して日本政府が問い合わせても、こういう質問に対しては回答しないということは、日本政府質問を無視した、ある意味でいうならば侮辱的な状態ではないんですか。沖繩というのは日本の国なんですね。そこからこういう飛行機が飛び立っておる。この重大な事実に対する問い合わせに向こうが回答を拒否する、こういう事態に対しても、政府はしかたがないといって黙認をされるわけですか。
  108. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 立木委員は、アメリカ軍が正式に発表しておるということをおっしゃるわけでございますが、われわれが承知する限りにおいては、アメリカ軍がこのSR71の偵察行動の範囲について正式に発表したことはございません。この前も御指摘のありました新聞報道、サイゴン発十三日の新聞報道も、十三日サイゴンの米軍筋によって明らかにされたというだけでございまして、ソースは明らかにしておりませんし、われわれとしては、正式の発表としてこういうことをやっておるということは聞いたことはございません。
  109. 立木洋

    ○立木洋君 そういうことを言われるんでしたら、ベトナム民主共和国の領空に行って偵察飛行をやっていないという確認をされる、そういうことを断言される根拠があるんですか。
  110. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 私が申し上げておりますのは、米軍の行動の詳細について、詳細をわれわれとしては知ることができないということを申し上げておるわけでございまして、したがいまして、ベトナム民主共和国の上空まで行っておるかどうかについては、申し上げる立場にはない次第でございます。
  111. 立木洋

    ○立木洋君 これはベトナム民主共和国の領空に行って偵察飛行をやるという事態は、これは国際法違反ですよね。ましてや、日本はベトナム民主共和国との国交が樹立しておる。そういうところに対して偵察飛行が日本の基地を使って現に行われておるという重大な事態です。行っていないということが確認されないならば、明確にされる必要があるんではないか、こういう重大な事態に対して。それを、重大な事態に対して明確にしよう上しないで、アメリカ側が回答を拒否してきた、それでただ黙っておって、日本外務省としてそれで立場が立つんですか、その点はどうですか、外務大臣にお答えいただきたいと思います。
  112. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このことにつきまして、政府委員が申し上げましたように、アメリカ側が公表をしたということばございませんし、また、公に、そのような行動については詳細には明らかにし得ないというのが公の返事でございます。しかりといたしますと、ただいまのような御発言の疑問については、私どもそれを肯定することもできないし、否定することもできない、これが論理的には正確なお答えになろうと思うのであります。  そこでしたがって、その事実の上に立っての議論を申し上げることはできないことになるわけでございますが、国際法云々とおっしゃいます以前に、実はパリ協定の問題があるのではないだろうか、こういうことは、やはり一つその間に考えておかなければならない要素ではなかろうかと思っております。けれども、私ども、この事実をいずれとも確認できませんので、事実に即してお答え申し上げるわけにはいかないということになります。
  113. 立木洋

    ○立木洋君 いや、外務大臣、私が聞いているのは、こういう重大な、いま言われたパリ協定の問題もありますし、国際法違反という事態、その他もろもろな重大な事態が、このSR71のベトナム民主共和国に対する偵察飛行にはからんでおるわけですね、この問題はきわめて重大である、これが沖繩の基地を使ってそういうことが現に行われている可能性もある、外務大臣の答弁で言うならば、否定も肯定もされないというわけですから。そうすると、そういう事実を確かめて、そういう国際法違反に加担をするような態度をとるべきではないというのが、まさに日本政府としては現にとらなければならない私は態度だと思うんです。アメリカ側から回答が拒否されてきたから、それで仕方がないんだということで済ましておるならば、こういう国際法違反が日本の沖繩の基地を利用して続けられておるということを黙認するということになるんではないでしょうか、その点をお聞きしているんです。
  114. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) われわれが自分の力でこの事実を確認する方法は持っておりませんことは、よく御承知のとおりでございますから、したがいまして、アメリカ側に事実はどうであるかということを尋ねるしか方法はございません。それに対して、米側としては、明らかにし得ないという返事でございますから、わが国としてそれをそれ以上確認する方法がないというのが現状でございます。
  115. 立木洋

    ○立木洋君 現に侵犯されておると言っている国があるんですよね、ベトナム民主共和国、ここは国交を樹立しているわけです。現に侵犯されているかいないのかということぐらい問い合わせることは、ベトナム民主共和国に対してだってできるんじゃありませんか、その点はいかがですか。
  116. 松永信雄

    政府委員松永信雄君) 若干法律的な関係があると思いますので、私からお答え申し上げます。  日米安保条約上、アメリカ軍の行動につきましては、具体的な行動ないし任について、範囲の制約が設けられていないということは、もう前から申し上げているとおりでございます。ただ、他方、第六条にございますように、日本及び極東の平和、安全の維持に寄与するという目的が掲げられておりますから、その観点からくる限界というものがおのずからあるということは、全く当然のことでございます。したがいまして、アメリカ軍が日本の領域外においてとります行動について、日本が国際的な責任を負うという問題は、一切生じないというのが一番基本的な問題であろうと思います。ただ、このことから、それじゃ、一般国際法上、違法あるいは不法だとされる行為が合法化されるのかといいますと、その点は、日米安保条約がその点までもカバーして合法化するということはないというふうに考えているわけでございます。  そこで具体的に、いま北ベトナム、ベトナム民主共和国が自分のところに領空侵犯があったという問題を提起しているのに対して、日本が何らかの措置ないしは行動をとらなければいかぬのじゃないかという御指摘があったと思いますけれども、これは先ほどから申し上げておりますように、もし、そういう問題が発生いたしますとすると、これはアメリカと北ベトナム、ベトナム民主共和国との間の問題でございまして、日本とベトナム民主共和国、あるいは日本とアメリカとの間の問題ではないというふうに考えているわけでございます。
  117. 立木洋

    ○立木洋君 それはちょっと論理がおかしいと思うんですがね。  それではこの問題をお聞きしたいんですが、このSR71の問題については、いままで繰り返し国会でいろいろ質疑がなされておりますし、そのことは十分御承知だと思うんですが、この昭和四十六年の十二月十五日にこのSR71の問題に関しての質問で、当時の外務大臣でありました福田さんが、このSR71の侵犯の問題に関しては、これは事前協議以前の問題だと、「国際法違反なんでありまして、さような任務を持ちました飛行機を、わが国の領域に存置するということは、絶対にいたさせません」、こう述べられておるわけですが、この考え方、見地というのは、今日でも変わらないわけですか。
  118. 松永信雄

    政府委員松永信雄君) 福田大臣がそういう趣旨の答弁をされましたことば、私も承知しております。このことは、私どもといたしまして、アメリカが日本の領域外において違法な行為あるいは不法行為を行っていると日本が考えなければならない理由が法律的には何にもないということを、それがこの御答弁だろうと思うんでございます。そういうことを日本が認める、あるいは安保条約というものがそういうものを認めているということは、これはあり得ないわけでございまして、私ども立場からしますると、アメリカが国際法上合法的な行為、あるいは正当と認められる範囲においてのみ行動しているというのは、これは当然のことだろうと思うんでございます。
  119. 立木洋

    ○立木洋君 それからこのSR71が領空を侵犯するという今日の時点についても、これは安保条約の枠内で、違法ではないという趣旨説明ですか。
  120. 松永信雄

    政府委員松永信雄君) いえ、そうではございませんで、アメリカが、仮に、いま御指摘がありましたような行動をしているという問題が出ました場合は、アメリカとベトナム民主共和国との間の問題になるということでございます。具体的に申しますと、先ほど大臣が申されましたように、。ハリ協定というものがあるわけでございます。で、パリ協定に基づく諸措置につきましては、これまた立木議員御承知のように、北ベトナム側、それから南ベトナム側と、ないしはアメリカというものとの間で、双方で協定違反が主張されているという事実がございます。しかし、これらの事実につきまして、私どもはパリ協定の当事者ではございませんので、パリ協定というものを有権的に解釈する立場にはないわけでございますから、したがって、この問題について日本がどうこうという論評を加える、あるいはその解釈を下すべき立場にはないということでございます。
  121. 立木洋

    ○立木洋君 これは、いま条約局長が言われるんでは、両当事者の問題である、その両当事者で解決すればいいことである、日本としては関知しないと言われるのは、私はおかしいと思うんですよ、現に沖繩の基地が使われているわけですね。沖繩の米軍基地、これが日米安保条約によって、第六条でどういう場合にそれが使われるかというようなこともはっきりしているわけでしょう、安保条約の中では、地位協定も決められて。ところが、これが現に国際法違反の事実を犯している、そういうふうな事態がある場合に、そういう事態でも日本としては、日本の沖繩の米軍基地が使われておっても、われわれは関知しない、そうしたらわれわれ安保条約というのはもちろん肯定していませんけれども、そういう枠内で行動する以外の行動が行われても、それは両当事者の問題であって、日本としては関知しないんだというのだったら、安保条約も何もなくなるじゃないですか。一体そういうような領空侵犯が行われて、国際法違反が現に行われているという事態に対して、それが日本の基地が使われておると。これが仮に復帰以前であるならば、あるいはほかの答弁の仕方があるかもしれませんが、現に沖繩はもう日本に返ってきておる。そして明確な枠が決められておる。それに対しても日本が全く関知すべきではないという立場は、これは全く私はそういう論理は成り立たない。こういうような沖繩の基地を使って行われておる国際法違反という事実、あるとしたらそれを認めるのか、認めないのか。もし認めるとしたらその根拠は一体何なのか、認めないとしたらどうするのか、そこを聞いているんです。日本政府として当然負わなければならない責任についてどう考えているのかという問題です。
  122. 松永信雄

    政府委員松永信雄君) 私が申し上げておりますのは、それが沖繩から出ているからということではございませんで、このことは沖繩から発進する飛行機あるいは本州ないし北海道その他から発進する飛行機の場合であっても全く同じであるということを、まず申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、安保条約が、そういう安保条約がもし仮になかった場合に、不法である、あるいは正当でないとされるような行為を安保条約が合法化しているかというと、そういうことはないわけでございまして、したがって、アメリカが日本の領域外でとります行動について、安保条約が、違法性あるいはその不当性という観点から何らの規定を設けてないということであろうと思います。
  123. 立木洋

    ○立木洋君 つまり、その条約論議、条約の問題での解釈というのは、あなたがいまお話された、あなた方の立場において解釈されたことについては、それはそれなりにお聞きしておいてもけっこうですけれども、しかし問題としては、そういう事態で枠がはめられないで、こういう国際法違反の事態がこれ以上進むということになる場合、日本政府としてはそれを認めるのか認めないのかという問題です。現に福田外務大臣が、先ほど述べたようなことも明確に述べておるわけですし、さらには、四十七年の四月二十五日、同じように福田外務大臣が、このSR71が他国の領空を侵犯し、偵察飛行をやるという問題については、「沖繩に駐留する米軍はすべて安保条約の制約下で存在する、こういうことになりますので、御心配のようなことは一切ありません」と、こうも答弁しているわけですね。ですからこの問題について、日本政府立場として、沖繩の基地がそういう形に利用されるということを認めるのか認めないのかということを聞いているわけです。外務大臣にお答えいただきたいと思います。
  124. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 具体的なケースを離れまして、ただいまの御質問に正確にお答えするといたしますれば、われわれは、わが国の沖繩にあります基地が国際法に違反するような行為のために使われることは認めることができません。
  125. 立木洋

    ○立木洋君 具体的なケースを離れてというお答えですから、この問題に対する答弁にはなっていないと思うんですけれども、それではこの問題で、いわゆるベトナム民主共和国に対する領空侵犯というのは、ベトナム側もはっきり抗議的な態度を述べている。山崎局長は、米軍筋で公式なものではないというふうなお話ですけれども、われわれは、米軍としても明確にその事実を述べておるというふうに私たちは考えているわすです。私が大変この問題危惧するのは、いまのベトナムの情勢というのは、ある意味ではきわめて重大な事態になってきている。宮澤外務大臣自身も外交演説の中で、ベトナムにおける戦火はまだとだえていない、そういう事実も指摘された。ここにおいては、外部の干渉なしに、双方当事者が平和的な話し合いによってパリ協定を厳正に尊重するという立場で解決すべきであるということも述べられておるわけです。ところが、事実この沖繩を基地として米軍のSR71、これが飛び立って領空侵犯しておるということは、こういう外務大臣外交演説で述べられておる考え方とはまさに反したこととして現に進行しておるということを考えると、これは私は重大だと言わざるを得ないと思うのですよ。この場合に、日本政府はアメリカに対しても回答を拒否された。それ以上調べる手だてはない。これは両当事者の問題である。日本の基地がどう利用されておろうとも、その問題に関しては、これは両当事者で話し合いをされる問題だというふうなことでは、日本というのが重大な危機に同じように巻き込まれていくということを私は大変懸念するわけです。そういう点ではっきりさせておきたいわけですが、この間もお尋ねしたんですけれども外務大臣はベトナム民主共和国について、これは「極東」という概念、極東の周辺である——安保条約の第六条の中での「極東」の周辺であるという答弁をされたわけですが、この問題についても、国会でいろいろいままで議論がありました。これは米国が日本国において施設及び区域を使用することを許可するという条件で言われておる二つ目の点、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」という条件がございますが、この「極東における」と言われるのは、純粋に地理的な概念なのかどうなのか。それともそれ以外の解釈を持つのかどうか、この点について、いままでの国会での論議もありましたけれども、この時点で改めてお聞きしておきたいと思います。
  126. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 極東——安保条約に申しております「極東」というのは、純粋に地理学的な概念ではないというふうに考えております。すなわち、安保条約考え方が、わが国の自衛というものを中心にできておるわけでございますから、わが国の自衛あるいはそれに密接に関係があります極東の平和と安全というものが脅かされないために安保条約はつくられ、そのために運営されるわけでございますから、それが脅かされる範囲、あるいはそれを超える範囲というのは、おのずから考え得るものであろう。しかし、それは御指摘のように、地理的な概念ではございませんし、いわんや今日の時代でございますから、わが国の安全に関係するという地域が極東に限られるとも言えない、その周辺に及ぶことが現実にあり得る、こういうことであろうと思います。
  127. 立木洋

    ○立木洋君 つまり単純には地理的な概念ではないというお話だと思うんですが、そうすると、ベトナムにおいて新たな事態の進展が起こった場合に、ベトナム民主共和国がこの第六条で言われている、いわゆる「極東における国際の平和及び安全」という問題から見て、このベトナム民主共和国が極東の、いわゆるここで言われておる中に、枠内に含まれる可能性もあるわけですか。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) かつてベトナム戦争がしきりに戦われておりました際に、政府はこの問題につきまして、ベトナムに起こっておる事態は、わが国の平和と安全に関係なしとしないと、そういう趣旨の答弁を申し上げておったと思います。今日の事態について考えますと、すでにアメリカ議会が、そのような事態が再発いたしますことを明確に行政府に対して決議をもって禁じておりますので、そのようなことに再度事態が発展することばないであろうと、こういうふうに考えております。
  129. 立木洋

    ○立木洋君 再度そういう事態が起こらないほうが、もちろんわれわれも願っているわけです。しかし、事態というのはどう進展するかわからない、そういう場合に、一応ベトナム民主共和国もここで言われておる「極東」云々の範囲内に入る可能性も残しておるという説明として理解してよろしいわけですか。
  130. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、先刻も申し上げましたとおり、「極東」というのは地理的な概念でとらえらるべきではなく、それが、わが国の平和と安全に現実に起こった事態関係があるかないかということによって安保条約の運用を考えるべきでございましょうから、ただいまの御設問に対しましては、起こりました事態によって判断をするしかない。ただ私は、そのような事態は、アメリカの国会の決議にもかんがみ、幸いにして起こらないであろうと考えておるわけです。
  131. 立木洋

    ○立木洋君 じゃあ、最後にお尋ねしておきますが、もう一ぺん明確にさしておきたいんですけれども、SR71機がベトナム民主共和国の領空を偵察飛行するということに関して、こういう事態が明白に確認されるということになった場合、そういう事実を明白に確認されるという事態ですね——なった場合に、政府としてはそれを認めるのか認めないのか、認めるとするとどういう根拠で認めるのか、認めないとするとどういう措置をとられるお考えなのか。
  132. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは仮設の御質問でございますので、そういう御質問に対しましては、現実のケースと一応切り離して、はっきり申し上げられますことは、わが国の基地が国際法違反の行為に使われることは、政府としては認められない、こういうお答えでございます。
  133. 立木洋

    ○立木洋君 そういう措置、もしくはそういう事実があった場合には、前回の福田外相の場合には、そういうことがないように対処するというお話がありましたけれども、現在でもそういう考え方は変わらないわけですか。
  134. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) さようでございます。
  135. 立木洋

    ○立木洋君 大変まだ聞き足りないんですけれども、時間がありませんので終ります。
  136. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 本件の質疑は、本日はこの程度といたします。     —————————————
  137. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 委員の異動について御報告申し上げます。  本日、亘四郎君が委員を辞任され、その補欠として亀井久興君が選任されました。
  138. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 再び、日本国政府オーストラリア政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  すでに質疑は終わっておりますので、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のあるお方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。  日本国政府オーストラリア政府との間の文化協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件に賛成のお方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  139. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 二木謙吾

    委員長二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後零時三十四分散会