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1975-06-13 第75回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月十三日(金曜日)    午後一時五分開会     —————————————    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      小野  明君     野々山一三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中尾 辰義君     理 事                 源田  実君                 中村 禎二君                 杉山善太郎君                 塩出 啓典君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 大森 久司君                 中山 太郎君                 永野 嚴雄君                 志苫  裕君                 竹田 現照君                 野々山一三君                 山崎  昇君                 加藤  進君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      片山 石郎君        科学技術庁原子        力局長      生田 豊朗君        科学技術庁原子        力局次長     福永  博君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        内閣官房内閣審        議官       安仁屋政彦君        原子力委員会委        員長代理     井上 五郎君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   高橋  宏君    参考人        日本原子力船開        発事業団理事長  島居辰次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力船むつ」に関する件)  (原子力発電安全性に関する件等) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月二十八日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として野々山一三君が選任されました。     —————————————
  3. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日、日本原子力船開発事業団理事長島居辰次郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、言うならば、テレビの絵を見たり新聞を読んだりして、ホットをえてして好むという立場をとるわけではありませんけれども、昨日のNHKの放映、それからきょうの中央、地方紙を見ましても、九州電力社長をもって言わしめれば、結局九州玄海原子炉号炉は安全の見本になるというような前ぶれを、あったニュアンスと受け取っておりますが、それはそれといたしまして、これは一体その実態は、無論ラジオで、あるいは絵で見、書いたものを見てわかるわけでありまするけれども、私が平素心配しておったのは、一度ならず二度三度ということになるというと、仏の顔もという問題がありまするように、たとえばそれはやはり九州における九電の玄海発電所だけではなくて、すでに関西電力の美浜における一号機、二号機、同じ圧力水型で、しかも試運転中に一体こういうような事故が起きたという問題については、言うならば原子力行政欠陥といいましょうか、最も必要な安全対策がずさんである、あるいは開発体制不備があるんじゃないかと、そういう視点のとらえ方で一応見ておるわけであります。  そういう点について、しかも、私はとんでもないということは、たとえば九州電力と佐賀県との間に公害協定が成っておる。しかも、実際にあった事象は十日にあった。それが十二日に明るみに出たというようなことは、どちらから見ても、どの視点をとらえて見ても問題があるじゃないかというふうに考えますが、もちろんこれは、やはりすでに安全審査段階を出て実態に触れておる通産省の方にどういう地元から連絡があったかどうか、そういったような問題についてひとつ生ぐさい質問ではなくて、そういうことを込めて、ひとつ大体これはどなたからでもいいんです。長官からでも、あるいは原子力局長でやるのもいいし、通産省からどなたか来ておられれば、一応平面的なとらえ方で、客観的に説明願いたいとこう思うのです。
  7. 高橋宏

    説明員高橋宏君) 九州電力玄海原子力発電所復水器エジェクター排気モニター警報の件でございますが、まず現状を御説明いたします。  玄海原子力発電所一号機でございます出力五十五万九千キロワットは、本年二月以来試運転の実施中でございまして、いろいろな試験調整を行ってきておりましたが、六月十日午前八時二十分、復水器空気抽出器排出管に取りつけられましたモニターによる警報が発信いたしました。このために負荷を下げまして、午後二時に停止いたしました。詳細点検するということになったわけでございます。なお、周辺への影響を監視いたしますモニタリングポストなどの機器は通常運転と何ら変化はございませんでした。  以上が概要でございますが、本件につきましてお尋ねのいつ九州電力から報告があったかという件でございますが、第一報を電話で受けましたのは六月十日午前中十時若干過ぎておったわけでございますが、十時過ぎでございました。
  8. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それは通産省から、現地からそういう連絡があったわけですね。それはそれとして、これはひとつ長官は実はわれわれよりも専門家であるし、一体仏の顔三度論も言いましたわけですけれども、一体この点については私の視点のとらえ方は後で一応これを本命として原子力開発問題に関連をして原子力船問題にも触れて申しますけれども、一体原子力行政の中でこの安全審査体制にずさんさというか、甘さがあるんじゃないか。あるいは詳細設計段階試運転段階において開発体制不備があるんじゃないかというふうに、一度ならず、二度、三度あるということになるというと、やっぱり日本原子力開発かなめはずばりで言えば原子力委員会じゃないかと思いますよ。そういったような問題についてもずうっとこういうような問題は一体こういうような形でそれはいいんだ、しょうがないという形にとらえておられるのか。そういう点についてひとつそれなりの大体美浜の一号機、二号機、それから今度の九電の、確かに九電の社長は安全だという見本を示して見せると、そう言って胸を張っておられたはずなんだけれども、そうではなくて吹き出したでしょう。こういう点についてどういうふうに判断をしておられますか。
  9. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 私は実はきのう予算委員会で、けさはまた核防会議がずっとございまして、詳細な話はまだちょうだいしておりませんけれども、いま通産省担当官お話をちょうだいいたしまして思うのでございますが、原子力発電装置の特色といたしまして、第三者あるいは環境汚染等の大事故は絶対に起こさない、これは起こしちゃ大変でございますから、ということが大前提でございまして、装置そのもの故障等が起きて放射線等漏れた場合には他の機械と違いまして早期に、即座にそれが発見できる。そして発見した場合にはそれに基づいて各種——非常に各種のでございます——の炉をとめたりあるいは第三者あるいは環境放射線が漏れぬための各種の操作がたくさんしてございまして、そういう意味ではこれほど安全なものはないように私は考えるのでございますけれども、さて、いまの問題はそのいずれに当たるかと申しますと、恐らく何千本かの管数の中のあるいは一本か何本か知りませんけれども放射線が漏れまして、いわば故障が起きて、すぐ、したがってアラームが鳴って炉を閉鎖したというのでございますから、今後実際にこの補修に入りますれば、その修理もできるわけでございまして、原子力のいわば材料あるいは溶接等まだ熟した技術でない点もございますので、そういう故障運転中等はしばしば起こるのが、これはむしろ通例でございますけれども、しかし考えようによってはそういう試運転中に早くそういう故障が起きて修理に入れるということは、むしろその装置自体のいわば安全性を意味するものでなかろうかというふうにも解釈できると存じます。と申しまして、そういう故障が何ぼ起きてもかまわぬのかと言いますと、これはそうじゃございませんので、アメリカでも、ドイツでももちろん日本でも総力を挙げまして軽水炉は二種類ございますが、その軽水炉世界で一番多く使われている炉でございますから、この故障がないようにということで、その原因がだんだんだんだん究明できてきておりますので、いま対策が練られつつございます。  ちなみに第三者に対する人身に対する損傷あるいは環境汚染等の大きい事故は、大事故と称するものはいまだかって商業炉には世界じゅうで起きたことはございません。昨年アメリカAECが、原子力委員会が長年かかりましてアメリカ学者等をすぐって、その大事故が起こる可能性に関しまして調査した報告がございますが、それによりましてもほとんど考えられないという状沢でございますので、ただいまの運転中の故障、そういうものはまことに不幸でございますけれども、しかし、これは必ず補修ができまして、またすぐ運転に取りかかるものだというふうに考えております。
  10. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この論議のやりとりに時間を消費したくないのでありますけれども、ともあれ、いずれにいたしましても、私は日本原子力行政欠陥の最たるものは、安全審査体制の、やはり欠陥があるのだ、不備である、ずさんであるということと、それを詳細設計段階を経てこれが実動、それから実証の段階試運転の中でこういうものが起きるということについては、これはますます幾らやはり総合エネルギー対策閣僚会議を開かれてエネルギー問題の焦点を食糧問題と対比して重要な問題として政治的に推進されようとしてもやはり主権在民の原則の中でその不信がますますつのるのだという形で、いま長官のそういう解釈、そういう行政サイドの弁明といいますか、解明については納得いたしません。これはいずれきょうの理事懇では次期の委員会をかりそめでありまするけれども、二十日に決めて参考人に来ていただいて、これは原子力局長にも申し上げておきますが、あなたはかつて原子力行政懇の中で大事故と小事故というものの使い分けの解明というような問題について付議しておられますので、その問題も含めて私は仏の顔も三度論を言いながら一体美浜はどうなんだと、これはすでに一号機にしても、二号機にしても、非常に現在、御承知のように稼働しておる八つの原発の中で五体満足で動いておるのは二機ぐらいしかないんじゃないですか。そこへもってきて、九電が九州で初めておれは新顔を位置づけてみせる、つまり安全の見本にしてみせるというのがやはり足元から崩れてきておる。しかも、新聞評価によれば十日にあったものを十二日の日に明るみに出てきた。しかし形式路線の上ではやはり公害協定というものを自治体としておるわけでしょう。そういうずさんさについて、受けた通産省通産省だと思うんですよ。報告を受けてそういう形でここへいま高橋さんが来てやられる。それはそれでいいんです。これはやめますけれども、一応私はこの問題については小事故であるから、あるいは漏れた放射能や放射線は微量であるから人体に影響はないのだというような、毎度おざなりのようなことは実にやはり主権在民の、地域住民反対派も含めて善良な、安全であるならば原子力はいいという、そういう立場の人でも不信がつまりますますつのる一つの原点になるんじゃないかというふうにいまこの場で私は国民の立場で一応物を申しておる。そういうことを意識しておりますが、いま言うならば科学技術庁長官であり、国務大臣であり、かてて加えて是非は別として、現在の原子力委員会設置法科学技術庁長官原子力委員長であるということであるならば、ますます何をか言わんやでありまするけれども、そういったような問題についてこれはこれとして、やはり質問をもうこれ以上繰り返しません。  次に、質問を続けますが、これはぜひ長官から答えていただきたいと思いますが、五月十三日、ちょうど一カ月前のきょうですね、三木首相に対していわゆる大山答申報告書の形で出しております。したがって、これはすでに閣議の中でも問題がやはり討議されておると思いますが、そこで今後における、政府はこの大山答申を受けてどのように対処していくかと、さらに私はこの前のこの科技特委員会は三月の二十八日だと思いましたけれども、この原子力船むつ」の問題に触れていろいろと心配をしておると、そういうようか関連でありますけれども、今日的には質問はしぼって申し上げますけれども、やはりこの大山答申を、政府はこれを受けて、問題の焦点である原子力問題をどのようにこれを受けとめ、どのように今後対処していかれるのか。大体新聞に出ておるということについては重複する必要はありません。私は率直に申し上げておきますけれども科技特では衆議院参議院段階において煮詰まっておりませんけれども原子力開発途上においては何といっても安全行政ポイントであるから、やはり与野党が一致して原子力安全行政に関する決議はやはりみんなが話し合って、ひとつ衆議院でも参議院でもやろうじゃないかと、まだ煮えておりませんけれども、そういう方向の流れがあり、そういう過程の中でこういうことが起きてきておるわけでありまして、繰り返して申し上げまするけれども、私はこの原子力船むつ」の問題は、言うならば日本原子力開発のやはり欠陥と、行政のやはりこの開発体制不備というものが一気に噴き出した象徴的な問題が、いわゆる原子力船問題だというふうに思っておるわけでありますが、まあいずれにいたしましても、私の質問の要旨というものをとらえて、この答申をどういうふうに受けとめて、とりわけ原子力開発問題についてどう対処していくかということをひとつ簡潔にお答えいただきたい、こう思うのです。
  11. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) まずもって、原子力安全性の問題に関して、参議院の方では超党派的にこれの解決に当たるように努力したいというお話をちょうだいいたしまして、まことに感謝申し上げたい次第でございます。  大山委員会は、御承知のように、去年の「むつ」の問題が起きまして、二つの問題をとらえましてその「むつ」問題の処理、あるいは今後に対する反省、建設の資に具したいというので、一つ大山委員会でございます。これは「むつ」の生じました、よって来たる原因がどこにあるか、どうすればよろしいかという問題を中心に討議する場でございました。もう一つは、お示しにもございましたように、原子力行政あるいは原子力委員会等に全般的に機構、権限あるいは仕組み等に問題がありはしないかというふうな点も強く反省されましたので、内閣の中に行政のための懇談会を設けまして、有沢広巳氏が理事長になりまして、ただいま鋭意進めているところでございます。  そこで、大山委員会の方は去年のたしか十一月の暮れから発足いたしまして、非常にエネルギッシュに勉強勉強を重ねまして、先月答申が出てまいりました。大変私どもも拝見いたしまして、よく短期間にこれほど広範な問題を整理して、しかも、大変示唆に富む御指示をちょうだいしてありがたいことだと思っております。あの御指摘の中にはすでに私ども自体が改革しつつある問題もございますし、また今後あの線に沿うて改革を要する点もございますが、いずれにいたしましてもあの答申を踏まえましてさらに前進を続けていきたいという覚悟でございます。  あの答申は、いろいろございますけれども、ねらいは放射線漏れ原因はかくかくであるけれども、しかし、それに対する単なる対策というだけじゃなしに、その放射線漏れを生じたその基礎になるバックグラウンドと申しますか、これを検討いたしたいという趣旨で、お話にございましたように、原子力委員会あるいは科学技術庁あるいは運輸省あるいは原船事業団あるいはメーカー等各般にわたりましてそれぞれ問題の焦点を指摘してございます。ただ、ありがたいことには、結論としては、要するに修理は可能であると、それから念のために総点検をもう一遍しなさいと、全般的にはあの「むつ」という原子力船はよくできているという御宣託でございまして、この点は非常に実はありがたいことだと思っております。いまお話しいたしました修理をどうするとか、あるいは総点検をどうするとか、あるいはあの事故を起こしましたための各種の直接、間接の原因等に対しての対処方法をどうするといった点は、それぞれ先ほど申しましたような吟味をいたしましてただいま進めつつございます。  一昨日でございましたか、原子力委員会でもとりあえずあの報告に対する態度を決めまして、これは原子力船を今後どうするか、第二船あるいは将来原子力船日本としてどう使うかという問題を踏まえて、原子力委員会懇談会をつくりましてただいま検討中でございますけれども、その懇談会にもお諮りして、そうして原子力委員会としてはあの大山答申を踏まえて、とりあえずこういう態度でいきたいという表明をいたしました。細部の点にわたりましては、さらに原子力委員会といたしましても詰めまして、問題を処理していきたいと存じます。  また、機構等の問題に関しましては、特に安全性機構仕組みが一番重要でございますけれども、これに関しましては、先ほども申しましたように、有沢機関の方でせっかく進めつつございまして、その方と若干重複いたしますから、その方の結論を待って大きく展開してまいりたいというふうに実は考えております。
  12. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 どうも立場の相違か、やはり視点のとらえ方の位置づけというものや、あるいは主観的な主張の立場の食い違いがあるかと思いますが、いずれこのいわゆる大山報告書なるものの、大山義年先生参考人として来ていただいて、その真意を伺い、知りたいと思いますが、要するに、大山委員会が発足したのは十月の二十九日でしょう、閣議決定で。その前の一つのよって来たる背景というものについて、言うならば、田中総理カナダを経由して、カナダでやはりある日下北半島の太平洋上で「むつ」が漂流しておると、そういう事実をとらえて、帰ってきて、とにかくあれは政府政治的責任だというかっこうで、鈴木善幸さんが現地へ踏み込んだと、こういう経過をたどっておりますね。その前後においてたとえば閣議で決定したのが、具体的には十月の二十九日に、これは何とかせなければいかぬと、そしてきちっと折り目切り目をつけなければいかぬというかっこうで、つまりこの原子力船むつ問題調査委員会というものができたでしょう、閣議で。その前の段階で、あなたもやはりその当時は長官であったか、森山さんであったか、その点はそれもあなた自身がよく知る問題でありまするけれども、いずれにしても重大事項でありまするから、どちらにしても長官長官であるわけでありますが、あなたは十月の十六日のこれは朝日とそれから毎日の社説——別々の新聞社でありまするから共同社説というわけではありませんけれども、一方は「政府は「むつ」の責任を明確に」と、それから一方は「原子力船計画を総点検せよ」というのが十月の十六日に出ておるのですよ。そうしてその中でこれは私は引用をしてあなたにも十分ひとつ私の立場とあなたの立場ポイントのとらえ方が、つまり政府安全行政欠陥であるとかないとか、開発体制不備があるとかないとかという視点のとらえ方に問題があると思うのです。実は大山参考人からも聞きたいと思いまするけれども、この報告書は、なるほど総論、各論、付記事項注意事項も含めて結論ありあとがきあって相当に評価すべきものだと思うのです。私をして言わしめれば、私の主観かもわかりませんけれども原子力委員会設置法に基づいて原子力委員会がある限りにおいては、一体その原子力開発かなめであり、それが大体いまその責任に対して一言も触れていないところにこの大山報告書欠陥があるのだと、それはどういう主義であってなぜお書にならぬのだと、そりゃ原子力委員会はあるがままによくやっておるというふうに評価できるものかどうかということは、これは実は私の考え方は、質問者としては実はすべての参考人にきょう来てもらって、一緒に午前午後を通して限られた時間を有効に消化したい、こういうふうに思っておったわけでありますが、しかしそれは別として、これはこういうふうに言っておるのです。大体いま両方の社説に共同したノートの抜粋でありますが、「「むつ」問題は、原子力船開発だけでなく、原子力開発全般の将来にとって、まことに不幸な事件であった。政府は、この問題の真の原因が、原子力政策の非民主性にある点をよく認識し、抜本的な改善策を講じなければならない。それには科学技術に対して〃政治的〃にではなく、科学的に対応するよう姿勢を改めることであり、原子力委員会の改組、資料の公開といった問題を含めて、体制、組織、行政民主化を行うことである。安全性関連自主研究に力を入れることも不可欠の要件である。」というのが、権威があるとかないということは別として、十月の十六日に大体ニュアンスの同じ趣旨で書いておる、そういう政治的背景だと思うのですよ。でありますから、いまあなたが私の質問に対して言っておられることというものとは非常に真意というものがすれ違っておるというふうに解釈いたしまするけれども、限られた時間でありまするから、この問題についてそれは新聞社社説であって、そして前首相田中総理カナダから帰ってきて、カナダ原子力行政というものを対比較して日本原子力行政の「むつ」の状態というものを見て、これは政府政治的責任だというかっこう現地の声を聞け、情報を収集せよ、船にも行け、こういうような形で今日に及んできておって、大山が鳴動ではなくて、確かに大山報告書というものが出てきて、これは権威ある報告書だというふうに私は私なりに評価をしています。でありまするから、これを真剣に受けとめて、とにかくやはり行政ルートであっても安全審査体制についても、そう言っておる中で先ほど申し上げたような生々しいやはりこの九州で、原発体制——それは試運転じゃありがちなことで世界でどこでもあるんだと、これは事故が小事だと、心配ないのだというようなことで納得できますか、実際問題は。もう一回あなたにいま申し上げた点についても……。
  13. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 私はお説の趣旨どおりの考えでございまして、そういう答弁をしたつもりでございますけれども、何か抽象的な答弁だったので、あるいは違うように聞こえたのかもわかりません。これは私自体答弁が悪いのでございまして、お話のように繰り返しては申しませんけれども大山答申は非常にすぐれた答申であると私ども受けとめております。したがいまして、その答申趣旨に沿って改革するものはどしどし改革していくということでただいま趣旨の各項目に従って問題の進展を進めておる最中でございまして、その中ですでにもうどんどんやってしまったという問題もございます。それからいまやっておる最中のもございます。これからやらなければならないものもございます。そういう点が大体こういうことでございますということを先ほど申し上げたのでございまして、ただ責任は那辺にあるやと、こういう問題でございまして、これはこの報告書にもございますように、もうこの人物がどうだという一つの指摘じゃなくて、各機関のあるべき姿等を指摘しているわけでありまして、あるいは機関の職能自体に、たとえば事業団のこういう大きい、ビッグプロジェクトに対するシステマタイズされた技術的な統括の人がいなかったとか、そういう具体的な点もございますけれども、しかし組織なり系統なり等に対する国全体の御指摘がございますので、その点に関しましては、それぞれさっき申しました有沢機関、あるいは私どもの方でも機関の答申が出るまでもなしに、これから御審議いただくであろう原子力安全局等をつくったりして、それに報いるべく努力しているところでございますが、一つの事例を挙げますと「むつ」の修理をすべしという、それは可能であるという御指摘をしているわけでありまして、ただいま事業団の首脳部を全部一新いたしまして、理事長以下全部変わりました。この趣旨に沿うように、修理をいかにすべきかという点を中心にいたしまして、いま広範な技術者の動員をいたしまして、検討中でございます。そういうことで、御趣旨に沿うて責任を持って問題を進めていく、進めっつあるという点をお話申し上げたのでございますが、大体御趣旨のとおり動いておるつもりでございますけれども
  14. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進まないと、私の時間は九十分で時間に限りがありますので、先へ進みますけれども、かつて森山長官の時代には田島原子力委員が、それは人事に関する問題でありまするけれども、おやめになっておりますね。あなたの時代になってからいま稲葉秀三委員新聞によると辞表を出しておられる、そしてそれなりにやはり新聞に書いてありまするので、これは稲葉先生の、やはり原子力委員会のあり方についても、それなりに原子力委員会として、原子力開発かなめである委員会の権威ある機関だとするならば、それに関連して結局何とかものを申すべきであるというような形について前々から言っておるのだが、なるほど客観的にとらえてみると原子力委員会委員会の権威に基づいて初めて原子力船の母港問題を含めて、初めてきのうか何かの新聞に出ておるわけでありますけれども、私も原子力委員会原子力開発の一体かなめであるのだ、なぜ物を申さぬのだ、だんまりじゃ困るじゃないかというようなふうに思っておるわけですが、これは人事の問題ですから歯切れのいい、何もいまあなたの胸の中にある問題であるし、あなたのところに事情がある問題だろうと思いますけれども、実際問題として私が言ったように、原子力委員会設置法に基づいて流れ行く情勢の推移の中でエネルギー問題というものを重視すれば、いまや計画路線で六十年六千万キロワットというようなものはだれが考えてみてもこれはもはや無理だというかっこう政府自体があきらめておられるわけでしょう。そういうような中でこういう点についてあるわけでありますが、それからこれは事業団のあり方の問題については、きょうは参考人として事業団の理事長が来ておられまするから、その方の考え方を聞きまするけれども、いまの問題について私はやはりこの原子力行政の中でかなめのやっぱり一つの根回しのポイントというものは、権威あるものはやっぱり原子力委員会だとこう思うのです。これは関連して後から原子力委員会の井上五郎委員長代理も来ておられるのですから、もし差し支えあって物申さぬというならそれでもいいんですが、ひとつお答えいただきたい、こう思うんです。
  15. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 稲葉委員は実はこのたび初めて辞表を出したのではないのでありまして、辞表と申しますか、辞意を漏らしたのではないのでありまして、去年も、私は当時長官でございませんから事実ははっきりしませんけれども、辞意を漏らしておられまして、私は稲葉氏とは企画院時代から一緒で、経済企画庁も稲葉さんの後を受けたようなかっこうで、いわば、大変長い間の親友でございます。したがいまして、まあいろいろ事情もあろうけれども、この際、非常な難局に立った原子力委員会でありますから、しばらくがまんして一緒にひとつ支援してもらいたいという懇請をいたしまして今日に至っております。ごく最近正式に辞表をもちましておやめいたしたいというお話がございました。その理由といたしましては、自分はひとつ国民運動として原子力の安全問題あるいは開発問題等に取っ組んでいきたいと思う、もう時代はそういう段階に入っていると自分は認識する、したがって原子力委員として自分はやるよりは、むしろその方が国家、民族に対する貢献度が大きいと思うので、ひとつ曲げてこの際やめさせてもらいたいというお話がございました。たっておとめいたしまして、再度御考慮いただいている最中でございますけれども、決して原子力委員をおやめになったからといって原子力問題をどうこうするんじゃなくて、むしろ最近は動力炉の開発部会長のような付帯的な一つの問題に取っ組みたいというようなお話のようでございまして、できますればそういう方面もお願いしたらどうかというふうに実は考えてございます。  原子力委員会全般の問題に関しましては、先ほども申しましたように、原子力委員会がみずから自分の性格なり権能なり、そういうものをどうするかということを言うのは、これは必ずしも当を得た問題じゃないと思いますので、先ほど申しましたように、内閣有沢機関をつくりまして、原子力委員会の改組も含め原子力行政全般のあり方を仕事をやろうというので、ただいま発足しつつございます。もちろんその中心問題は、原子力の安全問題に対して今後国がどうしたらよろしいか。ちょうどアメリカでは、御承知のように、この一月に原子力委員会を廃止いたしまして、安全、規制のための委員会に切り変えました。そういう第二の情勢も勘案し、日本もどの際原子力の安全問題に対してもっと強力に、真剣に取り組むべきじゃなかろうかという問題を踏んまえまして、原子力委員会はいかにあるべきか、これは科学技術庁と各省の問題いかにあるべきか、事業団の性格をどうしようか、そういう点をあわせてただいま検討中でございます。
  16. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは確認をしておきますが、有沢行政懇、まあ仮にそう言いますが、その中では、いわゆる過去、それから現状、将来を展望し、世界のもろもろの情勢を、エネルギー問題を広義に含めて、やはりその中で原子力委員会のあり方も含めて十分検討するという、そういう方向の中にいま位置づけられておるんだと、進行中だというふうに理解していいですか。
  17. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) そのとおりでございます。
  18. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一つお伺いしておきますが、具体的な問題として、これは原子力船開発事業団の理事長の島居さん、きょう参考人としてお見えになりますね。——それで、これは時限立法であっても、やはり、法は法として厳然として存在しておるわけでありまして、佐々木理事長の後を受けて島居さんが理事長になっておられるわけでありますが、私が不勉強でもあるし、混同もしておるかもわかりませんけれども、やはりこの大山報告書の中にはこの原子力船問題を中心として克明にいろいろ視点をとらえて問題点を指摘し、これを有効に消化して、今後に対処していこうというような、そういうさわりがありますが、具体的な問題として原子力委員会の中に原子力船懇というものがあるわけですね。そういうものがありますか。
  19. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) あります。
  20. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それの中とこれはジグザグであるかしれませんけれども、たとえば運輸省と科学技術庁の間で「むつ」問題に対して、いま陸奥湾に係留しているところのこの船体を管理維持するところの共同委員会的なものがあるのですか、な  いのですか。その点はどうですか。
  21. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま先生の御質問委員会は、運輸省あるいは科学技術庁で設けた委員会ではございませんで、原子力船開発事業団の内部にそういう委員会をつくりまして、現在の  「むつ」の維持管理を中心にいたしまして、学識経験者の方の御審議をいただいておるということ  でございます。
  22. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それならば新理事長の島居さんにお伺いいたしますが、原子力船の開発についてどんな抱負を持って、具体的には第一船「むつ」の今後の処置、言うならば、どのような考え方で、どのような手順で、この母港問題を含めて、あるいは人事、その他を含めて対処しておられるか。その点について、限られた時間でありまするので、島居理事長からお答えいただきたい、こう思います。
  23. 島居辰次郎

    参考人島居辰次郎君) 私は、先般、大変な理事長を拝命いたしまして大変なことだと思っておるのでありまするが、拝命した以上は私にできるだけのことをやりたいと思っているわけでございます。  そこで、先ほど大山委員会報告の話もございましたが、私のようないままで全然関係しなかった者から見ますと、いわゆる白紙なんでございまして、ちょうど大山さんと同じように第三者立場に立つわけでございまして、ちっともいわゆるどちらへも色がついておりませんので、そういう者からこの大山さんの報告書をよく丹念に拝見しますと、非常に一々もっともなことが書いてございまして、今後、私が業務をやっていく上におきましても非常に参考にもなりますし、またこれの御趣旨にのっとってやっていきたいと思うのであります。幸いに、先ほど佐々木大臣からのお話もございましたように、「結論」に「原子力船むつ」は、全体としてはかなりの水準に達しており、適当な改善によって十分所期の技術開発の目的に適合しうるものとの判断に到達した。」という結論がございますので、これにまた勇気を鼓舞しまして、こういうふうなところにやっていかなければならないと思って、いろいろの、できるものとまた相当期間を費さなければできないものとございますが、まずできるものからやっていきたいと思っているわけであります。  それで、まず、佐々木大臣からのお話もございましたように、人事の刷新によりまして、これに書いてありますように、十分その責任体制を確立してそうしてやっていけるような方向に進んでおる次第でございます。  それから、ただいまお話がございました運輸省と科学技術庁の問題につきましては、まずこれをやるのに遮蔽の問題及び特に安全の問題等ございますが、維持管理委員会というものをつくりまして、これによって専門の方々の御意見も聞き、そういうふうなことにしてやっていきたいと思っております。
  24. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 母港問題についはてきわめて政治的な問題もあるし、これは長官からお答えいただいても結構ですが、いま参考人の島居さんにお尋ねしているわけでありますけれども、母港問題についてはやはりいま事業団の出先機関は具体的にはやはりむつにあるのでしょうね。そういう関連の中で、いま運輸省とそれから科学技術庁との共同技術管理のもとに船体を含めて。でありまするから、母港問題はなかなか困離な問題であろうと思うし、また新聞によれば鈴木善幸先生がそれなりに過去の委員会の関係もたどりつつ八月なら八月までと、私は言葉でそう言ってもそれはあやであってそう軽々にいくものじゃないんだというふうに判断はいたしておりまするけれども、しかし、いつまでもやはり期限切れしておりますからそのままにしておくわけにはいきますまいと思いまするが、そういう点からいって、大体ドックに入れるにしてもあるいはいまかぎが原子力船むつ」の船長室の金庫の中に入るにいたしましても、核燃料棒の引き抜き作業、そういったような問題についてもいまの両省庁の検討委員会においてせっかく検討中であるか、その点の進捗状況はどういうふうになっておりますか。私は原子力船の開発に対するかなめというものは、原子炉というものが十分な安全性が保持されるかどうかというものが原子力船開発一つポイントになるんだというふうに考えますし、そういう点についてどういうふうになっておりますか。その辺をひとつ簡潔にお話しいただけないでしょうか。
  25. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 「むつ」の原子炉を中心にいたしました改修につきましては、原子力船事業団でただいま改修計画を検討している段階でございます。先ほど理事長からもお話がございましたように、今回首脳部の人事を一新いたしまして非常に強化いたしましたので、その新陣容によりまして改修計画が進められるわけでございます。  それから、先生御質問の燃料棒を抜く問題につきましては、実はこれは余り大した問題ではございません。と申しますのは、燃料棒を抜くということ自身はこの修理あるいは改修につましてまずその燃料棒を原子炉の中に入れたままで修理、改修あるいはその前の段階といたしましての点検ができるかどうかという問題でございます。この点も専門家によりまして検討いたしているわけでございます。ただ現在までに私どもが得ました情報によりますと、燃料棒と申しましてもこれは一般に使用済み燃料、完全にもう使い切ってしまった、つまり燃やし切ってしまった燃料棒ととかく混同されがちでございますけれども、「むつ」の場合は出力一・四%のところで放射線漏れを起こしまして、そこで原子炉をストップしておりますので、ほとんど燃料は俗に申します燃していないわけでございます。ほんのわずかでございまして、したがって、新燃料とほとんど差がございません。しかし、昨年の九月の段階から現在までかなり時日もたっておりまして、その間燃料棒の中に多少残っておりました放射能もかなり減衰して非常に少なくなっております。したがいまして、もう少し技術的に詰める必要がございますけれども、燃料棒を抜かないでも点検修理ができるのではないか、そういう意見もございます。あるいはどういたしますかこの辺技術的に非常に細かい問題でございますので、今後の改修計画に沿いまして具体的に詰めてまいりたいと思いますが、現在の検討の段階は以上申し上げたとおりでございます。
  26. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この問題は、いま原子力局長からお話ありましたが、言うのは簡単でありまするけれども、これは原子力船むつ」の動向というものを、かてて加えて大山報告書というもののあとがきというものをそれなりにこれは広がってみんな勉強しておるのです、国民は。まあこう書いてありますね、後書きは。「政府関係当局、関係諸機関は、報告書に盛られた内容を十分吟味し、心を新らたにして問題点のは握解消に努められ、一日も早く原子力船開発研究が十分な成果を上げるよう期待するものである。」というふうにこの報告書に書いてあるわけでありますが、その後、これは原子力船事業団の理事長にお伺いしておきますが、新聞にも出ておることでありまするけれども、こういう大山報告を踏まえながら新しい理事長としてその責任においてやはり「むつ」の建造を、建造のための建造でなくて研究機関として再出直すんだと、そういう形に人事の刷新をして、いまそういう方向にスタートしておるんだと、そういうふうに理解をしていいですか。理解をした限りにおいては、われわれはそういうことを十分見守りつつ、監視という立場ではありませんが、われわれ以上にたとえばむつの漁民であるとか、むつの市であるとか、理事者であるとか、青森県であっても、あるいは全国の——言うならば安全といいますか、環境といいますか、それから原子力公害といいますか、あるいは核燃料サイクルといいますか、そういうものをはだで感じてこれは監視しておるというようなふうに私は判断をいたしておるわけですが、そういうことを含めてひとつ理事長の所信をこの際伺っておきたいと、こう思います。後日のために。
  27. 島居辰次郎

    参考人島居辰次郎君) 大変ありがたいお話を承っております。私は「むつ」関係につきましては、いままではいわゆる新聞その他で拝見しているだけでございましたが、こういうところに出席させていただきまして、先生方の「むつ」にあるいは原子力船の今後の問題に対する生のお声を拝聴することができましたことは、私が今後新しくこれをやっていく上において非常にためになることだと感銘深くしておるわけであります。  そこで先ほどお話がございますように、私といたしましては単に「むつ」、とりあえず「むつ」の改修ではございますが、日本における今後のエネルギー政策としてもそういうことで原子力船というものができたんじゃないかと私なりに観察しておるわけでございまして、そういう線に沿って、単なる「むつ」の改修のみならずもうちょっと深いところまでもさかのぼって事業団をやっていくべきではなかろうかというふうに、これは私見でございますがそういうふうに考えてこれから取り組んでいこうかと思っている次第でございます。
  28. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは長官にお伺いしますが、日本のこれはいま「むつ」問題は、こういう一つのいろいろなことが災いを転じて幸いにするということになると思いますけれども、問題は、これが立ち直ったというかっこうになって、母港問題も非常にむずかしい問題だと思いますよ。それにあなたは四月に現地に行っておられるでしょう。その当時には統一地方選挙の時点であって、あなたの新聞記者会見においてはいろいろとこれは選挙中であるから痛くもない腹をさぐられてもというようなニュアンスの中で、しかし、その当時においてやはりどこから出た情報かは——これは政府機関でありまするけれども、大体北海道から沖縄を含めて二十数カ所の母港がやはりマークされるんだというけれども、まだ実際において母港問題というものはそう簡単にいく筋合いの問題ではないと思いますが、そういう問題を含めて一体——そして時限立法でありまするからこれは延長されるということになるでしょう、恐らくこの原子力船事業団法は。だとすれば、一体この問題について大体見通しは明るいのですか。鈴木善幸さんは八月云々と言っておられますが、鈴木さんもいまは行政のルートの外におられる人でありまするから、あなたがこの問題について、それは当たらずとも遠からずだということ断言できますか、その点について、内容は時間がありませんから、それは追及いたしませんが、その点についてひとつこの際。
  29. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 御質問は、母港がどうなるか、「むつ自体をどするのかという二つのように考えられますが、前者の母港の選定問題でございますけれども、これは詳しく申し上げるまでもなしに、四月の十四日までに決めたいというので、いまお話しになりましたように、二十数カ所の中から自然的な条件あるいは社会的条件等を考慮してここが一番よろしかろうというので、私と運輸大臣の間で第一次の選択をいたしまして、そして新聞でも御承知のように、長崎県の対馬の個所を選びまして、政治問題にも関係ある大変な問題でございますから、地方選挙も済んで、地方の議会の議長その他の構成も決まって各議会も開けるというふうな状沢を待ちまして交渉に入ろうといたしました。正式交渉に入るに先立ちまして、非公式に、何と言っても地元の国会議員の皆様に事前に打診するなり御了承得るのが、これが政治の道かと存じまして、自分の知らぬ間に自分の選挙区の足元へ来ていろいろ動き回るということでは、これはその県の選出代議士といたしましては国会議員といたしましてはたまったものじゃあございませんから、これは事前に仁義を切ろうというので、自民党の方から始めまして民社、社会党まで参りましたところが、問題が起こりまして、公明党さんの方まで実は話に行く前に現地では漁民の皆様大変な反対運動になりまして、新聞でも御承知のように、知事さんから客観情勢がこうなった上は無理に正式交渉というものはこの際やめて、一応白紙還元ということで事態を見守ったらどうですかというお話がございましたので、もちろん私どもむつの問題でこりてますから、もう一度力でどうこうするというふうな態度は一切この際排除して、地元の納得得た上でということでただいま静観中でございます。ただ、静観中と申しましても、何にもせずにというのではございませんので、いろいろまた自分のところはどうだろうと言ってお勧めに参る方もございますので、そういう点も考慮しつつ、実はただいまいろいろと非公式な打診等を続けておる最中でございます。  見通し、いかんという問題になりますと、従来の行政サイドで中央政府あるいは地方政権と申しますか、地方自治政権との間に話が決まればそれで問題は処理できたという性格のものでありますと、大変やりいいんでございますけれども、いまはこの問題はそういう処理では満足いたされません。それがまた円満におさまった証拠にもなりませんので、あくまでも地元の関係者と申しますか、特に漁連関係等が一番関心深うございますから、そういう人たちもあわせていろいろ御納得、御理解をいただいてその上で円満に母港を決めかい、こういうことでございますので、私どもの希望どおり早急に進み得るかどうか、これからだんだん問題が深まってきませんとまだ何とも一言えませんけれども、しかしできるだけ早い機会に決めたいという念願でただいま進めつつございます。  それから「むつ」の将来の問題でございますけれども、これは御承知のように「むつ」はいわば実験船でございまして、本来であれば、去年ああいう事故が起こらなければあのまま実験航海に出まして、そうして大体おおむね二年くらいの実験を了して、その上で本来のと申しますか、実験々終えた後で鉱物の運搬等の任務につこうかということになっておったんですけれども、その実験船としての性格はもちろん変らぬのでございますし、また世界で四番目の原子力船でございますから、商船でございますから、大変技術的にも世界の注目を浴びているものでございますし、また日本といたしましても将来原子力船時代を考慮いたしますと大変貴重な第一歩でございますから、お話もございましたように、いままでの禍を転じて福となして、そうして「むつ」そのものが本来期待されました国民の期待に沿えるように今後改善、総点検をいたしまして、そうして実験に入り、またその後の任務につきたいと、これが私どもの実は念願でございまして、母港の選定もさることながら、「むつ」そのものをどうするかというのが本体でございますので、県の方にも、先ほど来お話がございましたように、鋭意力を注いでいる最中でございます。
  30. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 視点を変えて前へ進みますが、四国の、あれは伊方ですか、原発の二号機について現地の反対住民が原告団となって国を相手に民事訴訟を——行政訴訟を起こしておりますね。行政不服審査法に基づいて。そういう中で、松山地方裁判所民事一部の村上裁判長が国に向かって提出書を文書で命令をしておるという、そういう経過について、これはもちろん御存じだと思いますし、国が抗告しておられますね、即時抗告しておられますね。ただ、問題は、それはそれとして国のおやりになることであるから内政は干渉いたしませんけれども、私はとにかく五月二十六日関係者に通知されたこの村上裁判長の命令書というものの内容の問題について、これは非常に私はこれはいい一つの命令書だと思うんです。五つばかりありますが、これは後述のこともありますので……。御承知のように、「一、四国電力が科学技術庁ないし原子力委員会に対して提出した調査資料、参考資料、」「二、原子力委員会の伊方発電所に関する議事録、」「三、原子力委の原子炉安全専門審査会の議事録及び部会報告など。」「四、原子力局が原子炉委の原子炉安全専門審査会の審査に際して提出した伊方発電所の安全性についての中間報告などの文書、」「五、原子力局が同審査会第八十六部会(伊方)の審査に際して提出した「原発の安全評価」(重大事故、仮想事故解析)と題する文書——で原告が裁判所に提出命令を求めた文書のうち原子炉安全専門審査会でのメモを除く一切。」と、これだけの内容が一応命令書の形で国に命令されておるわけですが、上告をされておるわけでありまするけれども、これはやはり国といっても所管省庁は長官はこれに対して重大な関係を持っておられると思いますが、これは深く追及いたしませんし、それについては控訴しておると、この点について、私どもの常識からいけば、やはり原子力基本法の制定の前夜の学術会議等の状況においてあの法律が生まれた背景と、自主、民主、公開の原則というものが生きてきたと、そういうものを立法の精神に基づいて忠実に求めれば、こんな程度のものを裁判所に出さなくても、原告側が、反対住民が筋を通して科学的な論拠を持っていろいろ公開を要求すれば、すべきものが、裁判所でないと、ということはおかしいと思うのです。のにもかかわらず、国はこれを上告しておられる、それはいいのですよ。そういう立場で、そういう視点で私は追及をし、質問をするのだ。そういうことを理解しながら、ひとつこの点について答弁してください。
  31. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 御承知のように、この裁判は行政処分取り消しの訴えでございまして、それを踏まえましてお話のような文書提出命令が出たわけでございますけれども、裁判のことでございますし、その提出命令なるものが法に照らして正しいものであれば、これは当然その命令どおりにするのが任務でございますが、民事訴訟法の三百十二条三号の規定から見ますと、少しこの命令の内容が民事訴訟法の示すところと違うのじゃないかということで、これは他の行政の処分に対する今後の全般の問題にもかかわる大きい問題でございまして、ひとり原子力行政の取り消し問題にかかわる問題だけではございません。それが前例になりまして、こういう解釈だということになりますと、行政処分に対する取り消しの問題が大変むずかしい今後の資料提出の問題になってくるかも存じません。そういう点も考慮いたしまして、法務省の方とも御相談の上、一応その筋を通してもらおうじゃないかということで、お話のございましたように上告をした、抗告をした次第でございまして、別に原子力基本法に盛られております三原則を曲げてどうという趣旨では毛頭ございませんので、その点は御理解をいただきたいと存じます。
  32. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進みますが、電調審のあり方について非常に私は問題があると思うのです。たとえば過去の客観的な事例を見ても、主体的な事例を見ても、美浜にしても、新潟県の柏崎・刈羽においても例外ではありませんが、いわんや伊方にしても福島にしても、現地の反対住民が行政不服審査法に基づいて原告団を組織していろいろ訴訟が起こっておるのだ、そういうような状態の中で、申し上げるまでもなく、これは皆さん方から教えていただいたわけでありまするから、私が勉強した範囲では、この電調審のあり方について、私は時間がありませんからこれは読みますけれども、昭和二十七年成立の電源開発促進法は、いまの経済企画庁の前身の経済審議庁時代のいわゆる水主火従の時代につくられておる。今日のような国民の合意とその安全性を何よりも必要とする原子力発電の開発を調整するには不十分である。なお、現行促進法第三条三項は、たてまえとして意見申し立ての権利を認め、また実質的には利害関係者の役には何にもならぬわけですよ。署名をとって、そうして意見書を出して、理由書も付帯して——そうするというと行政ルートではなるほどこの法律に基づいて処置しておられるのでありましょうけれども、これは原子力行政が法的にも体制的にも不備であって、にもかかわらず、形式的に電調審で決定したベルトコンベア的には、開発して推し進める開発の構想は間違いであると思うのです。新たに発足した原子力行政懇談会を通じて根本的にやはり改正する必要があると思うが、私は見解を伺いたいと思います。この点はひとつ井上五郎先生からも見解として伺いたいと思いますが、大体御承知だと思いまするけれども、スイスでは御承知のように、ライン川を中心としてやはりフランスだとかあるいは西ドイツであるとか、それからスイス自身であるとか、百キロぐらいな関係でずっと原発がやはり位置づけられておる。だから、その地域の住民はやはり非常な大きな反対運動や座り込みをかけて……。しかし、スイスの環境長官は、結局工事中のものを四十五日間か何か、数字は別として、それを中止を与えた。そしてそのスイスの原子力基本法は十七年前にできて、非常に国際的にも国内的にもエネルギー問題の客観的な主体的な取り上げ方からいっても、これは次元が違うので、これは改正する必要があるのだと、こういうふうになっておりますけれども、これは他山の石で、スイスはスイスのことだというふうにはとらえられません。たとえば、私はこれはいわゆる経済審議庁時代の実情は知りませんけれども、とにかく原子力開発の電源開発促進法ですか、そういうものはもはや時代錯誤的なものだと思うのです。それがベルトコンベア式になっておるのだという形にすれば、結局、ずばりで申し上げまして、これはスイスのことで申し上げましたけれども、海には原子力船問題が非常に政治的にも社会的にも問題になっておるでしょう。このままの状態でいけば、福島や伊方はどうか知りませんけれども、後で同僚の志苫君がやるでしょうけれども、非常に地域住民は科学的な事実について、立地の条件で劣悪地盤という問題について、とにかく法に基づいて意見を具申しても馬耳東風だ、どんどんとベルトコンベア式になるんだ、幾らやってもどんどんとまかり通ってしまうじゃないか、弁慶の勧進帳のような調子で。そういうような関係で、この点について原子力行政懇談会で根本的に改正する必要があると思うのでありまするが、こういう点について討議をされる、そういう必要性あると信ずるし、この電調審のあり方に問題があるのだということを私は指摘するわけでありますが、この点については長官、それから井上五郎先生からもひとつお答えいただきたい、こう思うのです。
  33. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 私は経済企画庁時代でございますか、電源開発促進法をつくった本人でございまして、この趣旨等はよく存じ上げてございます。これの主たる当時の目的は、大規模な電源開発をやるのには九電力に分割されましたそれぞれの会社だけでやるのは大変無理があるんじゃないかということ、もう一つは非常に水利の問題にかかわる大水源地帯の開発になりますと、農業水利にも、工業用水にも、あるいは日常の飲用水等にも全部かかわる問題で、その配分等も大変な問題でありますし、あるいは費用の分担等も多岐にわたる問題でございます。そういう関係から、新しい電源開発促進法というものをつくりまして、そして関係各省が集まって、そして利害の調整をして、主として電力の需給関係あるいは資金状況あるいは環境問題等を考慮しつつ、その年度の開発地点を決めようと、こういうことでできた法律だと考えております。  原子力の方はそれを受けまして後からできたものでございますから、その需給関係、いま申しました需給関係なり、あるいは資金問題なり、あるいは環境問題等から見て、原子力発電はこれこれが必要であるという電調審で決めました後で、事前じゃなくて後で、それを受けまして私の方に設置許可がまいります。それから本当のこの行政処分になるわけでございますけれども、そうして安全性の審査に入ります。通産省——電力でありますと通産省の方でもそれぞれの分野に応じまして安全性の審査をいたしまして、そして私の方からは、これは安全であるという答申が出ますれば、それに基づいて電源開発に進むということになりまして、決して電調審で決めたから、そのままそれを受けて、それでよろしゅうございますというのじゃございませんのでございまして、その点には大変いろいろ誤解の向きもたくさんあるようでございますが、そういうかっこうになっておりますので、必ずしもいまのそのシステムが最善かどうかということになりますと、お説のようにいろいろ疑問点もありましょうし、また時代に即応して改善の要がある点もあろうと存じますけれども、現状はそういう法のたてまえになっておるということをまずもって御説明申し上げた次第でございます。
  34. 井上五郎

    説明員(井上五郎君) 先般有沢委員会に、原子力委員長代理を仰せつかっておる立場上お呼び出しを受けまして、私から原子力委員会を代表した意見を申し上げたんでありますが、根本的に申しまして、私は原子力基本法というものは大変よくできておる法律であると思います。そして、その第一条におきまして、原子力の研究開発並びに推進を行って将来のわが国のエネルギー資源を確保するという考え方は正しいんでございまするが、二十年前に制定いたしました将来のエネルギー源を確保するということが今日の問題になったと、したがって今日の実情に適したものでなければならないという意味におきまして、いろいろ法律上の問題が多々あるかと思うんでありますが、一方原子力に関しましては関係いたしておりまする省庁が十二ほどございます。それを何もかも全部原子力委員会一つに統一するということは実際問題としては困難であるかと思います。さような意味におきまして原子力行政懇談会に私ども意見を述べた次第でございますが、それとは別個に私個人のことを申して失礼でございまするが、井上私案という意味におきましてエネルーギー政策を国の行政体制上どうするかということをあわせて付帯意見として申し述ました。その中にただいま御指摘の電調審のあり方というものはただいま佐々木大臣からお話がございましたように、原子力基本法ができます前にあれは制定をされております。また、科学技術庁の設置以前の問題でもございますので、発電に関する基本的な法律であるにかかわらず、科学技術大臣が入っておらなかったといったような問題点を初めといたしまして、いま御指摘のような幾つかの点があると思います。さような意味におきまして、今回の原子力行政懇談会においてお取り上げを願うことは大変けっこうなことだと、かように考えております。
  35. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは科学技術庁長官に要求しますがね、それから非常に御苦労いただいておる井上五郎先生には強く要望申し上げますが、やっぱり新たに発足した原子力行政懇のよって来るその歴史的背景というものと位置づけというものを生かして、私はあなたのお書きになった電源開発促進法の解説というもの、この大体のはしがきというものについてあなたのお名前が出ておるけれでも、これはいまもう政治家になられてそして長官になられた。これ名前同じだなあと思って、これは経済審議庁計画部長の時代のこれを見て、こんな古い時代について——これはこれでよかったんですよ。今日の次元では活用して、ひとつ原子力行政懇談会で十分含蓄をして、十分ひとつ国民から信頼をされる法にこの促進法というものを変えてもらいたいと、電調審のあり方というものをひとつ検討してやってもらいたいということを特にこれは要求しておきますよ。別に回答は要りません。先を急ぎますからもう一点——数点ありまするけれども、もう時間がきちゃいますから。  実はきょうは山田原子力委員に、常勤でありまするからぜひ来ていただきたかったのでありまするけれども、聞けば外国旅行中であるということでありまするので——ポイントはこうなんですよ。三月の二十日の時点で、東電は柏崎・刈羽原子炉号炉の設置許可申請を行っておりまして、政府はこれを受理し、原子力委員会は安全専門審査会に付して、近く審査が開始されようとしておると、これは三月の時点でありますが、これと関連して統一地方選挙のど真ん中のこれは四月十五日だと私は記憶しておるのでありまするけれども、地元の反対住民が情熱を込めて、代表約三十名が、形式的な審査は許されないんだと、技術庁に抗議であり、申し入れをしているわけですよ。もちろんこれは通産省資源エネルギー庁も聞いてもらいたいと思うんです。窓口は山田原子力委員が、とにかく対応しておられるわけなんですよ。この問題を、これは例のごとくそのヘルメット組が押しかけてきたんだというような形ではないんです。実に深刻な科学的な内容をもってこの安全、環境、立地、原子力公害等を含めて真情を吐露しながら、柏崎の劣悪地盤について陳情しておるわけなんです。これを山田委員が窓口になって、とにかく諸君の要望はわかったと、こういう会見の時点があるわけでありますが、この点についてこれは当然山田委員だけではなくて、これは原子力局長もよく知っておられるはずだと思うんです。それから通産省ルートの資源エネルギー庁でも知っておられるはずなんですが、これがポイントだと思いますので、この点はありのままにひとつお答えいただきたい。
  36. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいまの御質問の点でございますけれども、実は予告なしにおいでになったわけでございます。それで、予告なしにおいでになりましたので、私どもも対応の準備ができておりませんでしたので、とりあえず担当の原子力委員の山田先生がたまたまおられましたので、あと事務当局が数名同席いたしましてお目にかかりまして、いろいろ御要望を承ったと、かような次第でございます。
  37. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ずいぶんあっさりしているんですね。  それで、結局実際は同じことを繰り返し繰り返し真情を吐露しながら受けとめていただきたいというのが真意ですよ。予告があったかないか…。もしあれが選挙中でなければわれわれも同行し、あっせんをしたかもわかりませんけれども、四月十五日ぐらいな時点ですから、地方選挙の真っさなかでありまするから。結局劣悪地盤問題等について、たとえば東電の生資料を踏んまえて、これは公聴会の問題についても、地方のローカル新聞ではキャンペーンを一週間にわたって、公聴会問題をどう考えるかというかっこうで、客観的にとらえておる、そういうことと、これは原子力局長知っておるでしょう。たとえば「朝日」のローカル版で、一週間にわたって「まないたに乗った原発」と、「「地盤」の争点」というかっこうで、「反対派」「東電」、「うらばなし」というかっこうで、客観的に主体的にあった事実を詳細に書いておるわけでありますが、これはごらんになっておるでしょうが。何も東京でもやはり新潟のローカル版は見れるわけです。これなんですよ。とにかくいずれにしてもそういうような点でありまして、重大な問題ですよ、これは。いずれこれは志苫委員志苫委員視点でやはり質問するでありましょうけれども、私はただそれ、会ったには会ったけれども、予告なしで来たんだから、会ったような会わないような、そういう会ったことが悪いとか会わぬことが悪いとか、そういうことを言っているわけじゃない。その内容について東電は生資料まで出して、そうして現地のたとえば県知事はそれなりのチームをつくって、これには新潟大学のこれは覆面ですけれども、権威があるかないか知らぬけれども、学者の良心が惜しいものでありまするけれども、とにかく劣悪地盤について現地の反対住民が言っていることは科学的であって反論の余地はないというようなかっこうで、少なくともいまある原子力の扱いの中で知事がやはり異例の、この問題について副知事を代理として、そしてこれは科学技術庁原子力局長でなければエネルギー庁のだれかが会っているはずなんですが、そういうような関係、そういうものを含めて一体どういうふうに処置をされておるんだというような扱いについて、そのことに尽きるんですよ、実際問題は。これは見ておられるでしょう。どうですか。
  38. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 柏崎のサイトの地盤問題につきましてはいろいろ御議論もあり、その問題が非常に重要であるということは私ども十分承知しております。さらに新潟県知事あるいは柏崎市長からも要望書をいただいております。したがいまして、科学技術庁あるいは原子力委員会におきます安全審査におきまして、その点を特に重点を置きまして安全審査をするというたてまえでございまして、先般東電の柏崎原子力発電所の設置許可の申請が出されまして、原子力委員会から安全専門審査会にこれを付議したわけでございますが、その付議いたしますにつきましても、地元の県知事あるいは市長からそういう要望が寄せられているので、特にその点に留意して審査を行うようにということをつけ加えまして付議してございます。そういう点をつけ加えましたのも、これは従来原子力委員会が同様の案件を安全専門審査会に付議するに当たって前例のないことでございまして、初めてやったわけでございますので、その点ぜひおくみ取りいただきたいと考えております。
  39. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私はこれでやめますけれども、資料要求しておきます。  これはおそらく志苫委員も要求されるかどうかは別として、この安全審査会の中に柏崎部会というものが設置されたわけでありますね。その部会のこれは安全審査委員長といいますか、会長はやっぱり内田さんですか。内田さんなら内田さんでそれでいいんでありまするけれども、この柏崎部会の中でその委員の名簿というものを、それからそれに対してマークしてもらいたいのは、地質ですね、土木工学ですね、地震工学についての権威がその中に入っておられるかどうかということを私は知りたいのでありまするから、これはいまでなくてもいいですから、資料として名簿をわれわれに、公開はこれは秘密だということだが、秘密であるべきはずはないはずなんですから、とにかくそういう点をひとつ資料要求しておきます。  これは委員長にもお願いしておきますが、若干時間はありまするけれども、またこれは私がここにおる限りはずっと原子力問題取り組んでいきますから、これできようはやめることにいたします。
  40. 志苫裕

    志苫裕君 いま杉山委員からもいろいろと伺いましたので、ダブるところは省きますが、おいでになっていますか、内閣——。私は中心は柏崎部会のことに置きますけれども、ちょっとそこへ入ります前に少しお伺いをしておきます。  まあ原子力問題、安全性の確保、国民の理解と信頼の取りつけというものが重点課題だということになって、いわゆる見直し作業が進んでおるはずでありますが、その現状をあらまし聞きたいわけであります。  一つ内閣の方から、原子力懇談会が六回にわたって持たれておるようでありますが、主として何が問題になって、そろそろ問題点がしぼられているか、いつごろまとめに入って、それはどのような形で生かされていくものなのか、これをあらまし聞いておきたいことと、委員会の方には、原子炉安全専門部会が設置をされて審査基準の検討などが行われていることになっておりますが、これの現状を聞きたいわけであります。  以上、まず二点お伺いします。
  41. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 原子力行政懇談会は、二月二十五日の閣議了解に基づきまして発足いたしましたが、三月十八日に第一回の会議を開いております。ただいま先生が言われたように、これまで六回の懇談会を開いておりますが、その中心となります議題と申しますかこれまで行ってきた事項と申しますのは、原子力行政に関係の深い団体の代表の方の原子力行政についての考え方を聞くということが中心になっておりまして、まあ委員さんの考え方を直接述べるという機会はまだそう多くはございません。したがいまして、このヒアリングと申しますか関係団体の代表者からの意見の聴取、これが六月の二十日ですか一応終わりますので、その後問題点を整理しまして、懇談会委員の皆様方のお考えを出していただくと、このように考えております。  全体の審議の期間でございますが、必ずしも現段階でははっきりしておりません。対象をどこまで広げるか、あるいはどの程度のピッチで懇談会を開いていくか、そういった問題がございますので、まだいつごろに結論が出るということを申し上げる段階には至っておりませんが、三月を起点にしておおむね一年以内には結論を出し、できるだけ早い機会にその結論を実現に持っていきたい、このように考えて懇談会を運営しておるわけでございます。
  42. 福永博

    政府委員(福永博君) 先生の御質問の後段の方の安全審査の基準の見直しと申しましょうか、どういうふうに進捗しているかという点についてお答え申し上げます。  先生御案内のように、安全審査の基準と申しますのは、安全設計、その他気象関係等々ございますが、これらの基準を最近の知見に基づいた何と申しましょうかアップ・ツー・デートなものに見直していこうということで、原子力委員会の中にこの二月十八日、原子炉安全技術専門部会というものを設置いたしました。それで、その中で気象関係の小委員会というものを設けて専門の方々に御検討いただくというシステムをとっておりまして、気象関係、耐震設計、安全設計、事故評価、被曝評価原子炉材料と、当面のところこういった小委員会を設けて御検討を願っているわけでございますが、今後の審議の進め方といたしましては、これだけの小委員会でございますので、でき上がったものからは順次基準化していくという方向で進みますけれども、一応年度内——年度末ぐらいを一応の目途といたしまして作業を終わりたいと考えておるところでございます。
  43. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、確認をしておきますが、行政懇の場合も関係者のヒアリングが終わった程度で、これからぼつぼつ委員の意見を聞いてまとめに入りたい。基準の見直しの方は、幾つかの小委員会の名前を挙げましたが、まあずいぶん膨大なものだから、年度末ぐらいをめどにやりたいと。先ほど出ていました——私は幾つか設定をしていきまして、後でまとめてまた聞きますが、次に、先ほども答弁あったようですが、簡潔にもう一度私、要旨を聞きますが、いわゆる「むつ」漏れ問題調査委員会報告から、長官、ずばり何を学び取りました。
  44. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 「むつ」問題から学んだ点はたくさんございますが、その一番の中心問題を踏んまえまして、先ほどもお話申し上げましたように、一つ機構あるいは権限あるいは行政の安全問題に対する仕組み等をどうするかといったような問題、もう一つは、「むつ」そのもの、あるいは今後の原子力船日本のあり方というものをどうすべきか、この二つが一番大きい反省材料かと思います。
  45. 志苫裕

    志苫裕君 どうもあまり学んだものがないようですね。この場合、ちょっとお伺いしておきますが、この「むつ」漏れ問題調査委員会——委員会になるかならぬか、から報告を受けておるんですが、実はぼくらがいただいたものは、言うならば、いろんなデータを使ってまとめた結果の報告をいただいておるわけです。あの資料に裏づけがあるかどうかは、あれをいただいただけではわかりません。裏づけ資料が提示できますか。
  46. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 私は、総理府の参事官として「むつ」の調査委員会に関係したわけでございますが、いろいろ調査委員会では議論がありましたけれども調査委員会としては、あの報告書をもって委員の統一した見解だと、こういうふうになっておりまして、委員さんが自分の考え方で解説するというようなことはできるだけ避けると、こういうふうになっています。  資料の点に関しましては、私どもの事務局では、一式全部そろえてはありまして、これは永久的に保存するつもりでございますが、やはりすべての資料を外へ出すということはできませんので、現段階では資料を外部にお出しするということは考えておりません。
  47. 志苫裕

    志苫裕君 すべてのものと言えば膨大になるでしょうから、たとえばきょうは指摘をしませんが、後刻たとえば第何ページのこのような結論を裏づける資料の提出を願いたいというふうに要求した場合に出ますか。
  48. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 各資料の取り扱いにつきましては、やはり関係省庁の御判断があるかと思いますので、私ども事務局として直ちに、それは出せるとか、あるいはお出しできないというふうにお答えすることは、ちょっとできないと思います。
  49. 志苫裕

    志苫裕君 いや、出せるか出せないかの結論が出せないじゃ、この次の委員会までに関係省庁の協議を一応終わらしておいてください。それから資料問題については改めて委員会で要望いたしますから。  その次に、先ほど杉山さんの話じゃありませんが、どうも一稼働中の原発には五体満足なやつはないという話なんでありますが、私もそう思うんでありますが、特にいま新しいものとしては福島一号炉、それから美浜、この二つについてしばしば本委員会や別の場所でも議論されていますが、これは事故原因解明は終わりましたか。
  50. 高橋宏

    説明員高橋宏君) 福島の第一発電所の一号機でございますが、過去一年間の主要なトラブルを挙げてみますと、昨年九月以降調査点検をいたしまして結論を出しました原子炉再循環系バイパス配管の問題が一つございます。これにつきましては、当該個所と申しますのは、溶接部近傍に一時冷却水のわずかなにじみが認められたところがあったわけでございまして、これを切断いたしまして詳細調査をいたしました結果、この原因は、溶接の施工不良によります著しい残留応力と金属組織の変化、これが認められた。これに、バイパス弁を閉じて運転したことによります局所的応力並びに水の停滞によります影響等が重畳して起きたということが推定されたわけでございます。これに対処する方針といたしましては、当該個所を全く新しい配管に取りかえるという措置をとったわけでございますが、その際、管の、チューブの製作加工及び溶接施工管理、たとえば先ほど申し上げましたような溶接施工不良による残留応力とか金属組織の変化、鋭敏化でございますか、そういったことが生じないような方法をとらせるというようなことをやらしましたほか、二次的なバックアップといたしまして、これはいずれにしましても、コンテナの中でございまして、外には漏れるといった種類のものではございませんが、このコンテナの中の、もしも漏れた場合の監視計器の感度を従来の約八倍に上げさせまして、なおかつ今後の定期検査等におきます際の点検項目をふやすというようなことで対処いたしました。  それからことしの一月の末でございましたが、これは米国のドレスデン二号でBWRの炉心スプレー系配管にクラックがあったという情報がございまして、日本の同型炉を全部点検したわけでございますが、この福島の一号機を点検しましたところ、液体浸透探傷試験という試験項目でございますが、そこで原因不明の指示が認められたということで、これも安全サイドを踏みまして、切断して調査をいたしました結果、管内からの、微細ではございましたけれども、ひび割れが認められたわけでございます。これもいろいろと詳細調査をいたしまして、溶接施工に伴う金属組織の変化、それから水の停滞による影響及び局所的な応力の残留が原因であるという結論に達しましたので、これも全く新しい配管に取りかえるという措置をとらしたわけでございます。  なお、溶接の施工方法等につきましては、バイパス同様の措置をとりますとともに、なお一層今後の定期点検等に厳重を期していきたいというぐあいに考えておるわけでございます。  なお、そのほか二号機でございますが、現在定期検査中で、四月以降いろいろな検査をしておりますが、その中で燃料体を保護しますチャンネルボックスというものがございますが、そのうちの一部に損傷が認めらるということがございました。これも燃料体そのものは全く異状がなかったわけでございますが、その外側を包んでおるチャンネルボックスでございますが、原因としましては、炉心の下部に設けられました小さな冷却孔がございますが、そこからの流れによりまして、炉内計測管が振動してチャンネルボックスに当たったためになるという推定をいたしておりました。現在まだチャンネルボックスはプールの中に入っておりまして、テレビ等で観測いたしておりますが、さらに定期検査中でございますので、この期間を継続して詳細調査を行うというような措置をとっておるところでございます。  次に美浜の発電所でございますが、美浜の一号機につきましては、昨年の七月十七日に蒸気発生器細管漏洩が発生いたしました。すでに御存じのようにこれは二回目、二度目の漏洩でございました。その問いろいろと細管のクラックその他の措置をとってまいったところでございましたが、昨年の七月に再び起きたということで私どもも非常に重要視いたしまして、私どもの中にございます原子力発電技術顧問会の中に特別委員会を設けまして鋭意調査中でございます。現在このピンホールの申しますか、ピンホールを発生するに至ります減肉発生のメカニズムの解明が必要なわけでございまして、この実物のチューブを切り出しまして大規模な減肉再現試験を実施中でございます。試験終了はあと一、二カ月かかるかと思います。  それから二号機でございますが、ことしの一月八日に、これは二号機でございますが、やはり蒸気発生器の細管に漏洩を生じまして、定期検査を繰り上げましてこの原因調査等にいま当たっておるところでございます。原因及び今後の対策につきましては、二号機につきまして現在検討中というところでございます。
  51. 志苫裕

    志苫裕君 結局のところ、解明できたものあり解明できないものあり、特にPWRの場合に、いまの御答弁にもありますように実は解明できてない、こういう御返事のようです。そこで、これは委員長、お伺いいたしますが、先ほども玄海の問題が出てました。これはよく言われていることですが、私この間の委員会でも申し上げましたが、ずっと流れ作業になってまして、事前チェックがあって、電調審があってそしておたくへいくわけですね。その電調審の段階で一環境審査の段階でも本当のあらましのことをやるもんですから、そこで住民がいろいろと不安を投げかけると、心配をぶつけると、最後は安全審査というのでやってもらうんだからというのですっといくわけです。皆さんのところが一番最後のいわば歯どめになるわけです。その歯どめを通ったものが五体満足でないわけです。安全だ安全だと科学者まで仲間になって太鼓判を押したもので安全なものがないわけです。ただ、先ほど長官答弁のように重大事故じゃないんだと、言うなら故障なんだ、そういう部分についてはこれはまだ成熟された技術じゃないんで間々あり得ることなんだと、それはむしろ科学的な態度だと思うんですよ、あり得ることだというのは。しかし、行政の場になると安全だ安全だと、こう言うわけですよ。それは事故なのか故障なのかその辺のことは別にしまして、そういうことの繰り返しが、科学的にはまだよくわかってないけれども、本能的にこれは大変だという印象まで住民に与えていることは確かだと思うんです。私そのものずばりで聞きますが、皆さんあれですか、もう五体満足じゃない、いま言った解明できないのたくさんあるわけですが、あるいは解明されたものもあるようですが、安全審査を担当する者として、安全審査を担当した者の責任はないんですか。
  52. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) たとえば安全審査で審査いたしましたその審査の内容あるいは結論が間違っていたためにその事故が起きたということでございますれば、ただいま先生のおっしゃいましたように、確かに安全審査を担当した者に責任があると思います。しかし、ただいま御指摘になりました福島の場合、あるいは美浜の場合、あるいは今回の玄海の場合につきましても安全審査の対象となりますような基本的なものではございません。部分的なものでございますので、むしろ試験の過程、特に玄海におきましては、先ほど大臣の御答弁にもありましたように試運転の過程でできたものでございます。しかも、これは基本的なものではないと私どもは考えておりますので、かようなものが発生したからといって安全審査そのものの責任があるというふうには私どもは考えておりません。
  53. 志苫裕

    志苫裕君 いつでも皆さんそう言うんですが、むしろ正直に言えば、やっぱりまだ完成された技術でないんじゃないですか。たとえばこの美浜の問題からいけば、いま担当の通産省の方で何で一体こうなるのかわからぬと。わからぬ、いまその辺の原因不明で一生懸命やっているんだということでしょう。わからぬ部分があるわけですよ。私はしろうと流に考えるんですが、わからぬものがある、たとえばBWの場合には何かこれこれこれこれで、対応策もあるようなことを言っていますが、それはじゃこっちへ置いて、たとえばPの場合だったら、これだけわからぬ部分があるんですから、それで現実にはトラブルが起きるわけですから、安全審査にもたえないんじゃないですか。わからぬものをそのままに置いて、通してやったらわからぬ故障だかトラブルが起きるわけでしょう。安全審査にたえないじゃないですか、この段階では。
  54. 高橋宏

    説明員高橋宏君) PWRの蒸気発生器の細管のトラブルの件でございますが、私どもいまのところ次のように考えております。一号並びに二号で中身は若干違うわけでございますが、たとえば一号の場合ですと、ふれどめの板がございますが、その板と板にはさまれたチューブの部分につきまして減肉現象が起きている。当時われわれはこの技術的な検討の中でこのふれどめの板の中にある細管の部分につきましては蒸気と水の——水の流れが妨げられまして、水と蒸気の二層流体の流動が局部的に妨げられて、そしてヒート・スポットと呼んでおりますが、そういうものができる。そしてそこで蒸発が起きて、またその蒸発が消えるドライ・アンド・ウェットの現象が起きる、そういう構造に起因する一つのファクター、それからそこを流れております一次冷却水の中に燐酸塩が入れてございます。これはいろいろと別の目的で入れているわけでございますが、その燐酸塩がいま言ったような現象の中で濃縮されて蒸気発生をする、この二つの原因が重畳して行われるという点につきまして、これは二号機の場合は場所はちょっと違いますが、そういう原因につきましてはほぼ確信を持っているわけでございます。そうしまして、それをいかにして防ぐかという方法につきましてもいろいろと検討が進んでいるわけでございますが、それを絶対になくするということにつきましてなかなかそうは言えないわけでございまして、なるべくその頻度を少なくとも原子力の耐用年数を通じて非常識なストップをしないということは当然のことでございまして、そういう信頼性を上げるための方策いかんということで検討いたしておるところでございます。もちろん外部に対する影響につきましては先ほど玄海の例でもお語いたしましたように、わずかなリークでとめておりますので、特に安全上の問題はない、そういうことでございます。
  55. 志苫裕

    志苫裕君 どうもなるほど先ほど長官も杉山委員答弁に外部に対する事故は起きてません。こういうことをしばしば繰り返すんですが、外部に事故が起きたらもう大変なんですよ。ぽんとこう、なんかなっちゃって、そのときに本当の意味で原子力のこの利用、開発の推進というのはやっぱりずいぶんととまっちゃうわけですよね。本当の意味で原子力を使おうとすれば、急がば回れで、そのようなささいなことも繰り返し繰り返し基礎研究を積み重ねたり、実験を継続をするなどしていこうじゃない、その方が長い目で見ての原子力の制御になり、利用になるんじゃないかということを繰り返し主張するんですが、その都度内部の事故だけで、大したもんじゃありません。安全審査上に問題がないかと言えば、安全な審査の対象となるような基本的な問題じゃありません。原因不明のものが大きな事故につながらないという保障だってないんでしょう、原因不明なんですから。そういう点で、本当にどうも皆さんの答弁、気に食わぬのですが、とまれ長官、先ほど私冒頭に原子力行政懇の現状あるいは原子炉安全専門部会の状況、それから、いま原因不明も含めて、とにかく五体満足じゃないトラブルの状況というようなものを、状況証拠として挙げたのでありますが、これはどうですかね、皆さん自身が見直し中なんですから、見直し中ということは、新しい物差しをつくっていますということでしょう。安全審査というものは物差しがあって、それではかるわけですから、その新しい物差しを、いまさまざまな状況を合わせてつくりつつあるのですから、それがすっかり終わるまで、ささいなものであっても、これは大丈夫だということがくり返し確認をされるまで、少なくとも一次のものは待つ、これがやっぱり基本的な姿勢になるべきじゃないですか。改めて確認をします。
  56. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) いまの審査、検査等の完璧を期すためにはどうしたらよろしいかという問題が、これは大変大きい問題になっておることは事実でございまして、今後も有沢答申を待ちまして整備されていくと存じますが、たださっき私の申しましたのは繰り返しになりますけれども、基本設計等におきまして、あるいは恐らく通産の詳細設計でもそうだと思いますけれども、そういう小さい事故、何千本というパイプがあって、そのパイプの一つの管のごく一部の小さいところから放射線が漏れた、でも、すぐわかる、すぐ修理すると、こういう仕組みになっておるわけで、これはまた、それがだんだん大きい問題に発展せぬようにいろいろな仕組みがありますから、そういう仕組みがよくできているかどうか、完全かどうかというのを検査するわけでありまして、パイプ一本一本の小さい穴の中から漏れるかどうかという問題に対しては、これはなかなかそこまで実は及ばぬわけです。そのために実験をやるわけですから。したがって、実験をやって、それが漏れた場合にはすぐアラームが鳴って、炉をとめてそれを修理するというふうな、そういう仕組みになっておるわけであります。普通の機械等には見られない周到な仕組みができているのが、原子炉だと私思います。したがいまして、いまの過程で軽水炉をいま例にとっておられますが、軽水炉世界じゅうでどのぐらいあるかというと、たくさんございますから、今後もまた軽水炉中心にどんどんどんどん原子炉発電をやっていくわけですから、それに対する、いま申しました微細な故障でも、主として材料とか、あるいは溶接とか、あるいはその他いろいろ原因があるでしょうが、そういうものに対してはみんな日本のみならず、各国でお互いに情報を交換し、そして少しでもそういう故障のないように、故障が起こるということは、どうしてもコスト自体にもかかわり合いますし、あるいは炉自体の供給電力量が予定どおりいかないという点もございますから、これは大変軽水炉としては、いわゆる商業炉としてはまずいことは事実でございますから、そういう点のないように、それは注意し、改善するのはあたりまえでございますけれども、ただ、そういう小さい故障がすぐそのまま大事故だというふうな、こういうふうに認識すること自体が、大変私は日本的な特質じゃなかろうかというふうに実は感じますのでありまして、そういう点はもう少し私は皆さんで、先ほど杉山先生でございましたか、お話ございましたように、各党でよく研究くださいまして、そうして原因はこういうところだと、こういう問題だというのであれば、こういうふうにやったらいいじゃないかというふうに、皆さんも一緒に納得していただければ大変実はありがたい次第だというふうに感じている次第でございます。
  57. 志苫裕

    志苫裕君 それはあなた推進する立場でそう言う、よしんばあなたと同じように私も推進する立場に立ちましょう、ここで。その場合に、しかし住民は、国民はどう考えるか、ああまた事故だ、また事故だ、また事故だでしょう。少なくともそういう環境を取り去らなければいかんでしょう。事故が起きた。あれは、詳細設計の部分で、おれの分野じゃない。事故が起きた。あれはどことかのにじみであって大事故じゃない。こういうふうに皆さんせっせと言いわけをしているが、言いわけを重ねるごとにこれは円満にいかなくなっているのですよ。どうしてそこのところが皆さんにわからぬのかといつも思うのですが、こればかりやっているわけにも——私は本命はその次ですから。  いずれにしても、これは何回でも私はこれは要求していきたいと思いますけれども。先ほども言いますように、基本設計が審査対象なんですと言いますけれども、それそのものだってそれでいいかどうかをいま見直そうとしているのですよ。基本設計はおれのところで、詳細設計はあっちです。こんなことは住民に通用しないですから。安全審査が終わって、皆さんのところで太鼓判を押したのですから、そこから問題が起きる。ですから、体制そのものだって、安全審査というこの枠組みが基本設計だけでいいかどうかだって見直しをさせたらいいじゃないですか。こういう意味で、私はそういう問題も含めてのいわゆる見直し作業中なんで、いわば新しい物差しを作成中なんですから、そういうふうなものがやはりでき上がるまでは、急がば回れで、新しい物には手をつけない、いまあるものに繰り返し繰り返し念を押すという、これが一番原子力の利用開発の基本姿勢じゃないかと思う。行政懇の見直しも結構です。行政懇もつくるし、審議会もつくっておりますが、行政懇の名簿の名前見たって何のことはないですよ、いままで一生懸命進めたりしている人がまた委員長になったりしましてね。そういう意味で、いままで事原子力の開発促進などに、安全審査を含めて、携わっていた者は一遍そこから責任をとって下がって、新しい体制や気分でやるべきだと私は思っておるわけです。そういうことはこの際なおひとつ主張をしておきたいと思います。  柏崎問題に入りますが、先ほど述べたように、私は前の委員会でも、これは待ちなさいと、ところが、皆さんの方は申請が出されてきたのだから、法律によってこれは受け付ける以外にありません。こういう紋切り型の答弁なんですが、明らかに見切り発車だと思いますけれども。柏崎部会のメンバー、私資料として安全審査会の専門委員の名簿はもらいましたが、きょうまでに私は調査委員の名簿をもらったように言っていたのですが、出ませんか、調査委員の名簿ください。  それをもらう間に次の質問をしておきますが、私の手元にはいわゆる審査会の委員の名簿があります。村主進さんを部会長とする名簿がありますので、済みませんが、上からずっと、それぞれの人の専門分野だけ言ってくれませんか。これは地震とか、これは地盤とか、これは何とかいうふうにちょっと上からさっと言ってくれませんか。
  58. 福永博

    政府委員(福永博君) それでは専門分野ごとに分類いたしまして申し上げます。炉工学系でございますけれども原子炉工学でございます。村主先生、西脇先生、斯波先生、藤家先生、こういう方が原子炉工学でございますね。
  59. 志苫裕

    志苫裕君 これ違いますかね、この名簿もらったのですが、これは違いますか。
  60. 福永博

    政府委員(福永博君) 私が申し上げました斯波先生、藤家先生は調査委員でございまして、最初の村主先生、西脇先生は専門委員でございます。私、したがいまして、専門委員調査委員を全部一緒にしまして分類いたしておりますので、若干の相違があろうかと思います。
  61. 志苫裕

    志苫裕君 これ時間かかりますから、後でこれに専門を入れてくれますか。
  62. 福永博

    政府委員(福永博君) じゃ後ほど専門を……。
  63. 志苫裕

    志苫裕君 じゃ後ほどにしてください。  それで長官、これは原子力委員会になるんですね、原子力委員会に聞かなければならぬですが……。それからいまのその名簿に、いままでいわゆる原子力の開発促進とでも言いますか、そういう立場でかかわったことのある人に、すみません、印をつけてきてくれますか。委員であったとか、いままでも調査委員であったとかいうようなことでよろしいんです。  これはあれですか、この審査のスケジュールを大まかに発表できますか、大まかなスケジュール。   〔委員長退席、理事中村禎二君着席〕
  64. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 全体を審議いたしますこの部会でございますが、これを大体月に一遍開く予定でございます。そのほかにそれぞれの専門分野につきまして、いわゆるワーキンググループと言っておりますのが三つございます。それをそれぞれ月に一、二回の頻度で開く予定にしております。大体どのくらいかかって、いつごろ終わるかという御趣旨の御質問かと思いますが、これはそういう目標は決めておりません。十分審議するたてまえでございますので、いつまでに終わるということは一切考えておりません。
  65. 志苫裕

    志苫裕君 そこで、いろいろと新聞報道等によりますと、公聴会が云々をされていますので、これについて少しお伺いをいたしますが、これはある新聞ですが、衆議院答弁に載っているわけですが、何か皆さんの方では中央公聴会、地方公聴会というふうに二本立てにすることを含めて、公聴会のやり方にいろんな検討を加えておると聞いておるわけでありますが、その検討はどの状況にあるのかお伺いをしたいと思っています。
  66. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま先生御指摘のように、柏崎での公聴会のあり方につきまして検討を加えております。原子力委員会の内部におきまして、本日も午前中その検討をいたしたわけでございますが、引き続き検討しておりますし、新潟県当局とも連絡をとりながら意見を交換している段階でございます。ただいま御質問の中央公聴会、地方公聴会という二本立てにするかどうかという問題でございますが、その点も問題点の一つとしてただいま検討いたしております。
  67. 志苫裕

    志苫裕君 その程度の検討ですか。じゃもう少し具体的に聞きますが、たとえば、井上先生おりませんね——井上私案なるものに、「聞きおく」、聞きおく討議と言いますか、「聞きおく」から「討議する場」にしたいとかですね、あるいは資料公開の枠を広げたいとかいうようなのが私案で載ったりしています。それから、福島公聴会でさまざま問題点が出て、その辺りから何かをつかみ取ったはずであります、問題点と言いますか、反省点と言いますか、改善点と言いますか。そういうさまざまな状況があるわけでありますが、もう少しあれですか、いま指摘にもこたえる意味で、公聴会のやり方についての検討の段階を詳しく述べられませんか。   〔理事中村禎二君退席、委員長着席〕
  68. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 先ほどは、その中央公聴会の問題も含めましてとだけお答え申し上げましたけれども、全面的な検討をしているわけでございます。その検討の出発点といたしましては、一昨年に福島で公聴会をいたしました。で、その福島で公聴会をいたしました結果、あるいはそのやり方につきまして、その後国会での御議論がいろいろございました。それから何と申しますか、マスコミと申しますか、新聞その他の論説によりまして、いろいろ御批判もいただいたわけでございます。それらを総合いたしまして次の公聴会をどういうふうにしたらよろしいかということを各問題点につきまして検討しているわけでございます。  検討のポイントの主なものといたしましては、先ほどの公聴会を二本立てにするかどうかという問題、あるいはただいま先生から井上私案の一部として御披露がございました「聞きおく」だけの公聴会と申しますか、言いっ故し聞き放しという御批判がいろいろあったわけでございますが、それでいいのかどうか、それを改善するとすれば、どういう形で改善したらよろしいかという問題、あるいは公聴会の開催する期日でございます。これは内規によりまして、安全審査の開始後三カ月ということになっておりますが、それをどうするかという問題。それから公聴会、前回は二日間にわたってやったわけでございますが、それをどのくらいの長さにするか、あるいは公述人の人数をどうするか、あるいは傍聴者の人数をどの程度にするか、その人選と申しますか、あるいは前回抽せんだったわけでございますが、それをどうするか、大体いま思い浮かびますのはそのような点であろうかと思いますが、そういう点につきまして、ただいま検討中でございます。
  69. 志苫裕

    志苫裕君 私はこれはまだ先があることでしょうから、前の福島のときにも専門家の扱いとか代理人の扱いとかいろいろあったようでありますけれども、私は実はその中央公聴会、地方公聴会というのについてちょっとこういう感じを持つわけであります。皆さんが述べたところによると、中央公聴会というのは、原子炉安全性技術面だけで専門家でやる、それから地方公聴会というのは地元の利害関係、地方開発、そういうものにしぼった問題点で、それに見合う者の参加を求めてやるということになっておるようですが、私はたとえば地方公聴会をそういうふうに限定をいたしますと、言うなら、技術的な安全とか工学的な安全とか、そういうものは専門家がやってんだからおまえたちよけいなこと言わぬでよろしいよと、そういうふうに、もはやすでに住民を疎外をすると思うんですよ。実は私らは専門家じゃないからこう言えるのかもしれませんが、いままでたとえば原子力の問題を進めてくる過程を見ても、学者とか専門家とか第三者とか、そういうものの権威、そういうものを隠れみのにしてむしろ原発は推進をされてきておる、そこのところにずいぶんと不満もぶつけられているわけです。だから、住民の不信というのは、案外そのような専門家や学者の技術的なレベル、科学的な見識に対して不信を持つばかりじゃなくて、科学者の人間性そのものに不信を持っているんですよ。だから私は、学者とか専門家というのは、もう人間としての立場を問われておる。そこまでこの原発問題というのは深くかかわり合ってきているんじゃないかと思うんですが、だからそういう人たちによって科学的にあるいは工学的に安全というだけでは、やはり問題の解決にならないという気が強くするわけです。これはやっぱり地方公聴会、中央公聴会の二本立ての名による住民疎外という気がいたします。むしろ私はもうすでに枠組みが決まって、どこどこに原発をつくる、賛成か反対かというそういう種類の公聴会ではなくて、それこそ原子力行政懇やその他いろんな原発の見直ししていますが、そういう原子力行政をどうするかというような、こんな体制じゃいかぬ、技術的にもっと問題はないか。というのはそういういわばでかい問題ですね。どこどこに原発を置くというようなそういう視点を外した原発問題、これに大いに中央公聴会でもやって、まさにもうあらゆる人の、賛成の人おり反対の人おり、いましょうよ、これが大いに公聴会をやる。むしろそういう性格のものに中央公聴会とでも言われるものをお持ちになるのは結構ですが、どこどこにつくるという命題がもうはっきりしているのに、おまえたちは素人なんだから物言うことはないよ。ちょっと気のきいたのが東京でやっているよというんじゃこれは問題の解決にもなりゃせぬですわね。そういう点についてもこれはやっぱり十分配慮をされるべきじゃないかというふうに思うわけです。それから往復討論、聞きおくから討論する場にという、これはやっぱり十分に確保されるべきだと思うし、さっきより伊方の問題で、伊方の資料の問題でやりましたが、あれでしょう、いわゆる資料公開という点では申請書、添付資料、審議資料、報告書というふうなものは公開になりますわね。ちょっと話が横道へそれて恐縮ですが、たとえば公聴会開けば公開になるものが伊方の場合は何で皆さんの方で断っているんですか。
  70. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) まず先に第三の点からお答えさせていただきますが、資料の点につきましては、公聴会の場合前もって公開いたします申請書あるいは添付書類、これは伊方の場合でももうすでに公開しているわけでございます。それよりさらに細かい資料について、先ほど杉山先生の御質問にもございましたように、提出命令がかかりましたが、これはその資料の内容が云々といいます議論のもう一つ前の段階で、いわば法律解釈の問題といたしまして、ただいま政府側といたしまして抗告をしているわけでございます。  それから順序が逆になりましたが、第一の点、志苫先生の御質問でございますが、まことにごもっともな御意見でございまして、実はまだ結論出してもおりませんが、私は個人的には先生のおっしゃることと全く同じようなことを実は考えているわけでございまして、その中央公聴会と言われるものの性格につきましては、先生の御指摘のように柏崎の原発がどうであるかとかあるいはどこの原発がどうであるかということよりも、いろいろ国会でも御議論いただいておりますような原子力安全性について、十分もう一般的な討議をすべきではないかということを私は個人的に考えております。まだ公式の結論が出ておりませんので、とりあえず個人的な意見として申し上げたいと思います。
  71. 志苫裕

    志苫裕君 それで先ほどの話に戻りますけれども、私は長官放射線漏れ問題調査委員会報告から何をくみ取りましたかといってお伺いをしたら、行政機構の問題と船の問題の二点を挙げられたわけですが、私はたとえば体制の問題だってなるほど無責任体制の産物であったことなんというのは確かに指摘されていますが、いまの問題に関連をして言えば、高名で多忙な学者、研究者に安全審査をゆだねていること自体無理があって責任の所在があいまいになるという指摘等もございますわね。私はこれが専門家でこれが科学者だといいましても、最近のこの種住民運動におけるやっぱりその科学的な視点とでも言いますか、これはずいぶんすぐれたものがあると思うんですよ。そういう意味では何か机の上のあるいは象牙の塔の中の科学の権威というものはずいぶんおっこって、むしろその実際に問題にぶつかってそこから生えてきたような、言うなら野における科学者ですな、こういうものに既成の科学の権威というものは現実に負けているじゃないですか。そういうものの衝突を繰り返しながらむしろ是正をされていくんでしょうけれども、これはやはり軽視をしないということを強く要望をしておきたいわけです。  それで新潟に戻りますが、そうすると、開催の時期のあれも検討中だというんですから、いまの段階では柏崎公聴会なるものをやる手順というようなのは決まっていませんか。
  72. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) まだ具体的にその手順あるいは実施の細目は決定いたしておりません。その辺を先ほど申し上げましたような問題点につきまして検討している段階でございます。
  73. 志苫裕

    志苫裕君 柏崎公聴会というのはやるんですか、時期のことは別にしまして。公聴会は全部開けというのに対して、これとこれとこういう場合に開くというふうにありますけれども、柏崎公聴会というのは開くわけですか。そうしますと、大型化、新型化、集中化、地元知事からの要望という従来の一応該当条項がありますが、柏崎公聴会はどれかの条項に該当するから開くというふうに確認をしていいわけですか。
  74. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 実はまた先生からおしかりを受けるかもしれませんけれども、この前の福島公聴会のときの実施細則でございますが、そこに四つの条件、つまりただいま先生も御指摘になりました大型の場合、それから新型の場合、集中化の場合、それから県知事の要請の場合と、この四項目を書いてございます。これを厳密に読みますと、はたして柏崎がその四項目のどれかに該当するかどうかというのは、これは形式論理といたしましては疑義がございます。しかし——したがいまして、その四項目のどこに該当するかということでは必ずしもございません。これはその四項目自身が原子力委員会が決めた細則でございますので、いわば絶対に曲げられない大原則では必ずしもございませんので、私ども現在検討しておりますのは、その四項目のどれに該当するからという形式論理ではございませんで、ともかく柏崎の原子力発電計画というのは国会を初めとしていろいろ論議を呼んでいるプロジェクトでございますので、それについては公聴会をやるべきであるということをまず前提にいたしまして、その前提に立って具体的な内容を検討している段階でございます。
  75. 志苫裕

    志苫裕君 そうしますと、たとえば従来の内規にありました、大型化、新型化、集中化、地元知事からの要望という四つの柱、これについてはいまもお話がありましたように、必ずしも大原則とはならない。柏崎の場合にはいろんな意味で議論を呼んでいるからと、こうなってまいりますと、従来のこれは記録でしか私承知しないんでありますが、全部の原発について議論を呼ばない原発というのはないわけでしてね。どこか議論を呼ばないですっといったところなんというのは余りないわけですから、やっぱりそれじゃそういうかたくなに四つの柱を立てて、こいつは当たらぬからだめだというよりは、公聴会開く開かぬの問題はきわめて柔軟に考えるというふうに理解をしていいわけですか。
  76. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) あらゆる原子力発電建設計画に対してすべて公聴会をやるかどうかという御質問がいろいろの方面からも寄せられているわけでございます。それにつきましても私どもは必ずしもすべて開くという結論をまだ持っておりません。先ほど若干説明が不足でございましたけれども、一昨年決めました原子力委員会の公聴会の開催の規則におきましては、原子力委員会が必要と認めたときは開くということでございまして、その必要と認めるか認めないかのその具体的な基準としまして、先ほどの四項目を内規として決めたということでございます。したがいまして、ごく形式的なお答えを申し上げますと、原子力委員会が必要だと認めれば開くということになるわけでございますが、その点は弾力的に考えてまいりたいと思いますが、それではすべての計画が、サイトについて全部これから開くかということをお尋ねになりますと、現在のところはそういう結論をまだ出しておりません。
  77. 志苫裕

    志苫裕君 まあ公聴会制度というふうなものが、福島公聴会で議論されましたような、まさに開きおく程度の公聴会というふうなものをやったから諸君の意見は聞いたんですよというような、そういう何か逆に、人の意見を聞くのではなくて設置者の意見を押しつけるようなものでなければ、公聴会制度の持つ意味はこれは高く評価をされるべきだと思うのですね。とすれば、私は何かそういったものに原子力委員会が認めればと、認めなければやらない。認める認められないの裁量は何だといったら、裁判になればあそこはうるさいからやめろとか、ここはおとなしそうだからやろうとか、こっちは賛成の方の顔つきが多いから行ってやろうとか、こんなところまで裁量がいったんじゃ、これはまた大変なことですよ。ですからやっぱり私は原子力委員会の裁量というふうなものじゃなくて、内容を充実させるということを前提にして、むしろそれを普遍化さしていくというのが、むしろたてまえになるべきだと思う。逆に隠れみのになって公聴会の権威を押しつけるようなものじゃ困りますけれども、それを意見と申し上げておきますが。ちょっと、通産省あれですか、柏崎の環境審査は大型化を前提としてますか。
  78. 高橋宏

    説明員高橋宏君) 通産省のやりました時点の環境審査は第一機だけでございます。一号機を対象とした環境審査でございます。
  79. 志苫裕

    志苫裕君 通産省環境審査を行ったものは第一機だけ、すなわち百万キロ、しかしまあだれ言うともなくできれば一千万キロにしたい、まあ最近はちょっとあれだから八百万キロというふうに言われてますわな。また東電はそういう真意を持っているでしょう。そういうことの議論に対して、別にそう抵抗もありません。百万キロというものを対象にした環境審査というようなものの中身と、それが集中化をし、大型化をして一千万キロぐらいになるといいますと、ずいぶんいろんな意味で変わってきますね。こういうところはどんなことになるわけですか。
  80. 高橋宏

    説明員高橋宏君) 環境審査の例でお話しいたしますが、環境審査の一つの重点項目に温排水問題ございますが、今回通産省がやりました環境審査の温排水で申し上げますと、百十万キロに対する温排水調査をしたと、そういうことでございます。もちろん電源開発調整審議会も一号しか決まってないわけでございまして、その大型化と申しますか、二号機三号機の問題は、その時点において改めて環境審査、追加項目を補足してやっていくと、そういうことになると思います。
  81. 志苫裕

    志苫裕君 この点はきょうは時間がありませんからあれですが、やっぱり重大な問題ですよ。重大な問題です。よく言う話でありますが、いわゆる公害というやつは一つ一つの煙突とか、一つ一つの排水口調べていると何でもないんです。皆さんの基準でいきますと。何でもないやつが集まって何でもあるようになるというのが、非常にやっかいなしろものになるわけですね。百十万キロと八百万キロじゃずいぶんとさまざまな問題で影響が出てまいりますわね。しかもあなたの方がおやりになるのは電調審が百万キロだったからというじゃないんで、電調審に持ち込むために立地のあれをやるわけですから、しかもそれも東電が百万キロにしたいというからやるんじゃない、その前に皆さんのところでおやりになるわけですよ。そうでしょう。こういう点では私はこの環境審査のあり方についても最初は百万キロでOKをした。ということになりますと、これ、非常に問題が出てくると思いますので、これで時間ありませんから、いずれそういう問題点、皆さんの方でちょっと整理しておいてください。  時間がありませんから最後に長官、これあなたに直接聞いてもしょうがないんですけれども、考え方を、あなたの所感を聞いておきたいんでありますが、安全審査というのは可能性の問題としては最後にはこれは安全でないからやめなさいよ、これは結構ですよというふうに絶えず二つの可能性を持っています。安全審査というようなものが終わらなければ原発はできるかできないかわからないわけです。とすれば、当然のことながら、その原発設置にかかわる他の許認可事項、用水、農地、道路というふうに幾つかの問題がございます。そういう問題については、これはたてまえとしては進めない。いませっせと安全審査をしてるのに、事態全体としてはもうどんどんどんどん前へ進んでいるというのでは、いわゆる科学的に安全とかなんとかでなくて、住民の感情はそれを許すわけがないと思うんですよ。ですから安全審査中にほかの事態を前へ進行させるというのは、いわゆる原子力行政の基本になっておる安全確保と住民の理解と協力という、こういう大黒柱からいっても一望ましくないと私は考えるんですが、長官の見解いかがですか。
  82. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 先ほど電調審に関する御質問がございましたが、ここで一応電調審を通すときには必ずその前提条件としていろんないま申しましたような土地がどうなってるとか、あるいは埋め立てがどうなってるとか、いろいろあるだろうと思います。それはそれでまた各法律がございまして、埋め立てであれば水面埋立法ということで建設省になりますか、それぞれ許可事項になってるはずでございまして、いろんな、冒頭にも申し上げましたように非常に多岐にわたっていろんな法律のもとに発電というものは行われていくわけでございますから、どちらが先に、どちらが後でというきちっというふうになかなかまいりかねるんじゃないかと私思います。整々としていくような体系でありますと大変いいんですけれども、必ずしもそうなっておりませんので、いま申しましたように私どもの設置許可、安全の審査をするときには、事前に電調審としてもいろいろいまお話あったように、土地の問題とか、そういう問題の手当てがどうなってるとかいったような条件を吟味してから決めるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  83. 志苫裕

    志苫裕君 これは言いっ放しにしておきますがね。済みません、一分ばかり。  それは理屈に合いませんよ、最終的にだめになるかどうかわからないのですから。だから審査してもらってるんですよ。審査してもらってる間は原子力発電所の設置という全体の舞台はじっと待ってる。これはなるんですよという前提でほかの舞台はどんどんどんどん展開をして前へ行ってる。これで住民納得いくわけないでしょう。住民の理解と協力、国民の理解と協力ということを二本柱の一本に掲げておきながら、言ってることと矛盾があるじゃないですか。そういう見解はあなたそれは間違っています。
  84. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 現在の体系はそうなってるんでございまして、電調審でサイトを決める際には、いま申しましたいろんな法律に基づく許可事項は、それぞれ必要なものはとってあるかというふうに審議するはずでございます。私どもが安全の審査をする際には電調審がとったものを受けてるわけでございますから。ということを申し上げているわけでございます。
  85. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、最初に長官にお尋ねいたしますが、今回の、昨日の九州の玄海の発電所の事故ですね、あれで非常に地元の人たちは二日間つんぼさじきに置かれたと、科学技術庁には報告はあったわけですけれどもね。やはりこういうことは原子力発電所に対する国民のコンセンサスを得る上においても非常によろしくないと、このように私は考えるわけでございますが、原因等についてはまだ、今後明らかになってくると思いますが、こういう地域の人たちを何か二日間もつんぼさじきと申しますか、に置いたというあり方について、長官としてはどう考えておるのか。また今後こういう問題についてはどういう指導をしていくのか、これをちょっちお伺いしておきたいと思います。
  86. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 事故と申しますか、故障が起きた際の公表の仕方、その時期等の対処方法に対する御質問かと思いますが、それは御説のように住民に不安を与えぬように早期に公表するのが一番よろしかろうと存じます。ただ、今回の場合の実情は冒頭申しましたように、私よくわかりませんので、ひとつ担当官の方から御説明申し上げます。
  87. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 今回の玄海一号の故障でございますけれども科学技術庁には当日連絡が参っております。地元への会社からの連絡が二日ほどおくれたという御指摘でございますが、これはまあ会社側の説明によりますと、その原因を十分究明した上で地元に説明したいということだったようでございます。これがもしもその周辺の住民その他に影響を及ぼしますようなものでございますと、これは原因の究明をしている余裕はございませんので、これは当然すぐに、即時連絡をいたしましてその対策を練るという必要があろうかと思いますが、今回の問題につきましては、そういうものはございませんので、会社としてそういう措置をとったと承知しております。まあこういうことではございますけれども、とかく何か隠しているのではないか、その隠している以上もっと重大なことが実は裏にあるのではないかという疑惑を持たれることは非常に私どもとしては好ましいことではございません。これはなるべく連絡は早くした方がよろしいというように考えております。会社としても、県当局には即時にすぐ連絡したようでございますので、その点、ある程度の手続は踏んでいると、かように考えておりますけれども、心構えといたしましては、余りこういう連絡がおそくなっていいことはない、なるべく早い方がいいのではなかろうかというように考えております。
  88. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃあどうですか、今後そういう問題につきまして、事故解明が済むまで地元の皆さんに報告を待ったという御説明ですが、こういうことは往々にして必ず後で問題になるもんじゃないかと思うんですね。ますます国民の不信を強めることになるわけですから、この際、やはり科学技術庁長官あるいは原子力局長から、こういう事故が起きたときにはやはり地元への報告もちゃんと義務づけるように何らかの措置をすべきではないかと思うんですね。これはもう私が七年前に参議院に当選いたしまして、私もずっと最初から科学技術委員だったわけですけれども、あの当時からそういうことが問題になっておったわけですね。結局、原子力発電所ができるまでは、いろいろ地域の方と交渉、まあ同意も得なければなりませんけれども、一たびできてしまうと、これは全部科学技術庁の直轄になって、結局その地元の市町村というものは、原子力発電所のそういう問題についていろいろな報告を求めたり、あるいはまた立ち入り検査をしたり、そういうようなことが法律的に義務づけられていない、まあ個々に協定を結んでいるようなところもあるようですがね。こういう点をやっぱりはっきりさしていくということもぼくは大事じゃないかと思うんですがね、その点はどうなんですか。
  89. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 考え方としましては、先生の御指摘のとおりだと思います。特に、先ほど私も申し上げましたように、連絡がおくれた、あるいは連絡しなかったということによって不要の、不必要の疑惑を招く、不信感を招くということは、これは厳重に注意すべきことだと考えております。ただ、率直に申しまして今回のようなことは私はもっと早く連絡すべきだったと考えております。会社へもそのように指導したいと思っております。ただ、試運転中といいますのは、今回のような場合ではございませんで、たとえば、各機器類の調整が不十分だったためにちょっと一時運転をとめてまた調整して運転を再開するというようなことが往々にしてあるわけでございます。これは一切その放射線、あるいは放射能が漏れるということを伴わない場合でございますが、そういう場合にも、一時とめたのに連絡しなかったのではないかというようなことを周辺の住民の方からも言われますと、これまた、そこまでは試運転中いろいろ問題があろうかと思いますが、少なくとも今回のようなものにつきましてはもっと早く連絡すべきであったと、かように考えております。
  90. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから、そういういま局長の言われたような感覚というものが、ちょっと住民の感覚と離れておるわけですよね。これは、私は非常に大きな問題じゃないかと思うんですよ。「むつ」の場合でも、結局試運転中ですけれどもね。特に、やっぱり放射線漏れということになりますと、これは専門家が見れば、何だこれ程度は大したことないじゃないかと、がたがた言う方がおかしいんじゃないかと、これはしかし専門家の言うことであって、政治というのはやっぱり大衆のその感覚というものにさからって進めていくことはよくないわけですよね。だから、あなたはいまさっき、私の言うことは非常に原則的に賛成だというのだったら、賛成だ、賛成だとここで言っておっても、これは物事は進展せぬわけですから、賛成ならば賛成のことを、やっぱり一つの通達なりあるいは省令なり、あるいは何らかの立法措置によって、たとえば試運転中であっても放射線漏れに関する事故報告しろと、ちょっとほかの、普通のモーターの線が切れたとか、まあそういうことまで一々報告する必要はないかもしれませんけれどもね。そういうものもやっぱりちゃんとすべきじゃないですか、どうですか、長官——まあ検討してください、検討を。ここでやれといって、それはできないかもしれないから。
  91. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 報告する事項等に関しましては、当然通産省等から指示していることと存じますけれども、しかし、お話しのように、二日も一済んでもまだ公表にならなかったというようなことは、これは余り好ましい現象じゃないと思いますので、いろいろ内情を聞いてみたいと思っております。
  92. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあそれは聞くのは、別に私言わぬでも、それは当然聞かにゃいかぬわけだから、私は聞けと言っておるのじゃないんですよ。そういうものをもっと検討しろと言っているんだから、聞くだけじゃなしに、その次の検討するというのがなかったら、この委員会答弁にならないじゃないか。まあそれは検討の結果、それはそういうこと、いままでどおりでいいという結論が出るかもしれませんよ。けれど、やっぱり検討ぐらいはするということをここで言えぬような長官だったら、そんなのは意味ないじゃないですか。
  93. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) お説のとおりだと思います。
  94. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、実は「むつ」の問題につきまして、二十日の日に参考人等も呼んでいろいろこの委員会で審議があるそうでございますので、きょうは、細かい点は別として、先般大山先生等が中心になって「むつ」問題についての一つの検討が加えられて、それが発表になったわけですけれども、率直に申しまして、佐々木長官というよりもまあ政治家佐々木として、この「むつ」問題を現在から振り返って、率直に言ってどう反省している、どういう点がまずかったのか、これは一言に言ってどう感じていますか。それをちょっとぼくはお伺いしたいと思うんですがね。
  95. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) いろんな原因が複合いたしましてああいう結果になったわけでございまして、一言で申せと言うと、大変不幸な事態でございました、その複合した原因に対して大山委員会結論が出ていますから、それに基づいて改善を図ってまいりますと、こういうことでございます。
  96. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 どうもいまの答弁を聞いておりますと、余り反省をしていないようでね。私は、こういうことが起きるということは、やっぱりそれなりの一つ原因があると思うんですね。一つ原子力発電を進めるにしても、また原子力船を開発するにしても、やっぱりその根本となる一つの理念と申しますか、そういうものがやはり根底となっていろいろなことが進められていくわけですから、いまの長官お話では、結局いままで原子力発電所を進めてきた考え方、あるいは原子力船を進めてきた考え方、そういうものは何ら改める必要はないと、要は注意だけすればいいと、そういうようにとっていいわけですか。
  97. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 舶用炉にいたしましても発電炉にいたしましても、これは新しいエネルギーとして、また今後の核融合とか水素だとか太陽熱だとかいったような二十一世紀に実用化されるだろうというものは別ですけれども、しかしその間、油の現状からして何をもとにしていくかということを考えますと、いろいろ問題はあっても原子力エネルギーというものを中心に今後大いに開発すべきだということはこれはむしろ言い切っても差し支えないんじゃなかろうかと存じます。ただその開発に際しまして何が一番問題かと申しますと、やはり立地の問題とか安全性の問題が中心でいろいろトラブルが起きているわけですから、その特に安全性の問題に対しては「むつ」の経験を十分生かして、そして今後国の原子力行政そのものにおきましてもあるいは舶用炉等の今後の進め方にいたしましても、これを一つの禍を福に転ずるように前進の基礎にしていったらどうだろうというふうに実は考えておるわけでございます。
  98. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この原子力船事業団法というものがいわゆる時限立法であることが非常に足かせであると、こういうように大山委員会評価をしているわけですが、これはどう感じておりますか。
  99. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) この結論は実は原子力船懇談会原子力委員会の中に設けまして、ただいま検討している結論を待ちたいのでございますけれども、現在ただいまの私の個人の見解を述べろと言われますと、私はこれは存続すべきものであると、ただ現在までのような形態そのままで存続したらよろしいかあるいは大山委員会等の結論も踏んまえて内容等に改善を加えつつあの法律を継続したらよろしいか、これは今後の検討を待ちたいというふうに実は考えておるわけでございます。
  100. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は今後のことじゃなしに、いままでのことをお聞きしたわけなんですけれども。だからやはり時限立法でいつまでに完成をしなければならないと、こういうリミットを決めて、それまでにどうしてもやっていかなきゃいかぬと、こういう考え方というものが非常によくないと、そういうことをぼくは大山委員会のレポートが言っておるんじゃないかと、このようにとったんですけれども長官はどうなんですか。
  101. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) その点では全く同感でございます。
  102. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、もう一点は、やはり非常に強力なリーダーが不在である、それから専門家が養成されてなかったと、こういうことも言っておるわけです。これが、たくさんのことがあると思うんですけれども、重要な点といえばそういう点じゃないかと思うんですが、強力なリーダーが不在である、あるいは専門家を余り養成していなかった、こういう点については長官はどう反省しておりますか。
  103. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) その一つの大きい原因はいま御指摘ございました時限立法で、やがてなくなる機関だということになりますと、どうしてもその中に居つく人たちは初期においては非常な熱意を持っておっても、ときがたつに従って親元へ帰ったりという移動があったりして、だんだん御指摘のようなことになるんじゃなかろうかと思います。ですから、こういう大きい、国でなくちゃできないプロジェクト、しかも非常な広範囲な技術、高度な技術を組織的に組み立てていかなければできない世界的な事業をやるのに、その事業団の性格といい、あるいは、したがってまたそれから生まれてくる人事構成といい、これは御指摘のように十分じゃなかったんじゃないかという点は非常に反省される点だと存じます。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから、私は強力なリーダーをつくるとか、あるいは専門家を養成するとか、こういうことは言葉で言えば簡単だと思うんです。しかしそういう人たちを本当に養成をしていくためにはかなりのやはり年月というものがかかると思うんです。したがって、いま私は原子力行政を進める上において反省をすべきことは、いままで日本の国は経済成長が過去は何%だったから今後も何%なんだ。したがって電力も、経済成長がこれだけだから電力もこれだけ要るんだと、だから原子力発電も昭和六十年までには六千万キロワットにしなければならないんだと、こういう経済成長というものからすべてを編み出して、そうしてそこへ到達するためにわき目も振らず進めていくという、こういういままでのあり方というものを改めるべきときがきているんではないか、これが油ショックを中心とする経済成長政策が破綻をした今日改めるべき一番大事なポイントじゃないかと思うんですけれども、実は私は一番最初に「むつ」問題について長官としてはどう反省をしているか、私はそういう答えを期待をしたわけなんですけれども、この大山先生のその結論においても、いま言ったように時限立法の問題あるいはリーダーがいない、あるいは専門家がいない。そういうことは、結局それを裏返してみれば、やっぱり原子力行政を進めていくにはそういういつまでにここまでにいかなくちゃならぬというのじゃなしに、やはり国民の理解を得つつ一歩一歩進めていかなければいかぬと、決して焦っちゃいかぬということを言っておるのじゃないかと、またそうすべきではないかとこう私は考えておりますけれども、最高責任者の長官としてはそういう考えに同意していただけるのかどうか。
  105. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 確かにお説のとおりでございまして、いまの日本の現状を考えたときに必要性はわかるんでありますけれども、それではその必要性にアプローチする段階がそれほど平たんな道かと申しますと決してそうじゃないんでありまして、大変むずかしい状況になっておることは御承知のとおりで、しかもその根本は何にあるかというと、やっぱし安全性に対する研究なりあるいは審査、検査の体制が十分じゃなかったといったようなことに帰着しつつあるわけでございますから、そういう点を踏んまえまして、そしていままで掲げました目標は必ずしも無理に到着せぬでも、そういう基礎的な面をじっくりこの際進めるべきじゃないかということで、ただいま進みつつございます。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 昭和六十年に六千万キロワットの原子力発電をつくるという、そういう計画がございましたですね。これはもう当然御破算にして、結局、六千万キロにしなければ電力がないというんではなしに、あらゆる情勢を検討して、この程度は可能であると、したがって、それに見合うようにあるいは省資源なり省エネルギーというものを考えていくべきじゃないかと、そういうような時代に大きく私は変わってきていると思うんですけれど、長官としては、この六千万キロワットという線は白紙に戻して検討したい。これは科学技術庁長官がそう思うても、それは三木さんがそれはいかぬと言ったらそれは通らぬかもしれませんけれども科学技術庁長官個人の現在の見解としては、そういう気持ちがあるのかどうか。
  107. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 他の国を申すわけじゃございませんが、御承知のとおり、去年の油の問題以来、フランス、イタリー等では、新規の、発電は全部油はまかりならぬ、一切原子炉によるべしということになっていることは御承知のとおりです。ドイツもほぼそれに近い。アメリカ自体日本と同じ炉で——アメリカから輸入した炉でございますから、これでもって二億数千万キロ十カ年にやろうということで発電炉——原子炉にウエートを大きく占めていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、日本のように、油もなし、石炭も余りないという場合に、原子発電に期待するところが非常く大きいのでございますけれども、しかし、先ほども申しましたように、必要性はあって、重要性はあっても、それじゃ、無理やりにもこれを進めるかと申しますと、そうはやはりいきませんので、実情を考慮しつつ、それに合うように問題を処理していくのが一番よろしかろうと思いますので、六十万キロそのものにこだわって、無理やりこれを進めなきゃならぬというふうには思ってございません。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 であるならば、六十万キロワットという目標を御破算にしたらどうなんですか。やっぱりこだわらぬ目標じゃ、余り意味もないわけですし、もっと新たなる、新しい時代のやはりエネルギーの長期計画というものをですね。
  109. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) エネルギー全般の見通しに関しましては、これは原子力行政だけで突っ張るわけにまいりませんので、御承知のように内閣には総合エネルギーの閣僚懇談会ができ、また、通産省通産省立場でただいま案を進め、これをまた将来の中期見通しあるいは長期計画等で、国民経済の立場からあるいは資源等のサイドから経済企画庁がまとめまして、経済成長率あるいは資源の賦存・入手率等も考慮しながら、もちろん原子力に関しましても、その可能性等を検討しながら、おのずから、エネルギー全般としての中で原子力発電というものはどうあるべきか、そういうふうに国の計画として総合性の中の一つとして決まっていくはずのものでございまして、私自体からごうごうと言うまだ段階ではございません。しかし、見通される点といたしましては、現状をもってすれば六千万キロはなかなか困難じゃなかろうかということだけは言えるんじゃなかろうかと思います。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は長官に要望したいことは、経済企画庁等が中心になって経済成長率を策定をし、したがって昭和六十年にはこれだけのエネルギーが要る、水力はこれぐらいだと、火力もこれぐらいだと、だから残りは原子力発電でやってくれと、こういうような主体性のない受け身の立場ではなしに、いろんなそういう現状から考えて、やはり原子力発電としてはもうこれぐらいしかできないんだと、だからやはりそれ以上のことを言われても、科学技術庁長官としては責任が持てないと、こういうやっぱり科学技術庁としてのやっぱり原子力行政についての確固めるものをぼくは持つべきじゃないかと思うんですけれどもね。何か国全体の中で経済成長率が決まり、電力が決まり、それで自動的に割り当てが決まって、結局それだけはやっていかなくちゃどうしようもないという、そういう考え方を逆の方向から改めるような努力をすべきではないか、こう思うんですけど、その点どうですか。
  111. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) ソ連、中国のように計画経済下にあるわけじゃないんですから、日本は。ですから今後の経済を進める上におきまして、エネルギーが一番ネックになると思えば、やはりエネルギーの可能性を吟味した上で経済の成長率等を考えていくのが一番正しい方法じゃなかろうかと思います。おっしゃるように、成長率がこうだから電力がこれほど要ると、それをどういうエネルギーでまかなうかというふうな従来のやり方では事態が必ずしも進歩せぬじゃなかろうかと。したがって、逆に問題をエネルギーの面から制約をして、そして経済の成長はどうであろうかというふうに私はなっていくんじゃなかろうかと、これは私の私見でございますけれども、そういうふうに考えますと、お説のようなやはり現実の可能性というものが主になっていくんじゃないかと。ただ、その可能性を論ずるのに、国がこう思ったからこれでというのはなかなかむずかしい相談でございまして、やはり各企業が自分の採算、負担において自分のところはこうしたいというものを集めて、そしてこれが少し行き過ぎるとか、これは少しおかしいんじゃないかというふうな、そういう次第に具体的な吟味に入っていくのが日本のいままでの経済計画の行き方でなかろうかと思います。したがいまして、私、ただいまの段階で、六千万キロは無理だからどのくらいにしろと、それは各九電力あるいは電発がこういうふうに負担しろというふうなことは、これはやはりすべき段階でないんじゃないかというふうに実は考えております。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 「むつ」は青森県で立ち往生をいたしまして、そうして期限を決めて「むつ」を新しい定係港を探して移転をさせると、こういうことも実際はなかなか約束の期日が来てもそのとおりいかない。こういうようにやっぱり何月何日までにこうするとか、そういうやっぱりせっかちじゃなしに、もっとこうゆっくりやる。私はこういう「むつ」の移転等にも、何月何日までにやるとか、こういうように決めるやり方というのは余りにも地元の住民を説得させるための行き当たりばったりの政策であって、余りよくなかったんじゃないか、このように思うのですけれども長官はその点は——あのときはまだ長官でないときだったかもしれませんけど、いま考えてどうですか、ああいうのは余りよくなかったんじゃないですか。
  113. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 政府自体で決めればそれで済む問題等でありますと、これははっきり時限を切ってもよろしいと思いますけれども、相手との合意の上でという民主的な形式で問題を処理するというような場合には、余り時限を切ってやるということは、これは適当じゃないというふうな感じもいたします。したがいまして、塩出先生のような方でも、これの交渉に行ってくだされば、本当は大変いい結果になったんじゃなかろうかと思いますけれども
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから次に、先般原子力委員会原子力発電所周辺の被曝線量を現在の年間五百ミリレムを百分の一の五ミリレムとすると、こういう線量目標値を決めたと、このように私理解をしておるわけでございますが、百分の一に思い切って下げたという、これはどういう理由があるわけですか。どういう背景のもとにこれを下げたのかですね。
  115. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) この考え方は、先生御承知原子力あるいは放射能につきまして世界的な一般的な考え方になっております実用可能な限り低く押えるという、いわゆるアズ・ロー・アズ・プラクチカブルという原則でございます。したがいまして、なるべく低く押えたいと。ただし、非現実的な低い目標を設定いたしましても実現いたしかねるわけでございますので、実現できる限りにおいてなるべく低くするということでございます。  それで目標値を御指摘のように百分の一にしたわけでございますが、なぜ百分の一にしたかということは、百分の一と申しますのは非常く大幅に引き下げたということですが、現実に現在運転されております原子力発電所からはそれ以下、ほとんどそれ以下の放射線しか出ていないわけでございますので、その程度まで下げましても十分可能であるという見通しを立てましてその目標値を設定したということでございまして、頭から百分の一にしようということではございません。むしろ現実の状況に照らしまして、その程度までは実現可能であるということで下げた次第でございます。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ただいまの御説明を聞いておりますと、ICRPですかね、あそこでは年間五百ミリレムという、そういう基準ですね。百分の一にしたのはできるだけ低い方がいいという、そういう理由でアズ・ロー・アズ・プラクチカブルですか、そういうことでやったわけで、人体に及ぼす健康の面からやはり低い方がいいということでしたんではないと、こういうことなんですか。
  117. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) この目標値を下げたわけでございまして、規制値につきましては五百ミリレム、これを従来と同様に設定しております。実は多少立ち入ったことを申し上げて恐縮でございますけれども、この百分の一すなわち五ミリレムにするに当たりまして、専門家の中でもいろいろ意見がございました。むしろ五ミリレムにする必要はないと、ただいま先生の御指摘の人体に対する影響の面から考えまして。そういう御意見も専門家の中でもあったわけでございますけれども、この辺は先ほど申し上げましたように実用可能な限り低くということで下げたわけでございます。そこのところの関連が詳しく申し上げますと大変長くなりますので省略いたしますけれども、いわゆる低レベルの放射線の人体に対する影響、その辺の研究の世界的な現状との関連がございますので、必ずしもはっきりしたことが学術的にもまだ証明されていないわけでございますが、それらの点を踏まえまして、一応現実的な目標として百分の一に下げたという次第でございます。
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先般、まあ現在もまだ日本におるかと思いますが、いわゆるタンブリン博士ですね。この人の主張、まあ御存じのように放射線の人体に及ぼす影響、あるいは遺伝的な、遺伝の問題、あるいは白血病とかがんに対する発生率、そういうような点から考えて、まあタンブリン氏はアメリカのいままでの規制値というものを、アメリカも五ミリレムにしたわけでありますけれども、その前はたしか百七十ミリレムぐらいだったわけですね。これをやはり続けていくということはかなりの人体、人間の健康に及ぼす影響がある。まあ日本においても広島のあの原子爆弾の放射能による放射線を受けたことによって非常に白血病あるいはガンがふえておる。こういうやはりデータをもとにしてそういう主張をしておるわけですね。まあアメリカもそういう世論に押されて、結局タンブリン博士の主張というものをアメリカも受け入れざるを得なくなって、五ミリレムに下げたんじゃないか。それを結局日本政府もそれに準じて下げたんでなかろうか、私はそのように思っておったわけでありますが、ただいまの御答弁ではそういうものではない。ただアズ・ロー・アズ・プラチカブルでできるだけ下げた方がいんだと、こういうようなお答えなんですけどね。その点はどうなんでしょう。
  119. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) そのタンブリン博士の説につきましては、私は専門ではございませんが、これ一応国際的な評価といたしましても非常な少数意見であるというように私どもは了解しております。したがいましてアメリカにおきまして規制値を日本と同様五ミリレムの目標まで下げましたのも、タンブリン博士の説を採用してアメリカの規制当局が下げたということではないというふうに考えております。ただタンブリン博士の意見というのは非常な少数意見であると思いますけれども、先ほども申し上げたことでごますが、いわゆる低線量の放射能、放射線の人体に対する影響と申しますのが、この実験の規模の問題で必ずしもまだ確立されていない。これはごく低線量、自然放射能よりもはるかに小さい放射能の影響ということになってまいりますと、これは動物実験を行いますにしましてもその確率論から考えまして非常にたくさんの動物を使って実験をしなければならないということで、これは必ずしも日本だけではございませんで、米国においてもまだその程度の完全な実験ができていないということですので、低レベルの放射線の人体に対する影響は学問的な厳密性から申しますと確立されていない。確立されておりませんので、学問的に確認された水準の放射能の影響がそのまま比例的に低線量の場合も適用されるという前提で考えているわけでございます。これは一つの仮説でございます。仮説で考えまして、そのためにはいわゆる閾値と申しますか、これ以下、放射線の水準はこれ以下であれば一切影響がないというその閾値を設けることが現在のところ学問的に不可能でございますので、それを一応ないものという仮説で、つまり極端に少ない線量でもでも極端に少ない確率である影響があるのではなかろうかという前提でものを考えているわけでございます。そういうことでアズ・ロー・アズ・プラチカブルの、低ければ低いほどいいと、ただし実現可能な限度においてという考え方が出てきたわけでございまして、その点の考え方は日本も米国も同じでございまして、そういう観点から日本アメリカも規制値ではございませんで目標値を設定したというわけでございます。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 現在この働いていおる従業員の皆さんのいわゆる被曝線量の許容値というのはどうなっておるのですか。
  121. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 従事者につきましては三カ月間三レムを基準にいたしまして、年間は五レムということございましす。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 最近電労連ですか、全国電力労働組合連合会が去る二月政府に提出いたしました提言によりましてもかなり被曝線量がふえておるということですね。そういうことでございますが、いま局長が言われましたように、低レベルの放射線というものが人体にどういう影響を持つか、こういうことは非常にむずかしい問題ですね。しかも非常にこれは長時間を要しないと出てこない問題だと思うんですね。そういう意味から、これはタンブリン博士の説によりますと、大体一レムの放射線を受けると大体白血病等の発生率が二%ぐらいふえる、こういうことをいろいろ学者の説あるいは広島の原爆被爆者を調査したABCC、いまは名前が変わりまして放射線影響研究所になりましたけれども、あそこのデータ等をもとにしてそういう警告をしているわけですね。そういう点から考えますと、私は五ミリレムとなったことは非常に喜ばしいと思うんですけれども、従業員の皆さんのそういう放射線を受けたということが果して健康に影響がないのかどうか、そういう点は政府としてもタンブリン博士あるいは日本の国内においてもその説に共鳴をしている学者ですね、武谷先生とかいろいろいらっしゃるわけですから、もう少しそういうような点を政府としてもより慎重に検討して、やはり政府としてはこれだけならもうとにかく大丈夫なんだ——絶体大丈夫だということはないわけですけれどもね。たとえばレントゲンの場合でも、レントゲンをすることによってやっぱりある程度のガンの発生率が高くなる。しかし、そのために結核が早期発見され、あるいは胃ガンが早期発見されて人の寿命がそれだけ伸びれば、そういう点考えて、やっぱりレントゲンというものは人体にそういう影響を及ぼすけれども、ある程度やむを得ない、そういうことが言えるんじゃないかと思うんですね。そういうことろをやはりもう少しはっきりしていかないと、タンブリン博士は世界少数意見だ、こういう問題は何も少数意見と多数意見で決まるわけじゃないんですから、過去の歴史を見ても少数意見が後になって正しい場合だってあるわけですからね。そういう点科学技術庁であるならばやっぱり科学性を持って私はもっとやるべきではないかと、このように思うんですけれどもね。この点、どうなんですか。
  123. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 大変ごもっともな御意見だと思います。科学技術庁には、先生御承知のように、放射線医学総合研究所という研究機関がございまして、この放射線医学総合研究所の主な任務と申しますか、主な任務のほとんどすべてがただいま先生御指摘のような、放射線の人体に対する影響を研究しているわけでございます。その他の任務といたしまして、放射線による病気の治療も同時にやっているわけでございますけれども、その点いろいろ研究しておりまして、実は私専門でございませんので、ただいま先生御指摘のタンブリン博士の意見について詳細にお答えできかねるわけでございますけれども、機会を見ましてあるいは放射線医学総合研究所の専門家出席させまして、十分御説明させてもよろしいかと考えております。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは長官にお願いしたいわけでございますが、今回の百分の一の、年間五ミリレムも単なる目標値であり、これはこれからできるいわゆる新設の軽水炉、既設のやはり炉もあるわけでありますし、また、原子力施設にはたとえば東海村にいまでき得るところの燃料再処理工場、そういうものもあるわけですね。さらには、やはりそこで働いている従業員の立場もあるわけですから、私はそういう点におきましてはすべてにやっぱり五ミリレムということを義務づける、またそれの技術が確立されない間はやはり余り進めるべきではないんではないか、このように思うんですけれどもね。  それともう一つは、やはり政府といたしましても、タンブリン博士の言う説が間違いであるということを理論的にやっぱり証明をする責任があると思うんですよ。ただ少数意見だからという、それではわれわれ納得できないわけですね。こういう結果タンブリン博士の言うことは間違いである、そういうことをやはり証明すべき責任があると思うんですね。したがってこの問題についてはまた次の機会に放射線を研究している専門家の人たちもどこに来ていただいてそういうことを論議し、果たして現在の五百ミリレム、あるいは従業員に対する三カ月間三レムというデータがどの程度まで大丈夫であるのか、これは絶対大丈夫ということはそれは言えぬわけだ、レントゲンだって、自然放射能だって人体には決していい影響はないわけですから。そういう点をぼくははっきりさしていかなくちゃいけないと思いますがね。この点どうですか。長官のお考え、お聞きしておきたいんです。
  125. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) いまの五ミリレムは軽水炉に関しての安全審査等をする場合の一応の目安ということだと私は承知していますけれども、受ける方に関しましては、局長から説明いたしましたように、低ければ低いほどいいわけでございますけれども、しかし、さらばといってたとえば天然のフォールアウトが大体百ミリレムくらいあるわけですから、それも地域によって非常に高低がございます。ですから五ミリレム、三ミリレムの差があるからこれは大変人体に影響大きいというふうには必ずしも私は言えないんじゃないか。ただ局長からも説明ありましたように、低いにこしたことはないものですから、日本では世界で一番低い基準を決めまして、ドイツなどは非常に高いです。あるいはアメリカでも最近は規則委員会ができましたにもかかわりませず五ミリ以下ございません。日本はそれに比較して、国柄もこういう国柄でございますから、一番低くしようじゃないかということで五ミリレムに抑えまして、そしてその目的に近づくように、それ以上のまた放射線を出さぬようにということでただいませっかく努力中でございます。私、タンブリン博士の説は余りよく存じておりませんので何とも言えませんけれども、しかし放射線医学総合研究所二回ばかり私も参りましていろいろ御説明をちょうだいいたしますと、確かにまだ日本のこの面に対する研究はマウスとかその他実験材料等から見ましても、あるいは従事している研究者の数からいたしましてもまだまだ力を入れる必要があるんじゃないかということを痛感実はしておる次第でございます。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 一つ私はやはりこういう行政を進めていく上において大事なことは、やっぱり反対派の意見をよく聞くということじゃないかと思うんですよ。そういう点ではやはり科学技術庁長官も、これはお忙しいと思いますけれどもね。やっぱり最も世界においてこの原子力発電所に反対している連中がどういう根拠で反対をしているのか、それをよくやっぱり聞かないと、ただ単なるイデオロギーで反対をしている、そのように割り切ってしまうということはこれは非常に間違いじゃないかと思うんです。そういう点で私はこういうタンブリン博士とかあるいはネーダーとか、あるいはいろんな人がそういう反対運動をしているわけですから、その反対運動のやはり根拠になっている理論というものがどういうところにあるのか、これはひとつ大いに研究をしていただかないと、われわれ——その反対意見の方は耳をふさいで、いい方の意見ばかり聞いて進める科学技術庁では日本の将来をまかせることは私はできないと思うんですね。そしていま世界で一番低い、日本は人口密度も非常に高いわけですし、世界で一番低くて当然じゃないかと思いますが、世界で一番低いからいいというものでもまたないと思いますね。また自然放射能がこれだけあるんだからこれだけ大丈夫じゃないかとい言っても、これもただそのように思っだけであって、何らそれを裏づけるものは何もないわけですから、自然放射能だってやっぱり人体に悪影響を起こしていることは当然言えるんじゃないかと思うんですね。そういう点はひとつきょうは時間がございませんので、まあこの程度にとどめておきたいと思いますが、以上の点ひとつ科学技術庁としてももっと科学的なやはり安全であると、絶対安全ということはあり得ないわけですから、この程度のやはり損害があってその結果得られる利益はこうなんだから、この程度はやっぱりやむを得ないと、こういう何らかの線をはっきり出すように努力をしてもらいたい。  あと、じゃもう一つだけ。  敦賀の原子力発電所の周辺の農作物から放射性物質ヨード131が発見をされたと、こういうことを福井県の原子力環境安全管理協議会が発表いたしております。それで、昨年の十月に科学技術庁放射線医学総合研究所が、原発が沃素131を放出をしておる、これが動物の甲状腺に蓄積をしておると、こういうことを発表しておるわけでありますが、これはもうこの程度の量が果たして長い将来にわたってどういう影響を及ぼすかということは非常にむずかしいものだと思いますけれども、ただ野菜にあるということは、これはもうやっぱり食物連鎖でだんだん人体にも影響されていく危険もあるわけであります。それからまた原子力発電所ではトリチウムというものが、これが出ておる、これは非常に遺伝にも影響のおそれがある。これはたとえばタンポポとかあるいはウニ、そういうものの研究では非常に染色体を破壊し、非常に遺伝にも影響がある。こういうことが言われておるわけでありますが、これは私も今後さらに研究していかなければならない問題であると思うんでありますが、こういう問題について科学技術庁としてはどういう見解を持っているのか、また今後どういう方向でこれを研究していくのか、これをちょっと御説明願いたいと思うんですがね。
  127. 福永博

    政府委員(福永博君) 先生ただいまのお話の沃素の件、これは先生おっしゃいましたように、昨年の十月から十二月にかけて、環境放射能測定技術会議というところからの測定結果の発表のことだと存じます。  御指摘のようなことでございますが、その量はもう先生御案内のことと思いますけれども、非常に少ない、もうきわめて少ない量でございます。しかしながら、御指摘のように非常に少ない量だからそのままでいいということでは全く考えておりませんで、環境放射能の問題につきましても、低線量の問題の一環といたしまして、十分研究していきたいと思っておるところでございます。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 トリチウムはどうなんですか。
  129. 福永博

    政府委員(福永博君) トリチウムの例も全く考え方としては同様でございまして、量そのものはもちろん少ないものでございますし、人体に蓄積するものではございませんけれども、やっぱりその対策というのは同じような考え方で進めてまいりたいと思っているわけでございます。
  130. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、きょうは時間がまいりましたので、この問題につきましてはまたこの次の機会にいろいろ御質問したいと思いますので、いまさっき申しました点についても科学技術庁としてもさらに検討を加えておいていただきたい。このことを要望して質問を終わります。
  131. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まず最初に皆さんお触れになったわけですが、玄海の一号が事故を出しておるという点についてお伺いしておきたいと思います。  昨年の夏にこの科学の委員派遣の際に玄海の発電所に立ち寄ったことがあります。委員長あるいは当時の中村政務次官も一緒に行かれたわけですが、この玄海一号と言えばこれは最新鋭の発電所であって、世界の最先端である。先発組の教訓も吸収ができるし技術的にも最新鋭で大変チューブのメダルの質もよろしい。それからピンホールなんかの問題も水の処理で工夫がしてあってそういう心配がないんだというようなお話を聞いたわけなんですね。その点では広報のための展示場などもあって、ばか丁寧に安全については考慮してあるというのもこれはかなり聞かせてもらったわけですけれども、実際にはこの報道をきのうの夜のニュースで聞いておって、これ意外に思わないようなそういう状況にはなっておるのが現在の状況ではなろか。当然二号炉も準備をされておるわけですからこれは同じ問題が繰り返して起こってくるに違いない。そういうふうに何にもない方が不思議なような状況に引き続いてなっている。この問題についてはやっぱり見直されなければならないのではないか。これがまずこの報道を聞いたときに受けた第一印象であるわけですね。しかもどれは臨界——火入れを行って臨界になってから非常に日が浅い状況下で起こっておる事故である。しかも三月のこれは決算委員会のときでしたか、お伺いしたときでは大体このタイプのものがどんどん今後六千万キロワットを目指して大量に建設をされていくというのが、六千万キロワット計画の主な内容になっているのではないか。一年に七つぐらいは安全審査やって見せるという局長の話もあったように記憶をしておるわけですけれども、これはトップのレベルの技術と今日の安定をした発電炉と言われるものが引き続いてこういう状況である。現実には敦賀の方の原子炉は四十九年度では半分以下の稼動率だったと思いますし、福島では四分の一ぐらいの稼動率になっておったと思いますけれども、この点について実情は調査してということもありましょうけれども、引き続いて起こっている事件である。今後の審査あるいは建設計画、これらについて見直しの考えを、あるいは総点検の考えをお持ちになるのかそうでないかということをお伺いしておきたいと思います。
  132. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 玄海一号の今回の故障でございますけれども、その内容につきましては先ほど来お答え申し上げておりますので省略させていただきますが、先ほども申し上げましたように私どもはこれをもちましていわゆるPWR型原子炉のもう基本的な欠陥であるとは必ずしも考えておりません。ただいまの通産省および九州電力におきまして原因調査中でございますが、恐らくはこの試運転時における何らかの部分的な問題であろうというように考えているわけでございます。まだ運転の日も浅いわけでございますので、美浜の一号あるいは二号とは別の原因ではなかろうかと思っておりますが、その辺も調査の結果を待たないとわからないわけでございます。ちなみにつけ加えて申し上げさしていただきますが、アメリカにおきましてもこのPWR型の蒸気発生器での細管からの漏れの問題というのは時折ございます。その一番代表的なものがミシガン電力会社のパリセダスという炉でございます。これがちょうど美浜の一号と同じような原因、現象を起こしまして約一年半運転をストップしておりますが、それにつきましても私どもでいろいろ調査をいたしましたが、アメリカにおきましては、この問題を原子炉の安全の問題としては周辺の住民におきましてもとらえておりません。むしろ原子力委員会あるいは最近の規則委員会でございますが、その安全を重視いたしまして、わが国と同じように一年半運転をストップさせましたことにつきまして、稼働率が非常に低いので、結局原子力発電のコストが上昇し、それが電力料金にはね返ってくるという経済問題としまして周辺の住民の方からいろいろ御意見が出たようでございますが、安全問題としてはアメリカにおいても取り上げられておりません。また、同型のPWRの炉は、これは日本アメリカだけではございませんで、欧州諸国におきましても、それからソ連等の社会主義国におきましても採用され、今後も採用される計画がかなり進んでいるものでございまして、世界的に見まして、私どもは今回の故障あるいは美浜の一号、二号を通じましても、これがPWRの採用を中止しなければいけないような基本的な問題であるとは考えていない次第でございます。
  133. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 前にも美浜の問題はお伺いしているんですが、今回の玄海の場合には、これはまあ部分的なトラブルであって本質的な問題でないというふうに認識しておるということなんですが、美浜の一号、二号なんかの場合には、そういうふうに総合評価をするならどんな評価をするんですか。
  134. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 一号、二号につきまして通産省原子力発電技術顧問会を中心にいたしまして調査をしておりますので、その結論が出ます前に私の方から評価をいたしますのは差し控えたいと思っておりますが、それにつきましても、一つはこの冷却水の問題、水質の問題、それからもう一つは多少材質あるいは構造上の問題があるというように聞いております。全体といたしましてやはり原子炉の基本的な問題ではなくて部分的な問題であるというように考えております。
  135. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 美浜の場合にも一部分的な問題であって、あれでもともとは結構なものだというような状況が、アメリカでも一問題が出ておるように、一年半とか二年とか、十分に経済成果もおさめ得ないと、これが最新の——いま玄海が出てくると、もう少し部分的改良があったと言われるのでしょうけれども、最新の一流の設備として大量に短期間につくり上げられていくと、こういうところに私は今日の見直しの対象になるべき姿があると、そういうふうに思うわけです。やはりこの調査を待たずして「むつ」の場合には本質的な問題ではなかろうというふうに言われておるところに私は問題を感じるわけです。特に一方で軽水炉原発の玄海の問題が出ておる。他面では、青森県のむつ港にはあの「むつ」がいまも係留のままで上ると、言うところの第二母港は、あれこれ新聞報道なんかは見るけれども、あるいは鈴木さんの報道などは出ておるけれども、どこがどういう条件で何を迎え入れて目鼻をつけるのかということは、決して国民の前に明らかになっていないわけであります。むつの漁民は、あそこの場所で修理するというようなことは許さないと言っておるわけですね。それが修理をされないままで迎え入れる気に、どうしてほかの港の人々がそういう気持ちになることができるか。この点では、どうしても根本的ないままでの施策に対する姿勢を改めて、それが日々国民に対して政府の誠意が示されていくということがなければ、これは非常に混迷したままで、またさまざまな明朗でない術策を弄しなければならぬというようなことになるのではなかろうかと思うわけです。  前回もお伺いをしたわけですが、事業団では今年六千万円の予算を計上して、計算と計画と実験というプログラムで六千万円のなにによって改修計画を進めていかれるということであります。それが終われば設計、施工、工事、出力と、こういう段取りになるのでしょうけれども、これについてはすでに技術検討委員会、これらと連絡をとりながら計画を立てておられるのだと思いますが、その計算、計画、実験と、これらの中身について、今日あの三月、前回お伺いした段階からでもすでに数カ月を経過しておる。こういう状況でもございますので、この中身を少しお伺いをしておきたい。とりわけ、この「むつ」を改めて新母港として迎え入れる人たちにとっては、この問題はどうしても聞いておかなければならない内容になるだろうと思うわけですね。まあこの点について具体的な中身をお伺いしたい。
  136. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま先生が最後に御指摘になりました点は、おっしゃるとおりだと考えております。したがいまして、一昨日原子力委員会が見解を発表いたしましたけれども、それにおきましても、点検、それから修理をいたしまして、その点検修理の結果については国が責任を持って審査すべきであるということを原子力委員会の見解として発表しておりますし、私どももその方向で進めたいというように考えております。もちろん、この事業団が点検修理をし、政府がそれを審査するというだけではございませんで、その結果安全であると、つまり今後出力試験を再開するについても安全は確保されるということを十分国民の皆様に御理解いただくように、これは懇切、なるべく意を尽くしまして、その内容も発表いたしたい、あるいは御説明いたしたいというように考えております。そういう段取りを踏みまして、新しい定係港の受け入れ態勢をつくっていただくように進めたいと、かように考えております。
  137. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまの時点でそこまでしか聞けないのでは、ちょっとぐあいが悪いですね。計算というのは一体具体的に何を計算をやっておるのか、それぞれまあやっぱりストーリーが書かれないと、それにあわせて段階を踏んだなには出てこないと思うんですね。こういう問題ですね。実験というのは、一体このしゃへい小委員会結論等も見ながら、今度新たに出て来た問題は、また大きく大山委員会のこの報告書も読まれなければならぬと思うわけですけれども、そういうところで大体何が浮べられておるのか。まあ試みに言えば、これは不確定情報ですから、あなた方はそれは承知しないと言われるのかもしれないけれども一つのこの寄港地として相談を受けたと言われる長崎県のひとつ町の町長さんの話を聞いてみると、まあ不確定情報のごとくもたらされたこの受け入れ計画が、一つは補償については直接国と話をしてくれという問題、まあお願いしたいことは九月ぐらいからこの修理にかかって一年半ぐらいでやるから、その後では五〇%までは岸壁でひとつ出力上昇の実験をやりたいんだと、まあそれだけの状況で受け入れられるならというような話があったというような向きも仄聞をしておるし、あちこちでそういう話があるわけです。こういうことについては、とりあえず現在検討されておる規模なり内容なりについて、たとえばもし炉の第一次遮蔽の圧力容器まで含めて抜き取って、どこかへ持っていって修理をするのか、それとも燃料棒もそのままにして岸壁で修理をするのかとか、そういったふうな問題についての一応のストーリーが頭の中にあって予算要求もされ、今日の計算も、あるいはその計算に従っての実験計画もあるものだろうと思うわけですね。それらについて、先ほどはさきの質問者に対して大体抜き取りをせずに岸壁で修理ができるのじゃないかというような考え方もuある旨の答弁があったように聞いておったわけですが、それらの問題について少し触れて答弁をしていただきたいと思います。
  138. 福永博

    政府委員(福永博君) 現在事業団で実施しております一つには改修の計画、一つには実験の計画が直接今回の技術的な検討テーマになっているわけでございます。それで、改修計画の見通しの方から——見通しといいましょうか、現在の進捗状況と申しましょうか、そちらの方から御説明申し上げますと、改修計画はもう先生御案内のように、まずベースになりましたものは安藤委員会報告でございます。あれによりまして非常に簡単に申しますと、圧力容器と一次遮蔽の間のボイド部分を通ったストリーミングだというふうに言われておりますけれども、それを安藤委員会ではさらに詳細にどの部分でどういったエネルギーの中性子がどういった方向に出ている。こういうことを詳細に計算したわけでございます。その計算結果をもとにいたしまして改修計画を、方案を二、三案固めております。その結果はついせんだっての原子力船懇談会にも一案として披露がございましたけれども、それによりますと、先ほど申し上げました圧力容器と一次遮蔽の間のボイド部分を何らかの方法で少し狭めていく、それから上部の方に抜けます部分、ここに遮蔽の補強をする、たとえばコンクリートのようなものをもって遮蔽の補強をする。それからさらに上部の方にまいりまして格納容器の内側ではございますけれども、もう一重の遮蔽を考える。こういった上方向の遮蔽と、それからもう一つは船底部と申しましょうか、下の方向と申しますか、そちらの方向にも遮蔽の弱いところが報告されておりますので、その部分についても二重底等を利用いたしまして遮蔽の増強を図るということで方案を一案まとめている段階でございます。それでこの二、三案につきまして計算と申しますのは、その遮蔽の方案の結果、たとえば格納容器の外側ですとか、制御棒駆動機構のあたりでございますとか、圧力容器と一次遮蔽の間の部分、こういった要所要所につきまして計算機を用いましてそこの場所がどの程度の線量率になるかということを細かく計算しておるわけでございます。ただいまのところはいまその計算が終わった段階でございまして、この後は今度は工作の問題としましてどういった方法が一番ベターな方法であるかということを検討していくわけでございまして、その工作の進め方によりまして先ほど局長からも申し上げましたけれども、あるいは燃料棒を抜き取るか否かといったような関連はその工作方案で決まってくるわけでございます。  それから実験の方でございますが、御案内のように、五十年度予算で遮蔽実験のための予算も計上しております。それにつきましては、ただいまの改修方案を受けまして今度は実験の方法をどういうふうにするかということで、すでに船舶技研あるいは原子力研究所等の専門家の御意見を伺っている段階でございます。
  139. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そういう状況で進めていくという場合には、いまの輪郭として言えば、大体岸壁に係留をしたままでその燃料棒を抜き取るかどうかという問題があるにしても、現地詳細設計が終わり、モックアップの部分的なテストが終わった、設計が完了した段階では、修理のために技術者と労働力を現地に派遣して修理をすれば可能であるというような、大体そういうストーリーが描かれているというふうに聞いてよろしいわけですか。
  140. 福永博

    政府委員(福永博君) この原子炉の部分、特に遮蔽の部分につきましては、大山先生のこの委員会報告にもございますように、適当な改造、改修を施すことによって本来の目的を達成することができる、つまり改修が十分可能であるというふうに御判断いただいておるわけでございまして、先生のおっしゃるように、しかるべきこういう実験あるいは計画をつくりまして改修すれば改修可能であるというふうに考えております。
  141. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 確かに大山委員会の方でも、修理をしてそしてさらによみがえらせるというような方向を結論的に言っておるという点がありますし、その中でもこの五十一ページ等には、遮蔽の補修方法については技術委員会が検討中である点について幾つかの提言といいますかね、具体的な上下の方向あるいは横方向なんかに対しても問題が出ておるわけですね。こういう状況をかなり専門的な方々にお伺いをすると、なかなか大変な問題のように聞くわけですね。下に水を入れるといったって、これは二重底のさらに上の方に水を入れるんでしょうから、どういうふうになるのかというような問題とか、いろんな問題があるように思うわけです。しかし、これらの問題についてこの委員会の方では、具体的な問題に触れる前に根本的には全面的にこれを検討するということを、技術的にも全面的な検討を可能にするようなということを述べておるわけですね。その点についてはどういうふうなことがいま国の指導で行われなければならぬかという点で、二十日に専門家を招致をする参考人招致の質問の機会もありますので、その方に譲りたいと思うわけです。私はただここで危惧の念を感じるのは、こうして修理が行われる、そうして岸壁でさらに「むつ」で果たさなかった臨界実験をやって、そして動き始めるという際に、どのぐらいの身構えで取りかかられるか、これが再び前回のような状況で繰り返されるような姿勢でないのかという問題なんですね。安藤委員会調査が基礎になっておりますけれども、あの安藤委員会がこれをつくられた過程を考えてみますと、大体宮坂先生がこの中で専門家として一人乗っている以外には、大体メーカーサイドの人が乗っていっておって、初めから中性子漏れなんかに対する調査の姿勢でいっていないわけですね。私はこれらの問題が、たとえばアメリカの「サバンナ」が初めて動くときにどういう体制でやっておったのか。結局これはそこで「むつ」のような問題を起こさずに多数のデータを得て帰ってくるわけでありますけれども、これを参考に見てみますと、一九六二年の五月二十日から五月二十五日までの間に初めて動いたときの学者の参加人員というのは、四十一人が参加をしておって、うちで二十三人がオークリッジの国立研究所のメンバーである。こういうようなことが記述をしてありまして、その中でも、報告書をながめても一実に精細をきわめた報告が上げられておるんです。まあひとつ説明を聞かないと十分にわからない点がありますけれども、船体のどの部分に具体的にどういうカウントが計算されたかというような点は非常に精細なものです。しかし、それに対して「むつ」がああいう状況の中で初めて走ろうとするときに、乗っておったのは、そういう体制というのはほとんどないわけですね。自主開発のものであるとしても、そういう体制のままで、ほとんど、実際具体的に問題が出たら、その場面でちょっとお握りを当てがうとか、その次に行くのも洋上で応急修理をやってまだ走らせようとするような姿勢で大体企業サイドを中心にして出されておる。ここからの委員会の、上に宮坂さんを遮蔽の専門家として乗せて、そして行われたものだから、大体限界があるのではないかということが非常に懸念をされるわけであります。この大山委員会報告書の冒頭にも十ページに出てくるわけですが、「むつ放射線漏れの事情について正確な判断をするためには、「本委員会は独自で改めて漏れ自体の観測、測定をし直すことが必要」で、もう一遍やっぱり「むつ」を走らせて、「むつ」の船上で何が起こったのかというのは、改めて学者も計器も乗せて測定をし直すのが、これがオーソドックスなあり方だ。しかし、とうていそのことは不可能であったので、というところで、限定された状況の中でこの報告書は書かれている。こういう状況のもとに、私どもとしては現在進められておる改修計画というものに再び過ちを繰り返すことがないのかというような点では非常に危惧の念を感ずる点があるわけであります。この点についてはすみやかに、懇談会等にも出されておる具体的な内容の問題は、関係者、学者に広く公開をされ、多くの意見を仰いで、そして根本的な見直しと相まって進められていくように、そしてそれらの多くの国の英知を集めることによって住民の信用を回復をして、言われるごとき、もし無用な心配があるとしたらそれを解除をしていく、こういうふうに行われるべきではなかろうかと思うわけであります。いまのままでは、どうしても漁民がこれを受け入れるという条件の基礎が形成されていない。このことについてひとつ長官にお伺いをしておきたいと思います。
  142. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 先生の御指摘はごもっともだと考えます。考えますけれども、たとえばアメリカの「サバンナ」でございますが、これは御承知のように出力上昇試験の当初、つまり「むつ」が今回問題を起こしました、放射線漏れを起こしましたような段階は岸壁で実験をしておりますので、船が出ます、出港いたします時期は五〇%以上の出力を上げた段階でございます。「サバンナ」につきましても御承知と思いますが、いろいろ故障を起こしているわけでございまして、実験航海中にも原子炉のスクラムが数回、それから先ほどの御質問と同じようなことでございますが、蒸気発生器の細管の漏れが数回だと記憶しておりますが、こういうものを実験航海中に起こしておりますが、それを修理しながら一応船として完成したということでございます。また、ソ連の現在北極の砕氷船として活躍しております「レーニン号」でございますが、これも未確認情報ではございますが、専門家の間で広く信じられている情報といたしまして、やはり岸壁におきます出力上昇試験の途中におきまして「むつ」と同じような放射線漏れを起こしております。これも同様に遮蔽を改修いたしまして現在実用船として活躍しておるというわけでございます。したがいまして、学者的な良心から申しますれば、確かに先生の御指摘のように、もう一度学者を乗せて同じような現象を起こしてみるということを学者としては当然やりたいということでございますし、大山委員会に参加をいたしました学者の先生の中にも、それをもう一度やってみたいと、でき得れば一・四%ではなくて、もう少し高い出力まで上げて——これは当然放射線が漏れますが、放射線漏れを起こしてみたいと、その方が実験的な効果としては非常にいろいろなことが確認できるのだという御意見の方もあったように聞いておりますけれども、いろいろ社会情勢その他から考えまして、そういうことは不可能でございますので、現在ではもう一度原子炉を動かして放射線漏れを再現してみるということは私どもは一切考えておりません。従来までに得られましたデータによりまして、それを基礎にいたしまして点検をし、改修をしていくということを考えている次第でございます。
  143. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いずれにしても、八月以降この「むつ」に手がつけ得るような状態になるのかどうか。新寄港地の問題が言われるように解決をするまでは、実際には「むつ」自身に対しては手がつかないということなんですけれども一つは、船というものはかぎを船長室に入れて封印をしてあるそうですが、炉の管理等についても一応半年間を予想してあのままで封鎖をされておるものだと承知をしておるのですが、これがそのままいまのところ無限定に延びて係留されたままになっておるという状況でありますが、これについて、船底の腐食等の問題が一部新聞にも報道されたりしておる。それは船底だけであるのか。炉の管理というものについてはこの点は一切問題はないのか。そういったふうな点についてはどうか、お伺いしておきたいと思います。
  144. 福永博

    政府委員(福永博君) 原子力船むつ」を、あの「むつ」の定係港にいまいわゆる凍結の状態で係留してあるわけでございますけれども、その維持管理をどういうふうにしていくべきかということで、ただいま原子力船開発事業団に「むつ」維持管理委員会という委員会組織をつくりまして、大学の先生等学識経験者の方々にお知恵を拝借しているところでございます。その検討しております内容は、原子炉も含めましてあの船全体の維持をどういうふうにするか、かねて事業団が自主的にやっておったわけでございますが、そのやり方で不足するところはないか、あるいは特に注意するところはないかといったところをお伺いしております。先生が、船底の腐食等の問題ということをおっしゃっておりますけれども、おそらくは新聞報道等で出ておりますのは、通常の場合でございますと、船舶は二年に一回と私記憶しておりますが、定期検査でいたしております。それで船底部まで全部検査をするわけでございます。他方、あの「むつ」はあすこに、開港いたしましてから相当の年月たつわけでございますから、そういった通常の船と比べた場合どうだろうかと、こういう若干の懸念が出ているのじゃないかと、こういうふうに了解をしております。  なお、つけ加えさしていただきますと、暫定的な話として私承っておりますが、その「むつ」維持管理委員会の途中では、原子炉部門については非常によく管理されているというふうな報告をちょうだいしているようでございます。
  145. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあそういう状況で、結局、上がりまでくれば、設計ができ上がって修理改修が完了すれば、これは走るという段になるわけですけれども、これについて、その過程で上がった改修のための設計というものは再び安全審査委員会に諮るのかどうか、これをお伺いしておきたいと思います。
  146. 福永博

    政府委員(福永博君) 先ほど私、改修の計画の一案について御説明申し上げましたけれども、非常に事務的な答弁で恐縮でございますけれども、あの原子炉を設置しました際には、当然のことながら設置許可申請書、それに同添付書類というものがあるわけでございます。その内容を変更するようなことがあれば、設置許可の変更ということで安全審査をいたします。
  147. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ、そこまでお伺いをしておいて、特に大山委員会のこの調査報告書に関するやはりそれぞれの問題についての長官初めの御意見をお伺いしたいと思っておりますが、初めに杉山委員質問の際ですか、長官の方から大変りっぱな報告であって、特に「むつ」を修理して使えという問題と修理可能という問題と総点検の問題ですね、これは内容を十分に生かして今後問題を進めていきたいというふうに言われておったと思うわけですけれども、この報告書は尊重して、書かれておる問題について解決実現を図っていこうという姿勢でおられるのかどうか、最初にお伺いをしてから質問をしたいと思います。
  148. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 杉山先生の御質問に対してお答えしたとおり、これを尊重して進めるつもりでございます。
  149. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この報告書の内容はかなり領域、そして項目、多岐にわたっておるわけであります。それについては、この問題はいいけれどもここのところは気に入らぬというようなことでなくて、大体全面的に尊重してそのことの実現に当たっていくと、こういうことでよろしいですか。再度お伺いしたいと思います。
  150. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) そのとおりでございます。
  151. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私の方から言わせると、現に美浜に続いて軽水炉は玄海でもすでに故障を起こしておる。いまから日本で大々的に取り上げようとしておるこの開発方針というのは、いま開発過程にあるものを完全にでき上がったものとして量的に拡大をしておる開発中心の姿勢に問題があり、「むつ」の場合にもやはり軽水炉発電の場合にも同様な欠陥がある。その問題の根本についてかなりの点において指摘があるのがこの報告書一つの性格だと思うわけであります。去る三月の質問の際にも、共産党が原子力政策について提言を行っておりますが、その一つポイントは、自主開発ということの基本的な取り組みの不足と、そして技術、さらには燃料まで全面的にアメリカに依存をしておるという、この依存体制の問題について指摘をしておるわけです。ちょうどそれにかかわって言えば、かなりの問題が長官が敬意を持ってこれの実現に当たろうといま言われたところの報告の中には上がっておるわけですね。特に最後の結論の部分を見ますと、この「原子力発電については、おおむね外国技術の導入、消化、改良という路線によってこれまで推進をされてきた。」と、わが国の原子炉開発の基本政策は、これは基本法に示されるところであるわけですけれども、この問題が記述されており、とりわけ原子力第一船を国産技術によって自主開発するためには、こういう原子力発電の問題がこういう状況で推進されたという、いわばおくれた前提を深く認識をして、そうして体制を組んで進んでいかなければならないというような問題があります。しかも、そこでそういうふうに触れながら、現実にこの経過として、「むつ」が、三つの要素があるでしょうが、遮蔽の問題とそれから舶用炉の問題、それから緩衝——衝撃を緩和する設備の問題、これらの問題の導入に当たって非常に国内での採用が、このウィルコックス社のものにするのか、それとも国産でやるのかというのが、ほとんど経費の問題で偶然的に決められるような状況についてもつまびらかにしながら、その根本の姿勢について問うところがあるわけであります。そういう点では、政策の根本についての今日までの非常に立ちおくれた体制というものを指摘をしておる。この問題について、長官、改めてこれらの問題を認識してやられるのかどうかという点をお伺いをしておきたいと思います。  また、二十七ページで触れておるところでは、特に発電所の問題で日本原子炉の開発自身の問題について触れておって、わが国の発電炉は、もともとイギリスのコールダーホールの改良型の炉を導入をして、これを国産化しようとしておった。これが間もなく軽水炉導入の可能性が出てきたというところから、国産化路線を改めて軽水炉に傾斜をしていったということ、しかも、そのあり方は、業界任せでどんどんと軽水炉が輸入をされて、軽水炉の基礎研究自身は非常におくれておった、というような点も指摘をされておるわけであります。これらの記述されておる状況については、ひとつ当時の状況について、ここに書かれておるとおりであるのかどうかというようなところをひとつ御説明をいただいた上で今日の考えを述べていただきたいと思うのです。
  152. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 私は、第一回の原子力海外調査団の一員として参った者でございますが、その結論といたしまして、コールダーホール炉を入れるべしという結論になりまして、当時非常に採算的にはまだ悪い炉でございましたが、国産炉として今後進めるのに一番適当じゃなかろうかと。その主たる原因は、天然ウランが燃料であるということが非常に大きい理由だったように記憶します。しかるところ、それがだんだん進んでいる問に軽水炉の実用化の問題が講ぜられまして、実際の実用化はむしろ軽水炉の方が早い。またアメリカとの原子力協定等から見まして、濃縮ウランの入手は、供給の義務を負うというふうになっておるものですから、その方にウエートがかかってまいりまして、そして、軽水炉自体安全性に対する、日本側のメーカーと言われておるものあるいは電力会社というもの、あるいは原子力発電原子力研究所で、この方面に対する研究が、いま考えますと、ドイツ等でやられましたような同じ軽水炉を入手いたしましても、大分そういう点では差があるのじゃないかという反省をいまいたしまして、その点に関しましてはここに書いてあるとおりだと存じます。
  153. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 つまり、この二十七ページには、「軽水炉の導入が可能になったので、産業界はコールダーホール改良型の国産化路線から軽水炉導入に大きく傾斜した」、こういうふうに記述されますが、まあ長官も当時の状況を思い出してそのとおりだと言われておるわけでありますが、一つは、いま聞いたところでは、進んだものである程度の安全性についても見込みがあるというふうに言われたかと思いますが、もう一つは、燃料をセットにしてこの軽水炉は売ってくれる、こういう状況が一挙に大型に、日本軽水炉導入に踏み切らせた要因になったというように把握をしてよろしいですか。
  154. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) 軽水炉導入の主体性はむしろ業界側にあったように記憶いたします。しかし、これを環境的な面で、条約あるいは燃料の手当て等は、これはどうしても両国の合意を得なければならぬ問題でございますから、日米原子力協定等を結びまして、そうしてそれに基づきまして燃料、技術の提供等が可能だという環境になったものですから、業界の方でもそれに踏み切ったというふうに私は考えております。
  155. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ここにはいまから先、見直さなければならない根本路線の最も大きな教訓が含まれておるのではなかろうか。今日もアメリカで炉をとめて、一年半も炉を休ませて経済効率が下がるという程度の開発過程のものを、燃料をセットにするという状況で、アメリカとしては初めは軍事の手にあり、後に民間に渡ったこういう大型のビッグサイエンスを、自分のところで大型開発して経済効率に乗せるためには世界に売らんかなという状況になっておるときに、それを最上のものとして受け入れていって、同時にわが国のようやく歩み初めておった国産化の研究を衰微をさせておる。つまり自主的な発展をとめてアメリカ依存というのが、業界のリーダーシップによって大きくつくられたと、こういう根本路線を見直すことがなければ本当の健全な発展はしにくいということをいまここで触れておるものだと思うわけであります。  わが党は、この六つの提言の中でも、特にエネルギー問題の、石油がぐあいが悪いから、それだから原子力——原子力にと言いながら基礎研究をなおざりにして濃縮ウランに頼るというあり方は、石油の二の舞をいつもう一遍やるかわからないことだということを強く指摘しておるわけでありますが、てきめんに、すでに昨年にはアメリカの方で濃縮ウランの能力に限界があるからというようなことで、新規の購入に対しては制限をするというようなことがあったわけであります。六千万キロワットがことごとく軽水炉で進められて濃縮ウランに頼る、しかもその背後になる自主的なこの研究体制の推進というものがないなら、これは石油でひっくり返ったときと同じ状況がアメリカの胸先三寸でいつでもできる、またこういう状況になるのではないでしょうか。これらの問題についても、技術的な問題とあわせて特に根本的に明らかにされていかなければならない、そういうふうに思うわけであります。特に原子力発電について既製の軽水炉型のものを大量につくっていく、このことと、それから原子力船の場合にもアメリカ技術に国産と言いながら頼っていくという、この二つのことが教訓としては是正されなければならない問題として示唆されていると思うわけですが、いかがですか。
  156. 佐々木義武

    国務大臣佐々木義武君) いまの発電炉の中には、さっきお話のございましたコールダーホール炉のようにガスクーリングの炉もございますし、あるいはカナダで開発いたしました重水中心のキャンドウというようなものもございます。しかし世界の、ソ連もあわせ、ヨーロッパ、アメリカ日本、ほとんど絶対多数は軽水炉であることは事実でございます。その軽水炉をもって、先ほどもお話いたしましたように、ヨーロッパでは一切油を使わんで今後は軽水炉でいくべしと、アメリカも二億数千万キロ、現在の日本の発電量の大体三倍を十年間にその軽水炉で開発しようと、こういうふうに進んでおることは御承知のとおりでございます。ただ、その安全の問題に対して、それぞれの国、たとえばドイツ等ではドイツ独自の開発をしておるようでございますし、ソ連はソ連で自分の技術を基礎にしてこれも開発しているでございましょう。アメリカもいろいろトラブルはあってもこれは十分克服できるものとして大きく開発に踏み出していることに間違いございません。日本におきましてもいろいろ故障その他の事故はございます。ございますけれども、しかし、世界の大勢はそれに向かっていることは事実でございまして、ただ、その安全に対する研究が日本は手薄ではなかったかという御指摘に対してはまさしくそのとおりでございまして、これにはいろいろ原因があると思います。いまその原因をあげつらってもしようがないのでございますけれども、しかし、遅まきながら原子力研究所を中心にして、軽水炉の研究をいま原子力研究所の一番大きい仕事の一つといたしまして二、三年前から精力的に進めつつあることは御承知のとおりでございまして、非常な成果を上げつつございます。あるいは検査、監査の体制等も、アメリカの規制委員会ができましたごとく、これはやはり国としても責任を持ってやるべき問題でございますから、いままでの体制でよろしいかというと、それもこれは検討の要ありと、あるいは安全問題そのものに対する国民の理解、協力と申しますか、わずかの故障すらいかにも重大な事故のように、国民がそれで大変な被害を受けるような、こういう日本のいまのあり方というもの自体が、世界のいまの現状でそういう国があるだろうかといいますとこれはないのでありまして、そういう点等もやはりわれわれのPRの仕方等も一足らぬのかもしれません。そこら辺も踏まえて今後国民の御理解をいただくにはどうしたらよろしいか。そういう点を考えつつ軽水炉の安全の問題に大きく取り組んでいこうじゃないかというのがわれわれの実はただいまの段階でございます。したがいまして、軽水炉世界の大勢からいたしまして、わが国もこれを採用していくことはいまの段階では自然の道行きかと存じますけれども、しかし、安全問題に対する従来の姿勢と申しますか、進め方そのものは十分であるとは毛頭考えておりません。今後はこれに一切の原子力行政の中心を置きまして、そして展開してまいりたいというふうに実は考えております。  もう一つ何かございましたか。よろしゅうございますか。
  157. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 どうも、長官、エネルギーの石油依存の危険さというのをうたって、しかるがゆえに少々危なくてもとまでは言わないにしても、余りうるさいことを言わずに原子力に切りかえていくんだというような観点でフランスもしくはドイツなんかの状況が引用されるのですけれども、同時に、エネルギー全体として言えば、イギリスやドイツがどのくらい石炭を掘っておるかというようなことも比較をしてみられたらいかがと思うわけです。イギリスで石炭を掘れば炭価がめちゃくちゃに安いわけではないのですね。しかし、一挙に十年間で炭鉱を全部国じゅうつぶしてしまうというようなことをやっている国はほかにはないわけですね。同時に、もし原子力に大きく将来発展させて依存をしようと思うなら、それゆえにこそ基本的に国の開発体制を自主的に確立をし、安全の問題一つ一つの実験を積み重ねていくというのが筋道であって、それだから少々の問題は素通りをして安易に通ってもいいということにはならないと思うわけです。  特に、私はここで最後に、安全審査体制に触れておきたいと思うのですけれども、「むつ」が結局のところ修理が終われば、いまのところではもう一遍原子力委員会安全審査にかかるのか、かからないのか、というのがいまのところでは答えが出てこないわけでしょう。先ほどからお伺いしてもそうなんですね。ところが、「むつ」が漂流をしておったころと、その後のこの科学の委員会で討論をされたように、まあ鉄のふたでなくて、そこにポリエチレンがあったら済んだのか済まないのかと、詳細設計と基本設計の間のどこで間違い出たのかというような問題を超えて、この報告書の示すところでも安全審査体制にだけはどういうわけか不思議に触れておりませんがね、これは。聖域にしておるのか、原子力委員会の問題についてだけ直接触れていないのでありますけれども、これはもう明らかに基本設計の大ミステークであるということがそれはもう明らかになっておるんじゃないでしょうか。中性子が漏れるというようなことは、そのこと自身詳細設計の問題ではない。特にこの安全審査を行う前にすでにウォータープールでのモックアップも行われておって、ここから得られた資料というのは付与された上でこの審査委員会にかかっておるのに、明き盲同然にすいすいと通っておるわけですね。いままで電力開発関係でもすでに発電炉がつくられるのは、上がって落ちたことはないんでしょう、こういうのは。実際自力開発と言いながら、ウェスチングハウス社からもらってきたものをつくって翻訳をして資料を出して、そこへいって原子力委員さん、まあそう言っちゃ何だけれども、そこのところへいって人の知らないことをそれで初めて読んで勉強して戻ってくるようなもので、実際いまの安全審査体制というのは出せば素通りをするようになっておって、そして事故が起これば、アラームが鳴ったから安全だというようなことを言うのが今日の体制になっておる。ここの見直しを抜きにしてこれの教訓を生かす道はないと、私はそのことを強調しておきたいと思うわけであります。  「むつ」の問題については明らかに途中の過程から自主開発の姿勢を投げ捨てて、炉だけつくると言いながら、これを三菱に任せれば大体ウエスチングハウス社から大抵のノーハウはもらえるだろう。これは天下周知の事実ですね。こういうふうに思っておったら、米海軍から苦情が入って、来るべきものが来なかった。そこでこういうものをつくることになった。あとは緩衝の装置であれ、輸入品であります。こういう自力開発の根本を怠って、大きく批判をされておる六〇年代前後のエコノミックアニマルといわれる姿勢が、完全に原子力行政の中を、業界主導で汚染をしておる。こういう状況に対する見直しがなければ根本的な見直しにはならぬ。そのことについて露骨ではないけれども、さまざまな領域触れかりておる問題、先ほど言われたように、私は長官、この問題について、一つ一つ提起をされている問題に克明に当たってやってもらわなければならぬと思います。何としても「むつ」の問題とそして原発の問題、もとは一つである、まあこういったふうな点ですね、これを強く要求をしておきたいと思うわけであります。  次回には特に大山さんを初め参考人にも出ていただいて、これらの書かれた趣旨等についてさらにつぶさに聞く機会もありますので、本日はここでとどめます。
  158. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  159. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) この際参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、次回の委員会参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、日時、人選等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会      —————・—————