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国務大臣(
佐々木義武君) 御
質問は、母港がどうなるか、「
むつ」
自体をどするのかという二つのように考えられますが、前者の母港の選定問題でございますけれ
ども、これは詳しく申し上げるまでもなしに、四月の十四日までに決めたいというので、いま
お話しになりましたように、二十数カ所の中から自然的な条件あるいは社会的条
件等を考慮してここが一番よろしかろうというので、私と運輸大臣の間で第一次の選択をいたしまして、そして
新聞でも御
承知のように、長崎県の対馬の個所を選びまして、政治問題にも関係ある大変な問題でございますから、地方選挙も済んで、地方の議会の議長その他の構成も決まって各議会も開けるというふうな
状沢を待ちまして交渉に入ろうといたしました。正式交渉に入るに先立ちまして、非公式に、何と言っても地元の国
会議員の皆様に事前に打診するなり御了承得るのが、これが政治の道かと存じまして、自分の知らぬ間に自分の選挙区の足元へ来ていろいろ動き回るということでは、これはその県の選出代議士といたしましては国
会議員といたしましてはたまったものじゃあございませんから、これは事前に仁義を切ろうというので、自民党の方から始めまして民社、社会党まで参りましたところが、問題が起こりまして、公明党さんの方まで実は話に行く前に
現地では漁民の皆様大変な反対運動になりまして、
新聞でも御
承知のように、知事さんから客観情勢がこうなった上は無理に正式交渉というものはこの際やめて、一応白紙還元ということで事態を見守ったらどうですかという
お話がございましたので、もちろん私
どもも
むつの問題でこりてますから、もう一度力でどうこうするというふうな
態度は一切この際排除して、地元の納得得た上でということでただいま静観中でございます。ただ、静観中と申しましても、何にもせずにというのではございませんので、いろいろまた自分のところはどうだろうと言ってお勧めに参る方もございますので、そういう点も考慮しつつ、実はただいまいろいろと非公式な打診等を続けておる最中でございます。
見通し、いかんという問題になりますと、従来の
行政サイドで中央
政府あるいは地方政権と申しますか、地方自治政権との間に話が決まればそれで問題は処理できたという性格のものでありますと、大変やりいいんでございますけれ
ども、いまはこの問題はそういう処理では満足いたされません。それがまた円満におさまった証拠にもなりませんので、あくまでも地元の関係者と申しますか、特に漁連関係等が一番関心深うございますから、そういう人たちもあわせていろいろ御納得、御理解をいただいてその上で円満に母港を決めかい、こういうことでございますので、私
どもの希望どおり早急に進み得るかどうか、これからだんだん問題が深まってきませんとまだ何とも一言えませんけれ
ども、しかしできるだけ早い機会に決めたいという念願でただいま進めつつございます。
それから「
むつ」の将来の問題でございますけれ
ども、これは御
承知のように「
むつ」はいわば実験船でございまして、本来であれば、去年ああいう
事故が起こらなければあのまま実験航海に出まして、そうして大体おおむね二年くらいの実験を了して、その上で本来のと申しますか、実験々終えた後で鉱物の運搬等の任務につこうかということになっておったんですけれ
ども、その実験船としての性格はもちろん変らぬのでございますし、また
世界で四番目の
原子力船でございますから、商船でございますから、大変
技術的にも
世界の注目を浴びているものでございますし、また
日本といたしましても将来
原子力船時代を考慮いたしますと大変貴重な第一歩でございますから、
お話もございましたように、いままでの禍を転じて福となして、そうして「
むつ」そのものが本来期待されました国民の期待に沿えるように今後改善、総
点検をいたしまして、そうして実験に入り、またその後の任務につきたいと、これが私
どもの実は念願でございまして、母港の選定もさることながら、「
むつ」そのものをどうするかというのが本体でございますので、県の方にも、先ほど来
お話がございましたように、鋭意力を注いでいる最中でございます。