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1975-06-25 第75回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十五日(水曜日)    午後一時十六分開会     —————————————    委員異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      渡辺  武君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         古賀雷四郎君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鈴木美枝子君     委 員                 岡田  広君                 佐藤 信二君                 柴立 芳文君                 高橋雄之助君                 亘  四郎君                 川村 清一君                 戸叶  武君                 野田  哲君                 二宮 文造君                 小笠原貞子君                 立木  洋君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        外 務 大 臣  宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君    政府委員        沖繩開発庁総務        局長       山田  滋君        沖繩開発庁振興        局長       井上 幸夫君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省条約局長  松永 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君        常任委員会専門        員        服部比左治君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    伊藤 圭一君        防衛施設庁施設        部首席連絡調整        官        奥山 正也君        防衛施設庁施設        部施設対策第一        課長       宇都 信義君        文部省初等中等        教育局地方課長  浦山 太郎君        文部省管理局教        育施設部長    柏木健三郎君        水産庁海洋漁業        部長       松浦  昭君        水産庁研究開発        部長       佐々木輝夫君        労働大臣官房参        事官       石井 辰治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (北方領土及び安全操業問題に関する件)  (在沖繩米軍に関する諸問題に関する件)  (沖繩水産業等振興開発に関する件)  (沖繩における基地の整理統合問題に関する件)     —————————————
  2. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 川村清一

    川村清一君 私は、質問に先立ちまして、一言宮澤外務大臣に申し上げまして、大臣の御見解を承りたいと存じます。  外務大臣は、本委員会に対しまして、二月二十八日の委員会出席されまして、大臣が一月の十五日から十七日までソ連を公式訪問して、グロムイコ外務大臣との間でいろいろ平和条約の問題やらその他、日ソ間にある諸問題についてお話し合いをしてきたという報告を中心にいたしまして、所信表明をなされたわけです。所信表明をなされた以上は、われわれ委員はこの大臣所信表明に対しまして、いろいろお尋ねをしなければならないことがあります。これは川村個人質問するのではなくして、日ソの問題、北方領土の問題、懸案のいろいろな問題について関心を持っておられる国民の皆様がそれを期待し、国民にかわって私ども質問するわけでございますが、しかし、それ以後今日まで数度本委員会が開かれましたけれども宮澤外務大臣は一度も御出席されない。所信表明をしておきながら一度も本委員会出席されて、われわれの質問にお答えする機会を持たれなかった、私は、率直に言ってはなはだ遺憾であるわけでございます。  私は、実はこの参議院に沖繩及び北方問題対策特別委員会という委員会が設立されまして以来、もう今日まで一貫してこの委員会に所属しております。したがいまして、歴代外務大臣にいろいろお話も伺い、議論もしてきたものでございますが、歴代外務大臣もなかなかこの委員会には姿を見せられないのでありますけれども宮澤大臣のようにこの国会中ほとんどおいでいただけない。きょうの委員会は今国会における最後の委員会でございますが、   〔委員長退席理事稲嶺一郎着席〕 ようやくおいでになった。それも私が数回にわたって委員長に督促をいたしまして、強く希望を申し上げて、それがようやく実現したということであります。これは、大臣はそういうふうに思ってはいらっしゃらないかもしれませんけれども、客観的に見るというと、北方領土問題等につきましては、軽視だとは申し上げませんが、余り強くお考えになっておられない、こう受け取られてもしようがないことではないかと私は思うわけでございます。戦後の未処理の問題でただ一つ残っておる北方領土の問題でございます。サンフランシスコ条約体制の中でただ一つ残っておる問題でございまして、これはもう本当に国家的な問題であり、全国民関心を持っておる問題ではないかと私は思うわけでございますが、にもかかわらず、本委員会出席されない大臣、もちろん外務大臣は非常にお忙しい体であることは十分承知しております。いろいろな国際会議にも出なければなりませんし、外国のお客さんにまたお会いをしなければなりませんし、特に今国会におきましては核拡散防止条約といったような大きな法案を抱えていらっしゃるわけでありますから、大変だとは思いますが、だからといって一回も出られなかったという大臣に対するわれわれの考え方、これは客観的に認められるだろうと私は考えておるわけでありますが、この際大臣の率直な御所見、御見解をお伺いいたしたいと存じます。
  5. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 当委員会に今日まで所信表明を申し上げましてから後、出席をいたすことができませんでしたことは申しわけないことに思っております。ただいま川村委員も御指摘されましたように、両院におきまして今回多数の条約の御審議をお願いをいたし、また一月の日ソ、四月の日米等々、外相会談などを幾つかいだしておりまして、その間、外国わが国における協議首脳来日等々がございまして、決してなまけるつもりであったのではございませんが、今日に及びましたことは申しわけないことと存じます。もとより北方領土問題について熱意を欠くというつもりでありませんことは、川村委員も御推察をいただいておりますとおりでございます。今日まで出席できませんでしたことは、私としても残念なことに存じております。
  6. 川村清一

    川村清一君 それでは、大臣が本委員会におきまして所信表明をなされました事項につきまして、時間の許す限り、若干の御質問を申し上げたいと存じます。  まず第一点、お尋ね申し上げたいことは、大臣のこの報告書の中にこういう言葉がございます。「私より、一昨年秋の日ソ首脳会談の成果を踏まえ、ソ側に対し歯舞色丹国後択捉四島の返還を強く求めました。これに対してグロムイコ大臣は、領土問題は解決済みとの態度を一度も示さなかったわけでありますが、同時にわが方に対し現実的態度で本問題を解決すべきである旨を主張しました。」と、こういう御報告がございますが、これはどういうことなのか。すなわち、「領土問題は解決済み」という態度は示さなかったけれども現実的態度で本問題を解決すべき旨主張しました、「領土問題は解決済み」ということと、現実的態度で本問題を解決すべき旨と、これはどういうことなのか、御説明をお願いいたしたいと存じます。
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 従来、過去の時点におきまして、ソ連としては領土問題というようなものはもうないのであるということをいっておった時点があるわけでございます、もう済んでおると。しかし、この私の一月の訪ソの際には、そのような態度はとらなかったわけでございますので、領土問題というものは両国の間に一切存在しないというふうには、ソ連側は少なくともそういう表示はいたさなかったということでございますけれども、それならば具体的にかくかくの問題があるからそれをこのように解決してはどうかということを申したかと申しますと、さようでもございません。そうでもございませんで、いわゆる現実的に処理をすることがいいということをいっておるわけでございます。その現実的という意味をめぐりまして、若干の議論がございました。私の申しましたことは、これから二十一世紀への展望に立って両国協力をしていくと、そのためのわだかまりを除いておくということが将来に向かっての真に現実的な態度であるということを私の所信として申しましたのでありますけれども、それに対しましては、ソ連としては同調を示してはおりませんで、いろいろやりとりから想像をいたしますと、いわば第二次大戦後の現状というものについて変化を加えるということは、ソ連立場から見て現実的に好ましいことではない。あるいは、いわゆる現実的な態度とは思えないというふうなことであろうというふうに私は類推をしておるわけであります。これは長いこと議論をいたしておるわけでございますけれども現実的とは何かということについて、ソ連側考えていることについて私は十分に理解をし得ないままで、このときの会談は終わっております。
  8. 川村清一

    川村清一君 この報告書を読んだ限りにおきまして、読んだ私としての受け取り方は、従来主張しておった領土問題はすでに解決済みという態度から、現実的態度で本問題を解決しようじゃないかというふうに変わってきた。そこでこのことは、文章からいえば一歩前進したということで委員会報告されておるのではないかというふうに受け取ったものですから、外務大臣は、この解決済みということから現実的に解決しようじゃないかという主張ソ連側態度が変わったのだ、前進したのだ、こういうふうに受けとめていらっしゃるのか、いままでと同じだというふうに受けとめられていらっしゃるのか、そこをお尋ねしたいわけです。
  9. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) かつて、領土問題というものは解決済みであって、そのような懸案両国の間にはないのだととれるような態度であった時代に比べますと、ともかくもこのような問題が、第二次大戦後の諸懸案一つとして存在をしておるということは暗黙には少なくとも認めたということになろうと思います。また、私の一月の会談の主たる問題もこの問題であったわけでございます。現実にこの問題について議論をしておりますから、問題がないという立場であれば、この問題についての議論は行われ得ないはずなのでありまして、及び、今年は来日をして諸懸案の話を続けようといっておることから見ましても、問題が全然存在しないという基本的な立場ではないということは確認をしております。したがって、それはかつてのソ連態度から比較いたしますと、まず前進と申せば前進と申し上げることができるのかもしれません。しかしそうならば、その問題の解決をどうするかということになりますと、私どもが志向しておるところと、グロムイコ外務大臣の言っておりますところとは、はなはだ相隔たること遠いのでありまして、ここから問題打開糸口が発見できたというふうには私としてまだ申し上げられない、そういう状態であったと思います。
  10. 川村清一

    川村清一君 ソ連側の今日までの変わらざる主張というのは、領土問題はすでに終戦当時の諸法規国際法に基づいて解決しておるのだ、わが方の関知しないヤルタ協定というものを大きく取り上げ、あるいはカイロ宣言ポツダム宣言、そしてソ連が調印しておらないサンフランシスコ条約、こういうものを取り上げて、それらの国際法に基づいてすでに解決しておるのだ、これがもういままでの主張であり、さらにこういうこともいっている。戦後の新しい秩序、これを変更することは好ましくない。新しい秩序とは何か、こういう国際法規によって決まったいわゆる国境線、これは日本ソ連だけではないわけであります、ソ連と中国との問題にもあり、ソ連とあるいはフィンランド、ヨーロッパの国々ともある。この新しい秩序を変更することはうまくない。これが現実である。いわゆる戦後できた新しい秩序を守るのだと、これが現実的な態度とまあわれわれは受け取っておったんですが、いまこの報告を見まして、領土問題は解決済みという従来の主張、しかも戦後できた新しい秩序、これが現実である。この現実を守ろうとするソ連主張、ここには言葉が違っても内容的には変わりはないんではないか。したがって、一歩も前進しておらないではないか、私はそう考え大臣お尋ねしているんですが、私の考え大臣考えとの間にずれがあるかどうか、あれば御説明をいただきたい。
  11. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 川村委員の御指摘と私の理解しておりますところとそんなにずれが私はあるようには実は思っておりません。ただ、わが国立場から申しますれば、もし領土問題というものがもう存在していない、一切片づいておるというソ連側基本的態度であれば、モスクワで二日間この問題をお互い議論をしておるわけでございます。私だけが申しておるわけではございませんので、そういう問題はないという立場ならば、そのような議論は実はあり得ないことになる筋合いと存じますし、また、懸案を引き続き議論するために一九七五年には日本を訪問しようという約束そのものも、その観点からは余り意味を持たないことになるはずでございますので、したがいまして、その点ではソ連もこの問題は全く存在していないという態度とは総合的に受け取りにくい、問題があることは認識しておると考えるべきではなかろうかと存じますが、さりとて、それならどういう解決糸口が発見できたか、あるいは現在発見できておるかということになりますれば、いわゆる現実的という問題に返ってしまう。大体におきまして川村委員のおっしゃっていらっしゃいます認識と私の理解とはそう遠からぬものと存じますが、問題があるという認認だけはソ連も持っておるという点をどのように解釈いたしますか、そこのところで開きがあると言えばある。しかし、相対的に先方がおいそれと問題はわかったと、ひとつお互い解決策考えましょうといったような態度でないということは、川村委員の言われますとおりでございます。   〔理事稲嶺一郎退席委員長着席
  12. 川村清一

    川村清一君 一九五六年の日ソ共同宣言のころの態度とはどうでしょうか、この領土問題、日本返還要求する領土日ソ共同宣言によれば歯舞色丹返還平和条約締結国後択捉は返さない。こういったような線から少しでも変わってきたかどうか、この点はいかがでございますか。
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 日ソ共同宣言の第九項にそのような趣旨のことが書かれておりますが、私どもとしては、このような中途半端な解決はいまのわが国立場からして必ずしも好ましくないというふうに考えておりますので、この問題について私の方から触れたことはございませんでした。先方も触れたことはございませんでした。
  14. 川村清一

    川村清一君 いずれにいたしましても、この問題は非常に現在なおむずかしい、両者の間には厚い壁が存在しておる。田中総理もわざわざ行かれましていろいろ交渉された。ことしの一月には宮澤外務大臣が行っていろいろ折衝された。しかし、なおこの厚い壁を破ることはできなかったし、破るという一つの何と言いますか、方法と言うか、現実的な具体的な希望、こういうことも現在はまだ持てない。こういうふうに私ども理解してよろしいかどうか。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本件につきましては、いわゆるソビエトの現実主義というものを私も十分に理解をしておるわけではございませんけれども国際情勢展開あるいはその他の情勢変化によりましては、その現実的なる態度というものは変化し得るものではないかとも考えられます。われわれとしては忍耐強く、したがってこの交渉を続けていかなければならないというふうに考えております。
  16. 川村清一

    川村清一君 その変化を求めるという、どうして変化させるかという、これは変化するのを黙って待っているのか、期待して待っているのか、変化させるようにこちらから能動的に働きかけるのか、どちらでございますか。
  17. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の申し上げますのは、幅広い国際情勢一般変化、たとえば、かつての冷戦がやや緊張緩和に向かってきたというような大きな変化の中でという意味に主として申し上げておるわけでありまして、わが国側から何らかの譲歩によって変化を引き出そうという考えは、私はただいまのところ持っておりません。
  18. 川村清一

    川村清一君 国際情勢は、中ソの対立抗争が相当熾烈になってまいっておるようでございますが、このことはメリット、デメリット、そういうことと関係なく、一体この問題解決のためにどういう影響がある、非常に微妙なことですから私もはっきり申し上げられませんが、大臣もはっきり余り言えないかもしれませんが、どういうお気持ちを持っていらっしゃいますか。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 非常にむずかしいお尋ねでございます。ことに、この北方領土問題はわれわれにとりましてはいわゆる条件闘争といったような性格のものでございませんので、われわれが何かによってこちら側の態度変化させて情勢展開を図るという種類のものではないというふうに私は考えております。したがって、ただいまの中ソの関係というものが好ましい状態でないということが、この問題にすぐにどういう影響を及ぼすかということを申し上げにくいわけでございます。一般論といたしまして、中ソが円滑な関係にないということは、やはり世界平和全体から申しますれば、これは決して喜ばしいことでないというふうに申し上げるべきかと存じます。
  20. 川村清一

    川村清一君 北方領土の問題を解決するためにも、私はやはり中ソの現在の関係、これは現実の問題として存在するわけでありますが、日本としてはいわゆる敵視政策の中には入るべきではない、あくまでも自主的な立場において問題を解決するために努力すべきである。日ソ親善友好関係はますますこれを広げていかなければならない、深めていかなければならない、かように感じますとともに、たとえばシベリア開発であるとか日ソ経済協力であるとか、こういう問題、田中総理時代は何か積極的に進められておったようなふうに感じておりましたが、三木内閣になられてから、もちろん内政に重点を置いて苦労されておりますからこれも仕方ないとは思いますが、宮澤外務大臣にしても、どうもその点後退してきたような感じを率直に受けるわけでございますが。いかがでございますか。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは私どもの基本的な態度が変わってまいったとは思っておりません。情勢は確かに変わっております。情勢が変わっております一つの事情は、いわゆるチュメニ開発計画について、もともとこれはいずれプロジェクトの場合も、わが国体制からいたしまして、民間においてソ連側といろいろ接触をし、そして好ましい、望ましいという判断に達しました場合に、政府がそれをどう判断し、どれだけの金融的な援助ができるかという、そういう種類の問題でございますけれどもチュメニについていろいろ民間関係者が検討した結果、どうも当初伝えられておったような希望の持てるプロジェクトではないというような、少なくともいまの段階ではそういう結論になっておるようでございます。したがって、政府援助をするといたしましても、もとになります民間側見方がそのような見方になってきておるように存じます。  それを除きましては、従来から考えてこられましたプロジェクトは、進むものはほぼ順調に進んでおるわけでございますけれども、たまたま米ソ関係、ことに米ソ通商関係に御承知のような米国の、主として議会でございますが、一つ変化がございまして、われわれが米国と提携をしてやろうと、ソ連もそのように考えておりましたところのある種の探鉱事業等々につきましては、米国側の動きがそこで一応とまってしまっておる、そういう関係がございまして、それとの関連で話が進行をとどめておる問題が一つございます。これもしかし、情勢変化によりまして、再度条件さえ整えば、これはわが国民間としてはむしろやりたいと考えておるプロジェクトのようでございますから進行する可能性がございます。その他のものはほぼ従来の計画どおり進行いたしております。  したがいまして、総括して申し上げますと、この点はわが国政府のいわゆるシベリア開発共同開発について基本的な態度が変わったのではございませんで、政府としては民間側がよしと考え、しかも政府自身がリーズナブルなプロジェクトであると考えますときは支援体制に出ようと思っておりますことは、従来と変わりがございません。
  22. 川村清一

    川村清一君 時間の関係がございますので、余り深めていろいろお話し合いすることができないのは残念でございますが、今度はもっと具体的な問題についてお尋ねいたします。  報告書にこういう報告がございます。「第三に、私とグロムイコ大臣との間では、このほか安全操業日本近海におけるソ連船の操業問題、未帰還邦人問題、墓参問題等の二国間問題に関する協議を行いました。」、これが現実的な問題でございますが、これに関連してお聞きします。  第一に安全操業の問題。これにはこういうことが書かれております。「私からは、まず安全操業問題を取り上げ、北方水域における拿捕という不幸な事件をなくすため、人道的立場よりこの問題に関する交渉を促進するようソ連の善処を促すとともに、抑留中の漁夫全員の釈放を強く要請しました。」。  そこで、この安全操業の問題でございますが、これはぜひ実現していただかなければなりませんが、この問題解決のために大きな問題がある。何が一体こういう問題を起こす原因であるかと申しますと、何と言いましてもこれは領海の問題なんです。両国領海の問題なんです。ソ連領海は十二海里、日本領海は三海里。領土が返ってくれば問題でないですが、領土が返ってこない。国後択捉歯舞色丹、全部これはソ連領土ということに向こうはなっている。したがって、十二海里という領海がそこに引かれているわけであります。日本の漁船が十二海里の中に入らなければ拿捕されるなんということはないんです。拿捕されるということは、向こう領海の十二海里の中に入るから拿捕されている。ですから、拿捕されないためには要するに領土が返ってきて、日本領土になればこれは問題ない。岸まで行けるわけです。そこに問題があるわけですね。人道上の問題で確かにあるんですよ。あるけれども向こうだって国際法を無視して拿捕するなんということは絶対しないわけなんです。どういうふうにこの問題を解決するためにお話し合いをなさったんですか。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま川村委員の御指摘になりましたことは、この問題についてのソ連側見解についての正確な御解釈でございまして、つまりソ連側としては、われわれがそれに同意するという意味ではございませんし、川村委員もそういう意味で言っていらっしゃるわけではない。ソ連側の解釈というのは、ただいま仰せられたようなふうに考えておる。この領土は自分のところの領土であるから、その十二海里内は自分のところの領海である。したがって、われわれが安全操業ということを申しますことを先方は非常に好まないわけでございます。安全操業というのは、表現そのものがむしろ間違っておるのではないかと、自分の方の領海に入ってきて安全操業ということはないであろうと、ソ連でも法律は守らなければならないというようなことを言っておるわけでございます。現実にはしかし、われわれはわれわれの領土であると思っておりますから、どうしても問題はそこへ返ってきてしまう。そういうやりとりをこの問題をめぐっていたしました。  最近におきまして、先般イシコフ・ソ連漁業大臣が来られまして、安倍農林大臣と、これは漁業交渉を中心に会談があったわけでございますけれどもソ連としては、この問題について交渉がしかるべき時期に継続されるということを指摘したというふうに共同発表文に明記されております。でございますから、ソ連としてはこの問題、この問題という問題そのものの所在は知っておるわけですけれども、それを安全操業の問題だと言われることは自分の方の解釈としては素直にはそういうふうには考えられない、しかし、現実には問題は起こっておる、ああいう不幸なことであるというふうなことは、事柄としてはお互いに認識をしていないわけではない、それでありますから、しかるべき時期にこの交渉を継続しようということに共同発表文になっておるような、そういう経緯でございます。
  24. 川村清一

    川村清一君 これから両国話し合いいたしましてこの問題を解決しようといたしましても、領土が返ってくるとこれは問題ないんです。全部解決するんです。領土が返ってこない現状の中においてこの問題を解決しようとするからむずかしいんです。だからどうしようとなさるのか。向こうの十二海里を認めないという線でいくのか。いま大臣がおっしゃったように、安全操業というけれども向こう側にすれば国際法を違反しているわけではないわけで、領海に入ってきた船をこれを捕獲するわけです。日本だって沿岸領海三海里、この中へ入ってきたら当然拿捕するわけであります。こういう姿の中でどうやって安全操業を実現し、人道上の問題を解決するかということなんです。  先年——先年と言っても大分前ですが、赤城農林大臣のときに、赤城さんの試案というものをつくられた。すなわち、歯舞色丹、ああいう島々、沿岸から三海里のところに線を引いて、ここまで日本の漁船が入ることをひとつ認めてくれと、こういうような折衝をされたこと等もあるわけであります。したがって、外務省として水産庁などと十分話し合って、何とか具体的な案を持ってソ連と折衝する、そしてこの問題を解決する、そういう考えがあるのかないのか。ただそんなことを言っておったって、領土が返ってこないうちはこの問題は絶対解決しない、かように私は考えるわけですが、いかがですか。
  25. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) お答えをいたします。  ただいま先生が御指摘のとおりに、かつて赤城農林大臣とイシコフ漁業大臣との間で会談が行われまして、人道上の見地からこの安全操業問題というものを解決しようではないかということでお話し合いがございました。さらにその後、農林大臣間におきましては、櫻内農林大臣もこの交渉をなすったわけでございます。しかしながら、両者の間にいまだ開きがございまして、遂に結論を得ないままに推移をしてまいったわけでございますが、今般、イシコフ漁業大臣が六月に訪日をされました折にも、安倍農林大臣の方からこの話し合いを持ち出したわけでございます。しかしながら、この際にも、向こうもかなり上級機関等に諮って話をしなきゃならぬという状態もございまして、最後の結論が出るような話し合いが行われなかったわけでございまして、先ほど外務大臣からお話しがございましたとおり、共同発表の中で、「両大臣は、別途合意される水域における日本人漁夫の操業についての従来から継続されている交渉の問題を取り上げ」たということを確認いたしますと同時に、「この問題についての交渉が然るべき時期に継続されることを指摘した。」ということで、発表文をつくったわけでございます。したがいまして、これに基づきまして今後ともさらにこの問題の解決を図るべくできる限りの努力を尽くしたいというのが農林省の立場でございます。
  26. 川村清一

    川村清一君 ぜひこの安全操業が実現されるように、と申しますのは、北方領土返還は、これはもう日本民族の悲願でございますからどうしても返してもらわなければならぬ。返してもらわなければならぬけれども、あす、あさって返ってくる問題ではないんで、時間がかかる。その間、いわゆる北海道のあの辺の沿岸の零細漁民がしょっちゅう拿捕されて、こういう問題が起きておる。起きたって一体どっちが悪いんだ、客観的に見れば入っていった方が悪いんであって、これを解決するのはむずかしいんで、今日まで三十年もかかってなお解決されない。ですから、この点を十分認識されまして、外務大臣の折衝をお願い申し上げたい。  その次に、大臣報告書には、日本近海におけるソ連船団の操業問題に問題があります。これは昭和四十年代になってからずうっとこの問題が起きてまいりまして、私は数回国会でこの問題を取り上げている。特に、昨年の秋からことしの春にかけて、本当に、いままでかつてないような大船団が長期にわたって日本沿岸で操業して漁民に大きな被害を与えておる。そこで大臣が行ってグロムイコ大臣等の間でいろいろ折衝された、この点は私も高く評価するわけでありますが、先般、イシコフ漁業大臣が参られまして、安倍農林大臣といろいろ折衝されて、六月六日には両国のいわゆる漁業操業協定が締結された。その協定案は、この国会に批准案として提案されておる模様でございますが、引き続きイシコフと安倍農林大臣との間に共同発表もなされた。高く評価いたします。しかしながら、そのことによってこの問題は解決したか。先般の農林水産委員会で私はこのことを指摘したんです。ところが、この協定ができ共同発表がなされて何日もたたないで事件が起きている。これは六月二十一日の朝日の記事ですが、「浦河沖にソ連船団 北海道22隻 見守る漁民」という見出しで出ております。この浦河というのは私の町なんです。私の家はここにある。すぐ、北海道の指導連会長から長文の電報が来ておる。私の町の漁業協同組合長からも電報が来ておる。  ボセンニセキヲフクムソレンサバマキアゲセン  ダンヤク三〇セキガシユツゲンシ ゲンザイホ  ツカイドウヒダカシチヨウサマニオキアイ七カ  イリノエンガンカレイサシァミギヨバデソウギ  ヨウチユウ エンガンギヨギヨウシヤノギヨグ  ニソンガイヲアタエテイル カネテヨリヨウセ  イチユウノ一二カイリセツテイニソクジフミキ  ラレタクツヨクヨウセイスルこの問題は日本が十二海里領海宣言をしなければ解決しないんですよ、大臣。十二海里宣言をすると約八〇%ぐらいは解決する。安倍農林大臣はやはり漁民のサイドから行政を行いますから、ジュネーブにおける国際海洋法会議が終わったならば十二海里宣言をするということを農水委員会で約束されておる。しかし、これは農林省だけでできないことだからほかの省庁とも協議してやると、こうおっしゃった。ところが、聞くところによると、外務省が反対しているというじゃありませんか。外務省が足引っ張ってその宣言をやらぬと。とにかく、海洋法会議でもって結論が出るまでは現在の領海三海里を守ると。いま、世界じゅうで領海三海里なんかやっておる国が何カ国ありますか。この問題は、私が本院に出てきて昭和四十年以来今日まで、あるいは本会議において、あるいは委員会において、何回言っているかわからない。そして、総理大臣でさえ、現在、三海里なんというのは当を得てないから変えるようにいろいろ検討さしておるという御答弁をされておるにもかかわらず、いまなおこういう状態なんです。どうなんですか。外務省は反対して農林大臣の足を引っ張っているということを聞いておるんだが、それは事実かどうか。なぜ一体十二海里を宣言したら悪いのか。それは国際海峡の自由通航権の問題が絡んでいることも承知しているが、国際海峡の自由通航権というのが日本国民にどういう利益を与えているのか、なければどういう損害を与えるのか、こういうような観点からも私は理解できないわけです。外務大臣の御見解お尋ねいたします。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題につきましては、しばらく前に閣議で閣僚間の了解がございまして、それは海洋法会議の、ジュネーブ会議の終了より大分前でございますけれども、この十二海里の問題は、海洋法会議が最終的な結論を出すことができれば無論それに従う、もし、出すことができない場合には、政府としてはその段階においてどのように処理するかを改めて政府部内で協議をしようというのが閣議における閣僚間の了解でございます。  このことの意味は、領海十二海里につきましては、農林省、水産庁はもちろんでございますけれども、そのほかに外務省、防衛庁、法務省、運輸省、ちょっと考えるだけでもかなりたくさんの関係省庁がみんなおのおのの立場からこれにつきまして関心を持っております。かなり複雑多岐の問題でございますので、そのような閣僚間の了解をいたしたわけでございます。したがいまして、ジュネーブ会議が、海洋法会議がこの問題について最終的な結論を出すに至りませんでしたので、各省間の対処を改めて実は定めなければならないということにただいまなってまいっておるわけでございます。他方で、ジュネーブ会議におきましては、まあ領海十二海里というのは、これはそれ自身としては多数説になっておりますことは御指摘のとおりなんでございますけれども、他の条項といろいろなふうに、経済水域でありますとか、いわゆる国際海峡といったようなものの性格でありますとか、いろいろなものと相互に関連をしておって、海洋法会議がパッケージディールをその中で考えておるわけでございますから、関係各国に対して、今回の会議は最終的な結論に至らなかった、したがって、次の会議はニューヨークにおいて行うけれども、今回の会議で討議されたことを自分に都合のいい部分だけ勝手に実施してもらっては困るという実は合意といいますか、要請でございますか、議長からの要請があるわけでございます。そういうこともございまして、まあ確かにこの議長の要請はもっともなことでありまして、各国が自分の都合のいいところだけを先に実施してしまいますと、海洋法のような大きな各国間の利害をとにかく調整して一つのものにつくり上げようというときには、各国が最終結論が出ませんうちにいいところだけをやってしまいますとこれは合意ができませんので、議長の要請はもっともなことでございますから、わが国としてもそれを尊重したいという立場もございまして、政府間でなおただいまの問題は慎重に検討する必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  28. 川村清一

    川村清一君 それははなはだ私は言い逃れだと思うんです。そんなことはないです。大体アメリカにしろ、カナダにしろ、ソ連にしろ、あるいはもうラテンアメリカの国々はなおさらのこと、三海里なんという国が一体ありますか、この漁業先進国で。全然ないでしょう。二百海里あるいは三百海里なんと言って宣言している国もあります。みんな勝手にやっているでしょう。大体国連海洋法会議というのは一九五八年、一九六〇年、二回やっても決まらなかったじゃないですか。その後一体アメリカはどうしました。ソビエトはどうしました。カナダはどうしました。みんな勝手にやったじゃありませんか。勝手に宣言しているじゃありませんか。日本だけそんなことを言っているんじゃありませんか。そんなことは大臣通らないです。  もう話している時間がありませんからやめますが、まだ墓参の問題、日本人の帰還の問題、たとえば未帰還邦人の帰国問題について話し合いましたと言う、ならば未帰還の邦人が何人ほどいるか、どこにいるか、そしてどんな生活をされておるか、こういうことを一体調査されているのかどうかというような問題があるわけです。墓参の問題でもそうであります。いろいろ申し上げたいんですが、時間がありませんのでやめます。  しかし、最後に一点だけ申し上げて、大臣のお考えを聞きたいんでありますが、この北方領土返還の問題は、これは大変な問題でございます。沖繩日本人が住んでおったから何とか問題が解決いたしました。返還の国論というものが沖繩を中心にして全国的に盛り上がった、それを背景にして政府交渉して実現した。だが、この北方の領土には日本人が一人もいない。全部強制的に立ち退かされまして一人もいない。したがいまして、島の中から運動が起きてこないという、そうしてまた、北辺の地でありますから、全国的にも国民関心余りない。世論が盛り上がってこない。したがって、強力にソ連と折衝するいわゆるバックの力が弱いということ、これはやはり実現を困難にしている大きな理由だと思うわけであります。歴代外務大臣はこの北方視察に一度も行っていらっしゃらない。ですからせめて宮澤外務大臣、一度根室へ行って納沙布岬の先から北方の島々をひとつ見ていただきたい。そのことによって、これはどうしても返還を実現しなければならないという気持ちが大きくあなたの胸の中に生まれてくると思うわけであります。佐藤元総理大臣が、沖繩が返らなければ戦後は終わらないという名文句を吐かれましたが、宮澤外務大臣も一度北方へ行かれて何か名文句を吐かれて、そして国論が盛り上がる、その口火をひとつつくっていただきたい、このことを私は強く要望したいんです。  それからもう一点、それは北方領土ソ連の手に入ってからすでに三十年、当時一歳の子供もすでに三十歳、どれだけの人がいるかわかりません。私は三年ほど前サハリンに行きまして、昔の真岡、私の住んでおったところですが、真岡、本斗、野田、豊原、いまユジノサハリンスクといいますが、そこへ行ってみました。もちろんみんなソ連の人たちが、子供、若者たくさんいるんですよ。あそこで生まれた人がたくさんいるわけだ。それはその人たちにとってはもうすでに故郷になっている、ふるさとになっている。いかにソ連が社会主義の国といいながら、やはり民意を尊重しないで勝手に返すとか返さないとかということもなかなかむずかしいと思うわけであります。あの土地に生まれ、あの土地をふるさとにしておるソ連の住民がもうたくさんいるということ、この人たちは潔く日本に返すことを恐らく賛成はしないんではないかと思うわけであります。でありますから、この問題は長引けば長引くほど私はむずかしくなると思う。できるだけ早期に解決するように一段の御努力を願いたいと思う。  以上、申し上げまして、簡単に所信一言だけ述べていただきたいと存じます。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま御指摘の点はまことに私はごもっともであると思います。とにかく今後の日ソ、将来に向かって本当に協力をし合いますならば、両国とも大きな仕事を一緒にもできる力を持っておる国でありますが、にもかかわらず、この北方領土の問題が解決いたしませんために、国民ソ連に対する気持ちが釈然としないということは、わが国にとりましてもとより不幸でありますが、ソ連にとりましても私は決していいことではないと思います。ソ連がこの問題の本質をよく認識されまして、そしてそれによって領土返還が行われ、日ソ間に平和条約が結ばれるというために、私ども最大の努力をいたさなければならないと思っております。
  30. 二宮文造

    ○二宮文造君 話が北から南へ飛ぶわけでありますが、大臣の所見を若干お伺いしたい点があります。  それは御承知のように、沖繩に米軍基地があるのではありませんで、米軍基地の中に沖繩がある、こういうふうな理解でいま沖繩の人が非常に問題にしている点があるわけであります。御承知のように、沖繩にあります米軍の関係者は、軍人、軍属家族を含めて六万人を超えました。これは沖繩全人口の、県民人口の六%、あるいは基地の面積は御承知のように全沖繩の陸地面積の一二%、沖繩本島の四分の一を米軍基地で占めております。こういう関係で、しばしば問題になりますように、沖繩では、たとえば伊江島の米兵の発砲事件だとか、あるいはアメリカ兵による少女乱暴事件だとか、さらにはMPによる民間人の連行事件とか、こういう事件が相次ぎます。その都度、地位協定をめぐる問題がクローズアップされてくるわけです。一般に県民の皆さんの理解は、安保条約と地位協定というその性格は、あくまでも米軍の行動を容認する立場で貫かれている。したがって、米軍基地があるがゆえに発生する県民の被害を歯どめする役には立っていない、こういう一般的な考え方で県民はこの安保条約ないし地位協定を見ているわけです。こういう県民の受け取り方、大臣どう思われますか。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 地位協定そのものは権利義務を定めてありますので、これはただいま二宮委員指摘の両面がありますことは、これは明らかであろうと存じます。しかしながら、沖繩におきましては、いかにもただいまの御指摘のように基地が多い。しかも、その他の県に比べますと沖繩県に配備されます米軍のいわゆる軍紀というものが、どうも過去の経験から照らしますと他の県のそれに比べて十分でないのではないかと思われる点がございます。そういうこともございますし、また、長く米国施政下にあったということもありまして、沖繩県民が基地について特殊な感じを持っておるということは私どもよくわかります。また、まことにそれは同情にたえないところであって、できるだけ基地の整備もいたしたいし、また、駐留しております米軍にも少なくとももっと軍紀を粛正してもらいたいとも思いますし、また、わが国の警察の整備もことに基地周辺にはいたさなければならないと、かように考えております。
  32. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣国会での答弁なりあるいは政府の方針なりを考えますと、私どもは異論とするところですが、まず、安保は堅持をする、こういう姿勢ですね。それから地位協定はNATOとの関連があってこれも変更が不可能だと、こういう姿勢を貫いております。したがって、大臣はただ運用の面で、やはり是正を加えるべきものは加えなければならない、こういうようなことも二、三おっしゃっている面もあるわけでありますけれども、したがって、この地位協定の運用の問題としてしばしば問題になりますことは、たとえば沖繩の県民と米軍との間で事件が起こるたびに地位協定との関連で判断の基準になります日米合同委員会の合意メモ、この資料の提出を関係者は求められているわけですが、この合意メモというものは、これは伺ったところによると膨大な範囲にわたり、何ですか、三十五項目、千点以上もの合意メモがあると、こういうようにいわれておりますが、事件が起こりますとその合意メモが一応その解釈の実例になるわけですね。それが資料として提供されてない、またされようとしない。これやっぱり外交上の秘密文書という見解で資料の提供をされないんでしょうか。この点いかがでしょう。
  33. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 御承知のとおり、地位協定の実施に関しまして日米相互間で協議を必要とするすべての事項を処理するために、日米合同委員会というものが設けられておりまして、この合同委員会は二週間に一回定期的に会合いたしまして、その実施に関する問題についていろいろと話し合っておるわけでございます。そしてその話し合っておる中で、特にはっきり合意しておくべき事項については、一応の文書の形にいたしまして残しておるわけでございます。そしてこれは、この問題を取り扱うようになりましてから最初の了解として、日米両国の間でこの合意の文書に関しては不公表の扱いにしていこうということになっておるわけでございます。そういう約束になっております関係上、その合同委員会の合意文書に関しましては、その全文を公表するということはいままで差し控えさせていただいておる次第でございます。ただ、そこで扱っております問題の中で、国民の一般にお知らせ申し上ぐべきような問題につきましては、アメリカ側の了解も得た上で、その要旨は随時国会に提出しておる次第でございます。  それからさらに、たとえば施設・区域の提供に関する合意というふうな問題に関しましては、主要点を官報に告示をいたしておる次第でございまして、この合同委員会の合意の重要な問題点はすべて公表いたしておるというふうにわれわれとしては考えております。
  34. 二宮文造

    ○二宮文造君 必要な部分は大体公表しているというような理解でいらっしゃるわけですけれども、たとえばある種の事件が起こりますね、沖繩で。そうしますと、国の出先機関あるいは県の警察、これらも地位協定やそれに基づいた日米合同委員会の合意メモの細部については、出先機関も県警も掌握していない。一つ一つについて、問題が起きるたびに本庁や外務省に指示を仰ぐ、こういう形になっているんですが、これはどうでしょう、こういう実態になっている。この点、何か矛盾感じませんか。
  35. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) いま仰せられました問題は、たとえば刑事裁判管轄権の問題とか警察に関する問題かと存じますが、この点に関しましては、詳しい合意文書の要旨を発表しておるわけでございまして、現地の警察なり検察庁なりも十分承知しております。ただ、やはりこれもいろいろな事件が起こりますから、それの処理の仕方については従来いろいろな例もあります。ことに、沖繩の場合には復帰後三年でございまして、従来本土においてやってまいりました取り扱いぶりについて十分現地で承知しておられない点もあると思いますので、現地の方から本省に問い合わせるということは間々あるとは思いますけれども、そういうふうな処理の仕方はされておりますけれども、重要な点については、国会に提出いたしました資料においてすべて明らかになっておる次第でございます。
  36. 二宮文造

    ○二宮文造君 押し問答になりますがね。県民の皆さんは、また関係者の方は、やはり国民に知らされない基準で国が判断をして、結果だけを国民に押しつけると、こういうことになっていないかという、その不合理性を県民の皆さんは非常に不満とし、この是正を強く望んでおります。  ところで大臣、六月三日の外務委員会で黒柳委員質問に答えられまして、いわゆる運用の問題ですね、運用の問題に一、二やはりこれは検討しておりますと、こういうふうな答弁を大臣されておりますが、この運用の是正の問題ですね、具体的にどういう項目、こういうことを話し合いの場にのせようとしているのか、差し支えなければ御答弁いただきたい。そのときは、外交上のまだ詰めはしてないということで、ちょっとあとはもにゃもにゃっとしておりますが。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは確かにそういう御答弁を申し上げまして、米側との間で幾つかの点を協議してみようということになっておるんでございます。それは、たとえば、米側が身柄をいわば留置いたしまして、そして本人が起訴をされたときには引き渡すというようなことがあるわけでございますが、日本側が起訴を非常に速やかにすることができますれば、身柄は直ちにこちらに引き渡されるということなんでございます。したがいまして、こちら側にも何かその間の処理を急ぐ工夫がないものかというようなことが一点ございます。米側の立場を聞いてみますと、米国の軍人が軍事的な裁判を受けて、そして仮に有罪になる、あるいは他国の裁判で有罪になる、これはいずれにしましても自国の最高裁、上級法廷で争われ得るのが米国の法制と存じますが、わが国もそうでございますが、その場合に米国政府あるいは米国軍が、本人に当然与えられておる権利を、法律あるいは協定に違反して放棄したというような事実が出てまいりますと、被告そのものは、政府側の従来の案件についての取り扱いについて、政府側に違法があった、法を守らない行為があった、あるいは協定を守らない行為があったということを証明いたしますと、そのケース全体が免訴になってしまう。免訴という言葉は非常に正確な言葉でないかもしれませんが、そういうことがございます。わが国にも幾らかそういうことがあるわけでございますが、したがって、米軍当局あるいは米政府当局としては、法律なり協定なりに非常にはっきり定められておることは、やはり被告のそういう意味での立場を、将来政府側の瑕疵ある行為として指摘されないためには、勝手なことができない、こういう立場が米側にあるらしゅうございます。聞いてみますと、それなりに話はわかることでございます。そんなこともございまして、私が黒柳委員にあのときに、協定の明文に違反しないという範囲でお互いに改善の余地がないかと運用をお互いに研究しておりますと申しましたのは、そのような意味が含まれておったのでございます。まだ両方の話が詰まっておりません。
  38. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまのいわゆる捜査権だとか裁判権の問題、これもやっぱり事件が起きるたびに、結局県民は一方的に犠牲を強いられている、こういうような理解で受け取っているわけです。したがって、この問題も運用に関する面で是正ができるならば、まあ大臣もせっかく努力をされているようですから、そういう面ですっきりした形に話を進めていただきたい。  その他、沖繩の各種団体では、いろいろなケースを指摘しているわけです。たとえば、米軍の構成者の私用品だとか、PXなどで販売する物品の輸入関税は御承知のように免税になっております。ところが、やみで市場に流れて、基地外に流れて民間市場を混乱させる、こういう問題もやはり沖繩では県民生活を乱すものとしては大きな問題として考えられています。  それからさらに、米軍の構成員や米軍の航空機、船舶の外国からの出入りは御承知のように自由です。したがって、それが麻薬など禁輸品の密輸ルートに利用されまして、これが沖繩の犯罪の根源になっている、こういう問題も一つ大きく沖繩の人たちは心配しているわけです。  それから細かいことですけれども自動車税、こういうようなのは米軍の関係者は無税です。日本の税法の適用を受けない特例の措置がとられている。  さらには基地内の水道料が特恵措置がとられているというようなことで、これもまた地方財政なりそういうものに大きな影響を与えている。だから、国が勝手に地位協定で免税にした、これはその地方公共団体の課税権を剥奪するものだというようなことで、地方公共団体はこの点についても不満の意をあらわしております。  さらにはまた、安保と地位協定によりまして、米軍の施設・区域の管理運営権は米軍にあります。そして県や市町村の基地内の立入調査は、米軍当局が認めない限りこれは実施できません、向こうに運営権があるわけですからね。ところが、これが県の土地利用計画やあるいは地籍問題解決の大きなネットになっている。最低限これらのことぐらいは、具体的な違反行為、あるいは違反行為だけでなく、これからの沖繩の土地利用、こういう新しい開発という面を考えた場合に、いま私が取り上げたような問題については、納得のできるような解決の方法がとれるようにお取り計らい願いたいと思うのですが、この点はどうでしょう。
  39. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) ただいま御指摘になりましたようないろいろな事例については、私も承知いたしております。いろいろな問題があることも事実でございます。たとえば、免税品が横流れするというふうな問題に関しましては、われわれとしても大分問題があるというごとはよく承知しておりまして、これは現在大蔵省の関係方面ともこの辺の取り締まりをどういうふうにやっていくかということについて話し合っておりまして、またアメリカ側とも今後も話し合っていきたいと思います。  麻薬の点でございますけれども、麻薬の点に関しましては、アメリカ側も非常に力を入れておりまして、この点については全面的な協力をしておるわけでございまして、アメリカ兵であるとか、あるいは米軍の関係者であるからといって容赦することはわれわれはいたさないつもりで、厳重にやっておるつもりでございますし、アメリカ側もこの点については非常に力を入れておりますので、不都合はないと存じますが、それは基地というものがある関係上、十分な調査が及ばないという点もあるかと思いますので、この点についてはさらに米軍の協力を得て、取り締まりをさらに強化していきたいと思っておる次第でございます。  それから自動車税の問題でございますけれども、これは米軍構成員については若干軽減されている面がございます。しかしこの点は、私知識は十分ではございませんが、一方において自治省の方でそれに見合うようないろいろな措置が講じられておるやに聞いておりますが、この点については、ちょっと私も権威を持って申し上げるだけの自信はございません。  それから水道料の問題に関しましては、この点はいろいろと話し合いが行われておりまして、市町村が基地に対して水道を提供するということに原則はなっておりまして、若干の基地におきましては話し合いがおくれておるということもあるようでございますけれども、これもいずれ解決することになっておると聞いております。  それから地籍調査その他のために基地に立ち入りするというふうな問題に関しましては、これは米軍の方でも理解を示しておるわけでございます。ただまあ、米軍の基地の運用の問題もございますので、もちろん先方の許可を得る必要はございますが、確かにこの地籍の調査なくしては基地の返還後も利用が進まないわけでございますので、この点に関しても、さらにアメリカ側の協力を求めて地籍調査は進めていきたいと思います。この点につきましては、現在防衛施設庁の方でもいろいろと御努力願っておると承知しております。
  40. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣お尋ねしたいと思いますけれども、戦後、沖繩がアメリカ軍の、アメリカのアジア戦略の中でいろいろな役割りを担ってきたという問題については、大臣御承知のとおりだと思うんです。この問題はここで取り上げて新しくまた論戦するつもりは毛頭ないわけですが、ただお尋ねしたいのは、ベトナムのああいう新しい事態が起こって後、アメリカにとって沖繩の果たす役割りが変わったのか変わらないのか、つまり沖繩に対するアメリカの評価、態度、政策、そういうものに変化があるのかないのかという点ですね。もしか変化があるとしたらどういう点で変化があるのか、その点をお尋ねしたいと思います。大臣にひとつ、大臣せっかくおいでになっておられるんですから。
  41. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 沖繩ということでお話でございますけれどもわが国がアメリカ側に基地を提供いたしておりますのは、日本の安全及び極東の平和と安全のためでございまして、この点については、最近の情勢によっても何ら変化はないわけでございます。したがいまして、立木委員の仰せられる意味は、私たちとしては何ら変化はないと申し上げるべきだと思います。
  42. 立木洋

    ○立木洋君 以前沖繩の基地については、御承知のようにキーストーンというふうな言葉が使われておりましたし、ことしに入ってから、大臣は英語に堪能であられるから、アメリカの国防白書や報告なんぞをお読みになっておられると思うんですけれども、先来問題になりましたストロングポインツというふうな言葉が使われるようになった。これは言葉だけの変化ではなくして、やはり沖繩に対するアメリカの評価やその役割りについての考え方に私は一定の変化があったんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょう。全然変化がないというふうに考えられるのかどうなのか。
  43. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 最近、シュレジンジャー国防長官になりましてから、いろんな表現が用いられておるのは事実でございます。いま仰せられましたように、ストロングポインツ、防衛拠点とでも訳しますか、というふうな言葉が用いられたり、フォワード・ディフェンス・エリアですか、前方防衛地域というふうな言葉が用いられております。しかし、これはいずれもそれをシュレジンジャー国防長官が言いますときは、大抵欧州とこの極東とを並列して言っておるわけでございまして、やはり米国のアドバーサリィと申しますか、そのアドバーサリィとの最も接触する地点、一番近い地点といいますか、そういうところの防衛を固めなければならぬというふうな意味でいろんな表現、そのストロングポイツだとか、フォワード・ディフェンス・エリアとかいうことは申しております。また、それをある意味で強化しなきゃならぬということを言っておりますのは、むしろ通常兵力の強化に重点を置いて言っておるわけでございまして、何といいますか、安易に核に頼ることなく、やはりそういう通常兵力の増強といいますか、増強というと数をふやすようでございますが、実際問題は数はふえておらないわけでございますが、むしろ質の向上を図って、米軍としてそういう地域をしっかり守っていかなければならないというふうなことを言っておるわけでございます。そういうふうなストロングポインツとか前方防衛地域を守っていくという関連において、まあ日本の基地、ことに沖繩の基地が挙げられることはございます。しかし、これはまあアメリカとしてはそういう一つのグローバルパワーとして物を考える場合には当然のことであろうと考える次第でございます。
  44. 立木洋

    ○立木洋君 大臣、六月の十三日の衆議院の内閣委員会で、丸山防衛局長がこういうふうに述べておるのですね。このアメリカのストロングポインツということに関連してですが、韓国、沖繩、フィリピンがアジアの軍事体制の上で重要な意味を帯びてきたことは間違いないという発言をされておるわけですが、大臣はこの考え方に賛成なさいますか。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大きく考えまして、インドシナ半島からアメリカが撤退したということでございますけれども、これは私はアメリカから申しますと、やはりかなり荷が軽くなったというふうに考えてよろしいのではないか、すなわち、国際世論というもののいろいろな意味での圧力がなくなる点が一つでございますけれども、相当な軍事的な消耗で従来あったわけでございますから、そういうものがいわばなくなるという意味でも、アメリカにとって中長期的には明らかに私は荷が軽くなってきておると思います。そのゆえに、ですからその他の地点の増強をしなければならないということは、私は中長期的に考えるとないので、むしろ反対ではないかというふうに思っております。が、短期的にはインドシナ半島においてアメリカの約束というものが世界に疑われたという問題があったために、それからくるところの短期的な問題、同盟国側がアメリカの約束について疑いを持つ、あるいは相手側がアメリカの約束についてむしろこれを軽視をするといいますか、あるいは場合によっては約束は守らないのではないかということに基づくいろいろな誤算、そういったようなものは短期的にはあり得ることでございますから、それについてはアメリカとして、非常に、そういうことはないといういろんな意味での意思表示を現実にインドシナ以来きょうまでいたしてまいりました。まあ大体どうやらその辺のことは双方に対して浸透してきたように思いますけれども、ですからそういう期間というものは短期的にございまして、いまもあるいはその期間に、若干後の部分に属しておるのかもしれません。そういうことはございましょうけれども、私はインドシナ半島から撤退をしたことによって、かえってその他の地域の防衛力を増強しなければならなくなるというふうには、今後の事件は私は見ていないわけです。
  46. 立木洋

    ○立木洋君 それで大臣、この間、六月の二十日ですか、アメリカのシュレジンジャー国防長官が、「われわれが戦術核兵器を韓国に展開していることは、ご存じのとおり」であるという、アメリカ政府として韓国に核が配備されておるということを公式に認められたわけですが、この韓国にアメリカの核が配備されておるということは、日本の平和と安全にとってどういう意味を持つでしょうか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) アメリカとして、その核兵器の所在を普通明らかにしないというのが方針であろうと思いますけれども、あえてそれを明らかにいたしましたのは、恐らく抑止力としてその方が効果的であると考えたものであろうと私は判断いたしておるわけです。
  48. 立木洋

    ○立木洋君 いや、韓国にアメリカの核があるということが日本の平和と安全にとってどういう意味を持つと大臣考えか、ということなんです。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は、アメリカが韓国に戦術核を置いておるということを表明したことについて、その評価は私はいたしません、これは米韓の問題でございますから。  客観的にわが国にとってどういう意味があるかということでありますと、これはまあ何とも申し上げかねることでございます。そういうようなものを置かないでいい状態である方がはるかにわが国にとっては幸せでありますけれども、しかし、抑止力を明示することが必要があるような状態であるのならば、それは抑止力があるということは韓国のために恐らく役立つことでありましょうし、韓国が平和を脅かされるということはわが国にとって無関係でございませんから、そういう意味ではわが国にも無関係とは言えないかもしれない。しかし、それは客観的な状況をどう判断するかにかかりますので、私は何とも申し上げられないことだと思います。
  50. 立木洋

    ○立木洋君 どうも明確な答弁がいただけないんですが。——で、伊藤審議官にお尋ねしたいんですけれども、韓国にアメリカの核が配備されているということが日本のいわゆる防衛上、軍事上どういう意味があるというふうにお考えでしょうか。
  51. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) どういう意味があるかということにつきましては、いま外務大臣もお話しになりましたように、なかなかその意味というものは御説明しにくいわけでございますが、韓国に核があるということがわが国の防衛体制にどういう影響があるかという点でございますと、これは影響はないと思います。といいますのは、御承知のように、わが国の防衛は、核の抑止力というものはアメリカに依存しておりますし、非核三原則というものもございますので、わが国の防衛体制に直接影響を与えるというようなものではないというふうに考えております。
  52. 立木洋

    ○立木洋君 じゃあ、韓国にアメリカの核があるということは、やはり一種の核抑止力、そういう意味では一定の役割りを持ち得ると、日本にとっても、そういうふうな意味に解釈していいですか、外務大臣
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いや、そういうふうに私は申し上げておるのではなくって、それは米国と韓国との関係だというふうに思います。
  54. 立木洋

    ○立木洋君 先般私が、あれはまだ宮澤さんが外務大臣になられる前に、昨年の十月十八日でしたか、お尋ねしたときにアメリカ局長お答えになったんですが、韓国に核があるということがはっきりした今日の時点で、アメリカのMACの二二空軍司令部が発表した文書ですね、あれはもう政府に私の方から提出してありますけれども、あれには、MACの二二空軍というのは、核兵器を運ぶ、輸送するという任務を明確に持っておるわけで、私はそのときの議事録をここに持ってきておるわけですが、この米軍事空輸軍団「第二二空軍空輸作戦方針書」、その中に、これは昨年の一月から三月に発表されたものですが、MACの第二二空軍というのは明確に核を輸送する軍団だと、これが核を含む爆発物を運ぶ場合、日本と韓国の項のところに、「ハワイ、フィリピンあるいは東南アジアから韓国への輸送は、中継貯蔵が必要な場合には嘉手納を経由する。」というふうに明確に書かれてあるわけです。そのとき局長は、この資料がいかなる性格のものであるかどうか承知していませんのでお答えできない、というふうにそのときは言われたわけですが、今日アメリカの核がすでに韓国にあるということが明確になった時点で、この二二空軍司令部の文書もすでに、昨年の十月の十八日ですから、もう数カ月前にお渡ししてあるので、御検討なさっておると思うんですが、この嘉手納を中継貯蔵するという問題についてはいかがお考えですか。
  55. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) この立木委員の御質問——昨年の十月十八日に行われました御質問に関しましては、その当時わが方からアメリカ側にも問い合わせたわけでございます。そして、先方の回答は要旨次のとおりでございます。  この第二二空軍、その司令部はカリフォルニアのトラビス空軍基地にあるわけでございますが、この第二二空軍は軍事空輸軍団——MACでございます——に所属し、太平洋及びアジア地域の米軍に対する兵員、貨物の空輸を任務としている。それから、立木委員から御指摘のありました空輸作戦方針書は、第二二空軍所属の輸送機及び空輸貨物に係る諸規則に関する通常の業務指示書であり、三カ月ごとに改定され、すべての第二二空軍部隊及び第二二空軍によって輸送さる貨物を所有する部隊に配付されている。そういうふうな回答があった次第でございます。
  56. 立木洋

    ○立木洋君 それについて私が先ほど質問した点について、そのアメリカからの回答を局長受け取られてどういうふうに判断されるか、その点がお聞きしたいんですがね。
  57. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 私ちょっとそのときの立木委員から御提示のありました文書の全文を持っていないのでありますが、こういう作戦方針書の中には「核兵器を運ぶ場合」というふうにはっきり書いてあるわけでございますか。
  58. 立木洋

    ○立木洋君 そうです、書いてあるんですよ。
  59. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) これは、その関係部分を私実はいま手元に持っておるわけでございますが、「ハワイ、フィリピンあるいは東南アジアから韓国への輸送は、中継貯蔵が必要な場合には嘉手納を経由する。」ということで……
  60. 立木洋

    ○立木洋君 そうです、「すべての爆発物」に関しての。
  61. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) その中継貯蔵を必要とする場合という場合でございますから、そういうふうでない場合は別に嘉手納を経由する必要はないわけでございますし、また、これは大変一般論に戻って申しわけございませんけれども、そういう核兵器が本当に嘉手納を経由して運ばれてる場合には当然事前協議の対象となるべきものと存じます。
  62. 立木洋

    ○立木洋君 なかなか局長、苦しい答弁をされておりますけれども、つまり通る——嘉手納を中継貯蔵する場合もあると、そういう場合もないと、そうでない場合もあると……。これは、衆議院の外務委員会で前回宮澤外務大臣も述べられたわけですけれども、核の通過がかつてあったかもしれないがなかったかもしれない、という趣旨の答弁と同じだと思うんですが、ですから、これはやはり事実上確認できないと、政府としては。そういう事態にあるというふうに私は判断します。  それで、時間がないので話を進めますが、先般来問題にしてきました、つまり沖繩にはいま申し上げましたようにMAC二二空軍が核兵器を運んでくる、つまり核兵器を含むすべての爆発物を輸送する、そういう任務を持っておる空軍が、いわゆる嘉手納に中継する——貯蔵が必要な場合には嘉手納に中継貯蔵するということもあり得るという問題がありますし、先般問題にしました第三四五空輸中隊、これもアメリカ軍が公式に認めました、核兵器を輸送するという任務を持っておる、そういう飛行中隊がこれも同じように沖繩に駐留している。さらには伊江島や出砂島で核模擬爆弾の投下訓練をやっておる第一八戦術戦闘航空団、これも嘉手納に駐留している。さらにあの嘉手納基地にはいわゆる核兵器事故が起こった場合の災害対策、この対策もつくられておる。さらには核のハイジャックに対する対策書もある、こういう一連の事態が明らかになった。つまりこういう核を管理する、まあ核があるかと言うとこれはないと言われるに決まっておるわけですから、私はちょっと質問変えまして、つまり、こういう核を管理することができ得る部隊、あるいは核を持ち込んでも中継貯蔵するような可能性がある第四〇〇弾薬整備部隊もあるわけですから、こういうものが現に沖繩にある。そうすると、韓国にアメリカの核が事実上存在しておって、そうして沖繩に核を管理する部隊が事実上存在しておる。これは一般的に軍事上見たら、いわゆる仮に有事の場合前線となるかもしれない韓国、ここに現実にアメリカの核がある、それをいつでも受け入れる機能を持った沖繩がすぐ後方にあるという場合には、これは軍事的に判断するとどういうふうな意味を持ちますか。全く無用なものは、沖繩にそういう核を管理する必要がない部隊を置いておく必要がないわけですし、必要性があるからこそ置いているんだと思うんです。そうすると、韓国にはアメリカの核があるということがもうはっきりしているわけですから、その関連から見たら、沖繩にあるこの核管理を可能にしておる部隊の存在というのはどういう意味を持ちますか。
  63. 伊藤圭一

    説明員伊藤圭一君) いま先生の御質問は、韓国の核とそれを運搬する能力というものを結びつけた御質問でありお話だと思います。ただ、アメリカ軍というのは、御承知のようにどんな部隊でも、現にアメリカ軍というのは戦術核を装備する能力を持っているわけでございますから、世界じゅうにありますアメリカ軍といえども、万一の場合、これはもうめったにないと思うんですけれども、いざというときには使えるような訓練というものはしているんじゃないかと思います。したがいまして、韓国にいまあるから沖繩にそういう能力を持たしているということとは別問題ではないか。いわゆるアメリカの軍が、本当にその機能を果たすために必要なものとして訓練しているというふうに考えているわけでございます。
  64. 立木洋

    ○立木洋君 私が防衛庁長官だったらもうあなたは首ですよ。関連がないような状態を——これ明確に関連があるでしょう、軍事的に。関連がないのになぜアメリカは核機能を必要とする部隊を沖繩に置いてありますか。そんなことを判断できないで、全く関連をして質問されるからおかしいみたいなことを言うというのは、私が長官だったらあなた首ですよ。私が長官になるにはまだ大分先のようでありますけれども……それは余談として、これは重大な関連があるんですよ。そのことをあなた考えておかないと、やっぱり防衛庁の仕事をやられるんですから。  一たん事がある、つまり火の粉が降りかかる事態になったときのこと、このことはもういままで衆議院でも参議院でも何回も論議されてこられた。その中で、重大な火の粉がかかる事態になったときに日本が実際にどうなるのかという問題は、繰り返し論議されてきている内容なんですよ。そこにおいて全然関係がないみたいなことを言われるというのは、それはいままでの国会論議を踏まえていないあなたの答弁だと思うんです。  これ以上あなたにお聞きしてもしようがないので外務大臣お尋ねしますけれども外務大臣がこの間衆議院の外務委員会でしたか、朝鮮半島で武力紛争が発生し在日米軍基地が使われた場合、日本への報復攻撃があり得るかという質問がございました。そのときに、そういうことについては否定できない場合もあり得る、つまり巻き込まれる可能性があるということを認められる答弁をされたわけですが、いわゆる有事の場合というのは火の粉が降りかかる場合ですが、この火の粉が降りかかる場合にはもう事実上第五条が発動されるわけですね。第五条が発動された時点ではもう実際上は事前協議という問題ではなくなるわけです。そうした場合に、報復攻撃があって、現に韓国に核がある、その核が管理可能な沖繩に持ち込まれてくるという可能性もあるんじゃないですか。あるいはそうでなくても、核戦争に事実上巻き込まれるという危険性があるんではないでしょうか。その点について大臣いかがお考えですか。
  65. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) あのとき申し上げましたことは、そういうことをすることは国際法上は不法であるということを前提にいたしまして、しかし、もともと侵略をする意図のあるものは不法であるわけでありますから、そのような不法行為がわが国に及ぶことはあり得ないかということであれば、それはあり得ないとは言えない、火の粉のかかるような事態であれば、それはないとは言えないでしょう。しかし、それは正当化する国際法規というものはないのであって、つまりわが国はそういう場合に自衛をしなきゃならない立場に置かれるわけであります。  後段のお尋ねは、韓国にあると言われる戦術核兵器が逆にわが国に持ち込まれることはないかということですが、これはたびたび申し上げておりますように、わが国で戦術核兵器を使う余地というものは私はないと思います。
  66. 立木洋

    ○立木洋君 いや、そうではないんですよ。有事の場合、事実上危険の状態が迫ってきた、アメリカの核を積んでおる飛行機が追跡されてくる、あるいはそれが沖繩に逃げてくるという可能性だってあり得ると思うんですよ。もう有事の場合ですからね。そういう場合だって想定できるんではないでしょうかという質問をしたわけです。現に韓国に核があるわけですから。その場合に、敵に追跡されてきている、さあ事前協議にかけますよなんて言ってたらもう間に合わないですよ。核を積んだアメリカの飛行機が撃ち落とされる。現実に核兵器を管理する設備が沖繩にあるわけですから、沖繩に逃げてくるという可能性だってあるんじゃないですか。その点どうかという質問なんです。
  67. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大変に仮定のお尋ねなので、ちょっとどういうふうにお答えしていいか私もわかりませんけれども日本に火の粉がかかってきたような場合にああだこうだという話はどうも、いわばわれわれとしては自衛権を発動する正当防衛のような立場に立つわけでございますから、その場合に何がどうなってこうというようなことを私はいま議論すべき種類の問題ではないと思いますですね。
  68. 立木洋

    ○立木洋君 これで終わります。  その発言はやはり私は訂正していただきたいと思うんですよ。衆議院でも参議院でも、この重大な事態の場合に、われわれが考え得る可能性考えて、日本の本当に平和と安全を守るためにどうしなければならないかという論議をしているわけですよ。それを宮澤外務大臣は、そういうことは問題にすべきではないということは、いままで国会で論議してきたことを否定されるんでrか。これは私はそういう発言というのは納得できませんですね。その点明確な訂正をいただきたい。それが第一点です。  それから第二点は、いま韓国にアメリカの核があるということが明確になった。同時に、韓国のいわゆる朴正煕大統領がアメリカの核のかさに入れない事態になれば核を持つということをも考えておるという発言もされました。そうして現実に核開発の研究が促進されておるという報道も出されております。これはどこまで正確かどうかはわかりません、私も。そういう報道もあります。こういう状態の中で日本の対韓政策を変える必要がないのかどうなのかという問題です。つまり、日本が韓国に対していろいろ援助をする。そうすると、直接的にはそれは核開発の援助にはならないかもしれない。けれども、いわゆる日本援助に頼っていろいろな建設をやっていく、それに回さなければならない当然韓国の金がその核開発に回す可能性だってこれはあり得ると思う。そういう事態になることを想定した場合に、私は、アメリカの核が韓国にあるという事態、あるいは核開発を行うこともあり得るといういわゆる朴正煕大統領の発言等々を考えて、日本の対韓政策——対韓援助政策と言ってもいいですが、これを検討する必要がないかどうかという、その二点をお尋ねします。
  69. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 韓国の大統領がそういうことを言われたということは、アメリカのあるジャーナリストによって報道されたわけで、私は確認をしておりませんが、私の解釈は、もしそういうことを言われたとすれば、それはアメリカのコミットメントというものは韓国にとって非常に大事である、もしそれが守れないような場合にはという、そういうことを強調するために言われたことであろうというふうに私は解釈をしています。  それで、その次に出たお尋ねは、たとえばインドが核実験を、平和と称しておりますけれどもやっておる、インドに対して経済援助をやめるべきだというような種類の一種の御議論だと思うのですが、なかなか、われわれがインドに経済援助をそれならやめますということになるのかどうかということになりますと、そう問題は簡単ではない。韓国の場合には、これは私は大統領の発言をそういうふうに解釈しておりますから、当面対韓援助をどうするという問題ではないと思います。  それから、前段のお話は、私の申し上げたいのは、まあわれわれ考え得るような事態に常に備えておかなければならないわけですけれども、いまのように、朝鮮半島からアメリカの飛行機が韓国にある戦術核を持ってそうして追跡されて日本沖繩に帰ってくるといったようなことは、いかにもその、いかにも仮想のことでございますから、私はそういう場合を議論をしても余り意味がない。実益がないのみならず誤解を招くおそれさえあると思います。ですから、われわれはそういう事態にならないように、平和を一生懸命お互いに守るんだということをもってお答えにしておきたいと思います。
  70. 立木洋

    ○立木洋君 いま大変私は答弁不満でありますけれども、これで質問を打ち切ります。
  71. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、沖繩の水産の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。  御承知のように、沖繩は周辺が海に囲まれておりまして、水産業は、沖繩の第一次産業の中においては非常な重要なる位置を示しております。四十八年度の総漁獲高を見ますと七万一千トンで、四十三年度が三万五千トンでございますので、五年間に実に二倍になっております。それを金額に換算しますと、四十八年の粗生産額が約百六十億円、大体同年における第一次産業の総生産額が六百十億円程度でございますので、漁業の占める位置というものが大体二五%でございます。これを、農業の沖繩の基幹産業でございますサトウキビとパインの生産額と比較して見た場合に、サトウキビが百三十億、パインが二十六億円でございまして、漁業はこの両方合わせた数字に匹敵するようになっております。  ところが、どうも水産の方は少し何か軽視されているんじゃないかというふうに考えられます。と申しますのは、農業の方におきましては、基盤整備その他について相当予算措置を講じておりまして、その点でいろいろと考えられているのでございますが、どうも水産については何か余り重要性を置いてないような感じも受けるのでございますので、その点について開発庁と水産庁に御意見をお伺いいたしたいと思うんです。
  72. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) いま稲嶺委員が御指摘になりましたように、昭和四十八年における沖繩の水産業の生産額は百六十億円でございまして、農業全体では四百五十一億円でございますから、その三分の一を上回っておりまして、重要な第一次産業でございます。  沖繩県における漁業は、長い海岸線、また天然の魚礁でありますサンゴ礁の存在、南方漁場との近接等の利点に恵まれておりますが、他方、近海を流れます海流の豊度は十分でございませんで、多獲性回遊魚の回遊も少ないというようなマイナス面もございます。また、本土に比較いたしまして一人当たり魚肉の摂取量が少なく、流通機構も整備されていないというようなこともございまして、くり船による零細な沿岸漁業経営が大部分を占めておりまして、沖合い、遠洋漁業もカツオ・マグロ漁業を除きまして目ぼしいものがないというような状況でございます。  今後は、沖繩振興開発計画に定めるところによりまして、漁業施設等の生産基盤施設の整備、卸売市場等の流通施設の整備を早急に進める必要がございます。同時に、漁船の大型化等を推進いたしまして漁業経営の近代化を図り、また、サンゴ礁等を利用いたしまして漁場の改良の造成、増養殖漁業の立地等を積極的に推進して、水産業の振興を図ってまいらなければならないと考えております。
  73. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいまの長官のお話をお伺いしますと、非常に水産のことにつきまして関心を持たれ、しかもこれに対する対処策をすでに考えておられるということでございまして、その点については非常に心強く考える次第でございます。  が、私が今後非常に沖繩の漁業について恐れますのは、去年のカラカスにおける海洋法の会議、それからことしのジュネーブにおける会議等の論議をいろいろ考えてみますと、大体経済水域二百海里というのが世界の通説になるんじゃないか。そういった場合において沖繩の遠洋漁業はどうなるかということを考えますと、かなり問題があるんじゃないか。と申しますのは、私は、相当遠洋関係においても競争がかなり激化していく、かなり漁場が狭められていくと。その点から沖繩の最近の漁船の実態を見ますと、企業的にも非常に弱くて、それから資金的にもまた船の方のトン数も小さいのが多いということでございます。八十トンから五百トンまでのが大体七十一隻、それの大体企業が三十一企業になっております。それから、近海漁業カツオ・マグロでございますが、これが百隻、これは五十トン以下でございます。これが七十五社になっております。これから見ますと、非常に規模が小さい。これじゃ、対外的に競争力がほとんどなくなっていくんじゃないかというふうに考えるのでございます。  その点から考えまして、今後経営の合理化あるいはまた大型の漁船への転換等、いろいろなさねばならぬことが多いのでございますが、この点についての水産庁の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  74. 佐々木輝夫

    説明員佐々木輝夫君) ただいま先生の方からお話ございましたように、沖繩の遠洋漁業と申しますと主要なものは遠洋カツオ・マグロ漁業でございまして、これが許可件数で七十一件ございます。このほかに遠洋の底びき網漁業が大体五件ばかりございます。それとやや沖合い漁業と申しますか、近海のカツオ・マグロ漁業で八十トン未満の比較的中型の漁船漁業が七十一件ということで、これらの占めます漁獲量の上でのウェートというのは沖繩県下全体の漁業生産量の八〇%近くを占めるということで、かなり主要な漁業になっているというふうに理解をいたしております。これらの、特にカツオ・マグロ漁業等につきまして、将来の海洋法会議の行く末と絡んでの国際海外漁場でのいろんな沿岸国との問題からくる操業上の困難性ということも当然予見をされますし、これに対するいろんな対策も考えなきゃいけないわけですけれども、当面、これは沖繩県だけに限りませんで、日本の全体のカツオ・マグロ漁業が昨年の石油ショック以来、高騰する燃油あるいは労賃の上昇、こういったことに比例して生産者の段階での魚価のアップ率というのは大体横ばいに近いというようなことから、かなり経営的には苦しい状況になっております。沖繩につきましても同様の事情がございますので、水産庁としては当面の対策として、これらの中小漁業の経営の安定のためにいろんな資金の融通その他の対策をいま検討しておるわけでございますけれども、こういった当面対策と同時に、将来の問題といたしましては、やはり海外の漁場で従来のように公海の上だからといって、日本が自由に操業するということはだんだんむずかしくなる状況に当然ございますので、これら沿岸国に対する国際的な協力であるとか、あるいは合弁事業の形での推進とか、そういったいろんな多方面の操業のやり方を地域の実態に合わせて工夫をしていく必要があるということで、現在いろいろそういう国際協調の面での対策の強化ということも検討中でございます。こういったことを組み合わせまして、必ずしも漁業の大型化よりは、日本の周辺での資源のさらに合理的な利用、それから経営の面での合理化ということを強化してまいりますとともに、海外漁場でのいま申し上げたような協調関係を特に維持してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  75. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 水産庁のお話によりますと、二百海里の問題、それから沖繩のいまの漁業の実態等、深くお話いただきました。これに対する対策もお伺いしたのでございますが、沖繩の企業の方が非常に弱体でございまして、資金的にも困難な状態にあるし、最近において倒産をしたというようなことも聞いておりますので、ぜひ実態を十分に調査をされ、これに対する適切なる対策を立てていただきたいと希望する次策でございます。  それから、二百海里問題に関連いたしまして、復帰前に私も関係したんですが、インドネシアの方で群島理論でもって、インドネシア海域には日本の漁船は入れないということで、私もインドネシアに参りまして、インドネシアの首脳とこの問題の話をしたことがあるんですが、なかなかいま資源ナショナリズムでもって、いろんなところで何か締め出しを食うということもございますので、また沖繩の場合、インドネシア海域に相当な漁船が行っておりまして、もし向こうが締め出された場合においてこれの沖繩の漁業に与える影響はきわめて大きいと考えられますので、ぜひこれが対策を十分にやっていただきたいというふうに考える次第でございますが、いまインドネシア関係はどういうふうになっておりますか。
  76. 佐々木輝夫

    説明員佐々木輝夫君) インドネシアとの関係は、御案内のように一定の協定を結びまして、事実上入漁料を払うというような形でわが国の漁業の実績を一応確保してございますけれども、一応協定の期間も来てますので、協定の存続等についていまインドネシア当局といろいろ交渉を始める段階でございます。
  77. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 新聞によりますと、インドネシア側としては、日本との協定を破棄したいという意向も漏らしているようでございますので、この点は十分御注意をなさって、ぜひ現在の情勢を続けていかれるようにひとつ御配慮願いたいと存じます。  次に、遠洋漁業の問題は大体このぐらいにいたしまして、将来沖繩の漁業の方向から見ますとやっぱり近海、それから大陸だなあるいは礁湖ですね、サンゴ礁と陸地との間の漁業というものを相当考えるべきじゃないかと、そうして従来農業においては基盤整備というのがございまして、相当多額の資金を出しておるのでございますが、どうも漁業においてはそういうことはない。魚礁の問題もございまして、今日まで四十九年度、四十八年度二回にわたって三千万円ずつ出している。ところが、二十七年の間沖繩の漁場というものは全然基盤整備というものはなされなかった。ところが、いろいろお話をお伺いいたしますと、全国平均でもって沖繩のいまの魚礁の問題考えている、これで三千万円になる、これによってニカ所設置するわけでございますが、そうなりますと二十七カ年という格差というものは永久に続くようなことになります。もっと年度に多くの魚礁をつくって、それによるところの基盤整備をやるということが必要じゃないかと思うのでございますが、水産庁の御意見を。
  78. 佐々木輝夫

    説明員佐々木輝夫君) 沖繩の沿岸漁業は大体くり舟等の小型船を主体にします釣り漁業が多うございますので、確かに適地がございましたならばいまのような魚礁設置事業ということも将来かなり有効であろうということで、水産庁としても計画的に毎年魚礁設置事業については今後も助成をしてまいりたいというふうに考えております。ただ、それだけでございませんで、わが国の将来の沿岸漁業のあり方を考えますと、やはり地域地域の特性を生かした多方面の増殖事業と申しますか、養殖を含んだ水産増養殖漁業を発展させるという方向に力を入れる必要があるというふうに考えておりまして、特に沖繩の周辺では、砂浜地帯ではすでにいろいろなクルマエビの養殖業というようなことも沖繩では現実に始まっております。御存じかと思いますけれども、いますでに三カ所ぐらいで年間九千万円近くの生産を上げるまでに至っておりますので、こういったものも将来伸ばしていきたい。さらにそのほかの砂浜地帯以外のいわゆるリーフの上におきましても、いろいろな海草類の増殖であるとか、それに伴ってウニ類の増殖であるとか、そんなようなことが相当期待できそうだということで、これは従来から沖繩の方に、復帰前からいろいろ調査についても助成をいたしまして基礎調査をやってまいりましたが、大体地域によって若干違いはございますけれども、モズクであるとかあるいはシラヒゲウニというような特色のあるいろいろな沿岸の生産物の増産というのが期待できそうなので、魚礁の設置事業と並行しまして、こういったものを計画的に実施するという方針で、ただいま沖繩県当局の方から五十一年度以降のそういう沿岸漁場整備の計画について考え方を聴取をいたしておりますが、そういったものをよく検討いたしまして、できるだけ早い機会に効率の上がるような方向でこういった沿岸の開発事業全体を推進していきたい、かように考えております。
  79. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 実は、去年の沖特委でも私お話をしたのでございますが、実は東海大学の武田教授が、日本の場合は温帯における養殖ということについては、これはもう世界的な定評がある。ところが、熱帯、亜熱帯についてはどうもあまり詳しくはない。だから今後そういう面に日本は力を入れるべきじゃないかという発言を海洋議員懇談会の際に話をされたのでございますが、まあそのときも私が感じましたのは、沖繩の場合は暖流が八重山の方に突き当たって北の方に北上しますので普通よりは暖かい。もう八月の気候から見ますとあの一帯の西表、それから八重山の海水の温度というものはジャワよりも高いようでございます。その点から見まして熱帯の魚の研究をするところとしては非常にいいんじゃないか。今日まで日本余りなされないのが、沖繩の土地を利用して向こうでできるということも考えられますし、ただいまの御意見のように、エビの方は大体成功しているようでございます。実は私も見に行ったのでございます。それで三カ所で約一億近い漁獲高を持っている。これを十倍にするということもそうむずかしいことはないんじゃないか。そんなにスペースも要らないということでございますので、ぜひそういう面における指導、援助、これを思い切ってやっていただきたい。次の予算の場においてはぜひそういう面の方も計上していただけないか。私がお願いしたいのは、前向きの姿勢でもってやる。過去がこうだからこのぐらいの程度でよかろうじゃなしに、よく現実を見て、沖繩の方向というのはここにあるんだという問題を先取りをして、そして漁業を盛んにするというふうな方向にぜひ御指導願いたいと思いますが、その点について長官のお考えをひとつお伺いいたしたいと存じます。
  80. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) いま御指摘の点はいずれも重要なことでございまして、漁港の整備、あるいはまた漁民に対する政策融資制度の充実拡充、あるいは二百海里問題がございますので、魚礁を利用いたしました栽培漁業の育成等々、いろいろな施策が必要でございます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、沖繩県にとりましては第一次産業の中できわめて重要な位置を占めているわけでございますので、水産業の進展のためには格段の努力をしていく所存でございます。
  81. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 いま長官が言われたように、非常な御決心をもって水産業の振興に当たられるということでございますので、おそらく長官の御意思は次の予算には反映されるものだということで私は期待をいたしております。  それで、私、一つの提案があるのでございますが、実は、沖繩の私どもの先輩で非常に渤海から東シナ海、大陸だなについて研究をされて、それからキング・オブ・オイスターといわれて、いまのオイスターの、あれは立体垂下式ですか、垂直式養殖法を発明された方で宮城新昌というのですが、そのために表彰もされたことがあるわけですが、この方が、尖閣列島の周辺というのは非常にすばらしいところなんだと。魚の集まるところは暖流と寒流とが混流をするところ、いわゆるカスケーティンクするところだと。沖繩海溝——まあ向こう沖繩海盆というところがございまして、そこには黄海の流氷塊が落ちてくる、そこにおいて混流を行う。だから非常にすばらしい漁場なんだと。ぜひこれを生かして使うようにすべきじゃないかということを言われました。本も、パンフレットも発行しているのでございますが、私は、いま海洋法の経済水域二百海里から考えた場合、ここは日本領海を含めて領土というものが現在の約十二倍になる。その点から見ますと、沖繩の方はかなりまあ何十倍かになる。これをどううまく利用するかによって、日本の将来のたん白資源との関連も非常に生まれてくると思う。そういう意味から考えまして、ぜひ水産庁の方でその方面の調査、計画、これを十分にやっていただきたいというふうに考えるのでございますが、その点についての水産庁の御意見をお伺いいたします。私どもいままで調べたところによりますと、経済水域が二百海里になるということはわかっているにもかかわらず、どうもまだ日本においては各省庁の意見がうまく歯車が合わなくて、部分的な調査はあるのだが、計画的な調査というものは余りなされないのだという話も聞くのですが、しかし、いま尖閣列島の近くにおいては非常な有望なところだというふうに考えられますので、ぜひそこから調査を進めていただけないか。また、長官におかれましてもぜひこれを強力に進めていただきたいというふうに考える次第でございますが、ひとつ水産庁の御意見をお伺いしたい。
  82. 佐々木輝夫

    説明員佐々木輝夫君) いまお話ございました尖閣列島の近くの海というのは、まあ大陸だなの斜面が東西に張り出しておりまして、そこに黒潮が突っかける関係で、いわゆる湧昇流がかなり盛んに起きておるところでございます。底の方の栄養塩の非常に豊富な水が豊富に出ていますので、御指摘のように、非常にあの近海では豊度の高い海域だということが従来から言われておりますし、実際、調査してみてもそういうことがわかっております。それから季節的には大陸の方からの沿岸水もかなりこういう海域に突っかけてきまして、これもかなり栄養塩を含んだ豊度の高い水域になっております。すでにこの海域では、大体まき網で年間に四万六千トンぐらい、それから底びきで二千トンぐらいの水揚げがございまして、日本の漁業にとってもかなり重要な漁場の一つになっております。日本の周辺全体につきまして、従来から沿岸の重要な資源の動向、あるいは海況につきまして、国の水産研究所が中心になって、各県の試験場の協力を得まして、それぞれ分担を決めて、毎月定点で一定の項目の観測を全部が共回してやっております。こういった調査の中で、海域の問題もチェックをしておるわけですけれども、東シナ海はかなり全体海域が広うございますし、中でも尖閣列島周辺というようなところについて海況変化も相当ありますので、なお情報不足であるという感じがいたしまして、実は四十七年から五十年までの計画で東シナ海の海域についての海洋の全体の総合研究という形で、水産庁、海上保安庁、気象庁、科学技術庁が共同して、いまここでの海洋構造及び生物生産、気候についての調査現実に進めております。その調査の結果の取りまとめを見まして、また、ある重点をしぼって調査を継続する必要があればその段階で考えたいと思っておりますけれども、ただいま先生の方からもお話がございましたような観点から、すでに各省で共同して海域の調査をやっておりますので、その結果をできるだけまた漁業の振興の方にも役立ててまいりたいと、かように考えております。
  83. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいまの水産庁のお話を聞きまして、すでにやっておられると、近い将来この成果があらわれてくるであろうということでございますので、ぜひ私といたしましてはその調査の結果を期待をいたして待っている次第でございます。  それから、漁港の整備等もこれは問題になります。先ほど長官が言われましたように、流通機構の問題もございますが、漁港の問題につきまして開発庁の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  84. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 沖繩におきますいわゆる指定漁港の数でございますけれども、これは現在六十港でございます。そのうち約二十につきまして本格的な改修事業、修築事業を行っております。そのための所要額は、予算額は五十年度で十九億でございます。私どもといたしましては、沖繩の漁港は単に水産業の基地、ベースであるというだけではなくて、離島における一種の生活港湾でございますから、離島の玄関を整えるという意味でも非常に重要な意味を持っております。今後引き続きまして、予算の充実によります漁港の整備というものに努めてまいりたいと考えております。
  85. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 長官においては、離島振興の方に非常に力を入れておられる。この前も八重山まで行かれたのだということが新聞にございましたので、ひとつその点から実際に離島の方をごらんになって、漁港もごらんになったと思いますが、どういう感想を抱いてこられたか、お伺いいたしたいと思います。
  86. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) 先日宮古、八重山を視察してまいりまして、離島には私が常々申しております五つの不安がいわば集中的にあらわれているという感を強くしたのでございます。したがいまして、何よりもまず生活及び産業の基盤の整備、社会資本の充実が必要であるということを痛感をいたしました。これはただいま問題になっております港湾であり、また道路でありますし、また同時に農業の生産基盤の問題にもなります。また水産関係といたしましては、漁港の整備とともに漁業振興策を大いに図っていかなければならないということを痛感してまいったのでございます。いずれの市町村におきましても、それぞれ長く島に住んでおりたいという気持ちを持っておられます半面、先行き果たして離島生活というものが続けていけるのか、産業がこれ以上発展していくのかという不安を持っておられるのでございまして、五十年度からすでに離島振興を一つの大きな柱として予算問題に取り組んでおりますけれども、五十一年度以降もさらに一層離島振興のために努力をいたしまして、離島において生きがいと働きがいを感じていただけるような、そういう島づくりをいたしたいということを痛感をして帰ってきた次第でございます。
  87. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 離島は漁業のこともずいぶん関係ありますし、また漁港とも関係がありますので、しかも流通機構から言いますと一番困るようなところでございますので、ぜひこの面、離島振興については十分の力をいたされるよう希望いたします。  なお、最後に一つ、これは先のことになりますのでお答えにならなくてもいいんですが、実は私、金武湾の問題につきましていつも考えるのでございます。と申しますのは、向こうにはCTSがございますし、また三菱等の関係もありましてずいぶんいろいろな事件がございます。私は沖繩の場合においては必ず工業と自然とが調和する姿が生まれてくるんではないかというふうに考えておりまして、工業を興したからといって海水が汚染するとか、こういったことのないような方法が生まれてくるんじゃないか。テームズ川は世界において最も汚れたところだと言われていたのでございますが、政府の強力な措置によって現在においては非常にりっぱなところになって、澄んだところになって魚もいっぱいいるんだということを新聞によって知っております。その点から考えまして、まだ沖繩の近海はそんなに汚れていないと思います。その意味で、私はここにひとつモデル的な漁場と申しますか、養殖場と申しますか、そういうのをひとつ政府の力でつくって、金武湾を日本全体としてのモデルにするという覚悟でもってやれば案外できるんじゃないか、どうも最近の工業はいかにもみんなかたきみたいにされている。あるいは東海道の、太平洋ベルト地帯なんか見ましてもみんな漁業の方は追いやられている。漁業を追いやるのじゃなしに、一緒に共存できるような状態をつくり上げるということが私は今後の政治じゃないか。ひとつ長官のお力によってこの夢を沖繩の金武湾において実現するように、政府においてもお考えは願えまいかということでございまして、これは私の希望でございますので、別に御意見をお聞きしなくてもいいと思いますが、これを最後にいたしまして私の質問は終わりたいと存じます。ただ私の夢を長官も御理解を願えれば非常に幸いだと思います。
  88. 川村清一

    川村清一君 防衛施設庁の方に最初お尋ねしたいと思いますが、沖繩返還されて三年になるわけでございますが、この間、返還された米軍基地がどれほどあるのか、何カ所で、その面積はどれほどか、さらに現在なお存在しておる基地は何カ所で、その総面積はどのくらいあるのか、それをまずお聞かせいただきたい、こう思います。
  89. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 沖繩の復帰後五十年の五月末までに返還になりました施設数は二十六施設でございます。これは全部返還でございます。それから、一部返還になりました施設が三十二施設でございまして、これらの面積を合計いたしますと、返還面積は千三百八十四万平方メートルでございます。それから、ただいま残っております施設の数は六十一施設でございまして、その面積は約二億六千九百万平方メートルでございます。
  90. 川村清一

    川村清一君 そのいまの残っております二億六千九百万平方メートル——二億七千万平方メートルですね、これは沖繩全面積に対して何%ぐらいの面積に当たりますか。
  91. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 沖繩全県の約一二%でございます。
  92. 川村清一

    川村清一君 次にお尋ねしたいことは、第十四回及び第十五回安保協議会で決められました整理統合計画の概要、時間がございませんので、簡単でございますからポイントだけひとつ知らせていただきたいと思います。
  93. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 四十八年の一月の第十四回の安全保障協議委員会におきまして決まりましたのは、関番地区の空軍施設とか、それから沖繩におきましては那覇の地区の那覇空港、それから空軍、海軍施設の整理統合等でございます。  さらに四十九年の一月の第十五回の日米安全保障協議委員会におきましては、範疇が三つばかりございますが、移設を要せずに返還されます施設・区域は全部返還が七、一部返還が十三施設でございます。  それから、第二の範疇の移設措置とその実施に係る合意の成立後返還されます施設・区域は、全部返還が十二、一部返還が六施設でございます。  第三範疇の、返還につきまして引き続き検討されますことになりました施設が十施設でございます。  以上が概要でございます。
  94. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、第十四回及び第十五回で決められました整理統合計画のものは、先ほどの御答弁では、五十年五月までに返還された数字がお述べになられましたので、十四回、十五回のものは先ほどの数字の中に入っていると、こう理解していいんですか。
  95. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 十四、十五で決まりましたものが全部まだ返還にはなっておりませんわけでございます。その中で一部返ったものが前に申しました返還面積の中に入っております。
  96. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、五十年五月まで返還されたものに入っておらないが、十四、十五回の安保協議会で決定されたもの、それは何カ所で、どのくらいの面積がありますか。
  97. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 一今後返還される予定の施設といたしましては、十四回分といたしましては全部返還が二施設、一部返還が一施設残っております。それから、十五回安保関係といたしましては、残っておりますのは全部返還予定が十四施設、一部返還施設が十六施設が残っております。
  98. 川村清一

    川村清一君 ですから、何カ所というのはわかりましたが、その面積をお知らせいただきたい。
  99. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 失礼いたしました。  その面積は、十四回安保関係といたしましては合計千百八十三万平米でございます。十五回安保関係といたしましては二千百七十五万五千平米でございます。
  100. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、大体、これから三千五百万平米ほど返ってくると、こういうふうに理解していいですか。
  101. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 千百八十三万平米と二千百七十五万平米でございますので、約三千三百万平米くらいになろうと思います。
  102. 川村清一

    川村清一君 そうしますと、現在まで返還されたものが一千三百八十万平米、これにさらに三千百万ほど返ってきますので、合計で二千六百九十万平米返ってくる、と。まあ返ったもの、これから返るものでもってそのくらいあると、こういうことになりますね、数字の上では。
  103. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) すでに返りましたのは千三百万でございまして、今後返りますのが千百と二千百でございますので、合計いたしますと四千六百万平米くらいになりましょうと思います。
  104. 川村清一

    川村清一君 この基地返還という問題は、御案内のように、沖繩返還協定をいろいろ審議した、沖繩返還問題を国会を挙げて議論をいたしました沖繩国会のときに、いろいろと政府当局とわれわれとの間に議論がされまして、結論としては、一日も早く米軍の基地をできるだけ多く返還する、こういうことになっておったわけであります。しかるに、あの当時が米軍基地というものの面積は沖繩の全面積の約一二%、こう言われておったんですが、ただいまもってなお一二%の米軍基地がある。したがいまして、結論的に言えば、沖繩返還国会においてずいぶん議論されたことが余り実現されないままに今日に至っておると、こういうことになるわけでありますが、これに対する防衛施設庁の御見解を承りたいわけであります。
  105. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 十四回、十五回で決まりました施設返還の予定施設につきましては、それを整理縮小するために、代替の施設と申しますか、それをつくりまして、そして返すものは返すということになるわけでございまして、ただいま鋭意その代替施設の方を建設中でございますので、それを進めることによりまして、所定の、予定されました十四回、十五回の返還予定施設が早く返れるように努力をしているわけでございます。
  106. 川村清一

    川村清一君 努力されておることを否定するわけじゃございませんけれども、結論的に言って二億七千万平方メートルという広大な面積がいまなお米軍によって使われておるということは、これは否定できないと思うんですが、いかがですか。
  107. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) おっしゃるような数字の施設・区域がありますことは事実でございますので、繰り返すようでございますが、十四回、十五回の決定に従いまして、早急に返還を実現させるように万全の努力をいたしたいと思っております。
  108. 川村清一

    川村清一君 沖繩開発庁長官にお伺いいたしますが、開発法に基づきまして沖繩開発計画というものが打ち立てられておるわけでございます。これは十年計画でございますが、これの進捗率はどのくらいか。それから開発庁長官として沖繩の開発を進める上において一番支障になっておるものは何か。このことについて率直に端的にお答えいただきたい。
  109. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) いまも御論議ございましたように、沖繩における米軍施設・区域は、大規模かつ高密度に形成されておりまして、しかも、その多くが地域開発上重要な本島の中南部地域に存在をいたしております。那覇市を中心とする中南部都市圏の形成に影響を与えておることは事実でございますので、沖繩振興開発計画におきましても、沖繩の振興開発を進める上で、できるだけ早期にその整理縮小を図る必要があるということを明らかにしていることは御承知のとおりでございます。政府といたしましては、この方向に沿いまして従来より日米安全保障協議委員会等の場を通じまして米軍施設あるいは区域の整理縮小の推進に努めてきたところでございますが、沖繩開発庁といたしましても、沖繩県及び関係市町村の地元の利用計画並びに地域住民の要望を踏まえまして、今後一層関係各省庁への働きを強めてまいりたいと存じます。  なお、三年間の実績につきましては、計数をただいま取りまとめをしているところでございます。
  110. 川村清一

    川村清一君 沖繩の産業構造でございますが、一次産業、二次産業、三次産業の占める比率を一応御説明いただきます。
  111. 山田滋

    政府委員(山田滋君) 昭和四十八年の県の第一次試算でございますが、第一次産業が五・五%、第二次産業が二〇・九%、第三次産業が七三・八%となっております。
  112. 川村清一

    川村清一君 開発庁長官にお伺いしますが、ただいま御説明のありましたような、一次産業が五・五%、二次産業が二〇・九%、三次産業が七三・八%、三次産業が七四%も占めておる、こういう産業構造というものは正常なものとお考えかどうか。
  113. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) 私は、かねがね申しておりますし、またこの間沖繩視察に参りましたときにも痛感し、これを記者会見等を通じまして申し上げたところでございますが、いまのような産業構造というものは決して正常な姿ではないと思うのでございまして、私どもが目標といたしておりますのは、第一次産業五%、第二次産業が約三〇%、第三次産業は六五%くらいを目標にしているわけでございます。この目標になかなか達しませんで、御承知のとおり第三次産業が七五%近いという状況でございます。
  114. 川村清一

    川村清一君 これは少しさっぱりですな。まあいいです。  この産業構造というものを変えない限りにおいて沖繩における民生の安定というようなことは望まれないと私は考えるわけであります。そしてこれを変えるための一番大きな阻害要因になっておるものは何であると判断されていますか。
  115. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) この構造を変えてまいりますためにあらゆる施策を講じているわけでございますが、第一次産業につきましては、品種の改良でありますとか、機械化合理化というものが必要でございます。  それから第三次産業と第二次産業との調整が必要でございまして、第三次産業に関係もございますたとえば伝統的な工芸品の振興ということになりますと、第二次産業とも関連をしてくるわけでございますが、御承知のように失業率がすでに五・六%に達しているという実情を考えましても、やはり何と申しましても第二次産業の振興が必要である。第二次産業の振興によりまして雇用の場を確保いたしません限り民生の安定というものはあり得ないというふうに考えているわけでございます。
  116. 川村清一

    川村清一君 第二次産業を振興させるといいましても、先ほど長官が申されましたように、沖繩の中部地区の平たんな最もいい土地が全部アメリカ軍の基地に使用されておる。そこに工業立地をしようとしたって立地をする場所がないではありませんか。そうしてまた、無理やりに産業を誘致するとするならば、どうしても臨海工業地帯しかないではありませんか。臨海工業地帯をやろうとするならば、そこに立地される工業というものは、これは自然的に石油コンビナートのような、ああいう工業しかないではありませんか。そうしますというと、当然そこに公害が起きる、沖繩の美しい空、美しい海というものが全然汚染されるではないかと、問題があるわけであります。したがいまして、第二次産業を発展させるといたしても、米軍基地というものが縮小されて、その平たんな一番立地条件のよい土地が返還されない限りそれは実現不可能であるとわれわれは考えているわけでありますが、これに対する御見解お尋ねします。
  117. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) お話しのように、沖繩県の持っております自然環境を保護しながら同時に工業を振興をさせるということは種々の問題がございます。しかしながら、この調整は私は決して不可能ではないと思うのでございまして、特に公害のない産業というものを振興させるということの努力を払わなければなりません。  立地状況でございますが、これは地理的にも本土から遠隔地であるという点がございます。同時に、いまお話しの中南部地域に関しましては基地が非常に広範な面積を占めております。したがいまして、その点については、私ども沖繩振興開発計画というものを進めてまいりますために支障を来しているという事実を認識いたしまして、これらの整理縮小というものについて鋭意努力をしているわけであります。   〔委員長退席理事稲嶺一郎着席〕 ただ、現在ございます基地以外の土地におきましてそれでは工業の振興せられるべき土地がないのかといいますと、そうではございませんで、あるのでございまして、そういう地域から、工業誘致のために、振興のために県民の皆さん方の御協力を得て施策を進めていきたいと、こういう考え方でおるのであります。
  118. 川村清一

    川村清一君 この問題につきましては、まだまだ長官と議論をしたいのでありますが、私もこの委員会が古いわけでございますので、復帰以前、復帰後あわせて本委員会から派遣されて三回も四回も沖繩へ行っておりますので、あるいは植木長官よりも多く向こうへ行って実情を見ているかもしれません。したがって、向こうの事情もよう知っておることを念頭に置いてあなたに質問申し上げておるのでありまして、私に与えられた時間はあと三分しかありませんのでやめますが、最後にお尋ねしたいことは、これは労働省の方にお尋ねします。  先ほど長官がおっしゃいましたように、現在一番大きな問題になっておるものは、一つは物価の問題、インフレの問題、一つは失業の問題でございます。たくさんの失業者を抱えておる、五%の失業者がいらっしゃるということを先ほど長官が述べられましたが、この沖繩の失業対策、雇用問題についてどういうような行政をなされておるのか、労働省の方からひとつ御説明を願って私の質問は終わります。
  119. 石井辰治

    説明員(石井辰治君) 多少細かい数字になりますが、失業率は五・六%ということでございまして、多くの方が駐留軍関係の離職者とか、いわゆる沖繩法の離職者ということでございます。ということで、私どもそれぞれの法律に基づきまして、離職者に対しまして就職促進手当とか、あるいは再就職奨励金というものの支給をしたり、あるいは雇用主に対しまして雇用奨励金を支給する、あるいは総合職業相談所を設置するというようなことをやってきておるわけでございますが、本年度はさらにこういった就職上の援護措置を一層強化いたしますとともに、職員の増員も若干いたしたわけでございます。今後も失業問題楽観を許さないと私ども見ておりますので、産業の振興策と相まちまして、就職援護措置の強化、あるいは職業訓練の充実といったようなことを図ってまいりたいと思います。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 私も引き続いて、米軍基地の問題でお伺いしたいわけでありますが、先ほど川村委員指摘がありました第十四回の日米安保協議会、あるいは十五回の安保協議会で返還の合意を見ながら、代替施設等がまだできていないということで相当の面積の返還がおくれているわけでありますけれども、具体的に、全部が全部というわけじゃありませんが、主要な部分についてその基地名、返還された基地名及びなぜ代替施設がおくれているか、その返還の見通し、一体実現の見通しはいつなのか、主要な部分について若干御説明いただきたい。
  121. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 返還になっておりません主要な施設ということでございますが、那覇の空軍、海軍補助施設がございます。これにつきましては、ただいま代替施設を建設中でございまして、その代替施設がなぜおくれておるかにつきましては、私ちょっと担当でございませんので、正確にお答えできませんのでございますが、米側といろいろと代替施設の条件につきまして話し合いをしておりまして、その辺の問題もございますし、まだ完成していないということが原因であろうかと思います。  それから、あとは牧港住宅地区でございますが、これにつきましても、まだ工事が完了していないということでございます。  以上が十四回関係でございますが、十五回関係の主なるものと申しますと、やはり牧港住宅地区の残りの分でございます。それから那覇の港湾施設でございます。これらにつきましては、牧港の住宅地区につきましては非常に戸数も多うございますし、予算的な面もございますので、牧港の住宅の残りの分につきましてはまだ手がついておらないという状況でございます。それから那覇の港湾につきましても、これは移設する先をどこにするかというふうな問題もございまして、返ってきてないというのが実情でございます。大きなものといたしましてはその辺ではないかと思うのでございます。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま那覇の港湾施設が返還が実現しないために、これは那覇の物価に非常に影響しておるということは先般来言われていることなんです。しかもこれは、移転先まではっきりしない、せっかくその返還の合意をなされておきながら、もう一年以上にわたってまだその行き先もわからないというようなことで、果たして基地返還に努力をされているのかどうだろうかということです。本当に民生安定のためにはこの港湾施設の返還というのは非常に重要な問題でして、いまだにその見通しがないということでは大変困ります。これは早急にめどをつけて早く実現をしていただきたいし、さらに、このほどまた施設庁では、要するに県の地域開発への意向ないしは住民の皆さんの反基地感情、こういうものも考慮して、基幹基地は仕方がないとしても、その他の基地の整理縮小ないし早期返還、これを求めるような作業を進めて、ほぼ、成案を得ているというふうな状態のように聞いておりますが、どういう方針で、またどのような地点にしぼって、これからの交渉になりましょうが、いわゆる施設庁として挙げられている地域、そういう地点及び面積について若干説明願いたい。
  123. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 開発庁長官からもお話がございましたように、沖繩の米軍施設の密度の高いこと十分承知しておりますし、基地周辺の住民の要望、また地元の市町村の開発計画その他を配慮いたしまして、できる限り基地の整理統合を進めるべく、従来からも米側と話し合ってまいったわけでございまして、ただいまも十四、十五回の安保委員会の決定以降におきましても、さらに施設・区域の整理縮小につきまして研究を重ねてまいったわけでございますが、ただいま大体まあ決まったんじゃないかという御質問でございますけれども、実際まだ決めたわけではございませんで、ただいま事務的に返還の可能な場所につきまして、地元の要望、それから住民の御希望等を勘案しながら、今後の整理縮小の案をいま一生懸命に研究をしておるという段階でございまして、御質疑の、どことどこでいかなる面積かというところまではまだちょっと詰まっておりませんので、具体的内容につきましては申し上げるのを差し控えさしていただきたいと思うのでございますが。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちゃんとリストアップされて、そのリストを持っていらっしゃりながらそういうような答弁をなさるのはどうかと私は思うんです。要するに、十四回、十五回の整理統合、いわゆる返還の合意、それが代替施設のためにできてないということで実現されてない、そういうことを勘案して施設庁としては方針を改められて、代替施設、いわゆる財政負担の大きな代替施設を必要としないところがまず第一点、第二点は、広大な訓練場で一部返還しても訓練に差し支えない、そう思われる施設、第三番目には地元の返還要望の強い施設、大体この点ならば返還の要請をしても合意に達するであろうというところ、ほぼ二十カ所といわれておりますが、すでにリストアップは終わっているわけでしょう。ただそれが、いわゆるその協議会で合意になるならないは、これは日米間の交渉の問題ですが、いわゆる要請を、原案をまとめ要請をする施設庁とすれば、これはやっぱり早い機会にこういう地点の返還を要望する、世論も盛り上げて、そして米軍側の協力も得るというためには、部外秘などというような考え方ではなくて、むしろ早期にそういうもうすでにリストアップできているものについては、これはできるできないは別ですよ、協議によるんですから、しかし、こういう要請を持っているという前向きな姿勢は早目に発表して、現地もそれに対応しなければなりませんでしょうし、また、それが返還されても例の地籍の問題等もありまして、おいそれと間に合わないということでも困りますし、こういう要請をするんだというぐらいのことは前もって発表されてもよろしいんじゃないでしょうか。こちらの予定ですから、返る返らないは協議の結果で、これは別に差し控えさしていただきたいというような外交上の重要な秘密事項では私はないと思うんです。   〔理事稲嶺一郎退席委員長着席〕 しかも、先ほども言いましたように、代替施設を必要としない、あるいは訓練に差し支えない、地元の開発の希望が非常に強い、こういう地点に限って整理されているわけですから、もう少しいまの私の申し上げた三点になぞらえて、全部が全部とは申しません、こういうところをリストアップして返還の要請をしていく考えであるというぐらいのところまでは発表されてもよろしいんじゃないですか。いかがでしょう。
  125. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) ただいま先生が御指摘になりました考え方でございます。その三つの考え方、これにつきましては私どもも同じような考え方に立ちまして……
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 おたくの考え方を私言っているんですよ。私の考え方じゃないです。
  127. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 先生がおっしゃいましたような考え方と同じような考え方で私どもは作業を進めておるわけでございます。ただ希望返還したいという希望だからいいとおっしゃいますけれども、まあそういうものを発表いたしますことによりまして、これが実現しないような場合もございましょうから、これをいま明らかにするということは私は適当でないというふうに考えておるわけでございます。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 長官どうですか、私はこういうふうな、いわゆるいままでのような代替施設を必要とする、しかしそれでも地元の要請が非常に強いから日米の合議にかけて返還はしましょう、しかし代替施設ができるまで実現しない、こういう無理な返還の合意までやってきているわけです、日本側とすれば。ところがいまはそういういわば名をあげて実がおくれるというような返還交渉ではなくて、むしろ差し支えがない、米軍側にとっても、しかもその実現が可能である、そういうところをリストアップして要請をしようとするのに、いまのような施設庁の、返還になるかならないかわからないから、前もって発表するのは差し控えるというようなことで、長官の御心配になっている沖繩の開発ということと基地との関連性が余りにもかみ合ってる今日では、こういう姿勢はやっぱり私はやめるべきだ、むしろ前向きに発表して、世論を盛り上げて、そして県民の皆さんの要望や政府の熱意や、そういうもので、アメリカの基地に差し支えるなら別ですよ、差し支えないであろうという判断のもとに出す要請ならば、むしろ世論を盛り上げるという意味で、あるいは地元が返還になってその受け入れの体制を早く決める、利用計画、跡地の利用計画を推進するという意味からも、前もって早く発表する方がよろしいのではないかと私は思うのですが、長官、お考えどうですか。
  129. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) いまの御論議承っておりまして、私も、県あるいは市町村、地元の人々が非常に大きな期待を持っておられる、利用計画も早く立てたいというような要望に対しましては、政府としては十分こたえなければならない。また、いまお話ございましたように、返還は予定されておるのだけれども、代替施設が整わないために一向にそれが実現しないと、こういうようなことはできるだけ避けるべきであると思うのでございます。いまお話しのように、予定されているところを早く発表すべきではないかということについては、私も同じような考え方を持ちます。ただそれを発表するということによっていろいろな計画を立てるというメリットはございますが、もしそれができなかったならばどうなるのかというようなことについて、防衛施設庁としてはいろいろ心配をしておるのではないかと思うのでございます。しかし、御指摘の点については施設庁としても十分問題意識を把握していただいて、精力的に早期返還に努められるように私は切にこいねがう次第でございます。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は発表しろ、発表しろという、その既定の方針として発表しろというやり方でなくて、施設庁さん、発表ということになるときわめて何といいますか、権威づけられたものになります。私はそういうような発表形式で言ってるわけじゃないのです。ただ、こういう委員会の場所で、私どもがいわゆるいろいろな要請とかそういうものを勘案しながら、もうすでに相当そのリストアップはできているのでしょうと、ならばそれは一体どこなんですかと、差し支えのあるところもありましょう、しかし、ほぼ見当がつけて、これはまず余り差しさわりがないだろうという地点もあるはずなんです。みそもくそも一緒にして発表を差し控えるということじゃなくて、主要な部分についてもこれは地名などを挙げて説明いただくわけにはいきませんか、きょうの場合は。
  131. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 実はリストアップされたということでございますが、まだ本当の事務案でございまして、まだここで発表させていただくというほどのものでもございませんもので、非常に変動の可能性を持っておるものでございます。まあ御趣旨よくわかりますので検討させていただきますけれども、直ちにここでお話しを申し上げるというところまでいっておりませんことを御了解いただきたいと思います。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 出ているのですよ、新聞に。  それじゃ私の方から申します。これは本当にそういう姿勢だと困りますよ。私、確認の意味みたいなかっこうになるんですが、たとえば「全面返還を要求」という言葉をかえましょう。要請とかえましょう。施設庁さんのお気持ちを体して、ここには「要求」となっていますが。基地として海兵隊が駐留するキャンプ・へーグ——沖繩市など六十四万五千平方メートル、それからカシジの陸軍補助施設——北谷村の六千平方メートル、瑞慶覧通信所——北谷村など十一万九千平方メートル、こういうようなところなど五、六カ所を全面返還を要請する。さらにまた一部返還の基地としては、北部の訓練場——国頭村、それからまたキャンプ・ハンセンなど十四カ所を候補地に挙げている、こういうふうなことでございますが、この点はいかがですか。違うなら違うとおっしゃっていただきたい。
  133. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 候補地の中に入っておるというふうに申し上げます。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 施設庁さんの方が本当に慎重に配慮されることは私はわかります。もう時間が来ましたから、これは時間切れになってしまいましたけれども、もっと現地の実情というものを配慮されて、たとえば、何回も私言いますけれども、地籍の調査の問題にしましても、本当に防衛施設庁の姿勢ではなかなか私進まないと思うんです。また、それらのことも勘案して、今後ひとつこういうふうな返還基地の問題については、返還が合意になってもそれで終わりとしないわけです。それから利用しなきゃならぬ。一日も早い方がよろしいわけです。ひとつ姿勢を改めていただいて、現地の皆さんの要望に真剣にこたえる基地返還の対応、こういうものをお考え願いたいと思いますし、長官の方もその旨を体して施設庁にもひとつ要望し、また指導、激励をしていただきたい、このように思います。  以上で終わります。
  135. 立木洋

    ○立木洋君 先ほど来川村委員も二宮委員質問されたわけですが、その点で一、二確かめておきたいと思いますが、整理統合、返還要求する基準といいますか、防衛庁の考え方として先ほど三つの点を確認されたと思うのです。地元の返還要求の強いところ、それから市町村として利用計画を持っているところ、それからアメリカが不必要とする、まあ返還可能なところという点なわけですけれども、これはアメリカが必要とするかしないかということと、たとえば、地元の返還の要求がきわめて強い場合には、アメリカが必要とする場合でも防衛庁としてはその問題を提起して、地元のこういう問題がある、だから米軍も考えてほしいという、そういう問題提起はする姿勢を持っておられるのかどうなのか。アメリカが必要だと言われればそれがもう前提となって、地元のそういう要望があってもこちらの提起を差し控えるのか、そういう点についてはどういう考えですか。
  136. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 私どもの姿勢といたしましては、地元の要望が強いところにつきましては対米的に交渉をいたしたいというふうに考えております。
  137. 立木洋

    ○立木洋君 それでは向こうの意見が、どういう意見があっても、一応地元の要望があればそれはやはり全面的に問題を提起していくということでありますね。  そうしますと、たとえば、伊江島の射爆場の問題は地元の要求はきわめて強いわけですが、この件に関しては、先般も長官も、ああいうところにいま射爆場がない方が実際はいいんだという趣旨のお話もあったわけですが、この問題については、今回問題を提起していくという考え方をお持ちですか。それとも問題を出さないのかどうなのか。そこらあたりについては、すでに開発庁長官も述べられておるので問題を提起されるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  138. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 伊江島の射爆撃場につきましても検討の対象にしてまいりたいと思っています。
  139. 立木洋

    ○立木洋君 それで、一応問題に提起されている、こちらから出す施設返還の内容として、たとえば核関連部隊ですね、いろいろありますけれども。三四七あるいはその他四〇〇弾薬整備隊だとか一八戦術戦闘航空隊だとか、いろいろありますけれども、こういう問題についてはこちらから問題を提起する中には入っていないわけですか。
  140. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 核の問題につきまして、私ども提供しております施設・区域の中にその核関連部隊がおるのかいないのかということにつきましては、私ども施設庁といたしましては承知いたしておりませんものですから、そのような観点では問題の提起ということにはならないというふうに考えております。
  141. 立木洋

    ○立木洋君 これはアメリカ側は御承知のようにガイラー米太平洋長官が述べております。つまり日本においては核支援部隊は必要ないし置く必要もないという意味でしたか、これは局長も御存じだと思いますけれども、そうすると、そういう核を実際に輸送したりするような任務を持っておる部隊というのは実際上配備する必要ないということをガイラー米太平洋長官も言われているわけですからそういう問題も提起していく、こういうことは防衛庁としてはやっていいんではないかと思うんですが、いかがですか。
  142. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) 核のいまの問題、よく施設庁といたしましては承知しておりませんものでございますので、私お答えする能力がございませんのですが、そういうガイラー長官でございますか、その辺のいきさつ承知しておりませんものですので、お答え、ちょっとできかねるわけでございます。
  143. 立木洋

    ○立木洋君 それじゃ、この問題は次にいたします。  アメリカ局長お尋ねしたいんですが、先般質問いたしまして、御承知のように金武村でアメリカの海兵隊員が日本の運転手さん等に自動車にビールびんや石を投げたという事件があったわけですが、これの処理がどうなっているのか、その事件に関してアメリカ軍に対してはどういう抗議的な申し入れを行ったのか、また行っていないなら行っていない、その点はどういうふうになっておるでしょうか、いまのところ。
  144. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) この事件に関しましては、先般六月十八日の衆議院の内閣委員会で瀬長委員も取り上げられたわけでございますが、その後私たちといたしましては、警察の方でお調べになったということでございまして、その最終的な捜査の結果をまだ承知しておらないのでございます。その捜査の結果を伺いました上で、必要と認めればしかるべく措置をとりたいと考えております。
  145. 立木洋

    ○立木洋君 長官にお尋ねしたいわけですが、いよいよ海洋博も間近に迫ってまいりました。御承知のように、米軍基地が大量に存在する沖繩状態の中で、いままできわめて好ましくない米兵の犯罪行為というものが頻発してきたわけですが、この海洋博が始まりますと相当な人間が沖繩に集中する、そういう事態の中で米兵の犯罪事故が完全に起こらないように、やっぱり対策を立てるなり手を打つなりという必要があるのではないかと思いますけれども、この点については長官どのようにお考えになっておられるのか。
  146. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) あの金武村の事件が起こりました際に閣議で私が発言をいたしましたことは御承知のとおりでございますし、また外務省に対しましてもこのような事件が起こらないようにということについて強い協力方の要請をしたわけでございます。外務大臣が駐日大使を招致せられまして、これに対して、このような問題について再び起こらないようにという意味のいわば抗議と申しますか、要請をせられたことは御承知のとおりでございます。  その後、大使自身が官房長官のところへ訪問をいたしまして、遺憾の意を表明をいたしますとともに、このような事件が起こらないようにアメリカ側としても努力をするということを発言したということを、私は直接官房長官からも伺っております。  お説のように、海洋博覧会を成功させますためには、国を挙げての行事でございますし、国際的な行事でございますから、アメリカ軍の犯罪のみならず、沖繩県におきまして不祥事件が起こり、あるいはまた、治安が乱れるというようなことがありましたら大変でございますので、私は事あるごとにそのことを発言し、主張をしているのでございまして、今後も努力を続けてまいりたいと存じます。
  147. 立木洋

    ○立木洋君 局長お尋ねしたいんですが、いままで繰り返しこの問題については何回かお尋ねしてきましたし、直接局長にもお会いして何回か要求してきたわけですけれども、その都度アメリカ側に対しては、抗議的な申し入れをされるなり要望されるというふうな措置をとってこられたと思うんです。もちろん私たちの考え方からすればきわめて不十分な点もあると思うんですけれども、今回、やはりいままで一連の事態が起こっておる状態の中で、また、先般金武村で起こりました二少女に関する事件で米軍側が告示した内容も、これきわめて適切でない告示であるということも局長認められたわけですから、この際改めて、やはり海洋博を前にして、この事態について再び米側に強く要望するということが私は必要ではないかと思うんですよ。先般もお話し合いした中では、大使館に言っても、大使館筋から米軍に言ったんではなかなか通りにいくと、軍の関係と大使館関係では。だからもう一段高いところからきちっとやはり米軍に抗議的な要望を申し入れるという必要があるのではないかということもお話ししたんですが、やはりいまそういう措置をとることがきわめて重要な時期だと思うんですが、局長考えとしてはいかがでしょうか。
  148. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) この点に関しましては、先日、十八日の衆議院内閣委員会で瀬長委員からお話がございまして、三木総理からも、政府としてもアメリカ側にさらに効果的な措置をとるように申し入れるとともに、政府としても具体的な対策を講じたいということをおっしゃったわけでございます。そういうことでもございましたので、われわれとしても、さらに沖繩海洋博が近づいておることでもございますし、もう一回改めてアメリカ側に注意を喚起し、申し入れたいと考えまして、在来大使を通じまして、ワシントンにおいて国務省及び国防省に対して申し入れるように訓令を実は出した次第でございます。  それから、いろんな事件が起こりますのを防止するためには、やはり基地周辺の警備を強化するということが必要ではないかと私たちも思いますので、この点に関しましては外務省だけの問題ではございませんで、政府全体でもございますので、実は関係方面にもお願いして、具体的な措置について総理の御発言の趣旨を体して措置をとっていただくよう、外務省からも申し入れておるような次第でございます。
  149. 奥山正也

    説明員(奥山正也君) ちょっと申しわけございません。私、ただいま川村先生の御質問に対しまして、沖繩の今後返還されるべき数字をちょっと間違えましたので、この席で申しわけございませんが、訂正さしていただきたいと思います。  今後沖繩の、十四回安保の関係でございますけれども、実はこれは全体の、全国の数字を申し上げまして、沖繩だけの数字でございませんので、沖繩の数字は、今後返還されるべき施設の数が、三施設で四百七十万平米というふうに御訂正をいただきたいと思います。どうも貴重な時間申しわけございませんでした。
  150. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 植木長官、二度目の沖繩調査大変御苦労さんでございました。大変あわただしい御調査でありましたが、至るところで前向きの、いろいろないい抱負をお述べいただいて大変その点よかったと思っております。御苦労さんでした。  ところが、この前もちょっと質問をいたしましたが、県土利用計画の中には軍用地も含むか含まぬかという問題が、いろいろ問題はあったようでありまするが、県の主張を取り入れてもらって、政府も県のものを承認してもらった、これは大変よかったと思っております。ところがここに問題は、実際の土地利用計画ということになりますと、基地の解放、整理縮小、地籍の調査、この取り組みが大変実際問題として困難な問題でありますが、現にいままで解放された数も五%程度しか利用されていないという状況でありますので、その点私は、まだまだこのままでは絵にかいたもちになる心配はないかなあという懸念を持つのでありますので、その点を含めて後でひとつ御意見を承りたいと思います。  次に、ずっと関連して申し上げたいのは、沖繩の失業者の問題が四月現在で二万一千人、五・二%ですか、ところが、それであっても非常に深刻な問題。五%を超えるというと、その社会は暴動が起こるんだとも聞いておりますが、それほど不健全な不安定な社会、これが沖繩に当たるわけであります。ところが、ごく最近では失業率が五・六%、二万二千人ですか、五・六%にいっておる。いよいよ大変だと、こう思うわけなんです。ところがそれの対策として、長官も述べられたように、第二次産業、工業誘致を大いにやらねばいかぬと——大いにと言ってもめどが、限界があるわけでありますが、きょうも第二次産業の振興が必要であるということをおっしゃったわけですが、このことはみんな感じておることなんです。ところがその点で非常に気になりますことば、第二次産業の振興は非常に望み薄であるという調査データが出ておることは御存じかとも思いますけれども、琉球銀行の職員それから琉球大学を中心とする学者連中が、この第二次産業の沖繩における取り組みが一体可能であるかどうであるかという点、この調査の結果では望み薄で市場も狭く、生産性も低い、失業者の吸収が困難であると、こういう調査の結果を出してあるんです。そうしますと地場産業の育成だとかあるいは企業導入とか失業対策とか、バランスのとれた開発という面からも第二次産業の開発が必要かと思うんですが、ところが立地条件としては悲観材料が出されておるわけですが、そういったことに対して長官としてどうお考えですか。
  151. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) 沖繩におきまして工業を中心といたします第二次産業振興するに当たりましては、その立地条件にいろいろのデメリットがあるということは私も承知いたしております。本土と大変距離があるという点、あるいは市場が狭い、あるいは工業集積の欠如、あるいは熟練技能労働力の欠如、産業基盤の未整備というような問題があるわけでございます。その上最近におきましては反公害、反工業ムードというものもあるわけでございまして、工業開発は容易なことではないということは私も十分認識をいたしております。さればと言ってこれで第二次産業振興をあきらめる、やめてしまうというわけにまいらないのでございまして、やはりこれを振興いたしません限り、先ほどお話しの失業者の吸収というものもあり得ないわけでございます。したがって、これらのいま申し上げましたデメリットをどのように解消していくかということが問題でございまして、国といたしましては隘路となっております工業用水の確保を初めといたしまして、各種の産業基盤施設の整備を着々と進めておりますし、また誘致企業並びに地元企業に対しまして税制上の優遇措置が与えられる工業開発地区の指定も近く沖繩開発審議会に諮りたいというふうに考えております。  また、既存工業につきましては、中小企業が大部分を占めておりますので、これらの健全発展のために企業の協業化、共同化を図りまして設備の近代化と合理化とを積極的に推進をしていきたいと施策しているわけでございます。さらに公共事業なりを通ずる職業訓練の充実強化を図りまして、必要な基幹労働力の養成確保が必要でございます。こういうような施策を進めます一方、工業の開発には工場用地の造成、企業の積極的誘致など、県及び地元の意欲が何といっても不可欠でございまして、この点ぜひ前向きに進めていただきたいと考えているのでございます。要するに、国と県と地元が一体となりましていま申し上げましたような立地条件のデメリットの克服をしてまいらなければならない。この点に特に力を注いでまいりたいと存じます。  市場が狭いというのは事実でありますが、これは沖繩県だけを市場とするのではない、やはり本土を市場とする努力をしなければなりませんし、生産性が低いと申しましても、これは先ほど来申し上げておりますような施策よろしきを得ましたならば向上するわけでございますので、ただこの悲観的な御見解だけではなしに、いま申し上げましたように積極的に第二次産業を振興してまいらなければならないという基本的な姿勢で県も国と一体となって臨んでいただきたい、これを切望するものであります。
  152. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひひとつ、何と申しましてもそういった社会基盤のもろさがありますので、このデメリットをいかに解消するかという点を重々ひとつ先行さしていただいて、メリットを最大限に実らしていただきますよう要望しておきます。  次に、県道百四号線の問題をめぐって、きょう時間もありませんので二つの点だけお尋ねして、一つは例の迂回道路の問題でも三億円予算化されたという報道があるのですが、これは確実かどうか、まずそれを……。
  153. 宇都信義

    説明員(宇都信義君) 県道百四号線のバイパス工事といたしまして、施設庁では今年度約四億四千万円の工事費を実行計画で計上してまいりました。
  154. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わかりました。それは確定しておるんですね。と申しますのは、この迂回道路は金武村の山林道としてこれを歓迎すると、ところがその被害者の恩納の喜瀬武原というのはその迂回道路をつくられたら、現在の百四号線も迂回、最初の道はこうだと、ところがいまの道路が迂回道路で、さらに迂回道路になるとここなんです。それは大変だということで、そうしてその迂回道路をつくられたらこの百四号線は封鎖されると、こういう前提に立っての迂回道路であるかどうか。
  155. 宇都信義

    説明員(宇都信義君) 現在私ども計画しておりますバイパス道路につきましては、米軍が県道百四号線越えの実弾射撃を実施する場合に、その砲座の背後を迂回することで通行できるような路線になっておりました。一方、金武村の方からはその地域の産業開発のための道路を建設して欲しいという要望が出ております。したがいまして、そういう地元の御要望と私どものバイパス建設との考えをあわせまして実施していくわけでございますが、このバイパス建設ができますと地元関係者も利用できるということで、地元の利便も図り得るというふうに私ども考えております。またさらに、実施に当たりましては、やはり金武村、恩納村とも十分協議して進めていきたいと思っております。
  156. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは問題は一方的にこう進めた場合に解決が困難であるということが予想されるもんですから、十分にコンセンサスを得られぬというとまためんどう起こりますということを、私気になるから一応申し上げておきます。施行に当たっては配慮してもらわぬと困りますよということ。  次に質問は飛びますが、着弾距離ですね。砲座からの着弾距離、着弾地がありますね。そこに先般いろいろ問題があったわけです。ところが最初はあそこはさくはなかった。ごく最近さくが立ちましたね。そのさくはどこがやったんですか。費用は幾らかかったんですか。
  157. 宇都信義

    説明員(宇都信義君) さくの問題でございますが、施設庁で昨年度実施した事業だと思いますけれども、私の方の担当でございませんので、いま手持ち資料を持っておりません。
  158. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 資料を持っておられぬ。それじゃいいかげんおっしゃると困りますから。  それじゃそのさくをいけた長さ、それから費用が幾らかかったか、どこから出たのか、どこが負担したのか、それをぜひ資料を出してください。  まあ、私もその着弾地に行ったわけでありますが、ここに一つの資料を持ってきておるんですが、緑を、水源は絶え、赤土になり、木は砲弾でやられ、しかもそれがこの着弾地を越えて向こうの伊芸の字に破片がそれていったこともたびたびある。逆に今度は喜瀬武原の近くに落ちたこともあるわけですね。行ってみたらもうこういうのがもう重なっていっぱいあるんですがね。こういうものが。これ見ただけでもびっくりしたわけです。私はこういう場面を見まして、まあ緑を守る、その周辺の人々がこの緑を育てるために一生懸命やっておるのに、片方ではそれをめちゃくちゃに山を荒らし、緑を破壊し、そうしてその水源を絶やしている、赤土化しておるというこの状況を見まして非常に嘆いたわけでありますが、このこともひとつ、まあきょうは時間がありませんので、これぐらいにとどめておきます。  次に、開発庁長官にお聞きしますが、この前も話がございましたポスト海洋博のアンコールフェアですね。これがまあ沖繩の経済人からも非常に強い要望がありますし、また長官もおっしゃっておられたその後の経済落ち込みを考えた場合に、どうしても何かやらぬといかぬということを言われておられましたが、このアンコールフェアについてはどうなっておりますか。具体的な案ができておるんですか。もし持っておられましたら、ひとつ述べていただきたいと思います。
  159. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) 御承知の海洋博推進対策本部に跡利用部会を設けまして、跡利用につきましていろいろ協議をしているわけでございますが、また、これにつきまして私も一つの構想を先日発表をいたしたわけでありますが、これとアンコールフェアとの関係が非常にございますので、したがって、私どもといたしましては、博覧会の担当省であります通産省において早急に検討して結論を出していただきたいということを申しております。そのことは政府部内の取り決めとなっておりますので、したがって、いまの段階ではまだ通産省としての態度を決めていないという状況でございますので、御答弁できない状況であります。
  160. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 関連しまして、長官はこの跡地を記念公園として残していきたいと。そして、その維持管理費は国が負担するということを述べておられるようでありますが、これはもう大体間違いがないと見てよろしゅうございますか。
  161. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) 私が海洋博記念公園としてまとめて残すということを申し上げ、またこの整備は国が当たると、こういうことを申し上げました。維持管理につきましては、質問がございました際に、私は財政的な面について国として手当てをしていかなければなるまいということを申しましたけれども、この点につきましては跡利用部会が県とも十分連絡をとり合いながら、その意見を聞きながら決めていかなければならないものだと思うのでありまして、維持管理をどういう組織がするのであるかということについては、まだ申し述べる段階に至っていないのであります。
  162. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これぜひひとつ後戻りさせぬで、必ず実現してくださるよう要望しておきます。これ頼みます。  次に外務省。まあ日米合同委員会を秘密にするな、公開の原則を貫けという要望も強いわけですが、地位協定実施に当たって、沖繩の問題は何か事象が起こるというと、たぐってみるというと地位協定にぶつかる。事が起こって初めて地位協定の内容はそういうものであったかと、こういうふうに問題を通していわゆる隠された面があるなということを常に感ずるわけなんです。それで私さっき、外務大臣にこれをちょっとお尋ねしようと思っておったんですが、おられませんのであなたにお尋ねするわけですが、この地位協定の合意メモというのがありますね。地位協定の合意メモがありましょう。その合意メモの内容が何であるかということ、これは公表してほしいという私要望し、またそういった声が非常に強いわけなんです。それをなかなか公開をしてもらわぬわけですが、その合意メモの内容を出してもらうわけにはいかぬのですか。ぜひそうしていただきたいのだが。
  163. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 地位協定の実施に関しまして、協議機関として日米合同委員会というのが設置されておりまして、そこでいろいろな実施、運用の面における問題を相談いたしておるわけでございます。それは二週間に一回会合いたしましていろいろな問題を協議してまいって、また必要な問題につきましてはその合意事項を紙にいたしておるわけでございます。  この合意文書に関しましては、合同委員会が設立されました第一回の会合におきまして、これは不公表の扱いにするというふうに両者の間で取り決められておりまして、したがいまして、われわれといたしましてはその合意文書の全文を公表いたすということはいままでいたしておらないわけでございますが、もちろんその内容に関しましては、国内法及び地位協定の範囲内において行っておるわけでございまして、また、国民の皆さま方にお知らせすべき問題については、アメリカ側の了承も得た上で随時公表いたしておるわけでございます。具体的にはその要旨を取りまとめまして国会にも提出をいたしております。さらに、施設・区域の提供に関する合意に関しましては、その主要点について官報に告示をいたしております。したがいまして、地位協定の諸規定及び合同委員会の合意の内容の要旨については一般に公表されておりまして、別段隠し立てはいたしておらないつもりでございます。
  164. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃいまの点、要求すれば出してもらえますね。必要によって応じてもらえますね。
  165. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) すでに国会にお出しいたしましたものにつきましては、先生の方から御要望ございましたらお出しすることはできます。
  166. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次、文部省見えておりますか。資料を出していただく要求が一つと、それから研究を願いたい、御配慮願いたいという二つの点。  一つは、施設設備の校舎、特別教室の建設で、沖繩の場合一応いわゆる補助率の配慮はされておるということになっておりますが、実際問題として例の基準単価の問題が低過ぎる。さらに物価がはね上がっておる。そこからくる差額がいわゆる超過負担になっておるわけですね。それを持ち切れぬで返上しておる。プールや体育館をつくる——実情が多いということは御存じだと思います。それで、せめて割り当てられたその数だけでもこなしていくためにはどうしても文部省はまた考えていかなければいけない。  一例を申しますが、北中城の中学校——北中城村ですが、に体育館が割り当てられておるのです。ところがどうしても超過負担を持ち切れぬからということで年間今度千五百万円積み立てて、来年もまた同じく千五百万円積み立てて、そしてさらに三年目にそれを建築に移すと、こういう計画が出されておることを私この二、三日前に聞いてきまして、こういう状態なんです。これをひとつ念頭に置かれて検討してもらいたい。  第二は、年休の問題、教職員の年次休暇、年間二十日ありますね。ところがその年休の消化は実際問題としてこなせない、権利はあるけれども。そういうことで復帰前は沖繩には年次休暇の買い上げといういわゆる既得権があるわけですが、その問題についてはもうきょうは時間がありませんので次に回しますが、お願いしたいことは、年休の行使状況、実施状況、教職員が与えられた権利をどのように行使しておるか、日本全体の状況、それから沖繩の場合、この資料を出してください。
  167. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいまの喜屋武眞榮君から資料の要求がありましたが、御返事を願います。
  168. 浦山太郎

    説明員(浦山太郎君) 私どもの方では年次有給休暇の年間全体の調査は従来いたしておらないわけでございますけれども、夏期休業中の勤務状況については調査がございますので、それは全国と沖繩との対比ができる形になっておりますので、それでよろしければ出さしていただきたいというように思います。
  169. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 御質問の第一点の北中城中学校の体育館のことでございますが、これにつきましては実情を調べてみたいと思いますが、ただ、一般的に言いまして、いままで体育館、教室等で沖繩で実施しました予算のことについては、個々にはいろいろ、いわゆる超過負担とおっしゃるものもございますが、中には、私たちの調査の中では私たちの配付単価でおさまっているものもあるように聞いております。そんなことでございますけれども、いまの北中城中学校等については後刻実情を調べてみたいと思います。
  170. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう時間がありませんので。
  171. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会