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国務大臣(
木村睦男君) ただいま
三木委員が御
指摘になりました数々の問題でございますが、まさに一番頭を痛めておる問題でございます。
まず第一に申し上げたいことは、いま
日本の経済の落ち込みが一番ひどいときでございますので、その影響を受けまして国内の
航空事業も軒並みに乗車効率も落ちておりますし、経営も非常に悪くなってきております。先ほど来、全日空は四十九年度は黒字を出しておったというお話でございますが、まさに経理上は黒字でございますけれ
ども、あそこも機材を売却したりしてやっとこさ黒字を出しておるというふうなことでございますので、あたりまえでいきますと、あそこも赤字だ。こういう状況のもとで、非常に各
航空会社が呻吟をいたしておるわけでございます。
そこで先ほど御
指摘になりましたように、YSで乗車効率も非常に低いところを続けてやっているのもどうかと思うというふうなお話もございました。この経営の改善のための増資を図るという点は、
航空行政を預かる
運輸省といたしましても、もちろん非常に関心を持っておりますが、それ以上にそれぞれがみんな企業でございますので、みずからが一番それはその会社の命運に関することですから、非常に真剣に
考えております。にもかかわらず乗車効率三〇%のところを依然としてやっておるのはどういうわけだという問題もあるわけでございます。これは端的に例をとりますと、たとえば岡山−東京間の
航空は、新幹線が通るまでは一日二便ないし三便ございました、もちろんYSでございます。これはもうドル箱であったわけでございます。ところが新幹線が開通しましてから一便に減らしましたが、その一便が三〇%いくかいかないで、それはやめたらいいじゃないかということになるんですが、たった残された一便をやめるということは地元が絶対承知しないというようなこともありまして、やむを得ずやっておるというところもほかにも例があるわけでございまして、この点は今後の問題として
航空行政の面からもいろいろ
考えていかなきゃいけない問題があると思います。ことにジェット化をして
航空時間を短縮すれば、またどんどん新幹線から
飛行機に移ってくるというふうなこともあるわけでございますが、それにはやはり空港の
整備もあれば、一方においてそういった機材の
整備も必要であるという問題があるわけでございます。
それから離島関係の問題は、これは離島相互間、それから本土と離島、この必要な離島との
交通の便を確保するということは、もちろんわれわれの非常な大きな任務でございます。これには、いままでは船舶
交通による離島
交通ということで離島補助を相当手厚くやっておりますが、その離島間において船もあるが
航空もあると、
航空は船に比べると非常に短時間で行ける。したがって、この
航空が離島の
交通にとっては非常に重要である、しかし、これは赤字の路線が多いと、だから
政府はこれに対して何らかの措置を講ずるべきではないかという問題にいま迫られておるわけでございます。
この問題についての
考え方は、
日本の全体の
交通事業に対する措置の仕方の基本に触れる問題でございまして、離島間の
交通というものの最低限度を国がめんどうを見るという立場に立った場合に、それでは船だけでいいではないか、
飛行機はあそこまでめんどうを見たって、これは企業の採算に任せておっていいじゃないかという一つの
考え方もございますし、しかし、いまやわれわれの生活も大分向上してきたし、経済的な日常生活というふうな
考え方からしまして、短時間の
交通の便を国も援助をして離島間の
交通については提供すべきであるという
考え方を強調すれば、そういった離島の空港に対しては、いまは機材の購入についての補助の
程度でございますが、いわゆる一般経費についても補助をすべきではないかという
議論にもなるわけでございます。そういうことをいろいろいま
考えておりまして、来年度の予算編成の場合にいま一歩を進めまして、従来のような
航空機の購入のときだけの補助ということから一歩を進めて、離島の海上航路あるいは過疎地帯のバスの補助金、そういうものに近づけて、離島間の
航空交通に対する
政府の援助の仕方を少し強めていきたいということを現在頭に入れながら研究をいたしておるようなわけでございます。
それから
航空事業の再編成の問題でございますが、これもしばしば皆さんから御
指摘を受け、また有益な御
意見も承っておるわけでございますが、確かに三、四年あるいは四、五年前に一応の
航空事業についての基本方針というものは出ておりますけれ
ども、しかし四、五年という今日の歳月は、社会情勢も
交通事情も変わるわけでございます。しかも、いま御
指摘のようにたまたま経済もなべ底になっておりますので、経営がよくない、こういうことを踏まえまして、これからの
日本の特に国内の
航空事業というものをいかに
見直していけばよろしいかという問題に実は直面をいたしておるわけでございます。いろいろ過去の四、五年間あるいは五、六年間の実態を見ますときに、いろんな私も
意見を持っております。まあそれらの
見解をもとにしながら、将来にわたっての
日本国内の
航空事業の
見直し、再編成とまでは言い切れぬかもしれませんが、
見直し的な施策は講じなきゃならぬと思っておりますが、ただ、いま一番景気が底をついておるところでございますので、これがいまの予想では、この秋から冬への経済の状況というものがかなり改善されてくるようにわれわれは努力はしておりますが、そのとおりいくかどうかわかりませんが、努力をいたしております。その努力に応じて景気というものがもう底をついてだんだん上向きになってくるかどうかということをもう少し情勢を見た上で、今後の
航空事業の全体の
見直しということをやるのが適当ではないか。
いま直ちにこの状況のもとで基本的な再編成といったようなものを手がけることは、またどう経済情勢が変わるかも知らぬというときをちょっと避けて、もう少し経済の先行きが見える
段階になってから
考えていく方がいいんではないか、さように今日では
考えておりますが、決してこの
航空事業の再編成的な
見直しということを
考えていないということでは絶対にございません。現在はそういう状況であることを御理解いただきたいと思います。