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1975-06-05 第75回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)    午後一時六分開会     —————————————    委員異動  五月三十日    辞任          補欠選任      八木 一郎君     岡本  悟君  六月三日    辞任          補欠選任     石破 二朗君      迫水 久常君     橘  直治君      松岡 克由君  六月四日    辞任          補欠選任     迫水 久常君      石破 二朗君     松岡 克由君      橘  直治君  六月五日    辞任          補欠選任     戸田 菊雄君      森中 守義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 平井 卓志君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 石破 二朗君                 今泉 正二君                 岡本  悟君                 永野 嚴雄君                 青木 薪次君                 杉山善太郎君                 前川  旦君                 岩間 正男君                 和田 春生君    政府委員        運輸省航空局長  中村 大造君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    参考人        東海大学教授   井戸  剛君        日本航空機操縦        協会専務理事   園山 鋭一君        日本航空整備協        会理事      平沢 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○航空法の一部を改正する法律案(第七十一回国  会内閣提出、第七十五回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、戸田菊雄君が委員辞任され、その補欠として森中守義君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  宅地開発公団法案について、建設委員会に対し連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 次に、航空法の一部を改正する法律案を議題とし、参考人意見を聴取いたします。  参考人として、東海大学教授井戸剛君、日本航空機操縦士協会専務理事園山鋭一君及び日本航空整備協会理事平沢秀雄君の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ、本委員会にわざわざ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  参考人におかれましては、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。  なお、議事の進め方といたしましては、最初に参考人からお一人について二十分間程度の御意見をお述べいただき、引き続いて委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それではまず井戸参考人からお願いをいたします。
  7. 井戸剛

    参考人井戸剛君) ただいま御紹介にあずかりました井戸でございます。私はこの航空法改正案運輸省において立案当時、航空法制検討委員でございまして、また四十六年七月に発生いたしました雫石事故調査委員をしておりました。その際の経験、印象並びにその後の動向観察を含めまして意見を述べ、御審議の参考といたしたいと存じます。  わが国民間航空は、昨四十九年度に国内定期航空のみで利用旅客が約二千五百万人、すなわち毎日平均七万人が利用する重要不可欠な公共輸送機関となっております。ますます航空安全の確保が絶対的命題となっていることは申すまでもございません。したがって航空運営基本ルールである航空法においてまず安全を指向するのは当然と言わねばなりません。しかしながら、この法改正のねらいとするところを完全に実現するのに必要な運用上の方法手段等の問題を改正案作成当時から今日までの改善進捗状況を見るならば、新たなデメリットを生むのではないかとの危倶を抱くものでございます。  四十六年十一月、運輸省米国連邦航空庁管制責任者フレーナー氏一行を招いてわが国航空管制システム及び保安施設について実地査察の上報告を求めたところ、米国システムと比較して日本は十年前の米国の姿であると評価されました。現在試みられようとしているシステムが完成するころには、またさらに十年、あるいはそれ以上のおくれを見るのではなかろうかと思われるのであります。いずれにいたしましても、一連の規制強化を打ち出したこの改正案は、いわば仏つくって魂入れずになる可能性が大きいのではなかろうかと思います。  次に、この改正案の第二の柱である騒音基準適合証明制度について述べさせていただきます。これに関しまして、私は航空法制検討委員会の席上、この制度のみがほかの密接に関連する幾多の社会問題と分離して法律化されることの不合理さ並びに危険を強く指摘し、反対立場を表明いたしました。  具体的に申すならば、第一の問題は、国際民間航空条約第十六付属書意義歴史的経過解釈に重大な疑問がある点でございます。この第十六付属書を今日まで法律化あるいは法制化を試みようとしているのは世界じゅうでわが国のみでありまして、なぜわが国だけが法律化並びに義務づけを急ぐのでございましょうか。  第二には、この制度技術的価値における疑問でございます。新幹線、自動車などの地上交通機関と異なり、航空機騒音航空機運用の仕方によって大きく変化するものでありますから、この制度に規定される騒音量計測方法では単に参考数値が得られるにすぎないと思われるのであります。さらに騒音証明制度実施以前に導入され、使用されている航空機並びにわが国に乗り入れてくる外国籍航空機に対する措置が不明確であることを、さきに述べましたICAO条約第十六付属書法制化する国がわが国以外にないこととあわせて考えますと、全く意義の希薄なものとなるように思われます。この制度は、世界的にジェット機騒音が問題化したのに伴い、英国中心とした欧州三カ国の提案で、ICAOが取り上げ、長い期間にわたって討議した末決定されたものでありますが、皮肉にも提案当事国でさえいまだに制度化はおろか、それを図ろうとする動きもないのが現実でございます。で、その理由を考えますと、この制度の本来の目的である、将来航空機製造の段階で技術的及び経済的に可能なある騒音水準達成目標を決めることに由来するものであります。提案国である英国自分の国の航空機メーカーに大きな打撃を受ける可能性を恐れていまだに踏み切れないと推測する向きもありますが、実際には航空輸送の健全で円滑な発展に重大な障害となることを予測した結果ではなかろうかと考えます。  第三の疑問は、実はこの問題の核心であります。私の主張の中心は、この制度騒音問題の解決のために必要とされ、利用者である一般大衆が負担している社会費用といかなる関係を有するかという点にあります。すでに昭和四十五年以来、騒音問題解決に要する費用旅客負担制度が実施されており、それまでの空港整備推進一辺倒の方針が改められたことは結構なことでございますが、この効果はその後さっぱりあらわれず、ますますエスカレートして重大な社会問題化してしまったのでございます。その不手際の責任をこの制度によって音源問題のみに転嫁せしめようとしたのではなかろうかという印象を受け、むしろ問題の本質をそらす危険を感ずるものでございます。  一般大衆をもって構成される航空旅客は、受益者負担の原則のもとに、支払う運賃の中に多大の社会費用負担を強いられてまいりました。ちなみに四十六年度から始まった第二次空港整備五カ年計画は、当初の計画どおりに実行されたとするならば、計画当時以降のインフレ、物価上昇によって当然相当な財源の不足を招来するはずであるにもかかわらず、現実には予算は余って残されているとのことであります。このことは平たく言えば旅客から社会問題を解決するからと称して徴収した社会費用を有効に使うことができなかったということであります。これは最近の新聞や放送で盛んに報道されておりますのでよく御承知のことと思います。要するに、騒音問題の真の解決には、この制度のような有名無実の小手先だけでは何ら役立たず、低騒音空港に低騒音航空機を低騒音運航方式を実施して運営するという立体的な接近が必要なのでございます。  私はいまから四年前、雫石事故の現場に立ってその悲惨さに心打たれ、航空安全確保社会との調和の必要を痛感したものでございます。今年三月、盛岡地方裁判所における雫石事故判決で強く指摘されている航空行政の根本的な欠陥に全面的に同調するものであります。わが国の良識を代表する参議院におかれまして、ぜひとも以上述べました点を深く洞察されまして、この法改正を御審議くださることを期待して、私の意見開陳を終わります。  御清聴ありがとうございました。
  8. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) どうもありがとうございました。  次に、園山参考人にお願いいたします。
  9. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) 私は日本航空機操縦士協会専務理事をいたしております園山鋭一でございます。  本日、本院におきまして航空法改正案について私ども意見を申し上げる機会をいただきましたことについて厚く御礼申し上げます。  日ごろ私たちの最高の指標といたしております運航の安全、航空事故防止ということは、単に航空法改正し、運航上種々の規制を強めることのみによって達成されるものではなくて、本年三月衆議院運輸委員会におきましてなされた附帯決議にもありますように、「航空路監視レーダー網整備計画を速やかに達成すること。航空保安施設整備近代化航空交通保安要員の充実を図ること。関係省庁間の連絡、調整をさらに緊密化し、航空交通管制の一元化の実をおさめるよう努めること。」以上のような三点の事項の達成と適正なる法の改正、そして日常運航に従事いたしております私ども安全運航への強い意欲、運航技術向上等が相まって初めて運航の安全の実を上げることができると確信しております。本院の諸先生方におかれましても、この点につきまして御理解と御支援をお願いする次第でございます。  近年の著しい航空発展に伴いまして、航空法もまたアップ・ツー・デートの技術進歩に即応でき得る機動性のある法体系でなければならないと考えます。すなわち欧米各国航空法のように、大綱だけを決めておきまして、日進月歩の進展による必要な改正は、わが国では言うならば施行規則改正で済むようにすべきではなかろうかと存じます。今回、法によって航空運送事業の用に供する航空機装置、すなわちレーダー計器着陸装置等装備が決められようとしておりますが、これらは施行規則で決められるようにする等、今後の抜本的な改正をお願いする次第でございます。  今回のこの改正を拝見いたしますと、部分修正のためか条文が非常に複雑となっており、その表現も難解でわかりにくく、多くの関係者に法の趣旨を十分に徹底させるためにももっと理解しやすい表現にすべきではなかろうかと存じます。  次に、条文の中身について意見を述べさしていただきます。第七十一条の二、操縦者見張り義務というところでございます。これは今回新しく制定されようとするところでございますが、この改正案は要約いたしますと、天気が悪くて外の見えないとき以外は他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをせよと定めているのでございますが、「衝突しないように」というのは見張り目的と素直に解釈すれば問題はございませんが、逆に申し上げますと、見張りをしていれば衝突しないと短絡的に解釈されるおそれがございます。これは他の航空機自分の機との関係位置相対速度、発見の距離などの相関関係により、複雑多岐な結果になるものでございますから、できる限り人間として可能な限り衡突をしないように見張りをせよということにしていただきたいと思います。衝突すなわち見張り欠陥パイロット責任と短絡的に解釈されやすく実情と合わないということでございます。  それから第七十五条、緊急時における機長の責任についても同様でありますが、危難防止に必要な手段を尽くせということでございますが、結果的に見て危難を及ぼした場合、直ちに必要な手段を尽くさなかったという短絡的な解釈をされるおそれがございます。これは人事を尽くせ、人間としてできる限りのことをせよと言うべきでありまして、たとえ必要であってもできないことはできないというのが本当のところでございます。したがって「必要な」ではなくて、できる限りのという意味に訂正していただかなければ非現実的でございます。  それから九十四条の計器飛行状態における飛行というのでございますが、その中で、「その他の空域にあっては飛行してはならない。」とありますが、これは規制する必要はないのではなかろうかと存じます。計器飛行状態とは申しましても程度の差がございます。ましていろいろな条件の違う航空機すべてを一律にこの規則規制するということは、私たちには賛成できないものでございます。  以上をもって私の意見開陳を終わります。
  10. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ありがとうございました。  次に、平沢参考人にお願いいたします。
  11. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) ただいま御紹介がございました平沢でございます。私は日本航空整備協会理事をいたしております。本日航空機技術整備に携わっておるものの一人といたしまして、本委員会参考意見を述べさせていただくことを大変ありがたく思っております。  いま申し上げましたように、技術整備面を主にいたしておりますので、そういったような観点から一、二参考意見を述べさせていただきたいと思います。すでにお二人の参考人からもお話がありましたことですが、雫石事故以来現在すでに四年を経過しておりますし、ああいったような事故を再び起こさないようにと、こういうような趣旨から法令の一部改正が検討されまして、案ができましてからすでに三年ほどの月日がたってしまっております。そういったようなことから考えますと、航空事故の絶滅というものを日々願っておる私どもといたしましても、大変何らかの形で今後そういうことが起こらないようにするということをはっきり行う必要があるんじゃないかというふうに感じております。  さて本改正案は、第一に、いただきました資料によりますと、当面安全運航上最も緊要でございます空中衝突防止のために必要な規制を行い、また装備整備する、こういったようなことの趣旨が述べられております。それから第二に、飛行場周辺における航空機騒音をできるだけ減少させるため、昭和四十六年に国際民間航空機関で公布されました航空機騒音排出規制に関する制度、これの趣旨に沿いまして騒音基準適合証明制度というものを設けるというふうな二つ内容が主である。その他若干あると思いますが、主に申し上げますとこの二つ内容が主であるというふうに理解をいたしております。  この第一の運航面の今回の改正点でございますけれども空中衝突防止ということに関しましては、近来飛行機そのものは大変に進歩いたしておりまして、非常に進歩した設計思想であるとか、あるいは設計製造技術でございますとか、あるいはそれに装備しております装備品が非常に性能が上がっておる、こういったようなことから、航空機そのものは実際の品質面あるいはそれを運航されますパイロットの方の立場から見ても非常に進歩した、事故のあるいは故障の少ない、そういうものになっているということは疑いないことでございますけれども、いかに優秀な飛行機でありましても、衝突事故が起こりますとこれはまことに致命的でございまして、大事故になることは確実でございます。日本空域の狭さであるとか、あるいは現在の混雑度を考えますと、事故発生の原因といたしまして、現在では空中衝突というものがやはり最も心配されるところではないかと思います。  そういう意味におきまして、私は個々の条文等につきましては、必ずしも専門家でございませんので詳しいことは申し上げられないとは思いますけれども、やはりその運航面交通整理といいますか規制いたしまして、そしてそういったような面から衝突防止を行うということは、やはり今日においてはぜひ必要なことではないかというふうに思う次第でございます。  ただ今回、そういう目的のために装備すべき機器といたしまして二、三規定化されようとしているものがございますが、たとえば、私どもATCトランスポンダーと言っておりますが、この条文では航空交通管制用自動応答装置というふうに訳されておりますけれども、そういうものでありますとか、計器着陸装置を利用するために航空機にそれに対応した装置をつける、こういったようなことが出ておるわけなんでございますが、こういうものが有効に働くためには逆に地上にそれだけの装置が必要でございます。そういうものが整備されて初めて飛行機に搭載したものの機器の働きも十分効力が出る、こういうことでございますので、これら地上施設整備というものをやはり促進することが必要でございます。さらに衝突防止という点から言いますれば、日本空域をカバーいたします監視レーダー網整備というものも必要欠くべからざるものであると思います。そういったようなものの配置というものがやはり早急に行われる必要があると存じますので、この際あわせて要望いたしたいと思います。  それから第二の騒音基準適合証明制度の点でございますが、日本国際民間航空機関、これはICAOと言っておりますが、この加盟国の中では総輸送量におきまして現在第四位の、非常に航空輸送という面からは世界の中でも非常に大きな輸送量を持った国になっておりまして、世界的にやはり注目されておるところでございます。先ほどの井戸先生の御意見と多少食い違うかと思うんでございますけれども航空法の第一条にも、世界のそういったような民間航空で決められているものに従って法を整備するということが書いてございますけれども、そういうような意味で、この騒音規制する何らかの措置というものが取り入れられるということには反対はございません。ただその入れ方あるいは場所というものが、法律が適当であるかどうかということに関しましては、疑問を多少有するものでございます。  それでさらに、この細かい条文の中で一点申し上げて、これは要望でございますが、この二十条の第三に「運輸大臣は、第一項の申請があったときは、当該航空機騒音が、運輸省令で定める基準に適合するかどうかを検査し、」というふうにございます。この省令に定める基準というのは、これから決まることであると思うんでございますけれども航空法の第一条の趣旨から言いましても、またICAO付属書十六号、ここにこの騒音基準が書かれておるわけでございますけれども、そこに述べられております趣旨から申しましても、省令で定められる基準というのは、このICAO基準に合わせるべきものであるというふうに考える次第でございます。そういう点を、この席をかりまして関係官庁に御要望いたしたいと存じます。  さらに、先ほども井戸参考人から御意見ございましたが、この騒音の今回の規制は、航空機騒音そのもので、いわば音源に対するものでございまして、これを押えるということは、まず第一に確かになすべきことでございますけれども地上が受けます騒音というのは、やはり運航方式でございますとか、頻度でございますとか、いろんなものの総合したものでございますから、今回の改正だけをとりますと、やはり非常に片手落ちである。非常に立体的な構成を持たした環境基準あるいは航空機環境との調和、そういったようなものをやはり図られる必要があるというふうに存じます。  さらに今回の法改正案によりますと、航空機にはある種の装備の追加が必要となりますし、また騒音を決められた基準内におさめるというためには、航空機に改修が必要となります。こういったようなことをやる場合には、それなりの部品の準備でございますとか、あるいはある意味では設計製作等開発でございますとか、あるいはそういうものが決まった後で航空機そのものを改修するといったような作業がございますのが普通でございます。したがいまして、実際にそういうものをやるわれわれの立場から申しますと、法にもし規定されたとしますと、その状態に至るには、多数の飛行機のそういう作業をしなくちゃいけないという点で、ある期間作業期間が必要でございます。そういうことを十分御考慮願いまして、適切な移行期間について、当局の御配慮をいただきたいというふうに要望したいと思います。  なお航空機によります航空輸送というものは、日進月歩でございますことは皆様御承知のとおりでございまして、運航面整備面等、あらゆる面で非常な速度で変わってまいります。したがいまして、今後ともそういう状態に応じたいろいろな法令等改正というものは、必要欠くべからざるものである。しかも、それはやはりタイミングよく行われないと、逆に航空運送の発達を阻害し、を損なう、こういったような面がございますので、今後ともタイムリーな改正、あるいは法そのものの見直しといったようなことも、あわせて要望いたしたいと思います。  以上で意見を終わります。
  12. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ありがとうございました。  それでは、参考人に対し質疑のある方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止
  13. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こしてください。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 井戸参考人にお伺いしたいと思いますが、この法律のみでは結局不十分であると、新たなるデメリットを生むのではないかというようなこともおっしゃいました。特にジェット機騒音についていろいろと御意見がございましたが、騒音対策としては結局どうしたらいいのか、法律規制をするとしたら、どういう形にしたらよろしいというふうにお考えになっておるのかという点を、時間を大変節約しておっしゃられた点もあるんですけれども、もっと具体的に、お許し願えたらおっしゃっていただきたいということが一つでございます。  それから園山参考人にお伺いしたいことは、見張り義務のことなんですが、資料にも書いてありますが、「操縦者義務履行を証明する手段内容についてこれを立証することは困難であり、」と、これはまことにもっともなことなんでありますが、雫石事故の場合、自衛隊——われわれ素人が考える場合には、自衛隊機全日空機にぶつかったこと、こういうふうに思うわけです。ただ、その場合の自衛隊機の言い分としては、全日空機の方もちゃんと見張りしていりゃいいじゃないか、見張り義務というものをちゃんとやっておればよかったんじゃないかというふうに聞き取れるのです。ただ実際問題として、操縦席において肉眼でもって見張りをするといっても、これは前の方しか見えないわけだし、後ろや横から突っかけられた——突っかけるという言葉が適当かどうかわかりませんが、突っかけられたというような場合にはどうにもならぬということになる。特に高速で飛んでいる場合には、人力車や自転車のようなわけにいかないと思いますので、これはおのずから限界があるんじゃないか。そのことを法規の点で明らかにするということは、後々これは刑事責任を追及されるといったような場面において非常に酷なのではないかというふうに聞き取れるわけでありますが、そのような趣旨に聞き取ってよろしいのかどうかという点でございます。その点をお伺いいたします。  それから平沢参考人にお伺いいたしますのは、やはり騒音公害の問題で、多少井戸参考人と食い違うかもしれないという御発言でもございましたけれども、やはりこれもどうしたらよろしいのか、端的に。どうあるべきかという点を率直にひとつお述べいただいたらというように考えますので、以上の点について私の方からお伺いします。
  15. 井戸剛

    参考人井戸剛君) ただいまの御質問は、法律騒音問題を解決するよい具体的な航空システムというものはどういうものかという御質問だったかと思います。先ほど私意見の終わりのところで申し上げましたように、やはり航空機というのは、現在東京にいたものがあすの朝にはニューヨークにおるかもしれない、あるいはニューヨークに現在おったものが明朝には東京へやってくるかもしれない、そういった国際性を持っておる。したがいまして、やはり世界的な航空界の動向、そういったものをにらみ合わせて参考としていくほか、わが国の特殊な人口集中の激しい地域につくられる空港については、あらかじめ周辺対策を十分考慮した空港計画をつくる。それから平沢参考人からお話のありましたように、日進月歩航空機製造技術に伴います低騒音の新型航空機の今後の入手の可能性、そういったものをすべて勘案いたしまして考えていくべきもので、すでにつくられて数年になるいわゆるICAO条約の第十六付属書というものだけに限定してこの問題を考えることは危険であるということを申し上げた次第でございます。  したがいまして、低騒音の空港をつくることを一層推進すると。先日、私長崎にできました新空港を見てまいりましたが、これは全く理想的な、騒音問題の伴わない空港でございますし、やろうと思えばできるわけでございますから、そういったものを早急に整備していく。またそのような長期的な空港整備計画というものにあわせて、新たに空港と空港を結ぶ航空路の開設というものをやって、現在錯綜している航空路を整理統合すれば、この危険なニアミスとか、そういったものの起こる可能性というものは非常に少なくなるのではないか、そういった長期的なビジョンのもとに法改正ということがなされるべきだと、この改正案作成当時申し上げましたのですが、いかんせん当時は雫石事故直後でございまして、何か立案当局の方は急いでいるというような印象を受ける、これでは何かその場しのぎでやったことがかえって将来新たなデメリットを生む可能性を強く危惧したわけでございます。したがいまして、やはりこれはそうせっかちに考えても実現できるものではない、やはり長期的なビジョンをまずつくって、その上で航空法全体について見直されるべきではなかろうかというふうに考えた次第でございます。したがいまして、そういった法の精神を生かす騒音問題対策というものもおのずから出てくるのではなかろうかというふうに考えた次第でございます。
  16. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) 私たちパイロットは基本の操縦訓練を受けるときから、他機の見張り、外部の見張りということは非常に厳しくしつけられております。今回、操縦者見張りの義務という、こういう航空法に盛られていることに対して、私らは何ら反対するものではございませんが、しかしながら、この七十一条の二には、有視界飛行であろうが計器飛行状態であろうが、そのあるとないとにかかわらず、その飛行機より以外の、自分の乗ってる飛行機以外の物件を視認できない、見ることができないときには、そういうような気象状況のときにはやむを得ないけれども、少しでも回りが見えるときには見張りをしなさい。しかし見張りをただするというのじゃなくて、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをしなければならないというこの条文を、私は非常に重くまた私たちの能力以上のことが要求されているのではなかろうかと思います。  私たちが一番このことに関して考えますのは、アメリカは日本の二十六倍の広さの国土と聞いておりますが、その二十六倍の国土に縦横に走っております航空路は全部航空路監視レーダーでカバーされております。日本もわれわれに対してこういう見張り義務というものを新しく設けられるのも結構でございますが、まずそういう航空路監視レーダーというようなものの整備がまず先に行わなければならないと私らは考えております。そして私たちが肉眼で探して肉眼で見る以前に、いま日本でも一部においては航空路においてあるいは管制圏において行われております。レーダーで両機の接近を見て、そしてそれを相互のパイロットにアドバイスをしていただいておりますが、こういうやり方を日本全土でいち早く行われるように私たちの方から希望する次第でございます。
  17. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) ただいまの御質問でございますが、私が申し上げましたのは今回の改正に盛り込まれておりますような騒音適合証明というのは、航空機が出す騒音の高さを、ある測定の仕方、ある飛び方を決めまして、そしてその数値を規制するというやり方でございますから、これは飛行機が出す音そのものをある基準で測定する、こういうことでございまして、その基準を決めるということは飛行機が出します音そのものを一応大きさを決める、こういうことになっているわけでございまして、騒音対策としましては、それが一番まずなされるべきことであるということは間違いないと思っております。ただ音が地上に達して公害であるといったような状態になるには、その飛ぶ高さでございますとか、そのときの飛ぶ飛行機の重さでございますとか、あるいは天候でございますとか、いろんな要素が加わって発生するものでございますから、地上に達する騒音ということから考えますと、その他の要素もあるんだということを申し上げているわけでございます。ただ、それをすべて一つの規則なり何なりでまとめられるかということになりますと、これは大変むずかしいことであろうと思いますし、私といたしましては、特にはっきりとした意見を申し述べるような能力もちょっと持っておらないというふうに感じます。  ただ先ほど申し上げました国際民間航空機関基準を決めましたのは長い歴史もございますし、各国の専門家が非常にディスカッションをいたしまして決めた基準でございます。これは当面技術的に可能である、しかもその中で一番音の低いところを押えている、こういったようなところでございますから、この数値をもってやはり基準とするということが現時点では一応適切なことではないかというふうに考えます。  なお、このICAO騒音委員会というのは過去四回開かれておりまして、その都度新しい改定あるいは新しい項目がつけ加わるというふうに改定されきておるわけでございます。したがいまして、ICAO基準に照らしてつくるときには、やはりそういったようなもとの方が常に進歩いたしますから、やはりそれについていけるようなかっこうにしておく必要はあるだろうというふうに思います。以上でございます。
  18. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 単刀直入でちょっとお答えにあるいはお困りになるかもしれませんが、低騒音空港ということで長崎空港の例をお出しになりました。私ども先般調査に回ってまいりましたが、長崎空港までは遠過ぎるので行けませんでしたが、いま大変理想的な空港だというお話がございましたが、では新しい東京の国際空港として、あの成田空港が果たして位置的に妥当であるというふうにお考えになるかどうか、もし妥当でないとすればどういうところの方がよりよかったとお考えになるのか。  それから関西空港はいま非常に問題になっておりますが、関西空港は現在の場所はどうも適当ではないというふうに判断をされるのでありますけれども、新たに関西空港を設置するとすれば、どういうところに設置を、どういう形で設置をされたらよろしいというふうにお考えになっているか、この点について井戸参考人とできれば平沢参考人からも御意見を承りたいと思います。
  19. 井戸剛

    参考人井戸剛君) 先生御指摘のようにちっょと申し上げにくいことでございますが、成田空港の位置というものは決して理想的でございません。できれば羽田空港の沖をさらに埋め立てて新たに大型空港化するという方を私としてはとりたいと考えます。  それから関西新空港でございますが、果たしてあの空港の予定位置というものを関西の今後の交通状況あるいは発展の予測というようなものを十分行ってお決めになったかどうかは大変疑わしく存じます。でき得ればもっとほかの交通システム、たとえば中国縦貫道に沿いますところの過疎地帯、この辺が最も望ましいのではないかというふうに考えております。
  20. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) 騒音問題という点からだけ考えましたときには、私の個人的な意見といたしましては、やはり海の際にある空港の方が望ましいんではないかというふうに思います。世界にたくさんの空港がございますけれども、その中で海際につくられております空港はやはり騒音問題が少ない、内陸につくられております空港の方が騒音問題を抱えているところが多いという点からいたしましても、やはり海際の方がそういう点の解決には有利であるというふうに考えます。
  21. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 参考人にお伺いをいたします。  井戸参考人に最初に伺いたいんですけれども、今回のこの航空法改正、これは三年半ほど前から検討されたわけでありますけれども、実際に委員会でもっと具体的に突っ込んだいろんな議論がなされたのではないかと私は思うんです。ここにあらわれた法というのはわずか限られた一部面ではないかと、こう思うんですね。先ほども指摘のあったように、航空行政の根本的な欠陥問題という点についてはこの法律にはあらわれてないわけですね。こういう問題について、もっと具体的に航空行政の根本的な欠陥という問題が大きく論議を私はされたんではないかと思うんです。そういう点についての意見開陳をお願いしたいと私は思うんです。それが第一点。  第二点は、四十六年、先ほど述べられましたように、第二次空港整備五カ年計画ですね、この問題で予算が残って、社会費用に余り使え切れなかった、こういう御指摘でございますが、私もそう思うんです。こういう点のもう少し突っ込んだ具体的な意見ですね、こうしておく方がいいという、こういう前向きな意見をひとつお述べ願いたいと思うんです。  それからもう一つ、整理統合の問題を長崎空港の例からいま話されましたけれども、現在どの地域においても空港を拡張するという問題、たとえば宮崎空港あるいは広島の空港等考えてみましても住民との間にいろいろなトラブルがあるわけです。じゃ果たして整理統合という問題を考えたときに、現地の各県の経済的な利益の問題あるいは住民の福祉という問題あるいは交通機関を利用しなきゃならないという、こういう問題を考えた場合に、果たして現在の空港が整理統合できるかどうかという、こういう問題ですね。こういう点についての考え方はどうかという点についてのお答えをいただきたいと思っています。  それから園山参考人に二点ほどお伺いしたいんですけれども、これは自衛隊のパイロットとの間の問題でありますけれども、千歳空港とか、あるいは沖繩の那覇空港、こういうところでは自衛隊機優先というような問題が私は非常に多いんではないかという点をいろいろ入手もするわけです。いろんな意見も聞くわけです。民間パイロットが非常に苦しんでいるという声を私はよく耳にします。こういう問題点について特に千歳とか那覇空港におけるパイロットのいろんな苦情というか、こういう問題が操縦士協会の方にも大分入っているのじゃないかと思うんですけれども、もしそういう問題点があれば御指摘を願いたいと思うんです。  それから最近三沢に民間空路が開設されました。こういう問題については、やはり自衛隊機あるいは米軍の飛行機という問題が、三沢基地にもいろいろ問題出てくるわけです。こうなると米軍基地との問題、パイロットとしては三沢基地は余り好ましくないんではないかという意見も中にはあるのじゃないか。しかし航空会社の運航上の問題、運航面に左右をされてどうしてもそれに踏み切らざるを得ない。パイロットとしては三沢空港はいやだ、こういうような問題が私はいろんな点であるんではないかという点をいろいろつぶさに聞くんです。こういう点についての御意見ですね。  それからもう一つ、パイロットの養成の問題とからめて外人パイロットがいま日本の国で日本航空にしましても、いろいろ雇われているわけですね。ところが先般外人パイロットのストの問題で日本航空はずいぶん被害をこうむった例があるわけですね。貨物飛行機が飛べなかった、外人パイロットのストによって。こういう問題に対する考え方、日本パイロット組合としてこの外人パイロットの取り扱いに対してどういうような基本的な考え方を持っているのかどうか、この点について意見を伺っておきたいと思います。  それから平沢参考人に伺いたいんですが、整備の問題で、特に夏とかあるいは年末になりますと臨時便が相当飛ぶわけです。限られた飛行機の中で臨時便を増発するということになりますと、整備に手抜かりがあるのではないかという点を考えるわけです。こういう問題点について、いま実際整備の時間帯がどの程度になっているのか、この点について具体的な意見をお述べ願いたいと思うんです。
  22. 井戸剛

    参考人井戸剛君) お答え申し上げます。  先ほど冒頭に申し上げましたとおり、航空法改正検討委員会に私も出さしていただいてたんですが、それに先立ちまして起こっておりました雫石事故の調査にかなり当時時間を取られておりまして、全委員会出席できませんでしたので、欠席しておりましたところは記憶しておりませんが、いずれにしても当時第二の雫石あるいは第三の雫石事故というものが起こる可能性を皆恐れて、とにかく当面の問題を検討するということにほとんどの時間を使ってたように記憶いたします。  したがいまして、その当時私も、あるいはほかの委員も指摘したんでございますが、この際抜本的な航空法の全面的改正ということを要望したんでございますが、いずれにしても当時総理府の交通安全対策室を中心にしまして、民間航空並びに自衛隊あるいは米軍とのいろいろな安全上の対策措置というものが並行して進められておりましたような状況で、まあどちらかと言いますと、混乱の中で進んだというのが印象でございます。  それからもう一つの各地空港の統廃合あるいは近代化というようなことでございますが、これは実は現在の航空法の全面的見直しという問題と大いに関係するところがございまして、現在の飛行場法からいきますと、運輸大臣が設置し管理するということになっておるわけですが、これはおかしいんじゃないか。要するに欧米では地域が中心になりまして、各ローカル地域が中心になって、その地域の発展を図るために空港をつくる。しかもそのつくり方も地方自治体が中心になって起債いたしまして、そして用意するというスタイルがとられている。一昨年でございましたか、現在世界最大のダラス・フォートワース空港、これは内陸にございます空港でございますが、数年にわたる地域住民との対話というものを経て、そして現在つくられたような非常に大規模な、しかも周りにその騒音低減ゾーンというものを設けて、地域住民の迷惑というものを最大限に取り除いた空港というものが実現をする。  やはりそういった現在の飛行場法ではなかなかそういった地域中心の空港というものができないんじゃないか。できればやはり欧米ですでに行われているような地域社会発展というものを中心に考えた、あるいは住民との調和というものを考えた空港をつくるという形の改正が望ましいというふうに考えております。何かほかにございましたでしょうか——どうも忘れてしまいました。
  23. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一つ、社会費用の問題ですね。
  24. 井戸剛

    参考人井戸剛君) 何か第二次空港整備五カ年計画期間昭和四十六年から五十年度ですが、旅客の負担推定額は約二千八百億円、ところが歳入予算と比較してみると、五百七十四億円の超過負担になっているというふうなデータが来ております。したがいまして、結局これは何か残ってしまって使い切っておらないということだと解釈しております。
  25. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) まず各空港におきます自衛隊機との問題でございますが、私たち運航と自衛隊の運航とある場合に、自衛隊機が優先されるのではなかろうかというような疑問がおありのようでございますが、これは一つの管制上のルールによって順番というものは決められておりますので、実際の運航上においての出発、到着、そういうものの順序は、われわれが自衛隊のためにずいぶん長い間待たされたというようなことは、最近は余り経験しておりませんが、ただ那覇空港におきまして北向きに離陸する場合、三百四十度の方向に上がりまして、そうして大体高度が三百メートルに達したときに、そこで大体二百五十ノット以内で、そして大体十五マイル那覇空港から出たところで上昇をするようになっておるわけです。これはやはり普天間とかあるいは嘉手納空港、あれのベースがあるために、そこから進発するそういう飛行機との間隔を十分にとるためにわれわれそういうのが強いられておるのではなかろうかと思います。こういうのはいわばそういう飛行機が優先されておるというふうに解釈できるかと思います。それは過日、定期航空操縦士協会からも運輸大臣あてにこれの善処方を、ということは、那覇空港の管制とそして普天間、嘉手納の管制とがうまくコーディネーションをやって、そういう無理なといいますか、いびつなと申しますか、そういう出発方式をとらないで、どこでもやっておるようなスマートな円滑な出発方式ができないかというようなことを要望されたようでございます。  それから米軍基地に行くのをおまえらはどう思うかということだと思いますが、米軍基地というのは、比較的滑走路の長さも滑走路の幅も、そして各管制の施設も完備しておりまして、運航上われわれ何ら差し支えはございませんが、ただわれわれが平生聞きなれた管制用語以外の用語がたまにちらっちらっと使われるようなことがございまして、そういうときにちょっとわからないことがあって聞き返したり、そういうことはたまにありましても、安全上私は特に米軍基地に行くのをいやがるというようなことは余り聞いていないわけですし、私らもそういう経験は余りございません。  それから外人パイロットの取り扱いでございますけれども、私もかつて外人パイロットと一緒に飛び、外人パイロットに戦後飛び始めるときにいろいろと訓練を受けたことがございます。初期においてはなかなか質のいいそういうパイロットもおりまして、私たちもそういう連中から戦後の新しい航空に対する安全という面での考え方とか、あるいは新しい飛び方、そういうものに対していろいろいいアドバイスをしてくれたり、教えを請ったこともございまして、得ることもいろいろとございました。しかし、その後私たちは二十数年の経験を経まして、いまさら外人の運航上の援助を得る、アドバイスを得るということはもうすでにございません。でき得れば今後の日本の空は私たち日本人のみのパイロットでその運航を担当していった方がいいんではなかろうかと、これは日本人のパイロットの一人としてそう感ずる次第でございます。
  26. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) 御質問にお答えいたします。  年末年始等の臨時便を多数飛ばすのは整備上問題があるんではないか、こういう御質問だと思いますが、整備のやり方は大体定期航空会社同じでございます。そうしてなお同じように航空局の御指導によって年末年始の臨時便を飛ばしておりますから、みな同じ考え方でやっていると思いますので、それを御説明したいと思います。整備はいろいろな段階がございまして、毎日毎日飛行機を飛ばす前にやる整備、それから一日飛んで帰ってまいりまして夜とまっている間にやる整備、さらにいろいろ機種によっては違いますけれども飛行時間で五十時間とか百時間とか、そういった時間飛びました後でやるもうちょっと段階の高い整備、さらに次には三百時間ないし五百時間飛びましたときにやりますもう一つ高い整備。いま私が五十時間ないし百時間の飛んだ後の整備というのを申し上げましたが、これを通常A整備と呼んでおります。ABCのAでございます。それよりもう一つ高い三百時間から五百時間ぐらいにやるのをB整備というふうに呼んでおりますし、さらにそういうのを繰り返しました後で千五百時間から千九百時間ぐらい飛びましたときにやる整備を、これはそれよりはさらに程度の高い検査及び修理でございますが、C整備、ABCのCと呼んでおります。次に、俗にオーバーホールと言われております、最近はこれをD整備というふうに呼んでおるんでございますけれども飛行機が一万時間とか一万二千時間飛んだ場合にやる整備、747のような大型機でございますとやり方は少し変わりまして、そのかわりに二年に一度改修、修理をやる期間を設ける、こういったようなことをやっておりますが、そういう段階がございます。それで大体D整備と称します大きなオーバーホール的なもの、これは普通一機やるのに二週間とかそういうのがかかるわけですが、これはいま申し上げましたように一万時間が来ますとやるということでございますから、大体年間この計画をいたしましてやるようになっております。ドックも用意されてやるわけでございますが、大体それに引き当てる飛行機というのはまあ年間一機程度とっておるわけでございます、整備用の飛行機としまして。それからその一つ下のC整備というのも、まあぴっちりではございませんけれども、時間が来たらやるということでやっていきますと、一機近い飛行機がやはり必要になるわけでございます。  ただ、こういうものは年間を通じましては整備用の機材としてとっておるわけですけれども、たとえば年末年始ですと、十日ぐらいの間でございますから、そのときにまあ皆さんの要望、御需要、要求に応じて必要数を用意するというようなことが毎年行われるわけなので、C整備ですとかD整備というのは、いま申し上げたような時間間隔ですから、C整備ですと半年に一度あるわけです、一機でみますと。ですからその時間が来たら入れるわけなんですが、この年末年始の期間だけは早目にやってしまう。Dというオーバーホールも時間が来てちょうどそこにひっかかることのないようにもうちょっと早目に入れると。こういうふうにいたしますと、その年末年始のわずかな期間であればC引き当てとかD引き当ての飛行機というのは要らなくなるわけでございます。そういうものを使って飛ばせるだけの便数は飛ばすということをやっているわけでございます。  なお局の御指導もございますし、当然でございますが、臨時便といえども時間どおり出るのが原則でございますので、いわゆる予備機といいまして、何か予定していた飛行機が故障が大きくて飛べないときにかわりに出る、こういったようなための機材を必ず手元に取りまして、これは普通いつも持っているわけでございますが、それも必ず確保しといて、いまのようなやり方で浮いた機材を飛ばすというふうにやっているのが現在のやり方でございます。また逆に、それで浮いた機材の数で飛べる便しか飛ばさないということでございますので、時によっては必要よりも少なかったということもあると思いますが、やり方はそういうやり方をしておりますので、整備上何か犠牲を払っているということはないわけでございます。
  27. 和田春生

    ○和田春生君 いままでのお尋ねと重複を避けまして、一点だけ平沢参考人にお尋ねしたいと思います。  現場で整備作業に従事しているメカニックの諸君の中から、現在の航空法整備のあり方というものにずれがある、それはいままでの整備作業従事者に対する国のライセンスというものは個人個人の能力について与えられる、そこで個人個人がいわば航空機全般に対する知識、そういうものを必要とされるんだけれども、最近のようにどんどん大型化をし非常に複雑精密になってくる、とりわけジャンボとかトライスターという大型機が就航するようになりますと、個人の能力で整備しチェックをしてカバーできる範囲というのは限られておって、どうしても組織でやる、そういう組織がきちんとしていることが非常に必要なんだ。そうすると、その組織の中ではそれぞれが非常に専門化をしていくことになるわけです。  そこで、まあ個人の能力に重点を置いた従来のたてまえではなくて、アプルーブド・エア・キャリアとか、あるいはアプルーブド・リペア・ステーションとか、いわば認定航空社あるいは認定整備工場とでも申しますか、そういうような制度を導入して、組織的な点検、整備を進められるようにやってもらいたい。そういう点、今度の航空法の一部改正というのは現場の実情とずれているのではないかという声を幾つか聞いてきたわけなんです。平沢さん、まあ整備の方ではベテランであるというふうに伺っているのですが、そういう点についてどういうお考えか、ちょっとお話を承りたいと思います。
  28. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) ただいま和田先生のおっしゃいました現場の声というのは事実でございます。私ども航空会社に勤めている者、あるいは航空会社で整備責任を持ってやっているという立場からいたしましても、現在のような大型機、これは747でありますとか、トライスターでありますとか、あるいはそれよりも小さいDC8、707にいたしましても同じでございますけれども、いわゆるライセンスを持った個人が実際に飛行機整備する場合にやれる範囲というか、能力といいますか、そういうのは非常に限られております。したがって当然組織の力でやらなくちゃいけない。ある人は構造を担当する。ある人は電子を担当する。ある者はエンジンを担当する。それぞれのエキスパートがおりまして、それぞれ割り当てられました仕事をやっている。しかし、それがそのとおりやられたかどうかというのはまた検査が見る。その検査も見てちゃんとすべて整ったかどうかということをさらにその上の者が見る。こういったようなやり方で整備現実にやられているわけでございます。  それで現在の日本における整備の場合には国が任命しました一等航空整備士というものがそれぞれございまして、その人が航空法上できることというのは決まっておるわけなんでございますが、会社としてはさらにその上に必要な訓練をいたしまして、普通はこれを整備確認者というふうに指名いたしまして、その者が、いまも申し上げました、各部署でいろいろやったものが確実であるかといったようなことを最終的に確認して、ログブックといいますか飛行日誌にサインをいたしますと、飛行機としては飛べる状態になったということでキャプテンに引き渡す、こういうやり方をしているわけでございますので、現実的には組織的にやっているという実態でございます。そういう点から言いますと、現在の日本航空法では、組織的なやり方、先ほども先生が申されましたアプルーブド・エア・キャリアですとかアプルーブド・リペア・ステーションといったようなやり方につきまして、必ずしもそれをやってよろしいとか、やりなさいとかといったような点でははっきり出てないという面が現にあると思います。  そこで、そういうふうな点に関しましては、航空会社からはいろいろな場を通じまして要望が過去において出されております。民間定期四社でやっております技術協力委員会でございますとか、あるいは私ども日本航空整備協会でございますとか、そういったような立場からもそういう要望はかねて出されてはおります。  それから先ほども申し上げましたICAOという世界民間航空機関が出しておりますリコメンデーションにも個人ライセンスと並んでそういうアプルーブド・エア・キャリアですとかアプルーブド・リペア・ステーションというやり方をやはりリコメンドしているという面もございますわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、御指摘のとおり今回のこの法令改正は、衝突防止ですとか騒音ですとかいうところに焦点がしぼられ、それはそれで非常に緊急性もあり、あるいは大事なものであるというふうに思いますので、いいとは思いますが、先ほども私の意見の最後につけ加えさせていただきましたように、今後ともいま出たような問題あるいはその他の問題を踏まえて前向きな改正をお願いしたわけでございます。
  29. 岩間正男

    ○岩間正男君 三人の参考人に時間の関係からまとめてお伺いします。  まず第一に井戸参考人にお伺いしますが、先ほどの公述の中にもございましたが、雫石事故のあのときの調査委員をやられておる。あのとき政府は、航空交通安全緊急対策要綱というものを出したわけです。国会でも論議されまして、これで民間機の安全を第一に考えてやっていくと、こういうことだったと思うんです。そこで問題は、自衛隊機との関係について訓練空域をどう調整するか、この対策が一番大きな問題としてとられたわけでありますが、同時に私たちはその自衛隊機だけじゃなくて、その背後にあるともいうべき米軍機との関係を明らかにしなければ真に日本の空の安全を守ることはできないんじゃないか。大分これは国会でもこの問題を論議したわけです。その結果緊急対策要綱の中の第七項でありますけれども、第七項について、「上記の諸措置のうち、在日米軍機の運航等に関係ある事項については、米側の協力を求めるものとする。」こういうふうに規定されておるわけです。  さて、この第七項が航空安全の非常に重要な一つのポイントをなすわけでありますが、果たしてこれがとられているのかどうか。民間航空の安全を確保する上で米軍に対していままでどのような協力が要請され、そうして具体的にこれが解決されたかどうか、この点について参考人から具体的にお知らせをいただきたい。  また果たして米軍との関係民間航空が安全を保つことができるような状態になっておるかどうか、第二には。  それから第三には、当然このかぎともいうべきものは、結局航空機の管制の問題だと思うんです。特に進入管制について、その役割り及び重要性、こういう点からかんがみまして、那覇空港の問題が先ほど出ましたけれども、これはいまだに那覇空港の進入管制は米軍が握っている、こういう形にあるわけでありますが、こういうことで果たして一体日本の空の安全というものを保つことができるのかどうか、このような問題は、日本航空事情の中にいわば潜在し、あるいは顕在するところの非常に重要な一つの課題である。したがって、いまこの航空法を審議するに当たってどうしてもこのような根源についてわれわれは明らかにしなければならぬという立場からお伺いを申し上げておるんですが、この点について先生の御見解をお伺いしたいと思います。  第二の問題は、これは園山参考人にお伺いをするわけでございますが、ただいまの問題と関連してくるんでありますが、国際定期航空操縦士協会の今年三月の総会において、那覇空港が潜在的危険性を有する空港として、これは大阪の伊丹空港とともに指摘をされました。その理由を見ますというと、那覇空港に近接して嘉手納、普天間の二つの軍事基地があることに起因しているということを明確に指摘しているわけです。そのために那覇空港に離陸しあるいは着陸する航空機に、嘉手納空港のアライバルセクターとの関連で千フィートの高度制限が課せられている、こういうことが述べられているわけですが、これは航空操縦技術上、操縦士としてどういうような困難を伴うのか、危険度を伴うのか。それから同時にこのことはやはり民間機の安全にも関係があるし利用度にも関係があると思うわけです。この点を、ことに当事者として最も苦労しておられるパイロット立場からこれについてお伺いをいたしたいと思います。  それからもう一点お伺いしたいのは、パイロットにとって一体航空気象情報というのは非常にやはり重要なウエートを占めるんじゃないかと私は考えているわけです。ところが気象庁の機構が、これは当委員会でも論議されたのでありますけれども、最近観測の度数が二十四回から八回ぐらいに落されたというのは、これは人員整理の立場からされたのでありますけれども、非常に少なくなってきた。これが実際はどうですか。日常の航空運航の場合に非常に欠陥が起こっているのじゃないか、具体的にそういうことを耳にするわけでありますが、こういう点について、これはどういうふうにお考えになっていられるか、あるいはまた現状、この前機構改革をしてからどういうことが起こっておるか、こういう点についてお伺いをしたいと思うのです。  第三に平沢参考人にお伺いをいたします。整備の問題ですけれども昭和四十七年のニューデリーとモスクワとの二回、日本航空の連続大事故がありました。これは大変なことだったと思いますが、あのとき行政管理庁が次のような勧告をこれは行っているわけです。「昭和四七年度、飛行中の機材故障の発生を見ると、整備作業上の過誤によるものが多く、この過誤は、整備員の過誤や不注意が直接の原因となっているが、その背景には飛行前点検を行なうための航空機ステイタイム(地上滞在時間)が十分でないことが第一に挙げられる」、こういうふうに指摘をしているわけであります。安全を第一にすべき航空会社が、赤字解消、これがいま日航の赤字が非常に大きな問題になっておりますから、大変な事態にあることはよくわかりますけれども、しかし何といっても安全を第一にするという立場に立たなきゃならない、経営上の赤字解消ということのために点検がおろそかになるというような事態が起これば大変、しかもこれは経営にも大変響いてくる。具体的にお伺いしますけれども、あのモスクワの一体損害はどれぐらいあったのか、ニューデリーの損害は実際どれだけあったのか、したがって本当に整備にもっと十分な体制をとっておいて、あの事故を避けるということができたとすれば、私は会社の損害というものは、ずいぶん逆に軽減されるんじゃないか。整備をおろそかにしたために、一台のジェット機を失ってごらんなさい。そうして補償の問題や単に国際的な問題だけじゃなくて、大変なこれは経済的な損失も起こるわけです。だから安全と経営というのは、実はこれは分離して、赤字を解消するための、そうして経営第一主義という立場に立つならば安全は損なわれる。そうしてその結果は逆に経済的な損失をも招くという事態が起こっている。この辺はよほど慎重に考えなければならない航空政策上の重要な課題だというふうに考えるわけです。したがって、これは技術的な問題だけでこの整備の問題を解決することはできない、航空行政の非常に重要な一つの要素になっておると考えるわけですから、この点についてお伺いしたい。  具体的に総費用に占める整備費の割合、これをお聞きしたい。日本航空の場合はどのくらいになっているか、また世界各国の航空会社、たとえば一番日本航空界に近いパンアメリカンの場合をとりましょう。これはどうなっているか、この点をお伺いしたい。一昨日視察をさしていただいたときに、これは副社長が私の問いに対して一〇%程度だというふうに答えられましたが、まあ四十七年当たりは八・三%というような数字ですね。四十九年度はどうなっておるか、昨年度はわかるだろうと思いますが、これはやはり非常に一つの重要なウエートを占めると思いますので、この点を聞かせてほしい。  第二には、日本航空の社内報「おおぞら」の今年二月号で、日本航空の経営管理室長は、日航の四十九年度赤字の原因について次のように述べています。「第一の要因は、四七年の連続事故です。事故後の一連の安全投資の結果、機材の稼働率は低下した。又、乗員のプロモーションを慎重にやるようになり、四八年度の実績で八六億円のコスト・プッシュが起こっている。第二の要因は、石油危機以来の一連の諸要因だ。だから、このもとになっている構造的な要因を排除しないかぎり、たとえ石油危機が去っても、経営の正常化は望めないことになるのです。」、こういうふうに述べられておるわけです。簡単に言ってみれば、四十七年の連続事故が原因となって安全のための投資をやった、このことによってコストプッシュが起こり赤字の原因になっている、こういうことが指摘されているんでありますが、これはこういう見解で果たしていいのかどうか、先ほど私が述べました安全の確保ということは同時に経営の安全にもつながるんだという立場にもし立つとすれば、このような考えに立てば非常に危険なものを持っている、こういういう考えはやっぱり経営第一主義になるんじゃないか、こういうふうに思います。連続事故のあの教訓というものを一体どのように受けとめているか、この安全の問題について軽視は許されないんじゃないかというふうに考えられますので、この点についてお伺いいたしたい。  最後でありますけれども日本航空について、昭和五十年の二月の十四日の企業体質強化委員会の決定事項によるというと、「整備要員は、五二年度まで、四九年度要員数を据置き、その反面、航空機の稼働は、五〇年度に較べ一〇%向上させる」ということになっているというふうに、これは述べられているわけです。人員はもとのままに据え置いて稼働率は一一〇%になるということになりますというと、これは当然やはり労働過重の問題が起こってくる。これが整備の体制を本当に質的に高めるということになるのかどうか、やはり私はそういう点で十分考えなくちゃならないんじゃないか。このことについて稼働率向上のため安全を損なわれ、八〇%以上の整備士が安全には自信が持てないというような、これは労働組合の主張も私たち聞いているわけですよ。この春闘の中においてストライキまで行っている一つの要因になっているんじゃないか、このような決定はあの連続事故の教訓を正しく生かしているのかどうかという点に非常に疑問なきを得ないのであります。この点について、これは日航の経営状態が非常に大きな問題になっておりますから、この点わからないわけじゃありませんけれども、しかし、そこだけで問題を解決して、非常に狭い視野でもってこの問題は解決つかない問題だ、こう考えますが、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。以上です。
  30. 井戸剛

    参考人井戸剛君) ただいま岩間先生御指摘のように、わが国の空は民間定期航空並びに非定期の産業航空、それから自衛隊並びに米軍というこの四者によっていろいろな種類の航空機運航されているわけでございます。私はエンジニアの立場といたしまして、やはり現在存在しているいろいろなシステムというものが同じ日本の空という場にあるという現状認識のもとに立って物事を考えたいという主張を持っております。  たとえば現在あるシステムをこれは不要だとか、あるいはけしからぬとかということでなく、それぞれ国家的あるいは社会的な責務というものが課せられているので存在しているのであるから、したがって、そういった相互のシステムの存在価値というものを尊重しながら調和を図っていくということは、これは可能じゃないかというふうに考えております。ただ、その調和の図り方というものは過去から現在に至るいろいろな歴史的経過というものがあるかと思いますので、一朝一夕にはいかないんではなかろうか、したがって、そういった現状認識に立った日本の空の共有共存というようなことを中心に考えていくべきではなかろうかというふうに考えておりまして、特定のシステムについてその存在価値云々ということはちょっと私の浅い学識からは何とも現在では申し上げられないわけでございます。以上でございます。
  31. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) 定期航空操縦士協会から出されました那覇空港は潜在的な危険があるということでございますが、確かにそういう表現もできるかと存じます。那覇空港は、先ほども申し上げましたように、北向きに離陸する場合には、三百四十度の方向で十五マイル、千フィートの高度で二百五十ノット以下の速度で進んでいかなければならぬ。他にそういう出発方式というものがありませんし、そしてまた、その三百四十度という方向からも、自衛隊のヘリコプターの進入経路にもなっておるということでございますが、普通の場合にはレーダーでの監視も十分にできるでしょうし、しておるでありましょう。またお互いによく見合って、これがニアミスを起こすというような、そういう危険性というものも余りないかとは思いますけれども、しかし何か違った状態になった場合、たとえば非常にいい天気で何もない状態だったけれども、離陸直後に急にスコールが来たとか、あるいは飛行場がスコールに覆われたとか、あるいはヘリコプターの進入前面がそういうスコールになったとか、あるいは飛行機の方に一発エンジンの故障が起こって、そしてこれが低空で旋回しておりる、飛行場に再び引き返すというような何か異常事態が起こったときには、あるいはそういう危険性もないことはないと考えられます。  そして米軍とのセパレーション、間隔を十分にとるために、那覇空港から出発する飛行機が千フィートで高度三百メートルの高さで十五マイルも飛んでいかなければならぬということは、経済的に見ましても余り感心したことでもありませんし、そしてこれは千フィートで海上をはうということは危険かどうかということでございますが、もっともこの千フィートではっている場合には自動操縦装置を使っておりませんし、これは機長が自分の手で操縦しておるわけなんです。まあ定期の操縦士として、機長として国家からも認定されたぐらいなパイロットならば、千フィートを一定の速度で進んでいくということには何ら危惧はありませんけれども、しかし離陸して旋回をし、そしてフラップを逐次速度に応じて上げていく、そしてパワーをしぼっていく——一時にいろいろな操作が重なる状態でございますので、非常に負担はかかるという状態であります。私たちは、先ほども申し上げましたように、関係当局におかれては十分に米軍とのコーディネーションをとられまして、われわれの方にそういうふうな出発方式がとられなくて普通の離陸直後に上昇していくような、そういうノーマルな出発方式がとり得るように、ひとつ米軍との十分なコーディネーションを図っていただきたいと思うわけでございます。  それから気象情報に関してでございますが、私たちは大体飛行機で出発する前には、サーフェイスの、地上の極東天気図と、そして七百ミリバール、五百ミリバール、三百ミリバール。といいますと、一万フィート、一万八千フィート、三万フィート。そして地上の天気図、そしてその予想図、これだけ要る。それから現在は大体九時に観測しまして十二時ごろ入手しております気象衛星の天気図、いまノアという人工衛星が回ってこれを発信しております。そして垂直の断面図、これは各高度の気温、露天温度、それから風速、それから雲の分布、これで高度を決定する一つの参考としておるわけであります。そして上風図。各高度にはどういう風向、風速の風が吹いておるか。それからもう一つは、富士山レーダー。これは大体半径八百キロメートルくらいカバーしておって、そうしてこれは大体六時間ごとに入ってくるレーダーの図で、雲の分布図でございます。それから、これは冬だけ使っておりますけれども、クロス・セクション・チャートと申しまして東西断面図。これはジェット気流の位置をわれわれはこれによって調べて、それを避けたり、あるいは高度を変えたりして飛んでおり、またこれのあるところには、いわゆる擾乱が生じますので、これを避けるためにこういうチャートを利用しております。そうしてもう一つは、目的地と代替空港の天気の概況を調べまして、そうして運航決定すると同時に、そうしてその高度等を決定して出ておるわけでございますが、実は先ほど申されましたように、稚内とか輪島、八丈島、西郷、厳原、福井と、これはいずれも飛行機の行っている地点でございますが、この観測というものはいままで毎時行われておったのが、これが三時間置きになった。これはわれわれにとって非常に残念なことでございますし、いま私どもといたしましても、また関係当局とされましても、気象庁に対していろいろと折衝していただいておるわけでございます。まあ東京と大阪は三十分ごとに気象情報を入手できまするし、各地点では大体一時間置き、そうして気象の大きな変化があった場合にはそれがスペシャルとして報道されておるわけでございますが、こういう飛行機が行っておるところに一時間置きというのが、これがさらに三時間になったということは、これは私たちとしても今後関係当局を通じ、また直接気象庁へもお願いをして、何とかいままでどおり、せめていままでどおり観測のデータが入手できるようにひとつやっていきたいと思いますし、諸先生方もこのことに関しまして、ひとつ御支持をいただきたいと思うわけでございます。
  32. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) 幾つか細かい御質問を受けましたんでございますが、メモに従いましてできるだけお答えしたいと思います。  まず第一に、安全第一ということを特に強く拝聴いたしましたが、航空会社、特に私は日本航空でございますが、日本航空では安全第一ということは常にそれを第一に考えていることでございまして、いささかもそれを忘れたことはないつもりでございます。先生は安全を損なえば経済的損失になるではないか——それはまことにそのとおりでございますが、安全は経済的損失があろうがなかろうが守らなければいけないというふうに私どもは考えておる次第でございます。  それからモスクワ事故、ニューデリー事故に関しましての言及もございましたけれども、この事故に関しましては、その後の調査で明らかになっておるところでございまして、機材の故障そのものが原因であったということではないものというふうに理解をしております。ただ行政管理庁からの御指摘事項につきましては、細かい文句等はよく存じませんのでございますけれども昭和四十七年ないし八年、特に八年であったと思いますが、その時点では、日本航空を例にとりますと、従来、国際線に使っておりましたDC8の61型機という、DC8の中では一番お客様を多く乗せられる機材を国内線に需要の必要から転用いたしております。そのときに国際線ですと一回の飛行が四時間とか三時間とかいったような飛行時間なんですけれども、国内線に入れますと五十分とか一時間という非常に短い間隔で離陸、着陸をいたしますために、その結果としまして高揚力装置——フラップと申しておりますが、そういう関係の機構ですとか、あるいはエンジンですとかがそういったような頻繁な離着陸の影響を受けまして、幾つかの故障を出しました。そのために力を特にそちらの方に入れまして整備をいたしたわけでございまして、そういったようなところから出た問題点をとらえられて御指摘があったものというふうに考えております。その後、昭和四十八年にはそういう点を大いに整備をいたしまして、そのために相当な整備費を投じておりますけれども、結果的には非常に機材が改善をされまして、現在は順調な運航を続けているという状態になっていると思います。  それから日本航空整備費が全体の何%であるか。これは一昨日お聞きのとおりでございまして、現在一〇%程度というふうに理解をしておりますが、それではパンアメリカンは幾らであったかということに関しましては、データのごく新しいのは持ち合わせておらないのでございますが、一般に整備費が全体の何%であるかという論議をいたしますときには非常にいろんな問題がございまして、各社とも整備費に何を入れるかといったようなところも若干その境目が異なりますし、整備のやり方で、自分整備をしている場合と、そうでなくてメーカーにたとえば物を送って直させる場合ですとか、あるいは国内でもそれ専門の会社に送って直していただく場合ですとか、そういったような場合でもやはり整備費の出方が違います。それから、使っております同じタイプの飛行機の数が十機であるのか二十機であるのかというようなことでも、たとえばそれに必要とします予備部品の数が非常に違ってまいります。機数が多ければ多いほどある程度まで有利であるというふうなことになるわけでございますが、そういったような意味でいろんな要素で影響を受けますので、厳密にどの社とどの社を比較するということは大変無理がございます。  したがいまして、私どもは数%の範囲でその程度の差は生じ得るというふうなことで通常見ておりますが、パンアメリカンが過去、年度はちょっと忘れましたけれども、私どものいろいろ問題がございました当時、外から指摘されたときのデータによりますと、先ほど先生がおっしゃいましたように一二%と言われておりました。したがいまして、現在はそれが幾らであるかということは現在私はここに持ち合わせておりません。  それから、「おおぞら」の記事に関するいろいろ御意見がございましたけれども、これは経営管理室長が言ったことなんですが、いろいろ論議がございました。本人も説明が十分でなかったと申しますか、表現上いろいろ誤解された面があるということを申しておりまして、四月号に幾分説明をさらに加えてあるはずでございますのでごらんいただいたら幸いかと思います。  それから昭和五十年の二月十四日、先ほど御指摘のありました日航の企業体質強化委員会で出しました事項の中に、整備の問題で、昭和四十九年度の人員で大体いくのだというふうに書かれてあったことにつきまして、いま御質問があったと思いますけれども、通常、整備員は高校を出た技術者を採りましてもすぐ使えるわけではございませんので、通常採用いたしましてから一年間訓練を専門にいたしております。それから実際の仕事のそれなりにできるところからやらせる、こういうやり方でございますから、たとえば昭和四十九年に採用いたします——四月に入社した者は四十九年いっぱい訓練を受けまして、五十年の四月から、すなわちことしの四月から実際の戦力になる、こういったような形でございます。  そこで日本航空の場合には昭和四十九年の四月に五百人採用をいたしております。五百人余り。そしてその者が四十九年度いっぱい訓練を受けまして、五十年の四月、すなわちことしの四月に仕事を始めている。それから現在五十年の四月に入社いたしまして訓練している者が三百人おります。これは実際にはこの五百人を採った時点というのは四十八年の半ばでございますので、石油ショック等の問題がクローズアップしていなかった時点である程度の高度成長というものを考え、それに対処すべく採用した人数でございます。したがって、それ以後ごらんのようなスローダウンということが起こっておるわけでございまして、現在その五百人プラスいま訓練中の三百人というのがおりますので、現在の状態から見通せる今後のごく近い年度、五十年、五十一年、五十二年というのを考えますと、これだけの人数を持っておりますから、これは必要以上、むしろ十分過ぎるぐらいあるというふうに考えているということでございます。  五十二年度以降になりましての問題は今後の経済の動向、会社の見通しといったようなことによるわけでございまして、そういうものがはっきりしました時点で今後採用によって対処していくというふうな考えでおるわけでございます。以上で大体お答えいたしたつもりでございます。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 詳しい御説明をいただいたんですが、井戸参考人に、緊急要綱の第七項に「米側の協力を求める」とうたったのは、やはり日本の空の安全を守るためには絶対必要だと。それで国会の論議が結局そういう形で、これは要綱として出されたんだと。ですから現状をもとにして政策を考えられるというのは当然ですし、われわれも別にイデオロギーとかなんとかから言っているわけじゃない。ただ、どういうふうにその後この要綱が貫かれているのかどうかというところが、あれから四年後の論議をするに非常に重要だと私たち考えておるんですね。この点について、具体的なことをいろいろ御存じでしたらお聞かせいただきたい、こう思ったわけでございます。  それから平沢参考人に、最後のところですけれども、石油ショックその他の問題があって仕事の内容もいろいろ波状的な影響を受けると思うんですが、ただ仕事が一〇%ふえる。で、人員はそのまま確保される。仕事の方は稼働率を一〇%上げるというのですから、それはただいまの御説明だけではちょっと私たち納得できないところがあるわけなんで、その点についてもう少し具体的にお聞かせいただきたい。以上二点お伺いします。    〔委員長退席、理事黒住忠行君着席〕
  34. 井戸剛

    参考人井戸剛君) ちょっと舌足らずで、先生の御質問に十分お答えしていなかったかと思いますが、当時の私どもが主張し、また現在も私が持っております基本的な意見は、やはりそういったシステムシステムの接する場、これを一元的にやはり管制するというような方向にいくことが望ましいということを当時考えましたし、また現在も考えているわけで、その進行状況という点までは私、詳しく調べてまいりませんで、大変勉強不足をおわび申し上げます。
  35. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) 御質問にお答えいたします。  岩間先生が一〇%の仕事量がふえる、それに対して人間の数がふえないでもいいのか、こういう御指摘だと思いますが、日本航空がいま考えております今後の仕事量というのは、たとえば五十一年、五十二年がどうなるかというのは、現在経営管理室で検討中でございまして、まだ確定はいたしておりませんが、一応今後の一つの指標として考えられている数字、これはATKと申しておりますが、実際の輸送力でございます。それはいすの数掛ける飛行距離といったような形であらわします。あるいは運べるものの重さ掛ける輸送距離というふうなものであらわしますが、そういうものが前年比で、一つの案は、五十一年は五十年に対して五%、さらに五十二年は五十一年に対して一〇%といったような考え方。もう一つは、それぞれ一〇%ずつ。これはいずれも輸送量の増でございまして、それが即、整備の仕事量に直接一〇%上がるというふうなことには実際にはなりません。それはなぜならないかと申しますと、現在飛行機を大型にかえつつあるときでございます。たとえばDC8という二百人乗りのものを747という四百人から五百人乗れるものにかえた場合に、飛行機が大型化いたしますと、いまの輸送量を一〇%ふやした場合に、整備の量で申しますと、一〇%ふえませんで、五%ですとか六%ですとかいったような数値になるわけでございます。  それからさらに、現在仕事が予想したよりも今後少なくなる。そうしますと、人がたくさんおりますから、そういう者の教育を十分にやる。そうしますと、同じ仕事をするのでも決してあわてないでも早くできるようになる。そういったような面も一部あるわけなんです。これはまあわずかでございますが、そういうものを考慮いたしまして計算いたしますと、先ほど私が申し上げたように、数としては十分であるというふうに考えているということでございます。
  36. 今泉正二

    ○今泉正二君 参考人も長い時間でお疲れと思いますが、三点ばかり伺いたいと思います。  まず最初は、井戸教授にお伺いいたしたいと思います。飛行場周辺の立地的環境ということでございますが、私も北海道開発庁にしばらくおりましたときに、大臣とも相談をいたしましたんですが、大体飛行場というのは古来、これは渡辺紳一郎氏などの説でも、撮影所と飛行場というのはへんぴなところにあるというのは世界じゅうの通例で、それが身近にあるというところから騒音問題というのが出てまいります。    〔理事黒住忠行君退席、委員長着席〕 ですから昔の人が言ったことばというのは余り違ってません。それで近くに来て騒音がなければ一番いいんですが、なかなか世の中のことですから百点満点はとれません。したがって千歳の新国際空港の問題で、私が次官のときには町村大臣でございましたが、国際空港のときには、周辺に余り人家をつくらないように最初から設定していきませんと、地価が上がる、便利だ、客が乗りおりする、したがって人が集まる、後からうるさい、寝られない、こういう順序がもう決まっておりますから、最初から何キロ四方は人家は御不便でもないということにして飛行場をつくらないと、これは一つの場所だけでなく、今後の大きな課題でないかということを話し合ったんでございます。で、私どももそのことについて、御専門の井戸先生からどういう御意見をお持ちかということを伺ってみたい。こちらは素人でございますから、そういうことを伺いたいと思います。  それから二番目は外人パイロットの件で、先ほどいみじくも園山理事からお話が出たんですが、私は木星号に乗ることになっておりまして、前の日に切符を譲りまして、熱海の旅館のだんなが死んだわけでございます。ですから私は木星号に乗っておりますれば落ちて死んでおる男でございます。それだけに航空機問題も私は本当に身近な問題で、その遺族の方のお墓はもう全部お参りしました。私も人ごとでなく——あれも外人パイロットで、まああの方が悪かったかどうかは、これは霧の中に入っておりますけれども、その当時のおっこったときの私たちの話では、ウイスキーを飲んでいたという気があったとかなんとか、大分古い話でございますし、混沌としておりました、占領下の時代でございましたけれども、そういうことがございます。  ですから外人が何でもよかったという時代は去りまして、航空機は外国人が発明したかもしれませんけれども、先ほど園山さんがおっしゃったように、日本の操縦士で十分に補えるものがあって、特殊な機種の場合のみ外国の知識を導入するということは必要ですけれども、それはもう、話は横に飛びますが、プロ野球を見ましても、外人選手を輸入して何億円だか払った方でも大していい成績を上げていないところを見ますと、何も向こうを呼んでくることはないんです。日本の空を飛ぶのなら日本人でやってもらいたいし、外国へ行くときだったら、中継のときぐらい必要でしょうが、そういう問題を今度は園山先生に伺いたいと思います。  それから一番見過されることは、バイオリズムといいますか、操縦士のそのときの心理状態の波というものが、これはドイツの学者が発明したことだそうで、ヒトラーのノルマンディー作戦もこれによって大きく左右されたと言われておりますし、雫石事件の自衛隊の方のバイオリズムを調べましても、そのときは最下降線に来ているという。佐藤元総理のお亡くなりになるときにどのくらいもつだろうかということを私たちもやりまして、それは信二さんという参議院議員の二男の先生にお渡ししましたが、ほとんど当たっております。  そういうものは一つの学者の説ではありますけれども、操縦をするのは最後は人間でございますから、機械がどんなによくなっても、その機械を発明したのも人間でありますし、人間を乗せて飛ぶのでありますから、そういうものをやっていただきたい。  それで、私も警視庁の交通モニターをやっております。私は自分で車を運転している自由民主党の中でも数少ない議員でございます。大抵後ろに乗っているのです、自由民主党は。私は前に乗っております。で、運転手の心理、操縦士の心理というものは、前の晩のこととか、たとえば夫婦げんか一つあっても、子供が学校を滑っても上がっても、そういうことでも操縦士の心理に微妙に影響することは、どんなに科学者が機械だけよくしてもだめな問題でございます、人間がいる以上。  ですから、そういう問題は、女性のオーナードライバー、これは自動車の問題ですが、警視庁が一番避けるのは、女性の生理の前後の感情の乱れというものは、酒の一合か二合飲んだくらい男にすれば起伏があるんです。ところが、そういうことを警官が立ち会ってやりますと、すぐエッチだの助平だのと言われるために、その問題をよけていってしまうのです。これは女性の場合ですが、男性でもぼくはそういうことがあると思います。  だから、そういうバイオリズムというものが、何か知性とか体とか感情のリズムというものを操縦士の方のいろいろな研究課題、医学的なもの、心理的なものも含めて、君は疲れているから、当番であした乗る日だけれども休んだらどうかなんということも、一緒にお考えいただかないと、これはどんなに法律で諸先輩がやって、またそれが通りまして、万全だと言っても、乗る方はその方がやるわけですから、私はそういうところをひとつ御研究いただきたい。  ですから私、雫石事故がたまたまそれになっておりましたので、先ほど各先生方からのお話のあったことを含めまして、これは園山平沢理事から関連して、ちょっと漠然としたような話ですが、そのことも含めて、以上三点を質問さしていただきます。よろしくお願いいたします。
  37. 井戸剛

    参考人井戸剛君) ただいま先生の御指摘になりましたように、空港整備を考えるに当たって、その周辺をあらかじめ利用規制をしておくという点については全く同感でございます。  第一次空港整備五カ年計画が発足いたしました背景というのは、要するに将来このように航空需要が伸びるということは全く予想もしてなかった。したがいまして、急増いたしましたものですから、急いでとにかくどこでもいいから——というのはまあ語弊があるかもしれませんが、空港を拡張し、つくらなければいけないということで出発したかというふうに記憶しております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、その後第二次空港整備五カ年計画に至りましたころには、いわゆる騒音問題がエスカレートして、そしてやはり周辺整備ということも含めて進めていかなければならないという認識が各方面に強く植えつけられてまいったかと思います。したがいまして、そういった社会的背景というもの、あるいは将来都市化によって飛行場が埋まってしまうというような予測を行わないで進めてきたということに対しましては、私も含めて非常に強く反省しているところでございますが、やはりわが国の国土は非常に狭隘でございますので、全く家をつくらないということでなく、むしろ居住地でなく、たとえば流通倉庫とか、あるいはスポーツセンターとか、そういったものを飛行場の周辺に整備させるというようなことも含めてやっぱり空港計画というものが非常に大切になってくるんではなかろうかというふうに考えます。  さらに将来の飛行場について考えますならば、先生が例にお引きになりました北海道地域については、たとえば辺地の空港を札幌のような大きな都市の空港とどうやって結びつけていくか。現在、昨年の八月から日本近距離航空という新しい会社が発足いたしまして運航をしているのでございますが、いわゆる航行援助施設というものが途中にないということのために、直行すればわずかのところを、大きな迂回をして飛んでおる。そのために日本近距離航空というのは資本金六億円で発足して昨年の八月から運航を開始したにもかかわらず、もうすでに三億二千万円の赤字になっている。このままでは年内につぶれてしまうというような、全く行政の面から、そういう離島、辺地の振興ということを標榜しておりながら、実際の支援施設その他についてほとんど考慮されてない、これは全く行政の欠陥と、こう言わざるを得ないのでございまして、ぜひとも先生方にはそういう面も含めて御考慮いただきたいと考えております。
  38. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) 外人パイロットの件でございますが、先ほども申し上げましたように、私たちもすでに昭和二十八年からの運航に対する経験も積んでおりますし、それの間、いろいろな蓄積された知識を持っておりますし、また世界各国の有名な大きな、あるいは中程度の、あるいは小程度の各種の航空会社の運航のやり方、あるいは訓練の施設、そういうものに対して勉強もしてまいりましたし、そして運航に対する考え方というものはどうあるべきかということも私たちは十分に勉強してきたつもりでございますし、今後外人パイロットの助けを借りてやらなきゃならぬということも考えられませんし、私たちがつくり上げた運航制度とか、あるいは訓練の制度とか、そういう施設というものも、どこに出してもすでに恥ずかしくない段階になっておりまして、いまさら外人の人たちに助けを借りるというようなことはないと存じます。日航の方には外人パイロットいまおりますけれども、これからだんだんふえるというよりも減る方向にあると私は聞いておりますし、全日空にもかつていたことはございますけれども、すでに外人のパイロットはおりません。フライトエンジニアは一部ちょっとおります。東亜国内にもかつてYSに担当しておりましたけれども、この外人たちもすでに帰っております。今後はそういう人たちの助けを借りないで私たちだけでこの日本の空の運航を担当できると確信しております。  それからバイオリズムということでございますが、私も操縦士協会から出しております「PILOT」の編集をやっておりましたのですが、このバイオリズムということについて会員の方からいろいろと投書がございまして、そして過去に事故に遭遇したそういう人たちのことをいろいろ聞いたのでございますが、当時は、そんなことはあるものかというので一笑に付して、その「PILOT」へのせっかくの投稿もお断わりして別に載せなかったわけでございます。その後、私たちもいろいろとそういうことを聞いておりますし、いま今泉先生からもそういうことをお聞きいたしますと、もうちょっと早くこういうことを真剣に私たちも勉強してみるべきではなかったと後悔しておる次第でございますが、いまさらでは遅いようでございますけれども、かつてそういうお話を聞いた人に、もう一回ひとつお会いいたしまして、そういうものはどういうものであるかということをもう一回、いままでのそういうような感情抜きで率直な気持ちでもう一遍勉強してみたいと思います。
  39. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) 私に対します御質問の趣旨、必ずしもはっきり受けとめられなかったのでございますけれども、先ほどの、空港が騒音の点から内陸がいいのか海辺が有利なのかということにつきまして、私ごく騒音の点から非常に概括的に言えば、水際の方が有利であるというふうに申し上げたのでございますが、いまの今泉先生からお話がありましたように、内陸の場合には絶対だめということではございませんで、やはり周辺の整備あるいは周辺の規制そういったようなものをやれば、これは当然騒音の対策はできるというふうに考えます。ただ飛行場の周辺に土地をとるということでございますから、それだけの大きさが必要でございますので、場所も限られると思いますけれども、空港をプランする場合には、いままでの経験からすでに関係者はよく知っているわけでございますが、周辺整備まで含めてプランをするのだということが大事じゃないかと思います。それでよろしゅうございますか。
  40. 青木薪次

    ○青木薪次君 御苦労さまです。先に井戸教授にお伺いしたいと思うのでありますが、今度の騒音基準適合証明制度が新設されましたのは、先ほどの説明からも、ICAO関係で新設されたということを聞きました。騒音基準適合証明制度の新設によって、航空法制検討委員会の中では、先ほどの三木先生の質問にもお答えがあったわけでございますが、各界の意見を聞いて、そしてそれぞれの意見が出されたと思うのでありますけれども、そのうちどの程度取り入れられたか、これはパーセンテージで結構でございますけれども、どの程度カットされたのか、それについてお伺いいたしたいと思います。  それから航空法の第二十条並びに第二十条の二項によるこの制定によって、「騒音基準適合証明は、運輸省令で定める航空機運用限界を指定して行なう。」とありますけれども、これは運用限界について従来までありました省令の第十二条の二第三項二号のト、この中に「その他の限界事項」とあるわけでありますが、この中へ、たとえば騒音基準のWECPNLですか、この関係省令で定めるのかどうなのか、新たにつけ加えることになるのかどうなのか、それらの点についてお伺いいたしたいと思います。これは平沢参考人にあわせてお伺いいたしたいと思っております。  それから園山参考人にお伺いいたしたいと思いますけれども、現在民間のパイロットは、緊急安全対策要綱に基づきまして設置された訓練空域について一体どう考えていらっしゃるのか、先ほどもちょっと触れたかと記憶いたしておりますけれどもお伺いいたしたいと思います。これは、たとえば私の住んでいる静岡県の浜松沖の訓練空域の付近で、気象条件が悪化した場合、航空路を外れて雷雲を避ける。私たちもおとといですか、視察したときに大分揺れたんでありますけれども、エアポケットに入るとか、あるいはまた相当な揺れがあるというような場合に、どうしても訓練空域の中へ入らなければ安全を保障できないというような場合に、許可がなければ入らせないと思うんでありますけれども、この点について、乗客の安全を守るための措置についてお伺いいたしたいと思います。  それから今回の改正案で、空中衝突とかニアミスは起こらないかどうかという点なんでありまするけれども、有視界飛行で小型機との衝突、接近は制度上完全に防止できる体制になったのかどうかというような点なんでありますけれども、たとえば私は半年ほど前に大阪空港を見学いたしました。で、管制センターからいわゆる発着の滑走路へ出る直前に、いままではとまってすぐ待っておったんですね。ところが、これでは勝部地区の方へしりを向ける、そうすると騒音がものすごい、そこでちょっと後ずさって、そうして西の方というんですか、そちらへしりを向けて発着を待つということになるわけですけれども、そうすると滑走路までの段階で二、三分かかってるんですね。そうすると、おりてくる飛行機との関係でニアミスが起こる。いわゆるいま申し上げたローリング・テーク・オフという方式ですか。それから今度はもう一つは、出発してから住民に騒音を出さないためにパイロットの皆さんが操縦桿で急に上昇するんですか、あるいはまた急に下降するんですか、そういったようないわゆるカットバック方式というんですか、そういう方式が使われているわけですね。そういう点について、騒音基準適合証明制度が発足すれば、安全上問題があるこの二つ方式は、これはニアミスの問題ともからみ合わせましてやらなくてよいのかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思っているわけであります。時間がありませんから以上にいたします。
  41. 井戸剛

    参考人井戸剛君) ただいまのお尋ねの、検討委員会の席上どのくらいわれわれ検討委員意見が入れられたかということでございますが、先ほど申し述べましたように、法律ではICAO条約第十六付属書というものをほとんどそっくりこう持ってきたと、少なくともこれのみを単独に入れる限りは、更改の余地がほとんどなかったというふうに記憶しております。したがいまして、もう一つのお尋ねの運輸省令で定める航空機運用限界というのは、おそらく各機種について騒音を測定するところの基本条件、これがほとんどそっくり出てくるかというふうに解釈しております。したがいまして、最後にお尋ねのございました運航方式とか、そういったものの考慮というものはほとんどなかったというふうに記憶しております。
  42. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) 民間のパイロットといたしまして、緊急安全対策要綱に基づいて設定されました訓練空域をどう思うかということでございますが、率直に申し上げまして非常にそれまで時間もかかりますし、訓練時間というものはそれだけ減ってくるというので、私たちとしては余りありがたくは感じておりませんけれども、しかし航空路並びに管制区域の安全、ニアミスあるいは衝突防止というようなことのためには、やはりそういう不便も忍ばなきゃならないかと存じます。しかしながら先ほども申し上げましたように、アメリカでも、すでに行われております全土がレーダーでカバーされて、そうして、大体どこでもその訓練というものができるような状態でございます。日本の現況では、やはりいまのような運航を相当規制する方向に持っていって、空中衝突あるいはニアミスの防止というのでやられるのもこれはやむを得ないかと思いますけれども衆議院運輸委員会附帯決議にもありました、第一項にもありました、航空レーダーというものの設置を速やかにやっていただきまして、航空路内とは言いませんが、より近いところでそういう訓練あるいはそれに類する飛行ができるようになることを、私たちは早くなるのを望んでおる次第でございます。  それから訓練空域が浜松の沖にありまして、大島から串本に向かっていくコースのことと思いますが、それが前方の悪天候状況を避けるために、快適な飛行を続けるために、確保するために訓練空域の方に入っていく、そういう場合には危険はないかということでございますが、そういう航空路から私たちは悪天候を避けるために入る場合には、必ずルート上の、あのところでは東京コントロールでございますが、東京コントロールに何マイル、航路よりも何マイル離れたい、そういう要求をいたしまして、そうして東京コントロールからそういう承認があったときに限って入るわけでございます。あの辺はレーダーでカバーできておるわけでございますので、その点では許可を得て入った段階では何ら危険はないと私は信じております。  大阪の、ちょうどおっしゃいましたあれはナンバー・ツウ・ストップラインと私は記憶しておりますが、ここから滑走路に入りまして、そして、あそこでは滑走路に入りましてすぐは離陸できなくて、それから大体三百メーターぐらいの時点でエンジンを吹かして離陸上昇するわけでございますが、それまで多少の時間は、二、三分もかかりませんが、まあ大体一分近くはかかると思いますが、そういう場合に、進入機とのニアミスはないかということでございますけれども、これはレーダーでよく監視されて、アプローチしてくる、着陸のために進入をしてきます飛行機は、これはレーダーでも十分に監視されておりますし、離陸する私たちも、滑走路に入る場合には必ずそのアプローチチェックと申しまして、その進入方向をよく見てそして離陸するようにしておりますので、このニアミスというのはまず起こらないのではないだろうかと、特別何か悪条件がいろいろと重なったときはわかりませんが、そうでない場合には、普通の状態ではそういう心配はないではなかろうかと存じます。  それから大阪での、これは私たちはランウエイ32と称しておりますが、北向きの離陸の場合でございますけれども、これは現在カットバック方式をとっておりますのはYS機がとっておりますけれども、私は727にいま乗っておりますが、これは私たちの会社で定めました騒音軽減飛行方式という方式で、フラップ——下げ翼を上げることなくて大体千メートルまでそのままの、離陸のときと同じ状態で非常に上昇率のよい上昇を続けてきまして、そして千メートルになって、三千フィートになった時点でフラップを逐次上げていって、そして五千フィートまでに全部終わってしまうというような、そういう騒音軽減飛行方式、ただいまは離陸のみと、それから着陸の一部で使っておりますけれども、そういうふうにしてやっております。そのカットバックは私ちょっと経験がございませんので詳しいことは申し上げかねます。
  43. 平沢秀雄

    参考人平沢秀雄君) お答えいたします。  この二十条の二に関する御質問でございますけれども運輸省令で出ます基準がどういうことになるかというのはこれからの問題だと思いますが、私が最初にICAO付属書十六号に規定されたものと同一であってほしいというふうに御要望申し上げたわけでございます。で、ICAO付属書十六号にどういうことが書いてあるかということは、先ほども井戸先生からお話がありましたけれども騒音のはかり方、はかる場所、それからはかるときのはかり方の中に入りますが、飛行機の離陸方法、着陸方法、そういうものがすべて規定されております。そして測定をした、マイクロホンでピックアップした音を処理して、データをリダクションしてある単位の音にするわけですが、そういうやり方まで全部規定されております。運輸省で準備されました参考資料の後ろの方に測定点ですとか、離陸、着陸の方法等が書いてございますけれども、これはICAO付属書十六号に書いてある内容であるというふうに理解いたしますけれども、そういうふうに書いてございまして、その結果として規制しているのは、したがいまして、ある証明を受けたい航空機について、飛び方はすべて決められているわけでございます。そこで音が最終的に標準が決まりますと、もう飛行機が出す音というものがそこで押えられる。こういう結果でございます。  で、先ほどそういう数値としてWECPNLといったようなものが入るんだろうかと、こういう御質問ですけれども、私の理解しているところではICAO基準でしたらEPNdbという単位でございます。EPNdbというのは飛行機が出します音の大きさ、種類、それからある一機の飛行機ではかるわけですが、飛行機が通過いたしますその時間、この要素は入りますんですけれども、それだけでございます。WECPNLというのは、そのほかに、ある空港をとりますと、何回一時間の間に着陸、離陸があるかとか、あるいは一日の昼間と夜で何回ずつあるのだと、そういう要素を含めたのがWECPNLでございますので、ICAOで規定しているのは申し上げましたようなEPNdbでございますので、そういう数値が入るものというふうに私は理解しております。
  44. 岡本悟

    岡本悟君 園山さんにお伺いいたしますけれども、先ほどお話を聞いておりますと、操縦者見張り義務というものが新しく設けられるわけですが、私も当然の規定であるように常識的には考えられるけれども、さてちょっと考えてみると、素人でもわかるのですけれども、一体これは実益はどこにあるのだろうという疑問が起こってくるわけです。つまり普通の場合であれば空域が完全にコントロールされておる。航空交通路はですね。それに乗って運航しているのですから、まず衝突の危険はないわけですね、お互いがちゃんと守っておれば。で、きわめて、たとえばこの間の雫石の事件のように、民間の航空交通路に自衛隊の航空機が訓練空域からはみ出して入ってきてというようなケースでなければまず考えられない。非常に不注意でうっかりして。ところが、きわめて高速化した今日におきましては、秒速二百五十メーターですか、仮にしますと、双方プラスしますから五百メーター、これ実際アクションを起こすのに、先ほどお話もあったかと思うのですが、やっぱり十秒ぐらいはかかるというようなことになるのですから、たちまちにぶつかっちゃうのですね。  そうかといって、たとえば十キロ先に相手の航空機を視認したといたしましても、それはこっちへ真っすぐやってくるのか、あるいは当然これは間違いに気づいて回避するのか、こっち側ではわからないでしょう。こっちは航空路に乗ってちゃんと管制を受けて運航しているのですからね。相手がこうぶつかってくるのかどうかわからないでしょうね。だからこの場合はやはり当然不注意で、うっかりして、特に自衛隊の場合が考えられるのですけれども、間違って入ってくる場合だと思うのですね。ところが、それはなかなか実際問題としては高速の関係で回避できないのじゃないかという感じがしてならないのですよ。  一体この見張り義務というのは当然のことではあるけれども、実益が実際問題としてどういうところにあるのかですね。毎日操縦しておられる方方の経験からこの点伺ってみたいと思っております。先ほど来、たとえばこういう見張り義務の規定を置かれると、たとえばこの間の雫石事件の裁判のときのように、裁判官の心証に相当影響力を持つのじゃないかというようなことをここに書いてありますがね。そういうこともあって、まあ素人でありますので、あるいは全く的外れの質問をしておるかもしれませんし、すでに重複した質問にもなっておりますので、大変お気の毒だと思うのですが、ちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  45. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) パイロット見張りの義務でございますが、私たちは大体飛行機が動き出す以前に、その動き出す方向に向けて十分に注意して、そして上昇、滑走中はときどき計器を見ますけれども、主として前方、側方をよく注意しておるわけなんです。それから飛行中におきましては、もちろん旋回するについてはその旋回方向、そして反対方向、前方、相当いろいろウォッチをいたしまして、そうしてやっておるわけでございますが、まあ水平飛行に移りますと大体前方も見なきゃなりませんけれども飛行計器、そしてエンジン計器と前方というふうに、私たちは前方だけというのじゃなくて、そういうふうに目を回しながらおのおのそういうように交互に見ておるわけでございますが、他機を発見するということで、あそこに見えると横から言われて、はっとこう見てもなかなか気がつかなくて、何時の方向だと、いや何時だと言うので、よく注視して、あっ見えたというようなことがよくあるわけなんですが、大体私たちが見える範囲は、いろいろとレーダーからのアドバイスでそちらの方を注視してもなかなか見えない。大体四マイル程度に来なければ普通のいい天気ではなかなか見えないと。はるかかなたを飛んでおる飛行機で、これは飛行機雲とか、あるいはエンジンの排気ガスなど——いまの新しいエンジンを使っている飛行機はそういうものを排出しないわけでございますが、そういうので、はるかかなたにおるのが、飛行機じゃなくて飛行機が出したそういう雲とか排気ガス、黒い煙によってその所在がわかるということはございますけれども飛行機を上で発見するということは、これは私たちの大きな努めではございますけれどもなかなか困難な場合も多々あるわけなんです。ですから、ここにございますような、「当該航空機外の物件を視認できない気象状態の下にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをしなければならない。」というこの表明に関しましては、何とかひとつ別の表現をしていただくようにしていただきたいと思うわけでございます。以上でございます。
  46. 平井卓志

    ○平井卓志君 大変お疲れのところ、最後に一つだけお尋ねを申し上げておきたいと思います。  安全の確保ですね、それからまた安全性の追求というのは、これは技術革新も含めておよそ航空機のある限り限界がないと、このように思うわけですが、日本の空が非常に危険が多いというこの危険性の問題ですが、私はある意味でこれは比較の問題であろうかと思うんです。そういう意味で、本当にわが国の空がそれほど危険なのかどうかということを、アメリカも含めて先進諸国の状態と比較してどうかと。この比較ですが、諸先輩もおっしゃったように軍用機との関連の問題、また気象条件、空港の用地設備、さらに法的規制内容、非常に複雑でございまして、単純な比較はむずかしいと思うんですが、特に園山参考人の実地に飛行機で飛ばれた御経験から、やはり比較して日本の空はやや危険が多いというふうなことをお感じになったかどうかという問題と、もう一つはパイロットの技量の問題ですが、これは諸外国と比較して非常に技量の優劣、経験、比較がむずかしいと思うんですが、そのことは別にいたしまして、操縦士の負担を経減するため、危険性を排除するためのいわゆる空域の分離とかレーダーコントロールその他の法的規制、こういう問題も含めて、安全性確保のための設備と申しましょうか、そういうものが諸外国と比べて、特に先進諸国ですが、似たようなものなのか、多少わが国が劣るのか、その辺きわめて素人っぽい質問で恐縮でございますが、お答えいただきたいと思います。
  47. 園山鋭一

    参考人園山鋭一君) 安全確保の問題で、日本の空は果たして危険が多いかどうかと。いろいろ新聞なりテレビなりで、非常に過密状態で云々と騒がれております。またそういう時期もございましたけれども、私が実際に感じておりますところでは、危険性というのはそれはどこの空だって同じじゃないか、日本の空だから特にそれがあるというほどでも私はないと。  現に私は、昭和四十三年でございましたか、大阪を離陸いたしまして、一万七千フィートの東京へ行く高度を割り当てられまして、そして一万七千フィートになった瞬間に、雲から出たときに、前にT33と称する単発のジェット機が目の前にあらわれてきまして、とっさに、これは引いてもあかぬと思ってもうともかく急激に下げかじをとりまして、それでその飛行機をかわしたことがございます。そしてお客さんも二人ばかりけがをさしたことがございます。そういう瞬間にはこれは危ないと思います。しかし当時は有視界飛行状態であるならばどこでも飛べたわけなんですけれども、そういうことは、今後航空法の、有視界状態航空管制区あるいは圏内を飛んではいけないというようなこういう規定ができますれば、いま言ったようなそういう危険というものは今後は発生しないと私は確信しておりますし、そしていままでも、まあそういうことはございましたけれども、総体的にもう危なくてしようがないというふうに私は感じたことはございません。  非常に過密状態、過密状態と言われましても、あれはいつでしたか私は忘れましたが、羽田が離着陸の便数制限が開始されましたちょうどその直後に、アメリカにおります私の友達から新聞の切り抜きを送ってまいりまして、そしてそれを読んでみますと、日本ではこういうことをやっているそうだと。羽田空港をその当時、何年だかちょっと私忘れましたが、アメリカに持ってきた場合には大体アメリカでは離着陸の回数では百七十八番目ぐらいのものであると。それでもうすでに便数制限を始めているといった、非常に皮肉をまじえたそういう記事を私は記憶しております。  それから日本における航空保安施設と外国とはどうかと。私は、外国と申しましても、アメリカの大体太平洋岸とそれからアメリカの中部までしか実際に自分で飛んだことはございませんし、また東南アジアは飛んだことはございますが、まあ東南アジアあたりと比較しまして日本は格段の航空保安施設、その性能なんかもよく整備されておるわけでございますけれども、しかしアメリカあたりと比べますと、アメリカではすでに、先ほども申し上げますように、日本の二十六倍の国土でありながらその全航空路がVOR/DME、これは超短波全方向式無線標識と訳されておりますが、これに距離測定装置を備えたそういう航行標識で全土が結ばれておりまして、それがさらにレーダーでカバーされておると。日本は最近相当数VOR/DMEというこの非常に安定したそうして便利な、これは最新式でも何でもないんですけれども、これが設置せられまして、非常に私らもこれからだんだんとよくなると希望を持っておるわけでございますけれども、いまだに古いNDB、これは無指向性中波の航行標識でございますが、これはやはり帯電をしておる雲の中を飛びますとその受信ができなくなるという一つの大きな欠陥がございますが、確かにアメリカと比較いたしますと、おくれている面もございます。先ほど井戸先生も言われましたように、十年ということでありますが、私はこれは十年か何年かちょっと判定する資料は持っておりませんけれども、しかしながら私たちこれから希望いたしますのは、やはり日本の全航空路というものがVOR/DMEで結ばれて、NDBという旧式の全方向式の中波の無線標識が廃されて、そしてこれが全部レーダーでカバーされるというふうに速やかになるのを待っておる次第でございます。また主要空港は欠陥空港とかなんとか言われながらでも近代的な装備ができておりますけれども、ローカル空港ではいまだ滑走路の幅も狭く、長さも千二百とかあるいは千五百とかそういう非常に短いし、そして計器進入を行いますにも、先ほど申し上げましたNDB——中波の無指向性の航行標識、非常に古い、欠陥もいろいろとございます、そういうのが使われておるわけでございますので、滑走路云々ということよりも、まず各ローカル空港におきましてもVOR/DMEでもう安定した信頼性の高い、そして便利なこういう無線標識で安定した計器進入ができるように、これをひとつ、近く私たち全国の空港を調べまして、関係当局にお願いしようと思っておるところでございます。以上でございます。
  48. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ほかに御発言もないようですから、参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には御多忙中のところ、長時間にわたりまして貴重な御意見開陳していただきましたことを、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十三分散会