○岩間正男君 三人の
参考人に時間の
関係からまとめてお伺いします。
まず第一に
井戸参考人にお伺いしますが、先ほどの公述の中にもございましたが、
雫石事故のあのときの
調査委員をやられておる。あのとき政府は、
航空交通安全緊急対策要綱というものを出したわけです。国会でも論議されまして、これで民間機の安全を第一に考えてやっていくと、こういうことだったと思うんです。そこで問題は、
自衛隊機との
関係について訓練
空域をどう調整するか、この対策が一番大きな問題としてとられたわけでありますが、同時に私
たちはその
自衛隊機だけじゃなくて、その背後にあるともいうべき米軍機との
関係を明らかにしなければ真に
日本の空の安全を守ることはできないんじゃないか。大分これは国会でもこの問題を論議したわけです。その結果緊急対策要綱の中の第七項でありますけれ
ども、第七項について、「上記の諸
措置のうち、在日米軍機の
運航等に
関係ある事項については、米側の協力を求めるものとする。」こういうふうに規定されておるわけです。
さて、この第七項が
航空安全の非常に重要な一つのポイントをなすわけでありますが、果たしてこれがとられているのかどうか。
民間航空の安全を
確保する上で米軍に対していままでどのような協力が要請され、そうして具体的にこれが
解決されたかどうか、この点について
参考人から具体的にお知らせをいただきたい。
また果たして米軍との
関係で
民間航空が安全を保つことができるような
状態になっておるかどうか、第二には。
それから第三には、当然このかぎともいうべきものは、結局
航空機の管制の問題だと思うんです。特に進入管制について、その役割り及び重要性、こういう点からかんがみまして、那覇空港の問題が先ほど出ましたけれ
ども、これはいまだに那覇空港の進入管制は米軍が握っている、こういう形にあるわけでありますが、こういうことで果たして一体
日本の空の安全というものを保つことができるのかどうか、このような問題は、
日本の
航空事情の中にいわば潜在し、あるいは顕在するところの非常に重要な一つの課題である。したがって、いまこの
航空法を審議するに当たってどうしてもこのような根源についてわれわれは明らかにしなければならぬという
立場からお伺いを申し上げておるんですが、この点について先生の御見解をお伺いしたいと思います。
第二の問題は、これは
園山参考人にお伺いをするわけでございますが、ただいまの問題と関連してくるんでありますが、国際定期
航空操縦士協会の今年三月の総会において、那覇空港が潜在的危険性を有する空港として、これは大阪の伊丹空港とともに指摘をされました。その理由を見ますというと、那覇空港に近接して嘉手納、普天間の
二つの軍事基地があることに起因しているということを明確に指摘しているわけです。そのために那覇空港に離陸しあるいは着陸する
航空機に、嘉手納空港のアライバルセクターとの関連で千フィートの高度制限が課せられている、こういうことが述べられているわけですが、これは
航空操縦
技術上、操縦士としてどういうような困難を伴うのか、危険度を伴うのか。それから同時にこのことはやはり民間機の安全にも
関係があるし利用度にも
関係があると思うわけです。この点を、ことに当事者として最も苦労しておられる
パイロットの
立場からこれについてお伺いをいたしたいと思います。
それからもう一点お伺いしたいのは、
パイロットにとって一体
航空気象情報というのは非常にやはり重要なウエートを占めるんじゃないかと私は考えているわけです。ところが気象庁の機構が、これは当
委員会でも論議されたのでありますけれ
ども、最近観測の度数が二十四回から八回ぐらいに落されたというのは、これは人員整理の
立場からされたのでありますけれ
ども、非常に少なくなってきた。これが実際はどうですか。日常の
航空運航の場合に非常に
欠陥が起こっているのじゃないか、具体的にそういうことを耳にするわけでありますが、こういう点について、これはどういうふうにお考えになっていられるか、あるいはまた現状、この前機構改革をしてからどういうことが起こっておるか、こういう点についてお伺いをしたいと思うのです。
第三に
平沢参考人にお伺いをいたします。
整備の問題ですけれ
ども、
昭和四十七年のニューデリーとモスクワとの二回、
日本航空の連続大
事故がありました。これは大変なことだったと思いますが、あのとき行政管理庁が次のような勧告をこれは行っているわけです。「
昭和四七年度、
飛行中の機材故障の発生を見ると、
整備作業上の過誤によるものが多く、この過誤は、
整備員の過誤や不注意が直接の原因となっているが、その背景には
飛行前点検を行なうための
航空機ステイタイム(
地上滞在時間)が十分でないことが第一に挙げられる」、こういうふうに指摘をしているわけであります。安全を第一にすべき
航空会社が、赤字解消、これがいま日航の赤字が非常に大きな問題になっておりますから、大変な事態にあることはよくわかりますけれ
ども、しかし何といっても安全を第一にするという
立場に立たなきゃならない、経営上の赤字解消ということのために点検がおろそかになるというような事態が起これば大変、しかもこれは経営にも大変響いてくる。具体的にお伺いしますけれ
ども、あのモスクワの一体損害はどれぐらいあったのか、ニューデリーの損害は実際どれだけあったのか、したがって本当に
整備にもっと十分な体制をとっておいて、あの
事故を避けるということができたとすれば、私は会社の損害というものは、ずいぶん逆に軽減されるんじゃないか。
整備をおろそかにしたために、一台の
ジェット機を失ってごらんなさい。そうして補償の問題や単に国際的な問題だけじゃなくて、大変なこれは経済的な損失も起こるわけです。だから安全と経営というのは、実はこれは分離して、赤字を解消するための、そうして経営第一主義という
立場に立つならば安全は損なわれる。そうしてその結果は逆に経済的な損失をも招くという事態が起こっている。この辺はよほど慎重に考えなければならない
航空政策上の重要な課題だというふうに考えるわけです。したがって、これは
技術的な問題だけでこの
整備の問題を
解決することはできない、
航空行政の非常に重要な一つの要素になっておると考えるわけですから、この点についてお伺いしたい。
具体的に総
費用に占める
整備費の割合、これをお聞きしたい。
日本航空の場合はどのくらいになっているか、また
世界各国の
航空会社、たとえば一番
日本の
航空界に近いパンアメリカンの場合をとりましょう。これはどうなっているか、この点をお伺いしたい。一昨日視察をさしていただいたときに、これは副社長が私の問いに対して一〇%
程度だというふうに答えられましたが、まあ四十七年当たりは八・三%というような数字ですね。四十九年度はどうなっておるか、昨年度はわかるだろうと思いますが、これはやはり非常に一つの重要なウエートを占めると思いますので、この点を聞かせてほしい。
第二には、
日本航空の社内報「おおぞら」の今年二月号で、
日本航空の経営管理室長は、日航の四十九年度赤字の原因について次のように述べています。「第一の要因は、四七年の連続
事故です。
事故後の一連の安全投資の結果、機材の稼働率は低下した。又、乗員のプロモーションを慎重にやるようになり、四八年度の実績で八六億円のコスト・プッシュが起こっている。第二の要因は、石油危機以来の一連の諸要因だ。だから、このもとになっている構造的な要因を排除しないかぎり、たとえ石油危機が去っても、経営の正常化は望めないことになるのです。」、こういうふうに述べられておるわけです。簡単に言ってみれば、四十七年の連続
事故が原因となって安全のための投資をやった、このことによってコストプッシュが起こり赤字の原因になっている、こういうことが指摘されているんでありますが、これはこういう見解で果たしていいのかどうか、先ほど私が述べました安全の
確保ということは同時に経営の安全にもつながるんだという
立場にもし立つとすれば、このような考えに立てば非常に危険なものを持っている、こういういう考えはやっぱり経営第一主義になるんじゃないか、こういうふうに思います。連続
事故のあの教訓というものを一体どのように受けとめているか、この安全の問題について軽視は許されないんじゃないかというふうに考えられますので、この点についてお伺いいたしたい。
最後でありますけれ
ども、
日本航空について、
昭和五十年の二月の十四日の企業体質強化
委員会の決定事項によるというと、「
整備要員は、五二年度まで、四九年度要員数を据置き、その反面、
航空機の稼働は、五〇年度に較べ一〇%向上させる」ということになっているというふうに、これは述べられているわけです。人員はもとのままに据え置いて稼働率は一一〇%になるということになりますというと、これは当然やはり労働過重の問題が起こってくる。これが
整備の体制を本当に質的に高めるということになるのかどうか、やはり私はそういう点で十分考えなくちゃならないんじゃないか。このことについて稼働率向上のため安全を損なわれ、八〇%以上の
整備士が安全には自信が持てないというような、これは労働組合の主張も私
たち聞いているわけですよ。この春闘の中においてストライキまで行っている一つの要因になっているんじゃないか、このような決定はあの連続
事故の教訓を正しく生かしているのかどうかという点に非常に疑問なきを得ないのであります。この点について、これは日航の経営
状態が非常に大きな問題になっておりますから、この点わからないわけじゃありませんけれ
ども、しかし、そこだけで問題を
解決して、非常に狭い視野でもってこの問題は
解決つかない問題だ、こう考えますが、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。以上です。