○国務大臣(木村睦男君)
日本の場合はやはり自由主義
体制、経済
体制をとっておりますので、
自動車の生産も自由でございますし、購買の方も自由であるわけでございます。そうすると、そこにどうしても自由販売競争というものが、競争原理が働きますので、そこでいま御
指摘のように毎年目新しい商品に衣がえをして販路を拡張しようという、こういう
パターンが繰り返されておるわけでございます。しかし、全体的な節約、省資源、そういった
観点から言いますというと、従来のように百五十
種類も実は
型式でもあるわけでございますから、ということは要するに
自動車の
種類が百五十
種類以上もあるというふうなことでございますので、これは本当に売らんかなであり、消費旺盛の時代であればそうしたことがもとで、
日本の経済というものも維持されておったと言えないこともないんでございますけれ
ども、いまや
日本の経済は高度成長から低成長へと変わりつつある、こういう現状に立ちましては、自然といまお話しのように、
自動車の
種類等も毎年毎年ちょっとどこかを変えて売り出すというふうなことは実情に合わなくなってくると思いますし、また、そういうことをやっておってもそれほど需要を駆り立てるというほど需要の方にも余力は従来ほどないというふうなことでございますので、自然とそれは修正の方向へいかなければならないと思います。しかし、基本的には自由経済であり、自由競争でございますので、ある
程度の行政
指導等については従来ともやっておりますけれ
ども、統制経済のようなぐあいにはまいらぬことは、御理解をいただけると思うんでございます。
そこでそういった問題が自然的に多少抑制をされる
一つの機能は、実は今回の排
ガスの
規制の問題でございます。御
承知のように、五十年度
規制、五十一年度
規制等々だんだん
規制がやかましくなってまいりますというと、ことに
新車の場合にはその
規制に合うようにエンジンその他を本当に開発をし、またかえていかなければならないということになりますと大変なことになるわけです。そういうふうなことから、また
実施時期というタイミングの問題もございまして、メーカーの方も好むと好まざるとにかかわらず、間口を収縮して、
型式の数も減らしていくという方向に現在考えつつあるのでございまして、そういう点では非常に私は喜ばしい傾向にあろうとも思います。
それからバス事業など公共大量輸送を担当します場合に、バスの車両の型を毎年毎年かえると、かえて値段も上がるというふうなことになりますと、それが、バス事業も競争でございますから、できるだけ見ばえのよい、また乗り心地のいいものをということになるのは自然の流れでございますけれ
ども、結局そういうふうになってきますというと、そのバスの車両の価格というものが運賃にはね返ってくる、そういう面もあるわけでございまして、これはもうずいぶん以前からバス協会あたりでは、需要側の方で、つまりバス事業者の方で共同して、バス車両について注文をつけて、同じものを皆さんが使うように需要者の側から供給者の方へ、メーカーの方へ注文をしていったらどうかというふうなことも
指導してまいっておりますけれ
ども、なかなかこれもわれわれが考えておるようなぐあいには進んでおりません。おりませんけれ
ども、これもやはり周囲の経済
事情が違ってまいりましたので、私はこういう点は今後さらに強力に推進していきたい、かように考えておるわけでございます。全く御
指摘のように、いろんな
方法を通じまして行政
指導によって、多種多様の
自動車をつくって、とにかく販売合戦をやるという傾向には逐次歯どめをかけていきたい、このような考え方のもとに、われわれ整備行政あるいは
検査行政をやる立場から少しでも役に立つ方向に
努力をしていきたいと考えております。