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山本(
幸雄)
主査代理 御
異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔永井国務大臣の説明を省略した部分〕
以下、
昭和五十年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。
第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
まず、教員の給与改善につきましては、教育界にすぐれた人材を確保するため、抜本的改善を図る措置として、四十八年度において義務教育教員の給与の一〇パーセント相当額の引き上げの措置を講じ、四十九年度においても同様の措置を講じましたが、五十年度においては、四十九年度の第二改善措置の平年度化分のほか、さらに第三次改善分として五パーセント相当額の一カ月分の財源措置を講ずることとし、計八百十六億円を計上いたしました。なお、この第三次改善をもちまして教員給与の計画的改善を完結させることといたしました。
義務教育諸学校の教職員定数につきましては、四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五カ年計画に基づく定数の増を行うとともに、教頭職の法律化に伴う教員定数の増についても配慮し、これにいわゆる自然増及び特殊学級の増設に伴う増員等を合わせて一万六千百二十三人の増員に必要な経費を計上いたしました。
次に、教材につきましては、義務教育諸学校の教材について引き続き年次計画による充実を図るとともに、学級当たりの単価の改定を行うこととし、また、義務教育教科書につきましても、五十年度前期用教科書から購入価格を三三パーセント引き上げるのに必要な経費を計上いたしました。
次に、公立文教
施設の整備につきましては、児童生徒急増地域の小、中学校校舎の新増築事業に力点を置くとともに、屋内
運動場の補助基準面積についても、学校教育以外の社会教育、社会体育等の諸活動にも十分利用できるよう、補助基準面積の改定を行うことといたしました。また、建築単価につきましては、超過負担の解消及び最近における物価上昇を織り込み、三二パーセントの引き上げを行うことといたしております。なお、児童生徒急増市町村の小、中学校建設用地の確保を促進するため、用地取得費補助金の単価を引き上げるとともに、交付率の引上げを図ることとしております。これらの施策に要する補助金として、四十九年度に対し三七・三パーセント増の二千七十四億円を計上いたしました。
公害対策につきましても、大気汚染地域及び市街地域の公立小、中学校に引き続き健康増進特別事業及び学校環境緑化事業を推進することといたしております。
次に、学校給食の整備充実につきましては、最近における物価の上昇に対処し、低廉、良質な学校給食物資の安定的供給に資するため、新たに学校給食用物資安定供給対策特別事業を実施するための経費十二億五千万円を計上することとしたほか、給食
施設設備整備の補助単価の引き上げ等を行うことといたしました。
次に、定時制及び通信制の教育の充実につきましては、新入学者に対して合宿による修学指導を行う経費を新たに計上するとともに、定時制課程について教科書の給与を三年次生まで拡大し、修学奨励費を二年次生まで拡大することといたしました。
次に、特殊教育の振興につきましては、前年度に引き続き年次計画による養護学校及び特殊学級の増設を推進することとし、特に養護学校については、五十四年度からの義務制実施に備えて、都道府県、市町村等に
設置する就学指導委員会を拡充するとともに、重度、重複障害児のための訪問指導員及び介助職員の増員、特殊教育就学奨励費及び特殊教育設備整備の拡充等を行うことといたしました。
次に、幼稚園教育の振興につきましては、引き続き公私立幼稚園の増設を計画的に進めることとし、
施設整備の補助単価の引き上げを図るとともに、父兄の経済的な負担を軽減し、幼稚園教育の普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助を拡充いたしております。
以上のほか、準要保護児童生徒に対する新入学児童生徒特別援助事業措置の計上等就学援助の強化、教育課程の改善、理科教育及び産業教育の振興、教員の海外派遣等各般の施策につきましても、引き続き所要の経費を計上いたしました。
第二は、高等教育の整備に関する経費であります。
まず、高等教育改革の推進についてであります。放送大学一仮称一につきましては、新たに教育
方法についての各種の実験を行うなど実施のための調査をさらに前進させることとしています。また、教員大学院大学及び技術科学大学院一仮称一の創設準備等をさらに進めるとともに、筑波大学につきましては、第二学群及び芸術専門学群を増設するほか、大学院を
設置し、大学附属病院の
設置準備を進める等本格的な整備を図ることといたしました。
なお、大学入学者選抜制度の改善につきましても、共通学力検査等について引き続き調査を進めることといたしております。
次に、大学院の拡充整備につきましては、東京工業大学に新しい構想に基づく学部から独立の研究科を新設したほか、研究科の新設、専攻の増設等により七百三十人の入学定員増を行うことといたしました。
医学教育の拡充につきましては、四十九年度に国立医学教育機関創設準備費を計上した五校のうち、準備状況等を考慮して富山医科薬科大学及び島根医科大学の二校の創設を行うこととし、他の三校については引き続き創設準備を進めることとしたほか、徳島大学歯学部の創設準備を継続することといたしております。さらに、医学教育機関三校の創設準備調査と琉球大学医学部の
設置調査を行うとともに、大学附属病院、歯学部等の
設置に関する調査も行うことといたしております。また、千葉大学に四年制の看護学部を創設するとともに、弘前大学、京都大学及び鳥取大学の三大学に医療技術短期大学部を創設することといたしました。なお、大学附属病院につきましては、新設の医科大学等の附属病院の創設準備を開始するとともに、既設の大学附属病院の整備充実についても配慮をいたしております。
次に、教員養成の改善充実につきましては、前述の教員大学院大学の創設準備等を進めるほか、国立大学の教員養成学部について、小学校教員、幼稚園教員、特殊教育教員及び養護教員を養成する課程の新設、拡充を図るとともに、附属養護学校等を新設、整備する等その充実を図っております。
国立学校の整備充実につきましては、これらの諸施策のほか、高等教育の機会増大に対する社会的
要請にこたえて、学科、課程の新設、改組と入学定員の改定を行うこととし、前述の学部等の新設による増員を含め、大学学部及び短期大学の入学定員で総数千九百人の増募を行うことといたしました。また、教育研究条件の整備のため、基準的経費、
施設、設備等の充実に努めるとともに、必要な分野について教職員の増員を図っております。なお、国立学校の入学料及び検定料につきましては、私立学校との均衡等を勘案し、五十年度に引き上げを実施することといたしております。
以上の諸施策等に要する国立学校特別会計の子算といたしましては、四十九年度の当初予算と比較して一千五百三十五億円増の七千二百四十億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ五千六百十二億円、借入金三百七十一億円、自己収入その他一千二百五十七億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費六千百四十六億円、
施設整備費一千九十四億円となっております。
第三は、学術の振興に関する経費であります。
まず、重要基礎研究の推進につきましては、エネルギー開発を進展させるため、核融合研究を格段に充実する等、原子力研究の一層の推進を図るとともに、地球をめぐる宇宙環境を解明するため、科学衛星及びロケット観測等を推進することといたしました。また、国立大学の共同利用機関として分子科学研究所を創設することとしたほか、既設の研究所についても計画的に整備を進めることといたしております。
次に、科学研究費につきましては、がん、難病等の生命科学、地震予知を含む災害科学、
情報科学、環境科学等に重点を置き、国際共同研究計画の推進経費を含め、総額百七十億円を計上し、その拡充を図りました。
第四は、私学助成と育英奨学事業の拡充に関する経費であります。
私立学校の助成につきましては、まず、私立大学等の経常費補助について、専任教員及び専任職員の給与費の拡充と教員経費及び学生経費の物件費の充実を図り、四十九年度に対し五七・四パーセントに当たる大幅な増額を行って、一千七億円を計上いたしました。なお、その
内容として、私学の教育研究の質的向上に資するための特別な助成の
方法を取り入れることといたしております。
また、新たに、高等学校以下の学校法人立の学校についても、国庫補助を行うことといたしました。
日本私学振興財団の貸付事業につきましては、
政府出資金十億円を計上するとともに、後述の私大奨学事業も含め財政投融資資金からの借入金三百四十五億円を計上し、自己調達資金を合わせて四十九年度に対して七十五億円増の四百五十五億円の貸付額を予定いたしております。
このほか、私立学校教職員共済組合補助につきましては、四十九年度に引き続き長期給付の改善を図るための補助の拡大を行うことといたしました。
次に、育英奨学事業の拡充につきましては、
日本育英会貸付金のうち大学院の人員及び貸与月額の増、私立大学特別貸与奨学生の人員増、私立高校人員の別枠設定及び私立学校の貸与月額の増等を行うこととし、このための貸付金の増額を図ったほか、私立大学を
設置する学校法人が当該大学の学生を対象として行う奨学事業に対して、国が
日本私学振興財団を通じて財政投融資資金を融資する私大奨学事業の援助についても、さらにその規模を拡大してまいることといたしました。
第五は、社会教育と体育、スポーツの振興に関する経費であります。
まず、社会教育の振興につきましては、社会教育の指導者層の充実を図るため、四十九年度に新設した社会教育主事の給与費補助について員数及び単価の引き上げを行うとともに、社会教育指導員の
設置費補助についても単価の引き上げを行うことといたしました。
公立の社会教育
施設につきましては、公民館、図書館、博物館、青年の家及び少年自然の家等の補助単価の引き上げを行うことといたしました。また、青少年のための国立の
施設につきましては、国立青年の家の整備を進めるとともに、国立少年自然の家については、高知県室戸市に建設中の第一少年自然の家を五十年度中に開設することとし、その他についても引き続き計画的な
設置を進めるための
施設費、創設調査等の経費を計上いたしました。また、国立婦人教育会館一仮称一の建設につきましても、本格的な工事に着手することといたしました。
社会教育事業の促進につきましては、高齢者教室、家庭教育相談事業等の事業の拡充を図るほか、新たに乳幼児学級を開設するとともに、特に青少年
関係団体を重点に社会教育
関係団体補助を増額することといたしました。
次に、体育、スポーツの振興につきましては、社会体育の指導者層の充実を図るため、都道府県にスポーツ担当の社会教育主事を
設置し、市町村の求めに応じて派遣できるよう、都道府県に対しその三百人分の給与費の二分の一を補助する経費を新たに計上することといたしました。
体育、スポーツ
施設につきましては、引き続き拡充整備を進めることとし、
施設建設費の補助単価を引き上げることといたしました。
体育、スポーツの普及奨励につきましては、前述のスポーツ担当主事の新設その他指導者の養成等と合わせて、特に地域住民のための体育、スポーツの振興に意欲的に取り組む市町村を地域住民スポーツ活動振興指定市町村として指定し、援助する事業を拡充するとともに、学校体育
施設の地域住民への開放を一層促進することといたしました。
また、青少年の健全な心身の発達、育成を助長するため、全国高等学校総合体育大会の運営費を充実するほか、新たに都道府県単位の中学校体育大会、全国中学生選抜大会等の開催に必要な経費を補助することとするとともに、少年スポーツ教室の開設に必要な経費を補助することといたしました。
第六は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
まず、芸術文化の振興につきましては、芸術祭三十周年を記念して主催公演を拡充し、さらにアジア民族芸能祭を実施することとしたほか、移動芸術祭、青少年芸術劇場の拡充を行うとともに、子供を対象に成長段階に応じた音楽、舞踊、演劇の巡回公演を行うこども芸術劇場についても拡充することといたしました。また、地方文化
施設等が行う自主事業に対する助成、芸術
関係団体に対する助成、芸術家の在外研修及び文化テレビ放送についても拡充を図ることといたしました。
次に、文化財保護の充実につきましては、東大寺金堂の修理等の重要文化財建造物の修理、史跡の保存修理、環境整備、埋蔵文化財の発掘調査等の国宝重要文化財等保存整備費補助を重点的に充実するとともに、無形文化財の保護についても、重要無形文化財の保持者に対する特別助成金の増額、伝承者の養成、保存団体等に対する補助金の増額を行うほか、能楽の調査に続いて文楽の保存に関する調査を行うことといたしました。
また、国宝重要文化財等の美術工芸品の国に上る買い上げを促進するとともに、史跡の保存についても、藤原宮跡等の国による買い上げを継続して実施するほか、地方公共団体による史跡等の買い上げに対する補助の充実を図っております。
地方文化
施設等の整備につきましては、文化会館の建設費に対する補助単価を引き上げるとともに、文化財保存
施設の整備充実を行うこととしております。
国立の文化
施設につきましては、国立国際美術館(仮称)の設立準備をさらに進めるとともに、国立歴史民俗博物館(仮称)の設立準備として新たに基本設計費及び土地購入費を計上することとしたほか、第二国立劇場(仮称)及び演芸資料センター(仮称)の設立についても引き続き調査を進めることといたしております。
なおまた、内外の社会情勢の進展に即応し、長期的観点に立って、新しい
見地から
日本文化の振興を図るため、文化行政の長期総合計画を策定することとしております。
第七は、教育、学術、文化の国際交流の拡大に関する経費であります。
まず、国際連合大学につきましては、四十九年度に大学本部が東京都内で開設されたことに伴い、事務所の借り上げ、協力会議の開催等に必要な経費を計上することといたしました。
次に、留学生の交流につきましては、国費外国人留学生の給与月額の引き上げ、留学生宿舎対策の充実強化等留学生に対する世話体制の整備を図るとともに、海外派遣人員を増加し、学生の国際交流を推進することといたしました。
また、学術交流につきましては、
日本学術振興会の
機能と活動を拡充し、研究者の交流等の国際協力を拡大することとしたほか、国際深海掘削計画及び国際磁気圏観測計画に参加する等国際共同研究を推進することといたしております。
さらに、ユネスコを通ずる国際協力につきましては、国際大学院コースの受け入れ等の教育協力のほか、科学協力として新たに東南アジア基礎科学ネットワークに対し資金を拠出することといたしました。このほか、文化交流、海外勤務者子女教育等につきましても引き続きその推進を図ることといたしております。
以上、
昭和五十年度の
文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。