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久保(三)
分科員 大体
中身についてもおわかりかと思うのでありますが、われわれの側から見ると、事業団は直接やっているものもありますので、多少気にかけていると思うのでありますが、本家本元の
外務省はどうもそれほどじゃないのだというふうな気持ちもあるわけなんでありまして、二、三の問題点申し上げて御所見を
伺いたいのであります。
研修のための人たちを受け入れるコースとしては、百三十五のコースがあるわけです。そこで、事業団が直轄でこれを研修していく施設というか、そういう体制のものは、内原の農業技術研修センター、それから
沿岸漁業の三崎の国際研修センター、この二つだけなんですね。内原では大体四コースくらいかと思うのでありますが、これはあります。そのあとは、ほかのものは、御
承知のように、
政府の
各省庁の機関あるいは民間、あるいは地方自治体の方にもあるかもしれませんが、そういうところに委託するわけなんですね。結局、さっき冒頭お話がありました理念がどうも正しく——正しくというと語弊がありますが、十分に理解されていないので、研修センターでおやりになることは自分の仕事としてやっておりますから、理念の履き違えや不足は余りないと思う。ただし、その他の受け入れ体制というのは、どうもはっきりしないのではないか。結局、
外務省以外のところで受け入れるとすれば、片手間、本業以外であるということでどうしても身が入らぬのではないか。だから、百三十五コース全体について、やはりきちんとした体制を整える必要がまず
一つはあると思うのですね。体制ができていない。ただ、いままでの惰性と言ってはなんですが、いままでのやり方に応じて、自動車の機械ですか、それじゃトヨタにでも行ってもらいましょうかということで恐らくやっているのだろう。そういうことではいろんな問題が出る。
それからもう
一つは、直轄でやっている、たとえば内原。私は内原だけしか知りません。三崎はわかりません。大体同じようじゃないかと思うのでありますが、これも施設はまことにお粗末なんですね。敷地は大体借地を入れて四ヘクタールぐらい。四コースでありまして、稲作あるいは土地改良、野菜その他あるのですね。たとえば稲作の実習、これはミニたんぼなんです。ミニたんぼというのもおかしいかもしれませんが、まあ模型にちょっと毛の生えたものなんですね。だから向こうからおいでになった研修生の諸君は、われわれの国の農業高等学校に劣るというような評をする者もいるわけです。そういうところで研修をして情熱がわくものかどうかというのは、疑問があると思うのですね。そういうところでやっている。
それからもう
一つは、しかるべき人がみんな研修生として来るわけです。向こうの
政府のしかるべき地位にある者、指導層にある者。最高の指導層ではありませんけれども、技術を指導する層が来るわけですから、これは
一般の農業従事者ではないのです。こちらで言うならば、農林省の出先の役人あるいは普及員というか、そういう人が来るのでしょう。そうだとするならば、やはり生活のやり方も違うわけでありますし、しかも
日本が受け入れるのでありますから、受け入れるのには、それに応じたところの生活施設というか、そういうものが必要だと思うのですが、宿舎のごときは大変老朽しているわけです。これは
説明の要はなくて、
外務省も知っておられると思うのです。まことにお粗末至極。いまどき、この辺にもないような雨漏りのするような宿舎に迎え入れるというのでありますから、問題があるわけですね。結局、受け入れ先は直轄でも、施設は非常に不備であります。あるいはそれ以外の委託する場所は、理念が十分に理解されない面があって、これは片手間でやられる面が間々ありはしないかという心配が出てくるわけです。そうなると、
大臣、先ほどお話がありましたように、
日本に招いてかえって
日本に対していい感じを抱かないまま帰国していくと、反日感情を植えつけるための技術
協力という逆な面が出るわけです。これでは残念ながらだめだ。これをもう少し力を入れて直す工夫をするのには、先ほど申し上げたように、法制的にも、必要ならばそういうものの体制も築く必要がある。それから施設の整備拡充は当然だと思うのです。
それからもう
一つは、言葉が違うわけですね。
日本語というわけにはまいりませんから。それで結局これは英語を仲介してやっているのだろうと思いますが、その通訳も入れなければならぬ。そういう不便さがあって十分に研修の効果が上がらぬ面がある。だから、研修をする受け入れ側のそういう要員の確保も十分にしなければならぬのでありますが、その体制はない。そういう要員の養成と確保も二番目には必要だとだれもが思っている。そういう計画は全然ないようであります。これも早急にやる必要がある。
それからもう
一つは、アフターケアの問題なんです。せっかく習って向こうへ行った。ところが、そのまま糸の切れた形になってしまったのでは、せっかく来る者も迎え入れる者も、いろいろな
努力の結果、
一つの成果を持って帰りながら、これが中途で切れてしまう。こういうものについてのいわゆるアフターケアの制度が全然確立していない。だからやりっ放し、やられっ放しということですね。これは改善する要がありはしないか。
それからもう
一つ、アフターケアの
一つとして、必要な機材は供与することになっていますね。ところが、機材供与事業を見ますと、これまた少ない。少ない上に事業費が繰り越しになっているのです。じゃ十分に行っているかというと、行ってないのです。約束と反するじゃないか、
日本の国へ来て習って、その習った技術に必要な機械器具はある
程度供与しますというのが約束のようであります。ところがそれがいかない。
予算が繰り越しになって使わぬというのですね。これはいろいろな事情があるようです。しかし、その事情をいまわざわざ繰り返し述べる必要はないでしょう。そういう点を改善していくべきだと私は思うのであります。
その点について、もう
中身はおわかりだと思うのです。これは年次計画を立てるなり何なり、事業団
自身も
考えてはおられると思うのでありますが、やはり
外務省として、事業団もせっかくできたのでありますから、単に移住協会と海外技術
協力事業団と一緒にして、その事業を一本にしてやるのだということではなくて、もう少し魂を入れた計画を整備する必要があると思うのですが、
結論としていかようにお
考えですか。