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松形政府委員 第一点の時間
規制でございますが、私ども、振動障害の発生を防止するということが中心でございまして、そのために御承知のような時間
規制の実施をいたしまして、さらに機械の改良とかあるいは休憩施設の改善等に努めながら、総合的に対処してきているのが実態でございます。特に五十年には、私ども林業試験場等でせっかく研究いたしておりましたロータリーエンジンつきのチェーンソーもある程度成果を見せるというところまで参っておりますので、それらの導入も積極的に図っていくということを
考えているのでございます。
なお、チェーンソーの操作時間でございますけれども、現在の時間
規制のもとで、たとえば、あるいは御承知かと思いますが、ツリーフェラーというようなことで、ブルドーザーの先にはさみで伐倒する機械がございます。そういうものとか、あるいは自動玉切り装置とか、そのような無振動の機械を導入するとか、あるいは人工林等につきましては手のこでやるとかいうようなことも導入をいたしますと同時に、造林と生産というものを組み合わしていくというようなこと等を積極的に取り入れることによりまして、一人の時間二時間というようなことをもっと短く運営できるように、そして山全体としての鋸断時間というものを少なくするように、私どもも
努力してまいりたいと思っているわけでございます。
なお、二番目の休息時間でございますが、私どもの国有林野事業に勤務いたしております職員の休息時間につきましては、一般職の国家公務員の勤務
条件その他の事情を勘案いたしまして定めておるところでございます。特に振動障害の予防
対策といたしましては、ただいま申し上げましたようないろんな措置をとって重点的に施策いたしておるわけでございますが、特にチェーンソー使用者については体操を一日四回やるとかいうようなこと等を加えましてそのような
対策をとっておりますが、なお、御承知のような作業の実態でございまして、チェーンソーを使いまして伐倒、玉切りとかいうような操作のほかに、集材というような仕事がございます。そういうのにいろんな手持ち時間ということ等もございますので、特にいま休息時間を御
指摘のような二時間に十五分にしたらどうだとかいうようなことは、現在改定する
考えは持っていないというところでございます。
次に三番目に、許容基準をつくって、そして輸入から製造、販売を禁止したらどうだというようなことでございますが、チェーンソーの振動現象につきましては、国立の林業試験場で先ほど申し上げましたように積極的に研究を進めておりまして、小型あるいは軽量化、あるいは振動が最も小さいと言われておりますロータリーエジンンつきのチェーンソーの
開発、そういうことをやっておりますし、また使用に関する安全
対策といたしましても、昨年でございますけれども、チェーンソーの中で二十一機種につきまして、その振動の状態あるいは振動の特に起こる方向等を含めまして、それを公表いたしました。その測定結果の第一報ということで公表いたしたわけでございます。それにつきましては、県を通じまして
民間にもこれを徹底し
努力いたしているところでございます。ただ、振動の測定方法ということにつきましては、現在のところ国際的に統一された基準がございません。それにまた、振動と振動障害発症という
関係につきましては、医学的になお解明すべき点もございます。そのようなことから、許容基準の作成とか、あるいは基準を超えたものの製造、輸入、販売の禁止ということにつきましては、今後
関係省庁とも十分協議いたしまして、さらに慎重に検討してまいりたいと思っております。
次に、素材生産の確保のために、認定者が出たらこれの補充を行うべきではないかということでございます。御承知のように、素材生産は非常に大事な仕事でございます。先ほど来申し上げておりますように、振動障害
対策としてはそれぞれの
対策をとっているわけでございますが、振動障害の認定者が大変多発いたしまして、チェーンソーを操作する要員に不足が生ずる場合には、職種間とかあるいは地域間の流動化によって対処してまいりたいと
考えておりますけれども、職種間とか地域間の流動化を可能な限り行いましても、また作業仕組みの改善等の処置を努めても、なおかつ要員に不足を来しまして対応し得ない場合には、認定者の発生
状況とかあるいは治癒するとか、あるいは症状が安定するというようなことで新しく職場にまた復帰するというような動向等も総合的に
判断いたしました上で、事業の運営にとって必要最小限の要員については、新規補充についても考慮してまいりたいと
考えておるところでございます。
なお、四番目の出来高制でございますが、出来高給ということで問題があるのではないかということでございます。私ども、この山林労働について、昔から
日本に定着し、あるいは
世界の
先進国におきましてもほとんどのものがこの出来高給を、あるいは能率給と申しますか、そういう形で導入いたしております。定着しているような感じがいたしておりますが、この林業労働の特質と申しまして、広い地域に人が分散いたしまして、一人一人監督するというようなこともできない、自律性によって運営されているというような仕事でございまして、そういう特質から見て、労働に対する賃金支払いの公平性という
意味からもふさわしい支払い形態ではないか、かように
考えております。しかし、時間
規制との関連におきまして、機械使用の総時間だけでございませんで、操作時間まで細かく
規制されておりまして、それなりに実施しているところでございます。したがって、この出来高給のとっている全体的な給与
総額と申しますか、そういうものにつきましては、完全な出来高という、作業だけでなくて、固定給プラス能率というようなことで、作業が部分出来高というようなかっこうに現在運営されておりまして、固定部分というものが次第にふえつつございます。出来高の部分が少なくなる、そういうことで運営してまいりたいと思っております。
次に、シイタケのことでございますが、実は宮崎県、大分県、熊本県、これが
日本の生産量のほとんど半分近くを生産いたしております。そういう中の宮崎県におきまして、大変な降雨量とか高温によりましてヒポクレア族菌というようなことで、四十種くらいあるそうでございますが、その中の種類でございますが、発生いたしまして、シイタケ原木に非常な被害が出ております。これは私どももそれぞれ試験場なりあるいは県も動員いたしまして調査したのでありますけれども、湿気が多くて風通しが悪いところのほだ木の伏せ込み場所の管理が不十分である、あるいは雑草等で非常に湿気が高くなっているというような地帯に発生しているようでございます。
その被害防止
対策といたしましても、被害木の処理あるいは今後の指導等を含めて現在懸命にこれの
努力をいたしているところでございます。特に御
指摘ございました原木確保
対策でございますが、原木の伐採は適期がございまして、十月から十二月ごろというのが一般的になっておりまして、いま直ちにすべての原木購入資金が必要であるということではないと思いますけれども、被害を受けられました一部の方々から資金の融資希望等が出ております。したがって私ども、
農林漁業金融公庫の資金とかあるいは系統資金等をあっせんいたしておりますけれども、さらに宮崎県におきましては、原木購入をいたします場合、そのような緊急処置でございますので利子補給を行っておるということもございますし、さらにそういうことで県外からも入れなければならないというようなこともございます。そうすると、県外から入れる方はどうしても高くつくというようなことで、その差額につきましても一部助成するというようなことをとっております。
さらに、長期的な原木確保
対策でございますけれども、中央、地方を含めまして、シイタケ原木需給調整協議会というのを
昭和四十年代の中ごろから設けておりまして、クヌギあるいはナラが非常に不足ぎみである、したがってこれを植林して原木
対策を長期的に
考えるべきだということで、そのような協議会を設けてやっております。特に五十年度でございますけれども、新規の
予算といたしまして、現在御審議いただいております特用林産物生産流通改善
対策事業、一億何がしの国費でそういう特産樹種の主産地形成的な事業が新しく認められておりますので、これによりましてナラ、クヌギ等の造林をいたしますと同時に、各県でも、特に南九州三県等につきましては造林の補助金を出しますと同時に、県は県なりにそれにかさ上げをいたしまして、一層このクヌギ、ナラ等の造林をいたしまして原木が自給できるような体制、こういうことに各県とも
努力いたしておりますし、私どもも今後一層これを推進してまいりたい、このように
考えているところでございます。