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沖本分科員 大臣、いろいろと
労働省の
関係で、自分らの問題だということで大まかに
お話をしていただいたわけでございますが、同対審の答申の中にも、差別をなくするために、まず責務は国にあるんだということが述べられておるわけです。そのためには、国民に正しい認識をさせることが一番大切な問題だということがうたわれておるわけです。
そういう点について、これは直接労働問題とは
関係ありませんが、最近の
国会の論争なりあるいはいろいろ発生しておるところの事件、そういうものでむしろ
一般の国民は、一体何だろうと、こういうふに
考え直させられておる、あるいはわからない、結局わからないことはすみへやってしまって
考えないというかっこうになっていきますし、また自分の主張に基づいていろいろなことを述べる方なり団体なりいろいろあるわけですけれ
ども、そういうことによって一体どれが本筋なんだろうということに戸惑いを生じておるということになります。いわゆる同和
指定地域というものが比較的西の方に偏しておるということで、直接同和事業の恩恵を受けたりまたそれを行っていく
人たちあるいはその周辺では、認識の正しさ、不正確というものは別にしても、ある
程度認識の中にあるわけですけれ
ども、そういうものが、いま
現実には日本じゅうに
一つの問題点としてクローズアップされているということになるわけです。そういうことを
考えていきますと、いまこういう問題を国民に正しく認識させていく一番重大なときではないかということになりますし、われわれの生活から国民全体の生活、すべては衣食住ということが重点であるわけですから、この衣食住の食ということになってくれば、食べる方と働く方、働いて食べていくということになるわけです。
そういう中にあって、結局同和
対策の一番重点になっていくのは、職業の問題と住宅の問題あるいは環境を整えるということにしぼられてくると思うのですけれ
ども、その中で一番問題にされたのは、劣悪な労働条件のもとに差別をされてきたということですね。これは江戸時代からあるいはそれ以前から職業という問題に一番差別の問題点があったわけです。それは現在も続いておるということが一番大きな問題であるわけですから、
労働省として一番重大な問題だということをいま
大臣もおっしゃっておるし、それに従って
対策が立てられてきておるわけですけれ
ども、とりわけ職業の低さと、生活しておる環境が集約されてしまっておるということがあるわけです。一番比較されるのはスラム問題と同和問題ということになるわけですけれ
ども、スラムと同和の問題とは全然質が違っておるということになってきますから、その地域から離れて住まって、何がしかの職を持ちながら生活をしておっても、差別問題に突き当たってやむを得ずもとのところへ帰らざるを得ないという深刻な問題があるわけですね。そして
大臣がおっしゃった
就職の
機会均等という面からいくと、明らかに職につくその段階で差別が起きてきているということは事実でもあるわけです。そういう例は無数にあるわけですけれ
ども、現在置かれているインフレ、
不況という中で、
企業の倒産あるいは
失業の波をもろにかぶる
人たちであり、一番ひどいかぶり方をしている方々であるということになるわけですから、そこにやはりスポットを当てていただいて、重点的な施策をしていただくということが一番大事な問題だと
考えるわけです。
以前、私は、韓国人が日本人名を名のったということで、
企業が採用決定をしておりながら不採用になったという問題を取り上げましたが、これは
企業の方が裁判からおりたということで、
労働省のいろいろなお手助けもあったりして解決したわけです。韓国人あるいは朝鮮人の方が日本に住みついて、日本人の名前をやむを得ず名のっておるという点、これも
一つの差別になるわけですけれ
ども、こういう問題と、あわせて、この辺の
就職に対する差別という問題が一番重大な問題になっていき、より
不況になり
失業者がふえていくということになると、人減らしと、それから使うときには明らかに人選をしていくということになりますから、ぼろぼろこぼれてしまうということで、再び差別問題が大きくなっていくんじゃないかというふうに
考えられるわけですが、その辺についてのお
考えをお伺いしたいわけです。