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田中(美)
分科員 大臣、ぜひお願いいたします。人間であるならばそこで抵抗を感じられるのはあたりまえであると思いますので、ぜひ大蔵省と十分な話し合いをもちまして組んでいただきたいと思います。
次に、産前産後の休暇の延長について
質問したいと思います。
いまこれは私が得々といろいろと言わなくても、非常にたくさんのデータも出ておりますし、ILOの勧告にも出ております。日本の産前産後の休暇が非常に少ないということがいま大きな社会問題になっているということは
厚生省も婦人少年局も十分おわかりのことだと思います。いま労働時間が長いところ、産前の休暇が短いところですね、産前休暇が短い。労基法では最低六週間に産前はなっておりますね。結局いままでは産後が六週間で非常に少ないというので、産前を縮める人が非常に多かったわけですね。そしてその分を産後に持ってくるというふうな操作をして何とか産後を長くしようというふうなことをしてきたわけですけれ
ども、そういうことの弊害というのが、二千五百グラム以下の低体重児の赤ちゃんの数が非常にふえているということで、産前の休暇は非常に大切だということがいろいろ医者によって言われてきているわけです。労働省の調査によりましても、実際妊娠して業務を軽減してもらった者は二四・七%しかいないということで、現状ではなかなか妊娠したからといって軽作業に移っていないわけですね。ですからやはり産前休暇というものがなければ実際には非常に小さい子供が生まれる。特に妊娠五カ月を一〇〇としますと、九カ月日の疲労度というのは二二〇というふうに言われているわけです。二倍以上疲労がひどいわけです。ですから非常に健康でどこにも異常がないという人でもむくみがあったり貧血があったり足の静脈がはれたりというふうに体力がぎりぎりのところにきているわけですね。こういうことで、日本の妊産婦の
死亡率というのはWHOの調査の中でも四十五カ国近くの中で最高になっているということを見ましても、やはり産前の休暇が非常に短い。これが大きな影響を与えているというふうに思うわけです。それで、産前の休暇をぜひ延ばしていただきたいということが
一つです。
時間がありませんので、その次には産後ですね。産後の休暇、これは産婦人科の大村清さんやまた森山豊
先生な
どもお話ししているわけですけれ
ども、六週間では母体が完全にもとには戻っていない。いろいろ
ケースが出ておりますけれ
ども、ある教員が六週間で職場に戻った。そうしますと、仕事中に三、四回お乳が張って、結局乳腺炎を起こして十二日目にダウンしてしまった。もう
一つの
ケースとしては、七週目から出た。これはいろいろ年休などを合わせまして六週に足している、七週にしたわけですね。それで出た。これもやはり二十日目でダウンしてしまった。これは臨床の医者が
ケースを新聞に出していたものです。それからもう一人の
事務員はやはり母乳で育てていたけれ
ども、七週間目に出た。仕事に出たら結局十日間でまたダウンして倒れてしまった。この七週間目というのが一番疲労がひどいときではないか。この
事務員さんは、二人目の子供のときには無理に休みまして十一週目から出てみたところが、そのときには非常に疲労が少なかったということを言っているわけですね。こういう事例を非常に出しまして、何としても産後八週間というものは動いてはならないのではないかということを私が聞きました産婦人科の医者ですね、この朝日新聞に出ておりました大村
先生にしても森山豊
先生にしても、それから新医協の長橋千代
先生だとか、こういう
先生に伺いましたら、一貫して、これはどう考えても八週間までというものは産婦が動くこと自体が問題ではないかと言っているわけです。ですから八週間が適当だということではありませんが、その間は動かせないのではないかというふうに言うのが医者の統一見解ではないかと思います。
それで、いま母乳の問題が出ておりますけれ
ども、
厚生省でも母乳を勧めている。人工栄養というものは子供の
死亡率も非常に高い。母乳でいけば
死亡率が四分の一になるんだということが、小児科学会などの栄養委員会でこういうものが報告されているわけですね。それで、
厚生省も母乳のバンクなどをつくろうということを言われているわけですね。三カ月母乳をやるといいますと大体十二週かかるわけです。これが大体六週、七週で職場に戻った人というのはもう期せずしてというよりもすべて、一〇〇%近くは働くことによって全部母乳がとまっているわけです。こういうふうなことを考えまして、どうしてもこの産前産後の休暇の延長というものを考えなければならない時期に来ているのではないか。労基法六十五条——労基法というのはもともと
昭和二十二年につくられたものです。二十二年というともう大体三十年近くたっているわけです。都市の構成も非常に変わってきておりますし、働く婦人の六〇%近くが既婚者であるという、こういう変化もありますし、都市構成によって通勤に非常に長い時間がかかっているわけです。こういうことが、婦人の体、特に妊娠中の婦人の体に及ぼす影響というものは三十年前とははかり知れないほどの大きな
状態が出てきているわけです。これをいまなお二十二年の労基法に沿って最低六週間というような形でやっている。事実上、これはあちこちでもはや労働協約や何かの中で改善をかち取っている職場もふえておりますけれ
ども、国としてやはりこれをやっていくことは緊急な問題ではないかというふうに私は思います。
それで、ことしは国際婦人年です。ただ婦人を大切にしよう、婦人の差別をなくそうというふうなキャンペーンをするだけでなくて、やはり何を最もしなければならないか、何を具体的に改善しなければならないかということを
政府もきっちと決めていただきたい。そのために何をすべきかということを検討していただきたいというふうに思うわけです。
その中で、私自身が検討しましたのは、何よりもまず先により多くの婦人、そして父親にも大きく
関係してくることですし、日本の将来に大きく影響するこのお産の問題について、産前産後の休暇を大幅に延長するというこの問題をことしの大きな課題にし、即刻これをやっていただきたい。そうしなければ世界に対しても恥ずかしいのではないか。イギリスのような国でも産前八週間、産後十二週間、二カ月、三カ月という休暇をとっているわけです。こうした改善がいま世界各国でなされているときに、日本が三十年前の
法律で、そしてlLOの九十五号勧告、それよりも低い線に押さえられたままになっているということは、世界に向かって日本の恥ではないかというふうに私は思います。その点について、
政府、それから
大臣、そして婦人少年局、労働省、どういうお考えを持っていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。