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1975-02-24 第75回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和五十年二月二十日(木曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十二日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       内海 英男君    瀬戸山三男君       田中 龍夫君    谷垣 專一君       山村治郎君    阿部 昭吾君       堀  昌雄君    岡本 富夫君       小平  忠君 二月二十二日  谷垣專一君委員長指名で、主査に選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 昭和五十年二月二十四日(月曜日)    午前十時一分開議  出席分科員    主査 谷垣 專一君       内海 英男君    瀬戸山三男君       山村治郎君    阿部 昭吾君       坂本 恭一君    高沢 寅男君      米内山義一郎君    岡本 富夫君       瀬野栄次郎君    兼務 井上  泉君 兼務 金丸 徳重君    兼務 兒玉 末男君 兼務 島本 虎三君    兼務 田邊  誠君 兼務 山口 鶴男君    兼務 庄司 幸助君 兼務 平田 藤吉君    兼務 小濱 新次君  出席国務大臣         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁長官官房         審議官     横手  正君         国土庁長官官房         会計課長    重元 良夫君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 河野 正三君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         国土庁大都市圏         整備局長    小幡 琢也君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         文化庁長官   安達 健二君         労働大臣官房審         議官      細野  正君         建設政務次官  中村 弘海君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設大臣官房会         計課長     丸山 良仁君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君  分科員外出席者         環境庁企画調整         局環境管理課長 小野寺秀雄君         環境庁自然保護         局計画課長  日下部甲太郎君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     箕輪  哲君         中小企業庁計画         部下請企業課長 真木 祐造君         運輸省港湾局開         発課長     前田  進君         建設省河川局防         災課長     田原  隆君         建設省住宅局住         宅総務課長   吉田 公二君         国土地理院長  井上 英二君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本  武君         会計検査院事務         総局第三局長  本村 善文君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     高沢 寅男君   堀  昌雄君     坂本 恭一君   岡本 富夫君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   坂本 恭一君    米内山義一郎君   高沢 寅男君     阿部 昭吾君   瀬野栄次郎君     石田幸四郎君 同日  辞任         補欠選任  米内山義一郎君     堀  昌雄君   石田幸四郎君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     岡本 富夫君 同日  第一分科員兒玉末男君、山口鶴男君、小濱新次  君、第二分科員平田藤吉君、第四分科員井上泉  君、金丸徳重君、島本虎三君、田邊誠君及び庄  司幸助君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十年度一般会計予算国土庁及び建設省  所管  昭和五十年度特別会計予算建設省所管      ――――◇―――――
  2. 谷垣專一

    谷垣主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力お願いいたします。  本分科会は、国土庁運輸省、郵政省及び建設省所管について審査を行うことになっております。本審査の順序は、お手元に配付してあります日程によって進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。  なお、各所管事項説明各省審査冒頭に聴取いたします。  昭和五十年度一般会計予算国土庁所管を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。金丸国土庁長官
  3. 金丸信

    金丸国務大臣 総理府所管のうち、国土庁昭和五十年度一般会計歳出予算についてその概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、千九十七億余万円を予定しておりまして、前年度(補正後)予算に比べ三十四億百余万円の増加となっております。国土庁といたしましては、以上の予算によりまして、国民のすべてが将来にわたり豊かで潤いのある生活を享受できるよう、国土政策の基本を確立するとともに、現下の緊急課題である土地及び水問題の解決を図り、大都市地方の均衡ある発展整備を進めるための施策推進する所存であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 谷垣專一

    谷垣主査 以上をもちまして説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 谷垣專一

    谷垣主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行われますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本恭一君。
  6. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 ついせんだってといいますか、一月二十二日から熊本阿蘇地方かなりの、群発性といいますか、その辺の性格についてはいろいろ議論があるようですけれども、そういう地震災害というものがかなり大きく出てきております。そういう時期でもありますし、さらには、近いうちに川崎直下型などというような地震もうわさをされております。この際、本当は阿蘇だけに御質疑を申し上げたいのですけれども、まず冒頭に、地震対策といいますか、そういうことについて国土庁の方でどういうお考え方を持っておられるのか、その辺からまずお聞きしたいと思います。
  7. 横手正

    横手政府委員 大都市地震発生しました場合には、二次災害による被害は非常に大きくなるものというふうに予想されるわけでございますが、このため、中央防災会議では大都市震災対策推進要綱、こういうものを定めておりまして、これによりまして各省それぞれ対策を講じておりますが、特に地震予知推進都市防災化推進、それから防災体制の強化、この三点に重点を置きまして各般の震災対策推進に努めてまいっておるところでございます。中央防災会議主務庁でございます国土庁といたしましては、関係省庁から成ります大都市震災対策推進連絡会議を設けまして、この会議のもとに都市防災あるいは避難対策、こうした必要な分科会を設けまして、ここで総合的な震災対策推進を図ってまいっておるわけでございます。
  8. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 予知防災等についていろいろなことを考えられておるということはわかるわけですけれども、この五十年度の予算の中で、そういうものに関係する予算金額というのはどの程度でございますか。
  9. 横手正

    横手政府委員 震災対策関連事業といいますと非常に広範にわたります。とらえ方によりますと、いわゆる街路事業とか都市公園事業あるいは住宅地区改良事業、こうしたものも震災に無関係というわけではないわけでございますが、そういうこともありまして、純震災的といいますか、狭い意味震災対策経費ということになりますと、実はまだ全体の取りまとめは終わっておりませんが、二、三百億円を上回ろうと思います。広い意味のそうした街路事業都市公園事業、こうしたものを加えますとおそらく三千五、六百億円程度のものになろうかと思います。その程度事業が一応予算に見込まれておる次第でございます。
  10. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 その辺の議論をやっていますと三十分すぐたってしまいますので、阿蘇災害についてこれからお尋ねをしてまいりたいと思いますが、まず、国土庁の方でつかんでおられる阿蘇地震災害ですね、どの程度災害があったのか、その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。
  11. 横手正

    横手政府委員 二月十八日現在で県の方で取りまとめられた被害報告によりますと、まず人的被害の面でございますが、幸いに死者はなく、負傷者が二十名でございます。家屋被害は、全壊が十戸、半壊が四十八戸、その他一部破損、こうしたものはかなり多数に上っております。罹災世帯者数が五十八世帯、二百六十四人という報告を受けております。次に被害額でございますが、公共土木施設が二億八千六百万円、農林水産施設が一億四千三百万円、農林水産業関係一億二千三百万円、商工関係四千三百万円、その他被害額総計いたしまして九億三百万円の報告を受けております。
  12. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 それは十八日現在のということですね。
  13. 横手正

    横手政府委員 さようでございます。
  14. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 そうしますと、この阿蘇で起こった地震規模といいますか、あるいは地震の型といいますか、そういうものについては国土庁としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  15. 横手正

    横手政府委員 一月二十二日に震度四、二十三日に震度五の地震発生いたしたわけでございますが、その後二月十五日ぐらいまでのところ、身体に感ずるいわゆる有感地震が七十七回発生いたしておりますが、ただ、これはほとんどが一月二十二日から二十三、二十四、二十五の四日間、五十七回の発生を見ております。その後は発生の度合いと申しますか、これも非常に間遠くなってまいっております。したがいまして、先ほど先生もおっしゃられました群発地震なのかどうなのか、こうしたところの見きわめは学者の見解を待たなければなりませんが、一応、現在までの状況を見ますと、このままおさまってまいるのではなかろうかというふうな感じがいたしております。
  16. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 群発性とかあるいは本震、余震型ですか、そういうような性格づけは別にやってもやらなくてもいいところじゃないかと思います。私の聞くところによりますと、二月の十二日に震度一の有感地震があったのが最後だというふうに、きのうまでの段階では聞いております。これで、これ以上起きない、地震が来ないということを私ども希望するわけですが、こればかりは、学者先生方に聞いてもはっきりしたことが聞けるわけでもありません。その辺の性格づけは議論をしても意味がないのではないかというふうに思うわけです。  先ほど、約九億の災害が出ておるという御報告のようですけれども、こういう場合に通常、激甚災害関係法律というのがございますね。この法律阿蘇地震の場合に適用がされるのかどうか、その辺が非常に重要な関心があるわけです。その辺のことはいかがでございましょうか。
  17. 横手正

    横手政府委員 今回の阿蘇地震発生いたしまして直後、建設省、農林省では直ちに係官を現地に派遣されまして、応急対策の指導を行われております。また、緊急査定も進められておられるわけでございますが、そうした査定結果がはっきりいたしませんと、明確なことが申し上げかねるわけでございますが、現在のところ公共土木施設等につきましては、県工事関係が非常に多くて、市町村工事の見込みはかなり低いのではなかろうかという見通しでございます。したがいまして、市町村単位で取り上げます、いわゆる局地激甚でございまするが、この見通しは、現在のところ市町村工事が低いということもございまして、非常に困難ではなかろうか、こういう見通しを持っております。
  18. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 県工事が多いということで、局地激甚災害ですか、あの指定基準には恐らく当たらないだろうというふうに私も思っておりますけれども、いわゆる激甚災害県段階の場合見て、これも可能性というのはないのでしょうか。
  19. 横手正

    横手政府委員 今回の公共土木施設被害額から考えますと、県段階においても、まず非常に困難であろう、こう考えております。
  20. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 現在、査定とかそういうものを行われている段階ですので、はっきりした結論を期するわけにはいかないだろうと思うわけですけれども熊本県あるいは各市町村被害を受けている各市町村ではその辺非常に、先ほど申し上げましたけれども、重大な関心を持っておられるし、できればそれの基準に合致してもらいたいという希望が非常に強いわけですね。ですから、可能性がないと言われたらそれまでですけれども、これから起こるかどうか、これは別にしまして、現時点で考えて、できるだけそういう指定基準に合うような検討を、ぜひ私どもとしてはお願いを申し上げたいわけです、前向きの形で。私も各市町村段階での細かい数字をいま持っておりませんけれども、局地激甚にひょっとしたら当たるのではなかろうかということも考えられますし、そういう点ではぜひそういうような前向きの方向で御検討お願いを申し上げたいというふうに思います。  それから二次災害の問題なんですが、建設省の方、来ておられますね。――非常にがけ崩れが、現実九州横断道路の中では二月五日に起こっておりますし、地割れをしている非常に危険な個所というのが三カ所あるいは四カ所あるということが新聞等でも報道されており、その辺の調査は当然されておると思いますけれども、その調査の結果はいかがでございますか。
  21. 田原隆

    田原説明員 建設省関係被害について申し上げますが、公共土木施設建設省所管になりますけれども、この中で特に関係があったのは道路河川でございます。道路につきましては、県が管理しております補助道路と、二百十号線という直轄でやっております道路と、それから道路公団有料道路と三種類ございますけれども、それぞれ被災個所につきましては十分応急処置をとり、査定も終了し、現在復旧工事に着工しております。その他亀裂等につきましては、現在、県、道路公団それから直轄の各事務所に命じまして調査中でございまして、まだ今年度いっぱいこの調査はかかる予定でございます。調査がわかり次第、法面切り直し等防災対策を考えていくつもりでございます。
  22. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 これまでに査定が終了して現に工事等が行なわれているというのを、具体的にちょっと教えてください。
  23. 田原隆

    田原説明員 直轄道路が一カ所、約八千万の災害でございます。それから補助道路、これが二十八カ所、九千九百九十四万でございまして、補助直轄――それから河川工事が十カ所、三千万円でございますが、全部合わせまして二億九百九十五万九千円という結果が査定の結果出ておりますが、この査定は、被災直後現地査定官を派遣しまして、二十六日でございましたか、現地を回らせまして、直ちに応急措置をとらせております。その後、ただいま決定いたしました金額に従いまして実施設計書をつくっている段階でございますが、県が年度末までに施行できます実施計画を立てられる能力と、工事が完了する能力を考えてみまして、それに相当する分だけ予備費の要求をいたしておりまして、この二十五日の閣議で決定していただく予定にただいまなっております。
  24. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 それと、がけ崩れ等についていま現在調査中だということですね。今年度内におやりになるというのは非常に結構なんですけれども地割れが、一つは長さ百五十メートルにわたっているようなものも出ております。深さが一メートルあるいは一メートル五十。そういうところに現実に今月の初めに三日間、約四日間雨が降り続いたわけですけれども、そういうような状態があって、しかもがけ崩れ現実に起こってきているわけですね。そうすると、その地域の住民の方々の不安というものは非常に大きなものがあります。現実にいまその地割れのところにはビニールか何かかぶせて雨をよけるようなことをやっておるようですけれども、たとえばこの五月、六月、いわゆる梅雨に入るまでに間に合わなければ大変な二次災害が起こってくるのじゃないか。ですから、そういう調査をできるだけ早くやっていただいて、早く工事にかかれるようなことをやっていただきたいと思うわけですけれども、その調査というのが今年度内と言う。もっと現実に早くなるようなことが言えないのですか。
  25. 田原隆

    田原説明員 お答えします。  私、調査と申し上げましたのは、査定済み災害として採択されたもの以外の、今後さらに現場を点検しましてもし危ない所があるとしたらそれを調査して、その結果を待って対策を立てると申し上げた意味でございまして、現在やっておりますそのビニールをかけておる等のものは、おそらく現地災害として採択されて、ただいま着工準備をしておるものだと思います。着工準備しておるものにつきましては、できるだけ雨季までにこれを完成して、二次災害があって交通どめ等が起こらないように全力を挙げてやるつもりでございますが、そのような意味調査というのを進めておるわけでございます。
  26. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 そういうビニール等かぶせてやっていると私は申し上げましたけれども、具体的に現実建設省の方でつかんでおられますか。どこの場所、大体どの程度のもの……。
  27. 田原隆

    田原説明員 関係する路線は九路線ございまして、国道が二路線主要地方道が二路線、それから県道が四路線有料道路が一路線、計九路線でございまして、これらにつきましては、災害として認められるものは全部災害査定が終了しておりますので、全部個所としてはつかんでおるはずでございますが、ただいま地名等につきましては、ここへいま資料を持っておりませんので、もし必要でございましたら後ほどお届け、御説明に上がりたいと思います。
  28. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 道路関係でいまおっしゃったようなことをやっておられる、これは私も納得をいたしますけれども現実道路に直接関係ない、人家に直接関係のあるような地割れかなり大きなものがある。その辺については建設省の方では調査をされておるのですか。
  29. 田原隆

    田原説明員 お答えいたします。  災害という面から考えますと、建設省所管災害は、公共土木施設災害復旧事業と、それから都市防災事業とその他ございますが、いま私ども査定というものを行いまして災害復旧を行っている公共土木施設に関するものは、道路河川海岸等でございますが、阿蘇関係いたしますものは道路河川でございまして、その道路と申しますのは公共土木でございます。公共土木というのは国道都道府県道市町村道まででございまして、私道は含んでいないわけでございます。したがいまして、そういう公共土木施設以外のものにつきましては、これは調査もいたしておりませんし査定もいたしていないわけでございます。
  30. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 公共土木施設以外はやっていない。たとえば九州横断道路ですね、震源地に近いのは外輪山の阿蘇側ですけれども、こういうふうに山を登っていきますね、人家があり、道路があり、全く道路関係のないものは、それはおたくの所管じゃないかもしれませんけれども、重畳的に道路にも関係がある、住家にも関係がある、そういうような所は調査をされているのですか、されていないのですか。
  31. 田原隆

    田原説明員 ただいま災害として採択できるものにつきましては、私どもも積極的に調査査定をしておりますし、県からあるいは公団からも申請があって、完了して、工事準備をやっておるわけでございますが、その後の危険性のある所の点検につきましては、これは先ほどお答えしましたように現在調査中でございますが、ただ、それも公共土木施設関係あると思われるものについてでございまして、民家等亀裂とかあるいは私道的なものについては調査いたしておりません。
  32. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 そうすると、道路等に全く関係のない、がけ崩れがあれば住家がつぶれるというようなものについては、国土庁の方で調査をやられておりますか。
  33. 横手正

    横手政府委員 私どもの方へ各省から参っております報告の中には、今回の阿蘇地震に直接関連するものとしてはそうした調査のものは参っておりませんが、ただ都道府県の方で、熊本県の方で大学の先生に依頼されまして、特に一般住宅を中心に危険個所調査を行っております。これがつい先日終了したというような報告は受けております。
  34. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 そうすると、その調査の結果についてはまだ聞いていないということですか。
  35. 横手正

    横手政府委員 調査の結果の詳細についてはまだ報告を受けておりません。
  36. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 建設省の方にもお願いをしておきたいのですけれども現実作業を進めておられるということはわかりますけれども、可及的速やかに二次災害が絶対に起きないような形でそれぞれの防災関係作業というものを進めていただきたいというふうに思います。  さらに、個人住宅被害というのが非常に大きいわけです。そういう意味で、いわゆる住宅金融公庫災害復興関係貸し付けですね、その点について若干お聞きをしておきたいと思うのです。私がこれまで聞いた中では、一の宮町でその貸し付け申請、これが約九十二件、大体一億円ぐらいの申請が出ておるというようなことを聞いておりますし、阿蘇町では二十一件、一千六百万というような数字が出てきております。住宅金融公庫法に基づく災害復興住宅、その貸し付け対象にこの災害地が入っておるのかどうか、まずそこからお聞きしたいのです。
  37. 吉田泰夫

    吉田説明員 お答え申し上げます。  災害復興住宅融資とのことでございますが、この融資の条件はかなり規模災害となってございますので、災害融資を直ちに適用することは困難でございます。ただ、一般貸し付けは現在、御案内と思いますが、全部済んでいるわけでございますが、こういった災害用一般貸し付けのうちの特枠を留保してございますので、これは早急に個人貸し付け及び改良、一部修繕でございますね、これはいたすように公庫の方に命じておる次第でございます。
  38. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 そうすると、いま私が申し上げたような金額のものは、大体その枠の中で十分消化できるわけですか。
  39. 吉田泰夫

    吉田説明員 個別、具体の数字がそれぞれどういう金額かというのは、ただいま私手元資料ございませんのでわかりませんのですが、それぞれの貸し付け対象に該当するものであれば当然拾われるわけでございます。
  40. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 そうすると、阿蘇地方のあの程度災害では、いわゆる復興住宅として建設省として指定をするということはあり得ないのですか、あり得るのですか。
  41. 吉田泰夫

    吉田説明員 立法論としての議論はいろいろあると思うのでございますが、現行の指定基準が、自然災害の場合には、被災地全域で五百戸以上または一市町村の区域内で一割以上の災害ということでございますので、これに準じて主務大臣が指定するという道はあるわけでございますが、やはり規模かなり懸隔がございますので、現行の制度ではちょっと拾うのは無理かと思います。
  42. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 むずかしい話ばかりして申しわけないのですけれども、そういうような災害指定をできればやっていただきというふうに思うわけです。もしそういう災害指定を受けると、いろいろな特例が認められていますね、償還期限とかあるいは据え置き期間。そういうような一つ一つの償還期間の問題とか、あるいは金利の問題とか据え置き期間の問題、そういうものを個別に適用するというようなことは可能なんですか、不可能なんですか。
  43. 吉田泰夫

    吉田説明員 災害貸し付けにつきましても二段階ございまして、一般災害貸し付けと、それから特に激甚災の場合と違ってくるわけでございまして、ただいまの金利等については激甚災にしか適用されておりません。災害貸し付け一般貸し付け特枠との差は、金額的に災害貸し付けの方が枠が大きいとか、それから貸し付けの条件とか、金の出方が早くなるとか、若干の問題がございますけれども、いずれにいたしましても災主貸し付けあるいは激甚災の内容を一般特枠の場合に適用するということは、ちょっとこれは困難でございます。
  44. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 これは一般的に、ちょっと本件とは直接関係なくお聞きをしておきたいのですけれども住宅金融公庫法の二十一条の四項で、据え置き期間あるいは金利据え置き期間等について、災害復興住宅について規定がされていましたね。さらに、二十一条の二の一項で、やはり償還期間、据え置き期間というものを定めてある。この二つの規定の関係をちょっと説明してください。――時間がなくなりそうですから、調べておいてください。
  45. 吉田泰夫

    吉田説明員 後ほど御連絡申し上げます。
  46. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 これはこの地震と直接関係ありませんけれども、この地震阿蘇火山に影響があるのかどうか。その辺は学者のお話を伺っても、関係がありそうなないようなお話しか出てまいりません。昨年以来、いわゆる火山灰ですね、ヨナと言います、これがずうっと噴煙を上げてまいりまして、恐らく爆発の危険があるんじゃないかというようなことも特に地域近くの人は感じておられるわけですけれども、これまで桜島周辺に適用のあったいわゆる避難施設等の整備等に関する法律、あれについて阿蘇についてもその辺の指定があったという話を聞いておるのですが、ございましたでしょうか。
  47. 横手正

    横手政府委員 阿蘇につきましてもお話のことがございまして、現在避難施設の緊急整備地域の指定を行うべく手続中でございます。この手続は中央防災会議並びに県知事の意見をあらかじめ聞かなければならないことになっておりますが、現在中央防災会議の意見はまとまっておりまして、知事の意見待ちでございます。この意見の提出があれば早急に、できれば今月中あるいは三月初めにも指定の運びに持ってまいりたい、かように存じております。
  48. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 その指定、告示がなされれば、避難施設あるいは防災関係の施設をつくる金が現実に必要になってくるわけです。その辺については来年度の予算の中でそれなりの枠が認められておるのでしょうか。
  49. 横手正

    横手政府委員 お話のように、この地域の指定がございますと県の方で避難施設の緊急整備計画を立てることになりますが、これに関連いたしまして退避ごうあるいは警報装置等につきましての必要な補助金になりますが、これは消防庁の方の予算に計上されておるところでございます。
  50. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 その金額は。
  51. 横手正

    横手政府委員 消防庁の方の予算におきまして、約七百三十六万円の補助金が現在計上されております。
  52. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 防災営農施設関係はいかがですか。
  53. 横手正

    横手政府委員 防災営農施設関係は、この避難施設の地域の指定がありました後、農林省の方で取りまとめられることになるわけでございますが、この阿蘇におきましてもそうした計画の策定を進められる、こういうことが予定されておりまして、桜島と阿蘇と合わせまして二億四千七百万円が農林省の予算に計上されておるところでございます。
  54. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 その二億四千七百万円のうち、いわば阿蘇がその指定を受けたらどの程度の枠があるのか、その辺はいかがですか。
  55. 横手正

    横手政府委員 内訳は、事業内容によって異なっても参ろうかと存じます。したがって、あまり明確なところではございませんが、おおむね四千万円程度阿蘇の方に振り向けられる予定ではないか、かように聞いております。
  56. 坂本恭一

    坂本(恭)分科員 もうすでに時間を経過いたしましたのでこの辺で終わりますけれども、それぞれの個所お願いを申した点はもう一度最後にお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  57. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて坂本恭一君の質疑は終了いたしました。  次に米内山義一郎君。
  58. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 私は新長官に、開発というものに対する基本的なお考えをまずお尋ねしておきたいと思います。  三木さんが総理になった際に、「信なくんば立たず」ということをおっしゃっているわけです。これは非常に国民の共感を得ている言葉であります。これからの開発を進めるに当たっても、地域住民の信を得るということが根本的な問題だと考えるのであります。たとえば、青森県における原子力船「むつ」というもののいわゆる国家的開発に対するああいう住民の反発というものを見ましても、これは国の開発姿勢に対する重大な不信と不安の上から発生した事柄でありますので、特にこの開発に当たりまして、住民の十分にして完全な合意を得るということが前提でなければならぬと思います。大臣の所信のほどを伺いたいと思います。
  59. 金丸信

    金丸国務大臣 国土というものは限られた国土でありますから、この国土を均衡ある利用をすることは当然でありますし、また環境等の問題につきましても、十分な配慮をしなければならぬわけでありますが、いま先生がおっしゃられましたように「信なくんば立たず」、まさに私もそういうことでなければならないと思いますし、今後の開発に当たりましては環境保全はもちろんのこと、あるいは公害等の問題についても慎重な考えのもとに臨まなくちゃならぬことも当然でありますが、いわゆる地域住民の意のあるところを十分にくみ取りまして、その上で開発を進めていくことは当然であると私は考えております。
  60. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 信を得るということは、決して単純に虚心坦懐にやるという程度のものじゃないのであります。たとえば孔子の言葉なんですが、「過ちを改むるにはばかるなかれ」ということがあります。人間というものは、われわれにしましても政府あるいは官僚にしましても、人間である限りにおいては過ちもある。過ちであると悟ったならば、これを改むるにはばかることなかれということもあります。これをごり押しすることは、信に背くことであります。「信を信とせざるものは偽なり」ということは、同時にうそ、ごまかしをごり押しに進めようということ、それ自体は不信の根本なんです。私は、もしこの開発の進め方に客観的に過ちがあるとしたならば、率直にこれを大臣は改むる御勇断があられますか。もしそうでないとすれば、「信なくんば立たず」という言葉は単なる巧言令色にしかとどまらないと思うのですが、その点いかがです。
  61. 金丸信

    金丸国務大臣 人間のやっておることですから、絶対間違いないということはないと私も思います。間違いのあるところについては、改むるに私ははばかることはないと思いますし、むつ小川原の問題等につきましては、いろいろ問題もあろうと思います。十分地域住民の考え方も入れて、今後の計画を実施するにつきましても判断の一つにしていきたい、こう考えております。
  62. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 私はしばしばむつ小川原開発の中心である六ケ所村へ行くわけです。これは私の村の隣村でございます。しかし、つい二週間ほど前にこの村に行きまして、私も少しぐらいのことにはショックを受けないのですが非常にショックを受けた問題があります。  この村の中心部の役場の隣に小学校がございます。その小学校の正門に大きな新しい看板が立ったのです。それを見ましたところが、何と書いてあるかというと、少年よ罪を犯すなと書いてある。恐らく世界じゅう歩きましても、小学校の正門に大きな看板を立てて、それに少年よ罪を犯すなと書くような小学校というものは、いかなる後進国にもいかなる先進国にもなかろうと思うのです。少年よ大志を抱けというならばともかく、罪を犯すなというのは一体何のためであるか。これはこのむつ小川原の開発の誤った進め方から起きたもの以外の何物でもない。なぜかと言うと、この開発は何らの根拠のないままに、全く架空、虚構のものを内容としながら、真っ先に先行してきたのは土地の買い占めなんです。住民は、この銭ゲバに敗北して土地を売る者、村を守ろうとする者、分裂が当然起きます。一家の中にもそれが起きる。その結果こういう看板が立つに至る。恐らくこれは教育委員会が立てたのか、あるいは小学校が立てたのか、PTAが立てたのか知りませんけれども、こういう看板を立てる必要が生じたのは、このむつ小川原開発の現在起きている現象です。まことにこれは日本に例を見ない開発だと私は思うのです。自然が破壊される前にすでに人間が破壊されている、こういうことなんです。  そこで、この開発の虚構性というものを明らかにしておかなければいかぬと思うのです。青森県が新全総に無札で飛び乗りしたというようなかっこうで青森県の地域開発を構想しました。最初は工業出荷額五兆円という巨大なもので、そうしてその内容というのはむつ湾を原料搬入港にし、鉄やアルミ、非鉄金属、石油、あるいは石油貯蔵基地などを含む巨大なものだ。これには何ら根拠はないわけです。五兆円というのは神奈川県、愛知県に匹敵する出荷額なんですから、にわかに青森県にそういうものはできる可能性がないのですけれども、これに住民が不安を持って反発が始まった。その後石油精製日二百万バレルを中核として石油化学年四百万トン、これはわが国の年生産量の倍近い規模のものです。火力発電一千万キロという第一次基本計画というものをつくりまして、これを政府が閣議口頭了解したということから出発するのです。すべてのものはこの閣議口頭了解というものを起点にして土地買い占めが行われたわけです。  そこで改めてお尋ねするが、あの閣議口頭了解というものは、こういう石油二百万バレルなどという常識を超えた開発の計画内容を是認したものであるかどうかということをお尋ねしたい。
  63. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 閣議口頭了解の性格でございますけれども、これはこの地域の開発の方向につきまして国としても了解いたしまして、各省協力してその線に沿ってやっていこうという趣旨でございまして、その具体的な規模そのものについて了解したわけではございません。規模そのものにつきましては、本年の三月末までに県の方でいろいろ検討して案をつくるということになっております。
  64. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 閣議決定ということは内閣法にも明示されておるわけです。国の行政というものはすべてこの内閣法に基づく閣議によって決定されて政策として行われるわけですが、この際閣議口頭了解というのはこの閣議決定とどう違うのか。そういうことはいかなる法律やあるいは官制のもとになされる行為でありますか。
  65. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 このむつ小川原の開発につきましては、関係各省関連するところが非常に多うございます。それぞれの個別の省でその計画を審査した上で、いい悪いといろいろ言えばいいわけでございますが、それではこういった一つの開発を進める上においていろいろ支障がございます。したがいまして、関係各省集まりまして、それが閣議という形でございますが、そこで基本線についての了解を与えたということでございます。
  66. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 その権限は何です。権限のよりどころというのは何です。法律の条文にどうありますか。
  67. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 事実上の慣例でございます。
  68. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 それでまあわかったわけです。単なる慣例でしょう。単なる行政行為と申しますか、そこまで行かない程度のものだ。ところがこの閣議口頭了解というものを根拠にこういう書類が出された。「農地転用事前審査申出」、こういうものが、むつ小川原開発株式会社代表取締役安藤豊禄という人から農林大臣に提出されている。その理由とするところに、「青森県が昭和四十七年六月八日策定した「むつ小川原開発第一次基本計画」において工業基地等の計画区域が設定され、その後、昭和四十七年九月十四日の閣議において同地域を工業開発地区等として見込むことにつき了解された。当該申出地の区域は上記地域に適合するものとして選定した。」こういう閣議口頭了解が一つの根拠になっています。また、青森県がつくったむつ小川原開発公社の住民に対する、こういう「公社だより」というものには、「昨年九月十四日、政府は閣議を開いて「むつ小川原の開発」を正式に認めました。」、こうある。そうしますと、閣議を開いて正式に認めたということは、いまの国土庁の御答弁とかなり違うものがありますが、いかがです。
  69. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 むつ小川原の県がつくってまいりました第一次計画の基本方向について、政府関係各省がその方向でよろしいということを閣議の形式でもって了解したということでございます。
  70. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 私の聞いているのは了解したということじゃないのですね。その了解事項を閣議を開いて正式に認めた、こういうことなんです。閣議に報告して了解を得たということと、このものを主題として閣議を開いて正式に認めたということとは全然違う。その点どうです。
  71. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 四十七年の九月はまさに閣議了解という形になっております。
  72. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 そこで、この申請の内容は、先ほども申し上げておる石油二百万バレル、石油化学四百万トン、火力発電一千万キロワット、これを内容として、田畑その他合わせて五千二百三十ヘクタールについて農地転用の事前審査という手続をしたわけです。そうしますと、一体これだけの大きな土地に二百万バレルの石油精製を主軸とする工場がはまるものか、はまらないものか。どういう規模のものです。
  73. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 九月十四日の閣議口頭了解の前提となっておりますのが四十七年九月十三日のむつ小川原総合開発会議における各省の了解でございます。その中におきまして、県が出しております計画をしんしゃくいたしまして、今後土地利用の具体化を進めるなど所要の措置を講ずるということを政府としては了承しておるわけでございますが、その中で、鷹架沼及び尾駮沼周辺から三沢市北部に至る臨海部において工業開発を行うことといたしまして約五千ヘクタールを見込むということになっております。それを基礎といたしまして、むつ小川原開発会社の方から農地転用の申請があったのであると了解しております。
  74. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 二百万バレルというのも、これは実現性のない架空なものなんです。こういうものがここに仮に成立するとすれば、公害どころか、あの地域には人間も住めないくらいの規模のものなんです。したがって、この五千ヘクタールの土地買い占めというものは一種の詐欺なんです。中身を大きく見せて入れ物を広く買おうという、土地買い占めのための詐欺だと断定して差し支えない。しかも、この五千ヘクタールというものは、わが国の現状から見てきわめて過大なものだと思う。この規模は、中身は仮に架空なものとしても、バランスのとれない過大なものと私は考えるが、国土庁ではその点どう判断なさいますか。
  75. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 県の第一次計画につきましては、先ほど来先生御指摘のように、五千ヘクタールの土地に石油精製二百万バレル、石油化学四百万トン、火力発電一千万キロというような膨大なものであったわけでございますけれども、その後県の方でこの点についてはいろいろ調整いたしておりまして、昨年の暮れ第二次基本計画の骨子なるものが出されております。それによりますと、御案内のように相当規模が縮小になっております。しかし、それでもこの五千ヘクタールのところへ位置づけた場合にどのように環境障害が起こるかというようないろいろな問題がございますので、それらの面につきまして現在関係各省ともに検討をしておるという段階でございます。
  76. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 それでは伺いますが、わが国の現在の石油設備能力は日何百万バレルぐらいあるか、そして全部の石油精製工場の用地というものは現在どのくらいあるか御存じないですか。
  77. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 所管でございませんので詳細には存じません。ただ、このむつ小川原の場合、五千ヘクタール全部を工場用地にするわけではもちろんございませんので、県の第二次計画におきましては、とりあえず工場用地というのはその半分の二千五百ヘクタールというようなことを想定しておるようでございます。
  78. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 現在の仮に四日市にしようが水島にしょうが五井にしようが鹿島にしようが、百万バレルについて大体どのくらいの用地を必要としているとお考えですか。
  79. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 専門でございませんので、具体的には承知いたしません。
  80. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 それじゃ通産省の資料によって申し上げますが、現在石油会社の持っている全部の敷地が五百ヘクタールあるのです。その中に六百二十五万バレルの設備があって、そのために必要な面積は四百ヘクタールで、なお手持ちの土地に百ヘクタールの余裕があるという資料が出ている。六百万バレルで四百ヘクタールなんです。二百万バレルが事実だとしても、そのために一体どのくらい要るか。四百万トンの石油化学工場が、それに四十万トンずつのプラントが十並んだとしてみたところで、これは大変な過大な用地なんです。こういうものを妥当と考える開発というのはおかしい。これは企業の土地買い占めをあなた方が是認している態度にすぎない。その点誤りだと思いませんか。広いところに工場があれば、それは環境問題がある程度緩和するかもしれないが、この狭い国土でこういうふうなことが合理的ならば、いままでの過密なものは全部撤去しなければならぬという論理になる。どこから考えてもこれはおかしい。おかしいというよりも、悪意によって生じた土地買いなんです。大臣、この点妥当だと思いますか。合理的だと思いますか。
  81. 金丸信

    金丸国務大臣 妥当であるか妥当でないかということにつきましては私もつまびらかにできないわけでございますが、そういう問題点につきましても今後十分検討いたしたいと考えております。
  82. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 こう考えてみると、このむつ小川原開発というものは法律制度的には根拠がない、いわば無籍者だということは明らかなんです。中身はというと架空なんだ。土地買いのけだものが、いわゆるエコノミックアニマルというけだものが産んだ私生子みたいなものだ。誤りの根本はここにある。こういう誤ったことを前提に合意ができるものじゃないのです。合意というものは話し合いの上にしか成立しません。話し合いというものはうそを前提にしてあり得るものじゃないのです。それこそ真実、信をもって成立するものなんですから、この点は実に開発の上の根本的な道義の問題だと私は考える。大臣、この点を深く反省していただきたいと思うが、いかがです。
  83. 金丸信

    金丸国務大臣 この計画を実施するにつきましていわゆる土地買いのお先棒を担ぐようなことになってはならない、こういうことは当然だと私も思います。しかし青森県自体が過疎地帯の均衡ある発展をしたいという考え方のもとに計画が提出され、それを国土庁としては、過疎過密の問題等もあわせ踏まえながらこの計画を検討していかなければならぬ。こういう意味で、いま先生おっしゃられる土地買いのお先棒を担ぐようなことは万々ないような考え方で進めてまいりたい、こう思っております。
  84. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 そこで非常な過ちを犯しがちなことが起きる。青森県の過疎を解消するために青森県がこの開発を主体的に進めた。よって、これは青森県民のためだということでは過ちが起きるのです。なぜわれわれは合意を必要かというと、開発される場所には常に住民の生活があるのです。生活というのは生きることなんです。生きる権利の主張があるのですから、これは何者も介入できない基本的な権利なんです。それに対して、権利を主張する者を反対者とみなす、そうしてこれは一部少数だというところに問題が出てくる。利害の伴わない第三者がその利害の中に生きている一つの問題を多数少数で割り切ることが一番大きい誤りなんです。たとえばわれわれも、あの原子力船「むつ」のときに青森県の漁民にあのような爆発的なエネルギーがあるとは予想もしなかったことなんです。ところがなぜああなったか。船が海上へ出て放射線を出したのは後のことなんです。出る前に出港阻止のいわゆる陸奥湾海戦というものは展開しておる。導火線になったのは、青森県知事が一貫して反対している者は少数だと言い、それから技術庁長官は、これに反対する者は科学に対する冒涜者だと、こういうふうに言う。だれだって腹が立つのです。単純に腹が立つだけでなく、これは生存権にかかわる問題なんです。こういうところからなったが、あれは言うならば導火線なんです。根本的には青森県に開発に対する不信感があった。この理不尽な、考えれば考えるほどおかしい、法律的根拠もあやふやだ。したがって責任は不明確でしょう。責任のない行為に対してどう後で抗議しますか。仮にそこから重大な損害を受けたって、相手のない開発なんだ。しかも一方にはごり押しに土地買いだけを進めて、そのためにはあらゆる汚い手段をも辞さないというやり方で進んできている。  さらにもう一つは、この六カ所村のすぐ北の隣に二千万キロワットという原子力発電の基地ができるということを、県が代行して土地買収を完了しておる。一千ヘクタールぐらいの場所に長さ四千メートルぐらい、海岸から二キロ程度の場所に百万キロの炉を二十つくるといって、土地を買っちゃっているのです。あり得ることじゃないのです。こういう非常に乱暴なというか、非常識というような開発が金力と権力を背景にして進められてきている。だれだってこれには不信を抱かざるを得ないし、不安を感ぜざるを得ない。これがあの陸奥海戦のエネルギーなんです。これはすべて誤りなんです。二千万キロの炉なんというものはできるものじゃない。でかしたら大変なことなんです。私は、そういう点でこの一連の開発というものに対する根本的な考え方を変えてもらいたい、これを原点に戻してやっていただきたいと思うのです。そうするならば開発が開ける余地も生ずるかもしれない。しかも単なる自然環境とかそういうものだけを見るのではなしに、あの地域の水資源とかあるいは土地資源とかいうことだけじゃなしに、もっと根本的に考えてもらいたいことがある。こんな開発なしにも生きる道があるし、それがまた重要だということも見落としてはならない。たとえば青森県には一年に約六十万トンほどの水揚げがあります。そのうち十四、五万トンは北洋から漁獲されて水揚げされるものですが、あの沿岸でとれるものは少なくとも四十五万トンはある。この四十五万トンのうちの少なくとも三十万トンは東通村及びむつ小川原の正面の沿岸漁業なんです。スルメイカあるいはサバあるいはイワシという、タイやヒラメのように高い魚ではないが、たくさんとれる魚、いまわが国の国民食糧の上から見て三十万トンという魚は少なからざるものなんです。ここに三千万キロの発電所から出る温排水、さらにはそこに石油コンビナートができて大型のタンカーが入る、製品を国内に輸送する中小型のタンカーがピストン輸送するというならば、四日市の港湾統計を見てこれを想定した場合に、油の汚染がなくても操業度の低下によって漁業が成り立たなくなるのですよ。これは地域の漁民にとっては死活の問題であるだけではなしに、国民食糧の上から見ても決して比重の小さいものじゃないということをひとつ考えておきたい。  六カ所は貧困な村だといいますが、いまこの開発によって難民化した、流民化した酪農というものは、どういう実情にあったかということです。十アールに対して九百キロぐらいの乳量を上げる、北海道を除くならば日本一の効率の高い酪農地帯になっている。しかも、経営は十町歩くらいですから、一戸当たり九十トンないし百トンの乳を生産して国民に提供している。これをもって過疎だとか農業が成り立たないんだというような考え方は、これは根本的に誤っている。国民の運命を狂わせる悪い思想なのです。これは過去の思想でしょう。少なくとも三木内閣になったら、こういう考え方はもう卒業してもらいたい。田中前総理ならば、さしずめ銭なくんば立たずと言ったかもしれない。これはその時代の思想なのでして、高成長の思想なんだ、資本の論理なんだ。今後の日本はこの考え方では成り立つものじゃない。  そこでその次に、だれから考えてもこの開発はおかしいという点がある。石油コンビナートであるから、どうしても二十万トンないし四十万トンというタンカーの原料船が入る巨大な港湾が必要なはずです。ところが、この港湾を掘る開発の中心点があるが、その両側に動かすことのできない軍事基地があるのです。特殊な軍事施設がある。三沢の対地射爆撃場というのがあります。これはアメリカに提供してある国際的な関係のものです。日本にこれしかない。水戸はもう閉鎖した。アメリカの航空母艦が艦載機を載せて日本へ来た場合に、ここしか演習する場所がないようなものです。日本の自衛隊もここに小牧の部隊を移転することになった。これが陸上から海へ向かって扇形に危険区域を設定しています。その北側には日本の陸上自衛隊の大砲の実弾射撃演習場がある。この二つの扇の中にあるのです。これの撤去の見通しっかない限り、掘り込み港湾なんてものはできない。国がやるべきことをやらないで、住民の土地だけを先に買うというその根性のほどがわからぬのです。しかも、そのために千数百ヘクタールという土地は荒蕪地化していますよ。百何十戸という人は、二十数年やった酪農、二十頭、三十頭の牛を売り払って、畜舎を解体して、他に移住してしまった。この事態というものは一体どうお考えになります。あなた方はよくこの実態というものを現地について調査する必要がある。これには農地法上の重大な問題を含むわけですが、とにかく、私も志布志湾にも行ったし、各地のこの巨大開発地点を見たが、おそらくこんな乱暴な開発というものはあり得ない。これをあなた方が閣議で了解したということを根拠にそのまま押そうということではこれは問題は別なのだ。もうそういうこと一つによってこの開発の将来というのは占われると思うのです。したがって、本当にこの開発を進めようとするならば、もっと住民にわかりやすい言葉で、わかりやすい材料をもって政府側は臨んでもらいたいと思う。  そこで、大臣、この点をひとつ、石油コンビナートをつくるとおっしゃるのだが、一体日本は現在精製能力が六百万バレルくらいあるそうですが、石油が十ドルになってきた、そうすると、今後いままでのような伸び率で昭和六十年を目標に石油を買えるかどうかという簡単な見通しをお伺いしたい。
  85. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在、政府といたしましては、経済企画庁を中心としまして長期の経済計画を策定する用意を始めております。最近では通産省の産業構造審議会が中間的に一つの試案を出しております。先生御指摘のように、わが国を取り巻きます石油資源の事情というものは非常に複雑でもあり、見通し困難でございますけれども、従来のような高度成長下のように、石油が毎年非常に大きく伸びて入ってくるという事態はあり得ないというふうに考えておりますが、しかし、わが国におきましてもエネルギーはすべての生活の基本になりますから、ある適当なエネルギーの確保は必要でございますし、将来といたしましては原子力エネルギーということもございますが、当面のところはやはり石油エネルギーが中心になるということはどうも避けがたいという見通しに立っておりまして、仮に産業構造審議会の昭和六十年の見込みで言いますと、やはり相当エネルギーを省力いたしましても五億キロリットルから六億キロリットルくらいのものを用意するということが必要ではないだろうかという一案も示されておりますが、現在約二億八千万キロリットルくらいの水準でございますけれども、どの程度規模で考えたらよいかということはこれからの検討でございますが、かなり規模にならざるを得ないということも私どもとしては検討しておかなければならないと考えております。
  86. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 仮に昭和六十年を五億キロリットルの輸入と考えるとすれば、いわゆるその間の経済の伸び率というものをどう考えればいいのでしょう。たとえばわれわれみたいな素人から見ましても、いままで過去において二ドル前後の原油価格というものは十ドルになっている、それにもかかわらず、いままで石油が安かったから、それで日本の経済が高度成長であったから、総輸入額の二〇%油を買ったことはないわけです。ところが、油が二倍半にも三倍にも高くなると、同じ金を払ってももとのより減ってくるわけです。そうすると、三億キロリットルを買おうとすれば、昭和四十八年あたりの四百億足らずの総輸入額が五百億ドルになって、その三〇%を油に向けても出てこない数字なんですよ。その辺からもこの油開発、巨大な石油基地をつくるということはいま三年や四年の問題ではない、あるいは十年後の問題になるのではないかと思う。必ずそうなりますよ。それより早くなるはずはない。そうすると、何の問題が残るかというと、農地を買い占めした問題だけが残るわけです。この問題は必ず国が責任をもって処理しなければならないものになると私は思うが、大臣、この点どうお考えになりますか。二年や三年ならばがまんもきくが、十年もめどのつかないものを政策だと言えるものではないのです。
  87. 金丸信

    金丸国務大臣 その点につきましても十分検討してみたいと思います。
  88. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 さらに、漁業の問題、次には水の問題があるわけです。この地域の総面積、工業用水を取ろうとする小川原湖の受水面積というものは八万ヘクタールぐらいしかない。雨量は、山岳部は二千五百ミリあったとしても、平均して千二百ミリ。ここから水を取る量としての限界があるが、その上に水の質の問題がある。この湖は霞ケ浦などと違いまして、平野湖ではあるけれども西洋ざらのような湖ではなくて、薬研のような湖なんです。しかも海とくっついているから、塩分が非常に濃厚なんです。これを淡水化するということはきわめてむずかしい。われわれは前からわかっておった。  そのほかに、この湖には銅を初めとする重金属の蓄積というものが日本の湖沼に例を見ないほど多い。淡水化の過程において、いま酸素のない状態で安定しているこの重金属は生き返ってくる。そうすると、飲み水にならぬばかりではない、草も死ぬぐらいの銅などがこの沼にあるわけですから、これを淡水化するということは、一時的にしろ、かなり長期にわたってこの湖の水を灌漑水にも使えないような変化が起きることが予想される。  そこで、近ごろになってそれがわかったらしいのですが、つい先般、青森県が、小川原湖の水が使えないので、その上流部に一億二千万トンぐらいのダムをつくるということを言い出した。これは堤防の高さが九十七メートルで、長さが五百何十メートルという巨大な築堤、その背後に貯水できるものは一億二千万トン、こう計算しているそうだが、私はそれだけの水がたまるかたまらないかも疑いを持っている。しかも、仮にこのダムができたとすれば、これを小川原湖に入れると塩水にまじってしまうから、五十キロ以上の別な河川あるいは導水路をつくることになる。そうすると一億トン以上の水が――小川原湖に注ぐ水というのは七億トンあるなしだ、これが入らないことになると、海と小川原湖の関係のバランスが壊れる。小川原湖は海に変わるような状態も出る。なぜこういう基本的な問題さえ調査も完了しないうちに暴走するのかということなんです。こういう調査というものは簡単にできるものではないのです。これは一級河川ですから、建設省河川局がこの問題についてどういうふうな御見解を持っているか。上流にダムをつくるということは、建設省も合意の上でこういうことを考えておられるのかを伺っておきたい。
  89. 増岡康治

    ○増岡政府委員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃいます一級河川高瀬川の上流に大きなダムをつくる計画があるではないかというようなお話でございますが、この件につきまして、私ども河川局では一切こういう指導をしたこともございません。また県におきましても、どういうことでこういうお話が出たのかもよく聞いてみたいと思いますけれども、少なくとも私どもの方のむつ小川原関係の関連治水利水計画の中にはございません。私どもがいままで調査してまいりましたのは、あくまで小川原湖に締め切り堤をつくった場合の淡水化ということを、いろいろ毎年勉強してまいったということでございます。
  90. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 こう聞いてみると、このむつ小川原開発の中で本当のことは何々かということを疑わざるを得ない。開発の中身は架空。政府が閣議を開いて正式に開発計画を承認したというものも空うそ。ダムをつくるということも空うそ。これこそ全くうそで固めた、うそ、ごまかしの開発だといわざるを得ない。どこに本当のところがありますか。本当のところといえば土地を買ったことぐらいのものなんだ。こんなお粗末な、こんな乱暴なことで日本の重要な資源を責任持つ開発というものはできるものじゃない。これは植民地なら別でしょう。少なくとも今日の現代の日本の住民の意識なり国の工業過密の現状やら資源浪費型の経済を考えた場合に、これはこのままじゃだめなんだ。もっと原点に返ってこの計画、構想というものを白紙に返して、住民との対話を始めることを私は強く希望するものであります。その道を選ばない限り、この開発というものは非常な混乱と損害を与えています。農地が荒廃に帰しただけじゃないのです。これを県はいままで何と言ってきたかというと、昭和四十七年には重要港湾の指定になる、四十八年には一部着工される、こういう公文書もあるのです。そうしてそれによって政府に、ある許可処分を受けている。だから、土地を売った人も、掘り込み港湾の工事が始まるならば、出かせぎした鹿島のようなことになって、農業をしなくてもいいだろうと考えて土地を売った人があるのですよ。まるでこれは詐欺かインチキじゃないですか。これは大変なことなんです。こういうことを含みながらやってきているわけです。それから、このためにどういうことが起きているか。土建業者がこのために見込み投資をしています。何もないようなところに、新幹線が予想されるならば別ですが、これに近いとんでもない所にコンクリートのあのミキサープラントができたり、いろいろな建設業者の設備投資が行われている。さらに土地業者がこの買い占めをやった。みんな倒産状態だ。そうしてそれが地方金融を梗塞している。土地を売った金は大体農協へ入るでしょう。その農協が土地投資をしたと見えて、農協がえさ代を払えない状態になっている。まるでこれは単なる開発の問題じゃなく、われわれの地方の産業、経済というものを撹乱して、困難に落としている現状です。国の立場で資源の見通しとか経済の見通しということも重要ですが、地域開発というものはその地域の振興を図り、住民の幸福を図るというものならば、こういうことに対してもっと周到な調査をすべきだ。こういうことは青森県に任せておく、こういうことだ。  そこで、この港湾の見通しですが、当然これは、港湾管理者になるのは青森県ですが、今日、青森県から港湾計画というものは運輸省に提出されておるか、この点、もし提出されているとするならば、その規模というものはどういうものかを伺っておきたい。
  91. 前田進

    ○前田説明員 お答えいたします。  いままでのところ、そのような港湾計画は何も運輸省へ提出されておりません。
  92. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 こうして聞いてみると、住民はみんなもうそれぞれ、政府と県の緊密な連絡のもとにあすにも着工されるだろうという考えを持っている。だから、見込み投資が行われる、土地買い占めが行われる。心理的に農業から人間が離れる。これは全く例を見ない開発だと私は思う。かなり深く誤っているけれども、これをもとに戻すことは簡単だ。過ちを改むるにはばかるなかれ。つまり信なくんば立たずというのが巧言令色でないとするならば、私は新国土庁長官、大臣にこのことについての御決意のほどを承って、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 金丸信

    金丸国務大臣 先生のお話も承りまして、この計画がいろいろ問題点があるやに私も聞かさしていただいたわけでございますが、十分この問題につきましては、青森県とも連絡をとり、また地元の状況も調査いたしまして、今後の方向をなお考えてまいりたい、こう考えております。
  94. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 これで終わります。
  95. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて米内山義一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、小濱新次君。
  96. 小濱新次

    ○小濱分科員 京浜地区地震緊急対策について、金丸国務大臣にお伺いをしていきたいと思います。  昨年の暮れ、十二月の二十六日に地震予知連絡会が、最近の測定の結果、京浜工業地帯の地域を中心に直下型地震が予測されるとの異例の発表をされました。御存じのように、これは東京-藤沢間水準調査の結果、多摩川下流域の東京都大田区から横浜市鶴見区にかけて、東海道、旧東海道沿いの地盤隆起が五年前から起こっておったわけですが、これを地震の前兆と見られるということで、この地盤の異常隆起が認められたそのことについて、一、二年後に震度五ないし六の地震が起こる心配があるということで、異例の発表をなさったわけでございます。この報道は、当該地域の住民にとって、生命にかかわる問題であり、大きな影響を与えております。これはもう川崎方面にはいろいろな現象が起こっておることは御存じであろうと思いますが、特にこの京浜地区は、二次災害を含む被害は甚大であるという、そういう見方を深めております。  その対策は、単に地方自治体のみでは当然十分とは言えないわけですね。御存じのような財政危機に見舞われている地方自治体、こういう自治体の財政規模の中から、当然莫大な予算を計上して、その対策を講じなければなりませんので、当然これは十分とは言えないわけであります。緊急を要するこの対策について、政府も重大な認識をもって取り組んでおられるようでありますが、また、かたい決意で当然これに対処すべきであるとも私どもは考えております。  長期的にはともかくとして、この京浜重工業地帯を抱える当面の緊急問題として必要なことは、第一に国の施策に関する問題それから国の財政援助も含めた京浜地震緊急対策を早急に確立することが急務である、こういうふうに考えております。この点について、担当国務大臣といたしまして、また国土庁の長官といたしましても、この地震対策をどのように考え、対処されようとしておられるのか、まず所信をお伺いしたい、こういうふうに思います。
  97. 金丸信

    金丸国務大臣 川崎周辺の土地隆起の問題につきまして、昨年の暮れですか、これを新聞発表すべきであるか、国民に知らすべきであるかというようなことで、私へも相談があったわけでございますが、私は、これは発表すべきだ、いろいろデマや何かが出ては困るというような心配もあったのですが、心の構えというものは国民に持ってもらう必要がある、こういう考え方で私は発表をいたしたわけでございますが、仰せのように、京浜地区は工業地帯でありますし、第二次火災が起きたときの心配等を考えてみますと、政治家としてもこれを看過するわけにはまいらぬ、こう思っておるわけであります。  対策等につきましては、中央防災会議あるいは各省庁の連絡会議等でやりますが、その対策につきましては政府委員から御説明を申し上げたいと思いますが、この対策が政府でも講じられてはおるわけでございますが、ただ私も政治家として、果たして本当に対策が講じられて、いかような事態にもすべてが万策整っておるかということになりますと、何か心配な気がするわけでありまして、そういう点から、そういう対策が万全を期してあるかどうかということで、現地あるいは地方自治体、こういうようなところへも私じかに行って、ひとつこのはだで、この目で、この耳で確かめてみたい。  なお、緊急な事態として、予算が限られた予算しかないというようなことになると、実際問題、地方自治体等も、この対策を講じていく上には資金がない。この間川崎の市長が私のところへ陳情に参りまして、その陳情もあったわけでございますが、そういう特別な財政投資をしていただかなくちゃならぬという場面があるのじゃないか。しかしそれはあくまでもしっかりしたデータのもとに、政府に、国に、大蔵省にお願いするというような場面も出てくるのじゃないか。まさに先生のおっしゃられるとおり、人命尊重のきょうこのごろの政治の姿から考えてみましても、私は緊急に対策を講ずべきである、こう考えておる次第であります。
  98. 横手正

    横手政府委員 川崎の隆起問題に関連いたしましては、私ども、昨年末に地震予知連絡会の発表がありました際、直ちに観測関係の強化を図りますとともに、国土庁におきまして関係省庁の連絡会議を開催したわけでございます。  大都市震災対策はすでに従来から続けてまいってきておりまして、こうした事態になりました際、現在の計画を見直しまして、さらにこれを繰り上げ実施すべきものがあるかどうか、あるいは現在行われております各種の対策、こうしたものに遺漏なきかどうか、こうしたものも点検が必要だ、こういう考え方から連絡会議を開催したわけでございます。そして、その会議各省庁に対しまして震災対策の見直しと一層の推進を行うよう要請したわけでございます。この申し合わせに基づきまして、各省庁においては東京都、神奈川県あるいは横浜、川崎両市と緊密な連絡をとりながら、緊急時の出動体制の確立あるいは初期消火体制の確立、あるいは各種の公共施設の総点検、あるいはコンビナートの対策推進、あるいは被災後の給食給水対策措置、そうしたものの備蓄対策、こうしたものの見直しを現在行ってまいってきておるところでございます。
  99. 小濱新次

    ○小濱分科員 規制するその行政面での強化対策、もちろんこれも必要であります。単なる予算援助だとかそれだけでは今度の問題の解決はあり得ないわけですね。私どもが心配することは、現地でもいろんな現象が起こっておりますが、サラリーマンの間で弁当持参がふえたとか、それから一方ではトランジスタラジオが飛ぶように売れているとか、あるいはまた手ぬぐいを持ってこのごろはお勤めに行く人がおる。何だろうなと思ったのですが、これがやはり防毒面の役目をするのだそうですね。ぬらしてこう口に当てる、そういうことも考えているという。逆にまた、不動産業界では土地家屋の売買がストップしているということで大変な悩みになっている。地元に行ってみまするというと、いろんな声があります。この不安をどう取り除いていくべきかという、そういうことが心配の種になっている。これはもう長官も御存じであると思いますが、いま、なぜ発表したかというその内容について長官の御努力が示されたわけでありますが、どうしても不安を除去できないその内容は、まあ規模としては、静岡大の檀原教授、この方が予想される地震規模は最大M六となっている。それから場所と震度は、震央は川崎の可能性が強い。それでM六級の地震の震源は深さ二十ないし三十キロの浅いところ。これがもっと浅ければ中心部の震度は大きくなる。また坪川東大教授は、発生時期についてはここ一年ないし二年ぐらいの間に発生する可能性が大きい。また、地震の型は、今回予告された地震は直下型。かなりの確度で地震を予測できているというのですね。関係市町村、それから企業の協力を得なければならないし、あるいはまた社会的混乱を起こす恐れが多いので、あのような事前の発表があったようでありますが、こういうことから地域では大変不安を抱いているわけです。これはいままでの公害対策のようなそういう性格の内容とは違うのですね。もう目前に予想されるそうした大惨事がいつ起こるかわからぬという不安で、その不安な気持ちを抱いてみんな生活をしているわけですから、国の責任としてどうしても何らか対策を講ずべきだし、住民生活に安堵の気持ちを与えてやるような、そういう国務大臣の発言は必要であろう、こういうふうに考えているわけでございます。  それで、国の施設に関する問題点だとかあるいはまた国の財政援助の問題もあるけれども、それが各省庁と話し合ってこれからいろいろと準備を進めていくということでありますが、この災害関係の省庁というのはちょっと調べてみますと、十九もあるのですね。それから国土庁の方の予算の内容も調べてみましたけれども、その調査研究費として地震に対しては十五億二千三百万円、それしかない。もちろん事業予算はないわけですから、そういう点で何とか事前にやらなくちゃならないその対策のための処置がたくさんあるわけですが、これは急を要するわけですけれども、いまのような御答弁では地元はなかなか納得できないであろう、こういうふうに思うわけですが、ひとつ大臣のお考えをもう一度聞かしていただきたい、こう思います。
  100. 金丸信

    金丸国務大臣 私も先生と、おっしゃられるように考え方は同じ考え方を持っておるわけでありまして、先ほども申し上げましたようにいろいろ対策が講じられておる。しかしそれだけでは私も非常に心配だということで、この肌で感じてみたい、あるいは目で見たい、こういう考え方でできるだけ早い機会にそういう機会をつくりたい。しかし、実際問題としてあの発表をしたことがいいか悪いかという問題についてもいろいろ批判はあると思うのですが、国民に一応の警告を与えて、それに国民一人一人がまたあの辺に住む住民の一人一人が認識を持っていただき、いま先生のおっしゃられたように手ぬぐいを持って歩くという一つの認識も、私はそういう発表によって皆様方のこの地震に対する一つの認識というものを持っていただいたと私は思うわけであります。その認識の中で今度は政府としていかにすべきかということにつきましては、ひとつ速急に対策も講じなくちゃならぬ。いろいろやっておるようであります。たとえて申しますれば、消防庁においては、水島の事故にかんがみ、あるいはこの予知を発表されたということによって、石油の貯蔵タンクの沈下やあるいは腐食度、あるいはバルブのパッキンがどうなっているかというような調査まで消防庁はやっておる。その結果どうしようというようなこの間も閣議で発表があったわけでございますが、そういうものを踏まえながら、ひとつ速急に対策を講じてまいりたい、こう考えております。
  101. 小濱新次

    ○小濱分科員 消防庁の調査結果について大臣から閣議で御発表があったようでございます。その内容はもう御存じのとおりであります。詳しくは申し上げませんが、あそこには無数の石油タンク、高圧ガスタンク、それから塩素タンク、こういうものがあるわけですが、不等沈下の著しいタンクが、都道府県別に見ると、神奈川県で三十二、それから岡山で十四、大阪十一、兵庫、千葉各十基、こういうふうになっています。あの京浜重工業地帯の何千本かある油タンクが非常にいろいろな心配の種を生んでいるという、そういう実態調査の上から、あそこに一揺れM六というような強震のものが来た場合にはどういう結果になるのか。これは、御存じのように、防油堤ですか、これも非常に亀裂ができて不備なものが多かった。それから、防災遮断帯というようなものはないわけであります。川崎方面ではいま百メーターぐらいのものをつくろうという計画は持っておるようですが、財政困難のためになかなか実現ができない、こう言っております。特に、御存じのように川崎の沖には五つの埋め立てされた島がございます。その島には無数の石油タンクが林立している。ここと陸上との交通は一本の橋だけなんですね。私は地元ですからよくわかっているわけです。ところが、あの橋に、さて地震が来て故障が起きますと、島の人たちはどうなるのであろうか、この問題。それから、調べてみますと、川崎港には大小合わせて二千隻からの船があるのであります。私も船乗りですからわかるのですが、海面火災のときには酸素の関係でエンジンがストップするわけです。救災に行こうとしても、海面火災の場合にはその火の海をかき分けながら進んでまいりますけれども、酸素の関係でエンジンがストップしたならば、その船はどういう結果になるのですか。人力にもこれはもう限度があります。その結果はもう明白であります。こういうことからも何とかしてタンクの事故を防いでいかなくちゃならない。水島では一本の油タンクでもあれだけの被害が出るわけです。五百トン以上のタンクがこの京浜重工業地帯には五千本以上と言われる。そこには塩素タンクが、私の前に調べた記録では約十本ぐらいでしたけれども、いまもっとあるでしょう。高圧ガスタンク。これは想定してください、どういう結果になるか。こういうことから緊急に対策を講じなくちゃならない、こう思うわけです。大臣、まあそういうことはないと思いますけれども、責任を逃れるようなそういう答弁であってはならないわけです。これは先ほどお話がありましたように、とうとい人命にかかわる問題でもありますし、多くのそういう死傷者を想定して、どうしても対策を講じなくちゃならない。その緊急性にかんがみまして私は御質問しているわけですから、何かいい方法はないか、こういうふうに思うわけですが、私の方から一つ提案をしてみます。  立法化することが一番いいんですね、本当は。ところが、これには、確実だけれども時間がかかるわけです。そこで、取り急ぎ何か緊急五カ年計画というようなものをつくりまして、大幅な国庫補助をするとか、地方交付税で見ていくとか、緊急対策を強力に講ずることが急務だと思うのですが、その内容について少しお話をしてみますと、コンビナート周辺地域の防災対策緊急措置法案という趣旨の法案をつくるべきではないのか。その内容について五つばかり挙げてみました。国土庁長官がコンビナート周辺市町村指定する。二つ目には、周辺市町村及び県は、コンビナート周辺地域の防災緊急五カ年計画を樹立する。三に、防災緊急五カ年計画事業に対しては国が大幅な国庫補助制度を設ける。第四には、企業に対してもこれは応分の負担を求める。第五には、地方団体の地元負担に対しては、交付税及び地方債で十分な財源措置を講ずる。  立法化がこれは確実で一番いいんだけれども、先ほど申し上げましたように、時間がかかるので、こういうことで大臣のほうで取り急いで研究をしていただいて、とにかく緊急対策として何かできないだろうか、こういうように考えて、私どももこういうものをつくってみたわけでございます。時間もございませんが、ひとつ大臣の御見解あるいは決意を聞かしていただきたいと思います。
  102. 金丸信

    金丸国務大臣 まさに地震がいつ起きるかわからぬということですから、緊急対策というものは考えなくちゃならない。先生のおっしゃられる立法も一つの大きな提案だと私も考えます。しかし、それで間に合うか。その間に地震が起きたということになれば、これは何にもならぬわけでありますが、ぜひひとつ五カ年計画とかあるいは立法とか、そういう問題について緊急に検討してみたいと思っております。
  103. 小濱新次

    ○小濱分科員 災害対策基本法、これを見てみますると、「災害予防等に要する費用の負担」というのが第九十一条にございます。最後の方に「その実施の責めに任ずる者が負担するものとする。」こうなっておりますね。これは自治体負担ということです。ところが、先ほども申し上げましたように、たくさんの省庁が関係をしておりますので、この災害業務分担というのが余りにも細か過ぎて、これでは緊急の用にはなかなか対処できないであろう、こういうように考えておるわけです。  最後に一つお尋ねしたいことは、この防災事業推進する上において望まれていることは、この対策のための窓口の一本化ということ。これはやはり担当大臣ですから、国土庁長官にどうしても一骨折ってもらわなくちゃならないわけです。こういうことも取り急いでやってもらわなくちゃならない。どちらにしても川崎が直下型ということになると、東京も対岸の火事ということで見過ごすことはできません。あの川を隔てて羽田空港がある。あるいはまた横浜本牧に至るまでずっと油タンクが並んでいる。あの周辺どこが直下型になってもえらい惨事が起こるわけですから、したがって、緊急性からこの窓口を一本化するというようなことでぜひひとつ長官にお骨折りいただきたいと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  104. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど審議官からもお話がありましたように、または先生からも十幾つかの省庁に関係があるということでございますが、それではなかなか緊急事態に対処することはできない、当然窓口を一本にすべきだという考え方を私も持っているわけで、先生と同じであります。そういう意味各省庁との連絡を十分とって調整して一本の窓口にするという考え方で今後進めてまいりたいと思います。
  105. 小濱新次

    ○小濱分科員 最後にまた要望を申し上げておきたいと思うのですが、防災遮断帯、これは川崎などああいう大企業がたしか八十六ぐらいあるはずです。ですから、どうしてもこれはつくらなくちゃならない。ところが、これもいま行き詰まっているわけですね。こういう点ではまた地元からも大臣に要請があろうかと思いますけれども、こういう問題の陳情、請願をどんどん地元ではされると思います。ひとつ大臣も真剣にその地域の心情というものをおくみ取りいただいて、そしてこういう問題の解決のために努力をしていただきたい、このようにぼくは心からお願いしたいのですが、この点についていかがでございましょう。
  106. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、国会答弁として適当にお話を申し上げているということではなくて、真剣に取り組んで、ひとつ先生の精神を十分生かしてこの地震対策を進めてまいりたい、こう考えております。
  107. 小濱新次

    ○小濱分科員 大変どうも力強い御答弁をちょうだいいたしましたから、ひとつ一層の御努力を心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  108. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて小濱新次君の質疑は終了いたしました。  次に、山口鶴男君。
  109. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 実は金丸さんが建設大臣をなさっておられますときから群馬県八ツ場ダムの問題はお尋ねをしてまいりました。そういう意味では大変長い問題であります。この水源地域対策特別措置法が提案をされましたときには、建設省から提案をされましたが、その後国土庁が発足をいたしまして、国土庁所管になっておると伺っております。したがって、まずこの法律のことからお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、第二条に「定義」とございまして、「この法律において「指定ダム等」とは、」という定義がございまして、ダム建設により「相当数の住宅又は相当の面積の農地が水没するダムで政令で指定するものをいう。」とございます。農地では三十ヘクタール以上、水没戸数では三十戸以上、そのいずれかを満たした場合に政令で指定をする、こういうことになっておると承知をしておりますが、八ツ場ダムにつきまして、この法律第二条に基づく指定というものをお考えになっておられますか。お考えになっておられるとすれば、いつごろ政令で指定をなされるおつもりでございますか。事務的なことですから、事務当局からで結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  110. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 八ツ場ダムは、大体いま予定されている計画では、水没戸数三百戸以上ということで大変影響が大きいわけでございます。したがって当然第二条の指定ダムに該当するわけでございます。  御承知のように、昨年の七月に二十ダム等を指定いたしましたけれども、近く数ダムを指定したいという意向で現在作業を進めております。でき得れば八ツ場ダムもそのとき一緒に指定できればということで考えておるわけでございます。
  111. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 近くとは三月ごろですか、四月になりますか。
  112. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 事務的な手続がいろいろございますので、おそらく四月に入ってからということになろうかと思います。
  113. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そこでお尋ねするわけですが、第二条の指定をする場合、手続的には細かい規定がございません。しかし、第三条の水源地域の指定におきましては、都道府県知事の申請に基づきまして内閣総理大臣が指定をする、都道府県知事が第三条の指定申請すると申しますか、申し出を行いまする場合は関係市町村長の意見をあらかじめ聞く、こうなっております。二条の政令指定と三条の指定とが異なることは私もわかりますが、しかし、現実に同じ地域と言いますか、同じものですね。現実に第二条では指定した、ところが第三条では、市町村長の意見を聞いたところが市町村長は難色を示しておるということでは、現実にその仕事というものは運ばないわけですね。したがって私は、第二条の政令指定を行う場合は、当然第三条によって申し出をする権限を持っている都道府県知事の意見を聞く、それからまた第三条の指定をする場合に、あらかじめ聞かなければならない関係市町村長の意見も聞くということは当然のことではないかと思います。法律の書き方は違っておりますが、現実の仕事の進め方というものを考えた場合、私は当然の手続ではないかと思います。この点どうお考えでありますか。
  114. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 この法律の趣旨は、おっしゃるとおり知事が計画等をつくって申し出るというたてまえをとっております。第二条では特に知事の意見あるいは地元の市町村の意見を聞くという手続にはなっておりませんが、実態的には県が積極的にそういうことについて前向きな姿勢になるということが前提ではないか、こういうように考えます。特に意見を聞くとかどうとかということは考えておりませんが、あくまでも地元との情勢の推移を見てということを基本にしております。
  115. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 いまのお答えは当然ですね。結局都道府県知事が申し出てこなければどうにもならないわけで、その場合市町村長の意見をあらかじめ聞くということに第三条はなっている。とすれば、第二条の指定をする場合に当該の都道府県知事や市町村長の意向というものを無視して政令で指定できる、法律的にはできますが、そういうことをやっても意味がない、かように私は思います。  そこで突っ込んでお尋ねいたしますが、四月ごろいわゆる八ツ場ダムを政令指定したいというお考えのようでありますが、当然都道府県知事が後で三条を申し出なければこれはどうにもならないのですから、都道府県知事の意見は聞くのが当然だと思いますね。聞いておりますか。また知事としても、おたくの方からそういうお話があれば、当然第三条を想定して関係市町村長の意見をあらかじめ聞くのは私は当然だと思います。都道府県知事とは一体どの程度の話をやっているのですか。
  116. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 昨年十月末ですか、文化庁の方からも調査についての同意がありましたので、私ども水資源開発基本計画を取りまとめる立場から、首都圏の水需給対策として八ツ場のウエートが非常に大きいということ、できるだけ早くこのダムを促進したいということで、先般知事にお会いしまして、何とか促進方を協力願いたい、その促進するためにはやはり地域の振興というたてまえからダム指定ということをお願いしたい、こういうことで申し入れといいますかお願いを申し上げた次第でございます。
  117. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 知事の方からある程度了解がなければ指定はやりませんか。知事の方が結構ですと言わなくても、見切り発車といいますかダム指定はやるつもりなんですか。その点はどうです。
  118. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 知事は議会とも相談し、地元の方の情勢も見て前向きでお答え申し上げたいということで、私どももそれを期待しているわけでございます。
  119. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私がここで言うまでもないと思うのですが、関係町村二つあります。しかし、主要なといいますか、いわゆる三百戸水没をする町村は群馬県吾妻郡長野原町であります。長野原町の町長は町長就任以前はダム反対期成同盟の会長であったということも御存じだろうと思うのですね。そういう客観点な条件というものがある。そういう中で現実的にどうするかということなんです。  私は、そこで大臣にお尋ねしたいのですが、第二条の法手続は私よく知っております。しかし、第三条というものがある。しかも第三条の場合は、都道府県知事の申し出、その場合はあらかじめ関係市町村長の意見を聞く、こうなっている。とすれば、関係市町村長の意見を都道府県知事が十分聞いて、この場合群馬県知事ですが、そうして協力できるという体制ができる前に二条の指定をしても、これは現実にも問題を紛糾させるだけだと思うのです、政治的に考えて。大臣いかがですか。
  120. 金丸信

    金丸国務大臣 八ツ場ダムの問題点につきましては、前の建設大臣当時にも御質問を受けたわけでございますが、首都圏の水需給とか利根川の治山治水という立場からこれを促進する必要があるということだけは考えておるわけでございますが、しかし、仰せのとおり知事の考え方がはっきりしないうちに指定するということについては、これは考えなくてはならぬ点もあるだろうと私は思います。これを進めるについては、地域住民の納得のいくことでわれわれは最大の努力をすべきだ、こう考えておる次第であります。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、大臣としては、第三条の規定もあることであるし、当然知事が地元の町村長と話をして、協力しましょうという確認がなければ第二条の指定はやらない、かように考えてよろしいわけですね。
  122. 金丸信

    金丸国務大臣 問題は、知事がこれを前向きにやろうという考えになるについては、地元の町村の意向を聞かずして前向きにはならぬだろうと私は思います。そういう意味で知事から申し出がない限り指定はできぬじゃないか、こう私は考えております。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 その点ははっきりいたしました。結構です。  そこでお尋ねしたいのですが、実はこの水源地域対策特別措置法、私も当時の建設委員会にお邪魔をいたしまして審議に参加をいたしました。その際にも議論したのでありますが、当時田中内閣、例の日本列島改造論というものが出まして、さらにその趣旨にのっとったと言って差し支えないんじゃないかど思いますが、社会経済発展計画、基本計画ですか、というものも作成されました。また当時の建設省河川局は、四十八年の八月に「広域利水調査第二次報告書」というものを作成いたしました。副題といたしまして「昭和六十年における水需給」こうなっております。これを拝見いたしますと、昭和六十年までに全国で五百八十カ所のダムを建設する必要がある。日本列島改造論には一千カ所のダム、こういうのがございましたが、これでは五百八十カ所のダムが必要である、昭和六十年までに必要だ、将来は約千百カ所のダムが必要だ、こうなっております。しかし、当時は経済の高度成長、それを見越した日本列島改造、ある程度その精神を踏まえた社会経済発展基本計画ですか、それに伴うこの水需給ということですね。しかし、その後低成長時代に入ったということは、これは三木内閣の閣僚の方々は異口同音におっしゃっておられるわけであります。そういたしますと、私は、この経済の高度成長を想定した水需給計画というものは当然改定されてしかるべきではないか、かように思いますが、これは建設省の方ですか国土庁の方ですか、いかがです。
  124. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 広域利水の第二次調査報告は、その時点でそれなりに水不足ということに対する警鐘として非常に意義があったと思います。御承知のように、非常に社会経済の動向が変わってまいりました。私ども水資源局としては、所掌業務として長期水需給計画の策定ということが主要な業務でございます。全国あるいは地域別に、できるだけ早く水需給の見通しというものを固めていきたい、こういうように考えております。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、昭和六十年までの水需給計画というものは、これではなくて、新しく作業をして改定をするのだというふうに受け取ってよろしいわけですね。
  126. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 そのとおりでございます。  ちょっと補足して、広域利水調査報告建設省の一応の見解ということで、政府として決定したものではございません。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 水需給計画を作成する権限を持っている国土庁の水資源局ですかとしては、建設省はこういうものをつくっているけれども、別個な角度から現在の状況を踏まえた昭和六十年までの水需給計画というものを作成するのだ、こう理解してよろしいわけですね。わかりました。  ということになれば、大臣、この八ツ場ダムにつきましても、ただしゃにむにつくるというようなことでなしに、建設省の方は、河川局長さんもおられるようですが、大分あわてているようですけれども、そういったお答えがあった以上は、ひとつ慎重に扱っていただきたいと思いますが、いかがです。
  128. 増岡康治

    ○増岡政府委員 建設省といたしましては、八ツ場ダムの計画は長い熱望のダムでございまして、これは利根川の治水と利水合わせた計画でございます。いま六十年度の問題もございますけれども、私ども調査では、たとえ計画全体の需要が下がりましても、八ツ場というものはそれまでに必要であろう。御承知のように、大きな岩本ダムとかその他計画がございいますけれども、なかなかこれはむずかしい。いま着工しております草木ダムそのほかいろいろございますけれども、その上にどうしても続いてこの八ツ場ダムにいきますけれども、治水利水の上からやはり早くかかりたい、かかるべきであるというのが私どもの立場でございまして、鋭意調査を進めさしていただいておりますし、国土庁に対しましても早くしてほしいと、先ほどお話がございましたように、文化庁その他の調整がつきましたし、要は名勝吾妻峡を残し心臓部を残すと同時に、今後は水没地対策に思い切って前向きの態度でいって、早くこういう計画が前へ進むことを実は望んでおる立場でございますので、ひとつよろしくお願いします。
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 しかし、いまや権限は国土庁の方へ行っているのですから、あまりあわてないようにひとつお願いしておきましょう。  そこで、文化庁にお尋ねをしたいと思うのですが、文化庁の昨年十一月三十日の、二つの文書を拝見をいたしました。一つは、建設省が要望し協議のございましたこのダムサイトの調査については同意をするということですね。ただ、その場合に、名勝吾妻峡の本質に影響を与えないよう万全を期してほしい、その必要な調査もあわせて実施をせよ、それから地質調査によって生ずる排土は風致上差し支えないように処理をせよ、調査後はすみやかに原状回復をせよ等々の条件がついておるようであります。さらに、文化庁の次長さんから建設省河川局長あての文書を拝見いたしますと、「文化庁としては、名勝吾妻峡の本質に影響を及ぼすようなダム計画は同意しがたいので、計画策定に当たって、特に慎重を期されたく、よろしく御配慮願います。」と、こうなっているわけですね。  そこで、お尋ねしたいのは、私は当予算分科会でしばしばこの問題をお尋ねしております、文化庁にもお尋ねしておるのですが、あそこには、名勝としての吾妻峡もございます。同時に、天然記念物としての岩脈もあるわけです。今度建設省調査されたいというところは、当初の計画地点、いわば先ほどのお言葉によりますならば、吾妻峡の心臓部よりもやや上流である、したがって、吾妻峡の本質には比較的影響を及ぼさないところ、こういうことのようでありますが、その調査地点の上流には天然記念物たる岩脈があることは文化庁も御存じだと思うのですね。そうしますと、文化庁は天然記念物である岩脈はかまわぬ、これは水没しても結構である、かようにお考えなんですか。
  130. 安達健二

    ○安達政府委員 川原湯岩脈が天然記念物に指定されておることにつきましては、私ども十分承知しておるところでございまして、この岩脈そのものにつきましては、さらに非常に上流の方にダムサイトの位置が変更されれば別でございますけれども指定地のすれすれの所あたりに建設されるとすれば、お話のように岩脈そのものは水没するということになるわけでございます。岩脈と名勝とは若干性質を異にするわけでございまして、岩脈につきましても、そういうものが水没しないようにということは望ましいわけではございますけれども、全体との関連からして水没するということもまあやむを得ないのではないか。もちろん岩脈そのものは破壊はされませんけれども、上からは見えなくなるという問題があるわけでございます。ただ、岩脈は同じようなものが指定地域外にも伸びておるという、水没されないところにも伸びておるというようなこともございますので、そういうものにつきましては、調査の上、その部分と申しますか、岩脈の部分を追加指定をして、まあある意味においての岩脈が水没の部分と水没外の部分とがつながっているのは当然でございますので、そういうような形で岩脈の保存ということは――非常に水没すること自体は残念でございますが、まあやむを得ないのではないかというように考えておるのでございます。
  131. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 どうもいまのお答えはあまり私は納得できません。かつて、この委員会でも申し上げたことがあると思うのですが、あそこには国鉄の路線であります吾妻線というのが通っております。かつては長野原線と言っておりました。上流に鉄の鉱山がありますので、それを運ぶために実は戦争中、突貫工事でつくった鉄道路線であります。これをつくる際に、計画にいろいろあったそうでありますが、当時の文部省は、この名勝と天然記念物を破壊するような形での鉄道路線計画は納得できない、当時、戦争中におきましても抵抗されたということを実は私はお伺いをしておるのであります。いまはこういう平和な時代で、しかもいま環境保全それから文化財の保護ということはひとしく国民の間から強く熱望されている時代です。そういうときに、戦争中ですら、この名勝吾妻峡、天然記念物岩脈というものが文部省の意向によって保存をされた。それがいま、平和なしかもこういった時代に、それが相当水没をする、まあ大部分水没すると言っても差し支えないと思うのですが、そういう計画に文化庁が同意をされるということについては、私は大変おかしいのじゃないかというふうに思います。時間がありませんから、この点は意見だけ強く申し上げておきます。お答えがあればお答えいただいても結構でありますが。  次にお尋ねしたいのは、これも実は水源地域対策特別措置法案を審議しております過程で私強調したのでありますが、結局この法律によりまして利益がございますのは水没する地域住民ではないわけです。その周辺地域の道路の整備でありますとか、上下水道の整備でありますとか、あるいは学校の移転等の公共施設の移転等々に対して、補助金をかさ上げし、場合によりましては、この下流県からの負担金も取って、そしてこの当該地域の財政負担を解消する、周辺地域を整備をする、こういう内容になっている。しかし、肝心の祖先伝来の墳墓の地を離れなければならない人たちについては、結局該当するのは、この「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」昭和三十七年六月の閣議決定のものです。これについては依然として変わりがない。しかし、いまたとえば新幹線の場合に、騒音対策をもっと完備をしろとかいうことが地域住民の声でもあるし、また環境庁もその点について基準も設けなければならぬ、こういう時代になっている。そうしますと、この公共用地の取得に伴う要綱というものはいまの時代にやや適合しなくなっているのではないだろうか。そういう意味でこの要綱を新たに改定をする必要がある。しかも「駐留軍ノ用ニ供スル土地等ノ損失補償等要綱」と食い違いもある。防衛庁がいたしますときには補償がいいが、他の官庁の場合は補償が悪いなどということでは、地域住民は納得しません。そのことを含めても、この要綱は改めたらどうですかということをお尋ねいたしましたら、これにつきましては鋭意作業中でございまして、というお答えがあったわけでありますが、この補償要綱の改定作業というものはどの程度進んでおられますか。これは建設省と思いますが。
  132. 増岡康治

    ○増岡政府委員 お答えいたします。  いま先生が御指摘されましたとおりのことでございますが、これは私どもの方は計画局が窓口でございまして、損失補償制度改善研究会というものがございまして、いまお話が出ましたように、一般の公共事業におきましても、今日は騒音だとか日照の問題というところまで実は勉強しておりまして、この制度化を図ろうということでいま中間報告を出しておる段階でございますが、現在事務局におきまして細部を実は検討しております。そういう一つの方向に基づきまして、私どもは先ほどお話がございました水没地等についてもどう考えるべきかということをいま懸命に実は勉強している途中でございます。  なお、最後に先生から、防衛庁との関連の要綱が違うじゃないかというようなお話がございましたけれども、私ども防衛庁の方へお聞きしましたら、大筋においては変わりない補償基準でやっておるというようなお答えをいただいております。
  133. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大筋においては変わりがないでしょう。そう大筋において変わっておるようじゃ困るわけなんでありまして、大筋では変わらぬものの、細部においては防衛庁、駐留軍の損失補償の方が有利になっているということは、これは疑い得ない事実だと思うのですね。そちらの方は有利だが、公共事業でやる方は不利だというようなことでは、これはやはりいけないと私は思います。一体いつごろまでに検討して要綱の改定というのをやる予定ですか。
  134. 増岡康治

    ○増岡政府委員 先ほど申し上げましたように、計画局がおれば非常にいいのでございますけれども、私ども河川局の立場は、先ほど申し上げましたように、騒音その他日照の問題を含めまして、水没地の問題、水没なさる方々の問題について一層の充実を図らなければいけない、水特法を中心といたしましてさらにもう一歩勉強しなければいけないということで、いま大体この問題が五十年度の最大課題ということで、国土庁水資源局あるいは水資源公団ともども、その他利水各省もございますが、私どもの方からこうしたらどうかということでお会いする時期があると思いますけれども、まだいまのところ取っかかって間もないわけでございますので、できるだけということしか言えないわけでございます。もしできましたら、省内におきます先ほどの研究会へ、省内へ持ち上げて制度化していくという方向を持っておるわけでございます。
  135. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 きょうは計画局が来てないそうですから、後で結構ですから、主管局の方からおおむねいつごろまでに作成するつもりかということをひとつ聞かせてください。  それから、最後に大臣にお尋ねしたいと思うのですけれども、大臣も経過をよく御存じであります。かつて大臣も、建設大臣のとき同じことを私聞きましたら、この要綱については速やかにやはりピッチを上げてやらせるように努力もしましょうというお答えをいただいたと記憶をいたしております。ひとつこれは国務大臣という立場で、国土庁も当然関係するわけでありますから、いつまでも昭和三十七年の要綱がそのまま続いておるなどということは現代に合わないと思いますので、積極的にこの改定の作業を進めていただくようにお願いをいたします。その辺に対するお答えもあれば伺います。  それから最後に、繰り返し言っておるんですが、ダムをつくる場合、地域住民の理解と協力なしに私はもうダムなどをつくるという時代ではなくなっておると思うのです。地域住民の理解と協力を得るための手だてとして水源地域対策特別措置法というものもできたのだと私は理解をいたしております。しかし、私どもがこの法律につきましてはこういう点が不備だということを実は当時委員会で申し上げて、社会党としては反対をしたという経過もございます。ひとつ水没いたします方々の補償要綱というものをより有利に改定するということもこれからおやりにならなければならないと思います。それからまたこの法律では、先ほど申し上げたように、周辺整備には、この補助金もかさ上げし、下流県からも持ってきていろいろな施設もやりますと、こういうことになっておるのですが、肝心の地域住民の補償は依然として変わらないという一つの欠点がございます。やはり大臣、これはダムというものは水没する地域の地域住民の大多数の理解と協力を得るような手順というものが私は最低必要だ、またこの法律で規定されておりますように、関係市町村長の理解と協力がなければできない、こういうことだろうと思います。かつて大臣は、建設大臣のころ、現地調査して地域住民と対話もしてみたいということを実はおっしゃられました。大臣として長い間この八ツ場ダムの問題が解決しないという事情については御理解をいただいていると思うわけでありますが、従来建設大臣としてお答えいただきましたように、地域住民、特に水没する地域の住民の理解と協力なしにダムはできない、こういったお考え方はいまなお堅持しておられますかどうか、この点を最後に伺いまして、質問を終わっておきたいと思います。
  136. 金丸信

    金丸国務大臣 今日、水需給という問題は非常に逼迫しておるという状況、また水なくして人間の生活はできないということでございますから、ことに首都圏等の水需給という問題はゆるがせにできない問題であります。しかし、それがなかなか進捗しないというのは、いま先生が指摘されておるところにあるという考え方も私は持っておるわけであります。ぜひひとつそういうものを、水没する地域の一番生活再建をやらなければならない人たちが、ほかの方はいろいろ措置法で手だてをしていただいているけれども、直接のその人たちがただ補償で終わりだというようなところに問題点があるだろう。これは何とかひとつ、地元の水没する人たちがまず、それじゃわれわれも協力しようというような体制を整えることが必要であるということはいまもって変わりがないわけであります。
  137. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それじゃ、無理な、地域住民の反対を押し切って強行などはなさらぬ、こういうお考えなんですね。
  138. 金丸信

    金丸国務大臣 そのとおりでございます。
  139. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十年度一般会計予算国土庁所管に関する質疑は終了いたしました。  この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  140. 谷垣專一

    谷垣主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。仮谷建設大臣。
  141. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 建設省関係昭和五十年度歳入歳出予算について、その概要を御説明いたします。  まず、建設省所管一般会計歳入歳出予算は、歳入に九十二億二千八百余万円、歳出に一兆八千百六十億四千七百余万円をそれぞれ予定いたしております。  このほか、歳出について、総理府の所管予算として計上されているもので、建設省に移しかえを予定される経費がありますので、これを合わせると、昭和五十年度の建設省関係歳出予算は、二兆六百六十二億五千二百余万円となり、前年度(補正後)の予算に比べまして四百十九億四千九百余万円の減少となっております。  なお、このほか、国庫債務負担行為として、公営住宅建設事業補助その他に二千六百四十七億六千二百余万円を予定いたしております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、道路整備特別会計の予算総額は、歳入歳出とも一兆八百八十四億八百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として六百二十八億八千万円を予定いたしております。  また、治水特別会計の予算総額は、歳入歳出とも四千三百十四億四百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として四百八億八千二百万円を予定いたしております。  また、都市開発資金融通特別会計の予算総額は、歳入歳出とも二百七十億七千六百余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省関係分の歳出は、五百三十一億三千二百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として四百億八千八百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、国民のすべてが健康で文化的な生活環境を享受し得るよう生活環境施設の整備、国土の保全、災害対策など国民生活に密接に関連した施策重点を置いて建設行政を推進してまいる所存であります。  建設省関係予算事業別の重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  142. 谷垣專一

    谷垣主査 以上をもちまして、説明は終わりました。     ―――――――――――――
  143. 谷垣專一

    谷垣主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  144. 兒玉末男

    兒玉分科員 今月の十七日に鹿児島の県議会におきまして、問題となっておりますところの新大隅開発の方向についての骨子が実は発表されたわけであります。もちろんわれわれは、後進地域における後進県の開発ということを否定をするものではございませんけれども、内容とその構想におきまして非常にいま重大な関係のあるのが私の県でございます。  この点についてまず国土庁にお伺いしたいわけでございますが、これはいま政府が考えておりますところの三全総との関係はどういうふうに国土庁は受けとめておられるのか、第一点としてお伺いしたいと存じます。
  145. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 大隅開発の計画につきましては、先ごろ県の方で発表したということは聞いております。したがって、その案をわれわれども取り寄せた段階でございます。したがいまして、先生お尋ねの第三次全国総合開発計画との関係につきましては、第三次全国総合開発計画そのものが明年三月を目途といたしまして国土庁の方で案を練っておるという段階でございますので、一応現時点においては関係ございません。
  146. 兒玉末男

    兒玉分科員 現時点では関連ないということでございますが、もちろん県知事もこの提案をする前に、少なくとも窓口である国土庁に対しては何らかの形で事前の協議なくしてこのような骨子の発想はあり得ない。仮に三全総との関係はないにしましても、やはり政府機関の了承と協力なくしてはこの開発は進めることができない、こういうふうに私は理解をするものでございますが、その辺の見解はいかがでございますか。  また、近藤局長資料を送ってもらった、こういうふうに答弁されておりますけれども、これだけ重大な地域開発構想、あるいは三年前の第一次草案が地域住民の徹底的な反対を受けて大幅な修正といいますか、後退された形で問題となりました工業開発が一番後に控えて提起をされておりますけれども、現状から踏まえて考えた場合、やはり国の総合開発計画の一環としての開発行為でなければ、恐らく鹿児島県の財政状態等から考えても、この実行が私は困難ではないか、こういうふうに理解されますが、それの見解はいかがでございますか。
  147. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 鹿児島県が去る二月の十七日に発表いたしました「新大隅開発の方向について」というパンフレットを私、手にしておるわけでございますけれども、この計画につきましては、冒頭に書いてございますように、「さらに意見を求め、計画案を作成していくための資料」ということになっておりまして、第一次計画が白紙になり、その後関係市町村の方からいろいろ意見を聞いておった、それを取りまとめてこういう形にした、これにつきましてもう一度関係市町村の意見を聞く、そうして県の計画として固めていきたいというような性格のものであるというふうに承知いたしております。
  148. 兒玉末男

    兒玉分科員 きょうは長官がおいでございませんので、この際仮谷建設大臣にお聞きしたいわけでございます。  後で具体的問題は担当の課にお聞きしますけれども、基本的な姿勢としまして、この大隅開発の第一次案について石油コンビナートが前面に出されて発表されたわけです。それで、この石油コンビナートを中心とする開発によって一番実は被害をこうむるのは、鹿児島県ではなくて、もちろん志布志湾一部の漁民もありますが、大多数の被害というものが私の出身である宮崎県なかんずく串間市、日南市、この地域が石油あるいは亜硫酸ガス等、この工業開発による被害をもろに受ける。俗称もらい公害を受けるのが宮崎県であります。しかも、今回の第二次案が、たとえ骨子としましても県知事には何らかの事前の話があったにしても、最も関係の深い串間市なりあるいは日南市に対して、鹿児島県側から具体的に、鹿児島県内の二市十七町でございますが、その町に求められたような事前の意見開陳なり提言を求められなかったところに私は問題があると思うんです。やはり一衣帯水をなすこの開発によって、少なくとも利益よりも被害をこうむるこの関係の市の、県は違う宮崎県の関係市の意見が求められなかったというところに問題が起きておるわけでありまして、その辺の取り扱いなり今後の作業を進める過程として、私は建設大臣にこの際御所見を承りたい。
  149. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 大隅半島の開発計画のことは私も一応聞いておりますし、これは地域住民や関係者の意見も一応聞いてまとめたということも聞いておりますが、兒玉先生おっしゃるとおりです。こういうふうな大開発は、直接の関係県並びに隣県でありましても利害関係が非常に大きな問題をはさむものですから、これは慎重にやらなければなりません。そういう意味において鹿児島県の計画といえども、県自体も今後宮崎県やその他の関係諸地域とも十分連絡をとりながら計画を進めるといったように言われておるようでありますから、多分そうなってくると思います。私ども、その計画は隣県も含めて十分地元住民も納得するものでなくてはならぬ、かように存じておりますから、そういう方向で考えていきたいと思っております。
  150. 兒玉末男

    兒玉分科員 よく大臣の御意見はわかりました。  それでは、再度近藤局長にお伺いするわけでございますが、鹿児島県としても、過疎対策なりあるいは政府の考えているところの生鮮食料品の供給基地としての役割りというものはわれわれも十分理解するわけでございますが、今回の構想は、まあ多少皮肉にとればオブラートで包んで、そして一体県は具体的にこれからどういうふうな計画を進めていくのか、こういう具体的な内容というものがきわめてぼかされて抽象的になされているわけであります。もちろんわれわれは特に農業なり林業なり漁業なり、こういう関係の振興はもろ手を挙げて賛成でございますが、今回工業開発という行為を一番最後段に配したところにわれわれは大きな問題点を感じるわけです。いま大臣も言われましたが、やるとするならば今後具体的な指導をする、あるいはこのような開発行為の窓口が国土庁であるとするならば、今後の具体的な開発行為の計画というものは一体どういうふうな位置づけをし、どのような展望に立って県としてはこういう開発行為を計画されるのか、その辺のことについて国土庁の御見解を承りたいと思います。
  151. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 県の出しました「新大隅開発の方向について」という計画案なるものを拝見いたしますと、いま先生御指摘のように、まことに抽象的でございます。工業開発にいたしましても、規模とか位置とか、そういったものはすべて白紙でございます。したがいまして、県としても、現在は大隅開発の今後の方向はこういう方向でやっていきたいという一応の県の態度を固め、関係市町村あるいは隣県はもちろんでございますけれども、要するに地元の意見を十分聞いた上でこれを具体的な計画にこれから練り上げていこうということであろうと思います。したがいまして、われわれとしてはそういった関係者の動きというものをこれから慎重に見詰めていきたいと思っております。  なお、これからの開発につきましては、先ほど建設大臣からもお話ございましたように、地域住民の意向を離れてはないわけでございますので、県としても慎重に関係住民の意見を計画の中に反映することと思いますが、政府としてもそういった方向で指導してまいりたい、このように考えております。
  152. 兒玉末男

    兒玉分科員 建設大臣は特に漁業関係、農林水産関係のベテランでありまして、これからの問題についても十分御理解いただきながら一つ私がお聞きしたいことは、これは環境庁の関係の方にお伺いします。  県民が一番懸念していることは、骨子ではございますけれども、石油部門の開発ということが明確に規定をされているわけであります。問題は、第一次試案よりもかなり後退した形、たとえば貯蔵部門と精製部門、こういうふうに、またその取り扱いにもかなり後退した形で表現されておりますけれども、私は、もし石油部門が進出するとするならば、恐らくこの埋め立て構想から考えましても、将来大規模の石油精製工場なり石油関係の工場のいわゆる立地すべき条件が整うならば、拡大する方向ということが十分懸念される。  そこで問題は、この開発指定地になった場合に、具体的な作業を進める場合に問題となりますのは、いわゆる環境破壊、自然破壊であります。現在、御承知のようにここは国定公園の指定地域でございますが、環境庁としては特に宮崎県側が懸念しておりますところの公害発生なり自然破壊、環境破壊に対応しましてどういうふうな姿勢でお臨みになる御決意なのか、お伺いしたいと存じます。
  153. 小野寺秀雄

    ○小野寺説明員 大隅の開発計画につきましては、まだ内容的に県の方から正確に聞いておりませんし、また報告がございません。一般的に大規模開発、特に工業開発となりますと、環境影響評価というものを厳重に行いまして、その環境のおさまる範囲内で開発を進めていく、常に開発の段階ごとにモニタリングを行いまして、これを追跡していくといったようなことが必要かと思います。
  154. 兒玉末男

    兒玉分科員 いま課長のお話をお伺いしているわけですけれども、少なくとも県側がこのような縮小した形であれ提議をし、しかも第一次試案が出た際に、関係の漁民なりあるいは沿岸漁民が鹿児島、宮崎県を通じまして、これはすでに新聞、テレビを通じても環境庁としては十分理解されていると思うのですが、やはり住民の環境破壊なり石油公害への心配ということは、たとえば鹿児島湾の日石基地なりあるいはスラッジなり、また先般の水島事故等に見られますように、異常なまでに神経をとがらしているわけであります。しかも、このような開発行為の前提となる条件は、直接に開発行為を行うのは鹿児島県でございますけれども、環境庁の所管である宮崎、鹿児島両県にまたがる国定公園の指定解除ということがなければこのような開発行為は絶対できない、こういうようにわれわれ理解をしておるわけですが、その辺の御見解はいかがでございますか。
  155. 日下部甲太郎

    ○日下部説明員 御承知のとおり日南海岸国定公園は昭和三十年に指定されまして、宮崎県から鹿児島県にわたる海岸地域が指定されているわけでございます。今回鹿児島県で発表されました新大隅開発計画というものは、私どもの方はまだ十分伺っておりませんけれども、恐らく同国定公園の志布志地域に関係が出てくるものかと思うわけでございます。しかし、この大隅開発計画は一つの素案でございまして、地域住民等、関係方面のいろいろな方々の御意見を伺って検討していくと鹿児島当局も言っておるわけでございますが、私ども環境庁といたしましても、今後関係方面の御意見を十分に配慮いたしまして、今後の問題については自然環境保全の見地から十分に慎重に検討いたしたいと考えております。
  156. 兒玉末男

    兒玉分科員 通産省の方にお伺いしたいわけでございます。  環境庁としましても、あるいは国土庁の近藤局長の御見解にしましても、直接は国の指導のもとではないのだ、鹿児島県が自主的に計画をしたものだ、こういうふうなできるだけかかわり合いを持たないような御見解でございますけれども、私は少なくとも県がこのような開発行為を計画するにしても、関係の特に環境庁、あるいは石油企業を含むとする骨子が明らかにされている以上は、これらによって与えられる影響を十分考えるならば、なかんずく通産省の方としても、石油企業ということが入っておる以上は、これに対する関係住民、関係自治体の意見が事前に開陳をされ、その上に立って県に対する開発行為の行政指導をすることが環境庁なりあるいは通産省等の責任ある姿勢ではないか、こういうように考えるわけでございますが、特に通産省としてはこれらについてどういうような御所見を持っておるのかお伺いしたい。
  157. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 先生御指摘のとおりであろうと思っております。現在発表されております「新大隅開発の方向について」という資料は、いままでいろいろ御答弁申し上げましたように、さらに地元にフィードバックしまして、さらに具体的なその住民の意思を確かめていくというための資料であるというふうに聞いております。  先生御指摘のとおり、宮崎県の関連市町村につきましては、現在鹿児島県内の二市十七町にわたるような意見の聴取はしておらないようでございますけれども、おっしゃるとおり、かなり広い地域でのその影響というものは当然考えなければいかぬと思いますので、今後鹿児島県庁としては、宮崎県庁を通じまして、その両県の間の連絡調整の問で宮崎県下の関係市町村の意思を確かめていきたいという意向のようでございますので、私ども今後精力的に両県の間にそういう意見の聴取ということが行われるものと当然期待しておりますし、また私どもとしてもそのように指導してまいりたい、そのように考えております。
  158. 兒玉末男

    兒玉分科員 いま箕輪課長の御意見はきわめて適切な御意見と私は承っておきます。  そこで、私は、この際仮谷大臣にお伺いしたいことは、そのほかに農業振興あるいは畜産あるいは露地野菜栽培、さらに開発行為が起きた場合に一番直接的な被害を受ける漁業関係についても、漁業振興を図るということを書いてありますけれども、今日このような石油部門が出た場合には、恐らく沿岸漁業というものはもうできないであろうという懸念をします。かつて戦前は連合艦隊が一週間、十日滞在しただけでも沿岸の魚は食えない、こういう長い伝統と歴史の中にいじめられているのが宮崎県沿岸の漁民であります。こういう点等から、今後、単なる漁業振興といいましても、小型の十トン、十五トンの船をつくるのでも三千万から四千万の金がかかるわけであります。現在の漁業対策からして、それだけの船を建造して、そうして何年かかれば償却ができるのか、償還できる見通しがあるのか。あるいは農業関係にしましても、きわめて低生産地帯でありまして、この工業開発がもたらす、たとえば雇用関係なりあるいは教育環境なり、交通関係にしましても、非常に住民としては夢のように受け取っておるわけでありまして、この中で公害だけが住民に振りかかったとするならば、何ら住民の利益にならない、こういう非常な懸念を持っているわけでございますが、このような総合的な立場から、少なくとも単に鹿児島県側だけの意見ではなくして、特に宮崎県が要望しているところの公害、立地条件、振興対策あるいは漁業関係対策など、このような県民ひとしく要望する意見が十分に反映されるような事前の対策をとることが、今後鹿児島県側からの作業を進める上において欠くことのできない必須の条件だと私は考えるわけでございますが、大臣の見解を承りたいと思います。
  159. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 考え方は全く同感であります。沿岸漁業というのが、最近さなきだに河川のいろいろな汚染や公害の汚染等で非常に痛めつけられておる。ことに油の問題等があって、特に昨年は沿岸漁場開発法という法律までつくって、新しい沿岸漁場を救済しょうという方向までできているときですから、そういう意味でこれ以上沿岸がいろいろな面で汚染されるということは漁民にとっては大変な問題であります。これは日本の食糧問題からいっても大変だと思っております。この間の水島の問題から考えてみましても、こういうものは厳にわれわれは考えていかなければなりませんから、今後の開発に当たってはそういった面を十分に配慮して進めていくべきであるという考え方は全く同感で、そういう方向で私どもは考えていきたいと思っております。
  160. 兒玉末男

    兒玉分科員 大隅開発に関しては、時間がありませんのでこれで終わりますが、大臣、最後に念のために申し上げたいことは、長年の間懸案でありました、志布志湾のすぐ近くに、串間市でありますが、ビンダレ島という島がありまして、特に漁業関係が浅海養殖場として、ようやく本年度から三年計画、三億円の資金を投じまして養殖場の建設にかかったばかりであります。そういう点からも漁民は非常に深刻な受けとめをしていることもこの際念頭に置かれたいということを要望申し上げます。  次に、これは若干趣が変わるわけでございますが、現在、これは全国共通でございますけれども、総需要の抑制によりまして、特に土木関係工事予算というものは非常に縮小されております。その中で、特に私ども宮崎県等は零細な土建業というのが多いわけでありますが、いずれにしましても、きのうお聞きしたところによりますと、現在、建設省関係では、A、B、C、D、Eと五つのランクに業者の段階が区別をされておるようであります。これはもちろん予算規模でございます。これによりまして工事可能性の問題、恐らくいろいろな点がありましょうが、私たちのところに入る陳情は、特に中央の大手の業者が、地域のわずかな、三百万、五百万あるいは一千万、こういうふうな本当に零細な分野まで、あの手この手で食い入って、地域の零細企業は大きなしわ寄せをされている。少なくとも、この建設省の規格によりましても、Aが三億円、Bが一億二千万から三億未満、Cが一億二千万未満から三千万、Dが一千万から三千万、Eが一千万未満、こういうふうに一応の仕分けはなされている以上は、やはり零細な中小企業の分野というものは、毅然として確保されてしかるべきではないのか、これは特に道路関連産業において余りにも極端な行為がなされている、こういう不満がうつぼつとして実はあるわけであります。先般、天下り問題等も指摘されて、建設省自体の姿勢を正すべきだということも言われている段階であります。まして、今日の総需要抑制あるいは公共事業関係繰り延べ、そういう厳しい状態にあっても、やはりこのような零細な下請、零細な中小企業というものは今日の大きな建設行政に寄与してきたことは、これは絶対否定できない、こういうように考えるわけでございますが、このような大手の企業の、末端の下請企業へのいわゆるお構いなしのこういう侵食行為について、どういうふうな指導と措置を考えておるのか、お伺いしたい。
  161. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 おっしゃるような意見をしばしば承るのでありまして、あるいはそういう問題も例外としてはあるかもしれませんが、四十九年度は総需要抑制、五十年も抑制ということで、公共事業は大変圧縮されております。そういう意味でいわゆる公共事業関係の業者が従来よりも大変窮屈な思いをしていることも事実であります。しかも、四十九年度は八%繰り延べするという絶対条件が備わっておりますが、そういう中で、特に業者の中でも九九%以上を占める中小業者が非常に苦労していることもよくわかっておりますから、私の方としては、四十九年度はその繰り延べの分は大体大規模事業を繰り延べて、できるだけ中小規模事業を優先してやるという形でいままで努力もしてまいっておるつもりであります。  それから、一番大事なのはやはり地元の中小業者、優良業者を優先的に考えるということ、これはもう私どもは従来そういう考え方でいったと思うのですけれども、今回は特に、これは出先にもあるいは地方都道府県にも、厳重に至上命題として私どもお願いをいたしております。できる限り地元の中小業者に優先してひとつ受注の機会を与えてくれということをいたしておりますし、したがって発注の場合も、できることなれば分割して多くの機会を与えるようにしよう。  それから、中小業者の体質の問題等もありますので、できれば共同経営とか協業化とか、そういったものも奨励をして、力を合わしてとるようにしてくださいという形、いろいろ実は指導をやっておるわけでありまして、もちろん不十分な点もあるかと思いますが、今年度一-三月の分もかなり大幅に私どもは契約を発注するつもりでおりますから、そういう意味で、いま言ったような趣旨でこれから中小業者を優先してやりたい、これは至上命題としてやりたい、こういうつもりで努力をいたしておるわけであります。
  162. 兒玉末男

    兒玉分科員 せっかく中小企業庁の課長もおいでのようでございますが、県の中小企業団体連合会でも特にこういうふうな要望が、単に土木関係でなくして、全般的にそういう要請が出ておりますので、この際中小企業庁の見解も承っておきたいと思います。
  163. 真木祐造

    ○真木説明員 ただいまの問題につきましては、毎年度国の中小企業に対する契約方針というものを閣議決定いたしておりまして、四十九年度の方針といたしましては、特に中小建設業者に対する配慮ということで、財政執行の抑制措置を実施する場合においても、中小建設業者の受注機会の確保について特段の配慮を払うということを規定しておりまして、その実施を各省お願いしておる次第でございます。われわれといたしましても、ただいまの御趣旨を体しまして、今後とも各省協力をいたしまして中小建設業の受注機会の確保ということで努力いたしてまいりたいと思います。
  164. 兒玉末男

    兒玉分科員 終わります。
  165. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて兒玉末男君の質疑は終了いたしました。  次に、田邊誠君。
  166. 田邊誠

    田邊分科員 水の問題を御質問いたします。     〔主査退席、内海(英)主査代理着席〕  毎年実は質問しておりますが、仮谷さんが前に建設政務次官のときも私質問したわけであります。  いま、御承知のとおり大変なスタグフレーションと言われるむずかしい時代になってまいりました。総需要抑制を続けているわけですが、これから先もいままでのような経済の高度成長は望めない、低成長という形になってまいります。特に資源は有限であるという、これは何も油に限ったわけじゃございません。それに関連をいたしまして、もう電気にいたしましても、あるいは水にいたしましても、いずれにいたしましてもそういう有限な資源というものに対するこれから先の求め方、使い方については慎重な配慮が必要であるというふうにわれわれは考えられると思うのです。  水に限って言いまするならば、日本は水は豊富であると言われておりましたけれども、大臣の郷里である高知県も急流でありますけれども、この急流をただせきとめれば水はたくさん利用できるというような考え方は、われわれはこれから改めていかなければならぬと思うのです。建設省がたびたび広域利水調査第何次報告書というものを出しておりまするが、私、実はいままで利用させていただいた第一次報告書とそれから昨年の第二次報告書を見ましても、この水需要の総量というのは余り変わっておらないのでありまして、昭和六十年度に予想されるところの水利用は総計でもって千百六十二億トンであります。そして生活用水が二百六億トン、工業用水が三百七十億トン、それから農業用水が五百八十五億トンというふうにほとんど変わっておらないのですが、私は、いままでお伺いいたしまして、この中で比較的不確定要素は工業用水で、あとは余り変わらぬと言われてきたのですけれども、この水需要の将来の見通しというものも、いま申し上げた低成長の時代、資源を有限のものとして考えるという、こういう時代に入った現在においては、この見通し自身もかなり大幅に変わってこなければならぬのではないか、こういうふうに思っておるわけですが、いかがでございましょうか。
  167. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 国土庁ができまして水資源局の方で長期的な水需給の見通し等についてはいろいろ検討作業を進めております。建設省で第二次利水調査報告を出されまして、これも今後の水不足に対する警鐘として非常にりっぱなリポートだと思うのであります。私どもそれらのリポートあるいは今後いろいろな各省庁または各県の資料をもとにしまして、特に需要見通し等につきましては、かなり社会情勢も変化しておりまして、早急にその辺の見直しを進めたい、こう思っておるわけであります。
  168. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、特に工業用水等の面についてはかなり今後の経済見通しとからめて見直していただかなければならないのではないか、こう思っておりますので、その点は大臣もおわかりいただけると思うのであります。しかし、生活が非常に近代化しておることと、それから東京等の都市圏の人口の増加率は減ってはきていますからそういった点の修正はいたしますけれども、なおかつ実は日本全国を見た場合には、水需要の見通しとそれの供給体制とのいわばバランス状態からいいますと非常にアンバラができておるわけであります。やはり首都圏あるいは近畿圏あるいは中京圏と言いましょうか、名古屋近辺ですね、こういったところは今後も水の不足は続くものとお考えでございましょうか。
  169. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 仰せのとおり首都圏近畿圏、北九州あるいは中京圏は非常に水需給が逼迫しております。特に人口あるいは工業の設備状況と言いますか、そういうことから見まして、特に首都圏においてはもう供給余力が余りないということで、私ども利根川、荒川を中心としました水資源開発基本計画の全面見直し作業をいま作業中でございまして、六十年目標でその計画を策定したいということで作業中でございます。  ところが、各県、各省の御要望を見ますと、非常な需要がありまして、これに対して供給力はもう限定されているということで、今後は需要の抑制、その方策として地方分散とかいろいろございますけれども現実に人口がかなり伸びていますので、特に需要の抑制、それから工業用水については徹底的な合理化対策をやっていく、そういうことで需給バランスを現在検討中でございます。
  170. 田邊誠

    田邊分科員 言われるとおりに水不足に対応して、あとで時間があればお伺いいたしますけれども、特に需要の面における抑制の具体的な政策というものはどういう効果があらわれているのか、いろいろと実はお聞きをしたいと思うのですが、それはさておきまして、一番問題なのは何といっても東京でありまして、首都圏の中における東京、昭和四十六年の場合には大体年に十五億トン、これが昭和五十五年になりますと約三十億トンの水が必要であると言われておるわけであります。そして、これは全体の二〇%から二五%ぐらいを東京並びにその周辺が占めるという状態であります。私どもはいま言った工業用水や、事務所、官公署、学校等の大口需要についていろいろと考えなければならぬと思っておりますが、東京を中心とした場合、家庭用水ですね、京葉地帯はまた別ですけれども、東京の場合に限って見れば、家庭用水は従前よりも若干であるけれども率はふえているというふうに言っているわけですね。それはそういうことでしょうか。
  171. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 仰せのとおり多少漸増の傾向でございます。しかし、もう大体一人一日最大給水量というのはまあまあ横ばいと言いますか、頭打ちに近づいているという感じじゃないかと思います。
  172. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、首都圏の水不足に対してどう対処するかということは、これは実は政策的にも非常に大きな問題であるわけですが、その中で東京が頼っておるところの水源別の依存度を見ますると、圧倒的にこれは利根川が多いのであります。江戸川を入れまするならば昭和五十五年には八一・九%になるであろうと言われておるわけであります。したがって、東京の、あるいは京浜、京葉を入れまするならば、昭和六十年のこの地帯の水不足は三十一億トンに及ぶだろう、こういうように建設省報告では言っておるわけでありまするが、この中でもって河川に依存する度合いのうちでまた利根川に依存する度合いというのは従前よりふえてきている。四十六年当時に比べてみてもふえてきておるわけでありまするけれども、今後は一体依存度というのはどういうふうになっているのでしょうか。
  173. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 具体的な数字については、ちょっとまだ検討不足で申し上げられませんが、御承知のように非常に地盤沈下が関東南部地域に進行しています。これの地下水の代替水源としてどうしても表流水依存に肩がわりしなければならぬという事情もございますし、それから需要増も特に埼玉、千葉等において人口増が急激でございます。したがって、今後とも利根川あるいは荒川に依存する河川依存度は従来よりももっと大きくなる、これは間違いございません。
  174. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、毎秒百三十トンぐらいの新規の水需要があるといわれておるこの東京の場合、利根川水系の第二次基本計画は五十年度で終わるわけでございますけれども、第三次の基本計画についてはどのようにお考えでございましょう。
  175. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 いまの基本計画は四十五年から五十年度までということになっております。現在これの全面見直しをするということで四十五年から六十年までの計画とするというたてまえで、しかも昨年の十二月、荒川水系を水資源開発水系と指定いたしました。したがいまして、利根川、荒川を含めた一本の基本計画として策定したいということで考えております。
  176. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、利根川の開発余力というのは一体あなた方どういう見通しを持っているのでしょうか。もしおわかりでなければ私の方で大体知っている限りで言いまするならば、流出量を百三十億トンと見まして、これに慣行農水十三億トンを合計いたしましたその五二%ぐらいでしょうか、これを掛けました約八十億トン、これが利用率である。その中でいま開発されているもの、計画中のものを入れまして約六十三億トン、したがって開発余力は約十七億トンぐらいではないか、日量に直しまして四百六十万トンぐらいではないか、こう言われておるのですが、大差ないですか。
  177. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 大体そんな程度のことで、私ども二十億トン近いものではないかというふうに考えております。
  178. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、それをあなた方は一体どういうふうに開発を進められるという計画をお持ちでございましょうか。
  179. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 従来の常識的な対応策としましては流況の平準化ということで、ダムあるいは調整池等の建設ということが第一に考えられます。利根川につきましては河口ぜきもつくりましたし、霞ヶ浦の開発も進めておるわけです。今後は一層そういうダム等の建設を促進するとともに、地域によってでございますが、特に南関東地域の農地の壊廃がかなり進んでいますので、農業用水の合理化によって利水転換を図っていくというようなこと、それからまだ具体化はしていませんけれども、下水処理水の再生利用ということで、この辺も高度処理していけば一応今後相当の利用可能量が出てくるのじゃないかということで、私どもは対応していきたいと思っております。
  180. 田邊誠

    田邊分科員 そこで大臣、いまお聞きしたように、いわゆる水のいろいろ使い方の抑制、いま言われた再利用、再生等ももちろんしていかなければいかぬが、その絶対量が不足してどうしても水は川に頼る、首都圏の場合は利根川主力であるというかっこうですが、私どもの県なんかを見ましても、ダムが随所につくられて、その犠牲になってきた県でございまするが、もうそろそろそういったところには――何か数字上から言いますと約二十億トンぐらいの開発余力があるというのですけれども、たとえばいま建設中の群馬県の渡良瀬流域の草木ダムについて言えば、開発水量というのは毎秒十二・六トン、都市用水は七・八トンですね。ところが、霞ケ浦の開発で言いまするならば、開発水量は毎秒四十トン、都市用水は二十三・三六トン、大変な違いがあるのですよ。ですから、流れているのだからそれを上の方でせきとめればいいというようないままでの考え方だけでなくて、一つはこういう湖沼によって水をためる。あるいは利根川の流域にしても、いままでもやってきましたけれども、それをつなげる。それからもう一つは、前の木村大臣や金丸大臣等にもお聞きをいたしまして、どうも首都圏の水は首都圏で、こういう考え方だけじゃだめじゃないかという話をしましたら、信濃川あたりから――信濃川は三十億トンの実は開発余力を持っている、阿賀野川は十七・七億トンの余力を持っている、富士川は十四億トンの開発余力を持っている、こう言うわけですね。ですから、さっき申し上げたように地域的に需要のアンバランスがあるのですから、そういう多角的な考え方でもってこの問題に対処しなければならぬのじゃないか。関東の水は関東でというような考え方では、その上流県は私は承知しないということだと思うのですが、お聞きになってどうでしょう。
  181. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 実は私も高知県でずっと戦後ダムをつくっており、しかもそのダムはみんなそれぞれ他の四国の三県のための水資源ということでかなり犠牲を払ってきておりまして、私どももずいぶんいままで苦労をしてきた問題であります。田邊先生のおっしゃる問題は私はよくわかるのですが、たとえば沼田ダムの問題にしましても私どもずっと聞いております。これを建設すると大変な被害者が出るようでありますね。いかに首都圏の水が大事かといっても、それだけの人を犠牲にしてまで建設することが一体どうかという問題、しかしそれが不可能とすれば、一体それにかわるものはどういうものを考えるべきか、おっしゃるようなその地域だけでなしに、もう少し広域的な考え方はないかといった問題は真剣に考えなければいかぬ問題だと思っております。水もただでないから使うことも節約してもらわなければならぬし、高度の利用計画も立てなければならぬし、そういう問題もやるけれども、やはり絶対量が足らぬということになると、新しい水の開発はどうしてもダムに頼らざるを得ないということは御理解いただけると思うのです。それを特定の地域だけに特定の犠牲を払わしているということだけでなしに、もっと知恵を働かして、本当に広い立場で検討してみる必要がある、またせなければならないところまで追い込まれてきているのじゃないかと思いますから、そういう面で今後はひとつ検討を進めてまいりたい、かように存じております。
  182. 田邊誠

    田邊分科員 いま大臣の基本的な考え方を承って、いまお話に出ました沼田ダムは、実は私は十年ぐらい国会でやってまいりましたが、数年前までは、つくる、あるいは地元の納得があればやる、地元へ水を分ければいいじゃないかと、いろいろな意見がありましたが、ここ二、三年は、とてももういまの状況の中でもってこれだけの犠牲を受ける、いわば山の奥じゃありませんから、かなりの都市、数千戸の水没があるという状態の中では、これはつくるべきでないというのが建設大臣のお答えであったわけです。これは従前と考え方が変わりないと承ってよろしゅうございますか。
  183. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 それで結構です。
  184. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、沼田ダムは、これはもうつくるという計画はおありでない。これは河川局長、いまの計画というのは昭和六十年までの状態だというけれども、まあ昭和六十年と言わないで、いまのところあなた方の頭の中にはないと考えてよろしゅうございますか。したがって、そういった面に対するところの、利根川の全体的な予備調査や流域調査はやるでしょうけれども、沼田ダムを対象にした調査というのはないと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  185. 増岡康治

    ○増岡政府委員 沼田ダムにつきましてはいま大臣が申し上げたとおりでございますが、いま私どもは大体六十年度までは沼田ダム以外でいろいろと調査をいたしまして、この需要量に持っていきたいということでございまして、御承知のとおりいままで矢木沢だとか下久保あるいは利根川河口ぜき等を建設し、毎秒七十立米を生んだわけでございますが、現在八ツ場ダムも残っておりますし、それから竣工間際の草木ダム、それから霞ケ浦、川治ダム、思川の開発、奈良俣、あるいは流況調整河川でございます広域導水路事業をやっております。     〔内海(英)主査代理退席、主査着席〕 それで、いま早くできそうなのが草木ダムで、五十年には概成するだろう。あるいはまた野田導水事業、さっき先生おっしゃったように有機的に物を使えという一つの代表でございますが、これも五十年には概成するということで、次々と首都圏の中におきましては、先ほどから話がございましたように、できるものからどんどん精力的に進めさしていただきますが、将来のことにつきましては、これは水資源局長の方の立場でまた一緒に広域的な調査をやらなければならないと思っておるわけでございます。
  186. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 いま河川局長から申し上げましたとおり、六十年以降の問題につきましては、これは相当深刻な状況になりますので、私ども二〇〇〇年あるいは二〇二五年、そのくらいを見通した長期的な水開発利用の見通しというものをできるだけ早い機会に作成したいというふうに考えております。
  187. 田邊誠

    田邊分科員 正確にお答えはないけれども、したがって沼田ダムに限っては予備調査等はされていないと、受け取っていいですね。
  188. 増岡康治

    ○増岡政府委員 現在のところ六十年度以降には再びこういう問題が出るかどうか予測つきません。しかしながら、いま大臣が申し上げたように、六十年度までは、いま沼田については精力的にはやっておりません。
  189. 田邊誠

    田邊分科員 あやふやな答弁じゃ困るじゃないか。ぼくは、利根川全域の流域調査はやっているだろうけれども、特定の沼田については予備調査は、これは一時やっておったのですよ。それはいまやってないだろうと、こう言うのだよ。はっきりしてください。
  190. 増岡康治

    ○増岡政府委員 はっきり申し上げますが、現在のところ、やっておりません。
  191. 田邊誠

    田邊分科員 そうすると、それ以外に、いまちょっと出ましたが、利根川の本流の上流については、いまのところは予定をしておる予備調査やあるいはその他の計画に入っておるダムは奈良俣だけですか。
  192. 増岡康治

    ○増岡政府委員 そのとおりでございます。
  193. 田邊誠

    田邊分科員 八ツ場についてはおそらく私の同僚の山口君がまた質問すると思いまするから私は省きまするけれども、いま施工中の草木については、補償は全部終わりましたですか。
  194. 増岡康治

    ○増岡政府委員 草木については、まだいろいろと若干の問題が残っておるということを水資源公団から聞き及んでおります。
  195. 田邊誠

    田邊分科員 個人に対する補償はおおむね終わっておるのじゃないかと思うのですが、問題は地域に対するところのいろいろな具体的な補償、これがまた、われわれが水源特別立法をつくりました際も、金だけじゃいかぬぞという話でもってこの法律ができたんですが、そういった趣旨から言いましても、この地域に対するところのいろいろな手だて、つけかえ道路や橋梁や施設や、そういったものについての補償もまだ十分終わってないのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  196. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いろいろまだ残っておるかもしれませんが、残った問題についてさらによく公団と相談しまして、草木ダムもそろそろ概成に近づいてきますので、精力的によく水資源公団の指導に当たりたいと思っております。
  197. 田邊誠

    田邊分科員 一例として申し上げるのは、あそこに古河鉱業の金属事業部に属しまする神戸発電所というのがございまして、私この従業員の方々とついこの間も話をいたしましたけれども、実はこの地域の補償が、公団側といろいろと昨年の七月十六日に打ち合わせをした、そしてこれに対しては、それはゼロじゃない、地域に対するところのいろいろな個人補償と同じように水没者並みの補償をする、ついてはひとつこの状態を知りたいから、まあ参考にするために立入調査をさせてもらいたい、そしてまた参考資料としてその人員や給与や会社の規程等をひとつ提出してもらいたいというので提出をして、一週間後ぐらいにはこれは回答すると公団が言ったというのですが、いまだにナシのつぶてだというんですね。ですから私は、そういった点から見ましても、どうも公団というのは水没をする人たちに対して金だけやればよろしいという、こういう考え方じゃないかと思うのですよ。この施設に働くところの人たち、それから水没するところの発電所の行方等について、やはり明確な態度と対処が望まれてやまないわけだと思うのですが、それはお聞きでございますか。
  198. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いま先生の御質問の件はよく水資源公団から聞いております。非常に最近積極的にこれに対処しておるということでございます。特に一般補償以外に、従業員の方が十七、八名いらっしゃるということで、いわゆる従業員対策をどうするかということが一番焦点であるということでございまして、これらのことにつきまして、ひとつ適切な補償がなされるよう、水資源公団に対しても行政指導をしてまいりたい、公団の方も非常に積極的ということを聞いておりますので、よく打ち合わせをしております。
  199. 田邊誠

    田邊分科員 積極的だって、当事者に対して全然話が伝わってこないのですよ。ですから、これはひとつ、時間がないから私に状況を報告していただくと同時に、その状態に応じて私どもの意見もありまするからお聞きをいただく、こういうことをひとつお願いしたいと思うのですが、どうでしょう。
  200. 増岡康治

    ○増岡政府委員 水資源公団の方と打ち合わせまして、先生の方へいまにおける状況報告を申し上げます。
  201. 田邊誠

    田邊分科員 終わります。
  202. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて田邊誠君の質疑は終了いたしました。  次に、金丸徳重君。
  203. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 私は災害対策を承っております者の一人といたしまして、主として地震関係、わけても地震予知に関しまして端的にお伺いをいたしたいと思います。  昨年の暮れ、「最近における多摩川下流地域の地盤隆起現象について」という大変注目すべき警告が地震予知連絡会の萩原会長さんから出されまして、非常な注目を呼んでおります。そして、この警告につきましては、国土地理院の調査がその根底をなしておるようであります。この警告をなすまでに至りました事情その他につきまして、地理院の院長さんは予知連絡会の重要メンバーであられるので、その間のいきさつをごく端的にお伺いして、そこから始めたいと思います。
  204. 井上英二

    井上説明員 それではお答えいたします。  実は、この地方につきましては、地盤沈下地帯でございまして、以前から水準測量を繰り返し行っている地区でございます。この地域はもともと非常に地盤沈下の激しい地域でございまして、明治以来八十センチくらい沈下しておりますが、最近、水規制が行われるようになりまして沈下がとまった。とまっただけなら問題はないのですけれども、それからここ数年隆起を続けている、これがわれわれの水準測量の結果から出ております。  大体、地盤沈下地域で水規制をしまして沈下がとまりますと、一時反動的に隆起するという現象が方々で見られているわけなんですけれども、この川崎地区につきましては、ちょっとその隆起の状況が新潟地震の前の隆起に非常に形が似ているということで、地震予知連絡会ではこの問題を討議いたしまして、これは果たして地震の前兆となるものか、あるいは単なる地盤沈下の反動なのか、あるいは、たとえ地殻変動といたしましても、地震につながるのか、つながらないのか、こういう点を議論いたしましたが、やはりこれは非常に大切な場所であり、これからいろいろな調査を続けなければいけない。そういうことで、地震予知連絡会の結論といたしましては、今後地元において非常に精密な測量、いろんな測量を繰り返していこう、あるいは測量以外にたとえばラドンの測定だとか、地震の測定だとか、いろいろな方面からひとつこれにアプローチしていこうということで、そのような測量が現地で行われますので、その事情が変に漏れますとかえって流言のもとになるというような心配がございまして、それで、正しい情報を流す方がいいのじゃないかというような結論から今回発表に踏み切った、こんなような事情でございます。
  205. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 文章全体は非常に慎重に慎重を重ねておられるようでありまして、地震、特に地震予知というようなむずかしい問題に取り組む連絡会の心遣いがよくわかるのであります。しかし、そういう中におきましても、地域が非常に大切なところであるゆえに、関係諸機関の方でもこれに対して積極的に取り組んでほしいという要望も強く出されておるのであります。「今回の現象の実態をつかむために、関係各機関が協力して各種の観測を集約的に行うことが必要であると考えます。」これはきっと院長も関係なさって作文なさっただろうと思いますが、私はこの点を非常に重大視しておるのであります。地域が地域であり、しかも、一両年の間にもしかすると震度程度のものが起こるかもしれぬということでありますというと、それを構えて、本気になって関係各機関は、一刻も猶予ならず対策を練っていかなければならないのでありますが、特に国土地理院としてはどのような対策を、この警告を出すと同時に、あるいは受けると同時になさっておられるか、具体的に承りたい。
  206. 井上英二

    井上説明員 それをやりましてから、――科学技術庁に今度できました推進会議というものがございます。地震予知研究推進連絡会議でございます。そこでよく打ち合わせまして、地理院だけではなく、大学、気象庁あるいは地質調査所、方々の測量並びに調査をそこに入れていこうということで、国土地理院の場合には、水準測量でやっていますのは上下の変動であり、上下だけではやはり的確なことはわからないということで、水平の方のひずみがどうなっているかということを調査する予定でございまして、これを四十九年度中に実施する予定でございます。現在、大体選定が終わりまして、これから実施に移る予定でございます。さらに五十年度には、水準測量あるいはそのような水平の変動につきまして引き続いて調査を続けていきたい、このように考えております。
  207. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 特にこれ以来、予算または人員の増強というようなことにつきまして早急に手配する必要はないのでありますか。
  208. 井上英二

    井上説明員 予算の面につきましては、科学技術庁の調整費をいただいております。それから人員につきましては、実はわれわれの本当の仕事と申しますのは日本の国土の測量をするということでございまして、その方の人員を振り向けまして、そのような仕事に積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
  209. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 実は、問題が大きいといいますか、緊急を要すると思いますだけに、何か取り組み方にもいままでとは違ったものがあってほしいように思うのであります。科学技術庁の方の調整費の中からというお答えでありますけれども、それで間に合うものかどうか。地震予知関係について国全体として使っている金というものは、これは改めて申し上げるまでもないのですけれども、余りに少ないように思われるのですね。全体といたしましても、今年度の予算において合計幾らになりますか、二十一億ぐらい、その大部分が大学関係とそれからおたくの方と気象庁、こういうので使われておるのであります。三つに分けますとわずかに六億何がし程度であります。科学技術庁の方で、一億何がしの金を持って、これの中から分け前を少しでもよけいにもらうというようなことでありますと、いかにも少ないように思う、もとが少ない上に。ですから、ほんとうにみみっちいものになりまして、この大きな問題に取り組む緊急体制としては残念至極に思うのでありますが、どういうお考えでありましょう。
  210. 井上英二

    井上説明員 このような研究体制というのは、幾ら予算があっても十分ということはもちろんないと思います。しかし、地震予知につきましては、大学につきましてもあるいは地理院につきましても気象庁につきましても、確かに十分な伸びとは申せないと思いますけれども、ここ二、三年非常に伸びてまいりまして、特に五十年度の政府予算案では、地理院の予算につきましては、われわれの方で地震予知の最も中心課題と考えております精密測量については七〇%余りの増を一応予算案に盛り込んでありまして、このような段階でもちろん十分とは言えないと思いますけれども、一応われわれとしては、この予算をなるべく有効に使って地震予知推進に努めたい、このように考えております。
  211. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 そこで、さらにそれにさかのぼっての懸案事項について触れてまいるのでありますが、地震予知関係の重大さが国の方でも国策として取り上げかけられましてから十年近くなるようであります。そしてその間、一昨年でありますか、測地学審議会永田会長さんから総理大臣あてに建議がなされておりまして、その建議を受けまして次の五カ年計画といいますか、いままでやってこられました計画をさらに強化して、各関係機関の方で地震予知について、施設なり運営なりに強化策が講ぜられておるようであります。  そこで、私は、これは国土地理院に関してだけでよろしいのですけれども、これを受けてからどのような計画がどのように進められておりますやら、そしてこの建議事項、かなり細かに、また具体的にも挙げられておるのでありますが、こうした計画が建議者の意思に沿うように実現するのはいつごろと見られておられるのでありましょうか、それをひとつお示し願いたい。
  212. 井上英二

    井上説明員 まず、その建議がなされましてから、少なくとも予算の面では、先ほど申しましたように、十分とは言えないながら、ほかのものと比べるとわりに伸びがいいというように思います。  それから地震予知の体制としまして、いままでございました地殻活動調査室に加えまして地殻活動観測室が四十九年度に新たに設置されました。五十年度の予算案では、このいままでありました調査室と観測室と合わせまして地殻調査部というものがつくられる予定になっておりまして、この政府案が通りますとそれが設置されることになります。これによりましてそのような方の体制は、十分とは申せませんけれども、相当拡充されるのじゃないかと思います。これによって、地震予知連絡会の事務局をわれわれの方は預かっておりますけれども、そのような方も十分整備されるのじゃないかと思います。  予算面につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。
  213. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 十分とは言えないが、まあまあという御意見のようでありますけれども、われわれ国民の側からしますと、ことに地震関係については最近非常に脅かされる。関東から東北地帯におきましては、たびたび震度三なり四なりというようなものが起きておりまするし、ことに宇宙衛星などから観測したところによりますと活断層が方々にあってというようなことが伝えられまするし、それらに関連しまして、地震に対する関心、同時に心配、憂慮の念というものは、国民一般に非常に強まっておるのです。同時に、どうかして、地震をとめるというわけにはいくまいが、それについての予測が、何月何日の何時何分にどれくらいというまでのことではなくとも、およそこれくらいの時間の間にはこういう心配があろうじゃないかというぐらいのことは丁寧に予報されるような、告知されるような事態、状況にまで持っていってもらいたい。そのためには相当の税金を出してもよろしんだとみんな思っていると私は思います。ですから、最初の国土地理院の出発時分における予算をもとにして、あるいはお考えをもとにして、まあまあこの程度ふえてくるならば満足できるということは、そういう国民感情、国民の念願からするとどうも不満足、満足できない形になるのであります。  いかがでございましょうか。このような状況、いま院長がおっしゃるような状況からいったら、いつごろになったらそういう国民の、せめてはというような時代が来るとお考えでありましょうか。
  214. 井上英二

    井上説明員 地震予知という問題、実は非常にむずかしい問題でございます。地震がどうやって起こるか、これも初めから説明いたしますとそのむずかしさがおわかりになると思いますけれども、特に日本の場合には非常に地殻変動が複雑で、アーツの衛星によりましても方々に断層がある、そういうことで地震予知は非常にむずかしい問題でございまして、やはりこれにはお金だけじゃなくて、相当の時間をかけなければならないと私は思っております。  と申しますのは、普通の物理実験であれば実験室で実験すればいいわけですけれども地震のように自然現象で起こる問題、しかも非常に規模の大きな問題は、これはなかなか実験室の岩石実験、それも必要と思いますけれども、やはり地球そのものが実験場というような形になっております。その地殻変動と申しましても、年にしますと数ミリだとか一センチだとか、この程度のものでございます。このようなものを取り上げるためには、お金だけではなくて、やはりある程度の時間をかけないと結果が出ないんじゃないか。われわれ考えておりますのは、そういう意味で、ある程度腰を落ちつけて全国の測量を精密に繰り返してやろう、これは地理院の方針でございますが、気象庁の方はそういうことで地震活動をやる、大学の方は基礎的な研究をやる、そういうものが全部一体となりまして初めて地震予知というのが可能になるんじゃないかと思います。  いつほど地震予知ができるかという話になりますが、たとえば、地震が起こるとすればどこに起こるか、どれぐらいの大きさかという問題につきましては、たとえば測地測量、われわれのやっております精密測地測量がある程度軌道に乗りますと、その見当がある程度つけられるのじゃないかと思いますし、それから、気象庁のやっている地震活動の方からもその見当はつくと思います。一番むずかしいのが、いつ起こるかということでございます。これは、そういう地殻変動なり地震活動なりがある異常を示す、これをつかまえるということなんでございまして、この点につきましてはアメリカ、ソビエト、中国あたりでいろいろな報告もございますが、そういうことも参考にいたしまして、これは実を申しますと、日本の地殻構造が非常に複雑で、アメリカ、ソビエトあるいは中国のような大陸のような簡単なところと違いますので、そのまま応用はできないと思いますけれども、やはりそういう知識も入れましてさらにそういう研究を進めていきたいという面でお金の面も必要でございますけれども、やはりそれぞれ担当する者の熱意と、それから時間がどうしても必要になるのじゃないかと、われわれそういうように想像しておりまして、一応、測地測量から全国的な意味で見当がつくというのは、やはり十年近くかかるのではなかろうか、このように考えております。
  215. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 時がかかることは、確かに私もよくわかります。が、そうであればあるだけ、もし、十年前から取りかかったあの地震予知についての方針が、二十年、三十年前から取りかかっておったら、院長おっしゃるところのその時というのはかなりかせげたはずと、素人には思えるのであります。  どうなんですか。いまの地震予知についてのむずかしさということは私にもわかります。しかし、とにかくそのむずかしい問題に関連しまして、暮れには、いまだかつてない例の警告が出されたんですね。そして、その警告によって行政機関は動き出しておる。世間もそれに対して心構えを新たにしておるわけですから、私は、時が要るからといって、いまのままの歩き方で、テンポでいいとは思いたくないのですよ。そればかりか、この計画の中にはかなり具体的に、これをこうすべきである、あれをああすべきであるということがうたわれておりまして、それによって両三年来、予算面その他におきましてもかなり盛り込まれておる。したがって、また、使い方におきましてもいままでと違ったものが出てくると思うのです。そこで、その使い方なりやり方なりをさらに強化する道はないものかどうか、こういうことをお伺いしておるのであります。  そして、先般の警告におきましてもこうあるんですね。これは私はいいことだと思うのです。「今後、各種の研究、観測が進み必要な資料が入手できますと、社会に対しより正確な判断を伝えることができるものと思います。」こういうことなんですね。きっとそういうお考えの中でお仕事を進められておると思うのであります。したがって、一刻も早く資料を、できるだけ細かに、できるだけ正確に集約して集めていくということが、おくれておる時をかせぐ根本の問題じゃないのでしょうか。そういう意味におきまして、私は、もう五十年度予算というものにそう画期的な増加あるいは強化を願うということはできなくとも、あるいは次の機会においてはこういう方針で臨みたいのだというようなお考えが伺いたいのであります。それによって私どもは、一縷といっては御無礼です、一縷どころか百縷くらいの希望を持って今後に期待いたしたいのであります。いかがでありましょうか。
  216. 井上英二

    井上説明員 非常にありがたいお言葉でございます。実は、二、三十年前から地震予知の仕事を始めていれば、いまはだいぶわかったのじゃないか、あるいはそうかもしれませんけれども、しかし、最近の技術なり地震予知の知識というのは急速に進んでおります。この第三次長期計画ができてからでも、たとえばアメリカのショルツ博士が言いました理論、これは測地審議会が第三次地震予知長期計画の建議をするちょうどその時分に出た議論でございます。そのような議論が次々と新しく生まれてくるものと思います。特に、いままでは大体が日本だけでしか地震予知の問題をやっておりませんでしたけれども、最近はアメリカ、それからソビエト、中国あたりで非常に熱心にやっておりますし、向こうの方が実験場としてはむしろ適しているような面もございますので、そのような新しい知識なりそういうものを入れましてそういうことが新しく生まれてきますと、すぐにでも日本でその実験ができるようにそういう体制をとって、なるべく早く地震予知を進めたい。それとともに、われわれのやっております精密測地網の仕事、これは地殻が変動して地震を起こすわけですから、これが一番もとになる。それから気象庁の地震活動、これはやはりもとになりますので、国土地理院としましては、地殻の変動を調査するための精密測地網の推進にひとつ重点を置いて、なるべく早くこれが完成できるように努めたいと思います。
  217. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 押し問答になるのですが、本当におっしゃるとおり、地殻の変動が一番目にもつきやすいというか調べやすいし、同時にそれが大きな地震の状況を観察するのに都合がいいと思う。なればこそ私は、地理院の方における御活動が非常に願いたいのであります。全国的に網を張り、観測網を張るというようなことがいろいろな状況から言って困難であるとしますならば、指定地なりあるいはそういう重点地域についてだけでもまず早目にその丁寧な網をかけるという方策がいつごろまでにできるのか、それを、この暮れの警告にも関連いたしましてお漏らしが願いたいのであります。国民といたしましては、もう何しろ、年間二十億ぐらいの金をもって地震に対する予知を求めるということに、むしろ後ろめたさをさえ感じるのじゃないかと思うのです。ですから、大きく構えて、勇敢にひとつ政策を進めてもらいたいというのが私の念願です。押し問答になるからこれ以上お尋ねいたしませんけれども、いかがでしょう。
  218. 井上英二

    井上説明員 全国的な測地網のほかに、実は関東地方と東海地方につきましては非常に細かいネットを張っております。それから、五十年度予算案の中には、特に首都圏につきましてさらに細かい網の予算を組み込みまして、もし予算案が通れば、そういう仕事も首都圏についてはやれるのじゃないかと思っております。確かに全国一遍にやりますと、これも非常に必要なことですけれども、重要な地域であります東京から東海について、しかも学者の話によりますと、この辺については地震の起こる可能性が非常に強いという地域でございますので、やはり当面の重点としては、その辺に重点を置いてやっていきたい、このように考えております。
  219. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 そこで私は、大臣にお伺いいたしたいのでありますが、いまのような状況の中で地震予知の重要性が十分考えられるのにかかわらず、まだまだ相当の時間を必要とするような態勢のようであります。事務的に言いますとそういうことであるかもしれません。ただ私は、地殻の変動なりあるいは激震の襲来なりというような事態を構えて、一番の被害者は、建設大臣、あなたではなかろうかと思うのです。住宅問題にいたしましても、治山治水からする河川の問題、道路の問題、堤防の問題、橋の問題、そういうものを考えましても、そういう事態を予想しますると、一番重大な責任を負うのは、建設大臣、あなたであろうと思うのですね。そして、そういう事態が予想もされるとしまするならば、そういうことについての早目の対策を練るためにも、予知関係、予測関係という事業を急速に、また、きめ細かに進めておかれることが大切のように思う。  もう申し上げるまでもないことですが、それにもかかわらず今日までおくれがちであったというのは、問題がむずかしいと同時に、すぐに予想されるような効果、右から左に効果があらわれない。もしかしたならば、非常に金をかけた観測も、非常に努力した試験結果も、むだに終わるというようなことにならぬとも限らない。そういうことをおそれまして、各大学の研究機関におきましても、あるいはまた国土地理院の方でもそうかもしれません、その効果がすぐ見えないことをおそれて、要求なさる場合におきましても非常に慎重に、小心翼々としておられるかもしれない。それはまた、この例を引くのでありますけれども、去年の暮れの予知連絡会の会長さんの文書の中にも見えるのです。このあたりに非常に気がねをしながら、言いたいことは、しかし、地震が起こるかもしれぬので大事にしてくれ、こういうことのようであります。非常に慎重におずおずと物を言いながら、もっともパニックを起こしては困りますから、不測の騒ぎを起こしては困りますからという非常な細かい心遣いが見えるのでありますが、それにもかかわらず願うところは、政府よ、政府よ、この問題にもっと強く力を入れてくれないかということであろうように私には読めるのであります。大臣、これにつきましてはどういうお考えを持っておられるのでありますか。
  220. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 金丸先生の御意見、私は本当に敬意を表して聞いております。こういう問題は、非常に重大な問題でありながらすぐ目の先に予算効果のあらわれない問題で、案外、政治の問題の中でも隠れた存在になっておる。だから、こういう問題を本当に取り上げて真剣に御質問いただく人は、率直に言って、私は先生一人じゃないかと思うのです。そういう意味で私は非常に敬意を表して聞いております。  いま日本で地震の予報が完全にできることになれば、一体それが日本国民にとってどれだけ大きな問題かということは、これはもうだれが考えてもわかることです。ところが、いまこっちからも答弁がありましたように、研究をしながら、なかなかまだまだそこまで成果があらわれない。これはいいかげんなものを発表をしますとまた逆に非常に不安、動揺を与える、そういう点に私は研究者自体にも非常なジレンマがあると思っておるわけですが、昨年の発表を聞きまして、遅まきながら建設省の方でももう少し力を入れようじゃないかということで、五十年度、国土地理院に実は地殻調査部というのを設けた、従来の課を部に昇格さすということをしたわけです。予算もいろいろ圧縮されております小さいものですけれども、七〇%近く伸ばしたということは、せめてものわれわれの前向きの姿勢だと御理解をぜひいただきたいと思うのでありまして、そういう姿勢のもとで今後はひとつ推進連絡会議とも十分に連絡をしながらこの問題と取り組んでいかなければならないと思いますが、問題は取り組む姿勢の問題であります。われわれは、そのために必要なら予算をとってもいいと思っております。おっしゃるように、大蔵省と折衝しましても、右から左にあらわれないものの予算というものはずいぶんとりにくいし、また研究者もそれを言いにくいけれども、そういう予算をつぎ込んで苦労をし努力をして初めて実を結ぶということを考えますと、おっしゃること、まことに同感であります。そういう意味で今後も十分心を新たにしてこの問題と取り組んでまいりたいし、研究者にも大いに馬力をかけて努力してもらいたい、かように思っておりますし、努力いたしてまいります。ありがとうございます。
  221. 金丸徳重

    金丸(徳)分科員 時間が参りましたから終わります。どうもありがとうございました。
  222. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて金丸徳重君の質疑は終了いたしました。  次に、平田藤吉君。
  223. 平田藤吉

    平田分科員 私は、流域下水道問題と公共下水道問題について御質問したいと思います。  御承知のように、代々の自民党政府の高度経済成長政策のもとで、自然環境が大変破壊されております。とりわけ、生活していく上での水質の保全というのは大変重要な問題だというふうに考えるわけです。そこで、一般的に取り上げていたのでは仕方がありませんから、とりわけ埼玉の例を挙げて質問したいと思います。  埼玉県はもとより、この問題は東京都民の問題にかかわり合いのある問題でありまして、荒川の左岸、右岸流域下水道事業のテンポを速めて促進しなければならない。埼玉県下あるいは東京の河川の汚濁はひどいものになっておりますので、このことについてどう考えられるか、まずお聞かせいただきたいというふうに思うわけです。
  224. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 荒川流域の水質対策というものは、場所が場所であるだけに、おっしゃるとおりきわめて重要なものであります。現在、鋭意国費も投入しつつ地元の府県の力によりまして計画的に整備を進めたいと考えておるところであります。発足の時期等に差もありますので、おくれて出たところはそれだけおくれておりますが、かなり膨大な事業でもありますので、私ども、国の予算全体としても大幅な増額を毎年度図りつつ、何とか早急な完成、少なくとも当面の供用開始というところまでは一日も早く持ち込みたい、こう考えている次第でございます。
  225. 平田藤吉

    平田分科員 人口急増県の埼玉県で公共下水道事業を促進できるかどうか、このテンポを速めることができるかどうかは、やはりこの流域下水道事業の進捗いかんにかかっていると言って差しつかえないと思うのです。その流域下水道の中の北部流域下水道ですけれども、これは現在、いまも言われましたように進行中です。熊谷から行田、吹上、鴻巣、北本、桶川の六都市をつなぐもので、関係住民は約六十万人に及んでおります。この住民の環境をよくするために、また、荒川の中流とそれから中川の水質保全のためにも決定的な影響を持つものであるわけです。それだけに関係住民や関係市町村当局それから県、それぞれがこの事業の促進を願って、繰り返し政府に対して陳情してきているところです。  特に、この流域下水道の問題でいま大変心配されておりますのは、管渠の促進と同時に処理場の建設の問題が心配されているわけです。計画は六十三年までですか、それまで待っているわけにいかないので、速やかに一部処理場が開始できるようにしたいというふうに願って努力をしているわけですけれども、五十二年度に一部処理を目指していたのですが、政府の施策によってこれが一年延ばさねばならなくなっているわけです。一部処理を早めるために政府は当然積極的に努力してもらいたいと思いますけれども、これに対して一年延びたというだけのことでは困るわけですね。これに対する対策を立てておられるかどうか、お聞かせいただきたい。
  226. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 御指摘のとおり、流域下水道を供用するためには、必要な管渠も敷設するとともに、とりわけ処理場が完成しませんと使えないわけであります。荒川左岸の北部流域下水道につきましては、元荒川の処理場というものを予定いたしまして、県当局でも用地買収等に非常に御努力なさいまして、ようやく本年度内に用地買収が行われる見通しがついたと伺っておりますので、当面これを先行取得資金で買い上げていただいた上で、五十年度より県の要求に合わせまして処理場の建設工事に着工することができると思います。かかりまして何年か予算のつけ方ばかりじゃなくて事実上も時間がかかりますが、できるだけ早期に完成できるように、また処理場のタイミングと合わせつつ、それにつなぐ末端管渠の整備もこれからピッチを上げてまいりたいと思います。
  227. 平田藤吉

    平田分科員 いまも言われましたように、一部処理を開始するためには処理場の建設とそれから元荒川幹線の完成、さらに元荒川中継ポンプ場の建設があわせて促進されなければならないわけです。この点についても、三つ合わせると相当額になるのですね。国の方の体制が固まって促進していただきませんと、この三つ合わせて進めるということがなかなか困難になるわけですよ。そういう意味で十分な配慮をすべきだと思うけれども、どんなふうに考えておられるか、お聞かせいただきたい。
  228. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 明年度予算につきましては、現在各県からの要求をヒヤリング中でございまして、傍ら国会における予算審議を経まして、できるだけ要望に応じられるような配分を考えたいと思いますが、下水道の予算全体では、他の事業に比べれば五十年度もある程度伸ばしていただいておりますけれども、何分にも建設単価の上昇、用地費の上昇等もあり、かなり膨大な計画が全国的にも一斉に出てまいっている状況でありますので、必ずしも御要望のとおりに国費がついていけるかという点は、できるだけ努力するとしか申し上げられない点、まことに申しわけありませんが、御指摘の点もありますので、特に重要なこの個所について十分考慮さしていただきたいと思います。
  229. 平田藤吉

    平田分科員 もう一つ重要な点は、現在計画されているのは、二次処理の計画で事業が進んでいるのですね。建設省の下水道部から出されている目標によりましても、この流域というのは三次処理が必要であるというふうに言われているのですね。二次処理ですと二〇〇PPmまででよいという基準になっておりますので、これでいきますと、河川の汚濁が結局は余り改善されないのじゃないかという心配があるわけです。いずれにしても一遍にはできませんから、三次処理ができる見通しを持った仕事の仕方が必要ではないか。二次処理までの処理場をつくって、三次処理をしたいという時期には、今度は、土地は確保できません、何はできませんというような結果が出てくるのですね。そういう意味で、三次処理の展望を持った仕事の組み方をする必要があるというふうに思うのです。これが一点。  もう一点は、この工事、大変大きな工事ですから、直接的には周辺の井戸に水が出なくなったり、工場の井戸に水が出なくなったり、かなりの期間にわたって障害が生まれる。この損害補償が相当数に上るのですね。ですから、この損害補償についてもやはりあわせて考えてやるべきではないかというふうに思うのですけれども、どういうふうにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  230. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 まだ二次処理の計画にかかったばかりということですから、なかなか三次処理までは急にはいきませんが、しかし、御指摘のような用地問題等はいまのうちに対処しておかなければならないということであります。いずれは、このような過密地域の処理場は、どうしても三次処理までいかないと本当の意味の水質対策にならないということでありますので、この元荒川の処理場につきましても、三次処理場建設に必要な用地もあわせて確保しておくという方針でやっているわけであります。  なお、井戸水がかれたりするいろいろな損害補償についても補助対象とすべきだという御指摘でありまして、私どもも、いろいろな下水道工事、これに伴いまして直接に損失が第三者に出てくるという場合には、施行者として補償をすべきが当然でありますし、その損失補償につきましては国が補助しないというわけでもないわけでありますが、ただ、流域下水道パイプにつきまして補助対象率を九〇%としております。残り一〇%というものが工場排水等の、将来工場等に使用料等の形で負担してもらえるはずのものであるとか、その他細々としたものが一〇%ぐらいあるだろうということでありまして、大きな損失補償で、工事施行との因果関係がはっきりしておれば、これは、その管渠自体が補助対象工事であります限り、当然補助対象に入れることにしております。     〔主査退席、内海(英)主査代理着席〕 しかし、いろいろ細かいものがあって、どっちみち補助対象にならないものも一〇%ぐらいあるということから、現在、県単独の方で処理しておられるのかと思いますけれども、基本的な考え方は先ほど申したとおりでございます。
  231. 平田藤吉

    平田分科員 当然起こってくる事態ですから、政府の方でもやはり考えるべきだというふうに思います。  五十年度から四十億円の予算を組んで進める、この流域下水道について四十億見込んでいくからということで、これまでは大体十億円程度でずっと仕事を抑えてきているのですね。ところが、五十年度になって大幅に仕事を進めようと思ったら、どうも第四次計画がまた一年後ろへやられまして、これで見通しが立たなくなってしまった、とにかく困っちゃったというふうに言っているのですね。ここのところをひとつはっきりさしてもらいたいという点が一点。  それから、先ほど来申し上げておりますように、一部処理を開始するのに二百三十億円ないし二百八十億円が必要だとされているわけです。五十三年度開始としても年間五十数億円は必要となるだろうというふうに考えられるわけです。このままでは一部処理がぐんとおくれることになるということで、大変心配されているわけですけれども、これはぜひ特別な対策を立てて促進してもらいたいと思うのです。この点について局長の方からお答えいただくと同時に、流域下水道建設をめぐって、計画のおくれから地方自治体がかなり困難に直面しているという事態について打開するためにどう考えられるか、大臣のお考えを聞かしていただきたいというふうに思います。
  232. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 下水道の予算はおかげさまで多少ずつは伸びてきておりますが、二、三年前のような大幅な伸びはなかなかここ一、二年は認められてきておらない。一方、水質対策というものは非常に急務でありますし、地元公共団体あるいは地元住民の方々の要望も非常に強いということで、私どもも懸命に努力しながらも、御要望にはなかなか沿いかねておる現状でございます。五カ年計画の実現も、全体の国の経済社会基本計画の見直しということにからみまして、五十一年度にさらに見送られたわけでありますが、金額としては、他の公共事業には見られないような伸びを見た。しかしながら、それにしましても個々の個所で従来の二倍、三倍という要望を賄うには、全体としてはとうてい足りないわけでありまして、私どもも明年度の個別の配分につきましては頭を悩ましているところでございます。  この荒川にしましても、明年度から処理場にかかるといたしましても何年かかかるわけでありますので、せっかくかかったものが非常に延び延びになるというようなことのないようにはいたしたいと思いますが、いまおっしゃったような金額を考えますと、ここで、大丈夫ですとも申し上げかねる次第でありまして、よくヒヤリングの結果等も検討さしていただきたいと思います。  それとともに、五十一年度には何としても新五カ年計画を実現し、枠の拡大等、大幅に図ってまいりたい、それが私どもの念願でございます。
  233. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 御質問ちょっと聞き漏らした点もあるかと思うのですが、いま局長からお話がありましたように、私ども、五十一年度から新計画をひとつ思い切って立てようと実は思っておりますが、五十年度も、平田先生御承知のように、特別起債を設けるとかあるいは国庫補助の分割払いの制度をつくるとか、新しい試みとしてかなり事業を伸ばしていくことをやったわけですけれども、やはり一番おくれているのは下水道関係です。まあ三木内閣も住宅、下水道を最重点にということで私ども取り上げておりますけれども、それほど自慢するほどな予算の域にはまだ達しておりません。ほかの公共事業は前年度の予算と比較して非常にダウンしておりますから、それと比較をしますとかなり伸ばしているというふうには言えると思うのですけれども、それだけに各市町村大変な要望があることも十分承知をいたしております。特に、公共はともかくとして、流域になりますと、各市町村それぞれまた思惑があります。それをどう優先してやるかという問題、上流の場合と下流の場合と、下流の場合には終末処理の問題もありますし、いろいろあるわけでありますが、そういった面はひとつ流域市町村で十分に話し合いをしてもらうし、われわれも中へ入って妥当な線を出したいと思っておりますが、いずれにしても、絶対的な予算の量が少ないことは私ども十分承知をいたしております。五十年度の予算の配分についても、そういった面を十分考慮しながら適正な配分を考えたいと思いますし、さらに五十一年度は引き続きこれはひとつ思い切った計画を立てて、少なくとも御期待に沿えるような努力をせなければならぬというのが私どもの考え方であります。
  234. 平田藤吉

    平田分科員 大臣がそう言われるのですから、ともかく困り抜いている現状を御理解いただいて、積極的な策を講じていただきたいというふうに思います。  次に、公共下水道事業をめぐる問題について質問いたしますが、全体の計画ですと、第三次計画が、総人口比で普及率一五%だったものを三七%まで引き上げるというのが目標だったんですね、第三次で。ところが、実際にそれはできずに、諸物価の高騰なども重なって二二%程度にとどまっているのが現状だと思います。  この状態のもとで起こっている事態だというふうに思うのですけれども、特に一般都市へ行きますと、これはもう大変だというふうに言っているわけですね。たとえば、建設省一般都市の補助対象率を七四%と言ってきたわけですけれども、実際はそうなっていないのですね。たとえば埼玉県の北本市の場合を一つとってみますと、いろいろ基準があるようですけれども、一つの基準として管径三百ミリとされているのですね。ところが、管渠全体の長さは七十五キロに上るわけですよ。これに対して対象基準にされているのは約八キロ、これしかないのです。三百ミリで大部分をやりたいというふうに申請したのですが、それは三百ミリは大き過ぎるから二百五十ミリにしなさいというふうに小さくさせる。小さくしたら補助対象になりません、こういうぐあいにやられちゃっているのですね。ですから一〇%程度になってしまって、残りの九〇%は二百五十ミリ管しか認められない。こんな状態になっているのですね。  それから桶川市の場合でもやはり同じでして、これは埼玉県の都市をずっと調べてみましたら全部共通しているのですよ。  そうすると、これは対象率を引き上げたと言っているけれども基準を押えていっているものですから前よりも大変苦しくなっているのですね。事実上、前の四十三年ごろまでは全体で込みで四割、四〇%の補助をつけていたのですね。ところがいま一〇%程度しかつかないという状態なのですから、はるかに状態が悪くなっていると言わざるを得ないのですよ。こういう状態に対して、やはり私は基準を改めて取り組まなければならないと思うのだけれども、どうお考えか、お聞かせいただきたい。
  235. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 公共下水道の補助対象割合の問題でございます。御指摘のとおり現在の第三次五カ年計画では、指定都市を除く一般都市の全国平均の補助対象率というのは七四%と言っていますが、これは終末処理場とパイプと合わせてのことでありまして、そのうち終末処理場につきましては、先ほど申し上げましたように九〇%の補助対象にしておりますので、その分を除いて管渠だけで全国平均をとりますと約五六%というのが実態でございます。それにしましても、御指摘のように、全国各市によりましてはその五六%よりも著しく低いというところもあるわけでありまして、これは逆に高いところもあるわけで、その平均が大体そういうふうにセットされているわけであります。しかも、この補助対象にするかしないかということを、ある年度の全体事業の上から数えて何%というようなことでは、どうも補助対象となるべき施設と地方単独となるべき施設との区分けが明確でないという説もありまして、現在はそれをはっきりしようということで、いろいろな要素がありますが、たとえば汚水管の場合は直径三百ミリ以上を補助対象にするというようになっておりますので、この平均システムをまた個別の各都市に余り差のないようなことにすべきものか、それともそういう都市でもだんだんに雨水管をやり出したり根幹部分にいけば対象率は上がっていくわけですから、そういうことで現行法のまま各都市、都市によっては低い都市もあり、高い都市もあるということでいくべきか、なおよく検討したいと思います。
  236. 平田藤吉

    平田分科員 あなた方が出している四十六年十月九日付の建設省告示があるのですよ、千七百五というのが。これで見ますと、著しい差異のあるときは調整するというふうにうたわれているのですね。こんなひどい差ができているところはやはり考えてあげなければいけないと思うのですな。そこのところをひとつ十分検討して配慮すべきだというように思うのです。  それからもう一つの問題は起債ですね。市単独事業で起債九〇%までつけるというふうに言われているようですけれども、実際に北本市の場合を見ますと、四十九年申請が一億五百万円、昨年段階で四千万円程度の内示があって、その後何ともはっきりしてないのですよ。こんな状態ですね。これはやはり当然この起債については大幅に見るという立場になっているのですから、このところのめんどうもちゃんと見る必要があるし、今日に至るも内示がちゃんとしないというのも大変ぐあいが悪い。これはいままでの官庁の関係でやむを得ない何かがあるらしいけれども、少なくとも十二月末までには見通しを立ててやるようにしませんと市町村が仕事ができないというのですね。困っちゃうというのですよ。だからこれはやはり大いに改善してもらいたいというふうに考えるわけですが、そこら辺はどんなぐあいになっているかお聞かせいただきたい。
  237. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 御指摘の告示による弾力条項の発動については、ある程度考える必要があるかと思いますが、しょせんはこれによって上下の分を調整するとなると不満の出るところも出てきますので、あまり大きなことはできない。やはり新五カ年計画あたりを機会に抜本的にどうあるべきかということを考え直したいと思います。  なお、起債につきましては、ルールによって補助裏あるいは地方単独にかなり高率の起債がつくことになっておりまして、御指摘の点は年度末にならないとなかなか確定しないという意味からおくれているのかと思いますが、少なくともルールどおりのものが行くはずのものでありますので、できるだけそれが早く確定されるようにいたしたいと思います。
  238. 平田藤吉

    平田分科員 最後に大臣にひとつお願いしたいのですが、いま申し上げたように基準がいろいろ設けられていますけれども、実態は市町村の負掛でどうしても人口過密地帯はやらなければならない、やればいま言ったような状態になる、財政が固まってしまうというので、何とかしてもらいたいということを言っているわけなんですね。そんなわけで補助対象率をめぐる問題で実情に即して、やはり政治なんですから、配慮してあげる必要があると思うし、もう一つは、起債を早目に、九〇%つけると言ったらやはり九〇%つけてあげるという処置をとってもらう必要があると思うのですよ。その点について大臣の見解を聞かしていただきたい。
  239. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 下水道はヨーロッパ諸国と比較しまして非常におくれております。二〇%、おっしゃるとおりの程度のものですから、私どもも積極的に進めなければならぬと思っております。それが一点。  それから確かに補助率が主要な管渠に補助をするということになっていますからね、サイズの大きさによって補助があるのとないのとある。それは使い方によって補助金が非常に各市町村によって違うわけですね。確かにおっしゃるとおりです。私は再検討する必要があると思います。これは五十一年度は再出発しますから、再検討必ずいたします。それから起債の問題は、これは九〇%まで認めるということになっていますから、いま局長から言った面もあると思いますから、これは自治省とよく連絡をとりまして、できるだけ速やかに決定ができるような方向で努力をいたします。
  240. 平田藤吉

    平田分科員 時間が来ましたから、以上で質問を終わります。
  241. 内海英男

    内海(英)主査代理 これにて平田藤吉君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬野栄次郎君。
  242. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 熊本市の中心部を貫流している一級河川、白川の改修問題について、大臣並びに関係当局にお尋ねします。  白川改修は昭和三十一年河川審議会で国の直轄に決定しておりまして、昭和六十年度、毎秒二千五百立方メートルの河道の流量に対応できる工事として進められておることは御承知のとおりであります。八十年に一回の大洪水にも対処できるような計画になっておるわけです。この白川改修については、三十一年当初計画によりますと、二百五十七億七千二百万円で計画が立てられまして、それに対して昭和三十一年から四十八年までの間に八十八億四千万円、昭和四十九年に八億一千万円、合計九十億五千万円の予算で今日まで改修が行われてまいりました。昔といまでは御承知のように貨幣価値が相当変わっておりますので、昭和四十九年度の貨幣価値に換算をしてみますと、全体計画としては六百八十三億円がかかることになります。そこで昭和四十八年度までの施行換算額でいろいろ試算してみますと百億一千四百万円かかるということになりますし、その進捗率が一四・七%、昭和四十九年度実施計画の先ほど申しました八億一千万円を現在の貨幣価値で換算してパーセントを出してみますと、昭和四十九年度までの進捗率が一五・九%ということで、まことに低い進捗率になっております。  ちなみに申しますと、鹿児島県の川内川なんかは昭和四十四年から四十七年までの四年間に年間二十億から三十億の予算で改修がされております。これは熊本市の人口の約半分ぐらいしかないところです。また広島の太田川にしても放水路完成がすでになされておりまして、これまた人口も六十万ぐらいのところでございますが、熊本市も五十万近い人口でございまして、九州でも福岡に次ぐ大きな都市でありますけれども、こういう例を見ましても実に白川改修の進捗率が低いということで、残念でならないわけであります。私はこのことについては当委員会でも昭和四十五年から五回にわたってこれを指摘し、推進を図ってまいりました。また災害対策特別委員会でも三回にわたって取り上げてやってまいりましたが、その都度いろいろ前向きの答弁はありましたけれども、なかなかこれが進んでおりません。先ほど申し上げましたように一五・九%というような進捗率です。これでいきますと相当の年数がまだかかることになりますが、いずれにしても早急な改修を望まれております。五十年度以降の改修を完全にやろうとすれば、いまの貨幣換算でいきますと約六百億円は必要である、こういう計算になります。こういった点で大変問題になっておりますが、昭和二十八年六月二十六日のあの大災害からもうすでに二十二年が経過しておりますけれども、ぜひとも早急な抜本的な改修をやってもらいたい、かように思うわけです。建設大臣からこの点の見解をまず承りたい、かように思います。
  243. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 実はこれは瀬野先生からの御質問があるということで河川局の方にも私いろいろ意見を聞いたわけです。いろいろ努力をしているが、何か河川敷の内部に不法占拠をしてそこに住みついておる人があって、その人の排除といいますか、出てもらうということに対していろいろ非常に苦労しておるようでありまして、われわれの側から言えば不法占拠でありますが、向こうから言ったらそうでないかもしれませんけれども、要するに河川敷の中に住まいをしておる人に早く出てもらってそして河川改修を進めなければいかぬということは当然でありますけれども、それがなかなかまだスムーズに進んでいないところに今日まで工事がおくれてきた一つの原因があるようであります。そういった面を一日も早く解決しなければならぬことは当然でありまして、恐らくいままでもそういうふうな答弁をしてきたと思うのでありますが、それが進んでいないところに私どもももちろん努力が足らないところもあったかもしれませんが、今後気をつけてまいります。なお河川局長からひとつ具体的な御答弁を申し上げます。
  244. 増岡康治

    ○増岡政府委員 白川につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもはいままで鋭意熊本市内の狭窄部不法占拠地帯につきましてやってきたわけでございますし、また着々と地元の御後援もございまして進んでおるわけでございます。そのように土地問題が解決しますと、すぐ後を追うように実は工事をやっていくわけでございますが、先生のおっしゃるように、残念ながら六百八十三億という総工事費に対してまだ百億ぐらいしか使っていない、あとまだ六百億ぐらい残っているじゃないかという御指摘でございます。実はわれわれも計算をいたしますとそのようになるわけでございまして、早くこの土地問題を解決して大いに進めようという気持ちは実はいっぱいでございますが、やはり次の第五次治水五カ年計画といいますか、こういうもので飛躍的に総枠をいただきたいということで、この治水計画にいま実は一生懸命に取っ組んでおります。     〔内海(英)主査代理退席、主査着席〕 はなはだ思うようにならない点はございますけれども、実は私どもも一生懸命白川問題を考えております。ひとつよろしくお願いいたしたいと思うわけでございます。
  245. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 白川改修のネックになっておるのに沿岸の家屋の移転問題があり、いま大臣と局長から答弁がございましたが、この家屋は昭和四十四年十二月に五百八十三世帯あったのが四十七年五月に四百八十四で実際調査の結果スタートしておりまして、現在までにかなりの移転をしておりますが、現在残っているのが二百四十六世帯残っておるわけです。実際、改良住宅建設が県と市の方で四十六年には市が二棟八十戸、四十七年には熊本県が二棟八十戸建てておりますが、四十九年にはついに七十戸建設だったのが、立ち退き問題で実際解決しておりません。五十年には県が三十戸、市が三十戸ということで六十戸建てる予定のようでありますが、この点、地域住民との話し合いでぜひ納得をしたところで移転はしてもらいたい、こう思うわけで、これは慎重に進めてもらわなければならぬ問題でございます。そういったことで、地元と納得いく話をやっていただきまして、ぜひとも早い機会にこの移転を進めて改修を促進してもらいたいと思うが、その点さらにひとつ局長の見解を承っておきます。
  246. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、建設省熊本県と熊本市、三者で白川不法占拠対策本部というものを発足さしております。いま先生のお言葉にもございましたように、県、市におきましては改良住宅というものの御後援をいただいておりまして、私どもと一緒に実はこの問題をやっておりまして、おかげさまで五百八十三世帯のうち三百四十二の問題が解決しまして、残り二百四十一世帯でございます。今後これにつきましても、移転の促進につきましては、三者で行政の力を発揮いたしまして、早くこれが解決することに全力を挙げたいと思っておるわけでございます。ひとつよろしくお願いします。
  247. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣もぜひこれ聞いておいていただきたいのですが、先ほどの点でもう一点だけ補足してお伺いしておきますけれども、五十年度予算でどのくらいこれが改修費がつくかということが心配でお尋ねするわけですけれども、私たちのいまの推定ではほぼ昨年並みじゃないか、よくいって物価スライドぐらいのアップじゃないかというような気がしてならぬわけです。こういったことではけしからぬ問題でありまして、こういうふうな進捗率では白川の抜本的な対策はもう不可能である、かように申し上げたいのです。  昨年は、先ほど言いましたように八億一千万ぐらいの予算でありますが、ちなみに八億一千万としますと、用地買収費に大体四億五千万円、それから給料などの諸費に一億四千万円、事務費など間接費が七千万円、これだけでもう六億六千万円かかる。そうすると、あとの残り一億四千万が実際工事費に使われるということで、八億、九億ではもうほとんど維持費程度で、ほとんど改修は進まないというような状況です。そういったことを十分承知だと思いますけれども、大臣も新しくなられたわけでございますから、ここのところをひとつよく承知していただいて、昨年並みのような予算では、これはもう全く百年河清を待つという状態でございます。そういう意味予算を強く取っていただきたいと思うが、その辺の見通しをもう一点承っておきます。
  248. 増岡康治

    ○増岡政府委員 御承知のように、昭和五十年度の予算案は直轄河川事業費としては全国で千四百二十九億でございまして、対前年度比は三%増になっておるわけでございます。したがいまして、白川の改修事業をどう考えるかという問題でございます。この作業はまだこれからでございまして、大臣とよく御相談申し上げてから決めさしていただきたいと思っております。
  249. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 この点はひとつ建設大臣と十分検討していただいて、予算配分については格段の配慮をお願いしたいということを申し上げておきます。  この白川改修に関係の深いことで白川ダム問題で数点お尋ねをしておきます。御承知のように昭和二十八年六月二十六日の大水害で熊本市は大変な道路の泥水害を受けたわけですが、この熊本市の災害防止の上からもぜひ白川改修と並んで白川ダムの建設を促進していただきたいということで、四十五年三月十七日から、これまた私は過去六回、災害対策特別委員会でも二回ほど、この促進を図ってまいりました。昨年の三月五日の当分科会でも当時の松村河川局長並びに亀岡大臣は、四十九年度は予備調査としてこれを継続し、でき得れば五十年度は実施計画調査に持っていきたいと、こういうふうに御答弁いただき、さらにその際、九州地建に、もう一回慎重な調査をせねばならぬので開発調査課を設けてダム建設の促進を図っていくと、こういうふうにお答えがございました。これについて四十九年度の調査結果と、今後五十年の予算見通し、こういったものについてお答えをいただきたいと思うのです。
  250. 増岡康治

    ○増岡政府委員 白川ダムの必要性につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもは今日まで予備調査をやってきたわけでございますけれども、特に現在ダムサイトのボーリングの調査だとか横坑等の地質調査を中心にしてやっておるわけでございます。先生御承知のように阿蘇の溶岩地帯でございますので、非常な慎重を期さなければいけないということでございます。したがいまして、五十年度におきましては、やはりこの熊本工事事務所に、先生が非常に御奔走していただきましたが、まず開発調査課をはっきりつくることが、これを進める第一のことであろうということで、私どもは五十年度より事務所の中に開発調査課を設置いたしまして、この調査を強力に進めていこうということにいたしました。その結果、したがって、この結論が出るまで若干の時間が要ると思いますけれども、そのことがこの仕事を進める一番最大のものであろうと思って、一生懸命にこういう組織の強化を行いまして、現在調査に中心を置いているわけでございますが、五十年度もやはりそれで四千五百万程度調査費をぶち込んで早く実施調査段階に入りたいという努力を重ねておるわけでございます。
  251. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 開発調査課を設けて五十年度は四千五百万程度調査費で進めていきたいということでありますが、過去に四十四年から四十七年が三千七百四十九万八千円、四十八年が四千二百万円、四十九年が五千五百六十万円というような調査費もついて今日まで来ております。それから見ると大分後退しておりますけれども、十分慎重な調査をせねばならぬということはよくわかりますので、いずれにしても調査を精力的に行って、熊本市の災害を防ぐためにも、今後、開発調査課によって進めていただくことをさらに強くお願いしておきます。  なお、現在調査中であるけれども、このダムの構造についてでございます。これまた昨年の三月五日の分科会で亀岡建設大臣にお伺いしたときにも、災害防止というだけではなく、農業、工業関係の用水等十二分に確保していけるような立場でのダム建設の促進ということには全力を挙げていきたいという答弁をいただいたわけです。実際、白川ダムは治水ダムということが一番大事でありますが、利水ダムという点も十分考えなければいかぬということもありますし、一基にするか二基にするかというようなこともいろいろ言われております。その点、検討段階であろうと思いますけれども、その後どういう程度まで検討されておるか、現時点でのお考えをお示しいただきたいと思います。
  252. 増岡康治

    ○増岡政府委員 白川のダム計画は洪水調節が主目的で考えておるわけでございますけれども、いま先生のおっしゃいますような農業用水なり工業用水の新規利水の参加ということにつきましては、地質条件という問題と、それから環境保全というような問題もあわせまして総合的な見地からその可能性検討をいま進めておりますが、一番大切なことはやはり熊本県御当局の意見を十分拝聴することでございますので、その方向で勉強しておる次第でございます。
  253. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣、いまお聞きになったように、白川ダムがそういうわけで熊本市また熊本県にとって重要な問題になっておりまして、中心部を流れている一級河川でもあります。はしょっての質問でございましたが、大臣も一応お聞きいただいたと思います。この白川ダム建設は白川流域の洪水対策上、また白川右岸、左岸のいわゆる利水上、さらには熊本都市圏の水資源の確保という上で大変重要な役割りを果たす問題があるわけでございます。この建設はきわめて緊要であります。それだけに慎重を期さなければならぬことも十分承知しておりますが、この白川ダムの調査を慎重に、しかもできるだけ早く完了して、これらダムの推進を図ってもらいたい、こう思うのですが、大臣の御所見を一点承っておきたいと思うのです。
  254. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 洪水調節でダムをつくるという方針でいっておりましても、それがさらに農業用水や工業用水に多目的に利用されるということは、これは一番理想であります。ただ、それだけにまた関係者のいろいろの意見があるわけでありまして、私は、長い間自分が高知県でダムをやっておって、そういうことを切実に感じておる一人であります。だから、局長も言っておるように、熊本県自体がそういう問題に対してどういう見解を持っておるか、そういう問題を十分話し合いをしながらまとめていきたい、かように存じておりますから、努力をいたしてまいります。
  255. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 もう一点白川に関してお尋ねしておきますけれども、実は熊本県では、白川の一番下流の河口の近くに、今後商業港として熊本の新しい港をつくるという計画が進められております。現に四十八年十二月の港湾審議会の審議を経まして、四十九年四月には重要港湾にも指定され、予算面でも四十八年に港湾事業調査費が二千五百万円、四十九年には実施設計の調査費として一億五千万円がつきまして、熊本港建設については、五十年二月でほぼ調査も完了したという段階でございます。なお、地元の漁協が九つございまして、これらの漁業の補償問題が今後相当いろいろな問題がありますし、これらの補償は十分やらねばならぬということでわれわれも検討しておりますが、その問題が解決しなければこれらの港の建設は今後進まないということでもありますけれども、百年の大計からいけば、この港をつくるということはいま既定の事実となって進められております。  そこで、実は白川と港の関係は重要な関係がありまして、これも私、昭和四十六年から委員会でもこういったことを推進してまいりましたが、この港の開発に伴って背後地の開発ということが問題になります。そこで、特に交通網の整備ということで先日も建設省に通告しておきましたが、国道五十七号線の熊本東バイパス、国道三号の熊本北バイパス、県道近見沖新線というのがございまして、これとあわせて国道五十七号線のつけかえ道路ということがえらい問題になっておりますが、つい先日、二月十三日に熊本県都市計画地方審議会で原案どおり答申をされております。これらの幹線国道の整備をぜひとも急いでやってもらいたいということが問題になっておりますけれども、これについて当局の御見解を承っておきたいと思います。
  256. 井上孝

    井上(孝)政府委員 熊本新港につきましては、昨年の四月に重要港湾に指定されまして、現在調査中でございます。これにあわせまして、直接関連する道路といたしまして、おっしゃいました近見沖新線というのがございまして、これはことしの二月に都市計画決定を見ております。したがいまして道路局といたしましては、四十九年度新規事業としてこの線、これは一般県道の名前としては熊本港線という名前でございますが、四十九年新規採択をいたしまして、今後新港整備の進捗と合わせて整備を図っていこうという考えでございます。なお、間接的には御指摘の国道五十七号熊本東バイパスあるいは国道三号線の熊本北バイパス等が関連するわけでございますが、五十七号の熊本東バイパスにつきましては、御承知のように三号線までの区間十四・七キロのうち八・六キロがすでに完成をいたしまして、県庁のそばまで開通をいたしております。残り六キロ強につきましては、現在用地交渉及び一部工事中でございまして、整備の促進を図っております。それから国道三号線の北バイパスにつきましては、四十八年度に着手といいますか事業費を新しくつけまして、今年度引き続き測量その他の調査をいたしまして、工事着手の準備中でございます。また、五十七号線東バイパスの延伸部分がこの新港に関係をするわけでございますが、この部分は、先ほど申し上げました近見沖新線と一部重用する形になろうかと思います。今年度及び来年度に引き続きましてこの部分の国道五十七号バイパスとしての調査を実施いたしまして、主として近見沖新線との分岐点等について検討を進めたいというふうに思っています。
  257. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 時間が詰まってまいりましたので、次にお尋ねしますけれども熊本県、大分県、福岡県にまたがる筑後川上流に建設されましたところの下筌ダムに関係する地割れ問題についてお伺いをいたしたいと思います。  熊本阿蘇郡小国町の下筌ダム貯水池周辺に発生した地割れが、ダムが原因であるということで、地元の人が大変に心配しておののいておりますが、このために、原因調査をぜひやれということで、これまた数年前から私指摘をし、政府の方でも調査団を派遣する等、今日まで調査をしていただきましたが、これが四十八年八月建設省が下筌ダム貯水池周辺調査団ということで編成をされて委嘱されたわけですけれども、その調査団の最終報告ということで、実は二月十九日、現地建設省松原下筌ダム管理所において発表されたわけですけれども、この報告建設省の最終報告と、こういうふうに受け取られるものなのか、その点お伺いしたいのです。
  258. 増岡康治

    ○増岡政府委員 ことしの二月十九日に下筌ダムの貯水池周辺調査団が調査報告を発表いたしましたが、この報告は最終報告でございます。
  259. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 この報告を、大分県側については当日の午後中津江村で関係者二十四人を集めて現地説明会が持たれたが、どういうわけか熊本県側については説明会がなされておりません。聞くところによると、二月十八日か十九日ごろに、熊本県を無視して現地の小国町にストレートに連絡がなされ、地割れのあった地元に報告していいかどうかというような打診があったように聞いております。そういうことで、地元では相当批判をしておるわけですけれども、この点けしからぬものだと思うのですが、どういうふうに当局は思っておられますか。
  260. 増岡康治

    ○増岡政府委員 熊本県側に対します最終報告書の説明につきましては、かねてから熊本県並びに小国の町当局にはこの申し入れを実は行っておるわけでございますし、また現在もそういうようなお話を進めておるわけでございますが、いろいろ現地の様子等もございまして、まだ日にちがはっきりしてないわけですが、私どもも、この説明会を早くやりたいという努力を今後とも重ねていきたいと思っております。
  261. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 時間の関係で余り細かく追及できませんけれども、後々のために会議録に残しておくこととして次の問題を聞きますが、実は、その報告によりますと、一部は影響、他は影響ない、部落のあるところは影響ないが部落のないようなところは影響あるような報告になっております、端的に申しまして。地元住民はもちろん怒っておるし、私もこれは納得いきません。私たちも再三現地調査しましたが、ダムを満水して一時に放水したときに、一カ月後に起きたんです。この関連のある地割れでございまして、一部だけが起きたんではなくて、全部関連があるわけです。ですから、どうしてもその補償の問題にからむものなのかどうかわかりませんが、一部だけであって、全体はそうでないというような見解をとられて、いま報告がありましたように、熊本県側に対する説明もないということで地元の人たちも大変憤りを感じておるわけです。またいずれ詳しいことは委員会等でやることにいたしまして、大臣にもよく聞いておってもらいたいと思うのですが、そういうことで、このダム建設に当たって、地元では、この地割れが起きている室原地区の地質調査が行われていないということを言っておるわけですが、当局も十分な調査をしておらないということを現地では言っております。その点、十分その地帯の調査をやったというふうに思っておられますか、どうですか。
  262. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いまから考えますと、決して十分と思っておりませんし、したがって、こういう事態にもなったわけでございますが、これを一つの契機といたしまして、私どもはダムの貯水後の地すべり等につきまして非常な教訓を得たわけでございます。万全なことをしておればそういうことはないはずでございますが、非常にむずかしいことでございますけれども、今後の計画、調査にはぜひともこの教訓を生かしたい、そういうように考えておる次第でございます。
  263. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣もお聞きのとおりでありますが、概要おわかりいただいたと思うのですけれども、そこで大臣にこの点お伺いします。  実は、地元の田台地区の穴井まつよさんという方は、四十一年に御主人を亡くして、未亡人で一人暮らしなんですけれども、子供も何もいなくて、地割れの中に生活しておりますが、恐ろしくて夜なんかも眠れない。この間の地震のときなんかは熊本県から逃げていくということで、雨のときなんかは特に災害が起きるのではないかということでよそのうちへ退避にいく。主人は四十一年に亡くなったわけで、三十九年に建設省へ移転要求を出されたのですけれども、とうとう死ぬまで、孫子まで恐怖にさらされているから何とか早急に移転をお願いしろというようなことを言い残して亡くなったという方でございます。  最近、調査のためボーリングをしたのですけれども、原因がダムであるということをおっしゃっているんだけれども建設省としては、水が濁っているにもかかわらず、そうでないということで、最近も水がだんんん濁ってきて、遠くへ水をもらいにいくというような始末、この間の調査発表の後でも水が出なくなったということで大変困っておられます。こういったことで何とかこれも移転させなければならないと思うのですけれども、移転する費用が要りますし、こんなことでは困ると言っておったら、地元の九地建では、水ぐらいは簡単に引いてあげると言って気休め程度のことを言っておられるということで、けしからぬ、こういうようなことを言っております。  そういった問題いろいろたくさんございまして、地元の人は四十七年六月に地割れの現象後に水をもう一回満水して流せ。当時、ダムができたときに水を満水して出した後、一月後に地割れがどっと起きてきた。それで関連があるんだというのです。この間から水を満水して試験を一回やったというけれども、徐々にやりまして、なかなか急に落とさないためにそういった現象が出ないということで、いかにも試験をやったようにおっしゃっているけれども、実はそうじゃないと地元は言うわけです。そういったことで一度水を満水にして、また水を引かしてみて、そして試験をして、それで再度地割れが起きなければ心配ない。もしそういう地割れがあるならばそれは問題だといって地元は心配しておるわけです。こういったことについてぜひとも大臣の方でまた再度これを調査をしていただいて、このダムのために不安がっている、二十二戸ございますが、そういう方たちが早く安心して生活ができるように、また必要であれば、ダムの建設によってこういった問題が起きますと災害として当然今後国が見るということになるわけですから、そういった補償についても十分していただく、こういったことで今後対策として、十分再度現地の住民の意見を入れて不安のないように対策を講じていただきたいというのが私の願いであります。大臣の見解を承りたいと思います。
  264. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いま先生のお話は非常に技術的な問題が含まれておりますので、私から御答弁さしていただきます。  いまのお話にございました昭和四十七年の四月に試験湛水を完了した後で、六月の十一日にかけまして洪水期の制限水位に貯水池を低下するということ、そのことを一挙に放水した実験ではないということで、ここにいろいろ誤解はあるようでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもはダムの管理に当たりましては十分観測値といいますか、いろいろな測定値に配慮しながら、ダム操作を今後とも続けていくつもりでございます。  なお、個別にいろいろの問題がございます。これは調査団の報告書にも載っておりますので、一つ一つに対しましてこれからも十分対処してまいりたいと思っております。
  265. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 以上で質問を終わります。
  266. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて瀬野栄次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、高沢寅男君。
  267. 高沢寅男

    高沢分科員 河川局長、また大臣が戻られましたら大臣にもお願いをしたいと思います。  河川行政を進めるに当たって、東京では中小河川の改修、これが住民の生活にとって非常に決定的な関係を持っております。そこで、この改修が順調に進まないと、たとえば一時間に三十ミリの雨が降るとかあるいは五十ミリの雨が降るというふうなことになると、東京のような町でももうたちまち溢水、洪水、そして水がつくというふうな事態になるわけですが、いままで統計的に河川局で見られて、東京で一時間三十ミリ以上あるいは五十ミリ以上というような雨の降った頻度といいますか、それをまずお聞きしたいと思います。
  268. 増岡康治

    ○増岡政府委員 頻度の資料はいま手元にございませんけれども、それにつきまして、それを裏返すようなお話になるかしれませんが、いま東京都の中小河川が一時間三十ミリというのに対応できる整備率は幾らかというような表現で申し上げますと、三十ミリの対応できる区域は全体の約八五%でございまして、この内訳は区部において九四%、三多摩が七五%ということでございます。これが五十ミリになりますと、残念ながら対応できる区域は約九%でございます。  そういうことで、いま先生のおっしゃるように、一般的に三十ミリ以上の雨が降りますと、どこかがやられるということでございまして、実は毎年の現象であると言わざるを得ないわけでございます。
  269. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの御説明では、三十ミリに対応する体制は大体一〇〇%に近づいてきている、しかし五十ミリの対応はまだ本当にいわば始まったばかりというようなお答えであるわけです。これは当然と言えば当然なんですが、雨による洪水被害が起こる地域を見ますと、これは野川とかあるいは仙川、神田川、石神井川、いずれの場合も大体起こる地域が決まっているわけですね。したがって、その地域の住民の人にしてみれば、ほかの地区ではそういう災害はないけれども、自分の地区では雨が降るたびに毎回そういう被害を受けるというふうな状態になっているわけでありまして、これは東京都の都政あるいは国の政治、そういうふうなもののいわば利益を受けるという住民の立場からすれば、そういう災害の常襲の地区に住んでいる住民の人にしてみれば、その点において非常な不利益をこうむっているというふうなことにもなるわけであります。  そういう点において、五十ミリの雨が降っても心配ないというふうな河川改修の状態ですね、これはもう一刻も早くそういうふうにならなければいけない、こういうことだと思うわけですが、この五十ミリの場合にはまだ九%ぐらいだというふうないまお話でありますが、五十ミリに対応できる中小河川の改修の計画、これは国の計画というものが背景にあってまた都の計画というものになっていると思いますが、その計画はどんな計画をいま持っておられるのか、それをお聞きをしたいと思うのです。
  270. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いま東京都と一緒にこの五十ミリ作戦というのをやっておるわけでありまして、すでに重要な川につきましては、三十ミリの改修をしないで、いきなり五十ミリのところへ入っていくという工事もやっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、まだ現在五十ミリ規模で改修しなければいけない河川数が四十六本もございまして、延長が三百二十四キロということでございます。しかしながら現在までは、三百二十四キロのうち四十九年度までまだ四キロ少ししかできていないということでございまして、まだ全体から言えば先ほど申し上げました八・八%ということでございます。大半が五十年度以降の改修に待つことになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、いわゆる大都市の生活そのものの中小河川でございますので、いろいろ総需要の中からも相当国費も出しておりますし、また東京都の方も非常に御熱心に河川事業をやっていただいておるわけでございますが、残念ながらまだ五十ミリ作戦はほんの緒についたということでございます。
  271. 高沢寅男

    高沢分科員 その五十ミリ作戦ですね。それはいまの計画ではいつ完了する計画になっているのか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  272. 増岡康治

    ○増岡政府委員 この五十ミリにつきましては、私どもは第四次五カ年計画をつくるときの長期計画――第四次五カ年計画と申しますのは四十七年度から五十一年度まででございますが、これは主として三十ミリを主体にしたものでございます。今後の第五次以降の計画、普通六十年がいま計画目標になっていますが、私ども昭和六十年を一つの目標にして、この五十ミリ作戦を完成したいという中におきましての第五次五カ年計画がいかにあるべきかというのをいま実は勉強中でございます。
  273. 高沢寅男

    高沢分科員 六十年に五十ミリ作戦が終わるということで計画を立てられておる、その計画の事業量あるいは資金量といいますか、その計画は総額においてどんなような状況になっておりますか。
  274. 増岡康治

    ○増岡政府委員 五十ミリ作戦の昭和六十年度目標の中小河川整備計画というものがございますけれども、これは昭和五十年から六十年の間で、お金で申し上げますと、区部、三多摩を合わせますと四千七百十二億という多額になっておるわけでございまして、延長で行きますと二百九十五・四キロでございます。規模はそういうことでございます。
  275. 高沢寅男

    高沢分科員 河川改修のいま言われました三十ミリ作戦と五十ミリ作戦の関係ですが、ある場所では三十ミリのための対応する工事をやって、その後また今度五十ミリに対応する工事をやるというふうな進め方もされる、それからある場所では初めから五十ミリ対応の工事をされる、そういう両面のあれがあると思うのですが、その相互関係といいますかダブリといいますか、これはどんなふうな関係になっておりますか。
  276. 増岡康治

    ○増岡政府委員 非常に具体的なことで申しわけないのですけれども、三十ミリから五十ミリに直す場合、同じところをまた二度家屋を移すとか、そういうことがある場合が非常に多うございます。どのみち将来やはり各区によっていろいろ御迷惑をかけるわけですけれども、やる場合二度移転したりなんかないように。それともう一つは、やはりその川が下水道その他の発達によって初めから五十ミリで行った方がいいという物理的な計算が出てくる場合もありますし、また地元折衝の中からいま申し上げたことも出てくるということで、やはり重要地点においては三十ミリよりは五十ミリを先行したい場合があるわけでございます。これはいま個別に申し上げることもできませんけれども、そういう面がありますが、全体においては先ほど申し上げました三十ミリ作戦を早く完了する、しながらもそういう場所が出た場合は、やはりその地元の情勢によって五十ミリで行く区間もある程度用意しておくということで、そのスケジュールにつきまして個別に各川ごとに実はシステム的に考えてきておるわけでございます。概括的なことで申しわけございませんけれども……。
  277. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの局長のお答えの中で、河川の改修と下水の整備の関連ということに触れられたわけですが、私はこの関係、重要だと思うわけです。下水道の整備は、これは当然都民の生活環境の改善のためにどうしてもやらなければならぬ、こういう仕事であるわけです。しかもそれはなるべく早く計画が達成されなければいかぬ、こういうことだと思いますが、しかしそれができてくると、これは専門家の皆さんの用語によると、降った雨が川へ流れ込むそういう流出係数というふうなものもそれなりに高まってくる。あるいはまた降った雨が川へ流れ込む、短時間のうちに水が川へ集中してくるというふうなことになると、下水道の整備が進むことは結果としてその河川のいわば溢水の条件、はんらんの条件というものをつくるというそういう側面も否定できない、こういうふうに思うわけです。そうすると、この下水道の整備は早くやらなければいかぬ、しかし同時に今度は、河川の改修でそういうふうな下水道の整備の結果が川へあらわれても川の方はまた対応できる、洪水は起きないというふうな両面の絡みを見ながら進行速度を決めていく、事業の進捗を決めていく、こういうふうな関連が非常に大事ではないかと思うわけです。  ところが、その面で私都の方の関係から若干聞いてみたのですが、たとえば四十九年度で見ると、都の方が、国からもいろいろな資金をいただきながら同時に都の資金も合わせてやるその事業で、河川の改修の方では昭和四十九年度が二百二億というふうな金額になっております。それに対して四十九年度の下水道の整備の方は二千九億、こういうふうな資金量になっているわけです。そうすると、河川改修と下水道の整備ではいわば一対十、そのくらいの資金量の違いというものに都の段階事業としてはなってきておるということだと、私はいま言ったその両者のバランスということから見て、これはバランスのとれた姿とは言えない、こう思うわけです。そうすると、では、そのバランスをとるために下水道の方を縮めろということは、これは当然言えないわけですね。そうすると下水道の進行速度に河川の改修がおくれないように進んでいくためには、四十九年度で二百二億という河川改修のこの資金量、この事業量をもっと大幅にふやしていくということでバランスをとるということが正しい、こう思うわけですよ。ここのところをあるべき方向というものを国の立場からひとつお考えをお聞きしたいと思うのです。
  278. 増岡康治

    ○増岡政府委員 その点が実はいま河川局といたしましても一番最大の問題でございまして、おっしゃるとおり事業費だけがすべての物差しじゃないのでございますけれども、下水道の方が都内で約十倍の事業費をもって進んでおる。しかし私どもは、先ほどから三十ミリだとか五十ミリと申し上げましたが、三十ミリという雨が降って、それが流出係数が掛けられて量になるわけですが、その辺はちゃんと計画上は考えておるわけです、雨を設定するわけですから。だから、将来下水道が非常に普及するという観点に立っての計画はなされておるわけでございます。したがって計画の方はいいのですけれども、実施のタイミングが合ってないじゃないかという点でございます。これは私どもはそうならないようにいつも見ながら、打ち合わせながらやっておるわけですけれども、やはり細かく見ていきますと治水事業が追いついていけない。といって下水道事業をどうの云々する立場でございませんが、とにかく今後も治水事業、ことにこういう中小河川は全国的に実はおくれているのです。同じ問題が出ております。東京都だけではないのですけれども、こういう問題がだんだん出てくる時世になっておるものですから、私どもは中小河川の整備、都市河川の整備を大いに進めようと実は一生懸命やっておるわけでございますが、最近の治水事業の伸びが下水道の伸びにずっと追いついていかないということは事実でございます。今後とも私ども先生のおっしゃる観点に立って治水事業を伸ばそうということで一生懸命勉強している最中でございます。
  279. 高沢寅男

    高沢分科員 河川局長の主観的な気持ちや御努力はよくわかるわけですが、これはたとえばこういうことが言えるでしょう、実際に災害が起きたとしますと。東京都の住民が受ける災害は、家の中に水がつくというふうなことで、そのために生活上のあれで非常な被害を受けるわけですが、これに対する被害の補償というふうなことはいまの国の制度上の関係では何もないわけですよ。何もほかの方がいいとは言わぬけれども、たとえば農業地区で河川のはんらんによって災害が起きた、それで農用地が、たんぼや畑が被害を受けたというふうな場合には、また災害復旧の制度上のいろいろな仕組みやあれがあるわけですね。そういうことと比較してみると、東京のようなこういう大都市における水害の被害というのはその意味において全く救いようがないという現状であるとすれば、これは河川の改修を早く進行させて災害が起きないようにさせていくということしかいまのところ手がない、こう思うわけですね。さっきの局長説明で五十ミリ作戦を昭和六十年までに完了させるということでいまやっておるということで、そのためのこれからの必要な事業量、資金量は四千七百億ということでありましたが、これから約十年ですね。そうすると、十年を算術的に割ってみても年約四百億。ところが、さっき言いました四十九年度の都の河川改修関係事業の総額が約二百億ですから、そうすると、四百億と二百億の間ではまだ半分の状態であるわけです。そうすると、これから昭和六十年までの間に予算量、事業量をかなりのカーブでふやしていくということでないと、六十年までにとてもこの五十ミリ計画は達成できないということになると思うのですが、建設省としても河川局としても、国の立場からこれから相当のカーブでこれをやるのだというお考えがあるかどうか、ここのところをひとつお聞きしたいと思うのです。
  280. 増岡康治

    ○増岡政府委員 おっしゃるとおりでございます。いま私どもは、東京都は全国の約七%の治水を事業費でやっておる、相当大きなウエートをかけておるわけでございますけれども、いまおっしゃいますようにいままでのタンジェントではこれは達成できないと思います。したがいまして、この問題はやはり国の治水事業のすべてにかかわるような問題でございます。国民の世論を受けまして、やはりこれが追いついていくようなことが最も生活関連の仕事だと私ども確信しております。そういうことで今後ともこの治水事業の位置づけといいますか、国政の中に位置づけされるべく私ども事務当局はいま一生懸命第五次五カ年計画の中における都市の川の勉強を実はしておるわけでございまして、他事業との関連あるいは将来のあるべき姿というものをいま解析しておる最中でございますが、先生おっしゃるようにいまのタンジェントでは追いつかないということはそのとおりでございます。
  281. 高沢寅男

    高沢分科員 この関係で私は都の建設局の河川関係の人にもその事情を聞いてみたわけです。ここで話は非常に具体的になるわけですが都の関係の担当者からすれば、国からいただく補助予算、それから都が一般財源から支出する予算、これを合わせて都の中小河川の改修を進めているわけですが、都がやる全体の改修の事業費の中で国からもらえる予算のパーセントが低い、こういうことであります。実績を見ると、四十三年度から四十九年度までの間で国からいただく公共事業予算が三〇%を超えている年は一年しかないのですね。それは昭和四十六年度です。そのほかの年はいずれも三〇%以下、こういうふうな状態で、結局河川改修の事業を進めるには言うならば国からもっと財源をもらいたい、もちろん都の一般財源も投入するわけですが、国の財源がもっと高いパーセントでもらえるという裏づけがあってこの五十ミリ計画も順調に進んでいくということになるんじゃないか、こういうふうなことを都の担当の人は言っているわけです。いま私は具体的な問題、パーセントに話は入ったわけですが、ここのところは局長あるいは大臣、国から出す公共事業費の都の河川改修の中におけるパーセントを何%まで高めるということをここでお答えができるか、これはひとつ具体的なパーセントで答えていただきたい、こういうことです。
  282. 増岡康治

    ○増岡政府委員 国全体の国費が非常に限られておる中で全国の配分を決めなければいけないという公平さも要りますし、その中で東京都が人口比で言っても相当なものでございますけれども、そういうようなことで国費をどんどん東京都につぎ込むことによってやれば東京都においてもどんどん治水が伸びることはあたりまえなんですけれども、同じような現象が全国各県にもあるわけでございまして、全体の公平な目でやったのがいままでの結果でございますが、実際はそれ以上に東京都におかれても単独でやっていらっしゃることも私ども十分よく存じておるわけでございます。したがって、今後のそのパーセントをどの程度にするかということは、はっきり言えとおっしゃるのですけれども、これは非常にむずかしいことでございまして、そこらの国費がどの程度を占めたら最もいいのかという問題でございますが、もう少し勉強させていただきたいと実は思っております。先ほど何回も申し上げましたように、このおくれを戻すための第五次五カ年をいま勉強しておりまして、そういう問題をも含めて実は勉強しておるわけでございますので、もう少し時間をいただきたいと思うわけでございます。
  283. 高沢寅男

    高沢分科員 ここになりますと、これはやはり大臣のお答えをいただかなければいかぬのじゃないか、こう思うわけですが、私は若干実績もあれしながら申し上げますと、都の中小河川整備の事業の中で国の予算がそれぞれの年度でこれだけ都の関係で出ると、こう決まる。ところが決まった額から見て実際に執行された実績、つまり決算と比較してみると、どの年も決まった予算よりはまた決算の方がずっと落ちている、こういうふうな状況になっているわけですね。だから、予算で決まった段階ですでにこのパーセントが低いということがあるのにさらに実際の執行の決算でもっと少なくなっている、こういうふうな状態が毎年続いておるわけです。そしてほかの県の場合は、国からの予算が余り思うようにつかなかった、それなら河川改修の事業はまた来年つくまで、そのついた限りでやっていこうというふうなこともあるかもしれませんが、東京の場合には、さっき言いましたように、雨が五十ミリ降ったらたちまち水が出ることはわかっているわけです。そうすると、都としてはその事業の進行を年度を繰り延べしていくということはできない、やはり計画どおりやらなければいかぬ。国から出るものが少なければ、それだけ都の一般財源をそこに重く集中しなければならぬというふうなことになっているわけです。  そこで、もう一度私は、いま局長からは非常に高くしなければならぬという一般的なお答えはあったわけですが、ひとつこれは大臣から、いま実態として、実績では三〇%を超えることがほとんどない、毎年三〇%以下、こういうパーセントを少なくも五〇ないし六〇、こういうパーセントまで上げてもらいたい。こういう立場であるわけですが、これはひとつ大臣からお答えをいただきたい、こう思います。
  284. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 高沢先生、それまで言わすことは無理でしょう。東京だけが浸水で困っているわけじゃないでしょう。大阪も神戸も皆困っているのですよ。そこで皆そういう考え方で陳情されておるけれども、なかなか予算の配分が思うとおりにいかないということは御理解いただけると思うのです。率直に申し上げまして、五千億そっちこっちの河川の費用で、第一級河川も改修しなければ、ほうっておくわけにはいかないでしょう。特に同じ小規模河川といっても、山間僻地のあの集中豪雨で大きな災害を受けて人命を毎年損傷しておる、そういう所の小規模河川はほうっておけない。そういうものもやらなければいかぬ反面に、都市の町の浸水の対策も考えなければならぬ。当然であります。私は、どちらを先にするという問題じゃありません。できることなら、予算さえあればできるだけ配分をして、そして都の人々にもあるいはそれぞれの地区の人々にも喜んでもらいたいということは当然でありまして、一生懸命努力しておる。そういう面において東京都の方は、ほかの都市と比較してむしろウエートを多く置かれておるというふうな見方さえできるわけであります。おっしゃるとおりに三〇%以上総予算の面からいって出ないことは事実かもしれません。それを五〇%にすると言ってみたところで、全体の予算がふえないのに東京都だけそういうことはとても約束するわけにいきませんが、御説はよくわかります。そういった面でわれわれは努力をしなければいかぬことはよくわかっております。特に都市内の浸水の問題は、先ほどもお話がありましたが、都市下水というものを進めていけば、これである程度緩和できる面もあるわけでありまして、そういう面では下水の問題もわれわれは重点的に取り上げて積極的にやっておるわけでありまして、そういう面と両々相まって都市の浸水対策は考えていかなければならないと思っております。三〇%を五〇%にできるか、あるいは三十ミリを五十ミリにするとか言っても、なかなかそう急にいかないけれども、東京都内でも特に災害の多い所は重点的に私ども予算配分を考えていかなければならぬ、かように存じておりまして、これから一生懸命努力いたしていきます。それから予算の獲得についても全力を挙げて努力をいたします。これはひとつ社会党の方でもぜひお力添えをいただきたい、かようにお願いをいたしたいと思います。
  285. 高沢寅男

    高沢分科員 くどいかもしれませんが、私はもう一度大臣にこういう観点からお聞きしたいと思うのです。これは建設省関係ですからもちろん大臣の所管のあれになるわけですが、たとえば道路道路予算のあれを見ると、これもやはり東京都という次元で見て、国からいただく予算それから都がつける予算合わせて、道路予算の場合には国のあれが六〇%になっているのです。これはもちろん結構なことです。しかし道路で見ると、そうやって予算を投入して道をよくする、そうすると道がよくなっただけまた車がふえる。それで今度は道路の交通の渋滞がよくなるという面から見ると、予算は投入され事業は行われたが効果は一向に出ない、こういうふうな姿になっているわけです。川の場合は、予算を投入して河川の改修が進む、そうしたら雨がよけい降るようになる、こういうことはないのですよ。川の場合には、そういう予算の投入がなされて改修が進めば確実に災害はなくなるというふうになるわけで、私は、道路と川と比べてみれば、それぞれの必要性はありますけれども、しかし、そういう観点から見れば資金の効率は川の方がはるかに高い。こう言って間違いがないと思うのですね。そういう意味においては道路は六〇%というものがあるとすれば、実績があるのですから、それでは川でも六〇%やります、これは私、大臣からそういう答えをひとつお聞きをしたい、こう思うわけです。
  286. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 予算規模が御承知のように違うわけでございまして、そういう意味から考えますと、道路並みに河川もというわけにもいかないと思います。しかし私は、やはり道路も必要だけれども災害対策、浸水対策の面からいって、治水の面をもっともっと力を入れなければならぬということはお説のとおりです。そのとおりに思っておりまして、そういう面では私ども今後全力を挙げて努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  287. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの大臣のその努力の方向というものを私も信じまして、ぜひやってもらいたいということで私の質問を終わります。
  288. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて高沢寅男君の質疑は終了いたしました。  次に、島本虎三君。
  289. 島本虎三

    島本分科員 きょうは、私は主に建設省全体の不当労働行為の面と業者関係に対する癒着の問題について少し触れてみたいと思うのであります。  三十分では時間が少ないのでありますけれども、その中でも大臣に、この前の一般質問で二点ばかりちょっと残しましたので、その点に対する基本的な考え方を二つだけ聞いておきたいと思うのであります。  というのは、これは二月の十五日の予算委員会一般質問でしたけれども、国土利用計画法の土地利用基本計画と環境影響評価、この問題について私質問したわけであります。いまの日本の公害行政と環境行政、これについては土地利用こそが原点である、こういうふうに言われているのでありますけれども土地問題の切り込みをいままでは怠っておったのだ、それから発生対策段階で足踏みだけをし続けてきたのだ、すなわち後追い環境行政に終始したのだということであります。今度の国土利用計画法の土地利用基本計画、これは日本の環境行政が初めて土地の利用という分野へ手を伸ばしたという点で注目すべきものであり、画期的なものである、こう思っているのであります。したがって、これは慎重にしかも厳密に、時間をかけて土地利用計画をまとめるのでなければならないというのが私は基本だと思っておるのであります。ところが、国土庁では昨年の十一月から十二月にかけまして四十七都道府県から土地利用基本計画案を提出させました。そして、この三月の末までに計画決定をしょう、こういうようなことのようであります。土地利用基本計画、これは日本全国の国土を都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域、この五つの地域に区分して線引きしようとするものでありますが、地方が昨年末に提出してまいりました計画案そのものは、都市地域つまり都市計画法の都市計画区域の面積が大幅に拡大されていた。そして、他の四つの地域の面積は個別法の地域、区域どおりで、都市地域だけを広げたというようなことに報告されているようであります。これは国土庁のいろいろな答弁によりますと、四十七都道府県のうちで二十八県が都市計画区域を拡大してきたのだ、こう言われているのでありますが、建設大臣、建設省地方に対してどのような指導をされたのですか。そしてこれは、ちょっと都道府県側の話によりますと、建設省の方から都市計画区域を拡大するようにという指導があったと言われているのですが、本当のところどうなんでしょうか。前回、一般質問の際ここまで触れられませんでしたので、この分科会の際にまずお聞きしておきたいと思うのであります。
  290. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 建設省の方からことさらに、この土地利用基本計画の策定に際して都市計画区域をできるだけふやすようにという指導をしたことはございません。前回もお答えいたしましたように、ちょうど都市計画区域が新都市計画法に基づいて設定されてから、そろそろおおむね五年ぐらいを経過しつつある県が多いわけであります。そういうところでは都市計画法の考え方に従って新しい時代に合わせていこうということで、これは何も都市計画区域だけではなくて、都市計画全般を総合的に調査し見直しをしようという作業が進行中でありまして、たまたまそういう時期にぶつかったこと、あるいはこの四月から昨年の国会で通過いたしました都市計画法の一部改正により線引きしない都市計画区域でも新しく開発許可の制度が開かれ、開発規制ができるようになった。そういう意味で、従来大した意味のなかった都市計画区域というものが、開発規制という意味からも重要になってきたというようなことが重なりまして、府県によっては都市計画区域をふくらましたいという要望が自然に出てきたものと考えております。
  291. 島本虎三

    島本分科員 そうすると、これはちょうど五年目の線引き見直しの時期であったのだ、それと一緒になったのだ、こういうようなことのようでありますが、だからといって、開発行為の規制を野放しにして、公害を深刻化させてもいいという論理は成り立たないと思うのであります。建設大臣がはっきり、今回の都市計画区域の拡大してきた分については、これは市街化区域にしないんだ、開発行為の規制を定めている市街化調整区域にするんだ、こういうようなことならば、私はやはり公害行政、環境行政と一致する面で評価されてもいいし、国会に提案されたときの基本的な説明から逸脱していないと思うのであります。しかし、建設大臣はそこまで考えているのかということになると、そこまで考えられていないのじゃないか。五年目だからやる、そのときに都市区域をぐっと大きくする、これだったら後届け出だけで何でもやれる。そうだった場合は、日本列島改造論なるものにまた近づいていくような結果になるのではないかということを恐れるのです。これは大臣どうですか。それならばそれでわかりましたけれども、今回の都市計画の区域、これを拡大してきた分については、市街化区域にしないんだ、開発行為を規制をする市街化調整区域にするんだ、こういうふうに考えるならば当然だと思うのですが、いかがですか。
  292. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 ちょっと足らぬところは後で答弁をしてもらいますが、国土利用計画法というのは、与野党一緒になってつくった法律で、これは乱開発を規制しようという精神から出発しておりますことは御承知のとおりでしょう。そのために土地利用の基本計画というものは、これは暫定的につくりますけれども、私どもは現在の都市計画の区域を指定する、こういうふうに考えているわけです。おっしゃるように一部、ちょうどここ一両年が見直しのときでありますから、若干県や市町村においては拡大をしてきているものもあるようでありますけれども、私どものそれに対する見方は、むしろ都市計画を今後拡大していくために、先ほどからもいろいろ議論のありました流域下水道等の公共施設をどうしても進めていかなければならぬという問題があるし、あるいは地域開発の規制が野放しにしておきますとできないために、むしろそういうふうな放置すればいろいろ災害が起こるとか、野放しにすればいろいろな環境破壊が起こるとかいったものを規制をするために区域の中に入れておいたらいいのだという、むしろ積極的な環境保全という面から区域を拡大といったような善意のものもたくさんあるようでありまして、そういうふうな面は私どもも十分検討してみなければなりません。ただ、この機会に駆け込みで何とか広げておいてというふうな、そういう悪意のものだけに解釈するのはいささかどうかと思っておるわけであります。  市街化区域、調整区域で残すかどうかという問題、事務的な問題でありますから、政府委員の方から答えてもらいます。
  293. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 まだこれから国土庁を中心に各省寄り集まって決めるわけですから、いまの段階で府県が要望として出しているものすべてが認められるとも思っておりませんけれども、そういうものを基礎に考えたときに、その大部分が調整区域になるというようなことではないと思います。また、調整区域と市街化区域の線引きをしない都市計画区域も多々あるわけであります。一概に申せませんが、やはり五年ごとの見直しというような時期、それから、むしろ都市計画法の区域を拡大した方が、改正都市計画法の規定によれば、開発規制ができるというようなこと、それから、都市計画区域に入れたからといって、従来の農振地域とか森林地域を自動的に縮小するという性質のものでもないわけでありますし、だから今回都市計画区域がもし拡大されるとしましても、その中で市街化区域をさらに設定するときは、農林省と慎重な協議を経て必要最小限度のものを拡大していくということになりますから、全部が調整区域かと言われればもちろんそうではありませんし、全部が市街化区域かといえばそうでもない、そして、具体的に市街化区域に入れるべきかどうかは別途に慎重に協議の上きめていく、こういうことでございます。
  294. 島本虎三

    島本分科員 余りこればかりに時間を取っていられないが、どうも二人の答弁を聞いていると、やはり私も賛成したくなるのですが、それならば調整区域にしておいた方がいいということになるのです、勝手に乱開発できないから。これは都市区域について都市計画法によってちゃんと市街化区域にしたならばそのままいつでもできる、届け出だけできるようにしておくのは、これは説明の趣旨と少し具体的な方法は違うのではないか、こうさえ私は考えられるのです。ここは大臣の答弁のとおりきちっとやってもらった方が私はいいのだ、こういうふうな前提でいま心配するから言っているが、いままでこういうようなところから、公害の原点は土地問題からなんですから、土地利用なんですから、そして国土利用計画がまだ成らないうちに土地利用基本計画だけ先行してしまっている。こういうふうなことでやる場合には、その間に多大な危険な状態も予測されるので言うのです。大臣の考えのとおりにやってもらうのならば、事務当局にもそれをきちっとさせておいた方が私はいいと思うのです。それなら、市街化調整区域にしておけばいい、こういうようなことなんでありますけれども、このままでやはり面積をぐっと広げていってしまって、その後始末はどうなるのだ。市街化区域だけを広げると、貧弱な都市周辺の斜面地であるとか森なんかは、どうせ削られてしまうということははっきりしているじゃありませんか。同じ面積ですよ。それを都市区域だけ広がる、あとの方はそのままだということになりませんよ。削られますよ。削られないでそれをやるというその答弁は私はやはりおかしいと思うのです。したがって、もう住宅も不足しているかもしれませんけれども、市街化区域の拡大は公害深刻化作戦であり、環境破壊作戦につながる、こういうふうなことを心配するわけです。したがって、建設省としては土地利用基本計画、これに便乗している地方の都市計画拡大、都市地域拡大に対して、拡大してきた部分を削り落とすようにこれを指導してしかるべきじゃなかろうかとさえ思うのでありますが、この点については大臣どうでしょうか。
  295. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 所管国土庁でもありますし、ひとつ十分国土庁と意見調整をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力をいたしてまいります。
  296. 島本虎三

    島本分科員 これは時間の関係で、これで終わったのではないのです。この次にまた土地利用計画と環境影響評価の問題について、改めてじっくりと大臣と皆さんの御高見を拝聴するようにしていきたい、こう思いますので、よろしく御指導願いたいと思います。  では、第一にマル生問題についてちょっと調査してきた結果を聞きますが、中身は、私どもは十九日に桑名に行ってまいりまして、いろいろ現地調査してまいりましたが、私それを聞いて唖然としておった面があるのであります。組合活動すると差別扱いをする。そして昇給や特昇は遅れるぞ、こういうようなことを本人に職制が言ってやるということは、私はこれはやってはいけないことになるのではないかと思うのですが、労働省いますか――もし、これやったとしましたならばどうなりますか。
  297. 細野正

    ○細野政府委員 先生御存じのように、労働組合法関係は非現業の国家公務員等に対しては適用はございませんで、具体的な件につきましては私からあれこれ申し上げるのを差し控えたいと思いますが、民間に例を取りまして、いまも御指摘のように、組合員であることを理由に不利益な取り扱いをしたということになりますと、これは労働組合法上の不当労働行為に当たる場合がきわめて多いというふうに考えます。
  298. 島本虎三

    島本分科員 きわめて多いのではない。該当するのですよ。ですから、そういうような事例がたくさんあったわけてす。そしてその中で――私どもはこの機会に、ちょっと姿勢について聞いてみたいと思うのでありますけれども、そういうようなことがあったという人に直接、午後の五時過ぎですから勤務時間外にわれわれが行って、名前を挙げてもいいのですが、二人の人いましたから参考にちょっと来てもらいたいと言ったら、所長が、勤務時間外でもそれを話してはいけない、帰りなさい、こういうことで権限を振り回したのですが、こういうようなことは建設省として普通のやり方なんですか。また、これに対しては反省する点がございましょうか。
  299. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生方調査にいらっしゃったわけでございますが、その際、いわゆる総評の調査団でございましたので、事前に幹事の方が来られて打ち合わせいたしております。そのときに、いろいろ構成メンバーがおられて、大体十人くらいだということと、それから時間が二時間くらい、大衆活動にわたらないというようなことで、そんな条件でしたらひとつお会いしてお話をお聞きしましょうということであったわけなんであります。そういうことで話が進められて、大部分のところはそういうことであったわけでございますけれども先生の御指摘の、そこに組合員だとか組合の役員を一緒に同席させるということ、これは私ども、同じ事務所の中で幹部と一般の職員が先生方の前で非常にいがみ合うというようなことになりますと、今後のいろいろな人間関係についても問題がある。だから、そういうことではなしに、組合の役員は、連絡員でいる方は入っていただくということにいたしまして、組合員の方には先生方が直接お聞きになるという場合には庁舎の使用その他は十分便宜を図りましょうということで、そういうふうに指導してまいっておるわけでございます。したがって、事務所からある程度私も話を聞いておりますけれども、十分先生方の意向を聞くということで私ども指導いたしたわけでございますけれども、多少いざこざがありました点につきましては、われわれも非常に残念に思っておる次第でございます。
  300. 島本虎三

    島本分科員 私どもが行って、社会労働委員に属している私としては、こういうような不当労働行為の問題は、十分にこれを注意しておかなければならない議員としての任務がある。国政調査権がなくても、われわれとして十分これを調べなければならない義務もあるのであります。そういうようなときに、現にそこにいる人を、おまえ帰りなさいとか――勤務時間外ですよ、こんなことは常識外だと私は思っている。この点遺憾なんであります。しかし、こういうような点があったのは事実ですから、私はこの点を指摘して、今後十分注意してもらいたいし、私に対してもまことに無礼な行動があったということを一言言っておきますよ。しかし私は、そこで大分怒ってきましたから、ここではそれは言いませんが。  ただ一つ、ここでちょっと触れなければならないのがあるのです。これは天竜会とか伊勢湾会であるとか上流会であるとか岐阜コッカイであるとか三重会であるとか、業者との間の親睦団体が意外に多過ぎませんか。こういうようなことは上部の指導によってやっているのですか。それとも地域だけで何の目的のためにこれをやっているのでしょう。余りにも業者との癒着が多過ぎる。この点についていかがですか。
  301. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 建設省の出先の、たとえば事務所などのいわゆるOBというのですか、ずっと以前からの退職された方が、その皆さん方が、自身の意思で任意に親睦会をつくっておられるというのは聞いております。これは私どもが指導してつくっておるわけじゃございませんので、その全部のことは把握をいたしておりません。が、そういうふうに親睦の目的で退職者全員が、ある所におきましたら一定以上、大体係長以上だとか、そういう人たちがそういう親睦の会をつくっているというふうには聞いております。が、業者だけだということは実は私ども聞いていないわけでございます。
  302. 島本虎三

    島本分科員 私はでたらめに質問しているのじゃない。ちゃんと資料を持ってきているのです。確かにOBかもしれませんが、れっきとした工事関係の責任者であります。そしてその中に入っているのであります。そして、ほとんどこれに対しては、あえて申しますと、正式な会員ではなく、その人たちから招待をしてもらっているんだと言う。それが所長の言なんであります。会費を出していないで、その先輩から招待をしてもらっているんだ。これでいいでしょうか。こういうようなところにやはりいろいろと建設業界との癒着の問題が生ずるのではないか。大臣、こういうような点をきっとメスを入れておかないとだめなんです。それがまた多過ぎるのじゃありませんか。そして、今後またこれをやめる意思はございませんということをはっきり言っているのですが、これをこのまま継続させるのですか。自制させるのですか。大臣から……。
  303. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 しばしば国会でもいろいろ御質問いただく問題ですが、元の職員と現職との交際、これはもう申し上げるまでもなく公私の別というものを明らかにして、世の疑惑を招いてはならぬということは当然のことであります。だから、そういうふうなことが今後続けられるということは、これはあり得べきことではありません。私どもは出先が非常に多いのでありますけれども、厳重に注意をして、今後そういうことがないように、あるいは一部癒着といったようなそういうことの疑惑を受けることのないように、最善の努力、指導をしてまいらなければならぬ。これは当然のことだと思っております。
  304. 島本虎三

    島本分科員 大臣、それならば、これに出席するのに出張扱いになるのです。招待されるのに出張扱いということはおかしいじゃありませんか。ですから、この点は十分調べて――指導だけじゃありません。こういうような業者と癒着と思われる点はやめさせなければならないと思うのであります。やめさせますか。やめさせませんか。
  305. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先に事務的なことをちょっと申し上げます。  大臣から申し上げたとおりでございまして、OBとの親睦会があって、その関係――先輩であるかもしれませんけれども、現職の職員はやはり服務規律というものをきちっと、綱紀粛正ということを考えながら、自分の自覚のもとに行動しなければいけません。そういう意味におきまして、そういうことは先輩とのいろいろな関係が、公共事業を遂行する上に、仕事の上で支障があるということはいけないわけでございます。この点ははっきり公私の別を明らかにする、こういうことで疑惑のないようにしなければいかぬわけでございます。たとえば、いまおっしゃったように、そういう会に出るのに出張旅費をつけるというふうなことはあってはならないことでございます。そういうことがないように十分強く指導いたします。
  306. 島本虎三

    島本分科員 念のために建設省から調査してもらったのです。意外にあそこでは汚職による責任者の退職事故が多いですね。四十九年十月以来、三人、森田さんと小木曽俊一さんと北野昭夫さん。出張所長、事務所長、ずらっとこれは汚職で挙げられていますね。これはもうバーで飲んで、それを全部業者に払わせているということですね。こういうような人たちが責任者になってやっているということは、どうですかね、信用を失墜させませんか。私どもは、こういうようなことでさえ困ると思うのです。そして事務所長であってやめさせられ、懲戒免ですか、になりました北野昭夫さんに至っては、やめたことが公報や官報にも載せられてはいない。いつやめたのか、どうなっているか、全然わからない状態で、これまた業者の方へ行っている。ある組へ入った。そうして直ちに入札に参加し、工事を取った、こういうような例がはっきりあるのでありますけれども、やはりこういうような点等についても、大臣、もっともっとメスを入れないといけませんよ。まあ、この祭ですから、いままでただ単なる指導と言うのですけれども、指導程度じゃこれはだめだと思うのです。これは大臣自身、これに対してはっきりした態度をとらないといけません。片や不当労働行為、そしてそれを指導する側の人が汚職、これじゃめちゃくちゃじゃありませんか。これは無法地帯です。やはり正すべきは正し、きちっとしなければならない、私はそう思うのでありますけれども、これに対してどういうような処置を考えておられますか。指導を考えておられますか、大臣。
  307. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 この問題はいわゆる天下り持参金とかいったようなことで、新聞でも批判をさせておりますし、国会でもいろいろ御質問をいただいております。そのために私どもは省内に調査班をつくりまして、いま出先全部にわたって厳重な調査をいたしておるのでありまして、その結論を持って、必要なことがあれば処置をいたしてまいりたいと思っておりますし、今後は絶対にそういうことのないように最善の努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
  308. 島本虎三

    島本分科員 そのとおりやってください。  それと同時に労働省、不当労働行為に類する点が意外に、これは前時代的な時点で存在しております。何かしら上からの威圧的な態度、そうしてある場合には、土建業者の中で最近ちょっと見られるような、こういう珍現象と思われるような労使関係があるわけです。少なくとも国家公務員です。こういうふうな人たちの間でそういうようなことがあってはいけないと思うのです。労働省であれ、建設省であれ、省は違っても労働行政に対してはもう少し指導性を発揮してもいいのではないかと思うのであります。われわれから言ったら、意外にこれは幼稚な事件です。こんなことを言わないでもわかるようなこと、また言ったならばすぐ不当労働行為だと思われるようなことが平気であるようであります。私は全面的に建設省の労使関係について、法違反はないかどうかというようなことで、労働省として特に調査すべきじゃないかと思うのでありますが、意思がありますか、ありませんか。
  309. 細野正

    ○細野政府委員 先ほど申し上げましたように、非現業の公務員関係は労働省の所管外でございますので、関係の人事局等ともよく相談いたしまして、そういう点についてのあり方を検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  310. 島本虎三

    島本分科員 どうもそこら辺はきちっとした方がいいと私は思うからなんです。いろいろな資料がありますけれども、こんなようなことはおかしいです。組合に入るなと管理者が言ったということは、これはどうなんですか。そんなことは言ってはならないというのが常識なんですよ。組合に入ったならばあなた昇給がおくれますよ、損するよ、こんなことを言うなんというのは、もうすでにだれしもがやってはだめだという常識なんです。ところが、何とも思われないでやられているから、同じ官庁の中だから、その点はよく話し合って指導すべきじゃないかと思っておると言うのですが、これさえも労働省、あなたできないですか。できないならば、社労委員会でやりましょうか。どうなんですか。
  311. 細野正

    ○細野政府委員 先ほど申しましたように、この関係の指導は人事局でやることになっておりますので、私どももよく相談をして、検討の上対処させていただきたい、こういうふうに考えております。
  312. 島本虎三

    島本分科員 同じことを官房長どう思いますか。
  313. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生のおっしゃったこと、私ども具体的に知りません。いろいろなことを、前に新聞などで出たことがありますので、そういう点についていろいろ調べましたところ、そういう事実はないと私ども聞いておる次第でございます。しかしながら、いろいろな材料を提供していただければ、十分調査をいたしたいと思う次第でございますが、先生のおっしゃったとおり、幼稚なことでございますので、そういうことはあるまいと私どもは考えております。
  314. 島本虎三

    島本分科員 幼稚なことはあるまいと私も考えたいのであります。しかし、現に私が行って、そういうようなことに調査に入ったときの態度、応対、そして午後六時近くになって、その辺の組合員に対して聞きたいがと言ったら、もうおまえ入るな、帰れ、こういうふうにして直接言うのです。あれは何か言い方ぐらいあるのですよ。ところが、平気でそれを言ってあたりまえだと思っている。こういうようなところに労使関係の、いわば不協和音が入ってくる。ですから、まず皆さんの方が先に態度なんかを考えた方がいいと思う。いろいろな人がいますよ。いろいろな状態だというのはわからないわけではありませんよ、私。わかった上で、なおかつこういうような前時代的なことがありますよ、こう言っているのです。労働省とよく相談して、こんなことのないように十分気をつけて、今後は再び不当労働行為の問題でわれわれの手を煩わせるようなことをしてはならないと思うのです。これに対して、大臣の――大臣だ、あなたはもういい。大臣のはっきりした決意を承っておきたいと思います。
  315. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 もし御趣旨のようなことがあるとすれば、これは捨てておくわけにいきませんが、私どもはそういうものはないといままで信じてきたわけでありまして、今後も十分注意をしてまいるつもりであります。
  316. 島本虎三

    島本分科員 十分注意をして、これは調査した上でやってもらいたい。なお、組合側で調べたところによると、代表者会議に所長が出席をして、そのコピーもきちっとあるのでありますけれども、またそれに出張手当もきちっと出されているのでありますけれども、そういうようなことはやっていない、しかしその後で、いわば身分差別というのですか昇給差別というのですか、そういうようなことが行われた。しかし、あくまでそんなことはやっていない。しかしながら、写しはある。これはどうなのか私はわかりませんが、こういうような点は今後ないようにすべきです。やっちゃいけません。現にやっているのだけれども、これをやられたならば困るから、最後までない、ない、ない、ないで通すのです。ヒトラーのころにゲッペルスという宣伝相が、うそも三回言えば国民はこれを信用すると言った。この原理に基づいて言っているのじゃないと思いますけれども、ひとつ今後のために重大なる注意を喚起して、私は、もう時間だからやめろというのが来ていますからこれでやめますけれども、なお、これらの調査はわれわれとしては念入りにこれからも調査を継続していくつもりであります。再びこういうようなことを煩わすことがないように心からこれを要請し、善処を促して私の質問を終わる次第であります。
  317. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて島本虎三君の質疑は終了いたしました。  次に、井上泉君。
  318. 井上泉

    井上(泉)分科員 仮谷建設大臣と同じ出身県で、まことに光栄と思いながら質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、昭和四十二年に土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止に関する法律というものができたわけですが、その法律に基づきまして、これは一様に交通事故が多発する中で特に土砂を運搬するいわゆる砂利トラ、あるいは通称一匹オオカミと称するもぐり営業等の関係から交通事故が多発するというところから、この法律が生まれたわけでありますが、その法律が生まれたけれども、しかし、この法律が本当に生かされるためには、関係省庁がこの法律に基づく安全対策というものを講じなければならないと思う。ところが、一番土砂等に関係の深い建設業はこの砂利トラが一番利用されておるわけです。そこで、建設省としては、少なくとも公共事業関係をする建設事業において、こうした営業許可を受けてない俗に言う白トラというものを今日無制限に使用しておる、これの使用は野放しのような状態にあるわけですが、このことについて、私は建設大臣として適切な措置を講ずべきだと思うわけですが、その辺についての大臣の見解を承りたいと思います。
  319. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 まず私から答えさせていただきます。  いわゆるダンプ規制法という法律に基づきまして届け出をしておりますダンプカーの協会がございますが、この協会に加入しているものを優先的に使用するようにというようなことで、従来から業者に対しましても指導してきておるところでございます。ところが、御指摘のようなことが間々あるやに聞いております。そこで、今後とも、現場監督もそこにおるわけでございますから、このようないわゆる白トラにつきましては、警察の方でもこういった違法な白ナンバー・トラックの取り締まりをやっておりますけれども、それとあわせまして、建設省の方におきましても業者に対しましてよく指導監督をするようにということを厳重に通告いたしたいと思います。
  320. 井上泉

    井上(泉)分科員 通告いたしたいと思うなら、これはひとつ実行してもらいたいと思うわけです。これはこの法律ができたときにもずいぶん論議をされたわけでありますし、そのことによってこれは運輸省の方といろいろ調査をせねばならないわけでありますけれども、その時間がありませんので、少なくとも一番建設省関係工事にこうした自動車を使う率が高いわけでありますので、いま言われたことを本気でやられるのかどうか。私も末端におるわけでありますから、そういうふうなことが行われておるのかどうか、そうしてまた建設省がそういう指導行政をやっておるのかどうか。これはすぐわかるわけでありますが、これは大臣、本気でやりますか。
  321. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 先ほど局長からもお話がありましたように、これはダンプ規制法で届け出をしたダンプ協会に加入しているものが優先して使用されておると私どもは思っておるわけですが、しかし、おっしゃるようにいわゆる違法の白ナンバーが横行しておる。この取り締まりはそれぞれ機関とも相談をせなければなりませんが、使っておるものが建設業者だということになりますと、建設業者自体ひとつ十分自覚せなければいかぬ問題でありますから、これは業者に対して私どもから厳重な注意を喚起いたしまして、今後自粛させるようにいたしたいと存じます。
  322. 井上泉

    井上(泉)分科員 この一月ぐらい後でも、高知市でこうしたダンプカーにはねられた小さな子供が死亡したという痛ましい事件があるわけでありまして、私もその事件を通じまして本当にこうした無謀なトラックの暴走に対しての規制というものが余りにも野放しであるということを痛感をしたので、建設省の方としても特にこの面について力点を入れていただいて、そうして交通事故が少しでも防止をされるように、そうしてまたダンプカーの秩序が確立をされるように、ぜひひとつ御努力を願いたいと思います。  次に、最近の不況、経済のひずみの中での大変な不況で、不況になりますと一番先に総需要抑制ということで公共事業が押えられて、そうして今度景気が、不況対策ということになると公共事業というものを何とかやらねばならぬというようなこと、今晩の夕刊によりますと、総評が公共事業の凍結は一切解除してやるような、そういう申し入れをするというような記事も載っておったわけでありますが、その中でもやはり一番落ち込みのひどいのは、建設企業の中においても中小企業だと私は思います。その中小企業に対して、こういう落ち込みに対してこれをどういうふうにして救済をするということに考えておられるのか、その点を承りたいと思います。
  323. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 具体的なことは必要があればあとでお答えをさせますが、たびたび御答弁申し上げておりますように、建設業界の中で九九%以上が中小業者でありますから、中小業者対策というものを抜きにして建設行政は考えられません。しかも、昨今のような総需要抑制で非常に困っておるときに特にそういうことを考えなければならぬのでありまして、そういう意味において、四十九年度は特に繰り延べがありますが、繰り延べはできるだけ大規模工事を繰り延べして、そうして小規模のものを優先して発注をするということで努力いたしてまいったつもりであります。そうして、地元業者、中小業者というものを優先するということ、これは私どもがいま至上命令にいたしておりまして、出先機関にもあるいは都道府県にもそのことを実は依頼をいたしておるわけであります。そういう意味で、事業もできるだけ分割して中小企業者の受注の機会を持たせるというふうにすること、あるいは発注標準というものも地元の優良業者に対してはあるいは二段ぐらい上位までその指名をする。その反面に、大業者の上位がその下へ天下ってくるようなことのないようにといったようなこともできるだけ努力をしておるわけであります。そうして、本来体質の弱い中小企業者でありますから、共同請負制度といったようなものも奨励をいたしまして、できるだけ発注の機会を持たしめるようにと思って努力をいたしておるわけであります。一-三月の契約も、昨年と比較いたしますとかなり大幅に伸ばしておるわけでありまして、できるだけそれが中小業者に受注の機会が多くできるようにと思って指導いたしておりますし、さらに五十年度予算におきましてもできれば早期発注をやって、そうして、それはぜひ小規模の業者に受注の機会が多くできるように配慮いたしてまいりたい、かように思って努力をいたしておるわけであります。
  324. 井上泉

    井上(泉)分科員 たとえば、新聞では公共事業の三〇%以上は中小企業者に回すというようなことが報道されておるわけですけれども、三〇%ということを一つの目安とされておることは、これは目安とされておると思うわけですけれども、やはりそれだけではなしに、私は金額的に、たとえば今日これだけ貨幣価値が下落して物の単価が高くなったときに、少なくとも年間の工事量が二億前後のものは、これはやはり中小企業でやらす。あるいはまた、それが技術的にこれはもうどうしても大手でなければできないというものならいざ知らず、そうでないものは、あるいは中小企業者が企業体を組んでこれに受注の機会を与えるとか、そういうふうに総体の予算の枠の中だけでなしに、金額的にもそういう点を構えるべきだと思うわけであります。この点については、私は直接この業務を担当しておられる建設省のどなたかから御答弁を願いたいと思うわけです。
  325. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいまの三〇%というのは、二月四日の閣議了解で、官公発注はできるだけ中小企業にという趣旨から三〇%目安にということで了解されておる次第でございます。具体的にはただいま大臣がお話しいたしましたような方法で、建設省としましてもできるだけ分割発注したりあるいは地元の中小を使うように従来から指導してきているわけでございますが、もう一つの金額の改定等につきましては、こういう資材等が値上がりし、労務が値上がりしているときでございますので、この時代に合うように数次にわたってこまめに改定をしておるのでございまして、たとえば地建あるいは県等におきましてもこの発注標準でA、B、C、D、Eというようなランクづけを行っておりますが、機会均等にそれぞれの能力に応じて受注できるような金額を決めております。その金額につきましては、県なら県、地建なら地建の管内の業者数を勘案いたしまして、その工事の量とバランスがとれるように配分いたしておりますものですから、その金額につきましても適切な時期に改正を行っているわけでございます。たとえば、四国地建におきましては五段階に分けまして、三億以上あるいは一億二千万以上、三千万以上、一千万以上、百万未満というような五段階に分けまして管内の中小企業者が大体八七%くらいございますが、その八七%の七百三十五の指名参加の業者にこういう五段階の標準発注を守るようにということで、そういう対策を、価格におきましても改定してきているところでございます。
  326. 井上泉

    井上(泉)分科員 ぜひひとつ、今日中小建設企業というものは一番大変な苦況に陥っておりますので、その辺のことについては十分な配慮を要望するわけであります。  それで、この機会に一言、建設行政というかそういうものについて、私は先ほど島本さんの意見を聞く中で感じたわけでありますが、建設省の仕事をされておられる方、つまりこれは土木の技術屋、それぞれの専門家の方がおられるわけで、その専門家の方は、やはり役所といいましても一生お抱えのところではないわけですから、適当なときにはその職を退かれる。その職を退いた場合に、道路の技術屋が一般会社の仕事ができるわけでなし、やはり道路の技術屋は道路で生かす、あるいは川の技術者は川で生かす、あるいは住宅の建築の技術者は建築で生かすということになれば、勢い建設業の中に再就職の道を求めるというのは当然のことであって、そのことを私どもはとやかく言うのではなしに、むしろそのことは、そういう働き場所というものについては、もっとそういう道を求めやすいようなことにしてやらなければいかぬと思うのです。ところが、それがいわゆるおみやげつきであったり、あるいはまたそれがあるがために、建設省から行ったから、だからその業者を特別に優遇するとか、そういうことをするところに大きな社会的な問題を惹起しておると思うわけですが、私はそういう点についての大臣の見解を承っておきたいと思います。
  327. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生の御指摘でございます。確かに公務員として勤務した後の再就職というのは必要でございます。どの世界でも同じだろうと思います。その際におきまして、やはり本人の能力、技術というものを生かすということ、これも一つのポイントになると思います。しかし、それだからすべてどこでも就職できるということにはなっていないわけでございます。というのは、在職中の職務を厳正にするという意味におきまして、在職中に厳正な職務を執行するためには、これはまず本人の自覚であろうと思います。それから、上司の監督ということが大事になります。しかし、いまの法律制度では、それにもう一つ国家公務員法におきまして、二年間は密接な関係のある営利企業についてはならないということになっております。しかしそれは、先生のおっしゃったように、憲法で保障します職業選択の自由だとか生活の問題という、生きるための権利というようなこととも関連がありまして、人事院がその中で承認したものにつきましてはその限りではないということになっております。したがって、そういうものを厳密に調整をとりまして就職ということになるわけでございます。しかしながら、そういうようなことがありましても、先生のおっしゃったように、そのために、その行ったところが持参金つきだ、おみやげだというようなことがあってはなりません。私どももそういうことがないように十分指導いたしておりますし、いろいろ新聞で報道されておりますことについては十分いま調査をいたしておりますけれども、これにつきましては、私ども指名競争入札制度というもので公正を期しているところでございますので、そういうことはないと信じているわけでございますが、なお調査中でございます。なお、先生の御趣旨に従って、そういうことのないように十分指導してまいりたいと思います。
  328. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは大臣も御承知だと思うわけですが、高知県に早明浦ダムという大きなダムがあって、そのダムサイトのすぐ下の住宅の背後地の山が山崩れして、そうして非常な大騒ぎをした。つまり、このダムの漏水によってダムが決壊するのではないか、こう言って大騒ぎをして、そして何十カ世帯が避難をして応急措置が講ぜられて、その後、水資源の方では、これはそのダムの漏水によるものであるのか、ダムの漏水であれば大変なことだということで、ずいぶん調査をされたということを聞くわけでありますが、その結果はどうなっておるのか私は承知をしませんけれども、少なくともこの早明浦ダムをつくることによって生じた山崩れの状態であったことは、これはもう現地調査の中で明らかになっておるわけであります。  そこで、一昨日、地元の土佐町が高知県を通じて水資源公団に対して、八百九十六万円というこの応急対策に要した経費を要求しておるわけでありますが、これについては十分ひとつ善処をして、この地域住民の人たちの不安に対する答えを出していただきたいと思うのですが、その点について。
  329. 増岡康治

    ○増岡政府委員 いま先生のおっしゃいました早明浦ダムの取りつけ道路が昨年の豪雨によりまして側溝から大きな水が流れて、五十戸の中で三十六戸の皆さん方が非常に危険を感ずるということで、報告は水資源公団からよく聞いております。したがいまして、先生のおっしゃいました経過をたどりまして、この根本的な対策につきましては、高知県の土木部長が委員長になりまして地すべり対策委員会というものを持って、この調査に当たっておりますし、また相当の経費をもちましての対策調査費をもってやることになっておりますが、さて、いまの皆さん方の御要望が県を通じてあったということも水資源公団から聞いております。大臣の御指示によりまして、水資源公団に対して、これにつきましては十分対応できるよう指導しております。結論はまだ聞いておりませんけれども、十分受けて立つという水資源公団の態度でございますので、これをお伝え申し上げます。本日はちょうど水資源公団の参考人が見えておりませんので、私がかわって御説明申し上げた次第でございます。
  330. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは、こういうことを言うとどうかと思うわけですけれども、大臣の地元でもあるし、そうしてこの樺地区の人たちは、自分みずからの意思でそういうことをしたのではなしに、いまあなたがおっしゃられるとおり、その取りつけ道路の水がそこへまけ出た。まけ出たことによって、山崩れではないか、こういう心配の中に行ったことに対するいわば費用弁償でありますので、十分ひとつ誠意をもってこの費用弁償にこたえていただきたいということと、さらにまた、依然としてこのダムの漏水でないかという不安は残っているわけです。不安は残っておるわけでありますが、この辺については抜本的な調査をし、住民の不安を解消するような、そういう努力というものを早急にやっていただきたいと私は思うわけですが、この点についてはどうですか。
  331. 増岡康治

    ○増岡政府委員 先ほども触れましたけれども、その点の不安を除くことが一番だと思います。したがいまして、水資源公団は、高知県、私どももそうですが、一緒になりまして、この対策をやるために土佐町地すべり調査協議会というものを昨年つくりまして、すでに四千万の金を計上しておりまして、この解明に当たっておるわけでございまして、はっきり結論が出ると思います。
  332. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは次の問題に移りたいと思いますが、その前にやはりこの早明浦ダムのそういう危険の調査については、大臣としても、いま担当者の方が言われたわけでありますが、なおひとつ十分ハッパをかけて、一日も早く地域住民の不安を解消するようにしていただきたい。かように思うわけでありますが、大臣の見解を承っておきたい。
  333. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 私も、地元の県のことでありますから、災害があった直後に現地も行ってよく見せてもらいました。災害そのものは山崩れでありますから、これは御承知のように、本年度から砂防工事として現在の災害対策は徹底的にやります。それから、早明浦ダムの漏水に関連するものじゃないかということは、地元の人もいろいろ心配されておりますから、これはいま局長から申し上げましたとおりに、十分に調査をして、そしてはっきりした結論を出すことにいたしたいと存じます。  それから、その他の先ほどからいろいろ申されました問題については、水資源開発公団で処置をするように指導をいたしております。
  334. 井上泉

    井上(泉)分科員 最後に、本四連絡架橋ですが、この本四連絡架橋はこの国会の中でずいぶん長い間論議をされて、そうして三本同時着工という旗が上がった途端に総需要抑制の中でこれがとだえたわけであります。そこで、まあ今度三木総理は徳島であるし、大平蔵相は香川である、そして仮谷建設大臣は四国の最南端の高知である、こういうことから本四連絡架橋にかける四国島民の期待というものは、いままでとは違った非常に積極的な期待があると私は思います。そこで私は、大臣が就任以来この橋の問題についてのいろいろの談話というものを承知をする中で、今度こそこの仮谷大臣が、歴史に残る建設大臣として、この本四架橋に決断を下すべきじゃないか。そのことはやはり苦労人である仮谷建設大臣のなすべき大きな仕事ではないか、業績ではないか、私はこういうふうに期待をかけておるわけですが、仮谷建設大臣は、この本四架橋についてあなたの在任中に決断を下されるつもりであるのかどうか。ひとつ明快な御返事を承りたいと思います。
  335. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 本四連絡橋が現在の時点で三ルート同時着工が非常に困難であるということ、中には、総需要抑制の見地からむしろ無期延期をしてはどうかという意見さえあることは井上先生御承知のとおりであります。しかし、私は率直に申し上げまして、九州にはすでにトンネルや橋もできておる、二ルートできておる。北海道にも海底トンネルが抜けておって、これは不況だからといってやめよと言う者はだれもいない。四国だって四百万の島民がおり、しかもこれは超党派でいままで推進をしてきた問題でありますから、ただ総需要抑制だからといって無条件で延期をするといったことについては、私はそういうこと自体がこれは地域的な不公正だ、そういうように思っております。ただ、こういう場で公式に発言をせよということになりますと、率直に言って、これは一昨年の十一月に本工事着工を見合わしておるのでありまして、したがいまして、今後は経済の情勢の見通しを得た上で適当に着工の判断を下す、こういうふうに申し上げるよりいたし方ありません。しかし私はいずれにいたしましても、これは地域住民のためにもぜひ着工をいたしたいと思っております。ただ、どういう形でいつやるかという問題については、非常に関係地区にも影響することでありますから、きょうはひとつここで明快に申し上げることはお許しをいただきたいと思います。  率直に言って、この問題は一政党の問題でもありませんし、一政府の問題でもありません。野党も与党も一緒になって超党派でやってきた問題でありますから、私は、井上さんなどひとつ四国の関係の人々、代議士の方々には率直に私の気持ちも話し、いろいろと御相談もし、お知恵もかりたいと思っております。そしてお互いに力を合わしてこの問題をどう解決していくかということにひとつお力添えをいただきたい、このことをお願いをしておきたいと思います。
  336. 井上泉

    井上(泉)分科員 大臣の苦労というものはよくわかるわけでありますけれども、客観的に見て三つの橋が同時着工ということになれば、これは問題ないと思うわけですけれども、この三つの橋を同時着工ということは、四国には一つは必要だけれども、三つも要らぬのではないか、こういうことは同僚議員なんかもよく話をされるわけであります。  そこで大臣の言われるように、たとえば四国の国会議員団が超党派でこの橋の問題を一つにしぼって早く着工するようにしようという、仮にそういうことになっても、なかなかその一つの橋ということの地点が大変なことになろうと思います。意見を聞くということはあっても、そのときに、総理大臣は明石-鳴門と言うかもしれぬ。建設大臣はこれも明石-鳴門と言うかもしれぬ。ところが大蔵大臣は坂出-児島ルートを言うかもしれぬ。いろいろなことで意見がまちまちになって、結局これがまた来年の予算委員会あるいはまた分科会で論議をせにゃいかぬということにならないように、そこはひとつ大臣のたくましい行動力で各方面の意見を聞くということはいいけれども、しかし結局のところどこか一つ早く着工する、そういう決断を下していただきたいということ、これを私は大臣に強く要望して私の質問を終わりたいと思います。
  337. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて井上泉君の質疑は終了いたしました。  次に、庄司幸助君。
  338. 庄司幸助

    ○庄司分科員 まず簡単なことからお伺いしたいと思います。  これは東北地建の予算執行上の問題で疑義がありますのでお伺いするわけですが、昭和四十八年度予算で一月十二日から三月二十五日の工期、千三百五十五万円で気仙沼市所在の国道四十五号線に鹿析歩道その他工事で小野良組と工事請負契約書を取り交わしたわけです。ところが奇怪なことに、工事が契約内容のとおり完了したにもかかわらず、四十九年度予算で完了部分を含む他の契約が千六百八十八万円で今度は熊豪組と結ばれたのですね。ダブっているのは四十八年度予算の三百三メートルという約百六十メートルのU字型の側溝のふたと、それから鋼製歩道、組み立て歩道の分ですね。そのため年月日不明の工事計画設計書をつくった、私ここに持っておりますが、そうやって四百二十四万円の減額をやっているのですね。ところがこの減額した分が、四十九年度の工事設計書で見ますと、すでにでき上がっているものにさらに六十万円ほど増額されて設計されて契約が完了している。大変変な問題なんです。  そこでどういう事情があったのか、完成についてはこれは証人も目撃者もいるわけです。私当時の写真も持っております。この写真であります。内海さんいらっしゃる前で大変申しわけないのですが、内海さんの後援会の事務所まで写っているのです。こういうこと、私は、四十八年度の予算執行に基づいて契約を結んだものは当然四十八年度予算で支払われなければならない筋合いのものだと思うのですね。  それから二番目にお伺いしたいのは、六十万二百二十九円増額した、明細はありますが、これを見ますと、U字型側溝分で三万五千六百五十円、側溝のふたの分で八万四千五百七十九円、それから組み立て歩道の分で四十八万円、合計六十万二百二十九円が増額されている。これは完成したにもかかわらず支払いをしないから支払遅延防止法の関係で利息でもつけたというたてまえなら、利息にすると二〇%以上の年利になるのですね。これは高利貸し以上です。これも法外なんですね。  それから三番目に疑問なのは、小野良組が工事完成したにもかかわらず熊豪組がこの金をちょうだいするわけですね。すると、六十万円増額された分、これは一体だれに行くのか、筋合いから言えば熊豪組が取っちゃって構わないのですね。しかし工事をやった小野良組――私は何も小野良組と利害関係ありません、選挙区も違いますから。これはもらえない可能性もあるのですね。そうすると工事をやったにもかかわらず金をもらえない、こういう問題になるのです。ですからその点でどうも会計検査院の目をかすめるために苦肉の策をとった意図がありありと私には感じられるのですね。その点でひとつ簡単で結構ですから、建設省当局と会計検査院――会計検査院いらしていますね。会計検査院の立場から見るとこういうことはどうなのか。ここに契約書も全部あります。ひとつ御説明願いたいと思うのです。簡単で結構です。
  339. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 きょう先生からそういう気仙沼歩道その他の工事についての御指摘がございましたので、早速私どもちょっと簡単に調べてみました。なお引き続き調査しなければいかぬ点がありますけれども、それによりますと、これは契約年月日は去年の一月十一日にしております。契約金額先生のおっしゃったように千三百五十五万円ということになっておりますが、去年、これができ上がります三月ごろは御承知の建設資材その他物価が非常に上がったときです。したがって、どの工事も大きな工事については大体スライド制というものを適用いたしております。そのスライド制の適用の問題があって相当の金が追加で必要になってきた。交通安全施設整備事業予算で不足を来したので、その当該業者の了解のもとにそういう措置を講じたというふうに聞いております。そして残額については翌年度でこれを支払うということにしたと聞いておりますが、なお先生がおっしゃった点、まだ私どもの方も全く聞いていない初めてのこともあります。さらに調査をしなければわからないのでございますが、私ども先生の御指摘がありまして至急調べました点はそういう点であります。
  340. 本村善文

    ○本村会計検査院説明員 ただいまの具体的なお話がございました。お話は仙台工事事務所の工事だと思いますが、私どもは昨年四十九年はこの仙台工事事務所の会計実地検査を実はいたしておりませんので、いまおっしゃいました具体的な事実、これはただいまのところ私も承知しておりません。もしもそのお話のように工事ができておるのにそれが四十九年度に一部持っていかれた、繰り越されたということでございますれば、今度は四十九年度の工事としてことしの私どもの検査対象になるわけでございまして、十分ひとつ先生の御趣旨を体しまして検査をいたしたい、かように考えております。
  341. 庄司幸助

    ○庄司分科員 政府契約の支払遅延防止等に関する法律がありますね。これで第八条を見ますと「国が約定の支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、」云々とこう書いてありますね。利息を払う、こう書いてあります。ですから物価が上がって工事が割り高になったという場合は、当然会計法規上は四十九年度の予算で支払いますよ、遅くなって相済みません、それを業者の了解を得て、それで利息を付して支払う、これがこの法律の内容です。ところがあなたおっしゃったことによると、何か物価が上がって、スライド制があるんで、それが押せ押せになって支払いできなくなった、こういう御答弁なんですが、そうするとこれは明らかに会計法規違反だと私は思うのですよ。予算のないもので契約を結んだ、年度内契約。こういうことは許されていいんですか、こういう乱脈のことを。
  342. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 いま先生予算のないものとおっしゃいましたけれども、それはそうでないわけでございまして、契約当時はあったわけです。ところが御承知の契約約款で一定の条件のときにはスライド条項を、双方の協議によってスライドすることができるということで、去年は、四十八年度は相当物価が上がったのでこれを行ったわけです。これはもう全部について行ったわけです。したがって、その際のこのスライド条項適用の関係で業者の了解のもとに協議して、これは契約でございますから、自主的な契約ですから、相手方がそういうことで契約更改ということを承諾すればいいわけですから、そういうことでしたのだろうと想像できますけれども、なおちょっと具体的な事情はさっき申し上げましたように、先生の方は非常にお詳しいようでございますけれども、私ども全くきょう指摘されたことでございまして、なお十分調査してみたいと思います。
  343. 庄司幸助

    ○庄司分科員 これは非常におかしいのですよ。スライド条項ならスライド条項に基づいた予算をちゃんとつけなくちゃならないのです、これは。それを予算がないにもかかわらず契約を結んで年度内に仕上げて金払う、こういう契約の指導を本省がなすっているとしたらこれはとんでもない、大蔵省あたりびっくりしますよ。私は大蔵省にもこれは聞きました。もうとてもじゃないが政府の会計法規から言ったら考えられないことだ、こう言っていますよ。だからこれはそういういまの局長の御答弁のようなものじゃない。やはり違法な契約やっている。しかも、会計検査院聞いてくださいよ、六十万円よけい払っているのです、できた仕事に対して。いや、頭振っておられますが、払っていますよ。私はこういうずさんな契約のやり方、こういうことが建設省に残っているとすれば、やはり五十年度予算でも建設省は相当な予算を持っているわけですから、これだけで全部疑うわけにはまいりませんけれども、相当これは考えなくちゃならないと思うのです。だからその点で、私はくどいことを言いません。あなたの方も余りよく知っていないようですから、調べてひとつ私のところに報告してもらいたいと思います。いいですか。
  344. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもも先ほどの話でございまして、十分把握しておりません。十分調査した上で関係各省とも十分打ち合わせいたします。先生のところにも御報告いたします。
  345. 庄司幸助

    ○庄司分科員 続いてお伺いしたいのは、最近いろいろマスコミをにぎわせました持参金つきの天下りの問題がありますね。それから田中金脈をめぐる土建業者の役割りなんかですね。あるいは建設省の行政と業界の癒着の問題、これは文春にも相当出て、世の糾弾を浴びている問題なんですね。私も、これをどうも裏づけるような資料を若干入手しているわけです。  それで御質問をいたしますが、四十六年度から四十八年度までの三年間、おたくの北陸地建の工事請負契約件数ですね、この件数とそのうちの新潟県内の分、これは何件になっているか、これをひとつお答え願いたいと思います。
  346. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 御指摘の四十六、四十七、四十八年度の北陸地建全体の発注工事が二千八百五件でございます。その中で、北陸地建の新潟県内の発注工事は千四百六十五件でございます。
  347. 庄司幸助

    ○庄司分科員 ちょうど半分ですね。五〇%。北陸地建の管轄は新潟、富山、石川の全県とそれから岐阜県と山形、福島の一部だと私は聞いております。それで非常に新潟県が多いんですね。これは田中さんの地元だという関係があるのじゃないか、こう世間の人は言っているわけですがね、やはり政治力が働きますから。  まあそれはそれとして、次にお伺いしたいのは、建設省における工事請負見積もりには、一体一件当たり何人ぐらいの指名参加をさせるのか。それから指名業者を選択する基準ですね、これはどの辺に置いているのか、これをひとつお答え願いたいと思います。
  348. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ちょっとつけ足して述べさせていただきます。北陸地建の管轄は新潟、富山、石川でございます。この三県でございます。ただ営繕工事については一部いろいろまたがっている所もございますが三県でございます。  新潟の人口が約二百二十六万です。それから石川県が百三万です。富山県が百五万。石川、富山合わせますと二百九万でございます。新潟は二百三十六万でございまして、人口だけではもちろんいろいろな公共工事というのは判断できませんが、大体まあまあ半分ぐらいというのが従来からでございまして、これはまあ妥当であろうというふうに私どもは考えております。  それから次に先生の御質問の業者、指名業者の数でございますが、これは御承知のように予決令の九十七条の中で、一定の資格を有する者のうちからなるべく十人以上を指名しなければならないということでございまして、地建におきましては、大体十社を原則として指名することにいたしております。  それから指名基準でございますけれども、これも御承知の会計法令に基づいて建設省内部でもいろいろ決めておりますが、地方建設局の発注の三千万以上の工事につきましては地方建設局長、三千万未満につきましては工事事務所長がそれぞれ指名することにいたしておりまして、その指名に当たりましてはまず御承知の工事種別ごとの発注予定額に相応する業者、いわゆるランク制というのをとっております。したがって、そのランク制で相応する業者の中から工事についての不誠実の有無、それから地理的な条件がどうであるか、それから技術的な適性があるかどうか、労働福祉の状況等はどうであるかというようなものを勘案いたしまして、特定の業者に偏することのないよう適正に選定するという指名基準かございまして、そういうふうに実行いたしておる次第でございます。
  349. 庄司幸助

    ○庄司分科員 それで、これがもし特定業者に非常に片寄るようだと、先ほどの質問聞いておりまして、大臣の方からもできるだけ中小企業分野に公平に回してやりたい、こういうたてまえもあるわけでしょう。ところが、新潟県内の地元業者に福田組というのがございますね。それから福田道路というのがあります。それから加賀田組、本間組、植木組、丸運建設、山崎組、こういった業者があるのです。こういった業者に非常に契約件数が多いと、私の手元資料ではそういうふうになっているわけです。若干資料を申し上げますが、四十六年から四十八年度にかけて、福田組が二十六件落札している、加賀田組が十七件、福田道路が十五件、本間組が十四件、植木組が十一件、あと、その中に鹿島なんかも十四件組に入りますが、それから丸運が八件とか山崎組が七件とか、合計で七社で九十八件取っております。百五十四社ほどおたくの工事を請け負ったわけですが、大体四・五%の業者で、請負の件数にすると大体二〇%ぐらい、こういった業者の方が取っておる。これは一体どういうわけなんだろうということです。私も不思議に思っているわけです。その辺、どういうわけなのか、ひとつお示し願いたいと思います。
  350. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生から、これも七社について先ほど御指摘ございましたので、これについて実は早急に調べてみました。三年間の件数で、先生のいまおっしゃったのとちょっと違うのでございますが、私どもの合計でいきますと、四十六、四十七、四十八で七社については合計件数全部で二千八百五件のうちに百七十三件、(庄司分科員「新潟県内の分ですよ」と呼ぶ)いまのはこれは全部でございますが、新潟については、七社については地元の業者でございます。したがいまして、ほかは新潟県以外は非常に少ないと私ども考えておりますが、この表でいきますと、かりにいまの地建内の新潟を含めた全部といたしましても、件数で六・一七%でございます。約六・二%ですね。これは北陸の全体工事の中で大体平均一社については一%前後でございまして、全部合計しまして約六・二%。それから発注金額で言いますと、これがパーセントだけ申し上げますと北陸地建全部で、新潟県も含めて全部でございますが、この七社で約七・六%ということになっておるわけでございますが、一社ずつ見ますと、全工事の中で大体これも一%前後でございます。  中小建設業対策、私どもこれについて非常に配慮いたしております。中小建設業対策の中で一番は、やはり地元で、その土地にも明るい地元の業者で優秀なものを十分活用するということを私どもは方針としてとっているわけでございます。したがって、全国業者に比べまして、これら地元業者に対するそういう発注の割合が若干高いというふうには考えられます、全国業者に比較いたしましてです。それから先生のおっしゃいましたこの七社以外にも地元の業者があります。この業者についても大体同じような比率でございます。
  351. 庄司幸助

    ○庄司分科員 ですから、私が伺っているのは、新潟県内で何件取って何%になっているのかということです。この点ひとつ……。
  352. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ここに新潟県の各年ごとの七社の件数、金額はあります。すぐ計算すればわかるのですけれども、ちょっといまここで合計をさせますから……さっき申し上げましたように、全北陸地建の中で新潟県内のは、これは地元の業者でございますから大部分は新潟県の業者でございます。ちょっと、いま計算をさせます。
  353. 庄司幸助

    ○庄司分科員 それはまあ計算してもらいますが、おたくのほうでは地建の直轄分とかあるいは工事事務所発注分とか、いろいろあるだろうと思います。工事事務所発注分で何ぼくらいになりますか、新潟工事事務所発注分です。
  354. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ここに新潟工事事務所だけの資料は持ち合わせておりませんので、あとで調査しましてまた申し上げます。
  355. 庄司幸助

    ○庄司分科員 私が申し上げているのは、さっきちょっと舌足らずでしたが、工事事務所発注分、この比率が非常に多いのです。この比率が多いというのは、これは経歴が古いとか仕事がしっかりしているとか、皆さんいろいろ理由をおっしゃるだろうと思うのですよ。そこで、非常に発注件数が多い。先ほど数字を申し上げました。総工事契約が四百九十一件中、九十八件取っているわけですから。  それで、自治省いらしていますね。自治省の選挙関係の方にお伺いしますが、いま申し上げた七社ですね。福田組、福田道路、加賀田組、本間組、植木組、丸運建設、山崎組、これは四十五年度からでいいですが、四十五年度から四十八年度まで、田中さんの系統の政治団体にそれぞれ幾ら献金したか、これをひとつお知らせ願いたいと思います。
  356. 山本武

    ○山本説明員 ただいまの御質問ですが、政治資金規正法の第二十条の規定によって官報で公表している数字を申し上げたいと思います。なお田中前総理の系統の政治団体であるかどうかという点については、私ども定かに承知しておりませんので、巷間言われておりますところの越山会、財政調査会、政治経済調査会、経済社会研究会、新政経振興会という五団体に限って申し上げますと、四十五年上期から四十九年上期までの五団体に対する、いわゆる政治資金規正法上の寄付を集計いたしますと、福田組千五百万、福田道路二百万、本間組七百万、加賀田組二千四百万、山崎組八十万、丸運建設二百万、植木組三百万というふうに官報で公示されております。
  357. 庄司幸助

    ○庄司分科員 合計しますと、これは五千三百八十万円になるのです。そういう点。私は非常に疑惑を濃くするわけですが、政治献金と請負の問題ですね。これはどうも因果関係があるように見えて仕方がないのです。しかもこの文藝春秋の立花さんの論文を読んでも、こういうことが書いてあるわけです。  つまり、政治献金は土建業者にとっては大変メリットが多いんだ。「特に土建業界は露骨だ。」ある業者がこう言っています。「メリットはやはり大きいです。ウチのように土木の方が七割も占めていると、公共事業の鉄道、道路、橋などの工事の入札が大変なわけです。そのためには官庁の青写真の段階で情報を入手しなければならない。早く情報をつかんで、その準備をするワケですよ。建設省と国鉄関係の場合、これが必要です。」こう言っているのです。それからまた別な中小業者は「大きな工事だと入札による競争でしょう。もし、施主が政治家とつながっている場合(公共事業など)、献金しないわけにはいきません。結果的にハナ薬の効用はちゃんとあるんです」これは立花さんの調べですが、それから別の方を見ますとこういうことも書いてある。「最後に概括的な数字を示すと、寄付金総額のうち、五〇%が土建業関係から。田中氏と土建業の癒着ぶりがはっきり示されている。また地元新潟県からが二五%」だ、そのうち七六%が土建関係だ、こう言ってるわけです。  それから別なページを見ますと、東京ニューハウス、これは幽霊会社で、国会でも大変問題になっている会社ですが、ここへ電話してみたら「福田組です」という返事が返ってくる。こういう関係、非常に疑惑があるわけです。しかも先ほど申し上げた七社の工事請負額、これは相当部分占めておりますが、これは大臣にちょっとお伺いしたいのですが、やはりこれでは国民が、建設行政が業界と政治献金を介して癒着しておるんじゃないかと思われる、やはり問題点があると思うのですが、その辺、仮谷さんどういうふうにお考えになっているか、ひとつお考えをお示し願いたいと思うのです。
  358. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 ただいま御指摘のあった問題について、私はいま聞くだけでありますからお答えの限りじゃございませんが、従来そういった面がいろいろと取りざたされておりまして、国会でも議論をされておることでありまして、第一番に政治家がえりを正してこの問題に対処しなければならぬと思いますし、そういうことがあってはならないし、われわれは絶対にそういうことのないようにこれから気をつけていかなければならない、そういうふうに思っております。
  359. 庄司幸助

    ○庄司分科員 それで、先ほど申し上げた七社で落札した中で、九十八件中十一件、これが予定価格と落札価格が一円も違わない、まさに神の導きみたいにぴったり合っているのですね。あるいは見えざる手でも働いて書かしたのか。  たとえば、いま申し上げますけれども、福田組が四十六年八月に落札した下川口導流堤、これが一億一百三十万円。これは入札価格と落札価格が一円も狂っていません。それから加賀田組が四十七年六月に片貝道路その三、三千三百五十万円、これで落札しておりますが、これも予定価格と同じだ。同じ加賀田組が四十八年十月に刈谷田橋下部その二、一億二千一百万、これも一円も違ってないですね。それから福田道路の場合三件あります。四十八年八月の国道八号つけかえ四千八百万、それから横町舗装一億一千五百三十万、これは四十八年三月。それから四十六年四月の押上舗装、一億一千十万円、これもどんぴしゃり。本間組、横町道路九千八十万、四十七年三月、同じく本間組が横越護岸三千九百五十万円、四十七年十二月。植木組が嘉勝道路六千二百二十万、四十六年八月、それから黒川第一道路六千六百十万、四十七年三月。丸運建設、下舘道路七千万ぽっきり、四十八年十二月、これがたったの一円も違わないんですね。十一件です。いま指名業者十社参加させる、そして入札させて予定価格に合わなければ再々入札とかやらせるのでしょうが、大体この丸運建設の下舘道路の七千万なんという予定価格の組み方、まあ積算の基礎、いろいろ私も見てますが、相当こまい数字ですね。円単位までありますね。そういうものを寄せ集めて、端数切り捨てもあるでしょうが、七千万円ぽっきりなんというのが出てくるのですね、道路のあれで。それがまたみごとに七千万すぽんと一致する。これはもう神わざにしか見えないんですね。その辺どういう作用が働いたのか、これひとつ御説明願いたいと思うのです。
  360. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 ただいま御指摘の点、七社の工事について予定価格と落札価格が一致しているとか近似しているとかいうこと、私ども実は全くいま資料の手持ちございませんので、それがどうかということを申し上げる資料はございません。ただ申し上げたいのは、予定価格と落札価格が同一だとか、また近似してくるのは、一つは、発注に当たりまして請負工事の内容を明確にするために業種、ルートの図面だとか仕様書を示しまして、これに工事の内容だとか数量等仕事の施行基準が詳細に示されております。これを専門の技術者が積算するのでございますので、予定価格が適正価格でございますならば、極端に予定価格と差が生じないというのが一つ、もう一つは、業者側が建設工事を何度も積算して入札しておることによりまして、経験的に建設省におきますところの工事価格の積算方法を了解するということが二つ、第三は、先生もちょっとおっしゃっておりましたように、最近の実情では一回で落札するということはございません。これを数回やっているうちに、いまの法令では三回やりますと、それ以上の場合におきましては随意契約によることができるということで見積もりを随意契約によりましてその最低の落札者に出させます。一度出させても、なかなかこれが予定価格に達しないともう一度ということでそれを繰り返しているのが現状でございますので、そういうようなことを通じまして予定価格と同一になったり、または近似してくるということであろうかと存じます。予定価格は私が申し上げるまでもない、工事の入札にとりまして重要な要素でございますから、これは地建局長等が作成した場合におきまして、これを封書にしまして封印の上、これを入れて金庫に保管しておるわけでございます。したがいまして、事前に業者にこれが漏れるということは考えられないというふうに私ども思っている次第でございます。
  361. 庄司幸助

    ○庄司分科員 全く神様みたいなわざですね、これは。封書にして、厳重に極秘にしている。それがたったの一円も違わない。十一回もどんぴしゃり合う。そのほかすれすれなのもいっぱいありますよ。ぼくは業者の話もよく聞くんですが、とにかくこれは漏らさなければあり得ない問題なんですね。そういう点でも、文春で言っております政治献金の効能、やっぱりあるのじゃないかと思うわけです。その点ひとつ後で結構ですから、いま道路も件名も年月日も申し上げましたから、調べて報告してもらいたいと思うのです。いいですか、それ。
  362. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 いまの点につきまして、先生がどうして予定価格を御承知なのか、私ども不思議でならないのですが、予定価格は、実は事前はもちろんこれは秘でございますけれども、事後におきましても、それによりまして、業者が知ることによりまして公正な入札制度に影響を与えるということでございますので、取扱注意で外に出さないことにしているわけです。したがいまして、いまの先生資料、私ども調べますが、予定価格につきましては、これは差し上げるわけにはいかないということだけ申し上げまして、調製いたします。
  363. 庄司幸助

    ○庄司分科員 どこから予定価格が入手されたのか、そんなこと調べてくれとは言っていませんよ。それで、それは落札するまでは確かに秘密だろうと思うのですよ、秘密であってほしいと思うのです。しかし、落札後これは何にするのかわかりませんが、あるいはあなた方、この間浦井さんに対する答弁で、後の見積もりのときまた参考にされると困る、こういうことをおっしゃっていますね。そんなことで言いわけは通らないだろうと思うのですよ。あなたの方で言う単価表というものもありますね。そういうものもあるのですから、業者等でそれを参考にして見積もり書くわけです。そういうのが長年積み重なっていけば、大体単価表ではどれくらいだと出るだろうと思うのですよ。それが時価に合っているかいないか別ですよ。そういう点で、やはり予定価格が落札後も秘密にされるという理屈は成り立たないだろうと私は思うのです。何でもかんでもそうやって国民の目から隠しておくという態度は、やはり疑惑を濃くする原因になるだろうと思うのです。  先へ進めますが、大臣、実は文春にも、仮谷さんが田中系の政治団体から幾らかもらった、こう書いてあります。四十六年の上期から四十七年の上期までで結構ですから、どれくらいおもらいになったか、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  364. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 何か雑誌に出たようでありますけれども、私ははっきり覚えておりません。ただしかし、私もやはり七日会の一人でありまして、いろいろと選挙のときには政治資金としてもらったこともありますから――ただ、出ておる金額そのものが果たしてどうかということについては、私は記憶いたしておりません。
  365. 庄司幸助

    ○庄司分科員 それじゃ自治省に伺いますが、届け出られた資料に基づいて、仮谷建設大臣、当時は仮谷さんですが、幾ら出ているか、これをひとつお知らせ願いたいと思うのです。
  366. 山本武

    ○山本説明員 この点は、政治資金規正法の第二十一条の規定によって、何人も収支報告書を閲覧することができるたてまえになっておりますので、すでに公知の事実でございますが、たっての御質疑でございますので一例を申し上げますと、田中系の団体といってもたくさんございますので、越山会だけで申し上げますが、仮谷忠男氏名儀の受領で報告がされているものは、四十六年の下期において五百万、四十七年五百万、四十八年二百五十万、四十九年上期二百万というような収支報告書が越山会の会計責任者から出されております。
  367. 庄司幸助

    ○庄司分科員 これは越山会関係だけですが、私は公表された資料に基づいて調べましたが、四十六年の上期から四十八年の下期まで、仮谷さんは三千七百九十三万円もらっていることになります。これは、私も全部写しをとりまして調べた内容です。そのでんで調べてまいりますと、田中内閣以来の歴代建設大臣ですね、この方々、仮谷さんも含めて、こういうふうな数字になるのです。木村武雄さんが五千五百五十万円、金丸さんが一億三千三百二十八万円、亀岡さんが九千九百四十万円、それから小沢さんが一億二千五百八十九万円、そして仮谷さん、合計で四億五千二百万円、これだけ支出されたことになっております。そうしますと、私は、公選法の百九十九条、これは、衆参両院議員の選挙に関しては国と請負契約をする当事者は当該選挙に関して寄付をしてはならないという規定がございますが、これは当該選挙ですから必ずしも――しかし、こういった精神から照らしましても、業界と政界のとかくのうわさがありますから、やはりこういった請負をやっている団体から金をもらうのはやめたらどうかと思うのです。田中金脈としてとかくの指弾を受けている福田組なんかも入っているわけです。そういうところから入った金が越山会に回る、その他の政治団体に回る、そのおすそ分けをちょうだいする、これが田中内閣の歴代建設大臣であったということは、余り名誉にならないことじゃないかと思うのです。これは間接ですがね、回り回ってちょうだいするわけですが。こういう疑惑とあわせて、建設行政分野でも三木内閣の政治姿勢が問われる問題にやっぱりなると思うのです。大臣は、よもや私が指示をしてそういう政界と業界の癒着をやるなんということは、これはおっしゃらないだろうし、もちろんそういうこともあり得ないことでありますが、しかし、やっぱり、特に国の政治を請け負って利益を上げている企業ですね、こういった政治献金は一切やめるべきじゃないかと思うのですね。三木さんは政治献金を企業からはもらわないと最初言われたわけですから、その点閣僚としての大臣の御所信をひとつお伺いしたいと思うのです。
  368. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 いろいろお話がありましたが、さきの越山会ですか、私に何か出したという問題が出ていますが、それと建設大臣とは全く関係ありませんから、その点だけはっきりひとつ御理解願っておきたいと思います。  それから、少なくとも建設行政に携わる者が業者と利害関係によって結ばれてそれから献金を受けるなんてことはもってのほかです。絶対そういうことはあってはならないし、そういうことは断じていたしません。
  369. 庄司幸助

    ○庄司分科員 ただ、先ほど来申し上げておりますように、やはり政治献金をした業者がよけい仕事をとる。しかも入札価格と予定価格がどんぴしゃりに合ってみたりする。こういうことになれば、やはり国民に疑惑が出るのは私は当然だろうと思うのですよ。  次にお伺いしたいのは、建設省の天下り調書も私ちょうだいしました。天下りとは書いてありませんが。「営利企業への就職状況」、これは、昭和四十五年からことしまでの分ですが、合計で百三十七人就職されております。そういう中に、これは二月十二日の建設委員会で浦井さんも質問されたわけですが、北陸地建関係の業者に大分天下っている方があるわけです。小松建設工業については浦井さんが触れられましたから、私申し上げませんが、四十七年の四月には、岡昭一さんという建設省の方が福田組の土木部次長に、世間並みで言えば天下ったわけです。これじゃ福田組が落札件数が多いのはあたりまえじゃないか。入札価格と予定価格がどんぴしゃりに合うのもあたりまえじゃないか。こういうふうに思われても仕方がないわけです。  その点でお伺いしますが、新潟県下で、県下の業者で特に田中金脈と言われている先ほど挙げた七社に対して、本省と地建と工事事務所から合わせて何名就職されたか。これは、できれば昭和四十年ごろからのが欲しいのでありますが、あなたの方の持っている数字でひとつお答え願いたいと思います。
  370. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 先生の御質問は、いまの七社について建設省からの退職者が就職しているものについて言えということでございましょうか。
  371. 庄司幸助

    ○庄司分科員 そうです。
  372. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 これにつきましては、個人の名前はちょっと勘弁させていただきますが、数で申し上げますと、これは福田組がまず三十六年から四十七年まででございますが、これは地建の課長、それから事務所の係長、地建の部長なども入っておりますが、五名でございます。それから福田道路につきましては、三十八年から四十年、二名でございます。これは出張所長、それから本局の課長でございます。加賀田組、これは四十三年に事務所長を辞職して就職しております。本間組は、三十七年と四十四年に、二人とも事務所の課長でございますが、二名行っております。植木組に、三十七年と四十四年に二名、事務所の課長、事務所の出張所長が行っております。丸運建設に、四十八年一月一日、事務所長がやめて就職いたしております。山崎組はございません。七社について申し上げました。
  373. 庄司幸助

    ○庄司分科員 大分就職されておりますね。ほとんどこれらの会社――私なぜ申し上げるかというと、文勢春秋にリストが載っているのです。丸運建設であるとか、本間組であるとか、加賀田組とか、あるいは福田組、福田道路が載っているわけです。これはいわゆる田中金脈と言われている土建業者なのですね。しかもこれらが先ほど申し上げましたように、合計で五千三百万円ほど政治献金をやっている。だから、その結果から見ると、天下りをやる、同時に政治献金をやる、こうやって、やはり自社の利益のために営々とやる。その結果がやはり落札件数が多いとか、入札価格と予定価格が一致するとか、そういう結果になるのだろうと思うのです。  だから、その点で私は最後にお伺いしたいのは、私がきょうの質問で指摘申し上げましたことは、要約すればこういうふうになるのです。  田中前総理の地元新潟県が他の五県に比べて圧倒的に工事量が多い。それから二番目には、田中系政治団体に政治献金をした業者は請負件数が非常に多い。しかもそれら業者の場合、予定価格と請負価格がぴたり一致する件数も多い。こういう実態の中で、田中内閣以来の歴代建設大臣が、仮谷さんも含めてどなたも、これらの政治献金のおすそ分けを受けてきたことが、私は明らかになっていると思うのです。わが党は、昨年十一月二十四日の田中総理への公開質問状でも、上越新幹線をめぐる政治献金の形をとった政治的贈収賄の疑い、これを明らかにするよう田中さんに要請したわけです。しかしこれは依然としてナシのつぶてであります。私はこのような疑惑は、北陸地建の事態でもやはり濃厚だと言わざるを得ないと思うのです。これは建設省工事請負をめぐって政治献金の形をとった、やはり間接的な政治的贈収賄の疑いがあると国民が思うのも当然じゃないかと思うのです。利権と政治献金との関係がやはり浮かび上がっておりますから。こういう疑惑を国民の目の前で解明することが、私は建設大臣の責務じゃないかと思うのです。三木総理も田中金脈についての国会の調査には協力する、こうおっしゃっていたわけですから、これは徹底的にひとつ調査して疑惑を晴らしてもらいたい、もし晴れるものなら。そうして国会に報告していただきたいと思うのでありますが、その点ひとつ最後に大臣から所信をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  374. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 いろいろお話があったのですが、役人といえども退職すれば再就職する権利を持っております。比較的建設省関係の役人が業界へ就職するのが多いのは、それは職業柄あるいは技術関係、そういう面で業界関係に再就職するのが多いことは、これはやむを得ないと思います。それだけに国家公務員法、人事院規則によって制限をされておるわけでありまして、それを十分に手続を経た上で再就職をしているわけでありますから、そのことについて私どもは本当はこれはすべて天下りだとかあるいは持参金つきだとかいう考え方はとっておりません。少なくとも公共事業の執行にいささかの支障を来すようなことがあってはならないのでありますから、そういう面においては今までも厳に注意いたしましてまいったつもりであります。お説の問題についても、いまいろいろ御答弁申し上げておりますが、私はそれで大体疑念の点は解明されたのではないかという感じがいたします。  なお、調査不十分なところがありましたら調査をいたしまして、先生までこれは御報告申し上げますが、そういう意味で、私どもはいま答弁をいたしましたように、決してその中に大きな不正があったといったようなことは考えておりませんし、今後はむしろ公務員の公務執行に対する態度として厳に御注意の点については戒めて、努力をしてまいらなければならない、このように存じております。
  375. 庄司幸助

    ○庄司分科員 まだ五分ほど時間があるようですから、いまの大臣の答弁に関してもう一遍お伺いしたいのです。  建設省のお役人ももちろん定年退職後あるいは勧奨退職後再就職する、これは職業選択の自由ですから当然あるだろうと思うのです。ただ、私が昨年の四月二日に御指摘申し上げましたが、九友懇談会なんといって九州地建関係の天下った高級官僚の方々が、相当大きな建設業関係のしかも常務取締役であるとか、いい地位に入っているわけです。この方々が懇談会を開いて、しかも政治家を呼んで――政治家と言えば、われわれはそういうところは出ませんから大体おわかりだろうと思いますが、呼んで、その席上、現職の地建の局長に、あの道路はこうしたらどうだ、地建の直轄でやれとか、こういうことを差し出がましくやっているというところに問題があるんです。これは九州地建だけじゃなくて各地建ごとにそういう九友会みたいな存在はあるだろうと思うのですよ。一方ではそういうことをやっている。しかもゴルフに招待したり何かしてやる場合もあるようです。一方、平の建設省の役人は就職しようにも就職できないケースも相当あるわけですよ。そういう不公平もあるんです。だから、職業選択の自由があるといったって、やはりこの問題は高級官僚のOB会が建設行政に干渉がましいことをやっていることですね。これはやはり捨てておけない問題だろうと思うのですよ。その辺、仮谷さん新しく大臣におなりになったので、御所信も伺いたいし、それから請負業者ですね、この方々が請け負いによって国から利益を受けているわけですから、それが政治献金をやるというのは、やはりとかくのうわさの種にもなれば、また汚職も現に発生しておりますから、私も昨年三件ほど御指摘申し上げました。それから政治家に疑いがかかる、こういうこともあるので、国の仕事を請け負う業者の政治献金はやめるべきだと私は思うのですよ。私は、大臣が三木内閣の閣僚の一員でありますから、しかも三木さんは最初政治献金は業者からもらわない、こう言ったわけですから、その辺大臣としてどうお考えになっているのか、これを最後にお伺いして終わりたいと思います。
  376. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 さきに言ったOBの問題等もいろいろございました。そういうものがあるとすれば、これは厳重に注意して、今後そういうことのないように努力をいたしてまいります。  それから国の事業も重大な関係のある業界から献金をもらうことは適当でないというのは、私もそのとおりだと思っております。政治資金規正法の問題については、これはそれぞれの党において研究されておりますから、われわれがとやかく言うべきものじゃありませんけれども、私は閣僚として、国の事業と重大関係のある団体や業者から政治献金をもらうべきでない、こういう考え方を持っております。
  377. 庄司幸助

    ○庄司分科員 終ります。
  378. 谷垣專一

    谷垣主査 これにて庄司幸助君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日午前十時より開会し、建設省所管審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時四分散会