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和田(貞)
分科員 ひとつ御
努力をお願いしたいことを、要望しておきたいと思うわけであります。
そこで、時間もありませんので、私この
機会に、法務
大臣とお会いし話をするという
機会もなかなかないわけでございますので、刑務所以外の問題について、ひとつ要望しておきたいと思います。
今度法務省の
予算で、人権相談
関係の職員の増員をされたということ、私は敬意を表したいと思うわけなんですが、それにいたしましても、まだまだ万全でないと思うわけなんです。特に、御案内のようにいわれなき部落差別の問題です。この点につきましてはあなたの方で把握されておるわけでありますが、
昭和四十七年におけるところの、あなたの方の出先の人権相談所に差別事犯として持ち込まれた件数が約三万です。翌四十八年になりましたら四万を超えておるわけです。四十九年ではおそらく五万件を超えるということで、部落差別を解消していくということでなければならないのに、年々ふえていっておる。増加をたどっておる。しかも、そのあなたの方で受けられた相談件数の中で、完全に処理されるというのは一割にも満たない、一割どころか一%にも満たない、こういう姿であります。それほどこの部落差別の完全解消というのはむずかしいことであります。
政府が、同対審答申を受けましてせっかく特別措置法を制定されて、ことしで七年を迎えるわけです。この特別措置法に基づきまして、ことしも約九百億の
予算を組んで
政府としても取り組んでいただいておるわけでありますが、しかしながら、同対審答申にも言われておりますように、
国民的な課題としてこの問題を解決しなくてはならない。それには国あるいは自治体が責任を持って、責務としてこの問題の解決に当たるんだ、こういう強い姿勢を
政府当局も示されておるわけでありますが、なかなかそういうふうにはなっておらない。
これらの問題につきまして、特に
国民的な啓発については、たとえば同和教育については、単に被差別部落の住民を対象とした同和教育をやっていくとか、あるいは社会教育を
充実していくということだけじゃなくて、むしろ、被差別部落の存在しない地域にわたっても、全
国民を対象にして、なぜ部落というものが存在をしたのか、なぜ部落というのはつくられていったのか、こういう歴史的な過程というものも
国民の中に理解をさしていく、そして、いま
政府あるいは自治体がこれだけ一生懸命になってやっておるんだから、
国民の
皆さん方の御協力をひとつお願いする、こういう啓発活動というものが非常に欠けておるわけです。これはどの省でやるかというと、おれのところはこうでないとかああでないとか言う。やはり人権問題を所掌されておる法務省としては、先頭を切ってこの問題に取り組んでいただかなければならないと思うわけであります。
総理府の広報室というのがありまして、中央紙、地方紙、あるいはテレビ、ラジオ、雑誌、あらゆる刊行物、宣伝網を通じまして
政府機関の広報活動をやっておられるわけでありますが、その経費が昨年一
年間で三十億を超えておるわけです。三十億を超えるような
予算の中で、措置法制定以来七年目を数える今日まで、まだ一回たりととも、あるいは新聞に一行たりとも、
国民的な課題となっておるこのいわれなき部落差別の解消のために、
政府がこれだけ一生懸命にやっておるんだ、ひとつ
皆さん方の御協力も頼みますよというような啓蒙活動というものは、一回もなされたことがない。そういうことでありますから、なかなか
国民的な課題になり切らない。なり切らないから、せっかくあなたの方で、
政府の方で
努力をされましても、
予算を使い過ぎるとか、
予算が多過ぎるとかいうような論議までも国会で出てくる、これが実態じゃないか、このように思うわけであります。
したがいまして、せっかくの
機会でありまするので法務
大臣にお願いをしておきたいわけでありますが、
関係省庁とひとつ御
連絡をとっていただきまして、せめて年に二回や三回、できるならば月に一回でも、やはり
政府の広報活動を通じて、部落差別の問題について、ひとつみんな力を合わせてやりましょう、こういう啓発活動をぜひともやってもらうように
努力してもらいたいと、私は強く要望したいわけでありますが、一言、私の要望について法務
大臣の方の御
見解をお聞かせ願いたいと思います。