○小林(進)
委員 総理はどうも、私が言っているのではないのです。問題はあなたじゃない。第七項目なんですよ。いま一回言いますよ。第七項目の、「日中両国の国交正常化は、第三国に対するものではない。両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。」というこの共同声明の文章、これに条約という衣をそのまま着せるかどうかというだけの問題なんですよ。これを条約の本文に入れるか入れないかというだけの話なんです。それだけの話なんだから、余分なことは言わない、問題はそこに集約をされているのでございまして、それをあなたがなぜ一体逡巡をしていられるかというのがわれわれはわからない。
そこで、時間がありませんから、私はまた問題を進めていきます。
問題は、
田中さんも大平さんもこれをおつくりになったんだが、この共同声明をつくられるためには
国民のコンセンサスはできた。これは私はあなたにあえてお教えすると言ってはなんでありますけれども、できた。というのは、一九七一年十月二日
——そこに資料かありますからごらんください。資料の三であります。資料の三に、これはいわゆる日中議連であります。この
国会の中における日中議連と、いわゆる中国の中日友好協会の代表団でつくった共同声明なんです。この共同声明は、
田中さん、大平さんが行かれる一年前なんです。前のときにこういうことがちゃんと共同声明に決めてある。「国の大小をとわず、すべて平等でなければならない。各国の内部の事がらは各国人民がみずから解決すべきである。」その次です。「二つの超大国の、武力を背景とする強権
政治と武力干渉の政策は、必ず失敗におわるであろう。かれらは外国に派遣している軍隊を撤退しなければならず、外国にある軍事基地を撤去しなければならない。」こういう共同声明ができ上がっているのです。
これは試みに申し上げますけれども、このときの代表団長は
自民党の藤山愛
一郎さん。そして
自民党を代表してそのとき、お名前を申し上げますよ、この共同声明にみんな個人個人が署名したのだから。
自民党では宇都宮徳馬、澁谷直藏、浦野幸男、塩谷一夫、山口
敏夫、計六名が行っておる。これはみんな
三木派が多いのですよ。この人たちがこの覇権反対、超大国の覇権主義に反対だと調印している。そのときには、社会党は小林進、松平忠久、
楢崎弥之助、井野正揮、参議院議員成瀬幡治、阿具根登、また公明党からも衆議院議員伏木和雄、鈴切康雄、桑名義治、参議院議員渋谷邦彦、民社党今澄勇、河村勝、向井長年というふうに、各党の代表、除く共産党であります。ちゃんと代表を網羅して、そして行ってこれを調印してきた。いいですか、
三木さん、私は事実を言うのですから。そして帰ってきて、各党が、この超大国の覇権主義に反対するというこの共同声明を各党にみんな諮ったんだ。いいですか。諮ったときに、社会党は満場一致全員賛成、公明党全員賛成、民社党全員賛成、ただし共産党を除く。そのときに、いいですか、
三木さんお聞きください。そのときに、この長文のわれわれのこの超党派的な共同声明が
自民党で問題になったのです。どこが問題になったのか。この覇権主義反対が問題になったのじゃないのです。そのときに問題になったのは、この共同声明の中のいわゆる台湾条項が問題になったのです。その共同声明の中に、第三項にこういうことがある、「いわゆる「日台条約」は中華人民共和国がすでに
成立した後に調印されたものであり、したがって不法であり、無効であって、廃棄されなければならない。」日台条約を、不法であり、無効であり、廃棄されなければならないというこの共同声明の条項がけしからぬということで、
自民党のタカ派
——いないな、大野市郎君や何さんあたりが、問題になさって、藤山愛
一郎除名論というものを出して、当時の
自民党の統制
委員長千葉何がし……。こういうことになったが、この覇権条項はさあっと
自民党も満場一致で通ったのです。いいですか、通ったのですよ。
だから、私はくどいようでありますけれども、この覇権主義反対は超党派的に、
自民党も含めて全部これは賛成になっている。台湾条項だけが問題になったのです、もしそのことをうそだとおっしゃるのならば、私はこの共同声明を承認をした
自民党の日中議連に加入していらっしゃる方々の名簿を、全部ここで発表してもよろしゅうございますよ。この共同声明には日中議連は全部賛成した。この日中議連に入って覇権主義反対に賛成をしたいわゆる議員の名簿は、
自民党で日中議連、藤山会長、の中に入っている議員の名簿はここにありますよ。読み上げますか。いまでも百五十七名いらっしゃいますよ。この中の閣僚の中にもいらっしゃいますよ。覇権条項は賛成だ、絶対やるべきだという方がいらっしゃいますよ。何名いるか。一、二、三、四、五。もちろん大平さんはみずから覇権主義反対をやってこられたのでありますから、賛成派の巨頭であることは間違いはない。その大平さんを除いてまだ五名もいるのです。ですから、いいですか、
三木さん、もはやこういうふうに
国会の中では、覇権主義反対というのは、もはや
国会の中には多数を占めているのです。この日中議連に加入している会員は四百三十名もいらっしゃるのです。覇権主義反対に賛成をする議員の方々が、衆参を合わせて、議員連盟に加入していらっしゃってこれを認めた方々が四百三十名もいるのです。わが日本の
国会では、もはやこれは定着をしているのです。この定着をしている事実の上に立って、だから
田中、大平は飛んでいったんだ。
内閣を組織する、三カ月もたたないうちに北京へ飛んでいって、そして要人と話し合って、この覇権主義反対の共同声明を出したときには、唐突と行ったのじゃないのです。こういう
国会の中のちゃんと基盤ができ上がった。いいですか。
時間がないから、また
一つ私は申し上げましょうか。またその次を見てください。これはよそのことで悪いですけれども、資料の第四を見てください。お手元にありますよ。資料の第四、昭和四十七年の二月二十七日、これは中国と米国との共同コミュニケです。周恩来とニクソンとのこの共同コミュニケ、これなどもどうです。「どちらの側もアジア、太平洋地域で覇権を求めるべきではない。いずれの側も、いかなるその他の国、あるいは国家集団が、こうした覇権をうち立てようとすることに反対する。」、ちゃんとニクソンさんも言っていますよ。北京まで飛んでいって言っていますよ。上海まで来て言っていますよ。こういう事実の上に
田中、大平さんの共同声明ができている。
まだ言いましょうか。その次の資料五であります。これもよその政党ので悪いのですけれども、民社党の訪中代表団と中国の中日友好協会の代表団と結んだ共同声明、これは民社党の春日一幸さんと副団長の小平忠さんが調印をしておられる共同声明です。これは四十七年の四月十三日です。これには、「武力を背景とした二つの超大国はいたるところで強権
政治と覇権主義をおしすすめ、勢力範囲を争奪しているが、これは諸
国民のいっそう強い抵抗にあっている。外国におけるすべての軍事基地はのこらず撤去されなければならない。すべての外国軍隊は自国にひきあげなければならない。」、民社党は全員この覇権主義反対に賛成であります。
こういうふうに、各政党全部覇権主義反対というこの基盤の上に立って、大平、
田中さんが四十七年の九月二十九日に行かれて、これを決めてこられた、この事実を
総理大臣、あなたは素直にお認めになりますか。私が一口でも牽強付会な弁をなしているとお
考えになりますか。この素直な小林の神に訴えるような気持ちを素直に受けてください。