○
大橋(敏)
委員 全く無
責任発言ですね。もう御承知のように、公的病院では、土地を持っておる者は土地を売ったり、あるいは銀行から金を借りて今日まで賃金の支払い等に充ててきておりましたけれども、この不況下で、もう銀行も金を貸してくれなくなりました。あるいは持っていた土地もなくなった。いよいよ困っております。これは重大な問題でありますが、こればかりやっておりますと、次の問題ができませんので、これはこのぐらいで終わります。
次に、わが国の
福祉行政の谷間に放置されております精神病院
関係についてお尋ねをいたしますが、これは大きな社会的不公正だと思います。精神病院にかかわる人権侵害問題や、あるいはその弱い立場を利用して営利に走るなど、よく見聞するのでございますけれども、人の生命は何より
もとうとく、いかなる状態にあろうとも、その人の人権は擁護されねばなりません。侵害されるものではない。現在、全国に千四百四十九ヵ所の精神病院がございますが、措置入院といいまして、自傷他害、比較的重症者を命令で入院させる、こういう措置をとる患者がありますけれども、その入院
医療費というものは、当然全額公費で賄われているわけでございますが、現在、全国で七万一千八百五十九人でございます。
昭和四十八年度で、それに費やした費用が五百七億八千百九十六万五千円でございます。また生活保護、いわゆる
医療扶助に頼って入っている精神患者の方は十万六千五百四十六人、これも
相当の額になると見込まれますが、その他の患者で九万四千八百八十四人。お気の毒な
病気でありまして、その治療費を公費で見ることについて、私は
異議を申し立てているものでございませんが、どうも、この精神病という特殊性を利用いたしまして、営利に走り過ぎる病院があると思われるのであります。もし、これがあるならば、公費のむだ遣いである、重大な問題であると
考えまして、私は真剣にこの問題と取り組んでいるわけでございます。
つい先般、新聞に報道されたのでありますが、神奈川県の生活保護患者を収容している財団法人
日本生活保健協会聖ルカ病院の前
理事長が、
医療費二百四十万円を着服したと報道されておりました。また、二月の十八日、つい先日ですが、これも新聞報道でございますが、
東京足立区の精神病院が「幽霊看護婦で水増し報酬」「一年半で五千万円」などの見出しが出ておりました。また千葉県の東金市、これは広田久見、四十四歳の方でございますが、千葉の伊藤病院という精神病院に、やはり生活保護の
医療扶助で入院していた人でございますが、その方は、私は精神病でないのに五年四ヵ月も強制入院させられ、監禁されたとして、二月の八日に人権侵害で
裁判所に訴えております。
厚生大臣、御承知と思いますけれども、これはいずれ、
裁判所で決着されるわけでございますが、私は、この事実を知りまして、千葉県の精神病院に関して調査してみました。大変好ましくない実態を見たのでございますが、この問題は、これからの精神
医療のあり方あるいは精神
医療行政の基本的な改革にきわめて重要な資料となると
考えますので、この際、問題点を
指摘しておきたいと思います。
この伊藤病院の院長さんはだれかと言えば、千葉県の旭市の市長さんであります。そして、ここに入院している患者さんの入院日数、つまり在院日数というものは、全国平均の約三倍となっておりまして、もう異常的に長いのであります。これは千葉県の衛生センターの四十七年度の調査でございますが一全国平均が四百六十一日、千葉県の平均日数は四百四十六日、これに対しまして、伊藤病院は千三百八十六日でございます。とても長い期間でございますが、
自治体病院の精神科における一日の平均入院費が二千四百三十七円ということでございますので、これを基準にして単純
計算いたしましても、全国平均では一人の患者が退院するまでに百十二万三千円余りになるのに対しまして、伊藤病院は三百三十七万七千余円という、まことに大変な開きになるのであります。
さらに、この伊藤病院は、他の病院に比べまして一日平均入院患者数も百人ほど多いのであります。
国保旭中央病院は百五十一人、銚子市立病院は百五十二人に対しまして、伊藤病院は一日平均二百五十一人で、百人多い。
また、費用別に見ましても、先ほど申し上げました措置入院、これは銚子市立が四〇・二%、
国保旭中央が四一・五%に比べまして、伊藤病院は二〇%という、比較的重い患者は半分だ。これは四十七年のときの状態でありますが、今日は多少変わっているでしょうけれども、こういうところにも問題がありそうでございます。
また、生活保護患者はどうなっているかと見ますと、銚子市立は一九・八%、
国保旭中央病院は一五・一%に比べまして、伊藤病院は何と五七・八%であります。旭市の
福祉事務所を通じてあっせんされた状況を見ますと、伊藤病院が三十三人、
あと海上寮療養所が十人、
国保旭中央が八人、銚子市立が二人、成田一人で、この四つの病院を合わせても二十一人、こうして全体の六三%が伊藤病院に入っております。四十八年十二月末を調べますと、この生活保護患者は、伊藤病院は百三十五人、
国保旭中央病院は二十二人、全然比率が違います。要するに、この
福祉事務所というものは市長の管理下にあるわけでございます。言うならば、この市長が
福祉事務所を通じまして、生活保護患者の半数以上の五七・八%を
自分が経営する病院に送り込んで、全国平均の三倍もの長い日数をかけて入院をさせ、安定した公費収入を得て経営しているという見方ができるのであります。あるいは地位利用じゃないか、利益誘導ではないかという声すらあるわけでございますが、私は、やはり公費のむだ遣いがここにあるように
考えます。
時間が非常に限られておりますので、結論的に
厚生大臣にお尋ねします。この病院をどう思われますか。伊藤病院についてどう
感じられましたか。それから、こういう少しおかしいと思われる病院については、立ち入り調査をするかどうか。それから旭市の
福祉事務所の状況もあわせて調査して いただきたい。
それからもう一点、
医療法違反があります。ここは二百五十一名の入院患者という資料でございましたが、ここには正看十八人、准看一人と、十九名しかおりませんが、これは六対一の
医療法に照らしますと完全な違反でございます。こういうものを含めて、どう判断されて手を打たれるか。また、調査されるならば、その報告を伺いたい。