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寺前委員 これはどう読んだって、あなたがいま
指摘された「シビアにやっていくつもりです。」の後はそうならない。「そのワク内であれば、不況業種の中で比較的余裕を持った企業が業績をできるだけよくするために、この際少し休業した方がいいということで、労使が
話し合いをするのはやむを得ない場合があると思う。その程度のことはワク内だからいいと思う。」
私は、業績をできるだけよくするためにこの際休もうということまで、この雇用保険法が利用されるということになったら、話は違うと思うのです。一番の基本は、あくまでもこれは失業状態を前提に置いての話なんだから、だからそういうことから見たら、明らかに全体として、うまいことこの際に休んで、そして業績をよくするようにしておきなさいよという指導をやっているということじゃないですか、これの範囲だったら。私は、この問題については、これは明らかに前提に——これは誤解だと言われたけれ
ども、悪用、乱用という思想というのは一貫して流れているということを言わざるを得ないと思うのです。これは
行政の中身として、法律に基づいて
大臣の責任においてちゃんとやらされているのだから、
大臣がこんな角度でやられておった日には困ったものだ。これは明らかに法の趣旨に反する内容をどんどん拡張してやってもよろしいという、違う方向に発展させる指導がなされていると言わざるを得ないと思うのです。
そこで私は、遠藤職安
局長がこの問題をめぐって、幾つかのところで、どういう指導をやっているのだろうかと思って調べてみました。これは
大臣ぜひとも調べてもらいたいと思うのですが、ことしの一月二十一日に大手町の産経会館国際ホールで、全国職業安定主務課長・職業訓練主管課長全国
会議、ここで
局長訓辞がなされています。この
局長訓辞の中身を読むと——ちょっと簡単に、途中から紹介してみます。
「いま
一つだけ申し上げておきたいことは、繰り上げ施行となった雇用調整給付金制度の施行の点で、充分
注意してもらいたいことは、きわめて短期間の異例施行で、それだけ天下の経済情勢はひっぱくしており、一月ないしは三月の危機に対処すべく急遽成立させられたことを、十分に認識してもらい、その繰り上げ実施にともない、四、五日の準備で、成立の翌日審議会にかけた。そのとき、給付の基準を計ったが、労使から切実な批判を受けた。業種、休業規模について、その基準に達するまでに大半の企業がつぶれる、それでは期待をうらぎられ何の役にも立たないと、そこで翌日、大蔵省へいき、我々が決めた基準に対する深刻な
反対に反省させられたことを、実施に当ってはなしくずしに現実に即応した運用をしたいといって来た。先般の
会議(一月七日各都道府県の主務係長の
会議)のときも、しゃくしじょうぎの運用をさけて、法を施行していこうとする場合、道をはしる車でも、右はし、又は左はしをはしるが、車輪の
一つぐらいはずれても、落ちないかぎりはしってもよいのだ。幅を広げなさい。といった例えば、休業規模をとる場合、被保険者数と所定労働日数のとりかたについては、管理部門ではっきりわけられるものは除外するとか、昨年から一時帰休等
措置対象になったものは別紙にカウントすることなど、考慮するよう通達の中へ私自身手を入れた。二十年ないし三十年役人として
行政運用・法の
執行に当っている第一線職員は、かたくならざるをえないこともよくわかるが、その問題にはだんりょく的、実態にそくするよう十分下部職員に示達のこと、これをしゃくしじょうぎに運用することになると、せっかくの宝が宝のもちぐされになる。」ということを言っていますし、一月二十四日の全国労働基準
局長・労働主管部長の合同
会議、大手町農協ビルの国際
会議室でやった場合にも「道の路肩を二、三歩ふみはずしても、落ちなければよいのだ」ということを言っているし、一月二十一日の
会議では「雇用調整給付金はどんどん出しなさい。会計検査院など気にしなさんな、会計検査院からいろいろあったときは、私が責任をもつ、役人こんじょうをすてて、だんりょく的にやりなさい。」
さて、どうですか。業績を上げるためにこの際に利用しなさいということを片方で言っている。片一方の直接の指導官のところでは、そんなもの外れたってかめへん、会計検査院を気にしなさんなと、こういくわけでしょう。私は、基準をつくるのだったらちゃんとした基準をつくりなさい。これは
大臣の責任でやらせられることじゃありませんか。
それから、かめへんという、業績をこの際に上げるということはいいじゃないか、この
考え方は許されるのか。私は、これは
大臣として責任を明らかにしてもらう必要があると思うのです、この際に。業績問題について、そういうことは悪用乱用になるということを、
大臣はそう思うのか、思わぬのか。内部の規定については、基準というのはもちろん十分配慮しなければいかぬけれ
ども、基準というのははみ出してよろしい、会計検査院気にしなさんなということは、これは正しくないのじゃないか。これが第二点。
第三番目に、この問題を言うんだったら、
大臣の責任で、
執行について責任を持たされている以上は、中小零細な分野の人々のあり方について、大企業も含めるような——もちろん雇用保険の方から持つお金の面においての違いとか、若干の問題はあるけれ
ども、中小零細の場合には、たとえば知事が申告してきたら、業種指定なんということにこだわらずに配慮をするとか、特別にそういう中小零細対策を基準の中に入れていく、こういう
措置をとるというのだったら私はわかると思うのです。この点についての
大臣の見解を聞きたい。
以上三点。