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1975-02-20 第75回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年二月二十日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 小山 長規君 理事 竹下  登君    理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君    理事 山村新治郎君 理事 小林  進君    理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君    理事 山田 太郎君       植木庚子郎君    大久保武雄君       大野 市郎君    奥野 誠亮君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    笹山茂太郎君       正示啓次郎君    瀬戸山三男君       田中  覚君    田中 龍夫君       谷垣 專一君    塚原 俊夫君       西村 直己君    野田 卯一君       林  義郎君    藤井 勝志君       前田 正男君    松浦周太郎君       宮崎 茂一君    森山 欽司君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    石野 久男君       岡田 春夫君    兒玉 末男君       佐野  進君    土井たか子君       湯山  勇君    青柳 盛雄君       田代 文久君    中島 武敏君       近江巳記夫君    坂井 弘一君       正木 良明君    安里積千代君       折小野良一君    小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 仮谷 忠男君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局取引部長 後藤 英輔君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         環境庁長官官房         長       信澤  清君         環境庁長官官房         審議官     小幡 八郎君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      大場 敏彦君         大蔵大臣官房会         計課長     野崎 元治君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵大臣官房審         議官      後藤 達太君         大蔵省主計局長 竹内 道雄君         大蔵省主税局長 中橋敬次郎君         水産庁長官   内村 良英君         通商産業大臣官         房会計課長   川原 能雄君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君         通商産業省産業         政策局長    和田 敏信君         通商産業省立地         公害局長    佐藤淳一郎君         通商産業省機械         情報産業局長  森口 八郎君         通商産業省生活         産業局長    野口 一郎君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         運輸大臣官房審         議官      中村 四郎君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         海上保安庁長官 寺井 久美君         労働省労働基準         局長      東村金之助君         労働省労働基準         局安全衛生部長 中西 正雄君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         労働省職業訓練         局長      藤繩 正勝君         建設省道路局長 井上  孝君         自治政務次官  左藤  恵君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     徳田 博美君         会計検査院長  白石 正雄君         会計検査院事務         総局第四局長  桜木 拳一君         参  考  人         (中央公害対策         審議会会長)  和達 清夫君         参  考  人         (元中央公害対         策審議会自動車         公害専門委員) 家本  潔君         参  考  人         (日本自動車工         業会会長)   豊田 英二君         参  考  人         (日本自動車工         業会専務理事) 中村 俊夫君         参  考  人         (日本自動車工         業会技術部長) 青木 道一君         参  考  人         (東京公害研         究所長)    柴田 徳衛君         参  考  人         (横浜公害局         長)      助川 信彦君         参  考  人         (石油連盟会         長)      中島順之助君         参  考  人         (電気事業連合         会会長)    加藤乙三郎君         参  考  人         (電気事業連合         会原子力開発対         策会議委員長) 田中直治郎君         参  考  人         (全国下請企業         団体連合会会         長)      中村 元治君         参  考  人         (西陣撚糸株式         会社社長)   太田 吉郎君         参  考  人         (株式会社ユニ         チカ社長)   小寺新六郎君         参  考  人         (経済団体連合         会会長)    土光 敏夫君         参  考  人         (経済団体連合         会産業政策委員         会中小企業部会         長)      石塚 庸三君         参  考  人         (朝日新聞編集         委員)     岡  並木君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     宮崎 茂一君   櫻内 義雄君     田中  覚君   保利  茂君     林  義郎君   多賀谷真稔君     土井たか子君   楢崎弥之助君     兒玉 末男君   多田 光雄君     青柳 盛雄君   中川利三郎君     中島 武敏君   正木 良明君     坂井 弘一君   矢野 絢也君     近江巳記夫君   小平  忠君     折小野良一君 同日  辞任         補欠選任   田中  覚君     櫻内 義雄君   林  義郎君     保利  茂君   宮崎 茂一君     江崎 真澄君   兒玉 末男君     楢崎弥之助君   土井たか子君     佐野  進君   近江巳記夫君     矢野 絢也君   坂井 弘一君     正本 良明君   折小野良一君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     多賀谷真稔君     ————————————— 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  分科会における参考人出頭要求に関する件  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予算昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、参考人として、中央公害対策審議会会長和達清夫君、元中央公害対策審議会自動車公害専門委員家本潔君、日本自動車工業会会長豊田英二君、同専務理事中村俊夫君、同技術部長青木道一君、東京公害研究所長柴田徳衛君、横浜公害局長助川信彦君、石油連盟会長中島順之助君、電気事業連合会会長加藤乙三郎君、同原子力開発対策会議委員長田中直治郎君、全国下請企業団体連合会会長中村元治君、西陣撚糸株式会社社長太田吉郎君、株式会社ユニチカ社長小寺新六郎君、経済団体連合会会長土光敏夫君、同産業政策委員会中小企業部会長石塚庸三君、朝日新聞編集委員岡並木君、以上十六名の方々に御出席をいただき、委員会質疑に対しお答えを願う方法で順次御意見を承ることといたします。  参考人の各位には、本日、御多用中のところ御出席くださいまして、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  3. 宮崎茂一

    宮崎委員 私は、昨年の十二月十八日の夜、岡山水島三菱石油株式会社において起こりました石油流出事件を中心にいたしまして、石油の公害問題につきまして、関係大臣及び各省庁、また参考人方々にお伺いいたしたいと思うわけでございます。  被害は、すでに御承知のように、巨大タンクから四万三千キロリットルの油が流出いたしまして、そのうち約九千キロリットルが海に流れ出して、岡山、香川、徳島、兵庫、四県にわたりまして莫大な損害を与えたのであります。  その原因につきましてはいろいろ言われておりますが、五万キロリットルのタンク底板、これは厚さ十二ミリの鉄板でございますが、これが延長十三メートルにわたりまして亀裂を生じまして、そこから油が流れ出した。そして油圧によりましてコンクリートの基礎が流されて、その上に、七・二トンの鉄製のはしごが突っ立っておったわけでございますが、これが倒れて、そして防油堤が長さ七メートル、高さ一メートルにわたりまして破壊をした。防油堤というのは、高さが一メートル五十、幅が二、三十センチの鉄筋コンクリート構造物でございますが、タンクから油が漏れたときに、このコンクリートの堤防で防ごうというものでございます。そういうような事件でございます。  目下、消防庁におきまして、原因究明するための技術委員会が開かれておりますが、まだ明確な結論は出ていないと承っております。私は、二ヵ月もたっておりますから、もう出そうなものだと思っておりますが、速やかに結論を出していただきたいと思います。この点につきまして、いつ結論が出るのか、ひとつ自治省からお答え願います。
  4. 左藤恵

    左藤政府委員 三菱石油水島製油所タンク事故につきまして、技術基準の点から十分でないという点があったことを反省いたしておるわけでありますが、いま御指摘のように、事故原因調査委員会におきまして、その原因究明が行われております。これはかなり時間がかかると考えておりますが、この原因究明を待って、再び事故を繰り返すことのないように、タンク設計施工基準を含めまして徹底的な保安基準強化ということを図ってまいりたい、このように考えております。  そういうことでございますが、ただ、原因究明はかなり時間がかかりますので、それを待っておれない問題もあろうかと思います。そこで、措置できる、たとえばいま御指摘防油堤保安基準につきましては、別途に早急にこの保安基準強化を図る考えでございますし、そうした保安基準整備までの間にも、必要な行政措置によって指針を示しまして、安全の確保に万全を期してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  5. 宮崎茂一

    宮崎委員 ひとつ答弁される方にお願いいたしますが、時間が少ないものですから、簡単にお願いをいたしたいと思います。  ただいまいろいろお話がございましたが、私は、この事故で一番重要な問題は、完成をいたしましてから一年たっていない、新鋭の五万キロリットル入れた巨大タンクが、何の外部からの圧力もない、地震もなければ、そういったものも何もないときに破壊をしたということだと思うわけでございます。古いタンクで小さいものでございますれば、腐食とかその他によりまして破壊したということは、これは当然常識で考えられるわけでございますが、こういう新鋭巨大タンク完成後一年もたたないうちに亀裂によって破壊をした、これは非常に重要なことだと思っているわけでございます。全国にそういう新鋭タンクが二千六百基ぐらいございます。これの所在の地方住民は、この原因究明されない限り、非常に不安を持つようになると思うわけでございます。これも新聞によりますと、自治省でお調べになって、二千六百のうちに百二十余りが不適格だということが新聞に載っておったわけでございます。  そしてまた、鹿児島に喜入基地というのがございます。これは日石でございますが、世界最大重油貯蔵基地でございます。ここで使っておりますところのタンクは、十万キロリットル入りが三十基ある。十五万キロ、これはいま使っておりまして、十六基あるわけでございます。つまり水島タンクの二倍、三倍と、こういう大きなタンクでございます。私は、この水島タンク原因も、先ほど申し上げましたように、地盤不等沈下によりますところの亀裂だ、こういうふうに考えております。結論はまだ出ていないとおっしゃいますけれども。そういうふうに考えますと、この喜入の大型な、水島の二倍、三倍のタンクは、なおさら、部分的な地盤不等沈下によりまして被害が起こる確率が大きい、こういうことが言えるわけでございます。  したがいまして、こういった喜入タンクが安全かどうか。この前も議題になりましたように、最小十ミリから六十九ミリまで不等沈下をしている、こういうようなことでございます。この喜入タンクが安全かどうか、そういうことにつきまして、ひとつ自治省消防庁のほうから、そしてまた、できればひとつ石連会長から御意見を承りたいと思います。
  6. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 消防庁といたしましては、不等沈下が特に著しいタンクにつきまして、その安全を確認いたしますために、貯蔵している油を抜き出して内部点検をするように指導いたしておりますけれども、ただいま御質問の喜入貯油基地における不等沈下量というものは、タンク直径が小さいもので八十一メートルという直径でございますが、その直径に比べましてきわめて小さい、そういう事情でございますので、まず、この不等沈下の問題としましては、喜入基地の場合には問題はないというふうに私どもは判断いたしております。
  7. 中島順之助

    中島参考人 お答えいたします。  この石油基地会社は、親会社日本石油でございまして、日本石油連盟メンバー会社になっておりますので、私の知っております範囲でお答えをいたします。  この喜入基地は、先ほども先生の御指摘がありましたように、大きなタンクがたくさんございまして、これの防油関係につきましては、防油堤がありまして、これが大体一メートル五十から二メートルでございます。それで、大体二基あるいは四基をワンブロックとしまして、防油堤で囲ってあります。そのほか海岸線につきましては、防潮堤、これが七メートルございます。これをずっとめぐらしております。ただ、市街地のほうにつきましては、土堤を五十センチほどつくりまして、万一の場合には油の流出を防ぐという計画になっております。この市街地の方面は、目下その準備をいたしておるわけでございまして、大体二重の防油堤がつくってあるということになるわけでございます。そのほか排水溝につきましても、それぞれ鉄板のゲートを置きまして、万一のことがありましても、あそこの構内から外へ油が出るということは絶対にないという施設になっておるわけでございます。  また、火災の点につきましても、化学消防車二台、そのほか消火栓その他消火設備は、法できめられたもの以上のものが設備されておりますので、万一のことがありましても、大事故になるということはない、かように考えております。
  8. 宮崎茂一

    宮崎委員 自治省消防庁長官の答弁ですけれども、沈下があまり多くないから大丈夫だというお話ですが、実はタンクの底が、部分的な地盤不等沈下によって壊れることもあるわけです。傾斜するとかそういうようなことじゃなしに、やはり部分的に鉄板が壊れる可能性があるわけでございますから、その点はひとつ十分気をつけていただきたいと思うわけでございます。  なおまた、タンク設計につきまして、本当は、あるいは設計がミスじゃないか、不等沈下を予想しておったかどうかということが非常な問題でございますが、きょうは時間もございませんからそこまでできませんけれども、何と申し上げましても設計の問題。設計をする人は、どんな地盤かということが本当にわかってこの設計をしているのか、あるいは施工する方は、どういう応力計算になって施工をしているのか、その辺がどうもうまくいっていないような気がするわけでございます。いま石連会長お話ですと、タンクは一つ壊れても、防油堤で二重三重に何とか防げるようになっているというようなお話ですが、ひとつ通産省といたしましても指導して、防油堤を二重三重に早く完成するように、今回の事件につきまして原因がはっきりしなくとも、どんどん指導していただくように私は要請をいたします。  それからまた、大事故取り締まりに対しまして、何か法律的な不備があるのじゃないかと思うわけでございます。これは自治省にお伺いいたしますが、タンクの方の取り締まりは、いま消防法の第十条第四項でございまして、タンクの位置、構造設備について技術上の基準政令で定めるということになっておりまして、この政令をよく読んでみますと、一通りの規則はございますけれども、実は火災に対しての予防ということが主なようでございまして、今回のような、タンク自体構造上の欠陥によってタンク破壊する、そうして全部流出する、こういうようなことを考えていないような規則のようでございます。その点につきまして、これは法律改正しなくても、規則とか政令でいけるわけですから、監督官庁と申しますか、タンクの方は自治省になっておりますから、先ほど何か早くやるようなことのお話がございましたが、こういう政令規則でも、役に立つものは早くどんどん改正をしていただきたい。この点につきまして、早速やる意思があるかどうか、簡単でよろしゅうございますからお答え願います。
  9. 左藤恵

    左藤政府委員 御指摘のとおり、ただいまコンビナート全体の問題としての法律改正というものを検討はいたしておりますけれども、そうした問題を待つまでもなく、いま御指摘のような、政令改正できる点については早急にやり、さらに行政指導につきましても、やれることにつきましては十分配慮いたしまして、至急にやるようにいたしたい、このように考えております。
  10. 宮崎茂一

    宮崎委員 自治省の方、何かほかの委員会があるそうでありますから、もう結構です。  次に、通産大臣にお伺いしたいと思います。  御承知のように、石油はわが国のエネルギー資源の七割くらいを占めているわけでございまして、そしてほとんど輸入に依存をいたしております。現在では石油備蓄は六十日分あると言われておりますが、通産省は、必要性からこれをどうしても九十日分にしよう、こういう政策を立てておられるようでございますが、今回の水島のような事故がございますと、どこにこれを貯蔵するのか、非常にむずかしい問題だろうと思うのです。通産省としてはエネルギー行政の立場からおやりになりたい、それはわかりますが、地方住民の力としては、タンクの問題が解決しない限り、不安があります限り、石油基地の設定に対しまして拒否反応が強くなるのじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、これに対しまして大臣の御所見を承りたいと思います。
  11. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回、石油備蓄を六十日から九十日に五ヵ年計画で増加することを決定いたしました。五十年度から五十四年度までの計画でございますが、しかし、推進していく上におきまして御指摘のような問題がございますので、十分そういう点は配慮しながら万全を期して実現に努めたいと思います。
  12. 宮崎茂一

    宮崎委員 次に、今回の事故補償の問題でございますが、補償は、原因者負担という原則から、すべて企業側で負うべきではなかろうか思うわけでございますが、今後もあるいはなきにしもあらずでございます。ですから、石油連盟会長さん、この補償問題についてどういう態度をとられるのか、ひとつ明確にお答え願いたいと思います。
  13. 中島順之助

    中島参考人 お答えいたします。  万一災害がございました場合には、やはり加害者として十分な誠意を持って補償をしなければならないと思っております。
  14. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとこれ、通産大臣に答えてもらうかな。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回の三菱石油事故でございますが、三菱石油におきまして全責任を持って補償すると言っております。
  16. 宮崎茂一

    宮崎委員 今回の補償は、すでに内金として八十六億円支払われたということでございまして、各県の漁業組合被害額ですか、それを合計いたしますと一応百六十億ぐらいになるんじゃなかろうかというような概算も出ておりますが、通産大臣、大丈夫ですか。
  17. 河本敏夫

    河本国務大臣 先般も社長を呼びまして、いろいろ事情を聞きましたが、現在までのところは、企業の資産を処分したりいろいろ苦労しておるようでございますが、とにかく全責任を持って処理いたします、かように言明いたしております。
  18. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと待ってください。それより佐々木消防庁長官、さっき大丈夫だ、大丈夫だと言うが、大丈夫であるかないかしっかりひとつ答弁してください。その漏れるか漏れないか、時間がないからちょっと……。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 先ほど申し上げましたタンクは、ちょっと傾斜しても大丈夫だとおっしゃいますが、傾斜しなくとも、部分的な不等沈下によりまして、いわゆる勇断力によってクラックが入る可能性があるんじゃないかということを私は指摘したのですが、その点について、何かひとつお答えがあればお願いしたい。
  20. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと大事なことですから。
  21. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま御指摘のとおり、この不等沈下の態様はいろいろございます。したがいまして、精密に調べますと、部分的な不等沈下が著しい場合、それから全体としての不等沈下があります場合、それがタンク事故につながるおそれのありますことは非常に問題でございます。  ただ、現在の段階におきまして、水島事故調査委員会におきましてこの事故原因究明いたしております。その結論に従いましてさらにこの不等沈下の問題は再点検をしていく必要があるというふうに考えておりますが、まず現在の緊急点検で不等沈下を問題にしておりますのは、やはり大きいものをまず精密な点検をするという考え方でやっております。したがいまして、との程度の不等沈下で絶対安全だということではなくて、これからの原因調査の結論を待ちましてさらに詳細な調査をする必要があると思いますが、現在の緊急点検の段階におきましては、まず喜入の場合に、さらに精密点検を要するほどの事態にはなっておらないということでございます。
  22. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまの説明では、詳細な調査報告がなければどうとも言えないということでございますから、この席ではこのくらいにしておきますが、またほかの機会に私はこの問題を追及いたしたいと思っております。  返りまして、先ほど通産大臣から、百六十億でも大丈夫だというようなことがございました。まあこれは三菱であればそうでしょうけれども、今後万一、こういうことがあってはいかぬのですけれども、万一そういったことがありまして、企業が小さな企業で大きな補償を支払わなければならないというときには、倒産ということにもなりかねないわけでございます。しかも石油は、どうしても備蓄しなければならぬということになりますれば、やはり保険制度ということを考えざるを得ないのじゃないかというふうに考えます。  聞くところによりますというと、いまこういう種類の災害に対しましては、二億円までしか保険は掛けられないのだということでございます。二億円と百六十億ではどうにもならぬわけです。ですからこういうことに対しまして、今後、私の考えておりますような保険を拡充、導入する必要があると私は思いますが、これにつきまして、まずひとつ石連会長から、次に通産大臣。それから、やはり所管官庁は、決定するところは大蔵省でございますから、きょうは大蔵省どなたが見えているのですか。——大蔵省の保険部長さんから、順次お答えをお願いしたいと思うわけでございます。
  23. 中島順之助

    中島参考人 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘がありましたように、現在の保険は二億円が限度となっております。今後あの水島事故のような大きな事故が起こるとはとても考えられませんけれども、しかしながら、どういうことがあるかわかりませんものですから、この二億円では、先ほどおっしゃるようになかなか賄い切れるものではございませんので、このてん補額をもう少し増額するということをわれわれは考えておるわけでございますが、この点、またよろしくお願いいたしたいと思っております。
  24. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと、二億円を少しふやすというのは、どの程度までふやすのですか。
  25. 中島順之助

    中島参考人 この金額につきましては、やはり各社それぞれみんな考え方があると思います。したがいまして、金額の点は、十億がいいかそれ以上がいいかというようなことについては、まだ決定はいたしておりません。考え方をまとめておりません。
  26. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 そこで、至急ひとつ会議を開いておまとめを願いたいと思います。二億円と百六十億円では大変なことになると思います。ひとつ至急……。
  27. 中島順之助

    中島参考人 そういうふうに取り運ぶようにいたします。
  28. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の油濁公害の責任賠償保険でございますが、水島事故の場合には二億円でございますけれども、これは二億円が限度ということではございませんで、企業の方から二億円しかお申し込みがなかったということで、保険会社がそれをお断りしたとか、そういうことではございません。あのような巨大なタンクが破れるということを両者とも予想しておらなかったということで二億円だ、このように承っております。  しかし、先生御指摘の油濁公害の賠償責任保険につきましては、損害賠償金支払いの円滑化に資するために非常に必要であると考えられますし、また、損害保険会社の社会的公共性からも、これは積極的にやるべきではないかということで、目下指導しているところでございます。  ただ、このような損害賠償責任保険というような特殊な保険でございますし、また巨大な額に上ることが予想されますので、一社で引き受けることには限度がございます。そこで、現在大蔵省で指導しておりますのは、全保険会社が一つの保険プールをつくりまして共同で引き受ける体制をつくれということで、鋭意その検討を進めております。また、これは国内だけの保険には限界がございますので、海外に対して再保険を進めるということでこれは目下折衝を盛んに進めているところでございます。いずれにしても、このようにいま積極的に検討を進めておりまして、一応の目途といたしましては、当面五十億円程度を目標にいたしまして早急にこの制度を発足させたい、このように考えております。
  29. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま大蔵省の方から御答弁がありましたが、通産省といたしましても、やはり実情に合ったような保険制度にする、これはどうしても必要だと思います。そういう趣旨を基本といたしまして、大蔵省とも相談の上で善処したいと思います。
  30. 宮崎茂一

    宮崎委員 それじゃいまの通産大臣の言葉を信じまして、ひとつ大蔵大臣とよく話し合いの上で保険制度の確立を早急にお願いをしたいと思うわけでございます。  まだなかなか意を尽くしませんが、もう時間が来たということでございますので、最後に環境庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  このように石油流出公害というものは新しい公害の形で出てまいったわけでございます。瀬戸内海につきましては、御存じのように石油タンクが相当数あるわけでございます。また長官は、瀬戸内海環境保全臨時措置法というのがございまして、いま特に対策を推進しておられるわけでございますが、こういった新しい石油公害につきまして、環境庁といたしましては、どういうふうにお考えになっているか。また対策をどうされたらいいか。また、その瀬戸内海にいま進めておられます環境保全臨時措置法に基づく保全対策にどういう影響があるのか。この辺のことについて、長官の所信を表明していただきたいと思うわけでございます。
  31. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 瀬戸内海のCOD、汚濁負荷量につきまして、三年間で二分の一にするということで各県別にその基準を割り当てまして、それぞれまた企業別に排出基準を定めまして、大体、三年間で二分の一にするということは目標を達成できるようにしておったわけでございますが、今回の水島事故によりまして、非常に瀬戸内海の汚染は——せっかくそういう措置をとっておりました最中に起きた事故で、私どもは大変残念に思っているわけでございますが、早急に、この汚濁の後遺症、すなわち水質の汚染状況、これを徹底的に調査をする。これは底質も含めまして、さらに水産生物、魚貝類等についての油臭の程度や、あるいは油による生物のいろいろな状況等、広範囲にわたりまして総合的な調査を実施いたしております。そしてその結論を見まして、それぞれ関係各省で対策を立てていただきまして、瀬戸内海を何とかしてきれいなもとの瀬戸内海に返したい、かように努力をしておるわけでございますが、今後、海洋油濁の事故が起きますと大変でございますから、政府としては、総理大臣の指示もありまして、自治省で来月の半ばまでに総合的な防災体制に対する立法をいま各省からも持ち寄っております。これを決めて提出をして、未然に防止するような体制を強力にとる。それからさらに海上の関係については、先生御専門でございますが、運輸省の御努力によりまして、できるだけ海上の油濁が起こらないようないろいろな措置を考えていただくようにいたしまして、私どもとしては、今後、全国的にこういうような事故の発生が起こらないように、また、油濁があちこちに水島事故以外にも大小を問わず相当ございますので、これらについての防止体制をできるだけひとつ政府として確立をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  32. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは、時間が参りましたので終わります。
  33. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 宮崎君、政府の答弁もばらばらな点もあるし、保険の点も、いつまでにどうなるかというような点もあって、次の機会に、他の委員会でも結構ですから、もっと突っ込んだ質問をしなければだめです。
  34. 宮崎茂一

    宮崎委員 そのようにいたします。時間が非常に……。
  35. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それから政府も、ばらばらな体制でなく、ひとつ一括してこういう事態を処理できるようにしてもらわないと。石油の問題は、次から次に事故が起こっているのですから、しっかりやらなければだめですよ。  これにて宮崎君の質疑は終了いたしました。  次に、田中覚君。
  36. 田中覚

    田中(覚)委員 私は、中央公害対策審議会が昨年末答申いたしました五十一年度の自動車の排ガス規制の問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。  その前に、ただいまの宮崎議員の質問にも関連がございますので、去る十六日、四日市コンビナートの大協石油株式会社において発生をいたしました灯油タンク火災事故について、まずお伺いをいたしたいと思います。  この大協石油会社タンク火災は、御承知のとおりほかのタンクにも延焼せず、また一人の死傷者もなく、また風向きの関係もございまして、住宅等への被害も特にございませんでしたので、不幸中の幸いというべきでありますが、しかし、水島三菱石油事件に関連をいたしまして、全国的に石油コンビナートの防災対策あるいは安全対策についての関心と不安が著しく高まっておる折から、この火災は大きなショックでありました。そういう意味におきまして、次の三点についてお伺いをいたしたいと思います。  まず第一は原因究明であります。まだ原因は調査中ということでございますが、思い起こしますと、昭和二十九年にも大協石油で同様な爆発事故がございました。当時も原因の追及が十分に行われないまま今日に至っておりますので、この際、企業はもちろんでありますが、関係官庁総力を結集して、徹底的に原因究明に当たっていただきたい。特に出火いたしましたタンクにつきましては、先般の水島事故に関連をいたしまして、全国的に石油タンクの総点検が行われたときに、このタンク不等沈下消防庁の定めた基準以下であるという結果が出ておるにもかかわらず、今回のこの出火については、不等沈下によって脆性破壊が行われておるのじゃないか。つまり材質がもろくなって破壊されて、そこから発火したのではないかというような疑いも持たれておるぐらいでございますので、私はこの際、石油タンクについては、単に不等沈下のみならず、タンク構造すべてにわたりまして再点検を一斉にする必要があるのではないかと思いますので、この点についての御所見を伺いたいと思います。  なお、これに関連いたしまして、不等沈下原因として、タンクの基礎の土木工事と、それからその上に乗っかるタンクの建築的な工事との関連性、一貫性というものが従来考慮されておらなかったのではないかというふうな感じもいたしますので、これらの点につきまして、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  37. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 タンク構造あるいは施工等に関連いたしまして、水島事故調査委員会が、現在の保安基準自体がいいのかどうかという点も含めて、いま検討を進めておるところでございます。不等沈下タンク破壊との関係、それからまた、タンク施工にいたしましても、基礎工事とタンク本体との工事の関連性、あるいはまた、そのタンクの鋼材の材質の問題、こういうものも総合的に検討をいたしまして、現在の基準というものにつきましては、これは基本的に再検討を必要とするというふうに私どもも考えております。できるだけ速やかにこの事故調査委員会結論を得まして、早急に基準の改定を行いたい。さらにまた、工事の施工につきましても、十分な関連性を持たした工事ができますような施工基準につきましても、同時に検討していきたいというふうに考えております。
  38. 田中覚

    田中(覚)委員 その次にお伺いいたしたいのは、四日市の大協の火災事故と同じような事故が起きた場合に、ほかのコンビナートに果たして十分な消防の体制ができておるかという点につきまして、二月十八日の毎日新聞には、新聞社の調査としての結果も出ておりますが、これを拝見いたしますと、大体自信のあるというところが約半分、消防力が不十分で大きな不安を持っておるというのが半分ございますが、全国的にながめて、こういう火災事故に対するコンビナートの消火消防の体制というものは一体どうなっておるか。この点を第二番目として伺いたいと思います。
  39. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、コンビナート地帯におきます消防体制につきましては、一つは市町村の消防機関による体制の整備。それから各都道府県が、消防用の資器材の備蓄という形でその消防体制の強化を図っておりますと同時に、企業自体に自衛消防力の基準を設けまして、その自衛消防組織の設置を義務づけておるわけでございます。古町村、府県、さらに企業、この三者によりまして消防体制の整備を図っておるわけでございますけれども、ただいま御指摘のように、コンビナート地帯の中におきましても、なお十分でないというふうに認められる地域もございますので、市町村、府県の消防体制の整備と同時に、企業における消防用の資器材の共同備蓄あるいは自衛消防力の強化、さらには施設自体の消防設備強化という点につきまして、現在、その指導を強化しておるところでございまして、さらに将来におきましては、現在の自衛消防力の基準そのものについてもさらに検討していく必要があるのではないということで、早急にその結論を得たいと考えおります。
  40. 田中覚

    田中(覚)委員 最後の本問題についての質問は、コンビナートの防災法の制定についてでございます。総理の御指示もあったやに伺っておりますが、ただいま自治省で、コンビナートの総合的な防災対策法といったものの検討がなされておるようであります。きょうの新聞によりますと、通産省でもまた、通産大臣独自のお考えでこれについての検討を事務当局に命ぜられたというふうに伝えられておりますが、果たして政府として一本の防災対策になり得るものかどうか。また、いつごろ提案の運びになるのか。特にこの防災対策法につきましては、関係地方の方が非常に大きな期待を寄せておりまして、これができれば、石油コンビナートにかかわるいろいろの心配はまるでなくなってしまうような、そういう過大な期待も持たれておるようでございますので、果たしてどういう内容のものになるのか、お伺いをいたしたいと思う次第でございます。
  41. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 総理からの指示によりまして、現在、自治省を中心にいたしまして、防災対策につきましての立法化ということを検討いたしております。この物事の性格上、できるだけ早く問題を煮詰めまして結論を出したいと思っておりますが、三月中旬ごろを目途にいたしましてまとめていきたいというふうに考えております。要するに問題の中心は、防災体制の一元化ということを中心にしてこの法案をまとめていきたいというふうに考えております。
  42. 田中覚

    田中(覚)委員 次に、本論に入ってお尋ねをいたしたいと思います。  私は、中公審の審議が非公開を原則とするにもかかわらず、委員以外の業界関係者が傍聴をしたり、あるいは個人的なものであるにいたしましても、議事のメモが業界に流れたために、中公審の審議が企業ぺ−スで行われておったのではないかというようなことから、その答申自体が公正妥当を欠くというふうな批判を受けておることは、まことに遺憾にたえないところであります。  つきましては、まず第一にお伺いいたしたいことは、中公審の委員の人選及び今後の運営のあり方につきまして再検討せられるお考えがあるのならば、その具体的な構想をお聞かせをいただきたいと思います。これは環境庁長官からお願いいたします。
  43. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 確かに、今回の一部漏洩の問題につきましては、大変遺憾なことでございます。私は、専門委員会というのは、技術的に専門的に審議をする場でございますから、ここは、いままでの考えのように、自動車関係でございますと、日本の自動車関係のエンジン関係あるいは燃焼関係、こういうようなことにつきましては、何と言っても自動車工業会それぞれのところの方が非常に進んでおる、また具体的な技術も持っておるというようなことで人選をされたんじゃないかと思います。しかし、いろいろな意見を聞く場合に方法等もございますので、直接規制を受けるような企業の関係のある方は、専門委員会からは御遠慮願った方がいい、こういう考えを持っております。ただ、部会なり、あるいはまた、全体の委員として全部それを排除するかと言いますと、住民の方も、またそうした企業の方も入りまして、そうして全体的にいろいろな角度から議論を願うということが必要だと思いますので、専門委員会以外の委員については、やはりいろいろなメリットもございますので、そういう点では、現在のところ、関係の企業に何らか関係を持つ人は一切排除するというような考えは、かえって全体の公平な審議を阻害することになるおそれもありますので、この点はいま慎重に考えている最中でございます。
  44. 田中覚

    田中(覚)委員 業界からの意見は、本来これを聞かずにやれれば、今日の場合一番望ましいかと私も思いますが、しかし、それができない現状である、ことにこの自動車の排ガスの新しい技術の開発というものは、もっぱら企業が先行しておる、これに多大の投資を毎年かけてきておるというような事態から見まして、これを除いて、官庁あるいは官庁の研究機関、あるいは大学の先生といったような方々だけでは十分な審議ができない事情にあることは、私もよくわかるわけであります。この点については、小林自動車公害課長が例のあの家本メモの中でいみじくも、本当にどこまでできるかの判断はメーカーにしかできないというようなことを言っておられる点から見ても、私は環境庁のお考えはわかるわけであります。  しかし、いまいろいろ議論のなされておる情勢から考えますと、何かもう少しいい対策が必要じゃないかというふうに思うわけでありまして、いまこのメモが業界に漏洩をしたというようなお話もございましたが、このメモの漏洩の問題は、やはり委員としてのモラルの問題じゃないか。しかし、それ以上に、漏洩したことによって、企業には筒抜け、あるいは企業べったりの議論になってしまったということには必ずしもならないのじゃないか、というふうな感じを持っておるのであります。  したがいまして、ただいま、別の形で業界に意見を聞くというお考えもあるやに伺いましたが、そういう中途半端なやり方も一つの方法かと思いますが、むしろ逆に、どうしたって業界から意見を聞かなければならないというのなら、そういう立場を明確にして、従来どおり委員として業界の意見を聞くかわりに、何らかの方法で、秘密を守る義務、いわゆる守秘義務というものをこの審議会の委員に課することができないものかどうか、お伺いをいたします。
  45. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 審議会の委員は、御承知のとおり、非常勤の国家公務員でございますから、当然その面では守秘義務がございます。ただ今回の場合に、守秘義務そのものを強制できるかどうかと言いますと、専門委員会が終わりますと、大体その都度、専門委員会委員長、またはこれを代理する人並びに環境庁の責任の局課長が、記者会見をいたしまして、当日の審議の内容等についていわば発表をいたしておるわけでございます。またその席上質疑応答等もございます。そういうような経過から見ますと、果たして守秘義務ということをそのまま形式的に適用できるかどうかと考えますと、ちょっと困難ではないかと私は思います。将来、先生のおっしゃるように、モラルの問題であり、また委員の守秘義務を徹底してそういうような事故の起こらないようにすべきだという御意見も十分わかるのでございますが、しかし、やはり一方において、専門委員会の経過というものは、公開制を主張する立場の正論もございます。そういたしますと、やはり外部に、本日の審議の経過はこうだ、あるいはいまこういう点に向かって討論をしているんだということを言わざるを得ないわけでございます。そういたしますと、守秘義務というものがどの程度貫かれるかという問題もございますので、直接的に関連のある企業の方の意見は、もっと幅広く参考人等の処置によって専門委員会に来ていただいて、いろいろ意見を聞くという方法もございますから、そういうような方法で処理をしていったらいいんじゃないか、現在のところはそういうように考えているわけでございます。
  46. 田中覚

    田中(覚)委員 もしそういう秘密を守ることが強制できないということであれば、逆に百尺竿頭一歩を進めて、この審議会の性格から見て、議事を公開するというところまで一体踏み込めないものかどうか。これについてのお考えを伺いたいと思います。
  47. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 専門的な方々が自由に討議する場がいわゆる公開ということになりますと、どなたでも傍聴できるということになります。それが果たして公正な審議を確保するゆえんになるかどうかという点について非常な疑義もございますし、ただ私は、今後はやはり、審議の経過を環境庁で事務的にきちんとまとめまして、それを必要な方面には知らしめるという形をとって、事実上の公開の実を上げていくようにしたらどうか、かように考えております。
  48. 田中覚

    田中(覚)委員 時間がございませんので残念でございますが、その次にもう一つお伺いいたしたいのは、いまのような経緯がございまして、この中公審の答申そのものをもう一度審議にかけるべきであるというふうな要求等があることは御承知のとおりでございますが、これに対して、再審議に付する考えはないということを従来委員会等でもお漏らしでございますけれども、これについての大臣のお考え、ことに世論を納得させるに足るだけの措置がとれるかどうか、これについてのお考えを伺いたいと思います。
  49. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 結論としては私は再審議の必要はないと考えております。なぜかと言いますと、とにかくこの五十一年規制の告示がおくれればおくれるほど、五十一年規制の実施が先になるわけでございます。一部では若干の誤解がありまして、四十七年十月の例の〇・二五の告示がそのまま有効に生きているのだ、したがって、五十一年規制の告示がたとえできなくても、そのまま告示が生きているのだから、〇・二五が五十一年から始まるじゃないかとおっしゃる方もありますが、あれは大気汚染防止法に基づく許容限度の設定の告示ではございませんので、したがいまして、むしろ告示を早くやりまして、業界にそれに応ずる対応をつくらして、できるだけ五十一年規制を早く実施するような段階に持っていく方がより国民のためになると、私どもは判断をいたしておるわけでございます。  それともう一つは、御承知のとおり、四十八年に自動車排ガスの規制をやりました。その時点と比較しまして、五十年規制がその二分の一、さらに今度五十一年規制はその二分の一ということで、私ども、これが実行されていきまして、一方、総合対策としてのトラック、ディーゼル車等の規制が、少なくとも三割減くらいの窒素酸化物に対するカットができてまいりますと、十分環境基準に達するだけの大気の状況を回復することが四、五年のうちにはできる、かように考えておりますから、十分国民の皆さんにも納得していただけるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  50. 田中覚

    田中(覚)委員 時間がございませんので、最後にもう一つ伺いたいのですが、当面、自動車の排ガス対策につきましては、規制値そのものに議論が集中しておりますけれども、しかし、この排ガス対策というものは、自動車の排ガスの規制ばかりではなしに、特に大都市におきましては、交通の流れの改善、あるいは新しい交通システムの推進、さらには都市政策とかあるいは道路政策、そういった観点からの総合的な対策をやらない限りは抜本的な対策にはならないのではないかというふうに思われるのであります。この点につきましては、アメリカのEPAがやっております交通の流れの管理対策の提案、あるいはそれに対する評価であるとか、あるいは警視庁が一部の道路について実験的にやっておるデータというものは、まことに示唆に富むものと思われるわけであります。この点につきまして、岡参考人あるいは運輸大臣から、何か御所見が承れれば承りたいと思います。  特に、私は三重県で実際に痛感しておるのですが、四日市のあの公害でやかましい町のど真ん中を公共道路である国道一号線や名四国道が通っておりまして、一方、有料道路である東名阪道路は山寄りで人家のないところを通過をいたしております。しかるに、実際の自動車の流れはどうかというと、有料道路を避けて、この公共の国道一号線や名四国道の方へ集中して、そのために自動車の排気ガス、騒音等の公害を大きく受けておるという現状をながめて見ますと、この際、道路の管理政策といたしまして、仮に有料道路の方は有料道路として建設するにいたしましても、これをむしろ無料にして、現在の公共の方の道路を、たとえば通過交通については有料にするというような管理政策をやることができれば、自動車の流れを大きく変えて排ガス対策等にも寄与できるのじゃないかというふうに思うわけでありますが、これは道路政策上どうしてもできないものかどうか、建設大臣にお伺いいたします。
  51. 木村睦男

    ○木村国務大臣 都市交通の中におきます排気ガスの規制につきましては、個々の自動車についていまお話しのような規制も必要でございますが、空気の清浄化という面からガスの総量規制の問題が当然出てまいります。で、これにはやはり、旅客にいたしましても、貨物にいたしましても、大量の輸送機関を優先して都市交通の交通手段にするということが必要かと思います。そういう意味におきまして、最近いろいろと方策を講じておりますが、たとえばバスにつきましても優先レーンをつくりますとか、あるいは地下鉄をもっと拡充していくとか、あるいはお話のような新交通システムで、大体一万五千人ぐらいの輸送量に対して最も適切な交通機関として中量の軌道交通システム、そういうものの開発も研究をいたしております。またトラックにつきましては、共同配車あるいはトラック・ターミナル等で、集中して大量の交通機関で輸送でき得るいろいろな方法を考えていかなければならない。そういうふうな問題を今後さらに一層進めてまいる予定でございますし、いままででも、交通規制等の面につきましては、トラックの時間的な制限などいろいろやっておりますが、さらに強化をしていかなければいけない、かように考えております。  道路の問題は建設大臣の方からお答え申し上げます。
  52. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 流れをよくするということで交通規制してしまっては、答弁があべこべじゃないですか。
  53. 木村睦男

    ○木村国務大臣 それは、道路別に非常に混雑しておるところを、時間的にトラックの交通の許容時間をつくるとか、そういうことによって詰まったものの流れをよくするというふうになるわけでございます。
  54. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 流れをよくすれば排気ガスが少なくて済む、こういうことで、どうしたら流れをよくするかという質問だろうと思います。よくできるか、できないかという質問なんです。
  55. 木村睦男

    ○木村国務大臣 ですから、非常に混雑するところで車の種類別に区別をして通る時間を変えますと、流れがスムーズになってよくなる。
  56. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 だから、それをやるか、やらないかということだ。
  57. 木村睦男

    ○木村国務大臣 やっておりますし、今後とも強化してまいります。
  58. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 やっていないから、やったらどうだという質問なんだ。
  59. 木村睦男

    ○木村国務大臣 ですから、部分的にはすでにやっておりますが、さらに一層強化してまいります。     〔「委員長、行き過ぎだよ」と呼ぶ者あり〕
  60. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 行き過ぎじゃありませんよ。
  61. 仮谷忠男

    ○仮谷国務大臣 田中先生、具体的な問題で、四日市の外側が有料で市内が無料である、だから逆に混雑するといったような御意見のようでありますが、現実にはそういう問題があると思うのです。ただ、道路は無料公開というのが原則でして、その整備の促進を図るための手段として有料道路制度というものを導入しておる。そういう理論からいきますと、都市周辺の有料道路の建設というのは、むしろ市内の交通を緩和するのに有効な機能として働かなければならぬ、これは当然のことであります。それが働いていないというのは、やはりいま有料道路建設の過程にあるものですから、その過程の中の一つの障害ではないかと思います。そういう意味では一日も早く有料道路を完成をして障害を除去する。それからいまおっしゃつた御意見等は、十分検討してまいらなければならぬ問題だと思っております。
  62. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次に、林義郎君。
  63. 林義郎

    ○林(義)委員 いまの問題に関連いたしまして、私は、東京のような過密地帯におきましては、東京都内の交通の流れをよくすることが一番大切だと思うのであります。そのためには何をするか。私は、東京都におけるところの物の流通、物的流通というものについては大改善をする必要があるだろうと思います。これにつきましては、岡先生は大分その方の専門ですから、岡先生はどういうふうに考えておられるか。余り時間がありませんので、恐縮ですが、簡単かつ明瞭にお答えをいただきたい。
  64. 岡並木

    ○岡参考人 最近、自動車から公共交通機関へというようなことをいろいろな方がおっしゃるわけですけれども、その一つの意味は、いまいろいろ御指摘がありましたように、自動車の動きを減らすということがいろいろな意味で大切なことであります。  ところが、この自動車から公共交通機関へということは、言うことは非常に簡単なんですけれども、実は大変なことじゃないかと私は思っておるわけであります。で、この自動車を押さえつける側の論議は非常に活発に行われているのですけれども、本当だったら、やはりそれと同時に、その受けざらであります公共交通機関をどうやって質を高めていくか、この論議が非常に活発にならなければいけないのに、残念ながら、公共交通機関に関する論議というのは、極端な言い方をしますと、まだほとんど起こっていないと言ってもいいのではないかと思います。  たとえば、バスレーンをつくればそれで公共交通機関がよくなるかというと、決してそういうものではないわけであります。バスレーンが幾らできても、バスというものはもう昔のスピードを取り戻すことができない状態になっているわけです。これはどういうことかと申しますと、ワンマン化したために、一人当たりの客の乗降時間が車掌の時代のバスの二倍になっている。そういうようなことを考えますと、幾らバスがスムーズに走れるようになっても、バスは昔の速度を取り戻すことができない状態なんです。そうしますと、いまのワンマンバスであって、なおかつどうやったら時間を短縮できるかというようなアプローチを、別の角度からしなければいけないわけです。そういうふうにしまして、公共交通機関の質の改善という問題は、非常にきめ細かく、しかも正確にいろいろなその実態をつかまえて、科学的なメスを入れていかなければいけない面がずいぶんあるわけであります一ですから、ムードでもってこの公共交通機関がよくなり、それから自動車の動きが減るということはあり得ないであろうと思います。  それで、一つ例を申し上げたいのですけれども、単に乗り物だけをよくしても、公共交通機関に人が流れていくということにはならないと思います。と申しますのは、やはりその乗り物の前後に、歩くとか、あるいは乗りかえるとか、バスを待つとか、そういったサブシステムがいっぱいあるわけでして、実は日本にはいままで、運輸行政はあっても、あるいは道路行政はあっても、交通行政はなかったのではないかということを申し上げたいのです。私たち市民にとりまして、交通というのは、どこかのドァから出てどこかのドァへ入るところで完結するわけであります。その交通の全体のシステムから考えますと、電車とかバスとかというものはそのサブシステムの一つにすぎないわけでありまして、歩くとか乗りかえるとか、そういったことがやはり同等なサブシステムとして考えられなければいけなかった。ところが、日本の運輸行政と申しますのは、バスとか電車の運営のことをやっていたわけです。日本の道路行政というのは、自動車の走る道路のことだけをやっていたわけです。そうしますと、私たちにとって必要な交通の機能というものに対する行政というものはずいぶん抜けていたのじゃないか。その意味で交通行政というものはなかったというような気がいたします。ただ幸いなことに、最近、建設省、運輸省の中に、そういった方への御理解が出てきているようなので心強いと思っております。
  65. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、この問題は議論したら大変時間がかかるだろうと思うので、別の委員会でやらせていただきますが、五十一年規制で問題はまだたくさんあるのです。  触媒を使う車につきましては、たとえば千度くらいの熱がミスファイアのときには起こるという話がある。これは実験のデータもあるようです。千度の熱ですよ、車の中でばあっと。これは交通安全の見地からも大変なことだと私思いますけれども、運輸大臣、いかがでしょう。どういうふうにお考えになりますか。
  66. 木村睦男

    ○木村国務大臣 確かに、五十年、五十一年の規制に従って車をつくります場合には、相当な熱害というものを考慮しなければならないわけでございます。     〔委員長退席、湊委員長代理着席〕 これはエンジンそのものに対する影響もございますので、その遮熱の措置もやらなければなりませんし、また、急速に停止したり、あるいは急速にスピードを出すというふうな場合にも、多数の車が交差点等で集中していくと、そこにも熱害という問題がございます。したがって、今回の五十年、五十一年規制の車の型式の審査、実験をいたす場合にも、そういう熱害についていろんな審査をやり、また検査をやらなければなりません。そしてまた、その車についてのその後の車両検査等のときにも、十分その点を注意しながら検査をやらなければならないと考えております。
  67. 林義郎

    ○林(義)委員 一つの車のエンジンがどうなるかという問題ではないと思うのです。先ほど岡さんが指摘されましたように、人の安全、交通の問題としてこの問題は考えていただきたい、私はこう思うのです。  その次に問題を出します。新しい車は触媒を使うんです。この触媒を使うときに、やはり硫酸ミストとか白金等について二次公害が起こるということが新聞で報道されております。この点について環境庁はどういうふうにお考えになりますか。
  68. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 もし技術的な問題、詳しいことがあれば局長から答弁いたしますが、アメリカでも一部の学者が、排ガス規制について二次公害を非常に心配をした説を唱えております。ことに触媒法につきましてそういう説があるわけでございますが、ただ、基本的にアメリカの車に使いますガソリンの中に含まれる硫黄分と日本のガソリンの硫黄分の違いが相当程度ございます。日本では大体アメリカの二分の一と言われておりますので、そういう点から見ますと酸化のおそれが非常に少ないのじゃないか。したがって私どもとして、まあまあその点、触媒法については二次公害を心配しないでもいいんじゃないかとは思いますが、実はこの排ガス規制の窒素酸化物に対する規制のいろんな装置につきましては、非常にいろんな議論がございまして、その意味で実は専門委員会でも、今日の技術開発の現状から見てそう思い切った理想値まで行けないんだという議論もあったようでございます。それだけにとどめます。もし詳しいことがあれば、局長からお答えさせていただきます。
  69. 林義郎

    ○林(義)委員 結論が絶対にシロだというところまではっきり出ていないのが私はこの問題だと思うのです。  次に私は、さらに問題としてありますのは燃料費の問題だと思うのです。石油は、御承知のように、別の角度から節約を余儀なくされているものであります。五十年対策車、五十一年対策車が市場に出てきますと、やはり燃費が上がるということは当然のことであります一これは業界の中でも常識である。一般の自動車ユーザーについての常識であります。私はそれで、燃費がもしも一〇%ずつ悪化したと仮定した場合を一応試算してみたのです。計算をしてみました。そうしますと、五十年では十四万六千キロリットル、五十三年になりますとそれが百八十万キロリットルの燃料の増加をもたらす。これは原油を使うわけでありますから、原油を使いますと、五十年では一億ドルの余分の支払い増、五十三年では約十一億ドルの支払い増をもたらすと思うのです。これは日本のバランス・オブ・ペイメントの問題としてはやはり相当大きく考えていかなければならない問題だと思いますが、通産大臣、いかがでしょう。
  70. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かに御指摘のように、エネルギー上から問題がありますけれども、やはり何と申しましても公害対策ということが最優先でございまして、その枠内で油の増加といいますか、エネルギーの問題は検討していくべきである、こう考えております。
  71. 林義郎

    ○林(義)委員 外貨面で申し上げましたが、やはり車を使う人からしますと、イニシアルコストで車の小物を買ってたくさんのガソリンがかかったら、余りその車を使いたくない、こういうことだと思うのです。やはりその辺も考えていかなければならない問題があるだろうと私は思うのです。車というのは勝手な人が使うのじゃないのです。お互い市民が使うのですから、市民が使いやすい、できるだけ安く使うということを考えていかなければならない。これは一つの大きな問題だろうと思うのです。  私はさらに申し上げますが、しばしば言われておりますけれども、日本が非常に規制がきつい。日本の規制は五十一年規制になりますと世界で一番高い規制であります。そうしますと、外国の車がなかなか入ってこれない、こういう問題もあります。そうしますと、これはノン・タリフ・バリアではないかということで、ガットで問題になる可能性はあると私は思うのです。しかしこれはやはり外交交渉で防いでもらわなければならない。さらには、もしもノン・タリフ・バリアで日本の車に対して輸出が規制にかけられるというようなことがあるとか、あるいは車の値段がどうしても上がりますから——私はやはり、値段が二〇%くらい、五十一年車だったら、いろいろな装置をつけますから上がるだろうと思うのです。そういたしますと、値段が高くなったらやはり人が買わないのですよ。値段が高くなれば、需要供給の関係からすれば、値段の高いものは買えない、こういうことだと思うのです。そういったものをいろんな前提を置きまして計算しますと、生産減少というものが考えられる。その生産減少を五十一年の車で大体八%くらいで計算いたしますと、ざっと言いまして、自動車に従事するところの労働者の数というものは約七十万人でありますから、それの八%であれば五万六千人、この五万六千人は失業しなければならないという、非常に単純な計算でありますけれども、計算が出てくる。この失業の問題は、今度何万人になれば、何百万人になれば政策転換だと言われているくらいの問題で、私は失業の問題というのは日本でも非常に大きく考えていかなければならない問題だと思います。     〔湊委員長代理退席、委員長着席〕  先ほど岡参考人から答えられましたところの、公共交通機関をやっていく問題であるとか、市民のための交通対策を考えるべきであるとか、やはり物的流通を考えていかなければならない、さらにはミスファイア等の場合における交通安全の問題、これも運輸省はまたいろいろ検討するという話である。それから燃費増加に伴うところの諸問題等々の諸問題があります。私はこういった問題を総合的にとらえていかなければならないと思う。総合的にとらえていくことが私は一番必要なことだと思う。単に〇・八五と〇・六などという議論だけでこの五十一年対策の問題はやってはならない。目標は何であるか。目標は大気をきれいにすることであります。光化学スモッグをなくすることであります。お互いの生活環境をよくすることであります。そういった観点からこの問題を総合的な見地でとらえて進んでいかなければならない。大気をきれいにするために一つ一つの車をよくしたところで、もしもその車が火災を起こしたときにどうしますか。そういった問題まで掘り下げてやっていかなければならない。それから、車の問題をやると同時に、全体の問題あるいは交通全体の体系を考えていく必要があるのだ、こう思うのであります。これをぜひ政府にやっていただきたい。  まず、私のこういった考え方につきまして、岡参考人、どういうふうにお考えになりますか。私はそう考えておるのですけれども、岡さんは非常に専門家ですから、ひとつ専門家の立場から御答弁いただきたい。
  72. 岡並木

    ○岡参考人 いま委員のおっしゃった考え方、私は全く賛成なんです。同感です。それで、やはり二者択一というようなことは、この世の中ではなかなかできないだろう。それから、私たちが常に歴史を振り返ってみても、試行錯誤というようなことで進んできて、それがやはり一番確実な道を見つける方法ではないか。ですから私は、いままでせっかちに自動車がふえてまいりましたけれども、新しい交通計画を考える場合にせっかちであってはならない。ゆっくり広い視野から物を考えていただきたいと思います。
  73. 林義郎

    ○林(義)委員 自動車工業会の豊田会長が来ておられますが、自動車工業会としては、私はやはりこれは相当大きな問題だろうと思うのです。公共交通機関を中心にして考えるということになりますと、プライベートカ−を売っておられるところの自動車メーカーとしては余りよくないだろうと思うのです。ただ私は、全体的な対策を進めていくということが必要なんだと思うのです。その辺につきまして、工業会の会長としていかがお考えになりますか。
  74. 豊田英二

    豊田参考人 ただいま先生からお話がありましたことは、私どももきわめて同感でございます。私どもは自動車をつくっておりますけれども、これはやはり全体の交通の問題の一環として私どもは常に考えております。工業会自身としても、新しい交通システムという問題については常に研究をいたしておる状況でございます。もちろん、私どもの本職であります自動車につきましては、ただいま御指摘がありましたように、排気規制に合格するだけでなくて、安全であり、また経済的であり、燃料消費の少ない、しかも社会に喜んで受け入れていただける車をつくっていきたいというふうに考えておる次第であります。
  75. 林義郎

    ○林(義)委員 これは政府の方も対策閣僚協議会というものをつくっておられると思うのです。ところが、その対策閣僚協議会をやっておられますが、何か新聞等で拝見しておりますと、私は、税金の問題をどうするかとかというような範囲にどうも限られておるのではないだろうか、こんな感じがするのです。当面の一番の責任者でございましょうから、環境庁長官、政府を代表して、この辺の問題につきまして、どういうふうにこれを進めていくおつもりか。また、私がいま御指摘申し上げたような問題について、これからどういうふうな取り組みをされるのか、ひとつ御答弁をいただきたい。
  76. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 総合対策について、特に物流の問題を重視して御意見がございまして、私どもも同感でございます。たとえば四つのテーマの御指摘があって、中公審から総合対策をつくれということを言われております。その一つが例のバス、トラックあるいはディーゼル車、小型トラック等の規制の問題、それから税制の問題で低公害車に切りかえを促進するという問題、それから交通総量の規制の問題。交通総量の規制の問題のときに、まさに岡先生が言われました、あるいは先生の御意見のような全体の交通政策というものを立てまして、そして車の総量を、時間的にも、あるいはまた全体としても規制をしていかなければ、とうてい効果が上がらぬと考えております。したがって閣僚協では、税の問題だけでなくて、そうした総合交通量の規制問題も含めまして、真剣に討議をしていただきまして、それぞれの官庁で実施に移していただく。  物流の問題、私は素人でございますが、端的に言いますと、物の集配をやっている各社がばらばらにやっている。これをもし共同化する、協業化するということになりますと、それだけ車のむがが排除できるということにもなります。そういうような点も含めまして、交通のそれぞれの関係者、あるいは通産省等と、十分に対策協で対策を一つ一つきめ細かく決定をしていきたい、そして実施をしてもらおう、かように考えておるわけでございます。
  77. 林義郎

    ○林(義)委員 たとえば私は東京都の例をとりたいと思うのです。羽田の空港をお使いになる方は、野党の先生方を含めまして、たくさんおられると思うのですね。羽田の空港からこの霞が関のところまで来るときに気がつかれるのは、あそこを走るトラックが非常に多いということなんですね。このトラックがやはり相当な排気ガスを出しておる。トラックはどこに行きますかというと、ずっと抜けて向こうの千葉の方の工業地帯に行くわけであります。横浜、川崎のほうの工業地帯からずっと向こうに行く。私はそこで、湾岸道路をつくりまして、トラックの交通だけは別にしていくということを考えたらどうだろうかということも一つの提案であります。  それから昔は東京というのは非常に狭かったのですね。それで東京の真ん中の京橋の辺に繊維問屋がある。それから築地、ここに魚市場があります。神田に中央市場がある。そこへ田舎から全部野菜を持ってきまして、真ん中に集めて、また都民にずっと配るわけです。そういうことをしないで、東京都の周辺にそれぞれのターミナル、一種の集中のセンターを置きまして、そこから真ん中へ持っていくというような形にすれば、トラックが二遍入ることが防げるわけであります。私はそういうふうなことを考えていっていいのじゃないか。先ほど田中先生からも御指摘がありました交通の料金によって、こちらの方はトラックが走る、それから一般の車はこちらの方を走るというような料金政策も堂々と私はやってもいいのではないかと思うのです。  そんなことをいろいろ考えていかないと、単に一台一台の自動車の物品税をどうするかとかなんとかということだけでは、私はこの問題の解決にならないと思うのです、はっきり申し上げて。そういったことを総合的に考えていくのがこの五十一年規制の一番のねらいではないか。私はそれが一番大きな問題だろう、こう思うのです。どうも、私はいままでの議論を聞いておりますと、そういった視点におけるところの対策、話し合いが余りない。私はそれではいけないと思うのです。先ほど申しましたように、国民のためのこれは大気汚染防止であります。光化学スモッグ対策であります。お互いの健康を守っていくわけでありますから、最大の努力をこれに傾けていかなければならない。そういった点から私はいろいろなことをやったらいいのだろうと思う。  先ほど来のは単に私のアイデアでありますが、恐らく岡先生やそのほかの方々が、たくさんいろいろなアイデアを持っておられるだろうと思う。それで国民の総知を結集してこの問題に取り組むことこそ必要なことではないか。極端なことを言いますと、公募したらどうかと思うのですね。アイデア募集というやつでもやったらどうかと思うのです。政府でアイデア募集をしまして、いろいろなアイデアがあるでしょう、その中にできるアイデアもあるし、できないアイデアもある。それからいいアイデアでも、一遍にあしたできるとか一年たったらできるというものではないと思うのです。これはやっぱり三年なり五年かけてやらなければならない。そういったものを全部整理して、そうしてこの大気汚染防止に進んでいただくことが私はきわめて大切なことだと思う。岡先生、どうでしょう、私、そういうふうに考えますけれども、いろいろなアイデアを募集するというのはどうなんでしょうか。
  78. 岡並木

    ○岡参考人 アイデアをたくさん集めていただくことは非常にありがたいのですけれども、私ども実はいまから十何年前に、朝日新聞でもって交通問題に関するアイデア募集をやりました。そうしますと、その八〇%は本当は大変言い古されたものが多いわけなんで、ですから、皆さんにそういう問題を考えてもらうというきっかけをつくる意味では、非常にアイデア募集は私は効果があると思いますけれども、実際に役に立つものが出てくるかどうかは、ちょっとまだお答えできないという感じがいたします。
  79. 林義郎

    ○林(義)委員 それは岡先生のおっしゃるとおりだと思うのです。アイデアというのはなかなかあるようでないのです。ただ、いいアイデアだったら私は取り上げてもいい。  それから車というものをみんないま使っているのですね。二千六百万台日本にありますよ。二千六百万台といいますと、一億の国民で四人に一台ですからね。子供もおじいちゃんも入れて四人に一台ですから、大体一軒に一台というのは持っているのですね。田舎の方に行きますと一軒で二台も三台も持っておる。まあ都会で持ってないという方もおられるかもしれないが。そのくらい車の普及しておるところですから、やっぱり車を制限するというような形になりますと、国民の中では、おれは車が使えなくなったら困るという人が出るのです。やっぱり車というものをある程度まで前提にしながら、しかも排気ガスをなくしながら、そして健康を守っていくという全体のシステムというものを考えていくということが望ましいのですね。車はもう排気ガスが出るからだめだ、そんなものはやめてしまえと言ったら、私はそれは一番早い方法が二つあると思う。一つは電気自動車にすることであります。一つは戦後にありました木炭車を使うこと。これだったらもうNOxは完全になくなるのです。しかし、いま木炭車を使えなんという人は、だれもいないのですよ。そういったような極端なことはできない。したがって、さっき岡先生のおっしゃったように、一歩一歩できるものから時間をかけて、幅広い見地からやっていくということこそ、私は一番必要なことだと思います。私はこういうことを申し上げますが、環境庁長官、これはいかがでしょう。何かございましたらお答えをいただきたいと思います。
  80. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 全く同感でございます。そういうようなきょうの御議論も十分体しまして、閣僚協において真剣に検討をいたします。
  81. 林義郎

    ○林(義)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  82. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて林君の質疑は終了いたしました。  豊田参考人には、午後再び御出席を願うことといたします。  なお、和達参考人、岡参考人中島参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。御退場願いまして結構でございます。ありがとうございました。  次に、石野久男君。
  83. 石野久男

    ○石野委員 きょうは、参考人の方においでいただきまして、私は主として原子力の問題でお尋ねしたいと思うのです。  石油の次は原子力エネルギーだと言われておりますが、われわれ国民のエネルギー源として果たして適しているかどうか、本当に真剣に考えなければならない、そういうときだと思います。私どもは、原子力発電の危険性、あるいは放射能による環境破壊の問題に言及いたしてきました。それは決して間違っていなかったと実は思うのです。と申しまするのは、関電の美浜一号、二号炉の蒸気発生器あるいは燃料棒の事故、これがなかなか予定どおりに運転できていないという実情。あるいはまた、東電福島一号、二号炉、いま三号炉もそうですが、中電の浜岡、また関電の敦賀などは、アメリカのBWRの再循環系のパイプのひび割れという問題で、昨年九月に総点検をしましたが、今回また緊急冷却水系統のパイプにも欠陥があるということで、再び総点検が行われなければならないというような実情になっております。     〔委員長退席、湊委員長代理着席〕 こういう事故やトラブルが連続的に起きるということは、軽水炉発電が実用段階に達していないというふうに言っても過言ではないのではないか、こういうように実は私も思うのです。  そこで、きょうは参考人もおいでになっていらっしゃいますので、まず参考人にお尋ねいたしますが、現在、商業用原子炉として幾つあるか、そうしてきょう現在幾つ稼働しておるのか、最初にそれからひとつ聞かしていただきたい。これは加藤参考人でもどちらでもよろしゅうございます。
  84. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 加藤でございます。  ただいま先生からお尋ねいただきました点、まだ実用的になっていないのじゃないかというお話のように承りました。実は、電気事業といたしまして、事業の性格から申し上げまして、全国の御家庭、事務所、工場等にお送りいたしております事業といたしまして、まず第一に、保安と安全を心がけなければならないということが、関係いたしますときの第一歩の心構えでございます。したがいまして、関係いたしております者といたしましては、この点は終始、一刻も忘れていけない問題かと心得ております。まして、原子力発電によります電力エネルギーの発生といたしましては、実用に入ったと私は申し上げましたが、まだ幾多改良、改善すべき問題もあるかと存ずるのでございます。したがって、その過程にあるかと存ずるのでございます。  同じ事故といたしましても、事が事だけに、慎重の上にも慎重を重ねてこれが原因究明、修理に当たっております関係上、若干予期したような稼働率を上げていないというのが現状でございます。したがって、いまお尋ねいただきました現在の稼働は多分六基かと存ずるのでございます。
  85. 石野久男

    ○石野委員 きょう現在でその六基は全部稼働しておりますか。発電しておりますか。——田中さんでもどっちでもいいですよ。
  86. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 ただいま直接原子力を担当している田中委員長からお話をさせていただきます。
  87. 田中直治郎

    田中参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  現在、定検に入っておりまするものが、福島の一号、それから敦賀が同じく定検に入っておると思います。そのほかに、停止しておりまするのは二台と存じます。その他、目下十六日からBWR型の発電所で、定検以外に、政府の御指示もございまして、先ほど石野先生からお話が出ましたアメリカにおけるドレスデン発電所二号炉のコア・クーリング・スプレー・システムと申しますが、これは炉に事故が起きまして、そのために、たとえば配管等から水が漏洩をいたすというようなことで炉心の水位が下がったときに、その中にあります燃料の温度が上がらないように冷却する装置がコァ・クーリング・スプレーでございますが、そのスプレー系統の配管に亀裂が発見されたのでございます。したがいまして、アメリカにおいても二十三基のBWR型全部を停止いたしまして、目下私ども一昨日あたりまでに入手しております情報によりますれば、十三基が点検を終了しておるということで、その中にはドレスデン二号以外には亀裂は発見されておりませんけれども、そういうことからして、日本におきましてもBWRの点検を十六日からやっております。したがいまして、その分が停止しておるというのが実態でございます。したがいまして、このBWRの停止した分がございますので、これはもちろんトラブル、故障のために停止したのではございませんが、大事をとって点検のために停止しておるというものでございます。したがいまして、実際に故障のために点検しておるものは八基のうち二基というふうに考えられるのでございます。  以上、御答弁申し上げます。
  88. 石野久男

    ○石野委員 八基のうち二基が故障しているというのですか。それとも稼働しているというのですか。どっちですか。
  89. 田中直治郎

    田中参考人 八基のうち二基が故障のために停止しておる。その他は、定期検査、あるいはまた、先ほど申し上げましたアメリカの実績から見て、その検査のために停止しているというのが実情でございます。
  90. 石野久男

    ○石野委員 そこで、きょう現在稼働しているのは、何台あるのですか。
  91. 田中直治郎

    田中参考人 現在稼働しておりまするのは、したがいまして二基でございます。
  92. 石野久男

    ○石野委員 いま八台のうち稼働しているのは、いろいろ理由はありますけれども、二基しかありませんが、そこで、美浜の一号炉の蒸気発生器の故障等によっていま停止しているやつの修理、再運転開始という見通しは、現在立っておりますかどうか。
  93. 田中直治郎

    田中参考人 お答え申し上げます。  定期点検の機器は、点検が終わりますればもちろん稼働に入り得るものでございます。それから、BWRの先ほど申しましたアメリカにおけるパイプの亀裂を日本においてもチェックするというものにつきましては、これはまだ私の見込みでございますけれども、点検がはっきり済んでからでないと明快に申し上げられませんが、いずれもまだ短期間の使用でございまして、そのようなものは、もちろん亀裂のような故障があるとは考えられません。一等長いのが原子力発電会社の敦賀でございますけれども、これが約三年を経過しているという程度で、あとは福島の一号が三年弱、その他は新しく運転に入ったもの、また現在試運転中のものがございます。これらを含めまして、いま私がお答え申し上げたいのは、まず二週間ないし三週間の点検の期間を要しますけれども、それが済みますれば安全に再運転ができる、かように考えております。
  94. 石野久男

    ○石野委員 参考人にお願いしたいのですが、時間が非常にございませんので、質問の要点だけ答えていただきますようにひとつお願いしたいと思います。  いま私がお尋ねしましたのは、美浜一号炉はいまとまっておるけれども、あれは前の森山長官のときに、その蒸気発生器を取りかえてやりなさいという指令も出ているわけでございますが、それはいつごろ修理が完了して稼働に入り得るかということを聞いたのですから、わからなければわからないでいいのですよ。簡単にそれだけお答えいただきたいのです。
  95. 田中直治郎

    田中参考人 私、実は東京電力でございますので、関西さんのこの美浜の……
  96. 石野久男

    ○石野委員 じゃ会長さんにやってもらっていいですよ。
  97. 田中直治郎

    田中参考人 私、申し上げます。  美浜の一号と承りましたけれども、一号につきましては、目下顧問会におきまして蒸気発生器対策特別委員会が開かれて、現在検討中と承っております。
  98. 石野久男

    ○石野委員 美浜の一号炉はまだ検討中で、見通しは立たないというのが実情だと思います。  そこでBWRのECCSのひび割れ点検がいま現に政府の指令によって始まるわけですが、特に私、お尋ねしたいのは敦賀の発電炉でございますけれども、これはもう経験年数も大分たっておりますから、ECCSの点検というのは、炉体の中へ入らなくちゃいけない非常に重要な個所になっている、私はそう思っております。そこで、これの点検に入るということについて、作業が非常にむずかしいのじゃないだろうかというふうに思いますけれども、五年間も炉が稼働しておりましたから、炉内は大変な放射能を浴びていると思いますし、これの作業についてのめどが実際ついておられるかどうか、そこのところをひとつお聞かせいただきたい。
  99. 田中直治郎

    田中参考人 いま美浜の一号と……。
  100. 石野久男

    ○石野委員 いや敦賀……。
  101. 田中直治郎

    田中参考人 さようでございますか。敦賀の一号につきましては、いま御指摘のように点検中でございます。御承知のように、また、いま御発言のように、もう五年使っておりますので、若干放射能レベルが上がっているということもございます。したがいまして、若干点検の日数は他の機械よりもよけいかかると思いますけれども、いずれにしてもまず、これは私、推定でございますけれども、三週間ないし一ヵ月のうちにはできるのではないか、かように考えております。
  102. 石野久男

    ○石野委員 これは後でまた労働者の被曝線量の問題をお聞きしたいものですから、作業のことでちょっとお尋ねするのですけれども、この敦賀の炉の点検に入ります作業者というのは、非常にこれは問題があると思うのです。そこで、炉に入る場合の作業者に対してどういうような指示を与え、また皆さんどういうふうにお扱いになられているかということでお聞きしたいのですが、この炉の中に入る作業者は、どういうような作業者が入られますか。まず、その点からひとつお聞きいたします。
  103. 田中直治郎

    田中参考人 いまの御質問にお答えいたしますが、これは美浜に限らず、一般の今回のBWRの点検について申し上げられると思いますが、この点検には超音波の測定をいたしますので、相当高度の技術を持っている特殊の技術者ということに相なります。したがいまして、その人数などもやはり制約はございますけれども、そういった熟練者を入れて点検をすることに相なろう、そのようにお答え申し上げます。
  104. 石野久男

    ○石野委員 実際の炉の中に入ります作業というのは、いま熟練者だということをおっしゃっておりましたけれども、この人たちは、炉の中で実際に仕事はどのくらいの時間やられますか。
  105. 田中直治郎

    田中参考人 炉の構造というのは大体似たものでございますけれども、容量によってスペースに若干の相違もございますし、また配管その他の関係で若干違います。また先ほど申しましたように、放射能レベルにもよりますが、まず一人、非常に狭いところで作業いたしますから、一回について、場合によっては二時間、長くても四時間、まあ三時間ないし四時間と考えたらよかろうか、かように存じます。
  106. 石野久男

    ○石野委員 ECCSの点検ということになりますと、炉心の上部に入らなくちゃならないはずですね。これはもう大変に炉内中心に入るわけでございますが、本当に三時間も四時間もそこへ入れておりますか。
  107. 田中直治郎

    田中参考人 これは、先ほど申し上げましたように、炉心の中の放射能レベル、つまり私ども雰囲気と日本語で言っておりますけれども、それによって非常に違います。実際の作業としては、炉心とは申しながら、中に遮蔽がございますが、遮蔽の外から遮蔽の一部を取り外すことができるようになっておりますから、外から作業をするわけでございます。
  108. 石野久男

    ○石野委員 外から作業をすると言いましても、炉の中であることは間違いないんですよね。ですから建物の外とは趣が違うわけですよ。しかも汚染しておる放射能を完全排除することは恐らくできないのですから、したがって、ここに入る作業者は、先ほど専門屋だということを言われましたが、ここへは下請の労務者というのは使いませんですね。
  109. 田中直治郎

    田中参考人 先ほど申し上げましたように、測定の技術のできる、比較的技術のレベルの高い技術者を入れるわけでございます。
  110. 石野久男

    ○石野委員 これは監督官庁である通産省にちょっとお聞きしておきたいのですが、いま業界の方は、専門の技術の高い者でなければ入れないのだということを言っております。私もそういうふうにしてほしいと思うので、通産省にしましても、労働者にしても、そういう点については厳格に指導する必要があると思いまするので、そういう点はしっかりひとつこの際ここで明確にしておいてもらいたいと思います。
  111. 河本敏夫

    河本国務大臣 ごもっともな御意見でございますので、そのようにいたします。
  112. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 そのとおりでございます。
  113. 石野久男

    ○石野委員 私は実は、こういうECCSの作業というのは非常にむずかしい仕事だから、田中参考人が二、三週間で終わるだろうという推定をなされておりますけれども、現実には、敦賀の現場の監督者としては、いまこれをどういうふうに仕事をするかということで頭を悩ましておるのが実情なはずなんです。そして事実問題として、そんな二週間やそこらでできるかどうかも非常に問題があるのじゃないかと思います。しかし私は、参考人の言葉にそんなにうそ偽りはないと思いますからそれを信じますけれども、果たしてそのくらいでできるかどうか、これは見ておりたいと思いますが、問題にしますのは、そういうような無理な仕事をするについての技術がなお日本にないから、結局外国からの指導を受けなくてはいけない、これが実情だろうと思うのです。恐らくこの作業は、やはりアメリカの指導を受けてやるのでございましょうね。
  114. 田中直治郎

    田中参考人 いまの御質問にお答えいたしますが、これは全部日本の技術者でやる予定にしております。
  115. 石野久男

    ○石野委員 それのマニュアルはちゃんとできているのですか。
  116. 田中直治郎

    田中参考人 BWRは日本では東京芝浦電気と日立が製作しております。点検すべきものは四カ所ございますけれども、それぞれ目下のところは八人ないし十二人程度の人によりまして点検をする予定でございます。  つけ加えて申しますけれども、アメリカの二十三基につきまして、アメリカでも点検をいたしておりますので、これはGEの機械でございますが、向こうもなかなか手がないということで、目下のところでは、向こうからすぐ呼べるかどうかちょっとわかりませんけれども、向こうが終わればこれもまた応援をしてもらって、そしてできるだけ早く故障の有無、亀裂の有無を発見したい、かように考えております。
  117. 石野久男

    ○石野委員 故障個所を見つけ出すという作業だけでも非常にむずかしいし、率直に言いまして、田中参考人が予測されるような二週間か三週間でそれができれば非常に幸いですけれども、なかなかむずかしかろうと実は私は思っておるのです。  時間がございませんからそれは別にしまして、そういう作業に入ります労働者の被曝の問題でございます。これは修理だけじゃなしに、ふだん原子力発電所で働いておる労働者も通じてでございますが、労働者の被曝線量の問題。いまお手元に配りました表でごらんになっていただけばわかりますように、被曝の線量は、これはアメリカの実情から言いましても、WASH一三一一の資料がはっきりしておりますように、経年、年度が重なるに従って、また出力が増加するに従って、被曝の人レムというものがふえてきているという実情、それはやはりわが国の場合でも同じだと思います。これは各発電所におけるところのそれを見ると、よくこの表が示しているわけです。たとえば、これを全部読んでいると時間がございませんけれども、委員長、後でこの表は議事録にちょっと入れていただきたいと思うのです、時間の関係で。よろしゅうございますか。
  118. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 一応理事会で相談をしまして、その上で考慮したいと思います。
  119. 石野久男

    ○石野委員 全部読んでいると時間をとりますから、この表をごらんになっていただければわかりますけれども、被曝の線量は特にアメリカの場合で言いますと、先ほど申しましたWASH一三一一の資料はそのことを非常に明確に示しておりますが、日本の場合でもそうです。そこで、問題になりますのは、特にこれはわが国の場合ですけれども、東電の福島にしても、あるいは原電の東海、あるいは原電の敦賀、関電の美浜、あるいは中電の島根、いずれにしましても被曝線量は、「社員」と書いてあるものと「請負」と書いてあるものを見ていただくとわかりますように、請負の側の人レムはものすごく多いのです。そして御承知のように、単位レムの線では非常に少くなっておりましても——非常にということは言えませんが、少くともいわゆる被曝総線量というもの、人レムが非常に多い。このことはやはり労働者の健康の上から言いまして問題が多うございます。これはもうここでくどく言う必要はございませんが、がん発生とか、あるいは白血病だとかいうことで、放射能にまつわるところの健康に及ぼす影響が非常に多い。こういうような状態を私たちはかねてから憂えておりましたが、最近、電気労働者の諸君から、この問題について特に注意を喚起するということで、企業の側に提言がございました。この提言は、加藤さん受けられておると思うのでございますが、この提言については、電労連の第五次提言でございますけれども、事業会の方では、これをどういうふうに受けとめておられますか、その点をひとつ先に聞かせていただきたい。
  120. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 電気事業労働者組合から、私、直接に第五次提言を聞きました。直ちに、その前の四次の話もございまして、われわれはわれわれといたしまして、御意見としていま慎重に検討いたしております。
  121. 石野久男

    ○石野委員 ここではいろいろな意見が述べられております。私どもが一番問題にしなければならないのは、そこで働いている労働者の被曝線量というものはどんどんふえていって、作業員が、とてもじゃない、長時間にわたって仕事をしておれないというような状態が出てくることは恐ろしいことなんです。特に、先ほど問題にしました、炉内のたとえばECCSの故障個所の発見というようなものの作業をするということになりますと、これは二時間なり三時間なり働いてくる方もおりますけれども、しかし最も炉心の中へ入っていく場合には、実際にはそうじゃなくて、三分か五分間ぐらいの作業でその現場を去らなければならないような事態もあるはずなんですね。そういう事態は全然ございませんでしょうかどうですか。この点ひとつ田中さんあたりにお聞きしておきたい。
  122. 田中直治郎

    田中参考人 お答えいたします。  いま御指摘の五分ぐらいということでございますが、たとえば足場を持ち込むとか、そういう仕事の面ではそういうことはございます。短時間だけ入ってすぐ出る。また一面ごくまれには、いま御指摘のようにレベルが非常に高い場所ですね。ごく限られた場所だと思いますけれども、そのレム、放射線レベルのために長くはいられないということも考えられると思います。きわめてまれでございます。
  123. 石野久男

    ○石野委員 そういうような作業が原子力のいろいろな作業の中にあります。そしてそういう場合に、本当に法の規定するところのいわゆる従事者がそれをやるということでなく、そうでない下請の業者などがその中へ入るということの方がむしろ多い。そういうようなことのために事故もたびたび起きておるのですが、私は、下請の労働者を使う場合の会社の心構えと申しますか、そういうものはいままでどういうような注意を与えており、またその労働者に対して、下請の業者、そういう者に放射線被曝管理の問題をもう全部預けっぱなしにしておるのか。それとも電力会社がそういうものについて責任を持っておられるか。その点をひとつお聞きしたい。
  124. 田中直治郎

    田中参考人 お答え申し上げます。  これは東京電力の例を申し上げたいと思いますが、東京電力におきましては、本社に原子力開発対策本部がございますが、これには幾つかの部がございますけれども、特に保健安全センターという組織をつくりまして、ここには特に常務が所長を担当するということで、非常に責任体制をしっかりしまして、そして二名ぐらい専門の医師を置くということで、現場の社員と請負、あるいは下請、すべての放射線に関する健康管理を電算機を使ってやるという体制を整えております。目下のところ電算機は、近日中に入りますけれども、まだ使っておりませんが、実際にその資料をそういうことで集めるというふうに……
  125. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 田中参考人、声を大きくしてください。
  126. 田中直治郎

    田中参考人 どうも相済みません。
  127. 石野久男

    ○石野委員 時間がなくなってしまうから簡単でいいです。
  128. 田中直治郎

    田中参考人 はい。いま申し上げたような組織によりまして管理をいたしておる次第でございます。
  129. 石野久男

    ○石野委員 下請労務者に対する被曝管理というものは非常に重要だと思うのです。  そこで、下請労働者に対する被曝手帳とか何かは、一遍でも入れば全部その人に渡すということは、確実に実行しておりますか。
  130. 田中直治郎

    田中参考人 管理区域に入る場合は全部いたしておるのでございます。
  131. 石野久男

    ○石野委員 管理区域に入った者が下請労務者である場合、その人には被曝手帳は常時持たせておりますか。
  132. 田中直治郎

    田中参考人 これは御質問のとおりやっております。
  133. 石野久男

    ○石野委員 これは率直に申しますと、現場に入って仕事を終わりまして後は、今度はもう職がなくなりますから、解雇状態になってしまって、被曝手帳を本人は持ってない場合が非常に多いのですよ。そういうような事実がたくさんあるのですが、そういうことについて皆さんは御承知ですか、どうですか。
  134. 田中直治郎

    田中参考人 そういう事実を私どもとしてどこまでも追及したことはございません。したがいまして、そのような場合が若干あるかもしれませんが、しかし下請でも、常時こういう作業をやっておる者については、持っておると存じます。
  135. 石野久男

    ○石野委員 労働省にお聞きしますけれども、率直に申しまして、被曝の管理というのが非常にむずかしい。管理区域に入りまして、短い時間作業して下請がその場を離れました場合に、被曝手帳を本人が持ってない場合が非常に多いのですよ。その方がまた違った場所に行ったときに、その追跡が十分できないということが具体的にあらわれているのが、お手元に配っております表の中にあると私は思うのです。一つは科学技術庁の資料になっております表と、もう一つは私の調べた表でございますけれども、どちらもそうでありますが、この科学技術庁から出ているものと、それから私のほうで調べた——そこにはどこで調べたということは書いてありませんが、それとをずっと見てみますと、高いレベルに達しているものの違い、それから件数の違い、そういうのが出てくるわけです。科学技術庁で出しておるのは、これはもう業務報告で出ておりますが、片方は健康保険や何かの線から出てきておりますから、実を言うと、手帳を持ってないと出てこないわけなんです。そういうことが具体的にこの数字にあらわれていると思います。これは後で比較してもらう方がいいと思うのです。  そこで、労働省にこれはどうしても考えてもらわなくちゃならないのは、管理区域に入った者は、仮に短い期間でありましても、その人にはやはりその被曝手帳というのはもう持たし切らなくちゃいけないと思うのです。現場を離れたら、それをその人から手放させるということをさせてはいけないと思うのです。そういうことについての監督だけはひとつ厳重にしてもらいたい。
  136. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 お答えいたします。  下請会社における臨時工を含めて、事業者は、管理区域内に随時立ち入る者については、被曝線量を測定して、その結果を記録するように義務づけられております。いまの手帳の問題は、私の方でどういうふうになっておりますか、追跡調査をしたい、こう思っております。
  137. 石野久男

    ○石野委員 これは、労働者の被曝線量を管理する上から言っても、きわめて重大なことでございますので、そのようにやってもらいたいと思います。  そこで、現場で働いておる労働者の被曝の線量がだんだんとふえてくるということになると、大変な問題なんです。たとえばWASH一三一一で示されているところの従業員の被曝傾向というものは漸増の傾向だ。日本でも同じようなものだ。そして日本の原子力に働いておる労働者の側からも、いわゆる経年に従い、また出力増加に伴って増加しているこの被曝線量の人レムの問題ですね、これを解決することがなかったならば、本格的な原子力時代を迎えることは不可能であるということを言っておるのです。そういうことについては、経営の立場に立っておられまする加藤参考人は、どのようにお考えになりますか。
  138. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 あくまで事故を少なくすることによりまして、そのような心配のないように、この上ともその方面の力を尽くしてまいりたい、かように思います。
  139. 石野久男

    ○石野委員 それは期待するとかなんとかいうことじゃなしに、現実に原子力発電を可能にするためには、こういう問題を解決しないとできないんだという労働者の心配があるわけなんです。これは労働者だけじゃないのですよ。被曝線量がふえていくというのは、やはり国民全部汚染の数がふえるわけなんですから、実を言いますと、健康管理上からきわめて重大なんです。だから、この汚染の総量がふえないようにするということが、絶対に大事なんだ。だから労働者が、この問題の解決をしない限りは本格的な原子力時代には入り得ないんだというようなところまで突きとめておるというこの見方を、あなた方が認めるかどうか。これはもうきわめて重大な問題になります。私はそういう点でお聞きしているので、もう一度お答えいただきます。
  140. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 ぜひさようなことのないようにいたしたい、かように思っております。
  141. 石野久男

    ○石野委員 まさにそのとおりでございますから、この点についてはきわめて重大だと思うのです。  そこで、現在わが国におけるところの原子炉は八つありまして、そのうちきょう現在では、いろいろな理由はあっても二つしか動いてないんだ。そして、私は先般もこの委員会で論じたことがございますが、全体としまして、わが国におけるところの炉の稼働率というのは非常に悪いわけですね。たとえば敦賀の場合にしましても、四十八年度が七〇%。今度これが定検に入ってうまくいくかどうかわかりません。福島の一号は四十八年度が四八・四%。それから美浜のごときは、四十八年度で二七%だけれども、四十九年度はわれわれの計算ではわずかに七%なんです。現在ではずっととまっておりますね。  こういうふうに非常に悪いということから見ますると、これは会社経営としてやっていけるのかどうかという問題が一つあるわけなんです。私はこの機会に、これだけ事故の多くなっている実情にかんがみて、やはり電力会社はみんな集まって、少なくとも、これらのものをひとつ共同研究か何かして、事故をなくするような体制をつくる必要があるんじゃないだろうか。そうしなかったらとても皆さん自身の経営の線にも乗ってこないのじゃないかと思いますけれども、そういう点は電力業界としては考えておられますかどうか。
  142. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 ただいま体制としてはつくっておりませんが、しかし、それぞれの電力会社において、原子力発電所の建設に当たりましては、それぞれの建設中並びに運転中の発電所へ参りまして、そこに起こりましたいろいろの問題点を直ちに取り入れまして、そして二度と繰り返さないような発電所をつくりたい、かように考えております。それからまた、それぞれの情報を持ち寄るというような点につきましては、十分やっておるつもりでございます。
  143. 石野久男

    ○石野委員 電力業界がいま九電力のほかに電発と原発があって、十一あるわけですね。一つのユニットが七十万、八十万、これからは百万キロワットというような炉を全部設定して、そして一ヵ所では少なくとも数百万キロワットあるいは一千万キロワット以上のものを持とうとしている。水力、火力の場合にしますと、とにかく一ヵ所では五十万キロか七十万キロ。それは火力では少し大きいものがありますけれども。しかし、原子力の場合はユニットが非常に大きくなってきているのに、これを経営する会社が十一あるということは、どう考えても、過当競争と言いますか、むだな競争をするようになってくるのじゃないか。むしろ私は、こういうようにユニットが非常に大きくなってくるような仕事をするのであるならば、九つの会社を十一にするというような経営のあり方よりも、これを三つか四つに詰めていく方が、あなた方の立場から言ってもいいのではないかというふうに思いますが、電力業界は、こういう問題についてはどういうように考えますか。
  144. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 先生のおっしゃることも一理あるかと私は十分思います。しかし手前どもは、いまの体制でそれぞれの個々の自主経営というものがいいのだ、しかし勉強はお互いに同一の会社と同じような気持ちになってしなければいけない、かように存じます。
  145. 石野久男

    ○石野委員 もう一度お尋ねしますが、炉は操業の稼働率が非常によくない。それはやはりいろいろと問題が多いからですね。そして特にECCSの問題は、もし事故が起きますと大変なことになってくる。これはほかのバイパス配管の問題ともちょっと違うわけでございますから、そういう意味で、この炉の安全運転ということについては非常にむずかしい現状にあるということについて、これは業界としてはそのことはお認めになっておられますかどうか、もう一度ひとつ……。
  146. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 現実に起こっております以上、さようなお話が出るのは当然かと思いますが、しかし、これは一時の過渡的の現象ぐらいというふうに思いまして、私どもは、二度と起こさないような工夫をいたしたい、かように思います。
  147. 石野久男

    ○石野委員 私は過渡的な現象であれば非常にいいと思いますけれども、しかしアメリカの実情から言いましても、これは稼働の実態を見ますと、必ずしもそうじゃございません。アメリカは日本よりも経験年数が非常に古いのでございますが、これは先般も私は資料を配りましたように、百メガワット以上の運転中の炉を、AECの資料でまとめておりましても、一九七三年度において、大体傾向的に見ますと、ピーク時で七七%の稼働の率を示しているのが三年から四年の段階です。そして五年に入りますと、ぐっと下がってきてほとんど三〇%内になっているのが、いわゆる先輩であるアメリカの炉の実情でございます。わが国においても、経験は少ないけれども、やはりこの傾向を示していると思うのです。そういうような炉を、六十年度六千万キロワットやるのだということで猛烈な開発をしていくということは、私は大変に問題が多いと思います。  そこで、実は、こういうようなことを強引にやりますと、事故を誘発して思わざる危険が出てくるだろうということを憂えます。それは、石油タンク問題で水島の問題だとか、あるいは先般の四日市の問題、こういうようなものは全部安全だということで確信を持って経営してきたものなのです。タンクにしましても何にしても、どんなことがあってもあんなようになると思っていなかったものがああなっちゃったというこの実情から見て、原子力発電の今後の運営について、いろいろ考えなければならぬものはたくさんございます。  そこで、まず原子力発電の長期計画の見直しというものがもう絶対に必要なのだ、こういうふうに思うことが一つ。その点について政府はどういうふうに考えているかということ。  それから、昨日も私は聞きましたが、これは特に副総理の福田さんにお聞きしたいのですけれども、原子力で不測の事故が起きるということで、そして放射性物質が周辺地に散るというような事態、いまはないと言っているのですよ。いまはないと言っているけれども、不測の事態が起きればそういう可能性は出てくる。そのことに対しての体制づくりというものは非常に問題があると思います。その体制について、政府に対策があるかどうかということをひとつ聞いておきたいのです。  それからいま一つは、環境庁は、そういう問題に対処してどのように対策をするか、環境汚染等を排除するためにどういうふうに考えておるか、これをひとつお聞かせを願いたいというように思います。
  148. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和六十年を目標といたしまして六千万キロの原子力発電ということを考えておるわけでございますが、御案内のように問題点が非常に多いものですから、これはあらゆる角度からもう一回再検討する必要がある、こういうふうに私は考えております。必ずしも六千万キロを強行ずる、そういう考え方はございません。よく検討しなければならぬ、こういうように思っております。
  149. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま通産大臣が申し上げたような次第ですが、六十年度六千万キロワットの目標、これを実現しさらに強化しなければならぬという事情もあるのです。つまり石油新時代に入ってきておる。そういうようなことで、わが国のエネルギー事情としますとどうしても多様化を考えなければならぬ。その多様化を考える場合には、何と言っても原子力発電が重要視されるわけであります。その反面におきまして、六千万キロワットの目標の達成を阻害する要因も出てきておる。これは安全の問題と環境の問題です。そういうような次第でございますので、いずれにしても五十一年度から新長期計画を経済社会全般にわたってつくる、その際にはこの目標値につきまして再検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。プラス・マイナスの要因がありますが、どうもマイナス要因の方が大勢観察としましては強く出てくるのじゃないか、六千万キロワットをある程度縮めなければならぬ傾向になるのじゃないか、そんなふうにも考えておるのですが、いずれにいたしましても慎重に精査して決定いたします。
  150. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 放射能による環境汚染問題、これは公害の中で最も大きな、また非常に影響の大きい問題だと思って重大な関心は持っておりますが、現在のところは、御承知のように、原子炉やあるいは防護施設、その構造なり設計なり運転なり等の工学的安全問題と密接不可分なものでございますから、これは科学技術庁で所管をしておるわけでございます。また原子核燃料物質の問題を考えましても、この精製とか加工とか、あるいは廃棄とか処理ということを考えますと、やはりこれは科学技術庁で、その面ずばりの安全対策なり、汚染問題を起こさないような対策をやってもらう以外にはありません。ただ私の方としては、建設の際の環境影響につきまして事前に十分チェックすることと、それから温排水問題につきましての特に海洋汚染の問題等について重大な関心を持って、それぞれ、私どもの中公審からいただきましたいろいろな検討の結果をもとにして、これがチェック機能を果たしている、こういう現状でございます。基本的にはやはり科学技術庁でやっていただかなければいかぬだろう、かように考えます。
  151. 石野久男

    ○石野委員 もし原子力の問題で予測しない事故が起こるということになると、これは大変なことになることは間違いございません。いたずらに構造が堅固に行われているからとか、安全性確保のための努力をしているからということだけでこれを見逃すわけにはいきませんので、この点は監督官庁としましては、業者の方々が安全だということに対しては、常にチェックをしてもらいたいというふうに思います。  そこで私は自治省にひとつお聞きしたいのです。いまさらそういうことはないであろうと思っておるようなことが起きた場合には、石油や何かの問題とは違いますので、どうしてもこの問題についての対策を考えなければいけません。ところが環境庁でも、いまなかなか汚染をどう排除するかということに手はないということで、科学技術庁だけに万全を期してもらいたいというお話です。ところが問題は、環境庁の扱うのは自然の問題なんかが多いのでありますけれども、そこに住んでいる人間様の問題があるわけですね。住民の問題があるわけです。この住民に汚染をさせてはならないわけですね。予測されない事故から住民をどういうようにして避けさせるかということについては、そういう施設がある地域における住民に、ふだんから一定の訓練、演習というようなものをしておかないといけないのではないか。現場に働いておる従事者は、放射能汚染にはどういう危険があるかわかるけれども、住民はわかりません。色もない、においもない放射能が降り注いできても、どこに逃げていいのやら、どうしていいのやらちっともわからぬ。こういう問題については、当然のこととして自治省は、それらの人々に対する避難対策、訓練というようなものをやらなければならないのじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  152. 福田一

    福田(一)国務大臣 お説の問題につきましては、事故によって放射能が地域的に拡散する等、いまあなたのおっしゃったような万一の場合を想定して、地方公共団体及び事業所におきましては、常時放射能の測定を行っておるわけでございまして、異常事態が発生したときには、住民が安全に避難し、または緊急に立ち入り制限が行われるような情報の伝達体制というものもとっておるところでございます。しかし、これらの問題は、御指摘のように重要でございますからして、今後とも一層そういう面において努力をいたしたい、かように考えております。
  153. 石野久男

    ○石野委員 たとえば東海村に行きますと、炉から国道に渡るところの避難道路が二本も三本もできておるわけです。現につくっておるわけです。しかし、これらのものをどのように住民が利用するか、全然わかりません。これは訓練をしなければわからないと思うのです。やっぱりそれは一度やる必要があるのじゃないですか。道路だけりっぱなものができておったって、それを訓練しなかったら何にもならない。そういうことは当然自治省としては指導すべきじゃないのですか。
  154. 福田一

    福田(一)国務大臣 いまそういう道路をつくっておるが、それをどう使うかということのお話だと思うのですが、私は、放射能漏れが出たという情報があれば、すぐ、警察とかあるいは自治体とかいうものは、対応できるような姿勢はとっております。しかし、また考え方によっては、そういうことはいまのところ想定されないのに、そういうことを余り言って不安を醸すというようなことはまた考えておかなければなりませんから、そういう面も考慮しながら、十分あなたの御趣旨を生かすように努力いたしたいと思います。
  155. 石野久男

    ○石野委員 不安を醸し出すといけないということの意味は、住民の立場に立ってはおかしなことなんですよ。不安を醸し出してはいけないということの意味は、それは事業をやっている人の立場のことなんであって、住民側からすれば、不安はないというふうにしなければいけないのだから。では、道路は何のためにつくっているのです。血税をなにしてりっぱな道路が何本もできているのですよ。ふだんだれも通ることのないようなところにできていますよ。ところが周囲の住民は、その道路をどういうふうにして使うかわからない。ただ現場におる労働者だけが、あるいはそこの事業所の者だけが逃げればいいという意味であれはつくっているのですか。そうじゃないのだと思います。だから、地域住民に対して、それをふだんに使うということを教えることは、決して不安を増大することでもない。むしろそのことの方が理解を深めるのですから、これはやるべきじゃないですか。
  156. 福田一

    福田(一)国務大臣 その道路の問題につきましては、実は私どういう道路がいまつくってあるかということについて認識が欠けておりますから、確たるお答えはできませんけれども、しかし、もしそういう目的でつくったということでございますれば、やはりいま御指摘のようなことも考慮しなければならないと私は考えます。
  157. 石野久男

    ○石野委員 これはぜひひとつ、道路は大臣は見ていないのですけれども、すばらしいアスファルトの道路ができておりまして、これはもうソ連の道路よりもりっぱなものがたくさんできておるのです。だからこれは当然利用する訓練をしなければいけないと思います。それでなければ、災害に対する構えばできないと思いますので、そのことは、ぜひひとつ福田副総理にも、全体としての防災対策の中の一環として考えるように、特にこれはお願いしたいと思います。大臣の意向を聞いておきたいと思います。
  158. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 御意見を拝聴したわけですが、政府部内でもよく相談いたしまして善処いたします。
  159. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 これにて石野君の質疑は終了いたしました。  加藤参考人田中参考人には、午後再び御出席をお願いいたします。  午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時十五分開議
  160. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  161. 土井たか子

    ○土井委員 まず質問に先立ちまして、本日お忙しい中を御出席いただきました三参考人の皆様に御礼を申し上げてから質問に入りたいと思います。  私の質問を申し上げたいことは、自動車排ガスの五十一年度規制に関する問題でございまして、この五十一年度規制については、御承知のとおり、去る十二月二十七日に中央公害対策審議会の方から答申が出ております。ところが、それに先立ちまして十二月の十日の日に、これもまた御承知のとおり、自動車排ガスの五十一年度規制問題で、下部機関である自動車公害専門委員会の報告書をもとに大気部会が開かれまして、そうしてそこで出された報告書どおりの答申が当初は出されるやに世上は伝えられていたわけであります。ところが、この十二月十日になりまして、この答申は見送られ、そうしてその席上、会長でいらっしゃる和達さんが、問題の重大性と規制強化を求める強い世論を考慮して、十日の日に予定をしていた答申を見合わせて、答申案を年内に中公審に諮ることにしたという御発言があったわけであります。この措置には、その十日の日の閣議で三木総理が、慎重に審議してほしいというふうな御要望もあったことが影響しているのではないかとも伝えられているわけでありまして、この十日から十二月の二十七日に至るまでの審議過程ももちろん問題でございますが、要は、十二月二十七日も含めまして、この総会あるいは総合部会の席でどういうふうな討議がなされたかということが実は大変注目を集めているわけであります。  まず、きょうここに御出席助川参考人に私がお尋ねをいたしたいのは、大体、自動車公害専門委員会におきましては、技術的な側面から自動車の排ガス規制に対しての審議を行うことが中心課題であるかのごとくに、環境庁はいままで、公害対策並びに環境保全特別委員会の席上繰り返し繰り返し答弁されたわけでありますが、少なくとも中公審それ自身は、環境保全ということを前提にした審議の場でなければならないわけでありますから、この総合部会あるいは総会の席において、どれだけこういう問題が取り上げられ、一体何時間ぐらいこういうことに対しての真剣な討論がなされたのであるか。これは、環境庁からの何日の何時に出席するようにというふうな通知があったかというふうな具体的な問題も含めて、お聞かせをいただきたいと思います。
  162. 助川信彦

    助川参考人 ただいまのお尋ねに手短にお答えをいたします。  仰せのとおりでございまして、まず総会がございました。この総会の席上におきましては、これは私ども自治体におります者は、住民保護の観点から、特に環境庁の事務当局の方々には、NO2、一酸化窒素の環境基準の達成と今回の規制値の——われわれ後退と考えておるわけでごさいますが、これの関係をどのように考えておられるか、住民の健康と環境の保全というようなことがこのようなことで確保できるものであろうかというふうな点についてのお尋ねを総会の席上で冒頭に申し上げたわけでございます。     〔湊委員長代理退席、委員長着席〕  総会の方は午前十時から開催されました。午後一時までが目標であったようでございますが、終了の時刻等は明らかでございませんで、その後、環境庁から入手をいたしました中央公害対策審議会第二十一回総会の議事概要というのがございますけれども、とにかくこれは、十二月十二日の午前十時に総会を開くから来るように、議題は自動車の排出ガスの問題であるということでございまして、第四合同庁舎の十二階の第一特別会議室で、和達会長以下九十人の委員さんのうち五十七人がお集まりになりまして、船後事務次官を初め関係の方がおいでになられまして、五十一年の排出ガスの規制値その他の内容につきましては、この環境基準の達成ということと、それからこの規制値の決定ということについて確たる御返事をいただくことはできませんでしたが、これがやはり中心議題になったわけでございます。  また、低公害車の規制値を定めるに当たりましては、専門委員会でお決めになりました〇・六グラムなり〇・八五グラムなりというもののほかに、現在〇・四グラムが達成できている車が売られているのであるから、せめてこの七大都市の調査団が指摘しているような〇・二五グラムに近い数値に決めるべきではないかというふうな意見がありました。  それから、当初の設定目標値を二年延ばすということにつきましては、二年後には必ず〇・二五グラムになるのかという議論がございまして、この点についてはやや前向きの御答弁をいただいておりますけれども、確たるお約束をちょうだいできなかった。  それから、自動車の問題、あるいは住宅地における自動車の排気ガスの影響というようなことについて、大学の公衆衛生の先生から、重視すべきであるというふうなお話がございましたが、公害を専門にして労働衛生等について長く研究しております先生から、実は資料が不足で何とも大気部会等の審議の席でも物が言えないのですよ、というようなお話がございました。しかし、自動車に悩まされている被害住民というのは、環状七号線を初め東名高速道路周辺等に、関東地方だけを見ましても相当多数おられるわけで、いろいろ住民運動をしておるというような実情もございますし、確たる資料がないとすれば、被害を受けている方の生の声を一遍皆さんで聞いてからこういう答申を決めたらどうかというふうな意見もございましたし、また私どもは、七大都市の調査団で専門的な研究もして報告書も出しておる、したがってこの総会においても、七大都市調査団と中公審との間でオープンでやりとりを、せめてそうした住民の方、関係自治体の方々とのお話し合いの機会を持ってから、この答申を仮にやむを得ないとするといたしましても、開いていただきたいというふうな要望を私からもいたし、一部の委員からもございました。  それから中央公害対策審議会そのもののあり方でございますが、この二十一回が開かれますまでの間に、三年ぐらい開かれていなかったということでございまして、私はこのメンバーに加わりましたのは比較的新米でございまして、昨年の秋ごろでございます。したがって、最近新聞等で拝見しております中公審の議事規則なり、そうしたものについてまだ資料も入手しておりませんことは、私の怠慢だというふうに思うのでございますが、そうした議事規則なりあるいは総会の決定というものを省略して、部会の決定を総会の決定にかえてきたという、幾つかの部会の決定をそのまま和達会長が受け取って総理大臣なり長官に答申をしていたというふうな経過に問題もあるようでございますし、あるいは一応任期というものがあるはずなのでございますけれども、三年間開かれていなかったというようなことで、任期切れのままで会が続いているようなことがあるのじゃないかというような疑いも提示されました。やはり、総会を中心に一定の議題を定め、部会が引き受け、そうして総会で決めて、そして答申をするという本来の姿に戻るべきでありましょうし、審議会の席上におきましてもいろいろなお話がございました。
  163. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと助川参考人に申し上げますが、なるべくひとつ簡潔でないと、時間の制限がありますので……。
  164. 助川信彦

    助川参考人 わかりました。  以上、大体総会におきましては四時間くらい。それから総合部会を私、傍聴いたしました。そのとき六時間程度の審議が行われました。
  165. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまのお話を伺っておりますと、四時間、六時間とおっしゃるそれぞれの審議時間の中で、一体どの程度住民の健康を守るという討議がなされたのか、環境保全ということに対して熱心な討議がなされたのか、はなはだその点に対しては心もとない中身だということがうかがえるのであります。  そこで、きょう御出席柴田参考人にひとつ引き続いてお伺いをしたいわけでありますが、柴田参考人東京都の公害研究所の所長さんでおありになる。したがいまして、自治体の中でも、わけてもこの大気汚染ということに悩まされ通しの東京都の実情などもひとつお述べをいただいて、いまの五十一年排ガス規制についての答申どおりにもし行われるとするならば、その影響が一体どういうかっこうになるか、もしこれがいささかでも緩められるなどということになればどういうふうなことが憂慮されるか、ひとつその点について率直な御意見を承りたいと思います。
  166. 柴田徳衛

    柴田参考人 私たち東京都で、窒素酸化物の二酸化窒素、この環境の状況を調べておりますが、四十八年度、都内で最高の例が、新宿の近くの衛生研究所、そこで最高値〇・四二PPM、これを知らしております。で、環境基準をもし単純に比較すれば、その二十倍、こういう高さでございますし、また昨年の十二月環状七号線、これは都民から現在非常にいろいろの被害が訴えられているのでございますが、そこで十二月の五日、六日、この調べにおきますと、最悪のときには〇・一五といった、これまた環境基準の七倍ないし八倍、こういうような非常に高い値というものが沿線の測定で出ております。そうしてこの環状七号線の主犯といいますものは、ほとんど自動車の排ガスによるもの、こういう次第でございます。  そして、もしこのまま規制が緩められて、ただいま出されております〇・六ないし〇・八五という形で五十五年に参りますと、都内で二万四千トンの窒素ガスを、交通削減等のことでそちらで補わない限り都民の健康は守れない。言いかえますと、自動車の走行量の五三%というものを削減しなければならない。こういうわけで、私たち都民の健康を守るという点で、現在の排ガス規制、たださえ厳格に行われてもまだ心配なのに、これが緩められるということになれば大変なことになるのではないかと心配している次第でございます。
  167. 土井たか子

    ○土井委員 そういうふうな意見を七大都市の立場から種々中公審に対して申し述べをされたように私たちは聞いているわけでありますが、十分にそれらの意見というものがいまこの答申の中に反映されたというふうにお考えでいらっしゃるかどうか、ひとつそこのところを簡単にお聞かせいただいて、具体的な問題に移っていきたいと思います。
  168. 柴田徳衛

    柴田参考人 私たちといたしまして、七大市で調査団を編成し、技術の問題をいろいろ検討して、相当の規制値、あるいはそれにごく近い値まで十分可能である、こういう結論に達したのでございますが、今回のことにかけましては、私たちのこうした健康、環境という問題がほとんど取り上げられていないのではないか、こう思う次第でございます。
  169. 土井たか子

    ○土井委員 一言で結構なんですが、御出席をなさっていたという立場で私はお伺いをしたいのでありますが、助川参考人、何かこの答申が十二月の二十七日に出されたいきさつからしますと、いまお二方からお伺いした限りでも、急いで答申が出たような感がしてならないのであります。年内にどうしても答申を出す必要があったのかどうか、これは私は大変な問題だと思うわけでありますが、そういうことに関して、何らか具体的に席上でそういう言葉が会長なりあるいは他の委員から出たということがありましたら、一言お聞かせいただきたいと思うのです。
  170. 助川信彦

    助川参考人 会長のお言葉であったと記憶するのでございますが、年内に答申をして早急に告示をせぬことには低公害車の生産に間に合わないから、できるだけきょう決めたいんだという御要望が繰り返しございました。  以上です。
  171. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、環境庁長官の方にお尋ねをいたしますが、中公審の審議に対して、そういう年内に答申を出すようにという御指示があったのでありますか。いかがですか。
  172. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 御承知と思いますが、先ほど来先生並びに参考人お話しのように、中公審の議事規則によりますと、部会の決定をもって答申をするというのが大体慣例になってきたわけでございます。私、着任した十日の日にその部会が開かれまして、最終的な答申案が決まったわけでございます。ところが、われわれとしては、三木総理の御意向がございまして、できるならば国民的問題だからなお慎重に討議をしてほしいというので、総会を開き、総合部会をさらに開いた、こういう経過になっておるわけでございます。  そこで私どもは、やはり答申をいただいて——初め私は素人ですから、答申をもらったらすぐ告示ができるのかなと思いましたら、そうじゃないのでございまして、やはり告示までに作業その他詰めなければいかぬ問題を全部考えますと、一ヵ月なり一ヵ月半どうしても最小限かかる、こう言うものですから、そうすると、答申がおくれますとおくれるだけ、やはり先生御心配のような事態も改善をされませんので、したがって私どもはなるべく早く御答申をいただきたい。また中公審の方でも、和達会長なり伊東部会長が、御承知のとおり、もう前から十六回も専門委員会を開きまして十分討議をした内容でございますし、年末、正月を控えてもいますので、これでできるだけ中公審としても答申をすべきであるという考え方に立っておられたわけでございまして、両々相まって十二月中に答申、こういうことになったと考えます。
  173. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまの御答弁をもちまして、十二月中の答申というのが至上命題であったということが一つ。慎重審議と言いながら、総合部会、総会において四時間、六時間の時間の設定だけがさも慎重審議であるかのように考えられ、しかもその中身を承りますと、十分に環境保全や健康上の問題に対しての討議がなされないままに現に出されている答申であるということをひとつ確認をして、先に進みたいと思います。  さて、豊田参考人にお伺いいたしますが、この排ガス五十一年規制について中公審の答申に出されております窒素酸化物、これは御承知のとおり、等価慣性重量で二段構えに考えられているようであります。一トン車というものを境にいたしまして、それより軽いものについては〇・六、重いものについては〇・八五という数値になっている。いま出ておる答申の数値はそうでございますね。  そこでお伺いしたいのは、いま豊田さんの方ではコロナにいろいろな車種があると存じますが、コロナの車種の中で一番軽いものと一番重いものとでは、どういうふうな等価慣性重量になっているかということを、ひとつお聞かせくださいませんか。
  174. 豊田英二

    豊田参考人 お答えを申し上げます。  いま正確なる数字を持参いたしておりませんが、コロナにおきましては、いまの一トンの境目の両側にあることになります。ですから、一トン以下のものから一トン以上のものまであるということになります。
  175. 土井たか子

    ○土井委員 それではお答えにならない。具体的に一番軽いものは幾らであって、一番重いものは幾らであるか、こういうことについてお答えをいただけませんか。社長さんだから御存じだと思うのであります。
  176. 豊田英二

    豊田参考人 追加して御回答申し上げます。  コロナにおきましては、等価慣性重量一トンのものと一トン二百五十のものとございます。
  177. 土井たか子

    ○土井委員 答弁が違っているのですよ。等価慣性重量について聞いているわけじゃございませんで、コロナにはいろいろな車種がございますでしょう。コロナの中で一番軽いのは幾らで一番重いのは幾らかということを、私は先ほど来お尋ねをいたしております。どうぞ正確にお答えくださいますように。
  178. 豊田英二

    豊田参考人 その数字はいま持ち合わせがございませんので、ちょっと申し上げかねます。
  179. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと、ついてきている人で、おわかりになりませんか。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 じゃ、よろしゅうございます。こういうことについても不確かなお答えしかできないということを、まず確認させていただきますよ、社長さん。いいかげんなものでございますね。  トヨタの方では、花形として売られているコロナハードトップ二千ccというのがございましょう。私が言うんじゃないのです。自動車ガイドブックで等価慣性重量は幾らかというのがちゃんと書いてあるのです。千七十五キログラム、これを確認させていただきます。いかがでございますか。
  181. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 わかりますか。わからない答弁じゃ困るんだが、ついてきた人があるじゃないですか。——わかりますか。
  182. 豊田英二

    豊田参考人 一言お答えしたいと思います。  いまガイドブックでごらんをいただきましたものは、車の重量ではないかと存じますけれども、等価慣性重量は、それに人員のウエートを加えたものになろうかと思いますが、そういった意味で御判断をいただければ結構かと存じます。
  183. 土井たか子

    ○土井委員 それは存じております。そこでお尋ねしたいことがございます。等価慣性重量千キロということになってまいりますと、これは御承知のとおりに、運輸省の自動車局長名で出ております「自動車排出ガス測定要領」というのがございます。この告示の中身でちゃんと出ているのは、九百三十八から千百二十五までを等価慣性重量千キロというふうに規定されているわけでありますから、いま言うコロナハードトップというのは、これから言えば一トン以下の車に入るわけです。一トン以下の車に入れて考えなければならない。千七十五というのは、九百三十八から千百二十五までの間でありますから、一トン車以下の車ということになりはしませんか。それはなりますね。  そうしますと、これはコロナハードトップについては〇・六という規制値をクリアしなければならないということになりますが、いかがでございますか。
  184. 豊田英二

    豊田参考人 お答えを申し上げます。  ただいま先生のお話のありました一トン七十五というのは一トンの方へ入ると思いますので、一トン以上になるかと思います。
  185. 土井たか子

    ○土井委員 それはそうじゃございません。ひとつこれは運輸省さんの方いらしていると思いますが、等価慣性重量について「自動車排出ガス測定要領」というのがございますね。この中で、等価慣性重量千というのは九百三十八から千百二十五を指して言うということになっている。私ここにこれをちゃんと持ってきているのです。いかがですか。お答えくださいませんか、運輸省さんの方から。
  186. 田付健次

    ○田付政府委員 等価慣性重量の区分のその部分につきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。
  187. 土井たか子

    ○土井委員 さて、豊田社長、いかがですか。そうなると、これは〇・六の中の規制値をクリアしなければならない車種に入るじゃありませんか。これは一トン車以上だとおっしゃるのなら、もう続々ほかの車だって、〇・六をクリアしなければならないのが、いま答申の出ている〇・八五をクリアすればいいのであるという感覚でおつくりになるのですか。たいへんだと思うのです。いかがです。もうありありと企業姿勢がどういうものであるかということが、語るに落ちたりという感じがいたしますよ。しっかりしてください。
  188. 豊田英二

    豊田参考人 先ほどのお答えは、私が間違いました。一トン以下の車でございます。はなはだ申しわけありませんでした。
  189. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どっちが社長だか……(笑声)
  190. 土井たか子

    ○土井委員 さて、いま訂正されました。再度の訂正はひとつ御遠慮願いたい御質問をいまからさせていただきます。  いま、これは一トン車以上であるというふうにお答えになったのは、おそらくは、いろいろな部品が自動車にはございましょう。モデルチェンジをすれば、いま一トン車以下の車でも、部品の重さによって重くなって、一トン以上になるという可能性はございますね。——ございますね。  そこで、だめ押しを私は社長さんにさせていただきたいのです。コロナハ一ドトップ二千ccは、言うまでもなく、等価慣性重量からすれば一トン以下の車である車種について、決して自動車の部品を重くして一トン以上の等価慣性重量にはしない。五十一年規制について、〇・六という規制値をクリアしなければならない車種を、部品を重くしてつくり変える、〇・八五の数値をクリアすればよいようなふうに緩めるために車をつくり変えはしない、このことをひとつはっきり御確認を願いたいと思います。いかがでございますか。
  191. 豊田英二

    豊田参考人 ただいま先生からお話がありましたように、規制を緩めるために、そういったことをすることはございません。しかしながら、排気を正常化する装置を取りつけざるを得ませんので、できるだけ自動車の目方は軽い方がいいわけでありますので、私どもとしては、できるだけ軽いものをつくることに努力はいたします。
  192. 土井たか子

    ○土井委員 努力なさるというお約束はいただいたのですが、具体的に、いまある等価慣性重量幾らの車が、大体、五十一年規制を実施されるときになって等価慣性重量幾らになるかという具体的なデータを、ひとつそのときには再度いただきたいと私は思うわけでありますが、私自身が非常に気にかかるのは、昨年の九月段階に——私はここに資料を持ってまいったのですが、これは正式に公害対策並びに環境保全特別委員会の席でいただいた、通産省から中央公害対策審議会大気部会自動車公害専門委員会に出されている資料なんです。通産省からですよ。ところが、通産省がおっしゃっているには、五十一年度規制を強行すると、車の設計変更、部品の増加などによる重量増加が二%から三%もあるであろうということであります。それは通産省のお考えだというふうに、恐らく豊田社長はおっしゃるかもしれません。しかし私は、もう一つ申し上げたいことがある。  昨年の九月十一日に公害対策並びに環境保全特別委員会参考人として御出席をいただいた。覚えていてくださると思います。あの席で私どもは資料をちょうだいいたしました。トヨタ自動車工業株式会社提出資料であります。昭和四十九年九月。この資料の末尾の方に、見てまいりますと、これはちゃんとただし書きがございまして、「五十年規制による排出ガス低減効果の試算」というのが出ておりまして、「トヨタで試算した五十年規制による排出ガス低減効果を全国東京都及び東京湾岸について次頁以下のグラフに示します。ご参考迄にご覧下さい。」こう書いてあるのですね。覚えていらっしゃると思います。それをずっと見てまいりますと、「全国の状況」というところ——これは委員長、問題になっているのは窒素酸化物ですから、NOx排出量なんですね。そこのところを見ますと、同じく中央公害対策審議会大気部会自動車公害専門委員会に出された、先ほど申し上げた通産省の資料に添付をされておりますグラフと全く一致するのですよ。みじんも違いがないのです。全国東京都、東京湾岸、私はいまここにそれぞれ持ってまいっておりますから、ひとつ照合を環境庁長官にお願いしたいと思います。通産大臣にもお願いしたいと思うのです、通産省がお出しになっていらっしゃるのですから。委員長、ようございますか。
  193. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 いいですか。(「委員長甘い」と呼ぶ者あり)甘くないよ。ちょっと待て。(発言する者あり)それじゃ共産党がいいそうですから……。(笑声)
  194. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま環境庁長官に照合をお願いいたしましたので、その結果を環境庁長官からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  195. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 全く同種類のもののようでございます。
  196. 森口八郎

    ○森口政府委員 私の方で、機械産業の将来を予測いたしますために産業構造審議会に機械部会を設けておりまして、その中に自動車分科会がございます。自動車分科会ではいろいろなことを勉強していただいたわけでありますが、いま先生がお示しになりました表は、産業構造審議会の機械部会の席上において検討をいたした表であります。したがいまして、私の方はその資料を委員会の席上配付いたしましたし、業界側の委員が当然産構審の機械部会に入っておりますので、そういうような意味でまたそれを引用したのであろうというように思います。
  197. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど申し上げましたとおりで、トヨタさんの方の資料にはちゃんとここにただし書きが書いてあるのですよ。「トヨタで試算した五十年規制による排出ガス低減効果を」云々と書いてあって、これはトヨタさんの方で試算をなすったグラフだというふうに明記してあるのです。片や通産省の方は、いま申されましたとおりの言いわけをなすっているわけでありますけれども、これは寸分違わないのですよ。しかもこの資料についてはその出所不明であります。ただ、通産省さんの資料として中央公害対策審議会の方にお出しなっているわけでありまして、これは全くそうう点から言うと、いまのは言いわけにしかすぎぬですよ。一体、このトヨタが出されている資料通産省が出している資料と全くぴったりと一致るというこの事実は、どういうことでありますか。これを大気部会の席でもって、しかもこの自動公害専門委員会の資料として出していらっしるというわけでありますから、私は、カーと言えばツーどころじゃない、通産省というのはトヨタの永田町事務所と言わなければならないようなかっこうだと思うわけであります。こういう中で、その通産省がおっしゃるのに大体、五十一年規制を強行すると、車の設計変更や部品の増加などによって、重量が二%から三%増加するというふうな発言があるわけでありますから、したがって私は社長に申し上げたい。先ほど言ったとおり、いま等価慣性重量一トン以下の車について、これをいろいろな部品を重くすることによって一トン以上にし、〇・八五さえクリアすればいいのだという方向には持っていかなということを、ひとつ具体的な資料によってお示しをいただかなければ、どうも、いまのような通産省さんからの資料であるとか、あるいは通産省さんといろいろ御相談の末、これくらいでよかうとおっしゃるような資料だとかは、私はいただきたくないのです。ひとつ当委員会の名におきまして、先ほど言われるとおり、努力しますということでありますから、ひとつ——窒素酸化物〇・六、これが答申の上では出ている。告示でどうなるかわかりません。これは後で、いまから問題にいたしますが、答申の上で出ている二段構えの車種について、車種枠というものを甘い方向へ持っていくというような、こういう企業倫理からしたら、私たちの立場からは許されてはならないようなことを絶対なさらないように、ひとつそこのところは客観的に確認できるという資料をお出しいただきたいと思うのです。それはどういうことかというと、いまある車種についての等価慣性重量と、それからさらに五十一年規制というものが実施される段階での等価慣性重量、同じ車種についてずっと書いていただく、これをお願いしたいと思います。
  198. 豊田英二

    豊田参考人 いまある車についての等価慣性重量はお出しすることができると思います。しかしながら、五十一年規制に対応します車の等価慣性重量は、まだ五十一年規制にどういう方法で対応するかということは研究開発中でございますので、いますぐお出しすることはできない状況であることをお許しいただきたいと思います。
  199. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお待ちください。いままでのは出せるが今後のは出せない、こういうことですか。
  200. 豊田英二

    豊田参考人 はい、そうであります。今後の車につきましては、いま極力研究開発を進めておる段階でございますので、まだこのものがそれであるというものが決定いたしておりません。ですから、お出しすることはできないような段階にあるということでございます。
  201. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 そうすると、いままでのものは出せる、こういうことですか。
  202. 豊田英二

    豊田参考人 はい、そうであります。
  203. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 わかりました。  森口機械情報産業局長、答弁を……。全く同じものだというのです。どういうことに基づいてそういうことになったか、ちょっと……。
  204. 森口八郎

    ○森口政府委員 先ほども申し上げましたとおり、これは産構審の機械部会で当方が計算をした数字であります。トヨタ自動車が、どういうような理由で、自分のほうで計算をしたというように言っておられるのか、私どもとしては存じません。しかし、私どもとしては機械部会において検討した数字であります。
  205. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと待ってください。  そうすると、土井君にお尋ねしますが、豊田参考人の、いままでの資料なら出せますということですが、それでいいですか。
  206. 土井たか子

    ○土井委員 ええ、現在ある在来車について、それをいただきましょう。
  207. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 そこで豊田参考人に申し上げますが、いつ出せますか。
  208. 豊田英二

    豊田参考人 在来車のデータでしたら、来週中には出せます。
  209. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 来週と言うが、幾日までに出せるかということをはっきりと……。
  210. 豊田英二

    豊田参考人 今週中に出したいと思います。
  211. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 そうすると……(「あしたでもいい」と呼ぶ者あり)あしたというわけにはいきませんよ。今週中に出すということでよろしゅうございますか。
  212. 土井たか子

    ○土井委員 はい。
  213. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 では、さよう、なるべく速やかに出すことでお願いいたします。
  214. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど資料の上についての御説明ないし御弁解があったようでありますが、これは一目見て、私は、これだけ別個計算をした結果が一致するなんというのは、どこからどうして考えても、理解に苦しむのです。別途研究を進め試算をした結果がこういうかっこうになるはずはないのです。片方のつくられたものを片方がそのままを持って出なければ、こういうかっこうにはならない。こんなみごとに一致したことなんというのは、そうざらにないですよ。どれだけ産構審がお考えになったか、その辺はよくわかりませんが、何に基づき、どういう作業の結果こうなったかということをひとつ、時間の関係もありますから、深追いをするだけ私は時間のむだだと思います、言いわけしか聞こえてまいりませんから、したがいまして、通産大臣、こういうことに対してどうお考えかを、ひとつお答えいただきたいと思います。
  215. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 通産大臣よりも、さっき言った森口機械情報産業局長、言いわけでなくて、はっきり答弁してください。
  216. 森口八郎

    ○森口政府委員 自動車産業分科会で、どういうような手順でそういうような予測をしたかということについて、若干御説明申し上げます。  まず第一に、自動車の保有台数を年度別に予測をいたしております。次に地域別の保有台数を年度別に予測をいたしております。それから計算の手順といたしましては、車種別の残存率及び登録台数より各年の年次別保有台数を算出いたしております。また、各年の年式別保有台数に車齢別平均走行距離を乗じ、車種別、年式別走行距離を算出いたしております。各年の保有車の総走行距離数に登録時の車両別NOx排出係数を乗じ、各年のNOx排出重量を算出いたしております。次に、東京都及び東京湾岸の車種別保有台数を実績及び予測に基づき推定し、全国に対する保有比率を求めております。最後に、全国ベースの車種別NOx排出重量に東京都及び東京湾岸の保有比率を乗じ、それぞれのNOx排出重量を求めて計算をいたしたものであります。これは産構審の資料であります。
  217. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それが全く同じ結果になったということですか。
  218. 森口八郎

    ○森口政府委員 さようでございます。
  219. 土井たか子

    ○土井委員 それだけ御説明ができるのなら、どうしてそういうことをこのグラフに明確にお示しにならないかが不思議でならないのです、まず第一に。それで、グラフの表示方法は一定じゃない、幾らでも表示の仕方というものは工夫して変えることができると私は思うのですが、何のことはない、これは書き方から何から全部同じなんですよ。これはみごとに一緒です。数字のあらわし方から、パーセンテージのあらわし方から、年度のあらわし方から、点の打ち方一つに至るまで全く同じなんです。幾らそういう御説明を賜っても、この資料自身にそういう裏づけが何もないということを、ひとつここで明言させていただきますよ。そして、こういう資料を中公審あてにお出しになった通産省さんの責任というものはやはりあると思うのです。これは資料ですから。資料としてお出しになっているのだもの。通産省さんとして責任をもってお出しになっているのだもの。そのことを忘れていただいたら困ります。私はこれはゆゆしい問題だと思います。企業そのものの資料を持って出て、通産省の資料でございますとおっしゃる、これ自身が私は問題だといま言っているのですよ。これに基づいて、中公審の自動車公害専門委員会は、技術的な側面からの審議をお続けになったのであります。問題はそういうことですよ、長官。こういうことが一つ一つの資料の裏づけにあるということを、ひとつじっくりお考えいただきたいと思います。  そこで先に進みますが、長官、告示として出されるのは許容限度ですね。許容限度というのはいわば最高値、いわゆる上限値というふうに申し上げていいと思います。いま審議会が出していらっしゃる答申の中身は平均値でしょう。この平均値を決めるだけが審議会の答申の中身だったわけですね。この平均値を決めた後、今度は告示を出すまでの作業として最高値を決めていかなければならない。最高値は一体だれがどういう手順でお決めになるのでありますか。
  220. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私どもの大気保全局で、運輸省の安全あるいは検査基準等もございますから、そういう専門当局と十分相談の上で、一定の数値を出しまして決めていくわけでございます。これは当然生産のばらつきを考えなければいけませんから、そういう点が出てくるわけでございます。  なお詳しいことがあれでしたら、専門の自動車公害課長もおりますので、お答えをさせていただきます。
  221. 土井たか子

    ○土井委員 専門的なきめ細かい技術論というのは私はいただきたくありません。  それで、いまお答えになったとおりで、あと担当省ということになると運輸省さんだと思うのですが、それからまた通産省さんにも関係があるのですよ。これは、決められた後についての管理面をなさるのはやはり通産省さんでありますから、したがって、そういう点からいたしますと、各関係省庁とのいろいろな連絡協議というものがこの中ではあると思うのです。そこで、五十年規制についても一・二というのが、窒素酸化物について申しますが、実は最高値が丁六ということになっておる。この一・六ということが決められるまでの間にいろいろ討議が行われたに違いないと私は思うわけでありますが、今度五十一年規制についても、これはやはり現にもう答申が出ているわけでありますから、その答申がいいか悪いかということは別として、手順の上から言うと、いま告示を出される前夜でありますので、いろいろな討議が積み重ねられていると思うのですよ。その中で、先ほど申し上げたような審議会の席でのこういう問題もこれあり、この通産省さんの資料提出について、中公審の担当所管大臣とされて、どういういきさつがあったかということをひとつお調べいただきたいと思います。ようございますか。
  222. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先ほどの資料が、当方で計算をいたしております資料と合うのかどうか、これは十分検討してみなければならないと思います。したがって、そういうような御指摘の点については、十分自動車公害専門委員会でも御討議をされておられますので、いま私がさらにそれを詳細に調査、審査をするというような必要はないのじゃないかと思いますけれども、私、委員会が終わりましたら、早速事務当局にその点の調査をさせてみたいと思います。
  223. 土井たか子

    ○土井委員 それで、いまの問題、追い打ちをかけるようですが、通産省さんの方から御説明を賜ったその現物の資料、これをひとついただきたいと思います。
  224. 森口八郎

    ○森口政府委員 提出いたします。
  225. 土井たか子

    ○土井委員 先に進みます。  先ほどの上限値の問題ですが、通産省と運輸省といろいろ協議の結果、これが緩められるというふうなことがあっては、最初に柴田参考人からの御発言にもございましたとおり、都市公害に悩まされている住民にとっては、ゆゆしい問題になっていくわけであります。どれだけ緩められるか、上限が一体どういうことになるか。この上限値の問題というものに対して、どういうふうなものであらねばならないかということを、ひとつ柴田参考人、重ねてお聞かせいただけませんか。
  226. 柴田徳衛

    柴田参考人 規制値はすでに甘過ぎるものでございまして、五十年規制値一・二が一六となっておりますが、この新しく言われているいわゆる〇・六ないし〇・八五というものの最高値はできるだけ低くする必要があるし、またすでにそれは十分可能である、こう思う次第でございます。
  227. 土井たか子

    ○土井委員 というふうな意見なんです。  そこで、告示をなさる当の環境庁長官、こういう意見があるということを、ここの席ではっきりひとつお聞きいただいて、告示をお出しになるときに、その告示の中に、こういう意見というものをしっかりとひとつ生かしていただくように、ここで特に申し上げたいと思います。ようございますか。
  228. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私の方は、一キロ当たり走った場合に平均値で一トン以下は〇・六を確保する、それから一トン以上については〇・八五を確保するというのを中公審からいただいて、もしそのまま決まるとすれば、これが私の方のいわば本当の意味での許容限度なんです。上の方が、たとえいまの五十年規制でも一・二が一・六というふうに決められておりましても、一・六の車は全部許すということでない。御承知のとおり、平均値で一・二を確保しなければいかぬわけでございますから、私はむしろ、いまの法律の許容限度というのは、一トン以下については〇・六が許容限度ではないか、あるいは一トン以上というものは〇・八五が許容限度ではなかろうか、これでいけるのじゃないかということを法律的にいろいろ検討さしたのですが、やはり許容限度だからそういうわけにいかないというので、われわれの方では、上限下限の問題よりは本当に平均〇・六は確保するということが大事なわけでございますので、この点は少し考え方を変えていただきたいと思うわけであります。
  229. 土井たか子

    ○土井委員 幾らその点は教唆扇動なさいましても、やはり平均値と上限値は違うのですよ。上限値が一・六となれば、それは一・六をクリアしていればいいのであって、何も一・二を真正直に守っていくという必要はないということに当然なってくる。したがって、そういう耳ざわりのよい御説明を賜っても、現実はそうはいかない。まことに産業界は厳しゅうございます。したがいまして、先ほど来豊田社長の御発言を承っておりましても、私たちからすれば相当厳しい規制を設けても、何とかそれがさらに緩められる方法がないものかという工夫はもう一つしのぎを削る問題になっておりまして、上限値というものがどういうふうに決められるかというのは、目下大変な問題だと思います。つまり告示の中に出てくる数値ですよ。だから、それはもう長官の御答弁に惑わされることなく、上限値の中身というのはどういうことになるかということについて、ひとつ率直に、先ほど御答弁になりました柴田参考人意見も中に吸収した告示にしていただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。  というのは、この上限値の問題と同時に、実施時期というのが一つはひっかかる問題になって参りましょう。ただ、実施時期の問題については、これは所管省は環境庁ではなくて運輸省さんということになります。しかしながら、大気保全のための大気汚染防止法という法律の十九条からいたしますと、この点についてははっきり書いてある。「運輸大臣は、道路運送車両法に基づく命令で、自動車排出ガスの排出に係る規制に関し必要な重項を定める場合には、前項の」、というのは環境庁が出される許容限度でありますが、「前項の許容限度が確保されるように考慮しなければならない」のでありますから、したがって、運輸省さんがこの道路運送車両の保安基準及び道路運送車両法施行規則の一部を改正する省令というのをお出しになる場合も、いまの大気汚染防止法十九条の趣旨に違反することは許されない。そういう点からいきますと、実施時期がおくれればおくれるだけ、この大気汚染を防止するという点から考えて基準値を問題にした意味がなくなるということにも通ずるわけです。そこで、この実施時期というのは、上限値をどう決めるかということと並行して大変大事な問題になってくる。  五十年排ガス規制については、五十年の四月一日から完全実施されると世上では人は考えております。ところが実際問題、実施時期が一体どうなるかというと、これは長官御承知のとおり、十一月三十日まで、在来車については従前どおりその生産が認められるというかっこうなのですね。そして、その間に生産をした車については、来年の五月まで販売できるということに一応なっているのです。一応というところをひとつお聞きとめいただきたいと思うのです。一応なっている。ところが、この販売が禁止される六月以降においても、メーカーの方が自分でそれを登録するという形で一たん買ったことにいたしますと、その車というのは法律上中古車扱いになって税制の対象にならない。しかも六月以降も幾らでも在庫車として売れるというふうな規制の盲点がある。これは御承知のとおりだと思うのです。これは業界では新古車というふうに呼んでいらっしゃるようであります。こういうことで、いつまでたっても在来車については、来年五月が済んでからでも売れるという体制が現にあるわけですね。そうしますと、実施時期というものを、一体五十一年規制についてもどういうふうにお考えになるかというのは、大変な大問題だと思うのです。  ちょっとお伺いをしたいのは、通産大臣あてに日本自動車工業会がお出しになっている「昭和五十一年度自動車排出ガス規制に関する要望書について」、この中で、いま申し上げている実施時期については、大体、五十一年規制については五十二年の十月にならなければおおよそのことができないというふうな要望になっている。いま五十年規制についても、十一月三十日、つまり十二月まででしょう、認められているのは。五十一年規制については五十二年の十月。何と一年ずっと先に及ぶわけです。十月までかからなければめどが立たない、したがってお願いしますという要望になっているのです。しかも最高値についても、〇・六については〇・九、〇、八五については一・二五という要望が出ているのですよ、こうしていただきたいという。これは大変ないわばなし崩しでありまして、こういう問題について、一体どういうふうに運輸省さんお考えになっているか、また環境庁長官お考えになっているか。これは告示を前にして、告示の中身になるわけですから大問題だと思うわけであります。そこのところをしっかりひとつお聞かせいただきたいと思います。
  230. 木村睦男

    ○木村国務大臣 そういう業界からの要望があるということは私も聞いております。しかし、それは業界の要望でございまして、運輸省側がそのとおりにいたしますということではございませんので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。運輸省側といたしましては、先ほど来環境庁長官が御説明申し上げておりますように、最高値をどうするかというようなことでいま検討いたしておりまして、しかも五十一年度規制でございますから、五十一年度中にできるように一生懸命になっていま検討いたしておるところでございます。
  231. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、日本自動車工業会の会長からただいまお示しの要望書、実は大変恐縮なんですが、きのうまでは全然私は見ていませんでした。きょう御質問があるというので聞いたら、そういうのは確かに出ておりますということで、環境庁に来ておったわけでありますが、私は、メーカー側の希望だとか、あるいは事情だとかということについては、あまり関心がありませんので、大体、人の健康を守るために排ガス規制をどういうふうにやるかということを中心に物事を考えておりますから、そのために、私は全くこれはきのうまで知らなかったわけでございまして、きょう初めて御指摘で見たわけでありますが、ただいま運輸大臣の言いますように、業界としてのいろいろな生産体制から見て、そういう御希望をお出しになったのだろう。お出しになった側としてはごもっともじゃないかと思いますが、われわれはそれにこだわらないで、本当に環境庁としては、運輸省の検査体制さえできればできるだけ早くやっていただきたい、こういうふうに考えております。
  232. 土井たか子

    ○土井委員 業界がどういうふうな御要望をお出しになろうと、そういうことは関係なし、環境庁としてしっかりひとつこの問題に対しては取り組みたいというふうな御発言でございますから、それはそのまま率直に私は承りたいと思います。正直に承りたいと思います。ただ国民の疑惑は晴れない。国民協会あての日本自動車工業会からの献金というのは猛烈なものであります。しかも割り当てというのは、四十九年に及んで前年比三倍にふえているのですから。こういう献金ということに無関係ではない長官といたしましては、自動車工業会から何を言ってこられようと無関係で私はやりたいとおっしゃっても、きれいごとにしか聞こえない。ひとつそのことは、疑惑を晴らした結果がこういう告示であるという告示をしっかり見せてください。そういうことでなければならないと思います。  ただ一つ、その告示をめぐって、実施時期という問題に先ほどちょっと触れましたけれども、実施時期が延びれば延びるほど、実はそれまで在来車に対しての生産が認められる。認められるとなると、いまいろいろな生産過程にある施設というものをフル回転をして一台でも多く生産することが、メーカーの方々にとっては経済的効率から考えて好ましい状況だというのは、これはだれしもが考えることであります。ここで引き起こってくるのは駆け込み生産。きょうはトヨタの社長さんがお見えでありますから、トヨタについてのデータを少し私は見てみました。きめ細かに見てみたのですよ。そうしたら、四十九年の九月から十二月段階までを計算をし直して、そうして年間にずっと推計をやってまいりますと、四十八年度と比べて、何と早くも一五%の増産ということにトヨタさんの場合はなっているわけであります。三菱さんであるとか、東洋工業さんであるとか等々は、これは減産なんですよ。数字の上でちゃんと出ているのです。この数字を合わせていきますと、トヨタさんの場合は一五%の増産になっている。こういう駆け込み生産という問題が、今後、五十年度規制についても、十一月三十日というその日まで認められるわけでありますから、一体これから先どういうことになっていって、中公審が出した答申に従っての環境庁の告示、大気汚染防止法十九条に伴うところの規制値が骨抜きにされていくかという問題がある。  したがって、私は豊田社長にひとつ資料として提出を要求したい問題がございます。問題は、五十年規制から始まるわけでありますから、在来車について月産どれだけの生産をずっと続けられろかということ。それから五十一年規制については、もうすでにこれは運輸省さんの方には資料としてお出しになっているようでありますが、運輸省さんの方は大変に義理をわきまえていらっしゃるようでありまして、私が要求をしてもなかなか資料は出していただけない。この資料は何かと言いますと「五十一年度規制に伴う低公害車の生産計画」というのであります一これは各メーカーから全部出ているようでありますが、きょうは特に工業会代表ということでもございますので、ひとつ各メーカー別に全部いただきたいのですが、豊田さんにおきましてはこの「五十一年度規制に伴う低公害車の生産計画」という資料を出していただきますように、このことをお願いしたいのです。
  233. 豊田英二

    豊田参考人 ただいま先生から御要望がございました五十一年規制対策済みの車につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在まだ研究開発中でございまして、これの生産計画は全然ございません。  次に五十年の規制の車について、私どもは鋭意努力をいたしまして、できるだけ早く切りかえてまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、現在、私どもたくさんの車種を持っておりますので、逐次切りかえていく計画を立てようということで検討を続けておるところでございます。  以上のような次第でございますので、御要望の趣旨につきましては、そのまま資料を御提出することはむずかしいかと存じます。
  234. 土井たか子

    ○土井委員 これはもうすでに運輸省さんの方には出ている資料であります。ただ、運輸省さんの方には出ているんだけれども、国政調査の名において国会へ御提出をいただきたいということを申し上げても、お出しにならない資料なんです。一体だれのための政治であるかということを私は言いたいような気がいたします。
  235. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお待ちください。本委員会は公害の問題でありまして、営利会社の生産計画まで、ここで出さないというものを出せと言う権限はございませんから、間違いのないようにお願いいたします。
  236. 土井たか子

    ○土井委員 委員長に申し上げたいと思います。これは五十一年度規制に伴う低公害車ということについての問題でございますから、公害対策ずばりなんであります。そういうことに対して、メーカー側、企業者側の方がどれだけの努力をなすっているかということを問題にするための資料であります。したがって、これは側面はどっちにあるかというと、いま申し上げたとおり、公害対策、環境保全の側面に重点があるのです。
  237. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 私の解釈と多少違いがありますが、しかし、豊田参考人が出すと言えば、それを阻害するものではございません。豊田参考人
  238. 豊田英二

    豊田参考人 先ほど御返答申し上げたとおりでありますが、運輸省へお出ししてあります資料でおよろしければ、もちろん御提出いたします。
  239. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、それを御提出いただきたいと思います。  それから、駆け込み生産のことについて申し上げましたが、こういう疑惑が世上あるということと、かてて加えてこういう問題に対して、そうでないということならば、これは何らかのチェックをする必要があるのではないか。企業者の方は努力をいたしておるとおっしゃるに違いない。しかし、現にこういうぐあいに、駆け込み生産ではございません、低公害車の開発に対して一生懸命になっておりますというところを具体的にお示しいただくためにも、ここに一つ参考に持ってまいりました。事はマスキー法から出発したわけでありますから。アメリカにザ・クリーン・エア・アクト、清浄空気条例というのがあります。これの中身を見ますと、「いかなる製造者も、諸規則にしたがって行動してきたかどうか、あるいは行動しつゝあるかどうかの判断を可能にすべく」——長官というのは環境保護庁の長官でありますが、「長官が当然に要求するような記録を作成、保管し、報告書を作成し、情報を提供しなければならない。」こうなっておるのですね。
  240. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それはアメリカのマスキーがやったので、日本ではそれは関係ありません。
  241. 土井たか子

    ○土井委員 そうじゃないのです、マスキー法から出発してですね。これはおかしいです。五十年、五十一年排ガス規制というのは——これは弱ったね、この委員長は……(発言する者あり)
  242. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 では、理事会から異議がありますから、参考人からひとつ答弁を願います。取り消します。豊田参考人、答弁ありますか。
  243. 土井たか子

    ○土井委員 豊田参考人じゃない、これは問題は所管庁の方ですよ。したがってこれは、環境庁と特に通産省の方で、こういうことに対して、厳重に駆け込み生産というものはやらせないということのためのチェックを具体的にどういうふうになさるか、御用意があるかということをひとつお聞かせいただきたい。あと一問で私、終わりますから。
  244. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私の方の環境庁の権限では、各月の生産、あるいは業界が生産計画を立てた場合に、それをチェックする法的権限はございません。ただおっしゃるように、たとえば五十年規制車につきますと十一月まで生産が可能だ、そうしてそれが五月まで販売が可能だということになりますと、せっかく五十年規制を十二月一日から生産される新車について適用するという効果がそれだけ減殺されるわけでございますので、駆け込み生産については、厳重に通産省にお願いをして、自粛をしていただくように私の方からも強力に要請をいたし、また社会的道義の問題でございますから、それをひとつ守っていただくようにメーカー側にもお願いをいたしたい、かように考えております。
  245. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  リードタイム期間中を利用いたしまして駆け込み増産をするということは、きわめて好ましくない事態でありますので、私どもも、そういうことのないよう業界を極力指導してまいりたいというふうに存じます。
  246. 土井たか子

    ○土井委員 それは幾ら聞きましても、具体的には出てこないと思うのですが、最後に私が申し上げたいのは、低公害車を各省庁が一体どのように御利用になっているかということをデータを調べてみましたら、これがまたまことにさびしい限りなんであります。衆議院でも百六十台中六台くらいしかない。参議院は百二十台中八台くらいしかない。環境庁でやっと十台中の八台ということなんですね。環境庁はいい顔をなさらないでひとつお聞きいただきたいと思うのですが、農林省は九十二台中にわずか二台です。何と総理府に至りましては七十台中に一台しかない。総理府は、大気保全とか、こういう公害対策についてのプロジェクトの中心でしょう。そういう点からしますと、地方自治体の方がむしろ熱心で、いろいろ低公害車の方に切りかえを一生懸命なすっているようでありますが、中央の官庁はいま申し上げたとおりでありまして、総理府なんというのは、これはひど過ぎると思うのですね。五十年規制のクリア車というものを、現にこの程度にしか問題になすっていらっしゃらない。これは、いわゆる低公害車の開発について、あるいは大気保全ということに対して、ひいては国民の健康保持ということに対して、政治姿勢はどういうものであるかということを物語っていらっしゃる資料だと思うのですよ。環境庁長官、こういうことに対して、どういうふうな御指導を各省庁に対していままでになすったか、またこれからなさろうとしているか。そして、ついでにと申せばなんでございますが、最大の問題である告示を一体いつごろお出しになる御用意でいらっしゃるかをお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。
  247. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 告示をいつ出すかということにつきましては、目下、先ほど言われましたような生産のばらつきを考えて許容限度をどうするか。あるいはリードタイムを、五十年と五十一年と追っかけて規制をかけていくものですから、それを検査の実情から見てどうとらなければいけないか、こういう点を慎重に検討いたしております。慎重に検討いたしておりますが、関連大臣が相談をしまして、できることはいつでもできるわけでございますので、いろいろ国会の審議の状況等も見まして決断をいたしたい。ただ、目下のところは、いつやるかは決まっておりませんので、いまいつやるかということをお答えできません。ただ要は、私どもとしては、できるだけ早く告示をいたしませんと、この告示に基づいて生産体制をつくる、本腰を入れてかかっていただくということがやはり遅くなりますので、なるべく早く告示をいたしたい、かように考えます。  それから各官庁の低公害車を利用している状況について、確かに現在のところは非常にお粗末でございます。ただ、官庁用車というのは一人で乗っておりませんで、その省が共通に全部車をプールして利用させたりしておりますので、そのために、車体が狭いとか、いろいろな不便さもございましたり、また燃料がかかり過ぎるというような、官庁のいわば経常費の問題等もあるようでございます。しかし、この四月からはそういう点もある程度——ボテーを新しくする低公害車も出るようでありますし、また切りかえの時期でないとなかなか——いまの予算の関係もございますので、そういう事情を踏まえながらも、私としては各官庁に呼びかけまして、できるだけ低公害車を使用していただくように十分な努力をいたしたい、閣議でもいつかお願いをいたしたい、かように考えております。
  248. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  249. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて土井君の質疑は終了いたしました。  次に兒玉末男君。
  250. 兒玉末男

    兒玉委員 質疑に当たりまして、私は環境庁長官に御意見を申し上げたいわけでありますが、この排気ガス規制の問題は全国民の重大な関心事であります。     〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕 にもかかわらず、先般来、今回の中公審の議事録の提出ができない。私は昨日、政府委員室並びに調査室を通じまして、この議事録の提出を求めたのでありますが、これは出すわけにはいかぬと拒否をされておるわけでございます。ところが、今回の中公審の総会に当たりましては、特に三木総理は閣議において、国民の重大な関心事であり、慎重な審議をしなさい。とりもなおさず総会にこれを求めたことは、明らかにその公開制ということを否定するものではなくして、むしろ公開するのが当然の義務ではないのかというふうに感じますが、長官の見解を承りたい。
  251. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 完全なる公開制をとることにつきましては、私は従来否定的な考えを持っておったわけでございます。これは中公審自体の御決定になる問題でございまして、和達会長もその点を心配されまして、ただいま総合部会を開いていろいろと御相談をいたしておられるところでございますので、中公審の自主的な判断を待ちまして、その問題に対する決定を下していきたいと考えております。  それから議事録の公開問題でございますが、過ぎました自動車関係の審議状況を、環境庁の事務当局がまとめて整理をいたしてございます。これを、先生方なり、あるいはその他必要なところに配付をすべきではないかという御意見が、衆参両院の公環特でも常にございます。両院の公環特の委員長とも十分相談をいたしまして、そこで何らかの方途を見出してみたい、かように考えております。
  252. 兒玉末男

    兒玉委員 このような重要な内容であればあるほど——しかも昭和四十七年に中公審の関係の中間答申が、現在委員長席におられます小山長官に出されてから、実に三年を経過しておるわけであります。しかも、今回の答申を見ますと、これがさらに二年間延期される。これは国民にとっては耐えがたい苦痛だと私は考えるわけであります。同時に、環境庁、通産省、運輸省あるいは自動車工業会関係の怠慢だ、こういうふうに指摘をせざるを得ませんが、通産大臣並びに環境庁長官はどうお考えですか。
  253. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生のせっかくの御意見でございますが、私ども政府なり業界が非常に怠慢だというのは、どうも手厳しい御批判ではないかと思うのでございます。御承知のように、四十八年規制をやって、五十一年規制はその四十八年規制の四分の一に低減をするわけでございます。世界でもこのような規制の強化をやっている国はないのでございます。もちろん人命に関することでございますから、私どもとしては、検査の能力だとか、業界の実情だとか、あるいは技術開発の状況等を一切考慮せずに、とにかく減らしてもらわなければいかぬ。実は四十七年にもうすでに〇・二五という理想の旗を掲げて努力をお願いいたしておるわけでございますが、何分にもわが国の技術開発の現状、これは国際的にもそうでございますが、そういう点から見て、やむを得ず五十三年まで延期し、その間の暫定値を〇・六と〇・八五に決めた。こういういきさつを考えますと、私は、先生の言うように怠慢であるというそしりには、どうも直ちに承服するわけにいかない、こういう状況でございます。
  254. 河本敏夫

    河本国務大臣 自動車の排ガス規制の問題は、日本の国内だけから見ますといろいろ問題はあると思うのです。ただしかし、世界的に見ますと非常に厳しい基準になっておりますしいたしますので、いずれにいたしましても、私はその基準に従いまして、一刻も早くその基準に合うように業界を指導してまいりたいと考えております。
  255. 兒玉末男

    兒玉委員 この際、せっかく豊田自動車工業会会長もおいででございますので、お聞きしたいと思いますが、昭和四十七年に中間答申が出されまして、特に自動車工業会としては五十一年規制について鋭意努力したと私は思うわけでございますが、一体どういうふうな御努力をされてきたのか。また五十三年まで延期ということでございますが、五十三年の目標では、具体的に一体どの程度まで実行できる見通しと確信をお持ちなのか、この点まずお伺いしたい。
  256. 豊田英二

    豊田参考人 五十一年規制の問題は、四十七年に目標値をお示しいただきまし三それ以来、私ども業界は全力を挙げてやってまいりました。現在このために、業界としては七千五十二人の研究人員を投入いたしまして、年間七百億円の資金をこれに使うことに本年としては相なっておるわけでありまして、逐年これは増加してそういった段階に到達をいたしております。これは努力を数字の一例で申し上げたにすぎませんで、実際にこれに取り組んでおる技術者は、昼夜兼行で働いておるという涙ぐましい実情であることを御推察いただきたいと思います。  それから、現段階におきましても、五十三年に示されております〇・二五という数値をクリアすることは見通しが立っておらないのが実情でございます。先般の国会におきます答弁において、いろいろお話が出ておりましたが、私どもにおきましても同じようなことでございまして、〇・二五という数字をクリアすることは現在の状況では見込みがないと、残念ながら申し上げざるを得ない実情でございます。
  257. 兒玉末男

    兒玉委員 環境長官、ただいま私は、非常に重大な発言をされたと思うわけです。たくさんな経費を使って努力をされた、こういうようにいま会長が言われましたが、四十五年から四十九年までめ、それぞれの各社の開発経費の中に占める排気ガスの対策研究費という資料が私の手元にあります。これによりますと、たとえば四十七年に規制の目標が定められて答申なされました。この年で、特に主なところを申し上げますと、トヨタの場合が総開発費の二九%八十一億円、東洋が三十一億、日産が八十一億、それから本田が九十五億、このパーセンテージから申し上げましても、とにかくトヨタ二九、東洋三一、日産三四、本田は実に七一%という排ガス対策費を組んでおります。同じく四十八年でも、多少ふえましたが、トヨタの場合は百二十二億の二七%、東洋が三十六億の三二%、日産が百五億の三八%、本田の場合は百六億の七三%、こういうふうに、いわゆる排気ガスの規制に取り組む姿勢というものが、この具体的な数字でも明らかになっております。さらに四十九年の数字を見ましても、トヨタの場合が百八十八億の三六、日産が百四十四億の五五、東洋が五十八億の五〇、本田が百五億の六三。どうですか、環境長官。このように開発研究の中で本当にがんばっている東洋なり本田に比較して、日本のビッグツーである日産なりトヨタが、これで本当に国民に重大な被害を与えている排気ガスのNOxの低下を図る姿勢があると、環境庁お考えですか。担当長官どうですか。
  258. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 これは所管として通産大臣の所管だと存じますが、私どもは非常に困難だとは思いますけれども、実験の段階その他いろいろな状況から見まして、また大気中に占める窒素酸化物の基準値、これを達成するために、あのような、四十七年に理想値として〇・二五を行政上の方針目標にするということを決定いたしたわけでございます。この〇・二五は、率直に言って、私は非常に困難を伴う幾多の問題があろうかと思います。しかし、やはりリードラインを決め、誘導すべき理想の目標を掲げることによって、できるだけそれに到達するような努力を各方面に願おうという、環境行政の考え方のあらわれでございますので、そういう意味で、各方面の御理解をいただいて、できるだけひとりそれが実行できますように努力を願いたい、かように私どもは希望しているわけでございます。
  259. 兒玉末男

    兒玉委員 このことは、同じく通産大臣も傍観者であってはならないというように考えるわけであります。通産大臣にお伺いしますが、さらにいま申し上げました数字に加えまして、特に各社の広告費というのは非常に大きい、もう少し広告費というものは節減できるのではないか。そういう意味からも、私は、やはり排気ガスの基準達成に向かって、排気ガス関係の対策費に、このような広告費を削って、国民の期待にこたえるべきではないかと思うのですが、通産大臣いかがですか。
  260. 河本敏夫

    河本国務大臣 過去数年間における自動車メーカーの研究費、排ガス対策の研究費がここに統計として出ておりますが、児玉さんもお持ちのようでございますけれども、だんだんとふえてまいりまして、ここ一両年は非常に激増しておると思います。ただ、しかし、これでは十分であるとは思いませんので、なおこの金額をふやしていくように指導してまいりたいと思います。
  261. 兒玉末男

    兒玉委員 これは一つの参考になろうかと思うのですけれども、環境庁長官でも通産大臣でも結構ですが、私の持っている資料によりますと、実は一九七〇年の五月、アメリカのフォード会社がフォードのジープとして、いわゆる排ガスの規制効果、抑制効果を上げるために、こういうような数字の車の開発に成功したということが、ある雑誌に載っております。それが実用化なり商品化するかどうかは別としても、技術的に開発の可能性というものを示した数字として、私はこれはやはり検討に値するものではないかと思うのですが、たとえばCOが一マイル当たり〇・九三、HCが〇・三七、NOxが〇・三三、連邦の当時の基準値は三・四、〇・四一、〇・四〇、ほとんど基準に近い。こういう開発に成功した旨の、これはもちろん版は一九七一年に著者が書いた記録の中に載っておりますので、私も該当者に聞いたが、この数字に間違いない、こういうことが言われておるわけでございます。本来、シボレーがトヨタ、フォードが日産、かつて提携した経験から推しましても、日本の企業がこういう状態に近づけないということはあり得ないと思うのですが、環境庁長官なり通産大臣、どういうふうに御理解をされておりますか。
  262. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、研究費は最近激増しておりますけれども、なお決して十分ではない、こう思います。これは私は、特にこういう重大な課題を控えております現状におきましては、もっともっと研究のための金を出さなければいかぬと思いますし、それから広告宣伝費の問題につきまして先ほど御指摘がございましたが、これは通産省の方から注意をいたしまして、できるだけ減らすように、そして研究費の方に回すように、こういうことをいたしました結果、その実績のあらわれた数字が出ております。
  263. 兒玉末男

    兒玉委員 大体、広告費のことを大臣言われましたが、数字的に見ましても、たとえば四十六年段階でも、トヨタの場合、排気ガス対策研究費の約二倍以上、日産の場合でも二倍。また、四十八年度の場合でも、広告費が百九十億、日産が百十四億と、排気ガスの対策費よりも上回る広告費を使っておることをこの際申し上げておきたい。  時間がありませんので、急ぎます。  次に、私は、通産大臣にお伺いしたいわけでございますが、このNOxの規制には、なかなか、完全燃焼をやれば逆にNOxの排出が高くなるという、二律背反的な現象があることは書物で見ております。しかしながら、さようであるならば、自動車産業が消費する資源というものは莫大なものがあることが指摘をされておる。そうでありますならば、少なくとも現在、自動車のスピードは大体百キロが限度であります。ところが製作過程におけるエンジンの排気量なり馬力は、百五十キロスピードまで対応できるように設計されておるように書いてあります。そういう点から考えますならば、当然、燃料消費なり排気ガスの減量という点からも、このスピード限度というものを実用的に百キロに抑えるような技術的な改革はできないのかどうか。  それからもう一つは、やはりガソリンを食うわけでありまするが、このガソリンの消費量にいたしましても、四百キロの軽自動車の場合、一リッターで三十キロの距離を走れます。八百キロの重量車両で約十五キロ。それから千五百キロの車で一リッター八キロ。こういう点から考えましても、私は、車の重量を八百キロ以下にできるだけ抑えることによって、燃費の節約並びに排気ガスの排出量を減少できる、こういうことが考えられるわけでございまするが、この二点について、通産省それから環境庁、運輸省、それぞれ関係がありますので、この辺の問題について。同時に技術的には、豊田会長からお聞かせをいただきたい。
  264. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、車をつくる場合に三つの原則があると思うのです。その一つは、公害が少ないということ、第二は、安全性が非常に高いということ、それから第三は、経済的にすぐれておるということ、経済的な競争力があるということ、この三つが条件になると思います。いまお話しのように、軽い車をつくるとか、スピードの遅い車をつくるとか、そういう御提案でございますが、最近は日本だけではございませんで、世界全体が生活の多様化を求めておる、こういう時代でございますから、いまのお尋ねに対しまして、ここで具体的な答弁を申し上げるのはいかがかと思いますので、ちょっと研究させていただきたいと思います。
  265. 木村睦男

    ○木村国務大臣 スピードの問題でございますが、大体お話のことは私よくわかります。ただ、追い越しですとか、あるいは急にスピードを出して走らなければならぬというふうな交通安全上の問題等がございますので、その点も一応は考えなければいけませんが、お話のことは、私はよくわかると思います。  それから、できる限り軽自動車、軽い車、これはぜひそういう方向で指導いたしたい、かように考えております。
  266. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 軽自動車が省エネルギーの観点から見ていいことは確実だと思いますし、またるビード等についても、おっしゃるような点が十分考えられます。私どもとしては、とにかく大気汚染度が少ない車が一番好ましいわけでございますので、そういう点でいろいろとお願いをいたしたい、かように考えます。
  267. 豊田英二

    豊田参考人 小さい車が省資源にもなるし、公害も少ないという先生のお説は、そのとおりだと思います。私どもは戦後乗用車をつくってまいりましたが、やはり日本に最も適するのは小さい車であろうという考え方をもちまして、現在までやってまいっております。小さい車と申しましても、その中には大小がございますが、現在私どもがつくっておりますその大小は、日本におきます自動車の御要望によって、こういった形になってまいったわけでございまして、やはり日本に必要な車であろうというふうに考えておる次第でございます。  なお、馬力の問題につきましてお話がありましたが、最高速が百キロであるから百五十キロも走るような車は不要ではないかという点、ある意味でごもっともだと思います。しかしながら、馬力は、ただ最高速を出すだけに使われるわけではございませんで、車の加速性能その他に直接関係がございます。この加速性能ということは、安全上の意味におきまして重大な影響を持っておりますので、その点もあわせて考えながら、私どもは仕事を進めておる状況であります。  なお、最後に、私どもは同時に輸出をいたしておりますが、諸外国における車の使用状況、それに合わせて現地に向いた車を輸出しなければ現地で受け入れていただけないということもございますので、そういったことも含めながら、総合して最もいい線を出していきたいという意味で、努力をいたしておる次第でございます。
  268. 兒玉末男

    兒玉委員 もう時間がございませんので、あと二、三問で打ち切りますが、環境庁長官豊田会長さんに申し上げたいことは、外国向けのものは、それなりにスピードの許容量は高めて結構だと私は思うのです。私は国内向けの場合を言っているわけであります。しかもアメリカがマスキー法の規制を延期したということで、あたかも鬼の首を取ったかのような印象を持っている人もあるやに聞いております。日本の場合は、国土の面積においてもアメリカのカ州とほぼ一緒であります。しかし置かれている現状というのは、日本の国土の八〇%が山地であります。残りの二〇%が田畑であり、一億人の人口が住んでいる。加えまして工場の密集、道路には自動車がひしめいております。現在二千七百万台。こういう状況から推しはかりますならば、実に公害の密度はアメリカ全土の八倍以上と言われている状況にあるわけであります。その点からも、工業会としては、いままでいろいろな人が申し上げたように、真剣な気持ちで今後自動車の生産関係、なかんずくNOxの目標達成に一段の努力をしていただきたいことを、特に豊田会長に私は要望いたします。  次に、私は環境庁長官にお願いしたいことは、今回の答申によりますと、全面的なNOxの規制はむずかしい。だとするならば、車両の市街地への乗り入れなりあるいは規制強化、こういう点も並行的に書かれておるわけですが、これについて特に運輸省並びに環境庁はどういうふうに処理をしたいのか。  それから、今回の中公審が業界側に押し切られたという印象は否めないのであります。とするならば、やはり環境庁が主管官庁として、これらメーカーの技術陣に対応できるような研究機関なり、そういう組織的なものをこの際設置すべきではないか。こういう対応する機関をつくって、少なくとも公害に関する限りは、排気ガスに関する限りは、環境庁が毅然とした態度で指導できるような、理論的にも現実的にも、また技術的にも対応できる組織をこの際つくるべきだ、こういうふうに私は考えるわけでございますが、環境庁長官、いかがでございますか。
  269. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生のおっしゃることはまことにごもっともでございますが、現在の環境庁で、日本における最高の自動車関係の技術をいま直ちに持つことはなかなか困難でございます。したがって、私どもは、やはり日本の各界の方に御参加を願う専門委員会を設けまして、そこでいろいろと知恵をかしていただいているわけでございます。研究所等につきましては、運輸省で交通安全公害研究所というりっぱなものをお持ちでございますし、それぞれ、政府としては関係各省の総力を結集して、これらの問題の技術的な解明と指導を行っていきたい、かように考えているわけでございます。  また、自動車関係のスピードの問題のお話がございましたが、確かにそのとおりでございまして、交通の総量規制をやる場合でも、警察庁等の話を聞いてみますと、大体四十キロの経済ベースで走っていただく方が、排気ガスの排出量については非常に効果的だということを言われております。ただ、それにはどうしても連動式の信号をもう少し——いまのように二、三回行きますと後どうしてもとまるということになりますと、始動のときによけい排出ガスが出るわけでございますから、こういう点も実は総合対策の一環として、閣僚協で、そのもとの幹事会で十分いろいろな角度から検討していただいておりますので、総量規制全体として、私ども特にこれからも力を入れてまいりまして、所期の目的を達成するように、一日も早く環境基準を、少なくとも窒素酸化物については達成できるようにいたしたいと努力をしている最中でございます。
  270. 兒玉末男

    兒玉委員 では通産大臣並びに環境庁長官、最後に要望として申し上げ、また通産大臣の見解も最後に聞きたいと思いますが、現在この排気ガス問題をめぐって、いろいろな学者なりあるいは実務経験者等が、本を通じていろいろな論文も発表しております。その中で、東大の名誉教授である富塚清さん、それから大西さんという、これは民間人でございますが、ツーサイクルの低公害エンジンの開発と研究の論文、そしてまた昨年九月三日のエコノミストでも、いわゆる低公害車の提言としてきわめて傾聴すべき論文を出している。加えまして、現在三菱重工業が開発しておりますところの東大の熊谷氏による低公害フォーサイクルのエンジンの開発もなされております。やはりこういう民間人なり学界の専門的な人たちが出しているこのような点についても、この際先ほど言ったように、環境庁はこういう有能な人たちの意見も十分に聞くべきであり、また、通産省としては、今後業界を指導するにおいても、こういう建設的な意見なり論文なりあるいは実験車等については、前向きな姿勢で取り組んでいくべきではないか、こういうふうに私は考えますが、通産大臣いかがですか。
  271. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまのお話、私も承知しておりますが、全く同意見でございます。これからはやはり広くいろいろ建設的な意見を聞いていかなければならぬ、かように思いますので、御意見のとおりしていきたいと思います。
  272. 小山長規

    ○小山(長)委員長代理 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  柴田参考人助川参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。どうぞ御退席いただいて結構でございます。  次に、佐野進君。
  273. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、きょうは、社会的不公正是正という意味における大企業と中小企業の不公正をどうやって是正するかという点について、具体的な例を挙げながら質問をしてみたいと思います。  最初に、大蔵大臣通産大臣と労働大臣に質問してみたいと思うわけでありますが、いわゆる今日の不況の状況は日一日と深刻な様相になってきておる。したがって、これに対する対策は特に急を要するということは、もう社会一般の通念になりつつある。ところが、政府は相変わらず、総需要抑制の枠を崩さない、その枠内できめ細かな対策をとるということをしばしば言明を続けておるわけであります。ところが、連日報道される新聞等、あるいはその他の報道機関によるところの報道を通じても、失業者の激増あるいは冷え込みがオーバーキルになりつつあるというような状況等々、深刻な様相を呈しているわけであります。これに対して、実は私は過日の一般質問の際も、この場所で質問したわけでありまするが、大蔵大臣、一体現在の状況をどう認識しておられるか。いわゆる政策転換という言葉が不適切であるとするならば、仕事を与えよという一般的な産業界における要望に対してどう対処して、財政金融政策を講じていかれようとしておるのか、その点についてお尋ねをしてみたいと思うわけであります。
  274. 大平正芳

    ○大平国務大臣 現在の経済状況、佐野さんと同様に大変むずかしい局面であると判断いたしておりまして、生産、出荷が異常な停滞状況にございまするし、雇用もまたさま変わりの状況を呈しておるわけでございます。のみならず、根本的に国民消費が大変な冷え込みでございまして、この状態は、私どもの経験から申しましても、かつてないむずかしい局面であると存じておるわけでございます。  従来の景気政策のパターンから申しますと、いろんな一応の政策のパターンが思いつくわけでございますけれども、仕事を与えろ、仕事を与えて操業度を高めて雇用を維持していけば、それで事足りるかというと、そうではないのではないか。いまの局面は、やはり次の日本経済のあり方が正しいあり方でなければならない、こういう資源的制約、環境的制約のもとにおきまして描かれるべき、あるべき日本経済の中で許されるところの消費でなければいかない、生産でなければならない、そういうことにつながる仕事でなければならぬ、そういう感じがいたすのでございまして、従来の景気政策よりは、よほどむずかしい性格を帯びておるように思うのでございまして、したがって、政府におきましても対応策に非常に苦吟をいたしておりますことは御案内のとおりでございます。従来の対応策に比べまして、そういう構造的な問題を同時に抱えておるということ、しかもそれが非常に世界的な規模を持っておるということでございますので、非常にむずかしい。しかしながら、それを回避できる立場にないわけでございますので、私どもといたしましては、ここで次の政策の転換というようなものをいま軽々に構想できるというようには、まだ考えていないのでございまして、いましばらくこのいまとっております政策を堅持させていただいて、よく見定めた上で、有効な施策のありかを尋ねてみたいと考えております。
  275. 佐野進

    佐野(進)委員 大蔵大臣、もうそういう時期でないという認識が一般化して、実際上金融の緩みあるいはその他の思惑等々がいろいろな面であらわれてきている。しかし、そういう面におけるところの恩恵というか、そういうものを受けられる立場の者がきわめて少ない。大多数の中小企業を初めとする層の人たちは、そういうことよりも以上に、そういうことの恩恵を受け得ないで、倒産あるいはまた企業縮小、そういう道をたどりつつある。こういうことについて、もう少し認識を深めてもらいたいと思うのです。これは後でまた質問いたします。  そこで通産大臣、あなたはよく、今日のこの冷え込みの状況は大変だ、したがって、何としても落ち込みが深くならないうちに有効適切な手を打つんだ、いまはまさにそのときだ、こういう言葉を繰り返して言っておられるわけでありますが、今日の時点の中で、一体どのような有効適切な手を打たんとしておるのか。私も、あなたのその認識については同感するところが多々あるわけでございますので、そういう意味において、具体的な考えをここで示していただきたいと思うわけです。
  276. 河本敏夫

    河本国務大臣 具体的な対策についての考え方を申し上げます前に、簡単に現状の認識を申し上げますと、去る一月の中、下旬に、通産省は、日本の重立った全業種の状態を調査をいたしました。その結果判明いたしましたことは、ごく僅少の例外はありますけれども、大部分の産業が二割ないし七割ぐらいの減産をしておる。しかし、二割ないし七割の減産をしておるが、在庫はふえる一方である。これは異常な事態である、こういうことを痛感したわけでございます。  それで、御案内のように、去る二月十四日に、一連の、部分的なひずみ是正対策といいますか、そういう対策を行うようにスタートしたわけでございますが、これは総需要の抑制という枠内で行う対策でございますから、きわめて微温的な対策でございます。そこで、これから一ヵ月間、様子を見まして、来月の中、下旬にもう一回、この部分的な不況対策の結果、日本の産業界がどうなったかということについて詳細掌握をいたしまして、そうして第二次の対策を考えていかなければいかぬのではないか、こういうふうにいま考えておるところでございます。
  277. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで労働大臣、いまお二人の答弁があったわけですが、私はきわめて現状認識については不満なんであります。ということは、いわゆる二月十八日、植木総務長官が、三月の失業者は百二十七万人に達するであろう、失業率は二・四%であり、さらにこれが飛躍的に増大していく可能性を持つ、こういうことを閣議で報告した、こういうようなことが報道されておるわけであります。  今日、労働力需要が極度に減退しているということは、先ほど来私が質問を続けている形の中で、はっきり認識されておることでありますし、それがこのままの政策を続けるならば、飛躍的に増大していく、そういう見通しを含めておるわけです。とするならば、その失業者というものは完全失業者である。いわゆるパート的な意味におけるところのものをも含めた形の中において、そういうようなことではないというようなことも言われておるわけでございますが、これらに対して、労働大臣としてはどのような対策をいま立てられようとしておるのか、将来の長期的な見通しの上に立って、その見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  278. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 ただいま総理府総務長官が発表したような数字もありますし、また労働省で精査しましても、一月の失業率は一・八%、そして八十三万、こういう数字が出ておりまして、これがそのままずっと拡大するということも心配しておりますが、ときには季節的要因もあるのです。毎年のことですけれども、一月ぐらいになりますと、二十万ぐらいずつふえる。それは出かせぎの方が地方にお帰りになるということなどもあります。  そこで、御案内のように、これを街頭に出ないようにするために、国会で御承認いただいた雇用調整交付金、こういう制度がよく働いておりまして、組合の諸君からも、経営者に一月までは首切らないでやってくれ、雇用保険が通るのを待ってくれ、おかげさまでというふうな、実はお礼なども言われており、そしてこれが、主に中小企業の方に——後で数字なども御理解いただきますけれども、そういうふうなきめ細かい、私はよその国のやっていないようなことをやって、いまおかげさまでできているというふうなことで、とにかく職場から離さないように、大企業方々にもここはがまんしてもらう、また、私たちも手当てをするものはできるだけやる、こういう姿勢であることを御理解いただきます。
  279. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、大蔵大臣通産大臣に質問してみたいと思うわけでありますが、不況が深まる、そうして失業者が多くなる、それは結局政策的な面からそのような状況が出てきておるということは、先ほど来お二人の答弁でも明らかだと思うのでございます。したがって、政策の転換はこの状態を緩和するために大きく役に立つということは、もう明らかなわけであります。ところが、政府は今日の政策を続けるという形でございますが、そうなりますれば、結論的に、それではその最大の犠牲者に対して、より少ない犠牲者と同じような状況に置くための努力をすることが、政策担当者としては当然の果たさなければならない責任だと思うのであります。ところが、この当然果たさなければならぬ責任については、余り具体的な手を打っていないわけであります。たとえば新聞等を通じての報道、これはほとんどの報道機関がそう言っておるわけでございますが、もはや下請関係においては、受注率がゼロになったというような下請も大変多い、臨時雇い等はほとんど一片の通告で解雇されてしまう、こういうような場合が非常に多いというようなことが報道され、また事実そのような状況下になっているわけであります。大企業はこのような状況下にあっても、一定の過去の蓄積と長期的な見通しの上に、その仕事を確保することができるわけでありますが、中小零細企業は、大企業がみずからを守ろうとする、その行為の陰に、結果的にしわ寄せを受けて、倒産等、あるいは仕事がなくてどうにもならないというような状況下に追い込まれていっておるわけであります。  そういう点について、この際特別のいわゆる閣僚対策会議や、その他特別の政府内におけるところの機関を設置して、この政策的な原因によって発生しつつある、いわゆる弱い立場にある人たちに対して、政策的にこれを救済する、こういう措置を当然考えていかなければならぬと思うのでありますが、そういう考えについて賛成していただけるかどうか、お二人の見解をお聞きしたいと思うのであります。
  280. 大平正芳

    ○大平国務大臣 まず最初に御了解を得ておきたいのは、大企業と中小企業との間柄を、対立的と申しますか、対照的に見る見方に、私は賛成できないことでございます。全体として産業構造は、佐野さんも御承知のように、大中小、零細が組み合わさって産業組織ができておるわけでございまして、一方がよくて一方が悪いというようなことは、本来あり得ないことでございまして、両々相まって、産業政策が円滑に推進されるものであると理解しておるということを、まずもってお断りしておきたいと思います。  しかしながら、あなたの言われるように、規模の大小によりまして、こういう不況の影響をより分厚に受けやすいということは、われわれもよく承知いたしておるわけでございます。したがいまして、総需要抑制策を講ずる場合におきましても、中小三機関はこの例外といたしてまいりましたことは、御案内のとおりでございます。それから官公需につきまして、中小企業者の受注機会の増大につきまして、政府は絶えず注意を払い、その増大を図ってまいりましたことも、よく御承知のことと思うのでございます。また、市中の金融機関の三千二百億の特別救済融資につきましても、その消化を精力的に図っておりますこと、それから信用保険制度の改善、労働大臣が言われました雇用調整給付金制度の活用、その他住宅金融の大きな枠外的な拡充を図ってまいりましたこと等、いろいろこれまで講じてまいりましたが、しかし、中小企業を総括されております通産省におかれまして当面さらに何が必要であるかということにつきまして、先般来御相談を受けておったわけでございますが、二月十四日に、これは河本大臣からお話があることと思いますけれども、中小企業を中心といたしまして、各種の施策を行っておるわけでございます。しかし、これはあなたの言われる政策の転換というものではなくて、現在の政策の枠内におきまして、弾力的な措置を極力講じておるということでございますことを御理解いただきたいと思うのでございまして、私ども、今後まだなお足らない面がございますならば、なお精力的に行ってまいることにやぶさかでないわけでございますので、一層の御鞭撻をお願いしたいと思っております。
  281. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど、下請で仕事が一つもなくなった、そういう企業が非常に多くなったというお話がございましたが、私もそういう例を承知しております。と申しますのは、当初に申し上げましたように、二割ないし七割という大幅な減産をしておるものですから、結局下請の方に仕事が回らない、こういう例が非常に多いわけなんです。そこで、佐野さんも御指摘になりましたけれども、金融よりも仕事の量を確保する方が大事ではないか、こういう御指摘がございましたが、やはりそれぞれの業種から起こっております要望も、金融も大変ありがたいがむしろ仕事を何とかつくり出してもらえないか、こういう悲痛な要望が大変多いわけでございます。そこで、いろいろ一連の需要喚起の対策を行っておりますが、しかし、現在の段階では、民間投資は非常に冷え切った状態でございますし、それから、世界的に見まして、貿易の環境も悪い、個人投資もなかなか動かない、こういう状態でございますから、やはりこの場合は財政による需要の喚起ということしか期待ができないのではないか。具体的に申し上げますと、公共事業あるいは住宅投資あるいはまた公害対策、こういう仕事、これによって需要を喚起していく、これしか仕事をつくり出す当面の対策というものはないのではないか、こういうことを考えておるわけでございまして、そういう点につきまして、関係各省にいろいろ御相談に乗っていただこう、かように考えております。
  282. 佐野進

    佐野(進)委員 きょうは参考人においでになっていただいておりますので、この政策論議をやり続けていく時間的余裕がありませんので、これはまた別の機会に申し上げたいと思いますが、これから各大臣は、私が参考人に質問することについてよくお聞きになっていただいて、今日の中小企業の置かれている現況に対して、より積極的に取り組んでいただきたい、このように要望しながら、質問を続けていきたいと思います。  今日の中小企業の深刻な状態については、各大臣がそれぞれ御答弁になられましたように、対策に急を要するきわめて緊迫した状況にあるわけであります。しかし、この中におきましても、冒頭申し上げましたとおり、大企業と中小零細企業との間におきましては、その態様が大変違っておることも否めない事実であろうと思うのであります。したがって、政府の対策が中小企業により重点を置いた対策をしていただく、またしなければならないということは当然でありまするが、この大企業、中小企業との間におけるところの格差、あるいは大企業の圧迫、あるいはそのことによって発生した条件が、社会的にきわめて悪い影響を与えつつあるという一例について、これから参考人の御意見を聞きながら、質問を続けてまいりたいと思うわけであります。  その一つの例は、資本金二百二十八億円余を持つユニチカと、資本金一千万円のその系列指定工場である西陣撚糸株式会社の関係についてであります。このユニチカの系列会社である西陣撚糸株式会社は、その系列会社としての中で、ついに昨年の六月に至り会社整理を申請し、倒産をしていったわけであります。この倒産をするという経過の中で、この会社がいわゆる系列指定工場として持ついろいろな制約の中で、倒産をせざるを得なくなっていったわけであります。この詳細については、ここで私が調べた状況を詳細に申し述べる時間的な余裕はございませんが、いわゆる系列指定工場と称するのは、ユニチカという一つの大企業に対して、分工場的な位置づけがある。いわゆる一心同体的な状況にある。この一心同体的な状況にある西陣撚糸が倒産せざるを得なくなっていったその経過は、大企業であるユニチカが、この会社の経営に対して直接的にタッチしながら、ついにこの会社を倒産に追い込む状況を、一つ一つの具体的な例の中でつくり上げていったということであります。そういうような状況の中で、この会社が昨年の六月についに倒産をしていったわけでありまするけれども、この倒産をする経過の中で、独占禁止法によるところのいわゆる不公正な取引方法の第二項、第五項あるいは第十項等の条項に抵触する、そういうような行為が随所に見られる経過の中で、この企業が倒産していった、こういうようなことが具体的な例としてあるわけであります。私は、いわゆる下請企業、系列指定工場というものが持つその本質的な弱点と、先ほど申し上げました不公正な取引方法に基づくところの条項各項に抵触する状況の中でこの企業が倒産した、あるいはこれに類する企業がその状況に瀕しているような例は、現在の状況の中においては数多く見ることができるわけでありまするが、このような状況に対して、公正取引委員会としてはどのような解釈とどのような対処をされようとするのか。話が、時間的な余裕がないために、具体的に経過を説明しながら質問しなかったので、公取委員長、答弁しにくいかと思うのでありますが、公取委員長の見解をひとつ最初にお聞きしておきたいと思うのであります。
  283. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 一般に、比較的大規模の会社が、その系列下にある企業に対して、取引上の地位を利用して不当に不利益を強いるというふうなことは、これは不公正取引として問われる問題でございます。抽象的でございますから、これ以上お答えはできませんが、そういうふうになることは間違いないと思います。
  284. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、そういうような、いま私が質問を続けてきた情勢を踏まえながら、関係参考人、ユニチカの社長さんと西陣撚糸の社長さんにおいでを願っていただいておるので、お二人に逐次質問をしてみたいと思うわけであります。  最初に、倒産されました西陣撚糸の社長さんにお伺いをいたしたいと思うのでありますが、あなたの会社がいわゆる一千万の資本金を持ち、約九十名の従業員を持つ典型的な下請的、分工場的系列会社であるということは、調査によって明らかでありますけれども、この系列会社が倒産に至る経過の中で、二つの条件があるようであります。その一つは、いわゆるエラスロンというその事業計画に参加したこと、もう一つは、プリマロンという原糸の供給が激減したという条件の中で倒産されておるようではございますけれども、これらの条件を発生させる、そういう状態が発生するために、どうしてもわれわれが理解しておかなければならないのでありますが、系列会社というものの中における加工賃と言われるようなものはどういう意味を持っておるのか、それに対して、みずからの意見、その加工賃を上げてくれとか下げてくれとかという意見はどのようにして述べることができるのか、この点について、あなたの見解をまずお聞かせ願いたいと思うのであります。
  285. 太田吉郎

    太田参考人 私、中小企業の経営者の太田でございます。本日、予算委員会にお招きいただきまして、まことにありがとうございます。私は中小企業の、私だけではなしに、この日本の中小企業の受けた悲惨な境遇はまだ多いと思います。それらに対しまして、私は代弁するために参ったと考えております。私の受けたことを、真実を申し上げますから、諸先生方よろしくお願いいたします。  いま先生から発言がありました加工賃につきましては、ユニチカから文書をもちまして通告を受けております。この加工賃に対しまして申し上げますと、よそもこれで納得してもらっているんだから、これでおまえのところもやれということで、それについて言いますと、系列工場を外すと言われました。
  286. 佐野進

    佐野(進)委員 いま系列工場を外すと、こう言われた、こういうことでございますけれども、系列工場を外すということは、どういうような影響があるのかということであります。そしてまた、その系列工場というものが、いわゆるその企業にとって、ユニチカの系列に入ったということについて、どういうような制約を受けるようになるのか、この点、ひとつ簡単で結構ですから、答えてください。
  287. 太田吉郎

    太田参考人 系列工場を外されますと、私の現在扱っている原料の九五%がユニチカの原料を扱っておりまして、外された途端に倒産するということでございます。  もう一つ、系列工場の制約につきましては、ユニチカの生産計画に基づきまして機械を設置いたしまして、ユニチカの加工条件をもちまして、糸を加工してまいりました。その糸は、ユニチカの商標によりまして出荷をしておりました。私らの系列工場は非公開でございます。ユニチカの許可なくしては他人に見せることはできませんです。また、これに対しまして、機械の運営に対しましては、よそからほかの糸をかけるということも、ユニチカの承認がなければ絶対にかけられません。そういうことですから、私はユニチカの分工場の一つと思っております。
  288. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、そういう分工場であったあなたの会社が倒産するについては、二つの条件があるということを、先ほど私は申し上げたわけでありますが、いわゆるエラスロン計画という全く新規な計画を、あなたの会社が分工場的な役割りの中で請け負われた。それについて、その加工賃金がきわめて安かった、そしてその加工賃金が安かった上に、ユニチカは、このつくった製品が売れないということで、その多額の設備投資をしたその設備投資をそのままにして、いわゆるこのエラスロン計画を撤回した、やめた、こういうことが明らかになり、それが結果的に倒産に結びついたと言われておるわけでありますけれども、その計画に、あなたの方ではいわゆる採算見込みがあって参加したのか、あるいはユニチカ側の強い要請によって参加したのか、参加せざるを得なかったのか。そしてこの設備をつくるのに、自体どの程度のお金がかかったのか。そしてその六ヵ月をもって撤回したことに対して、ユニチカはどのような対策を立てられたのか。この点、ひとつまとめて御返事をいただきたいと思います。
  289. 太田吉郎

    太田参考人 ユニチカから、エラスロン計画に対しまして、もうけさしてやるからやりなさいと言って、連絡がありました。これは昭和四十五年の二月ごろでございます。これに対しまして、私の方はその計画をやることに決めました。矢継ぎ早にユニチカの方から申してまいりまして、工場の増設を、同年の四月にかかれというぐあいになりまして、また機械も、同年の六月にユニチカの指示のもとに発注しました。同年の七月には試験糸をそれぞれとりまして、翌年四十六年の一月から、ユニチカの加工条件の試験糸の一つでありますものをエラスロンと言いまして、これを四十六年一月から本格生産に入りました。当初は順序よく行っておりましたが、同年の七月に、ユニチカから一方的に、エラスロンをやめるという通知がありまして、これに対しまして、私はユニチカに参りまして、なぜかと聞きますと、売れないからやめるということでございます。私は、多大なる設備をいたしまして、そんなことではどうにもならぬ、原糸の供給はやってくれと言いますと、先ほど申しましたように、系列を外すというようなことでございまして、それなれば機材の停止の補償をという話になりまして、四十六年の八月から十二月まで、月二百三十万の機械の停止の補償を申し決めいたしました。その間にエラスロンにかわるものをユニチカで考えるから、それまでその分をそのままにしておりました。それも、この二百三十万も、従来やっておりますプリマロンという加工賃に上乗せしてもらっておりまして、結局二百三十万、月々二百三十万持ってきましたが、これもいま言いましたように、加工賃の上乗せで、結局六百万余りもらって、支払いを打ち切られました。
  290. 佐野進

    佐野(進)委員 このエラスロン計画の失敗が、結局累積赤字を招いてどうにもならなくなって、倒産要因が深まっておったとき、さらにプリマロン原糸の供給が激減したことによって倒産に追い込まれた、こういうことでありまするが、この原糸の供給が激減した事情は、どのような事情からそうなったのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  291. 太田吉郎

    太田参考人 それにつきまして、先ほど私言うのをちょっと漏らしておりましたので、先ほどの質問にもう一つ補足いたします。  エラスロンの加工賃の取り決めなんですが、これを私漏らしておりました。エラスロンの加工賃は、私のところの試算によりますと、キロ当たり千二百八十円になりました。ユニチカの技術部の試算は千百九十一円でございます。で、私は大体その中間ぐらいで決まるだろうと思っておりましたが、ユニチカの方の一方的な取り決めで、加工賃は千五十円に追いやられまして、この生産計画によります五年間は利益はない、六年目からの利益のもとに、先の楽しみをもとに、その生産に踏み切ったわけなんです。  また、いまありましたエラスロンがどのようになったかということにつきましては、ただいま言いました五ヵ月間の間にユニチカの方で検討して、エラスロンにかわる物をかけるということで、ニュ一エラスロンというものがユニチカから押しつけられてきました。これにつきまして、私の方の加工賃の採算は約九百円でございました。これもユニチカの一方的な通告によりまして、五百五十円しかもらっておりませんでした。ですから、先ほどのモフスロンの赤字累積、また今回のニューエラスロンの、いま申しました赤字累積を加えまして、資金に相当なる圧迫を加えられました。かようなことでございまして、ニュ一二ラスロンは壬フスロンにかわるべきものではないということは、はっきりと言えるものでございます。  プリマロン原糸の供給につきましては、それぞれの機種原糸があり、四十九年の三月、四月は三〇%減です。五月、六月は五〇%減になりましだ。で、当西陣撚糸は加工賃でいっておりますものですから、なおも資金の圧迫を来しまして、昨年六月に倒産いたした次第でございます。
  292. 佐野進

    佐野(進)委員 時間が大変少なくなりましたので、次に要約して質問を続けてみたいと思います。  この倒産によって、ユニチカと大手債権者はほとんど債権を回収し、一般債権者だけが残ったと言われておるのでありますが、そのことはどうかということ。  もう一つは、労働者は結局全員解雇ということになったわけでありまするが、この人たちはいまどうしておるか。さらに、あなたの工場は過疎地帯にある工場として、付近の住民に対して大いなる影響を持っておったわけでありまするが、この付近住民が、あなたの会社が倒産したことによってどのような状況になっておるか、簡単で結構ですから、状況をひとつ話してください。
  293. 太田吉郎

    太田参考人 倒産いたしまして、私の方の資産は銀行、ユニチカ、日綿、伊藤忠等の大手の商社の担保に入っております。一般債権者には総額七千万強ありまして、これは現在も一銭も払われておりません、資産がありませんから。で、いま申しましたように、大手の方は、法的には被害がないものと思います。  また、従業員に対しましては、昨年の七月末に全員解雇となりまして、そこで労働争議が起こりまして、総額九千八十万の労務債権の要求がございました。これはもっともなことでございますので、のみました。いま申しましたように、この財源に相当私は苦しみました。これに対しまして、担保に入っておらない機械、また什器、備品、それから動力線、工場内の立ち木まで売り払いまして、代物弁済に充てました。その金額が約五千七百万程度でございます。で、八十五名の従業員に分配いたしました。    〔小山(長)委員長代理退席、湊委員長代     理着席〕  それと、私の方は、地元の商人は私の方の従業員でもって商売を営んでおりましたので、昨年の六月倒産以来、ほとんど全部の店が開店休業となっておりまして、私の方に、再三工場を再開するようにということで、陳情を受けております。  また、もう一つ申しおくれましたが、従業員は、いまだにほとんどの者が再就職はいたしておりません。  以上でございます。
  294. 佐野進

    佐野(進)委員 いま西陣撚糸の社長に、倒産に至る経過について質問をいたしたわけでありますが、ただいまからユニチカの社長さんに、これらの問題についてどのような考えを持っているかについて質問をしてみたいと思います。時間がありませんので、要点を質問いたしますので、お答えをいただきたいと思います。  まず第一に、今日の社会情勢は、大企業に対して中小企業、そうして大企業の横暴ということに対して、中小企業者がいろいろな面からこれの是正について声を高く上げておる現状であります。大企業批判というものが、社会一般の一つの風潮的なものとなっておりまするが、いままでいわゆる商社であるとか、大金融機関であるとか、生保であるとか、そういう方々に対する批判は行われておりまするが、製造会社の持つこの種社会的責任については、それほど多くの追及が行われておりません。これについて、この予算委員会の席上、これらの批判に対してユニチカの社長さんはどのようにお考えになっておられるか、要点だけで結構ですから、お考えをお示し願いたいと思います。
  295. 小寺新六郎

    ○小寺参考人 ただいまの先生の御質問にお答えしてまいりたいと思いますが、大企業に対します批判といいますものは、現在非常に厳しいものがございます。私どもといたしましては、その厳しい批判というものを謙虚に受けとめて、正すべきは正す、こういった態度で臨みたいと考えておる次第でございます。また、大企業と下請等中小企業との関係と申しますものは、あたかも大きな歯車と小さな歯車とがうまくかみ合ってまいりまして有機体を形成していくんだ、かように考えておりまして、双方相携えて初めて経済の発展というものは望まれるものと私は考えております。原則といたしましては、相互の自主性を尊重しながらも、互いに補完的な立場にあるものと私は考えておる次第でございます。  以上でございます。
  296. 佐野進

    佐野(進)委員 いまの社長さんのお考えは大変りっぱでありますが、先ほど来お聞きになりましたとおり、系列会社である西陣撚糸の倒産に見られるような、このような状況下において、いわゆる大企業の横暴さというものに対しては、一つの具体的な例、あなたの会社だけでなく、いろいろな会社においてもそのようなことが存在していると思うのでありますが、たまたまあなたの会社を、きょうのこの場所における一つの具体的な例として取り上げているわけでありますけれども、いまきわめて経済が不況である、こういう状況の中において、みずからの会社でも仕事量がないのだから、まず最初に下請を切る、下請に仕事を出さない、そしてこの際、いわゆる労働者に対する必要以上の首切りをやる、こういうようなことが行われているということが、一般的な通念というか、考え方であります。このようなことをあなたの会社でもやっておられるかどうか、あるいはどういうような態度で臨まんとしておられるか、この点ひとつ要点で結構ですから、お答え願いたいと思います。
  297. 小寺新六郎

    ○小寺参考人 お答え申し上げます。  当社といたしましては、御承知のように、繊維事業は戦後未曽有の不況に遭遇いたしております。御承知のように、製品、糸代が原綿代を下回るといった極端な事態にも遭遇いたしたこともございます。かような状況でございまして、繊維会社といたしましてはあらゆる合理化を図りまして、われわれといたしましても、紡績の自動化、これによって人員も大幅に引き下げ、合理化に徹しております。そのほか経費の合理化、こういったことを懸命にやっておるわけでございますが、この長期成長発展から低成長への転換に際しまして、このひずみはまことに大きなものがございまして、オイルショック以来、諸原料は急激に高騰し、これらの努力にもかかわらず、非常な苦境にあえいでおるわけでございます。  ただ、われわれは繊維の合理化に努めるのみならず、これを補完する非繊維の事業の拡大にも日夜注力いたしておる次第でございますが、何分にも、短時日の間の経済的大きな変革というものに直ちに対処するということはむずかしゅうございますので、こういった非繊維部門の人員の配置転換、こういったことも、事の急速の余り、なかなか実現がむずかしい、かような事態でございますので、完全雇用を維持する最大の努力をして、その上でなお必要とならば、希望退職等の措置も考えざるを得ない窮地に追い込まれているのが現状でございます。  以上でございます。
  298. 佐野進

    佐野(進)委員 苦しい実情を、私も理解しないわけではありませんが、やはりまず最初に下請を切る、そして仕事を出さない、その中でみずからだけが生き残ればいい、こういうような考え方は、この際新しい企業倫理としても、当然再考を要するものではないか。いわゆる、必要なときにはどんどんどんどんふやしていく、系列会社にして締めつけをやる、必要がなくなったら仕事をやらない、これを切っていく、こういうことでは、大企業横暴のそしりは免れないと思うのであります。そういう点については、この際やはり厳しく自己反省をしていただかなければならぬと思うのです。そしてまた、いま起きつつある、先ほど来西陣の社長さんからお話のあった、一系列会社である西陣撚糸の問題、この種問題については、一つの社会的問題としても重要な課題であろうと思うのであります。労働大臣通産大臣に、この点聞きたいと思ったのでありますが、時間的制約がありますので聞きませんが、少なくともこの種問題の処理については、二百三十億近い大企業が、一千万の企業に対してそのような仕打ちをしたという、そういう批判を残すような処置はきわめて好ましくない、こう考えるわけであります。したがって、この点について具体的に解決を行うお気持ちがあるかどうか、その所見を承っておきたいと思うのであります。
  299. 小寺新六郎

    ○小寺参考人 ただいまの先生の御質問にお答えさしていただきます。  時間の関係もございましてか、事実関係のことにつきまして、私の発言が許されなかったということにつきましては、まことに私としては残念でございますが、これも時間の関係でやむを得ません。先ほど下請企業社長様からお述べになった事実につきましても、われわれとしては相当な見解の相違というものは持っておりますが、いま先生がおっしゃいましたように、大企業の力をもって中小企業の理屈の通った主張を抑えつける、こういった態度は、私の最も好まざるところでございまして、下請企業とは常に話し合いのもとで、合理的に解決をしていこうと考えております。  西陣撚糸につきましても、昭和三十三年以降一貫して月四十トン、年四百八十トン、もちろん景気の好不況はございますから、一時四百五十トン、六十トンに落ちたことはございますが、とにかく倒産の日まで、四百八十トン、四百五十トンを中心にいたしまして、綿々と一月も一日も休まず、糸の供給を果たしてきております。もちろんその間にエラスロンあるいはニューエラスロン、プリマロンと、品質の出入りは、ファッションその他の関係によって、ございましたが、われわれメーカーは一貫して西陣織物に一定の糸を供給しておるという実績を見て、われわれが不当な押しつけをする考えはないということを十分御理解を願いたい。もちろん、今後われわれは中小企業方々と接するに当たりまして、対等の立場というよりも、中小企業方々の立場を十分理解して積極的に物事を進めたい、かような考えでございますので、よろしく御指導のほどお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
  300. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、時間が参りましたので、最後の質問をいたしたいと思います。  まだいろいろ、ユニチカの社長さんには、質問してみたいと思う点がたくさんあったわけでありますが、あなたも、事実関係を述べたいが時間がないので残念だ、こう言っておりますが、私の方も残念なんですが、時間の制約がありますから、仕方がありません。  そこで私は、最後にユニチカの社長さんに御質問してみたいと思うことは、理念としては、いまあなたが言われたことは大変結構だと思うのです。しかし、具体的にあなたの理念が全社員に——大企業でありますから、全社員に浸透するということは、きわめてむずかしいと思うのであります。特に、その地域におけるところの発注者のとる態度というものが、それぞれ系列、関連の企業に与える影響というものはきわめて強いわけであります。特に、この問題が発生して以来、いわゆる殿村発言というのが新聞紙上幾多の事例として引かれておるわけでございまするが、そういう点につきまして、この種指導について、いわゆる社会的な反響を巻き起こした大企業としての責任についてどうお考えになっているかということを、ひとつお聞きしたいと思います。  それから、西陣撚糸の社長さんに最後にお伺いしたいことは、今回の件を通じて、私どもが実情を調査した中において、いわゆるいろいろな倒産という形の中において、あなたが倒産さしたということにおいて、多くの人たちに大変悪い影響、不幸な状況にしたということもあるわけであります。これについての責任と、そして、あなたがその責任を感ずる中で、どのようにこれらの問題について、大企業なり政府なりに対して、考えておられる点があるかということについて、お答えをいただきたいと思うわけであります。  さらに、河本大臣、長谷川大臣にお伺いしたいことは、この種事件は単に氷山の一角である。したがって、この種事件をなくして、いわゆる大企業、中小企業が、あなた方が言われるように、一体となって日本経済の発展のために尽くそうとするならば、より弱い者の立場に立つ中小企業に対して、この種事件が発生する直前だという形の中で、中小企業庁なりそれぞれの関係省が、積極的なきめ細かな行政指導をすることによって、この種問題が防げるのではないか、こう考えますので、その点の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  301. 太田吉郎

    太田参考人 いまありました……。もう一度言ってくださいませんか。
  302. 佐野進

    佐野(進)委員 あなたの責任
  303. 太田吉郎

    太田参考人 私の責任につきましては、私が倒産いたしましたことに対しては、深く責任を感じております。現在、私はユニチカに対しまして訴訟を起こしております。この金をもちまして、一般債権者に充てたり、また先ほど述べましたように、再起活用の資金に充てたいと思っております。  また、大企業に対する憤りは、私は大変持っております。このような仕打ちを受けるのは、もう私一人で結構と思っております。ですから、今後このようなことのないように、政府もよく御指導願いたいと、この席をかりまして、よろしくお願いする次第でございます。
  304. 小寺新六郎

    ○小寺参考人 先ほど私が、下請企業、中小企業との取引態度につき所見を申し上げましたのでございますが、ただ、私が理解しておるだけではなく、御指摘のように、全従業員にこれを徹底して、その意識を植えつけることが必要でございますので、その点につきまして、私は社内の教育に格段の努力をいたしまして、周知徹底さすように、今後やっていきたいと思います。よろしく御指導願いたいと思います。
  305. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私は、一昨年のオイルショック、それから昨年の一月以来、大企業、大会社、商社、こういう会合に出まして申し上げていることは、こういうときにこそ、大企業、大商社の社会的責任をはっきり果たしてもらいたい。自分の職員はもちろんのこと、関連産業、下請を通じて、一人も離職者を出さないようにすることが大事なことだという話をしております。ただいまのことは本当に残念なことでありまして、お互い、こういうことがそちこちに起こるようなことがないように願いたい。  そこで一つ申し上げますと、この問題につきましては、その解雇者が八十七名ということでございますが、福知山の私どもの方の職業安定所を中心として、綿密な職業指導と職業相談をやりまして、すでに三十八名は再就職がはかられて、残る者につきましても熱心にあっせんに努めていることも、御理解いただきたいと思います。
  306. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在のような景気の状態でございますと、ややもすると、全国各地でこういうことが起こりがちでございますが、地方の通産局が八つございますから、近く通産局長会議もございますので、その際にできるだけこの触手を伸ばしまして、こういうことを事前にキャッチいたしまして、トラブルが起こらない前に解決していく、そういうふうに指導させるように厳重に通達しようと思っております。
  307. 佐野進

    佐野(進)委員 終わります。
  308. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 これにて佐野君の質疑は終了いたしました。  太田参考人、小寺参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。御退席を願って結構でございます。  次に、中島武敏君。
  309. 中島武敏

    中島委員 青木さんにお尋ねしたいのですが、あなたが中公審の大気部会や自動車公害専門委員会に随行して傍聴し、克明にメモをして自工会各社に配付した問題は、国会でも非常に大きな問題になっております。  あなたの傍聴を許したのは、環境庁の大気保全局長でありますが、大気保全局長の答弁によりますと、あなたは家本さんの分身、手足、かばん持ちであるということで、傍聴を許したということになっております。どなたに指示されて随行されたのか、家本さんに指示されて随行されたのか、まず最初に伺いたいと思うのです。
  310. 青木道一

    青木参考人 お答え申し上げます。  中公審の自動車公害専門委員会へ家本委員に随行につきましては、家本委員から指示がございました。なお、環境庁の方からは許可をもらっているから、同行するようにという御指示がございましたので、一緒に参ったものでございます。
  311. 中島武敏

    中島委員 昨年の八月三日の大気部会、これは第十回の大気部会ですが、これにも、岩越さんに随行されておられますが、これはどなたの指示でございますか。
  312. 青木道一

    青木参考人 お答えいたします。  大気部会の方につきましては、私どもの方の中村専務理事から、随行するようにというふうに指示がございましたので、同行いたしました。
  313. 中島武敏

    中島委員 十二月十日の第十一回の大気部会、これはどなたの指示でございますか。
  314. 青木道一

    青木参考人 同じく中村専務理事からの指示でございました。
  315. 中島武敏

    中島委員 岩越さんは自工会の副会長であります。また、川又さんは自工会の最高顧問であります。家本さんは自工会の理事で、安全公害委員長をなさっておられるわけであります。いまあなたのお話を伺っておりますと、手足とかあるいはかばん持ちとか、いろいろ言われているのですけれども、その都度、家本さんの指示であったりあるいはまた中村さんの指示であったりということで、要するにこれは家本さんの分身というようなことも言われているんですけれども、しかし、だれかれの分身に適当になれるという分身もないものだと思います。そういう点では、私は、やはり自工会の幹部、これに従って行くというのがあなたの立場か、ということを伺いたいのですが、いかがですか。
  316. 青木道一

    青木参考人 お答えいたします。  専門委員会の件につきましては、先ほど申し上げましたように、家本委員から随行するようにと言われたものでございまして、私自身としては、個人的にいろいろな関係で、安全公害委員会の事務局をしております関係もありまして、そういう意味で、個人的にお話があったんだと思っておりますし、大気部会の川又委員なり岩越さんに随行いたしましたのは、専務理事から随行するようにとお話がございましたので行っておりますので、自動車工業会の人間として同行したつもりはございません。
  317. 中島武敏

    中島委員 あなたがつもりがあるかないかということは別にして、実際には、いまさっき私申し上げましたように、事実上そういうことになっているということは明瞭なことだと思うのです。さっき申し上げたように、岩越さんは自工会の副会長でありますし、そしてまた、川又さんは自工会の最高顧問でありますし、そして家本さんは自工会の理事であり、かつ安全公害委員長であられるわけですね。そういう点では、私はやはり、分身分身と言いますけれども、それがあなたの立場じゃないかというように思うのです。  続けてお伺いしたいと思うのですが、昨年の八月二十日の五十一年排気ガス規制に関する懇談会、このことについて伺いたいのです。  これは、この間、十四日の衆議院公害環境特別委員会家本さんに来ていただいたときに、概略は家本さんにもお尋ねしたのですけれども、この懇談会は自工会の会議室で行われ、そうして中村俊夫専務のあいさつがあり、そうして家本安全公害委員長のあいさつがあり、あなたの経過報告、つまり第十回大気部会、二十三回自動車公害専門委員会の議事要旨の説明、そしてさらに各社の意見交換が行われ、そしてまた、参議院の公害環境特別委員会におきます参考人招致の問題と、それをめぐる意見交換などがやられていたと思うのです。あなたはメモをとるのがずいぶんお好きな方のようですから、これもメモをとっておられるかとも思いますが、この懇談会の大筋は、私が言ったような懇談会だったと思うのですが、いかがですか。
  318. 青木道一

    青木参考人 お答えいたします。  八月二十日の技術懇談会が工業会の会議室で行われたことは、そのとおりでございますが、内容につきましては、家本委員からのお話なり、私が大気部会なり専門委員会の概要を御説明した記憶がございますけれども、それから、おいでになった方々意見交換があった記憶がございますけれども、詳細については、いま記憶をしておりません。
  319. 中島武敏

    中島委員 いまあなた、八月四日と言われましたが、八月四日ではなくて八月二十日ではありませんか。
  320. 青木道一

    青木参考人 私が言い間違えたと思います。八月二十日でございます。
  321. 中島武敏

    中島委員 あなたの経過報告、つまり、この第十回大気部会とそれから第二十三回の自動車公害専門委員会の経過報告、これは家本さんの指示でおやりになられましたか。それとも原田さんの指示でございますか。
  322. 青木道一

    青木参考人 私が概要の御説明を申し上げましたのは、家本委員からの指示で御説明をしたと記憶しております。
  323. 中島武敏

    中島委員 この会議の席上で配付されました第十回大気部会議事要旨、これにどういうことが書いてあるかといいますと、八田委員が、「五十年のフォローアップだけで大変だ。その上五十一年対策を行うのは困難である。五十年対策でも燃費が悪化している。五十一年対策では特にひどいエネルギー問題が起きてくる。日本だけ厳しい規制はNTBのおそれ、輸出へのはね返りが心配である。しかし何かやらなければならない」ということが書いてある。さらに、「N02の環境基準についても、少し問題がないか、委員会でも取り上げられるであろう」というようなことがこの中に書かれてあります。それから鈴木委員につきましては、「N02だけ切り離して影響を見ることはあり得ない。必ずS02と共存している。室内暖房などの問題は個人因子であり、大気の問題は集団因子だ。環境基準は集団因子を取り上げたものである」というような発言が載っております。また伊藤委員につきましては、「環境基準の達成とスモッグ対策のため固定発生源は最大の努力、移動についても一層の努力を望む。」ということが言われている。黒川委員につきましては、「光化学スモッグの」ちょっと省略しまして「鉄鋼関係も研究している。自動車も努力を求む。」というようなことが、この懇談会の席上で配られた議事要旨、この中に載っているわけであります。  それで、この問題について、あなたは議事要旨の説明を行われて、「八田委員は業界に対して理解ある意見を述べた。鈴木委員は、八田委員がNOXの環境基準を見直す必要があるのではないかと述べたのに対して大変反対されたので、自動車公害専門委員会でNOXの環境基準の問題、これを議論をしても大気部会ではむずかしいであろう」というようなことを言っておられる。また「伊藤委員、黒川委員は、自動車業界に対して厳しい意見を述べたのが注目された。」というふうに会議の模様を報告しておられますね。そうでございますね。
  324. 青木道一

    青木参考人 概略の御説明はしたと思いますが、細かくそのような御説明をしたかどうかは記憶がございません。
  325. 中島武敏

    中島委員 記憶がない——私は、いま念のために議事要旨、あなたがこの経過についての報告をされているものを読み上げたわけであります。そして、あなたの記憶がはっきりした方がよろしいと思って、そのことを申し上げたんですが、こんな大事な問題について全然記憶がない、そういうふうに言われるのですか。
  326. 青木道一

    青木参考人 先ほどお答え申し上げましたように、概要の御説明はしたと思いますが、そういうふうに申し上げたかどうかは、記憶がございません。
  327. 中島武敏

    中島委員 記憶がないということは、こういう報告をしなかったということではありませんね。はっきりしていただきたいと思うのです。
  328. 青木道一

    青木参考人 記憶しておりません。
  329. 中島武敏

    中島委員 それでは重ねてお尋ねします。  参議院の公害環境委員会で、自動車メーカーの代表を参考人として招致して意見を聞くことになった件について、通産省の富永自動車課長から打診がありましたですね、覚えておられますか。
  330. 青木道一

    青木参考人 私にはございません。
  331. 中島武敏

    中島委員 あなたは記憶喪失にかかったわけではないと思うんですが、片っ端から記憶がない、記憶がないというふうに言っておられる。記憶がないということを言えばそれで済むという性質のものではないんです、これは。もっとしっかり答えていただきたいと思うんです。この懇談会で、あなたはメモをとられましたか。
  332. 青木道一

    青木参考人 メモはとっておりません。
  333. 中島武敏

    中島委員 この会議では、どなたもメモをとりませんでしたか。あなたがいまメモをとらないと言われましたけれども、たとえば別の方、技術部次長の谷本行雄さんとか、あるいは技術課長の谷口貞雄さんとか、そういう方もメモをとられませんでしたか。
  334. 青木道一

    青木参考人 とらないと思います。とっていないと思います。
  335. 中島武敏

    中島委員 これはもうはっきり間違いのないことですね。  さらに、私お尋ねしたいと思うんです、この会議のことを。この懇談会で通産省の森口機械情報産業局長から、中公審の大気部会や専門委員会の各委員に対して、事前に十分根回しをしておくようにということが再三にわたって要請が来ている。このことについて中村専務から報告がありましたね、いかがですか。これもまた記憶喪失ですか。はっきりお答えいただきたいと思うんです。
  336. 青木道一

    青木参考人 記憶がございません。
  337. 中島武敏

    中島委員 何もかも記憶がないと言えばそれで済むと思っておられるのかどうか、もっと本当にしっかり答えていただきたいと思うんです。  家本さんにお尋ねいたします。この懇談会を主宰されましたのは家本さんでありますから、そしてこの間の、十四日の衆議院における公害環境特別委員会の際に、この懇談会の内容について、一部私お尋ねいたしました。そうしましたら、はっきりした記憶がないというふうに言われました部分もありますし、また言葉どおり、そのとおりだったかどうか余りはっきりしないというふうに言われた部分もあります。あの十四日から、もうすでに一週間近くたっているわけでありますから、この懇談会のことについて、十分に思い出す機会がおありだったと思うんです。いまの問題について思い出しておられるかどうか、思い出しておられるんじゃないかと思うんですけれども、お答えをいただきたいと思うんです。
  338. 家本潔

    家本参考人 青木参考人から申し上げましたように、その会議の議事録というものは手元にとってないということで、私自身もとってありませんので、さかのぼって正確なことを調査する手だてがございません。したがいまして、前回申し上げました以上に、私が申し上げることは今日ございません。
  339. 中島武敏

    中島委員 あなたが主宰された会議ですよ。記録があるかないかということももちろん大事ですけれども、しかし記憶があるかないか、あなたが主宰された会議なんです。何が問題になったか、それはあなたが一番よく知っておられるはずです。率直なお答えをいただきたいと思うのです。どうもはっきりしていないというあいまいなことじゃなくて、その点もっと明確にお答えいただきたいと思うのですが……。
  340. 家本潔

    家本参考人 私は前回ヒヤリング資料について詳しく申し上げました。それから、各社の意見を聞くために集まってもらった会でありますけれども、各社からは積極的な意見はございませんでした、ということを申し上げました。それから、業界代表という言葉を使ってあいさつをしたではないかという御質問に対しましては、私の立場は学識経験者として委員に任命されておる、こういうことで任務を遂行してきたつもりである、ということは別に申し上げまして、したがいまして、その会議の主宰は、そういう立場から主宰をいたしました。業界代表という言葉を使ったかどうかについては、私の記憶はさだかでございません、しかし内輪の会議でありますので、場合によってはそういう言葉を使ったかもしれません、ということを申し上げました。  以上でございます。
  341. 中島武敏

    中島委員 皆さんよく覚えておられる部分もあり、また非常に忘れてしまっておられる部分もあるというのが、どうもこの会議についてのお答えのようであります。  中村さんにお伺いしたいと思うのです。この森口機械情報産業局長からの問題を報告されたのは、中村さん、あなたです。それで根回しの協力を頼まれたのも中村さんでありますから、幾ら何でも、お忘れになったということはないと思うんです。はっきりお答えいただきたいと思うんです。
  342. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 お答えいたします。  八月二十日の会合につきましては、私もほとんど記憶がございませんで、この間、記者会見で共産党の不破先生から出ましたときに、全くその内容については覚えておりませんでした。また、私の方のただいまの青木参考人も記録を持っておりませんし、私自身も持っておりません。したがいまして、次善の策といたしまして、そのほかの各社の出席者の方にいろいろとお話を伺ってみました。その結果、私が忘れていました部分で思い出してきた部分もございます。ただ、いま先生の御指摘の、森口局長から再三根回しの要請があったというようなことを私がその委員会で伝えたということは、どうしても記憶を呼び戻すことができませんでした。
  343. 中島武敏

    中島委員 いろんな責任あるそれぞれの方にお尋ねしてみたんですが、肝心なことについては記憶がないというふうに言われるんですね。私の方で入手している懇談会のメモ、これには非常にはっきりと載っているのです。  委員長、メモをタイプしたものですが、持参しておりますので、参考人に渡したいと思うんですけれども、よろしゅうございますか。
  344. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 結構でございます。
  345. 中島武敏

    中島委員 お伺いしますが、中村さんは、これは私が言うまでもないのですけれども、昭和二十一年に通産省に入省されて、四十年に重工業局の自動車課長をやっておられる。この時期に現在の自工会ができたわけであります。四十六年通商局の次長をやられて、四十七年に自工会の専務になられております。そしてその間の事情について、「日刊自動車新聞」においては、こんなことを書いているのです。「通産省としては是非ともこのポストを握っておきたいところ。」これは専務理事のポストのことであります。そして、「通産省内で事務次官、官房長の間で人選が進められてきた結果、現同省通商局次長の中村俊夫氏に白羽の矢がたったもの。」というようなことがこの新聞では書かれておりまして、いわば自工会への出向人事というようなものじゃないかと私は思うのです。  それから、片や森口局長のことでありますが、ちょうど四十二年に中小企業庁の課長をやっておられたり、四十五年には公害保安政策課長をやっておられて、四十六年公害部長、四十九年機械情報産業局長ということで、いわば同じ通産の大変古い仲間であります。率直に言って、ざっくばらんな間柄と申し上げてもいいんじゃないかと思うのですが、こういう、いまさっき申し上げたような話が出てきても、私は不思議はないと思うのですけれども、それでもいまお見せしたメモ、これによりましても、なおかつ思い出されないでしょうか。私は本当に率直な中村さんの意見と申しますか、記憶ですね、はっきりした答弁というものを再度求めたいと思うのです。
  346. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 私は、先生のおっしゃるとおり通産省出身でございます。森口局長とは、もちろん先生のおっしゃるような大変じっこんな間柄であることは間違いございません。ただ、昨年の八月ごろというのは、まだ森口局長局長になられてそう日もございません。実は私も、通産省に、ごあいさつにも、ほとんどすれ違って行かれないというようなことでございまして、むしろ疎遠にわたっておって、大変失礼しておったというようなことでございます。特にまた、そのころ私はちょうど外国の客が夏休みに参りまして、その人たちと一緒に旅行などしておりましたので、あまり、もちろん昔からじっこんではございますけれども、そういうことについて、仕事の上で接触をするという機会は、むしろ非常に少なかったとというのが実情でございます。したがいまして、また先ほどの、もう一度思い出してみろと先生のおっしゃることでございますけれども、いまのメモを拝見しましても、私はどうも、そういうふうに言った記憶が全然ございません。
  347. 中島武敏

    中島委員 あなた、なかなか思い出してくださらないものですから、私の方でいろいろなことを言わなければならなくなってくるのです。  森口局長ですが、大変失礼ですが、昨年の十一月一十九日に、環境庁の春日大気保全局長に申し入れをやっておられる。これは八百七十五キログラム以下〇・六に、それから重量車と軽の四サイクルは一・〇に、そして暫定値は三年というようなことを申し入れられているのです。春日大気保全局長青木さんに対して傍聴を許された局長でありますけれども、しかしさすがに、メーカーでさえ〇・九可能だと言っているんだということで、一・〇というのは余りにも甘過ぎるんじゃないかということを回答された。そうすると森口局長の方は、それはメーカーの行き過ぎだというような、まあ大変なことを言っておられるわけであります。これは新聞の報道しているところでありますが、同時に、この間の商工委員会におきましても、米原議員が、この問題について森口局長にただしました。そのとき、森口局長は否定しなかったということであります。  私は、こういう点、何も好きこのんで申し上げているわけじゃないのです。しかし事は非常に重要な問題でありますから、本当にきちんとしていただきたいと思うものですから、こういうことをわざわざ申し上げているわけであります。これでもやはり、この会議に参加された皆さんは、はっきりしない、いまでも記憶がはっきりしないというふうに言われるのでしょうか。
  348. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 お答えいたします。  先ほどの、十一月何日かでございましたか、森口局長と環境庁とのお話は、私は存じておりません。  それから、そういう森口局長が、いろいろ大変御理解があるという御趣旨だろうと恐らく思うのですけれども、そういう間柄であっても、私はあの八月の初めごろには、そういう状況にはなかったと思います。と申しますのは、根回しという言葉でございますけれども、何か非常に具体的なものを持っておって、それをどなたか第三者に押しつけると言いますか、お願いするとかいうのがまあ根回しだろうと思いますけれども、あの八月の二十日の時期には、まだ中公審の方も、再審議をする、延期をするか暫定値を設けるかどうかということが議論になっている程度の状況でございますし、それからまた、私らの方の業界も、いろいろヒヤリングでもまちまちな意見を出しておる状況でございます。したがいまして、まだそういう、何か自工会あるいは業界として、特定の意図を持ったようなことを働きかけるような時期ではなかったと思います。  そういうようなこともあって、先ほどから先生たびたび、思い出せ、思い出せとおっしゃいますけれども、私はどうも記憶がございません。
  349. 中島武敏

    中島委員 メモをよくはっきり見てもらいたいと思うのです。そして、あなた方の方は先ほどから、記録がないとかいうようなことをいろいろ言っておられるのですけれども、そのとき中村専務は、参加した人たちに、根回しのことで協力をお願いするかもしれぬから、そのときはよろしくということまではっきり言っておられるわけなんですね。それでもまだ思い出されないということなんでしょうか。  私はこの問題について、第十回の大気部会と第十一回の大気部会、ここに何らかの変化があるかなと思って、よく読んでみたのです。そうすると、どうも調子が変わっているというようなことも感じたりするのです。これはあるいはこの根回しの効果があったのじゃないかなあという感じさえするのですけれども、どうです家本さん、この問題に一番詳しくタッチしておられる家本さんの御意見を聞きたいと思うのです。
  350. 家本潔

    家本参考人 御質問の要点がちょっと聞き取りにくかったところがございますので、恐れ入りますが、もう一度おっしゃっていただけますでしょうか。
  351. 中島武敏

    中島委員 私は事細かなことを聞いているのじゃないのです。あなた方、記憶がない、記憶がないということを言うものですから、ですから、いろいろ根回しを頼むとかいうようなことをやり、中村さんの場合にもそういうことをやられておるわけですけれども、この自動車公害専門委員会に出ておられるあなた、そして議事要旨をつくられた家本さんにお尋ねしたいと思っているのですが、第十回大気部会と第十一回大気部会との間には、どうも調子が違っておるというようなものを私は感じるのですよ。そういう点で、あなたはそんなふうには感じられないかどうかという問題なんですね。
  352. 家本潔

    家本参考人 私自身はその間に何ら——審議の過程を通じて、大気部会の内容が変化したかもしれませんけれども、私どもが何かしたことがあったかどうかは別といたしまして、私どもが何かしたかどうかということによって、大気部会のニュアンスが変わったというふうには全然考えておりません。  以上であります。
  353. 中島武敏

    中島委員 黒川委員は八月三日の大気部会のときには、固定発生源の方はNOxでやっているのだから、自動車の方も努力しろというような意見を述べておられますね。それで、今度は十二月十日の大気部会になりますと、自動車公害専門委員会の報告、これを、専門の方が検討した結果だから、すべての人に満足でなくても、部会としての答えにしたいと積極的に表明しておられる。大分根回しがきいてきたのかどうか知りませんけれども、またそんなことを言いたいわけでもないのですが、初めは非常に厳しいというふうに青木さん自身が評価しておられた。それがむしろ非常におとなしくなっておるようなことを感じるのです。私は何も黒川さん個人をどうこうという話をしようと言うのではありません。はっきり申し上げておきます。やはりその間にいろいろな変化が起きているということを、私自身としては感じるわけであります。  それでは、この問題についていろいろと記憶を呼び起こしていただきたいと思って、いろいろお尋ねしているのですが、ここに豊田さんの社内報で「トヨタ新聞」と申すのがあります。ことしの一月一日付のものです。ここで豊田社長はどういうことを言っておられるか。「一方、これに追い打ちをかけるように六月ごろから五十一年度規制への動きが活発化した。」そのとおりでありますね、六月ごろから五十一年度規制に対する動きが活発化した。「そこでわれわれは「あらゆる可能性を追求しているが現段階では技術的に不可能」「五十年度規制対策車の信頼性や耐久性など、商品としてのフォローアップを進めなければならない時に、続いてさらに厳しい規制を実施するのは無理がある」として、規制値の決定は総合的かつ慎重にしてもらうよう関係方面に対して大いに働きかけた。」というふうに言っておられるわけであります。豊田社長自身が「関係方面に対して大いに働きかけた。」ということを言っておられるわけであります。  さて、いまさっきの話に戻りますが、やはりいろいろなところに根回しをしておく必要がある、大気部会の先生にも、それから専門委員会の先生にも、各委員の人たちにも根回しをしておく必至があるということを再三にわたって言われた。この問題とこのことはかかわりはあるじゃないか。豊田社長自身がこういうふうに言っておられるわけでありますから、私はそういう点で、やはり実際のことははっきり申していただきたいということを思うのです。
  354. 豊田英二

    豊田参考人 私が社内報で述べておることに間違いはございません。しかしながら、いま先生が御質問をされております八月二十日の懇談会の席の問題とは関係のない問題だと考えております。
  355. 中島武敏

    中島委員 もうすべて記憶がなかったり、それとこれは別であるというようなことでやってこられているのですが、森口機械情報産業局長から話がなかったということが、これだけ申し上げてもはっきりしないのです。記憶がないということなんですね、はっきり申して。そういう話はなかったということは明言できないでしょう。明言できるんだったらはっきり明言してもらいたいのですけれども、しかしそこははっきり言えないというのが本当じゃありませんか。いままで私はずいぶん詳しくお尋ねしてきた。ところが、この問題はちっともはっきりしない。つまり、そういう話があったかどうかについては記憶がないと言われる。しかし、なかったということをはっきり言うことはできないでしょう。中村さん、あなたがこれを言われたのです。もう一度はっきりしたお答えを聞きたい。
  356. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 お答えいたします。  私は、いまのいただきましたメモにありますような、森口局長から再三再四にわたってということを言った記憶がございません。それでは、記憶がないということは言わなかったのかということでございますが、先ほども申し上げましたように、もちろんわれわれは八月二十日に限らず、審議会の委員の先生とかいろいろな関係の官庁の方々とかに、業界の実態をよく理解していただくということは必要であろうと思います。ですから、そういう意味であれば、これは従来からやっておることでございます。したがって、もしかりに局長から私にそういう発言があったとしても、それは根回しをしろというのではなくて、よく実情をわかってもらうようにしなさいという程度のことぐらいは、あるいはその時期においてはあったかもしれません。ただ、先ほど申しましたように、中公審の審議の状況も、それからわれわれの業界の中の状態も、そういうような根回しをしてどうのこうのするというような事態ではなかったということからして、私はむしろなかったというふうに考えた方が、いまは適当じゃないかと思っております。
  357. 中島武敏

    中島委員 なかったというふうに言うことが適当じゃないかと思っているという話であり、また、実情をもう少し理解してもらうようにやれというような話だったら、あったんじゃないかと思うということをあなたは言っておられるのですね。私はあなたの答弁を聞いていて思うのは、私が先ほどから言ったような問題については、それははっきりした記憶がない、しかし業界の実情を各方面に知ってもらうように努力はしなければならぬよというような話だったら、森口さんの方からあったかもしれない、こういうことを言っておられるわけですね。そうでしょう。首をひねっておられますけれども、いま言われたのはそうじゃありませんか。もし私の確認が間違いであるならば困りますから、はっきりしてください。
  358. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 お答えいたします。  いま私は、もしあったとしたらということを申し上げたのであって、森口さんからそういう、よく実情を説明しろという話があったということを申し上げたのではございません。もし話があるとすれば、その話はそういう程度の話ではないかと思います、しかしそれがあったかどうかは記憶がございませんと申し上げているわけです。
  359. 中島武敏

    中島委員 通産大臣、本当に大臣ごらんのとおりなんです。私は無責任に物を申しているのではないのです。はっきりした確実な資料に基づいて、いまの話を確かめているのであります。ところが中村専務は、答弁においてはあいまいな答弁に終始しておられると思うのです。排ガス規制という問題は、人間の命と健康にかかわる非常に大きな問題である、そこへ持ってきて通産省は、通産省が中公審の委員に工作をしろ、根回しをしろというようなことを要請する、もってのほかだと私は思うのです。こういう点について、幾らお尋ねしても、資料を見せても、それでもはっきりしたことは言えない。しかし否定することはできない。これは一体何を物語っているか。このことは、私はあったということを本当は証明しているんだと思うのです。  私はそういう点で、通産大臣のこの問題についての責任ということについてお尋ねしたいと思うのです。どういうふうに考えておられるか、お尋ねいたします。
  360. 河本敏夫

    河本国務大臣 いろいろ質疑応答を拝聴いたしました。しかし、排ガス規制ということは非常に重大なことでございまして、新しい内閣の大きな公約の一つでもございます。でありますから、今度規制値が出ましたが、それが一刻も早く実現するように、私は指導していきたいと思います。過去にいろいろいきさつがあったようでありますが、誤解を受けることのないように今後はやっていかなければならぬ、かように思います。
  361. 中島武敏

    中島委員 いまの話を聞いていて、過去にいきさつがあったというふうに言っておられるのですけれども、私はもう少しはっきりした認識をしていただきたいというふうに、大臣に対しては思います。  引き続き、家本さんにお尋ねしたいと思うのですが、昨年の暮れから排ガス試験法分科会でいろいろやっておられますが、そして各メーカーの間ではいろいろ意見があったわけですが、二シグマに落ちついたようですね。この点についてどうだったか、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  362. 家本潔

    家本参考人 最終的に二シグマに決まったかどうかは、私はまだ存じません。しかし、そういう二シグマであるべきか二シグマであるべきかという議論が繰り返してなされておりましたことは確かでございます。
  363. 中島武敏

    中島委員 この分科会ですが、昨年の暮れ二度やられておりますね。いつだったか覚えておられるでしょうか。
  364. 家本潔

    家本参考人 私はその日にちを存じておりません。
  365. 中島武敏

    中島委員 これはしかしおかしな話なんです。家本さんは自工会の安全公害委員長であります。そしてまた自動車公害専門委員会の委員として、この問題は、自動車公害専門委員会の中でも非常に大きな問題になっておる。そしていま家本さんが言われましたように、こういう議論がいろいろ行われたということについては知っているけれども、しかしいつやられたかということについては知らないということなんです。私はやはり率直にお答えいただきたいと思うのですけれども、私の方から申します。十二月の十八日は日産の本社でやられております。それから十二月二十三日は自工会でやられております。思い出されませんか。
  366. 家本潔

    家本参考人 私は安全公害委員長でございますけれども、試験法分科会は、安全公害委員会の中の公害対策部会のその下部機構でございます。そういうことで、いつどこでその会議が行われるという報告を、いままで慣習として受けておりません。そういうわけで、私は承知していないというふうに申し上げたわけでございます。
  367. 中島武敏

    中島委員 私はあなたの答弁、非常に解せないのですよ。組織としても、下部機構のそのまた分科会ということであります。しかも、あなたは一番この問題については責任を持っておられる方なんです。あなたのところに報告がまるっきり来ないというようなことは、これは信じがたいことなんです。やはりもっとはっきりしていただきたいというように思うのです。  なお私は申します。この分科会結論は、二シグマにするか三シグマにするかということで、いろいろ異論があったのですけれども、とりあえず運輸省に対して打診することになっております。これは打診いたしましたか。これも全然報告は受けておりませんか。
  368. 家本潔

    家本参考人 運輸省に対して意見具申をしたということは聞いております。
  369. 中島武敏

    中島委員 それはいつでしょうか。
  370. 家本潔

    家本参考人 先ほど来申し上げておりますように、慣習として、分科会活動の詳しいスケジュールは、私の手元に提出されないことになっておりますので、その日にちは、私は存じません。
  371. 中島武敏

    中島委員 どうもはっきりしないのですね。運輸省に意見具申をしたことははっきり覚えておられる、しかしいつだれがやられたか、これははっきりしない。大変な答弁だと私は率直に思うのです。暮れの二十五日じゃありませんか、やられたのは。思い出されますか、出されませんか。
  372. 家本潔

    家本参考人 思い出すかどうかということではございませんで、私の手元にそういうスケジュールが届くという慣習になっておりませんので、私は存じませんというふうにお答えしたわけでございます。
  373. 中島武敏

    中島委員 じゃさらにまた、別のことについてお尋ねいたします。  家本さんにお尋ねしたいと思うのですが、原田公害部会長は、運輸省の北川課長と十二月十六日に会談をやっておられる。内容について、また覚えていないとかいろいろなことを言われますので、二、三私の方から申しますけれども、五十一年規制の実施時期の問題をめぐって、このときはやられております。新型車は五十一年四月、それから新造車は五十二年の四月というようなことがここで言われております。また五十一年規制の最大値、つまり告示はいつになるかということで、一月の末ごろじゃないか、こういう問題も出されている。それから軽四輪は運輸省の方で収拾をするというようなこともやられている。そのほかのこともありますけれども、こういうことが話し合われているのです。これはお認めになりますか
  374. 家本潔

    家本参考人 先ほど来申し上げておりますように、日にちにつきましては、私は明確にお答えできません。しかし、そういう事柄が公害対策部会の中で論議をされておるということは承知をいたしております。
  375. 中島武敏

    中島委員 公害対策部会の中で論議がされているということは知っている。会談がやられたことについては御存じですか。
  376. 家本潔

    家本参考人 運輸省と会談がされたかどうかは、私は存じておりません。
  377. 中島武敏

    中島委員 大変くどいようですけれども、これはあなたが自動車公害専門委員会の委員をやっておられて、そしてあなたのメモだというふうに言われているものの中に、非常にはっきりとこのことも出てくるわけなんです。無関心であり得ようはずがないのですね。そういう点では、組織が違うんだ、私のところに報告が来ない仕組みになっているんだということを、先ほどから言っておられるのですけれども、あなたのお話を聞いていると、非常に信じがたいわけですね。これだけ私が申し上げても、やはり同じ答弁を繰り返されるのでしょうか。どうですか。もう少しはっきりしていただきたいと思うのです。
  378. 家本潔

    家本参考人 先ほどから申し上げておりますように、部会の諸活動並びにその下部機構である分科会の諸活動につきましては、安全公害委員会の慣習といたしまして、詳細は私のところへ届かない、そういうことで従来から運営されてきておりますので、いまの御質問に対しては、やはり同じお答えを申し上げるより仕方がございません。
  379. 中島武敏

    中島委員 これはもう何度聞いても同じなのですけれども、報告がないと言う。つまり否定することはない、あり得ないということなのですね。いろいろ言っておられますけれども、そんなことは絶対なかったのだということは言えないのです。  私はもう一つお尋ねしたいと思うのです。それは家本さんにお尋ねしたいと思うのですけれども、五十一年規制の実施時期の問題についてなのです。これはトヨタは五十二年の十二月、それから日産は五十二年の十月にならなければ一〇〇%達成はむずかしいという生産計画を、通産、運両省に対して出しておられる。自工会もこれらの生産計画を取りまとめて提出しておられる。さてこの自工会としましては、運輸省の要望提出依頼に対して、こういうふうに要望しておられる。それは全車の対応が完了するのは五十二年の十二月になるので、特別の配慮を願いたいと言いつつ、一応自工会としては五十二年十月を要望したということですね。これは確認をしていただきたいのは、私は存じておりません。ですが、環境庁は五十一年の十二月、運輸省は五十二年の四月、そして通産省は五十二年の七月というふうに言っておられる。この五十二年の七月に上乗せをして十月と、こういうふうに要望しておられますが、間違いありませんね。
  380. 家本潔

    家本参考人 その問題につきましては、安全公害委員会で取りまとめるとか、そういうような行動は一切いたしておりません。したがって、私からその問題についてお答えするよりも、中村専務理事から、事務局として、どのようにそれを取りまとめたかということをお答えした方が至当かと存じます。
  381. 中島武敏

    中島委員 同じことを中村専務にお尋ねいたします。
  382. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 お答えいたします。科会の諸活動につきましては、安全公害委員会の私ども自動車工業会がことしの一月の末ぐらいにこの問題についての要望書を出したことは、確かでございます。その新造の時期については、いま先生がお話になったような十月というふうには申しておりませんけれども、先生がおっしゃったように、「適用時期の決定にあたっては、これらの事情をご賢察の上、混乱をきたすことのないよう格別のご配慮をお願い申し上げます。」というふうな書き方で要望していることは事実でございます。ただ前段の、環境庁がいつで、運輸省がいつで、通産省がいつということは、私は承知しておりません。
  383. 中島武敏

    中島委員 専務にお尋ねしますが、実施の時期だけではなくて、最大値の問題についても要望しておられると思うのです。平均値〇・六の場合の最大値としては〇・九、それから〇・八五の場合には一・二五というふうに要望しておられると思いますが、これは二シグマで。これは間違いないと思うのです。
  384. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 同じ時期に、先生のおっしゃるような要望をいたしております。
  385. 中島武敏

    中島委員 私は運輸大臣にお尋ねしたいと思うのです。  これは業界からまとめて要望書を、わざわざ何か聞く必要があるのだろうか。すでに環境庁は、昨年の暮れに各メーカーに対して告示に必要なデータ、これの提出を求めて、そしてその資料を得ているわけであります。必要な資料はすべて整っているはずであります。そこへもってきて、運輸省の方からわざわざ業界の方の要望を取りまとめて聞くということの必要があるのでしょうか、どうなんでしょう。運輸大臣にお尋ねします。
  386. 木村睦男

    ○木村国務大臣 排気ガスの基準を決めて、それをいつから実施するかということは、実施官庁として運輸省の責任であるわけでございます。決められた基準で車をつくって、そして需要者の需要に応ずるというかっこうになるわけでございますので、運輸省といたしまして、その時期を決めるのには、一体生産の状況はどうなるのかということを当然考えなければ、その時期は決められないわけでございます。そういう意味で、生産側の実情なり状態というものをしょっちゅう知っておかなければいけません。そしていろいろとそれに対して運輸省なりの検討を加えて、そしていつごろにすれば、需要者、国民の側にとっても車を入手するのに適当であるかということを考えてやらなければなりませんので、運輸省側としては、そういう意味で、自動車工業会なりあるいは生産者側なりのいろんな実情を聞くということは当然の責務であると考えておるわけでございます。したがって、いまのまとめての報告を、運輸省が注文をいたしましたのか、あるいは自発的に出されたのか、私つまびらかにいたしませんが、要するに実態をよく知りませんと行政の責任が果たせないので、そういう意味で、いろいろ情報なりあるいは情勢は常に把握する必要があると思います。
  387. 中島武敏

    中島委員 業界の実情を知ることと要望を出させることとは違うのです。これははっきりしておいていただきたいと思うのです。そしてまた、この告示はどこが行うか。これは言うまでもなく運輸省ではありません。環境庁がやるのです。そういう点をはっきり区別をして、私は大臣お答えをいただきたかった。ところがどうもその点が、大臣ははっきりしておらないと思うのです。  それで運輸大臣に重ねて私はお尋ねしますけれども、中公審の答申も出ないうちに、また先ほど、私は知らなかった、こういうふうに言われているのですけれども、実施時期をどうするかというようなこと、あるいはまた、告示は一月末になるだろうとか、軽四輪のことは運輸省で収拾するとか、そういうことが十二月の十六日、まだ中公審の答申が全然出ない段階で、いろいろ話し合われている。そこへもってきて今度は、告示に際してはわざわざ自工会から要望をとっておられる。自工会の方は自工会の方で、いろんな談合をやって、通産省が五十二年の七月だからというので上乗せして五十二年の十月を要望する。先ほど各官庁がどうであるか知らないということを言われましたけれども、しかし事実はそうなっているのですよ。あなた方が五十二年の十月というふうに言うことは、そういうことであります。私は率直に申しますけれども、運輸大臣、やはり運輸省と業界のこういう癒着、そして実施時期の引き延ばしに業界が横暴さを発揮する、これは非常に重大な問題なんですよ。先ほどもここでいろんな質問がありましたけれども、私は非常に重大な問題だと思うのです。一体、運輸大臣としてはどういう責任を感じておられるのかということをお尋ねしたいと思うのです。
  388. 木村睦男

    ○木村国務大臣 私は、業界が要望することは当然要望すると思います。それを聞くことが悪いとも何とも思っておりません。要望の中に、行政上本当に取るべき点があれば、私は取って行政に移すべきであると考えております。したがって、そういう意味で私は、業界の実情を知り、実態に合うような、最終的には運輸省が省令で実施時期を決めるわけでございますので、その時期が、需要者の側にとってもあるいは生産の側にとっても、要するに国民の側に立って考えましたときにも、その時期が非常に不適当な時期であったために車が回らなかったというようなことがあってもいけませんので、そういう意味で、業界あるいは生産界の要望も十分検討をいたす必要がある、かように考えております。
  389. 中島武敏

    中島委員 私は、運輸大臣の答弁は非常に不満なんです。実は、この間の中公審自動車公害専門委員会、ここでリードタイムの問題があれだけ問題になっているじゃありませんか。実施時期の問題、そしてその席上では、はっきり期間については言えないけれども、お互い心にとめることを議事録に残そうじゃないかというような密約さえやられているのですよ。そういう状態のもとで、いま言ったようなことがいろいろやられているのです。だから私どもは、この問題はきわめて重要な問題だと思うのですよ。そういう点では、もっとはっきりした運輸省の責任ある答弁をいただきたいと思いましたが、いまの大臣の答弁を聞いて、私はきわめて不満であります。  五十年規制のときにも、業界の方からは要望が出されたと思うのです。実施時期、規制値の緩和、このことについて要望されたと思うのですが、いかがですか。中村専務にお尋ねいたしましょう。
  390. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 お答えいたします。  五十年対策というのは、あれはたしか四十七年ではなかったかと思いますが、恐らく私がまだ関係をしていなかった時期ではないかと思います。ちょっと私も記憶がございません。
  391. 中島武敏

    中島委員 運輸大臣、いかがですか。五十年規制の問題をめぐって、自動車業界から要望が出たということについて知っておられますか。
  392. 木村睦男

    ○木村国務大臣 五十年の規制でございますから、四十九年時代ではないかと思いますので、もしあったとすれば、恐らく私の就任前であろうと思います。
  393. 中島武敏

    中島委員 それはもちろんあなたの就任前です。  私はここに、五十年規制の規制値緩和に関する自工会の資料というものを持っております。はっきり聞いておいていただきたい。これは四十八年の十二月二十日の理事会において配付されたものであります。私は、この資料を参考人の方にお渡ししたいと思うのですが、委員長お許しいただきたいと思うのです。
  394. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 どうぞ。
  395. 中島武敏

    中島委員 ここにはこういうふうに書いてあります。「自動車排出ガス五十年規制については、自工会より提出したデータを参考に環境庁および運輸省の間で検討が進められていたが、十一月二十九日、運輸省より安全公害委員会公害対策部会に対して規制値(案)について提示があった。内容的には、かねて自工会として要望していた値よりきびしいものとなっており、特にセダンコールドの二サイクルの別規制、およびトラックの四サイクルの小型と軽の別規制は認められていない。公害対策部会としては、検討の結果、十一月三十日運輸省に対して二サイクルセダンについては、コールドの実施時期(新型五十年四月一日、新造五十年十二月一日)を新型、新造とも五十一年十二月一日に延期するよう要望するとともに、規制値(バラツキを考慮して特に最大値)についても、緩和方を要請した。提示のあった規制値(案)およびこれに対する自工会の修正要望値は別紙のとおりであるが、正式決定は四十九年一月上旬となる模様である。」そして別紙がついておる。これは四十八年十二月二十日の理事会において配られたことを認められますね。いかがですか。
  396. 中村俊夫

    中村(俊)参考人 お答えいたします。  恐らくこれは理事会で配っておると思います。しかし、もう一遍確認してみたいと思いますけれども、多分配っておると思います。
  397. 中島武敏

    中島委員 自動車工業会の会長責任者ですが、いかがですか。
  398. 豊田英二

    豊田参考人 ただいま専務理事から申し上げたとおりだと思います。
  399. 中島武敏

    中島委員 確かめなければならぬが、配っていると思う、つまり配っているということをお認めになったということでございます。ここで自動車工業会から要望が出され、それに対して運輸省から内示があり、それに対してさらに再要望が行われ、そして許容限度の決定に至っているわけであります。  告示の数値が、再要望によって内示よりも緩められたところは、次の個所であります。裏についている表を見ていただければわかるのですけれども、ホット、セダン、最大値、HC、運輸省の内示は〇・三八、これが〇・三九に緩められている。トラック、二・六の運輸省の内示が二・七に緩められている。コールドの場合で言いますと、セダン、運輸省内示が九に対して九・五。さらにCOに関して言いますと、コールドですが、セダン、運輸省八〇に対して決まったのは八五であります。それからトラックの場合ですが、これも運輸省一二五に対して一三〇に緩められている。さらに、トラックのツーサイクル、一二五に対して一三〇に緩められているわけであります。  私は、こういうことが五十年対策のときに行われてきたということについて、一体自動車業界はどう考えておられるのか、また運輸省はどう考えておられるのか。わざわざ業界に内示を行い、そして要望書を出させ、規制値を緩めるということをやっているのですよ。五十年対策のときにはこれをやった。五十一年においても、先ほどから私はいろいろなことを聞きました。なかなかはっきりした答弁は返ってこない。しかし、五十一年でも、私がさっき言ったことはみんな事実であります。あなた方が否定することはできないというだけであります。私は、そういう点で非常に重大なことがやられている、このことについて運輸大臣はどういうふうに考えられるか、はっきりしていただきたいと思うのです。
  400. 木村睦男

    ○木村国務大臣 具体的な事柄の内容につきましては、私の就任前のことでございますが、最終決定をいたしますのに、決められた基準でできるだけ早くやることが、その目的に合致するということで時期を考えるのでございます。その最終決定をいたすまでには、いろいろそういう事情も考慮しなければならないと思います。いま資料をお読みになっているのを聞いておりますと、運輸省の基準というものが非常にきつくて、要望とは大分隔たりがあるというふうなことも中にあったように、いま聞きましたのですが、そういうふうに聞くべき点は聞いて、あるべき妥当な点を決めるわけでございます。その過程においては、そういうやりとりはいろいろあると思います。しかし、それは最終的に決定するまでの過程でございまして、決定したことはそのとおり実行する、こういうことでございますので、私は、そういうやり方が企業べったりであるとか、そういうこととは別のことである、かように考えております。
  401. 中島武敏

    中島委員 とんでもない答弁を、平気で大臣はやっておられる。案を運輸省は提示しているんですよ、業界に対して。そして要望を出させているんですよ。それで緩めているんですよ、結論は。五十年でやられたということは、そういうことなんですよ。社長も専務もはっきり認めているじゃありませんか。それでもまだあなた、そういうことをおっしゃるんですか。私は、これは非常に重大な問題だと思うのです。自工会、自動車工業会が今度の問題で組織ぐるみで対策を行ってきている。前々から申しました、きょうもいろいろなことを言いました。適用期間の問題も、いろいろな数値を吹っかけて要望する。それも政府の方から親切に、要望を出せということに対してこたえてやっている。検査についても、従来のやり方、これを緩める余地のある答弁を、きのうの参議院の公害環境委員会においてもなされておるわけであります。しかも最高値の問題、この問題について、厚かましくもこうしてくれというようなことを業界がやっておられる。家本メモによれば、これは自工会が家本メモ配付ということをやり、対抗措置を講じるというふうなことを、業界組織ぐるみで行っているじゃありませんか。そしてまた、政府の側のことを言えば、環境庁は業界や自動車メーカーの代表に対して、かばん持ちだとかあるいは委員の代理だとかの傍聴だというようなことを言って、傍聴を許し、あの委員会の状態を全部業界に筒抜けにさせる。通産省のごときに至りましては、自工会に根回しを指示され、運輸省もまた、いま申し上げたように、はっきりしましたように、内示を行っておられる。そうしてその上に立って要望を入れて、告示の数値を緩めるというようなことをやっておられる。私は、これは共犯というよりは、政府の方が、各省競い合って、業界とぐるになってやっている主犯格じゃないかというように思うのです。自工会会長豊田さん、あなたは一月八日に三木総理大臣を訪問された。そのときに、答申の規制内容を緩めることを要望されたと伝えられております。それに対して三木総理大臣、何と答えられたか。これまでの経済的効率優先でなく環境優先へと……
  402. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 中島君、時間です。
  403. 中島武敏

    中島委員 規制値が変わってきている。排ガス対策で、トヨタ、日産の両大手がもっとがんばってくれれば、国民に与える影響もずいぶん違ってくる、五十三年規制をなるべく早く達成するよう努力してほしい、非常に格好のいいことを言っておられるのですけれども、しかし、先ほど来明らかになっておることは、これが三木内閣の実態じゃありませんか。予算委員会の討議の中で、三木総理大臣が不破書記局長の発言に対して、もっと再審議をしなければならないんじゃないかということについての答えとして、「これは自動車のメーカーとしても、いろいろ生産工程などに対して設備の変更も伴わなければなりませんから、そんなに急に言って、この五十一年度規制がこれから検討してまた変わるかもしれぬというようなことは、これは非常な混乱が起こりますから」だめです、こう言っておられる。はしなくも、これは本心の一端が出たものじゃないか、明らかじゃないかと私は思うのです。  私は最後に、環境庁長官、こういう実態に対してどうですか、告示を取りやめて、そして審議会の委員、構成の問題、これも科学的で専門的なものに改めるということをはっきり行う、再審議を行うということをやるべきじゃないでしょうか。このことを、私は長官に質問をして終わります。
  404. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 再審議はする必要はないと思います。先ほど来先生がるる参考人との間の質疑をやっておられましたが、私も先ほど土井先生にもお答えしたのですけれども、自工会の会長から一月三十日付で要望書をいただいております。それはまあきょうわかったわけでございますが、その中に、十月に全部できない、九四%ぐらいしかできない、五十二年の十月になっても。また、最高値についてもいろいろ御要望が出ております。しかし、中島先生、私どもは、三木内閣の大事なこの排ガスの政治姿勢については、そんな、政府と業界ぐるみでいいかげんな取り扱いをしてはおりませんし、また、するつもりもございません。ここに十一月や十二月という要望がありましても、運輸大臣通産大臣と相談の上で、きちっとした姿勢でひとつ臨みますから、その辺のところは、たとえ業界が十月を望みましても、それにこだわって、私どもはこの重要な問題を、態度を決定するようなことはいたしませんので、そう御心配にならぬように……。
  405. 中島武敏

    中島委員 終わります。
  406. 湊徹郎

    ○湊委員長代理 これにて中島君の質疑は終了いたしました。  豊田参考人中村参考人青木参考人家本参考人には、御多用中のところ、御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。御退席をいただいて結構でございます。  次に、近江巳記夫君。
  407. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨年からの不況、そしてインフレの中で、中小企業また国民生活は、激浪の中で大変な厳しい状態に入っておるわけでございます。特に、最近の倒産件数等を見てまいりますと、戦後最高の記録を更新いたしておるわけでございます。特に中小企業の下請関係の場合を見てまいりますと、非常な発注の削減、そういうことによりまして、実質上もう仕事がないというような状態にもなってきておりますし、あるいはまた支払い条件等におきましても、非常に厳しい状態が起きておるわけでございます。そういう点におきまして、きょうは参考人の皆さん方に来ていただいておるわけでございますが、まず最初に中村さんから、最近のそうした下請中小企業というものがどういう状態にあるかということを、簡潔に要点をお話しいただきたいと思います。
  408. 中村元治

    中村(元)参考人 簡潔に御報告を申し上げます。  下請関係につきましては、受注量が非常に激減をいたしております。大企業自体も生産が減少しておりまするが、大企業は一部社外生産にこれを転換いたしております。したがって、大企業が四割の減産であれば、下請企業は五割あるいはそれ以上の減産を強いられている状況であります。したがって、下請業者としては、何としてもこの際仕事が欲しいということが、切実なる要求になっておるのであります。  なお、単価につきましても、人件費あるいは物価の高騰等によって、下請の業者は非常に苦難に当面をいたしておるのでありまして、特に寡占産業によります寡占価格あるいは不当廉売、こうしたものの間接的な影響が下請業者にしわ寄せをさせられている実情であります。  次に、下請代金の支払いにつきまして申し上げたいと思いますが、これにつきましては、大企業は大体手形でもって全額を支払っております。その期日は、はなはだしきは百五十日から百八十円に及んでいるのが現状であります。しかし、規模の小さい下請業者は、百八十日の手形を割るということは非常に至難であります。しかも、毎月自己の使用する使用人の給料を払っていかなければならない。この点で、金融面で非常に下請業者は苦しい立場に置かれているのが実情であります。しかしながら、これにつきまして私は不思議に思うのでありますが、政府の行っておりまする公共事業、これが入札をし、大企業が落札をした場合、工事が完了いたしますと、政府は現金をもって大企業に代金を払っております。しかも、その大企業は中小建設業者に対しては手形をもって払っているというのが実情であります。少なくとも労賃に対する分は現金をもって払うようにしていただきたい、これがわれわれ中小企業者の前々からの要求でありまするが、容易にこれが実現を見ていないのであります。  それから、手形割引につきまして、中小企業関係の金融機関におきましては、依然として預託率二五%の預金を強いておるのであります。これをやらなければ割り引いてもらうわけにいきませしので、中小企業者としては非常な苦境に追い込まれておるのであります。  なお最後に、下請業者の組織の強化につきましては、毎々行政官庁から御指導をいただいておりまするが、大企業は依然として、これに対しては、下請は大企業に隷属すべきものであるという考え方が抜け切らない。協同組合を組織することすらがえんじないのであります。したがって、協同組合でなく任意団体をつくらして、自己の会社の人間をその中に入れて、全く自家薬籠中のものとしているのが実情であります。これでは大企業と下請業者とが相互平等の立場に立って、公平な取引ということはできないと私は思うのであります。  以上が実情であります。
  409. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に厳しい現状のお話があったわけでございますが、確かに最近のそういう受注量の激減というものは、私も各地で下請業者の人とも会っておりますが、ひどいところはもうゼロパーセントに、いわゆる一〇〇%切ってくるという状態のところもあるわけです。いいところで、いわゆる六〇%カットの四〇%というような実際上ひどい状態でございます。単価を切り下げてくるとか、あるいはまた支払い条件におきましても、長期の手形を切ってくる。私もここに五万数千円の手形を持っております。百七十日です。これは名前を明かすわけにいかない。その人が名前を明かされると、一切の取引を停止される、もう仕事ができなくなる。泣かんばかりに、名前を明かさないでほしい。私はそういうわけで、明かすわけにいきませんけれども、わずか五万数千円の金ですよ。一部上場企業ですよ。百七十日の手形です。公正取引委員会なり中小企業庁が指導しておられます。繊維関係については九十日、それ以外については百二十日以上の手形は割引不能の手形である、そういう厳しい通達もお出しになっていらっしゃるわけです。ところが、現状はこういうことが平然として行われておるわけでございます。  この間も、ある電機メーカーの下請でございますが、小さな子供を三人残し、奥さんも残して、首つり自殺をしております。これなんかも、親会社が公害防止事業団に入れ入れということで入って、そして金を借りた、ところが、仕事量はもうゼロに近いほどの切り方をしてくる、どうしようもない、もう悩み苦しみ抜いた末、ついに自殺をしているわけであります。こういうような厳しい状態でございます。  こういう下請中小企業、またそれにつながる零細企業等の現状につきまして、きょうは大企業を代表しておられる土光さんであるとか石塚さんがお見えになっていらっしゃるわけですが、石塚さんから、大企業としてそうした下請の中小企業に対してどういう配慮をされておられるか、時間の関係もございますから、簡潔にひとつお伺いしたいと思います。
  410. 石塚庸三

    石塚参考人 ただいまの御質問に対しまして、経団連といたしましては、通産省の御指導もございまして、下請企業に対しましては、その都度支払い条件の改善、それから良好な支払い条件を維持するということについて、会員に何回にもわたりまして通知いたしておりますので、万遺憾なきを期しておると存じます。
  411. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあ苦しいときはお互いであります。親企業が二〇%の生産削減をするというのであれば、下請も二〇%。しかし、それ以上カットしてはならぬという通達も出していらっしゃる。ところが、ゼロに等しいような大幅な削減をしておるというふうな問題もあるわけでございます。経団連としておっしゃっておられても、なかなかそのことが実施されておらないというのが現状でございます。  そこで、仕事を出す問題であるとか支払い条件の問題であるとか、いろいろあろうかと思うのですが、下請代金支払遅延等防止法に基づく違反件数等を見てまいりますと、私、公正取引委員会なり中小企業庁から報告をいただいておりますが、四十五年四月から四十九年十二月の五ヵ年間におきまして、公正取引委員会で、いわゆる行政指導、すなわち要監査そして勧告、最も厳しい措置でございますが、これをおとりになった事業数が九百五十七、そしてそのうち、一回のそうした勧告なり厳しい要監査を受けたところが、大企業が四百三十二、そして中が五百五入っております。それから五年間に二回も勧告等を受けておりますのが、大企業が十二、中小企業が八。それから中小企業庁の関係におきましては九百六十五事業所、そのうちそうした勧告等を一回受けておりますのが大企業が四百三十五、中が五百十、合計九百四十五。二回も受けておりますのが大企業が四、それをちょっと下回る中小企業が十五、合計十九。そして三回も勧告を受けておりますのが、大企業が一つあるわけでございます。こういうような実態でございます。  こういうように、下請代金支払遅延等防止法がありましても、こういうようなことが平然として繰り返されておるわけでございます。現在の遅延防止法にいたしましても、いわゆる勧告をして聞かない場合は公表をする。ところがこの遅延防止法ができてから一回も公表したことがないわけであります。現実に大企業で、このように三回勧告等を受けておるところについて、そのときに勧告をして聞いたからということで、公表もしていないわけであります。現在の法律というものは、そのように実質的な違反に対する罰則もないわけでございます。     〔湊委員長代理退席、委員長着席〕 あるいはまた、すべての下請取引を対象としておらないということであります。現行法は製造委託、修理委託というような場合でございまして、運輸業等は入っておりません。あるいはそういう支払い期日にいたしましても六十日。建設業法では五十日となっておるわけでございます。これだって早める必要がございますし、あるいはまた、手形割引の利子の負担等におきましても、今日の高金利の時代でございます。これが非常な負担になっております。親企業が当然それを払うべきでございます。  そのように、中身を見てまいりますと、当然こういう問題は改正をする必要があろうかと思うわけでございます。また、改正をするということになりましても、期間もかかるでありましょうし、年末にはああした通達もお出しになっておられるわけでございますが、年度末という最も厳しい状態を迎えようとしておるわけでございます。当然そこにはそうした厳しい何らかの行政指導もあってしかるべきであろうかと思います。法改正、また年度末を控えてのそうした対策につきまして、公正取引委員長からお伺いいたしたいと思います。
  412. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 法律改正につきましては、もう少し時間をかけて、いかような改正をすれば有効であるかということを検討した上でなければならないと思いますが、ないがしろにすべき問題ではないと思います。現在、つまり法律があっても、その法律が守られないというところに問題があるわけです。百二十日ということになっておるのに、堂々とそれをはるかに超える手形が出されておる。いま公表した実例がないとおっしゃいましたが、一応こちらが勧告をすると、従うのですね。だから従った場合は、公表はできないことになっておる。従わなかったときに公表できる。手ぬるいじゃないかという御指摘がございます。しかしそれだけで済むものかどうか。やっぱり全般についてやらなければなりません。建設業については、建設業法の改正、これは四十六年でございますが、当時、建設省が監督をする、そして措置は公取がするということになりました。運送業については、御承知のとおり運送に関する法律で、道路運送業等について運輸省がみずからいろいろなこまかいことを定めておられまして、それに反するものはいかぬ、こうなっておりますから、その点についてはよろしいのですが、私どもの方と通産省が所管しておる問題については、確かにこういうふうな非常に仕事の減ったような部門が多くなってきた場合に、事実問題として、どうも法に従わない場合が多く出てくる。これを実際に効果的に排除するのにはどうしたらいいか。厳重な警告を出すことはもちろんでございます。年度末に際しまして、通産省とも協議いたしまして、いままでの悪い例がなくなるように、厳しい通達を出す考えでございます。
  413. 近江巳記夫

    ○近江委員 厳しい通達をお出しになるということでございますが、何と言いましても、担当の公正取引委員会なり中小企業庁、通産省が立入調査をびしびしやることであります。悪質企業につきましては、どんどんとそのように厳しい勧告あるいは公表を、こういう累犯についてはやっていくべきでございます。その点今後どういう姿勢でいかれるか、もう一度公取委員長、お願いしたいと思います。
  414. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 われわれの力でとり得る最大限のことをやるつもりでございます。ただし、専任従事者はわずか二十名でございます。したがっておのずから限界がございますが、その範囲で、ほかの方からも応援を出して、できるだけのことをやるつもりでございます。
  415. 近江巳記夫

    ○近江委員 びしびしと、今後は立入調査をしていきたいということでございますが、何せ手勢が不足である、こういうことを私はいつも申し上げておるわけです。公正取引委員会のこうした陣容もふやしていく、これは政府全体でひとつ今後お考えいただきたいと思うわけでございます。  時間もないので、次に進みたいと思いますが、仕事をふやしていくという問題につきまして、官公需の問題は非常に大きな問題でございます。そこで、その法律に基づく所管官庁が通産省でございますし、お聞きしてもなかなかデータが出ない、そういうことで、各省、公社公団からデータをとりまして、作成をいたしたわけでございます。お手元に行っておると思いますが、これをごらんになっていただきましても、政府が閣議で決定した目標に対して、この四年間を見ましても達成していないわけですね。ですから、ほんとうにただムード的に、何とかこうしようじゃないか、こういうことが繰り返されておるわけでございます。またこの表を見てみましても、各省庁、公団で非常にばらつきがあるわけでございます。外務省等はいいわけでありますが、政府関係で言いますと、総理府とか運輸省であるとか、特に公団、公社に至りましては、国有鉄道、電電公社、道路公団、首都高速道路公団、鉄道建設公団、水資源開発公団等々は、非常に中小企業向けのそうした発注が少ないわけでございます。通産省としては、中小企業に分割発注をしなさいとかいろいろなことをおっしゃっておられるようでございますけれども、先日わが党の坂口議員が、いわゆる電電公社関係の下請というものはいかに厳しい条件で苦しんでおるか、また倒産しておるか、これを分割発注すれば、その中小企業も生きたでありましょうし、それだけの力も備えておるわけであります。こういう点におきまして、政府がいわゆる閣議で決定したとかなんとかいっておられましても、いわゆるただムード的なものでございます。あくまでもそれを達成していく、またさらに飛躍的に中小企業に対してそれを拡大していく、このことは私は非常に大事だと思うのです。その点につきまして、簡潔に今後の方針、決意を、通産大臣そして福田経企庁長官からお伺いしたいと思います。
  416. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 近江さんのお持ちになっている表は、恐らく四十八年度の実績じゃないかと思います。今日の経済情勢から見て、それはもう少し努力する必要があるというので、新たに三〇%目標というものを設定した。ですから、三〇%という実績が出てくるのはこれからなんでありまして、決して中小企業の官公需のシェア問題、これを等閑視しているわけではない。鋭意努力しよう、もしできれば三〇%を超えるような状態にまで持っていきたい、こういう決意でございます。
  417. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産大臣に確認しておきますが、このデータは各省庁、公社、公団から取り寄せ、作成したものでありますが、見ていただいて間違いないと思いますが、それについてお答えいただき、そして担当の通産大臣として、その決意をお伺いしたいと思います。
  418. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま近江さんから資料をいただきましたが、ざっと見たところでございますが、私はこれは大体正確だと思います。  つきましては、官公需の問題でございますが、これは先ほど副総理から御答弁がございましたように、ぜひとも三〇%は達成をしたい。これまでの第三・四半期までの実績からいいまして、これは可能である、かように考えております。
  419. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に抽象的な御答弁だと思うのです。少なくとも毎年、五ヵ年計画なら五ヵ年計画と、そしてその目標に向かってそれを拡大していく。そのためには各省庁、公社、公団についてはどうするかというような、きめ細かい目標また努力、それに対する指導、こうしたものがあってしかるべきだと思うのです。その点、なかなかそういう姿を示してくれなかったわけですが、私どもここで初めて表を作成いたしまして、今後各省庁、公社、公団の中小企業に対する発注というものを見守っていきたいと思っておりますし、政府もひとつ努力をしていただきたいと思うわけでございます。  それからその次に、大企業あるいは大手商社というものが、いかに政府から優遇措置を受けておるか。いま中小企業は、先ほどもお話がございましたように、金融一つの問題を見ましても、いろんな点で非常に厳しい状態にあるわけでございます。  そこで私は具体的な問題として、輸出保険の問題をひとつ取り上げてみたいと思うのです。  この輸出保険の中には八種類ございますが、特に輸出保険、設備包括保険あるいは輸出代金保険などというものは一〇〇%大企業、しかも大手の企業、大商社でございます。こういうところが輸出をする際に保険を掛けるわけでございますが、そこに非常に問題があるわけでございます。参考人土光さんは、東芝の会長として、また経団連の会長としてがんばっておられるわけでございますが、東芝一つの場合を見ましても、大半は商社を通じて輸出なさっておられるわけでございますが、三〇%ぐらいは直接輸出もなさっておられるわけでございます。  そこで、御意見をお聞きしておきたいのは、この保険の基本となる前提としまして、輸出組合の理事長と通産大臣との保険に関する特約がございまして、その中で、保険契約の成立は保険の申し込みを当局が受け付けたときに始まりまして、その際保険金額が定められますが、保険料は定めなくてもよい、そういう協約になっておるわけであります。これは違法とは言えないとしても、常識とはかけ離れた保険のあり方であると私は思うのです。これは庶民の感覚といたしまして、輸出業界、すなわち総合商社を初め東芝等の大企業なればこそ、当局のとっておる態度であるのじゃないかと思うのです。そこから各種の不祥な問題も出てきておると思うわけでございます。国民の感覚からいきまして、生命保険であるとか、あるいは国民年金あるいは厚生年金等、苦しい中から掛金をしているわけです。それで初めてそうした契約というものは成立するわけです。ところが、先ほど申し上げましたように、そういう掛金も払わずに、しかも事故があった場合にはまるまる政府が補償するというような行き方、これにつきましてどういうような御感想をお持ちか、簡潔に、ひとつ土光さんからお伺いしたいと思います。
  420. 土光敏夫

    土光参考人 ただいまの輸出保険についてお答えいたします。  大体、輸出保険をお願いいたしますものは、プラント輸出とか、とにかく納期の非常に長いもの、支払いが完結するまで相当長期間を要するものであります。したがいまして、われわれといたしましては、その間いろいろ不時の問題が起きた場合には、やはり国家的補償をお願いしなければならないという立場であります。しかしながら、この保険料の支払いにつきましては、われわれとしては、やはり通産省から御通達があればお支払い申し上げているわけでありまして、これは支払いその他、いろいろ長期間を要する問題でありますから、このなにが済むまでは、ある時間かかるかと思います。しかし、われわれとしては決して遅滞しておるわけじゃございません。
  421. 近江巳記夫

    ○近江委員 土光会長もお聞きであろうかと思いますが、現在この輸出保険の運営につきまして重大な問題が提起されておるわけでございます。の中で、輸出保険料の算定が大変おくれておりますことは御承知のとおりでございます。保険料の算定がおくれ、したがって国が徴収する時期も大変おくれるために、その金利分というものは国の収入にならず、結局大企業などのサイドにおきまして、金利を生んでおるというわけでございます。もともとこの保険料を納めなくても保険契約は成立しておりますので、大企業はそのため大変な国の保護を受けておることになる、そういう現状であろうかと思います。社会的な公正を目指す姿勢の上からも、これは大いに考えるべき問題であろうかと思うわけです。四十八年度本保険損益計算書によりますと、年度利益が六十三億、そのうち利子収入で二十一億という金が出ておるわけですね。ですから、そういう保険料というものが国庫に入っておりますと、これ自体がまた大きな金利を生んでおるわけでございます。当然取らなければならないものをそういうように放置しておる。そして大企業がそこに大きな利益を受けておる。こういう姿勢は非常によくないと思う。この点、通産大臣から簡潔にお伺いしたいと思います。
  422. 河本敏夫

    河本国務大臣 実はこの輸出保険の問題につきましては、事務能力を拡大するためにコンピューターを導入したわけです。ところが、その導入の過程におきまして少し事故がございまして、御指摘のような計算がおくれておるわけでございます。目下、鋭意この事務処理を急がしておりますので、近く軌道に乗ると考えます。
  423. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は企業に対しても申し上げたいのは、当然その会社が払わなければならない保険料です。ですから、よしんば通産省がそういうコンピューターでおくれておるからということであっても、お払いすべきものは払わなければならない。企業の方からも、どうか早く言ってくださいとせかして、払わしていただきたいというのが本当でございますし、また通産省自体も、そういうことで徴収がおくれておるということは、私は非常にまずいと思いますし、それ自体が結局大企業には甘い、擁護しておる、私はそういう姿勢がうかがわれるわけでございます。  そこで、先ほどの保険料徴収の著しいおくれに関連するわけでありますが、国会に出されております昭和五十年度の予算の中で、通産省所管の輸出保険特別会計の歳入歳出予算の参照書として、予定損益計算書というものが添付してございます。この損益計算書の保険料収入の項目についての四十八年度決算額という欄の金額は、これはごらんになっていただいたらおわかりですが、七十六億九千五万五百二円となっておりますが、これは四十八年度の実績を示しておるものかどうか、これは会計検査院長にお伺いしたいと思います。
  424. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 お答えいたします。  四十八年度の決算の検査の結果判明いたしたことでございますが、保険料の徴収事務が諸種の理由によって遅延いたしましたために、四十八年度の損益計算書並びに貸借対照表の一部につきまして、推定によって計算をいたしておるという事態がございましたので、速やかに事務処理を促進するように、是正改善の措置を要求した次第でございます。
  425. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは推定の数値であるということを御答弁になったわけでございますが、ここでひとつ確認しておきたいと思いますことは、この四十八年度の実績は、当然、四十八年度の特別会計の決算参照書として、憲法及び院法等に基づく会計検査院の検査を経て国会に提出されているものであります。輸出保険特別会計法の施行令によりますと、「損益計算の方法」というところで、利益の中に「収納済み及び収納未済の保険料」を含むことを定めておりますが、これは決算ベースの話でありますから、無論、収納済みの保険料と申しますのは、徴収すべき保険料を確定して徴収した金額のことであります。また収納未済の保険料というのは、保険料を決定して、その決定した保険料が徴収されていない金額であると思うのでございますが、そのとおりであるかどうか、会計検査院長から御答弁をいただきたいと思います。
  426. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 収入済み額は、現実に徴収決定して収入したものでございます。ただ、損益計算書並びに貸借対照表を作成するにつきましては、徴収決定すべきものを徴収決定していない分がございましたので、これを推計いたしまして、そうして作成いたしておるという事実を発見いたした次第でございます。
  427. 近江巳記夫

    ○近江委員 院長、私いま申し上げたのはいわゆる解釈です。  もう一度申し上げますと、これは決算ベースの話でございますから、収納済みの保険料と申しますのは、徴収すべき保険料を確定して徴収した金額のことであり、収納未済の保険料というのは、保険料を決定して、その決定した保険料が徴収されていない金額であると思うわけです。ですから、そのとおりであるかどうかということを、お答えになっていただきたいのです。
  428. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 そのとおりでございます。
  429. 近江巳記夫

    ○近江委員 そのとおりであるといたしますと、ここで挙げました「四十八年度保険料収入決算額に推計分を含む」ということは、これは適法な決算と言えるかどうかという問題でございます。適法な決算でないとすれば、違法な決算をされた、検査院がその点をどのようにチェックされたかということになると思うのでありますが、そのような認識を持つことは間違いかどうか、お答えいただきたいと思います。
  430. 白石正雄

    ○白石会計検査院長 事務処理が遅延いたしましたために、決算書をつくるに当たりまして、一部推定をいたしたということにつきましては、やむを得ない事情があったかと思いまするけれども、真実にして厳正なる決算をやるという見地から見ますと、適正だとは思われないわけでございます。したがいまして、適正な措置を講ずるよう勧告をいたした次第でございます。(発言する者多し)
  431. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお静かに願います。
  432. 近江巳記夫

    ○近江委員 適法でない、そういうことで事務処理を命じたということを御答弁になっておられたわけでございますが、通産大臣に私はお伺いしたいと思うのです。所管大臣として、この特別会計の決算及びこのような添付書をつくった通産大臣として、この点はどのようにお考えですか。
  433. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど会計検査院長から御答弁がございましたように、私も違法ではないと思いますが、しかし決して適切ではないと、大変反省をいたしております。自後こういうことのないように、速やかに事務処理を行いたいと思います。
  434. 近江巳記夫

    ○近江委員 この法のたてまえから言って、これはもう完全に外れておることは明らかでございます。そういう点、さらに私は進めていきたいと思います。  会計検査院長から、いまいろいろ御答弁があったわけでございますが、その御答弁のとおりということで話を進めてまいりますと、ここで挙げました「四十八年度保険料収入決算額に推計分を含む」ということは、適法な決算と言えるかどうか。これはもう私どもとしては、完全な違法である、このように認識いたしておるわけでございます。  そこで、私は大蔵大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、このような特別会計の決算の参照書、これは添付の書類でありますが、これを受け取って、内閣を通じて国会に提出してきた、この大蔵大臣の立場としての責任はどのようにお考えですか。
  435. 大平正芳

    ○大平国務大臣 四十八年度の決算の添付書類でございます財務諸表の一部計数につきまして、やむを得ず推計により作成せざるを得なかった経緯につきましては、通産省から御説明がありましたとおりでございます。このことは、これ以外にとるべき方法がなかったものと考えられますけれども、事務処理上はなはだ遺憾であると存じておるわけでございます。現在、通産省におかれまして、鋭意滞貨の処理を進めておるということでございまして、今後、その結果を見まして、通産省と協議の上、たとえば四十九年度の決算において、前期損益修正等、一般的に妥当と認められる方法によりまして、処理をいたしたいと考えております。
  436. 近江巳記夫

    ○近江委員 五十年度予算におきまして、四十八年度決算というものは実績として出ておるわけですね。なるほど、四十九年度の決算書はまだ出ていないかもしれません。それと話を混同さしてはだめですよ。四十八年度は確定として出ておるわけであります。そこが非常に大きな問題でございます。  そこで、適法ではない決算額を計上した添付書類が五十年度予算とともに国会に提出されまして、本委員会の審議が現在行われておるわけでございますが、政府としてはこのままほおかぶりをしておられる、そういう認識かどうか。私たちは国民の代表として、真剣な答弁をお聞きしたいと思います。
  437. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま釈明申し上げましたように、こういう事務のおくれがありましたこと、まことに遺憾でございます。一部推計の数字を載せたまま国会に御提出いたしたわけでございます。大変残念でございますけれども、しかしこの処理は、通産省に滞貨処理を進めていただきまして、その結果を踏まえた上で、御承認をいただくに値するような方法、すなわち前期損益修正等、一般的に認められておる妥当な方法によりまして処理することによって、国会の御了承を得たいと存じております。
  438. 近江巳記夫

    ○近江委員 大蔵大臣、後でまた聞きますが、その前に、検査院長、ここで若干、輸出保険特別会計の実態に触れておきたいと思います。  先ほどから、四十八年度分として、推計の保険料収入が計上されていることが明らかになったわけでございますが、保険の引き受け件数は何件と推計され、また保険料は幾らと推計されたか、明らかにしていただきたいと思います。
  439. 桜木拳一

    ○桜木会計検査院説明員 四十八年度に保険を引き受けましたもののうち、代金保険とそれから設備保険関係について見ますと、引受件数が、代金保険が三千九百九十二件、設備保険が三千九百五十二件、合計七千九百四十四件でございまして、このうち徴収決定の処理をしたものは、代金保険で三百九十六件、設備保険で九百四十一件、合わせて千三百三十七件でございまして、保険料の算定等の処理も行っていないというものが代金保険で三千五百九十六件、設備保険で三千十一件、合計六千六百七件でございます。  それから、推定額は幾らかという御質問でございますが、代金保険の保険料といたしまして二十五億六千六百七十万五千五百七十七円、設備保険の保険料といたしまして十七億二百九十四万七千三百四十二円、合計四十二億六千九百六十五万二千九百十九円でございます。
  440. 近江巳記夫

    ○近江委員 この四十二億という、これだけの金がいわゆる推定で計上されておるわけです。これが決算書として挙げられているわけですよ。こんなことは前代未聞の、国会始まって以来のことだと私は思うのです。  検査院長にさらにお伺いをいたしますが、四十七年度の保険料収入は、会計検査院といたしましては、通産省が作成し、大蔵大臣のもとに提出したものでよろしかったかどうか。実際はどうなっていたか。話によりますと、この四十七年度も、保険料の処理が今日現在でもまだ整理がついていないものがあると聞いておるわけですが、その点はいかがですか。
  441. 桜木拳一

    ○桜木会計検査院説明員 お答えいたします。  四十七年度分につきましても同様な事態があったわけでございますが、私の検査が不十分でございまして、四十七年度分の検査の際には気がつきませんでした。この点はまことに申しわけないと思っております。本件につきましては、四十八年分の検査をいたします際に、こういう事態があるということが判明いたしまして、四十七年度分も鋭意詰めたかったわけでございますけれども、計数その他がどうしてもまとまりませんので、四十八年度分を中心といたしまして、通産省に是正改善の措置を要求いたしたものでございます。
  442. 近江巳記夫

    ○近江委員 通産大臣、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思いますが、ただいま会計検査院から御説明がありましたとおり、四十七年、四十八年の保険料収入の実績の計上はきわめていいかげんなものでありまして、これでは実績決算と言えるものではないわけであります。推計を含み、また推計が幾ら含まれているかもわからないような全く不可解な経理となっておるわけであります。原因がどこにあるかは一応おくといたしましても、通産省、大蔵省は、こんな実績で五十年度予算の保険料収入予定額を積算することは不可能ではないかと私は思うわけであります。その点、どのように思っていらっしゃいますか。
  443. 河本敏夫

    河本国務大臣 四十九年と五十年の計算の基礎につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  444. 岸田文武

    ○岸田政府委員 輸出保険の会計処理につきまして不手際がございましたこと、私どもとしても非常に反省をしておるところでございます。
  445. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 もう少しでっかい声で言え。聞こえない。
  446. 岸田文武

    ○岸田政府委員 事は、電子計算機の処理の技術につきまして、十分な研究が行われないままに移行したということが原因でございまして、その間かなりの時間を要し、その間また保険料の収納がおくれてしまいまして、御指摘のような事態に至ったわけでございます。ただ、四十九年五月に至りまして電子計算機のシステムも完備をいたしまして、その後は担当官も増強し、また残業を重ねまして、本日ではおおむね全体の姿がとらえ得るというところになっております。大体三月末までにはこれらの計算が結了できるという運びで考えておるところでございます。
  447. 大平正芳

    ○大平国務大臣 現在、御案内のように、通産省におきまして鋭意滞貨処理に努力をされているところでございます。しかしまだその処理が完了いたしていないことは大変残念でございます。したがいまして、御指摘のように、現在の財務諸表は一部推計によっておるわけでございますけれども、次善の措置として、やむを得ないものと考えております。五十年度の予算は、予算編成時点における四十九年度の実績の見込み及び五十年度における輸出動向等に基づいて編成したものでございまして、四十八年度決算につきまして一部推計が含まれておりますからといって、影響はないものと考えております。
  448. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお待ちください。これは大変なあれだと思うのですが、電子計算機がどうだとかこうだとか言って、これは答弁にならないですね、こういうことは。速やかに、ひとつ大蔵大臣通産大臣がしっかりした計数の整理をしてもらう、こういうようにしてもらわないと、電子計算機が狂っていたからどうもと言って、大変なことだと思うんですがね。答弁にならぬと思う。
  449. 近江巳記夫

    ○近江委員 委員長もはからずもおっしゃいましたように、この問題は大変な問題でございます。これは国会史上、こういうようなでたらめな数字が、推計分が決算として出ておるということは、私は前代未聞だと思うのです。この五十年度の特別会計予算の歳入科目のトップに出ております保険料収入の款項目の計上予算は、「見積の事由及び計算の基礎」欄の記述、「最近までの収入実績等を勘案し」云々と出ておりますが、これは全くうそであるということになるわけです。つかみ金予算であると言わざるを得ないと思うのです。私どもといたしましても、先ほど局長お話があったように、コンピューターの故障であったとか、いろんなことの苦しい、その辺の担当者の気持ちもわからないではないわけでございますが、私たちがこういう誤った決算に基づき、しかもこの五十年度予算も組まれておるものを、少なくとも国民を代表する私たち国会議員といたしまして、この国会におきまして、そういうはっきりと推定の、でたらめな数字の予算、決算を審議したとなれば、国民に対して申しわけないわけであります。そういう上におきまして、これはもういままでのような答弁であっては、私は納得できません。これは予算委員長おっしゃったとおりでございます。もう一度ひとつ答弁のし直しをやってもらいたい。許せません、これは。
  450. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 はっきりした決意を願います。
  451. 大平正芳

    ○大平国務大臣 決算書の添付書類でありまする財務諸表の一部に推計がございました点は、事務上の遺漏でございまして、はなはだ残念に思うわけでございます。その件につきましては、目下通産当局が滞貨の処理を進めておるわけでございまするので、その完了を待ちまして、前期損益修正等、一般に妥当と認められる方法によりまして処理いたしたいということを、近江委員に御答弁申し上げておる次第でございます。  第二の問題は、それでは五十年度の予算の見積もりというものについて、そういうあいまいな推計を含んだような付表をつけたような政府が、五十年度の見積もりを的確にできるかどうかという点の疑点をただされたわけでございます。  私どもといたしましては、予算編成時におけるあらゆる資料を駆使いたしまして、五十年度における輸出の動向というものがどういうものであろうかということを十分吟味いたしまして、この予算を策定いたしたことでございまして、四十八年度の決算書に添付いたしました財務諸表の一部に推計があったということのゆえをもちまして、このことし御提案申し上げておる予算の推計を変えなければならないとは考えていないということを申し上げておるわけでございます。
  452. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお待ちください。  通産大臣、私が聞いても、これはまことに不可思議な、コンピューターが狂ってたからといって、人間の頭が狂っていたわけじゃないと私は思う。したがって、ひとつここへはっきり遺憾の意を表して、そしてはっきりしてもらいたいと思います。
  453. 河本敏夫

    河本国務大臣 御指摘の点は、まことに遺憾に存じております。申しわけなく思っておる次第でございますが、処理といたしましては、いま大蔵大臣がお述べになりました方法で、処理をさしていただきたいと思います。
  454. 山田太郎

    ○山田(太)委員 関連して。  先ほどから委員長のお言葉にもありましたように、この輸出保険特別会計の問題については、これはいいかげんな口先だけの答えで済むものではないと思います。当然、内閣といたしましても、閣議に諮った上で方針を決定すべきものではないかと思います。その点、委員長においてしかるべきお取り計らいをお願いしたいと思います。  また、ただいま指摘された問題については、国会といたしましても明確にすべき基本的幾つかの重要な要素と関連するものと思いますので、ただいまの内閣方針にあわせて、以下の点について、内閣の統一見解を、来るべき締めくくり総括質疑に入るまでに本委員会に報告されるよう、お取り計らいをお願いいたしたいと思います。  そこで、まず第一番目は、現金会計と言われる国の歳入歳出決算は、七月三十一日の主計簿締め切りをもって決定し磐石となるのか、会計検査院の検査確認をもって決定をするのか、国会の議決によって決まるのか、あるいはその他の決定段階があるのかという点でございます。  二つには、第一点にも関連いたしまして、いま取り上げられました、輸出保険特別会計の四十八年度歳入歳出決定計算書等の一部を、四十九年十二月五日に内閣が訂正した行為があるようでございますが、この根拠法はどんなものであろうか。  三つ目には、予算の修正決議は法的に明快でありますが、決算の修正につき、歳入歳出決算と添付書類と分けてどう考えるのか。  以上三点を、内閣方針とあわせて、内閣の統一見解として報告されるよう、委員長においてもお取り計らいのほどをお願いいたしたいと思います。
  455. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま山田君の議事進行についての御意見、まことにごもっともだと思っております。  したがいまして、締めくくりの総括質問に入るまでに、統一の見解またその責任、すべてをひとつあなたの御発議のようにいたしたいと存じます。御了承願います。
  456. 山田太郎

    ○山田(太)委員 よろしくお願いします。
  457. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま委員長から、山田委員の質問に対しまして、そうしたお取り計らいをいただく、それで見守っていきたい、こう思っておりますが、私は副総理福田経企庁長官にお伺いしたいと思います。  いままでのこの経過を聞いておられまして、会計検査院長あるいは大蔵、通産両大臣責任の明確化のために、内閣としてどのような方針で対処されるか明らかにしていただきたいと私は思いますし、また四十八年十一月、大蔵大臣に就任されて、この問題の決算を国会に提出された元大蔵大臣として、どういう反省をなさっておられるのか、これをひとつ、しかと承っておきたいと思うのです。
  458. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 本件は、私も初めてきょういま近江さんから承りまして、これは大変異例なことである、こういうふうに思っておるわけであります。  この事態に対しましてどういうふうにするかということにつきましては、いま委員長お示しのように、締めくくり総括質問の前までに、政府の統一見解を明らかにしたい、かように考えます。
  459. 近江巳記夫

    ○近江委員 福田長官も非常に遺憾であるということをおっしゃったわけですが、この問題は、本当にわれわれ議員といたしましても、こういうでたらめな決算、そしてまたそれに基づく予算が出ておる。それを審議していくということは、もう予算委員長がお取り計らいいただきましたその結果を見てでないと、本当に前へは進めませんよ。こんなことはいままで前代未聞のことです、これは。まあ福田さんも非常に反省しておられる、今後内閣として対処したいとおっしゃっておりますから、それを見ておりますけれども、これはそんな簡単な問題ではありませんよ。それだけはひとつ内閣としても認識をしていただきたいと思います。  もう時間もありませんから、最後に土光さんにお聞きいたしますが、こういう輸出保険の実態にあらわれる政府の態度、姿勢、責任感のあり方等について、あなたの御所感をひとつお伺いしたいと思うのです。  大企業に優遇しておる、そういうような実態等の考え、公正な立場からもお答えをいただきたいと思うのです。それをお聞きしまして、私の質問を終わります。
  460. 土光敏夫

    土光参考人 ただいまの御質問を承っておりまして、われわれも、民間の関係者として、非常に遺憾に存ずるわけでありまして、今後はひとつわれわれの方もさらに注意いたしまして、官民ともに、こういう問題を起こさないようにいたしたいと存じます。
  461. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ終わります。
  462. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて近江君の質疑は終了いたしました。  土光参考人石塚参考人中村参考人に申し上げます。  御多用のところを御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。御退席願って結構でございます。ありがとうございました。  次に、折小野良一君。
  463. 折小野良一

    ○折小野委員 いわゆる石油危機以来、長期的な資源エネルギー対策、これについての関心が一般に高まってまいっております。特にわが国は資源に乏しい。しかもエネルギー資源の大部分を海外に依存しておる。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 そしてこれまで、安い、豊富な石油の上に築かれてきましたわが国の産業経済あるいは国民生活、こういうものを考えてみますと、今日もっと切実な資源エネルギー対策の実行を必要とする、こういうふうに考えるわけでございます。そのエネルギー源としての石油にかわるもの、あるいは石油に次ぐものというふうに考えられておりますのは、原子力であるというのが、現実的な見方であろうと、私どもは考えておるわけでございます。わが国におきまして、すでに原子力発電が行われましてから十年近く時間が経過をいたしました。数ヵ所の原子力発電所がすでに営業を開始いたしておるわけでございます。しかしながら、いまなお多くの問題、特に安全性に関する多くの問題がございまして、いろいろと論議もされておる、そしてまた今後に解決を期待されておる、こういうようなことがございます。私どもは原子力の安全性を確立した上で、原子力の平和利用を促進してまいらなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。  ところで、この原子力に関しますいろいろな問題の中で、私は特に、原子力発電所における作業員、これは電力会社の従業員の方もおいでになりますし、その下請の作業員もあるわけでございますが、これらの人々の被曝問題について、若干の御質問を申し上げたいと思います。  この問題につきましては、すでに午前中、石野委員からも質問がございました。その応答も踏まえまして、以下数件の御質問を申し上げたいと思うのでございます。  一般的に言われますことは、原子力発電所に働く作業員、これはさっき申し上げたように、電力会社の従業員の方もおられますし、それから下請の方もおられるわけです。現実にその作業に従事する方、こういう人たちの被曝傾向というものが漸次増加をしつつある。それは年が経るにつれて増加をしてまいる。これも当然でございましょう。原子力発電所が次々にできてくる。これによって増加をしてくるということもございましょう。あるいは出力が増加することによってふえていく。これも当然なことだと考えております。そういう中におきまして、各電力会社では厳重な被曝管理を行っておられる。これはもう当然なことでございます。したがいまして、そういうような中におきましては、結局人をふやしていく以外に、これらの情勢に対応することはできない、こういうことになってまいるわけでございます。電力会社の従業員の方の数をそうふやすというわけにもまいらない、したがって現実に下請に出すということになってまいります。今後ますますその数はふやさなければ対応することができない、こういうことになってまいるわけでございまして、現在そういう面についてもいろいろと苦慮しておいでのことであろうと思いますが、しかし現在のところはどうにか間に合っておる。しかし将来のことを考えました場合に、これは非常に重要な問題になってくるはずでございます。これは一つは従業員の被曝管理という問題そして一つは要員の確保という問題、この両面から、非常に重要な問題になってくるはずでございます。したがいまして、そういうような将来を見通しまして、電気事業連合会の会長さんといたしまして、原子力発電の将来につきまして、どういうような御認識をお持ちであるのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  464. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 お答えします。  ただいま先生からお話しございましたように、将来の電力エネルギーといたしましては、原子力発電に頼る可能性が多分に出てきたということについては、私どもさように存じておるのでございます。したがって、今後日本の電力エネルギー資源といたしまして、多方面にわたって開発をしなければならないのでございまするが、現実にいま石油エネルギーから、それを代替する主な柱といたしましては、原子力発電に行かざるを得ないと存じます。したがって、今後原子力発電のふえることは必至であろうかと存ずるのでございます。この場合に、いま先生から御指摘ありましたような被曝の量ということも、十分考えなければならないかと存ずるのでございます。しかし、必至である以上、それからまた、一面被曝がふえるということでございまするが、われわれ総力を上げまして被曝の少ないように努力をいたしまして、被曝がふえるからという意味におきまして原子力発電の建設を考えるということには、私はいかがかと思うのでございます。したがって、被曝は被曝としてあくまでこれを解決をいたし、そして原子力発電の開発を進めてまいりたい、かように存じます。
  465. 折小野良一

    ○折小野委員 いまの御答弁につきましてですが、被曝は被曝として解決をしながら、原子力発電の開発を進めていきたい、これは一応言葉としてはそのとおりだろうと思っております。しかし、被曝の問題、それはひいては要員の確保という問題につながってまいるわけでございます。そのことを考慮しないで、将来原子力発電をもっともっとふやしていこうといたしましても、それはおのずからできない時期がやがてやってくるのではなかろうか。したがって、その問題の解決というものをまず十分にやって、そしてそれを踏まえて今後の開発計画を立てる、こういうことが必要なんじゃないのでしょうか。おっしゃる二つの問題は、お互いにその阻害する要因になっておるわけでございます。しかし、どちらもこれは達成しなければならない。その中においては、まずやはり被曝の問題を解決しなければ、なかなか将来の問題についての計画が立たない、こういうことになってこようかというふうに考えます。ですから、この被曝の問題についての認識、これは非常に大切なことでございますし、その点を特にお伺いをいたしたいわけなんでございます。
  466. 加藤乙三郎

    ○加藤参考人 この点、田中委員が専門的でありますので、田中委員から御説明させていただくことを御了承いただきます。
  467. 田中直治郎

    田中参考人 お答えいたします。  ただいま御質問のございました中で、従業員の確保と作業員の確保というお言葉がございましたが、今後の要員確保という観点から、今後原子力開発を円滑に推進するためには、お言葉のとおり、要員の確保は絶対必要でございまして、私どもとしては、電力会社といたしましても、要員の育成ということを考えておりまするし、また他方、メーカーにおきましても、それぞれ必要な要員の確保を今後さらに図っていくように、私どもも協力したい、かように考えております。  さらに施設の面におきましても、御承知のように、作業におきまして、年間定期作業をやりますと、特に現在におきましては綿密な定期点検をいたしますので、二ヵ月以上を要します。そういう点におきまして、やはり作業員の被曝の程度をできるだけ少なくするというような配慮を、設備の面あるいは作業の方法の面、そういう面でいまも改善をしておりますけれども、さらに改善をしていきたい、かように考えております。
  468. 折小野良一

    ○折小野委員 要員を確保するという問題と、その要員の確保を容易にするためには、やはり被曝の量を少なくしていくということは当然あるわけでございます。それに対する対策といたしまして、ただいまの御答弁もあったわけでございますが、そのほかに遠隔操作の機器の開発であるとか、あるいはロボットの実用化であるとか、あるいは部品の標準化であるとか、さらにいろんな具体的な問題が考えられていいんではなかろうか、こういうふうに考えております。これまですでに数年間にわたりまして、実際に運転をしてこられたわけでございますから、その運転の中から、いろいろと今後開発すべき方向というものは出てまいっておろうかと思っておりますが、それに対する電力会社として、そういうようなところにおける具体的な計画、こういうものが現在できておりますのでしょうか。いかがでございましょう。
  469. 田中直治郎

    田中参考人 御指摘のとおり、現在の原子力発電所におきましては、遠方監視の装置、並びに将来は電算機も使って、現在もそうでございますけれども、綿密な測定をやるとかということをいたしております。  さらに、いまお話のございましたロボットを使ってやるということまで進めば非常にいいのでございますけれども、現段階ではすぐにはできません。しかし、原子力施設、たとえば再処理工場等、そういう方面では、すでに相当ロボットが作業をやっております。将来においては、そういうことも当然考えるべきものだろうと存じます。
  470. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろなことが考えられるわけでございますが、これは当然予想される非常に重要な問題でございますので、本当に真剣に考えて、真剣に具体的な対策を立てていっていただかなければならないというふうに私ども考えます。  それで、いまの御答弁にもございましたが、定期検査、この定期検査がありますと、結局そこに作業員が入っていかなければならない。そうしますと、結局そこに被曝の問題が起こってくるわけでございます。最近の各原子力発電所の実績を伺いますと、大体一回の定期検査に二ヵ月ないし三ヵ月、これぐらいの日子を要しておるようでございます。この定期検査に関係をいたしまして、この定期検査の時間というのが短く済めば、被曝というものも非常に少なくて済むということが言われるわけでございます。現在の定期検査は電気事業法によってやられておるわけでございますが、火力発電所の場合と原子力発電所の場合と同じような目的の定期検査というのがやられておる。しかし、原子力というものは普通の火力と非常に違うのでございますから、この原子力の特性、あるいは特に被曝の問題こういうものがございますので、その辺を考慮した検査の方法、こういうものがあっていいんじゃなかろうかというふうに、私どもは感ずるわけでございます。  ところで、その定期検査のことでございますが、これは通産大臣にお伺いをいたします。ただいま申し上げましたような制度になって、そして原子力発電所の定期検査というのが行われておるわけであります。これが現実には非常に長い時間を要する。したがって、また稼働率も五十何%というようなことにもなる。そしてまた、これが被曝の原因にもなるということなのでございます。ですから、一般の火力発電所の定期検査の場合と原子力発電所の定期検査の場合とは、その実態に即して変えていくということが特に必要なことじゃないか。特に被曝を少なくするという意味からいきますと、現在二ヵ月ないし三ヵ月もかかるこの定期検査の時間をもっと短くする、そういうような方法を検討する必要があるのじゃないか。もちろんそれは検査を粗雑にやれということではございません。原子力でございますから、なおさら一層検査は厳密にやらなければならない。しかし、原子力の実態というものを考えると、いまの検査方法というものには問題があるんじゃないか、その辺の検討を必要とする時期に来ておるんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  471. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かに仰せのとおりだと思います。検討すべきことだと思います。
  472. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣も検討すべきだというふうにおっしゃったのでございますが、すべきだけでは事は進みませんので、具体的に検討をされますか。そして、その検討によって必要な改善措置が出てまいりましたら、それに沿って改善をされますかどうか。
  473. 河本敏夫

    河本国務大臣 検討をいたします。その結果、善処をしたいと思います。
  474. 折小野良一

    ○折小野委員 それから、関連をいたしまして、もう一つ通産大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、原子力の特殊性ということがあるわけでございますが、原子力発電所は数万個の部品によって成り立っておる、こういうふうに言われております。したがいまして、一つの部品がまずくとも、結局運転を停止しなければならない、こういうようなことに現実にはなってくるわけでございます。たとえばパッキング一つ悪くても、原子力発電所はとまってしまう、こういうようなことになってまいります。このことは結局、原子力発電所の稼働率とも関係をしてくる、こういうようなことになってまいるわけでございます。  こういうような一つ一つの部品というのは、やはり原子力産業全体の中でいろいろ検討されなければならないのでございますが、多くの小さい部品というのは、恐らくは中小企業あたりでつくられておるということが予想されます。で、そういうようなところにおきましては、技術のレベルを高度に持っていく、それになかなか問題があるということで、十分効果的な部品が出てこない、そういう欠陥がありますところに原子力発電所のトラブルの原因が出てくる、こういうようなことにもなってこようかと思うのでございます。したがいまして原子力産業全体の技術のレベルアップを図る、特にそういう関係部品をつくっておるような中小企業関係の技術のレベルアップを図る、こういう点につきましては、通産省としていろいろな面で御指導いただく必要があるのじゃないかと思うのでございますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
  475. 河本敏夫

    河本国務大臣 原子力発電は、今後の日本のエネルギー政策上きわめて重大な産業だと思います。したがいまして、この関連の産業全体がレベルアップしなければうまく進まない、こういう意味におきまして、いま御指摘の点はごもっともだと思いますので、そういう方向に努力をいたします。
  476. 折小野良一

    ○折小野委員 午前中の石野委員の質問に対しまして、六十年六千万キロワットの原子力発電の計画については検討するというふうに大臣はおっしゃいました。この点につきましては、ただいま申し上げておりますこの被曝の問題と関連をいたしましても、やはり検討を必要とするんじゃなかろうか、この面の解決がなければ、将来に対する確たる計画というのはなかなか立てにくいのだろうと思います。そういう面もひとつ考慮して、十分な御検討をお願いいたしたい、かように考えております。  ところで、この原子力発電所に働きます作業員、そういう人たちに不安を与えないということが非常に大切なことでございます。で、安全性についての信頼をまず確保する、そういうようなことがございませんと、今後の原子力平和利用という面もなかなか円滑に進まないと思います。それは何を必要とするかといいますと、結局万一の場合の補償、これをはっきりさしておくことが一番大切なことではないか。そういう面がないと、従業員も不安でございましょうし、またいろいろと問題も起こってくる、こういうことが考えられるわけでございます。  こういう点につきましては、すでに昭和四十年に原子力事業従業員災害補償専門部会の答申というのが出ておるように聞いております。それから今日まで、もうすでに十年たっておるのでございますが、答申が出たきり、具体的には何もまだなされていないというのが現状でございます。まあそれから今日まで、現実に原子力発電所というのは運転をされておるわけでございますから、いろいろな問題が現実におわかりいただけておるものというふうに考えます。この問題について、その後十年間、具体的な制度化その他で何ら見るべきものがないということは、その間どういうような経過があってそういうことになっておるのか、その点を科学技術庁長官にお伺いをいたしたいと思います。
  477. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 原子力事業に従事しております従事者に対する賠償問題でございますけれども、お話のように、原子力賠償法は第三者に対する賠償が主でございまして、従事員に対する賠償の問題は、あの法律からは対象外とされておったのでございますけれども、それはおかしいじゃないかという議論がございまして、ただいまお話しのような専門部会で、実は検討しております。たいへんむずかしい問題でございまして、特に亡くなりました我妻先生が首班になりまして、非常に丹念に勉強したのでありますけれども、結論が出ますとまたその反駁材料が出てきたり、二転、三転をいたしまして、まだ最終的な結論の段階には行っておりませんけれども、何と申しましても、職業性の疾病でございますから、仮になったとしますと、その損害の賠償は一次的には労災保険制度で見るのが至当かと思いますけれども、しかし原子力損害は従事員に対しては特殊なものでございますから、これに対してはやはり賠償法の対象に入れるべきだという共同認識に立ちまして、ただいま最終検討に入っておる最中でございます。我妻先生が御承知のように亡くなりまして、ただいま金沢先生が後を継ぎまして、せっかく検討中でございます。成案を得ますれば、労働省とも相談をいたしまして、できるだけの対策をとっていきたいと考えております。
  478. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろと問題があることは想像されるのでございますが、私ども聞いておるところによりますと、第二次の専門部会と申しますか、そういうところでいろいろ検討をされまして、すでに答申の原案は、出るところまで来ておるのだ、いろいろな関係でそれがそのまま放任されておって、一向に具体的に進まないのだ、こういうふうに聞くわけなんです。果たして実情はどうなのか。答申の原案ができて、それから委員会が開かれなくてそれがはっきりした答申として出ないのか。あるいは答申の見込みにつきましてまた政府部内でいろいろと意見があって、その答申がはっきり表に出ないのか。その辺、私どもいろいろ推測はいたしますけれども、そういうようなことじゃいけないのじゃないか、できるだけ早く検討を詰めて、できるだけ早く制度化することが一番大切なことだと考えますが、その辺はどういうふうになっておりますか。
  479. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お説のように四十八年十一月に報告案が出まして、その報告案には、補償問題のみならず、いろいろ含まれておりますが、これをそのまま放置しないで、さらに深めるものは深め、決着をつけるものはつけて、そして対処するのが当然の任務じゃなかろうかと私は思います。ここしばらくの間、さっき申しましたように、委員長事故がございましたりして、余り進んでおらぬようでございますけれども、せっかくのお話でもございますし、私は、これは進めなければならぬ問題でございますから、ひとつ一生懸命今後は進めまして、早く結論を得たいと思っております。
  480. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろとおっしゃるような事情によっておくれておるということでございますが、こういう作業に従事している者に対する対策は、一刻も早く十分なものをやっていただいて、そして不安のないようにする、こういうことがやはり今後の原子力の平和利用の促進のために非常に大切なことじゃなかろうかと考えますので、この点につきましては、ひとつ早急に具体案を出していただいて、それに基づいて、万全なそしてはっきりした制度をつくっていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。  ところで、そのような制度ができるできないにかかわらず、現実に原子力発電所におきましては多くの作業員が働いておるわけでございます。これに対しましては、各電力会社におきましては厳重な被曝管理をやられておるということなんでございますが、現実には、こういう面がほとんどそれぞれの企業に任されておるというようなことで、それぞれの会社におきましても、この管理の内容が必ずしも一様じゃありませんようです。それからまた下請という問題になってまいりますと、非常にそういう面が、決して粗漏であるとは申しませんのですが、粗漏になりがちである。それから教育、訓練、こういうような面におきましても、恐らく電力会社の従業員の方と比較をいたしますと、十分に行われておるとは言えない、こういうような面が予想されるわけでございます。したがって、こういうような関係のすべての人を対象といたしました国家的な立場における被曝管理、こういうものをやはりやっていく必要があるんじゃなかろうか。しかも今後ますます被曝は増加の傾向にある、こういうような状態からいたしますと、現在のような状態でほっておいていいというわけにはまいらないのじゃなかろうかというふうに考えます。そういうような面から、ひとつ国におきまして、被曝管理センターというようなものを検討していただく、こういうお気持ちはないか、長官にお伺いいたします。
  481. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お説まことにごもっともでございまして、ただいまの御指摘のような事情になっておりますので、そういうセンターのようなものをつくって、そして国自体の果たすべき責務、あるいは会社会社でやるべき責務といったようなものを整理いたしましていくのが当然必要かと存じます。この点に関しましても、先ほどお話しでございました従業員災害補償専門部会で四十六年十二月以降検討が続いておりまして、特に中央登録管理制度を中心にいたしまして、この問題を進めてございます。せっかくいま検討中でございますので、できるだけ早く結論を得まして、御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。
  482. 折小野良一

    ○折小野委員 ひとつこの問題は十分検討をしていただきまして、そのような対策を十分講じて、安全性の確保について万全な対策を講ずる、これがやはり原子力の平和利用促進のためのむしろ前提条件である、私どもはそういうふうに考えます。まずそういう面の対策を講じた上で、今後の開発というものを考えていくべきであろうというふうに考えるわけでございます。  ところで、ただいま原子力発電所の、主として内部の被曝の関係について申し上げました。しかし、それが外部に出ないという保証はなかなかないのでございます。最初ソ連で、それからアメリカで、原子力発電所が実用化されましてから今日までほぼ二十年になっておりますが、その間に原子力に関する公害というものはなかったと言われております。大変結構なことでございます。そして今後も絶対これは起こしてはならない、こういうふうに考えるわけでございます。そういうような点からいたしますと、現在わが国におきまして、公害、環境対策というものは非常に大きな問題になってまいっておりますし、原子力につきましても、公害、環境問題からの地域住民あるいは国民の関心というものは非常に高くなってきておるわけでございます。午前中の石野委員のこの面に対する質問に対しまして、環境庁長官は、それは科学技術庁でやっていただいておりますので、そちらの方でという、きわめて消極的なと申しますか、そういうような御答弁がございました。しかし、環境庁ができたゆえんのものは、各省庁にまたがる公害行政を一元的に処理する、それを目標としてできたはずでございます。もちろん縦割り行政の責任体制というのは、それはそれなりのメリットというものもございますし、それはそれなりに尊重してまいらなければなりません。しかし、横の総合調整、これまたきわめて大切なことじゃなかろうかというふうに考えます。特に環境行政におきましては、そういう面は非常に重要な問題であろうというふうに考えるわけでございます。幸い今日まで、原子力関係の公害、そういう面の事故はなかった、こういうふうに言われておりますが、もし一つ事故がありました場合には、これは非常に大きな災害をもたらす。結局せっかくの九仭の功を一簣に欠くというようなことにもなってまいりますし、この前の重油タンクの油流出じゃございませんが、事故が起こってから調べてみた、そうしたら、すべての各地の石油タンク地盤が、あるいは沈下しておった、あるいは盛り上がっておった、いろいろな問題が出てまいったわけであります。事故が起こってからいろいろな対策を講ずる、こういうことでは、特に原子力の場合は遅いわけでございます。そういうような意味からいたしますならば、やはり公害、環境の予防的な対策あるいは先行的な対策、こういうものはかねて十分に考慮しておいていただくことが必要じゃなかろうか、こういうふうに考えております。確かにこれまではこういう面については環境庁は何もされなかったというふうに考えておりますのですが、今後につきまして、ひとつ長官の御意見を伺いたいと思います。
  483. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 午前中も申し上げたのでございますが、放射能による環境問題は、原子炉の施設や防護施設、これらの設計構造、それから運転等に関連いたします。これらの工学的な安全問題と密接不可分でございますので、どうしても一体的にこれを取り扱い、考えていかなければなりませんので、環境庁で、私ども放射能汚染の問題は非常に重大な関心はありましても、やはりこれは科学技術庁で一元的にやっていただいた方がより有効ではないか、こう考えておるわけでございます。  また、放射能による安全問題、これは御承知のとおり、核原燃料物質というものの精製だとか加工だとかあるいは処理、廃棄、その運搬というような問題に関連いたしますので、どうしても環境庁のような役所の中の一部局としてこれを取り扱っていくよりも、科学技術庁の方で総体的に見ていっていただく、対策を講じていただくという方が、行政のやり方としてはより効果的じゃないか、こう私は思いますので、この点はひとつそういう意味で、現在、私どもはもちろん環境庁といたしまして、この公害問題については重大な関心がありますので、絶えず科学技術庁長官と御連絡いたしまして、事故の起こらないような万全な対策をとっていただく、いまのところは、それがやっぱり最良じゃないかと考えております。
  484. 折小野良一

    ○折小野委員 私も、専門の技術的な問題を環境庁でおやりなさい、こういうふうに申し上げているつもりはないわけでございます。専門的なところは、やっぱり専門のところで一生懸命にやっていただかなければなりません。しかし、とかく縦割り行政のいろいろなひずみというものが、結局事故につながってくる、こういうような事例は非常に多いわけでございまして、そういう面は環境庁において総合調整の役割りを十分果たしていただきたいというふうに考えるわけであります。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 特に、けさの御答弁にありました環境アセスメントの問題、こういうふうな問題は、やはり統一的に考えていただくことがいいのじゃなかろうかと思います。ひとつ今後の問題として御検討をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  485. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて折小野君の質疑は終了いたしました。  加藤参考人田中参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。      ————◇—————
  486. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 この際、分科会に関してお諮りいたします。理事会の協議によりまして、昭和五十年度総予算審議のため、五個の分科会に分かつこととし、分科会の区分は、第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、経済企画庁・国土庁を除く総理府及び法務省所管並びに他の分科会の所管以外の事項。第二分科会は、外務省、大蔵省及び文部省所管。第三分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管。第四分科会は、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管。第五分科会は、国土庁、運輸省、郵政省及び建設省所管。  以上のとおりにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  487. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  488. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  489. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、参考人に関する件についてお諮りいたします。  分科会におきまして、財政投融資計画の審査のため、公団、事業団等から参考人として意見を聴取する必要が生じた場合の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  490. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、明二十一日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十五分散会      ————◇—————