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坂口委員 私の方もわかったようなわからぬような話でございますけれども、大臣の選挙区であるとはゆめゆめ存じませんでした。恐らくこれは、森町の役場の
人たちもかなり努力をなすったのでありましょうし、また、町民の中にも、このことに対して、完成に大きな期待を持っている
人たちも、恐らくあるのであろうと思います。そのことについては私もわかるわけでありますが、しかし大臣、私は静かに
考えていただきたいと思う。それは、そこに住む農村の
人々にとって、二十五万坪もあるこの
田畑というのは、これはできることならば、ここで生活のできる体制というものをその
人たちはしいてもらいたかったに違いない。ところが、国の
政策でどうしても
農業というものがやっていけない状態になった。仕方なくその土地を売った。そして、売ったその土地に次善の策として何かができないであろうか、こういう期待にほかならないと思うのです。そういう
意味からいきますと、私は、この保養基地の問題というのは、まことに重要な
意味を含んでいるというふうに思います。
先ほど、この価格については妥当であるかのような意見が出ましたけれども、これは私は納得できない。その周囲のいろいろ私
たちが調べました結果と比べますと、先ほど申しましたとおり、いろいろ資料がございますが、時間がございませんからそう多く申し上げられませんけれども、しかし非常にこの土地というのは高い。少なくとも二、三倍の額はしているわけであります。このことについては私は重大な責任を感じてもらわなければならぬ。責任を感じるだけではこれは済まぬというふうに思うわけです。非常に大事な国民から預かっている積立金というものを、十一兆円もあるからということで、こういうふうなことでむやみやたらに使われてはたまらぬわけであります。もう少し謙虚に受けとめて、こういうふうな国民的なものをつくるということになれば、業者の
人たちにもそれだけの良心を持ってこれに対処をしてもらわなければいけない。それを説得するのがあなた方の役目じゃございませんか。そうでしょう。それについて、鑑定人に頼んだのは何ぼかわからぬというような答弁では、これは私どもとしては納得しかねます。また厚生大臣も、自分の選挙区でありながら、わかったようなわからぬような話をなさる。これは大臣としても私は重大な責任があると思うわけであります。
きょう私は、そういう
意味で、地理的に非常に弱い
立場にある
人々、この
人たちを地理的弱者という
言葉のもとにいろいろの角度から取り上げて、そして各大臣の意見を伺ったわけであります。こういうふうな議論の中で、
三木内閣が掲げてお
みえになります社会的公正、これは総理大臣も、
大平大蔵大臣も
経企庁長官も、
演説の中で社会的公正ということをおっしゃいましたが、しかし、いろいろの角度から煮詰めてまいりますと、この社会的公正というのが名ばかりで、先ほどの保養基地の問題じゃございませんが、擬装であって、これが真実は決してそうではないと私は断ぜざるを得ないわけであります。
教育の問題についてもしかりであります。教育と言えば、学校の先生が新任と言えば、もう判で押したように
山間僻地にその先生
たちがやってくる。あるいは医療問題にいたしましても、その
人たちが本当に健康を害して弱っているのにもかかわらず、その問題がいつの間にか捨てられて、その医療体制というものがいつでも確立されない。また、
電話の問題にいたしましても、これは一ヵ所に百万円も出さなければならないということになれば、なかなかどうして引けない。しかも、それをいつまでたってもきちっと整理しようとしない。まことになわ張りと硬直した
考え方の中でしかこの問題をとらえてお
みえにならないと私は言わざるを得ないわけであります。
そういう
意味で私は、
福田副総理に全体を通じて最後にお聞きをしたいわけでございますが、このように社会的公正ということを非常に厳しく言ってお
みえになりながら、その実、内容の
一つ一つに突っ込んで話を進めていきますと、一向に社会的公正でない。ないだけならともかくも、その
方向に向けていこうという努力すら認めがたいと言わなければならぬ。たとえばある
地域地域においていろいろの工事が行われておりますが、その工事の
一つを見ましても、その
山間僻地の問題は手抜きをしほうだいしている。これは
政府が本当に
山間僻地に対しては温かい手を差し伸べますぞという姿勢がない。そのことが、
電電公社にも飛び火をし、そうして元請の業者にも飛び火をして、私はそういうことが行われるのであろうと思うわけです。あるいはまた、いま取り上げましたこの保養基地の問題にいたしましても、これはもう少し安く、そうして合意を得られるような形で手に入るはずであります。その近辺に国有地もずっとたくさんあるわけであります。ところが、あえてこの土地が選ばれて、なおかつ、その土地が、その当時の隣接の土地に比べて二倍も三倍も高いというこの実情、こういう中で今後政治が進んでいったとしたならば、私は国民の合意は得られないと思うのです。
それで、社会的公正を達成するためには、その前に、税金でありますとか、あるいはこの社会保険料が、全国民に対しておおむね公正なやり方で配分されているという国民的な評価がまず先行しなければならないと思うのです。これなくして社会的公正の
施策というものは講じられないであろうと思うわけです。特に、最後の厚生年金事業団のこの問題にからめて、ひとつ副総理から御答弁をいただきたいと思います。